説明

医用ディジタル画像の構成方法

【課題】 複数の医用ディジタル画像を、一ページに構成することである。
【解決手段】 複数の医用ディジタル画像101,103,105を供給する工程と、対応する医用検査情報102,104,106を供給する工程と、各医用ディジタル画像中の露光領域の寸法と位置を決定する露光領域検出107,108,109を行う工程と、各露光領域ごとに露光領域サブ画像を形成する露光領域抽出110,111,112を行う工程と、医用検査情報を用い、画像貼付け(ハンギング)プロトコル基準表と照合し、レイアウト情報を与える画像配置基準適用工程113と、各露光領域サブ画像を、レイアウト情報に従い組合せるページ構成工程114を備え、組合せ医用ディジタル画像115を構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般には医用ディジタル画像に係り、特に複数の医用ディジタル画像を、ソフトコピー観察(ビューイング)ワークステーションに表示またはフィルム上に印刷するための画像構成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一枚のフィルム上または一台の診断用モニタ上で、複数の医用画像を同時にみることがしばしば起こる。この観察方法(ビューイングプロトコル)が取られる主な理由として三つ考えられる。
【0003】第一に、スクリーン/フィルムによる放射線撮影(ラジオグラフィ)およびコンピュータによる放射線撮影(コンピュータラジオグラフィ、CR)では、ひとつの撮影用プレート上に、解剖学的に異なる投影方向から複数回露光されることが起こる。例えば、手の前面後面図(AP図)と側面図とが同一撮影用プレート上に配置されることが起こる。これによりフィルムを節約しかつ医用検査の個々の要素を論理的に分類付けする。
【0004】第二に、コンピュータ断層撮影および磁気共鳴映像撮影において、一回の検査中に、多数のより小さな画像または断面像が取得され、これらは一括して(マルチアップ)構成し観察される。
【0005】第三に、複数の画像を一ページ上に構成し、複数の検査をもう一度論理的に分類付けしたい場合が起こる。ダイレクトディジタル放射線撮影(ダイレクトディジタルラジオグラフィ、DR)技術の出現により、スクリーン/フィルム放射線撮影(ラジオグラフィ)またはCR等における、複数露光を行う検査がなくなるかもしれない。というのは、画像を形成しうる区域の一部のみが現実に露光される場合でも、一回のDR露光は一枚の完全な画像として記録されるからである。このため、今は一枚の複数露光画像である手のAP図および側面図が、DRでは、二枚の別個の画像として得られることになる。これは医用検査の論理的分類付けを不可能にし、フィルム使用を不要に増大させる。
【0006】ディジタル画像処理技術により、これら別個の医用検査の画像を一つの画像に構成することができる。また、ページ構成工程中に、個々の画像の強調度(エンハンスメント)を修正することもできる。このようにソフトコピー表示またはフィルム印刷の、医用画像を一ページに自動的に構成し、個々の画像の処理パラメータの修正を可能にすることが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明に、以下の四つの表示手法が関連する。すなわち(1)画像配置基準とも言うべき画像貼付け(ハンギング)プロトコル、(2)ページレイアウトシステム、(3)医用画像印刷標準規格、(4)露光領域(エキスポージャフィールド)の自動検出の四つである。
【0008】(1)現在の診断観察用(ビューイング)ワークステーションは、一般的に複数の画像表示モニタを備え、各モニタ毎に一つの画像を表示する。これらの装置では、それぞれの表示画像の大きさは元の画像の大きさからしばしば変更され、例えば割り当てられた視野領域(ビューイングエリア)に適合させてその寸法が変更され、または画像を中心決めし、1:1の倍率で表示される。この機能のため、一台のモニタ上で、別個に取得した画像群を論理的に分類付けする能力がなくなってしまっている。
