説明

化学機械平坦化後の処理剤として使用される界面活性剤を含有するプロセス溶液

【課題】 CMP処理に続いて半導体基材から処理残留物を除去するためのプロセス溶液、及び該プロセス溶液を使用する方法を提供すること。
【解決手段】 1つ又は複数の界面活性剤を含むプロセス溶液を用いて半導体デバイスの製造における欠陥の数を低減する。いくつかの好ましい実施態様においては、本発明のプロセス溶液は、CMP処理の間又はその後にすすぎ溶液として用いた場合、欠陥を低減することができる。さらに、本発明のプロセス溶液を用いて、複数のCMP処理後の基材上にある欠陥の数を低減する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイス内の相互接続構造の寸法がますます小さくなってきているのに伴い、例えば、キャパシタンス、電力消費量、及びクロスノイズを低減するために、層間絶縁膜、例えば、低誘電率膜が必要となる。低誘電率膜、即ち、誘電率が4.2以下の膜は、例えば、フッ素ドープ型ケイ酸塩ガラス(FSG)、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、有機フルオロ−ケイ酸塩ガラス(OFSG)、高分子材料、例えば、シルセスキオキサン(HSQ、HSiO1.5)、メチルシルセスキオキサン(MSQ, RSiO1.5 (Rはメチル基である))、及び多孔質低誘電率材料を含むがそれらに限定されない材料から成っている。
【0002】
集積回路の製造において、表面の平坦化は重要な処理工程である。超高密度集積回路を製造するのに必要な平坦度を達成するために、化学機械平坦化がしばしば採用される。CMP法の場合、余分な材料の研磨及び除去は、化学的手段と機械的手段との組み合わせによって達成される。典型的なCMP法の場合、研磨パッドを介してウェハー表面を機械的に擦る一方、研磨粒子を含有する化学反応性のスラリーを基材の種々の表面上に流し、そして種々の基材表面を処理中にエッチングすることができる。研磨中の材料の機械的除去及び化学的除去の組み合わせの結果、表面が平坦化される。
【0003】
CMPの欠点の1つは、CMP後洗浄された基材上に、より高い欠陥レベルが観察される場合があることである。本明細書中で用いられる「欠陥」という用語は、半導体デバイスの産出高を低減するおそれのある欠陥、又は半導体デバイスの損失をもたらすおそれのある欠陥、例えば、処理に起因して基材上に導入された粒子、例えば、CMPスラリーからのサブミクロン研磨粒子(例えば、SiO2又はAl2O3);製造プロセスに固有の又は製造プロセスから生じる粒子、例えば、CMP法からの残留物又はCMPスラリーの反応生成物;及びウォーターマーク型欠陥を指す。基材を引き続いて処理する前に汚染を除去することにより、デバイスの信頼性における低下及び欠陥の導入を回避することが必要である。
【0004】
基材を浄化してCMP残滓を除去するための1方法は、1つ又は複数の水性すすぎ液を何らかの形の機械的撹拌と組み合わせることにより、基材表面からスラリーの化学的残留物及び研磨残留物を除去することである。米国特許第5,704,987号明細書(特許文献1)に記載された2工程の研磨法は、非イオン性高分子界面活性剤と第四級水酸化アンモニウムとを含有する塩基性水溶液を第1工程で使用し、そして精製水を第2工程で使用する。欧州特許出願第1,065,708号明細書(特許文献2)に記載されたCMP後洗浄法の場合、ウェハーを界面活性剤含有メガソニック浴にさらす。このメガソニック浴は、除去されるべきスラリーのpHに適合したpHを有している。国際公開番号WO00/14785号パンフレット(特許文献3)に記載された、CMP処理後の有機誘電性表面の洗浄は、機械的又は摩擦性の撹拌と、界面活性剤及びテトラアルキル第四級水酸化アンモニウム化合物を含有する水性アルカリ溶液とを組み合わせることによって行われる。国際公開番号WO00/18523号パンフレット(特許文献4)に記載された、界面活性剤含有溶液を適用することによる疎水性表面の洗浄方法は、化学的なエンハンサーをさらに含むことができ、任意選択で基材を擦り、次いで回転すすぎする。
【0005】
基材表面を浄化してCMP残滓を除去するためのさらに別の方法は、1つ又は複数のCMP後洗浄溶液を用いることである。これらの溶液は典型的には、特定タイプの残留物、例えば、エッチング残留物(即ち、銅、アルミニウム、若しくは金属化層からの他の金属)、又はCMPスラリー残留物(即ち、酸化物又は研磨粒子)と反応し、これを除去するように調整される。米国特許第5,466,389号明細書(特許文献5)に開示された水性アルカリ洗浄用組成物は、金属イオン遊離塩基と、非イオン性界面活性剤と、緩衝剤とを含有し、これにより組成物のpHを8〜10に維持する。米国特許第5,789,360号明細書(特許文献6)に記載されたCMP後洗浄溶液は、0.1%〜99%のリン酸と、0.1%〜25%のフルオロホウ酸とを含有しており、残りは脱イオン水である。米国特許第6,194,366号明細書(特許文献7)に開示されたCMP後洗浄用組成物は、第四級水酸化アンモニウムと、有機アミンと、防蝕剤と、水とを含有している。
【特許文献1】米国特許第5,704,987号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1,065,708号明細書
【特許文献3】国際公開番号WO00/14785号パンフレット
【特許文献4】国際公開番号WO00/18523号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,466,389号明細書
【特許文献6】米国特許第5,789,360号明細書
【特許文献7】米国特許第6,194,366号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CMP後洗浄プロセスに使用される典型的な界面活性剤は、動的湿潤能力に劣る傾向があり、そして発泡傾向が高い。これらの界面活性剤は基材表面上に容易に吸収されるものの、除去するのが難しい場合がある。CMP後洗浄は、優れた動的湿潤能力を備えた界面活性剤を必要とする非常に動的なプロセスである。このことは、疎水性表面、例えば、低k誘電体にとって特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
CMP処理に続いて半導体基材から処理残留物を除去するためのプロセス溶液、及び該プロセス溶液を使用する方法が本明細書で開示される。具体的に、本発明の1つの態様では、半導体デバイスの製造における欠陥を低減する方法であって、基材の少なくとも一部が低誘電率膜を含むCMP処理後の基材を準備し、そして該基材を、式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、(VI)又は(VII):
【化1】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R5は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R10は独立してH又は式
【化2】

