説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の反りを抑制し、且つ、その反りの経時変化を抑制する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、基板上に形成された多層配線層と、を有し、多層配線層は、配線と、配線を覆う層間絶縁膜と、をそれぞれ有する複数層の配線層を有する。少なくとも何れか1つの層間絶縁膜(例えば、層間絶縁膜27、30)は、第1絶縁膜41と第2絶縁膜42とを有する。第1絶縁膜41は、基板を第1方向(例えば下に凸)に反らせる応力を基板に与える。第2絶縁膜42は、第1絶縁膜41よりも表層側に形成され、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低く、基板を第1方向に対する反対方向(例えば上に凸)に反らせる応力を基板に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、基板と、基板上に形成された多層配線層と、を有する。多層配線層は、層間絶縁膜を有する。半導体装置は、その層間絶縁膜に起因する応力によって、反る場合がある。
【0003】
特許文献1には、層間絶縁膜に起因する応力緩和のために、層間絶縁膜として常圧CVD酸化膜とP−SiON(プラズマ酸窒化膜)との積層膜を設けた半導体装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−109909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、以下のことを認識した。
層間絶縁膜の密度を疎にすることにより、半導体装置の反りの方向をコントロールできる。しかし、層間絶縁膜を疎膜にすると、層間絶縁膜が吸湿することにより、その応力が経時変化し、半導体装置の反りも経時変化を起こす。
【0006】
このように、半導体装置の反りを抑制し、且つ、その反りの経時変化を抑制することは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板と、
前記基板上に形成された多層配線層と、
を有し、
前記多層配線層は、配線と、前記配線を覆う層間絶縁膜と、をそれぞれ有する複数層の配線層を有し、
少なくとも何れか1つの前記層間絶縁膜は、
前記基板を第1方向に反らせる応力を前記基板に与える第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜よりも表層側に形成され、前記第1絶縁膜よりも吸湿性が低く、前記基板を前記第1方向に対する反対方向に反らせる応力を前記基板に与える第2絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
この半導体装置によれば、少なくとも何れか1つの層間絶縁膜は、基板を第1方向に反らせる応力を基板に与える第1絶縁膜と、第1絶縁膜よりも表層側に形成され、基板を第1方向に対する反対方向に反らせる応力を基板に与える第2絶縁膜と、を有する。よって、第1絶縁膜に起因する応力と、第2絶縁膜に起因する応力と、を相殺させることにより、半導体装置の反りを抑制することができる。
また、第2絶縁膜は、第1絶縁膜よりも吸湿性が低いため、第2絶縁膜の吸湿を抑制できる。しかも、第2絶縁膜は、第1絶縁膜よりも表層側に形成されているので、第2絶縁膜によって、第1絶縁膜の吸湿も抑制できる。このため、第2絶縁膜に起因する応力が経時変化してしまうことを抑制できるとともに、第1絶縁膜に起因する応力が経時変化してしまうことも抑制できる。よって、半導体装置の反りの経時変化を抑制することができる。
このように、半導体装置の反りを抑制し、且つ、その反りの経時変化を抑制することができる。
【0009】
また、本発明は、配線と、前記配線を覆う層間絶縁膜と、をそれぞれ有する複数層の配線層を含む多層配線層を基板上に形成する工程を有し、
少なくとも何れか1つの前記層間絶縁膜を形成する工程が、
前記基板を第1方向に反らせる応力を前記基板に与える第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜よりも表層側に、前記第1絶縁膜よりも吸湿性が低く、前記基板を前記第1方向に対する反対方向に反らせる応力を前記基板に与える第2絶縁膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体装置の反りを抑制し、且つ、その反りの経時変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1及び図2は第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。図1は図2に示される多層配線層4の少なくとも何れか1つの配線層の構造を示す図である。
【0014】
上述のように、半導体装置は、その層間絶縁膜に起因する応力によって、反る場合がある。この場合、層間絶縁膜の膜厚が厚いほど、反りが顕著となる。
【0015】
ここで、本発明者の検討により、絶縁膜を厚く成膜しても、その膜質を疎にすることによって、半導体装置の反りをコントロールできることが分かった。しかし、絶縁膜を疎にすると、絶縁膜の吸湿により反りの経時変化が顕著に表れることも分かった。そこで、本発明者は、疎な絶縁膜の吸湿を抑制することにより、半導体装置の反りの経時変化を抑制できることに想到した。
【0016】
本実施形態に係る半導体装置は、基板(半導体基板1(以下、単に基板1))と、基板1上に形成された多層配線層4と、を有する。多層配線層4は、配線と、配線を覆う層間絶縁膜と、をそれぞれ有する複数層の配線層を有する。少なくとも何れか1つの層間絶縁膜(例えば、層間絶縁膜27、30)は、第1絶縁膜41と第2絶縁膜42とを有する。第1絶縁膜41は、基板1を第1方向(例えば下に凸)に反らせる応力を基板1に与える。第2絶縁膜42は、第1絶縁膜41よりも表層側に形成され、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低く、基板1を第1方向に対する反対方向(例えば上に凸)に反らせる応力を基板1に与える。以下、詳細に説明する。
