半導体検査装置及び半導体検査方法
【課題】低価格で、且つ半導体基板のルミネセンス画像から高い精度でクラックを検出できる半導体検査装置及び半導体検査方法を提供する。
【解決手段】pn接合を有する半導体基板100にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーErを半導体基板に供給する供給装置10と、第1の励起エネルギーEr1及び第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2が供給された半導体基板100の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置30と、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板100の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置41と、強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板100のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置42とを備える。
【解決手段】pn接合を有する半導体基板100にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーErを半導体基板に供給する供給装置10と、第1の励起エネルギーEr1及び第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2が供給された半導体基板100の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置30と、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板100の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置41と、強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板100のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置42とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体検査方法に係り、特に半導体基板に発生したクラックを検出する半導体検査装置及び半導体検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板に生じるルミネセンスの強度は、半導体基板に供給される励起エネルギーにほぼ比例する。しかし、半導体基板に生じたクラックではルミネセンスは観測されず、周囲のルミネセンスの回り込みがある程度である。この現象を利用して、半導体基板にルミネセンスを生じさせた状態の画像(以下において、「ルミネセンス画像」という。)を撮影し、半導体基板のクラックを検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−26113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ルミネセンス画像からクラックを検出するためには、クラック位置とクラックの発生していない位置との差が明確な画像を取得できる高性能カメラを用いてルミネセンス画像を撮影する必要がある。このため、ルミネセンス画像から高い精度でクラックを検出するために検査装置の価格が増大するという問題があった。また、高性能カメラを含む検査装置が輸出規制の対象になる場合がある。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、低価格で、且つ半導体基板のルミネセンス画像から高い精度でクラックを検出できる半導体検査装置及び半導体検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、(イ)pn接合を有する半導体基板にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーを半導体基板に供給する供給装置と、(ロ)第1の励起エネルギー及び第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーが供給された半導体基板の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置と、(ハ)第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置と、(ニ)強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置とを備える半導体検査装置が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、(イ)pn接合を有する半導体基板に第1の励起エネルギーを供給して、半導体基板の第1のルミネセンス画像を取得するステップと、(ロ)半導体基板に第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーを供給して、半導体基板の第2のルミネセンス画像を取得するステップと、(ハ)第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するステップと、(ニ)強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出するステップとを含む半導体検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低価格で、且つ半導体基板のルミネセンス画像から高い精度でクラックを検出できる半導体検査装置及び半導体検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって取得されるルミネセンス画像の例を示す模式図である。
【図3】図2に示したルミネセンス画像の輝度分布を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって取得されるルミネセンス画像の他の例を示す模式図である。
【図5】図4に示したルミネセンス画像の輝度分布を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された強度差分画像データの輝度分布の例を示すグラフである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された判定値分布画像の例を示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査方法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置の構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によって取得された反射画像の輝度分布の例を示すグラフである。
【図11】図10に示した輝度分布を二値化した二値化反射画像データを示すグラフである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された判定値の例を示すグラフである。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された判定値分布画像の例を示す模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、以下に示す第1及び第2の実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置は、図1に示すように、pn接合を有する半導体基板100にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーErを半導体基板に供給する供給装置10と、第1の励起エネルギーEr1及び第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2が供給された半導体基板100の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置30と、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板100の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置41と、強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板100のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置42とを備える。
【0012】
画像取得装置30によって取得された画像のデータは、ルミネセンス画像処理装置41及び検出装置42を有する画像データ処理装置40に伝送される。また、画像データ処理装置40は、クラックが発生したピクセル数でクラック量を定量化する定量化装置43を更に備える。定量化装置43は、クラック位置に含まれるピクセル数をカウントし、カウントされたピクセル数の総和をクラック量として算出する。画像データ処理装置40で処理された各データは、記録装置400に格納される。
【0013】
供給装置10は、励起エネルギーErの大きさを変えて半導体基板100に供給可能な出力可変のエネルギー供給源である。例えば電流印加又は電圧印加によって、供給装置10は励起エネルギーErを半導体基板100に供給する。この場合、印加する電流又は電圧の大きさを変えることで、供給装置10は複数の大きさの励起エネルギーErを半導体基板100にそれぞれ供給できる。半導体基板100に生じるルミネセンスの強度は供給された励起エネルギーErにほぼ比例するため、供給装置10は、半導体基板100に複数の強度のルミネセンスを生じさせ得る。
【0014】
通常、半導体基板には、励起エネルギーErの供給によってルミネセンスが生じるpn接合を有する半導体領域と、電極部の配線(以下において「電極線」という。)等の半導体以外の領域が含まれる。一般に、半導体以外の領域では、励起エネルギーErが供給されてもルミネセンスが生じない。以下において、正常な状態で励起エネルギーErが供給されてもルミネセンスが生じ得ない領域を「非EL領域」という。なお、クラックの発生した半導体基板100に励起エネルギーErを供給した場合には、クラックと非EL領域でルミネセンスが生じない。このため、半導体領域のクラックの発生していないpn接合領域(以下において、「正常pn接合領域」という。)においてルミネセンス強度は大きく、クラック及び非EL領域においてルミネセンス強度は小さい。
【0015】
画像取得装置30は、励起エネルギーErを供給されてルミネセンスが生じている半導体基板100のルミネセンス画像を撮像し、画像データとして取得する。具体的には、画像取得装置30は、正常pn接合領域とクラック位置及び非EL領域とにおいてルミネセンス強度の異なるルミネセンス画像を取得し、取得したルミネセンス画像を画像データ処理装置40に伝送する。ルミネセンス画像を撮像するために、例えば赤外線カメラが画像取得装置30に使用される。画像取得装置30には、電荷結合素子(CCD)カメラ等の安価な撮像装置を採用可能である。
【0016】
ルミネセンス画像処理装置41は、画像取得装置30によって取得されたルミネセンス画像に基づき、半導体基板100内の位置にルミネセンス強度を対応させた強度差分画像データを作成する。
