説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】端子板の一端部及びこれに電気接続された半導体チップをモールド樹脂で封止し、端子板の他端部をモールド樹脂の外面から突出した半導体装置において、端子板の他端部を折り曲げても、端子板とモールド樹脂との密着性低下を抑制でき、かつ、半導体装置の製造効率向上を図れるようにする。
【解決手段】モールド樹脂8の平坦な第一外面8aに、端子板4,5の他端部42,52の突出方向の先端をネジにより固定するためのネジ止め部81を形成し、端子板4,5の他端部42,52を、前記第一外面8aに隣り合うと共にこの第一外面8aと異なる向きに面するモールド樹脂8の第二外面8cから略垂直に突出させた半導体装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置には、例えば図19のように、端子板201,202の長手方向の一端部211,221と半導体チップ203とを電気接続した上で、端子板201,202の一端部211,221及び半導体チップ203をモールド樹脂205により封止し、端子板201,202の他端部212,222をモールド樹脂205から突出させたものがある(特許文献1参照)。また、この半導体装置では、モールド樹脂205の上面205aに形成されたネジ止め部251、及び、端子板201,202の他端部212,222の突出方向先端に形成されてネジを挿通させる挿通孔213,223を利用して、端子板201,202の他端部212,222と外部の電気配線(不図示)とをネジ止めにより接続・固定するように構成されている。
具体的に説明すれば、上記構成の半導体装置では、端子板201,202の他端部212,222がモールド樹脂205の上面205aの周縁から上面205aに沿って外側に突出している。そして、端子板201,202と外部の電気配線とをネジ止めする際には、他端部212,222に形成された挿通孔213,223がモールド樹脂205のネジ止め部251に対向するように、端子板201,202の他端部212,222を一端部211,221に対して折り曲げる加工を施す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−238804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の半導体装置では、上述した折り曲げ加工を施す際に、他端部212,222を大きな角度で折り曲げる(図19においては逆向きに折り曲げている)必要があるため、端子板201,202の他端部212,222とモールド樹脂205との境界部分に大きな応力がかかってしまう。なお、従来では、この応力が少しでも軽減されるように、多数回(例えば4回)に分けて端子板201,202の折り曲げ加工を実施しているが、他端部212,222の折り曲げ箇所がモールド樹脂205との境界部分に集中しているため、応力は十分には軽減されていない。
また、端子板201,202と外部の電気配線とをネジ止めする際には、挿通孔213,223の軸線を中心として端子板201,202の他端部212,222を回転させようとする外力が端子板201,202の他端部212,222にかかるため、この外力に基づいても、端子板201,202の他端部212,222とモールド樹脂205との境界部分に大きな応力が生じてしまう。
【0005】
このように、端子板201,202の他端部212,222とモールド樹脂205との境界部分に大きな応力がかかると、この境界部分における端子板201,202とモールド樹脂205との密着性が低下してしまう。その結果として、端子板201,202とモールド樹脂205との間から内部に水分が浸入しやすくなり、半導体装置の電気的な信頼性が低下する、という問題がある。
また、上記従来の半導体装置においては、端子板201,202の他端部212,222を折り曲げる回数が多いことから半導体装置の製造効率が低い、という問題もある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、モールド樹脂から突出する端子板に対して折り曲げ加工を施しても、端子板とモールド樹脂との密着性低下を抑制でき、かつ、半導体装置の製造効率向上を図ることが可能な半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の半導体装置は、端子板の長手方向の一端部と半導体チップとを電気接続した上で、前記一端部及び前記半導体チップをモールド樹脂により封止し、前記端子板の他端部を前記モールド樹脂の外面から突出させてなる半導体装置であって、前記モールド樹脂の平坦な第一外面には、前記端子板の他端部の突出方向の先端をネジにより固定するためのネジ止め部が形成され、前記端子板の他端部は、前記第一外面に隣り合うと共に当該第一外面と異なる向きに面する前記モールド樹脂の第二外面から略垂直に突出していることを特徴とする。
【0008】
なお、前記半導体装置においては、前記端子板の他端部は、前記一端部との間の第一折曲線において折り曲げられることで前記第二外面上に配される突出方向の基端板部と、当該基端板部との間の第二折曲線において折り曲げられることで前記ネジ止め部に対向するように前記第一外面上に配される先端板部とを備え、当該先端板部には、その厚さ方向に貫通して前記ネジを挿通させる挿通孔が形成されているとよい。
【0009】
上記構成の半導体装置では、端子板の他端部がモールド樹脂の第二外面から略垂直に突出していることで、従来の場合と比較して、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分における他端部の折曲角度が小さくなる(例えば90度となる)ため、端子板の一端部に対して他端部(基端板部)を折り曲げる際に、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力を低減することができる。
また、端子板の基端板部をモールド樹脂の第二外面上に配するための折曲げ箇所(第一折曲線)と、先端板部をモールド樹脂の第一外面上に配するための折曲げ箇所(第二折曲線)とが互いに離れているため、先端板部を基端板部に対して折り曲げる際に、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力を非常に小さく抑えることができる。
