説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 配線間の絶縁膜を可能な限り除去して十分に低誘電率化を図り、エアギャップ形成時に配線にダメージを与えない構造を設けることで信頼性を向上させた半導体装置を提供する。
【解決手段】 複数の配線を内部に形成した絶縁膜6の上下層に当該絶縁膜6よりウェットエッチング耐性が高い絶縁膜5,9を形成してなる配線層部と、絶縁膜6よりウェットエッチング耐性が高い材料からなり、配線を被覆するようにその周囲に形成された絶縁膜7と、上下層の絶縁膜5,9及び絶縁膜7と配線が内部に形成された絶縁膜4とのエッチング耐性の違いに基づいて、上下層の絶縁膜5,9及び絶縁膜7で囲まれた配線間の絶縁膜4を選択的にエッチング除去してなるエアギャップ部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特にダマシン配線を有する半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の速度を遅延させる要因のうち、配線による遅延がクローズアップされている。これまで、半導体装置は微細化によって実装面積の縮小と速度の向上を果たしてきたが、微細化の進行は配線遅延による影響を増大する要因にもなっている。つまり、配線遅延は配線抵抗Rと配線間容量Cの積に比例することが知られているが、配線の微細化によりその断面積が小さくなると配線抵抗が上昇し、これに伴い配線遅延も増大してしまう。
【0003】
このため、配線材料として、アルミニウムAlと比較して比抵抗率の低い銅Cuが導入され始めている。また、配線間容量の増加を防ぐ試みとして低誘電率(low−k)な層間材料への変更も進められている。
【0004】
現在、low−k材料についてさらなる低誘電率化が進められているが、比誘電率の下限としては真空又は空気の約1である。そこで、層間の材料を除去して真空や空気の層(中空層)を形成することで、低誘電率化を図る試みがなされている。このような配線間に設けた中空を空中配線(エアギャップ)と呼んでいる。
【0005】
層間絶縁膜の低誘電率化の観点から空中配線を設けた半導体装置及びその製造方法に関する従来技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されるものがある。これら特許文献1,2に代表される従来の技術では、予め形成した配線層に対してレジストマスクにより配線間の絶縁膜をドライエッチングしてエアギャップとなる溝を形成するものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002―76116号公報
【特許文献2】特開平11―126820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、エアギャップの形成に高精度のエッチング制御が可能なドライエッチングを一般的に使用するため、レジストマスクとの関係上エアギャップとなるエッチング溝の周囲に絶縁膜が残ってしまう。このため、所望の低誘電率化を実現できるエアギャップを形成できない場合があるという課題があった。
【0008】
また、エアギャップを大きくするためにレジストマスクの開口部を大きくすると、エアギャップの上層に絶縁膜層を形成するにあたり、カバレッジが悪いCVD法を用いてもエアギャップ内に絶縁膜が入ってしまう。このようなギャップ内への絶縁膜の堆積も、所望の低誘電率化を実現できるエアギャップを形成できない要因となる。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、配線間の絶縁膜を可能な限り除去して十分に低誘電率化を図り、エアギャップ形成時に配線にダメージを与えない構造を設けることで信頼性を向上させた半導体装置及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る半導体装置は、複数の配線を内部に形成した絶縁膜の上下層に当該絶縁膜よりエッチング耐性が高い絶縁膜を形成してなる配線層部と、配線が内部に形成された絶縁膜よりエッチング耐性が高い材料からなり、配線を被覆するようにその周囲に形成された保護膜と、上下層の絶縁膜及び保護膜と配線が内部に形成された絶縁膜とのエッチング耐性の違いに基づいて、上下層の絶縁膜及び保護膜で囲まれた配線間の絶縁膜を選択的にエッチング除去してなるエアギャップ部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、複数の配線を内部に形成した絶縁膜の上下層に当該絶縁膜よりエッチング耐性が高い絶縁膜を形成してなる配線層部と、配線が内部に形成された絶縁膜よりエッチング耐性が高い材料からなり、配線を被覆するようにその周囲に形成された保護膜と、上下層の絶縁膜及び保護膜と配線が内部に形成された絶縁膜とのエッチング耐性の違いに基づいて、上下層の絶縁膜及び保護膜で囲まれた配線間の絶縁膜を選択的にエッチング除去してなるエアギャップ部とを備えるので、エッチング耐性の違いに基づいて配線間の絶縁膜を可能な限り除去することができることから、十分な低誘電率化による配線遅延の抑制を図ることができ、さらにエアギャップ部の形成時に保護膜によって配線がダメージを受けることがないので信頼性を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、この図に沿って説明する。先ず、図1(a)に示す工程の前処理として、半導体素子を形成した半導体基板上に一般的なダマシン法により第1の配線層1を形成する。ダマシン法とは、絶縁膜層に設けた配線溝に配線材料を埋め込むことで配線層を形成する技術である。図示の例では、第1の配線層1に2つの配線2を形成した場合を示している。この第1の配線層1及び後述する第2の配線層8に形成される配線は、下地の半導体基板上に形成された半導体素子と電気的な接続を有し、その信号伝達の媒体となる。
【0013】
続いて、第1の配線層1上にビアエッチングストッパーや配線のバリアとなる第1の絶縁膜3を形成する。この第1の絶縁膜3は、SiN、SiON、SiCN、SiCOなどの材料を個々に又は組み合わせて形成することができる。次に、第1の絶縁膜3上に第2の絶縁膜4を形成する。この第2の絶縁膜4は、シリコン酸化膜、SiOF、SiOC、有機膜などを個々に又は組み合わせて形成する。