【0009】より進んだワークステーションでは、各画像からの装置様式(モダリティ)、身体部位および検査処理(プロシージャ)等の情報を用いる画像貼付け(ハンギング)プロトコルを使用し、モニタ毎に複数の画像を構成する。画像貼付け(ハンギング)プロトコルを適用するワークステーションの一例には、Auto RAD NT 4.0 (Cexam Icon、a Kodak Company、Fremont、CA ) がある。ここでもやはり、画像は、各画像に割り当てられたウインドウ区域においてその大きさに適合した寸法に変更されるか、または各画像をウインドウの中心に中心決めし1:1倍率で表示される。この手法では、画像がウインドウ区域の大きさに適合された寸法に変更されるとき、撮影プレートの一部のみが露光された場合には、その画像が非常に小さくなることが起こる。また、ウインドウ中心に中心決めし1:1倍率で表示されるときは、撮影プレート上で露光領域(エキスポージャフィールド)が中心決めされないことがあるので、このために実際の露光領域(エキスポージャフィールド)がモニタ上に割り当てられたウインドウの外にはみ出し、露光領域(エキスポージャフィールド)の一部しか表示しないことが起こる。
【0010】(2)米国特許5,734,915(発明者Roewer、1998年3月3日登録)は、医用ディジタル画像の構成方法を開示している。各画像にウインドウを一つづつ用い、複数の画像が一台のディスプレイ上に自動的に表示されるが、この発明は、入力画像からの露光領域(エキスポージャフィールド)検出および露光領域(エキスポージャフィールド)抽出を行う付加的工程を含まない。したがって高度に照準が合わ(コリメート)された露光領域(エキスポージャフィールド)については手動調整が必要となりうる。同様に、商業用印刷構成ソフトウエアマスターページ(Traitement Synthse Image、Champs Sur Marne、France )は、一構成ページ上に複数の画像を自動的に配置する。手動の配置および切取り(クロッピング)は可能だが、やはり露光領域(エキスポージャフィールド)の自動検出は行わない。
【0011】(3)医用ディジタル画像と通信に関する標準規格(Digital Imaging and Communications in Medicine、DICOM)は、医用ディジタル画像転送の事実上の標準規格である。
【0012】この規格の印刷に関する個所は、マルチフォーマット印刷として公知の方法によって複数の画像を一ページ上に配置する方法を規定している。このプロトコルの使用において、印刷ユーザが画像枚数および印刷フォーマットを特定する。例えば、四枚の画像を一ページに印刷しようとするときは、STANDARD/2,2を特定すると、四枚の同一寸法の画像ボックスを二行二列フォーマットで作成する。次に、画像ボックスに入れる個々の画像を特定する。画像ボックス中に配置される画像は、ボックスの大きさに適合した寸法で特定されるか、1:1倍率かまたは希望の物理的画像寸法で表示される。
【0013】したがって、この場合もワークステーションでの画像表示と同じ課題が存在する。画像がボックスの大きさに適合した寸法の場合、もし撮影プレートの小部分だけが露光されたときは画像寸法が非常に小さくなることが起こる。1:1倍率または希望する画像寸法のときは撮影プレート上で露光区域が中心決めされないことがあり、このため実際の露光領域(エキスポージャフィールド)がフィルム上で割り当てられた画像ボックスの外にはみ出すことが起こる。画像ボックスの外にはみ出た領域は、印刷対象外となるか、または場合により印刷ジョブが実行できないことが起こる。
【0014】DICOMの画像記憶に関する個所は、画像観察用(ビューイング)ワークステーションまたはディジタル文書への画像転送を認めている。この標準規格のうち、ディジタルX線に関し最も最近採用された個所であるDX IODでは、各画像につき露光領域(エキスポージャフィールド)がただ一つであることを要求している。このため特に一画像中で複数の露光領域(エキスポージャフィールド)を分類付けすることができない。そこで、表示ワークステーションが、画像を分類付けすることが望ましいとされる。露光領域(エキスポージャフィールド)の適切な分離を確実にするために、オペレータ参加が特記されている。本発明は、露光領域(エキスポージャフィールド)を自動的に検出および分離することによって、この工程を単純化できる。
【0015】(4)ディジタル放射線撮影(ラジオグラフィ)画像から、露光領域(エキスポージャフィールド)を区分けする課題に対して、多数の発明がなされ、これらには、米国特許5,651,042(発明者Dewele、1997年7月22日登録)、5,764,791(発明者Hara、1998年6月9日登録)、5,732,149(発明者Kido等、1998年3月24日登録)および米国特許出願09/015,656(発明者Wang等、1998年1月29日出願)等を含む。これらの発明の全てが、ディジタル放射線撮影(ラジオグラフィ)画像における露光領域(エキスポージャフィールド)の検出および区分けについて記載している。しかし、いずれの発明も、複数の画像の区分けの結果を用いて新たな医用画像を構成する課題に対処していない。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、上述の課題が解決される。