【0017】
例えば、ルミネセンス画像として輝度分布を取得した場合は、ルミネセンス画像処理装置41は、強度差分画像データとして輝度分布画像データを作成する。励起エネルギーErが供給されてルミネセンスを生じさせた状態の半導体基板100において、クラックが生じた位置ではルミネセンスは観測されない。このため、強度差分画像データにおいてクラックと正常pn接合領域との識別が可能である。
【0018】
しかし、高い性能を有する高価格のカメラを画像取得装置30に使用した場合等でなければ、クラックと正常pn接合領域との識別は非常に困難である。このため、画像取得装置30が低性能である場合にクラックと正常pn接合領域との識別を可能にするために、図1に示した半導体検査装置は、以下に説明するように2つのルミネセンス画像の強度の差分から強度差分画像データを作成する。
【0019】
既に述べたように、半導体基板100のルミネセンス強度は供給された励起エネルギーErの大きさにほぼ比例する。したがって、大きさの異なる励起エネルギーErを半導体基板100に供給した場合、ルミネセンスが生じる領域におけるルミネセンス強度は励起エネルギーErの大きさの差に応じて異なる。一方、ルミネセンスが生じない領域のルミネセンス強度に差はほとんど生じない。
【0020】
したがって、強度差分画像データは以下のように作成される。即ち、第1の励起エネルギーEr1を半導体基板100に供給して第1のルミネセンス画像を取得する。更に、第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2を半導体基板100に供給して、第1のルミネセンス画像とルミネセンス強度の異なる第2のルミネセンス画像を取得する。ルミネセンス画像処理装置41は、半導体基板100の各位置について第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を算出して、強度差分画像データを作成する。強度差分画像データにおいて、正常pn接合領域のルミネセンス強度の差分と比較して、ルミネセンスが生じない領域のルミネセンス強度の差分は小さい。
【0021】
例えば、ルミネセンス画像が輝度分布画像である場合は、ルミネセンスを生じさせた状態の半導体基板100の輝度は供給された励起エネルギーErの大きさにほぼ比例する。このため、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像における正常pn接合領域の輝度の差は、クラック位置の輝度の差より大きい。このため、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像の差分を算出して得られる強度差分画像データでは、クラック位置及び非EL領域の暗度が強調される。つまり、正常pn接合領域に対してクラック位置の暗度が強調される。
【0022】
図2に、第1のルミネセンス画像として取得された半導体基板100表面の輝度分布画像の例を示す。図2において、ハッチングの無い領域が正常pn接合領域S1〜S6であり、左下がりの斜め線のハッチングで示した領域が例えば電極線の配置された非EL領域L1〜L8であり、右下がりの斜め線のハッチングで示した領域がクラックの発生しているクラック位置C1〜C6である。また、各位置に記載された数字は輝度である。
【0023】
図2に示した輝度分布画像は、クラック位置と電極線とが隣接し、且つ、正常pn接合領域S1〜S6、非EL領域L1〜L8、クラック位置C1〜C6それぞれの輝度の差が小さいために、クラックの検出が困難な例を示している。画像取得装置30が低性能である場合には、図2に示したように、正常pn接合領域S1〜S6、非EL領域L1〜L8、クラック位置C1〜C6における輝度の差がほとんどない輝度分布画像が取得される。
【0024】
第1のルミネセンス画像として取得された図2に示した輝度分布画像の輝度分布(以下において「第1の輝度分布」という。)を図3に示す。図3において、各位置の輝度をグラフ中に記載している(以下において同様)。図3に示したような正常pn接合領域S1〜S6とクラック位置C1〜C6との輝度の差が小さい輝度分布からは、クラック位置の検出は困難である。
【0025】
図4に、第2のルミネセンス画像として取得された輝度分布画像の例を示す。第2のルミネセンス画像は、第1のルミネセンス画像が取得された際に半導体基板100に供給された励起エネルギーErの2倍の大きさの励起エネルギーErを半導体基板100に供給して取得された輝度分布画像である。画像取得装置30の性能が低い場合には、雑音によって取得される画像データの輝度が低くなり、励起エネルギーErを2倍にしたことによるルミネセンス画像の強度の変化を正確に認識できない。このため、図4に示したように、正常pn接合領域において第2のルミネセンス画像の輝度は第1のルミネセンス画像の輝度の2倍にはなっていない。
【0026】
図4に示した輝度分布画像の輝度分布(以下において「第2の輝度分布」という。)を図5に示す。図5に示した輝度分布においても正常pn接合領域S1〜S6とクラック位置C1〜C6との輝度の差は小さく、クラック位置の検出は困難である。
【0027】
第1のルミネセンス画像及び第2のルミネセンス画像が輝度分布画像である場合は、ルミネセンス画像処理装置41は強度差分画像データとして輝度分布画像データを作成する。図6に、強度差分画像データとして作成された輝度分布画像データの輝度分布の例を示す。つまり、図6は、図3に示した第1の輝度分布と図5に示した第2の輝度分布との輝度の差分を示す。
【0028】
図3及び図5に示したように、第1の輝度分布と第2の輝度分布においては、正常pn接合領域S1〜S6の輝度と、クラック位置C1〜C6の輝度との差は小さい。しかし、図6に示したように、第1の輝度分布と第2の輝度分布の差分では正常pn接合領域S1〜S6以外の暗部が強調される。このため、正常pn接合領域S1〜S6とクラック位置C1〜C6との輝度の差が明確である。
【0029】
上記のように、異なる強度のルミネセンス画像の差分を取ることにより、ルミネセンスの観測されないクラック位置が強度差分画像データにおいてより明確になる。ルミネセンス画像の差分から強度差分画像データを作成するためには、半導体基板100の同一位置について強度の異なる2つのルミネセンス画像を取得する必要がある。
【0030】
上記のように、強度差分画像データにおいては正常pn接合領域とクラック位置とのルミネセンス強度の差が明確である。このため、検出装置42は、半導体基板100の各位置について強度差分画像データの差分の大きさを判定値として使用することによって、半導体基板100の正常pn接合領域とクラックが発生した半導体領域とを識別できる。つまり、検出装置42はルミネセンス強度の差分の小さい半導体領域をクラック位置として検出する。
【0031】
また、正常pn接合領域とクラック位置との差分の差が大きいため、差分を二値化することができる。強度差分画像データの差分の大きさを二値化した判定値に基づき、クラック位置の検出を更に容易にできる。図7に、図6に示した判定値を二値化して得られる判定値分布画像の例を示す。図7において、「正常pn接合領域の値:正常pn接合領域以外の値」を10:1に設定して、判定値は二値化されている。
【0032】
第1の実施形態に係る半導体検査装置による検査結果は、表示装置50に表示される。例えば、表示装置50にクラックが検出された位置や長さが表示される。また、定量化装置43によって算出されたクラック量も表示装置50に表示される。
【0033】
なお、基板設置装置200上に検査対象の半導体基板100が配置される。基板設置装置200を操作することによって、画像取得装置30の撮像可能範囲内の任意の位置に半導体基板100を移動可能である。例えば半導体基板100の寸法が大きくて画像取得装置30の撮像可能範囲内に半導体基板100の全体が入らない場合、半導体基板100を移動させて複数の画像を撮影する。これらの画像を合成することで、半導体基板100全体の画像データを取得できる。また、複数の半導体基板100を基板設置装置200上に配置しておくことで、複数の半導体基板100を連続して検査することも可能である。
【0034】
なお、画像取得装置30には、ルミネセンス画像を撮影できる程度の性能があればよい。例えば、ルミネセンス画像を撮影するために、1000nm〜1300nmの波長域に感度がある赤外線カメラが採用可能である。更に、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像との強度の差を算出するためには、例えば2倍程度の輝度変化を識別可能なルミネセンス画像を撮影できることが好ましい。ただし、2倍程度の輝度変化を1.5倍程度の輝度変化と認識するような低性能のカメラであっても、画像取得装置30に使用できる。このように低性能なカメラであっても、供給する励起エネルギーErを3倍にすることによって、忠実度の高い高性能カメラと同等の輝度分布を取得できるためである。
【0035】
したがって、高価格の高性能カメラではなく、性能の低いカメラでも上記の画像取得装置30に対する条件を満たすことは可能である。つまり、画像取得装置30に低価格のカメラを用いても図2〜図6に示したような輝度分布の画像を取得することが可能であり、上記に説明したクラック位置の検出が可能である。
【0036】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置では、強度の異なる2つのルミネセンス画像のルミネセンス強度の差分を算出することによって、ルミネセンスが観測されないクラック位置と正常pn接合領域との差が大きな強度差分画像データが作成される。そして、強度差分画像データの差分の大きさを判定値に用いて、半導体領域におけるクラック位置を検出することができる。その結果、図1に示した半導体検査装置によれば、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックの位置や長さを検出できる半導体検査装置を実現できる。更に、図1に示した半導体検査装置によれば、クラックの発生したピクセル数でクラック量を定量化できる。そのため、例えば、定量化されたクラック量を用いて、半導体基板100の品質をいくつかの等級に分類することができる。
【0037】
以下に、図8のフローチャートを参照して、図1に示した半導体検査装置を用いて半導体基板100を検査する方法の例を説明する。半導体基板100は励起エネルギーを供給されてルミネセンスを生じる半導体基板であれば何でもよいが、以下では、半導体基板100が太陽電池基板である場合を例示的に説明する。なお、非EL領域は電極線である。
【0038】
(イ)ステップS10において、半導体基板100にルミネセンスを生じさせる第1の励起エネルギーEr1を、供給装置10により半導体基板100に供給する。そして、画像取得装置30が半導体基板100の第1のルミネセンス画像を取得する。取得された第1のルミネセンス画像は画像データ処理装置40に伝送され、2次元配列データとして記録装置400に格納される。例えば、太陽電池基板の出力電極に電圧V1を印加して、太陽電池基板をエレクトロルミネセンス(EL)発光させる。画像取得装置30によって、EL発光している太陽電池基板の輝度分布画像を第1のルミネセンス画像として取得する。例えば、図2に示したような輝度分布画像が第1のルミネセンス画像として取得される。
【0039】