で表される基であり;R11は炭素原子数4〜22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であり;Wは水素原子又はアルキニル基であり;X及びYはそれぞれ独立して水素原子又はヒドロキシル基であり;m、n、p及びqはそれぞれ独立して0〜20の数であり;r及びsはそれぞれ独立して2又は3であり;tは0〜2の数であり;jは1〜5の数であり;そしてxは1〜6の数である)の少なくとも1つの界面活性剤を約10ppm〜約500,000ppm含むプロセス溶液と接触させることを含む、半導体デバイスの製造における欠陥を低減する方法が提供される。
【0008】
本発明のこれら及びその他の態様は、以下の詳細な説明により明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
半導体デバイスの製造中に被る欠陥の数を低減するのに使用されるプロセス溶液、及びこれらのプロセス溶液を使用する方法が本明細書で説明される。プロセス溶液中に少量で存在する界面活性剤は、欠損を招くおそれのある粒子、特にはCMP後残滓の除去を助ける。本発明のプロセス溶液は、基材の表面上における溶液の湿潤性を改善することによって、欠陥を低減することができる。幾つかの実施態様、特には疎水性表面、例えば、低k誘電材料を有する基材の場合、これらの界面活性剤の優れた動的湿潤特性及び低い発泡特性は、CMP後の欠陥レベルを低くする助けとなる。さらに、洗浄プロセス後、本明細書に記載した界面活性剤は、比較的短時間のDI水すすぎによって、いかなる残留物も残すことなく表面から除去することができる。
【0010】
プロセス溶剤中の界面活性剤は、発泡を最小限に抑えながら、平衡及び動的表面張力の低減を可能にすることができる。基材は、ストリッピング、CMP、アッシュ洗浄、及び/又はエッチングの工程が完了した後、プロセス溶液で処理することができる。「CMP処理後」という用語は、1つ又は複数の化学機械平坦化工程を施された基材、又はその表面の少なくとも一部を平坦化された基材を表す。
【0011】
本発明の1実施態様においては、プロセス溶液をCMP後すすぎ液として用いると、基材表面上の「ウォーターマーク」欠陥の形成を防ぐこともできる。これに関して、低誘電率材料を含有する表面を備えた基材は、CMP後洗浄工程の際、複合洗浄モジュール内に基材を移行する前に本発明のプロセス溶液で処理することができる。プロセス溶液で処理することによって、疎水性低誘電率表面が、移行プロセス中に「湿潤」状態のままであることが可能になり、従って「ウォーターマーク」タイプの欠陥が低減される。
【0012】
本明細書に開示されたプロセス溶液とともに使用することができる好適な基材としては、半導体材料、例えば、ヒ化ガリウム(「GaAs」)、窒化ホウ素(「BN」)シリコン及びシリコンを含有する組成物、例えば、結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、エピタキシャルシリコン、二酸化ケイ素(「SiO2」)、炭化ケイ素(「SiC」)、オキシ炭化ケイ素(「SiOC」)、窒化ケイ素(「SiN」)、炭窒化ケイ素(「SiCN」)、有機シリカガラス(「OSG」)、有機フルオロケイ酸塩ガラス(「OFSG」)、フルオロケイ酸塩ガラス(「FSG」)、及びその他の適切な基材又はこれらの混合物が挙げられるがそれらに限定されない。基材は、これらに適用された種々の層、例えば、拡散バリア層(例えば、TiN, Ti(C)N, TaN, Ta(C)N, Ta, W, WN, TiSiN, TaSiN, SiCN, TiSiCN, TaSiCN,又はW(C)N)、金属化層(例えば、銅、アルミニウム、これらを含有する合金など)、反射防止コーティング、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔質有機材料、多孔質無機材料及び付加的な金属層、並びに低誘電率層をさらに含むことができる。
【0013】
本発明のプロセス溶液は、キャリヤー相又はキャリヤー媒質として、水性溶剤及び/又は非水性溶剤を有することができる。本明細書中に使用される「水性」という用語は、少なくとも30重量%、好ましくは50重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の水を含む、溶剤又は液体分散媒質を意味する。好ましい水性溶剤は脱イオン水である。プロセス溶液が水性の実施態様においては、少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤が、Langmuir 1986, 2, 428-432に記載された表面張力を測定する最大泡圧法に従って、23℃及び1気泡/秒で、水中濃度5重量%以下で以って45ダイン/cm未満の動的表面張力を示すことが望ましい。前記文献はその参照により全体として本明細書中に含まれる。
【0014】
水性溶剤、例えば、脱イオン水に加えて又はその代わりに非水性溶剤が使用される実施態様では、選択された非水性溶剤は、この中に含有される少なくとも1つの界面活性剤、プロセス溶液中のその他の添加剤、又は基材自体と反応することはない。好適な非水性溶剤としては、炭化水素(例えば、ペンタン又はヘキサン);ハロカーボン(例えば、フレオン113);エーテル(例えば、エチルエーテル(Et2O)、テトラヒドロフラン(「THF」)、エチレングリコールモノメチルエーテル、又は2-メトキシエチルエーテル(ジグリム);ニトリル(例えば、CH3CN);又は芳香族化合物(例えば、ベンゾトリフルオリド)が挙げられるがそれらに限定されない。付加的な非水性溶剤としては、乳酸塩、ピルビン酸塩及びジオールが挙げられる。これらの溶剤は、アセトン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アセトン、1-メチル-2-ピロジジアノン(NMP)、メチルエチルケトンを含むことができるがそれらに限定されない。非水性溶剤のなお更なる例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、グリセロール及びその誘導体、ナフタレン及びその置換型、無水酢酸、プロピオン酸及び無水プロピオン酸、ジメチルスルホン、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、フェノール、m-クレゾール、ジメチルスルホキシド、ジフェニルエーテル、テルフェニル、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)、メタノール、エタノール、3-ヘプタノール、2-メチル-1-ペンタノール、5-メチル-2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-ヘキサノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコール、イソプロピルアルコール(IPA)、n-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(PGBE)、1-ブトキシ-2-プロパノール、2-メチル-3-ペンタノール、2-メトキシエチルアセテート、2-ブトキシエタノール、2-エトキシエチルアセトアセテート、1-ペンタノール及びプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。上記に列挙した非水性溶剤は単独で、又は2つ以上の溶剤との組み合わせて使用することができる。
【0015】
いくつかの実施態様においては、プロセス溶液は、水性溶剤中で混和性であるか又は水混和性の少なくとも1つの非水性溶剤を含有することができる。これらの実施態様においては、プロセス溶液中の非水性溶剤の量は、約1〜約50重量%であることができ、プロセス溶液中の溶剤の残りは水性溶剤を含む。水混和性非水性溶剤の例は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びTHFを含む。
【0016】
本発明の溶液は、構造式I〜VIIによって表される少なくとも1つの界面活性剤を10ppm〜500,000ppm含む。典型的な界面活性剤は、両親媒性の性質を示す。両親媒性の性質とは、界面活性剤が同時に親水性かつ疎水性であることができることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対して強親和性の1つ又は複数の親水性頭部基と、有機親和性であって水をはじく長い疎水性末端基とを有する。本発明に使用される少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤は、イオン性(即ち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であることができる。
【0017】
本発明のいくつかの実施態様においては、プロセス溶液はアセチレン系ジオール誘導体である1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含有することができる。本発明の界面活性剤は、下記式I又はII:
【化3】