【0010】
さらに、先端板部に対して折り曲げられた基端板部がモールド樹脂の第二外面上に配されていることで、ネジにより先端板部をネジ止め部に固定する際に、挿通孔の軸線を中心として端子板の先端板部を回転させようとする外力(回転力)が先端板部にかかっても、基端板部の幅方向の少なくとも一方側がモールド樹脂の第二外面に押し付けられるため、ネジ止めの際に端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力を抑制することができる。
また、上記構成の半導体装置では、端子板の折曲げ回数が2回となり、従来と比較してこの折曲げ回数を減らすことができるため、半導体装置の製造効率を向上させることもできる。
【0011】
そして、前記半導体装置においては、前記他端部の突出方向に沿う前記第一折曲線と前記第二折曲線との間隔が、前記端子板の幅方向の一方側から他方側に向かうにしたがって狭くなっていることがより好ましい。
【0012】
ネジ止めの際には先端板部に前述した回転力が作用することで、基端板部にはその幅方向の力がかかり、この力によって端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分に応力が生じる。
このことに対し、上記構成では、ネジ止めの際に、基端板部にその幅方向の一方側から他方側に向かう方向に力がかかっても、基端板部の長手方向の寸法が、端子板の幅方向の一方側から他方側に向かうにしたがって狭くなっていることで、この方向の力に対する基端板部の剛性が高められるため、ネジ止め時の回転力に基づいて基端板部の幅方向にかかる力が端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分に伝わることを抑えることができる。したがって、この境界部分にかかる応力をさらに抑制することができる。
【0013】
また、前記半導体装置においては、前記第二折曲線における前記他端部の幅方向の少なくとも一方の側端部が、前記第一折曲線における前記他端部の幅方向の前記側端部に対して前記幅方向にずれて位置しているとよい。
そして、前記半導体装置においては、前記側端部が前記他端部の突出方向に対して傾斜しているとなおよい。
【0014】
なお、前記半導体装置においては、前記側端部のうち前記第二折曲線における部分が、他の部分に対して前記端子板の幅方向に突出していてもよいし、他の部分に対して前記端子板の幅方向に窪んでいてもよい。
【0015】
これらの構成では、ネジ止めの際に先端板部に作用する回転力に基づいて基端板部にかかる力の方向が、他端部の側端部のうち第二折曲線における部分が第一折曲線における部分に対して端子板の幅方向に沿ってずれる方向と逆向きになっているときに、基端板部の幅方向にかかる力が端子板の長手方向に分散されることになる。特に、他端部の側端部が他端部の突出方向に対して傾斜している場合には、基端板部の幅方向にかかる力を効率よく分散することができる。このため、基端板部の幅方向にかかる力が、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分に作用することを抑えることができる。したがって、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力をさらに抑制することができる。
【0016】
さらに、前記半導体装置において、前記モールド樹脂の前記第二外面は、前記基端板部を収容して当該基端板部の側端部を支持する収容凹部を有して形成されているとよい。
この構成では、ネジ止めの際に、基端板部にその幅方向の力がかかっても、基端板部の側端部が収容凹部の内側面に当接するため、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力をさらに緩和することができる。
【0017】
また、前記半導体装置においては、前記モールド樹脂の前記第一外面と前記第二外面との角部に、当該角部に配される前記他端部の幅方向の側端部に当接する球状突起が形成されているとよい。
ネジ止めの際には、前述した基端板部の場合と同様に、モールド樹脂の第一外面と第二外面との角部に配される他端部にもその幅方向に力がかかる。これに対し、上記構成では、ネジ止めの際に角部に位置する他端部にその幅方向への力がかかっても、他端部の側端部が球状突起に当接するため、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力をさらに抑制することができる。
また、他端部の側端部が球状突起に当接する際、球状突起にかかる応力が分散されるため、モールド樹脂自体の剛性が低くても端子板の他端部を十分に支持することができる。
【0018】
そして、本発明の製造方法は、前記半導体装置を製造する方法であって、前記半導体装置に対し、前記基端板部と前記先端板部とのなす角度が前記第二外面と前記第一外面とのなす角度となるように、前記第二折曲線において前記他端部を折り曲げた後に、前記基端板部が前記第二外面上に配されるように、前記第一折曲線において前記他端部を前記一端部に対して折り曲げることを特徴とする。
【0019】
この製造方法によれば、先に第二折曲線において他端部を折り曲げることで、モールド樹脂の第二外面から離れるように突出する基端板部を容易に支持できるため、この折り曲げの際に、端子板の基端板部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力を非常に小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、端子板の他端部を折り曲げる際、あるいは、ネジにより端子板の他端部をモールド樹脂のネジ止め部に固定する際に、端子板の他端部とモールド樹脂との境界部分にかかる応力を抑制することができるため、境界部分における端子板とモールド樹脂との密着性低下を抑制できる。その結果として、モールド樹脂内部への水分浸入を抑えて、半導体装置の電気的な信頼性を向上させることができる。
また、従来と比較して、端子板の折曲げ回数を減らすことができるため、半導体装置の製造効率を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一実施形態に係る半導体装置であって端子板に折曲加工を施す前の状態を示す斜視図である。
【図2】図1の半導体装置を示す概略上面図である。
