説明

包装機における粉体の定量供給装置

【課題】充填物としての粉体を確実に一定量ずつ供給する。
【解決手段】粉末茶Xを貯留するホッパと、このホッパの底部から下向きに設けられた出口管16と、この出口管16内に臨んで設けられ縦軸回りに回転駆動可能なオーガスクリュー20と、出口管16の下端に設けられ粉末茶Xを圧縮しつつ押し出し可能なテーパ状の貫通孔35を有する堰き止め具30と、この堰き止め具30の下面に沿って進退され同堰き止め具30の下面から垂れ下がった粉末茶Xを切断する一対の切断刃45が具備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体、特に粉末茶、ココア等の粒子の細かい粉体を計測して供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動包装機に付設される充填物供給装置に関し、充填物が粒子の細かい粉体、例えば粉末茶である場合に適したものの一例として、特許文献1に記載されたようなオーガ式の供給装置が知られている。このような粉末茶は流動性に劣る等の事情があって、例えば計量升式のものであると、升切りした場合に升の内面等に粉末茶の一部が付着したままで残る等の現象を呈して供給量がばらつく嫌いがあるため、その代替策として採用されるようになった。
【0003】
このオーガ式の充填物供給装置は、充填物としての粉末茶が貯留されるホッパが設けられ、このホッパの底部に下向きに設けられた出口管に、オーガスクリューが縦軸回りの回転自由に挿通されるとともに、出口管の下端に、菊座と称する複数の窓孔が分割開口された堰き止め具が嵌着された構造であって、オーガスクリューが所定量回転駆動されると、粉末茶が堰き止め具の各窓孔から若干圧縮されつつ押し出され、オーガスクリューの回転が停止したのちは、粉末茶の流動性が劣ることを利用して堰き止め具の窓孔が塞がれることで、粉末茶がそれ以上零れることが防止され、これにより粉末茶を一定量ずつ一袋の包装袋内に供給することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−237701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにオーガ式の充填供給装置は、計量升式と比べると定量供給に有効であるとは言えるが、粉末茶の材質や周囲雰囲気等の条件により、流動性に極めて劣る状態にある場合等には、オーガスクリューの回転が停止したときに、粉末茶が堰き止め具を単に塞ぐのみならず、そこからつららのように垂れ下がった状態で残ることがある。そうすると、この回の粉末茶の供給量はつららとして残った分規定量よりも少なくなり、逆に次回は、正規に押し出されたとしても、残っていたつららの分が余分に加わることにより規定量よりも多くなり、差し引きすると供給量に大きなばらつきが出る可能性がある。ことに、一袋の包装袋へ充填される粉末茶の供給規定量自体が少ない場合には、上記のように供給量に大きなばらつきがあると、一袋分を溶かして生成したお茶の質そのものが大きく変わるおそれがあり、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、充填物としての粉体を確実に一定量ずつ供給できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装機における粉体の定量供給装置は、粉体を貯留するホッパと、このホッパの底部から下向きに設けられた出口管と、この出口管内に臨んで設けられ縦軸回りに回転駆動可能なオーガスクリューと、前記出口管の下端に設けられ粉体を圧縮しつつ押し出し可能な開口部を有する堰き止め具と、この堰き止め具の下面に沿って進退駆動され同堰き止め具の下面から垂れ下がった粉体を切断する切断部材と、が具備されたところに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、オーガスクリューが所定量回転駆動されると、粉体が堰き止め具の開口部から圧縮されつつ押し出され、オーガスクリューの回転が停止したのちは、粉体により堰き止め具の開口部が塞がれる。それとともに堰き止め具の下面に沿って切断部材が進出し、堰き止め具の下面から垂れ下がった粉体がある場合には、これが切断されて自然落下する。すなわち各供給動作では、オーガスクリューの回転に伴い一定量の粉体が堰き止め具の下面から押し出されるが、一旦押し出されたものは切断される分も含めてそっくり供給されることになり、結果常に一定量の粉体を供給することができる。
