半導体チップとその製造方法ならびに半導体装置
【課題】固片化しても切断面に剥離の生じる虞がない半導体チップとその製造方法、ならびにその半導体チップを搭載した半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板2の裏面に形成された絶縁膜6と、半導体基板2の厚さ方向の端面に、少なくとも絶縁膜6とこの絶縁膜6と半導体基板2との接合部のそれぞれの端面が露出しないように保護材により覆っている保護層9を形成する。
【解決手段】半導体基板2の裏面に形成された絶縁膜6と、半導体基板2の厚さ方向の端面に、少なくとも絶縁膜6とこの絶縁膜6と半導体基板2との接合部のそれぞれの端面が露出しないように保護材により覆っている保護層9を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固片化の際に切断面に剥離の生じない半導体チップおよびその製造方法ならびにその半導体チップを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程での半導体チップの製造は、半導体ウエハ上にマトリックス状に形成された複数の半導体チップを固片化することにより行われている。
【0003】
すなわち、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された導電層によって形成された複数のIC、LSI等の半導体チップが、マトリックス状にストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画されて配列した半導体ウエハを、ストリートに沿って切断することによって固片化し、個々の半導体チップを製造している。
【0004】
半導体ウエハのストリートに沿った切断は、一般にダイサーと称されている切削装置によって行われている。この切削装置では、チャックテーブルに保持された被加工物である半導体ウエハに対して、回転スピンドルに装着された環状の切れ刃からなる切削ブレードを、高速回転させながら移動させて切断している。切れ刃は、例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって固定し厚さ20μm程度に形成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
なお、半導体ウエハは、半導体チップに分割して固片化する際に、分割された半導体チップが、ばらばらに離散しないように、チャックテーブルの環状のフレームに装着された保護テープによって裏面が貼着されている。
【0006】
固片化された半導体チップの模式的な一例は、図29に断面図を示すように、半導体チップ81は、Si等の半導体基板80の表面側に、絶縁膜と回路を形成する機能膜が積層された導電層71が形成され、一方、裏面側には、SiO2等による絶縁膜73が成膜されている。また、半導体基板80の所定箇所の表面と裏面との間には半導体基板80を貫通する貫通孔72が形成され、貫通孔72の内部には絶縁膜73に密接して貫通電極74が形成されている。
【0007】
この貫通電極74を介して、半導体基板80の表面の導電層71の機能素子が形成された機能膜へ電力を供給したり、電気信号等を伝送する。なお、矢印Aは切断の際のダイサーの切削ブレードでの切断方向を示している。
【特許文献1】特開2005−209719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、半導体チップは、半導体ウエハ上にマトリックス状に形成された複数の半導体チップをダイサーの切削ブレードにより切断することにより固片化して製造している。
【0009】
この場合、図29に矢印Aで示したように、ダイサーの切削ブレードは、半導体チップ81の表面側から裏面側に高速回転しながら移動する。したがって、半導体チップ81は、機能素子が形成された機能膜が積層された導電層71→半導体基板80→絶縁膜73の順に、機械的強度の異なる材質とその相互の接合部が切断される。
【0010】
相互の接合部において、例えば導電層は半導体基板の表面にフォトリソグラフィにより形成され、絶縁膜は半導体基板の裏面に低温CVDプロセスにより成膜されている。ところが、絶縁膜と半導体基板との密着性が良好でなく、したがって双方の接合強度は、十分なものが得られないことが多かった。そのため、切削ブレードによる切断の際に、絶縁膜と半導体基板との接合部で、絶縁膜が半導体基板から剥離する恐れがあった。
【0011】
本発明はこれらの事情に基づいてなされたもので、固片化の際に切断面に剥離の生じる虞のない半導体チップとその製造方法、ならびにその半導体チップを搭載した半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、半導体基板と、この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部に、少なくとも前記絶縁膜の端面及び該絶縁膜と前記半導体基板との接合部の端面を覆って形成された保護層、とを有することを特徴とする半導体チップが提供される。
【0013】
また、本発明の別の一態様によれば、半導体基板と、この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層とを有することを特徴とする半導体チップが提供される。
【0014】
さらに、本発明の別の一態様によれば、半導体基板と、この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、前記支持体、前記導電層、前記半導体基板の各端面、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層とを有することを特徴とする半導体チップが提供される。
【0015】
また、本発明の別の一態様によれば、表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、前記溝に保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明の別の一態様によれば、表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、前記溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、前記外部接続端子を形成する工程と、前記溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法が提供される。
【0017】
また、本発明の別の一態様によれば、表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の所定箇所に、切断溝を形成する切断工程と、前記切断溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、前記外部接続端子を形成する工程と、前記切断溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明の別の一態様によれば、本発明の態様にかかる半導体チップが多段に積層され、ワイヤーボンディング又はフリップチップボンディングにより接続され、樹脂封止されたことを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、固片化の際に切断面に剥離の生じる虞のない半導体チップとその製造方法、ならびにその半導体チップを搭載した半導体装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一箇所には同一符号を付してある。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【0022】
固片化された半導体チップ1は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成されている。導電層3の上には、必要に応じて、チタンタングステン(TiW)やチタンから成るUBM(Under Bump Metal)(図示しない)を介して、金または銅からなる表面電極4(バンプ)が形成されている。
【0023】
また、半導体基板2には半導体基板2を貫通した貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が成膜されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。貫通孔5の内部にはCu、Au等の導電材料が充填された貫通電極7が形成され、表面電極4と電気的に接続している。この貫通電極7を介して半導体基板2の表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。
【0024】
半導体チップ1の切断面2aであって裏面側の隅部に位置する絶縁膜6と半導体基板2には、略直方体状の切欠部8が形成されている。切欠部8は、絶縁膜6から階段状に形成しても、絶縁膜6から順テーパをつけて形成してもよい。尚、複数の半導体チップ1がウエハ上に並列して形成される場合には、切欠部8は、半導体チップ1と半導体チップ1間に、溝として形成されるものである。
【0025】
この切欠部8には、例えば樹脂製の保護層9が形成されている。図1に示すように、保護層9は切欠部8に埋め込まれている。したがって、絶縁膜6の端面と、絶縁膜6と半導体基板2との接合部の端面が露出しないように覆われている。保護層9の素材としては、エポキシ、ポリイミド又はアクリル樹脂又は導電性ペースト又はソルダーレジスト等の樹脂材料を用いることができる。また、保護層9は樹脂の代わりに例えば融点が60℃から370℃の温度範囲に含まれるはんだ材料等の導電性の金属材料を用いることもでき、その際は、接地端子として利用することもできる。
【0026】
したがって、半導体チップ1の一端面である切断面2aは、上から機能膜が積層された導電層3→半導体基板2→保護層9の順になる。この構成により、半導体チップ1の一端面である切断面2aには、絶縁膜6や、絶縁膜6と半導体基板2との接合面が存在しておらず、絶縁膜6と半導体基板2との接合面での剥離が生じる虞がない。
【0027】
次に、実施形態に示した半導体チップ1の製造方法について説明する。
【0028】
図2乃至図8は、図1に示した半導体チップ1の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ1が、1枚の半導体基板上に製作されるが、図2乃至図7では、1個の半導体チップ1の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の固片化した半導体チップ1に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0029】
