説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】コンタクトプラグを、配線のバリア層に安定して接続できる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、バリア層を介して配線に接続されたコンタクトプラグ、第1及び第2の絶縁膜を有する。第1の絶縁膜は、配線及びバリア層の側面を覆い少なくともバリア層よりも上方で配線が延在する方向と直交する方向の幅が狭まる傾斜面を有し、バリア層の上面の一部を露出すると共に配線及びバリア層の側面を露出させないように形成された開口部を備える。第2の絶縁膜は、開口部の内側を除き第1の絶縁膜上に形成され、かつ開口部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンタクトプラグを介して多層に形成した配線間を接続する技術が用いられている。特許文献1〜3(特開2001−135723号公報、特開2002−9148号公報、特開2009−135219号公報)には、コンタクトプラグに接続した配線構造が開示されている。
【0003】
図1と図2を参照しながら、配線にコンタクトプラグを接続させた、従来例の構造を説明する。従来の半導体装置では、図1に示したように、半導体基板1とそれを覆うように成膜された絶縁膜2にトランジスタなどの半導体装置を構成する要素が形成されている。それらを電気的に接続する配線4と配線8が、絶縁膜6を介して積層されており、さらに両配線は、絶縁膜6中に形成されたコンタクトホールに導電性材料を埋め込んだコンタクトプラグ5で接続されている。
【0004】
ここで、例えばアルミニウムによって形成された配線4と配線8はそれぞれ、導電性に劣る窒化チタンで形成されたバリア層3とバリア層7で挟まれており、コンタクトプラグ5は、図1Aに示すように、バリア層3bを貫通させた状態で配線4と接続させていた。
【0005】
しかし、配線4とコンタクトプラグ5の界面では、エレクトロマイグレーションが生じて断線に至るため、近年では、図1Bに示すようにバリア層3bを介してコンタクトプラグ5と配線4を接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−135723号公報
【特許文献2】特開2002−9148号公報
【特許文献3】特開2009−135219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体装置の微細化に伴って配線幅も小さくなり、図1Bに示すようなコンタクトプラグ5をバリア層3bに直接、接続させるのが困難となってきた。この理由は、図2Aに示すように、コンタクトプラグ5の底部の直径Bとバリア層3bの幅Cがほぼ等しくなり、バリア層3b上にコンタクトホールを形成する際のフォトリソグラフィ工程の位置合せマージンが減少するためである。
【0008】
ここで、バリア層3b上にコンタクトホールを形成する際の位置ずれが大きくなると、バリア層3bの端部からコンタクトプラグ5の底部がはみ出すこととなる。この結果、バリア層3bの上面部からずれて形成されたコンタクトホールは、配線4の側面部にまで達することとなる。この状態でコンタクトプラグ5を形成すると、図2Bに示すように、配線4にも接続された状態となる。
【0009】
図2Aにおけるコンタクトプラグ5の接続面積をSa、図2Bにおける接続面積をSbとすると、エレクトロマイグレーションが生じるまでは、Sa(=A寸法による側面部の接続面積+B寸法による底面部の接続面積)よりもSb(=E、F、G寸法による側面部の接続面積+D寸法による底面部の接続面積)が大きくなるが、エレクトロマイグレーションが生ずると、G寸法による側面部の接続が断線するので、導電に有効な接続面積は、SaよりもSbが小さくなる。
【0010】
このようにコンタクトプラグ5の接続面積は、コンタクトホールの位置ずれによって様々に変化する。その結果、電気抵抗値がばらつくので、半導体装置は動作不良を引き起こすという問題があった。
【0011】
本発明では、フォトリソグラフィ工程で位置ずれが生じた場合でも、コンタクトプラグをバリア層の上面部に安定して接続させることのできる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態は、
半導体基板と、
前記半導体基板上において第1の方向に延在して形成された配線と、
前記配線上に形成されたバリア層と、
前記配線及びバリア層の側面を覆い少なくとも前記バリア層よりも上方において前記第1の方向と直交する第2の方向の幅が狭まる傾斜面を有するように形成された第1の絶縁膜であって、前記バリア層の上面の一部を露出すると共に前記配線及びバリア層の側面を露出させないように形成された開口部、を備えた第1の絶縁膜と、
前記開口部の内側を除き前記第1の絶縁膜上に形成され、かつ開口部を備えた第2の絶縁膜と、