【0008】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記堰き止め具は、前記ホッパの前記出口管の下端に嵌着される厚肉の底部を有するキャップ状をなし、同堰き止め具の底部には、下面に向けて次第に縮径されたテーパ状の貫通孔が形成されている。
粉体は、堰き止め具の貫通孔を通って次第に圧縮されつつ押し出されるが、周方向に散らばることなく堰き止め具の中心に寄せられた状態で押し出されるから、ホッパの出口管の下方に配されたシユートに向けて全量が確実に落下供給される。また、単一の貫通孔内で圧縮されるのであるから、密度も一定にでき、もってより確実に一定量の粉体を供給することができる。
【0009】
(2)前記切断部材は、一対の切断刃が互いに突き合う方向に進退可能に設けられて形成されている。
開口部の下面から垂れ下がった粉体は、一対の切断刃が突き合うように進出することで切断される。垂れ下がって残った粉体は、開口部の中心部から落下するから、粉体を受けるシュートの径を極力小さいものに抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充填物としての粉体を確実に一定量ずつ供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の一部切欠側面図
【図2】堰き止め具の断面図
【図3】同平面図
【図4】粉末茶の供給動作を示す供給装置の部分側断面図
【図5】残った粉末茶の切断状態を示す同図
【図6】供給装置の正面から見た部分断面図
【図7】切断装置の開状態を示す平面図
【図8】切断装置の閉状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図8によって説明する。この実施形態では、充填物として粒子の細かい粉体である粉末茶Xが例示され、同粉末茶Xが、縦型多列充填包装機において製造されるスティック型の包装袋内に一定量ずつ充填されるようになっている。
【0013】
包装袋の製造過程の概略を図1を参照して説明する。フィルムロールから繰り出された原反包装フィルムは、スリッタによって所定幅ずつ複数列に切り分けられ、切り分けられた各包装フィルムfは、フォーマ50を通って筒状に回曲されたのち、縦シール装置において、合掌状に重ねられた端部に縦シールが施されることで筒状体が形成される。続いてその筒状体の所定位置に、横シール装置によって横シールが施されたのち、詳しくは後記するように、ホッパ11に貯留された粉末茶Xが充填シュート18を通って充填されて半包装袋が形成される。その半包装袋が1サイクルずつ送り出されて、さらに横シールが施されることで両端が閉じられたスティック型の包装袋が形成され、同横シール部がカッタで切断されることで1袋ずつの包装袋が製造される。
【0014】
次に、充填物である粉末茶Xの定量供給装置10について詳細に説明する。当該装置10はオーガ式の供給装置であって、粉末茶Xを貯留するホッパ11を備えている。ホッパ11は、上部が広く開口されたホッパ本体12を有し、その搾られた下端部に受け部13が連設された構造であって、同受け部13の底面には、すり鉢状をなす貯留室15が、上記した包装袋を製造する各列ごとに対応するようにして並んで形成されている。各貯留室15の底面中心からは、円筒形をなす出口管16が下向きに突出して設けられている。各出口管16は、各列の充填シュート18の上方に同心に配されている。
【0015】
ホッパ11の受け部13内には各貯留室15ごとにオーガスクリュー20が縦向きに配設されている。オーガスクリュー20は、軸部21の下側にスクリュー部22が連設された構造であって、スクリュー部22が貯留室15の所定寸法上方位置から出口管16の下端に向けて、軸線回りの回転可能に挿通されているとともに、軸部21の上端が、基枠25に設置されたモータ26の出力軸26Aとギア機構27を介して駆動連結されている。
モータ26が駆動されることで各オーガスクリュー20が軸心回りに回転し(各列で交互に逆方向)、粉末茶Xがスクリュー部22の螺旋刃23の間に引き込まれつつ出口管16内を送り出されるようになっている。
【0016】