【0014】
このあと、エアギャップのエッチングの際、トレンチエッチングストッパーとなる第3の絶縁膜5を第2の絶縁膜4上に形成する。この第3の絶縁膜5としては、第1の絶縁膜3と同材料で形成するものが考えられる。
【0015】
さらに、第4の絶縁膜6を第3の絶縁膜5上に形成する。この第4の絶縁膜6は、例えば第2の絶縁膜4と同材料で構成する。但し、後述するウェットエッチング法によるエアギャップ形成時に第4の絶縁膜6のみが選択的にエッチングされるように、第3の絶縁膜5については、第4の絶縁膜6とのエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)でなければならない。
【0016】
上述の処理が終了すると、ビア(接続用ビア)及び配線の形成用溝をダマシン法を用いて形成する。ここでは、ビアを先に形成するビアファースト法を例に挙げて説明する。先ず、本発明の技術分野において一般的に用いられる写真製版プロセスによりレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして第2の絶縁膜4、第3の絶縁膜5及び第4の絶縁膜6を加工する。ここでは、第1の絶縁膜3をビアエッチングストッパーとして、ドライエッチング法により、図1(a)の第2の絶縁膜4及び第3の絶縁膜5に示すようなビアとなる溝を形成する。この加工後、レジストパターンをアッシング法や薬液によるウェット法で除去する。
【0017】
続いて、後述するトレンチの加工の際に、第1の絶縁膜3がエッチングされないようにレジストを塗布してエッチバックすることでレジストプラグを形成する。このあと、写真製版プロセスによりレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして第4の絶縁膜6を加工して第2の配線層8の配線のための溝を形成する。この加工方法としては、本発明の技術分野において一般的に用いられるドライエッチング法を用いる。この加工後、レジストパターンをアッシング法や薬液によるウェット法で除去する。
【0018】
これにより、図1(a)に示すような溝が第2の配線層8に形成される。以上が図1(a)に示す工程の前処理である。なお、ビア及び配線自体の形成方法については、本発明で特に言及するものはなく、既存の技術を用いてよい。
【0019】
上述したような前処理が完了すると、図1(a)に示すように、ビア及び配線の溝の側壁面を含む第2の配線層8の上表面に第5の絶縁膜7を形成する。このとき、ビア及び配線の溝を絶縁膜7で埋めきらないように膜厚を調整する。
【0020】
例えば、130nmノードで考えると、ビア径が200nm程度、配線幅が200nm程度であるので、50〜100nm程度の膜厚であれば絶縁膜7によってビア及び配線の溝が埋まることはない。また、第5の絶縁膜7としては、シリコン酸化膜、SiOF、SiOC、有機膜などを個々に又は組み合わせて形成することができる。なお、第5の絶縁膜7は、第4の絶縁膜6とウェットエッチング法におけるエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)でなければならない。
【0021】
また、第5の絶縁膜7は、ビア及び配線の形成用溝の側壁面にも十分な膜厚が必要なため、例えばCVD法を用いる場合、成膜レートを低くしたり、成膜温度を上げて反応速度を上げる等してコンフォーマルに膜を形成する必要がある。
【0022】
次に、図1(b)に示すように、第2の配線層8における配線の底に形成された第5の絶縁膜7、及びビア底に形成された第5の絶縁膜7及び第1の絶縁膜3をエッチングして除去する。このとき、ビア又は配線の側壁面に形成した第5の絶縁膜7が除去されないように、異方性の強いプロセスを用いる。例えば、反応異方性エッチング(Reactive Ion Etching)などが考えられる。また、配線底に形成した第3の絶縁膜5は、完全に除去せず、エッチングプロセスの調整により図1(b)中に記号Aで示すようにその膜厚が約50nm程度残るようにする。
【0023】
このあと、上述したダマシン法のプロセスに従って、ビア及び配線の形成用溝にメタル材料を埋め込む。ここでは、低抵抗の配線を作成する目的で本発明の技術分野で良く用いられている銅Cuを例に挙げて説明する。
【0024】
先ず、拡散バリアとなるメタル層(例えば、Ta、TaN)及びメッキ法でのシードとなるシード層をスパッタ法により形成する。次に、メッキ法により配線及びビアに銅Cuを埋め込む。銅Cuの埋め込みが完了すると、化学機械研磨(CMP)法により余分なCu及びバリアメタルを除去する。これにより、図1(c)に示すように、ビアを介して第1の配線層1の配線2と第2の配線層8の配線が接続した配線構成が形成される。
【0025】
続いて、図1(c)に示すように、第2の配線層8の配線のバリアとなる第6の絶縁膜9を第2の配線層8上に形成する。第6の絶縁膜9の材料としては、SiN、SiON、SiCN、SiCOなどを個々に又はこれらを組み合わせて用いる例が考えられる。但し、第6の絶縁膜9は、第5の絶縁膜7と同様に、ウェットエッチング法における第4の絶縁膜6とのエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)でなければならない。
【0026】
これにより、第2の配線層8において、第4の絶縁膜6よりウェットエッチングの選択比が高くエッチング耐性が高い第5の絶縁膜7を側壁に設けた複数の配線が内部に形成された第4の絶縁膜6の上下層に、第4の絶縁膜6よりウェットエッチングの選択比が高くエッチング耐性が高い第3の絶縁膜5及び第6の絶縁膜9を形成してなる配線層部が構成される。
【0027】
次に、第2の配線層8の配線間にエアギャップとなる溝を形成するため、レジストパターン10を形成する。このとき、レジスト開口部を第1の配線層1の配線−配線間になるように調整する。このあと、図1(d)に示すように、レジストパターン10をマスクに第4の絶縁膜6が露出するまで第6の絶縁膜9を加工する。
【0028】
ここで、第4の絶縁膜6以下の膜については加工しないため、レジストパターン10については、その膜厚を薄く構成することができる。このようにレジスト膜厚を薄く構成することができればその解像限界があがり、より細いレジストパターンを形成できる。これにより、半導体基板上の狭ピッチな配線領域においても、レジストパターンに開口を設けてエアギャップを形成することができる。
