説明

化学カイロ用収納袋とその製造方法並びにこの製造方法を実施するためのシール型、製造装置並びに発熱体

【課題】 シール部においてシール切れがなく、製造の際にシール部のすべりが生じない収納袋とその製造方法並びにこの製造方法を実施するためのシール型、製造装置並びに発熱体を提供する。
【解決手段】 化学カイロ用収納袋8のシール部3、4、6の内側に仮着部7を連接したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学カイロ用収納袋に関し、更に、詳しくは、空気と反応して発熱する発熱剤、活性炭、食塩等の酸化助剤、保水剤等からなる発熱組成物を収納して発熱体に構成するための通気性収納袋、前記通気性収納袋に発熱組成物を収納した発熱体を封入するための非通気性収納袋、前記発熱体を収納した非通気性収納袋をまとめて収納するためのまとめ収納袋とその製造方法、並びにこの製造方法を実施するためのシール型、製造装置、並びに発熱体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】空気と反応して発熱する発熱剤の代表例である鉄粉、水、保水剤及び酸化助剤等からなる発熱組成物は、点火を必要とせず空気と接触するだけで簡便に発熱するため、該発熱組成物を通気性袋に収納した発熱体が広く普及している。前記発熱体組成物を収容する袋材は、通気性を備えた材料、例えば、不織布にポリエチレンを積層した袋材に針穴を開けたものや、不織布に微細気孔を有するフィルムを積層した材料によって構成されている。また、前記発熱体は、通常、非通気性の収納袋に発熱しないように気密状態で収納され販売されている。また、前記発熱体は、販売時の取扱いを簡便にするために複数個まとめて収納袋に収納され販売されている。
【0003】前記通気性を有するフィルムを用いた袋材で製造した発熱体は、通気性を調整する部分の層(穿孔したポリエチレン層や微細気孔を有するフィルム層)が薄いため、ヒートシールや圧着シール等の何れのシール方法の場合もエッジ切れを起こしやすいという欠点があり、その結果、発熱不良や収納袋の膨張、内容物の漏れを生じるという問題があった。また、収納袋をシールするため用いるシール型、特に、ヒートシールバーのシール面全面を無地にした場合、収納袋のシール部に空気だまりが発生し、ピンホールや、皺の発生等が起こる。また、高速生産をするためにシールする圧力を上げるとエッジ切れが起こり、更には、ヒートシールバーを備えた回転シールロール上では収納袋がすべりやすく、収納袋の前送りが不完全となって製造工程に支障が生じていた。また、シールロールのシール面の断面形状を互いにかみ合うように凹凸状に形成して押圧した場合、凹凸部が鋭利なためにかみ合った際に、フィルムにミシン目状の切れ目が生じてしまい、すぐに切れてしまうことがあった。また、シール面の凹凸部のかみ合わせを厳密に制御する必要があるため、製造装置のコストがかかるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の問題を解決するために、シール面端部を無地にして、その外側を模様状にしてシール加工する方法も提案されているが、シール面端部が切れやすいという欠点を完全になくすことができないものであった。また、無地のシール面が存在するために、収納袋のシール部に空気等が残り、ピンホールが生じたり、シール部境界域が凹凸状等にシールされたりするため、外観不良並びにシール不良が生じてしまうものであった。また、シールロールの一方のロールを弾性材料(テフロン(登録商標)、ナイロンなどの合成樹脂や硬質ゴム)で形成してピンホールが生じないようにすることも考えられるが、弾性材料が圧接面の方向に変形し、収納袋のシール部に皺が発生しやすくなり、外観不良が生じてしまうという不都合を有するものであった。そこで、本発明では、収納袋のシール面においてシール切れがなく、製造時に収納袋のシール部によってすべりが生じない収納袋とその製造方法並びにこの製造方法を実施するためのシール型、製造装置並びに発熱体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく、本発明の化学カイロ用収納袋は、請求項1に記載の通り、化学カイロ用収納袋のシール部の内側に仮着部を連接したことを特徴とする。また、請求項2に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項1に記載の化学カイロ用収納袋において、前記化学カイロ用収納袋のシール部外表面に、断面形状が凹凸状の模様を設けたことを特徴とする。また、請求項3に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項1又は2に記載の化学カイロ用収納袋において、前記シール部内において、前記シール部の外周側と内周側にそれぞれ別の模様を設けたことを特徴とする。また、請求項4に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項1乃至3の何れかに記載の化学カイロ用収納袋において、前記シール部の模様の一部又は全部が重複模様として形成されたものであることを特徴とする。また、請求項5に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項1乃至4の何れかに記載の化学カイロ用収納袋において、前記シール部は、ヒートシール性樹脂、粘着剤又はヒートシール性樹脂及び粘着剤との混合物の何れかのシールによって形成されたものであることを特徴とする。また、請求項6に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項1乃至5の何れかに記載の化学カイロ用収納袋において、前記シール部に開封用ノッチを設けたことを特徴とする。また、請求項7に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項6に記載の化学カイロ用収納袋において、前記開封用ノッチの近傍に、或いは、該開封用ノッチを囲繞するようにノッチ用目印を設けたことを特徴とする。また、請求項8に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項1乃至7の何れかに記載の化学カイロ用収納袋において、前記化学カイロ用収納袋は、少なくとも一部が通気性を有する包材によって構成されることを特徴とする。また、請求項9に記載の発熱体は、請求項8に記載の化学カイロ用収納袋に、少なくとも空気と反応して発熱する発熱剤を含む発熱組成物が収納されていることを特徴とする。また、請求項10に記載の化学カイロ用収納袋は、請求項1乃至7の何れかに記載の化学カイロ用収納袋において、前記化学カイロ用収納袋は、非通気性のシートによって構成されることを特徴とする。また、請求項11に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、シール面の端部にアールを設けたシール型によってシールすることを特徴とする。