出口管16の下端部には、堰き止め具30が取り付けられている。そのため、出口管16の下端部外周には雄ねじ17が切られている(図4参照)。堰き止め具30は、図2及び図3に示すように、厚肉の底部32を有する円形のキャップ形をなし、周壁31の内面には、上記した出口管16の雄ねじ17に螺合可能な雌ねじ34が切られている。堰き止め具30の底部32は、外底面の中央部に突出部33が形成された形状となっており、同底部32には、内底面の中心から突出部33の外底面の中心に達する貫通孔35が形成されている。貫通孔35の形状は、図4に示すように、その上端が上記した出口管16の内径より少し大きい直径を持ち、下端に向けて次第に縮径されたテーパ状をなし、下端部の所定厚さ部分(突出部33の厚さ部分)が、テーパ部36の下端の小径部と同じ径のストレート部37となっている。
上記のような構造になる堰き止め具30が、周壁31の内周の雌ねじ34を出口管16の雄ねじ17にねじ込まれ、内部の段差部38が出口管16の下端面に当たった状態で固定されている。
【0017】
上記した出口管16の下端に取り付けられた堰き止め具30と、充填シュート18の上端との間には、堰き止め具30から垂れ下がった粉末茶Xを切断するための切断装置40が装備されている。
この切断装置40は、図4ないし図8に示すように、平行開閉形のエアチャック41を用いており、平行姿勢をなして開閉する一対の爪部42に、一対の切断刃45が突き合うようにして装着されている。切断刃45は、全体としては正面L字形に形成されており、水平部における幅広となった手前側領域が開閉板46となって、両開閉板46の突き合わせ端には、下面側を削成することで先細りとされた刃部47が形成されているとともに、同水平部における幅狭となった奥側領域の外側縁からは、取付板48が下向きに屈曲形成されている。各切断刃45は、開閉板46を向き合わせた形態で、それぞれの取付板48がエアチャック41の各爪部42を跨いでその外面側にボルト49で締め付けられて固定されている。これにより、一対の切断刃45の対向した開閉板46は、エアチャック41の爪部42の手前側の領域で開閉するようになっている。
【0018】
上記のような構造になる切断装置40が、一対の切断刃45の開閉板46が、出口管16及び充填シュート18の縦軸を前後から挟むような配置で、かつ開閉板46の上面が、堰き止め具30における底面の突出部33の下面に沿って(厳密には所定のクリアランスを開けて)進退可能な高さ位置を取って配設されている。
エアチャック41が開状態にあって、一対の切断刃45が開いていると、図7に示すように、両開閉板46の刃部47が離間して堰き止め具30の貫通孔35(等径部37)を全開し、エアチャック41の閉動作に伴って一対の切断刃45が閉じると、図8に示すように、両開閉板46の刃部47が、貫通孔35(等径部37)の中心位置で突き合った形態となって等径部37を閉じるようになっている。
【0019】
続いて、本実施形態の作動を説明する。
包装袋の製造過程で充填物である粉末茶Xの充填タイミングとなると、オーガスクリュー20が所定量回転駆動され、図4に示すように、同回転量に対応した所定量の粉末茶Xが対応する貯留室15の出口管16内を押し出され、さらに堰き止め具30のテーパ状の貫通孔35を通る間に次第に圧縮されつつ等径部37の下端から押し出され、その下方に配された充填シュート18内に落下する。オーガスクリュー20の回転が停止したのちは、圧縮された粉末茶Xにより貫通孔35が塞がれる。
【0020】
それとともに切断装置40が閉動作され、一対の切断刃45の開閉板46が堰き止め具30の突出部33の下面に沿いながら接近して、両刃部47が貫通孔35の中心位置で突き合って貫通孔35(等径部37)を閉じる。このとき堰き止め具30の貫通孔35の下面から垂れ下がった粉末茶Xがある場合には、図5に示すようにこれが切断されて、充填シュート18内に続いて自然落下する。そののち、切断装置40が開動作して一対の切断刃45が元姿勢に開き、次の半包装袋に対して、上記した動作を繰り返して粉末茶Xが充填されるところとなる。
【0021】
このように本実施形態では、堰き止め具30の下面に切断装置40を備え、仮に堰き止め具30の貫通孔35の下面から粉末茶Xが落ち切れなくて残ったとしても、直ちに切断して落下させる手段を講じている。言い換えると、各充填動作時には、オーガスクリュー20の所定量の回転に伴い一定量の粉末茶Xが堰き止め具30の下面から押し出されるが、一旦押し出されたものは切断される分も含めてそっくり充填シュート18内に供給されることになり、結果常に一定量の粉末茶Xを供給することができる。
