説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の信頼性を向上させることのできる技術を提供する。
【解決手段】少なくとも一方の主面に金属電極12を備える半導体デバイスと、ベース樹脂(有機樹脂)10に貴金属を含むAg粒子(金属粒子)9を混合した導電性樹脂7を介して、金属電極12に電気的に接続されるダイパッド(金属部材)13とを有し、金属電極12またはダイパッド13の互いに対向する面の少なくとも一方の面に、金属面にAg(貴金属)のナノ粒子を焼結したポーラスなナノ粒子コート膜(貴金属層)5が形成されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの実装技術に関し、特に半導体デバイスを鉛フリーで半導体装置の外部接続端子に電気的に接続する構造の半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2005−93826号公報(特許文献1)には、第一の電気構造物に設けられた第一の電極と第二の電気構造物に設けられた第二の電極の少なくともいずれかの電極と金属微粒子の融着により導通が確保されている電極接続部と、前記第一の電極と第二の電極の間の中間部における導通が導電性接着剤により確保されている中間接続部とから成り、前記金属微粒子は前記導電性接着剤の熱硬化温度以下で融着が起こる金属微粒子であり、前記導電性接着剤は該導電性接着剤の熱硬化温度以下では融着が起こらない粒径の導電性フィラーを含む導電性接着剤である接続構造体が記載されている。
【0003】
また、特開2005−340279号公報(特許文献2)には、バイアホールに、μmサイズの金属フィラーによるマイクロ粒子導電性ペーストと、nmサイズの金属フィラーによるナノ粒子導電性ペーストとを層状に積層充填し、マイクロ粒子導電性ペーストと導体層との間にナノ粒子導電性ペーストが層状に存在する構造が記載されている。
【0004】
また、技術論文11th Symposium on “Microjoining and Assembly Technology in Electronics”,pp233-238,(2005.2)(非特許文献1)には、パワー半導体装置のダイボンディングにAgナノ粒子を従来のAgペーストに混合したナノ複合Agペースト材料の適用を検討した報告がなされている。その中で、ダイボンディング部の温度サイクル信頼性とPCT信頼性、放熱特性および電気導通特性が、従来のAgペースト接続に比べてナノ複合Agペーストの方が優れるとの記載がされている。特性の改善は、Agナノ粒子がAg粒子の間に介在し、200℃の加熱で融着現象を起こしてAg粒子同士の接合に寄与したためとしている。ただし、特性を上げるためには、ナノ複合Agペーストを硬化ベークする工程で、所定の押し付け圧力を加えることが必要としている。
【特許文献1】特開2005−93826号公報
【特許文献2】特開2005−340279号公報
【非特許文献1】11th Symposium on “Microjoining and Assembly Technology in Electronics”,pp233-238,(2005.2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トランジスタパッケージ等に代表されるパワー半導体装置は、電流をオン/オフ制御する縦型半導体デバイスの裏面電極とリードフレームのダイパッドとがダイボンディングにより接続され、回路面側の主電極と制御電極がそれぞれの外部接続用リードに電気的に接続され、半導体デバイスの全体とダイパッドの全体または一部と外部導出用リードの一部が絶縁樹脂でモールドされたパッケージ構造となっている。
【0006】
前記縦型半導体デバイスをダイパッドに電気的に接続する方法として、従来、大容量及び中容量(半導体デバイスの外形のうち最も長い辺が4mmを超えるサイズ)のパワー半導体装置は、高鉛半田によるダイボンディングが製品に採用されている。一方、小容量(半導体デバイスの外形のうち最も長い辺が4mm以下のサイズ)でチップサイズが小さいパワー半導体装置には有機樹脂にAg粒子を混合した導電性樹脂であるAgペーストによるダイボンディングが採用されている。
【0007】
これら縦型半導体デバイスの裏面電極には最表面にAuまたはAgなどの貴金属層が形成されており、Agペーストによりダイボンディングされるダイパッド面はAgめっきが施された構造となっている。また、AgペーストのAg含有量は、パワー半導体装置に要求される電気的及び熱的特性を満たすため、重量比率で80%以上のAg粒子が混合された高導電性Agペーストが用いられている。
【0008】
近年、RoHS規制に伴う半導体装置の鉛フリー化に対応するため、中容量やチップサイズの大きいパワー半導体装置にも高鉛半田のダイボンディングに代えて鉛フリーの導電性Agペーストを適用検討する動きがある。
【0009】
一方最近の動きとして、前記非特許文献1のように、ナノテクノロジーを応用したAgペースト材料の開発が行われ、Agナノ粒子を従来のAgペーストに混合したナノ複合Agペースト材料が提案されている。
【0010】
本発明者は、導電性樹脂を用いた半導体デバイスの接続構造について検討を行い、以下の課題を見出した。
【0011】
パワー半導体のダイボンディングの接続材料として導電性Agペーストを適用する場合、Agペーストには高い熱伝導性と低い電気抵抗特性が要求されるため、ペースト中のAg含有量は80〜90wt%程度の材料が使われている。
【0012】
Ag含有量が多くなる程、弾性変形しやすい樹脂の比率が小さくなるため、硬化処理後の接着層の剛性が増して接着層の歪吸収能力が低い。この接着層に歪吸収能力を超える歪が加わると、Ag粒子や樹脂の破断強度に比べて強度が低い樹脂とAg粒子、デバイス裏面電極あるいはダイパッドとの接着界面で剥離が生じ易いという問題がある。接続界面で剥離が生じると、パワー半導体の信頼性が低下する。
【0013】
樹脂と金属の接着機構は明確ではないが、一般的に樹脂の官能基と金属原子がイオン結合する組合せの接着強度は高く、化学的作用が無く物理吸着のみで付着する組合せの接着強度は低い性質を示す。
【0014】
貴金属類は全般的に樹脂との化学的作用に乏しく、その中でもAuが最も化学的作用に乏しい。本発明者が検討した所、イオウを含む樹脂系で物理吸着以上の接着強度が得られるが、その接続強度は低い。
【0015】
半導体デバイスの裏面電極は最表面がAuの蒸着膜で構成されることが多く、また裏面電極の表面形状は、平坦、かつ、平滑な面となっていることから、構造的にアンカー効果等の形状的な補強効果が得られ難いために、デバイスの裏面電極とAgペースト接着界面の強度が他に比べて特に低い。
【0016】
このため、チップとリードフレームのダイパッド間で生じる熱歪が所定の値より大きくなる製品では、260℃リフローや温度サイクル等の熱歪が加わる条件下で、デバイス裏面電極とAgペースト接着界面が容易に剥離し、製品に必要な信頼性を確保できないという問題がある。
【0017】
このため、中容量あるいはデバイスサイズが所定のサイズ(半導体デバイスの外形のうち最も長い辺が4mmのサイズ)を超えるパワー半導体パッケージへのAgペーストによるダイボンディングを適用できていない。
【0018】
特開2005−93826号公報(特許文献1)や特開2005−340279号公報(特許文献2)では、金属微粒子(ナノ粒子)と電極(導体層)とが融着されているという接続状態のみが重視されており、導電性樹脂と電極などの接続界面の状態については言及されていない。
【0019】