また、請求項12に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項11に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記シール面の断面形状は凹凸形状に形成されていることを特徴とする。また、請求項13に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項12に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記模様を構成する凹凸形状の角部にアールを設けたことを特徴とする。また、請求項14に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項12又は13に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記シール型のシール面において、前記シール面の外周側と内周側にそれぞれ別の模様を設けたことを特徴とする。また、請求項15に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項12乃至14の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記化学カイロ用収納袋の前記シール型によって、シール部の模様を下地模様と上模様の複数回に分けて設け、これら模様の少なくとも一部が重複するようにして設けたことを特徴とする。また、請求項16に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項11乃至15の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記化学カイロ用収納袋のシール部の方向に応じて複数に分けてシールすることを特徴とする。また、請求項17に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項11乃至16の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記収納袋の内部側から外部側へ空気を抜く排気用溝を残してシールし、その後、前記排気用溝をシールすることを特徴とする。また、請求項18に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項11乃至17の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記収納袋は、少なくとも空気と反応して発熱する発熱剤を含む発熱組成物を封入して発熱体を構成するための収納袋であることを特徴とする。また、請求項19に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項11乃至18の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記化学カイロ用収納袋の前記シール部の外周側に、切り込み部材を用いて開封用ノッチを形成するようにしたことを特徴とする。また、請求項20に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項19に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記開封用ノッチの近傍に、或いは該開封用ノッチを、囲繞するように、押し込み部材を用いてノッチ用目印を形成するようにしたことを特徴とする。また、請求項21に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法は、請求項11乃至20の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記収納袋は、発熱体を収納するための非通気性収納袋又は前記発熱体を収納した前記非通気性収納袋を収納するためのまとめ収納袋であることを特徴とする。また、請求項22に記載のシール型は、シール面端部にアールを設けたことを特徴とする。また、請求項23に記載のシール型は、請求項22に記載の化学カイロ用収納袋のシール型において、前記シール面の断面形状は凹凸形状に形成されていることを特徴とする。また、請求項24に記載のシール型は、請求項23に記載の化学カイロ用収納袋のシール型において、前記模様を構成する凹凸形状の角部にアールを設けたことを特徴とする。また、請求項25に記載のシール型は、請求項22乃至24の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型において、前記シール型のシール部内において、前記シール部の外周側と内周側にそれぞれ別の模様を設けたことを特徴とする。また、請求項26に記載のシール型は、請求項22乃至25の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型において、前記シール型のシール部に、シール時に空気を外部側へ逃がすための排気用溝を設けたことを特徴をする。また、請求項27に記載のシール型は、請求項22乃至26の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型において、前記収納袋は、少なくとも空気と反応して発熱する発熱剤を含む発熱組成物を封入するための通気性収納袋であることを特徴とする。また、請求項28に記載のシール型は、請求項22乃至26の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型において、前記収納袋は、発熱体を収納する非通気性収納袋又は前記発熱体を収納した前記非通気性収納袋を収納するためのまとめ収納袋であることを特徴とする。また、請求項29に記載の化学カイロ用収納袋の製造装置は、請求項22乃至28の何れかに記載のシール型を備えることを特徴とする。また、請求項30に記載の化学カイロ用収納袋の製造装置は、請求項29に記載の化学カイロ用収納袋の製造装置において、前記製造装置には、ノッチ形成部材及び/又はノッチ用目印部材及び/又は裁断部材が設けられていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の収納袋は、例えば、シール層を有するフィルムから構成される1枚のシートを、シール層の面が当接するように折り重ねるか、2枚のシートを重ね合わせ、周端部をシール型を用いて、加熱、圧着又は加熱・圧着等によりシールして形成することができる。収納袋の形状、種類若しくは材料、シール型又はシール方法については以下に説明するものを選択することができる。
【0007】収納袋の形状としては、収納機能があれば特に制限はないが、立方体、直方体、円筒状、角柱状、球状、円錐状、四面体状又はこれらに類以する形状が一例として挙げられる。また、発熱体を収納するための非通気性の収納袋とする場合も、発熱体を密封できれば特に制限はない。