によって表すことができ、式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル鎖であり;R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル鎖であり;そしてm、n、p及びqはそれぞれ独立して0〜20の数である。これらの界面活性剤は、本発明の譲受人であるペンシルバニア州、アレンタウンのアプロダクツ・アンド・ケミカルズ社から、商品名SURFYNOL(登録商標)及びDYNOL(登録商標)で商業的に入手可能である。いくつかの好ましい実施態様においては、式I又はIIの分子のアセチレン系ジオール部分は、2,4,5,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール又は2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオールである。アセチレン系ジオール誘導型界面活性剤は、例えば、米国特許第6,313,182号明細書及び欧州特許第1115035号明細書に記載された方法を含む複数の方法で調製することができる。これらの明細書は本発明の譲受人に譲渡されたものであり、その参照により全体として本明細書に含まれる。
【0018】
式I及びIIにおいて、(OC2H4)で表されるアルキレンオキシド部分は、(n+m)個の重合エチレンオキシド(EO)モル単位であり、(OC3H6)で表される部分は(p+q)個の重合プロピレンオキシド(PO)モル単位である。(n+m)の値は0〜30、好ましくは1.3〜15、より好ましくは1.3〜10であることができる。(p+q)の値は0〜30、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜2であることができる。
【0019】
本発明のいくつかの好ましい実施態様においては、プロセス溶液は、下記式(III)〜(VII):
【化4】