また、この問題はAgナノ粒子を混合した複合Agペーストにおいても同様であり、チップ裏面電極と複合Agペーストの接着界面での剥離によって短い温度サイクル寿命しか得られない。このため製品に必要な信頼性を確保できない。
【0020】
本発明の目的は、半導体装置の信頼性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0021】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0023】
すなわち、少なくとも一方の主面に金属電極を備える半導体デバイスと、有機樹脂に貴金属を含む金属粒子を混合した導電性樹脂を介して、前記金属電極に電気的に接続される金属部材とを有し、前記金属電極または前記金属部材の互いに対向する面の少なくとも一方の面に、金属面に貴金属のナノ粒子を焼結したポーラスな貴金属層が形成されるように構成するものである。
【発明の効果】
【0024】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0025】
すなわち、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の半導体デバイスが配線基板にフリップチップ接続された状態を示す断面図である。
【0028】
図1において、半導体デバイス1の一方の主面(第1主面)1aには突起状の電極端子(金属電極、第1電極)2が複数(図1では3個)形成されている。電極端子2の材料としては、例えばAgやAuを例示することができる。なお、図1では、半導体デバイス1の主面1aに、3個の電極端子2が形成されているが、電極端子2の数は3個に限定される訳ではなく、半導体装置の用途、機能に応じて適切な数を選択することができる。
【0029】
また、電極端子2の下側には、半導体デバイス1の主面1aと対向した状態で配線基板3が配置されている。配線基板3は、絶縁性樹脂などである絶縁基板に所定の配線パターンで、例えばCuなどの配線部材が形成されたものである。
【0030】
また、配線基板3には半導体デバイス1と電気的に接続するための接続端子(金属部材、第1金属部材)4が形成されている。接続端子4は、絶縁基板上に配線されたCuパターン上にNi/Auめっきされた構造となっている。すなわち、接続端子4の電極端子2と対向する面の表面は貴金属であるAuで構成されている。
【0031】
また、半導体デバイス1側の電極端子2及び配線基板3側の接続端子4の表面には、それぞれAgナノ粒子のペーストを印刷し、200〜500℃の温度で焼成したAgのナノ粒子コート膜(貴金属層、第1貴金属層)5およびナノ粒子コート膜(第2貴金属層)6が形成されている。
【0032】
ナノ粒子コート膜5、6の厚さは100nm〜10μmの範囲としている。10μmより厚くするのはコスト的に高くなり、100nmより薄くするのは、印刷時のAgナノ粒子ペーストの供給が難しくなるためである。
【0033】
また、ナノ粒子コート膜5、6間は、Ag粒子をエポキシ樹脂に混ぜた導電性樹脂7で接着されている。導電性樹脂7のベース樹脂は、硬化させる前は流動性が高く、Agナノ粒子コート膜の開口した孔部に侵入した状態で硬化している。
【0034】
ここで、電極端子2に形成したナノ粒子コート膜5、および接続端子4に形成したナノ粒子コート膜6が、それぞれ導電性樹脂7と接続される接続界面の状態について説明する。
【0035】
図2は図1に示す一点鎖線Aで囲った領域を拡大した拡大断面図、図3は図2に示す一点鎖線Bで囲った領域の導電性樹脂で接着する前の状態を示す拡大断面図、図4は図2に示す一点鎖線Cで囲った領域の導電性樹脂で接着する前の状態を示す拡大断面図である。
【0036】
図2において、導電性樹脂7はAg粒子9と有機樹脂であるベース樹脂10とから構成されている。Ag粒子9の粒子サイズ(長手方向の最長長さ)は0.5〜50μmである。また、導電性樹脂7に混合されているAg粒子9の含有量は65〜98wt%である。Ag粒子9の含有量が65wt%より少ないと、電気的な導通特性が不十分となり、98wt%より多いと導電性樹脂7の接着特性が低下するためである。
【0037】
また、図2に示すようにナノ粒子コート膜5、6はポーラスな構造となっている。ナノ粒子のコート膜5、6は、ナノ粒子同士が融合・凝集して粗大化した粒子が互いに連結した膜となっている。内部には多数の孔を有し、表面に開口した状態の孔部も多数形成されている。また、ナノ粒子コート膜5、6表面の凹凸も顕著でミクロ的に起伏に富んだ膜となっている。
【0038】
図3に示すように、ナノ粒子コート膜5の表面には複数の孔部100が形成されている。孔部100は、図2に示す電極端子2から接続端子4に向かう方向(第1の方向)51に沿って、順に開口部(第1の開口部)101A、開口部(第2の開口部)101Bを備えている。
【0039】
また、ナノ粒子コート膜5の表面の複数の孔部100には、図2に示すように導電性樹脂7のベース樹脂10が浸入した状態で硬化している。
【0040】
ここで、図3に示す開口部101Aの一部は、ナノ粒子コート膜5の一部である迫り出し部102によって覆われている。迫り出し部102は開口部101B側に形成されている。
【0041】
迫り出し部102を形成することにより、孔部100に浸入した状態で硬化したベース樹脂10がアンカーのようにナノ粒子コート膜5に埋まった状態となる。このため、ベース樹脂10のアンカー効果により、図2に示す導電性樹脂7が電極端子2から接続端子4の方向に剥離する現象を抑制することが可能となる。
【0042】
また、ナノ粒子コート膜5と、電極端子2の接続界面は、予めナノ粒子を塗布した状態で200〜500℃の温度で焼成することにより融着している。このためナノ粒子コート膜5と、電極端子2の接続界面の接続強度は、ナノ粒子コート膜5と導電性樹脂7との接続界面の接続強度よりも大きい。
【0043】
すなわち、迫り出し部102を備える孔部100を複数形成したナノ粒子コート膜5を形成することにより、ナノ粒子コート膜5を形成しない場合と比較して、導電性樹脂7と電極端子2との接続強度を向上させることが可能となる。このため、実使用環境での界面剥離による不良の発生を抑制できるので、信頼性の高い導電性樹脂による接続構造を得ることが可能となる。
【0044】
また、図4に示すように、ナノ粒子コート膜6もナノ粒子コート膜5と同様な構造を有している。すなわち、ナノ粒子コート膜6の表面には複数の孔部100が形成されている。孔部100は、図2に示す接続端子4から電極端子2に向かう方向(第2の方向)52に沿って、順に開口部(第3の開口部)101C、開口部(第4の開口部)101Dを備えている。
【0045】
また、ナノ粒子コート膜6の表面の複数の孔部100には、図2に示すように導電性樹脂7のベース樹脂10が浸入した状態で硬化している。また、図4に示す開口部101Cの一部は、ナノ粒子コート膜5の一部である迫り出し部102によって覆われている。迫り出し部102は開口部101D側に形成されている。
【0046】
本実施の形態1では、電極端子2側にも接続端子4側にもナノ粒子コート膜を形成することにより、いずれか一方にナノ粒子コート膜を形成する場合よりもさらに接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0047】
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造プロセスについて説明する。
【0048】
まず、図1に示すように、主面1aに電極端子2が形成された半導体デバイス1を準備する。次に電極端子2の表面に、貴金属(本実施の形態1ではAg)ナノ粒子を分散させた例えば揮発性の溶媒やペーストを塗布する。ナノ粒子の平均粒子径は1〜50nmとしてある。