【図3】図1,2の半導体装置を示す概略側断面図である。
【図4】図1の半導体装置において、端子板をモールド樹脂の上面側から見た状態を示す要部拡大図である。
【図5】図1の半導体装置において端子板に折曲加工を施す半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】図5の製造方法を経た半導体装置をなす折曲加工後の端子板を示しており、(a)は拡大上面図、(b)は拡大側面図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係る半導体装置をなす折曲加工前の端子板を、モールド樹脂の上面側から見た状態を示す要部拡大図である。
【図8】図7の端子板に折曲加工を施した後の状態を示しており、(a)は拡大上面図、(b)は拡大側面図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る半導体装置をなす折曲加工前の端子板を、モールド樹脂の上面側から見た状態を示す要部拡大図である。
【図10】図9の端子板に折曲加工を施した後の状態を示しており、(a)は拡大上面図、(b)は拡大側面図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係る半導体装置をなす折曲加工前の端子板を、モールド樹脂の上面側から見た状態を示す要部拡大図である。
【図12】図11の端子板に折曲加工を施した後の状態を示しており、(a)は拡大上面図、(b)は拡大側面図である。
【図13】本発明の第五実施形態に係る半導体装置をなす折曲加工前の端子板を、モールド樹脂の上面側から見た状態を示す要部拡大図である。
【図14】図13の端子板に折曲加工を施した後の状態を示しており、(a)は拡大上面図、(b)は拡大側面図である。
【図15】本発明の第六実施形態に係る半導体装置をなす折曲加工前の端子板を、モールド樹脂の上面側から見た状態を示す要部拡大図である。
【図16】図15の端子板に折曲加工を施した後の状態を示しており、(a)は拡大上面図、(b)は拡大側面図である。
【図17】本発明の第七実施形態に係る半導体装置のうち、モールド樹脂から突出する端子板に折曲加工を施した後の状態を示しており、(a)は拡大上面図、(b)は拡大側面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する概略上面図である。
【図19】従来の半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第一実施形態〕
以下、図1〜6を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1〜3に示すように、この実施形態に係る半導体装置1は、ヒートシンク2と、ヒートシンク2の上面2a上に間隔をあけて配されるダイパッド3及び複数の端子板4,5と、ダイパッド3の上面3aに搭載される半導体チップ6と、端子板4,5と半導体チップ6とを電気接続する接続子7とを、モールド樹脂8により封止して大略構成されている。
ヒートシンク2は、半導体チップ6において生じた熱を効率よく放熱するものであり、厚板状に形成されている。このヒートシンク2は、少なくとも銅(Cu)、タングステン、モリブデン等の放熱性の高い材料によって形成されていればよいが、例えばこれに加えてNiメッキを施したものでもよい。
【0023】
ダイパッド3及び複数の端子板4,5は、それぞれ銅材等の導電性を有する材料を平板状に形成して構成されており、これらの間で電気的な短絡が生じないように、その面方向に互いに間隔をあけて配されている。
そして、ダイパッド3に搭載される半導体チップ6は、板状に形成され、その上面6a及び下面6bに電極を有して構成されている。この半導体チップ6は、ダイオード等のように通電により発熱するものであり、半田等のように導電性を有する導電性接合剤を介してダイパッド3の上面3aに固定されている。これにより、半導体チップ6がダイパッド3に電気接続されている。
【0024】
各端子板4,5は、平面視矩形の帯板状に形成されており、その長手方向の一端部をなす内部接続部41,51と、長手方向の他端部をなす外部接続部42,52とを有している。
内部接続部41,51は、接続子7の一端を接合して半導体チップ6に電気接続される部分である。この内部接続部41,51は、ヒートシンク2の上面2a上においてダイパッド3に隣り合う位置に配され、モールド樹脂8内に埋設されている。
一方、外部接続部42,52は、半導体チップ6を外部に電気接続するための部分である。この外部接続部42,52は、内部接続部41,51よりもダイパッド3から離れるように、また、ヒートシンク2の上面2aの周縁から突出するように位置している。
【0025】
複数の端子板4,5は、一対の端子板4,5がダイパッド3側から互いに離れる方向に延びるように配されている。
そして、ダイパッド3と、一対の端子板4,5の一方(第一端子板4)をなす内部接続部41との間に、導電性を有するボンディングワイヤや接続板等の接続子7を配することで、第一端子板4と半導体チップ6とが電気接続されている。また、他方の端子板(第二端子板5)の内部接続部51と半導体チップ6の上面6aとの間に接続子7を配することで、第二端子板5と半導体チップ6とが電気接続されている。
【0026】
なお、本実施形態では、一つのダイパッド3、一つの半導体チップ6、一対の端子板4,5からなるユニットが二組形成され、これら二組のユニットによって一つの半導体装置1が構成されている。これら二組のユニットは、二つの第一端子板4がその幅方向に間隔をあけて隣り合うように配列されている。
【0027】
モールド樹脂8は、ヒートシンク2の下面2bが露出するように、また、各端子板4,5の外部接続部42,52が外方に突出するように、ヒートシンク2の上面2a、ダイパッド3、各端子板4,5の内部接続部41,51、半導体チップ6及び接続子7を封止している。すなわち、ダイパッド3、各端子板4,5の内部接続部41,51、半導体チップ6及び接続子7は、モールド樹脂8の内部に埋設されている。
より詳細に説明すれば、モールド樹脂8は、ヒートシンク2の上面2aのうち端子板4,5の幅方向に沿うヒートシンク2の長手方向の両端が露出するように形成されている。また、モールド樹脂8は、端子板4,5の外部接続部42,52がモールド樹脂8の側面(第二外面)8cから略垂直に突出するように形成されている。
