説明

半導体装置の製造方法

【課題】成形金型を用いた半導体装置の樹脂封止方法としてのトランスファモールド方式においては、キャビティ部の容積に相当する樹脂量だけでなく、ランナ部に充填される樹脂量も含めた樹脂材料を準備しなければならない。なお、ランナ部に形成された樹脂体は、最終的には完成品から切り離されるため、使用する樹脂材料に無駄が生じる。
【解決手段】本願発明は、多数の単位デバイス領域を有する平面状基体をその各単位デバイス領域は、上金型および下金型間に形成される多数のモールドキャビティに対応するように、両金型間に収容して、各単位デバイス領域を樹脂封止する半導体装置の製造方法に於いて、各モールドキャビティに対応する部分に、樹脂タブレット供給して、ポット部を含む各モールドキャビティの少なくとも一部の厚さを減少させることにより、樹脂封止を実行するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置(または半導体集積回路装置)の製造方法における樹脂封止技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開平10−258441号公報(特許文献1)には、熱硬化性樹脂を用いた半導体素子等のトランスファモールドに於いて、キャビティ毎に、その近傍にレジンタブレット設置部を設けて、キャビティ毎に、プランジャにより、溶融封止樹脂をキャビティ内に移送する技術が開示されている。
【0003】
日本特開2003−133352号公報(特許文献2)には、一体の樹脂タブレットおよび多数のデバイス領域が形成された配線基板を用いたMAP(Mold Array Package)方式における圧縮モールド技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−258441号公報
【特許文献2】特開2003−133352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体チップを樹脂で封止した樹脂封止型の半導体装置の封止工程では、一般に、成型金型が使用される。成形金型を用いた樹脂封止方法として、例えば、樹脂の供給源となるポット部に樹脂材料(タブレット)を供給し、このポット部から離れた位置に設けられた複数のキャビティ部(半導体チップが配置される部分)に、ランナ部(ポット部とキャビティ部を繋ぐ通路)を介して樹脂を供給するトランスファモールド方式がある。
【0006】
しかし、トランスファモールド方式の場合、キャビティ部の容積に相当する樹脂量だけでなく、ランナ部に充填される樹脂量も供えた樹脂材料を準備しなければならない。なお、ランナ部に形成された樹脂体(封止体)は、最終的には完成品(成形品、半導体装置)から切り離されるため、使用する樹脂材料に無駄が生じる。
【0007】
また、上記の方式の場合、通常、ランナ部を介して多数のキャビティ部に樹脂を供給するため、各キャビティ部における注入条件の均一化が困難である等の問題もある。
【0008】
そこで、本願発明の一つの目的は、省資源対策(樹脂の使用量を削減)が可能な封止技術(すなわち半導体装置の製造プロセス)を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、本願の一つの発明は、多数の単位デバイス領域を有する平面状基体をその各単位デバイス領域は、上金型および下金型間に形成される多数のモールドキャビティに対応するように、両金型間に収容して、各単位デバイス領域を樹脂封止する半導体装置の製造方法に於いて、各モールドキャビティに対応する部分に、樹脂タブレット供給して、ポット部を含む各モールドキャビティの少なくとも一部の厚さを減少させることにより、樹脂封止を実行するものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、多数の単位デバイス領域を有する平面状基体をその各単位デバイス領域は、上金型および下金型間に形成される多数のモールドキャビティに対応するように、両金型間に収容して、各単位デバイス領域を樹脂封止する半導体装置の製造方法に於いて、各モールドキャビティに対応する部分に、樹脂タブレット供給して、ポット部を含む各モールドキャビティの少なくとも一部の厚さを減少させることにより、樹脂封止を実行することにより、封止樹脂の使用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法における樹脂封止後のリードフレームの平面構造の概要を説明するためのリードフレームのチップ搭載面の模式平面図である。
【図2】図1のリードフレーム部分切り出し領域R1の樹脂封止前のリードフレームのチップ搭載面の平面図である。
【図3】図2の単位デバイス領域5の拡大平面図である。
【図4】図3のX−X’断面の模式断面図である。
【図5】図1のリードフレーム部分切り出し領域R1の樹脂封止後のリードフレームのチップ搭載面の平面図である。
【図6】図5のA−A’断面の模式断面図である。
【図7】図5の単位デバイス領域5のリードフレームのチップ搭載面の拡大模式平面図である。
【図8】図7のB−B’断面の模式断面図である。
【図9】図7および図8に対応した完成したパッケージの斜視図である。
【図10】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における樹脂モールドプロセスに使用するモールド装置の全体模式上面図である。
【図11】図10のモールド装置の下金型の単位デバイス領域5に対応する部分の模式上面図である。
【図12】図11において下金型のモールドキャビティ部の一部を構成するポット部と樹脂タブレットの関係を示す樹脂タブレットの斜視図である。
【図13】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における金型クランプ時(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティ中での樹脂タブレットの位置を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。
【図14】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における金型クランプ中のプランジャ最上昇時点(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティの断面形状を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。
【図15】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するためのモールドプロセスタイムチャートである。
【図16】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂タブレットセット時)における金型模式断面図である。
【図17】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(リードフレームセット時)における金型模式断面図である。
【図18】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(金型クランプ時)における金型模式断面図である。
【図19】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(モールドキャビティ内における樹脂移送のためのプランジャ押し上げ開始時)における金型模式断面図である。
【図20】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂移送完了時)における金型模式断面図である。
【図21】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(型開き時)における金型模式断面図である。
【図22】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(エジェクト動作時)における金型模式断面図である。
【図23】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の変形例に関するモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の全体フローを説明するためのモールドプロセスタイムチャートである。
【図24】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(リードフレームセット時)における金型模式断面図(順序としては図16に対応し、処理内容としては図17に対応)である。
【図25】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂タブレットセット時)における金型模式断面図(順序としては図17に対応し、処理内容としては図16に対応)である。
【図26】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する図5の単位デバイス領域5に対応するリードフレームのチップ搭載面の拡大模式平面図である。
【図27】図26のC−C’断面の模式断面図である。
【図28】図26の裏面の拡大模式平面図である。
【図29】図26から図28に対応した完成したパッケージの斜視図である。
【図30】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する金型クランプ時(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティ中での樹脂タブレットの位置を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。
