説明

半導体装置の製造方法および半導体ウェーハ

【課題】 チップサイズを増大させることなく、狭隘なダイシングライン上に複数のテスト領域を配置した半導体装置の製造方法および半導体ウェーハを提供する。
【解決手段】 主面に形成された格子状のダイシングライン11、12と、ダイシングライン11、12で囲まれた矩形状格子に形成された複数の集積回路13と、一方向のダイシングライン11上に互いに離間して形成され、複数のテスト素子M1、M2とテスト用パッド31〜34と配線37〜39のみからなる複数のテスト領域21、22を有する複数のテスト領域群と、を具備し、各群のテスト領域21、22においては、互いに異なるテスト素子M1、M2が配線37〜39によってテスト用パッド31〜34に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体ウェーハに係り、特にダイシングライン上にテスト素子を有する半導体装置の製造方法および半導体ウェーハに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、微細化、高集積化、多機能化に伴い、半導体装置の製造過程において、テスト回路を用いて多くのプロセスおよびデバイス特性を測定し、その測定結果に基づいて製造工程を管理している。
【0003】
通常、テスト回路は半導体装置が完成した後は不要となるので、1枚の半導体基板から製造できる半導体装置の個数を増やして製造コストを低減するために、半導体ウェーハをチップに分割するためのダイシングライン上に形成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
特許文献1に開示された半導体装置の製造方法および半導体ウェーハでは、複数の集積回路チップを分割するダイシングライン上にテスト用パッドを設け、これら複数の集積回路チップ内部のテスト回路とダイシングライン上に配置されるテスト用パッドとの接続をオン−オフさせるスイッチング回路と、スイッチング回路の切換えを行う切換信号を入力するスイッチングパッドをダイシングライン上に形成している。
【0005】
特許文献2に開示された半導体装置の製造方法では、複数の被測定素子と、これらの中から少なくとも1個ずつを順に選択する選択回路と、複数の測定素子の各々に接続され、被測定素子の特性を測定するのに用いられる複数のスイッチ素子とを有し、複数の被測定素子、選択回路および複数のスイッチ素子を半導体基板の帯状スクライブ領域内に設けている。
【0006】
然しながら、特許文献1および特許文献2に開示された半導体装置の製造方法では、半導体装置の微細化、高集積化に伴ってダイシングラインの幅が縮小されるにつれて、特に設置面積の大きい接続パッドを数多く用いるテスト回路をダイシングライン上に形成することが難しくなるという問題がある。
【特許文献1】特開2002−141383号公報(4頁、図1)
【特許文献2】特開2003−7785号公報(7頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、チップサイズを増大させることなく、狭隘なダイシングライン上に複数のテスト回路を配置した半導体装置の製造方法および半導体ウェーハを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の半導体ウェーハでは、主面に形成された格子状のダイシングラインと、前記ダイシングラインで囲まれた矩形状格子に形成された複数の集積回路と、一方向の前記ダイシングライン上に互いに離間して形成され、複数のテスト素子とテスト用パッドと配線のみからなる複数のテスト領域を有する複数のテスト領域群と、を具備し、各群のテスト領域においては、互いに異なる前記テスト素子が前記配線によって前記テスト用パッドに接続されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の一態様の半導体装置の製造方法では、半導体ウェーハ主面に格子状のダイシングラインを形成する第1の工程と、前記ダイシングラインで囲まれた矩形状格子に複数の集積回路を形成する第2の工程と、一方向の前記ダイシングライン上に、互いに離間して複数のテスト素子とテスト用パッドと配線のみからなる複数のテスト領域を有する複数のテスト領域群を形成する第3の工程と、前記テスト領域において、互いに異なる前記テスト素子を前記配線によって前記テスト用パッドに接続する第4の工程と、前記テスト用パッドに接続された前記テスト素子を用いて前記集積回路の電気的特性をテストする第5の工程と、前記半導体ウェーハを前記ダイシングラインに沿って分割して、チップに分離する第6の工程と、を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パッドの設置面積が限られる狭隘なダイシングライン上に複数のテスト領域を配置することができる。
【0011】