【0008】本発明の収納袋に、発熱組成物を収容する場合には、収納袋の全体、片面又は一部を通気性包材で構成するようにする。また、発熱体を収容する場合又はこのように収容された発熱体をまとめて収容する場合には、非通気性包材で構成するようにする。通気性包材としては、例えば、不織布、多孔質フィルム、不織布と多孔質フィルムの積層シート、不繊布とプラスチックフィルムとの積層シート、不繊布上に溶融樹脂を積層し穿孔したシート、穿孔したプラスチックフィルム等が挙げられる。また、耐水紙等の難通気性包材等であってもよい。前記多孔質フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン又はそれらを柔軟に改質したプラスチック類及びゴム類等からなる微細気孔を有する熱可塑性のものが一例として挙げられ、それらを単独で用いてもよく、また、補強のためにそれらに不織布等を積層してもよい。更に、また、以下に説明する非通気性包材に機械的に穿孔したもの等を単独で用いてもよく、また、補強のために不織布等を積層してもよい。非通気性包材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ポリエステル等のプラスチックフィルムやプラスチックフィルムにSiO等の無機酸化物を蒸着したものやそれらを用いた積層物等が挙げられる。また、前記包材の厚みは、収納袋としての強度に問題が生じなければ、特に制限はないが、通常は、10μm〜500μm、好ましくは、20μm〜300μm、より好ましくは、20μm〜200μm、更に、好ましくは、30μm〜100μmである。
【0009】前記包材を重ね合わせる等してシールする材料としては、ヒートシールによりシールする場合には、ヒートシール性樹脂、圧着シールによりシールする場合には、粘着シール性樹脂等が一例として挙げられる。
【0010】ヒートシールの場合は、シール材の構成樹脂が包材の構成樹脂より相対的に融点が低くなるように構成する。従って、シール材としては、低融点でシール性があればいかなるものでもよいが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(EBM)、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその加水分解物、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等が一例として挙げられる。尚、触媒を使用して重合した樹脂として、チーグラー触媒や、メタロセン触媒を使用して重合した樹脂等が有用である。
【0011】圧着シールの場合は、粘着シール樹脂をシール材として使用し、包材は圧着時にやぶれない程度に十分な強度を有するものであればよい。粘着シール材としては、重なった包材を圧着できるものであればよく、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型等いかなるものでもよく、例えば、酢酸ビニル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン(ネオプレン)系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、スチレンエラストマー系粘着剤(例えば、SIS、SBS、SEBS(SBSの水素添加タイプ)、SIPS(SISの水素添加タイプ等))等が挙げられるが、これらの中でも、特に、常温でも圧着することができるホットメルト系粘着剤が好ましい。尚、粘着シール材の軟化点は60℃以上が好ましく、スチレンエラストマー系粘着剤(例えば、SIS、SBS、SEBS(SBSの水素添加タイプ)、SIPS(SISの水素添加タイプ)等)や、ポリオレフィン系粘着剤(例えば、APAO(アモルファスポリアルファオレフィン:エチレン・プロピレン・アルファオレフィン(炭素原子数が4〜10等)等))が一例として挙げられる前記粘着シール材は、圧着前及び/又は圧着時に、加温して圧着しやすくしてもよい。
【0012】前記シール材は、包材に塗布したり、溶融積層したり、同樹脂からなるフィルム等をラミネートする等の方法で用いられる。ラミネートする方法としては、ドライラミネート法、ウェットラミネート法(エマルジョン)、押し出しラミネート法、共押し出しラミネート法、塗布法、ホットメルトガン法、グラビア等の印刷法、コーティング法等が一例として挙げられる。尚、通気性包材のシール材は、通気性を確保する必要があるので、全面に塗布する場合は、前記シール材を構成する樹脂を網目又は散点状等にして塗布する必要がある。また、通気性包材又は非通気性包材を問わず、シール部のみにシール材を設けるようにすることもできる。シール材の厚みは、好ましくは、1〜500μm、より好ましくは、5〜100μm、更に、好ましくは、5〜50μmである。コート法では1〜100μm、ラミネートフィルムでは15〜500μmの厚さが好ましい。シール部の幅は、シール性を高めるためには広ければ広いほどよいが、通常0.5〜30mm、好ましくは、0.5〜20mm、より好ましくは、3〜15mm、更に、好ましくは、5〜10mmである。
【0013】シールする方式としては、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付きシール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、テトラパック型、スタンドパウチ型等が挙げることができる。また、シールする方法としては、発熱組成物の状態により、充填シール法(主に、粉体状発熱組成物や半捏状発熱組成物向け)、積層シール法(主に、余剰水による発熱制御型発熱組成物や半捏状発熱組成物向け)等が挙げられる。尚、本発明の収納袋には、例えば、ワンピースタイプ、ツーピースタイプ等の出入口、或いは、開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。
【0014】シール型としては、ヒートシールをする場合は、ヒートシールバーやヒートシールロール、粘着シールをする場合は、圧着シールバーやシールロールが主として使用される。また、シール型のシール面の一部乃至全面には、断面形状が凹凸状の模様を設けるようにしてもよい。また、前記凹凸状の模様における凹と凹間又は凸と凸間の距離であるピッチは、シールができればいかなる長さでもよいが、通常は0.3〜2.0mm、好ましくは0.4〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.0mm、更に、好ましくは0.6〜0.8mmとする。また、凹凸模様の高さは、シール部に支障が生じない高さであれば限定されるものではないが、通常は、0.1mm〜0.3mmとする。また、よりシール切れを起こさないようにするには、凹凸の角部にアールを設けることが好ましく、この場合の曲率半径としては、例えば、0.1〜0.2mmとすることが一例として挙げられる。また、一度シールを行ったシール部の上に重ねてシールするようにすればシール部の貼着強度を増すことができる。この場合、シール面の断面凹凸形状の模様が重複するように、下地模様の上に同種又は異種の模様を設けるか、或いは、同じ箇所を複数回シールする。