(ロ)ステップS20において、第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2を、供給装置10により半導体基板100に供給する。これにより、画像取得装置30が、第1のルミネセンス画像と強度の異なる半導体基板100の第2のルミネセンス画像を取得する。取得された第2のルミネセンス画像は画像データ処理装置40に伝送され、2次元配列データとして記録装置400に格納される。例えば、電圧V1の2倍の大きさの電圧V2を太陽電池基板の出力電極に印加して、太陽電池基板をEL発光させる。画像取得装置30によって、EL発光している太陽電池基板の輝度分布を、第1のルミネセンス画像と輝度が異なる第2のルミネセンス画像として取得する。例えば、図4に示したような輝度分布画像が第2のルミネセンス画像として取得される。このとき、第1のルミネセンス画像を取得した位置と同位置の輝度分布を第2のルミネセンス画像として取得することに注意する。
【0040】
(ハ)ステップS30において、ルミネセンス画像処理装置41が第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像との同一位置における強度の差分を算出して、半導体基板100の強度差分画像データを作成する。作成された強度差分画像データは、記録装置400に格納される。例えば、太陽電池基板の第1のルミネセンス画像及び第2のルミネセンス画像としてそれぞれ輝度分布画像を取得した場合、図6に示したような輝度分布を有する輝度分布画像が強度差分画像データとして作成される。
【0041】
(ニ)ステップS40において、検出装置42が、記録装置400から読み出した強度差分画像データを判定値に用いて、半導体基板100の半導体領域においてクラックが発生したクラック位置を検出する。このとき、判定値を2値化したデータを参照してクラック位置を検出してもよい。検出されたクラック位置のデータは、記録装置400に格納される。例えば、図6に示した輝度分布を参照して、輝度の小さい位置をクラックの発生したクラック位置として検出する。
【0042】
(ホ)ステップS50において、定量化装置43がクラック位置のデータを記録装置400から読み出す。そして、定量化装置43がクラック位置に含まれるピクセル数をカウントし、ピクセル数の総和をクラック量として定量化する。クラック量は記録装置400に格納される。
【0043】
半導体検査装置の操作者は、記録装置400に格納された判定値やクラック位置のデータを読み出して表示装置50に表示させることができる。例えば、図6に示した輝度の差分を二値化して、図7に示したような判定値分布画像を表示装置50に表示することにより、操作者はクラック位置を容易に確認できる。
【0044】
また、定量化されたクラック量を表示装置50に表示させることもできる。これにより、例えば、定量化されたクラック量に応じて半導体基板100の品質を等級に分類することができる。
【0045】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置を用いた半導体検査方法によれば、ルミネセンス強度分布画像データを算出することによって、クラック位置か否かを判断するための判定値を半導体基板100の各位置について得られる。その結果、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックが発生している位置や長さを検出できる半導体検査方法を実現できる。
【0046】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置は、図9に示すように、投射装置20と反射画像処理装置44を更に備えることが、図1に示した半導体検査装置と異なる。その他の構成については、図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0047】
投射装置20は、半導体基板100の半導体領域と半導体領域以外のルミネセンスが生じない領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーEpを、半導体基板100に投射する。画像データ処理装置40に含まれる反射画像処理装置44は、半導体基板100に投射エネルギーEpを投射して取得される半導体基板100の反射画像を二値化して、二値化反射画像データを作成する。
【0048】
第1の実施形態において説明したように、図1に示した半導体検査装置では、正常pn接合領域とルミネセンスが生じない半導体領域のクラック位置との差が明確な強度差分画像データが作成される。
【0049】
しかしながら、クラック位置と電極線等の非EL領域は共にルミネセンスが生じない領域であるため、図6に示した強度差分画像データのように、非EL領域L1〜L8とクラック位置C1〜C6との輝度の差は小さい。したがって、強度差分画像データにおいて、クラック位置と非EL領域との識別が困難な場合がある。
【0050】
投射装置20は、クラック位置と非EL領域とを識別するために、投射エネルギーEpを半導体基板100に投射する。例えば、非EL領域である電極線が金属膜等からなる場合、クラックが発生した位置を含めて半導体領域よりも、電極線における光の反射率は高い。このため、電極線からの反射光の輝度は電極線以外の部分からの反射光の輝度より高く、反射光の輝度を用いて半導体領域と電極線とを識別可能である。
【0051】
したがって、半導体基板100の半導体領域と半導体領域以外のルミネセンスが生じない非EL領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーEpとして、光を採用可能である。このため、投光器を投射装置20に使用できる。光を半導体基板100に投射することによって得られる半導体基板100からの反射光の反射画像は、半導体領域よりも電極線の輝度が高い輝度分布画像である。
【0052】
上記のように、半導体領域と非EL領域とで吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーEpを半導体基板100に投射することによって、半導体領域と非EL領域とを識別可能な反射画像が得られる。例えば、反射画像における輝度の差によって、電極線と電極線以外とを識別可能である。
【0053】
投光器以外では、例えば、加熱装置が投射装置20に採用可能である。この場合、加熱された半導体領域と電極線との温度差を利用して、電極線の温度が高い、半導体基板100の温度分布に対応した反射画像が得られる。画像取得装置30に赤外線カメラを使用することにより、このような反射画像を取得できる。
【0054】
反射画像処理装置44は、反射画像のデータを二値化して、二値化したデータを半導体基板100内の位置に対応させた二値化反射画像データを作成する。例えば、投射エネルギーEpとして光を半導体基板100に投射した場合、投射装置20が、半導体基板100での反射光の輝度分布画像を反射画像として取得する。反射画像処理装置44は、例えば一定のしきい値を基準にして輝度分布画像の輝度を二値化して、二値化反射画像データとして輝度分布画像データを作成する。
【0055】
一般にクラックは電極線に比べて幅が十分狭いため、反射画像では電極線の位置が明確である。したがって、投射エネルギーEpを半導体基板100に投射することによって電極線である非EL領域と電極線以外の半導体領域とを識別可能な反射画像が得られる。更に、反射画像のデータを二値化することにより、半導体基板100に配置された電極線と電極線以外の区別をより明確にできる。例えば、「非EL領域のデータ:非EL領域以外のデータ」の比率を、「10:1」程度に設定して、二値化反射画像データを作成する。ここで電極線以外のデータとは、半導体領域のデータである。
【0056】
以下に、図2に示した半導体基板100に光を投射し、半導体基板100で反射した反射光の輝度分布画像を反射画像として取得する例を説明する。反射画像として取得された輝度分布画像の輝度分布の例を図10に示す。図10に示すように、正常pn接合領域S1〜S6及びクラック位置C1〜C6と、電極線が配置された非EL領域L1〜L8との輝度の差が大きい。したがって、安価で性能の低いカメラを画像取得装置30として採用した場合であっても、非EL領域と非EL領域以外との差が明確な反射画像を取得可能である。
【0057】
反射画像が輝度分布画像である場合は、反射画像を二値化した二値化反射画像データとして輝度分布画像データが作成される。非EL領域が電極線である場合、正常pn接合領域やクラック位置と電極線とで光の反射率は異なるため、電極線の輝度と電極線以外の輝度で輝度分布を二値化することが可能である。図11に、「電極線の輝度:正常pn接合及びクラック位置の輝度」を10:1に設定して図10に示した輝度分布を二値化した例を示す。反射画像を二値化することによって、非EL領域と非EL領域以外とを明確に区別することができる。
【0058】
図9に示した検出装置42は、半導体基板100の同一位置のルミネセンス強度分布画像データと二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値を算出する。これにより、半導体基板100における判定値の分布を示す判定値分布データが作成される。したがって、判定値分布データを作成するために、半導体基板100の同一位置について、ルミネセンス画像と反射画像が取得されている必要がある。
【0059】
既に説明したように、強度差分画像データは、ルミネセンスが生じる正常pn接合領域のデータと、クラック及び電極線の非EL領域のデータとの差が明確にされたデータである。また、二値化反射画像データは、電極線のデータと電極線以外のデータとの差が明確にされたデータである。したがって、強度差分画像データと二値化反射画像データとの乗算によって算出される判定値分布データは、正常pn接合領域及び電極線の位置と、クラックが発生しているクラック位置との差が明確にされたデータである。
【0060】
例えば強度差分画像データが輝度分布画像データである場合、半導体基板100の強度差分画像データを作成することによって、クラック位置を正常pn接合領域より輝度が低い位置として識別できる。しかし、ルミネセンスが観測されない電極線の輝度も低いため、強度差分画像データの輝度の比較だけでは、クラックと電極線との識別が困難な場合がある。
【0061】
一方、二値化反射画像データが輝度分布データである場合、二値化反射画像データにおいて電極線の輝度と電極線以外の領域の輝度との差が明確である。例えば、電極線の輝度が10、電極線以外の領域の輝度が1に設定されて、二値化反射画像データが作成される。このため、強度差分画像データと二値化反射画像データを乗算することによって、電極線の判定値のみが高くなり、電極線に対してクラック位置の判定値が小さくなる。その結果、判定値分布データを参照することにより、クラック位置とクラック位置以外とを容易に識別できる。
【0062】
図12に、図6に示した強度差分画像データの輝度分布と図11に示した二値化反射画像データの輝度分布とを用いて算出された判定値の分布を示す。図12に示すように、非EL領域L1〜L8の判定値が上がり、相対的にクラック位置C1〜C6における暗部のみが強調された判定値分布データが得られる。
【0063】
検出装置42は、判定値分布データを参照して半導体領域に発生したクラック位置を検出する。例えば、図12に示した判定値の例では、クラック位置C1〜C6と正常pn接合領域S1〜S6の判定値に最低でも2.57倍の差がある。このように、判定値分布データにおいてクラック位置とクラック位置以外との判定値の差が大きいため、判定値の小さい位置をクラック位置として検出できる。また、クラック位置とクラック位置以外との判定値の差が大きいため、判定値を二値化することができ、これによりクラック位置の検出が更に容易になる。図13に、図12に示した判定値を二値化して得られる判定値分布画像の例を示す。ここで、「クラック位置の判定値:クラック位置以外の判定値」を1:10に設定して、判定値は二値化されている。