【図31】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する金型クランプ中のプランジャ最上昇時点(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティの断面形状を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。
【図32】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂タブレットセット時)における金型模式断面図である。
【図33】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(リードフレームセット時)における金型模式断面図である。
【図34】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(金型クランプ時)における金型模式断面図である。
【図35】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(モールドキャビティ内における樹脂移送のためのプランジャ押し上げ開始時)における金型模式断面図である。
【図36】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂移送完了時)における金型模式断面図である。
【図37】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(型開き時)における金型模式断面図である。
【図38】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(エジェクト動作時)における金型模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0016】
1.以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)下金型および上金型が開かれた状態に於いて、加熱された前記下金型の多数のモールドキャビティ部の各々に、樹脂タブレットをセットする工程;
(b)多数の単位デバイス領域の各々に半導体チップが搭載された平面状基体を各単位デバイス領域が前記多数のモールドキャビティ部の位置にそれぞれ対応するように、開かれた状態の前記下金型および前記上金型の間にセットする工程;
(c)前記工程(a)および(b)の後、前記下金型および前記上金型を閉じてクランプする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記下金型および前記上金型がクランプされた状態に於いて、前記下金型および前記上金型の間に形成されている各モールドキャビティの少なくとも一部の厚さを減少させることにより各モールドキャビティ内に前記樹脂タブレットが溶融した封止樹脂を充填し、前記多数の単位デバイス領域の各々の前記半導体チップを封止する樹脂封止体を形成する工程;
(e)前記工程(d)の後、前記下金型および前記上金型を開く工程。
【0017】
2.前記1項の半導体装置の製造方法において、前記下金型は、前記多数のモールドキャビティと、前記多数のモールドキャビティの各々の主要部に直接連結したポット部とを有し、各モールドキャビティの最小幅は、その一部であるポット部の径よりも大きい。
【0018】
3.前記2項の半導体装置の製造方法において、前記樹脂タブレットの水平断面形状は、ほぼ円形であり、その径は、前記ポット部の前記径よりも小さい。
【0019】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、各モールドキャビティの前記厚さの減少は、前記下金型の前記多数のモールドキャビティ部の各々に設けられた前記ポット部に於いてプランジャを押し上げることによって実行される。
【0020】
5.前記4項の半導体装置の製造方法において、前記プランジャの押し上げは、前記プランジャの上端部がポット部の周辺の前記モールドキャビティ部の底面を越えて行われる。
【0021】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(d)において、各モールドキャビティの平面形状は、ほぼ矩形であり、その4コーナ部の外部には、各コーナ部に連結したフローキャビティが形成されている。
【0022】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記平面状基体は、前記半導体チップが搭載された面を下に向けた状態でセットされる。
【0023】
8.前記1から7項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、前記工程(a)よりも先に実行される。
【0024】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記平面状基体の前記半導体チップが搭載されていない面側には、実質的に前記樹脂封止体が形成されていない。
【0025】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記平面状基体は、リードフレームである。
【0026】
11.前記1から10項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(f)前記工程(e)の後、前記平面状基体をその下側に関して離型フィルムを用いることなく離型させる工程。
【0027】
12.前記1から6および8から11項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記平面状基体は、前記半導体チップが搭載された面を上に向けた状態でセットされる。
【0028】
13.前記1から7および9から12項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、前記工程(a)よりも後に実行される。
【0029】
14.前記1から8および10から13項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記平面状基体の前記半導体チップが搭載されていない面側にも、前記樹脂封止体が形成されている。
【0030】
15.前記1から10および12から14項の半導体装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(f)前記工程(e)の後、離型フィルムを用いることなく前記平面状基体を離型させる工程。
【0031】
16.前記15項の半導体装置の製造方法において、前記平面状基体は、リードフレームである。
【0032】
〔本願における記載形式、基本的用語、用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0033】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe系合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金メッキ、銅層、ニッケル・メッキ等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、銅、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0034】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。まとえば、「矩形」または「ほぼ矩形」というときは、厳密な正方形又は長方形のみでなく、それらに類似したものを含む。たとえば、四隅を面取りした又は丸みを帯びさせた変形された正方形は矩形である。正方形を例にとれば、一般的に面取り等により、理想的正方形から除外された部分の面積が、前記理想的正方形の面積の15%未満である場合は、変形された正方形は矩形である。
【0035】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0036】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体装置(半導体集積回路装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、SOIウエハ、エピタキシャルウエハ、絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0037】
6.「半導体チップ」というときは、一般的にはウエハ分割工程(ブレードダイシング、レーザダイシングその他のペレタイズ工程)後の半導体デバイス又は半導体集積回路を形成したダイ等を指す。ここでは主としてシリコン系のチップを、例にとって説明するが、GaAs系その他のデバイス・チップであってもよい。
【0038】
7.本願で主に取り扱う封止方式(「個別圧縮モールド方式」という)は、モールドキャビティと相互に直接連結したポット部、または、モールドキャビティと一体となったポット部を有するモールド金型を用いて、樹脂タブレット(封止樹脂材料)の樹脂を流動状態で、モールドキャビティの本体部分すなわち主要部(縮小後のモールドキャビティ部分)に移送して、縮小したモールドキャビティに溶融樹脂を充填するプロセスと見ることができる。従って、一種のトランスファモールド方式ということが可能かもしれないが、ゲートあるいはランナ等を介して外部から移送するわけではないので、典型的なトランスファモールド方式とは相違する。一方、MAP(Mold Array Package)方式等の一括モールド方式等で適用されている圧縮モールド方式(「一括圧縮モールド方式」という)とは、形式的には類似しているが、一括圧縮モールド方式(一般的に単に「圧縮モールド方式」と呼ばれることが多い)は、多数の単位デバイス領域を一括して封止するものであるのに対して、個別圧縮モールド方式は、個々の単位デバイス領域毎に封止する点で異なっている。