【0029】
上述までのプロセスが完了すると、従来と異なりウェットエッチングのような等方性エッチングにて第4の絶縁膜6を除去する。具体的には、上述までのプロセスで作成した半導体基板をウェットエッチングのエッチング液に浸すことで、レジストパターン10の開口からエッチング液が入り込み、第4の絶縁膜6がエッチングされる。
【0030】
このとき、第3の絶縁膜5、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9は、第4の絶縁膜6に対して十分なエッチング選択比をとってあるため、第3の絶縁膜5、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9が、ギャップ形成におけるエッチングストッパー及び配線のカバーとなり第4の絶縁膜6のみが選択的にエッチングされる。
【0031】
特に、第2の配線層8における配線の周囲に第3の絶縁膜5及び第5の絶縁膜7を設けたことにより、上記配線がエッチング液に晒されることがなくダメージを受けることがない。従って、ウェットエッチングによるエアギャップ形成工程において配線歩留まりや配線の信頼性に影響を与えることがない。
【0032】
エアギャップとなる中空構造を形成するエッチングが終了すると、アッシング法などによりレジストパターン10を除去する。これにより、図1(e)に示すような中空構造を有した半導体基板が形成される。
【0033】
続いて、第6の絶縁膜9上に第7の絶縁膜11を形成する。この第7の絶縁膜11の形成方法は、既存の絶縁膜の形成技術でよいが、上述のようにして形成した中空構造内に絶縁膜が埋め込まれないようなプロセスを用いる必要がある。例えば、カバレッジの悪いコンベンショナルCVD法によって第7の絶縁膜11を成膜することが考えられる。このようにして、図1(f)のようなエアギャップ部12が形成された半導体装置を得ることができる。
【0034】
つまり、上述した第2の配線層8の配線層部において、第3の絶縁膜5、第6の絶縁膜9及び第5の絶縁膜7と第4の絶縁膜6とのエッチング耐性の違いに基づいて、第3の絶縁膜5、第6の絶縁膜9及び第5の絶縁膜7で囲まれた第4の絶縁膜6を選択的にエッチング除去することにより、配線間にエアギャップ部12が形成される。
【0035】
なお、本発明には、図1(f)に示すようなエアギャップ部12を配線間に有した半導体装置も含まれる。つまり、本発明の半導体装置は、エアギャップ部12を隣接して形成する配線の底や側壁面にウェットエッチングにおけるエッチングストッパー及び配線等のカバーの役割を持つ第3の絶縁膜5及び第5の絶縁膜7のような保護膜を有することを特徴としている。これにより、従来と比較してより低誘電率化が期待できる上、エアギャップ部12の形成時に配線にダメージを受けることがなく信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0036】
ここで、第3の絶縁膜5、第4の絶縁膜6、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9の組み合わせについて、その構成例を挙げて説明する。先ず、第5の絶縁膜7は、配線の側壁面に設けるために配線間容量に影響を与える。そこで、できるだけ比誘電率の低い膜で形成することが望ましい。例えば、いわゆるlow−k材料の一つであるSiOCが考えられる。また、成膜方法としては、プラズマCVD法を用いれば、ある程度のコンフォーマルな成膜が可能である。
【0037】
前述のように、第5の絶縁膜7としてSiOCを用いた場合、第4の絶縁膜6にはウェットエッチングでのエッチングレート差が大きい材料(SiOCと比較して十分に速いレートでエッチングされる材料)を使用する必要がある。ここで、ダマシン配線によく使用されるTEOS酸化膜は、エッチング液としてHFを用いた場合、SiOCの約70倍程度のエッチングレートを有する。これは、例えばTEOS酸化膜を1μm程度エッチングする間にSiOCは15nm程度しかエッチングされないことになる。
【0038】
つまり、配線の側壁にSiOCからなる第5の絶縁膜7を50nm程度形成しておけば、この配線間に2μm程度の分離としてTEOS酸化膜からなる第4の絶縁膜6を設けても、そのウェットエッチングによる除去の際、第5の絶縁膜7には十分なマージンがあることがわかる。
【0039】
また、第3の絶縁膜5及び第6の絶縁膜9にSiCNを用いれば、SiNやSiONと比較して低誘電率であり、HFをエッチング液とした場合TEOS酸化膜の1/300程度しかエッチングされない。
【0040】
以上のように、この実施の形態1によれば、エアギャップの形成にウェットエッチング法による等方エッチングを用いることができるので、ドライエッチングを用いた場合のように配線間に本来なら除去すべき絶縁膜が残ってしまうことがなく、さらなる低誘電率化が可能である。また、配線側壁にエッチング液に対するカバーを目的とした絶縁膜を設けることから、ウェットエッチングにおいて配線にダメージを与えることがない。さらに、レジストの薄膜化が可能であるので細い開口でエッチングすることができ、配線間が狭い部分であってもエアギャップ部12を形成することができる。
【0041】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、配線間の第4の絶縁膜6のみをエッチングにより除去してエアギャップ部を構成するものであったが、この実施の形態2は、第4の絶縁膜6に加え、ビア間の第2の絶縁膜4をも除去してエアギャップを形成するものである。
【0042】
図2は、この発明の実施の形態2による半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、この図に沿って説明する。先ず、図2(a)に示す工程の前処理として、半導体素子が形成された半導体基板上に一般的なダマシン法により第1の配線層1を形成する。ダマシン法とは、絶縁膜層に設けた配線溝に配線材料を埋め込むことで配線層を形成する技術である。図示の例では、第1の配線層1に2つの配線2を形成した場合を示している。この第1の配線層1及び後述する第2の配線層8に形成される配線は、下地の半導体基板上に形成された半導体素子と電気的な接続を有し、その信号伝達の媒体となる。
【0043】
