説明

医薬組成物の調製方法

a)i)非水溶性トリプタン、ii)水溶性担体、及びiii)前記トリプタン及び担体の各々のための溶媒を含む混合物を準備する工程、並びにb)前記混合物を噴霧乾燥して前記溶媒又は各々の溶媒を除去し、担体中におけるトリプタンの実質的に溶媒を含まないナノ分散を得る工程を含む、非水溶性トリプタンを含む組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物に関する改善に関する。特に、本発明は、所謂「トリプタン」のグループに属する、医薬として活性を有する組成物及びその前駆物に関連する。
【背景技術】
【0002】
トリプタンは、例えば、片頭痛及び群発頭痛の治療において使用される、トリプタミン系薬剤のファミリーである。それらは、選択的なセロトニン受容体アゴニストであり、それらの作用機序は、体内の中枢系、例えば、脳の後角及び/又は末梢系、例えば、頭蓋血管の5−HT1B及び5−HT1D受容体における、それらのセロトニンアゴニスト活性に帰するものである。他の投薬計画が可能であるが、トリプタンは好ましくは頭痛の発生の20分以内に患者に投与される。
【0003】
トリプタンは、スマトリプタン(イミトレックス(登録商標)、イミグラン(登録商標))、リザトリプタン(マクサルト(登録商標))、ナラトリプタン((アマージ(登録商標)、ナラミグ(登録商標))、ゾルミトリプタン(ゾミグ(登録商標))、エレトリプタン(レルパックス(登録商標))アルモトリプタン(アキサート(Axert)(登録商標)、アルモグラン(登録商標))、並びにフロバトリプタン(フロバ(登録商標)、ミガード(Migard)(登録商標))を含む。
【0004】
多数のトリプタンは低い水溶性を示し、実質的には水に不溶性である。このことが、それらの効果的な使用を妨げ、特に基本形態における経口送達のための使用を妨げ、水溶性塩の形態、例えば、スマトリプタンスクシネート、リザトリプタンベンゾエート、ナラトリプタンヒドロクロリド、エレトリプタンヒドロブロミド、アルモトリプタンマレート、フロバトリプタンスクシネートが好まれる。
【0005】
WO 2004/011537は、水溶性ポリマー材料の三次元オープンセル格子を含む固体の多孔性ビーズの形成を開示している。これらは、典型的には、水相にポリマーが溶解している高内部相エマルション(HIPE)から水及び非水性分散相の双方を除去することによって形成される「鋳型」材料である。前記ビーズは、HIPEエマルションを低い温度の流動体、例えば液体窒素に滴下し、次いで、凍結乾燥によって水相及び分散相の大半を除去して粒子を形成することによって形成される。これによって、「骨格」構造の形態のポリマーが残存する。前記ビーズは、水に即時に溶解し、凍結乾燥前にエマルションの分散相に分散した非水溶性成分もビーズのポリマー骨格の溶液上で水に分散可能であるという顕著な特性を有する。
【0006】
WO 2005/011636は、ポリマー中における薬剤の「固体非晶質分散」を形成するための非エマルション系の噴霧乾燥方法を開示している。当該方法では、ポリマーと低溶解性薬剤とを溶媒に溶解し、噴霧乾燥して、薬剤が大部分において結晶形態よりも非晶質形態において存在する分散を形成する。
【0007】
未公開の同時継続中の出願(2005年1月28日に出願のGB 0501835及び2006年7月13日に出願のGB 0613925)は、水中でナノ分散を形成する材料が、好ましくは、噴霧乾燥方法によって調製できることを開示している。これらの出願のでは、まず、非水溶性材料をエマルションの溶媒相に溶解させる。次に、非水溶性材料を混合溶媒系に溶解して、水溶性構造化剤と同じ相に共存させる。双方の場合において、液体は環境温度(20℃超)で例えば噴霧乾燥によって乾燥され、そこに分散される非水溶性材料と共に担体として構造化剤の粒子を製造する。これらの粒子が水中に置かれると、それらは、典型的には300nm未満の粒子である非水溶性材料のナノ分散を形成する。この大きさはウイルス粒子の大きさと類似しており、非水溶性材料は溶液中にあるかのように振舞う。
【0008】
本願では、他に示さない限り、用語「環境温度」は20℃を意味し、全てのパーセントは重量パーセントを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 2004/011537
【特許文献2】WO 2005/011636
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、エマルションに基づく方法及び単相の方法の双方を使用して、トリプタンの水溶性のナノ分散形態を製造することが可能であることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、
a)i)非水溶性トリプタン、
ii)水溶性担体、及び
iii)前記トリプタン及び担体の各々のための溶媒
を含む混合物を準備する工程、並びに
b)前記混合物を噴霧乾燥して前記溶媒又は各々の溶媒を除去し、担体中におけるトリプタンの実質的に溶媒を含まないナノ分散を得る工程
を含む、非水溶性トリプタンを含む組成物の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の分散物の好ましい粒径計測方法は、動的光散乱装置(Malvern Instruments,UKによって製造されているNano S)を利用する。具体的には、Malvern Instruments Nano Sは、赤色(633nm)の4mW ヘリウム−ネオンレーザーを使用して、材料の懸濁物が入った標準光学的品質のUVキュベットに照射する。本願における粒径は、標準的なプロトコルを使用して装置を用いて得られるものである。個体の製造物における粒径は、粒径の測定及び固体の水溶液によって得られる粒径の測定から推定される粒径である。
【0013】
好ましくは、非水溶性トリプタンの最大直径は1500nm未満である。より好ましくは、前記非水溶性トリプタンの最大直径は1000nm未満であり、最も好ましくは800nm未満である。本発明の特に好ましい実施態様では、前記非水溶性トリプタンの中位径が400から1000nmの範囲、より好ましくは500から800nmの範囲である。
【0014】
本発明の方法によって得られる有利な組成物は、非水溶性トリプタンおよび水溶性担体を含み、前記担体中に分散された750nmの平均粒径のトリプタン粒子を含む。結果として生じるナノ分散における粒径の低減は、非水溶性材料であってもアベイラビリティーを改善する点において顕著な利点を有すると解される。このことは、改善されたバイオアベイラビリティーが望まれている場合又は材料の局所的に高い濃度を避けるべきである類似の用途において特に有利であると解される。さらに、小さい粒径のナノ分散は、より大きな粒径のものよりも安定であると解される。
【0015】
本発明との関連において、トリプタンに当てはまるような「非水溶性」は、水中での溶解度が25g/L未満であることを意味する。「非水溶性トリプタン」についても、トリプタンの溶解度が20未満又は15g/L未満であることを意味する。好ましくは、非水溶性トリプタンは、5g/L未満、好ましくは1g/L未満、特に好ましくは150mg/L未満、さらにより好ましくは100mg/L未満の環境温度(20℃)での水中における溶解度を有する。当該溶解度のレベルは、本明細書において非水溶性が意味するところの意図された解釈を与える。
【0016】
好ましい非水溶性トリプタンは、スマトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フラバトリプタン、及びゾルミトリプタンの基本形態、並びにこれらの化合物の非水溶性誘導体を含む。
【0017】
好ましい担体材料は、水溶性有機及び無機材料、界面活性剤、ポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0018】
本発明の更なる態様は、
a)i)トリプタンのための水非混和性溶媒中におけるトリプタン溶液、及び
ii)担体の水溶液
を含むエマルションを形成する工程;並びに
b)前記エマルションを乾燥させて、水及び水非混和性溶媒を除去し、担体中におけるトリプタンの実質的に溶媒を含まないナノ分散を得る工程
を含む、非水溶性トリプタン及び水溶性担体を含むトリプタン組成物を調製するための方法を提供する。