まず、図2に示すように、半導体基板の表面に機能素子等が作り込まれた導電層3を形成し、必要に応じて導電層3上の所定位置に表面電極4を形成する。機能素子は、例えばトランジスタ、デバイス、配線等から成る能動領域として形成される。
【0030】
次いで、図3に示すように、表面電極4と対応する半導体基板位置に、例えばフォトリソグラフィとRIEドライエッチングまたはウエットエッチング技術によって、あるいはレーザ照射やサンドブラストによって、半導体基板の裏面側から表面側に至る貫通孔5を形成する。このとき、貫通孔5は導電層3の一部を開口してもよい。
【0031】
続いて、図4に示したように、貫通孔5の内壁と半導体基板の裏面に絶縁膜6を成膜する。かかる形成は、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)と、酸化剤としてO2を用いて、約200℃以下の低温CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、SiO2膜を形成することができる。尚、SiO2絶縁膜の上にTiNでバリア層を形成してもよい。
【0032】
次に、図5に示したように、貫通孔5に金属材料を埋め込んで貫通電極7を形成する。
【0033】
貫通電極7の形成に際しては、まず貫通電極7と同種の金属材料からなるシード層(図示せず)を、貫通孔5の内壁を含む半導体基板裏面側の露出面の全面に形成する。そして、このシード層をシードとした電解めっきにより、貫通電極7を形成するための金属材料(例えば、銅、金の1種以上)を供給して行うことができる。それにより、貫通孔5の内部は、導電材料でほぼ完全に埋められる。貫通電極7は導電層3に電気的に接続される。
【0034】
なお、電極形成工程は、電解めっき法に限定されず、無電解めっき法による銅やニッケルの供給や、導電性ペーストあるいははんだ材を埋め込んでもよい。これらの場合には、シード層を形成する工程は実施しなくてもよい。
【0035】
次に、図6に示したように、絶縁膜6が形成された半導体基板の裏面側の所定位置に対して、所定の深さと幅の溝加工を施して溝8を形成する。この所定位置は、例えば半導体チップに切り分けるためのチップ境界を示すスクライブラインが描かれる位置である。溝8の幅は、後述するダイサーの刃厚より大きく、溝8の深さは、絶縁膜6の厚さの数倍が好適である。この溝加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエット)加工により行うことができる。
【0036】
次に、図7に示したように、形成された溝8にエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込んで保護層9を形成する。上述したように、保護層9は樹脂の代わりに導電性の金属材料を用いることもでき、その際は、接地端子として利用できる。
【0037】
次いで、図8に示したように、ダイサーの切削ブレードにより、半導体基板が保護層9の中央部をストリートとして切断する。
【0038】
それにより、図1に示した貫通電極7を有する半導体チップ1の固片が得られる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の半導体チップをパッケージ化したものである。
【0040】
図9は、第2の実施形態に係る半導体チップ11の略断面図である。上述した第1の実施形態と比べて、半導体チップ11の構成が若干異なるが、それによる半導体チップ11の一端面である切断面2aについての本質的な差異は特に無い。
【0041】
第1の実施形態と同様に、固片化された半導体チップ11は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成され、裏面側に絶縁膜6が形成されている。この導電層3の上面には接着層12を介して、透光性のガラス等の支持体13が形成されている。なお、接着層12は必ずしも導電層3の全面に形成されている必要はなく、導電層3に受光素子(図示しない)が配置されている場合は、受光素子が形成されている導電層3の領域と支持体13の間には空間(図示せず)が形成されていても良い。
【0042】
また、導電層3の所定部位に対応して半導体基板2には貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が形成されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。
【0043】
貫通孔5の内部にはCu、Au等による貫通電極7が形成され、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆い、外部接続用の導電端子14が接続されている。したがって、導電端子14と貫通電極7を介して表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。導電端子14は、例えばハンダボールで形成することができる。
【0044】
半導体チップ11の切断面2aであって裏面側の隅部に位置する絶縁膜6と半導体基板2には、略直方体状の切欠部10が形成されている。尚、複数の半導体チップ11がウエハ上に並列して形成される場合には、切欠部10は、半導体チップ11と半導体チップ11間に、溝として形成されるものである。
【0045】
切欠部10を充填すると共に半導体基板2の裏面側に延在した貫通電極7を被覆して、保護層9が形成されている。
【0046】
保護層9は、樹脂製の保護材であって、貫通電極7上に形成された導電端子14の根元をも被覆している。ここでは、保護層9を金属製とすることにより、半導体基板2をGNDに落とすことができるので、ノイズマージンの向上等、特性が良くなる。
【0047】
この構成により、半導体チップ11の一端面である切断面2aには、絶縁膜6や、絶縁膜6と半導体基板2との接合面が存在しておらず、絶縁膜6と半導体基板2との接合面での剥離が生じる虞がない。
【0048】
次に、第2の実施形態に係る半導体チップ11の製造方法について説明する。
【0049】
図10乃至図14は、図9に示した半導体チップ11の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ11が、1枚の半導体基板2上に製作されるが、図10乃至図13では、1個の半導体チップ11の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の固片化した半導体チップ11に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0050】
まず、図10に示すように、半導体基板2の表面に機能素子等が作り込まれた導電層3を形成した後、半導体基板2に対して、第1の実施形態の図3乃至図5で説明した工程により、貫通孔5、絶縁膜6、貫通電極7をそれぞれ形成する。導電層3の上面には接着層12を設け、接着層12を介して支持体13を形成する。
【0051】
次に、図11に示すように、第1の実施形態の図6で説明したと同様に、絶縁膜6が形成された半導体基板2の裏面側の所定位置に対して、所定の深さと幅の溝加工を施して溝8を形成する。この溝加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエットのいずづれか)により行う。
【0052】
次に、図12に示すように、形成された溝8にエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込む。更に、同樹脂を貫通電極7が半導体基板2の裏面側に延在した部位と絶縁膜6まで被覆させて保護層9を形成する。なお、保護層9は、貫通電極7に導電端子14が接続される部位9aはマスキングされている。
【0053】
次に、図13に示すように、貫通電極7に外部接続用の導電端子14をはんだ付等により接続する。
【0054】
次に、図14に示すように、ダイサーの切削ブレードにより、半導体基板2の保護層9の中央部をストリートとして切断する。
【0055】
それにより、図9に示した貫通電極7を有する半導体チップ11の固片が得られる。
【0056】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、半導体チップをパッケージ化した第2の実施形態の変形例である。
【0057】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る半導体チップ21の略断面図である。半導体チップ21の基本構造そのものは、第2の実施形態と同様であるので、図15において、図9と同一箇所には同一符号を付して、重複した説明を省略する。
【0058】
第2の実施形態と同様に、固片化された半導体チップ21は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成され、裏面側に絶縁膜6が形成されている。この導電層3の上面には接着層12を介して、例えば、透光性のガラス等の支持体13が形成されている。なお、接着層12は必ずしも導電層3の全面に形成されている必要はなく、導電層3に受光素子(図示しない)が配置されている場合は、受光素子が形成されている導電層3の領域と支持体13の間には空間(図示せず)が形成されていても良い。
【0059】
また、導電層3の所定部位に対応して半導体基板2には貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が形成されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。
【0060】
貫通孔5の内部にはCu、Au等による貫通電極7が形成され、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆い、導電端子14が接続されている。したがって、導電端子14と貫通電極7を介して表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。
【0061】
半導体チップ21の一端面2aの全面と、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆っている貫通電極7を被覆して、保護層9が形成されている。加えて、保護層9は支持体13の端面をも被覆して形成されている。保護層9は、樹脂製の保護材であって、貫通電極7上に形成された導電端子14の根元をも被覆している。保護層9の樹脂としては、エポキシ、ポリイミド等の樹脂材料が用いることができる。