続いて、第1の配線層1上にビアエッチングストッパーや配線のバリアとなる第1の絶縁膜3を形成する。この第1の絶縁膜3は、SiN、SiON、SiCN、SiCOなどの材料を個々に又は組み合わせて形成することができる。ここまでの工程は、上記実施の形態1と同様である。
【0044】
次に、第1の絶縁膜3上に第2の絶縁膜4を形成する。この第2の絶縁膜4は、後述するウェットエッチング法によるエアギャップ形成時に第2の絶縁膜4が選択的にエッチングされなければならない。つまり、第1の絶縁膜3、後述する第3の絶縁膜5及び第5の絶縁膜7については、第2の絶縁膜4とのエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)でなければならない。
【0045】
このあと、エアギャップのエッチングの際、トレンチエッチングストッパーとなる第3の絶縁膜5を第2の絶縁膜4上に形成する。この第3の絶縁膜5としては、第1の絶縁膜3と同材料で形成するものが考えられるが、第2の絶縁膜4とのエッチング選択比が十分にとれる膜でなければならない。
【0046】
次に、第4の絶縁膜6を第3の絶縁膜5上に形成する。この第4の絶縁膜6は、例えば第2の絶縁膜4と同材料で構成するものが考えられる。これは、後述するウェットエッチング法によるエアギャップ形成時に第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6が選択的にエッチングされるようにするためである。
【0047】
上述の処理が終了すると、ビア及び配線の形成用溝をダマシン法を用いて形成する。ここでは、ビアを先に形成するビアファースト法を例に挙げて説明する。先ず、本発明の技術分野において一般的に用いられる写真製版プロセスによりレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして第2の絶縁膜4、第3の絶縁膜5及び第4の絶縁膜6を加工する。ここでは、第1の絶縁膜3をエッチングストッパーとして、ドライエッチング法により、図2(a)の第2の絶縁膜4及び第3の絶縁膜5に示すようなビアとなる溝を形成する。この加工後、レジストパターンをアッシング法や薬液によるウェット法で除去する。
【0048】
続いて、後述するトレンチの加工の際に、第1の絶縁膜3がエッチングされないようにレジストを塗布してエッチバックすることでレジストプラグを形成する。このあと、写真製版プロセスによりレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして第4の絶縁膜6を加工して第2の配線層8の配線のための溝を形成する。この加工方法としては、本発明の技術分野において一般的に用いられるドライエッチング法を用いる。この加工後、レジストパターンをアッシング法や薬液によるウェット法で除去する。
【0049】
これにより、図2(a)に示すような溝が第2の配線層8に形成される。以上が図2(a)に示す工程の前処理である。なお、ビア及び配線自体の形成方法については、本発明で特に言及するものはなく、既存の技術を用いてよい。
【0050】
上述したような前処理が完了すると、図2(a)に示すように、ビア及び配線の溝の側壁面を含む第2の配線層8の上表面に第5の絶縁膜7を形成する。このとき、ビア及び配線の形成用溝を絶縁膜7で埋めきらないように膜厚を調整する。
【0051】
例えば、130nmノードで考えると、ビア径が200nm程度、配線幅が200nm程度であるので、50〜100nm程度の膜厚であれば絶縁膜7によってビア及び配線の溝が埋まることはない。また、第5の絶縁膜7としては、シリコン酸化膜、SiOF、SiOC、有機膜などを個々に又は組み合わせて形成することができる。なお、第5の絶縁膜7は、第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6とウェットエッチング法におけるエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)でなければならない。
【0052】
また、第5の絶縁膜7は、ビア及び配線の形成用溝の側壁面にも十分な膜厚が必要なため、例えばCVD法を用いる場合、成膜レートを低くしたり、成膜温度を上げて反応速度を上げる等してコンフォーマルに膜を形成する必要がある。
【0053】
次に、図2(b)に示すように、第2の配線層8における配線底に形成された第5の絶縁膜7及びビア底に形成された第5の絶縁膜7及び第1の絶縁膜3をエッチングして除去する。このとき、ビア又は配線の側壁面に形成した第5の絶縁膜7が除去されないように異方性の強いプロセスを用いる。例えば、反応異方性エッチング(Reactive Ion Etching)などが考えられる。また、配線底に形成した第3の絶縁膜5は、完全に除去せず、エッチングプロセスの調整により膜厚が50nm程度残るようにする。
【0054】
このあと、上述したダマシン法のプロセスに従って、ビア及び配線の溝にメタル材料を埋め込む。ここでは、低抵抗の配線を作成する目的で本発明の技術分野で良く用いられている銅Cuを例に挙げて説明する。
【0055】
先ず、拡散バリアとなるメタル層(例えば、Ta、TaN)及びメッキ法でのシードとなるシード層をスパッタ法により形成する。次に、メッキ法により配線及びビアに銅Cuを埋め込む。銅Cuの埋め込みが完了すると、化学機械研磨(CMP)法により余分なCu及びバリアメタルを除去する。これにより、図2(c)に示すように、ビアを介して第1の配線層1の配線2と第2の配線層8の配線が接続した配線構成が形成される。
【0056】
続いて、図2(c)に示すように、第2の配線層8の配線のバリアとなる第6の絶縁膜9を第2の配線層8上に形成する。第6の絶縁膜9の材料としては、SiN、SiON、SiCN、SiCOなどを個々に又はこれらを組み合わせて用いる例が考えられる。但し、第6の絶縁膜9は、第5の絶縁膜7と同様に、ウェットエッチング法における第4の絶縁膜6とのエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)でなければならない。
【0057】