【0019】
簡便のために、当該種類の方法は、本明細書において「エマルション」方法と称する。
【0020】
本発明の更なる態様は、
a)i)少なくとも1つの非水性溶媒、
ii)任意に、水、
iii)(i)及び(ii)の混合物に可溶性の水溶性担体材料、及び
iv)(i)及び(ii)の混合物に可溶性の非水溶性トリプタン
を含む、単相混合物を準備する工程;並びに
b)前記溶液を乾燥させて、水及び水混和性溶媒を除去し、担体中におけるトリプタンの実質的に溶媒を含まないナノ分散を得る工程
を含む、非水溶性トリプタン及び水溶性担体を含むトリプタン組成物を調製するための方法を提供する。
【0021】
簡便のために、当該種類の方法は、本明細書において「単相」方法と称する。
【0022】
本発明との関連において、「実質的に溶媒を含まない」は、医薬品における残存溶媒レベルについての国際的な製薬取締機関(例えば、FDA、EMEA)によって認可されている限度内であり、且つ/又は、医薬品の溶媒含有量が15重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満であることを意味する。
【0023】
本発明との関連において、担体材料及びトリプタンの双方が、乾燥工程の前に、本質的に完全にそれらの個々の溶媒に溶解されていることが重要である。スラリーを乾燥することは、本明細書の範囲ではない。したがって、誤解をさけるためにいうと、前記エマルション又は混合物の固体含有量は、90重量%超、好ましくは95重量%超、更に好ましくは98重量%超の可溶性材料が乾燥工程前の溶液に存在するような量である。
【0024】
上述の方法に関連して、好ましいトリプタン及び好ましい担体材料は上述のものであり、以下により詳細に述べる。
【0025】
同様に、前記材料の好ましい物理特性は上述のものである。
【0026】
トリプタン及び担体材料の双方が少なくとも1つの他の非水性溶媒(及び任意に水)を含む相に溶解されている「単相」が好ましい。ナノ分散トリプタンについては、より小さな粒径を得るのに、より有効であると解される。好ましくは、乾燥工程は、水及び他の溶媒の双方を同時に除去し、より好ましくは、乾燥工程は、環境温度より高い温度で噴霧乾燥によって達成される。
【0027】
本発明の方法的な態様によって得ることが可能な製品は、片頭痛及び頭痛、特に群発頭痛のための医薬の調製における使用に適する。
【0028】
本発明の更なる態様は、本発明の組成物を調製する工程を含む、片頭痛及び頭痛、特に群発頭痛の治療において使用するための医薬の調製方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】図1Aは、スマトリプタン噴霧溶液を製造する方法を示すフローチャートである。
【図1B】図1Bは、スマトリプタン噴霧溶液を製造する方法を示すフローチャートである。
【図2】図2は、スマトリプタンバッチINS089−UT04のサイズ分析を示すグラフである。
【図3】図3は、スマトリプタンバッチINS089−UT05のサイズ分析を示すグラフである。
【図4】図4は、スマトリプタンバッチINS089−UT06のサイズ分析を示すグラフである。
【図5】図5は、スマトリプタンバッチINS089−UT04、INS089−UT05、及びINS089−UT06のサイズ分析を示すグラフである。
【図6】図6は、X線粉末回折の結果を示す。
【図7】図7は、X線粉末回折の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の各種の好ましい特徴及び実施態様は、以下に更に詳細に説明する。
【0031】
トリプタン
上述のように、好ましい非水溶性トリプタンはスマトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、並びにそれらの誘導体及び混合物を含む。これらのトリプタンは、本発明の組成物において単独で医薬としての活性成分として存在してよく、又は他の薬剤と共に存在して所謂「併用療法」を提供してよい。
【0032】
説明に役立つ例として、トリプタン、例えば、スマトリプタンと、更なる薬剤、例えば、NSAID、例えば、ジクロフェナク、イブプロフェン、若しくはナプロキセン、パラセタモル、又は他の鎮痛剤、例えば、コデイン、或いは他の制吐剤、例えば、ジフェンヒドラミン又はオンダンセトロンとの組み合わせを提供することも有益であろう。
【0033】
水分散性製品の形態
本発明は、非水溶性材料でありながら水分散性形態を得るための方法を提供する。これは、水溶性担体材料及び非水溶性トリプタンの双方が溶解する、完全には水性でない中間エマルション又は溶液を形成することによって調製される。溶媒を除去すると、非溶解性トリプタンが、水溶性担体材料全体に分散した状態となる。適切な担体材料を以下に更に詳細に説明する。
【0034】
乾燥工程後に得られる材料の構造は、よく理解されていない。結果として得られる乾燥材料は、カプセルに封入されたものではなく、不連続な非水溶性材料の巨視的物体は前記乾燥材料中に存在しない。乾燥材料「乾燥エマルション」も同様であり、エマルションの「油」相を含む揮発性溶媒は乾燥工程後に全く存在しないか又は僅かに存在する。乾燥製品に水を添加しても、エマルションは再構成されず、「乾燥エマルション」のままである。前記組成物は所謂固溶体ではなく、本発明では利点を損なうことなく成分の比率を変化することが可能であると解される。X線及びDSC試験からも、本発明の組成物は固溶体ではなく、ナノスケールで相が分離した混合物を含むと解される。さらに、X線粉末回折試験からして、製造されるトリプタンナノ粒子材料は、結晶形態であり、非晶質の形態ではないと解され、かつ、主に又は全体的に出発材料と同一の結晶形態であると解される。
【0035】
好ましくは、乾燥工程後に製造される組成物は、1:500から1:1(トリプタン:担体)、好ましくは1:100から1:1の重量比において、トリプタン及び担体を含むであろう。典型的なレベルとして約10から50重量%の非水溶性トリプタン及び90から50重量%の担体が、噴霧乾燥によって得られてよい。
【0036】
本発明の方法によって、トリプタン材料の粒径は、1000nm未満まで低減されてよく、約100nmまで低減されてよい。好ましくは粒径は400から800nmの範囲である。
【0037】
「エマルション」調製方法
本発明の1つの好ましい方法では、非水溶性トリプタンのための溶媒は、水に混和性ではない。したがって、水と混合してエマルションを形成してよい。
【0038】
好ましくは、非水性相は、約10%から約95%(v/v)、より好ましくは約20%から約68%(v/v)のエマルションを含む。
【0039】
前記エマルションは、典型的には、例えば、マグネティックスターラーバー、ホモジナイザー、又はローテーショナルメカニカルスターラーを使用することによって、当業者によく知られた条件下で調製される。前記エマルションは、乾燥前に過度な相分離を起こさない限りにおいて、特に安定である必要は無い。
【0040】
高剪断混合装置を使用する均質化は、特に、水相が連続相であるエマルションを製造するのに特に好ましい方法である。粗悪なエマルションを回避し、エマルション分散相の液滴サイズを低減することは、乾燥製品において「積載」する材料の改善された分散を生じさせると解されている。
【0041】
本発明の好ましい方法では、500nmから5000nmの間の平均分散相の液滴サイズ(Malvern peak intensityを使用して測定)を有する水の連続相を有するエマルションが調製される。本発明者は、Ultra−Turrux T25タイプ実験用ホモジナイザー(又はその同等物)を、10,000rpmで1分より長く作動させた際に適切なエマルションが得られることを見出した。
【0042】
水溶液中の本発明の材料の分散後に検出し得る、エマルションの液滴サイズと搭載する材料の粒径との間の方向関係(directional relation)が存在する。本発明者は、前駆体エマルションの均質化速度の増大によって、再溶解後の最終的な粒径を低減させ得ることを見出した。
【0043】
再溶解した粒子のサイズは、13,500rpmから21,500rpmまで均質化速度を増大させた際に、約1/2まで低減されてよい。均質化時間も、再溶解した粒子サイズの調節において役割を担っていると解される。また、粒径は均質化時間における増大と共に低減し、粒径分布が同時に広くなる。