【0022】
粉末茶Xは、堰き止め具30における下窄まりの貫通孔35を通って次第に圧縮されつつ押し出され、言い換えると、周方向に散らばることなく堰き止め具30の中心に寄せられた状態で押し出されるから、ホッパ11の出口管16の下方に配された充填シュート18に向けて全量が確実に落下供給される。また、粉末茶Xは単一の貫通孔35内で圧縮されるのであるから、密度も一定にでき、より確実に一定量の粉末茶Xを供給することができる。
【0023】
堰き止め具30の貫通孔35の下面から垂れ下がった粉末茶Xを切断するに当たり、一対の切断刃45が突き合うように進出することで切断するようにしたから、切断された粉末茶Xが確実に貫通孔35の中心部から落下することになり、粉末茶Xを受ける充填シュート18の径を極力小さいものに抑えることが可能となる。
【0024】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)切断部材である切断刃の進退駆動手段としては、上記実施形態に例示したエアチャックに限らず、他の駆動手段を使用してもよい。
(2)切断部材が一枚の切断刃からなり、同切断刃が片側から進退して垂れ下がった粉末茶を切断するような構造であってもよい。
(3)堰き止め具の取付構造としては、圧入構造であったり、別途備えたねじで止める構造としてもよい。
(4)堰き止め具としては従来と同様に菊座を適用してもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0025】
(5)上記実施形態では、充填物である粉体として粉末茶を例示したが、本発明は、粉末茶以外にもココア等の粒子の細かい粒体を充填する場合に適用して特に有効である。
(6)包装袋としては、背貼りが封筒貼り形式のスティック型包装袋や、包装袋の上下並びに一側縁をシールした三方シール型包装袋等、他の形態の包装袋であってもよい。
(7)包装機としては、上記実施形態に例示した縦型多列充填包装機に限らず、単列の縦型充填包装機等、他の形式の包装機を適用する場合であってもよい。
【符号の説明】
【0026】
X…粉末茶(粉体)
10…定量供給装置
11…ホッパ
15…貯留室
16…出口管
17…雄ねじ
20…オーガスクリュー
22…スクリュー部
30…堰き止め具
31…周壁
32…底部
33…突出部
34…雌ねじ
35…貫通孔(開口部)
36…テーパ部
40…切断装置
41…エアチャック
42…爪部
45…切断刃(切断部材)
46…開閉板
47…刃部
48…取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留するホッパと、
このホッパの底部から下向きに設けられた出口管と、
この出口管内に臨んで設けられ縦軸回りに回転駆動可能なオーガスクリューと、
前記出口管の下端に設けられ粉体を圧縮しつつ押し出し可能な開口部を有する堰き止め具と、
この堰き止め具の下面に沿って進退駆動され同堰き止め具の下面から垂れ下がった粉体を切断する切断部材と、
が具備されたことを特徴とする包装機における粉体の定量供給装置。
【請求項2】
前記堰き止め具は、前記ホッパの前記出口管の下端に嵌着される厚肉の底部を有するキャップ状をなし、同堰き止め具の底部には、下面に向けて次第に縮径されたテーパ状の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装機における粉体の定量供給装置。
【請求項3】
前記切断部材は、一対の切断刃が互いに突き合う方向に進退可能に設けられて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の包装機における粉体の定量供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−251762(P2011−251762A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128762(P2010−128762)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(592242660)株式会社東陽機械製作所 (20)
【Fターム(参考)】