【0015】また、収納袋を開封しやすくするためにシール部に開封用ノッチを設けるのが好ましい。開封用ノッチを設ける位置としては、シール部であれば特に制限はないが、シール部の最外周に及ぶものであってもよい。また、開封用ノッチの近傍、或いは、該開封用ノッチを囲繞するようにノッチ用目印を設けるようにしてもよい。ノッチ用目印は、例えば、シール部において開封用ノッチの近傍を押圧することによってシール部を白色等に変色させるもの等して設けるようにしてもよく、その形状や大きさは、ノッチを見やすくするものであれば特に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。尚、本発明が実施例によって限定されるものではない。本実施例では、発熱組成物を収納するため包材として、通気性の被覆材1及び非通気性の基材2とも、幅9.5cm、長さ26cmの同じ大きさのものを使用した。被覆材1は、図1(a)にその断面を示すように、不織布1A、通気性粘着シール材1B及び多孔質ポリエチレンフィルム1Cを積層して構成される。また、基材2は、同図(b)に示すように、シール材2A、非通気性フィルム2B及び貼着材2Cから構成される。尚、貼着材2Cは、肩や腰等人体の一部に貼着自在とするためのもので、離型紙2Dが添着されている。尚、該貼着材2Cは前記粘着シール材等が使用できる。前記被覆材1の多孔質フィルム1C側の面と基材2のシール材2A側の面が当接するように被覆材1と基材2を重ね合わせて、図2(a)に示すように、長手方向に沿って両端部をシールしてシール部3、3を形成する。そして、重ね合わされた被覆材1と基材2の長手方向の中間部を、同図(b)に示すように長手方向に対して垂直方向にシールしてシール部4を形成する。このようにして、重ね合わされた被覆材1と基材2の長手方向のそれぞれの端部には、開口部5、5が形成されることになる。それぞれの開口部5から収納袋8の中へ鉄粉6.0g、食塩6.0g、水14.0g、活性炭6.0g及び保水剤8.0gを配合した発熱組成物9を充填し、前記開口部5、5をシールしてシール部6、6を形成して発熱組成物9を封入し、前記中間部のシール部4の中央で長手方向に対して垂直方向に裁断することにより、図3及び図4に示す発熱体100を2つ作製することができる。上記シール部3、4、6はシール型によって行うものであるが、本実施例では図5に示すシールバー10を使用した。シールバー10には、幅14mmの斜格子状のシール面11が設けられており、その断面形状はピッチ0.6mmの凹凸形状に形成されている。このように、収納袋8のシール部の断面形状が凹凸状となっているので、収納袋8をすべらせることなく確実に搬送することができる。また、シール面端部12には、曲率半径0.3mmのアールRが設けられている。このアールRにより、シール時に収納袋8のシール部3、4、6においてシール切れを起こしたり、皺がよるといったことをなくすことができるので、外観上優れた収納袋8とすることができる。更に、このアールRによって、シールバー10の余熱や押圧によってシール面端縁からはみ出したシール材が被覆材1と基材2をシール部よりも弱く付着させる仮着部7が収納袋8のシール部3、4、6の内周に連接するようにして形成されることになる。この仮着部7によって、発熱組成物9が収納袋8のシール端縁から直接漏れ出すことを防ぐことができる。
【0017】尚、本実施例の発熱組成物9の組成は、発熱体としての所望の発熱性能が得られれば、必ずしも前記組成に限定されるものでなく、必要に応じて保水剤、高分子吸水剤等を添加してもよい。また、本実施例では、シール型として回転式のシールバー10を使用したが、図6に示すような棒状のシールバー13を使用してもよい。このシールバー13にも、前記シールバー同様に幅14mmのシール面14には斜交格子状模様を設け、断面形状をピッチ0.6mmの凹凸状に形成し、シール面端部15に曲率半径1mmのアールRを設けるようにすれば、前記と同様の効果が得られる。また、本実施例のシールバー10では、シール面全体に断面形状が凹凸状の斜格子状の模様を設けるようにしているが、例えば、シール面の内周側を無模様にし、外周側だけに断面形状が凹凸状の模様を設けるようにしてもよい。
【0018】本実施例では、発熱組成物9が空気中の酸素と反応して発熱するようにするために通気性材料からなる被覆材1及び非通気性材料からなる基材2を包材として用い、通気性の収納袋8に構成するようにしている。しかし、本発明の収納袋は発熱組成物9を収納するものに限られず、図8に示すように、収納袋18を非通気性の包材16によって構成して発熱体100を収納する非通気性の収納袋とすることもできる。この場合、包材16としては、図7(a)にその一例を示すように、メタロセン触媒にて重合した低密度ポリエチレン樹脂層16A及び非通気性高密度ポリエチレンフィルム16Bを積層したシート、或いは、図7(b)にその一例を示すように、PEやEVA等のシール材からなるシール材17A、塩化ビニリデン17B及びポリプロピレンフィルム17Cを積層したシートを使用することができる。また、図示していないが、PEやEVA等のシール材からなるシール層、ポリオレフィン層及び金属酸化物を蒸着したポリエステルフィルムを積層した積層フィルムを使用してもよい。また、製造した収納袋18には、図8に示すように商品名等を印字した印字面19を設けるようにしてもよい。また、収納袋18内の発熱体100を取り出す際に開封し易くするために、図9(a)又は(b)に示すように、シール部20に、開封用ノッチ21を設けることが好ましい。開封用ノッチ21は、例えば、図9(a)に示すように、シール部内に設けるものであっても、或いは、同図(b)に示すようにノッチ21がシール部20の外縁にまで及ぶようにして設けるものであってもよい。好ましくは、同図(a)に示すように、シール部20内にノッチ21を設けるようにすれば、収納袋18を搬送する際にノッチ21から切り込みが広がり収納袋18が不用意に開封されることがない。シール部20内に開封用ノッチ21を設ける場合には、開封用ノッチ21がシール部20の模様によって見つけにくいので、ノッチ用目印21Aを開封用ノッチの近傍に設けることが好ましい。このノッチ用目印21Aは、例えば、図10に示すような開封用ノッチ21を形成する切り込み刃22を囲繞するように設けた押し込み刃23によってシール部20を押圧して白色化させて形成する。尚、ノッチ用目印21Aは必ずしも開封用ノッチ21を囲繞するものだけに限られず、開封用ノッチ21に隣接するようにして形成してもよい。この場合、ノッチ形成部材としては、図22にその断面を示すように、押し込み刃23を切り込み刃22に平行に隣接配置したものを使用することができる。
【0019】発熱組成物9を収納する収納袋8及びこの収納袋8を収納する非通気性の収納袋18の作成例については上記説明した通りであるが、図11及び図12に示すように発熱体100を非通気性の収納袋18に収納したものを複数まとめて収納するまとめ収納袋26も同様にシールバーによってシールすることができる。図示するものでは、非通気性包材24を筒状に形成し、両端部をシールしてシール部25を形成することによって収納袋26としたものである。このシール部25にも、前記シールバー13によって、断面形状が凹凸状の斜交格子状の模様が設けられている。また、このまとめ収納袋26にも商品名等を印字した印字面19を設けることができる。