【0049】
次に、この溶媒、またはペーストを塗布した電極端子2を200〜500℃の範囲の加熱温度で焼成する。この焼成工程を行うと、溶媒、またはペーストに分散された貴金属ナノ粒子の表面に予め形成されていた保護膜が焼成により消失した段階でナノ粒子同士の融合が始まる。
【0050】
また、電極端子2の表面が貴金属あるいはCuの材質で構成されている(本実施の形態1ではAu)場合、同時に電極端子2の表面と物理的に接触していた貴金属ナノ粒子は電極端子2の表面と融合を始める。焼成処理温度の上昇や時間の経過と共に融合が進展して粒子の成長が進み、電極端子2の表面と貴金属ナノ粒子が融合した領域の面積が拡大する。
【0051】
ここで、焼成処理を行う際には、積極的な加圧処理を行う訳ではないので、焼成処理温度の上昇や時間の経過と共に貴金属ナノ粒子同士の融合が進んでも、ナノ粒子コート膜5が緻密化することはない。
【0052】
このため、焼成後のナノ粒子コート膜5の表面は、図3に示すように、電極端子2から接続端子4に向かう方向(第1の方向)51に沿って、順に開口部(第1の開口部)101A、開口部(第2の開口部)101Bを備え、開口部101Aを覆う迫り出し部102が形成された孔部100が複数形成されたポーラスな状態となる。
【0053】
また、焼成処理後のナノ粒子コート膜5は下地である電極端子2の表面との接続界面は部分的に金属接合した状態となる。
【0054】
一方、図1に示す接続端子4の表面にも電極端子2側と同様に、貴金属(本実施の形態1ではAg)ナノ粒子を分散させた例えば揮発性の溶媒やペーストを塗布した後、接続端子4を200〜500℃の範囲の加熱温度で焼成する。
【0055】
焼成後のナノ粒子コート膜6の表面は、図4に示すように、接続端子4から電極端子2に向かう方向(第2の方向)52に沿って、順に開口部(第3の開口部)101C、開口部(第4の開口部)101Dを備え、開口部101Cを覆う迫り出し部102が形成された孔部100が複数形成されたポーラスな状態となる。
【0056】
上記したナノ粒子コート膜5、6を予め形成した後、図1に示す導電性樹脂7で、ナノ粒子コート膜5とナノ粒子コート膜6とを接着する。接着工程では、まずナノ粒子コート膜6にディスペンサーでペースト状の導電性樹脂7を供給し塗布する。
【0057】
この導電性樹脂7には、予め平均粒子径が0.5〜40μmのAg粒子が65〜98%wtの割合で混合されている。
【0058】
次に、電極端子2にナノ粒子コート膜5が形成された半導体デバイス1を接続端子4が形成された配線基板3に搭載する。搭載工程では、電極端子2と対応する接続端子4とを対向させた状態で半導体デバイス1を押し付けて搭載する。
【0059】
また、導電性樹脂7を100〜200℃で仮硬化処理する。ペースト状の導電性樹脂7を塗布して硬化ベーク処理を行うと、流動性の高い液状樹脂がポーラスなナノ粒子コート膜5、6の孔部100に侵入し、導電性のAg粒子はナノ粒子コート膜5、6に接触して重なるように搭載される。
【0060】
次に絶縁性のアンダーフィル樹脂8を配線基板/半導体デバイス間に毛細管現象を利用して充填し、150〜200℃の温度で硬化処理を行う。このとき、導電性樹脂7も同時に本硬化が進み、樹脂の硬化収縮によって導電性樹脂内のAg粒子同士が押し付けられて接触が確保され、電気的導通と熱の放散性が確保される。
【0061】
アンダーフィル樹脂8は無機の絶縁性フィラーが配合され、熱膨張率が70ppm/℃以下となるように調整されている。
【0062】
導電性樹脂7を硬化ベークするとベース樹脂10は硬化収縮するが、ベース樹脂10はポーラスなナノ粒子コート膜5、6の孔部100に入り込んだ状態で硬化するため、その界面強度は機械的なアンカー効果が働き強化される。
【0063】
樹脂の硬化収縮に伴い、導電性のAg粒子は樹脂によってナノ粒子コート面に押し付けられるようにして固化が進む。導電性粒子同士あるいは導電性粒子とナノ粒子コート膜間は接触によって導通が確保され、ナノ粒子コート膜5、6と電極端子2、接続端子4の各表面とは金属接合によって導通が確保される。
【0064】
本実施の形態1では、ポーラスなナノ粒子コート膜5、6を予め電極端子2、接続端子4に形成することにより、導電性樹脂7のアンカー効果が得られる。このアンカー効果により、導電性樹脂7と電極端子2および接続端子4との接着強度が改善され、接着強度を劣化させる温度サイクル環境下においても接着界面の剥離の進行を抑制し、信頼性の高い導電性樹脂と金属の接続構造を提供することができる。
【0065】
また、配線基板3のAu接続端子4と半導体デバイスの突起状Au電極端子2とを導電性樹脂7で接着する接続構造を、強度的に最も弱い平坦なAu端子と導電性樹脂7の接着界面から、起伏に富んだAgのナノ粒子コート膜と導電性樹脂7との接着界面に変えているので、材質的な組合せ変更による接着強度を改善することができる。
【0066】
また、半導体装置の電気的接続部を上記接続構造としたことにより、鉛フリーはんだでは得られなかった260℃リフロー耐性が得られるようになり、二次実装(半導体装置をプリント配線回路基板などに実装すること)性に優れた鉛フリーの半導体装置を提供することができる。
【0067】
また、半導体装置の組立温度を200℃以下で行えるようになるため耐熱性の低い部材で実装材料を構成することができ、低コストの半導体装置を提供することができる。
【0068】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では半導体デバイスを配線基板にフリップチップ接続した半導体装置に適用した例について説明した。本実施の形態2では、ダイボンディングにより半導体デバイスの主面に形成された電極を接続する半導体装置に適用した例について説明する。
【0069】
図5は、本実施の形態2の縦型半導体デバイスをダイパッドにダイボンディングした状態を示す断面図、図6は、図5に示す一点鎖線Aで囲った領域を拡大した拡大断面図である。
【0070】
図5において、ダイパッド(金属部材、第1金属部材)13の半導体デバイス11を搭載する領域には厚さ5〜10μmのAgめっき膜14が形成されている。一方、縦型半導体デバイス11の一方の主面(第1主面)11aにはTi/Ni/Auの金属多層膜が金属電極(第1電極)12として形成されている。
【0071】
金属電極12の表層のAu膜は100nm〜5μmの厚さで形成されている。Au膜が100nmより薄いと下地のNiが拡散によりAu膜表面に析出し、接続界面の電気抵抗の増加や接着強度の低下を引き起こす。また、5μmより厚くするのは、特性が変わらずコストの上昇のみを引き起こすため現実的ではない。
【0072】
金属電極12の表面には、前記実施の形態1で説明した図2および図3に示すナノ粒子コート膜5と同様に、Agナノ粒子を塗布して焼成したポーラスなAgのナノ粒子コート膜5が形成されている。Agナノ粒子は平均粒子径1〜50nmの粒子サイズを用いて焼成している。
【0073】
Agナノ粒子のサイズが平均粒子径で50nmを越えると焼成時に粒子が融合する性質が低下するため、焼成後のAu金属電極12との密着性が悪くなり、導電性樹脂で接着した場合にナノ粒子コート膜5とAu裏面電極間で剥離して逆に信頼性が低下する。
【0074】
Agナノ粒子のサイズが平均粒子径1nmよりも小さい場合は材料の製作コストが高くなり、しかも常温保管条件で凝集が生じやすくなるため現実的に取り扱うのが難しくなる。
【0075】
Agナノ粒子は保管中の凝集を防ぐ目的で表面に有機物の保護皮膜を形成しており、加熱により揮発・消失する性質の溶媒に混ぜて分散処理して用いている。金属電極12に塗布する際には溶媒あるいはペーストの状態でデバイス裏面へ塗布している。