これにより、第2の配線層8において、第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6よりウェットエッチングの選択比が高くエッチング耐性が高い第5の絶縁膜7を側壁に設けた複数の配線及びビアが内部に形成された第4の絶縁膜6及び第2の絶縁膜4の上下層に、第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6よりウェットエッチングの選択比が高くエッチング耐性が高い第1の絶縁膜3、第3の絶縁膜5及び第6の絶縁膜9を形成してなる配線層部が構成される。
【0058】
次に、第2の配線層8の配線間にエアギャップとなる溝を形成するため、レジストパターン10を形成する。このとき、レジスト開口部を第1の配線層1の配線−配線間になるように調整する。このあと、図2(d)に示すように、レジストパターン10をマスクに第2の絶縁膜4が露出するまで第6の絶縁膜9を加工する。
【0059】
ここで、本実施の形態では、上記実施の形態1と異なり第2の絶縁膜4まで加工するため被エッチング膜の膜厚が厚く、レジストパターン10の薄膜化は望めない。従って、上記実施の形態1と比較すると、半導体基板上の狭ピッチな配線部にエアギャップを形成することはできないが、ビア間にまでエアギャップを形成することができるのでより低誘電率化を図ることはできる。
【0060】
上述までのプロセスが完了すると、ウェットエッチング法にて第4の絶縁膜6及び第2の絶縁膜4を除去する。具体的には、上述までのプロセスで作成した半導体基板をウェットエッチングのエッチング液に浸すことで、レジストパターン10の開口からエッチング液が入り込み、第4の絶縁膜6及び第2の絶縁膜4がエッチングされる。
【0061】
このとき、第3の絶縁膜5、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9は、第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6に対して十分なエッチング選択比をとってあるため、第3の絶縁膜5、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9が、ギャップ形成におけるエッチングストッパー及び配線のカバーとなり、第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6が選択的にエッチングされる。
【0062】
特に、第2の配線層8における配線及びビアの底及び側壁に第1の絶縁膜3,第3の絶縁膜5及び第5の絶縁膜7を設けたことにより、ビア及び配線がその周囲や底からエッチング液に晒されることがなくダメージを受けることがない。従って、ウェットエッチングによるエアギャップ形成工程において配線歩留まりや配線の信頼性に影響を与えることがない。
【0063】
エアギャップとなる中空構造を形成するエッチングが終了すると、アッシング法などによりレジストパターン10を除去する。これにより、図2(e)に示すような中空構造を有した半導体基板が形成される。
【0064】
続いて、第6の絶縁膜9上に第7の絶縁膜11を形成する。この第7の絶縁膜11の形成方法は、既存の絶縁膜の形成技術でよいが、上述のようにして形成した中空構造内に絶縁膜が埋め込まれないようなプロセスを用いる必要がある。例えば、カバレッジの悪いコンベンショナルCVD法によって第7の絶縁膜11を成膜することが考えられる。このようにして、図2(f)のようなエアギャップ部12aが形成された半導体装置を得ることができる。
【0065】
つまり、上述した第2の配線層8の配線層部において、第1の絶縁膜3、第3の絶縁膜5、第6の絶縁膜9及び第5の絶縁膜7と第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6とのエッチング耐性の違いに基づいて、第1の絶縁膜3、第3の絶縁膜5及び第5の絶縁膜7で囲まれた第2の絶縁膜4、及び、第3の絶縁膜5、第6の絶縁膜9及び第5の絶縁膜7で囲まれた第4の絶縁膜6を選択的にエッチング除去することにより、配線間及びビア間にエアギャップ部12aが形成される。
【0066】
なお、本発明には、図2(f)に示すようなエアギャップ部12aをビア及び配線間に有した半導体装置も含まれる。つまり、本発明の半導体装置は、エアギャップ部12aを隣接して形成するビア及び配線(配線等)においてその底や側壁面にウェットエッチングにおけるエッチングストッパー及び配線等のカバーの役割を持つ第1の絶縁膜3、第3の絶縁膜5及び第5の絶縁膜7のような保護膜を有することを特徴としている。これにより、エアギャップ部12aの形成時にビアや配線にダメージを受けることがないので、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0067】
また、第1の絶縁膜3、第2の絶縁膜4、第3の絶縁膜5、第4の絶縁膜6、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9の組み合わせについて、その構成例を挙げて説明する。先ず、第5の絶縁膜7は、配線の側壁面に設けるために配線間容量に影響を与える。そこで、上記実施の形態1と同様に、できるだけ比誘電率の低い膜で形成することが望ましい。例えば、いわゆるlow−k材料の一つであるSiOCが考えられる。また、成膜方法としては、プラズマCVD法を用いれば、ある程度のコンフォーマルな成膜が可能である。
【0068】
前述のように、第5の絶縁膜7としてSiOCを用いた場合、第2の絶縁膜4及び第4の絶縁膜6にはウェットエッチングでのエッチングレート差が大きい材料(SiOCと比較して十分に速いレートでエッチングされる材料)を使用する必要がある。例えば、上記実施の形態1と同様に、ダマシン配線によく使用されるTEOS酸化膜を用いても良い。
【0069】
また、第1の絶縁膜3、第3の絶縁膜5及び第6の絶縁膜9にSiCNを用いれば、SiNやSiONと比較して低誘電率であり、HFをエッチング液とした場合TEOS酸化膜の1/300程度しかエッチングされない。
【0070】
以上のように、この実施の形態2によれば、エアギャップの形成にウェットエッチング法による等方エッチングを用いることができるので、上記実施の形態1と同様の効果が得られると共に、ビア間にもエアギャップを設けることから上記実施の形態1より低誘電率化が可能である。また、ビア及び配線の側壁にもエッチング液に対するカバーを目的とした絶縁膜を設けることから、ウェットエッチングにおいてビア及び配線にダメージを与えることがない。
【0071】
実施の形態3.