【0064】
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置では、ルミネセンスが観測されない位置を示すがクラックと電極線等の非EL領域との差が不明確な強度差分画像データと、非EL領域と非EL領域以外の領域との差が明確な二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値を算出する。これにより、正常pn接合領域及び非EL領域の判定値と、クラック位置の判定値との差を明確にできる。つまり、クラック位置と電極線との識別が可能である。したがって、本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によれば、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックの位置や長さを検出できる半導体検査装置を実現できる。
【0065】
また、第2の実施形態に係る半導体検査装置によれば、例えば太陽電池基板等のように表面に電極線が配置されている半導体基板において、クラックが電極線に隣接して発生した場合であっても、クラックの位置や長さを容易に検出できる。
【0066】
他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。なお、画像取得装置30には、二値化できる程度に半導体領域と電極部等の非EL領域との差が明確な反射画像を取得できる性能があればよい。
【0067】
以下に、図14に示したフローチャートを参照して、図9に示した半導体検査装置を用いて半導体基板100を検査する方法の例を説明する。以下では、半導体基板100が太陽電池基板である場合を例示的に説明する。この場合、非EL領域は電極線である。
【0068】
(イ)図8に示したフローチャートのステップS10〜ステップS30と同様にして、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像との同一位置における強度の差分を算出し、半導体基板100の強度差分画像データを作成する。作成された強度差分画像データは、記録装置400に格納される。
【0069】
(ロ)半導体基板100への励起エネルギーErの供給を停止した後、ステップS140において、投射装置20によって半導体基板100に投射エネルギーEpを投射する。これにより、画像取得装置30が、EL発光していない状態の半導体基板100の反射画像を取得する。このとき、ルミネセンス画像を取得した位置と同位置の反射画像を取得することに注意する。取得された反射画像は画像データ処理装置40に伝送され、2次元配列データとして記録装置400に格納される。例えば太陽電池基板に光を投射し、図10に示したような輝度分布を有する輝度分布画像が反射画像として取得される。なお、電極線と電極線以外とで輝度の差が大きくなるように、投射装置20によって投射される光の波長や強度、光を投射する角度を選択することが好ましい。
【0070】
(ハ)ステップS150において、反射画像処理装置44が記録装置400から読み出した反射画像を二値化して、半導体基板100の二値化反射画像データを作成する。例えば、図10に示した輝度分布を二値化して、図11に示したような二値化反射画像データが作成される。二値化反射画像データは記録装置400に格納される。
【0071】
(ニ)ステップS160において、検出装置42が、記録装置400からそれぞれ読み出した強度差分画像データと二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値を算出する。算出された判定値は記録装置400に格納される。例えば、図6に示した強度差分画像データと図11に示した二値化反射画像データとを用いて、図12に示した判定値の分布が算出される。
【0072】
(ホ)ステップS170において、検出装置42は、記録装置400から読み出した判定値に基づいて、半導体基板100のクラックが発生したクラック位置を検出する。検出されたクラック位置のデータは、記録装置400に格納される。例えば、図12に示した判定値の分布を参照して、判定値の小さい位置をクラックの発生したクラック位置として検出する。このとき、判定値を二値化したデータを参照してクラック位置を検出してもよい。
【0073】
(ヘ)ステップS180において、定量化装置43によってクラック位置のデータが記録装置400から読み出され、定量化装置43が、クラック位置に含まれるピクセル数をカウントし、ピクセル数の総和をクラック量として定量化する。クラック量は記録装置400に格納される。
【0074】
半導体検査装置の操作者は、例えば、判定値を二値化した図13に示したような判定値分布画像を表示装置50に表示することにより、クラック位置を容易に確認できる。また、定量化されたクラック量を表示装置50に表示させることもできる。
【0075】
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置を用いた半導体検査方法によれば、ルミネセンス強度分布画像データと二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値が算出される。その結果、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックが発生している位置や長さを検出できる半導体検査方法を実現できる。
【0076】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0077】
既に述べた実施形態の説明においては、半導体基板100におけるエレクトロルミネセンスを用いる例について説明したが、ルミネセンスの種類はこれに限られない。例えば、励起エネルギーが供給された半導体基板100に生じる熱や電界の強度分布を取得してもよい。
【0078】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の半導体検査装置及び半導体検査方法は、半導体基板の検査に関し、半導体基板を製造する製造業を含む電子機器産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
Ep…投射エネルギー
Er…励起エネルギー
C1〜C6…クラック位置
L1〜L8…非EL領域
S1〜S6…正常pn接合領域
10…供給装置
20…投射装置
30…画像取得装置
40…画像データ処理装置
41…ルミネセンス画像処理装置
42…検出装置
43…定量化装置
44…反射画像処理装置
50…表示装置
100…半導体基板
200…基板設置装置
400…記録装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体検査方法に係り、特に半導体基板に発生したクラックを検出する半導体検査装置及び半導体検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板に生じるルミネセンスの強度は、半導体基板に供給される励起エネルギーにほぼ比例する。しかし、半導体基板に生じたクラックではルミネセンスは観測されず、周囲のルミネセンスの回り込みがある程度である。この現象を利用して、半導体基板にルミネセンスを生じさせた状態の画像(以下において、「ルミネセンス画像」という。)を撮影し、半導体基板のクラックを検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−26113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ルミネセンス画像からクラックを検出するためには、クラック位置とクラックの発生していない位置との差が明確な画像を取得できる高性能カメラを用いてルミネセンス画像を撮影する必要がある。このため、ルミネセンス画像から高い精度でクラックを検出するために検査装置の価格が増大するという問題があった。また、高性能カメラを含む検査装置が輸出規制の対象になる場合がある。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、低価格で、且つ半導体基板のルミネセンス画像から高い精度でクラックを検出できる半導体検査装置及び半導体検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、(イ)pn接合を有する半導体基板にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーを半導体基板に供給する供給装置と、(ロ)第1の励起エネルギー及び第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーが供給された半導体基板の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置と、(ハ)第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置と、(ニ)強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置とを備える半導体検査装置が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、(イ)pn接合を有する半導体基板に第1の励起エネルギーを供給して、半導体基板の第1のルミネセンス画像を取得するステップと、(ロ)半導体基板に第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーを供給して、半導体基板の第2のルミネセンス画像を取得するステップと、(ハ)第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するステップと、(ニ)強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出するステップとを含む半導体検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低価格で、且つ半導体基板のルミネセンス画像から高い精度でクラックを検出できる半導体検査装置及び半導体検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって取得されるルミネセンス画像の例を示す模式図である。
【図3】図2に示したルミネセンス画像の輝度分布を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって取得されるルミネセンス画像の他の例を示す模式図である。
【図5】図4に示したルミネセンス画像の輝度分布を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された強度差分画像データの輝度分布の例を示すグラフである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された判定値分布画像の例を示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査方法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置の構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によって取得された反射画像の輝度分布の例を示すグラフである。