【0062】
この構成により、半導体チップ21の端面9aには、Si等の半導体基板が一切露出していないから、Siの欠け等によるコンタミネーションを防止することができる。さらに、支持体の端面も保護されているから、接合面での剥離が生じる虞がない。
【0063】
次に、第3の実施形態に係る半導体チップ21の製造方法について説明する。
【0064】
図16乃至図19は、図15に示した半導体チップ21の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ21が、1枚の半導体基板2上に製作されるが、図16乃至図19では、1個の半導体チップ21の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の固片化した半導体チップ21に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0065】
まず、図16に示すように、半導体基板2の表面に機能素子等を作り込んだ導電層3を形成した後、半導体基板2に対して、第2の実施形態の図10について説明した工程により、貫通孔5、絶縁膜6、貫通電極7をそれぞれ形成する。導電層3の上面には接着層12を設け、接着層12を介して支持体13を形成する。
【0066】
さらに、図16に示すように、半導体基板2の所定位置に対して切断加工を施して切断溝22を形成する。この切断加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエットのいずれか)により行う。なお、半導体基板2を切断しても切断された半導体チップ21が、ばらばらに離散しないように、例えばチャックテーブルのテープフレーム(図示しない)によって裏面が貼着されて保持され、半導体チップ21同士の間に切断溝22が形成される。
【0067】
次に、図17に示すように、形成された切断溝22にエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込み、更に、同樹脂を半導体基板2の裏面側に延在した貫通電極7の表面を被覆させて保護層9を形成する。なお、保護層9は、貫通電極7に導電端子14が接続される部位はマスキングされている。
【0068】
次に、図18に示すように、貫通電極7に外部接続用の導電端子14をはんだ付等により接続する。
【0069】
次に、図19に示すように、ダイサーの切削ブレードにより、半導体基板2の保護層9の中央部をストリートとして切断する。
【0070】
それにより、図15に示した貫通電極7を有する半導体チップ21の固片が得られる。
【0071】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例である。
【0072】
図20は、第4の実施形態に係る半導体チップ31の略断面図である。
【0073】
第3の実施形態の場合と同様に、固片化された半導体チップ31は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成され、裏面側に絶縁膜6が形成されている。この導電層3の上面には接着層12を介して、例えば、透光性のガラス等の支持体13が形成されている。なお、接着層12は導電層3の全面に形成されているのではなく、導電層3に受光素子(図示しない)が配置されている場合は、受光素子が形成されている導電層3の領域と支持体13の間には空間(図示せず)が形成されていても良い。
【0074】
また、導電層3の所定部位に対応して半導体基板2には貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が形成されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。
【0075】
貫通孔5の内部にはCu、Au等による貫通電極7が形成され、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆い、外部接続用の導電端子14が接続されている。したがって、導電端子14と貫通電極7を介して表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。
【0076】
図20に示すように、導電端子14の開口を除いて、半導体基板2の裏面側の絶縁膜6と貫通電極7は、全面に亘って、保護層9で被覆されている。さらに、半導体チップ31の端面である切断側の端面全体には、第2の保護層が形成されている。この両保護層32、9の樹脂としては、エポキシ、ポリイミド等の樹脂材料が用いることができる。
【0077】
この構成により、半導体チップ31の端面32aには、Si等の半導体基板が一切露出していないから、Siの欠け等を防止することができる。さらに、支持体の端面も保護されているから、接合面での剥離が生じる虞がない。
【0078】
次に、第4の実施形態に示した半導体チップ31の製造方法について説明する。
【0079】
図21乃至図25は、図20に示した半導体チップ31の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ31が、1枚の半導体基板2上に製作されるが、図21乃至図25では、1個の半導体チップ31の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の半導体チップ31に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0080】
まず、図21に示すように、半導体基板2の表面に機能素子を含む導電層3を形成した後、半導体基板2に対して、第2の実施形態の図9について説明した工程により貫通孔5、絶縁膜6、貫通電極7をそれぞれ形成する。導電層3の上面には接着層12を設け、接着層12を介して支持体13を形成する。さらに、半導体基板2の裏面側の絶縁膜6と貫通電極7の延在部位の表面の全面に、エポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料による保護層9を形成する。なお、保護層9は、貫通電極7に外部接続用の導電端子14が接続される部位はマスキングされている。
【0081】
次に、図22に示すように、貫通電極7に導電端子14をはんだ付等により接続する。
【0082】
次に、図23に示すように、半導体基板2の所定位置に対して切断加工を施して切断溝22を形成する。この切断加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエットのいずれか)により行う。なお、半導体基板2を切断しても切断された半導体チップ31が、ばらばらに離散しないように、例えばチャックテーブルのテープフレーム(図示しない)によって裏面が貼着されて保持され、半導体チップ31同士の間に切断溝22が形成される。
【0083】
次に、図24に示したように、形成された切断溝22に切断面保護層32としてエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込む。あるいは、導電材料により形成しても良い。
【0084】
次に、図25に示すように、ダイサーの切削ブレード(図示しない)により、ウエハWの切断面保護層32の中央部をストリートとして切断する。
【0085】
それにより、図20に示した貫通電極7を有する半導体チップ31の固片が得られる。
【0086】
次に、上述の各実施例で示した半導体チップ1を搭載したマルチチップ型等の半導体装置について説明する。
【0087】
図26は、上述の第1の実施形態で説明した半導体チップ1を多段に積み重ねた半導体装置の構造を示す略断面図である。この半導体装置41は、いわゆるBGA(Ball Grid Array)タイプのパッケージ形態を有しており、配線基板42と配線基板42の上に2段に積層された半導体チップ1を備えている。
【0088】
配線基板42は絶縁体からなる。配線基板42には、配線基板42を厚さ方向に貫通する貫通電極43が形成されている。配線基板42の一方表面側で貫通電極43には金属ボール(たとえば、半田ボール)44が接合されている。配線基板42の金属ボール44側とは反対側の面には、所定のパターンの配線45が形成されている。配線45は貫通電極43に電気的に接続されており、配線45の所定の部分には金属からなるバンプ46が形成されている。
【0089】
半導体チップ1の配線基板42への搭載は、図26に示すものに限られず、いわゆるフェースダウンであってもよいことは勿論である。
【0090】
配線基板42上のバンプ46は、半導体チップ1の貫通電極7の裏面側と接合されている。2つの半導体チップ1において、一方の半導体チップ1の表面電極4と、他方の半導体チップ1の貫通電極7とが接合されている。
【0091】
図26に示すように、2段に積層された半導体チップ1、1及び配線基板42の配線45が形成された面は、封止樹脂(モールド樹脂)47で封止されている。
【0092】
したがって、モジュール化においても、各半導体チップ1の端面が剥離等の虞がないように構成されていることから、半導体装置としての組み立て工程での、作業性が著しく改善される。
【0093】
図27は、上述した第1の実施形態に係る半導体チップ1を3段に積層した第2の半導体装置の構造を示す略断面図である。
【0094】
この第2の半導体装置51も、BGAタイプのパッケージ形態を有しており、配線基板52及び金属ボール44を備えている。配線基板52の上には、例えば制御用ICなどの固体装置53が搭載されている。固体装置53の上には、複数の半導体チップ1がモールド樹脂47で順に積層され、貫通電極58を介して、配線基板52に設けられた電極パッド54と電気的に接続している。最上層に積層される半導体チップ56は、いわゆるフェースダウンで積層され、貫通電極が形成されていない。
【0095】
配線基板52の一方表面外周部で、固体装置53が対向していない領域には、電極パッド(図示せず)が設けられており、この電極パッドは、配線基板52の内部や表面で再配線されて、配線基板52の他方表面に設けられた金属ボール44に電気接続されている。
【0096】
固体装置53の一方表面(配線基板52とは反対側の面)外周部で半導体チップ1が対向していない領域には、電極パッド55が形成されている。配線基板52に設けられた電極パッド54と、固体装置53の電極パッド55とは、ボンディングワイヤ57により電気接続されている。
【0097】
図27に示すように、各半導体チップ1の間及び半導体チップ1と固体装置53との間の空隙は、封止樹脂59で封止されている。
【0098】
したがって、本実施形態においても、モジュール化に際し、各半導体チップ1の端面が剥離等の虞がないように構成されていることから、半導体装置としての組み立て工程での、作業性が著しく改善される。