その結果、チップサイズを増大させることなく、半導体装置の製造工程においてより多くのプロセスおよびデバイス特性を測定し、製造工程を管理することができる。
従って、小型で信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1に係る半導体ウェーハについて、図1乃至図4を用いて説明する。図1は半導体ウェーハを示す平面図、図2は半導体ウェーハの要部を拡大した平面図である。
【0014】
また、図3はダイシングライン上に形成されたテスト領域の構成を示す図で、図3(a)はテスト領域の平面図、図3(b)は図3(a)に隣接するテスト領域を示す平面図、図4は図3(a)のテスト領域の要部の構造を模式的に示す断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施例の半導体ウェーハ10は、表面に形成された格子状のダイシングライン11、12と、ダイシングライン11、12で囲まれた矩形状格子に形成された複数の集積回路13とを有している。
【0016】
集積回路13は、一方向(以下、Y方向という)と直角な方向(以下、X方向という)に配列された4個の集積回路13を1ブロックとする集積回路ブロックAおよび集積回路ブロックBが、Y方向に交互に配列されている。
【0017】
図2に示すように、集積回路ブロックAは、Y方向のダイシングライン11a、11b、11c上に形成された3個のテスト領域21を有し、集積回路ブロックBは、Y方向のダイシングライン11a、11b、11c上に形成された3個のテスト領域22を有している。
【0018】
2つのテスト領域21、22をテスト領域群と呼び、更に複数のテスト領域群がY方向に配列されている。
【0019】
集積回路ブロックA、BとX方向に隣接して配列された集積回路ブロックA、Bとの間のY方向のダイシングライン11d上にはテスト領域21、22は形成されていない。
【0020】
図3(a)に示すように、テスト領域21は、2個のテスト素子、例えばゲート長が互いに異なるMOSトランジスタM1a、M2aと、テスト用パッド31a、32a、33a、34aと、パッド配線37a、38a、39aのみを有している。
【0021】
テスト用パッド31a、32a、33a、34aはダイシングライン11bに沿って互いに間隔を置いて配置され、MOSトランジスタM1a、M2aは隣接するテスト用パッド32a、34aの間で且つダイシングライン11bと垂直な方向に並置され、且つパッド配線37a、39aはダイシングライン11bの一方の側に配置されている。
【0022】
テスト用パッド31a、32a、33a、34aのサイズはそれぞれ60×80μm程度であり、ダイシングライン11bの幅は80〜160μm程度である。
【0023】
テスト領域21のMOSトランジスタM1aのドレインは、引き出し配線35aを介してコンタクトホール36aに引き出されている。
同様に、MOSトランジスタM1aのソース、ゲートおよびバックゲート(基板)の各電極も、引き出し配線を介してコンタクトホールにそれぞれ引き出されている。
【0024】
テスト領域21のMOSトランジスタM1aは、ドレインがパッド配線37aを介してテスト用パッド31aに接続され、ソースがパッド配線38aを介してテスト用パッド32aに接続され、ゲートがパッド配線39aを介してテスト用パッド33aに接続されている。
【0025】
テスト領域21のMOSトランジスタM1a、M2aのバックゲートはコンタクトホールに埋め込まれたビア(図示せず)を介してテスト用パッド34aに共通接続されている。
【0026】
一方、テスト領域21のMOSトランジスタM2aのドレイン、ソース、ゲートはそれぞれテスト用パッド31a、32a、33aには接続されていない。
【0027】
図3(b)に示すように、テスト領域22は、テスト領域21のMOSトランジスタM1a、M2aとそれぞれ等しいMOSトランジスタM1b、M2bと、テスト用パッド31b、32b、33b、34bと、パッド配線37b、38b、39bのみをそれぞれ有している。
【0028】
テスト用パッド31b、32b、33b、34bはダイシングライン11bに沿って互いに間隔を置いて配置され、MOSトランジスタM1b、M2bは隣接するテスト用パッド32b、34bの間で且つダイシングライン11bと垂直な方向に並置され、且つパッド配線37b、39bはパッド配線37a、39aと反対の他方の側に配置されている。
【0029】
テスト領域22のMOSトランジスタM1bのドレインは、引き出し配線35bを介してコンタクトホール36bにそれぞれ引き出されている。
同様に、MOSトランジスタM1bのソース、ゲートおよびバックゲート(基板)の各電極も、引き出し配線を介してコンタクトホールにそれぞれ引き出されている。
【0030】
テスト領域22のMOSトランジスタM2bは、ドレインがパッド配線37bを介してテスト用パッド31bに接続され、ソースがパッド配線38bを介してテスト用パッド32bに接続され、ゲートがパッド配線39bを介してテスト用パッド33bに接続されている。