この実施の形態3は、第4の絶縁膜6が選択的にエッチングされるよう、第2の絶縁膜の材料を適切に選択して構成することで、エッチングストッパーの役割を担うが低誘電率化を制限する要因となる第3の絶縁膜5の形成を省略したものである。
【0072】
図3は、この発明の実施の形態3による半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、この図に沿って説明する。先ず、図3(a)に示す工程の前処理として、半導体素子が形成された半導体基板上に一般的なダマシン法により第1の配線層1を形成する。ダマシン法とは、絶縁膜層に設けた配線溝に配線材料を埋め込むことで配線層を形成する技術である。図示の例では、第1の配線層1に2つの配線2を形成した場合を示している。この第1の配線層1及び後述する第2の配線層8に形成される配線は、下地の半導体基板上に形成された半導体素子と電気的な接続を有し、その信号伝達の媒体となる。
【0073】
続いて、第1の配線層1上にビアエッチングストッパーや配線のバリアとなる第1の絶縁膜3を形成する。この第1の絶縁膜3は、SiN、SiON、SiCN、SiCOなどの材料を個々に又は組み合わせて形成することができる。ここまでの工程は、上記実施の形態1と同様である。
【0074】
次に、第1の絶縁膜3上に第2の絶縁膜4aを形成する。この第2の絶縁膜4aは、例えばSiOCを用いて形成する。但し、後述するウェットエッチング法によるエアギャップ形成時に第4の絶縁膜6が選択的にエッチングするので、第2の絶縁膜4aとしては、第4の絶縁膜6とのエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)であることが必要である。
【0075】
このあと、上記実施の形態1、2と異なり、第3の絶縁膜5は形成せず、第4の絶縁膜6を第2の絶縁膜4a上に形成する。この第4の絶縁膜6としては、例えばTEOS酸化膜を用いることが考えられる。これにより、後述するウェットエッチングにおいて第2の絶縁膜4aと第4の絶縁膜6との間での選択比が確保できる。
【0076】
上述の処理が終了すると、ビア及び配線の形成用溝をダマシン法を用いて形成する。ここでは、ビアを先に形成するビアファースト法を例に挙げて説明する。先ず、本発明の技術分野において一般的に用いられる写真製版プロセスでレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして第2の絶縁膜4a及び第4の絶縁膜6を加工する。ここでは、第1の絶縁膜3をエッチングストッパーとして、ドライエッチング法により図3(a)の第2の絶縁膜4aに示すようなビアとなる溝を形成する。この加工後、レジストパターンをアッシング法や薬液によるウェット法で除去する。
【0077】
続いて、後述するトレンチの加工の際に、第1の絶縁膜3がエッチングされないようにレジストを塗布してエッチバックすることでレジストプラグを形成する。このあと、写真製版プロセスによりレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして第4の絶縁膜6を加工して第2の配線層8の配線のための溝を形成する。この加工方法としては、本発明の技術分野において一般的に用いられるドライエッチング法を用いる。この加工後、レジストパターンをアッシング法や薬液によるウェット法で除去する。
【0078】
これにより、図3(a)に示すような溝が第2の配線層8に形成される。以上が図3(a)に示す工程の前処理である。なお、ビア及び配線自体の形成方法については、本発明で特に言及するものはなく、既存の技術を用いてよい。
【0079】
上述したような前処理が完了すると、図3(a)に示すように、ビア及び配線の溝の側壁面を含む第2の配線層8の上表面に第5の絶縁膜7を形成する。このとき、ビア及び配線の形成用溝を絶縁膜7で埋めきらないように膜厚を調整する。例えば、130nmノードで考えると、ビア径が200nm程度、配線幅が200nm程度であるので、50〜100nm程度の膜厚であれば絶縁膜7によってビア及び配線の溝が埋まることはない。
【0080】
第5の絶縁膜7としては、例えば第2の絶縁膜4aと同材料のSiOCで形成する。なお、第5の絶縁膜7は、第4の絶縁膜6とウェットエッチング法におけるエッチング選択比が十分にとれる膜でなければならない。
【0081】
また、第5の絶縁膜7は、ビア及び配線の形成用溝の側壁面にも十分な膜厚が必要なため、例えばCVD法を用いる場合、成膜レートを低くしたり、成膜温度を上げて反応速度を上げる等してコンフォーマルに膜を形成する必要がある。
【0082】
次に、図3(b)に示すように、第2の配線層8における配線の底に形成された第5の絶縁膜7、及びビアの底に形成された第5の絶縁膜7及び第1の絶縁膜3をエッチングして除去する。このとき、ビア又は配線の側壁面に形成した第5の絶縁膜7が除去されないように、異方性の強いプロセスを用いる。例えば、反応異方性エッチング(Reactive Ion Etching)などが考えられる。
【0083】
このあと、上述したダマシン法のプロセスに従って、ビア及び配線の溝にメタル材料を埋め込む。ここでは、低抵抗の配線を作成する目的で本発明の技術分野で良く用いられている銅Cuを例に挙げて説明する。
【0084】
先ず、拡散バリアとなるメタル層(例えば、Ta、TaN)及びメッキ法でのシードとなるシード層をスパッタ法により形成する。次に、メッキ法により配線及びビアに銅Cuを埋め込む。銅Cuの埋め込みが完了すると、化学機械研磨(CMP)法により余分なCu及びバリアメタルを除去する。これにより、図3(c)に示すように、ビアを介して第1の配線層1の配線2と第2の配線層8の配線が接続した配線構成が形成される。
【0085】
続いて、図3(c)に示すように、第2の配線層8の配線のバリアとなる第6の絶縁膜9を第2の配線層8上に形成する。第6の絶縁膜9の材料としては、SiN、SiON、SiCN、SiCOなどを個々に又はこれらを組み合わせて用いる例が考えられる。但し、第6の絶縁膜9は、第5の絶縁膜7と同様に、ウェットエッチング法における第4の絶縁膜6とのエッチング選択比が十分にとれる膜(約100程度)でなければならない。
【0086】