【0039】
また、本願に於いては、リードフレーム、配線基板(セラミック系配線基板、有機配線基板等の剛性配線基板、ポリイミド系配線基板等のフレキシブル配線基板等を含む)、その他の扁平な配線基体を「平面状基体」と呼ぶが、「平面状」といっても、リード、ダイパッドサポートバー(いわゆるタブ吊りリード)、ダイパッド、枠部等の相互関係を調整するための多少の凹凸、高さの相違は、平面とみなすことにする。
【0040】
また、樹脂タブレット等について「水平断面」等というときは、ポット部にセットした状態での水平断面を指すものとする。
【0041】
更に、本願に於いて、「離形フィルム」等というときは、モールドの際に、多数のキャビティ部を有する金型のキャビティ部が形成されている領域を一括して覆うように敷かれるフィルムであって、主に離型の促進を目的とするものを指し、予めリードフレーム等の一方の面に貼り付けて、一体として組み立てプロセスの多くのプロセスを進行させる、いわゆる「リードフレームテープ」等は、これに含めない。
【0042】
8.本願に於いて、「片面パッケージ」とは、リードフレーム等の平面状基体の基本的に一方の側にのみ(リードフレーム等の厚さに対応する中心部分には、樹脂封止体が形成されてもよい)、樹脂封止体が形成されるパッケージ形態である。一方、「両面パッケージ」とは、リードフレーム等の平面状基体の基本的に両側に亘って樹脂封止体が形成されるパッケージ形態である。ここで、片面パッケージの典型的な例は、QFN(Quad Flat Non−leaded Package)であり、両面パッケージの典型的な例は、QFP(Quad Flat Package)である。
【0043】
なお、平面状基体が、有機系配線基板である場合を、リードフレームを用いた「リードフレーム型パッケージ」との対比に於いて、特に「基板型パッケージ」ということとする。ここで、リードフレーム型パッケージの典型的な例は、QFN、QFP等であり、基板型パッケージの典型的な例は、BGA(Ball Grid Array)等である。
【0044】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0045】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0046】
なお、以下の実施の形態に於いては、種々の寸法等を例示するが、これらの数値は、説明をより具体的にするために示すものであり、発明および実施の形態の適用範囲を限定するものではない。
【0047】
1.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの一例(片面パッケージ)および、関連する主要製造プロセスのアウトライン等の説明(主に図1から図9)
このセクションでは、片面パッケージ、すなわち、基本的にリードフレーム等の平面状基体の一方の側(平面状基体自体の最大厚さ部分を含む)にしか樹脂封止体が形成されないパッケージ形式の一例として、QFN(Quad Flat Non−leaded Package)について具体的に説明するが、以下の例は、それに限定されるものではなく、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)等にも適用できることは言うまでもない。
【0048】
図1は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法における樹脂封止後のリードフレームの平面構造の概要を説明するためのリードフレームのチップ搭載面の模式平面図である。図2は図1のリードフレーム部分切り出し領域R1の樹脂封止前のリードフレームのチップ搭載面の平面図である。図3は図2の単位デバイス領域5の拡大平面図である。図4は図3のX−X’断面の模式断面図である。図5は図1のリードフレーム部分切り出し領域R1の樹脂封止後のリードフレームのチップ搭載面の平面図である。図6は図5のA−A’断面の模式断面図である。図7は図5の単位デバイス領域5のリードフレームのチップ搭載面の拡大模式平面図である。図8は図7のB−B’断面の模式断面図である。図9は図7および図8に対応した完成したパッケージの斜視図である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの一例(片面パッケージ)および、関連する主要製造プロセスのアウトライン等を説明する。
【0049】
先ず、組み立てに使用するリードフレーム1(平面状基体)を図1に示す。図1に示すものは、樹脂封止が完了した時点のリードフレーム1上の樹脂封止体3(デバイスパッケージ)の配列状況である。図1に示すように、通常、単一のリードフレーム1(たとえば、銅を主要な成分とし、パターニングされた銅系メタル薄膜、厚さは、たとえば、0.125ミリメートル程度)上にマトリクス状に多数(たとえば、数十個程度)の樹脂封止体3が配列されている。個々の樹脂封止体3の外面には、たとえば、プランジャによる凹部14、エジェクタピンによる凹部15等の凹凸やコーナ部の面取り部があるものの、平面的な外形は、正方形または比較的正方形に近い長方形等の矩形である。なお、立体図形としては、扁平な直方体に類似した構造となっている。
【0050】
次に、図1のリードフレーム部分切り出し領域R1の樹脂封止前の上面図(リードフレーム1のチップ搭載面1a側から見た図)を図2に示す。図2に示すように、この部分は、単位デバイス領域5の6個分に対応する。各単位デバイス領域5の間は、リードフレーム枠部6によって保持されており、各単位デバイス領域5のチップ搭載面1a(表面)には、少なくとも一つの半導体チップ2(たとえば、ほぼ正方形の2.5ミリメートル角、チップ厚さ、たとえば60マイクロメートル程度)が搭載されている。なお、積層チップでも良い。
【0051】
次に、一つの単位デバイス領域5の拡大平面図を図3に示す。図3に示すように、中央のダイパッド8上に半導体チップ2が固着されて搭載されており、半導体チップ2のデバイス面2a上の多数のボンディングパッド12と多数のリード4の間に、たとえば金線等のボンディングワイヤ11(たとえば、径20マイクロメートル程度)が接続されている。これらの多数のリード4は、その周辺部を、リードフレーム枠部6によって保持されている。ダイパッド8は、たとえば4コーナ部のダイパッドサポートバー9(タブ吊りリード)によって、周辺のリードフレーム枠部6に保持されている。
【0052】
次に、図3のX−X’断面を図4に示す。図4に示すように、リードフレーム1のチップ搭載面1a側に当たるダイパッド8上に半導体チップ2がそのデバイス面2aを上に向けて(デバイス面2aとは反対側の裏面がチップ搭載面1aと対向するように)搭載されており、デバイス面2aに設けられたボンディングパッド12とリード4間がボンディングワイヤ11によって相互接続されている。リード4の裏面側(リードフレーム1の裏面1b側)の一部は、突起状になっており、端子部10を構成している。なお、端子部10の先端面とダイパッド8の裏面(リードフレーム1の裏面1b)は、ほぼ同じ高さになっている。なお、QFNでは、フラッシュバリ防止のため、リードフレーム1の裏面1bにリードフレームテープ(離型フィルムとは異なる)を張った状態で、組立工程の処理を行う場合が多いが、ここでは煩雑さを回避するために、図示および説明を省略する。
【0053】
次に、図2に対応する樹脂封止完了時点(上下金型間から取り出した時点)のチップ搭載面1a側から見た平面図を図5に示す。図5に示すように、樹脂封止体3の表面3aには、先に説明したように、プランジャによる凹部14およびエジェクタピンによる凹部15があり、樹脂封止体3の4コーナ外部には、フローキャビティに対応する樹脂片16がある。
【0054】
次に、図5のA−A’断面を図6に示す。図6に示すように、隣接する樹脂封止体3同士は、相互に分離しており、樹脂封止体3は、半導体チップ2のデバイス面2a、ボンディングワイヤ11およびリードフレームのチップ搭載面1a側(リードフレームの厚さ部分を含む)を覆うように形成されている。また、先に説明したように、樹脂封止体3の表面3aには、プランジャによる凹部14が形成されている。リードフレーム1の裏面1b側に於いては、樹脂封止体3の裏面3bとダイパッド8の裏面、端子部10、およびリードフレーム枠部6の裏面が同一の平面を形成するように露出している。
【0055】
次に、図5の単位デバイス領域5の樹脂封止体3の表面3a側から見た拡大平面図を図7に示す。図7に示すように、この例では、平面的に見ると、プランジャによる凹部14の内部に、ダイパッド8があり、更に、ダイパッド8の内部に半導体チップ2がある構造となっている。
【0056】
次に、図7のB−B’断面を図8に示す。図8に示すように、この断面では、リードフレーム1は、リードフレーム枠部6、半導体チップ2を搭載しているダイパッド8、ダイパッド8をリードフレーム枠部6に繋ぐダイパッドサポートバー9に分かれている。リードフレーム1のチップ搭載面1a(表面)上には、半導体チップ2を封止するように樹脂封止体3が形成されており、樹脂封止体3の各コーナ部には、フローキャビティに対応する樹脂片16が形成されている。また、樹脂封止体3の表面3aには、プランジャによる凹部14が形成されている。
【0057】
次に、デバイス完成時点のデバイスパッケージ3の斜視図を図9に示す。図9に示すように、デバイスパッケージ3の側面3sからは、リード4の側端部が露出しており、デバイスパッケージ3の表面3aには、プランジャによる凹部14およびエジェクタピンによる凹部15が見える。ここで、パッケージの厚さは、たとえば、0.5ミリメートル程度である。
