説明

化粧板取付構造および化粧板取付器具

【課題】化粧板と化粧板取付具との隙間の防水性を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できる取付構造を提供する。
【解決手段】取付面に取り付けられる化粧板と、前記取付面に前記化粧板を支持する化粧板取付具と、を備える化粧板取付構造であって、前記化粧板取付具は、前記化粧板の下部を支持する第1の化粧板支持部材と、を有しており、前記第1の化粧板支持部材は、前記化粧板を挟持する化粧板挟持部と、前記化粧板挟持部に固定され第1の化粧板支持部材内部に水が侵入することを防止する止水部と、からなり、前記止水部は、弾性シール部材と、前記弾性シール部材の表面に積層され、前記化粧板に接する部分に形成された滑性表面層と、から形成されることを特徴とする化粧板取付構造が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般に、化粧板の取付構造または化粧板取付構造に関する発明であって、詳しくは化粧板と化粧板取付具との隙間の防水を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できる構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、鏡をベース板の表面に固定するために受具が用いられていた。(例えば、下記特許文献参照)従来の受具は、受具の内側と板材の表面との間に隙間が生じ、水が溜まることによって、カビが発生したり、汚れが手の届かない場所に沈着するという課題を解決するために、受具の先端縁に板材の表面と接して水が板材の下側に浸入することを防止するための軟質のエッジ部を軟質の合成樹脂で一体成形するというものであった。
【特許文献1】特開2001−231671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来の受具では、水が板材の下側に侵入することを防止するために軟質の合成樹脂のみを使用しているため、板材と軟質の合成樹脂との摩擦係数が大きく、板材の着脱の際に大きな力が必要であり取付けが容易でなく、場合によっては、取付けの際に軟質の合成樹脂の十分な圧縮変形が得られず、板材と軟質の合成樹脂の間に隙間が生じてしまい、十分な防水機能を得られないこともある。さらに、板材と軟質の合成樹脂の間に隙間が生じていると気付いた時には取付けた板材を取り外し、再度注意して板材をはめ込む作業が必要であった。従来の受具には、板材を取付ける際の板材と軟質の合成樹脂との摩擦係数が大きいことに起因する課題があった。
【0004】
そこで、本発明の態様では、化粧板と化粧板取付具との隙間の防水性を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できる取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態においては、取付面に取り付けられる化粧板と、前記取付面に前記化粧板を支持する化粧板取付具と、を備える化粧板取付構造であって、前記化粧板取付具は、前記化粧板の下部を支持する第1の化粧板支持部材と、を有しており、前記第1の化粧板支持部材は、前記化粧板を挟持する化粧板挟持部と、前記化粧板挟持部に固定され第1の化粧板支持部材内部に水が侵入することを防止する止水部と、からなり、前記止水部は、弾性シール部材と、前記弾性シール部材の表面に積層され、前記化粧板に接する部分に形成された滑性表面層と、から形成されることを特徴とする。また、本発明の一実施形態においては、取付面に取り付けられる化粧板を支持する化粧板取付具を備える化粧板取付器具であって、前記化粧板取付具は、前記化粧板の下部を支持する第1の化粧板支持部材と、を有しており、前記第1の化粧板支持部材は、前記化粧板を挟持する化粧板挟持部と、前記化粧板挟持部に固定され第1の化粧板支持部材内部に水が侵入することを防止する止水部と、からなり、前記止水部は、弾性シール部材と、前記弾性シール部材の表面に積層され、前記化粧板に接する部分に形成された滑性表面層と、から形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の態様によれば、化粧板と化粧板取付具との隙間の防水を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できる構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態を説明するに先立って、本発明の作用効果について説明する。
【0008】