これにより、第2の配線層8において、第4の絶縁膜6よりウェットエッチングの選択比が高くエッチング耐性が高い第5の絶縁膜7を側壁に設けた複数の配線が内部に形成された第4の絶縁膜6の上下層に、第4の絶縁膜6よりウェットエッチングの選択比が高くエッチング耐性が高い第2の絶縁膜4a及び第6の絶縁膜9を形成してなる配線層部が構成される。
【0087】
次に、第2の配線層8の配線間にエアギャップとなる溝を形成するため、レジストパターン10を形成する。このとき、レジスト開口部を第1の配線層1の配線−配線間になるように調整する。このあと、図3(d)に示すように、レジストパターン10をマスクに第4の絶縁膜6が露出するまで第6の絶縁膜9を加工する。
【0088】
ここで、第4の絶縁膜6以下の膜については加工しないため、レジストパターン10については、その膜厚を薄く構成することができる。このようにレジスト膜厚を薄く構成することができればその解像限界があがり、より細いレジストパターンを形成できる。これにより、半導体基板上の狭ピッチな配線部においても、レジストパターンに開口を設けてエアギャップを形成することができる。
【0089】
上述までのプロセスが完了すると、ウェットエッチング法にて第4の絶縁膜6を除去する。具体的には、上述までのプロセスで作成した半導体基板をウェットエッチングのエッチング液に浸すことで、レジストパターン10の開口からエッチング液が入り込み、第4の絶縁膜6がエッチングされる。
【0090】
このとき、第2の絶縁膜4a、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9は、第4の絶縁膜6に対して十分なエッチング選択比をとってあるため、第2の絶縁膜4a、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9が、ギャップ形成におけるエッチングストッパー及び配線のカバーとなり、第4の絶縁膜6が選択的にエッチングされる。
【0091】
特に、第2の配線層8における配線の底及び側壁に第2の絶縁膜4a及び第5の絶縁膜7を設けたことにより、配線がその周囲や底からエッチング液に晒されることがなくダメージを受けることがない。従って、ウェットエッチングによるエアギャップ形成工程において配線歩留まりや配線の信頼性に影響を与えることがない。
【0092】
エアギャップとなる中空構造を形成するエッチングが終了すると、アッシング法などによりレジストパターン10を除去する。これにより、図3(e)に示すような中空構造を有した半導体基板が形成される。
【0093】
続いて、第6の絶縁膜9上に第7の絶縁膜11を形成する。この第7の絶縁膜11の形成方法は、既存の絶縁膜の形成技術でよいが、上述のようにして形成した中空構造内に絶縁膜が埋め込まれないようなプロセスを用いる必要がある。例えば、カバレッジの悪いコンベンショナルCVD法によって第7の絶縁膜11を成膜することが考えられる。このようにして、図3(f)のようなエアギャップ部12bが形成された半導体装置を得ることができる。
【0094】
つまり、上述した第2の配線層8の配線層部において、第2の絶縁膜4a、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9と第4の絶縁膜6とのエッチング耐性の違いに基づいて、第2の絶縁膜4a、第5の絶縁膜7及び第6の絶縁膜9で囲まれた第4の絶縁膜6を選択的にエッチング除去することにより、配線間にエアギャップ部12bが形成される。
【0095】
なお、本発明には、図3(f)に示すようなエアギャップ部12bを配線間に有した半導体装置も含まれる。つまり、本発明の半導体装置は、エアギャップ部12bを隣接して形成する配線においてその底や側壁面にウェットエッチングにおけるエッチングストッパー及び配線等のカバーの役割を持つ第2の絶縁膜4a及び第5の絶縁膜7のような保護膜を有することを特徴としている。これにより、エアギャップ部12bの形成時に配線にダメージを受けることがないので、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0096】
以上のように、この実施の形態3によれば、エアギャップの形成にウェットエッチング法による等方エッチングを用いることができるので、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、エッチングストッパーとしての機能を第5の絶縁膜7に加え、第2の絶縁膜4aにも持たせることで、第3の絶縁膜5の形成工程を省略することができ、製造工程をより簡易にすることができる。さらに、第2の絶縁膜4a及び第5の絶縁膜7を低誘電率のSiOCで作成することで、上記実施の形態1においてエッチングストッパーとしての機能を重視して第3の絶縁膜5を形成した場合の構成と比較してより低誘電率化が可能である。
【0097】
なお、上記実施の形態3では、配線間にエアギャップ部12bを設ける例を示したが、第2の絶縁膜4aを第4の絶縁膜6と同材料で構成し、第1の絶縁膜3を第5の絶縁膜7と同材料で構成して、エッチング耐性の違いに基づいて第2の絶縁膜4a及び第4の絶縁膜6を除去することで、ビア間にもエアギャップ部を形成することができる。
【0098】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3のように、ビアや配線間にエアギャップを設けると、不可避的に機械的な強度が落ちてしまう。そこで、この実施の形態4では、エアギャップを設けたビアや配線間に機械的な強度の向上を目的とした支持部を形成するものである。
【0099】
図4は、この発明の実施の形態4による半導体装置の構成を示す図であり、上段図は実施の形態4による半導体装置の上面図、下段図は上段図中に示すB−B線での断面図を示している。また、上段図から下段図へ矢印を付している構成がそれぞれ対応している。図示の例では、第1〜第3の配線層を有しており、第2の配線層における配線間にエアギャップ部12が形成されている。
【0100】