【0058】
図5から図8の状態から図9の状態への移行処理は、通常、たとえば回転ブレード等によるパッケージダイシングによる分離処理、または切断金型による切断処理によって実行される。なお、セクション6から8に説明するようなQFPでは、切断金型による切断処理が一般的である。
【0059】
2.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における樹脂モールドプロセスに使用するモールド装置の一例の説明(主に図10)
このセクションでは、セクション1で説明したデバイスの樹脂モールドのため装置の一例として、樹脂モールド一貫装置を例示する。
【0060】
図10は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における樹脂モールドプロセスに使用するモールド装置の全体模式上面図である。これに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における樹脂モールドプロセスに使用するモールド装置の一例を説明する。
【0061】
図10に本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における樹脂モールドプロセスに使用するモールド装置51の一例の装置模式上面図を示す。図10に示すように、モールド装置51に導入された図2の状態のリードフレーム1は、まず、リードフレームローダ52に収容され、続いて、リードフレーム整列部53に移送され、そこで整列させられる。その後、リードフレーム搬送部54からリードフレーム搬送機構60によって、たとえば、複数個(例えば4個)用意されたプレス部55の一つに移送されて、上金型61と下金型62の間にセットされる。
【0062】
これと相前後して、樹脂タブレット整列部56において、整列させられた複数の樹脂タブレット7は、樹脂タブレット搬送部57によって、先のプレス部55に搬送され、そこにセットされる。
【0063】
その後、封止が実行され、それが完了すると、リードフレーム搬送機構60により、上金型61と下金型62の間からリードフレーム取り出し部58へ、多数の樹脂封止体3が形成されたリードフレーム1が取り出されて、その後、リードフレームアンローダ59に移送される。最終的に、リードフレーム1は、モールド装置51の外部に排出される。
【0064】
3.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における要部プロセスの説明(主に図11から図14)
前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における要部プロセスである樹脂モールドプロセスは、封止樹脂のソースを、モールドキャビティの一部を構成するか、または、これと一体となって連結したポット部等に投入して、モールドキャビティの一部の厚さを減少させることによって、モールドキャビティ全体に封止樹脂を充填するものである。このセクションでは、この投入される封止樹脂のソースの一例である樹脂タブレットの形状、モールド金型の形状、金型の重要な動作状態等を説明する。
【0065】
図11は図10のモールド装置の下金型の単位デバイス領域5に対応する部分の模式上面図である。図12は図11において下金型のモールドキャビティ部の一部を構成するポット部と樹脂タブレットの関係を示す樹脂タブレットの斜視図である。図13は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における金型クランプ時(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティ中での樹脂タブレットの位置を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。図14は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における金型クランプ中のプランジャ最上昇時点(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティの断面形状を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における要部プロセスを説明する。
【0066】
図5に示すような樹脂封止体3をリードフレーム1上に形成する際に、図10に示したプレス部55において、モールド金型を使用するが、このモールド金型を構成する下金型62の上面図を図11(図5の単位デバイス領域5に対応する部分)に示す(この図は、図7と型とそれによる成形物の関係にある)。図11に示すように、下金型62のモールドキャビティ部63内には、エジェクタピン72が設けられており、モールドキャビティ部63の中央部は、ポット部69(平面形状は、たとえば円形)となっている。ポット部69の外側は、周辺底面63pとなっており、その内側の部分はポットシリンダ64(平面形状は、たとえば円筒形)となっている。このポット部69には、たとえば円柱形の樹脂タブレット7(高さは、たとえば3ミリメートル程度、範囲としては、たとえば2ミリメートルから9ミリメートル程度)が収容されるようになっている。下金型62のモールドキャビティ部63の各コーナ部には、フローゲート67を介してフローキャビティ66が連結されている。フローキャビティ66は、余剰の封止樹脂をボイド等とともに受け入れる部分であり、その先にはベント74が設けられている。なお、フローキャビティ66は、必須ではなく、代わりに、各コーナ部にベントを設けても良い。すなわち、キャビティ形状(図9に示すように樹脂封止体の形状も同じ)は、平面的に矩形(正方形又は長方形)または、ほぼ矩形(コーナ部が面取りされているものも矩形に含む)であり、その全コーナ部にフローキャビティやベント等のボイド吸収機構を設けることができるので、パッケージの充填特性を向上させることができる(なお、半導体チップやダイパッド等の一般に同一配向の矩形またはほぼ矩形である)。言い換えると、この金型には、サイドゲート方式のトランスファモールド用金型と相違して、コーナ部にゲート(樹脂注入ゲート)がないことが構造上の特徴の一つとなっている。また、トップゲート方式のトランスファモールド用金型とも相違して、上金型の中央部等にトップゲート(樹脂注入ゲート)がないことも構造上の特徴の一つとなっている。
【0067】
ここで、図11および図12に示すように、この例では、樹脂タブレット7の径W1は、ポット部69の内径W4(たとえば6ミリメートル程度)よりも小さくされており、ポット部69の内径W4は、下金型62のモールドキャビティ部63の最小幅W3(たとえば10ミリメートル程度)よりも小さくされている。また、ダイパッド8の辺の長さW5(長辺の長さ)は、樹脂タブレット7の径W1(たとえば7ミリメートル程度)よりも小さくされており、半導体チップ2の辺の長さW2(長辺の長さ、たとえば2.5ミリメートル程度)は、ダイパッド8の辺の長さW5(長辺の長さ、たとえば3.5ミリメートル程度)よりも小さくされている(いわゆる小タブのようにチップよりも面積の小さなダイパッドを使用する方式でもよい)。なお、ポット部69の内径W4よりも樹脂タブレット7の内径を小さくすることは、樹脂タブレットのセットの確実性を高めるのに有効である。また、樹脂タブレット7の径W1は、半導体チップ2の辺の長さW2やダイパッド8の辺の長さW5と同等又はそれよりも小さくすることもできる。樹脂タブレット7の径W1を半導体チップ2の辺の長さW2やダイパッド8の辺の長さW5よりも大きくすることは、充填時の溶融樹脂の流速および流路長を小さくできるメリットがある。
【0068】
樹脂タブレット7(封止樹脂材料)の形状は、基本的にどのような形状でも良い。すなわち、直方体、球、円柱、角柱、更には、タブレットとは呼べない可能性もあるが、液状、粉末状、ショット状でも良い。しかし、樹脂タブレットの主要な製法を考慮すると、錠剤のように、円柱状または円形の水平断面を有する一体の立体構造を有することが望ましい。これに対して、一括圧縮モールド方式に行われるように、大きなキャビティの矩形形状にほぼ一致する大きさと形状を有する樹脂タブレットのサイズを個別圧縮モールド方式に合うように小さくして、個別圧縮モールド方式に適用することも可能である。しかし、この方式は、封止特性等に於いてはメリットも期待できるが、樹脂タブレットの作製上のデメリットを伴う恐れがある。
【0069】
次に、図13に樹脂タブレット7をポット部69にセットして、上金型61および下金型62を閉じてクランプした際(破線の上金型61が閉じたところに対応)の金型断面(リードフレーム1等は省略)を模式的に示す。図13に示すように、上金型61の下面61bと下金型62の上面62aとの間に、下金型62のモールドキャビティ部63に対応したモールドキャビティ68が形成される。この時点では、プランジャ65が下がっているので、モールドキャビティ68の一部であるポット部69のある部分(平面的に見てポット部69と重なる部分)のある部分のモールドキャビティ68の厚さT1(初期モールドキャビティ厚さ)は、他の部分と比べて最も厚くなっている。
【0070】
次に、図14に樹脂充填完了時の金型断面(リードフレーム1等は省略)を模式的に示す。図14に示すように、この時点に於いては、プランジャ65が上昇しているので、プランジャ上端部65tは、たとえば、下金型62のモールドキャビティ部63の周辺底面63p(この例では、ポットシリンダ64の上端部)よりも若干、上にある。従って、この部分(平面的に見てポット部69と重なる部分)のモールドキャビティ68の厚さT2(樹脂充填完了時モールドキャビティ厚さ)は、モールドキャビティ68の他の主要部分の厚さよりも薄くなっている。もちろん、樹脂充填完了時モールドキャビティ厚さT2は、初期モールドキャビティ厚さT1よりも薄くなっている。
