説明

医薬組成物およびその調製方法

本発明は、ドーパミン作動性活性および他の関連する薬理活性を有する医薬組成物であって、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物;トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物の調製方法であって、以下の工程:(a)植物原料からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンを含有する透明溶液を抽出し、(b)適宜、前記透明溶液からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンの誘導体を沈殿させ、次いで前記組成物を得るを含む前記調製方法;ならびにトリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を細胞レセプターに結合させることにより、ドーパミンレベルを増加させるか、あるいはプロラクチンを阻害するためのインビトロ方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な組成物、およびそれを天然原料から調製する方法に関する。本発明は、また、パーキンソン病を含むドーパミン関連障害の治療に適用するドーパミン作動性剤としての新規な組成物の適用に関する。
【0002】
本発明は、また、プロラクチン抑制化合物としてのプロラクチンの減少に関連した適用、筋弛緩物質、抗精神病薬に起因する副作用を減ずるため、プロラクチンの増加に起因する性機能不全を減ずるため、そして覚醒状態を増進する化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
ドーパミンは、脊椎動物および無脊椎動物の両方に存在するホルモンかつ神経細胞伝達物質である。化学的には、それは、脳に存在するフェネチルアミンであり、特定のドーパミンレセプター(D1−D5)を活性化する神経細胞伝達物質として作用する。ドーパミンは、脳内で多くの機能を有し、それは、行動と認知、運動活動、動機付けと報酬、乳生成の制御、睡眠、気分、注意および学習において重要な役割を含む。ドーパミンは、食欲、社交性、顕現性(Salience)、行動障害、側方抑制、および創作意欲に主要な役割を演ずる。ドーパミンは、また、プロラクチン分泌作用の制御に関わっている。
【0004】
ドーパミンの不十分なレベルは、身震い、硬直、および運動緩慢(動作が遅い)のような症状の引き金となる。健康な対象では、神経細胞が、脳内や体の他の部分でドーパミンを作りって放出する。ドーパミンが一つの神経により放出されると、それは次の神経細胞のレセプターによって受容される。この連鎖反応は、ついには、神経の刺激を導く。さまざまな神経障害は、ドーパミン生成で妨害することができ、そして、脳内のドーパミンレベルを引き下げる。また、ドーパミンの異常なレベルは、また、多くの障害を引き起こし、そのいくつかは、(パーキンソン病のように)慢性的に変性する。
【0005】
ドーパミンは、脳の運動野および思考野の両方に強く影響する。一タイプのドーパミンは、動作および運動システムにおいて働く。ドーパミンレベルが“正常範囲”よりも下がると、運動および粗体動の問題が始まる。脳の運動野において極めて低いドーパミンレベルは、筋硬直とこわばり、停止/不安定な姿勢、バランスと協調の欠如、足取り(歩行パターン)のかく乱、緩慢動作と自発動作困難、継ぎ足歩行、筋痛、身震いと震え、じっとした仮面のような顔の表情、ゆっくりで単調な会話、細かな運動の障害(impairment of fine−motor skill)、歩行時の転倒、および認知/知的能力の障害のような症状をもったパーキンソン病を生じることが知られている。
【0006】
低レベルのドーパミンは、環境に集中する能力、または、仕事、活動や会話に“ロックオン”する能力が損傷する。低レベルのドーパミンは、集中とピントあわせをきわめて困難にし、また、注意欠陥多動性障害(ADHD)と関連している。
【0007】
ドーパミンは、また、プロラクチン分泌作用の抑制に主要な役割を演ずる。プロラクチンは、脳下垂体内の乳腺刺激ホルモン分泌細胞によって分泌されるペプチドホルモンである。プロラクチンは、授乳や性的満足観を誘起するのに主要な役割を演ずるが、それは、ドーパミンが低レベルになることによって引き起こされる。適当なレベルのドーパミンは、性的刺激のために必要である。ドーパミンは、主要なプロラクチン−抑制因子として働き、そして、視床下部神経細胞によって門脈血内へ分泌され、乳腺刺激ホルモン分泌細胞上のレセプターと結合し、そしてプロラクチンの合成および分泌の両方を抑える。増加したレベルのプロラクチンは、不妊症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、頭痛、性衝動減退および視力障害のような多くの病へいを生じる。高いプロラクチンレベルは、物理的および心的ストレスを含む多くの因子のせいで起きる。したがって、ドーパミン作動性化合物(ドーパミンレベルを高めるもの)は、プロラクチンのレベルを制御(制限)することにおいて鍵となり、高レベルのプロラクチンのさまざまな作用を管理する。
【0008】
運動選手、ボディビルダーやスポーツマンによって行われるような慢性および精力的な練習は、また、プロラクチンレベルの増加につながることがわかっている。プロラクチンの増加は、彼らの性欲を減退させ、そして性機能不全を誘起する。したがって、ドーパミン作動性剤が、プロラクチンレベルを下げるために使用でき、それによりこのホルモンを生理的限界内に管理することで副作用を排除する。
【0009】
ドーパミン作動性剤は、アセチルコリンに起因する興奮を抑えるので、筋弛緩物質として使用することができる。したがって、本発明のドーパミン作動性物質は、運動による生理学的知覚消失時、および筋痙攣時の筋弛緩物質として使用することができる。
【0010】
低レベルのドーパミンの主な影響の一つは、動作障害である。動作障害は、動作を作りまた制御する能力に影響する一群の疾患および症候群である。いかなる形態の動作を作るために、簡単な動作でさえ、信号の複雑なネットワークの協調と作用が必要である。このシステムのいかなる部分の分裂も、手元の仕事に対してヒトに弱すぎ、強すぎ、連携のない、あるいは貧弱に制御された動作を作らせる。休息中に必要とされない動作を起こし得、また、意識的な動作が不可能になり得る。そのような状態を動作障害と呼ぶ。
【0011】
いくつかのケースでは、異常な動作が、低レベルのドーパミンの唯一の症状である。異常な動作を引き起こす障害には、パーキンソン病、薬物または毒に起因するパーキンソン症候群、パーキンソン病プラス症候群(進行性核上性麻痺、多系統萎縮症および大脳皮質基底核変性症)を含む。
【0012】
これらの障害は、神経細胞伝達物質ドーパミンの欠乏または過剰のために引き起こされる。薬物療法は、基底神経節内回路(basal ganglionic circuit)のいくつかの不均衡を補償するのを助けることができる。アセチルコリンは、脳内ドーパミンを調節するのを助ける興奮化学物質である。体内において、神経末端で放出されたアセチルコリンが、筋収縮を引き起こす。
【0013】
パーキンソン病は、進行性変性疾患であるが、これは、ドーパミン生成細胞を破壊し、協調動作に問題を引き起こす。それは、身震い、硬直、運動喪失、および姿勢動揺によって特徴づけられる。主な生化学的異常性は、ドーパミンの減少であり、そしてこれは、アセチルコリンとドーパミンとの間の不均衡を引き起こす。パーキンソン病の原因は、はっきりとはわかっていない。いくつかのケースでは、弱い遺伝的連鎖が存在する。また、それは、農薬として使用されるMPTP(メチルフェニルテトラハイドロピリジン)という環境毒素が原因となる。
【0014】
パーキンソン病は、通常、65歳を過ぎて起きる老人の障害である。それは、“黒質”または黒色物質(なぜならそれらは外観が暗く見えるからである)と呼ばれる脳内神経細胞群の死に起因する。これらの細胞からくる神経作用は、正常には、線条と呼ばれる脳の他の領域に伸びきり、そこで連結をつくり、そして神経細胞伝達物質としてドーパミンと呼ばれる化学物質を放出する。
【0015】
黒質および線条は、動作を開始する能力を含む動作を制御するのを助ける。黒質線条体系路が減少すると、パーキンソン病患者は、椅子から立ち上がることや歩行を始めるような動作を行うのが極めて難しくなる。彼らは、また、身震いや筋肉硬直化の増大を経験する。
【0016】
ドーパミン関連疾患(例えば、パーキンソン病、および低レベルのドーパミンに関連した疾患)の現在の治療方法には、以下を含む:
L−ドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)