また、エアギャップ部12を形成した中空構造に機械的な強度を向上させるため、支持部13を設けている。図4上段に示すように、レジスト開口部を第1の配線層1の配線−配線間になるように調整することで、第2の配線層における配線間及び支持部13間にエアギャップ部12の開口部11aが形成される。なお、開口部11aは、下段図に示すように、上記実施の形態1〜3で示した第7の絶縁膜11に相当する絶縁膜で被覆する。
【0101】
支持部13は、機械的な強度向上を目的とするので、上下層の配線と接続しない位置に形成する必要がある。また、支持部13は、上記実施の形態1で示した第2の配線層8における配線やビアの形成方法と同様に形成される。従って、支持部13の側壁や底にもエアギャップ形成時にエッチングされる絶縁膜とのエッチング選択比が十分にとれる、上記実施の形態1で示した第5の絶縁膜7に相当する絶縁膜を形成する。この形成方法も、上記実施の形態1と同様である。
【0102】
さらに、支持部13は、ウェットエッチングによるエアギャップ部12の形成プロセスにおいて、エッチング液をせき止めてしまわない構造であることも必要である。従って、上面からみて細長い配線のような構造ではなく、エッチング液をせき止めない程度に短い配線のような構造かビアのみで形成することが考えられる。なお、ビアのみで形成する場合、ビア底のバリアメタルやシード層が薄くなるが、本支持部13は、あくまで機械的な強度向上のために設けられ、信号伝達を行う配線やビアとの電気的な接続がないので、本発明による半導体装置の動作に影響を与えることはない。
【0103】
以上のように、この実施の形態4によれば、エアギャップを設けたビアや配線間に機械的な強度の向上を目的とした支持部13を形成したので、エアギャップによる半導体装置の動作特性上の利点の他、機械的な衝撃に対する信頼性も向上させることができる。
【0104】
なお、上記実施の形態4の構成は、上記実施の形態1〜3に適用できる。これにより、上記実施の形態1〜3の効果に加え、上記実施の形態4の効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態2による半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態3による半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態4による半導体装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 第1の配線層、2 配線、3 第1の絶縁膜、4,4a 第2の絶縁膜、5 第3の絶縁膜、6 第4の絶縁膜、7 第5の絶縁膜、8 第2の配線層、9 第6の絶縁膜、10 レジストパターン、11 第7の絶縁膜、12,12a,12b エアギャップ部、13 支持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線を内部に形成した絶縁膜の上下層に当該絶縁膜よりエッチング耐性が高い絶縁膜を形成してなる配線層部と、
上記配線が内部に形成された絶縁膜よりエッチング耐性が高い材料からなり、上記配線を被覆するようにその周囲に形成された保護膜と、
上記上下層の絶縁膜及び上記保護膜と上記配線が内部に形成された絶縁膜とのエッチング耐性の違いに基づいて、上記上下層の絶縁膜及び上記保護膜で囲まれた上記配線間の絶縁膜を選択的にエッチング除去してなるエアギャップ部とを備えた半導体装置。
【請求項2】
配線層部は、複数の配線及びこれらのいずれかと他層の配線とを電気的に接続する接続用ビアを内部に形成した絶縁膜の上下層に当該絶縁膜よりエッチング耐性が高い絶縁膜を形成してなり、
保護膜は、上記配線及び上記接続用ビアが内部に形成された絶縁膜よりエッチング耐性が高い材料からなり、上記配線及び上記接続用ビアを被覆するようにこれらの周囲に形成され、
エアギャップ部は、上記上下層の絶縁膜及び上記保護膜と上記配線が内部に形成された絶縁膜とのエッチング耐性の違いに基づいて、上記上下層の絶縁膜及び上記保護膜で囲まれた上記配線間及び上記接続用ビア間の絶縁膜を選択的にエッチング除去してなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
エアギャップ部内部に設けられ、当該エアギャップ部の上層に位置する配線層を支える支持部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
下層に設けた絶縁膜よりウェットエッチング耐性が低い絶縁膜を上層に設けた絶縁膜層を半導体基板上に形成する絶縁膜層形成ステップと、
上記上層の絶縁膜に配線の形成用溝を形成する溝形成ステップと、
上記上層の絶縁膜よりウェットエッチング耐性が高い材料からなる保護膜を、上記形成用溝の内壁面に形成する保護膜形成ステップと、
上記形成用溝に導体材料を埋め込んで上記保護膜が周囲に設けられた配線を形成する配線形成ステップと、
上記配線が形成された絶縁膜の上層に当該絶縁膜よりウェットエッチング耐性が高い絶縁膜を形成する配線層形成ステップと、
上記上下層の絶縁膜及び上記保護膜と上記配線が形成された絶縁膜とのウェットエッチング耐性の違いに基づくウェットエッチングにより、上記上下層の絶縁膜及び上記保護膜で囲まれる上記配線間の絶縁膜を選択的に除去してエアギャップ部を形成するギャップ形成ステップとを備えた半導体装置の製造方法。
【請求項5】
溝形成ステップでは、配線及びこれと他層の配線とを電気的に接続する接続用ビアの形成用溝を形成し、
配線形成ステップでは、上記形成用溝に導体材料を埋め込んで保護膜が周囲に設けられた配線及び接続用ビアを形成し、
ギャップ形成ステップでは、上下層の絶縁膜及び保護膜と上記配線及び上記接続用ビアが形成された絶縁膜とのウェットエッチング耐性の違いに基づくウェットエッチングにより、上記上下層の絶縁膜及び上記保護膜で囲まれる上記配線間及び上記接続用ビア間の絶縁膜を選択的に除去してエアギャップ部を形成することを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−19401(P2006−19401A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194078(P2004−194078)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】