【0071】
このプランジャ65のオーバドライブ量(充填時の最高上昇時のプランジャ上端部65tとポットシリンダ64の上端部との高さの差、すなわち、図8の凹部14の深さ)は、たとえば、0.05ミリメートル程度を好適なものとして例示することができる。なお、好適な範囲としては、たとえば、0.01から0.1ミリメートル程度を例示することができる。これは、あまりに浅いと、種々の誤差により凹部(完全フラットまではパッケージ形状としては許容できる)となるべき部分が凸部となると、パッケージ形状上問題があるからである。一方、凹部14の深さが深くなりすぎると、ボンディングワイヤの露出等の問題があるからである(QFPの場合には、本来露出すべきでないダイパッドの露出等)。
【0072】
4.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローの説明(主に図15から図22)
このセクションでは、リードフレーム1を準備してからリードフレーム1を個片化することで半導体装置を取得するまでの全体フローを、セクション1から3で説明したモールドプロセスを金型等の動作とともにプロセスの流れに従って順に説明する。
【0073】
まず、図2で示した複数の単位デバイス領域5を有するリードフレーム1を準備する。
【0074】
次に、リードフレーム1の各単位デバイス領域5に設けられたダイパッド8上に半導体チップ2を搭載する。
【0075】
次に、半導体チップ2のデバイス面2aに形成された複数のボンディングパッド(電極パッド)とダイパッド8の周囲に設けられた複数のリード4とを、複数のボンディングワイヤ11を介してそれぞれ電気的に接続する。
【0076】
次に、複数の半導体チップ2が搭載されたリードフレーム1を金型内にセットし、モールド(封止工程)を行う。
【0077】
ここで、図15は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するためのモールドプロセスタイムチャートである。図16は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂タブレットセット時)における金型模式断面図である。図17は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(リードフレームセット時)における金型模式断面図である。図18は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(金型クランプ時)における金型模式断面図である。図19は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(モールドキャビティ内における樹脂移送のためのプランジャ押し上げ開始時)における金型模式断面図である。図20は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂移送完了時)における金型模式断面図である。図21は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(型開き時)における金型模式断面図である。図22は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(エジェクト動作時)における金型模式断面図である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関する基本プロセス)の全体フローを説明する。
【0078】
まず、図15の時点t0(処理準備時)において、金型(上金型61、下金型62)をあらかじめ摂氏175度程度に加熱しておき、その後も、処理中は同温度に保持しておく。そして、図16に示すように、上金型61および下金型62が開かれた状態で(間隔は、たとえば20センチメートル程度)、樹脂タブレット搬送部57(図10)が樹脂タブレット7を保持した状態で、上金型61および下金型62の間に侵入を開始する。
【0079】
次に、図15の時点t1において、プランジャ65が、後退を開始し、時点t2において、プランジャ65が、樹脂タブレット7を受け入れる位置まで後退する。ここで、図16に示すように、樹脂タブレット搬送部57(図10)により、加熱されたポット部69に、樹脂タブレット7をセットする動作を開始し、時点t3において、樹脂タブレット7のセットを完了し、時点t4において、樹脂タブレット搬送部57(図10)は上金型61および下金型62の間から外部の元の位置に戻る。
【0080】
次に、図17に示すように、図15の時点t5において、リードフレーム搬送機構60(図10)がリードフレーム1を保持して、上金型61および下金型62の間に侵入を開始する。図15の時点t6において、リードフレーム1のセットを開始し、時点t7に於いて、リードフレーム1の下金型62の上面62aへのセットを完了する。このとき、各チップ2の取り付け位置(または単位デバイス領域5)が下金型62の各モールドキャビティ部63に対応するように、リードフレーム1のチップ搭載面1a(表面)を下向きにしてセットされる。
【0081】
図15の時点t7に於いて、リードフレーム1のセットが完了すると、リードフレーム搬送機構60(図10)は退避を開始し、図15の時点t8において、上金型61および下金型62の間から外部の元の位置に戻る。
【0082】
次に、図18に示すように、図15の時点t9において、プレス機構が動作して、上金型61および下金型62を閉じる動作を開始し、時点t10において、クランプを完了する。これにより、上金型61および下金型62の間にモールドキャビティ68が形成される。クランプ圧は、たとえば、550MPa程度を好適なものとして例示することができる。
【0083】
次に、図19に示すように、図15の時点t11において、上金型61および下金型62をクランプした状態で、プランジャ65の上昇が開始される。この時点で、樹脂タブレット7はすでに溶融樹脂7mに状態にある。
【0084】
次に、図20に示すように、図15の時点t12において、樹脂の移送が完了すると注入圧力(充填圧力)は急速に上昇する(好適な充填圧力は、たとえば、12MPa程度)。この時点で、溶融樹脂7mは、モールドキャビティ68を満たし、フローキャビティ66にまで入り込み、そこで、フローキャビティに対応する樹脂片16を形成しつつある。
【0085】
次に、図21に示すように、図15の時点t13において、プランジャ65の下降が開始されると、注入圧力(充填圧力)が急速に低下するとともに、クランプの解除および上金型61および下金型62を開く動作が開始し、図15の時点t14において、型開きが完了する。
【0086】
次に、図22に示すように、図15の時点t15において、再びプランジャ65の上昇が開始され、エジェクト動作が開始する。このとき、下金型62に設けられたエジェクタピンもプランジャ65と同様に上昇する。図15の時点t16において、プランジャ65の再上昇が完了して、リードフレーム1の下金型62からの離型が完了すると、時点t17において、プランジャ65の再降下が開始され、時点t18に於いて、下金型62のモールドキャビティ部63の周辺底面63pとほぼ同じ、スタンバイ高さに戻る。これにより、モールドサイクルを一巡したことになる。
【0087】
その後、図10に於いて説明したリードフレーム搬送機構60によるリードフレーム取り出し部58へのリードフレーム1の取り出しが行われることにより、次のモールドサイクルへ入る。
【0088】
ここで、時点t2から時点t11は、タブレット予熱時間(たとえば10秒程度)であり、時点t11から時点t12は、注入動作時間(たとえば10秒程度)であり、時点t11から時点t13は、キュア時間(たとえば90秒程度)であり、時点t15型時点t18はイジェクト動作時間(たとえば15秒程度)である。また、時点t0から時点t18は、モールドサイクル時間(たとえば120秒程度)である。
【0089】
この例で示したように、リードフレームのチップ搭載面を下に向けてセットするメリットは、リードの反対側から溶融樹脂を供給する場合に懸念される供給経路の多岐化によるボイド発生を防止するためである。リードの反対側から溶融樹脂を供給すると、必然的に樹脂は、リードフレームに開いた多数の開口を介して供給されることになり、ボイド発生を助長する恐れがあるからである。一方、リードフレームのチップ搭載面を上に向けてセットするメリットは(セクション8に於いて同じ)、溶融樹脂の流れによるワイヤ流れを回避できるメリットがある。
【0090】
また、このような問題がない場合においても、リードフレームのチップ搭載面を下に向けてセットすることにより、ボンディングワイヤの自重による倒れを防止することができる。
【0091】
次に、リードフレーム1(リード4)のうち、形成された樹脂封止体3から露出する部分にメッキ膜を形成する。
【0092】
その後、各単位デバイス領域5に樹脂封止体3が形成されたリードフレームのうち、互いに隣り合う単位デバイス領域5間に位置するリードフレーム枠部6を切断することで、リードフレーム1から樹脂封止体3が形成された単位デバイス領域5(すなわち半導体装置)を取得(個片化)する。
【0093】
5.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の変形例の説明(主に図23から図25)
セクション4で説明したモールドプロセスでは、リードフレームのセットよりも、樹脂タブレットのセットの方を先行させたが、このセクションで説明したものは、セクション4で説明したモールドプロセスの初段部分(図16および図17)の変形例であり、図18以降は、プロセス的には同一であるので、同一部分の説明は繰り返さない。なお、図23も変形部分を除き、基本的に図15と同一である。