【0028】
そして、本実施形態の半導体装置1は、図5(c)に示すように、端子板4,5の外部接続部42,52が、内部接続部41,51に対して折り曲げ加工されることで、モールド樹脂8の側面8c及び上面(第一外面)8aに配されるように構成されている。なお、モールド樹脂8の側面8cは、図1,3,4に示すように、外部接続部42,52を収容してその幅方向の側端部42a,42b,52a,52bを支持する収容凹部82を有して形成されている。収容凹部82は、モールド樹脂8の上面8a側に開口するように形成されている。また、端子板4,5の幅方向に沿う収容凹部82の幅寸法は、端子板4,5の幅寸法に対して同等あるいは微小に大きく設定されている。
さらに、モールド樹脂8の上面8aには、端子板4,5の外部接続部42,52の突出方向の先端をネジにより固定するためのネジ止め部81が形成されている。なお、本実施形態におけるネジ止め部81は、ナットを挿入する孔であるが、例えばモールド樹脂8自体に直接形成されて、端子板4,5固定用のネジを螺合するための雌ネジであってもよい。
【0029】
このように構成されるモールド樹脂8に対し、各端子板4,5の外部接続部42,52は、図4,5に示すように、内部接続部41,51との間の第一折曲線L1において折り曲げられることでモールド樹脂8の側面8c上に配される突出方向の基端板部43,53と、基端板部43,53との間の第二折曲線L2において折り曲げられることでモールド樹脂8のネジ止め部81に対向するようにモールド樹脂8の上面8a上に配される先端板部44,54とを備えている。なお、本実施形態においては、二つの折曲線L1,L2が、共に端子板4,5の外部接続部42,52の突出方向に直交し、互いに平行している。
そして、先端板部44,54には、その厚さ方向に貫通して端子板4,5固定用のネジを挿通させるための挿通孔45,55が形成されている。
【0030】
以上のように構成される半導体装置1を製造する場合には、例えば、ダイパッド3及び端子板4,5の相対的な位置決めを治具等により行い、また、半導体チップ6をダイパッド3に搭載した上で、接続子7により端子板4,5と半導体チップ6とを電気接続すればよい(接続工程)。
その後、モールド樹脂8を形成する樹脂封止工程においては、例えばヒートシンク2の上面2a上にダイパッド3及び端子板4,5が間隔をあけて位置するように、モールド成形用の金型等により、ヒートシンク2、ダイパッド3及び端子板4,5の相対的な位置決めを実施すればよい。
【0031】
そして、半導体装置1の製造をさらに進める際には、はじめに図5(a)、(b)に示すように、各端子板4,5のうち基端板部43,53と先端板部44,54とのなす角度がモールド樹脂8の側面8cと上面8aとのなす角度(図示例では90度)となるように、第二折曲線L2において先端板部44,54を基端板部43,53に対して折り曲げる(第一折曲工程)。この工程においては、モールド樹脂8の側面8cから離れるように突出する基端板部43,53を容易に支持することができるため、先端板部44,54を折り曲げる際に、端子板4,5の基端板部43,53とモールド樹脂8との境界部分にかかる応力を非常に小さく抑えることができる。
【0032】
最後に、図5(b),(c)に示すように、示すように、基端板部43,53がモールド樹脂8の側面8c上に配されるように、第一折曲線L1において基端板部43,53を内部接続部41,51に対して折り曲げる(第二折曲工程)ことで、半導体装置1の製造が完了する。
そして、第二折曲工程を経た半導体装置1では、図5(c),6に示すように、端子板4,5の基端板部43,53が、モールド樹脂8に形成された収容凹部82内に配されている。なお、図示例では、各端子板4,5の内部接続部41,51と基端板部43,53とのなす角度が90度となっている。また、端子板4,5の先端板部44,54は、その挿通孔45がネジ止め部81に対向するようにモールド樹脂8の上面8a上に配されている。
【0033】
以上説明したように第一実施形態の半導体装置1及びその製造方法によれば、端子板4,5の外部接続部42,52がモールド樹脂8の側面8cから略垂直に突出していることで、従来の場合と比較して、外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分における外部接続部42,52の折曲角度が小さくなるため、内部接続部41,51に対して外部接続部42,52の基端板部43,53を折り曲げる際に、外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分にかかる応力を低減することができる。
特に、端子板4,5の外部接続部42,52を折り曲げる二つの第一折曲線L1と第二折曲線L2が互いに離れているため、先端板部を基端板部に対して折り曲げる際に、外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分にかかる応力を非常に小さく抑えることができる。
【0034】
また、ネジにより先端板部44,54をネジ止め部81に固定する際には、図6に示すように、挿通孔45,55の軸線を中心として先端板部44,54を回転させようとする外力(回転力;図6(a)における矢印r方向の力)が先端板部44,54にかかる。これに対し、本実施形態では、端子板4,5の先端板部44,54に対して折り曲げられた基端板部43,53が、モールド樹脂8の側面8c上に配されているため、r方向の回転力が先端板部44,54にかかっても、基端板部43,53の幅方向の一方側がモールド樹脂8の側面8c(図示例では収容凹部82の底面)に押し付けられることになる。
【0035】
さらに、先端板部にr方向の回転力が先端板部44,54が作用すると、基端板部43,53にはその幅方向の一方側(一方の側端部42a,52a側)から他方側(他方の側端部42b,52b側)に向かう力(図6における矢印w方向の力)がかかる。これに対し、本実施形態では、収容凹部82が形成されていることで、基端板部43,53の他方の側端部42b,52が収容凹部82の内側面に当接することになる。