によって表される少なくとも1つの界面活性剤を10〜500,000ppm含有し、上記式のそれぞれにおいて、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R5は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R10は独立してH又は式
【化5】

によって表される基であり;R11は炭素原子数4〜22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であり;Wは水素原子又はアルキニル基であり;X及びYは水素原子又はヒドロキシル基であり;r及びsはそれぞれ独立して2又は3であり;tは0〜2の数であり;jは1〜5の数であり;そしてxは1〜6の数である。式IIIの界面活性剤の例としては、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノールが挙げられるがそれらに限定されない。式IVaの界面活性剤の例としては、N,N'-ビス(1,3-ジメチルブチル)エチレンジアミンが挙げられるがそれに限定されない。式Vの界面活性剤の例としては、酒石酸ジイソペンチルが挙げられるがそれに限定されない。式VIの界面活性剤の例としては、2,4,7,9-テトラメチル-4,7-デカンジオールが挙げられるがそれに限定されない。式VIIの界面活性剤の例としては、ジエチレントリアミンとn-ブチルグリシジルエーテルの付加物が挙げられるがそれに限定されない。
【0020】
プロセス溶液は任意選択で分散剤を含有することができる。プロセス溶液に添加される分散剤の量は、約10〜約500,000ppm、好ましくは約10〜約5,000ppm、より好ましくは約10〜約1,000ppmである。本明細書で使用される分散剤という用語は、粒子、例えば、ダスト、処理残留物、炭化水素、金属酸化物、顔料、又はプロセス溶液中の他の汚染物の分散を促進する化合物を意味する。本発明に適した分散剤の数平均分子量の範囲は、好ましくは約10〜約500,000である。
【0021】
分散剤はイオン性又は非イオン性化合物であることができる。イオン性又は非イオン性化合物は、コポリマー、オリゴマー又は界面活性剤を単独又は組み合わせてさらに含むことができる。本明細書で使用されるコポリマーという用語は、2つ以上の高分子化合物から成るポリマー化合物、例えば、ブロック・コポリマー、スター・コポリマー又はグラフト・コポリマーを指す。非イオン性コポリマー分散剤の例としては、トリ-ブロックEO-PO-EOコポリマーPLURONIC(登録商標)L121, L123, L31, L81, L101及びP123(BASF社)などの
高分子化合物が挙げられる。本明細書で使用されるオリゴマーという用語は、数個のモノマー単位だけから成るポリマー化合物を指す。イオン性オリゴマー分散剤の例としては、SMA(登録商標)1440及び2625オリゴマー(Elf Alfochem)が挙げられる。
【0022】
あるいはまた、分散剤は界面活性剤を含むことができる。分散剤が界面活性剤を含む場合、界面活性剤はイオン性(即ち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であることができる。界面活性剤の更なる例は、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤を含む。プロセス溶液中に使用するのに適した非イオン性界面活性剤としては、オクチル及びノニルフェノールエトキシレート(例えば、TRITON(登録商標)X-114, X-102, X-45, X-15)並びにアルコールエトキシレート(例えば、BRIJ(登録商標)56(C16H33(OCH2CH2)10OH)(ICI)、BRIJ(登録商標)58(C16H33(OCH2CH2)20OH)(ICI))が挙げられるがそれらに限定されない。なお更なる例示的な界面活性剤としては、アルコール(第1級及び第2級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)、又は参考文献「McCutcheon's Emulsifiers and Detergents」(ニュージャージー州、グレンロックのManufacturers Confectioners Publishing Co.刊、2000年北米版)において提供される他の界面活性剤が挙げられる。
【0023】
プロセス溶液は、溶液の約0.01〜10重量%の量で存在する少なくとも1つの塩基を含むことができる。本明細書で使用される「塩基」という用語は、酸性プロトンを除去することができる任意の化合物であり、例えば、第四級アンモニウム、アミン、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシド、金属アミド、有機リチウム又は有機マグネシウム化合物を含むがそれらに限定されない。塩基の例としては、水酸化アンモニウム、水酸化アルキルアンモニウム又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
プロセス溶液は、溶液の約0.01〜10重量%の量で存在する少なくとも1つの酸を含むことができる。酸の例としては、硫酸、塩酸(HCl)、クエン酸、ホスホン酸、カルボン酸又はフッ化水素酸(HF)が挙げられる。
【0025】
プロセス溶液は、溶液の約0.1〜10重量%の量で存在する少なくとも1つの酸化剤を含むことができる。酸化剤の例としては、過酸化水素(H2O2)、尿素過酸化水素塩、過酸化尿素又はオゾンが挙げられる。
【0026】
本発明のプロセス溶液は、溶液の約10ppm〜5重量%の量で存在する少なくとも1つのキレート剤を含むことができる。キレート剤のいくつかの限定的でない例としては、下記の有機酸並びにその異性体及び塩がある:(エチレンジニトリロ)四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、シクロヘキサン-1,2-ジアミン四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N',N'-エチレンジアミン四(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、クエン酸、酒石酸、フタル酸、グルコン酸、糖酸、カテコール、没食子酸、ピロガロール、没食子酸プロピル、グリセリン酸、シュウ酸、マレイン酸、リン酸、及びこれらの組み合わせ。さらに他のキレート剤は、システイン、β-ジケトン(例えば、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、テノイルトリフルオロアセトン又はヘキサフルオロアセチルアセトン)、オキシン(例えば、8-ヒドロキシキノリン)、第三級アミン(例えば、2-アセチルピリジン)、ニトリル(例えば、エチレンシアノヒドリン)、β-ケトイミン、カテコール、コリン含有化合物、無水トリフルオロ酢酸、オキシム(例えば、ジメチルグリオキシム)、ジチオカルバメート(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ジチオカルバメート)、テルピリジン、エチレンシアノヒドリン、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸、及びこれらの組み合わせを含む。
【0027】
本発明のプロセス溶液は、溶液の約10ppm〜5重量%の量で存在する少なくとも1つの防蝕剤を含むことができる。防蝕剤のいくつかの限定的でない例としては、ベンゾトリアゾール(BTA)及びこれらの誘導体、例えば、ブリアゾール及びトリトリアゾール;アスコルビン酸、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、L(+)-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、及びアスコルビン酸誘導体が挙げられる。
【0028】
プロセス溶液には様々な他の添加剤を任意選択で添加することができる。これらの添加剤としては、安定剤、溶解助剤、着色剤、湿潤剤、消泡剤、緩衝剤及び他の付加的な界面活性剤が挙げられるがそれらに限定されない。概して、別段の断りがない限り、これらの添加剤のそれぞれの量は、プロセス溶液の総重量を基準として、約0.0001〜1重量%、より好ましくは約0.0001〜0.1重量%となる。プロセス溶液に1つ又は複数の付加的な界面活性剤を添加する実施態様においては、界面活性剤は、本明細書で開示される界面活性剤、又は参考文献「McCutcheon's Emulsifiers and Detergents」に提供される界面活性剤のいずれかであることができる。
【0029】