少なくとも前記第1の絶縁膜の開口部を埋め込んで形成され前記バリア層を介して前記配線と接続されたコンタクトプラグと、
を備えることを特徴とする半導体装置に関する。
【0013】
他の実施形態は、
配線とコンタクトホールを有する半導体装置の製造方法において、
半導体基板上に配線を形成する工程と、
前記配線の上面を覆うバリア層を形成する工程と、
前記配線の側面並びに前記バリア層の側面と上面を覆うと共に前記バリア層上に頂点が位置し、かつ上方に向かって幅が狭くなるように第1の絶縁膜を成膜する工程と、
前記第1の絶縁膜を覆うように第2の絶縁膜を成膜する工程と、
前記第2の絶縁膜の一部を化学機械研磨法にて研磨して、前記バリア層上における前記第1の絶縁膜の一部を露出させる工程と、
前記第2の絶縁膜をエッチングストッパー膜として前記第1の絶縁膜の露出部をエッチングすることにより、前記バリア層の一部を露出させるコンタクトホールを形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
コンタクトプラグを、配線のバリア層に安定して接続できる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来例の半導体装置を説明する図面である。
【図2】従来例の半導体装置を説明する図面である。
【図3】第1実施例の半導体装置を説明する図面である。
【図4】第1実施例の半導体装置を説明する図面である。
【図5】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図6】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図7】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図8】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図9】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図10】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図11】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図12】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図13】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【図14】第1実施例の半導体装置の製造方法の一工程を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
半導体装置の製造方法では、配線の側面並びにバリア層の側面と上面を覆うと共にバリア層上に頂点が位置し、かつ半導体基板の主面の法線方向の上方に向かって、配線の幅よりも徐々に幅が狭くなるように第1の絶縁膜を成膜する。この後、第1の絶縁膜を覆うように第2の絶縁膜を成膜する。従って、配線の上方において、第1の絶縁膜は、基板主面の法線方向の高さが最も高くなる。このため、第1及び第2の絶縁膜を上方から部分的に除去することにより、配線の上方に位置する第1の絶縁膜を選択的に露出させることができる。この後、第1の絶縁膜の露出部をエッチングする際に、その周辺部に存在する第2の絶縁膜が、エッチングストッパーとして機能する。このため、第1の絶縁膜内にコンタクトホールを形成する際、配線に対してフォトレジストにおける開口パターンの位置ずれが存在した場合であっても、配線上に位置する第1の絶縁膜内にのみ選択的にコンタクトホールを形成することができる。さらにコンタクトホール内に導電材料を埋め込むことによって、配線を構成するバリア層だけに接続するコンタクトプラグを形成することができる。この結果、コンタクトプラグをバリア層に安定して接続することができる。
【0017】
半導体装置には、配線の上方を除いた領域に第2の絶縁膜が存在する。第2の絶縁膜は、その下方に位置する第1の絶縁膜を保護してコンタクトプラグが配線の側面と接続するのを防止する。この結果、コンタクトプラグとバリア層の接続面積を安定させて、信頼性に優れた半導体装置とすることができる。
【0018】
以下では、図面を参照して、本発明の具体的な態様を説明する。なお、下記実施例は、本発明のより一層の深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0019】
(第1実施例)
図3及び4は、第1実施例の半導体装置の構成を示す断面図である。ここで、各図のA図は平面図、B図はA図のA−A方向の断面図を示す。図5〜14においても同様である。
【0020】
図3及び4に示すように、半導体基板11を覆うように、酸化シリコンからなる絶縁膜12が成膜されている。半導体基板11と絶縁膜12には、図示していないが、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と、そこへ電気を供給する配線及びコンタクトプラグが形成されている。