【0017】本発明の特徴に従って、医用ディジタル画像の構成方法を提供する。この方法は、複数の医用ディジタル画像を供給する画像供給工程と、前記各医用ディジタル画像の医用検査情報を供給する検査情報供給工程と、前記各医用ディジタル画像に露光領域検出処理を行い、前記各医用ディジタル画像中の各露光領域の寸法および位置を決定する露光領域検出工程と、前記各露光領域の前記寸法および位置を用い、前記各医用ディジタル画像ごとに露光領域抽出処理を行い、前記各露光領域ごとに露光領域サブ画像を形成する露光領域抽出工程と、前記医用検査情報を用い、予め規定した画像配置基準を適用し、前記露光領域サブ画像の配置を決定するサブ画像配置決定工程と、前記各露光領域サブ画像の前記配置を用い、前記各露光領域サブ画像を組合せ、組合せ医用ディジタル画像を構成する構成工程と、を有することを特徴とする。
【0018】本発明は、以下の利点を有する。
1.医用画像を、ソフトコピー表示またはフィルム印刷用に、自動的に一ページに構成する。また、個々の画像につき、画像処理パラメータの修正ができる。
2.露光領域(エキスポージャフィールド)を自動的に検出し、分離する。
3.ハードコピーまたはソフトコピーの観察空間(ビューイングスペース)をそのままで、そこに表示する複数の画像を自動的に供給する。
4.医用検査の論理的分類付けを用いて、表示する画像を供給する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態に係る方法を、身体部位のディジタル放射線撮影(ラジオグラフィ)の画像等のディジタル画像に対して行われる、一連の操作につき説明する。ディジタル画像は、図4のディジタル画像取得システムにより形成することができる。図示するように、X線源400は、体の四肢等、例えば手や足の対象402を通って画像取得システム404へ向かってX線を放射する。
【0020】画像取得システム404は、例えば、一つは化学的または熱的に処理されたX線フィルム画像を作り出す、標準的X線スクリーン/フィルム組合せ装置である。このフィルムはスキャナ/ディジタイザによりディジタル化され、ディジタル画像406を得る。また、第二にX線潜像を記録蛍光体中に形成するコンピュータ放射線撮影(ラジオグラフィ)装置である。この記録蛍光体上のデータをCRリーダにより読み出し、対応するディジタル画像406を得る。第三に、ディジタル化された電子的なX線画像を作成する診断用スキャナ、例えばMRI、CT、US、PETと呼ばれる診断装置等がある。また第四に、直接的ディジタル取得システムがある。これは一般的に、蛍光体ベースのシンチレーションスクリーンと、レンズまたは光ファイバシステムを介し、CCD撮像装置またはMOS撮像装置とを接続してなる。
【0021】本発明の方法に従って、ディジタル画像は、画像プロセッサ408で処理される。画像プロセッサ408は、図5に示すディジタルコンピュータで構成できる。この場合、本方法の一つ以上の工程を、ソフトウェア処理手順を用いて行うことができる。また、画像プロセッサ408は、本発明の一つ以上の工程を行うハードウェアまたはファームウェアを含んでも良い。このように、ソフトウェア、ファームウェアおよびハードウェアを単独あるいは任意の好適な組合せで用いることにより、本発明の工程を実行できる。
【0022】図5に示すように、ディジタルコンピュータは、ディジタル画像、アプリケーションプログラム、オペレーションシステム等を記憶するメモリ510を含む。メモリ510は、磁気ハードディスクやCDROM等の大容量メモリ、RAM等の高速メモリを含むことができる。また、コンピュータは、キーボード、マウス、タッチスクリーン等の入力装置512と、CRTモニタ、LCD等のディスプレイ514と、マイクロプロセッサ等のCPU516と、サーマルプリンタ、ドットマトリクスプリンタ、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等の出力装置522とを含む。これらの構成要素は、制御・データバス520で、相互に接続される。コンピュータは、磁気フロッピー(登録商標)ディスクや買い込み可能な光コンパクトディスク(CD)等の可搬型記憶媒体に対し、少なくとも読出しまたは書き込みのいずれかを行うことができる可搬型記憶媒体ドライブ518を含むことができる。