したがって、ネジ止めの際に端子板4,5の外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分にかかる応力を抑制・緩和することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の半導体装置1では、端子板4,5の外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分にかかる応力を抑制することができるため、この境界部分における端子板4,5とモールド樹脂8との密着性低下を抑制できる。その結果として、モールド樹脂8内部への水分浸入を抑えて、半導体装置1の電気的な信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態の半導体装置1では、端子板4,5の折曲げ回数が2回となり、従来と比較してこの折曲げ回数を減らすことができるため、半導体装置1の製造効率を向上させることもできる。
【0037】
〔第二実施形態〕
次に、図7,8を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態に係る半導体装置は、図7,8に示すように、第一実施形態の半導体装置1と比較して、端子板4,5を折り曲げる方法のみが異なっている。
図7に示すように、この実施形態の半導体装置では、第一実施形態と同様に、端子板4,5が平面視矩形の帯状に形成され、その外部接続部42,52がモールド樹脂8の側面8cから突出している。ただし、外部接続部42,52の突出方向に沿う第一折曲線L1と第二折曲線L2との間隔が、端子板4,5の一方の側端部42a,52a側から他方の側端部42b,52b側に向かうにしたがって狭くなっている。言い換えれば、基端板部43,53の長手方向の寸法が、端子板4,5の幅方向の一方側から他方側に向かうにしたがって狭くなっている。そして、本実施形態において、第一折曲線L1及び第二折曲線L2は、外部接続部42,52の突出方向に対して互いに異なる方向に傾斜している。
【0038】
このように設定された二つの折曲線L1,L2において外部接続部42,52を折り曲げた状態においては、図8に示すように、外部接続部42,52をなす基端板部43,53のうち先端板部44,54側の端部が、内部接続部41,51側の端部よりもネジ止め時に基端板部43,53にかかる力の方向(矢印w方向)にずれて位置するように、基端板部43,53がモールド樹脂8の厚さ方向に対して傾斜している。また、基端板部43,53は、その一方の側端部42a,52a側から他方の側端部42b,52b側に向かうにしたがってモールド樹脂8の側面8cから離れるように、モールド樹脂8の側面8cに対して傾斜して配されている。
【0039】
一方、先端板部44,54は、その一方の側端部42a,52a側から他方の側端部42b,52b側に向かうにしたがって、モールド樹脂8の上面8aに近づくように、モールド樹脂8の上面8aに対して傾斜して配されている。
そして、本実施形態では、外部接続部42,52の突出方向に対する二つの折曲線L1,L2の傾斜角度の大きさが同等であるため、モールド樹脂8の上面側から見て、端子板4,5の基端板部43,53に対する内部接続部41,51及び先端板部44,54の延出方向が互いに平行している。
【0040】
なお、本実施形態の図示例には記載されていないが、例えば第一実施形態と同様に、モールド樹脂8の側面8cには、端子板4,5の基端板部43,53を収容する収容凹部82が形成されていてもよい。なお、本実施形態において収容凹部82を形成する場合には、本実施形態の基端板部43,53の配置に対応するように、モールド樹脂8の厚さ方向に対して傾斜するように形成されていることが好ましい。
【0041】
本実施形態の半導体装置によれば、第一実施形態の場合と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態では、基端板部43,53の長手方向の寸法が、端子板4,5の幅方向の一方側から他方側に向かうにしたがって狭くなっていることで、ネジ止めの際に基端板部43,53に作用するw方向の力に対する基端板部43,53の剛性が高められている。このため、基端板部43,53に作用するw方向の力が端子板4,3の外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分に伝わることを抑えることができる。したがって、第一実施形態の場合と比較して、この境界部分にかかる応力をさらに抑制することができる。
また、この構成では、先端板部44,54がモールド樹脂8の上面8aに対して傾斜した状態で配されるため、ネジ止めの際にはこの先端板部44,54がバネワッシャの役割を果たし、ネジによる締結力を向上させることもできる。
【0042】
〔第三実施形態〕
次に、図9,10を参照して本発明の第三実施形態について説明する。
本実施形態に係る半導体装置は、図9,10に示すように、第一実施形態の半導体装置1と比較して、端子板4,5の形状のみが異なっている。
この実施形態の半導体装置では、図9に示すように、端子板4,5が、第一実施形態と同様に、モールド樹脂8の側面8cから垂直に突出する帯状に形成されている。また、二つの折曲線L1,L2が、共に端子板4,5の外部接続部42,52の突出方向に直交し、互いに平行している。ただし、本実施形態の端子板4,5では、その外部接続部42,52の一方の側端部42a,52aのうち第二折曲線L2における部分が、第一折曲線L1における部分に対してずれて位置している。
【0043】
詳細に説明すれば、内部接続部41,51及び先端板部44,54の先端部分における端子板4,5の幅寸法は、互いに等しく設定されている。また、一方の側端部42a,52aのうち第二折曲線L2における部分は、他の部分に対して端子板4,5の幅方向に突出しており、この部分における端子板4,5の幅寸法は、内部接続部41,51や先端板部44,54の先端部分よりも大きく設定されている。
そして、一方の側端部42a,52aは、第二折曲線L2の部分から第一折曲線L1の部分あるいは先端板部44,54の先端部分に向かうにしたがって、他方の側端部42b,52bに近づくように端子板4,5の突出方向に対して傾斜している。
このように形成された端子板4,5の外部接続部42,52を、二つの折曲線L1,L2において折り曲げた状態においては、図10に示すように、外部接続部42,52をなす基端板部43,53が、内部接続部41,51側から先端板部44,54側に向かうにしたがって幅寸法が大きくなる台形状に形成されている。そして、基端板部43,53のうち一方の側端部42a,52aのみが、台形状の斜辺をなしている。