また、第1の発明は、取付面に取り付けられる化粧板と、前記取付面に前記化粧板を支持する化粧板取付具と、を備える化粧板取付構造であって、前記化粧板取付具は、前記化粧板の下部を支持する第1の化粧板支持部材と、を有しており、前記第1の化粧板支持部材は、前記化粧板を挟持する化粧板挟持部と、前記化粧板挟持部に固定され第1の化粧板支持部材内部に水が侵入することを防止する止水部と、からなり、前記止水部は、弾性シール部材と、前記弾性シール部材の表面に積層され、前記化粧板に接する部分に形成された滑性表面層と、から形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明の一様態によれば、カビの発生を防止し、汚れが手の届かない場所に沈着しないように、化粧板と化粧板取付具との隙間の防水性を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できる構造を提供することができる。十分な防水性を得るために止水部を圧縮等して変形させる必要がある。しかし、止水部に弾性シール部材だけを用いた場合では、化粧板と弾性シール部材との摩擦係数が大きく、化粧板の着脱の際に大きな力が必要であり取付が容易でない。また、場合によっては、取付けの際に軟質の合成樹脂の十分な圧縮変形が得られず、化粧板と軟質の合成樹脂の間に隙間が生じてしまい、十分な防水機能を得られないこともある。このように、圧縮変形可能な弾性シール部材は摩擦力が大きく、摩擦力を下げようとすると軟質性が失われ、弾性シール部材と摩擦力とはトレードオフの関係にある。今回、摩擦力を低減させるために弾性シール部材の表面をコーティングすることによって、軟質性と滑性を両立させることが可能となり、化粧板と化粧板取付具との隙間の防水性を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できるようになった。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記化粧板挟持部は、前記取付面に対して前記第1の化粧板支持部材を固定する第1の固定部と、前記第1の固定部の下端から手前側に突出し前記化粧板を支持する下面部と、前記下面部の前記化粧板に対して手前側が上方へ折曲される第1の前面部と、前記化粧板に押圧をかける押圧部と、からなり、前記止水部は、前記第1の前面部の裏側に固定されることを特徴とする。
【0011】
本発明の一様態によれば、第1の前面部の裏側に固定される止水部と、化粧板に押圧をかける押圧部と、を備えることにより、軟質の合成樹脂の十分な圧縮変形が得られ、取付けの際に化粧板と軟質の合成樹脂の間に隙間が生じなく、より十分な防水機能を得ることができる。
【0012】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記化粧板取付具は、前記化粧板の上部を支持する第2の化粧板支持部材と、を有しており、前記化粧板は、前記第1の化粧板支持部材と、前記第2の化粧板支持部材と、により前記取付面に取り付けられることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様によれば、第1の化粧板支持部材と、第2の化粧板支持部材と、を備えることにより、化粧板の着脱を容易に行うことができる。
【0014】
また、第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、前記第2の化粧板支持部材は、前記取付面に対して前記第2の化粧板支持部材を固定する第2の固定部と、前記第2の固定部の上端から手前側に突出する上面部と、前記上面部の先端が下方へ折曲される第2の前面部と、からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様によれば、第2の化粧板支持部材が、第2の固定部と、上面部と、第2の前面部と、を備えることにより、化粧板の着脱をより容易に行うことができる。
【0016】
また、第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、前記弾性シール部材は熱可塑性エラストマーで形成されることを特徴とする。
【0017】
本発明の一様態によれば、弾性シール部材に熱可塑性エラストマーを使用することにより、化粧板支持部材、止水部、表面コーティングを一体で同時成形できるため、安価に生産することができる。
【0018】