パーキンソン病の原因は、ドーパミン放出神経細胞の減少であるので、この障害を処置する一つのアプローチは、脳内のドーパミンレベルを復元することである。ドーパミンは、血液から脳へは移らないであろう。神経細胞内で、ドーパミンは、酵素により触媒された一連の化学反応により生成される。シーケンスの最終段階は、アミノ酸L−ドーパからのドーパミンの形成である。L−ドーパは、容易に血液から脳へ渡る。パーキンソン病の最も一般的かつ効果的な処置は、錠剤形態のL−ドーパの投与である。
【0017】
L−ドーパは、血流中に入り、そして、脳内を通る。脳内では、ドーパデカルボキシラーゼがこれをドーパミンへ転換する。L−ドーパは、一般的な動作、顔の表情、および、体の姿勢にきわめて著しい改善を引き起こす。しかし、身震い、呑み込み、バランスおよび動作の緩慢な始まりに関してはきわめて貧弱な効果を有する。
【0018】
L−ドーパと他の薬物の組み合わせ
L−ドーパをドーパミンへ転換する酵素のドーパデカルボキシラーゼは、血液や体組織内に存在する。したがって、L−ドーパは、血清内で90%程度まで減成する。これは、カルビドーパやベンセラジドのような他の薬物によってこの酵素を阻害することによりブロックされる。これらは、その脳の利用度を増加させるため、L−ドーパと組み合わさる。カルビドーパおよびベンセラジドは、脳内を通らない。
【0019】
トルカポンおよびエンタカルポン
L−ドーパは、また、別の酵素COMT(カテコールO−メチルトランスフェラーゼ)によって破壊される。これらの薬物は、COMPTを阻害し、L−ドーパを脳へ供給させる。しかし、これらの薬物は、L−ドーパとともに長期的問題を有する。L−ドーパを長期間投与すると、患者は、その効果のゆらぎを経験する。行動の開始において大きな遅延が存在し得、薬物作用時間が短くなり得る。患者は、また、オフ−ピリオド(off period)を経験する。これは、患者が薬物投与後長期間完全に良好に機能することを意味し、薬物の効果が突然停止することが判明した。
【0020】
L−ドーパの副作用:
多くの患者は、吐き気を感じ、これを長期にわたって使用すると、精神分裂症、特に幻覚症状および睡眠のかく乱を誘起する。また、継続した使用は、緩慢かつ不随意性の動作を招く。
【0021】
MAO阻害作用(モノアミンオキシダーゼ)
脳内ドーパミンの形成を増加させる代案は、ドーパミンの破壊を減少させるためにL−ドーパを投与することである。ドーパミンは、酵素モノアミンオキシダーゼ(MAO)、特にMAO−Bにより破壊される。デプレニルは、MAO−B抑制である。
【0022】
レセプターアゴニスト
ドーパミンレセプターに直接作用する薬物を使用することにより、ドーパミンの減少を補償することが可能である。ブロモクリプチン、リスリドのような薬物は、レセプターアゴニストである。これらは、ドーパミンに応答するレセプターを刺激し、そして、黒質線条体の神経細胞により正常に放出されるドーパミンの代替物質として作用する。これらの薬物は、一定範囲の無意識動作を誘起し、脳の一部であり多くの重要なホルモン分泌作用を制御する脳下垂体内のドーパミンレセプターに作用する。プロラクチンホルモンの放出を抑圧するためのドーパミンレセプターの活性化の副作用は、不妊症および月経障害である。
【0023】
抗コリン作動薬
脳の線条内で、ドーパミンおよびアセチルコリンの両方とも、神経細胞伝達物質である。ドーパミンは、神経細胞の阻害を引き起こすが、アセチルコリンは、それらの励起を引き起こす。脳がドーパミン細胞を失うとき、アセチルコリンの活動は、インタクトである。したがって、一つの戦略は、アセチルコリンを減じ、その効果をドーパミンの効果とともにバランスさせることである。抗コリン作動薬は、身震いを減じるのにより効果的であるが、筋肉の硬直および動作の困難については効果をもたない。これらの薬物は、口腔乾燥、霧視、便秘、排尿困難等のような多くの副作用を有する。
【0024】
米国特許4880816には、ドーパミンが血液脳関門透過特性を有する別の分子のDHC、特にトリゴネリンのDHCと化学的に結合する化合物が記載されている。したがって、DHC化合物は、血液脳関門を通るべくドーパミンの補助剤として作用し、分解し、消失する。それは、トリゴネリンのためのドーパミン作動性作用を限定しない。
【0025】
現在の治療法は症状の救済を目的とするので、神経の退縮を抑制可能な薬品はない。長期間の治療で最小の副作用を有し、かつ最高の効果をもつより優しくかつ温和な治療が喫緊に必要である。本発明は、パーキンソン病を含むドーパミンの欠如に関連した疾患を治療するために効果的に利用される、ドーパミン作動性物への緊急な要望に取り組むことである。
【0026】
抗精神病薬の主な欠点は、それらがドーパミンのD2レセプターをブロックすることである。したがって、これらの薬物は、脳内のドーパミンレセプターD2のブロックとリンクした動作障害の副作用を招く。したがって、ドーパミン作動性剤は、抗精神病薬の副作用として引き起こされる不動性への解答となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の主な目的は、ドーパミン作動性活性および他の関連する薬理活性を有する医薬組成物を得ることである。
【0028】
本発明の別の主な目的は、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を得ることである。
【0029】
本発明のさらに別の目的は、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物の調製方法を開発することである。
【0030】
本発明のさらに別の目的は、トリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンを植物原料から抽出することである。
【0031】
本発明のさらに別の目的は、ドーパミン関連疾患を治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の前記医薬組成物の使用である。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、プロラクチンに起因する病へいを治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の前記医薬組成物の使用である。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、ドーパミンレセプターアンタゴニストに起因する副作用を管理するための医薬品を必要とする対象に製造する際の前記医薬組成物の使用である。
【課題を解決するための手段】
【0034】
したがって、本発明は、ドーパミン作動性活性および他の関連する薬理活性を有する医薬組成物であって、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物;トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物の調製方法であって、以下の工程:(a)植物原料からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンを含有する透明溶液を抽出し、(b)適宜、前記透明溶液からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンの誘導体を沈殿させ、次いで前記組成物を得ることを含む前記調製方法;トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、ドーパミン関連疾患を治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用;トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、プロラクチンに起因する病へいを治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用;ならびにトリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物をドーパミンレセプターアンタゴニストに起因する副作用を管理するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】カタレプシーの減少における試験薬物の投与量依存的応答を示す。プロットは、本発明の試験薬物としてのIBH−Bを示す。IBH−B(10,30または100)+Hal(0.5)およびL−ドーパ(10)+Hal(0.5)についてのすべての値は、有意(p<0.001)であり、そして、IBH−B(3)+Hal(0.5)に比べてそれぞれの時間で非有意である。IBH−Bの処置は、有意に、ハロペリドール誘発性カタレプシーを減じた。
【図2】プロット中IBH−Bとして示した試験薬物による身震いスコアの有意な減少を示す。
【図3】試験薬物のタイラミン相乗作用(tyramine potentiation)に関する効果(急性試験)を示す。
【図4】試験薬物のタイラミン相乗作用に関する効果(慢性試験)を示す。