【0020】次に、本発明のシール型の実施例について説明する。本実施例では、シール型27には、図13及び図14に示すように、幅14mmのシール面29にはシール面全体に断面形状が高さ0.14mmの凹凸状の多数の細線状の模様が設けられ、シール面端部30には、曲率半径1mmのアールRが設けられている。また、前記模様を構成する凹凸形状の角部29Aにも、図1515に拡大して示すように、曲率半径0.1〜0.15mmのアールrが設けられている。このシール型27によって、図2に示したように2つの収納袋をシールするには、包材としてポリエチレンからなる低温溶解性シール層付きフィルムを発熱組成物の充填スペース28及びシール面29を覆うようにして敷き、その上から充填スペース28に発熱組成物を充填し、更に、その上から包材としてポリエチレンからなる低温熔解性シール層付きフィルムを被せ、図示していないがシール型27と同形状のシール型をそのシール面がシール型27のシール面29とかみ合うように当接させて収納袋をシールする。本実施例のシール型27には、シール面端部30とシール面29の断面形状の凹凸部の模様の角部29AにアールR、rを設けているので、収納袋のシール部に破損やピンホールが生じたりすることない。更に、シール型27のシール面29には断面形状が凹凸状となるように、多数の細線状模様のシール面29としているので、シール型27によって押圧された際に、溶融したポリエチレン樹脂の余剰分が、細線状の溝に沿って分散し、収納袋のシール部全体を一様に極めて強固にすることができる。
【0021】また、本実施例では平板状のシール型を用いたが、図16に示すようにロール状のシール型31、32を用いてもよい。図16において、シール型31、32の幅14mmのシール面33には、シール面33全体に、断面形状が高さ0.14mmの凹凸状の模様が、他方のシール型のシール面33にかみ合うようにして設けられている。このシール面33の模様を構成する凹凸形状の角部33Aには、図17に示すように、曲率半径0.15mmのアールrが設けられ、また、シール面端部34には曲率半径0.3mmのアールRが設けられている。
【0022】また、図16及び図17では、互いのシール面の凹凸形状がかみ合うように形成したシール型を示したが、図18及び図19に示すように、一方のシール型35のシール面35Aに圧接する他方のシール型36のシール面36Aを弾性部材37で構成するようにしてもよい。この場合、弾性部材37とシール型36との隙間を埋める囲い板38を設けるようにすれば、弾性部材37にシール面39が圧接しても、シールロールの接線方向に弾性部材37が変形することを抑えることができるので、シール面39と弾性部材37の適度なかみ合いを確保できる。これによって、収納袋のシール部に皺が生じるのを抑えることができる。尚、本実施例のシール面35Aの端部にアールRを設け、シール面には断面形状が凹凸状となる斜格子状の模様を設け、その角部35Bにも曲率半径0.1〜0.15mmのアールrを設けるようにしてもよい。
【0023】次に、本発明の収納袋の製造装置の実施例について説明する。本実施例の製造装置は、長尺の包材と発熱組成物を連続して供給してシールすることにより、矩形状の発熱体を長手方向に連接するようにして形成し、連接された発熱体の連接部を裁断することによって複数の矩形状の発熱体を連続して得るようにしたものである。この製造装置は、図20に示すように、シート状の基材40及び被覆材41を搬送するガイド42、42、1組の回転シールロール43、43、1組のノッチ形成ロール44、44及び1組の裁断ロール45、45により構成されている。回転シールロール43には、発熱組成物が充填できるように略箱状の凹部46が設けられており、前記凹部46の周部には、幅14mmのシール面47が設けられている。前記シール面47の断面形状は凹凸状に形成されており、シール面47端部には、曲率半径1mmのアールRが設けられている。また、ノッチ形成ロール44には、切り込み刃22を囲繞するように押し込み刃23が設けられている。裁断ロール45には、ロールの軸方向にカッター45Aが設けられている。尚、本実施例では、ノッチ形成部材として、図10及び図21に示すように、切り込み刃22を囲繞するようにして設けた押し込み刃23を使用している。収納袋の包材としての基材40及び被覆材41は、重ね合わされ回転シールロール43によって先端側がまず該ロール43、43の軸方向にシールされ、次に、長手方向に沿ってシールされると共に発熱組成物供給手段48から発熱組成物が供給され、更に、後端側が回転シールロール43の軸方向にシールされて発熱組成物を封入することとなる。次に、開封用ノッチ形成ロール44により、シール部に開封用ノッチが形成される。そして、軸方向のシール部中央で裁断ロール45により裁断され、発熱体8が得られることとなる。このように、本実施例の回転シールロール43のシール面47の端部にはアールRが設けられているので、収納袋のシール部においてエッジ切れや皺が生じることがなく、シール部の外観に優れた収納袋を連続的に製造することができる。
【0024】尚、本実施例では、低温溶融性フィルムをシール材として使用し、回転シールロール43によって重ね合わされた基材40及び被覆材41を両面から加熱し、内側に位置する低温溶融性フィルムを溶融し、押圧して接着されるようにしたものであるが、低温溶融性シール層に代えて粘着シール材からなる粘着層を設けてシールすることも可能である。
【0025】また、本実施例の製造装置では、シート状の基材40と被覆材41を重ね合わせて発熱体8を作製するようにしたが、一枚のシートをシール材側を内側として2つ折りにして、対向する開放端部をシールして開口部を有する袋状に形成し、前記開口部から発熱組成物を充填し、その後、開口部をシールするようにして三方をシールした収納袋として製造するようにしてもよい。
【0026】また、本実施例では、軸方向にカッター45Aを有する裁断ロール45を用いて収納袋8のシール部3を裁断しているが、収納袋8の周部の形状に合わせたカッターを有するカットロールを用いれば、一度の裁断で収納袋8を切り取ることもできる。また、別のカット装置として、パンチカット装置(ギロチン式カッター)やシアリング型カット装置を使用することもできる。パンチカット装置50を使用する例としては、図23R>3に示すように、シート状の基材40とシート状の被覆材41をエアシリンダー装置51で駆動されるパンチカッター52とダイス53の間を通過するように配置し、所望のタイミングでエアシリンダー装置51を作動させ、パンチカッター52をダイス53の方へ移動させ、収納袋を裁断する。