【0031】
テスト領域22のMOSトランジスタM1b、M2bのバックゲートはコンタクトホールに埋め込まれたビア(図示せず)を介してテスト用パッド34bに共通接続されている。
【0032】
一方、テスト領域22のMOSトランジスタM1bのドレイン、ソース、ゲートはそれぞれテスト用パッド31b、32b、33bには接続されていない。
【0033】
次に、テスト領域21、22の要部の断面構造について説明する。ここでは、3層配線工程で製造される半導体装置の場合の例である。
【0034】
図4に示すように、半導体基板40に形成されたテスト領域21のMOSトランジスタM1aのドレインDはコンタクト層41を介して第1配線層42に接続され、第1配線層42はコンタクト層43を介して引き出し配線35aに接続され、引き出し配線35aはコンタクトホール36aに埋め込まれたビア44を介してパッド配線37aに接続され、パッド配線37aはパッド31aに接続されている。
【0035】
図示しないテスト領域21のMOSトランジスタM1aのソースSおよびゲートGも、同様にしてパッド32a、33aにそれぞれ接続されている。
【0036】
同じく、図示しないテスト領域22のMOSトランジスタM2bのドレイン、ソースおよびゲートも、MOSトランジスタM1aと同様にして、テスト用パッド31b、32b、33bにそれぞれ接続されている。
【0037】
これにより、Y方向のダイシングライン11上に互いに離間して形成され、MOSトランジスタM1、M2とテスト用パッド31、32、33、34とパッド配線37、38、39のみからなるテスト領域21、22を有する複数のテスト領域群を具備し、各群のテスト領域21、22においては、互いに異なるMOSトランジスタM1、M2がパッド配線37、38、39によってテスト用パッド31、32、33、34に接続されているので、狭隘なダイシングライン上に複数のテスト領域を形成することが可能である。
【0038】
図5は実施例1に係る半導体ウェーハ10の製造工程に用いられるフォトマスクを示す図で、図5(a)は4チップ分のパターンが形成されたフォトマスクの平面図、図5(b)は8チップ分のパターンが形成されたフォトマスクの平面図である。
【0039】
図5(a)に示すように、第1フォトマスク51は、チップパターンがX方向に4個(n1=4)、Y方向に1個(m1=1)配列され、露光装置の1ショットで4個(n1×m1=4)のチップパターンを同時露光することができる。
【0040】
チップパターンには、集積回路パターン52とテスト領域パターン53がX方向に交互に配列されている。テスト領域パターン53はダイシングライン54上に配置されている。
【0041】
更に、ダイシングライン54上にはパターン合わせのためのリソマーク(図示せず)が配置されている。
【0042】
集積回路パターン52には、例えばメモリセルアレイ、メモリセルのアドレスを指定するデコーダ、およびそれらを制御するための周辺回路などのパターンが製造工程に従って複数のフォトマクスにそれぞれ形成されている。
テスト領域パターン53には、MOSトランジスタM1、M2、引き出し配線35などのパターンなどが製造工程に従って複数のフォトマクスにそれぞれ形成されている。
【0043】
図5(b)に示すように、第2フォトマスク56は、チップパターンがX方向に4個(n2=4)、Y方向に2個(m2=2)配列され、露光装置の1ショットで8個(n2×m2=8)のチップパターンを同時露光することができる。
【0044】
チップパターンはテスト領域パターン57、58を有し、テスト領域パターン57、58はダイシングライン54上に配置されている。
【0045】
テスト領域パターン57には、コンタクトホール36a、パッド配線37a、38a、39a、およびテスト用パッド31a、32a、33a、34aなどのパターンが製造工程に従って複数のフォトマクスにそれぞれ形成されている。
【0046】
テスト領域パターン58には、コンタクトホール36b、パッド配線37b、38b、39bおよびテスト用パッド31b、32b、33b、34bなどのパターンが製造工程に従って複数のフォトマクスにそれぞれ形成されている。
【0047】
周知の方法により、これら複数の第1フォトマスク51および第2フォトマスク56を用いて、半導体ウェーハ10が製造される。
【0048】
半導体ウェーハ10の製造工程において、MOSトランジスタM1、M2により集積回路13の電気的特性がテストされ、半導体ウェーハ10が完成する。
半導体ウェーハ10をスクライブライン54、59に沿って分割して、チップに分離することにより、集積回路13を有する半導体装置が得られる。
【0049】
即ち、集積回路13ごとに、ダイシングライン54上に2個のMOSトランジスタM1、M2を設け、2個のMOSトランジスタM1、M2から互いにことなるMOSトランジスタをパッド配線37〜39を介してパッド31〜34に接続するために、第1フォトマスク51ではm1=1に対して、第2フォトマスク56では2倍のm2=2としている。