【0044】
超音波処理も、エマルション系の液滴のサイズの低減に特に好ましい方法である。本発明者は、Hert systems Sonicator XLをレベル10で2分間に亘って操作することが適切である。
【0045】
溶媒及び/又は担体に対するトリプタンの相対濃度を低減させた成分の比率は、より小さな粒径を与えると解される。
【0046】
「単相」調製方法
本発明の代替的な方法では、担体及びトリプタンの双方が、非水性溶媒又はその様な溶媒と水との混合物に可溶性である。本明細書の全体において、非水性溶媒は、非水性溶媒の混合物であってよい。
【0047】
この場合において、乾燥工程の原料は、水溶性担体及び非水溶性トリプタンの双方が溶解している単相材料であってよい。担体及びトリプタンが同一の相に溶解しているという限りにおいて、当該原料がエマルションであってもよい。
【0048】
「単相」方法は、一般的には、エマルション方法よりも小さな粒径を有する、より良好なナノ分散が得られると解される。
【0049】
溶媒及び/又は担体に対するトリプタンの相対濃度を低減した成分の比率はより小さな粒径を与えると解される。
【0050】
乾燥
噴霧乾燥は、当業者によく知られている。本発明の場合には、乾燥するエマルション中の揮発性の非水性溶媒の存在のために、ある程度注意をする必要がある。可燃性溶媒を使用する際に爆発する危険性を低減するために、不活性ガス、例えば、窒素を、所謂閉じた噴霧乾燥系における乾燥媒体として使用してよい。溶媒を回収して再使用してよい。
【0051】
本発明者は、Buchi B−290タイプの実験用噴霧乾燥機器が適切なものであることを見出した。
【0052】
乾燥温度は、100℃以上であるべきであり、好ましくは120℃超、最も好ましくは140℃超であることが好ましい。高温の乾燥温度は、再溶解したナノ分散材料においてより小さな粒子を与えることが認められた。
【0053】
担体材料
担体材料は水溶性であり、これは構造化された水相の形成並びに分子的に単分散種の真にイオン性の溶液の形成を含む。担体材料は、好ましくは、無機材料、界面活性剤、又はポリマーを含み、或いはこれらの二以上の混合物であってよい。
【0054】
他の非ポリマーの有機水溶性材料、例えば、糖を担体として使用してよいことが予想される。しかしながら、本明細書に具体的に言及した担体材料が好ましい。
【0055】
適切な担体材料(本明細書では「水溶性担体材料」と称する)は、好ましい水溶性ポリマー、好ましい水溶性界面活性剤、及び好ましい水溶性無機材料を含む。
【0056】
好ましいポリマー担体材料
適切な水溶性ポリマー担体材料の例は、
(a)天然ポリマー(例えば、天然ガム、例えば、グァーガム、アルギネート、ロカストビーンガム、又はポリサッカリド、例えば、デキストラン);
(b)セルロース誘導体、例えば、キサンタンガム、キシログルカン、セルロースアセテート、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩(例えば、SCMCナトリウム塩)、又はカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロー及びその塩(例えば、ナトリウム塩);
(c)ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホネート、アミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメチルアクリレート、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルアミン、ビニルピリジン、エチレングリコール及び他のアルキレングリコール、エチレンオキシド及び他のアルキレンオキシド、エチレンイミン、スチレンスルホネート、エチレングリコールアクリレート、並びにエチレングリコールメタクリレートから選択される2以上のモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマー;
(d)シクロデキストリン、例えば、β−シクロデキストリン;並びに
(e)それらの混合物
を含む。
【0057】
ポリマー材料がコポリマーである際は、統計コポリマー(ランダムコポリマーとしても知られている)、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、又は超分枝コポリマーであってよい。上述のもの以外のコモノマーが、それらの存在が結果として得られるポリマー材料の水溶性又は水分散性の性質を破壊しない場合に、上述のものに加えて含まれてもよい。
【0058】
適切且つ好ましいホモポリマーの例は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド(例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリメタクリルアミド;ポリアクリルアミン、ポリメチルアクリルアミン(例えば、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート及びポリ−N−モルホリノエチルメタクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホネート、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリ−2−エチルオキサゾリン、ポリエチレンイミン、及びそれらのエトキシ化誘導体を含む。
【0059】
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにアルギネートが好ましいポリマー担体材料である。
【0060】
好ましい界面活性剤担体材料
担体材料が界面活性剤である際は、界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、又は両性イオン性であってよい。
【0061】
適切な非イオン性界面活性剤の例は、エトキシ化トリグリセリド;脂肪アルコールエトキシレート;アルキルフェノールエトキシレート;脂肪酸エトキシレート;脂肪アミドエトキシレート;脂肪アミンエトキシレート;ソルビタンアルカノエート;エチル化ソルビタンアルカノエート;アルキルエトキシレート;Pluronic(商標);アルキルポリグルコシド;ステアロールエトキシレート;及びアルキルポリグリコシドを含む。
【0062】
適切なアニオン性界面活性剤の例は、アルキルエーテルスルフェート;アルキルエーテルカルボキシレート;アルキルベンゼンスルホネート;アルキルエーテルホスフェート;ジアルキルスルホスクシネート;サルコシネート;アルキルスルホネート;セッケン;アルキルスルフェート;アルキルカルボキシレート;アルキルホスフェート;パラフィンスルホネート;第二級n−アルカンスルホネート;αオレフィンスルホネート;及びイセチオネートスルホネートを含む。
【0063】
適切なカチオン性界面活性剤の例は、脂肪アミン塩;脂肪ジアミン塩;第四級アンモニウム化合物;ホスホニウム界面活性剤;スルホニウム界面活性剤;及びスルホキソニウム界面活性剤を含む。
【0064】
適切な両性イオン性界面活性剤の例は、アミノ酸(例えば、グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸)のN−アルキル誘導体;イミダゾリン界面活性剤;アミンオキシド;及びアミドベタインを含む。
【0065】
界面活性剤の混合物を使用してよい。その様な混合物には、担体材料が全体として固体である限りにおいて、液体である個々の成分が存在してよい。
【0066】
アルコキシル化非イオン性界面活性剤(特に、PEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホネート(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)及びTween(商標)のソルビタンエステル)、及びカチオン性界面活性剤(特に、セチルトリメチルアンモニウムブロミド − CTAB)が、界面活性剤担体材料として特に好ましい。
【0067】
好ましい無機担体材料