第6の発明は、取付面に取り付けられる化粧板を支持する化粧板取付具を備える化粧板取付器具であって、前記化粧板取付具は、前記化粧板の下部を支持する第1の化粧板支持部材と、を有しており、前記第1の化粧板支持部材は、前記化粧板を挟持する化粧板挟持部と、前記化粧板挟持部に固定され第1の化粧板支持部材内部に水が侵入することを防止する止水部と、からなり、前記止水部は、弾性シール部材と、前記弾性シール部材の表面に積層され、前記化粧板に接する部分に形成された滑性表面層と、から形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様によれば、カビの発生を防止し、汚れが手の届かない場所に沈着しないように、化粧板と化粧板取付具との隙間の防水性を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できる構造を提供することができる。十分な防水性を得るために止水部を圧縮等して変形させる必要がある。しかし、止水部に弾性シール部材だけを用いた場合では、化粧板と弾性シール部材との摩擦係数が大きく、化粧板の着脱の際に大きな力が必要であり取付が容易でない。また、場合によっては、取付けの際に軟質の合成樹脂の十分な圧縮変形が得られず、化粧板と軟質の合成樹脂の間に隙間が生じてしまい、十分な防水機能を得られないこともある。このように、圧縮変形可能な弾性シール部材は摩擦力が大きく、摩擦力を下げようとすると軟質性が失われ、弾性シール部材と摩擦力とはトレードオフの関係にある。今回、摩擦力を低減させるために弾性シール部材の表面をコーティングすることによって、軟質性と滑性を両立させることが可能となり、化粧板と化粧板取付具との隙間の防水性を確保すると共に、化粧板を容易に着脱できるようになった。
【0020】
また、第7の発明は、第6の発明において、前記化粧板挟持部は、前記取付面に対して前記第1の化粧板支持部材を固定する第1の固定部と、前記第1の固定部の下端から手前側に突出し前記化粧板を支持する下面部と、前記下面部の前記化粧板に対して手前側が上方へ折曲される第1の前面部と、前記化粧板に押圧をかける押圧部と、からなり、前記止水部は、前記第1の前面部の裏側に固定されることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様によれば、第1の前面部の裏側に固定される止水部と、化粧板に押圧をかける押圧部と、を備えることにより、軟質の合成樹脂の十分な圧縮変形が得られ、取付けの際に化粧板と軟質の合成樹脂の間に隙間が生じなく、より十分な防水機能を得ることができる。
【0022】
また、第8の発明は、第6または第7の発明において、前記化粧板取付具は、前記化粧板の上部を支持する第2の化粧板支持部材と、を有しており、前記化粧板は、前記第1の化粧板支持部材と、前記第2の化粧板支持部材と、により前記取付面に取り付けられることを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様によれば、第1の化粧板支持部材と、第2の化粧板支持部材と、を備えることにより、化粧板の着脱を容易に行うことができる。
【0024】
また、第9の発明は、第6乃至第8のいずれか1つの発明において、前記第2の化粧板支持部材は、前記取付面に対して前記第2の化粧板支持部材を固定する第2の固定部と、前記第2の固定部の上端から手前側に突出する上面部と、前記上面部の先端が下方へ折曲される第2の前面部と、からなることを特徴とする。
【0025】
本発明の一態様によれば、第2の化粧板支持部材が、第2の固定部と、上面部と、第2の前面部と、を備えることにより、化粧板の着脱をより容易に行うことができる。
【0026】
また、第10の発明は、第6乃至第9のいずれか1つの発明において、前記弾性シール部材は熱可塑性エラストマーで形成されることを特徴とする。
【0027】
本発明の一様態によれば、弾性シール部材に熱可塑性エラストマーを使用することにより、化粧板支持部材、止水部、表面コーティングを一体で同時成形できるため、安価に生産することができる。
【0028】
続いて、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して説明をする。なお、説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の化粧板取付具の実施形態について説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態による化粧板取付具を示す側面図である。また、図2、図3は、本実施形態による第1、第2の化粧板支持部材の拡大側面図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の化粧板取付具は、第1の化粧板支持部材、第2の化粧板支持部材、化粧板、洗面カウンター、取付面、固定用ネジによって構成されている。