【0023】この応用で用いるようにコンピュータ読出し可能な記憶媒体は、特にメモリ510と可搬型記憶媒体524とを含むことができる。より一般的には、コンピュータ用記憶媒体は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスクまたは磁気テープ等の磁気記憶媒体、光ディスク、光学テープまたは機械読出し可能なバーコード等の光学記憶媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)等の個体電子記憶装置、またはコンピュータプログラムを記憶できる他の物理的デバイスまたは媒体を含むことができる。
【0024】図1は、本発明の実施の形態における方法の処理フローを示す図である。この説明では、N枚の医用ディジタル画像を一ページ上に構成する場合を考える。図1では、N枚の画像を、第一の医用ディジタル画像101、第二の医用ディジタル画像103、第Nの医用ディジタル画像105として示す。また、各医用ディジタル画像には、医用検査情報が付される。医用検査情報は、画像を取得する装置様式(モダリティ)、身体部位、検査処理(プロシージャ)等の項目を含む。図1では、この医用検査情報を、第一の画像の医用検査情報102、第二の画像の医用検査情報104、第Nの画像の医用検査情報106として示す。
【0025】最初に行われる処理は、各画像中の露光領域(エキスポージャフィールド)の位置を決定する露光領域(エキスポージャフィールド)検出処理である。この処理は、画像取得過程においてX線の照準による直接露光がされていない領域である、画像の前景区域(フォアグラウンド)を決定する。露光領域(エキスポージャフィールド)検出処理の好適な実施形態は、米国特許出願09/015,656(発明者Wang等、1998年1月29日出願)に記載されている。検出とともに露光領域(エキスポージャフィールド)抽出処理を行い、前景区域(フォアグラウンド)が除去され、実際の露光領域(エキスポージャフィールド)中に含まれる画像データのみを含む新たなサブ画像を、元の医用ディジタル画像から形成する。
【0026】これは、各医用ディジタル画像について次のように行われる。第一の医用ディジタル画像101に対して露光領域(エキスポージャフィールド)検出107が行われ、露光領域(エキスポージャフィールド)検出107の結果を用いて露光領域(エキスポージャフィールド)抽出110が行われる。同様に、第二の医用ディジタル画像103に対して露光領域(エキスポージャフィールド)検出108が行われ、露光領域(エキスポージャフィールド)検出108の結果を用いて露光領域(エキスポージャフィールド)抽出111が行われる。同様に、第Nの医用ディジタル画像105に対して露光領域(エキスポージャフィールド)検出109が行われ、露光領域(エキスポージャフィールド)検出109の結果を用いて露光領域(エキスポージャフィールド)抽出112が行われる。同様に、第三から第N−1の医用ディジタル画像について露光領域(エキスポージャフィールド)検出が行われ、各第三から第N−1の医用ディジタル画像について露光領域(エキスポージャフィールド)抽出が行われる。
【0027】次に、自動的にページレイアウトを決定するために、各医用ディジタル画像の医用検査情報が用いられる。第一の画像の医用検査情報102、第二の画像の医用検査情報104、第三から第N−1の画像の医用検査情報および第Nの画像の医用検査情報106が、画像貼付け(ハンギング)プロトコルアルゴリズムを適用する画像配置基準適用工程113への入力とされる。
【0028】図2を参照して、画像貼付け(ハンギング)プロトコルアルゴリズムを適用する画像配置基準適用工程113を説明する。この例では、装置様式(モダリティ)、身体部位および検査処理(プロシージャ)を含む医用検査情報を用い、三枚の画像を一ページに構成する。この例において、次の値を用いる。第一の画像の医用検査情報201は、装置様式(モダリティ)がCR、身体部位が手、検査処理(プロシージャ)がAPである。第二の画像の医用検査情報202は、装置様式(モダリティ)がCR、身体部位が手、検査処理(プロシージャ)が斜視である。第三の画像の医用検査情報203は、装置様式(モダリティ)がCR、身体部位が手、検査処理(プロシージャ)が側面である。
【0029】この情報が基準照合(マッチテンプレート)工程204に与えられる。基準照合(マッチテンプレート)工程204は、貼付けプロトコル基準表(ハンギングプロトコルテンプレート)205を用い、与えられた医用検査情報と、表中に規定された基準(テンプレート)とを照合する。この例では、表中の第一の基準(テンプレート)と、与えられた医用検査情報が一致する。したがって、基準照合(マッチテンプレート)工程204は次の情報をページ構成工程206に供給する。すなわち、フォーマットが一ページに三画像(3−UPと示す)水平配列、第一の画像の一が左、第二の画像の位置が右、第三の画像の位置が中央の配置情報である。