【0099】
また、図28は、図9で示した第2の実施形態に係る半導体チップ11を搭載した半導体装置の構造を示す略断面図である。
【0100】
図28に示される半導体装置61も、BGAタイプのパッケージ形態を有している。
【0101】
配線基板52の上には、例えば制御IC等の固体装置53が搭載されている。固体装置53の上には半導体チップ11がモールド樹脂47で積層され、貫通電極58を介して、配線基板52に設けられた電極パッド54と電気的に接続している。半導体チップ11の上面の透光性の支持体13が外光を取り入れるようになっている。
【0102】
配線基板52の一方表面外周部で、固体装置53が対向していない領域には、電極パッド(図示せず)が設けられており、この電極パッドは、配線基板52の内部や表面で再配線されて、配線基板52の他方表面に設けられた金属ボール44に電気接続されている。
【0103】
固体装置53の一方表面(配線基板52とは反対側の面)外周部で半導体チップ11が対向していない領域には、電極パッド55が形成されている。配線基板52に設けられた電極パッド54と、固体装置53の電極パッド55とは、ボンディングワイヤ57により電気接続されている。
【0104】
図28に示すように、半導体チップ11の上面の透光性の支持体13を除いて、半導体チップ11と固体装置53との間の空隙は、封止樹脂59で封止されている。
【0105】
したがって、本実施形態においても、モジュール化に際し、半導体チップ11の端面が剥離等の虞がないように構成されていることから、半導体装置としての組み立て工程での、作業性が著しく改善される。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図21】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図23】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図24】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図25】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図26】本発明の実施形態に係る半導体チップを用いた半導体装置の略断面図である。
【図27】本発明の実施形態に係る半導体チップを用いた半導体装置の略断面図である。
【図28】本発明の実施形態に係る半導体チップを用いた半導体装置の略断面図である。
【図29】従来の半導体チップの構成を示す略断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1、11、21,31、56…半導体チップ、2…半導体基板、2a…切断面、3…導電層、4…表面電極、5…貫通孔、6…絶縁膜、7、43、58…貫通電極、8…溝、9、9a…保護層、10・・・切欠部、12…接着層、13…支持体、14…導電端子、22…切断溝、32…切断面保護層、32a・・・端面、41、51、61・・・半導体装置、42、52・・・配線基板、44・・・金属ボール、45・・・配線、46・・・バンプ、47、59・・・封止樹脂、53・・・固体装置、54、55・・・電極パッド。
【技術分野】
【0001】
本発明は、固片化の際に切断面に剥離の生じない半導体チップおよびその製造方法ならびにその半導体チップを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程での半導体チップの製造は、半導体ウエハ上にマトリックス状に形成された複数の半導体チップを固片化することにより行われている。
【0003】
すなわち、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された導電層によって形成された複数のIC、LSI等の半導体チップが、マトリックス状にストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画されて配列した半導体ウエハを、ストリートに沿って切断することによって固片化し、個々の半導体チップを製造している。
【0004】
半導体ウエハのストリートに沿った切断は、一般にダイサーと称されている切削装置によって行われている。この切削装置では、チャックテーブルに保持された被加工物である半導体ウエハに対して、回転スピンドルに装着された環状の切れ刃からなる切削ブレードを、高速回転させながら移動させて切断している。切れ刃は、例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって固定し厚さ20μm程度に形成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
なお、半導体ウエハは、半導体チップに分割して固片化する際に、分割された半導体チップが、ばらばらに離散しないように、チャックテーブルの環状のフレームに装着された保護テープによって裏面が貼着されている。
【0006】
固片化された半導体チップの模式的な一例は、図29に断面図を示すように、半導体チップ81は、Si等の半導体基板80の表面側に、絶縁膜と回路を形成する機能膜が積層された導電層71が形成され、一方、裏面側には、SiO2等による絶縁膜73が成膜されている。また、半導体基板80の所定箇所の表面と裏面との間には半導体基板80を貫通する貫通孔72が形成され、貫通孔72の内部には絶縁膜73に密接して貫通電極74が形成されている。
【0007】
この貫通電極74を介して、半導体基板80の表面の導電層71の機能素子が形成された機能膜へ電力を供給したり、電気信号等を伝送する。なお、矢印Aは切断の際のダイサーの切削ブレードでの切断方向を示している。
【特許文献1】特開2005−209719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、半導体チップは、半導体ウエハ上にマトリックス状に形成された複数の半導体チップをダイサーの切削ブレードにより切断することにより固片化して製造している。
【0009】
この場合、図29に矢印Aで示したように、ダイサーの切削ブレードは、半導体チップ81の表面側から裏面側に高速回転しながら移動する。したがって、半導体チップ81は、機能素子が形成された機能膜が積層された導電層71→半導体基板80→絶縁膜73の順に、機械的強度の異なる材質とその相互の接合部が切断される。
【0010】
相互の接合部において、例えば導電層は半導体基板の表面にフォトリソグラフィにより形成され、絶縁膜は半導体基板の裏面に低温CVDプロセスにより成膜されている。ところが、絶縁膜と半導体基板との密着性が良好でなく、したがって双方の接合強度は、十分なものが得られないことが多かった。そのため、切削ブレードによる切断の際に、絶縁膜と半導体基板との接合部で、絶縁膜が半導体基板から剥離する恐れがあった。
【0011】
本発明はこれらの事情に基づいてなされたもので、固片化の際に切断面に剥離の生じる虞のない半導体チップとその製造方法、ならびにその半導体チップを搭載した半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、半導体基板と、この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部に、少なくとも前記絶縁膜の端面及び該絶縁膜と前記半導体基板との接合部の端面を覆って形成された保護層、とを有することを特徴とする半導体チップが提供される。
【0013】
また、本発明の別の一態様によれば、半導体基板と、この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層とを有することを特徴とする半導体チップが提供される。
【0014】
さらに、本発明の別の一態様によれば、半導体基板と、この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、前記支持体、前記導電層、前記半導体基板の各端面、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層とを有することを特徴とする半導体チップが提供される。
【0015】
また、本発明の別の一態様によれば、表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、前記溝に保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明の別の一態様によれば、表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、前記溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、前記外部接続端子を形成する工程と、前記溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法が提供される。
【0017】
また、本発明の別の一態様によれば、表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の所定箇所に、切断溝を形成する切断工程と、前記切断溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、前記外部接続端子を形成する工程と、前記切断溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明の別の一態様によれば、本発明の態様にかかる半導体チップが多段に積層され、ワイヤーボンディング又はフリップチップボンディングにより接続され、樹脂封止されたことを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、固片化の際に切断面に剥離の生じる虞のない半導体チップとその製造方法、ならびにその半導体チップを搭載した半導体装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一箇所には同一符号を付してある。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【0022】
固片化された半導体チップ1は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成されている。導電層3の上には、必要に応じて、チタンタングステン(TiW)やチタンから成るUBM(Under Bump Metal)(図示しない)を介して、金または銅からなる表面電極4(バンプ)が形成されている。