【0076】
溶媒にはAgナノ粒子の分散性が良かったトルエンやアルコールや純水を用いたが、加熱過程で消失する性質があれば他の溶媒を用いても問題は無い。また、塗布方法は浸漬法やスピンコート法、印刷法、ディスペンス法、インクジェット法のいずれでもよく、分散処理液の粘度や塗布パターンによって適する方式を選択することができる。
【0077】
本実施の形態2ではウェーハ状態で裏面の全面に薄いコート膜を形成するために、スピンコート法を用いた。焼成は大気中で350℃−1時間の加熱処理を行った。加熱温度はAgナノ粒子の保護膜の分解消失温度に合わせて設定するが、高分子系の保護膜の場合は300〜500℃、低分子系の保護膜の場合は200〜400℃の温度範囲で設定することが好ましい。
【0078】
図6に示すように金属電極12の表層のAu膜には、このAu膜に金属結合した状態でAgナノ粒子が融合して形成されたナノ粒子コート膜5が形成されている。ナノ粒子コート膜5はポーラスで、その孔部に導電性樹脂7のベース樹脂10が流入した状態で接着している。
【0079】
導電性樹脂7のAg粒子9とナノ粒子コート膜5とはメカニカルに接触した状態で接着されており、金属結合とはなっていない。また、導電性樹脂7中のAg粒子9同士も接触状態で接続されており、近接効果で導電粒子を経由して熱や電気を伝えている。
【0080】
この接続構造は、半導体デバイス11の金属電極12表面に予めナノ粒子コート膜5(組立工程の前に焼成処理された膜)を形成することにより得られるが、詳細は後述する。
【0081】
本実施の形態2では、半導体デバイス11の金属電極12とナノ粒子コート膜5が金属的に結合しているためその密着強度は十分に高く、またナノ粒子コート膜5内もナノ粒子が互いに融合して金属的に結合したネットワークを形成しているため強固な構造となる。
【0082】
また、ナノ粒子コート膜5と導電性樹脂7との界面はナノ粒子コート膜5の内部まで導電性樹脂7のベース樹脂10が侵入して機械的にも結合した状態となっているため、接着力が高く、接続部の強度は導電性樹脂7の強度が得られる構造となっている。
【0083】
このため、導電性樹脂の接着部は安定した接着強度が得られ、結果的に信頼性の高い継ぎ手構造が得られ、半導体製品の信頼性を確保できるという効果が得られる。
【0084】
焼成後のナノ粒子コート膜5の厚さとして平均で50nm〜3μmの範囲となるように形成した。50nm以上形成すれば樹脂との接着性改善効果が得られ、3μmを越えて厚く形成するのはコストが高くなるだけで接着性が変わらず現実的ではない。
【0085】
以上の条件で形成したナノ粒子コート膜5は、電子顕微鏡の数千〜数万倍レベルで観察すると表面に顕著な凹凸が形成されており、導電性樹脂との接着界面で剥離が生じたとしても両者が機械的に外れない構造:嵌合部を形成する箇所が、所定の密度で形成されている(ここで嵌合部とは、凸部では根元が小さく、凹部では入り口が小さく奥が広い形状となっている箇所を意味する。)。
【0086】
すなわち、本実施の形態2のナノ粒子コート膜5にも、前記実施の形態1で説明した図3または図4に示す孔部100が形成されている。また、孔部100は金属電極12からダイパッド13に向かう第1の方向51に沿って順に第1の開口部101Aと第2の開口部101Aを備え、第1の開口部101Aを覆う迫り出し部102が形成されている。この迫り出し部102はナノ粒子コート膜を構成するAgナノ粒子で構成されている。
【0087】
ここで、ナノ粒子コート膜の表面状態を図17を用いて説明する。図17はナノ粒子コート膜の表面を電子顕微鏡で5000倍、および20000倍の倍率にそれぞれ拡大して観察した状態を示す説明図である。
【0088】
図17において、Aは酸化銀を含むAgナノ粒子を用い250℃で焼成した場合、Bはアミン系の保護膜を形成した広い(数nm〜数百nm程度)粒度分布(ナノ粒子の粒子径の分布)を持つAgナノ粒子を用い350℃で焼成した場合である。なお、Bの場合の平均粒子径は数十nmとした。
【0089】
また、Cはナノ粒子形成に用いる有機銀化合物(有機物分子にAgイオンが付着した化合物)を用いて200℃で焼成した場合、Dは粒度分布が数nm〜数十nm程度であり、特に10nm近傍に集中し分解温度の高い保護膜を形成したAgナノ粒子のみを用いて400℃で焼成した場合を示す。
【0090】
図5に示す金属電極12の表層のAu蒸着膜の表面状態と比較すると、図17に示すA〜Dのいずれの場合も、表面の凹凸が顕著である。また、特にAやBの場合はナノ粒子コート膜のポーラス度(前記した勘合部が形成されている程度)が高く、アンカー効果によって界面における樹脂との密着強度を高くできることがわかった。
【0091】
ナノ粒子をコートして焼成した膜がポーラス状となる理由として以下の二つの理由が考えられる。第1の理由は、溶剤にナノ粒子を分散した溶液を塗布して乾燥させたときに、ナノ粒子コート膜の内部から溶剤が揮発放散する過程で膜内に開放系の空洞(孔部)を形成するためである。
【0092】
第2の理由は、焼成工程で隣接するAgナノ粒子同士が融合して一体化していくものの固相状態での現象であるためナノ粒子自体の移動距離は限定的となり、塗布・乾燥した状態の空洞構造がほぼ維持された状態で安定で強固な膜に変わるためである。
【0093】
また、Aの場合にポーラス度が高くなるのは、酸化銀が還元・崩壊する過程とそのとき形成された微細Ag粒子が金属的に融合する過程が網目状に近い構造を形成する原因になっていると考えられる。
【0094】
また、Bの場合にポーラス度が高くなるのは、ナノ粒子の粒子径の粒度分布を数nm〜数百nmと広くしているため、微細な孔部が多数形成されたものと考えられる。
【0095】
ナノ粒子コート膜5を形成したウェーハは、ダイシングでチップ個片に切断してダイボンディングに用いている。図6においてAgナノ粒子コート膜5は、内部あるいは表面に開口する孔部が多数形成されており、下地の表層にAu層が形成された金属電極12とはAu/Agの金属結合により所定面積比率で接合している(ここで言う所定面積比率とは、Agナノ粒子コート膜5に導電性樹脂7を接着した場合に、引張試験で金属結合部が破断しない最小の面積比率以上のことを言う。)。
【0096】
また、ダイパッド13表面のAgめっき膜14と、ナノ粒子コート膜5とは、導電性樹脂7で接着されている。この導電性樹脂7は図6に示すように、Ag粒子9と有機樹脂であるベース樹脂10とから構成されている。Ag粒子9の粒子サイズ(長手方向の最長長さ)は0.5〜50μmである。また、導電性樹脂7に混合されているAg粒子9の含有量は65〜98wt%である。
【0097】
半導体デバイス11とダイパッド13との接続方法は、ダイパッド13の表面に形成されたAgめっき膜14に、Ag粒子9を含む導電性樹脂7を塗布し、その上に金属電極12を下にしてスクラブをかけて半導体デバイス11周囲から導電性樹脂7がはみ出す状態まで押し付け、その後荷重を開放して硬化ベーク処理を行い、金属電極12/ナノ粒子コート膜5/Ag粒子9を含む導電性樹脂7/Agめっき膜14を形成したダイパッドのダイボンディング構造を得る。
【0098】
次に、図5に示す本実施の形態2の接続構造を適用した半導体装置について説明する。図7は、図5に示す接続構造を適用した本発明による縦型半導体装置を示す平面図、図8は図7に示す縦型半導体装置のA−A線に沿った断面図である。
【0099】
図8において、半導体デバイス11の裏面には最表面がAuとなっている多層構造の金属電極12が形成され、回路形成面側にはAl(アルミニウム)膜からなるソース電極22とゲート電極23が形成されている。
【0100】