【図11】図10に示した輝度分布を二値化した二値化反射画像データを示すグラフである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された判定値の例を示すグラフである。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によって作成された判定値分布画像の例を示す模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、以下に示す第1及び第2の実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置は、図1に示すように、pn接合を有する半導体基板100にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーErを半導体基板に供給する供給装置10と、第1の励起エネルギーEr1及び第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2が供給された半導体基板100の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置30と、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を半導体基板100の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置41と、強度差分画像データの差分の大きさを用いた判定値に基づき、半導体基板100のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置42とを備える。
【0012】
画像取得装置30によって取得された画像のデータは、ルミネセンス画像処理装置41及び検出装置42を有する画像データ処理装置40に伝送される。また、画像データ処理装置40は、クラックが発生したピクセル数でクラック量を定量化する定量化装置43を更に備える。定量化装置43は、クラック位置に含まれるピクセル数をカウントし、カウントされたピクセル数の総和をクラック量として算出する。画像データ処理装置40で処理された各データは、記録装置400に格納される。
【0013】
供給装置10は、励起エネルギーErの大きさを変えて半導体基板100に供給可能な出力可変のエネルギー供給源である。例えば電流印加又は電圧印加によって、供給装置10は励起エネルギーErを半導体基板100に供給する。この場合、印加する電流又は電圧の大きさを変えることで、供給装置10は複数の大きさの励起エネルギーErを半導体基板100にそれぞれ供給できる。半導体基板100に生じるルミネセンスの強度は供給された励起エネルギーErにほぼ比例するため、供給装置10は、半導体基板100に複数の強度のルミネセンスを生じさせ得る。
【0014】
通常、半導体基板には、励起エネルギーErの供給によってルミネセンスが生じるpn接合を有する半導体領域と、電極部の配線(以下において「電極線」という。)等の半導体以外の領域が含まれる。一般に、半導体以外の領域では、励起エネルギーErが供給されてもルミネセンスが生じない。以下において、正常な状態で励起エネルギーErが供給されてもルミネセンスが生じ得ない領域を「非EL領域」という。なお、クラックの発生した半導体基板100に励起エネルギーErを供給した場合には、クラックと非EL領域でルミネセンスが生じない。このため、半導体領域のクラックの発生していないpn接合領域(以下において、「正常pn接合領域」という。)においてルミネセンス強度は大きく、クラック及び非EL領域においてルミネセンス強度は小さい。
【0015】
画像取得装置30は、励起エネルギーErを供給されてルミネセンスが生じている半導体基板100のルミネセンス画像を撮像し、画像データとして取得する。具体的には、画像取得装置30は、正常pn接合領域とクラック位置及び非EL領域とにおいてルミネセンス強度の異なるルミネセンス画像を取得し、取得したルミネセンス画像を画像データ処理装置40に伝送する。ルミネセンス画像を撮像するために、例えば赤外線カメラが画像取得装置30に使用される。画像取得装置30には、電荷結合素子(CCD)カメラ等の安価な撮像装置を採用可能である。
【0016】
ルミネセンス画像処理装置41は、画像取得装置30によって取得されたルミネセンス画像に基づき、半導体基板100内の位置にルミネセンス強度を対応させた強度差分画像データを作成する。
【0017】
例えば、ルミネセンス画像として輝度分布を取得した場合は、ルミネセンス画像処理装置41は、強度差分画像データとして輝度分布画像データを作成する。励起エネルギーErが供給されてルミネセンスを生じさせた状態の半導体基板100において、クラックが生じた位置ではルミネセンスは観測されない。このため、強度差分画像データにおいてクラックと正常pn接合領域との識別が可能である。
【0018】
しかし、高い性能を有する高価格のカメラを画像取得装置30に使用した場合等でなければ、クラックと正常pn接合領域との識別は非常に困難である。このため、画像取得装置30が低性能である場合にクラックと正常pn接合領域との識別を可能にするために、図1に示した半導体検査装置は、以下に説明するように2つのルミネセンス画像の強度の差分から強度差分画像データを作成する。
【0019】
既に述べたように、半導体基板100のルミネセンス強度は供給された励起エネルギーErの大きさにほぼ比例する。したがって、大きさの異なる励起エネルギーErを半導体基板100に供給した場合、ルミネセンスが生じる領域におけるルミネセンス強度は励起エネルギーErの大きさの差に応じて異なる。一方、ルミネセンスが生じない領域のルミネセンス強度に差はほとんど生じない。
【0020】
したがって、強度差分画像データは以下のように作成される。即ち、第1の励起エネルギーEr1を半導体基板100に供給して第1のルミネセンス画像を取得する。更に、第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2を半導体基板100に供給して、第1のルミネセンス画像とルミネセンス強度の異なる第2のルミネセンス画像を取得する。ルミネセンス画像処理装置41は、半導体基板100の各位置について第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を算出して、強度差分画像データを作成する。強度差分画像データにおいて、正常pn接合領域のルミネセンス強度の差分と比較して、ルミネセンスが生じない領域のルミネセンス強度の差分は小さい。
【0021】
例えば、ルミネセンス画像が輝度分布画像である場合は、ルミネセンスを生じさせた状態の半導体基板100の輝度は供給された励起エネルギーErの大きさにほぼ比例する。このため、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像における正常pn接合領域の輝度の差は、クラック位置の輝度の差より大きい。このため、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像の差分を算出して得られる強度差分画像データでは、クラック位置及び非EL領域の暗度が強調される。つまり、正常pn接合領域に対してクラック位置の暗度が強調される。
【0022】
図2に、第1のルミネセンス画像として取得された半導体基板100表面の輝度分布画像の例を示す。図2において、ハッチングの無い領域が正常pn接合領域S1〜S6であり、左下がりの斜め線のハッチングで示した領域が例えば電極線の配置された非EL領域L1〜L8であり、右下がりの斜め線のハッチングで示した領域がクラックの発生しているクラック位置C1〜C6である。また、各位置に記載された数字は輝度である。
【0023】
図2に示した輝度分布画像は、クラック位置と電極線とが隣接し、且つ、正常pn接合領域S1〜S6、非EL領域L1〜L8、クラック位置C1〜C6それぞれの輝度の差が小さいために、クラックの検出が困難な例を示している。画像取得装置30が低性能である場合には、図2に示したように、正常pn接合領域S1〜S6、非EL領域L1〜L8、クラック位置C1〜C6における輝度の差がほとんどない輝度分布画像が取得される。
【0024】
第1のルミネセンス画像として取得された図2に示した輝度分布画像の輝度分布(以下において「第1の輝度分布」という。)を図3に示す。図3において、各位置の輝度をグラフ中に記載している(以下において同様)。図3に示したような正常pn接合領域S1〜S6とクラック位置C1〜C6との輝度の差が小さい輝度分布からは、クラック位置の検出は困難である。
【0025】
図4に、第2のルミネセンス画像として取得された輝度分布画像の例を示す。第2のルミネセンス画像は、第1のルミネセンス画像が取得された際に半導体基板100に供給された励起エネルギーErの2倍の大きさの励起エネルギーErを半導体基板100に供給して取得された輝度分布画像である。画像取得装置30の性能が低い場合には、雑音によって取得される画像データの輝度が低くなり、励起エネルギーErを2倍にしたことによるルミネセンス画像の強度の変化を正確に認識できない。このため、図4に示したように、正常pn接合領域において第2のルミネセンス画像の輝度は第1のルミネセンス画像の輝度の2倍にはなっていない。
【0026】
図4に示した輝度分布画像の輝度分布(以下において「第2の輝度分布」という。)を図5に示す。図5に示した輝度分布においても正常pn接合領域S1〜S6とクラック位置C1〜C6との輝度の差は小さく、クラック位置の検出は困難である。
【0027】
第1のルミネセンス画像及び第2のルミネセンス画像が輝度分布画像である場合は、ルミネセンス画像処理装置41は強度差分画像データとして輝度分布画像データを作成する。図6に、強度差分画像データとして作成された輝度分布画像データの輝度分布の例を示す。つまり、図6は、図3に示した第1の輝度分布と図5に示した第2の輝度分布との輝度の差分を示す。
【0028】
図3及び図5に示したように、第1の輝度分布と第2の輝度分布においては、正常pn接合領域S1〜S6の輝度と、クラック位置C1〜C6の輝度との差は小さい。しかし、図6に示したように、第1の輝度分布と第2の輝度分布の差分では正常pn接合領域S1〜S6以外の暗部が強調される。このため、正常pn接合領域S1〜S6とクラック位置C1〜C6との輝度の差が明確である。
【0029】
上記のように、異なる強度のルミネセンス画像の差分を取ることにより、ルミネセンスの観測されないクラック位置が強度差分画像データにおいてより明確になる。ルミネセンス画像の差分から強度差分画像データを作成するためには、半導体基板100の同一位置について強度の異なる2つのルミネセンス画像を取得する必要がある。
【0030】
上記のように、強度差分画像データにおいては正常pn接合領域とクラック位置とのルミネセンス強度の差が明確である。このため、検出装置42は、半導体基板100の各位置について強度差分画像データの差分の大きさを判定値として使用することによって、半導体基板100の正常pn接合領域とクラックが発生した半導体領域とを識別できる。つまり、検出装置42はルミネセンス強度の差分の小さい半導体領域をクラック位置として検出する。
【0031】
また、正常pn接合領域とクラック位置との差分の差が大きいため、差分を二値化することができる。強度差分画像データの差分の大きさを二値化した判定値に基づき、クラック位置の検出を更に容易にできる。図7に、図6に示した判定値を二値化して得られる判定値分布画像の例を示す。図7において、「正常pn接合領域の値:正常pn接合領域以外の値」を10:1に設定して、判定値は二値化されている。
【0032】