【0044】
本実施形態の半導体装置によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、この半導体装置では、ネジ止めの際に基端板部43,53にかかる力の方向(w方向)が、一方の側端部42a,52aのうち第二折曲線L2における部分が第一折曲線L1における部分あるいは先端板部44,54の先端部分に対して端子板4,5の幅方向に沿ってずれる方向と逆向きになっている。このため、基端板部43,53に対してw方向にかかる力が、端子板4,5の長手方向に分散されることになる。
なお、図9,10における符号w1,w2は、w方向の力が斜辺とされた外部接続部42,52の一方の側端部42a,52aに沿って分散された力の方向を示している。すなわち、外部接続部の一方の側端部42a,52aが外部接続部42,52の突出方向に対して傾斜していることで、基端板部43,53の幅方向にかかる力を特に効率よく分散することができる。このため、ネジ止め時に基端板部43,53にかかる力が、端子板4,3の外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分に作用することを抑えることができる。したがって、第一実施形態の場合と比較して、この境界部分にかかる応力をさらに抑制することができる。
【0045】
〔第四実施形態〕
次に、図11,12を参照して本発明の第四実施形態について説明する。
この実施形態に係る半導体装置は、図11,12に示すように、第三実施形態の半導体装置と比較して、端子板4,5の形状のみが異なっている。
この実施形態の半導体装置では、図11に示すように、端子板4,5が、第一実施形態と同様に、モールド樹脂8の側面8cから垂直に突出する帯状に形成されている。また、二つの折曲線L1,L2が、共に端子板4,5の外部接続部42,52の突出方向に直交し、互いに平行している。そして、本実施形態の端子板4(5)では、その外部接続部42(52)の両方の側端部42a,42b(52a,52b)のうち第二折曲線L2における各部分が、第一折曲線L1における各部分に対してずれて位置している。
【0046】
具体的には、内部接続部41(51)及び先端板部44(54)の先端部分における端子板4,5の幅寸法は、互いに等しく設定されている。また、両方の側端部42a,42b(52a,52b)のうち第二折曲線L2における部分は、他の部分に対して端子板4(5)の幅方向に突出し、この部分における端子板4(5)の幅寸法は、内部接続部41(51)や先端板部44(54)の先端部分よりも大きく設定されている。
そして、一方の側端部42a(52a)は、第二折曲線L2の部分から第一折曲線L1の部分あるいは先端板部44(54)の先端部分に向かうにしたがって、他方の側端部42b(52b)に近づくように端子板4,5の突出方向に対して傾斜している。また、他方の側端部42b(52b)は、第二折曲線L2の部分から第一折曲線L1の部分あるいは先端板部44(54)の先端部分に向かうにしたがって、一方の側端部42a(52a)に近づくように端子板4,5の突出方向に対して傾斜している。
【0047】
このように形成された端子板4(5)の外部接続部42(52)を、二つの折曲線L1,L2において折り曲げた状態においては、図10に示すように、外部接続部42(52)をなす基端板部43(53)が、内部接続部41(51)側から先端板部44(54)側に向かうにしたがって幅寸法が大きくなる台形状に形成されている。そして、基端板部43(53)のうち両方の側端部42a,42b(52a,52b)が、台形状の斜辺をなしている。
【0048】
本実施形態の半導体装置によれば、第三実施形態と同様の効果を奏する。
すなわち、この半導体装置では、端子板4(5)の一方の側端部42a(52a)の形状が第三実施形態と同様であるため、ネジ止めの際に基端板部43(53)に対してw方向にかかる力を、端子板4(5)の長手方向(w1方向及びw2方向)に分散することができる。
さらに、本実施形態の半導体装置では、端子板4(5)の他方の側端部42b(52b)の形状が一方の側端部42a(52a)と逆向きとなっているため、例えばネジ止めの際に先端板部44(54)を回転させる向きがr方向と逆向きとなり(逆ネジであっても)、基端板部43(53)にw方向と逆向きの力がかかっても、この力を端子板4,5の長手方向に分散することもできる。
【0049】
〔第五実施形態〕
次に、図13,14を参照して本発明の第五実施形態について説明する。
本実施形態に係る半導体装置は、図13,14に示すように、第一実施形態の半導体装置と比較して、端子板4,5の形状のみが異なっている。
この実施形態の半導体装置では、図13に示すように、端子板4,5が、第一実施形態と同様に、モールド樹脂8の側面8cから垂直に突出する帯状に形成されている。また、二つの折曲線L1,L2が、共に端子板4,5の外部接続部42,52の突出方向に直交し、互いに平行している。そして、本実施形態の端子板4,5では、その外部接続部42,52の他方の側端部42b,52bのうち第二折曲線L2における部分が、第一折曲線L1における部分に対してずれて位置している。
【0050】
詳細に説明すれば、内部接続部41,51及び先端板部44,54の先端部分における端子板4,5の幅寸法は、互いに等しく設定されている。また、他方の側端部42b,52bのうち第二折曲線L2における部分は、他の部分に対して端子板4,5の幅方向に窪んでおり、この部分における端子板4,5の幅寸法は、内部接続部41,51や先端板部44,54の先端部分よりも小さく設定されている。
そして、他方の側端部42b,52bは、第二折曲線L2の部分から第一折曲線L1の部分あるいは先端板部44,54の先端部分に向かうにしたがって、一方の側端部42a,52aから離れるように端子板4,5の突出方向に対して傾斜している。
このように形成された端子板4,5の外部接続部42,52を、二つの折曲線L1,L2において折り曲げた状態においては、図14に示すように、外部接続部42,52をなす基端板部43,53が、内部接続部41,51側から先端板部44,54側に向かうにしたがって幅寸法が小さくなる台形状に形成されている。そして、基端板部43,53のうち他方の側端部42b,52bのみが、台形状の斜辺をなしている。
【0051】