【図5】試験化合物によるMAO−Bの選択的阻害を示す応答曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、ドーパミン作動性活性および他の関連する薬理活性を有する医薬組成物であって、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物に関する。
【0037】
本発明のもう一つの実施態様では、トリゴネリンまたはその誘導体の濃度は、30%〜90%の範囲にあり、4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体の濃度は、10%〜30%の範囲にある。
【0038】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、トリゴネリンは、植物または動物原料から得られる。
【0039】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、トリゴネリンは、フェニュグリーク(Trigonella foenum graecum)およびコーヒーアラビカ(Coffee arabica)から得られる。
【0040】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、トリゴネリンの誘導体は、塩酸塩誘導体、酢酸塩誘導体、クエン酸塩誘導体、安息香酸塩誘導体、塩誘導体および酸誘導体からなる群から選択され、好ましくは塩酸塩誘導体である。
【0041】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、4−ヒドロキシソロイシンは、植物原料、好ましくはフェニュグリークから得られる。
【0042】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、4−ヒドロキシソロイシンの誘導体は、塩酸塩誘導体、酢酸塩誘導体、クエン酸塩誘導体、安息香酸塩誘導体、塩誘導体および酸誘導体からなる群から選択され、好ましくは、塩酸塩誘導体である。
【0043】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記添加剤は、造粒剤、結着剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、接着阻害剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、芳香剤、可塑剤、防腐剤、沈殿防止剤、乳化剤および球状化剤(speheronization agent)からなる群から選択される。
【0044】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記組成物は、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、乳液、クリーム、スプレー、ドロップ、分散性粉剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセル内乳液、シロップ、エリキシル剤、フィトケミカル、栄養補助食品および食品の材料からなる群から選択される投与形態に製剤化される。
【0045】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、他の関連薬理活性は、プロラクチンの阻害、筋弛緩、カテコールアミンの前駆体としての役割、ならびに性機能不全および抗精神病薬に起因する副作用の減少からなる群から選択される。
【0046】
本発明は、また、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物の調製方法であって、以下の工程:
a)植物原料からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンを含有する透明溶液を抽出し、
b)適宜、前記透明溶液からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンの誘導体を沈殿させ、次いで前記組成物を得ること
を含む前記方法に関する。
【0047】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、トリゴネリンまたはその誘導体の濃度は、30%〜90%の範囲にあり、4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体の濃度は、10%〜30%の範囲にある。
【0048】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記添加剤は、造粒剤、結着剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、接着阻害剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、芳香剤、可塑剤、防腐剤、沈殿防止剤、乳化剤および球状化剤からなる群から選択される。
【0049】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記誘導体は、塩酸塩誘導体、酢酸塩誘導体、クエン酸塩誘導体、安息香酸塩誘導体、塩誘導体および酸誘導体からなる群から選択され、好ましくは、塩酸塩誘導体である。
【0050】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記透明溶液は、フェニュグリークおよび/またはコーヒーアラビカの植物から、以下の工程:
a)トリゴネラおよび/またはコーヒーアラビカの種子を薄片化し、
b)薄片化したトリゴネラ種子をヘキサン溶媒を用いて脱脂し、
c)脂肪族アルコールおよび水の溶媒混合物を該薄片化種子に通して、トリゴネリンおよびアミノ酸を含有する溶媒を抽出し、
d)該溶媒を減圧濃縮して半固形の塊を得、
e)該半固形の塊を脱イオン水に溶解して透明溶液を得、
f)工程(e)の透明溶液をイオン交換樹脂カラムに通して、アミノ酸およびトリゴネリンを保持させ、
g)該カラムを溶出し、該溶離液を濃縮して得られる塊を取得し、
h)得られた塊の透明溶液を乾燥して、流動性粉末を得、そして、
i)該粉末を溶媒に溶解して、トリゴネリンおよびアミノ酸を含有する透明溶液を得る
で抽出される。
【0051】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記種子は、薄片化され、好ましくは約2mm厚のサイズに薄片化される。
【0052】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記溶媒混合物は、脂肪族アルコールと水とを1:9〜9:1、好ましくは7:3の比で含む。
【0053】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記脂肪族アルコールは、エタノールである。
【0054】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記カラムは、アンモニアの水性またはアルコール性溶液で溶出される。
【0055】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記溶媒は、複素環状化合物、脂肪族化合物、ケトン、シアン化物、アルコール、ニトリル、エステル、エーテルおよびこれらの一種または二種以上の混合物からなる群から選択される。
【0056】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記溶媒は、エタノールである。
【0057】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記濃縮は、40℃〜80℃の範囲の温度で行われる。
【0058】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記アミノ酸は、4−ヒドロキシソロイシンである。
【0059】
本発明は、また、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、ドーパミン関連疾患を治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用に関する。
【0060】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記対象は、ヒトを含む動物である。
【0061】
本発明は、また、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、プロラクチンに起因する病へいを治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用に関する。
【0062】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記プロラクチンに起因する病へいは、不妊症、多嚢胞性卵巣疾患および泌乳増大からなる群から選択される。