【0032】
洗面カウンターを設置後、第2の化粧板支持部材を上側に固定用ネジで取付面に固定し、第1の化粧板支持部材を下側に洗面カウンターと接触させるようにして固定用ネジで取付面に固定する。その時第1の化粧板支持部材と第2の化粧板支持部材は、化粧板の上部を第2の化粧板支持部材に挿入した後に化粧板を下方にスライドさせ、化粧板の下部を第1の化粧板支持部材に挿入した時に、化粧板が手前方向に移動できないように、第2の化粧板支持部材が化粧板に掛かる垂直距離に設定する。この化粧板の設置方法はケンドン式と呼ばれ、化粧板支持部材を取り外すことなく、化粧板のみを着脱することができるという利点があり、化粧板の取付け方法として一般的に用いられている。化粧板を取り外す場合は、化粧板を取付ける場合とは反対に、化粧板を上方に第1の化粧板支持部材の掛り代がなくなるまでスライドさせ、化粧板を斜めにしながらの化粧板の下部を手前下側に移動させることにより、化粧板支持部材を取り外すことなく、化粧板のみを取り外すことができる。取付面は住宅内の例えば洗面所の壁であってもよいし、洗面化粧台を構成する部材の一部であってもよい。
【0033】
なお、化粧板の設置方法にはスライド式と呼ばれるものもあり、その場合も同じように本発明の効果を得ることができる。スライド式と呼ばれる設置方法は第2の化粧板支持部材の固定用ネジ穴を垂直方向に長い穴を形成するなどして、固定用ネジなどで第2の化粧板支持部材を垂直方向に移動可能な程度にネジで固定した後、穴の垂直方向の長さ分だけ移動できるようになっている。したがって化粧板を第1の化粧板支持部材に挿入した後、第2の化粧板支持部材を下側にスライドさせることによって化粧板との掛り代を確保し、ケンドン式と呼ばれる化粧板の設置方法と同じように化粧板を固定することができる。ただし、スライド式で化粧板を設置した場合、第2の化粧板支持部材のさらに上側に接触するような形で、他の例えば洗面化粧台キャビネットなどを設置していた場合、化粧板を取り外す際には、第2の化粧板支持部材を上側にスライドさせることができないので、上側に接触するような形で設置している洗面化粧台キャビネットなどを取り外すなどしてから、化粧板を取り外すという手間がかかる。
【0034】
図2に示すように、第2の化粧板支持部材は化粧板押さえ部1a・1d、クッション部1b・1e、コーティング部1c・1f、第2の固定部1g、上面部1h、第2の前面部1iで構成されている。
【0035】
第2の化粧板支持部材は断面略コ字形で、化粧板押さえ部1a・1dは硬質の合成樹脂、クッション部1b・1eは軟質の合成樹脂、コーティング部1c・1fは摺動性のある合成樹脂で、熱可塑性の樹脂を使うことにより、押出し成形などで一体に成形されている。化粧板押さえ部1a・1dは化粧板を取付けた後、化粧板が取付面方向に動かないようにするために形成されている。化粧板の裏面が傷付かないようにするためにクッション部1b・1eを形成し、上記で説明したように化粧板着脱時に化粧板を垂直方向にスライドさせる必要があるため、化粧板の着脱性を向上させる目的で、軟質部の表面には摺動性のある材料を使用したコーティング部1c・1fがコーティングされている。化粧板支持部材1を取付面に固定するための固定用ネジ穴は、成形時に金型により予め成形するか、成形後穴あけ加工を行うことにより形成する。また、化粧板押さえ部1a・1dは固定用ネジ穴に固定したネジの頭よりも化粧板側になるような高さに設定し、化粧板を取付面方向に押した時などに化粧板の裏面がネジの頭に当たることにより傷付くことを防止している。
【0036】
図3に示すように、第1の化粧板支持部材は、化粧板挟持部、止水部2gで構成されている。化粧板挟持部は、第1の固定部2k、第1の前面部2l、下面部2m、押圧部(以下、化粧板押さえ部2a、化粧板押出しリブ2d)で構成されている。止水部2gは、止水部2gの弾性シール部材(以下、軟質部材2h)、コーティング部2c・2f、滑性表面層(以下、止水部2gの表面層2i)で構成されている。第1の化粧板支持部材は断面略コ字形で、化粧板押さえ部2a、化粧板押出しリブ2dは硬質の合成樹脂、クッション部2b・2e、止水部2gの軟質部材2hは軟質の合成樹脂、コーティング部2c・2f、止水部2gの表面層2iは化粧板を着脱する際の摩擦力が軟質の合成樹脂より低い合成樹脂であり、すべて熱可塑性の合成樹脂を使うことにより、押出し成形などで一体に成形されている。化粧板押さえ部2aは第2の化粧板支持部材の化粧板押さえ部1a・1dと同様に化粧板が取付面方向に動かないようにするために形成されている。クッション部2bとコーティング部2cも前記化粧板支持部材1と同様の目的で形成されている。