第1の実施形態に係る半導体検査装置による検査結果は、表示装置50に表示される。例えば、表示装置50にクラックが検出された位置や長さが表示される。また、定量化装置43によって算出されたクラック量も表示装置50に表示される。
【0033】
なお、基板設置装置200上に検査対象の半導体基板100が配置される。基板設置装置200を操作することによって、画像取得装置30の撮像可能範囲内の任意の位置に半導体基板100を移動可能である。例えば半導体基板100の寸法が大きくて画像取得装置30の撮像可能範囲内に半導体基板100の全体が入らない場合、半導体基板100を移動させて複数の画像を撮影する。これらの画像を合成することで、半導体基板100全体の画像データを取得できる。また、複数の半導体基板100を基板設置装置200上に配置しておくことで、複数の半導体基板100を連続して検査することも可能である。
【0034】
なお、画像取得装置30には、ルミネセンス画像を撮影できる程度の性能があればよい。例えば、ルミネセンス画像を撮影するために、1000nm〜1300nmの波長域に感度がある赤外線カメラが採用可能である。更に、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像との強度の差を算出するためには、例えば2倍程度の輝度変化を識別可能なルミネセンス画像を撮影できることが好ましい。ただし、2倍程度の輝度変化を1.5倍程度の輝度変化と認識するような低性能のカメラであっても、画像取得装置30に使用できる。このように低性能なカメラであっても、供給する励起エネルギーErを3倍にすることによって、忠実度の高い高性能カメラと同等の輝度分布を取得できるためである。
【0035】
したがって、高価格の高性能カメラではなく、性能の低いカメラでも上記の画像取得装置30に対する条件を満たすことは可能である。つまり、画像取得装置30に低価格のカメラを用いても図2〜図6に示したような輝度分布の画像を取得することが可能であり、上記に説明したクラック位置の検出が可能である。
【0036】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置では、強度の異なる2つのルミネセンス画像のルミネセンス強度の差分を算出することによって、ルミネセンスが観測されないクラック位置と正常pn接合領域との差が大きな強度差分画像データが作成される。そして、強度差分画像データの差分の大きさを判定値に用いて、半導体領域におけるクラック位置を検出することができる。その結果、図1に示した半導体検査装置によれば、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックの位置や長さを検出できる半導体検査装置を実現できる。更に、図1に示した半導体検査装置によれば、クラックの発生したピクセル数でクラック量を定量化できる。そのため、例えば、定量化されたクラック量を用いて、半導体基板100の品質をいくつかの等級に分類することができる。
【0037】
以下に、図8のフローチャートを参照して、図1に示した半導体検査装置を用いて半導体基板100を検査する方法の例を説明する。半導体基板100は励起エネルギーを供給されてルミネセンスを生じる半導体基板であれば何でもよいが、以下では、半導体基板100が太陽電池基板である場合を例示的に説明する。なお、非EL領域は電極線である。
【0038】
(イ)ステップS10において、半導体基板100にルミネセンスを生じさせる第1の励起エネルギーEr1を、供給装置10により半導体基板100に供給する。そして、画像取得装置30が半導体基板100の第1のルミネセンス画像を取得する。取得された第1のルミネセンス画像は画像データ処理装置40に伝送され、2次元配列データとして記録装置400に格納される。例えば、太陽電池基板の出力電極に電圧V1を印加して、太陽電池基板をエレクトロルミネセンス(EL)発光させる。画像取得装置30によって、EL発光している太陽電池基板の輝度分布画像を第1のルミネセンス画像として取得する。例えば、図2に示したような輝度分布画像が第1のルミネセンス画像として取得される。
【0039】
(ロ)ステップS20において、第1の励起エネルギーEr1と大きさの異なる第2の励起エネルギーEr2を、供給装置10により半導体基板100に供給する。これにより、画像取得装置30が、第1のルミネセンス画像と強度の異なる半導体基板100の第2のルミネセンス画像を取得する。取得された第2のルミネセンス画像は画像データ処理装置40に伝送され、2次元配列データとして記録装置400に格納される。例えば、電圧V1の2倍の大きさの電圧V2を太陽電池基板の出力電極に印加して、太陽電池基板をEL発光させる。画像取得装置30によって、EL発光している太陽電池基板の輝度分布を、第1のルミネセンス画像と輝度が異なる第2のルミネセンス画像として取得する。例えば、図4に示したような輝度分布画像が第2のルミネセンス画像として取得される。このとき、第1のルミネセンス画像を取得した位置と同位置の輝度分布を第2のルミネセンス画像として取得することに注意する。
【0040】
(ハ)ステップS30において、ルミネセンス画像処理装置41が第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像との同一位置における強度の差分を算出して、半導体基板100の強度差分画像データを作成する。作成された強度差分画像データは、記録装置400に格納される。例えば、太陽電池基板の第1のルミネセンス画像及び第2のルミネセンス画像としてそれぞれ輝度分布画像を取得した場合、図6に示したような輝度分布を有する輝度分布画像が強度差分画像データとして作成される。
【0041】
(ニ)ステップS40において、検出装置42が、記録装置400から読み出した強度差分画像データを判定値に用いて、半導体基板100の半導体領域においてクラックが発生したクラック位置を検出する。このとき、判定値を2値化したデータを参照してクラック位置を検出してもよい。検出されたクラック位置のデータは、記録装置400に格納される。例えば、図6に示した輝度分布を参照して、輝度の小さい位置をクラックの発生したクラック位置として検出する。
【0042】
(ホ)ステップS50において、定量化装置43がクラック位置のデータを記録装置400から読み出す。そして、定量化装置43がクラック位置に含まれるピクセル数をカウントし、ピクセル数の総和をクラック量として定量化する。クラック量は記録装置400に格納される。
【0043】
半導体検査装置の操作者は、記録装置400に格納された判定値やクラック位置のデータを読み出して表示装置50に表示させることができる。例えば、図6に示した輝度の差分を二値化して、図7に示したような判定値分布画像を表示装置50に表示することにより、操作者はクラック位置を容易に確認できる。
【0044】
また、定量化されたクラック量を表示装置50に表示させることもできる。これにより、例えば、定量化されたクラック量に応じて半導体基板100の品質を等級に分類することができる。
【0045】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る半導体検査装置を用いた半導体検査方法によれば、ルミネセンス強度分布画像データを算出することによって、クラック位置か否かを判断するための判定値を半導体基板100の各位置について得られる。その結果、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックが発生している位置や長さを検出できる半導体検査方法を実現できる。
【0046】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置は、図9に示すように、投射装置20と反射画像処理装置44を更に備えることが、図1に示した半導体検査装置と異なる。その他の構成については、図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0047】
投射装置20は、半導体基板100の半導体領域と半導体領域以外のルミネセンスが生じない領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーEpを、半導体基板100に投射する。画像データ処理装置40に含まれる反射画像処理装置44は、半導体基板100に投射エネルギーEpを投射して取得される半導体基板100の反射画像を二値化して、二値化反射画像データを作成する。
【0048】
第1の実施形態において説明したように、図1に示した半導体検査装置では、正常pn接合領域とルミネセンスが生じない半導体領域のクラック位置との差が明確な強度差分画像データが作成される。
【0049】
しかしながら、クラック位置と電極線等の非EL領域は共にルミネセンスが生じない領域であるため、図6に示した強度差分画像データのように、非EL領域L1〜L8とクラック位置C1〜C6との輝度の差は小さい。したがって、強度差分画像データにおいて、クラック位置と非EL領域との識別が困難な場合がある。
【0050】
投射装置20は、クラック位置と非EL領域とを識別するために、投射エネルギーEpを半導体基板100に投射する。例えば、非EL領域である電極線が金属膜等からなる場合、クラックが発生した位置を含めて半導体領域よりも、電極線における光の反射率は高い。このため、電極線からの反射光の輝度は電極線以外の部分からの反射光の輝度より高く、反射光の輝度を用いて半導体領域と電極線とを識別可能である。
【0051】
したがって、半導体基板100の半導体領域と半導体領域以外のルミネセンスが生じない非EL領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーEpとして、光を採用可能である。このため、投光器を投射装置20に使用できる。光を半導体基板100に投射することによって得られる半導体基板100からの反射光の反射画像は、半導体領域よりも電極線の輝度が高い輝度分布画像である。
【0052】
上記のように、半導体領域と非EL領域とで吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーEpを半導体基板100に投射することによって、半導体領域と非EL領域とを識別可能な反射画像が得られる。例えば、反射画像における輝度の差によって、電極線と電極線以外とを識別可能である。
【0053】
投光器以外では、例えば、加熱装置が投射装置20に採用可能である。この場合、加熱された半導体領域と電極線との温度差を利用して、電極線の温度が高い、半導体基板100の温度分布に対応した反射画像が得られる。画像取得装置30に赤外線カメラを使用することにより、このような反射画像を取得できる。
【0054】
反射画像処理装置44は、反射画像のデータを二値化して、二値化したデータを半導体基板100内の位置に対応させた二値化反射画像データを作成する。例えば、投射エネルギーEpとして光を半導体基板100に投射した場合、投射装置20が、半導体基板100での反射光の輝度分布画像を反射画像として取得する。反射画像処理装置44は、例えば一定のしきい値を基準にして輝度分布画像の輝度を二値化して、二値化反射画像データとして輝度分布画像データを作成する。
【0055】
一般にクラックは電極線に比べて幅が十分狭いため、反射画像では電極線の位置が明確である。したがって、投射エネルギーEpを半導体基板100に投射することによって電極線である非EL領域と電極線以外の半導体領域とを識別可能な反射画像が得られる。更に、反射画像のデータを二値化することにより、半導体基板100に配置された電極線と電極線以外の区別をより明確にできる。例えば、「非EL領域のデータ:非EL領域以外のデータ」の比率を、「10:1」程度に設定して、二値化反射画像データを作成する。ここで電極線以外のデータとは、半導体領域のデータである。