担体材料は、界面活性剤でもポリマーでもない水溶性無機材料であってもよい。単純な有機塩が、特に上述のポリマー担体材料及び/又は界面活性剤担体材料との混合物において、適切であることが認められている。適切な塩は、炭酸塩、重炭酸塩、ハライド、硫酸塩、硝酸塩、並びに酢酸塩、特にナトリウム、カリウム、及びマグネシウムの可溶性塩を含む。好ましい材料は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び硫酸ナトリウムを含む。これらの材料は、安価であり且つ生理的に許容される点で利点を有する。それらは、比較的不活性であり、医薬品において認められる多数の材料と適合性がある。
【0068】
担体材料の混合物が有利である。好ましい混合物は、
a)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びアルギネート;
の少なくとも1つと
b)アルコキシル化非イオン性界面活性剤(特にPEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標))、アルキルスルホネート(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)及びTween(商標)タイプのソルビタンエステル)、及びカチオン性界面活性剤(特に、セチルトリメチルアンモニウムブロミド − CTAB)
の少なくとも1つとを含む、界面活性剤とポリマーとの組み合わせを含む。
【0069】
担体材料は、界面活性剤、ポリマー、無機担体材料のいずれでもない水溶性低分子有機物質であってもよい。単純な有機物である糖が、特に上述のポリマー担体材料及び/又は界面活性剤担体材料との混合物において、適切であることが認められた。適切な低分子有機材料は、マンニトール、ポリデキストロース、キシリトール、マルチトール、デキストロース、デキストリン、デキストラン、マルトデキストリン、及びイヌリンなどを含む。
【0070】
非水性溶媒
本発明の組成物は、揮発性の第二の非水性溶媒を含む。当該溶媒は、乾燥前のプレミックス中における他の溶媒と混和性であるか、又はその様な他の溶媒と共にエマルションを形成してよい。
【0071】
本発明の1つの代替的な態様では、単独の非水性溶媒が使用されて、トリプタン及び担体の存在下において水を含む単独の相を形成してよい。これらの実施態様についての好ましい溶媒は、極性、プロトン性、又は非プロトン性の溶媒である。一般的に好ましい溶媒は、1より大きい双極子モーメント及び4.5より大きい誘電率を有する。
【0072】
特に好ましい溶媒は、ハロホルム(好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム)、低級(C1−C10)アルコール(好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、有機酸(好ましくは、ギ酸、酢酸)、アミド(好ましくは、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド)、ニトリル(好ましくは、アセトニトリル)、エステル(好ましくは、エチルアセテート)、アルデヒド、及びケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、アセトン)、並びに適切に大きな双極子を有するヘテロ原子結合を含む他の水混和性種(好ましくは、テトラヒドロフラン、ジアルキルスルホキシド)からなる群から選択されてよい。
【0073】
ハロホルム、低級アルコール、ケトン、及びジアルキルスルホキシドは、最も好ましい溶媒である。
【0074】
本発明の他の代替的な態様では、非水性溶媒は水と混和性ではなく、エマルションを形成する。
【0075】
エマルションの非水性相は、好ましくは、揮発性有機溶媒の以下の群:
・アルカン、好ましくは、ヘプタン、n−ヘキサン、イソオクタン、ドデカン、デカン;
・環式炭化水素、好ましくは、トルエン、キシレン、シクロヘキサン;
・ハロゲン化アルカン、好ましくは、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロ−トリクロロメタン、及びテトラクロロエタン;
・エステル、好ましくは、エチルアセテート;
・ケトン、好ましくは、2−ブタノン;
・エーテル、好ましくは、ジエチルエーテル;
・揮発性環状シリコーン、好ましくは、4から6のシリコン単位を含有する直鎖上又は環状のメチコン(適切な例は、Dow Corning Inc社製のDC245及びCD345)
の1つ又は複数から好適に選択される。
【0076】
好ましい溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、及びジメチルスルホキシドを含む。
【0077】
好ましい非水性溶媒は、混和性又は非混和性であり、実際条件下で特別な機器を使用せずに乾燥、特に噴霧乾燥を容易にするように150℃未満の沸点を有し、より好ましくは100℃未満の沸点を有する。好ましくは、それらは不燃性であるか、又は本発明の方法で遭遇する温度より高い引火点を有する。
【0078】
好ましくは、非水性溶媒は、約10%から約95%(v/v)、より好ましくは約20%から約80%(v/v)の形成される任意のエマルションを含む。単相方法では、溶媒のレベルは、好ましくは20から100%(v/v)である。
【0079】
特に好ましい溶媒は、アルコール、特にエタノール及びハロゲン化溶媒、とりわけ、塩素含有溶媒、最も好ましくは(ジ又はトリクロロメタン)から選択される溶媒である。
【0080】
任意の共界面活性剤
非水性溶媒に加えて、任意の共界面活性剤を、乾燥工程前に組成物中で使用してよい。本発明者は、比較的少量の揮発性共界面活性剤の添加が、製造される材料の粒径を低減することを見出した。これは、粒子の容量に対して顕著な影響を有する。例えば、297nmから252nmに低減することは、約40%の粒子サイズの低減に相当する。かくして、少量の共界面活性剤の添加は、最終的な製品の配合を変化させること無く、本発明の材料の粒子サイズを低減するための単純且つ安価な方法を提供する。
【0081】
好ましい共界面活性剤は、220℃未満の沸点を有する単鎖アルコール又はアミンである。
【0082】
好ましい共界面活性剤は直鎖アルコールである、好ましい共界面活性剤は第一級アルコール及びアミンである。特に好ましい共界面活性剤は、3から6の炭素原子を含むアルコールからなる群から選択される。適切なアルコール共界面活性剤は、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、ヘキシルアミン、及びそれらの混合物を含む。
【0083】
好ましくは、前記共界面活性剤は、前記溶媒より少ない量(容量)で存在し、好ましくは前記溶媒と前記共界面活性剤との間の容量比が100:40から100:2、より好ましくは100:30から100:5の範囲にある。
【0084】
好ましい噴霧乾燥原料
典型的な噴霧乾燥原料は
a)界面活性剤;
b)少なくとも1つの低級アルコール;
c)前記原料中に溶解している少なくとも1つの0.1%超の非水溶性トリプタン;
d)ポリマー;及び
e)任意に、水
を含む。
【0085】
好ましい噴霧乾燥原料は、
a)ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの非水性溶媒;
b)PEGコポリマー非イオン性界面活性剤(特に、PEG/PPG Pluronic(商標)材料)、アルキルスルホネート(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)及びTween(商標)タイプのソルビタンエステル)、及びカチオン性界面活性剤(特にセチルトリメチルアンモニウムブロミド − CTAB)、並びにそれらの混合物から選択される界面活性剤;
c)少なくとも1つの0.1%超の非水溶性トリプタン;
d)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギネート、及びそれらの混合物から選択されるポリマー;並びに
e)任意に、水
を含む。
【0086】
本発明で使用する乾燥原料は、好ましくは任意の固体物質を含有せず、特に好ましくは未溶解トリプタンを含有しない、エマルション又は溶液のいずれかである。
【0087】