本発明の1つの実施態様においては、プロセス溶液は、少なくとも1つの塩基を0.01〜10重量%;少なくとも1つの酸化剤を0.1〜10重量%;少なくとも1つのキレート剤を0〜5重量%;少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤を10〜500,000ppm含み、そして残りは溶剤である。別の実施態様においては、プロセス溶液は、希釈HFを0.01〜10重量%;少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤を10〜500,000ppm含み、そして残りは溶剤である。更なる実施態様においては、プロセス溶液は、クエン酸又はリン酸などの酸及びH2O2などの酸化剤(この中に含まれる酸及び酸素の量は0.01〜20重量%である);任意選択で少なくとも1つのキレート剤を10ppm〜10重量%;及び少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤を10〜500,000ppm含み、そして残りは溶剤である。別の実施態様においては、プロセス溶液は、電解イオン化水などの水性溶剤と、10〜500,000ppmの少なくとも1つの式I〜VII界面活性剤とを含む。
【0030】
本発明のプロセス溶液は、少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤と、1つ又は複数の水性及び/又は非水性溶剤並びに任意の付加的な添加剤とを混合することにより調製することができる。いくつかの実施態様においては、混合を約40〜60℃の温度範囲で行うことにより、溶液中に含まれる成分の溶解に影響を及ぼすことができる。結果として得られたプロセス溶液を任意選択で濾過することにより、基材に対して潜在的に有害であり得る如何なる未溶解粒子も除去することができる。
【0031】
プロセス溶液は、調製済溶液として基材の表面に適用されることが好ましい。他の実施態様においては、プロセス溶液は、基材表面との接触直前又は接触中に、すすぎ液流中で調製することができる。例えば、所定量の1つ又は複数の式I〜VIIの界面活性剤を、任意選択で他の添加剤を含む水性溶媒及び/又は非水性溶媒の連続流中に注入し、これによりプロセス溶液を形成することができる。本発明のいくつかの実施態様においては、プロセス溶液の適用後に、少なくとも1つの式I〜VII界面活性剤の一部を基材に添加することができる。この場合、基材の処理中にプロセス溶液を複数の工程で形成することができる。
本発明のさらに他の実施態様においては、少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤は、高表面積デバイス、例えば、カートリッジ又はフィルターの材料(他の添加剤を含んでも含まなくてもよい)上に堆積させるか又はこの材料を含むこともできる。次いで、水性溶剤流及び/又は非水性溶剤流がカートリッジ又はフィルターを通り、これによりプロセス溶液が形成される。本発明のさらに別の実施態様においては、プロセス溶液は接触工程中に調製される。これに関して、少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤は、スポイト又はその他の手段を介して基材表面に導入される。次いで、水及び/又は非水性溶媒が基材表面に導入され、基材表面上で少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤と混ざり合い、これによりプロセス溶液が形成される。
【0032】
本発明の他の実施態様においては、少なくとも1つの式I〜VIIの界面活性剤を含む濃縮組成物が提供される。濃縮組成物を水性溶剤及び/又は非水性溶剤中に希釈することによりプロセス溶液を提供することができる。本発明の濃縮組成物又は「濃縮物」は、これを所望の強度又はpHに希釈することができる。これらの実施態様においては、濃縮組成物は、定量ポンプ、3方向弁、及び/又は1つ若しくは複数の溶剤を添加して濃縮組成物を希釈するための類似の手段を用いることによりプロセス溶液にすることができる。
【0033】
プロセス溶液を基材表面と接触させる際には、種々の手段を用いることができる。接触工程の実際の条件(即ち、温度、時間など)は、広い範囲にわたって変動することがあり、種々のファクター、例えば、基材表面上の除去されるべき材料の性質及び量、化学溶液による材料の除去速度、基材のトポグラフィ、基材表面の疎水性又は親水性など、しかしそれらに限定されない種々のファクターに一般に左右される。
【0034】
接触工程は、動的方法、静的方法又はこれらの組み合わせにおいて実施することができる。プロセス溶液は、動的方法、例えば、連続プロセスにおいて基材表面上に噴霧することができるか、又は静的方法において表面上に噴霧してその場所に残しておくこともできる。いくつかの実施態様においては、動的接触工程は、基材を撹拌しながら実施することができる。この撹拌は、種々の手段、(例えば、電気機械的又は機械的)振動、超音波運動、脈動、音波運動、メガソニック運動、音響運動、遠心運動及びこれらの組み合わせなど、しかしそれらに限定されない種々の手段によって実施することができる。さらには、研磨パッド及びブラシなどのような装置を使用して、CMP処理後の残滓を除去するのをさらに助けることができる。他の実施態様においては、接触工程は、静的方法、例えば、液だまり中でのすすぎ又はプロセス溶液を含有する浴中での基材の浸漬などにおいて行うことができる。接触工程の時間又はプロセス溶液と基材表面との接触時間は、一瞬から数百秒まで様々であることができる。この時間は1〜200秒、好ましくは1〜150秒、より好ましくは1〜60秒であることができる。接触工程のための温度範囲は10〜100℃、より好ましくは10〜40℃であることができる。
【0035】
プロセス溶液をまだ湿っている基材表面に適用することが好ましい。好ましい実施態様においては、例えば、プロセス溶液は、CMP処理後にすすぎ溶液として用いられる。CMP処理後、脱イオン水のすすぎ液に加えて又はその代わりに、プロセス溶液をすすぎ液として基材表面に適用する。基材がCMPスラリー及び/又は脱イオン水でまだ湿っている間に、プロセス溶液を動的又は静的に適用することができる。投与の際、例えば100回転/分(「rpm」)の速度で基材をゆっくりと回転させ、これにより基材表面全体にわたってプロセス溶液を分配する。動的プロセスについては、プロセス溶液を基材上に連続的に投与しながら、基材をゆっくりと回転させる。液だまりプロセスのような静的プロセスについては、基材を短時間、例えば15秒間にわたって静止させておく。プロセス溶液によるすすぎ工程が完了した後、次いで、すすぎ済のウェハーを、例えば、より速いrpmでの回転乾燥により乾燥させる。
【0036】
本発明は以下の例を参照してより詳細に説明されるが、本発明はこれらの例には限定されないと解されるべきである。
【実施例】
【0037】
以下の例においては、別段の断りがない限り、Wafernet社製でかつその上に低誘電体膜を堆積させたシリコンウェハーから特性を得た。低k膜は、化学気相成長(CVD)又はスピン・オン法によって堆積させた。
【0038】
接触角の測定値は、液滴法を用いて、ノースカロライナ州、シャルロットのKruss USAにより提供されたG10/DSA10 Kruss 液滴形状分析器によって測定した。液滴法においては、低誘電体膜をコーティングした基材表面上の局在化領域の湿潤特性は、脱イオン水又はプロセス溶液の液滴のベースラインと、液滴基部の接線との間の接触角を測定することにより評価する。高速度カメラによって、2分間にわたって1秒当たり2コマの速度で液滴の広がりを捉え、そして接触角を測定した。
【0039】
SCI Filmtek 2000 反射率計によって屈折率の測定値を得た。Hgプローブ技術を用いて誘電率を測定した。
【0040】
[例1a〜1c:プロセス溶液による処理後の接触角]
2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(m+n=5, p+q=2)(式II)から誘導された種々の量の界面活性剤を含有するプロセス溶液を以下のようにして調製した。種々の量の界面活性剤とDI水とをメスフラスコ内に装入して室温で100mlのレベルにした。界面活性剤が溶解するまで混合物を撹拌し、プロセス溶液を形成した。例1a, 1b及び1cのプロセス溶液中の界面活性剤量を表1に示す。
【0041】
低誘電体をコーティングしたウェハー上に、ウェハーを300rpmで回転させながら、1分間にわたって連続的にプロセス溶液を投与した。ウェハーを乾燥させた後、次いで、ウェハー表面上の水滴の接触角を測定した。比較として、脱イオン水の液滴をプロセス溶液と同じようにしてウェハー上に投与した。表1は、種々の濃度のプロセス溶液(例1a〜1c)及び脱イオン水(比較例1)に関する接触角の値を、液滴発生からの種々異なる時間(秒)で示す。
【0042】
一般に、約70°以上の接触角では、基材表面が非常に疎水性であると示すことができるのに対し、約50°以下の接触角では、表面が比較的親水性であると示すことができる。表1に示す通り、本発明のプロセス溶液で処理した基材の接触角は、DI水単独で処理した基材の接触角よりも小さく、従ってより親水性である。さらに、プロセス溶液中の界面活性剤量が多くなると、より多くの界面活性剤の吸着をもたらし、湿潤を改善することができる。
【0043】
【表1】