最表面がAuの金属電極12の上には、Agナノ粒子を塗布・焼成して形成した厚さ50nm〜3μmのポーラスなAgのナノ粒子コート膜5が形成されている。Cuリードフレームのダイパッド13の半導体デバイス搭載領域には、厚さ0.5〜10μmのAgめっき膜14が形成されている。Agめっき面と裏面電極上のAgナノ粒子コート膜間には熱硬化樹脂にAg粒子を65〜98wt%含有させた導電性樹脂7が充填されて半導体デバイス11とダイパッド13が接着されている。
【0101】
半導体デバイス11のソース電極22とリードフレームのソースリード26、ゲート電極23とゲートリード27間はAl(アルミニウム)ワイヤ28、29によってそれぞれ電気的に結線されている。
【0102】
ドレインリード25を含めた各リードの一部とダイパッドの一部、半導体デバイスとAl(アルミニウム)ワイヤ28、29全体を覆うように絶縁性のモールド樹脂(封止体)30でモールド(封止)している。
【0103】
この本実施の形態2の縦型半導体装置とナノ粒子コート膜を形成しない縦型半導体装置を、温度:85℃/湿度:85%の環境に168h曝して吸湿処理を行い、さらに260℃リフロー処理を3回行い、その後−55/150℃の温度サイクル試験を加えて半導体装置の信頼性を評価した。
【0104】
温度サイクル500回での半導体デバイスの放熱特性は、ナノ粒子コート膜を形成しない縦型半導体装置に比べて本実施の形態2の縦型半導体装置は変動率が小さかった。また、その断面観察から、ナノ粒子コート膜5を形成した導電性樹脂7の接着部は、クラックが導電性樹脂7内を進展しAg粒子と樹脂の界面で主に剥離しており、ナノ粒子コート膜を形成しない導電性樹脂の接着部は、導電性樹脂とAu金属電極の界面をクラックが進展している比率が高いことを確認した。
【0105】
熱特性の変動率30%を信頼性寿命の目安とした場合、ナノ粒子コート膜を形成しない半導体装置の500回に比べて本実施の形態2の半導体装置では700回以上と寿命が長く、クラックの進展ルートによって縦型半導体装置の寿命が影響を受けることを確認した。
【0106】
本実施の形態2によれば、半導体デバイス11のAu金属電極12にAgナノ粒子コート膜5を形成し導電性樹脂7で接着した構造としたことにより、金属電極12/導電性樹脂7間の界面の接着強度改善が図ることができる。
【0107】
また、吸湿+リフローや温度サイクル等の厳しい環境に曝された場合でも金属電極12/導電性樹脂7間の接着界面に剥離が生じることが無くなるので半導体装置の信頼性を向上させることが可能となる。また、ダイボンディング部材(接着部材)が鉛フリー化することが可能となる。
【0108】
また、ダイボンディング部材として高温半田を使っていないため、半導体装置の組立プロセスを低温化することができる。また、大気雰囲気中で組立が可能であるため製造コストを下げることができるので、低コストの半導体装置を提供することができる。
【0109】
次に本実施の形態2の半導体装置の製造プロセスについて説明する。図18は本実施の形態2の半導体装置の組立プロセスの例を示す説明図である。
【0110】
本実施の形態2の半導体デバイス11は、裏面側の金属電極12まで形成したウェーハの状態(チップに個片化される前の状態)で本プロセスに供される。
【0111】
(a)まず、ウェーハの裏面に形成された金属電極12の表面に、溶媒に均一分散したAgナノ粒子溶液を例えばスピンコート法で薄く塗布する。
【0112】
塗布法は、表裏同時にコートする場合は浸漬法がよく、厚めの膜を形成する場合は粘度の高いペーストを印刷する方法、部分的あるいはパターン状に形成する場合はインクジェット法がよく、塗布方法は目的や溶液の状態に合わせて適宜選択できる。
【0113】
塗布後は揮発成分を蒸発・乾燥させてから、ウェーハを大気中で200〜400℃の温度に加熱し1〜120分程度保持して焼成する。このときの温度および時間は、用いたAgナノ粒子や有機銀化合物の性質によって適宜選択する。焼成温度は、ナノ粒子コート膜と下地の裏面電極との金属結合が達成されて十分な密着強度が得られればできるだけ低い方が望ましい。
【0114】
焼成後はウェーハの洗浄処理を行い、ダイシングテープに貼り付けて半導体デバイス11のサイズに切断し、チップとしてパッケージの組立工程に供給する。すなわち、本実施の形態2ではAgナノ粒子溶液を塗布した後、リードフレームに搭載する前に焼成する。
【0115】
ナノ粒子のペーストや分散溶液を塗布して大気中で焼成すると、塗布膜中の有機成分(バインダーや溶剤や保護膜)は周囲の酸素と反応して容易にナノ粒子周辺から消失して金属同士の確実な接触が達成される。このため、下地であるの金属電極12のAu膜やナノ粒子同士の金属結合が達成されて強固で密着力の高いナノ粒子コート膜5が得られる。
【0116】
ここで、ナノ粒子の塗布膜を形成し、ナノ粒子の塗布膜を焼成する前に、導電性樹脂7をさらに塗布して両者を同時に加熱して焼成・硬化処理を行なった場合、ナノ粒子の周囲に消失することの無い導電性樹脂7のベース樹脂10が侵入する。このため、ナノ粒子同士あるいはナノ粒子と下地であるAu膜との接触が確保されなくなるので、強固で密着力の高いナノ粒子コート膜5の形成が困難となる。
【0117】
また、ナノ粒子塗布膜から発生した揮発性あるいは分解してできたガスの逃げ場が無くなり、導電性樹脂7とナノ粒子コート膜の間にボイド等の欠陥が形成され、両者の接着力が弱くなってしまうという問題がある。
【0118】
(b)次に、リードフレームと、導電性樹脂であるAgペーストを準備する。Cu製のリードフレームは、チップ搭載面にAgめっきした状態で本プロセスに供給する。また、Agペーストはシリンジに入った状態で本プロセスに用いる。
【0119】
(c)次に、組立工程について説明する。まず、(b)工程で準備したリードフレームのダイパッド面(チップ搭載面)にディスペンサーでAgペーストを供給する。
【0120】
次に、(a)工程で作製した裏面にナノコート処理を施し、ナノ粒子コート膜5を形成した半導体デバイス11をAgペーストに押し付けながら搭載し、ベーク炉中で150〜250℃の温度で硬化処理をしてダイボンディングを行なう。
【0121】
その後、半導体デバイス11上の制御電極および主電流電極とそれぞれの外部導出用リードフレームの内部接続端子間をワイヤボンディングで結線する。次に、モールド金型にリードフレーム単位でセットしてワイヤおよびチップ全体とダイパッドを含むリードフレームの一部を覆うようにモールド樹脂30でモールドし、モールド樹脂30を所定温度で硬化処理する。
【0122】
最後にモールド樹脂30から突き出たリード部分を切断・成型して図8に示す半導体装置として完成する。半導体装置の完成品には、必要に応じてはんだめっきを施す場合もある。
【0123】
上記の通り本実施の形態2の半導体装置は、半導体デバイス11の金属電極12の表面に予めナノ粒子コート膜5を形成した後で組立てるので、図6に示すような構造となる。すなわち、ナノ粒子コート膜5に形成された多数の孔部に導電性樹脂7のベース樹脂10が流入した形で硬化接着された状態となる。
【0124】
このようにナノ粒子コート膜5にベース樹脂10が流入した状態で硬化接着された接続構造は、硬化したベース樹脂10のアンカー効果が得られるので、半導体デバイス11を導電性樹脂7を介してAgめっきしたリードフレームのダイパッド部に接着した場合、半導体デバイス11と導電性樹脂7との界面の接着強度を向上させることができる。
【0125】
このため、温度サイクル試験や高温高湿試験において半導体デバイス11の裏面/導電性樹脂7の界面で剥離する不良モードの発生を防ぐことができる。また、導電性樹脂層内でクラックが進展する破断モードに揃えることができるため、半導体パッケージの寿命のばらつきを小さくすることができる。その結果、製品の信頼性を安定して確保することが可能となる。