本発明の組成物のトリプタンのレベルは、95重量%まで、90重量%まで、85重量%まで、80重量%まで、75重量%まで、70重量%まで、65重量%まで、60重量%まで、55重量%まで、50重量%まで、45重量%まで、40重量%まで、35重量%まで、又は30重量%までであってよい。本発明の組成物のトリプタンレベルが、乾燥組成物中における量が、40重量%未満、より好ましくは30重量%未満であるような量であるべきことは、特に好ましい。その様な組成物は、上述のような小さい粒径及び高い有効性という利点を有する。
【0088】
水分散形態
水溶性担体材料を水と混合すると、担体は溶解し、非水溶性トリプタンは、多数の点において可溶性物質のような振る舞いをする十分に細かい形態で水に分散する。乾燥製品中の非水溶性材料の粒径は、好ましくは、水溶液上で非水溶性材料が上述のMalvern法で測定すると1μm未満の粒径を有するようなものである。水中における固体形態の分散でトリプタンの粒径の顕著な低減は存在しないと解される。
【0089】
本発明を適用することによって、「非水溶性」材料の顕著なレベルが、真の溶液とほぼ同等である状態になってよい。乾燥製品が水中に溶解される際は、0.1%超、好ましくは0.5%超、より好ましくは1%超の非水溶性材料を含む光学的に透明な溶液を達成することが可能である。
【0090】
溶液形態は、更に希釈した後又は「そのまま」での患者への投与に適切な形態であることが予想される。代替的には、本発明の溶液形態の実施態様は、他の活性材料と組み合わせて、併用療法における使用のために適切な医薬を製造してよい。
【実施例】
【0091】
本発明を更に理解し実施し得るために、非制限的な実施例に関して以下に更に説明する。
【0092】
各種の製剤を、異なる賦形剤、異なる活性成分量、及び異なる処理条件に基づいて製造した。前記製剤は、トリプタンの代表的な例としてスマトリプタンを含むが、他の利用可能な非水溶性トリプタンの1つを使用して同様に調製されるであろう。
【0093】
賦形剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF,Herlus)、ポリビニルピロリドン(PVP k30,Aldrich)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC,Mw 10k,5cps,Aldrich)、ポリエチレングリコール(PEG,Mw 6,000,Fluka)、Tween80(Aldrich)、pluronic F68(BASF)、pluronic F127(Aldrich)、span 80(Aldrich)、cremphor RH40(BASF)、マンニトール(Alldrich)、及びアルギン酸ナトリウム(Aldrich)から選択される。
【0094】
これらの製剤の詳細を以下に挙げる。
【0095】
(実施例1:20重量%搭載)
0.40gスマトリプタン、1.00g Klucel EF、0.44g HPMC、及び0.16g Pluronic F68の全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に60mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0096】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で120℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0097】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から500nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0098】
(実施例2:20重量%積載)
0.40gスマトリプタン、1.00g Klucel EF、0.34g HPMC、0.16g Pluronic F68、及び0.10g Tween 80の全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に60mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0099】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で120℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0100】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から500nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0101】
標準USP2試験を使用して、20mgスマトリプタンの用量及び80mgのスマトリプタンの用量に基づく2つの溶解試験を実施する。20mg用量の50%は、10分未満で溶解すると予測され、80mg用量の50%は、30分未満で溶解すると予測される。20mg用量の95%は、60分未満で溶解すると予測され、80mg用量の95%が150分未満で溶解すると予測される。
【0102】
(実施例3:20重量%搭載)
0.40gスマトリプタン、1.00g Klucel EF、及び0.60g HPMCの全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に60mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0103】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0104】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から500nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0105】
(実施例4:20重量%搭載)
0.40gスマトリプタン、1.44g Klucel EF、及び0.16g PEG 6000の全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、半透明の溶液が得られる。
【0106】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0107】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、300から800nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0108】
(実施例5:20重量%搭載)
0.40gスマトリプタン、1.00g Klucel EF、0.18g HPMC、0.16g PEG 6000、0.16g Pluronic F127、及び0.10g Tween 80の全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に60mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0109】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0110】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から200nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0111】
(実施例6:20重量%搭載)
0.40gスマトリプタン、1.34g Klucel EF、0.16g Pluronic F127、及び0.10g Cremphor RH40の全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に60mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0112】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0113】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から200nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0114】