【0023】
また、半導体基板2には半導体基板2を貫通した貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が成膜されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。貫通孔5の内部にはCu、Au等の導電材料が充填された貫通電極7が形成され、表面電極4と電気的に接続している。この貫通電極7を介して半導体基板2の表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。
【0024】
半導体チップ1の切断面2aであって裏面側の隅部に位置する絶縁膜6と半導体基板2には、略直方体状の切欠部8が形成されている。切欠部8は、絶縁膜6から階段状に形成しても、絶縁膜6から順テーパをつけて形成してもよい。尚、複数の半導体チップ1がウエハ上に並列して形成される場合には、切欠部8は、半導体チップ1と半導体チップ1間に、溝として形成されるものである。
【0025】
この切欠部8には、例えば樹脂製の保護層9が形成されている。図1に示すように、保護層9は切欠部8に埋め込まれている。したがって、絶縁膜6の端面と、絶縁膜6と半導体基板2との接合部の端面が露出しないように覆われている。保護層9の素材としては、エポキシ、ポリイミド又はアクリル樹脂又は導電性ペースト又はソルダーレジスト等の樹脂材料を用いることができる。また、保護層9は樹脂の代わりに例えば融点が60℃から370℃の温度範囲に含まれるはんだ材料等の導電性の金属材料を用いることもでき、その際は、接地端子として利用することもできる。
【0026】
したがって、半導体チップ1の一端面である切断面2aは、上から機能膜が積層された導電層3→半導体基板2→保護層9の順になる。この構成により、半導体チップ1の一端面である切断面2aには、絶縁膜6や、絶縁膜6と半導体基板2との接合面が存在しておらず、絶縁膜6と半導体基板2との接合面での剥離が生じる虞がない。
【0027】
次に、実施形態に示した半導体チップ1の製造方法について説明する。
【0028】
図2乃至図8は、図1に示した半導体チップ1の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ1が、1枚の半導体基板上に製作されるが、図2乃至図7では、1個の半導体チップ1の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の固片化した半導体チップ1に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0029】
まず、図2に示すように、半導体基板の表面に機能素子等が作り込まれた導電層3を形成し、必要に応じて導電層3上の所定位置に表面電極4を形成する。機能素子は、例えばトランジスタ、デバイス、配線等から成る能動領域として形成される。
【0030】
次いで、図3に示すように、表面電極4と対応する半導体基板位置に、例えばフォトリソグラフィとRIEドライエッチングまたはウエットエッチング技術によって、あるいはレーザ照射やサンドブラストによって、半導体基板の裏面側から表面側に至る貫通孔5を形成する。このとき、貫通孔5は導電層3の一部を開口してもよい。
【0031】
続いて、図4に示したように、貫通孔5の内壁と半導体基板の裏面に絶縁膜6を成膜する。かかる形成は、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)と、酸化剤としてO2を用いて、約200℃以下の低温CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、SiO2膜を形成することができる。尚、SiO2絶縁膜の上にTiNでバリア層を形成してもよい。
【0032】
次に、図5に示したように、貫通孔5に金属材料を埋め込んで貫通電極7を形成する。
【0033】
貫通電極7の形成に際しては、まず貫通電極7と同種の金属材料からなるシード層(図示せず)を、貫通孔5の内壁を含む半導体基板裏面側の露出面の全面に形成する。そして、このシード層をシードとした電解めっきにより、貫通電極7を形成するための金属材料(例えば、銅、金の1種以上)を供給して行うことができる。それにより、貫通孔5の内部は、導電材料でほぼ完全に埋められる。貫通電極7は導電層3に電気的に接続される。
【0034】
なお、電極形成工程は、電解めっき法に限定されず、無電解めっき法による銅やニッケルの供給や、導電性ペーストあるいははんだ材を埋め込んでもよい。これらの場合には、シード層を形成する工程は実施しなくてもよい。
【0035】
次に、図6に示したように、絶縁膜6が形成された半導体基板の裏面側の所定位置に対して、所定の深さと幅の溝加工を施して溝8を形成する。この所定位置は、例えば半導体チップに切り分けるためのチップ境界を示すスクライブラインが描かれる位置である。溝8の幅は、後述するダイサーの刃厚より大きく、溝8の深さは、絶縁膜6の厚さの数倍が好適である。この溝加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエット)加工により行うことができる。
【0036】
次に、図7に示したように、形成された溝8にエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込んで保護層9を形成する。上述したように、保護層9は樹脂の代わりに導電性の金属材料を用いることもでき、その際は、接地端子として利用できる。
【0037】
次いで、図8に示したように、ダイサーの切削ブレードにより、半導体基板が保護層9の中央部をストリートとして切断する。
【0038】
それにより、図1に示した貫通電極7を有する半導体チップ1の固片が得られる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の半導体チップをパッケージ化したものである。
【0040】
図9は、第2の実施形態に係る半導体チップ11の略断面図である。上述した第1の実施形態と比べて、半導体チップ11の構成が若干異なるが、それによる半導体チップ11の一端面である切断面2aについての本質的な差異は特に無い。
【0041】
第1の実施形態と同様に、固片化された半導体チップ11は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成され、裏面側に絶縁膜6が形成されている。この導電層3の上面には接着層12を介して、透光性のガラス等の支持体13が形成されている。なお、接着層12は必ずしも導電層3の全面に形成されている必要はなく、導電層3に受光素子(図示しない)が配置されている場合は、受光素子が形成されている導電層3の領域と支持体13の間には空間(図示せず)が形成されていても良い。
【0042】
また、導電層3の所定部位に対応して半導体基板2には貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が形成されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。
【0043】
貫通孔5の内部にはCu、Au等による貫通電極7が形成され、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆い、外部接続用の導電端子14が接続されている。したがって、導電端子14と貫通電極7を介して表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。導電端子14は、例えばハンダボールで形成することができる。
【0044】
半導体チップ11の切断面2aであって裏面側の隅部に位置する絶縁膜6と半導体基板2には、略直方体状の切欠部10が形成されている。尚、複数の半導体チップ11がウエハ上に並列して形成される場合には、切欠部10は、半導体チップ11と半導体チップ11間に、溝として形成されるものである。
【0045】
切欠部10を充填すると共に半導体基板2の裏面側に延在した貫通電極7を被覆して、保護層9が形成されている。
【0046】
保護層9は、樹脂製の保護材であって、貫通電極7上に形成された導電端子14の根元をも被覆している。ここでは、保護層9を金属製とすることにより、半導体基板2をGNDに落とすことができるので、ノイズマージンの向上等、特性が良くなる。
【0047】
この構成により、半導体チップ11の一端面である切断面2aには、絶縁膜6や、絶縁膜6と半導体基板2との接合面が存在しておらず、絶縁膜6と半導体基板2との接合面での剥離が生じる虞がない。
【0048】
次に、第2の実施形態に係る半導体チップ11の製造方法について説明する。
【0049】
図10乃至図14は、図9に示した半導体チップ11の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ11が、1枚の半導体基板2上に製作されるが、図10乃至図13では、1個の半導体チップ11の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の固片化した半導体チップ11に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0050】
まず、図10に示すように、半導体基板2の表面に機能素子等が作り込まれた導電層3を形成した後、半導体基板2に対して、第1の実施形態の図3乃至図5で説明した工程により、貫通孔5、絶縁膜6、貫通電極7をそれぞれ形成する。導電層3の上面には接着層12を設け、接着層12を介して支持体13を形成する。
【0051】
次に、図11に示すように、第1の実施形態の図6で説明したと同様に、絶縁膜6が形成された半導体基板2の裏面側の所定位置に対して、所定の深さと幅の溝加工を施して溝8を形成する。この溝加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエットのいずづれか)により行う。
【0052】
次に、図12に示すように、形成された溝8にエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込む。更に、同樹脂を貫通電極7が半導体基板2の裏面側に延在した部位と絶縁膜6まで被覆させて保護層9を形成する。なお、保護層9は、貫通電極7に導電端子14が接続される部位9aはマスキングされている。
【0053】
次に、図13に示すように、貫通電極7に外部接続用の導電端子14をはんだ付等により接続する。
【0054】
次に、図14に示すように、ダイサーの切削ブレードにより、半導体基板2の保護層9の中央部をストリートとして切断する。