【0021】
半導体基板11上には、配線とコンタクトプラグに接続したアルミニウム(Al)からなる配線14が第1の方向25に延在して形成されている。配線14の上部と下部には、窒化チタン(TiN)からなるアルミニウムの拡散を防止するバリア層13bと13aが形成されている。
【0022】
配線14とバリア層13の側面を覆うように、酸化シリコンからなる第1の絶縁膜15が形成されている。第1の絶縁膜15は、少なくともバリア層13b上において、第1の方向25と直交し、かつ半導体基板の主面と平行な第2の方向26における第1の絶縁膜15の幅Nが、第2の方向26における配線幅よりも狭まるように形成されている。
【0023】
さらに第1の絶縁膜15は、バリア層13bの上面の一部を露出すると共に、配線14及びバリア層13の側面を露出させないように開口部15bを備えている。第1の絶縁膜15は、基板の主面の法線方向28の上方に向かって第2の方向26の幅が狭まる傾斜面29を有する。この傾斜面は、基板主面の法線方向28に対して所定の角度で傾いている。法線方向28に対する角度は、35〜55°が好ましい。
【0024】
開口部15bの内側を除いた第1の絶縁膜15上には、窒化シリコンからなる第2の絶縁膜16が実質的に均一な厚さで形成されている。このため、第2の絶縁膜16も、第1の絶縁膜15と同様の傾きを持つ傾斜面29を有する。ここで、第1の絶縁膜15と第2の絶縁膜16の開口部の幅は一致しており、基板主面の法線方向28における、第1の絶縁膜15と第2の絶縁膜16の最上端の高さ27(第1の高さに相当する;図3B及び4B中に、半導体基板11の主面と平行な太線として第1の高さ27を示す)も一致している。さらに、第1の絶縁膜15と第2の絶縁膜16は、エッチングレートの異なる酸化シリコンと窒化シリコンであるので、そのレート差を利用して第1の絶縁膜15の開口部15bが形成されている。
【0025】
第2の絶縁膜16を覆うように、第2の絶縁膜16から第1の高さ27までの領域に埋め込まれた酸化シリコンからなる第3の絶縁膜17が形成されている。第3の絶縁膜17の表面は、第2の絶縁膜16の表面と共に第1の高さ27における面を構成する。第3の絶縁膜17と第2の絶縁膜16を覆うように、酸化シリコンからなる第4の絶縁膜18が形成されている。第3の絶縁膜17及び第4の絶縁膜18は第2の絶縁膜16と異なる材料から構成されれば良く、第3の絶縁膜17と第4の絶縁膜18は同じ材料から構成されても、異なる材料から構成されても良い。
【0026】
第4の絶縁膜18と第1の絶縁膜15を貫通し、第1の絶縁膜の開口部15bを埋め込むことにより、バリア層13bを介して配線14と接続されたタングステン(W)からなるコンタクトプラグ21が形成されている。コンタクトプラグ21は、下部31と上部32からなる。
【0027】
下部31は第1の絶縁膜15内の開口部15b内に埋め込まれた部分からなる。下部31の底面はバリア層13bに接続し、側面は第1の絶縁膜15と接し、上面は上部32と接している。
【0028】
ここで、本明細書における「底面」とは、コンタクトプラグ下部を構成する表面のうち、基板に対向すると共に基板主面の法線方向において最も基板に近い下側の面を表す。
【0029】
上部32は第4の絶縁膜18内に埋め込まれた部分からなり、上部32の側面は第4の絶縁膜18と接している。図3Bでは、上部32の底面33は第1の高さ27において第2の絶縁膜16と接している。図4Bでは、上部32の底面は第1の高さ27に位置する第2の絶縁膜16と接する部分の底面33と、第1の高さ27よりも下方に位置する第2の絶縁膜16と接する部分の底面33aとからなる。上部32の底面33は、図3Bのように基板の主面と平行な面だけから構成されていても、図4Bのように基板の主面と平行ではない面を含んでいても良い。
【0030】
上部32は底面33を有するため、下部31の径に対して、上部32の径は不連続的に変化する。コンタクトプラグ21の上部32の径は、20〜50nmであることが好ましい。コンタクトプラグ21の下部31の径は、15〜45nmであることが好ましい。
【0031】
図3Bの破線部Aに示したように、後述するコンタクトホールとバリア層13bの位置ずれが無い状態では、コンタクトプラグ21は下部31の底面の幅をMとしてバリア層13bと接続している。
【0032】
また、図4Bの破線部Bに示したように、位置ずれが生じている場合でも、バリア層13bの端部からはみ出したコンタクトプラグ21の底面33aは、第2の絶縁膜16の上部と接続されている。従って、コンタクトプラグ21は配線14の側面部とは接続せず、位置ずれのないときと同様に、コンタクトプラグ21は下部31の底面の幅をMとしてバリア層13bに接続している。
【0033】