【0027】次に、本発明の収納袋の製造装置の他の実施例について説明する。図24に示すように、本実施例の収納袋の製造装置は、2組の回転シールロール59、60、包材シート61を搬送するガイド62及び発熱組成物供給手段63を備えている。回転シールロール59の回転方向には、包材シート61の搬送方向に沿ってその端部をシールするように幅14mmの斜格子状模様のシール面64が設けられ、シール面の断面形状は凹凸状に形成されている。また、回転シールロール60には、発熱組成物充填のための略箱状の充填スペース65が設けられており、前記充てんスペースの周部においてロールの軸方向に幅14mmのシール面66が設けられており、同じく断面形状が凹凸状に形成されている。尚、前記各シール面64、66のシール面端部には、曲率半径0.3mmのアールRが設けられている。本実施例に用いられる包材シート61は、ポリエチレンフィルムに不織布を粘着シール材を介してラミネートしたものに、ポリエチレンフィルム側を内側にして2つ折りし、片側の面に穿孔を設けたものから構成され、ガイド62を囲むようにして搬送される。送られた包材シート61は、回転シールロール59によって、長手方向に沿って開放端部をシールされ、次いで、回転シールロール60によって、ロールの軸方向にシールされ、前記シールされた開放端部とともに袋部を形成するものである。この形成の際、発熱組成物供給手段63から発熱組成物を前記袋部に充填する。そして、発熱組成物の充填が完了すると回転シールロール60が前記袋部の残りの開放端部を軸方向にシールして発熱組成物を封入する。そして、軸方向のシール部67の中央で発熱組成物を封入した包材シート61を裁断して発熱体を得る。
【0028】尚、本実施例では、2組のシールロール、即ち、回転シールロール59と回転シールロール60を用いて、包材シート61の長手方向と回転シールロール60の軸方向とに分けてシールするようにしている。これらの回転シールロール59、60に代えて、図25にその断面を示すように、1組の回転シールロール68によってシールするようにしてもよい。このシールロール68の表面には、発熱組成物等を充填するための略箱形の充填スペース69が回転シールロール68の回転方向に3つ等間隔で設けられている。充填スペース69の周部には、シール面70として、幅14mm、高さ0.14mmの断面形状が凹凸状の模様が形成されており、これら凹凸部の角部には曲率半径0.1〜0.15mmのアールrが設けられている。また、シール面70の端部にも、曲率半径1mmのアールRが設けられている。本装置においても、2つ折りされた包材シート61は、回転シールロール68によって軸方向にシールがなされ、次に、包材シート61の長手方向に沿ってシールされるとともに発熱組成物が充填スペース69に充填され、最後に、回転して回転シールロール68の軸方向にシールがなされ、発熱組成物を封入する。
【0029】尚、図24及び図25に示す装置では、包材シート61を上側から下側へと送るものについて説明したが、包材シート61の送り方向は、必ずしも上下方向に限定されず、図26に示すように、横方向に包材シート61を送るようにしてもよい。尚、図中71は、発熱組成物を示す。
【0030】また、上記実施例においては、収納袋の四辺においてシールを一度だけ施すようにしたものであるが、図27に示すように2組のシールロールを使って、図28に示すように下地模様72に上模様73を重ねて設けるようにしてもよい。このようにして重複してシールすることにより、シールの強度を高めることができる。尚、図29に示すように所望の強度を必要とするシール部73だけを、重ねてシールするようにしてもよい。また、この場合に、下地となるシール部の幅よりも上のシール部の幅を狭める等シール幅を変更するようにしてもよい。
【0031】また、2組のシールロールを用いてシールする場合、縦方向のみシールするシールロールと、横方向のみシールするシールロールを組み合わせて用いることができる。また、1組目のシールロールには、収納袋の内側の空気を外側へ逃がす空気排出溝形成部を設けて、空気排出溝74以外をシールし、2組目のシールロールによって前記空気排出溝74をシールするようにすれば図30(a)に示すように、1回目のシールにより形成された空気排出溝74を2回目のシールにより形成されるシール部75で閉鎖されることになり、収納袋の中の空気抜け性を向上させることができる。尚、空気排出溝74を形成する箇所は特に限定されるものでなく、例えば、同図(b)に示すように収納袋の長手方向のシール部に設けるようにしてもよい。
【0032】また、収納袋の形状は、上記矩形状のものに限定されず、図31に示すように、円形状の収納袋76であってもよい。尚、円形状の収納袋76の場合、周部の50%以上をシール部77とし、このシール部77に断面形状が凹凸状の斜格子状模様を設ければ、残りを無地シール部78としても、製造過程で収納袋のすべりが生じにくくなるので有効である。尚、図8、図9、図1111、図30及び図31に示した収納袋のシール部には、断面形状が凹凸状の斜格子状の模様を設けるようにしたが、断面形状が凹凸状であれば特にこの模様に限定されるものではなく、例えば、図32に示したように(a)直交格子状、(b)平行縦線状、(c)平行横線状、(d)千鳥状、(e)斜交格子状、(f)破断斜線状、(g)斜め積みレンガ状、(h)散点状等、その模様は任意に選択できる。
【0033】次に、本発明のより具体的な実施例を比較例を用いて説明する。
(実施例1)幅9.5cm、長さ13cmの長方形状の多孔質フィルムに不織布を積層したブレスロン(日東電工製)を被覆材として、また、粘着剤層、高密度ポリエチレンフィルム、シール層を積層して構成される粘着剤付非通気性フィルムを基材として各1枚用意して、これらの間に鉄粉30g、活性炭3g、食塩3g、保水剤4g及び水14gからなる発熱組成物を挟み込み、断面形状が凹凸状の格子状模様を有する幅10mmのシール面を備えると共に、シール面端部に曲率半径0.3mmのアールを設けたシールバーによって四辺をシールして発熱体を作成した。
【0034】(比較例1)シールバーのシール面端部を直角に形成し、幅10mmのシール面を収納部側のシール端面から幅2mmを無地シール面として、残りのシール面を断面形状が凹凸状の斜格子状模様を有するシール面とした以外は、前記実施例1と同様にして発熱体を作成した。
【0035】(比較例2)シールバーのシール面端部を直角に形成し、シール面全面を無地とした以外は、前記実施例1と同様にして発熱体を作成した。
【0036】(比較例3)シールバーのシール面端部を直角に形成した以外は、前記実施例1と同様にして発熱体を作成した。
【0037】実施例1及び比較例1乃至3の発熱体は、表1の通りであった。
【表1】


【0038】上記表からわかるように、比較例1乃至3の発熱体では、シール部においてエッジ切れが見られ発熱組成物のもれが多く見られた。更に、得られた発熱体のシール端部は直線状でなかった。これに対し、実施例の発熱体では、収納袋のエッジ切れもなく発熱体の性能にも問題はなく、本発明の有用性が確認された。
【0039】(実施例2)酸化珪素を蒸着した厚さ50μm、幅9.5cm、長さ13cmの長方形状のポリエステルフィルムにメタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン樹脂層を積層したヒートシール性非通気性包材を2枚用意し、それらの包材の間に発熱体を挟み込み、その周部をシールバーによってシールし、発熱体を封入して発熱体を収納するための収納袋を形成した。本実施例ではシールバーとして、幅10mmのシール面全面に断面形状が凹凸状の斜格子状模様が設けられ、シール面端部に曲率半径2mmのアールが設けられているものを使用した。そして、収納袋のシール部に、図21に示した切り込み刃22と押し込み刃23を有するノッチ形成部材を用いて、図9に示したように開封用ノッチを設けるとともに開封用ノッチを囲繞するようにノッチ用目印を設けた。