【0126】
本実施の形態2の変形例として、導電性樹脂7にAg粒子9よりも超微細な導電粒子を混合した例について説明する。図19は、本実施の形態2の変形例である半導体装置の半導体デバイスと導電性樹脂の接続構造を示す拡大断面図である。
【0127】
図19において、ナノ粒子コート膜5と複合導電性樹脂20の接着状態は図6に示した場合と同様であるが、導電粒子19とナノ粒子コート膜5の孔部100やAg粒子9の間に超微細な導電粒子19が入り込んでいる。この導電粒子19はナノ粒子コート膜5やAg粒子9に金属結合されている訳ではなく、接触状態ではあるが、近接効果の導通ルートが多数形成されている。このため、図6で説明した接続構造と比較してさらに導通特性が改善された接続構造が得られる。
【0128】
(実施の形態3)
前記実施の形態2では半導体デバイスの電極表面にナノ粒子コート膜を形成した例について説明した。本実施の形態3では、ダイパッドの半導体デバイス搭載領域にナノ粒子コート膜を形成する例について説明する。図9は、本実施の形態3による半導体デバイスのダイボンディング構造を示す断面図である。
【0129】
図9において、Cuで構成されるダイパッド13の半導体デバイス11搭載領域にはダイパッド13の表面に直接、厚さ0.1〜5μmのAgナノ粒子で構成されるナノ粒子コート膜(第2貴金属層)15が形成されている。
【0130】
ナノ粒子コート膜15の厚さが0.1μmより薄いと、コート膜形成時の加熱過程で下地のCuが拡散してコート膜表面に露出してしまう。このため、Cuの酸化が原因で導電性樹脂7との接着界面で電気抵抗が増加し、半導体装置の電力損失が増える可能性がある。一方、ナノ粒子コート膜15の厚さを5μmより厚くすると、Agナノ粒子の使用量が多くなりコストアップを招いて現実的ではない。
【0131】
また、前記実施の形態2で説明した図5および図7で説明した構造と同様に、半導体デバイス11の金属電極12の表面には、ナノ粒子コート膜5が形成されている。また、図9に示すようにナノ粒子コート膜5とナノ粒子コート膜15とは導電性樹脂7を介して電気的に接続されている。
【0132】
次に、ダイパッド13にナノ粒子コート膜15を形成する方法について説明する。図10は、リードフレームのダイパッドにAgナノ粒子コート膜を形成する方法の一例を示す説明図である。
【0133】
まず、圧延したCu条のダイパッドとなる位置に粘度を調整したAgナノペースト(前記実施の形態1および前記実施の形態2で説明したAgナノ粒子を分散処理したペースト)を印刷し、大気中で250〜400℃に加熱して焼成処理を行う。
【0134】
次に、Cu条を洗浄してから還元雰囲気中で400℃に加熱して酸化したCuの還元処理を行う。
【0135】
以降はプレス加工、成形加工を行い、Agナノ粒子コート膜を形成したリードフレームが完成する。完成したリードフレームのダイパッド13に形成されたナノ粒子コート膜15の表面状態は、前記実施の形態1で説明した図4に示すナノ粒子コート膜6と同様な構造となっている。
【0136】
すなわち、ナノ粒子コート膜15の表面には複数の孔部100が形成されている。孔部100は、図9に示すダイパッド13から金属電極12に向かう方向(第2の方向)に沿って、図4に示すように順に開口部(第3の開口部)101C、開口部(第4の開口部)101Dを備えている。
【0137】
また、ナノ粒子コート膜15の表面の複数の孔部100には、導電性樹脂7のベース樹脂10が浸入した状態で硬化している。また、開口部101Cの一部は、ナノ粒子コート膜15の一部である迫り出し部102によって覆われている。迫り出し部102は開口部101D側に形成されている。
【0138】
なお、プレス加工、成形加工の工程は一般的なリードフレームの工程と同様に行うことができるので、詳細な説明は省略する。
【0139】
本実施の形態3によれば、半導体デバイス11の金属電極12の表面に加え、リードフレームのダイパッド13表面にもナノ粒子コート膜15を形成しているので、前記実施の形態2で説明した半導体装置よりもダイパッド13と、導電性樹脂7との接続界面の接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0140】
すなわち、高温高湿環境や熱ストレスが加わる環境下に曝されても、導電性樹脂7との接着界面が剥離することがなくなり、ダイボンディング部でクラックが生じたとしても導電性樹脂層内に限られるためその進展速度が急速に進むことが無い。また、構造の最適化でクラックの進展を最小限に抑制することが可能となるため、高信頼の半導体装置を提供することができる。
【0141】
また、リードフレームの製造工程からめっき工程を省略でき、めっき廃液の生じないドライプロセスでリードフレームを作製可能となるため環境に与える負荷を小さくできるという利点がある。
【0142】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、縦型半導体デバイスの裏面電極と反対側の主面に形成された電極をリードで接続するタイプの半導体装置に適用する例について説明する。図11は、本実施の形態4の導電性樹脂接着タイプの縦型半導体装置を示す平面図、図12は図11に示すB−B線に沿った断面図、図13は図12に示す一点鎖線Dで囲った領域の導電性樹脂で接着する前の状態を示す拡大断面図である。
【0143】
図12において、ドレインリードとしても機能するダイパッド(第2金属部材)16とソースリード26とゲートリード27(図11参照)は同一平面に配置されている。また、ダイパッド16の半導体デバイス11を搭載する領域には、1〜10μm厚さのAgめっき膜14が形成されている。また、図11に示すソースリード26とゲートリード27の一方の面にも、1〜10μm厚さのAgめっき膜32が形成されている。
【0144】
半導体デバイス11の主面11a側に形成されたドレイン電極である金属電極12と、主面11b側に形成されたソース電極22の表面にはAgのナノ粒子コート膜5、17が形成されている。
【0145】
ナノ粒子コート膜5の表面には、図3に示すように複数の孔部100が形成されている。孔部100は、図12に示す金属電極12からダイパッド16に向かう方向(第1の方向)51に沿って、順に開口部(第1の開口部)101A、開口部(第2の開口部)101Bを備えている。また、ナノ粒子コート膜5の表面の複数の孔部100には、導電性樹脂7のベース樹脂が浸入した状態で硬化している。
【0146】
また、ナノ粒子コート膜17の表面には、図13に示すように複数の孔部100が形成されている。孔部100は、図12に示すソース電極(第2電極)22からCuリード(第2金属部材)34に向かう方向(第3の方向)53に沿って、順に開口部(第5の開口部)101E、開口部(第6の開口部)101Fを備えている。また、ナノ粒子コート膜17の表面の複数の孔部100には、導電性樹脂7のベース樹脂が浸入した状態で硬化している。また、図13に示す開口部101Eの一部は、ナノ粒子コート膜17の一部である迫り出し部102によって覆われている。迫り出し部102は開口部101F側に形成されている。
【0147】
迫り出し部102を形成することにより、硬化後の導電性樹脂7のベース樹脂がアンカーの機能を備え、導電性樹脂7と金属電極12、あるいはソース電極22との剥離を抑制することが可能となることは前記実施の形態1〜3で説明した通りである。
【0148】