【0056】
以下に、図2に示した半導体基板100に光を投射し、半導体基板100で反射した反射光の輝度分布画像を反射画像として取得する例を説明する。反射画像として取得された輝度分布画像の輝度分布の例を図10に示す。図10に示すように、正常pn接合領域S1〜S6及びクラック位置C1〜C6と、電極線が配置された非EL領域L1〜L8との輝度の差が大きい。したがって、安価で性能の低いカメラを画像取得装置30として採用した場合であっても、非EL領域と非EL領域以外との差が明確な反射画像を取得可能である。
【0057】
反射画像が輝度分布画像である場合は、反射画像を二値化した二値化反射画像データとして輝度分布画像データが作成される。非EL領域が電極線である場合、正常pn接合領域やクラック位置と電極線とで光の反射率は異なるため、電極線の輝度と電極線以外の輝度で輝度分布を二値化することが可能である。図11に、「電極線の輝度:正常pn接合及びクラック位置の輝度」を10:1に設定して図10に示した輝度分布を二値化した例を示す。反射画像を二値化することによって、非EL領域と非EL領域以外とを明確に区別することができる。
【0058】
図9に示した検出装置42は、半導体基板100の同一位置のルミネセンス強度分布画像データと二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値を算出する。これにより、半導体基板100における判定値の分布を示す判定値分布データが作成される。したがって、判定値分布データを作成するために、半導体基板100の同一位置について、ルミネセンス画像と反射画像が取得されている必要がある。
【0059】
既に説明したように、強度差分画像データは、ルミネセンスが生じる正常pn接合領域のデータと、クラック及び電極線の非EL領域のデータとの差が明確にされたデータである。また、二値化反射画像データは、電極線のデータと電極線以外のデータとの差が明確にされたデータである。したがって、強度差分画像データと二値化反射画像データとの乗算によって算出される判定値分布データは、正常pn接合領域及び電極線の位置と、クラックが発生しているクラック位置との差が明確にされたデータである。
【0060】
例えば強度差分画像データが輝度分布画像データである場合、半導体基板100の強度差分画像データを作成することによって、クラック位置を正常pn接合領域より輝度が低い位置として識別できる。しかし、ルミネセンスが観測されない電極線の輝度も低いため、強度差分画像データの輝度の比較だけでは、クラックと電極線との識別が困難な場合がある。
【0061】
一方、二値化反射画像データが輝度分布データである場合、二値化反射画像データにおいて電極線の輝度と電極線以外の領域の輝度との差が明確である。例えば、電極線の輝度が10、電極線以外の領域の輝度が1に設定されて、二値化反射画像データが作成される。このため、強度差分画像データと二値化反射画像データを乗算することによって、電極線の判定値のみが高くなり、電極線に対してクラック位置の判定値が小さくなる。その結果、判定値分布データを参照することにより、クラック位置とクラック位置以外とを容易に識別できる。
【0062】
図12に、図6に示した強度差分画像データの輝度分布と図11に示した二値化反射画像データの輝度分布とを用いて算出された判定値の分布を示す。図12に示すように、非EL領域L1〜L8の判定値が上がり、相対的にクラック位置C1〜C6における暗部のみが強調された判定値分布データが得られる。
【0063】
検出装置42は、判定値分布データを参照して半導体領域に発生したクラック位置を検出する。例えば、図12に示した判定値の例では、クラック位置C1〜C6と正常pn接合領域S1〜S6の判定値に最低でも2.57倍の差がある。このように、判定値分布データにおいてクラック位置とクラック位置以外との判定値の差が大きいため、判定値の小さい位置をクラック位置として検出できる。また、クラック位置とクラック位置以外との判定値の差が大きいため、判定値を二値化することができ、これによりクラック位置の検出が更に容易になる。図13に、図12に示した判定値を二値化して得られる判定値分布画像の例を示す。ここで、「クラック位置の判定値:クラック位置以外の判定値」を1:10に設定して、判定値は二値化されている。
【0064】
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置では、ルミネセンスが観測されない位置を示すがクラックと電極線等の非EL領域との差が不明確な強度差分画像データと、非EL領域と非EL領域以外の領域との差が明確な二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値を算出する。これにより、正常pn接合領域及び非EL領域の判定値と、クラック位置の判定値との差を明確にできる。つまり、クラック位置と電極線との識別が可能である。したがって、本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置によれば、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックの位置や長さを検出できる半導体検査装置を実現できる。
【0065】
また、第2の実施形態に係る半導体検査装置によれば、例えば太陽電池基板等のように表面に電極線が配置されている半導体基板において、クラックが電極線に隣接して発生した場合であっても、クラックの位置や長さを容易に検出できる。
【0066】
他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。なお、画像取得装置30には、二値化できる程度に半導体領域と電極部等の非EL領域との差が明確な反射画像を取得できる性能があればよい。
【0067】
以下に、図14に示したフローチャートを参照して、図9に示した半導体検査装置を用いて半導体基板100を検査する方法の例を説明する。以下では、半導体基板100が太陽電池基板である場合を例示的に説明する。この場合、非EL領域は電極線である。
【0068】
(イ)図8に示したフローチャートのステップS10〜ステップS30と同様にして、第1のルミネセンス画像と第2のルミネセンス画像との同一位置における強度の差分を算出し、半導体基板100の強度差分画像データを作成する。作成された強度差分画像データは、記録装置400に格納される。
【0069】
(ロ)半導体基板100への励起エネルギーErの供給を停止した後、ステップS140において、投射装置20によって半導体基板100に投射エネルギーEpを投射する。これにより、画像取得装置30が、EL発光していない状態の半導体基板100の反射画像を取得する。このとき、ルミネセンス画像を取得した位置と同位置の反射画像を取得することに注意する。取得された反射画像は画像データ処理装置40に伝送され、2次元配列データとして記録装置400に格納される。例えば太陽電池基板に光を投射し、図10に示したような輝度分布を有する輝度分布画像が反射画像として取得される。なお、電極線と電極線以外とで輝度の差が大きくなるように、投射装置20によって投射される光の波長や強度、光を投射する角度を選択することが好ましい。
【0070】
(ハ)ステップS150において、反射画像処理装置44が記録装置400から読み出した反射画像を二値化して、半導体基板100の二値化反射画像データを作成する。例えば、図10に示した輝度分布を二値化して、図11に示したような二値化反射画像データが作成される。二値化反射画像データは記録装置400に格納される。
【0071】
(ニ)ステップS160において、検出装置42が、記録装置400からそれぞれ読み出した強度差分画像データと二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値を算出する。算出された判定値は記録装置400に格納される。例えば、図6に示した強度差分画像データと図11に示した二値化反射画像データとを用いて、図12に示した判定値の分布が算出される。
【0072】
(ホ)ステップS170において、検出装置42は、記録装置400から読み出した判定値に基づいて、半導体基板100のクラックが発生したクラック位置を検出する。検出されたクラック位置のデータは、記録装置400に格納される。例えば、図12に示した判定値の分布を参照して、判定値の小さい位置をクラックの発生したクラック位置として検出する。このとき、判定値を二値化したデータを参照してクラック位置を検出してもよい。
【0073】
(ヘ)ステップS180において、定量化装置43によってクラック位置のデータが記録装置400から読み出され、定量化装置43が、クラック位置に含まれるピクセル数をカウントし、ピクセル数の総和をクラック量として定量化する。クラック量は記録装置400に格納される。
【0074】
半導体検査装置の操作者は、例えば、判定値を二値化した図13に示したような判定値分布画像を表示装置50に表示することにより、クラック位置を容易に確認できる。また、定量化されたクラック量を表示装置50に表示させることもできる。
【0075】
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態に係る半導体検査装置を用いた半導体検査方法によれば、ルミネセンス強度分布画像データと二値化反射画像データとを乗算して、半導体基板100の各位置について判定値が算出される。その結果、低価格で、且つ半導体基板100のルミネセンス画像から高い精度でクラックが発生している位置や長さを検出できる半導体検査方法を実現できる。
【0076】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0077】
既に述べた実施形態の説明においては、半導体基板100におけるエレクトロルミネセンスを用いる例について説明したが、ルミネセンスの種類はこれに限られない。例えば、励起エネルギーが供給された半導体基板100に生じる熱や電界の強度分布を取得してもよい。
【0078】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の半導体検査装置及び半導体検査方法は、半導体基板の検査に関し、半導体基板を製造する製造業を含む電子機器産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
Ep…投射エネルギー
Er…励起エネルギー
C1〜C6…クラック位置
L1〜L8…非EL領域
S1〜S6…正常pn接合領域
10…供給装置
20…投射装置
30…画像取得装置
40…画像データ処理装置
41…ルミネセンス画像処理装置
42…検出装置
43…定量化装置
44…反射画像処理装置
50…表示装置
100…半導体基板
200…基板設置装置
400…記録装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pn接合を有する半導体基板にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーを前記半導体基板に供給する供給装置と、
第1の励起エネルギー及び前記第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーが供給された前記半導体基板の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置と、