【0050】
これにより、例えば、従来の露光装置を使用し、露光エリア内での寸法バラツキが懸念される微細なパターンは露光エリアを絞った4チップ分の第1フォトマスク51を用いて形成し、それほどの微細化が要求されない配線パターンや不純物イオンの注入パターン等は8チップ分の第2フォトマスク56を用いて形成する半導体装置の製造工程において、製造工程を何ら変更することなく適用することが可能である。
【0051】
また、従来の露光装置と縮小投影型露光装置を併用し、それほどの微細化が要求されない配線パターンや不純物イオンの注入パターン等は従来の露光装置により4チップ分の第1フォトマスク51を用いて形成し、更に微細化されたパターンのみを8チップ分の第2フォトマスク56を用いて形成する半導体装置の製造工程においても、製造工程を何ら変更することなく適用することが可能である。
【0052】
以上説明したように、本実施例の半導体装置の製造方法では、パッドの設置面積が限られる狭隘なダイシングライン上に複数のテスト領域を配置することができる。
【0053】
その結果、チップサイズを増大させることなく、半導体装置の製造工程においてより多くのプロセスおよびデバイス特性を測定し、製造工程を管理することができる。従って、小型で信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0054】
ここではm1=1、m2=2である場合について説明したが、m1は1以上の自然数、m2は2の自然数倍であれば良く、特に限定されない。更に、n1およびn2が4の場合について説明したが、n1とn2が等しければ良く、特に限定されない。
【実施例2】
【0055】
本発明の実施例2に係る半導体ウェーハについて、図6乃至図8を用いて説明する。図6は半導体ウェーハを示す平面図、図7は半導体ウェーハの要部を拡大した平面図である。
【0056】
また、図8はダイシングライン上に形成されたテスト領域の構成を示す図で、図8(a)はテスト領域の平面図、図8(b)は図8(a)に隣接するテスト領域を示す平面図、図8(c)は図8(b)に隣接するテスト領域を示す平面図である。
【0057】
本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
本実施例が実施例1と異なる点は、ダイシングライン上に形成されたテスト領域群が、3個のテスト領域を有することにある。
【0059】
即ち、図6に示すように、本実施例の半導体ウェーハ60は、X方向に隣接した4個の集積回路13を1ブロックとする3つの集積回路ブロックA、B、CがY方向に順に配列されている。
【0060】
図7に示すように、集積回路ブロックA、B、Cは、Y方向のダイシングライン11a、11b、11c上に形成された3個のテスト領域61、62、63をそれぞれ有している。
【0061】
3つのテスト領域61、62、63をテスト領域群と呼び、更に複数のテスト領域群がY方向に配列されている。
【0062】
集積回路ブロックA、B、CとX方向に配列された集積回路ブロックA、B、Cとの間のダイシングライン11d上にはテスト領域61、62、63は形成されていない。
【0063】
図8(a)に示すように、テスト領域61は、3個のテスト素子、例えばゲート長が互いに異なる3個のMOSトランジスタM1a、M2a、M3aが形成され、MOSトランジスタM1aのドレイン、ソース、ゲートがパッド配線37a、38a、39aを介してテスト用パッド31a、32a、33aにそれぞれ接続されている。
【0064】
一方、MOSトランジスタM2a、M3aのドレイン、ソース、ゲートはテスト用パッド31a、32a、33aには接続されていない。
【0065】
図8(b)に示すように、テスト領域62は、テスト領域61の3個のMOSトランジスタM1a、M2a、M3aにそれぞれ等しい3個のMOSトランジスタM1b、M2b、M3bが形成され、MOSトランジスタM2bのドレイン、ソース、ゲートがパッド配線37b、38b、39bを介してテスト用パッド31b、32b、33bにそれぞれ接続されている。
【0066】
一方、MOSトランジスタM1b、M3bのドレイン、ソース、ゲートはテスト用パッド31b、32b、33bには接続されていない。
【0067】
図8(c)に示すように、テスト領域63は、テスト領域61の3個のMOSトランジスタM1a、M2a、M3aにそれぞれ等しい3個のMOSトランジスタM1c、M2c、M3cが形成され、3個のMOSトランジスタM1c、M2c、M3cから選択されたMOSトランジスタM3cが、ドレイン、ソース、ゲートがパッド配線37c、38c、39cを介してテスト用パッド31c、32c、33cにそれぞれ接続されている。
【0068】
一方、MOSトランジスタM1c、M2cのドレイン、ソース、ゲートはテスト用パッド31c、32c、33cには接続されていない。