標準USP2試験に従って、20mgスマトリプタンの用量及び80mgのスマトリプタンの用量に基づく2つの溶解試験を各製剤について実施する。20mg用量の50%が10分未満で溶解すると予測され、80mg用量の50%が5分未満で溶解すると予測される。20mg用量の95%が25分未満で溶解すると予測され、80mg用量の95%が90分未満で溶解すると予測される。
【0115】
(実施例7:20重量%搭載)
0.40gスマトリプタン、1.18g Klucel EF、0.16g Pluronic F68、0.16g Pluronic 127、及び0.10gSpan 80の全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に10mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0116】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0117】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から300nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0118】
(実施例8:20重量%搭載)
0.40gスマトリプタン、1.40g Klucel EF、0.10g Tween 80、及び0.10g Span 80の全てを、100mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、透明な溶液が得られる。
【0119】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0120】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から300nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0121】
(実施例9:30重量%搭載)
0,30gスマトリプタン、0.57g Klucel EF、0.05g PEG 6000、0.05g Pluronic F127、及び0.03g Tween 80の全てを、50mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に30mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0122】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0123】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から400nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0124】
(実施例10:30重量%搭載)
0,30gスマトリプタン、0.65g Klucel EF、0.025g Tween 80、及び0.025g Span 80の全てを、50mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、透明な溶液が得られる。
【0125】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0126】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、200から400nmの間の粒径を有する半透明のナノ分散が得られる。
【0127】
(実施例11:20重量%搭載)
0.20gスマトリプタン、0.40g Klucel EF、0.10g Pluronic F127、0.10g Tween 80、及び0.20g マンニトールの全てを、50mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に30mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0128】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で140℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0129】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から300nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0130】
標準USP2試験に従って、20mgスマトリプタンの用量に基づく溶解試験を実施例11で得られた製剤について実施する。20mg用量の50%が5分未満で溶解すると予測され、95%が10分未満で溶解すると予測される。
【0131】
(実施例12:20重量%搭載)
0.20gスマトリプタン、0.50g Klucel EF、0.10g Pluronic F127、及び0.20g マンニトールの全てを、50mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に30mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0132】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で140℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0133】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から300nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0134】
標準USP2試験に従って、20mgスマトリプタンの用量に基づく溶解試験を実施する。20mg用量の95%が5分未満で溶解すると予測される。
【0135】
(実施例13:20重量%搭載)
0.20gスマトリプタン、0.60g Klucel EF、0.05g Pluronic F127、0.05g Tween 80、及び0.10g マンニトールの全てを、50mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、その後に30mlの蒸留水を加える。透明な溶液が得られる。
【0136】
次いで、その溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0137】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から300nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0138】
(実施例14:20重量%搭載)
0.20gスマトリプタン、0.60g Klucel EF、0.10g Pluronic F127、0.025g Tween 80、及び0.025g Span 80の全てを、50mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌し、透明な溶液が形成される。0.05gのアルギン酸ナトリウムを30mlの蒸留水に溶解する。前記エタノール溶液と前記水溶液とを混合して、透明な混合物を得る。
【0139】
次いで、その混合物を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0140】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、100から400nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0141】
(実施例15:20重量%搭載)
0.20gスマトリプタン、0.60g Klucel EF、及び0.15g Pluronic F127の全てを、50mlの無水エタノールに分散させる。エタノール懸濁物は、約30分にわたってマグネティックバーで激しく攪拌する。0.05gのアルギン酸ナトリウムを30mlの蒸留水に溶解する。前記エタノール分散物と前記水溶液とを混合して、透明な混合物を得る。