【0063】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記対象は、ヒトを含む動物である。
【0064】
本発明は、また、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、ドーパミンレセプターアンタゴニストに起因する副作用を管理するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用に関する。
【0065】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記副作用は、ドーパミンレセプターアンタゴニストによるドーパミンレセプターのブロックに起因する動作障害である。
【0066】
本発明のさらにもう一つの実施態様では、前記対象は、ヒトを含む動物である。
【0067】
本発明の一実施態様は、トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む組成物の、ドーパミン作動性活性を有する医薬品の製造のための使用に関する。トリゴネリンは、植物および動物原料から得ることができる。この組成物は、脳内のドーパミン濃度を増大させ、したがって、パーキンソン病、動作障害などのような低いドーパミンレベルに関連した状態を改善するために使用される。この組成物は、プロラクチン阻害、泌乳停止、筋弛緩、性機能不全、精神的覚醒の増大および他のドーパミン関連機能に関連する活性のために使用される。この実施態様のもう一つの側面は、ドーパミン作動性活性を有する該組成物は、選択的モノアミンオキシダーゼBインヒビターであることである。本発明のもうひとつの側面は、ドーパミン作動性活性を有する該組成物は、タイラミン含有物質と相互作用をもたず、したがって、高レベルのタイラミンをもった素材を対象が摂取したときに血圧を上昇させない。
【0068】
本発明の一実施態様は、ドーパミン作動性活性を有する医薬品であってプロラクチンレベルを抑制可能な医薬品を必要とする対象に製造する際の組成物の使用に関する。この実施態様のさらにもう一つの側面は、多嚢胞性卵巣疾患の治療のための組成物の使用に関する。この実施態様のさらにもう一つの側面は、不妊症の治療のための医薬品の製造のための組成物の使用に関する。この実施態様のさらにもう一つの側面は、ヒト性ホルモンのレベルの制御のための医薬品を製造することである。
【0069】
本発明のさらにもう一つの実施態様は、ドーパミンレセプターアンタゴニストに起因する損害を最小限にし、これにより不動性を誘起する医薬品を製造するためのドーパミン作動性活性を有する組成物の使用に関する。
【0070】
本発明のさらにもう一つの実施態様は、トリゴネリン、トリゴネリンの誘導体、4−ヒドロキシソロイシン、その誘導体および添加剤を含むドーパミン作動性および医薬活性を有する組成物に関する。
【0071】
トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む本発明の組成物を、本明細書において、試験薬物または試験化合物または試験薬物組成物と呼ぶ。
【0072】
本発明の実施態様の主な利点は、試験薬物がモノアミンオキシダーゼ−Bインヒビターであることである。この選択性のために、これが食じ性タイラミン(dietary tyramine)との応答を引き出さず、したがって、非選択的MAOインヒビターの主要な副作用である“チーズ反応(cheese reaction)”を抑止する。第二の利点は、ドーパミン作動性活性を有するこの組成物が、抗精神病薬の副作用を減じることができるという事実である。第三に、この組成物は、プロラクチン分泌作用を阻害することもでき、これは大きな利点である。
【0073】
本発明は、フェネグリークおよびコーヒーアラビカ(植物名)のような植物からケミカルマーカー(chemical marker)を分離精製するための工程を詳細に説明する。このケミカルマーカーは、アルカロイドトリゴネリンであり、その塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、ヨウ化水素酸塩、安息香酸塩、鉱酸および有機酸の両方の塩として抽出されるが、好ましくは塩酸塩である。この精製された抽出物は、さまざまな古典的動物モデルにおける対生物作用のために研究される。この化合物の新規な側面は、承認されたプロトコールに従ったいくつかの特定動物実験により確認されたように、ドーパミン様活性を有することである。したがって、われわれの発明を通して化合物トリゴネリンドーパミン作動性活性を示すことが最初に証明された。
【0074】
一実施態様の簡単な要約は、
a)トリゴネリン含有種子、例えばフェネグリーク種子やコーヒーアラビカ種子を薄片化して内核を露出させ、効果的な脱脂、抽出および処理を確実にできるようにする。
b)ヘキサン溶媒を、該フェネグリークベッドに繰り返し通して、フェネグリークの効果的な脱脂を達成する。この操作は、コーヒーアラビカ種子では行う必要はない。
c)該薄片化種子を、パーコレーター内に装填し、脂肪族アルコールおよび水を含む溶媒混合物を該層に通して、サポニンとともにトリゴネリンおよびアミノ酸(4ヒドロキシソロイシン)の効果的抽出を達成する。
d)該溶媒を低温度で減圧濃縮して、完全な塊を確保し、得られた塊を脱イオン水に溶解して透明溶液を得る。
e)こうして得られた透明溶液を、ゲル状態の強酸性陽イオン交換樹脂に通して、アミノ酸およびトリゴネリンを保持させる。
f)該カラムを脱イオン水を用いてすべての不純物および色を洗浄し、カラムを、5N濃度のアンモニアの水性またはアルコール性溶液で溶出する。
g)溶媒溶出物中の溶出化合物を減圧濃縮して、水および溶媒を除去し、得られた塊を溶解し、ろ過して透明溶液を得る。
h)得られた透明溶液を、スプレー乾燥して流動性粉末を得、そしてそのまま使用してもよい。
i)粉末をイソプロピルアルコールまたはエチルアルコールのいずれかに再溶解して、透明溶液を得る。
j)精製された抽出物をHPLC測定にかけて、分析を確認する。
【0075】
さらに、透明アルコール溶液を、適宜、塩化水素の気流にかけて、トリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンをそれぞれの塩酸塩誘導体に転換する。
【0076】
トリゴネリンおよび/またはその誘導体ならびに4ヒドロキシソロイシンおよび/またはその誘導体としての上記化合物の精製抽出物を、ハロペリドールプロトコールに従ってスイスアルビノマウスに投与する。これは、パーキンソン病の症状に影響する。この抽出物は、これらの症状を投与量依存的なやりかたで反転させ、この抽出物のドーパミン作動性またはドーパミン様活性を確認する。
【0077】
トリゴネリンおよび/またはその誘導体ならびに4ヒドロキシソロイシンおよび/またはその誘導体としての上記化合物の精製抽出物を、スイスアルビノマウスに投与して、オキソトレモリンアンタゴニズムメカニズムにおける感情(affect)を試験する。これは、緩和な抗コリン作動活性を確認し、それは、パーキンソン病の処置に著しく好適にする。
【0078】
緩和な抗コリン作動作用と組み合わさったドーパミン作用は、パーキンソン病を含むドーパミン関連障害のための最良の方法論である。パーキンソン病は、ドーパミンの減少を生じるだけでなく、ドーパミンとアセチルコリンの不均衡を引き起こす。
【0079】
ドーパミンは、エピネフェリンおよびノルエピネフリンの前駆体である。したがって、この化合物は、エピネフェリンの濃度を増加させ、そして精神的覚醒および精神作業を増加することができる。ドーパミンは、抑制性神経伝達物質である。これは、アセチルコリンの作用をコントロールすることができる。提案の抽出物および化合物を、運動生理学における筋弛緩の目的で使用することができる。
【0080】
ドーパミン作動性物質は、ホルモンのプロラクチンレベルを減少させる。プロラクチンは、性機能不全に関係する。この化合物を、プロラクチンを抑制するために使用することができる。プロラクチンは、乳母の泌乳を誘起する。ドーパミン作動性物質は、プロラクチンを阻害する。この化合物は、泌乳を停止するために使用することができる。
【0081】
本発明の別の実施態様では、ドーパミン作動性活性を有する該組成物は、植物原料から誘導される。
1.フェネグリーク種子やコーヒーアラビカ種子のようにトリゴネリンを含有するその他のすべての種子を、ローラーフレーキングマシーンを用いて1mm〜4mmの厚みに薄片化した。薄片化り好ましくは2mm厚まで薄片化により、内核の効果的露出を達成した。該薄片化種子を、種子の粕が溶媒とともに確実に移動しないように適当なメッシュサイズ、好ましくは100メッシュの底面フィルターを取り付けた抽出器に装填した。詰められた種子層にヘキサンを浸透させる。
【0082】
2.残ったフェネグリーク粕に油および脂質が無くなるように、浸透させた溶媒を8〜10時間かけて効果的に再循環する。この脱脂工程は、コーヒーアラビカ種子では行う必要はない。
【0083】