止水部2g、化粧板押出しリブ2d、クッション部2eは化粧板と第1の化粧板支持部材の隙間に水が浸入しないようにする目的で形成されている。クッション部2eと止水部2hの隙間は化粧板の厚みよりも小さく設定されており、化粧板の下部を第1の化粧板支持部材に挿入した時、止水部2gの軟質部材2hが変形することによりシール効果を生じている。また、化粧板押出しリブ2dは化粧板を第1の化粧板支持部材に挿入する時に取付面方向へ変形することにより、化粧板の着脱の際に化粧板を垂直方向へスライドさせるのに必要な力が少なくなるため、着脱が容易になるという効果を生じている。クッション部2eはそれ自体が変形することにより化粧板の着脱が容易になるという効果と、化粧板の裏面を保護するという効果がある。クッション部2eと軟質部材2hの表面にもそれぞれコーティング部2f、表面層2iがコーティングされており、化粧板の着脱の際に化粧板を垂直方向へスライドさせるのに必要な力が少なくなるため、化粧板の着脱が容易になるという効果を生じている。硬質の合成樹脂、軟質の合成樹脂及びコーティング部・表面層に使用する材料は、お互いに密着性のよい組合せの熱可塑性樹脂を使うことにより、一体で同時成形ができるため、安価に生産することができる。例として、硬質の合成樹脂にポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、軟質の合成樹脂にオレフィン系熱可塑性エラストマー、コーティング部・表面層にはポリオレフィン系樹脂を3〜50μm程度の厚みで同時成形する。表面層の厚みは軟質部の柔軟性を保持できる範囲であれば厚くしてもよいし、薄くしてもよい。使用する材料についてもお互いの密着性、成形性等が確保できる範囲で、様々な組合せを採用することができる。成形方法についても押出し成形法や射出成形法など様々な成形方法を採用することができる。
【0037】
軟質部材2hの表面層2iについては、化粧板の着脱を容易にする効果の他に、止水部2gの汚れ防止の効果がある。軟質部材2hは一般的に摩擦係数が高いために、汚れやほこりなどが付着しやすく、またその摩擦力のためにそれらが取りにくい。軟質部材2hの表面に摩擦力の低い表面層2iを形成することにより、汚れやほこりなどが付着しにくく、仮に付着したとしても簡単取れるという効果を生じている。
【0038】
第1の化粧板支持部材を取付面に固定するための固定用ネジ穴は、成形時に金型により予め成形するか、成形後穴あけ加工を行うことにより形成する。また、化粧板押さえ部2a、化粧板押出しリブ2dは固定用ネジ穴に固定したネジの頭よりも化粧板側になるような高さに設定し、化粧板を取付面方向に押した時などに化粧板の裏面がネジの頭に当たることにより傷付くことを防止している。また、リブは止水部2gを圧縮させるために背面から化粧板を前方へ押し出す構成となっており、変形が可能なため、化粧板の着脱作業を行いやすくすることができる。
【0039】
一般的に摩擦力が低い材料は変形してシール効果を生じるような軟質部材の材料と比較して硬く柔軟性がないため、クッション部2b・2f、止水部2hの軟質部材2hのそれぞれのコーティング部2c・2f、表面層2iは、軟質部の柔軟性を損なわない程度に薄くコーティングする必要がある。
【0040】
化粧板を取付面と反対側に押出す効果と固定用ネジの頭に化粧板の裏面が当たって傷付くことを防止するために、化粧板の裏面側にウレタン製などの弾力性のあるクッション材を貼り付けることが一般的に行われている。本実施形態のように化粧板押さえ部1a・1d・2aを一体成形することにより、別途クッション材を準備する必要がないため、コストダウンの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態による化粧板取付具を示す側面図である。
【図2】本実施形態による第2の化粧板支持部材の拡大側面図である。
【図3】本実施形態による第1の化粧板支持部材の拡大側面図である。
【図4】他の実施形態による第1の化粧板支持部材の拡大側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…第2の化粧板支持部材
1a…化粧板押さえ部
1b…クッション部
1c…コーティング部
1d…化粧板押さえ部
1e…クッション部
1f…コーティング部
1g…第2の固定部
1h…上面部
1i…第2の前面部
2…第1の化粧板支持部材
2a…化粧板押さえ部
2b…クッション部
2c…コーティング部
2d…化粧板押出しリブ
2e…クッション部
2f…コーティング部
2g…止水部
2h…軟質部材
2i…表面層
2k…第1の固定部
2l…第1の前面部
2m…下面部