【0055】
それにより、図9に示した貫通電極7を有する半導体チップ11の固片が得られる。
【0056】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、半導体チップをパッケージ化した第2の実施形態の変形例である。
【0057】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る半導体チップ21の略断面図である。半導体チップ21の基本構造そのものは、第2の実施形態と同様であるので、図15において、図9と同一箇所には同一符号を付して、重複した説明を省略する。
【0058】
第2の実施形態と同様に、固片化された半導体チップ21は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成され、裏面側に絶縁膜6が形成されている。この導電層3の上面には接着層12を介して、例えば、透光性のガラス等の支持体13が形成されている。なお、接着層12は必ずしも導電層3の全面に形成されている必要はなく、導電層3に受光素子(図示しない)が配置されている場合は、受光素子が形成されている導電層3の領域と支持体13の間には空間(図示せず)が形成されていても良い。
【0059】
また、導電層3の所定部位に対応して半導体基板2には貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が形成されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。
【0060】
貫通孔5の内部にはCu、Au等による貫通電極7が形成され、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆い、導電端子14が接続されている。したがって、導電端子14と貫通電極7を介して表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。
【0061】
半導体チップ21の一端面2aの全面と、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆っている貫通電極7を被覆して、保護層9が形成されている。加えて、保護層9は支持体13の端面をも被覆して形成されている。保護層9は、樹脂製の保護材であって、貫通電極7上に形成された導電端子14の根元をも被覆している。保護層9の樹脂としては、エポキシ、ポリイミド等の樹脂材料が用いることができる。
【0062】
この構成により、半導体チップ21の端面9aには、Si等の半導体基板が一切露出していないから、Siの欠け等によるコンタミネーションを防止することができる。さらに、支持体の端面も保護されているから、接合面での剥離が生じる虞がない。
【0063】
次に、第3の実施形態に係る半導体チップ21の製造方法について説明する。
【0064】
図16乃至図19は、図15に示した半導体チップ21の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ21が、1枚の半導体基板2上に製作されるが、図16乃至図19では、1個の半導体チップ21の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の固片化した半導体チップ21に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0065】
まず、図16に示すように、半導体基板2の表面に機能素子等を作り込んだ導電層3を形成した後、半導体基板2に対して、第2の実施形態の図10について説明した工程により、貫通孔5、絶縁膜6、貫通電極7をそれぞれ形成する。導電層3の上面には接着層12を設け、接着層12を介して支持体13を形成する。
【0066】
さらに、図16に示すように、半導体基板2の所定位置に対して切断加工を施して切断溝22を形成する。この切断加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエットのいずれか)により行う。なお、半導体基板2を切断しても切断された半導体チップ21が、ばらばらに離散しないように、例えばチャックテーブルのテープフレーム(図示しない)によって裏面が貼着されて保持され、半導体チップ21同士の間に切断溝22が形成される。
【0067】
次に、図17に示すように、形成された切断溝22にエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込み、更に、同樹脂を半導体基板2の裏面側に延在した貫通電極7の表面を被覆させて保護層9を形成する。なお、保護層9は、貫通電極7に導電端子14が接続される部位はマスキングされている。
【0068】
次に、図18に示すように、貫通電極7に外部接続用の導電端子14をはんだ付等により接続する。
【0069】
次に、図19に示すように、ダイサーの切削ブレードにより、半導体基板2の保護層9の中央部をストリートとして切断する。
【0070】
それにより、図15に示した貫通電極7を有する半導体チップ21の固片が得られる。
【0071】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例である。
【0072】
図20は、第4の実施形態に係る半導体チップ31の略断面図である。
【0073】
第3の実施形態の場合と同様に、固片化された半導体チップ31は、Si等の半導体基板2の表面側に機能素子等が作り込まれた導電層3が形成され、裏面側に絶縁膜6が形成されている。この導電層3の上面には接着層12を介して、例えば、透光性のガラス等の支持体13が形成されている。なお、接着層12は導電層3の全面に形成されているのではなく、導電層3に受光素子(図示しない)が配置されている場合は、受光素子が形成されている導電層3の領域と支持体13の間には空間(図示せず)が形成されていても良い。
【0074】
また、導電層3の所定部位に対応して半導体基板2には貫通孔5が形成され、貫通孔5の内壁には絶縁膜6が形成されている。この絶縁膜6は半導体基板2の裏面にも一体的に連続して成膜されている。
【0075】
貫通孔5の内部にはCu、Au等による貫通電極7が形成され、半導体基板2の裏面の絶縁膜6の表面を覆い、外部接続用の導電端子14が接続されている。したがって、導電端子14と貫通電極7を介して表面の導電層3へ電力を供給し、電気信号等を伝達することができる。
【0076】
図20に示すように、導電端子14の開口を除いて、半導体基板2の裏面側の絶縁膜6と貫通電極7は、全面に亘って、保護層9で被覆されている。さらに、半導体チップ31の端面である切断側の端面全体には、第2の保護層が形成されている。この両保護層32、9の樹脂としては、エポキシ、ポリイミド等の樹脂材料が用いることができる。
【0077】
この構成により、半導体チップ31の端面32aには、Si等の半導体基板が一切露出していないから、Siの欠け等を防止することができる。さらに、支持体の端面も保護されているから、接合面での剥離が生じる虞がない。
【0078】
次に、第4の実施形態に示した半導体チップ31の製造方法について説明する。
【0079】
図21乃至図25は、図20に示した半導体チップ31の製造方法を説明するための工程断面図である。複数の半導体チップ31が、1枚の半導体基板2上に製作されるが、図21乃至図25では、1個の半導体チップ31の一部に相当する部分のみを示す。半導体基板2の面内方向に、最終形態の半導体チップ31に対応する領域が、複数個、並列して配される。
【0080】
まず、図21に示すように、半導体基板2の表面に機能素子を含む導電層3を形成した後、半導体基板2に対して、第2の実施形態の図9について説明した工程により貫通孔5、絶縁膜6、貫通電極7をそれぞれ形成する。導電層3の上面には接着層12を設け、接着層12を介して支持体13を形成する。さらに、半導体基板2の裏面側の絶縁膜6と貫通電極7の延在部位の表面の全面に、エポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料による保護層9を形成する。なお、保護層9は、貫通電極7に外部接続用の導電端子14が接続される部位はマスキングされている。
【0081】
次に、図22に示すように、貫通電極7に導電端子14をはんだ付等により接続する。
【0082】
次に、図23に示すように、半導体基板2の所定位置に対して切断加工を施して切断溝22を形成する。この切断加工は、ダイシング等の機械加工やレーザ加工やエッチング(ドライ又はウエットのいずれか)により行う。なお、半導体基板2を切断しても切断された半導体チップ31が、ばらばらに離散しないように、例えばチャックテーブルのテープフレーム(図示しない)によって裏面が貼着されて保持され、半導体チップ31同士の間に切断溝22が形成される。
【0083】
次に、図24に示したように、形成された切断溝22に切断面保護層32としてエポキシあるいはポリイミド等の樹脂材料を埋め込む。あるいは、導電材料により形成しても良い。
【0084】
次に、図25に示すように、ダイサーの切削ブレード(図示しない)により、ウエハWの切断面保護層32の中央部をストリートとして切断する。
【0085】
それにより、図20に示した貫通電極7を有する半導体チップ31の固片が得られる。
【0086】
次に、上述の各実施例で示した半導体チップ1を搭載したマルチチップ型等の半導体装置について説明する。
【0087】
図26は、上述の第1の実施形態で説明した半導体チップ1を多段に積み重ねた半導体装置の構造を示す略断面図である。この半導体装置41は、いわゆるBGA(Ball Grid Array)タイプのパッケージ形態を有しており、配線基板42と配線基板42の上に2段に積層された半導体チップ1を備えている。
【0088】
配線基板42は絶縁体からなる。配線基板42には、配線基板42を厚さ方向に貫通する貫通電極43が形成されている。配線基板42の一方表面側で貫通電極43には金属ボール(たとえば、半田ボール)44が接合されている。配線基板42の金属ボール44側とは反対側の面には、所定のパターンの配線45が形成されている。配線45は貫通電極43に電気的に接続されており、配線45の所定の部分には金属からなるバンプ46が形成されている。
【0089】
半導体チップ1の配線基板42への搭載は、図26に示すものに限られず、いわゆるフェースダウンであってもよいことは勿論である。
【0090】
配線基板42上のバンプ46は、半導体チップ1の貫通電極7の裏面側と接合されている。2つの半導体チップ1において、一方の半導体チップ1の表面電極4と、他方の半導体チップ1の貫通電極7とが接合されている。