3.ヘキサン抽出された粕を溶媒として1:9〜9:1、好ましくは7:3の比の水性脂肪族アルコールを含む溶媒混合物で再抽出する。コーヒーアラビカ種子の場合は、アルコール性溶媒は、アルコール1割に対して水約9割の最小組成物を有するように減じることができる。前記アルコールは、アルコール性溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノールであり得、好ましくはエタノールである。水性アルコール混合物を頂部から底部へ通してパーコレーター内フェネグリーク層を通過させる。溶媒再循環工程は、室温にて、8時間〜10時間、好ましくは8時間継続する。パーコレーターの底部からの透明な抽出物を浮遊粒子があるか否かについて視覚で検査して、必要なら再ろ過する。
【0084】
4.透明なろ過物を50〜75℃、好ましくは55℃の温度にてペースト状塊になるまで減圧濃縮し、そして溶媒を回収する。このペーストを脱イオン水に再溶解して、約5%の固形分を有する透明溶液を得る。
【0085】
5.この透明溶液を、ゲル形態の強酸陰イオンからなるイオン交換樹脂に通し、5Nの水性アンモニア溶液で溶出する。カラムは、また、水性アルコール性アンモニア溶液、好ましくはエタノール、イソプロパノールまたはメタノール(1:1の比)で溶出することができる。
【0086】
6.脱離溶液を50 %固形分まで減圧濃縮し、並流スプレードライヤー内でスプレー乾燥して粉末にする。適宜、上記のようにして得られた粉末を、粉末:アルコールの比が1:20のエチルアルコールまたはイソプロピルアルコール内に溶解し、次いでろ過する。
【0087】
7.適宜、透明なろ過物を、0℃〜5℃、好ましくは0℃の低温に冷却し、次いで、塩化水素ガスの乾燥気流に通して、トリゴネリンおよび4ヒドロキシソロイシンをそれぞれの塩酸塩誘導体として沈殿させる。沈殿した誘導体をろ過し、不純物が無くなるまで洗浄し、60〜90℃で減圧乾燥する。
【0088】
本発明を以下に示す実施例でさらに詳述する。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと捉えるべきではない。
【実施例】
【0089】
実施例1:
水分5%以下のフェネグリーク種子1000gを、ローラーフレーカーで厚さ2mmに薄片化した。薄片化した材料をベッド高さ300mmのカラムにゆっくりと入れ(stalked)た。ヘキサン5Lをフェネグリーク層に通過させ、底部から回収した溶離液を、該フェネグリーク層に35℃で10時間再循環させた。10時間後、ヘキサンフリーのフェネグリーク層を排出した。イソプロピルアルコールと水とを4:1の比で含む溶媒混合物(8L)を、35℃で8時間、溶離液を再循環させることにより前記層に通過させた。8時間後、抽出物フリーのフェネグリークベッドを排出し、そして、回収した全抽出物を減圧下50℃で半固体の塊になるまで濃縮した。
【0090】
濃縮した塊を5Lの脱イオン水に再溶解して透明溶液を得た。この透明な水溶性溶液を、400mlの強酸陽イオン交換性ゲルタイプ樹脂を含有するカラムに2時間、通過させた。TLCスクリーニングのトリゴネリン不在について、シリカゲルプリコート板F254(1.05554.007)上、移動相としてn−ブタノールと酢酸と水との比が12:8:4の系を用いたカラム溶離液上でUV254nmの観測で確認した。カラムの飽和後、樹脂ベッドを4Lの脱イオン水を用いて、色および付着不純物がなくなるまで洗浄した。5N濃度の水性アンモニア800mlを1時間あたり400mlの割合で用いて、カラムを脱離させた。溶出された混合物を、半固体の塊になるまで45℃の減圧で濃縮した。
【0091】
乾燥した塊を150mlの脱イオン水に再溶解し、不溶物がなくなるまでろ過した。その溶液を50℃の減圧下で20%の固形分まで濃縮し、溶液を並流間接熱気スプレードライヤーにて下記の条件でスプレー乾燥させた。
入口温度:160℃
出口温度:80℃
アトマイザーRPM:12000
収量9g(HPLCは、トリゴネリン25%およびアミノ酸35%を示した)。
【0092】
上記材料を250mlのエチルアルコールに再溶解し、41ワットマンろ紙でろ過した後、0℃に冷却した。塩化水素ガスの乾燥気流をこの材料に通過させ、トリゴネリン塩酸塩を沈殿させた。沈殿物をろ紙でろ過し、冷却エチルアルコールで洗浄した後、60℃の減圧下で乾燥させた。
【0093】
実施例2:
水分5%以下のフェネグリーク種子1000gを、ローラーフレーカーで厚さ2mmに薄片化した。薄片化した材料をベッド高さ300mmのカラムにゆっくり入れた。ヘキサン5Lをフェネグリーク層に通過させ、底部から回収した溶離液を、該フェネグリーク層に35℃で10時間再循環させた。10時間後、ヘキサンフリーのフェネグリーク層を排出した。イソプロピルアルコールと水とを4:1の比で含む溶媒混合物(8L)を、35℃で8時間溶離液を再循環させることにより前記層に通過させた。8時間後、抽出物フリーのフェネグリークベッドを排出し、そして回収した全抽出物を減圧下50℃で半固体の塊になるまで濃縮した。
【0094】
濃縮した塊を5Lの脱イオン水に再溶解し、透明溶液を得た。この透明な水性溶液を、400mlの強酸陽イオン交換性ゲルタイプ樹脂を含有するカラムに2時間通過させた。TLCスクリーニングのトリゴネリン不在について、シリカゲルプリコート板F254(1.05554.007)上、移動相としてn−ブタノールと酢酸と水との比が12:8:4の系を用いたカラム溶離液上でUV254nmの観測で確認した。カラムの飽和後、樹脂ベッドを4Lの脱イオン水を用いて、色および付着不純物がなくなるまで洗浄した。5N濃度の水性アンモニア800mlを、1時間あたり400mlの割合で用いて、カラムを脱離させた。溶出された混合物を、半固体の塊になるまで45℃の減圧で濃縮した。
【0095】
乾燥した塊を150mlの脱イオン水に再溶解し、不溶物ががなくなるまでろ過した。その溶液を50℃の減圧下で20%の固形分まで濃縮し、溶液を並流間接熱気スプレードライヤーにて下記の条件でスプレー乾燥させた。
入口温度:160℃
出口温度:80℃
アトマイザーRPM:12000
収量9g(HPLCは、トリゴネリン35%および4−ヒドロキシソロイシン20%を示した)。
【0096】
実施例3:
水分5%以下のフェネグリーク種子1000gを、ローラーフレーカーで厚さ2mmに薄片化した。薄片化した材料をベッド高さ300mmのカラムにゆっくり入れた。ヘキサン5Lをフェネグリーク層に通過させ、底部から回収した溶離液を、該フェネグリーク層に35℃で10時間再循環させた。10時間後、ヘキサンフリーのフェネグリーク層を排出した。エチルアルコールと水とを3.5:1の比で含む溶媒混合物(8L)を、35℃で8時間溶離液を再循環させることにより前記層に通過させた。8時間後、抽出物フリーのフェネグリークベッドを排出し、そして、回収した全抽出物を減圧下50℃で半固体の塊になるまで濃縮した。
【0097】
濃縮した塊を5Lの脱イオン水に再溶解し、透明溶液を得た。その透明な水性溶液を、400mlの強酸陽イオン交換性ゲルタイプ樹脂を含有するカラムに2時間、通過させた。TLCスクリーニングのトリゴネリン不在について、シリカゲルプリコート板F254(1.05554.007)上、移動相としてn−ブタノールと酢酸と水との比が12:8:4の系を用いたカラム溶離液上でUV254nmの観測で確認した。カラムの飽和後、樹脂ベッドを4Lの脱イオン水を用いて、色および付着不純物がなくなるまで洗浄した。5N濃度の水性アンモニア800mlを1時間あたり400mlの割合で用いて、カラムを脱離させた。溶出された混合物を、半固体の塊になるまで45℃の減圧で濃縮した。
【0098】
乾燥した塊を150mlの脱イオン水に再溶解し、不溶物がなくなるまでろ過した。その溶液を50℃の減圧下で20%の固形分まで濃縮し、溶液を並流間接熱気スプレードライヤーにて条件下でスプレー乾燥させた。
入口温度:160℃
出口温度:80℃
アトマイザーRPM:12000
【0099】
収量10g(HPLCは、トリゴネリン35%および4−ヒドロキシソロイシンアミノ酸18%を示した)。
【0100】
上記材料を250mlのエチルアルコールに再溶解し、41ワットマンろ紙でろ過した後、0℃まで冷却した。塩化水素ガス乾燥気流をこの材料に通過させ、トリゴネリン塩酸塩を沈殿させた。沈殿物をろ紙でろ過し、冷却エチルアルコールで洗浄した後、60℃の減圧下で乾燥した。
【0101】
実施例4:
水分15%以下の緑色コーヒーアラビカ種子1000gを、ローラーフレーカーで厚さ2に薄片化した。薄片化した材料をベッド高さ500mmのカラムにゆっくり入れた。水とエチルアルコールとを9:1の比で含む溶媒混合物(8L)を、35℃で8時間、溶離液を再循環させることにより前記層に通過させた。8時間後、抽出物フリーのコーヒーアラビカベッドを排出し、そして、回収した全抽出物を減圧下50℃で半固体の塊になるまで濃縮した。
【0102】