【0094】
なお、上金型にリードフレーム部分を吸着する真空吸引孔71(図24参照)等を設ける等の対応によって、この例は、このセクションで説明する片面パッケージのみでなく、後にセクション6で説明するような両面パッケージにも適用できることは言うまでもない。
【0095】
図23は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の変形例に関するモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の全体フローを説明するためのモールドプロセスタイムチャートである。図24は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(リードフレームセット時)における金型模式断面図(順序としては図16に対応し、処理内容としては図17に対応)である。図25は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂タブレットセット時)における金型模式断面図(順序としては図17に対応し、処理内容としては図16に対応)である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法におけるモールドプロセス(片面パッケージに関するリードフレーム先行プロセス)の変形例を説明する。
【0096】
まず、先と同様に、図23の時点t0(処理準備時)において、金型(上金型61、下金型62)をあらかじめ摂氏175度程度に加熱しておき、その後も、処理中は同温度に保持しておく。
【0097】
この状態に於いて、図24に示すように、図23の時点t0において、リードフレーム搬送機構60(図10)がリードフレーム1を保持して、上金型61および下金型62の間に侵入を開始する。図23の時点t1において、リードフレーム1のセットを開始し、時点t2に於いて、リードフレーム1の上金型61の下面61bへの真空吸引孔71によるセットを完了する。このとき、各チップ2の取り付け位置(または単位デバイス領域5)が下金型62の各モールドキャビティ部63に対応するように、リードフレーム1のチップ搭載面1a(表面)を下向きにしてセットされる。
【0098】
図23の時点t2に於いて、リードフレーム1のセットが完了すると、リードフレーム搬送機構60(図10)は退避を開始し、図23の時点t3において、上金型61および下金型62の間から外部の元の位置に戻る。
【0099】
次に、図25に示すように、図23の時点t4において、上金型61および下金型62が開かれた状態で、樹脂タブレット搬送部57(図10)が樹脂タブレット7を保持した状態で、上金型61および下金型62の間に侵入を開始する。
【0100】
次に、図23の時点t5において、プランジャ65が、後退を開始し、時点t6において、プランジャ65が、樹脂タブレット7を受け入れる位置まで後退する。ここで、図25に示すように、樹脂タブレット搬送部57(図10)により、加熱されたポット部69に、樹脂タブレット7をセットする動作を開始し、時点t7において、樹脂タブレット7のセットを完了し、時点t8において、樹脂タブレット搬送部57(図10)は上金型61および下金型62の間から外部の元の位置に戻る。
【0101】
これ以降は、セクション4における図18以降と基本的に同じである。なお、真空吸引孔71による吸着は、通常、図18の状態に至ってオフされる。
【0102】
ここで、時点t6から時点t11は、タブレット予熱時間(たとえば10秒程度)であり、時点t11から時点t12は、注入動作時間(たとえば10秒程度)であり、時点t11から時点t13は、キュア時間(たとえば90秒程度)であり、時点t15型時点t18はイジェクト動作時間(たとえば15秒程度)である。また、時点t0から時点t18は、モールドサイクル時間(たとえば125秒程度)である
このセクションで、説明したように、リードフレームのセットを先行して、後に、樹脂タブレットのセットをすることは、後の注入時間の選択の自由度が増すメリットがある。たとえば、樹脂タブレットのセットを先行した場合に起こるような、リードフレームのセットの遅れによる不所望な樹脂の硬化の進行等を回避することができる。
【0103】
6.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)、関連する主要製造プロセスのアウトライン等の説明(主に図26から図29)
このセクションでは、セクション1から4のモールドプロセスの対象デバイスの変形例として、対象デバイスが両面パッケージ(具体的にはQFP)の場合について説明する。
【0104】
図26は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する図5の単位デバイス領域5に対応するリードフレームのチップ搭載面の拡大模式平面図である。図27は図26のC−C’断面の模式断面図である。図28は図26の裏面の拡大模式平面図である。図29は図26から図28に対応した完成したパッケージの斜視図である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)、関連する主要製造プロセスのアウトライン等を説明する。
【0105】
次に、図5の単位デバイス領域5の樹脂封止体3の表面3a側から見た拡大平面図を図26に示す。図26に示すように、この例では、平面的に見ると、図7と異なり、外観的にはエジェクタピンによる凹部15のみが見えており、プランジャによる凹部14は、反対側にあって見えない状態であり(破線で示す)、内部にダイパッド8がある。更に、ダイパッド8の内部に半導体チップ2がある構造となっている。
【0106】
次に、図26のC−C’断面を図27に示す。図27に示すように、この断面では、リードフレーム1は、リードフレーム枠部6、半導体チップ2を搭載しているダイパッド8、ダイパッド8をリードフレーム枠部6に繋ぐダイパッドサポートバー9に分かれている。リードフレーム1のチップ搭載面1a(表面)上およびその反対の面1b(リードフレームの裏面)には、半導体チップ2を封止するように樹脂封止体3が形成されており、樹脂封止体3の各コーナ部には、フローキャビティに対応する樹脂片16が形成されている。また、図8と異なり、図28にも示すように、樹脂封止体3の裏面3bには、プランジャによる凹部14が形成されている(図8では、表面3a側である)。
【0107】
次に、デバイス完成時点のデバイスパッケージ3の斜視図を図29に示す。図29に示すように、デバイスパッケージ3の側面3sからは、リード4が突出しており、デバイスパッケージ3の表面3aには、エジェクタピンによる凹部15が見える。
【0108】
7.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する要部プロセスの説明(主に図30および図31)
このセクションでは、両面パッケージの場合に於いて、セクション3に対応するモールド金型の特徴と主要なその働きを説明する。モールド金型の構造は、図13および14の例では、上金型の底面はほぼ平坦であったが、この例では、キャビティ等に対応して凹凸を有している点等が異なっている。なお、図11(この例では、上下の金型がほぼこの構造を呈している)および図12については、構造的に本質的相違はないので、説明は繰り返さない。
【0109】
図30は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する金型クランプ時(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティ中での樹脂タブレットの位置を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。図31は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する金型クランプ中のプランジャ最上昇時点(樹脂モールドプロセス)のモールドキャビティの断面形状を説明するための単位デバイス領域5に対応するモールド金型(上金型および下金型)の模式断面図である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関する要部プロセスを説明する。
【0110】
図30に樹脂タブレット7をポット部69にセットして、上金型61および下金型62を閉じてクランプした際(破線の上金型61が閉じたところに対応)の金型断面(リードフレーム1等は省略)を模式的に示す。図30に示すように、上金型61の下面61bと下金型62の上面62aとの間に、上金型61のモールドキャビティ部73および下金型62のモールドキャビティ部63に対応したモールドキャビティ68が形成される。この時点では、プランジャ65が下がっているので、モールドキャビティ68の一部であるポット部69のある部分のある部分のモールドキャビティ68の厚さT1(初期モールドキャビティ厚さ)は、他の部分と比べて最も厚くなっている。この例の場合、上金型61にエジェクタピン72が設けられている。
【0111】
次に、図31に樹脂充填完了時の金型断面(リードフレーム1等は省略)を模式的に示す。図31に示すように、この時点に於いては、プランジャ65が上昇しているので、プランジャ上端部65tは、たとえば、下金型62のモールドキャビティ部63の周辺底面63p(この例では、ポットシリンダ64の上端部)よりも若干、上にある。従って、この部分のモールドキャビティ68の厚さT2(樹脂充填完了時モールドキャビティ厚さ)は、モールドキャビティ68の他の主要部分の厚さよりも薄くなっている。もちろん、樹脂充填完了時モールドキャビティ厚さT2は、初期モールドキャビティ厚さT1よりも薄くなっている。