【0069】
これにより、Y方向のダイシングライン11上に互いに離間して形成され、MOSトランジスタM1、M2、M3とテスト用パッド31、32、33、34とパッド配線37、38、39のみからなるテスト領域61、62、63を有する複数のテスト領域群を具備し、各群のテスト領域61、62、63においては、互いに異なるMOSトランジスタM1、M2、M3がパッド配線37、38、39によってテスト用パッド31、32、33、34に接続されているので、狭隘なダイシングライン上に複数のテスト領域を形成することが可能である。
【0070】
図9は実施例2に係る半導体ウェーハ60の製造工程に用いられるフォトマスクを示す図で、図9(a)は4チップ分のパターンが形成されたフォトマスクの平面図、図9(b)は12チップ分のパターンが形成されたフォトマスクの平面図である。
【0071】
図9(a)に示すように、第1フォトマスク71は、チップパターンがX方向に4個(n3=4)、Y方向に1個(m3=1)配列されており、露光装置の1ショットで4個(n3×m3=4)のチップパターンを同時露光することができる。
【0072】
チップパターンには、集積回路パターン52とテスト領域パターン72がX方向に交互に配列されている。テスト領域パターン72はダイシングライン54上に配置されている。
【0073】
更に、ダイシングライン54上にはパターン合わせのためのリソマーク(図示せず)が配置されている。
【0074】
図9(b)に示すように、第2フォトマスク73は、チップのパターンがX方向に4個(n4=4)、Y方向に3個(m4=3)配列されており、露光装置の1ショットで12個(n4×m4=12)のチップパターンを同時露光することができる。
【0075】
チップパターンはテスト領域パターン74、75、76をそれぞれ有し、テスト領域パターン74、75、76は離間してダイシングライン54上に配置されている。
【0076】
テスト領域パターン72、74、75、76には、テスト領域61、62、63を形成するためのパターンが製造工程に従って複数のフォトマクスにそれぞれ形成されている。
【0077】
即ち、集積回路13ごとに、ダイシングライン54上に3個のMOSトランジスタM1〜M3を設け、3個のMOSトランジスタM1〜M3から互いにことなるMOSトランジスタをパッド配線37〜39を介してテスト用パッド31〜34に接続するために、第1フォトマスク71ではm3=1に対して、第2フォトマスク73では3倍のm4=3としている。
【0078】
以上説明したように、本実施例によれば狭隘なダイシングライン上に3種類のテスト領域を形成することができるので、更に多くのプロセス特性、デバイス特性を測定し、半導体装置の製造工程を精密制御できる利点がある。
【0079】
ここではm3=1、m4=3である場合について説明したが、m3は1以上の自然数、m4は3の自然数倍であれば良く、特に限定されない。
【実施例3】
【0080】
図10は本発明の実施例3に係るテスト領域の構成を示す平面図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0081】
本実施例が実施例1と異なる点は、パッド配線がダイシングラインに沿った一方向の側にのみ配置されていることにある。
【0082】
即ち、図10(a)に示すように、集積回路ブロックAに形成されたテスト領域81では、テスト用パッド31a、32a、33aにパッド配線37a、38a、39aがそれぞれ接続されている。
【0083】
MOSトランジスタM1aのドレイン、ソース、ゲートに接続された引き出し配線35aがコンタクトホール36aに埋め込まれたビア(図示せず)を介してパッド配線37a、38a、39aにそれぞれ接続されている。
【0084】
一方、MOSトランジスタM2aのドレイン、ソース、ゲートに接続された引き出し配線35aとパッド配線37b、38b、39bとの間にはコンタクトホール36aが形成されていない。
【0085】
同様に、図10(b)に示すように、集積回路ブロックBに形成されたテスト領域82では、テスト用パッド31b、32b、33bにパッド配線37b、38b、39bがそれぞれ接続されている。
【0086】
MOSトランジスタM2bのドレイン、ソース、ゲートに接続された引き出し配線35bがコンタクトホール36bに埋め込まれたビア(図示せず)を介してパッド配線37b、38b、39bにそれぞれ接続されている。
【0087】
一方、MOSトランジスタM1bのドレイン、ソース、ゲートに接続された引き出し配線35bとパッド配線37b、38b、39bとの間にはコンタクトホール36bが形成されていない。
【0088】
以上説明したように、本実施例によれば、パッド配線37a、39a、およびパッド配線37b、39bをダイシングライン11bの一方の側にのみ配置したので、ダイシングラインの幅をΔXだけ短縮することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施1例に係る半導体ウェーハを示す平面図。