【0044】
[例2a〜2c:プロセス溶液による処理後の接触角]
2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(m+n=5, p+q=2)(式II、例2a)、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(m+n=10)(式I、例2b)、酒石酸ジイソペンチル(式V、例2c)から誘導された種々の界面活性剤から成るプロセス溶液を、例1a〜1cで記載したように調製した。プロセス溶液又は脱イオン水の測定量をウェハー上に、ウェハーを約1分間にわたって100rpmで連続的に回転させながら投与した。ウェハーを乾燥させた後、ウェハー表面上にプロセス溶液の液滴を投与し、種々の時間の間隔後に基材表面上のプロセス溶液の接触角を測定した。これらの測定値を表2に示す。
【0045】
より小さい接触角は、プロセス溶液のより強い湿潤能力を表す。さらに、20°よりも小さな接触角は表面の完全な湿潤を示す。この例において、プロセス溶液、特に例2aは、DI水単独による処理、即ち、比較例2と比較した場合に、疎水性の低誘電率表面上における速やかでかつ促進された湿潤を可能とした。本発明のプロセス溶液の優れた湿潤特性によって、洗浄プロセスの際、表面からの残留物及び粒子の除去を効果的に促進することができる。本発明のプロセス溶液によって、ウォーターマーク型欠陥の量を低減することができる。
【0046】
【表2】