濃縮した塊を5Lの脱イオン水に再溶解し、透明溶液を得た。その透明な水性溶液を、400mlの強酸陽イオン交換性ゲルタイプ樹脂を含有するカラムに2時間、通過させた。TLCスクリーニングのトリゴネリン不在について、シリカゲルプリコート板F254(1.05554.007)上、移動相としてn−ブタノールと酢酸と水との比が12:8:4の系を用いたカラム溶離液上でUV254nmの観測で確認した。カラムの飽和後、樹脂ベッドを4Lの脱イオン水を用いて、色および付着不純物がなくなるまで洗浄した。5N濃度の水性アンモニア800mlを1時間あたり400mlの割合で用いて、カラムを脱離させた。溶出された混合物を、半固体の塊になるまで45℃の減圧で濃縮した。
【0103】
乾燥した塊を150mlの脱イオン水に再溶解し、不溶物がなくなるまでろ過した。その溶液を50℃の減圧下で20%の固形分まで濃縮し、溶液を並流間接熱気スプレードライヤーにて下記の条件でスプレー乾燥させた。
入口温度:160℃
出口温度:80℃
アトマイザーRPM:12000
収量5g(HPLCは、トリゴネリン60%および残余のアミノ酸を示した)。
【0104】
上記材料を200mlのエチルアルコールに再溶解し、41ワットマンろ紙でろ過した後、0℃まで冷却した。塩化水素ガスの乾燥気流をこの材料に通過させ、トリゴネリン塩酸塩を沈殿させた。沈殿物をろ紙でろ過し、冷却エチルアルコールで洗浄した後、60℃の減圧下で乾燥させた。
【0105】
実施例5:
内果皮(parchment)フリーの緑色コーヒーアラビカ種子1000gを、20メッシュサイズを100%通過させるコミューティングミルで粉末化した。粉砕した種子を、6Lの脱イオン水により95〜100℃で4時間茹で、ろ布でろ過して全ての不溶物を取り除いた。該透明溶液を、室温まで冷却し、新たに再生させた強酸陽イオン交換樹脂500mlを含有するイオン交換性樹脂カラムに3時間、通過させた。溶離液の底部を、N−ブタノールと酢酸と水との比が10:8:5のTLC系を用いてトリゴネリン不在モニターのため、UV254nmを通して視覚化した。
【0106】
カラムを5Lの無処理水(Dematerialized water)を用いて色および不純物がなくなるまで洗浄した。カラムを6%のアンモニア溶液600mlで溶出し、前述のTLC系を用いて溶出が完了したかを確認した。溶出された液体をペーストになるまで50℃の減圧で濃縮した。該ペーストを20%の塩化水素酸ガスを含むイソプロピルアルコール100mlにて、3時間75℃で倍散化し、室温まで冷却した。得られた沈殿物をろ過し、イソプロピルアルコール500mlで色がなくなるまで洗浄した。固形物を80℃の減圧で乾燥させ、10gの自由流動性粉末を得た。
【0107】
以下の実施例は、トリゴネリンと4HI、同様にトリゴネリン誘導体(塩酸塩)と4HI誘導体(塩酸塩)を含む新規な組成物を用いて行った。
【0108】
実施例6:マウスのハロペリドール誘起カタレプシー
ハロペリドールは、脳内のドーパミンD2レセプターをブロックする神経弛緩剤である。これは、錘体外路性副作用を引き起こし、“マウスのカタレプシーのためのバー試験”によって測定できる。マウスのカタレプシーは、長時間外部から異常な姿勢を強いられた場合、その修整機能不全として定義される。このマウスにおけるカタレプシーは、パーキンソン病患者に見られる運動喪失、筋硬直や身震いに匹敵する。もし、ドーパミンを脳の線条に供給するドーパミン作動性薬物があれば、競争的アンタゴニズムを増加させるので、ハロペリドール誘起カタレプシーを取り消すことができる。
【0109】
手順:いずれかの性別で23−28gの体重を有するスイスアルビノマウスを使用した。ハロペリドール(0.5mg/kg i.p.)でカタレプシーを誘起し、最高3時間のバールテストで評価した。6体の動物に、塩水、試験薬物および標準を腹腔内投与した。ボックスの床から2.5cmのところに木製ダボを水平に設置した透明プラスチックボックス内に動物を入れた。動物をそのボックスに2分間適応させた。次いで、各動物を肩と前足のまわりで優しくつかんで、注意深くダボの上に置いた。少なくとも一方の前足をバーの上で過ごした時間を測定した。動物がその足を離したとき、時間を測定し、マウスをバーに再び位置させた。各群6動物を用いて、30、60、12および360分時に、3回の試行を各動物について行った。
【0110】
カタレプシーを減じることにおいて、試験薬物は有意な投与量依存性応答を示した(図1)。標準薬物L−ドーパの投与量10mg/kgにおける効果は、試験薬物の100mg/kgにおけるよりも効果的であることがわかった。これらの相違は有意であるけれども、試験薬物は、迅速に作用し、そして標準薬物に存在する“オン−オフ”作用がないことが判明した。また、標準薬物では、カタレプシーへの初期効果後は、カタレプシー減少の衰えを示した。これは、試験薬物のドーパミン作動作用を追認するものである(図1)。したがって、試験薬物は、ハロペリドールによるパーキンソンの誘起症状を取り消すことが見て取れる。
【0111】
ハロペリドール誘起カタレプシーの取り消しは、試験薬物組成物のハロペリドールに起因する副作用を最小限にする能力を証明するものであり、それは、ドーパミンレセプターアンタゴニストである。したがって、これは、薬物が抗精神病薬を含むドーパミンレセプターアンタゴニストの影響を最小限にするために使用することができるドーパミン作動性剤であることを示している。
【0112】
実施例7:オキソトレモリンアンタゴニズム
オキソトレモリンは、ムスカリンアゴニストであるコリン作動性薬物であり、そして、身震い、運動失調、痙直、唾液分泌、流涙および低体温のようなパーキンソン病様徴候を誘起する。オキソトレモリンはコリン作動性薬物であるが、マウスに過剰な身震いを誘起する。もし、薬物が、アトロピンのような抗コリン作動特性を有するならば、身震いは減少するであろう。
【0113】
手順:6〜10匹群の雄性NMRIマウスで18−22gの体重を有するものを使用した。それに、0.5mg/kgのオキソトレモリンの投与1時間前に、試験化合物または標準(5mg/kgのベンズアトロピンメシレート)を経口投与した。オキソトレモリン投与後の1時間5分間隔で身震いスコアを記録した。
【0114】
0.5mg/kgのオキソトレモリンの投与後、身震いが15分以内に始まり、そして、30分間持続した。
【0115】
パラメーター:
【表1】

使用動物数は、各群、n=6である。
【0116】
身震いスコア
【表2】

【0117】
試験化合物は、100mg/kgおよび200mg/kgの投与量にて、身震いスコアの減少に有意な活性を示した。この活性は、一貫しており、最高45分継続した。30mg/kgでの活性は低かった。陽性対照のアトロピンは、テスト活性を示すが、時間と共に減少した。したがって、試験薬物は、緩和な抗コリン作動活性によりパーキンソン病症状を取り消す。
【0118】
唾液分泌および流涙スコア
【表3】

【0119】
試験化合物は、唾液分泌スコアの減少を示した。しかし、アトロピンほど強力ではなく、これにより、緩和な抗コリン作動効果が示された。流涙もまた減少した。しかし,アトロピンほど強力ではなかった。
【0120】
アトロピン1mg/kgおよび試験薬物100、200および400mg/Kgは、身震いの激しさに有意な減少を引き起こし(図2)、そして、投与量30mg/kgでは非有意であった。薬物は、30分で最大の効果を示し、そして、45分後に逆行を始めた。したがって、試験薬物は、極めた高投与量にて、抗コリン作動特性を有する。
【0121】
実施例8:6−ヒドロキシドーパミンモデル
6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)は、神経毒素であり、これは、ドーパミン作動性黒質線条体系路の一側性傷害を引き起こし、それは、病変側の線条におけるシナプス後のドーパミン作動性レセプターの過敏症を誘起する。アンフェタミンのような間接作用化合物を投薬すると、マウスは、病変側(同側性)に回転し、これは、直接作用のドーパミン作動性薬物を投与した場合に、対側性に回転するのを引き起こす場合と対称的である。したがって、このテストは、中心的ドーパミン機能の研究ならびにドーパミンアンタゴニストおよびアゴニストの評価、特に新規な抗パーキンゾン薬物の評価のために使用することができる。このテストは、明らかにドーパミンレセプターアゴニスト活性が支配的な薬物を、薬物のドーパミン放出活性が支配的なものと区別する。
【0122】
手順:手術時に体重200〜250gを有する雄性ウイスターマウスを使用した。これらを、個別に、食物および水を自由に摂取可能な管理された環境に収容した。動物をペントバルビタールナトリウムで麻痺させた。頭を脳定位固定装置(DKI 900)内に置き、ケーニッヒ&ケッペルのアトラスに従って位置させた。頭蓋骨の皮膚内に矢状の切開を入れた後、電気トレパンドリルで2mm幅の孔を開けた。脳膜を傷付けないように注意した。30ゲージのステンレススチールカニューレをハミルトンシリンジに接続したものを黒質の前面緻密部(anterior zona compacta)に狙いをつけた(座標、器具0から前側1.88mm、横側2.0mmおよび背腹−8.2mm)。4γ/Lの塩水中8μgの6−HADの全部を1γ/L/minの速度で注入した。頭蓋内注入の後、傷口を閉じた。