【0112】
8.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセスの全体フローの説明(主に図32から図38)
タイムチャートは、図15と同じであり、以下に示す各ステップにおける各断面図、すなわち図26から図29は、それぞれ図32から図38に対応している。
【0113】
なお、この例では、リードフレーム等のチップ搭載面を上向きにして、モールド金型にセットする例を具体的に説明するが、以下の実施の形態は、それに限定されるものではなく、チップ搭載面を下向きにして、モールド金型にセットする場合にも同様に適用できることは言うまでもない。
【0114】
図32は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂タブレットセット時)における金型模式断面図である。図33は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(リードフレームセット時)における金型模式断面図である。図34は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(金型クランプ時)における金型模式断面図である。図35は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(モールドキャビティ内における樹脂移送のためのプランジャ押し上げ開始時)における金型模式断面図である。図36は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(樹脂移送完了時)における金型模式断面図である。図37は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(型開き時)における金型模式断面図である。図38は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセス(両面パッケージプロセス)の全体フローを説明するための単位デバイス領域二つ分に相当する図7のB−B’断面に対応する各モールドプロセスステップ(エジェクト動作時)における金型模式断面図である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における対象デバイスの変形例(両面パッケージ)に関するモールドプロセスの全体フローを説明する。
【0115】
セクション4と同様に、まず、図15の時点t0(処理準備時)において、金型(上金型61、下金型62)をあらかじめ摂氏175度程度に加熱しておき、その後も、処理中は同温度に保持しておく。そして、図32に示すように、上金型61および下金型62が開かれた状態で、樹脂タブレット搬送部57(図10)が樹脂タブレット7を保持した状態で、上金型61および下金型62の間に侵入を開始する。
【0116】
次に、図15の時点t1において、プランジャ65が、後退を開始し、時点t2において、プランジャ65が、樹脂タブレット7を受け入れる位置まで後退する。ここで、図32に示すように、樹脂タブレット搬送部57(図10)により、加熱されたポット部69に、樹脂タブレット7をセットする動作を開始し、時点t3において、樹脂タブレット7のセットを完了し、時点t4において、樹脂タブレット搬送部57(図10)は上金型61および下金型62の間から外部の元の位置に戻る。
【0117】
次に、図33に示すように、図15の時点t5において、リードフレーム搬送機構60(図10)がリードフレーム1を保持して、上金型61および下金型62の間に侵入を開始する。図15の時点t6において、リードフレーム1のセットを開始し、時点t7に於いて、リードフレーム1の下金型62の上面62aへのセットを完了する。このとき、各チップ2の取り付け位置(または単位デバイス領域5)が上金型61のモールドキャビティ部73および下金型62の各モールドキャビティ部63に対応するように、リードフレーム1のチップ搭載面1a(表面)をたとえば上向きにしてセットされる。
【0118】
図15の時点t7に於いて、リードフレーム1のセットが完了すると、リードフレーム搬送機構60(図10)は退避を開始し、図15の時点t8において、上金型61および下金型62の間から外部の元の位置に戻る。
【0119】
次に、図34に示すように、図15の時点t9において、プレス機構が動作して、上金型61および下金型62を閉じる動作を開始し、時点t10において、クランプを完了する。これにより、上金型61および下金型62の間にモールドキャビティ68が形成される。このとき、エジェクタピン72は、突出していない状態(後退位置)にある。
【0120】
次に、図35に示すように、図15の時点t11において、上金型61および下金型62をクランプした状態で、プランジャ65の上昇が開始される。この時点で、樹脂タブレット7はすでに溶融樹脂7mに状態にある。
【0121】
次に、図36に示すように、図15の時点t12において、樹脂の移送が完了すると注入圧力(充填圧力)は急速に上昇する。この時点で、溶融樹脂7mは、モールドキャビティ68を満たし、フローキャビティ66にまで入り込み、そこで、フローキャビティに対応する樹脂片16を形成しつつある。
【0122】
次に、図37に示すように、図15の時点t13において、プランジャ65の下降が開始されると、注入圧力(充填圧力)が急速に低下するとともに、クランプの解除および上金型61および下金型62を開く動作が開始し(これと連動して、上金型61のエジェクタピン72が突出する)、図15の時点t14において、型開きが完了する。
【0123】
次に、図38に示すように、図15の時点t15において、再びプランジャ65の上昇が開始され、エジェクト動作が開始する。このとき、下金型62にエジェクタピンがある場合は、エジェクタピンもプランジャ65と同様に上昇する。図15の時点t16において、プランジャ65の再上昇が完了して、リードフレーム1の下金型62からの離型が完了すると、時点t17において、プランジャ65の再降下が開始され、時点t18に於いて、下金型62のモールドキャビティ部63の周辺底面63pとほぼ同じ、スタンバイ高さに戻る。これにより、モールドサイクルを一巡したことになる。
【0124】
ここで説明したように、リードフレーム1のチップ搭載面1a(表面)を上向きにしてセットするメリットは、両面パッケージでは、個々の面(表面又は裏面)における樹脂厚さは片面パッケージに比べて、より薄くなっているので、チップ搭載面を下にすると、プランジャのオーバドライブの結果生成する凹部14において、ワイヤ等が露出する恐れが高くなることによる。
【0125】
9.本願の全般に関する考察並びに各実施の形態に関する補足的説明
典型的なトランスファモールド方式は、金型内のモールドキャビティから離れた位置に樹脂タブレットをセットして、樹脂タブレットが熱により溶融した溶融樹脂をカル、ランナおよびゲートを介してモールドキャビティ内に移送して充填する有力な樹脂モールド方法である。しかしながら、一つのリードフレームに配置される単位デバイス領域の数は、年々増加する傾向にあり、マトリクス状に配置された列および行の数は増える一方であり、移送流路長は従来の2から3倍に急増する傾向にある。
【0126】
このような問題に対して、前記各実施の形態(変形例を含む)では、個別圧縮モールド方式に於いて、個々のキャビティに対応する部分の各々に、樹脂タブレット(封止樹脂材料)を供給することにより、ゲート等を介することなく、直接、リードフレーム(平面状基体)の被封止部分(単位デバイス領域)に、溶融樹脂を供給することにより、樹脂材料の無駄等を省くものである。
【0127】
また、前記各実施の形態(変形例を含む)で説明した個別圧縮モールド方式に於いては、どのキャビティに於いても樹脂条件は、ほぼ同一であるので、トランスファモールドの場合のように、特に高速で注入する必要がないので、粘度を大幅に下げる必要もなく、ワイヤ流れの問題もそれほど厳しいものではない。すなわち、比較的低速の充填(移送)が可能であれる。
【0128】
更に、パッケージの中央部から外部に向けて放射状に樹脂面が広がるので、ボイドの巻き込みも比較的少ないと考えられる。
【0129】
また、典型的なトランスファモールド方式において、マトリクス状に配置された単位デバイス領域を有するリードフレームを封止する場合、必然的に、単位デバイス領域がどの位置にあるかによって、ポット部からの樹脂経路が異なることから全キャビティの樹脂充填条件をそろえることが困難となる。一方、前記各実施の形態(変形例を含む)で説明した個別圧縮モールド方式に於いては、ポット部自体が各キャビティ内にあるので、全てのキャビティの樹脂充填条件が基本的に同一とすることが容易に達成できる。
【0130】
また、一括圧縮モールド方式における巨大な樹脂タブレットにありがちな樹脂の端部や中央部といった位置による非均等性も排除することが可能となる。
【0131】
なお、一括圧縮モールド方式に図12に示したような円形の樹脂タブレットを使用することも可能であるが、一方に、樹脂の充填特性が不均一になる恐れが高い。
【0132】
10.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0133】
例えば、前記実施の形態では、主に単位デバイス領域ひとつについて、単一チップを搭載したデバイスを例に取り具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、一つの単位デバイス領域に単層で又は積層して、複数のチップを搭載したものにも適用できることは言うまでもない。
【0134】