【図2】本発明の実施1例に係る半導体ウェーハの要部を拡大した平面図。
【図3】本発明の実施1例に係るダイシングライン上に形成されたテスト領域の構成を示す図で、図3(a)はテスト領域の平面図、図3(b)は図3(a)に隣接するテスト領域を示す平面図。
【図4】本発明の実施1例に係るテスト領域の要部の構造を模式的に示す断面図。
【図5】本発明の実施1例に係る半導体ウェーハの製造工程に用いられるフォトマスクを示す図。
【図6】本発明の実施2例に係る半導体ウェーハを示す平面図。
【図7】本発明の実施2例に係る半導体ウェーハの要部を拡大した平面図。
【図8】本発明の実施2例に係るダイシングライン上に形成されたテスト領域の構成を示す図で、図8(a)はテスト領域の平面図、図8(b)は図8(a)に隣接するテスト領域の平面図、図8(c)は図8(b)に更に隣接するテスト領域を示す平面図。
【図9】本発明の実施2例に係る半導体ウェーハの製造工程に用いられるフォトマスクを示す図。
【図10】本発明の実施3例に係るダイシングライン上に形成されたテスト領域の構成を示す図で、図10(a)はテスト領域の平面図、図10(b)は図10(a)に隣接するテスト領域を示す平面図。
【符号の説明】
【0090】
10、60 半導体ウェーハ
11、12、11a、11b、11c、11d、12a、12b、54、59 ダイシングライン
13 集積回路
21、22、61、62、63、81、82 テスト領域
31a、31b、32a32b、33a、33b、34a、34b テスト用パッド
35a、35b、35c 引き出し配線
36a、36b、36c コンタクトホール
37a、37b、37c、38a、38b、38c、39a、39b、39c パッド配線
40半導体基板
41、43 コンタクト層
42 第1配線層
44 ビア
51、71 第1フォトマスク
52 集積回路パターン
53、57、58、72、74、75、76 テスト領域パターン
56、73 第2フォトマスク
A、B、C 集積回路ブロック
M1a、M1b、M1c、M2a、M2b、M2c、M3a、M3b、M3c MOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に形成された格子状のダイシングラインと、
前記ダイシングラインで囲まれた矩形状格子に形成された複数の集積回路と、
一方向の前記ダイシングライン上に互いに離間して形成され、複数のテスト素子とテスト用パッドと配線のみからなる複数のテスト領域を有する複数のテスト領域群と、
を具備し、
各群のテスト領域においては、互いに異なる前記テスト素子が前記配線によって前記テスト用パッドに接続されていることを特徴とする半導体ウェーハ。
【請求項2】
前記テスト用パッドは前記ダイシングラインに沿って互いに間隔を置いて配置され、前記テスト素子は隣接する前記テスト用パッドの間で且つ前記ダイシングラインと垂直な方向に並置されており、前記配線は前記一方向の前記隣接するテスト領域においては前記ダイシングラインの一方の側と他方の側に交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェーハ。
【請求項3】
前記配線が前記ダイシングラインに沿った一方の側にのみ配置され、ビアを介して前記テスト素子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェーハ。
【請求項4】
半導体ウェーハ主面に格子状のダイシングラインを形成する第1の工程と、
前記ダイシングラインで囲まれた矩形状格子に複数の集積回路を形成する第2の工程と、
一方向の前記ダイシングライン上に、互いに離間して複数のテスト素子とテスト用パッドと配線のみからなる複数のテスト領域を有する複数のテスト領域群を形成する第3の工程と、
前記テスト領域において、互いに異なる前記テスト素子を前記配線によって前記テスト用パッドに接続する第4の工程と、
前記テスト用パッドに接続された前記テスト素子を用いて前記集積回路の電気的特性をテストする第5の工程と、
前記半導体ウェーハを前記ダイシングラインに沿って分割して、チップに分離する第6の工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4の工程においては、各群の前記テスト領域に対応する位置に前記配線および前記テスト用パッドのパターンが形成された1枚のフォトマスクを用いて、各群毎同時に露光されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−303187(P2006−303187A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122788(P2005−122788)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】