【0047】
[例3:プロセス溶液による処理後の水浴中の浸漬−表面疎水性の変化]
先の例2a, 2b及び2cで記載したようにプロセス溶液で基材を処理し、次いで、この基材を水浴中で60秒間にわたって浸漬した。低誘電率膜の表面上の水滴の接触角を測定し、これらの結果を表3に示す。
【0048】
比較例3は、プロセス溶液による処理の代わりにDI水を使用した以外は、先の段落で記載したのと同じ方法で処理した後の低k膜上の水の接触角を示す。ウェハー表面からの接触角の僅かな減少は、このプロセスだけに由来する表面疎水性の僅かな変化を示す。
【0049】
表3は、水浴中に60秒間にわたって基材を浸漬した後、界面活性剤を含有するプロセス溶液が低誘電率表面から洗い流されたことを示す。低誘電率表面は再び非常に疎水性となる。プロセス溶液は、非常に速く動的に表面を湿潤するが、単純な浸漬などの静的方法でも容易に表面から除去することができる。このことはまた、膜の誘電率を測定することにより確認された。表4に示すように、プロセス溶液による処理及びこれに続くDI水浴中の浸漬は、膜の誘電率を変化させることはなかった。
【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
本発明は特定の例を参照して詳細に説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の変更及び改良を行うことができることは当業者にとって明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの製造中の欠陥を低減する方法であって、
基材の少なくとも一部が低誘電率膜を含むCMP処理後の基材を準備し;そして
該基材を、式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、(VI)又は(VII):
【化1】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R5は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R10は独立してH又は式
【化2】

で表される基であり;R11は炭素原子数4〜22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であり;Wは水素原子又はアルキニル基であり;X及びYはそれぞれ独立して水素原子又はヒドロキシル基であり;m、n、p及びqはそれぞれ独立して0〜20の数であり;r及びsはそれぞれ独立して2又は3であり;tは0〜2の数であり;jは1〜5の数であり;そしてxは1〜6の数である)の少なくとも1つの界面活性剤を約10ppm〜約500,000ppm含むプロセス溶液と接触させること(接触工程)を含む、半導体デバイスの製造中の欠陥を低減する方法。
【請求項2】
前記プロセス溶液が少なくとも1つの酸をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセス溶液が少なくとも1つの塩基をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセス溶液が少なくとも1つの酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセス溶液が少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセス溶液が少なくとも1つの防蝕剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセス溶液が、安定剤、溶解助剤、着色剤、湿潤剤、消泡剤、緩衝剤、第2の界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択された添加剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接触工程が動的すすぎを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プロセス溶液が、最大泡圧法に従って、23℃及び1気泡/秒で約45ダイン/cm2以下の動的表面張力を示す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセス溶液が、60秒を超える時点で実質的にゼロ個の泡を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
半導体デバイスの製造中の欠陥を低減する方法であって、
基材の表面の少なくとも一部が低誘電率膜を含むCMP処理後の基材を準備し;
該基材を、少なくとも1つの溶剤と、式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、(VI)又は(VII):
【化3】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R5は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R10は独立してH又は式
【化4】