【0030】この概念は、検査処理の項に、「ワイルドカード」の考えを含むことでよりエラーに対して強い貼付け(ハンギング)プロトコルとすることができる。例えば、貼付けプロトコル基準表(ハンギングプロトコルテンプレート)205に示される第二の基準(テンプレート)は、CRによる手のAPおよび側面である。もし、APおよび側面の二枚の画像が提示されれば、ここに示される基準のフォーマットが適用される。しかし、この表にない二枚の画像、例えば側面図と斜視図が提示されたとき、「ワイルドカード」なしでは直接符合するものがないため、「ワイルドカード」を示す「*」付きの、第三の基準(テンプレート)のフォーマットが使用される。
【0031】図1に戻ると、画像貼付け(ハンギング)プロトコルアルゴリズムを適用する画像配置基準適用工程113は、ページ構成工程114に、レイアウト情報を与える。このレイアウト情報を用いて、ページ構成工程114は、露光領域(エキスポージャフィールド)抽出工程により形成されたサブ画像を用い、組合せ医用ディジタル画像115を構成する。この組合せ医用ディジタル画像115は、電子ディスプレイに表示、またはハードコピーとして印刷される。ハードコピーは例えばフィルムを用いることができる。
【0032】この処理の例を図3に示す。この例では、二枚の医用ディジタル画像を一ページに構成する。第一の医用ディジタル画像301および第二の医用ディジタル画像303が与えられる。これらの画像とともに第一の画像の医用検査情報302および第二の画像の医用検査情報304が供給され、本発明の処理実施後、組合せ医用ディジタル画像305が構成される。
【0033】これまでの説明は、本発明の核となる部分である。上記で説明した処理に、特別な処理をさらに追加し、機能性を高めることができる。この追加機能につき、次に説明する。
【0034】いくつかの検査では、一枚の画像中に、複数の露光領域(エキスポージャフィールド)が形成される。これは骨の検査において、コンピュータ放射線撮影(ラジオグラフィ)またはディジタル処理したアナログフィルム画像を用いるとき、良くみられる。本発明の別の好適な実施の形態において、露光領域(エキスポージャフィールド)検出は、複数の露光領域(エキスポージャフィールド)を分け、各露光領域(エキスポージャフィールド)ごとにサブ画像を形成することができる。この場合、各露光領域(エキスポージャフィールド)に医用検査情報を与える必要がある。この情報提供には、各露光領域(エキスポージャフィールド)ごとにオペレータによる手動入力、または上述した「ワイルドカード」を用いる等さまざまな手段で行うことができる。
【0035】各露光領域(エキスポージャフィールド)の特定およびサブ画像の形成後、各露光領域(エキスポージャフィールド)のサブ画像に、画像強調処理を実施することもできる。この処理には、露光領域(エキスポージャフィールド)の周囲を黒くマスク(ブラックンドサラウンドマスク)し、観察時における絞りのボケ(ビューイングフレア)を削減することを含むことができる。この処理の実行方法は、米国特許出願09/015,656(発明者Wang等、1998年1月29日出願)に記載されている。
【0036】医用画像処理で一般的な、ルックアップテーブルを用い、またはウインドウ中心あるいはウインドウ幅の調整等による、トーン処理を行うこともできる。例えば、米国特許5,978,518(発明者Oliyide等、1999年11月2日登録)にアルゴリズムが記載される、適応型コントラスト強調処理を適用することもできる。
【0037】さらに、シャープでないエッジの強調処理(エンハンスメント)を行うこともできる。これは、例えば米国特許5,270,530(発明者Godlewski等、1993年12月14日登録)に記載されている。上に述べた処理のアルゴリズムにおけるデフォルト強調(エンハンスメント)のためのパラメータは、貼付けプロトコル基準表(ハンギングプロトコルテンプレート)の中に記憶することができる。そのとき、一つの基準(テンプレート)において、複数画像の組ごとに記憶することもできる。