また、前記実施の形態では、主に平面状基体としてリードフレームを用いたデバイスおよびデバイス製法を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、平面状基体として有機配線基板(より広く絶縁性配線基板)等を用いたものにも適用できることは言うまでもない。
【0135】
更に、前記実施の形態では、主に下金型側にポット部を設けた金型を説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、上金型にポット部を設けても良いことはいうまでもない。
【0136】
また、前記実施の形態では、下金型の一部がポット部に対応している例を示したが、本発明はそれに限定されるものではなく、下金型のほぼ全部がポット部に対応していてもよいことはいうまでもない。
【0137】
また、前記実施の形態では、下金型の一部に設けられたポット部に樹脂タブレットをセットする例を主に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ポット部外の下金型のモールドキャビティ部に樹脂タブレットをセットしてもよい。更には、下金型の一部に設けられたポット部に樹脂タブレットをセットする場合に於いても、当該部分をはみ出して、樹脂タブレットをセットしてもよい。
【0138】
更に、前記実施の形態では、片面モールドの例として、下金型にのみキャビティ対応凹部がある金型を例示したが、本発明はそれに限定されるものではなく、上金型にのみキャビティ対応凹部がある金型を用いてもよいことはいうまでもない。
【0139】
また、前記実施の形態では、主にダイパッドよりも半導体チップが小さい例を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ダイパッドの方が、半導体チップよりもサイズが小さくても良いことはいうまでもない。
【0140】
また、前記実施の形態では、主にワイヤボンディングによる外部接続方式のデバイスについて、具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その他の接続方式(ワイヤボンディングとの混合方式を含む)のものでも良いことはいうまでもない。
また、前記実施の形態では、プランジャだけでなく、エジェクタピンも設けられた金型を使用して樹脂封止体を形成する例を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、エジェクタピンが設けられていない金型を使用しても良い。なお、このような金型を使用する場合は、プランジャのみを使用してリードフレームの離型を行う。
【0141】
また、前記実施の形態では、主に離型フィルムやリードフレームテープを使用していない例を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、離型フィルムやリードフレームテープを使用した例にも適用できることはいうまでもない。
【0142】
なお、前記実施の形態では、封止樹脂材料として、樹脂タブレットを用いる例を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ショット状封止樹脂材料、粉末状樹脂材料、液状樹脂材料等を用いてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0143】
1 リードフレーム(平面状基体)
1a リードフレームのチップ搭載面(表面)
1b リードフレームの裏面
2 半導体チップ
2a チップのデバイス面
3 樹脂封止体またはデバイスパッケージ
3a 樹脂封止体の表面
3b 樹脂封止体の裏面
3s 樹脂封止体の側面
4 リード
5 単位デバイス領域
6 リードフレーム枠部
7 樹脂タブレット
7m 溶融樹脂
8 ダイパッド
9 ダイパッドサポートバー
10 端子部
11 ボンディングワイヤ
12 ボンディングパッド
14 プランジャによる凹部
15 エジェクタピンによる凹部
16 フローキャビティに対応する樹脂片
51 樹脂モールド装置
52 リードフレームローダ
53 リードフレーム整列部
54 リードフレーム搬入部
55 プレス部
56 樹脂タブレット整列部
57 樹脂タブレット搬送部
58 リードフレーム取り出し部
59 リードフレームアンローダ
60 リードフレーム搬送機構
61 上金型
61b 上金型の下面
61c 閉じた上金型
62 下金型
62a 下金型の上面
63 下金型のモールドキャビティ部
63p 下金型のモールドキャビティ部の周辺底面
64 ポットシリンダ
65 プランジャ
65t プランジャ上端部
66 フローキャビティ
67 フローゲート
68 モールドキャビティ
69 ポット部
71 真空吸引孔
72 エジェクタピン
73 上金型のモールドキャビティ部
74 ベント
R1 リードフレーム部分切り出し領域
T1 初期モールドキャビティ厚さ
T2 樹脂充填完了時モールドキャビティ厚さ
W1 樹脂タブレットの直径
W2 半導体チップの辺の長さ(長辺の長さ)
W3 下金型のモールドキャビティ部の最小幅
W4 ポット部の内径
W5 ダイパッドの辺の長さ(長辺の長さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)下金型および上金型が開かれた状態に於いて、加熱された前記下金型の多数のモールドキャビティ部の各々に、樹脂タブレットをセットする工程;
(b)多数の単位デバイス領域の各々に半導体チップが搭載された平面状基体を各単位デバイス領域が前記多数のモールドキャビティ部の位置にそれぞれ対応するように、開かれた状態の前記下金型および前記上金型の間にセットする工程;
(c)前記工程(a)および(b)の後、前記下金型および前記上金型を閉じてクランプする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記下金型および前記上金型がクランプされた状態に於いて、前記下金型および前記上金型の間に形成されている各モールドキャビティの少なくとも一部の厚さを減少させることにより各モールドキャビティ内に前記樹脂タブレットが溶融した封止樹脂を充填し、前記多数の単位デバイス領域の各々の前記半導体チップを封止する樹脂封止体を形成する工程;
(e)前記工程(d)の後、前記下金型および前記上金型を開く工程。
【請求項2】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記下金型は、前記多数のモールドキャビティと、前記多数のモールドキャビティの各々の主要部に直接連結したポット部とを有し、各モールドキャビティの最小幅は、前記ポット部の径よりも大きい。
【請求項3】
前記2項の半導体装置の製造方法において、前記樹脂タブレットの水平断面形状は、ほぼ円形であり、その径は、前記ポット部の前記径よりも小さい。
【請求項4】
前記3項の半導体装置の製造方法において、各モールドキャビティの前記厚さの減少は、前記下金型の前記多数のモールドキャビティ部の各々に設けられた前記ポット部に於いてプランジャを押し上げることによって実行される。
【請求項5】
前記4項の半導体装置の製造方法において、前記プランジャの押し上げは、前記プランジャの上端部がポット部の周辺の前記モールドキャビティ部の底面を越えて行われる。
【請求項6】
前記5項の半導体装置の製造方法において、前記工程(d)において、各モールドキャビティの平面形状は、ほぼ矩形であり、その4コーナ部の外部には、各コーナ部に連結したフローキャビティが形成されている。
【請求項7】
前記6項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記平面状基体は、前記半導体チップが搭載された面を下に向けた状態でセットされる。
【請求項8】
前記7項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、前記工程(a)よりも先に実行される。
【請求項9】
前記8項の半導体装置の製造方法において、前記平面状基体の前記半導体チップが搭載されていない面側には、実質的に前記樹脂封止体が形成されていない。
【請求項10】
前記9項の半導体装置の製造方法において、前記平面状基体は、リードフレームである。
【請求項11】
前記10項の半導体装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(f)前記工程(e)の後、前記平面状基体をその下側に関して離型フィルムを用いることなく離型させる工程。
【請求項12】
前記6項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記平面状基体は、前記半導体チップが搭載された面を上に向けた状態でセットされる。
【請求項13】
前記12項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、前記工程(a)よりも後に実行される。
【請求項14】
前記13項の半導体装置の製造方法において、前記平面状基体の前記半導体チップが搭載されていない面側にも、前記樹脂封止体が形成されている。
【請求項15】
前記14項の半導体装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(f)前記工程(e)の後、離型フィルムを用いることなく前記平面状基体を離型させる工程。
【請求項16】
前記15項の半導体装置の製造方法において、前記平面状基体は、リードフレームである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−238740(P2012−238740A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107127(P2011−107127)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】