で表される基であり;R11は炭素原子数4〜22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であり;Wは水素原子又はアルキニル基であり;X及びYはそれぞれ独立して水素原子又はヒドロキシル基であり;m、n、p及びqはそれぞれ独立して0〜20の数であり;r及びsはそれぞれ独立して2又は3であり;tは0〜2の数であり;jは1〜5の数であり;そしてxは1〜6の数である)を有する10ppm〜約500,000ppmの少なくとも1つの界面活性剤とを含むプロセス溶液と接触させ(接触工程);そして
該基材を脱イオン水のすすぎ液ですすぐことを含む、半導体デバイスの製造中の欠陥を低減する方法。
【請求項12】
前記接触工程が動的すすぎを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接触工程が静的すすぎを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記接触工程の前記基材表面が、前記脱イオン水のすすぎ液で濡れている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記溶剤が水性溶剤を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記溶剤が、前記水性溶剤中で混和性である非水性溶剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロセス溶液が、前記溶剤に前記少なくとも1つの界面活性剤を10〜500,000ppm注入することにより形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
プロセス流が、前記基材表面上に前記少なくとも1つの界面活性剤を10〜500,000ppm適用すること、及び前記基材表面に前記溶剤を適用することにより形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記プロセス流が、前記少なくとも1つの界面活性剤を含むカートリッジに前記溶剤を通すことにより形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記プロセス流が、前記少なくとも1つの界面活性剤を前記少なくとも1つの溶剤で希釈することにより形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記接触工程の時間が1〜200秒である、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記接触工程の時間が1〜150秒である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記接触工程の時間が1〜40秒である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記接触工程の少なくとも1つの温度が10〜100℃である、請求項11に記載の方法。
【請求項25】
基材表面の少なくとも一部が低誘電率膜を含むCMP処理後の基材を処理するためのプロセス溶液であって、水性溶剤、非水性溶剤及びこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つのキャリヤー媒質と、式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、(VI)又は(VII):
【化5】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R5は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R10は水素原子又は式
【化6】

で表される基であり;R11は炭素原子数4〜22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であり;Wは水素原子又はアルキニル基であり;X及びYはそれぞれ独立して水素原子又はヒドロキシル基であり;m及びnはそれぞれ独立して0〜20の数であり;r及びsはそれぞれ独立して2又は3であり;tは0〜2の数であり;jは1〜5の数であり;そしてxは1〜6の数である)の界面活性剤から成る群より選択された少なくとも1つの界面活性剤とを含む、プロセス溶液。
【請求項26】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が水性溶剤を含む、請求項25に記載のプロセス溶液。
【請求項27】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が非水性溶剤を含む、請求項25に記載のプロセス溶液。
【請求項28】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が水性溶剤であり、前記少なくとも1つの界面活性剤が、以下の式(III):
【化7】

(式中、R1は炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R5は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;Wは水素原子又はアルキニル基であり;tは0〜2の数である)の界面活性剤である、請求項25に記載のプロセス溶液。
【請求項29】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が水性溶剤であり、前記少なくとも1つの界面活性剤が、以下の式(IVa):
【化8】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;r及びsはそれぞれ独立して2又は3である)の界面活性剤である、請求項25に記載のプロセス溶液。
【請求項30】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が水性溶剤であり、前記少なくとも1つの界面活性剤が、以下の式(IVb):
【化9】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;rは2又は3である)の界面活性剤である、請求項25に記載のプロセス溶液。
【請求項31】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が水性溶剤であり、前記少なくとも1つの界面活性剤が、以下の式(V):
【化10】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;X及びYはそれぞれ独立して水素原子又はヒドロキシル基である)の界面活性剤である、請求項25に記載のプロセス溶液。
【請求項32】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が水性溶剤であり、前記少なくとも1つの界面活性剤が、以下の式(VI):
【化11】

(式中、R1及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数3〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり;m及びnはそれぞれ独立して0〜20の数であり;jは1〜5の数である)の界面活性剤である、請求項25に記載のプロセス溶液。
【請求項33】
前記少なくとも1つのキャリヤー媒質が水性溶剤であり、前記少なくとも1つの界面活性剤が、以下の式(VII):
【化12】

(式中、R10は水素原子又は式
【化13】

で表される基であり;R11は独立して炭素原子数4〜22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であり;r及びsはそれぞれ独立して2又は3であり;xは1〜6の数である) の界面活性剤である、請求項25に記載のプロセス溶液。

【公開番号】特開2009−21609(P2009−21609A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−189176(P2008−189176)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【分割の表示】特願2004−305708(P2004−305708)の分割
【原出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】