【0142】
次いで、その混合物を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃においてBUCHI Mini B−290噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥する。白色の自由流動性粉末が得られる。
【0143】
20mgの乾燥した粉末を10mlの蒸留水に分散させて、200から400nmの間の粒径を有する透明なナノ分散が得られる。
【0144】
標準USP2試験に従って、20mgスマトリプタンの用量に基づく溶解試験を実施例15で調製した製剤について実施する。20mg用量の50%が5分未満で溶解し、95%が90分未満で溶解すると予測される。
【0145】
(実施例16)
本実施例は、噴霧乾燥スマトリプタンUSP製剤(40%(w/w)スマトリプタンを含有する)の3つの連続したバッチを製造するために使用する実験条件を要約する。前記バッチは、Niro Mobile Minorを用いて噴霧乾燥し、各バッチについて同じ噴霧乾燥条件を用いた。スマトリプタン製剤単独溶液を調製して、これを用いて二日間にわたって噴霧乾燥を実施して前記バッチを製造した。
【0146】
噴霧乾燥試験に使用する化合物の全ては、Iota NanoSolutions社から供給された。これらは、スマトリプタンバッチSMT/0706003及びSMT/0602002に関して、
・Croda Iota Batch E0028Dによって供給されたTween 80
・Roquette Iota Batch E0010によって供給されたマンニトール
・Danisco Iota Batch E0025によって供給されたポリデキストラン
・BASF Iota Batch E0014によって供給されたLutrol F127
・Colorcon Iota Batch E0017によって供給されたHPMC
・VWRによって大量に供給されたエタノール(無水)
を含む。
【0147】
噴霧乾燥のためのスマトリプタン溶液の調製
一日目:
以下の量:19.9g スマトリプタンバッチSMT/0706003(必要量は20g)の粉末を(0.01gの範囲内で)秤量した。スマトリプタンを1.0Lエタノールに添加して、蓋をしたビンの中で一晩室温において攪拌し続けた。
【0148】
二日目:
その懸濁物に、さらに1.5Lのエタノールを添加し、1時間に亘って攪拌してスマトリプタンを完全に溶解させた(エタノールの全容量は2.5L)。淡黄色溶液が製造された。
【0149】
次いで、そのエタノールスマトリプタン溶液に18g HPMCを添加し、1時間に亘って速く攪拌し、均質な懸濁物を製造した。
【0150】
以下の溶質:3g マンニトール、3g ポリデキストラン、3g Lutrol F127、及び3g Tween 80を2.5Lの脱イオン水に添加して1時間攪拌することによって、以下の水溶液を別々に調製した。次いで、その水溶液をスマトリプタン/HPMC懸濁物に添加して、30分間に亘って攪拌した。結果として得られる溶液は「透明」になるが、最終量の水溶液を添加すると「不透明」になった。この段階における全固体含有量は、5.0Lの50%(v/v)エタノール/水溶液中において50gの固体であった(すなわち、1%(w/v))。
【0151】
「透明」な溶液に戻すために、固体含有量が〜1%(w/v)のままであるがエタノール濃度が60%(v/v)に上昇するように溶質濃度及び溶媒濃度を調節することを決定した。
【0152】
以下の量の粉末:10g スマトリプタンバッチSMT/0602002を秤量した(0.01gの範囲内で)。スマトリプタンは1.25Lエタノールに添加し、室温で2時間に亘って攪拌し続けた。スマトリプタンが溶解した際に、9gのHPMCを添加して、1時間攪拌し、均質な懸濁物を製造した。更なる溶質、すなわち、1.5gマンニトール、1.5gポリデキストラン、1.5g Lutrol F127、及び1.5g Tween 80を既存の5Lの容量のスマトリプタン溶液に添加して、その溶液を30分間に亘って攪拌した。次いで、1.25Lのスマトリプタン/HPMCのエタノール懸濁物にその水溶液を添加して、30分間に亘って攪拌した。結果として得られた溶液は透明であり、淡黄色であった。
【0153】
最終的な溶液は、6.25Lの60%(v/v)エタノール/水に75gの固体を含有していた(すなわち、1.2%(w/v)の固体であった)。
【0154】
スマトリプタン噴霧溶液を製造する方法は、図1に示すフローチャートにまとめている。
【0155】
噴霧乾燥方法
2Lの容量のスマトリプタン溶液を、2つの流体ノズルを取り付けたNiro Mobile Minorを使用して噴霧乾燥した。25ml/分の流速を与えるように調整したギアポンプによって、液体を供給した。以下の噴霧乾燥条件:
入口温度:100℃
出口温度(噴出点):57℃
液体の供給速度:25ml/分
噴霧圧力:0.5バール
を用いた。
【0156】
全ての溶液を噴霧した後に、乾燥を停止して、噴霧乾燥粉末を得た(バッチナンバーINS089−UT04)。次いで、噴霧乾燥器を洗浄して、更に使用する前に乾燥させた。
【0157】
2Lの容量のスマトリプタン溶液を、2つの流体ノズルを取り付けたNiro Mobile Minorを使用して噴霧乾燥した。25ml/分の流速を与えるように調整したギアポンプによって、液体を供給した。以下の噴霧乾燥条件:
入口温度:100℃
出口温度(噴出点):59℃
液体の供給速度:25ml/分
噴霧圧力:0.5バール
を用いた。
【0158】
全ての溶液を噴霧した後に、乾燥を停止して、噴霧乾燥粉末を得た(バッチナンバーINS089−UT05)。次いで、噴霧乾燥器を洗浄して、更に使用する前に乾燥させた。
【0159】
2Lの容量のスマトリプタン溶液を、2つの流体ノズルを取り付けたNiro Mobile Minorを使用して噴霧乾燥した。25ml/分の流速を与えるように調整したギアポンプによって、液体を供給した。以下の噴霧乾燥条件:
入口温度:100℃
出口温度(噴出点):58℃
液体の供給速度:25ml/分
噴霧圧力:0.5バール
を用いた。
【0160】
全ての溶液を噴霧した後に、乾燥を停止して、噴霧乾燥粉末を得た(バッチナンバーINS089−UT06)。
【0161】
収量を表1に示す。各噴霧乾燥工程は、2.0Lの1.2%(w/v)溶液を使用して実施した(すなわち、24gを噴霧乾燥した)。
【0162】
【表1】

【0163】
3つの噴霧乾燥したバッチのサイズ分析を、Rodosエアディスペンサーを取り付けたSympatec Laser Sizerを用いて実施した。粉末は、5.0バールで分散された。
【0164】
図2は、スマトリプタンバッチINS089−UT04のサイズ分析:
10=2.81μm x50=11.67μm x90=35.99μm
SMD=5.79μm VMD=16.98μm
16=4.17μm x84=28.41μm x99=96.35μm
=1.04m/cm=7681.35cm/g
を示すグラフである。
【0165】
図3は、スマトリプタンバッチINS089−UT05のサイズ分析:
10=2.51μm x50=9.38μm x90=27.39μm
SMD=5.16μm VMD=12.79μm
16=3.67μm x84=21.73μm x99=56.73μm
=1.16m/cm=8619.08cm/g
を示すグラフである。
【0166】
図4は、スマトリプタンバッチINS089−UT06のサイズ分析:
10=2.42μm x50=8.90μm x90=26.09μm
SMD=5.01μm VMD=12.29μm
16=3.52μm x84=20.55μm x99=57.62μm
=1.20m/cm=8875.92cm/g
を示すグラフである。
【0167】
図5は、スマトリプタンバッチINS089−UT04、INS089−UT05、及びINS089−UT06のサイズ分析を示すグラフである。
【0168】
(実施例17)
以下の材料:
・1−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−1H−インドール−5−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(スマトリプタン、98%、MW 295.402g/mol、PharmaKodex社製)