【0091】
図26に示すように、2段に積層された半導体チップ1、1及び配線基板42の配線45が形成された面は、封止樹脂(モールド樹脂)47で封止されている。
【0092】
したがって、モジュール化においても、各半導体チップ1の端面が剥離等の虞がないように構成されていることから、半導体装置としての組み立て工程での、作業性が著しく改善される。
【0093】
図27は、上述した第1の実施形態に係る半導体チップ1を3段に積層した第2の半導体装置の構造を示す略断面図である。
【0094】
この第2の半導体装置51も、BGAタイプのパッケージ形態を有しており、配線基板52及び金属ボール44を備えている。配線基板52の上には、例えば制御用ICなどの固体装置53が搭載されている。固体装置53の上には、複数の半導体チップ1がモールド樹脂47で順に積層され、貫通電極58を介して、配線基板52に設けられた電極パッド54と電気的に接続している。最上層に積層される半導体チップ56は、いわゆるフェースダウンで積層され、貫通電極が形成されていない。
【0095】
配線基板52の一方表面外周部で、固体装置53が対向していない領域には、電極パッド(図示せず)が設けられており、この電極パッドは、配線基板52の内部や表面で再配線されて、配線基板52の他方表面に設けられた金属ボール44に電気接続されている。
【0096】
固体装置53の一方表面(配線基板52とは反対側の面)外周部で半導体チップ1が対向していない領域には、電極パッド55が形成されている。配線基板52に設けられた電極パッド54と、固体装置53の電極パッド55とは、ボンディングワイヤ57により電気接続されている。
【0097】
図27に示すように、各半導体チップ1の間及び半導体チップ1と固体装置53との間の空隙は、封止樹脂59で封止されている。
【0098】
したがって、本実施形態においても、モジュール化に際し、各半導体チップ1の端面が剥離等の虞がないように構成されていることから、半導体装置としての組み立て工程での、作業性が著しく改善される。
【0099】
また、図28は、図9で示した第2の実施形態に係る半導体チップ11を搭載した半導体装置の構造を示す略断面図である。
【0100】
図28に示される半導体装置61も、BGAタイプのパッケージ形態を有している。
【0101】
配線基板52の上には、例えば制御IC等の固体装置53が搭載されている。固体装置53の上には半導体チップ11がモールド樹脂47で積層され、貫通電極58を介して、配線基板52に設けられた電極パッド54と電気的に接続している。半導体チップ11の上面の透光性の支持体13が外光を取り入れるようになっている。
【0102】
配線基板52の一方表面外周部で、固体装置53が対向していない領域には、電極パッド(図示せず)が設けられており、この電極パッドは、配線基板52の内部や表面で再配線されて、配線基板52の他方表面に設けられた金属ボール44に電気接続されている。
【0103】
固体装置53の一方表面(配線基板52とは反対側の面)外周部で半導体チップ11が対向していない領域には、電極パッド55が形成されている。配線基板52に設けられた電極パッド54と、固体装置53の電極パッド55とは、ボンディングワイヤ57により電気接続されている。
【0104】
図28に示すように、半導体チップ11の上面の透光性の支持体13を除いて、半導体チップ11と固体装置53との間の空隙は、封止樹脂59で封止されている。
【0105】
したがって、本実施形態においても、モジュール化に際し、半導体チップ11の端面が剥離等の虞がないように構成されていることから、半導体装置としての組み立て工程での、作業性が著しく改善される。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの略断面図である。
【図21】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図23】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図24】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図25】本発明の第4の実施形態に係る半導体チップの製造方法を説明する工程断面図である。
【図26】本発明の実施形態に係る半導体チップを用いた半導体装置の略断面図である。
【図27】本発明の実施形態に係る半導体チップを用いた半導体装置の略断面図である。
【図28】本発明の実施形態に係る半導体チップを用いた半導体装置の略断面図である。
【図29】従来の半導体チップの構成を示す略断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1、11、21,31、56…半導体チップ、2…半導体基板、2a…切断面、3…導電層、4…表面電極、5…貫通孔、6…絶縁膜、7、43、58…貫通電極、8…溝、9、9a…保護層、10・・・切欠部、12…接着層、13…支持体、14…導電端子、22…切断溝、32…切断面保護層、32a・・・端面、41、51、61・・・半導体装置、42、52・・・配線基板、44・・・金属ボール、45・・・配線、46・・・バンプ、47、59・・・封止樹脂、53・・・固体装置、54、55・・・電極パッド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、
前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、
この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、
前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部に、少なくとも前記絶縁膜の端面及び該絶縁膜と前記半導体基板との接合部の端面を覆って形成された保護層、
とを有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記切欠部は、前記絶縁膜から階段状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記切欠部は、前記絶縁膜から順テーパがついていることを特徴とする請求項2記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記保護層は、前記切欠部を充填して形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記保護層は、前記絶縁膜の全面を被覆して形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記導電層の上に、表面電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項7】
半導体基板と、
この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、
この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、
前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、
この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、
前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層、
とを有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項8】
半導体基板と、
この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、
この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、
前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、
この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、
前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記支持体、前記導電層、前記半導体基板の各端面、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層、
とを有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項9】
表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、
前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、
前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、
前記溝に保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、
を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項10】
表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、
前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、
前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、
前記溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、
前記外部接続端子を形成する工程と、
前記溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、
を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項11】
表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、
前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、
前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の所定箇所に、切断溝を形成する切断工程と、
前記切断溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、
前記外部接続端子を形成する工程と、