本実施例の半導体装置によれば、コンタクトプラグ21の下部31と上部32の底面が、それぞれバリア層13bと第2の絶縁膜16に接した形状を有している。第2の絶縁膜16は、その下方に位置する第1の絶縁膜15を保護してコンタクトプラグ21が配線14の側面部と接続するのを防止するため、コンタクトプラグ21の下部31の底面とバリア層13bとの接続面積を安定させることができる。
【0034】
図5〜14は、本実施例の半導体装置の製造工程を順次示した断面図である。図5に示すように、半導体基板11を覆うように、酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁膜12を成膜する。ここでは図示しないが、半導体基板11と絶縁膜12には、トランジスタなどの半導体装置を構成する要素が形成されている。絶縁膜12上に、厚さが50nm程度の窒化チタン(TiN)からなるバリア層13(13a)と、厚さが270nm程度のアルミニウム(Al)からなる導電体層と、厚さが50nm程度の窒化チタンからなるバリア層13(13b)を順次成膜する。
【0035】
導電体層に対して、フォトリソグラフィとドライエッチングを行うことにより、半導体基板上に配線14を形成する。このとき配線14とともに、バリア層13aと13bもパターニングされるので、夫々の幅は同じとなっている。
【0036】
配線14とバリア層13を覆うように、絶縁膜12上の全面に、酸化シリコンからなる第1の絶縁膜15を成膜する。ここで、図6は、第1の絶縁膜15の成膜初期、図7は成膜中期、図8は成膜後の図面である。このときの成膜条件は、以下の通りである。
方式:バイアススパッタデポジション法
加熱温度:660℃
圧力:6mTorr
プロセスガス及び流量:モノシラン(SiH4)/酸素(O2)/ヘリウム(He)=150/250/300sccm
ソースパワー/バイアスパワー=8000W/3800W
周波数:2.0MHz。
【0037】
バイアススパッタデポジション法とは、スパッタデポジションとスパッタエッチングを組み合わせて、埋め込み特性を向上させた成膜方法である。ここで、スパッタデポジションは、成膜粒子が基板に対して垂直方向から入射するので、基板に対して入射角度が90°の時に成膜レートが最大値となり、入射角度の低減と共に成膜レートも小さくなる。これに対して、スパッタエッチングでは、エッチャントであるHeの入射角度が45°の時にエッチングレートが極大値となり、45°から増減するとともにエッチングレートは低減する。スパッタエッチング効果は、基板側にバイアスを印加することによって促進される。バイアススパッタデポジション法では、スパッタデポジションとスパッタエッチングが同時に進行するので、夫々のレートが組み合わさった状態で成膜される。従って相対的な成膜レートを示すと、入射角度90°となる表面(図6におけるH1〜H5のエリアに相当)で最大となり、0°の表面(図6におけるH1とJ1の界面に相当。なおH3とJ2、H3とJ3、H5とJ4も同様)が続いて大きく、45°の表面(図6におけるJ1〜J4のエリアに相当)が最小となる。
【0038】
このようなバイアススパッタデポジション法を用いることにより、第1の絶縁膜15は、図8に示したように、配線14とバリア層13の側面と、バリア層13bの上面を覆うと共に、厚さKが400nm程度として成膜することができる。第1の絶縁膜15は、バリア層13bの上方に頂点15aが位置し、基板主面の法線方向28の上方に向かって第2の方向26の幅が狭くなる傾斜面29を有する。
【0039】
この理由は、図6に示したように、成膜初期において、J1〜J4のエリアで成膜されるのは配線14とバリア層13の側面部に限定されていたものの、膜が堆積するにつれて、傾斜角θ1が45°に保たれたまま夫々の幅が徐々に広がるためである。そして、図7に示したように、成膜中期には、J1<J5(J2〜J4とJ6〜J8の関係も同様)となるためである。逆に、図6に示した直交面である平坦なH1〜H5のエリアは、成膜が進むにつれて徐々に狭まり、ついには消滅することとなる。
【0040】
このように第1の絶縁膜15は、バリア層13bの両端上に形成された傾斜面が徐々に広がって接近し、最後に一体化されることによって、頂点15a(図8)を備える。従って、第1の絶縁膜15の頂点15aは、成膜直後に形成されるのではなく、バリア層13bの両端を起点とした2つの傾斜面が接触することで自己整合的に形成されるため、その形成位置は実質的にバリア層13bの幅の中心線上となる。
【0041】
バイアスパワー、周波数、エッチャントを変更し、エッチレートと成膜レートの割合を制御することによって、図8に示した基板主面の法線方向28に対する傾斜面の角度θ2は、35〜55°程度に調整することが可能である。このようにして成膜した第1の絶縁膜15は、配線14を不均一な厚さで覆っているので、その表面にはバリア層13bの幅の中心線上に頂点15aを有する凹凸が生じている。バリヤ層13bの上面に形成された第1の絶縁膜15の断面は上方が尖った山型の形状となる。