金属電極12の最表面はAuまたはAgの貴金属蒸着膜である。また、ソース電極22は1〜10μm厚さのAl(アルミニウム)膜の上にNi/Auのめっき膜またはTi/Ni/AuまたはTi/Ni/Agの蒸着膜を形成した多層構造となっており最表面はAuまたはAgの貴金属膜で構成されている。
【0149】
ソース電極22とソースリード26の間は、全面に厚さ0.5〜5μmのAgめっき膜33を形成したCuリード34で結線している。ダイパッド16/半導体デバイス11間、半導体デバイス11/Cuリード34間、Cuリード34/ソースリード26間の接続はいずれもAg粒子を65〜98wt%含む導電性樹脂7で接着している。
【0150】
ダイパッド16/半導体デバイス11間の接続には、Ag粒子の含有率が高い導電性樹脂7を用いることが好ましいが、Cuリード34/ソースリード26間の接続は主として電気的導通のみが要求されるため、ダイパッド16/半導体デバイス11間の接続にもちいる導電性樹脂7よりもAg粒子の含有率が低い導電性樹脂とすることもできる。
【0151】
ダイパッド16、ソースリード26およびゲートリード27の一部と、半導体デバイス11およびCuリードの全体とを覆うように絶縁性のモールド樹脂30でモールド(封止)している。また、モールド樹脂30とリードフレームのダイパッド16、ソースリード26あるいはゲートリード27の接着強度を確保するため、樹脂がオーバーハングしたような形状になるようリードフレームに面取り加工部36,37を施している。
【0152】
導電性樹脂により、半導体デバイスの裏面電極側および回路電極側の電気的接続を行う方法は、接続信頼性が低かったため、熱応力により接続界面が剥離するおそれのある半導体装置には適用することが困難であった。
【0153】
しかし、本実施の形態4によれば、剥離のおそれのある接続界面にナノ粒子コート膜を形成することにより、導電性樹脂7との接続信頼性を向上させることが可能となるので、熱応力の条件が厳しい半導体装置にも導電性樹脂7による接続構造を適用することが可能となる。
【0154】
また、半導体デバイス11の主面11a側のダイボンディングと回路面である主面11b側の電気的接続をいずれも導電性樹脂7の接着で行っているため、接続工程が1回で完了でき、製造工程を効率化することができる。
【0155】
また、ソース電極とソースリードとの電気的接続方法を、前記実施の形態3で説明したアルミニウムワイヤによる結線からCuリードによる結線に変更したことにより、導通断面積の増大、あるいはソース電極との接続面積の拡大により実装に伴う電気抵抗を低減させることが可能となる。このため、半導体装置の内部損失を低減することが可能となる。
【0156】
(実施の形態5)
本実施の形態5では、ナノ粒子コート膜を前記実施の形態1〜4とは異なる状態で形成した例について説明する。図14は、半導体デバイスの裏面電極表面の複数の領域にAgナノ粒子コート膜が点在する状態で形成された半導体装置を示す平面図、図15は図14に示すC−C線に沿った断面図である。
【0157】
図14において半導体デバイス11の裏面電極となる金属電極12の表面には、Ti/Ni/AuまたはAl(アルミニウム)/Ti/Ni/Auなどの金属膜が形成されている。金属膜の構成は他の構成であっても良いが、最表面は貴金属である必要がある。
【0158】
また、図14および図15に示すように金属電極12の表面に形成された金属膜にはAgナノ粒子を焼成して形成したポーラスなAgのナノ粒子層18がドット状のパターンで配置されている。ナノ粒子層18は金属電極12表面の複数の領域に点在する状態で形成されている。
【0159】
ドット状に配置されたナノ粒子層の厚さはそれぞれ0.1〜10μmである。また、金属電極12の表面の面積に占めるナノ粒子層18の面積比率は30%以上となるように形成している。この面積比率は、ドット状に配置されたナノ粒子層18が形成された領域面積の合計が金属電極12の表面面積に占める割合である。すなわち、金属電極12の表面全体にナノ粒子層18を形成した前記実施の形態2〜4の場合、面積比率は100%となる。
【0160】
導電性樹脂と金属電極との接続界面の剥離防止効果という観点からは、ナノ粒子層18を形成する領域の面積比率は高い程良い。しかし、本発明者の検討によれば、前記面積比率が30%以上であれば、接続界面の剥離を抑制することができる。
【0161】
また、図15において、半導体デバイス11の回路面側にはAl(アルミニウム)膜のソース電極22とゲート電極23が形成されており、その周囲を無機あるいはポリイミドのパッシベーション膜38で覆っている。
【0162】
図16は、半導体デバイスの裏面へのナノ粒子コート層の形成手順の一例を示す説明図である。
【0163】
ナノコート処理はSiウェーハの状態で行っている。Agナノ粒子のペーストをディスペンサーで最後にダイシングして個片に分割している。
【0164】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明は、導電性樹脂を用いて半導体デバイスを金属部材に電気的に接続する半導体装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体デバイスが配線基板にフリップチップ接続された状態を示す断面図である。
【図2】図1に示す一点鎖線Aで囲まれた領域の拡大断面図である。
【図3】図2に示す一点鎖線Bで囲った領域の導電性樹脂で接着する前の状態を示す拡大断面図である。
【図4】図2に示す一点鎖線Cで囲った領域の導電性樹脂で接着する前の状態を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2の縦型半導体デバイスをダイパッドにダイボンディングした状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す一点鎖線Aで囲まれた領域の拡大断面図である。
【図7】図5に示す接続構造を適用した本発明による縦型半導体装置を示す平面図である。
【図8】図7に示す縦型半導体装置のA−A線に沿った断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3による半導体デバイスのダイボンディング構造を示す断面図である。
【図10】リードフレームのダイパッドにAgナノ粒子コート膜を形成する方法の一例を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態4の導電性樹脂接着タイプの縦型半導体装置を示す平面図である。
【図12】図11に示すB−B線に沿った断面図である。
【図13】図12に示す一点鎖線Dで囲った領域の導電性樹脂で接着する前の状態を示す拡大断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態5の半導体デバイスの裏面電極表面の複数の領域にAgナノ粒子コート膜が点在する状態で形成された半導体装置を示す平面図である。
【図15】図14に示すC−C線に沿った断面図である。
【図16】半導体デバイスの裏面へのナノ粒子コート層の形成手順の一例を示す説明図である。
【図17】ナノ粒子コート膜の表面を電子顕微鏡で5000倍、および20000倍の倍率にそれぞれ拡大して観察した状態を示す説明図である。
【図18】本発明の実施の形態2の半導体装置の組立プロセスの例を示す説明図である。
【図19】本発明の実施の形態2の変形例である半導体装置の半導体デバイスと導電性樹脂の接続構造を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0167】
1 半導体デバイス
1a 主面(第1主面)
2 電極端子(金属電極、第1電極)
3 配線基板
4 接続端子(金属部材、第1金属部材)
5 ナノ粒子コート膜(貴金属層、第1貴金属層)