【0123】
前記動物を、障害の回復および成り行きについて数週間みた。特別に構築した不透明プラスチック球(opaque plastic spheres)を取り付けたソリッドステートプログラミング装置は、テストチャンバーとしてに役立つ。障害に対する同側性または対側性の完全な旋回を、1または2時間のテストセッションの間、15分毎に自動記録カウンターで記録した。同側性旋回のための制御値(control values)を測定するために、各対象に2.5mg/kgのアンフェタミンを投薬し、直後に回転チャンバーに2時間入れた。対側性回転についての制御値は、アポモルヒネを1mg/kg s.c.注入し、1時間、ラットの回転を記録することにより測定した。試験化合物は、腹腔内(i.p.)または皮下(s.c.)に与えた。そして、動物を回転チャンバー内に入れた。回転を1時間に渡って記録した。この実験を、30動物で行い、その平均を表に示す。
【0124】
【表4】

【0125】
試験薬物は、投与量30mg/kg(P<0.001)および10mg/kg(P<0.05)で有意な同側性回転を誘起した。このテストは、ドーパミンの減少およびそれゆえのパーキンソン病を模倣している。抗パーキンソン病化合物は、対側性または同側性の回転を有し得る。アンフェタミンのような薬物は、同側性の回転を有する。L−ドーパ、アポモルヒネ、ブロモクリプチンのような薬物は、対側性の回転を誘起するけれども、セレギリンのようなモノアミンオキシダーゼBインヒビターは、同側性回転を誘起する。COMTインヒビターは、対側性回転を誘起する。
【0126】
試験薬物は、アンフェタミンまたはモノアミンオキシダーゼ(MAO−B)インヒビターのようにふるまった。したがって、試験薬物は、これらの投与量にて対照と比べて有意なドーパミン放出特性を有し得る。
【0127】
このモデルは、化合物がドーパミン作動性のものか、ドーパミンレセプターに作用するものかを測定するための重要な一つである。試験化合物を用いた同側性回転は、そのドーパミン作動性活性を示す。対側性回転を示す今までのクラスの薬物と違って、試験化合物は、ドーパミン作動性剤であり、レセプターアゴニストではない。
【0128】
この実験から、試験薬物の唯一のドーパミン作動性活性が証明される。したがって、このドーパミン作動性組成物は、ドーパミンレベルの増加に関連した適用を見出すことができる。ドーパミンレベルの増大は、プロラクチンレベルに関してインヒビター効果を有する。プロラクチンレベルの増大は、PCOSおよび不妊症の原因の一つである。このドーパミン作動性化合物は、ドーパミンレベルを増加させることにより、プロラクチンレベルを抑える。
【0129】
このドーパミン作動性化合物は、また、筋弛緩物質としての適用も見出す。
【0130】
実施例9:MPTP処置マウスの試験薬物の効果
このテストは、MPTP(メチルフェニルテトラピリジン)を処置したマウスの、試験薬物を前処置または後処置した際の自力運動活性に関する影響の程度を測定するものである。
【0131】
MPTPを、全身経路(systemic route)を介して投薬した場合、ドーパミンシステム機能の一時的損傷を招く。このテストは、神経変性過程を病態生理を測定するとともに、神経栄養性および神経保護薬の効果を測定するのに役立つ。
【0132】
MPTPは、マウスの自力運動活性を有意に減少させる。試験薬物の有効性をMPTP処置マウスでの運動活動の増加率に基づいて測定した。
【0133】
自力運動活性は、以下の観点で測定した:
1.自発運動量
【表5】

【0134】
試験薬物を用いたマウスの前処置では、MPTP.の影響が有意に減少した。前処置は良好な結果をあげたが、試験薬物を用いたマウスの治療である、MPTPを用いた後処置では、運動活動の増加を示さなかった。
【0135】
2.オープンフィールドでの交差スクエア数(number of squares crossed)
【表6】

【0136】
試験薬物の前処置は、マウスによる交差スクエア数を顕著に増加させたが、試験薬物の後処置では、きわめて有意な増加は示さなかった。
【0137】
3.オープンフィールドでの総移動距離
【表7】

【0138】
試験薬物の前処置は、マウスによる総移動距離を顕著に増加させたが、試験薬物の後処置では、きわめて有意な増加は示さなかった。
【0139】
4.オープンフィールドでの総合動作時間
【表8】

【0140】
MPTP処置マウスに試験薬物を用いた場合、前/後処置で観測された時間の変化に有意差はなかった。
【0141】
5.オープンフィールドでの平均速度
【表9】

【0142】
試験薬物のマウス前処置は、マウスの平均速度を有意に増加させたが、後処置はスピードを増加させなかった。
【0143】
したがって、上記実験により、上記工程により調製された組成物は、強力なドーパミン作動性活性を有し、MAOインヒビターであることが観測された。この薬物の最適投与量は、きわめて高い投与量で見られる抗コリン作動活性を示さない。
【0144】
実施例10:タイラミン相乗作用に関する試験薬物の影響
非選択的MAO インヒビターを精神神経病薬物として用いると、タイラミン相乗作用と呼ばれる状態を引き起こす。タイラミンは、モノアミンノルアドレナリンの前駆体であるアミノ酸である。モノアミンオキシダーゼ−A(MAO−A)は、タイラミンをノルアドレナリンに転換するのを防ぐ酵素である。したがって、MAO−Aインヒビターのように作用する薬物の存在下では、ノルアドレナリンレベルは高い。チーズ、ワインなどのようなたいていの発酵食物は、タイラミンの比率が高い。したがって、これらの食物を、MAO−Aインヒビターを消費している対象に注入すると、タイラミンレベルが急増し、その結果、ノルアドレナリンレベルもまた上がる。このノルアドレナリンレベルの突然の増加は、血圧を顕著に増加させ、致命的な結果へ導き得る。
【0145】
タイラミン相乗作用テストは、試験薬物のMAO−A/Bの選択性を測定するために行われる。このテストの正確な測定のために、薬物の急性および慢性の環境で研究を行った。
【0146】
急性試験:
急性試験では、雄性ウイスターラット(n=5)を採取し、ウレタン溶液(1.25g/kg, i.p.)を注射することにより麻痺させた。体温を37℃に維持し、気管にカニューレを入れて気道を確保した。(血圧)装置をカニューレ内に挿入して、左頚動脈および頚静脈の血圧(BP)をモニターし、薬物をそれぞれ投与した。動脈カテーテルを圧力変換機に接続して、4チャンネル生理学記録システム(physiological recorder systems)を用いて血圧を測定した。試験薬物(30mg/kg p.o.)のタイラミン(5mg/kg i.v.)への影響を記録した(図3)。
【0147】
研究は、以下の3群で行った:
群1: 通常
群2: タイラミン+試験薬物
群3: タイラミン単独
【0148】
慢性試験:
雄性ウイスターラット(n=5)に、試験薬物(30mg/kg p.o.)を一ヶ月間投薬した。体温を体温を37℃に維持し、気管にカニューレを入れて気道を確保した。(血圧)装置をカニューレ内に挿入して、左頚動脈および頚静脈の血圧(BP)をモニターし、薬物をそれぞれ投与した。動脈カテーテルを圧力変換機に接続して、4チャンネル生理学記録システムを用いて血圧を測定した。試験薬物(30mg/kg p.o.)のタイラミン(5mg/kg i.v.)への影響を記録した(図4)。
【0149】
研究は、以下の3群で行った:
群1: 通常
群2: タイラミン+試験薬物
群3: タイラミン単独
【0150】
急性および慢性試験の両方で、試験薬物は、血圧の上昇を示さず、したがって、これらはMAO−Aインヒビターでないことを証明した。タイラミンは、血圧の若干の増加を引き起こし、今までのクラスのMAOIは、通常、血圧の顕著な増加(タイラミン相乗作用)をもたらす。したがって、急性および慢性試験に見られるグラフから、試験薬物は、血圧増加を強化しない。
【0151】
したがって、試験薬物は、MAO−Bインヒビターと考えられ、これは、タイラミン相乗作用をもたらさず、摂食時に食物から摂取されるタイラミンと相互作用しない。これは、既存のクラスの薬物に対して試験薬物の大きな利点である。
【0152】
実施例11:試験薬物の酵素アッセイでの評価
この実験の阻害曲線を図5に示す。これらの酵素アッセイを、以下の文献に従って行った。
・Youdim MB and Finberg JP(1991)
New directions in monoamine oxidase A and B selective inhibitors and substrates. Biochem Pharmacol.41(2):155−162
・Urban P, Andersen JK, Hsu HP and Pompon D(1991)
Comparative membrane locations and activities of human monoamine oxidases expressed in yeast. FEBS Lett.286(1−2):142−146.