前記切断溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、
を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項12】
前記絶縁膜の成膜工程は、TEOSと酸化剤を用いた、低温CVD法により、SiO2膜、又は低温CVD法により窒化珪素(SiN)膜、又は低温CVD法によるリンまたはボロンドープのSiO2膜、又はポリイミドによる樹脂膜を成膜するものであることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の半導体チップの製造方法。
【請求項13】
前記貫通孔の形成工程は、フォトリソグラフィとRIEドライエッチング技術又はフォトリソグラフィとウェットエッチング技術又はフォトリソグラフィとサンドブラスト又はフォトリソグラフィとレーザーエッチング又はレーザーエッチングやそれらの組み合わせを用いることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の半導体チップの製造方法。
【請求項14】
前記保護層の形成工程は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂又はアクリル樹脂又は導電性ペースト又はソルダーレジスト又は融点が60℃から370℃の温度範囲に含まれるはんだ材料を埋め込んで形成することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の半導体チップの製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体チップが多段に積層され、ワイヤーボンディング又はフリップチップボンディングにより接続され、樹脂封止されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
最上層の半導体チップは、フェースダウンで積層され、貫通電極が形成されていないことを特徴とする請求項15記載の半導体装置。
【請求項1】
半導体基板と、
この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、
前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、
この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、
前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部に、少なくとも前記絶縁膜の端面及び該絶縁膜と前記半導体基板との接合部の端面を覆って形成された保護層、
とを有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記切欠部は、前記絶縁膜から階段状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記切欠部は、前記絶縁膜から順テーパがついていることを特徴とする請求項2記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記保護層は、前記切欠部を充填して形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記保護層は、前記絶縁膜の全面を被覆して形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記導電層の上に、表面電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項7】
半導体基板と、
この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、
この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、
前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、
この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、
前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記半導体基板の端面側であって、前記絶縁層と前記半導体基板とが該半導体基板の厚さ方向に切り欠かれた切欠部、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層、
とを有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項8】
半導体基板と、
この半導体基板の表面に形成され、機能素子が作り込まれる導電層と、
この導電層の上面に接着部を介して形成される透光性の支持体と、
前記半導体基板の裏面から前記半導体基板の厚さ方向に開口する貫通孔と、
この貫通孔の内壁と前記半導体基板の裏面に形成された絶縁膜と、
前記貫通孔に充填されて前記導電層と前記半導体基板の裏面の所定箇所を導通する貫通電極と、
前記支持体、前記導電層、前記半導体基板の各端面、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を覆って形成された保護層、
とを有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項9】
表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、
前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、
前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、
前記溝に保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、
を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項10】
表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、
前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、
前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の裏面側の所定箇所に、所定の深さと幅の溝を形成する溝形成工程と、
前記溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、
前記外部接続端子を形成する工程と、
前記溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、
を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項11】
表面上に機能素子が作り込まれた導電層が形成された半導体基板を用意し、
前記導電層の上面に接着部を介して透光性の明支持体を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面側から貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内壁及び前記半導体基板の裏面に一体的に絶縁膜を成膜する成膜工程と、
前記貫通孔を埋め込んで貫通電極を形成する電極形成工程と、
前記絶縁膜が形成された前記半導体基板の所定箇所に、切断溝を形成する切断工程と、
前記切断溝、前記絶縁膜及び外部接続用の部位を除いた前記貫通電極を被覆する保護層を形成する保護層形成工程と、
前記外部接続端子を形成する工程と、
前記切断溝の中心部で前記半導体基板を切断して固片化する固片化工程、
を具備することを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項12】
前記絶縁膜の成膜工程は、TEOSと酸化剤を用いた、低温CVD法により、SiO2膜、又は低温CVD法により窒化珪素(SiN)膜、又は低温CVD法によるリンまたはボロンドープのSiO2膜、又はポリイミドによる樹脂膜を成膜するものであることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の半導体チップの製造方法。
【請求項13】
前記貫通孔の形成工程は、フォトリソグラフィとRIEドライエッチング技術又はフォトリソグラフィとウェットエッチング技術又はフォトリソグラフィとサンドブラスト又はフォトリソグラフィとレーザーエッチング又はレーザーエッチングやそれらの組み合わせを用いることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の半導体チップの製造方法。
【請求項14】
前記保護層の形成工程は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂又はアクリル樹脂又は導電性ペースト又はソルダーレジスト又は融点が60℃から370℃の温度範囲に含まれるはんだ材料を埋め込んで形成することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の半導体チップの製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体チップが多段に積層され、ワイヤーボンディング又はフリップチップボンディングにより接続され、樹脂封止されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
最上層の半導体チップは、フェースダウンで積層され、貫通電極が形成されていないことを特徴とする請求項15記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2007−123719(P2007−123719A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316778(P2005−316778)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(503456832)株式会社ザイキューブ (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(503456832)株式会社ザイキューブ (36)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]