6 ナノ粒子コート膜(第2貴金属層)
7 導電性樹脂
8 アンダーフィル樹脂
9 Ag粒子(金属粒子)
10 ベース樹脂
11 半導体デバイス
11a 主面(第1主面)
11b 主面(第2主面)
12 金属電極(第1電極)
13 ダイパッド(第2金属部材)
14 Agめっき膜
15 ナノ粒子コート膜(第2貴金属層)
16 ダイパッド
17 ナノ粒子コート膜(第3貴金属層)
18 ナノ粒子層(貴金属層)
19 導電粒子
20 導電性樹脂
22 ソース電極
23 ゲート電極
25 ドレインリード
26 ソースリード
27 ゲートリード
28、29 ワイヤ
30 モールド樹脂
32 Agめっき膜
33 めっき膜
34、35 Cuリード
36、37 面取り加工部
38 パッシベーション膜
51 方向(第1の方向)
52 方向(第2の方向)
53 方向(第3の方向)
100 孔部
101A 第1の開口部
101B 第2の開口部
101C 第3の開口部
101D 第4の開口部
101E 第5の開口部
101F 第6の開口部
102 迫り出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の主面に金属電極を備える半導体デバイスと、
有機樹脂に貴金属を含む金属粒子を混合した導電性樹脂を介して、前記金属電極に電気的に接続される金属部材とを有し、
前記金属電極または前記金属部材の互いに対向する面の少なくとも一方の面には、貴金属のナノ粒子を焼結したポーラスな貴金属層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
互いに反対側に位置する第1主面および第2主面を有する半導体デバイスと、
有機樹脂に貴金属を含む金属粒子を65〜98wt%混合した導電性樹脂を介して、前記第1主面に形成された第1電極に電気的に接続される第1金属部材と、
前記第1電極の前記第1金属部材と対向する面に融着して形成された第1貴金属層と、
前記半導体デバイスを封止する絶縁性の封止体とを有し、
前記第1電極の前記第1金属部材と対向する面は貴金属で構成され、
前記第1貴金属層の厚さは50nm〜3μmであり、
前記第1貴金属層の表面は、複数の孔部を備え、
前記孔部は、
前記第1電極から前記第1金属部材に向かう第1の方向に沿って、順に第1の開口部と第2の開口部を備え、
前記第2の開口部に、前記第1の開口部を覆う前記第1貴金属層を構成する貴金属からなる迫り出し部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載された半導体装置において、
前記第1金属部材の前記第1電極と対向する面の前記半導体デバイスを搭載する領域には、前記第1金属部材に融着して形成された第2貴金属層が形成されており、
前記第2貴金属層の厚さは50nm〜3μmであり、
前記第2貴金属層の表面は、複数の孔部を備え、
前記第1金属部材から前記第1電極に向かう第2の方向に沿って、順に第3の開口部と第4の開口部を備え、
前記第4の開口部に、前記第3の開口部を覆う前記第2貴金属層を構成する貴金属からなる迫り出し部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載された半導体装置において、
前記第1金属部材はCuまたはCuを含む合金で構成され、
前記第1電極の前記第1金属部材と対向する面はAuまたはAgで構成され、
前記第1貴金属層は、Agで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2に記載された半導体装置において、
前記第1貴金属層は、
前記第1電極の前記第1金属部材と対向する面上の複数の領域に点在する状態で形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項2に記載された半導体装置において、
前記第1金属部材の前記第1電極と対向する面の前記半導体デバイスを搭載する領域は貴金属がめっき形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項2に記載された半導体装置において、
前記第2主面に形成された第2電極と電気的に接続される第2金属部材と、
前記第2電極の前記第2金属部材と対向する面に融着して形成された第3貴金属層とを有し、
前記第2電極の前記第2金属部材と対向する面は貴金属で構成され、
前記第3貴金属層の厚さは50nm〜3μmであり、
前記第3貴金属層の表面は、複数の孔部を備え、
前記第2電極から前記第2金属部材に向かう第3の方向に沿って、順に第5の開口部と第6の開口部を備え、
前記第6の開口部に、前記第5の開口部を覆う前記第3貴金属層を構成する貴金属からなる迫り出し部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載された半導体装置において、
前記第1金属部材および前記第2金属部材はCuまたはCuを含む合金で構成され、
前記第1電極の前記第1金属部材に対向する面および前記第2電極の前記第2金属部材に対向する面はAuまたはAgで構成され、
前記第1貴金属層および前記第3貴金属層は、Agで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項7に記載された半導体装置において、
前記第1貴金属層は、
前記第1電極の前記第1金属部材に対向する面にある複数の領域に点在する状態で形成されており、
前記第3貴金属層は、
前記第2電極の前記第2金属部材に対向する面にある複数の領域に点在する状態で形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項7に記載された半導体装置において、
前記第1金属部材の前記第1電極と対向する面の前記半導体デバイスを搭載する領域には、前記第1金属部材に融着して形成された第2貴金属層が形成されており、
前記第2貴金属層の厚さは50nm〜3μmであり、
前記第2貴金属層の表面は、複数の孔部を備え、
前記第1金属部材から前記第1電極に向かう第2の方向に沿って、順に第3の開口部と第4の開口部を備え、
前記第4の開口部に、前記第3の開口部を覆う前記第2貴金属層を構成する貴金属からなる迫り出し部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項7に記載された半導体装置において、
前記第1金属部材の前記第1電極と対向する面の前記半導体デバイスを搭載する領域は貴金属がめっき形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
半導体デバイスの主面に形成された電極の表面に、平均粒子径が1〜50nmである貴金属ナノ粒子を分散させたペースト、または溶媒を塗布する工程と、
前記ペースト、または前記溶媒を塗布した前記電極を、200〜500℃の範囲の加熱温度で焼結する工程と、
前記電極に電気的に接続される金属部材を準備し、前記金属部材の前記電極と接続される面に、有機樹脂に平均粒子径が0.5〜40μmの貴金属粒子が65〜98wt%混合された導電性樹脂を塗布する工程と、
前記導電性樹脂に前記半導体デバイスを押し付けて搭載する工程と、
前記導電性樹脂を加熱硬化させる工程とを有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−153470(P2008−153470A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340473(P2006−340473)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】