前記第1のルミネセンス画像と前記第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を前記半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置と、
前記強度差分画像データの前記差分の大きさを用いた判定値に基づき、前記半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置と
を備えることを特徴とする半導体検査装置。
【請求項2】
前記半導体基板の半導体領域と前記半導体領域以外のルミネセンスが生じない領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーを、前記半導体基板に投射する投射装置と、
前記半導体基板に前記投射エネルギーを投射して前記画像取得装置によって取得される前記半導体基板の反射画像を二値化して、二値化反射画像データを作成する反射画像処理装置と
を更に備え、前記検出装置が前記強度差分画像データと前記二値化反射画像データとを乗算して前記半導体基板の各位置について前記判定値を算出し、前記判定値に基づいて前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の半導体検査装置。
【請求項3】
前記投射装置が、前記投射エネルギーとして光を前記半導体基板に投射することを特徴とする請求項2に記載の半導体検査装置。
【請求項4】
前記検出装置が、前記判定値を2値化して前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項5】
前記クラック位置に含まれるピクセル数でクラック量を定量化する定量化装置を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項6】
前記供給装置が、電流印加又は電圧印加によって前記励起エネルギーを前記半導体基板に供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項7】
前記強度差分画像データ及び前記二値化反射画像データが輝度分布画像データであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項8】
前記半導体基板が、太陽電池基板であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項9】
pn接合を有する半導体基板に第1の励起エネルギーを供給して、前記半導体基板の第1のルミネセンス画像を取得するステップと、
前記半導体基板に前記第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーを供給して、前記半導体基板の第2のルミネセンス画像を取得するステップと、
前記第1のルミネセンス画像と前記第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を前記半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するステップと、
前記強度差分画像データの前記差分の大きさを用いた判定値に基づき、前記半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出するステップと
を含むことを特徴とする半導体検査方法。
【請求項10】
前記半導体基板の半導体領域と前記半導体領域以外のルミネセンスが生じない領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーを前記半導体基板に投射して、前記半導体基板の反射画像を取得するステップと、
前記半導体基板に前記投射エネルギーを投射して前記画像取得装置によって取得される前記半導体基板の反射画像を二値化して、二値化反射画像データを作成するステップと、
前記強度差分画像データと前記二値化反射画像データとを乗算して前記半導体基板の各位置について前記判定値を算出するステップと
を更に含み、前記判定値に基づいて前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項9に記載の半導体検査方法。
【請求項11】
前記半導体基板に光を投射して、前記反射画像を取得することを特徴とする請求項10に記載の半導体検査方法。
【請求項12】
前記判定値を二値化して前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項13】
前記クラック位置に含まれるピクセル数でクラック量を定量化するステップを更に含むことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項14】
電流印加又は電圧印加によって前記励起エネルギーを前記半導体基板に供給することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項15】
前記強度差分画像データ及び前記二値化反射画像データが輝度分布画像データであることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項16】
前記半導体基板が、太陽電池基板であることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項1】
pn接合を有する半導体基板にルミネセンスを生じさせる励起エネルギーを前記半導体基板に供給する供給装置と、
第1の励起エネルギー及び前記第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーが供給された前記半導体基板の第1及び第2のルミネセンス画像をそれぞれ取得する画像取得装置と、
前記第1のルミネセンス画像と前記第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を前記半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するルミネセンス画像処理装置と、
前記強度差分画像データの前記差分の大きさを用いた判定値に基づき、前記半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出する検出装置と
を備えることを特徴とする半導体検査装置。
【請求項2】
前記半導体基板の半導体領域と前記半導体領域以外のルミネセンスが生じない領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーを、前記半導体基板に投射する投射装置と、
前記半導体基板に前記投射エネルギーを投射して前記画像取得装置によって取得される前記半導体基板の反射画像を二値化して、二値化反射画像データを作成する反射画像処理装置と
を更に備え、前記検出装置が前記強度差分画像データと前記二値化反射画像データとを乗算して前記半導体基板の各位置について前記判定値を算出し、前記判定値に基づいて前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の半導体検査装置。
【請求項3】
前記投射装置が、前記投射エネルギーとして光を前記半導体基板に投射することを特徴とする請求項2に記載の半導体検査装置。
【請求項4】
前記検出装置が、前記判定値を2値化して前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項5】
前記クラック位置に含まれるピクセル数でクラック量を定量化する定量化装置を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項6】
前記供給装置が、電流印加又は電圧印加によって前記励起エネルギーを前記半導体基板に供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項7】
前記強度差分画像データ及び前記二値化反射画像データが輝度分布画像データであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項8】
前記半導体基板が、太陽電池基板であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体検査装置。
【請求項9】
pn接合を有する半導体基板に第1の励起エネルギーを供給して、前記半導体基板の第1のルミネセンス画像を取得するステップと、
前記半導体基板に前記第1の励起エネルギーと大きさの異なる第2の励起エネルギーを供給して、前記半導体基板の第2のルミネセンス画像を取得するステップと、
前記第1のルミネセンス画像と前記第2のルミネセンス画像とのルミネセンス強度の差分を前記半導体基板の各位置について算出して、強度差分画像データを作成するステップと、
前記強度差分画像データの前記差分の大きさを用いた判定値に基づき、前記半導体基板のクラックが発生したクラック位置を検出するステップと
を含むことを特徴とする半導体検査方法。
【請求項10】
前記半導体基板の半導体領域と前記半導体領域以外のルミネセンスが生じない領域とにおける吸収又は反射される比率が異なる投射エネルギーを前記半導体基板に投射して、前記半導体基板の反射画像を取得するステップと、
前記半導体基板に前記投射エネルギーを投射して前記画像取得装置によって取得される前記半導体基板の反射画像を二値化して、二値化反射画像データを作成するステップと、
前記強度差分画像データと前記二値化反射画像データとを乗算して前記半導体基板の各位置について前記判定値を算出するステップと
を更に含み、前記判定値に基づいて前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項9に記載の半導体検査方法。
【請求項11】
前記半導体基板に光を投射して、前記反射画像を取得することを特徴とする請求項10に記載の半導体検査方法。
【請求項12】
前記判定値を二値化して前記クラック位置を検出することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項13】
前記クラック位置に含まれるピクセル数でクラック量を定量化するステップを更に含むことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項14】
電流印加又は電圧印加によって前記励起エネルギーを前記半導体基板に供給することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項15】
前記強度差分画像データ及び前記二値化反射画像データが輝度分布画像データであることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【請求項16】
前記半導体基板が、太陽電池基板であることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の半導体検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−258229(P2010−258229A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106852(P2009−106852)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(800000068)学校法人東京電機大学 (112)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(800000068)学校法人東京電機大学 (112)
【Fターム(参考)】
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