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Mw 10,000、Aldrich)
・ポリビニルピロリドンK30(PVP、Mw 45,000、Aldrich)
・マルチトール(Mw 344.32g/mol、Fluka)
・ポリデキストロース(Litessse(登録商標)II、Danisco)
・Pluronic F−127(Aldrich)
・Tween 80(MW 1309.68g/mol、Aldrich)
を、購入して更に精製すること無く使用した。
【0169】
スマトリプタン及び賦形剤を水/エタノール共溶媒に溶解し、次いで、結果として得られた溶液をBuchi B−290 Mini Spray Dryerで噴霧乾燥した。噴霧乾燥工程は、100℃の入口温度及び2.5ml/分の噴出速度で実施した。各バッチの組成を表2に記載する。
【0170】
【表2】

【0171】
スマトリプタン粒子サイズ分布(PSD)を測定するために、25mgの噴霧乾燥したスマトリプタンバッチのサンプルを26mlの蒸留水に攪拌(ボルテックス)しながら溶解し、その後にMalbern Nano−S particle sizerを用いて測定を実施した。分散物は粘性について補正した。
【0172】
溶解特性を試験するために、50mgの噴霧乾燥したバッチのサンプル(20mgのスマトリプタンに相当)を1000mlの蒸留水に37℃において50rpmでオーバーヘッドパドルを用いて攪拌しながら溶解した。各溶液の一定分量を5、10、及び15分で回収した。次いで、UV特性決定のために、分散物を0.1M HCl溶液で溶解した。その溶解は、各製剤について、特定の時間間隔の後に溶解した最初のスマトリプタン濃度の割合として表す。
【0173】
【表3】

【0174】
UV検量線についても、0.1M HCl溶液に各種の異なる量のスマトリプタンを溶解して得られた。
【0175】
図6及び図7は、X線粉末回折の結果を示す。これらの図は、製造したスマトリプタンナノ粒子材料が結晶形態にあり、非晶質の形態ではなく、主に又は全体として出発材料と同一の結晶形態であると解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)非水溶性トリプタン、
ii)水溶性担体、及び
iii)前記トリプタン及び担体の各々のための溶媒
を含む混合物を準備する工程;並びに
b)前記混合物を噴霧乾燥して前記溶媒又は各々の溶媒を除去し、担体中におけるトリプタンの実質的に溶媒を含まないナノ分散を得る工程
を含む、非水溶性トリプタンを含む組成物の製造方法。
【請求項2】
a)i)トリプタンのための水非混和性溶媒中におけるトリプタン溶液、及び
ii)担体の水溶液
を含むエマルションを準備する工程;並びに
b)前記エマルションを噴霧乾燥して水及び水非混和性溶媒を除去し、担体中におけるトリプタンの実質的に溶媒を含まないナノ分散を得る工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
i)少なくとも1つの非水性溶媒、
ii)任意に、水、
iii)(i)及び(ii)の混合物に可溶性の水溶性担体材料、及び
iv)(i)及び(ii)の混合物に可溶性の非水溶性トリプタン
を含む単相混合物を準備する工程;並びに
b)前記溶液を噴霧乾燥して水及び水混和性溶媒を除去し、担体中におけるトリプタンの実質的に溶媒を含まないナノ分散を得る工程、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記噴霧乾燥工程が120℃以上の温度で実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記担体材料がポリマー及び/又は界面活性剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記担体材料が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチル−2−オキサザリン)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びアルギネートの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記担体材料が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、エーテルスルフェート界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はエステル界面活性剤の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記非水性溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、及びジメチルスルホキシドの少なくとも1つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記非水溶性トリプタンが、スマトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、又はアルモトリプタンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって組成物を調製する工程を含む、片頭痛又は頭痛の治療において使用するための医薬の調製方法。
【請求項11】
担体中に分散した100から1500nmの平均粒径を有するトリプタン粒子を含む、非水溶性トリプタン及び水溶性担体を含む組成物。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって得られるか又は得ることが可能である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記トリプタン粒子の平均粒径が、200から1000nm、400から1000nm、又は500から800nmの間である、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
前記トリプタン粒子が実質的に結晶である、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記トリプタン粒子が、前記組成物の調製に使用した元のトリプタン材料の結晶性を維持している、請求項11から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記トリプタン粒子が非晶質の材料を実質的に含まない、請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
1つ又は複数の更なる治療活性剤を含む、請求項11から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
NSAID又はパラセタモルなどの鎮痛剤を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
ジフェンヒドラミン又はオンダンセトロンなどの制吐剤を含む、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
片頭痛及び/又は頭痛の治療において使用するための、請求項11から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
請求項11から19のいずれか一項に記載の組成物の治療上有効量を患者に投与する工程を含む、片頭痛及び/又は頭痛の治療方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−542794(P2009−542794A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518979(P2009−518979)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050408
【国際公開番号】WO2008/007151
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509011857)ユニリーバー・ピーエルシー (11)
【Fターム(参考)】