【0042】
図9に示すように、第1の絶縁膜15を覆うように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法による窒化シリコン(SiN)からなる厚さ40nm程度の第2の絶縁膜16を成膜する。このときの成膜条件は、以下の通りである。
方式:減圧CVD法
加熱温度:630℃
圧力:300Pa
プロセスガス及び流量:ジクロロシラン(SiH2Cl2)/アンモニア(NH3)=75/750sccm。
【0043】
第2の絶縁膜16は、第1の絶縁膜15の表面を均一な厚さで覆っている。従って、第1の絶縁膜15の表面に生じていた凹凸は、第2の絶縁膜16の表面にも反映され、第2の絶縁膜16は第1の絶縁膜15と同様の傾斜面29を有すると共に、頂点16aを有している。なお、頂点16aの角度θ3は、実質的に第1の絶縁膜15の傾斜部分の角度θ2の2倍となっている。
【0044】
図10に示すように、第2の絶縁膜を覆うように、CVD法による酸化シリコンからなる第3の絶縁膜17を成膜する。この時、第3の絶縁膜17の厚さは、第2の絶縁膜16の表面に生じていた凹凸による段差Cの1.5倍以上とする。第3の絶縁膜17は、第2の絶縁膜16を厚く覆っているので、その表面段差は第2の絶縁膜16の表面段差よりも小さくなっている。
【0045】
図11に示すように、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法によって、第3の絶縁膜17を平坦化するとともに、第2の絶縁膜16の頂点16aを露出させる。ここで第3の絶縁膜17と第2の絶縁膜16は、異なる材料である酸化シリコンと窒化シリコンで形成されているので、そこへ光を照射した際の反射強度は夫々で異なる。従って、CMPの終点検出を光学方式とすることによって、頂点16aが露出した時点で第3の絶縁膜17に対するCMP処理を安定して止めることができる。
【0046】
図12に示すように、CMP法により、第2の絶縁膜16の一部を研磨して開口部16bを形成し、バリア層13b上方の第1の絶縁膜15の一部を露出させる。ここでは、第2の絶縁膜16の表面に生じていた凹凸を利用して、その頂点16a付近だけをCMPによって除去することで、第2の絶縁膜16の一部分を研磨することができる。このようにして露出した第1の絶縁膜15、第2の絶縁膜16及び第3の絶縁膜17からなる面は、第1の高さ27に位置する。第1の絶縁膜15は、露出部15cを有し、その露出幅Nは、配線14の幅Lよりも小さくなるように、CMPの処理時間を制御して形成する。幅Lは20〜50nm、露出幅Nは15〜45nmが好ましい。
【0047】
本実施例においては、CMPの処理時間の制御が容易となるように、第2の絶縁膜16の頂点16aが露出した時点で、第3の絶縁膜17の研磨を一旦止めていたが、第3の絶縁膜17と第2の絶縁膜16を一度に除去しても良い。このためには、CMPの加工精度に応じて、第2の絶縁膜16における頂点16aの角度θ3を調整しておく必要がある。このとき、バイアススパッタデポジション法のバイアスパワー、周波数、エッチャントを調整して、第1の絶縁膜15の傾斜面の角度θ2を制御しておけば、第2の絶縁膜16の頂点16aの角度θ3に反映されるので、角度θ3の調整は容易である。
【0048】
図13に示すように、露出した第1の絶縁膜15と残留した第3の絶縁膜17を覆うように、CVD法による酸化シリコンからなる第4の絶縁膜18を成膜する。このとき、第4の絶縁膜18の表面は平坦であり、CMPによって段差を低減する必要がないので、その厚さは後述するコンタクトプラグの高さに合わせて調整する。
【0049】
第4の絶縁膜18上に、フォトリソグラフィによって開口パターンを有するフォトレジスト19を形成する。このフォトレジスト19をマスクとしたドライエッチングによって、第4の絶縁膜18と第1の絶縁膜15を貫通させて、第1の絶縁膜15に開口部15bを形成することで、コンタクトホール20を形成する。このときのドライエッチング条件は、以下の通りである。
方式:2周波RIE(Reactive Ion Etching)
パワー:2500W(上部電極)、3000W(下部電極)
圧力:25mTorr
ウェハ温度:20℃
プロセスガス及び流量:ヘキサフルオロ−1.3−ブタジエン(C46)/三フッ化メタン(CHF3)/酸素(O2)/アルゴン(Ar)=30/30/25/400sccm
エッチング選択比(第2の絶縁膜16に対する第1の絶縁膜15と第4の絶縁膜18のエッチングレート比率):10。
【0050】
第1及び第4の絶縁膜の、第2の絶縁膜に対するエッチング選択比は5〜15であることが好ましい。また、図13のエッチング後では、第1の絶縁膜15内にコンタクトホール20の一部を構成する開口部15bが形成され、基板主面の法線方向28の上方に向って第2の方向26の幅が狭まる傾斜面29を有するようになっている。
【0051】