本実施形態の半導体装置によれば、第三実施形態と同様の効果を奏する。
すなわち、ネジ止めの際に基端板部43,53にかかる力の方向(w方向)が、他方の側端部42b,52bのうち第二折曲線L2における部分が第一折曲線L1における部分あるいは先端板部44,54の先端部分に対して端子板4,5の幅方向に沿ってずれる方向と逆向きになっている。このため、基端板部43,53に対してw方向にかかる力が、端子板4,5の長手方向に分散されることになる。
なお、図13,14における符号w3,w4は、w方向の力が斜辺とされた外部接続部42,52の他方の側端部42b,52bに沿って分散された力の方向を示している。すなわち、外部接続部の他方の側端部42b,52bが外部接続部42,52の突出方向に対して傾斜していることで、基端板部43,53の幅方向にかかる力を特に効率よく分散することができる。したがって、第一実施形態の場合と比較して、端子板4,3の外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分にかかる応力をさらに抑制することができる。
【0052】
〔第六実施形態〕
次に、図15,16を参照して本発明の第六実施形態について説明する。
図8に示すように、この実施形態に係る半導体装置は、図15,16に示すように、第三〜第五実施形態の半導体装置と比較して、端子板4,5の形状のみが異なっている。
この実施形態の半導体装置では、図15に示すように、端子板4,5が、第一実施形態と同様に、モールド樹脂8の側面8cから垂直に突出する帯状に形成されている。また、二つの折曲線L1,L2が、共に端子板4,5の外部接続部42,52の突出方向に直交し、互いに平行している。
【0053】
そして、本実施形態の端子板4,5では、第三実施形態と同様に、その外部接続部42,52の一方の側端部42a,52aのうち第二折曲線L2における部分が、第一折曲線L1における部分や先端板部44,54の先端部分に対して、端子板4,5の幅方向に突出している。さらに、この端子板4,5では、第五実施形態と同様に、その外部接続部42,52の他方の側端部42b,52bのうち第二折曲線L2における部分が、第一折曲線L1における部分や先端板部44,54の先端部分に対して、端子板4,5の幅方向に窪んでいる。
さらに、本実施形態では、一方の側端部42a,52aのうち第二折曲線L2の部分の端子板4,5の幅方向への突出長さと、他方の側端部42b,52bのうち第二折曲線L2の部分の幅方向への窪み長さが等しく設定されている。このため、端子板4,5の幅寸法は、端子板4,5の長手方向にわたって一定とされ、端子板4,5の外部接続部42,52が端子板4,5の幅方向に蛇行している。
【0054】
以上のように形成された端子板4,5の外部接続部42,52を、二つの折曲線L1,L2において折り曲げた状態においては、図16に示すように、外部接続部42,52をなす基端板部43,53が、内部接続部41,51側から先端板部44,54側に向かうにしたがって、ネジ止めの際に基端板部43,53にかかる力の方向(w方向)と逆向きに傾く平行四辺形に形成されている。
【0055】
本実施形態の半導体装置によれば、第三、第五実施形態と同様の効果を奏する。
すなわち、この半導体装置では、端子板4,5の一方の側端部42a,52aの形状が第三実施形態と同様であるため、ネジ止めの際に基端板部43,53に対してw方向にかかる力を、一方の側端部42a,52aに沿って端子板4,5の長手方向(w1方向及びw2方向)に分散することができる。また、端子板4,5の他方の側端部42b,52bの形状が第五実施形態と同様であるため、ネジ止めの際に基端板部43,53に対してw方向にかかる力を、他方の側端部42b,52bに沿って端子板4,5の長手方向(w3方向及びw4方向)に分散することができる。
なお、この第六実施形態において、端子板4,5の外部接続部42,52は、少なくとも端子板4,5の幅方向に蛇行していればよく、例えば、外部接続部42,52の幅寸法はその突出方向に変化していてもよい。
【0056】
〔第七実施形態〕
次に、図17を参照して本発明の第六実施形態について説明する。
この実施形態に係る半導体装置は、図17に示すように、第一実施形態の半導体装置と比較して、モールド樹脂8の形状のみが異なっている。
すなわち、この実施形態の半導体装置では、図17に示すように、モールド樹脂8の上面8aと側面8cとの角部に、この角部に配される端子板4(5)の外部接続部42(52)の両方の側端部42a,42b(52a,52b)に当接する球状突起83が一対形成されている。そして、これら一対の球状突起83には、外部接続部42(52)のうち第二折曲線L2に位置する部分が当接する。
なお、本実施形態においては、収容凹部82の両側壁部をモールド樹脂8の上面8aから突出させるように延長した上で、この両側壁部の内側面から収容凹部82の幅方向内側に突出させるように球状突起83を形成しているが、これに限ることはない。
【0057】
この実施形態の半導体装置によれば、ネジ止めの際にはモールド樹脂8の上面8aと側面8cとの角部に配される外部接続部42(52)にもその幅方向(w方向)に力がかかるが、この際には角部に位置する外部接続部42(52)の他方の側端部42b(52b)に球状突起83が当接することで、端子板4,3の外部接続部42,52とモールド樹脂8との境界部分にかかる応力をさらに抑制することができる。
また、外部接続部42,52の側端部42a,42b(52a,52b)が球状突起83に当接する際、球状突起83にかかる応力は分散されるため、例えばモールド樹脂8自体の剛性が低くてもネジ止めの際に端子板4(5)の外部接続部42(52)を十分に支持することができる。
なお、この第七実施形態の構成は、前述した第二〜第六実施形態のいずれにも適用することが可能である。
【0058】
以上、第一〜第七実施形態により本発明の詳細を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、全ての実施形態では、半導体装置1を製造する際に使用するダイパッド3及び端子板4,5が、個別に構成されるとしたが、例えば図18に示すように、銅材をはじめとする導電性板材にプレス加工やエッチング加工等を施してなるリードフレーム100によって一体に形成されてもよい。