3…化粧板
4…固定用ネジ
5…取付面
6…洗面カウンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に取り付けられる化粧板と、
前記取付面に前記化粧板を支持する化粧板取付具と、
を備える化粧板取付構造であって、
前記化粧板取付具は、前記化粧板の下部を支持する第1の化粧板支持部材と、を有しており、
前記第1の化粧板支持部材は、前記化粧板を挟持する化粧板挟持部と、前記化粧板挟持部に固定され第1の化粧板支持部材内部に水が侵入することを防止する止水部と、からなり、
前記止水部は、弾性シール部材と、前記弾性シール部材の表面に積層され、前記化粧板に接する部分に形成された滑性表面層と、から形成される
ことを特徴とする化粧板取付構造。
【請求項2】
前記化粧板挟持部は、前記取付面に対して前記第1の化粧板支持部材を固定する第1の固定部と、前記第1の固定部の下端から手前側に突出し前記化粧板を支持する下面部と、前記下面部の前記化粧板に対して手前側が上方へ折曲される第1の前面部と、前記化粧板に押圧をかける押圧部と、からなり、
前記止水部は、前記第1の前面部の裏側に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧板取付構造。
【請求項3】
前記化粧板取付具は、前記化粧板の上部を支持する第2の化粧板支持部材と、を有しており、
前記化粧板は、前記第1の化粧板支持部材と、前記第2の化粧板支持部材と、により前記取付面に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧板取付構造。
【請求項4】
前記第2の化粧板支持部材は、前記取付面に対して前記第2の化粧板支持部材を固定する第2の固定部と、前記第2の固定部の上端から手前側に突出する上面部と、前記上面部の先端が下方へ折曲される第2の前面部と、からなる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の化粧板取付構造。
【請求項5】
前記弾性シール部材は熱可塑性エラストマーで形成される
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の化粧板取付構造。
【請求項6】
取付面に取り付けられる化粧板を支持する化粧板取付具を備える化粧板取付器具であって、
前記化粧板取付具は、前記化粧板の下部を支持する第1の化粧板支持部材と、を有しており、
前記第1の化粧板支持部材は、前記化粧板を挟持する化粧板挟持部と、前記化粧板挟持部に固定され第1の化粧板支持部材内部に水が侵入することを防止する止水部と、からなり、
前記止水部は、弾性シール部材と、前記弾性シール部材の表面に積層され、前記化粧板に接する部分に形成された滑性表面層と、から形成される
ことを特徴とする化粧板取付器具。
【請求項7】
前記化粧板挟持部は、前記取付面に対して前記第1の化粧板支持部材を固定する第1の固定部と、前記第1の固定部の下端から手前側に突出し前記化粧板を支持する下面部と、前記下面部の前記化粧板に対して手前側が上方へ折曲される第1の前面部と、前記化粧板に押圧をかける押圧部と、からなり、
前記止水部は、前記第1の前面部の裏側に固定される
ことを特徴とする請求項6に記載の化粧板取付器具。
【請求項8】
前記化粧板取付具は、前記化粧板の上部を支持する第2の化粧板支持部材と、を有しており、
前記化粧板は、前記第1の化粧板支持部材と、前記第2の化粧板支持部材と、により前記取付面に取り付けられる
ことを特徴とする請求項6または7に記載の化粧板取付器具。
【請求項9】
前記第2の化粧板支持部材は、前記取付面に対して前記第2の化粧板支持部材を固定する第2の固定部と、前記第2の固定部の上端から手前側に突出する上面部と、前記上面部の先端が下方へ折曲される第2の前面部と、からなる
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の化粧板取付器具。
【請求項10】
前記弾性シール部材は熱可塑性エラストマーで形成される
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の化粧板取付器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−53611(P2010−53611A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220772(P2008−220772)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】