【0038】貼付けプロトコル基準表(ハンギングプロトコルテンプレート)に、倍率情報を入れることもできる。これには、1:1倍率や、画面に適合させる寸法または実寸を入れることができる。1:1倍率または実寸が指定されると、露光領域(エキスポージャフィールド)サブ画像は、そのサブ画像に割り当てられたページ上の区域寸法より大きくなる可能性がある。この場合、画像の一部がページ上に表示された区域から切り取られ(クリッピング)または取り除かれなければならない。このような状態にあることを、レイアウトを変更する方法の可能性を含む警告メッセージとして、ユーザに示すのが好ましい。ページの構成を最初に行った後に、レイアウトの調整を行いたい場合がある。この場合、ユーザは、グラフィカルユーザインタフェイス(GUI)を用いることで、露光領域(エキスポージャフィールド)サブ画像を手動で選択しうる。選択した露光領域(エキスポージャフィールド)の位置、倍率または画像強調処理(エンハンスメント)パラメータを初期値から変更することもできる。
【0039】構成すべき医用ディジタル画像の選択方法には、他の方法も取ることができる。ユーザは、GUIを用いて、複数の画像を手動で選択することができる。また、DICOMによって、一つの主題(スタディ)または一続き(シリーズ)として、複数の画像を分類付けすることもできる。一つの主題(スタディ)または一続き(シリーズ)を選択することで、一ページ上に構成する医用ディジタル画像を特定することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明に係る医用ディジタル画像の構成方法は、複数の医用ディジタル画像を、一ページに構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るページ構成処理フローを示す図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る、画像貼付け(ハンギング)プロトコルアルゴリズムを適用する画像配置基準適用工程のフローを示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係る、二つの入力画像を一ページの組合せ医用ディジタル画像に構成する例を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る、ディジタル画像取得システムのブロック図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係る、画像プロセッサのブロック図である。
【符号の説明】
101,103,105,301,303 医用ディジタル画像、102,104,106,201,202,203,302,304 医用検査情報、107,108,109 露光領域検出、110,111,112 露光領域抽出、113 画像配置基準適用工程、114,206 ページ構成工程、115,305 組合せ医用ディジタル画像、204 基準照合工程、205 貼付け(ハンギング)プロトコル基準表、400 X線源、402 対象、404 画像取得システム、406 ディジタル画像、408 画像プロセッサ、510 メモリ、512 入力装置、514 ディスプレイ、516 CPU、518 可搬型記憶媒体ドライブ、520 制御・データバス、522 出力装置、524可搬型記憶媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 医用ディジタル画像の構成方法であって、複数の医用ディジタル画像を供給する画像供給工程と、前記各医用ディジタル画像の医用検査情報を供給する検査情報供給工程と、前記各医用ディジタル画像に露光領域検出処理を行い、前記各医用ディジタル画像中の各露光領域の寸法および位置を決定する露光領域検出工程と、前記各露光領域の前記寸法および位置を用い、前記各医用ディジタル画像ごとに露光領域抽出処理を行い、前記各露光領域ごとに露光領域サブ画像を形成する露光領域抽出工程と、前記医用検査情報を用い、予め規定した画像配置基準を適用し、前記露光領域サブ画像の配置を決定するサブ画像配置決定工程と、前記各露光領域サブ画像の前記配置を用い、前記各露光領域サブ画像を組合せ、組合せ医用ディジタル画像を構成する構成工程と、を有することを特徴とする医用ディジタル画像の構成方法。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2002−238886(P2002−238886A)
【公開日】平成14年8月27日(2002.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−349621(P2001−349621)
【出願日】平成13年11月15日(2001.11.15)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】