このリードフレーム100は、第一実施形態の半導体装置1と同様の位置にダイパッド3及び端子板4,5を配置した上で、これらダイパッド3及び端子板4,5を同一の枠体部9に連結して構成されている。ここで、端子板4,5は、モールド樹脂8の外側に配される外部接続部42,52を枠体部9に直接接続することで、枠体部9に連結されている。一方、ダイパッド3は、モールド樹脂8の内側から外側まで延びる連結リード10を介して枠体部9に連結されている。
【0059】
このリードフレーム100を用いて第一実施形態の半導体装置1を製造する場合には、接続工程や樹脂封止工程においてダイパッド3及び端子板4,5の相対的な位置決めを行う必要が無いため、半導体装置1の製造効率の向上を図ることができる。
また、第一、第二折曲工程を行う際には、少なくとも端子板4,5の外部接続部42,52のみを枠体部9から切り離せばよいため、半導体装置1を枠体部9に支持させておくことができる。特に、一つの半導体装置1の製造に要するダイパッド3及び端子板4,5のユニットを同一のリードフレーム100に複数形成した場合には、第一、第二折曲工程において複数の半導体装置1を同一の枠体部9に支持させた状態で、複数の端子板4,5の折り曲げ加工を一度にまとめて実施することが可能となる。また、第一、第二折曲工程において複数の半導体装置1が同一の枠体部9に支持されていることで、複数の半導体装置1を別個の治具等により個別に支持する必要がなくなり、半導体装置1の製造効率の向上を図ることができる。
【0060】
また、全ての実施形態において、ヒートシンク2とダイパッド3及び端子板4,5との間には、モールド樹脂8が介在するとしたが、少なくともヒートシンク2とダイパッド3及び端子板4,5とが電気的に絶縁されていればよく、例えば別個の絶縁性部材を介在させてもよい。
さらに、全ての実施形態においては、ダイパッド3が、一対の端子板4,5と間隔をあけて配されるとしたが、例えば第一端子板4の内部接続部41に一体に形成されてもよい。この場合、ダイパッド3と第一端子板4とを電気接続する接続子7が不要となるため、半導体装置1の製造コスト削減及び製造効率向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 半導体装置
2 ヒートシンク
3 ダイパッド
4 第一端子板
41 内部接続部(一端部)
42 外部接続部(他端部)
42a,42b 側端部
43 基端板部
44 先端板部
45 挿通孔
5 第二端子板
51 内部接続部(一端部)
52 外部接続部(他端部)
52a,52b 側端部
53 基端板部
54 先端板部
55 挿通孔
6 半導体チップ
7 接続子
8 モールド樹脂
8a 上面(第一外面)
8c 側面(第二外面)
81 ネジ止め部
82 収容凹部
83 球状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子板の長手方向の一端部と半導体チップとを電気接続した上で、前記一端部及び前記半導体チップをモールド樹脂により封止し、前記端子板の他端部を前記モールド樹脂の外面から突出させてなる半導体装置であって、
前記モールド樹脂の平坦な第一外面には、前記端子板の他端部の突出方向の先端をネジにより固定するためのネジ止め部が形成され、
前記端子板の他端部は、前記第一外面に隣り合うと共に当該第一外面と異なる向きに面する前記モールド樹脂の第二外面から略垂直に突出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記端子板の他端部は、前記一端部との間の第一折曲線において折り曲げられることで前記第二外面上に配される突出方向の基端板部と、当該基端板部との間の第二折曲線において折り曲げられることで前記ネジ止め部に対向するように前記第一外面上に配される先端板部とを備え、
当該先端板部には、その厚さ方向に貫通して前記ネジを挿通させる挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記他端部の突出方向に沿う前記第一折曲線と前記第二折曲線との間隔が、前記端子板の幅方向の一方側から他方側に向かうにしたがって狭くなっていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第二折曲線における前記他端部の幅方向の少なくとも一方の側端部が、前記第一折曲線における前記他端部の幅方向の前記側端部に対して前記幅方向にずれて位置していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記側端部が前記他端部の突出方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記側端部のうち前記第二折曲線における部分が、他の部分に対して前記端子板の幅方向に突出していることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記側端部のうち前記第二折曲線における部分が、他の部分に対して前記端子板の幅方向に窪んでいることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記モールド樹脂の前記第二外面は、前記基端板部を収容して当該基端板部の側端部を支持する収容凹部を有して形成されていることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記モールド樹脂の前記第一外面と前記第二外面との角部に、当該角部に配される前記他端部の幅方向の側端部に当接する球状突起が形成されていることを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置に対し、
前記基端板部と前記先端板部とのなす角度が前記第二外面と前記第一外面とのなす角度となるように、前記第二折曲線において前記他端部を折り曲げた後に、
前記基端板部が前記第二外面上に配されるように、前記第一折曲線において前記他端部を前記一端部に対して折り曲げることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−69666(P2012−69666A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212328(P2010−212328)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】