以上の通り、第1の絶縁膜15と第2の絶縁膜16は、異なるエッチングレートを有する材料で形成されており、その選択比は10となっているので、第2の絶縁膜16は第1の絶縁膜15をエッチングする際のエッチングストッパー膜となる。従って、第2の絶縁膜16をエッチングストッパー膜として、第1の絶縁膜15の露出部をエッチングすることにより、バリア層13bの一部を露出させるコンタクトホール20を形成することができる。
【0052】
このとき、レジスト19の開口パターンとバリア層13bの位置ずれが無ければ、図13Bに示したように、第3の絶縁膜17はほとんどエッチングされることなく、コンタクトホール20は、第1の絶縁膜15の露出幅Nに制限された幅でバリア層13bに到達する。
【0053】
位置ずれが生じると、図14Bの矢印で示したように、第3の絶縁膜17がエッチングされて、配線14の側面の方向へコンタクトホール20aが形成される。しかし、コンタクトホール20の底面がバリア層13bに到達するまでは、第2の絶縁膜16がコンタクトホール20aのエッチングストッパー膜となっているので、配線14の側面部がコンタクトホール20aによって露出することはない。従って、位置ずれが無い時と同じように、コンタクトホール20の底部の幅は、第1の絶縁膜15の露出幅Nに制限されることになる。
【0054】
第1の絶縁膜15内のコンタクトホール20の径は15〜45nmが好ましい。また、第4の絶縁膜18内のコンタクトホール20の径は20〜50nmが好ましい。
【0055】
残留しているレジスト19をアッシングで除去してから、コンタクトホール20及び20aを埋め込むように、タングステンからなる導電性膜を成膜する。このとき、第2の絶縁膜16上に存在する第4の絶縁膜18の表面には、導電性膜が残留しているので、それをCMPで除去すると、バリア層13bと接続したコンタクトプラグ21が形成されて、図13と図14はそれぞれ、図3と図4に示した構造となる。
【0056】
本実施例の半導体装置の製造方法によれば、バリア層13b上に位置する第1の絶縁膜の一部をCMPによって露出させることができる。この露出部をドライエッチングする際に、その周辺部に存在する第2の絶縁膜16が、エッチングストッパー膜として機能するので、レジスト19の開口パターンとバリア層13bの位置ずれ有無に関わらず、第1の絶縁膜15の露出幅Nで制限された接触面積で、バリア層13bとだけに接続するコンタクトプラグ21を形成できる。
【0057】
また、この第1の絶縁膜15は、バイアススパッタデポジション法で形成しており、自己整合的にバリア層13bの中心線上に頂点15aを有しているため、常に露出部15cがバリア層13bの直上となるように制御することができ、バリア層13bと露出部15cの位置がずれることなく、コンタクトプラグ21とバリア層13bとの接続を安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
11 半導体基板
12 絶縁膜
13、13a、13b バリア層
14 配線
15 第1の絶縁膜
15a、16a 頂点
15b、16b 開口部
16 第2の絶縁膜
17 第3の絶縁膜
18 第4の絶縁膜
19 フォトレジスト
20、20a コンタクトホール
21 コンタクトプラグ
25 第1の方向
26 第2の方向
27 高さ
28 基板主面の法線方向
29 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上において第1の方向に延在して形成された配線と、
前記配線上に形成されたバリア層と、
前記配線及びバリア層の側面を覆い少なくとも前記バリア層よりも上方において前記第1の方向と直交する第2の方向の幅が狭まる傾斜面を有するように形成された第1の絶縁膜であって、前記バリア層の上面の一部を露出すると共に前記配線及びバリア層の側面を露出させないように形成された開口部、を備えた第1の絶縁膜と、
前記開口部の内側を除き前記第1の絶縁膜上に形成され、かつ開口部を備えた第2の絶縁膜と、
少なくとも前記第1の絶縁膜の開口部を埋め込んで形成され前記バリア層を介して前記配線と接続されたコンタクトプラグと、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の絶縁膜における開口部の少なくとも上端の幅は、前記第2の絶縁膜の開口部の幅と一致していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜の上端部の高さは、前記第2の絶縁膜の上端部の高さと一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜は、異なるエッチングレートを有する材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の絶縁膜は、実質的に均一な厚さであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記コンタクトプラグが前記第2の絶縁膜の上面と接していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基板の主面の法線方向に対する前記傾斜面の角度は、35〜55°である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記コンタクトプラグは更に、前記第1の絶縁膜の開口部内に埋め込まれた下部の上に設けられた上部を有し、