【0040】(実施例3)前記発熱体の収納袋のシール部に、図9(b)に示したように開封用ノッチを設けた以外は、前記実施例2と同様にして発熱体を作成した。実施例2、実施例3の発熱体は、共に収納袋のエッジ切れもなく発熱体の性能には問題がなかった。また、上記実施例2と実施例3の開封用ノッチを目視により観察したところ、実施例2の開封用ノッチは、シール部に開封用ノッチがあるにもかかわらず、ノッチ用目印が白色化してノッチ模様の存在場所がはっきり認識できた。
【0041】
【発明の効果】このように本発明によれば、収納袋のシール面においてシール切れがなく、製造時に収納袋のシール部によってすべりが生じない収納袋とその製造方法並びにこの製造方法を実施するためのシール型、製造装置並びに発熱体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の一実施例に使用される収納袋の被覆材の断面図である。(b)同実施例に使用される収納袋の基材の断面図である。
【図2】 (a)乃至(c)は、本発明の一実施例である収納袋のシール方法を示す説明図である。
【図3】 本発明の一実施例である発熱体の斜視図である。
【図4】 図3のIV−IV線断面図である。
【図5】 本発明の一実施例であるシール型の斜視図である。
【図6】 本発明の他の実施例であるシール型の斜視図である。
【図7】 (a)本発明の一実施例に使用されるメタロセン触媒で重合した低密度ポリエチレン樹脂を有する非通気性フィルム及び(b)塩化ビニリデンを有する非通気性フィルムの断面図である。
【図8】 本発明の一実施例である発熱体を収納する収納袋の平面図である。
【図9】 (a)及び(b)本発明の一実施例である開封用ノッチ付き収納袋の平面図である。
【図10】 本発明の一実施例であるノッチ部材としての切り込み刃と押し込み刃の斜視図である。
【図11】 本発明の一実施例であるまとめ収納袋の斜視図である。
【図12】 図11におけるXII−XII線断面図である。
【図13】 本発明の一実施例であるシール面の断面形状が凹凸状になるように形成したシール型の断面図である。
【図14】 図13の一部拡大断面図である。
【図15】 図14の一部拡大断面図である。
【図16】 本発明の他の実施例であるシール型として2個の金属シールロールに設けた例を示す説明図である。
【図17】 図16の一部拡大断面図である。
【図18】 本発明の一実施例であるシール型として金属シールロールと囲い板に囲まれた、弾性材からなる平面受け部を持つシールロールからなるシールシールロールの一例を示す断面図である。
【図19】 図18の一部拡大断面図である。
【図20】 本発明の一実施例である収納袋の製造装置の斜視図である。
【図21】 図10におけるXXII−XXII線断面図である。
【図22】 本発明の一実施例であるノッチ部材としての切り込み刃と片側押し込み刃の断面図である。
【図23】 本発明の実施例におけるパンチカット装置を示す断面図である。
【図24】 本発明の他の実施例である収納袋の製造装置の斜視図である。
【図25】 本発明の他の実施例である収納袋の製造装置の一部断面図である。
【図26】 本発明の他の実施例である収納袋の製造装置の断面図である。
【図27】 本発明の他の実施例である収納袋の製造装置の断面図である。
【図28】 本発明の一実施例である収納袋のシール部の平面図である。
【図29】 本発明の一実施例である収納袋のシール部の平面図である。
【図30】 (a),(b)共に、本発明の一実施例であるシール部の外表面に断面形状が凹凸状の模様を設けた空気抜き溝を設けた模様状シール部の平面図である。
【図31】 本発明の一実施例である円形状発熱体の1部に模様状シールをした平面図である。
【図32】 本発明の実施例において使用されるシール部の模様の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被覆材
1A 不織布
1B 通気性粘着シール材
1C 多孔質ポリエチレンフィルム
2 基材
2A シール材
2B 非通気性フィルム
2C 貼着材
2D 離型紙
3 シール部
4 シール部
5 開口部
6 シール部
7 仮着部
8 収納袋
9 発熱組成物
10 シールバー
11 シールバーのシール面
12 シールバーのシール面端部
13 シールバー
14 シールバーのシール面
15 シールバーのシール面端部
16 非通気性包材
16A メタロセン触媒にて重合した低密度ポリエチレン樹脂層
16B 非通気性高密度ポリエチレンフィルム
17 非通気性包材
17A PEやEVA等からなるシール材
17B 塩化ビニリデン
17C ポリプロピレンフィルム
18 発熱体を収納する収納袋
19 印字面
20 シール部
21 開封用ノッチ
21A ノッチ用目印
22 切り込み刃(切り込み部材)
23 押し込み刃(押し込み部材)
24 非通気性包材
25 シール部
26 まとめ収納袋
27 シール型
28 発熱組成物の充填スペース
29 シール面
29A 断面形状が凹凸状の模様の角部
30 シール面端部
31 シール型
32 シール型
33 シール面
33A 断面形状が凹凸状の模様の角部
34 シール面端部
35 シール型
35A シール面
35B 凹凸状の模様の角部
36 シール型
36A シール面
37 弾性部材
38 囲い板
39 シール面
40 シート状の基材
41 シート状の被覆材
42 ガイド
43 回転シールロール
44 ノッチ形成ロール
45 裁断ロール
45A カッター
46 凹部
47 シール面
48 発熱組成物供給手段
50 パンチカット装置
51 エアシリンダー装置
52 パンチカッター
53 ダイス
59 回転シールロール
60 回転シールロール
61 包材シート
62 ガイド
63 発熱組成物供給供給手段
64 シール面
65 充填スペース
66 シール面
67 シール部
68 回転シールロール
68A 回転シールロール
68B 回転シールロール
69 充填スペース
70 シール面
71 発熱組成物
72 下地模様シール部
73 上模様シール部
74 空気排出溝
75 シール部
76 円形状の収納袋
77 凹凸状の模様シール部
78 無地シール部
100 発熱体
R シールバーのシール面端部のアール
r シールバーの凹凸状模様のアール

【特許請求の範囲】
【請求項1】 化学カイロ用収納袋のシール部の内側に仮着部を連接したことを特徴とする化学カイロ用収納袋。