【0153】
この実験では、試験薬物組成物F−1の酵素モノアミンオキシダーゼの阻害能力を測定した。MAOは、モノアミンの酸化を触媒する酵素群である。ヒトでは、二タイプのMAO− MAO AおよびMAO Bが存在する。両酵素群は、神経細胞およびアストログリア内に見出され、CNSの外にもある。
【0154】
CNSの外では、MAOは、以下に見出される:
MAO−A: 肝臓、胃腸管および胎盤
MAO−B: 血小板
【0155】
両MAOは、また、モノアミン性神経細胞伝達物質の不活性化に不可欠であり、そのために、それらは、異なる特異性を呈する。
・MAO−A: セロトニン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、およびエピネフリン(アドレナリン)の衰弱
・MAO−B: フェネチルアミンの衰弱
MAOの両形態は、ドーパミンを衰弱させる。
【0156】
現在のクラスのMAOインヒビターは、通常、チーズ、酢漬けの食物、チョコレート、ビール、ワインおよび一定の食肉のような高タイラミンレベルの食物と相互作用を有する。タイラミンとMAOIとの相互作用は、危機的に高い血圧上昇をもたらし、脳卒中を引き起こし得る。
【0157】
図5に、試験化合物によるMAO−B選択的阻害を示す応答曲線を示す。このグラフは、を示す。試験薬物によるMAO−Bの阻害を示し、これは、パーキンソン病を含むドーパミン関連疾患の治療にきわめて有用である。
【0158】
行ったタイラミン相乗作用実験を実施例10に示す。試験薬物は、血圧増加させる影響を有さず、したがって、それを必要とする対象の使用が安全dせある。
【0159】
実施例12:
ヒトには、以下のように投与する:
1)パーキンソン疾患の管理について治療上有効な施用の場合、ヒト投与量は、1日一回量として0.5mg/kg〜20mg/kg、あるいは、1日あたり3回等分量に倍散化である。
2)性欲減退および性機能不全に関係するプロラクチンレベルの減少に治療上有効な投与の場合、一日の推奨投与量は、1回量として0.5mg/kg体重〜25mg/kg体重、あるいは、1日あたり3回等分量に倍散化である。
3)乳母の泌乳を停止するのに治療上有効な投与量は、一日あたり0.5mg/kg〜20mg/kg体重である。
4)運動生理学の筋弛緩の場合、推奨投与量は、0.25mg/kg〜17mg/kg体重
5)精神的覚醒および行動増進(performance enhancement)の場合、一日あたりの推奨投与量は、0.25mg/kg〜15mg/kg体重である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む、ドーパミン作動性活性および他の関連する薬理活性を有する医薬組成物。
【請求項2】
前記トリゴネリンまたはその誘導体の濃度は30%〜90%の範囲にあり、そして前記4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体の濃度は10%〜30%の範囲にある、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記トリゴネリンは、植物または動物原料から得られる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記トリゴネリンは、フェニュグリークおよびコーヒーアラビカから得られる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
トリゴネリンの誘導体は、塩酸塩誘導体、酢酸塩誘導体、クエン酸塩誘導体、安息香酸塩誘導体、塩誘導体および酸誘導体からなる群から選択され、好ましくは塩酸塩誘導体である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記4−ヒドロキシソロイシンは、植物原料、好ましくはフェニュグリークから得られる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記4−ヒドロキシソロイシンの誘導体は、塩酸塩誘導体、酢酸塩誘導体、クエン酸塩誘導体、安息香酸塩誘導体、塩誘導体および酸誘導体からなる群から選択され、好ましくは、塩酸塩誘導体である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記添加剤は、造粒剤、結着剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、接着阻害剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、芳香剤、可塑剤、防腐剤、沈殿防止剤、乳化剤および球状化剤からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物は、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、乳液、クリーム、スプレー、ドロップ、分散性粉剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセル内乳液、シロップ、エリキシル剤、フィトケミカル、栄養補助食品および食品の材料からなる群から選択される投与形態に製剤化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記の他の関連薬理活性は、プロラクチンの阻害、筋弛緩、カテコールアミンの前駆体としての役割、ならびに性機能不全および抗精神病薬に起因する副作用の減少からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物の調製方法であって、以下の工程:
a)植物原料からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンを含有する透明溶液を抽出し、
b)適宜、前記透明溶液からトリゴネリンおよび4−ヒドロキシソロイシンの誘導体を沈殿させ、次いで前記組成物を得る、前記方法。
【請求項12】
前記トリゴネリンまたはその誘導体の濃度は30%〜90%の範囲にあり、そして前記4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体の濃度は10%〜30%の範囲にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記添加剤は、造粒剤、結着剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、接着阻害剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、芳香剤、可塑剤、防腐剤、沈殿防止剤、乳化剤および球状化剤からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記誘導体は、塩酸塩誘導体、酢酸塩誘導体、クエン酸塩誘導体、安息香酸塩誘導体、塩誘導体および酸誘導体からなる群から選択され、好ましくは、塩酸塩誘導体である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記透明溶液は、フェニュグリークおよび/またはコーヒーアラビカの植物から、以下の工程:
a)トリゴネラおよび/またはコーヒーアラビカの種子を薄片化し、
b)薄片化したトリゴネラ種子をヘキサン溶媒を用いて脱脂し、
c)脂肪族アルコールおよび水の溶媒混合物を薄片化種子に通して、トリゴネリンおよびアミノ酸を含有する溶媒を抽出し、
d)該溶媒を減圧濃縮して半固形の塊を得、
e)該半固形の塊を脱イオン水に溶解して透明溶液を得、
f)工程(e)の透明溶液をイオン交換樹脂カラムに通して、アミノ酸およびトリゴネリンを保持させ、
g)該カラムを溶出し、溶離液を濃縮して得られる塊を取得し、
h)得られた塊の透明溶液を乾燥して、流動性粉末を得、そして、
i)該粉末を溶媒に溶解して、トリゴネリンおよびアミノ酸を含有する透明溶液を得る
で抽出される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記種子は、薄片化され、好ましくは約2mm厚のサイズに薄片化される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒混合物は、脂肪族アルコールおよび水を1:9〜9:1、好ましくは7:3の比で含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記脂肪族アルコールは、エタノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記カラムは、アンモニアの水性またはアルコール性溶液で溶出される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記溶媒は、複素環状化合物、脂肪族化合物、ケトン、シアン化物、アルコール、ニトリル、エステル、エーテルおよびこれらの一種または二種以上の混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記溶媒は、エタノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
記濃縮は、40℃〜80℃の範囲の温度で行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記アミノ酸は、4−ヒドロキシソロイシンである、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、ドーパミン関連疾患を治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用。
【請求項25】
前記対象は、ヒトを含む動物である、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、プロラクチンに起因する病へいを治療するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用。
【請求項27】
前記プロラクチンに起因する病へいは、不妊症、多嚢胞性卵巣疾患および泌乳増大からなる群から選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記対象はヒトを含む動物である、請求項26に記載の使用。
【請求項29】
トリゴネリンまたはその誘導体および4−ヒドロキシソロイシンまたはその誘導体を適宜の添加剤とともに含む医薬組成物を、ドーパミンレセプターアンタゴニストに起因する副作用を管理するための医薬品を必要とする対象に製造する際の使用。
【請求項30】
前記副作用は、ドーパミンレセプターアンタゴニストによるドーパミンレセプターのブロックに起因する動作障害である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記対象は、ヒトを含む動物である、請求項29に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−523475(P2010−523475A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552330(P2009−552330)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000119
【国際公開番号】WO2008/107909
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509226554)インダス バイオテック プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】