前記第1の絶縁膜の開口部内に埋め込まれた前記コンタクトプラグの下部の径は15〜45nmである、請求項1乃至7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記コンタクトプラグは更に、前記第1の絶縁膜の開口部内に埋め込まれた下部の上に設けられた上部を有し、
前記コンタクトプラグの前記上部の径は20〜50nmである、請求項1乃至8の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
配線とコンタクトホールを有する半導体装置の製造方法において、
半導体基板上に配線を形成する工程と、
前記配線の上面を覆うバリア層を形成する工程と、
前記配線の側面並びに前記バリア層の側面と上面を覆うと共に前記バリア層上に頂点が位置し、かつ上方に向かって幅が狭くなるように第1の絶縁膜を成膜する工程と、
前記第1の絶縁膜を覆うように第2の絶縁膜を成膜する工程と、
前記第2の絶縁膜の一部を化学機械研磨法にて研磨して、前記バリア層上における前記第1の絶縁膜の一部を露出させる工程と、
前記第2の絶縁膜をエッチングストッパー膜として前記第1の絶縁膜の露出部をエッチングすることにより、前記バリア層の一部を露出させるコンタクトホールを形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記コンタクトホールを埋め込むように前記第2の絶縁膜上に導電性膜を成膜する工程と、
前記第2の絶縁膜上に残留した前記導電性膜を化学機械研磨法によって除去してコンタクトプラグを形成する工程と、
を有し、
前記コンタクトプラグを形成する工程において、前記コンタクトプラグを前記バリア層に接続させることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記露出した第1の絶縁膜の露出幅が前記配線の幅よりも小さいことを特徴とする請求項10又は11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜が、異なるエッチングレートを有する材料によって形成されていることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の絶縁膜が酸化シリコンであり、前記第2の絶縁膜が窒化シリコンであることを特徴とする請求項10乃至13の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜を成膜させる工程を有することを特徴とする請求項10乃至14の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第3の絶縁膜上に第4の絶縁膜を成膜させる工程を有することを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記コンタクトホールを形成する工程において、
前記第1及び第4の絶縁膜の、前記第2の絶縁膜に対するエッチング選択比が5〜15となるように、前記第1及び第4の絶縁膜をエッチングして前記コンタクトホールを形成する、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記コンタクトホールを形成する工程において、
前記第4の絶縁膜内の前記コンタクトホールの径は20〜50nmとなるように前記コンタクトホールを形成する、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記半導体基板の主面の法線方向に対する前記第1の絶縁膜の傾斜面の角度は35〜55°である、請求項10乃至18の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記コンタクトホールを形成する工程において、
前記第1の絶縁膜内の前記コンタクトホールの径は15〜45nmとなるように前記コンタクトホールを形成する、請求項10乃至19の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−258694(P2011−258694A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131009(P2010−131009)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】