【請求項2】 前記化学カイロ用収納袋のシール部外表面に、断面形状が凹凸状の模様を設けたことを特徴とする請求項1に記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項3】 前記シール部内において、前記シール部の外周側と内周側にそれぞれ別の模様を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項4】 前記シール部の模様の一部又は全部が重複模様として形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項5】 前記シール部は、ヒートシール性樹脂、粘着剤又はヒートシール性樹脂及び粘着剤との混合物の何れかのシールによって形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項6】 前記シール部に開封用ノッチを設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項7】 前記開封用ノッチの近傍に、或いは、該開封用ノッチを囲繞するようにノッチ用目印を設けたことを特徴とする請求項6に記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項8】 前記化学カイロ用収納袋は、少なくとも一部が通気性を有する包材によって構成されることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項9】 請求項8に記載の化学カイロ用収納袋に、少なくとも空気と反応して発熱する発熱剤を含む発熱組成物が収納されていることを特徴とする発熱体。
【請求項10】 前記化学カイロ用収納袋は、非通気性のシートによって構成されることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の化学カイロ用収納袋。
【請求項11】 シール面の端部にアールを設けたシール型によってシールすることを特徴とする化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項12】 前記シール面の断面形状は凹凸形状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項13】 前記模様を構成する凹凸形状の角部にアールを設けたことを特徴とする請求項12に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項14】 前記シール型のシール面において、前記シール面の外周側と内周側にそれぞれ別の模様を設けたことを特徴とする請求項12又は13に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項15】 前記シール型によって、前記化学カイロ用収納袋のシール部の模様を下地模様と上模様の複数回に分けて設け、これら模様の少なくとも一部が重複するようにしたことを特徴とする請求項12乃至14の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項16】 前記化学カイロ用収納袋のシール部の方向に応じて複数に分けてシールすることを特徴とする請求項11乃至15の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項17】 請求項11乃至16の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法において、前記収納袋の内部側から外部側へ空気を抜く排気用溝を残してシールし、その後、前記排気用溝をシールすることを特徴とする化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項18】 前記収納袋は、少なくとも空気と反応して発熱する発熱剤を含む発熱組成物を封入して発熱体を構成するための収納袋であることを特徴とする請求項11乃至17の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項19】 前記化学カイロ用収納袋のシール部の外周側に、切り込み部材を用いて開封用ノッチを形成するようにしたことを特徴とする請求項11乃至18の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項20】 前記開封用ノッチの近傍に、或いは、該開封用ノッチを囲繞するように、押し込み部材を用いてノッチ用目印を形成するようにしたことを特徴とする請求項19に記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項21】 前記収納袋は、発熱体を収納するための非通気性収納袋又は前記発熱体を収納した前記非通気性収納袋を収納するためのまとめ収納袋であることを特徴とする請求項11乃至20の何れかに記載の化学カイロ用収納袋の製造方法。
【請求項22】 シール面端部にアールを設けたことを特徴とする化学カイロ用収納袋のシール型。
【請求項23】 前記シール面の断面形状は凹凸形状に形成されていることを特徴とする請求項22に記載の化学カイロ用収納袋のシール型。
【請求項24】 前記模様を構成する凹凸形状の角部にアールを設けたことを特徴とする請求項23に記載の化学カイロ用収納袋のシール型。
【請求項25】 前記シール型のシール部内において、前記シール部の外周側と内周側にそれぞれ別の模様を設けたことを特徴とする請求項22乃至24の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型。
【請求項26】 前記シール型のシール部に、シール時に空気を外部側へ逃がすための排気用溝を設けたことを特徴をする請求項22乃至25の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型。
【請求項27】 前記収納袋は、少なくとも空気と反応して発熱する発熱剤を含む発熱組成物を封入するための通気性収納袋であることを特徴とする請求項22乃至26の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型。
【請求項28】 前記収納袋は、発熱体を収納する非通気性収納袋又は前記発熱体を収納した前記非通気性収納袋を収納するためのまとめ収納袋であることを特徴とする請求項22乃至26の何れかに記載の化学カイロ用収納袋のシール型。
【請求項29】 請求項22乃至28の何れかに記載のシール型を備えることを特徴とする化学カイロ用収納袋の製造装置。
【請求項30】 前記製造装置には、ノッチ形成部材及び/又はノッチ用目印部材及び/又は裁断部材が設けられていることを特徴とする請求項29に記載の化学カイロ用収納袋の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図13】
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【図21】
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【図22】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図25】
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【図28】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2003−205556(P2003−205556A)
【公開日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−5327(P2002−5327)
【出願日】平成14年1月11日(2002.1.11)
【出願人】(000113584)マイコール株式会社 (13)
【Fターム(参考)】