【0017】
図2に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、素子分離膜2が形成された半導体基板(基板)1と、半導体基板1の素子形成領域に形成されたMOSトランジスタ3と、素子分離膜2上及びMOSトランジスタ3上に形成された多層配線層4と、多層配線層4上に形成された保護絶縁膜5と、を有する。
【0018】
素子分離膜2は、STI法を用いて形成されたものであっても良いし、LOCOS法を用いて形成されたものであっても良い。
【0019】
MOSトランジスタ3は、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、ゲート電極の側壁に形成されたサイドウォールと、半導体基板1に形成された不純物領域(ソース及びドレイン)と、ソース及びドレインのエクステンション領域と、を有する。
【0020】
多層配線層4は、複数の配線層を積層することにより構成されている。多層配線層4が有する配線層の層数は任意であるが、図2においては、配線層が7層の例を示している。
【0021】
多層配線層4の最下層は、コンタクト層となっている。コンタクト層は、素子分離膜2上及びMOSトランジスタ3上に形成されたコンタクト層間絶縁膜11と、コンタクト層間絶縁膜11に形成されたコンタクト12と、を有している。コンタクト12は、例えばタングステンなどの金属により構成されている。
【0022】
コンタクト層間絶縁膜11及びコンタクト12の上には、第1層の配線層が形成されている。第1層の配線層は、コンタクト層間絶縁膜11上及びコンタクト12上に形成された配線層間絶縁膜13と、配線層間絶縁膜13に埋め込み形成された第1配線14と、を有している。第1配線14は、例えば銅などの金属により構成されている。
【0023】
配線層間絶縁膜13上及び第1配線14上には、層間絶縁膜15が形成されている。この層間絶縁膜15には、ビア16が埋め込み形成されている。
【0024】
第2層の配線層は、層間絶縁膜15上及びビア16上に形成された第2配線17と、第2配線17を覆う層間絶縁膜18と、層間絶縁膜18に形成されたビア19と、を有している。
【0025】
第3層の配線層は、第2層の配線層上に形成された第3配線20と、第3配線20を覆う層間絶縁膜21と、層間絶縁膜21に形成されたビア22と、を有している。
【0026】
第4層の配線層は、第3層の配線層上に形成された第4配線23と、第4配線23を覆う層間絶縁膜24と、層間絶縁膜24に形成されたビア25と、を有している。
【0027】
第5層の配線層は、第4層の配線層上に形成された第5配線26と、第5配線26を覆う層間絶縁膜27と、層間絶縁膜27に形成されたビア28と、を有している。
【0028】
第6層の配線層は、第5層の配線層上に形成された第6配線29と、第6配線29を覆う層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30に形成されたビア31と、を有している。
【0029】
最上層の配線層は、第6層の配線層上に形成された第7配線32を有している。第7配線32の一部分は、電極パッドとして機能する。
【0030】
第2乃至第7配線17、20、23、26、29及び32は、それぞれ、AlCuなどの金属膜をパターン形成することにより構成されている。
ビア16、19、22、25、28及び31は、それぞれ、タングステンなどの金属により構成されている。
ただし、ビアは配線と同一材料で一体形成されていても良い。
【0031】
保護絶縁膜5は、例えば、SiN/SiO膜6と、ポリイミド膜7と、の積層膜である。保護絶縁膜5には、電極パッドを露出させる開口5aが形成されている。
【0032】
半導体装置は、例えば、IC部51と、トランス部52と、を有している。トランス部52は、1次コイル53と、2次コイル54と、を有している。例えば、1次コイル53は、一部の第7配線32により構成され、2次コイル54は、第3配線20の一部により構成されている。
【0033】
本実施形態に係る半導体装置においては、例えば、図2の多層配線層4における上層の第5層の配線層及び第6層の配線層の各々が、図1に示すような層構造となっている。このような層構造により、以下に詳細に説明するように、半導体装置の反りを抑制し、且つ、その反りの経時変化を抑制することができる。
【0034】
図1に示すように、第5層及び第6層の各々の配線層は、例えば、配線44と、配線44を覆う第1絶縁膜41と、第1絶縁膜41を覆う吸湿防止膜43と、吸湿防止膜43を覆う第2絶縁膜42と、を有している。
ここで、図2における第5配線26が、図1における配線44に該当する。また、図2における第6配線29も、図1における配線44に該当する。
また、図2における層間絶縁膜27は、図1における第1絶縁膜41、吸湿防止膜43及び第2絶縁膜42の3層の積層膜に該当する。また、図2における層間絶縁膜30も、図1における第1絶縁膜41、吸湿防止膜43及び第2絶縁膜42の3層の積層膜に該当する。
【0035】
第1絶縁膜41は、第2絶縁膜42よりも低密度の疎膜である。第1絶縁膜41は、基板1を下に凸に反らせる応力を、基板1に与える。
【0036】
第2絶縁膜42は、第1絶縁膜41よりも高密度の密膜であり、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低い。第2絶縁膜42は、第1絶縁膜41よりも半導体装置の表層側に位置している。第2絶縁膜42は、基板1を上に凸に反らせる応力を、基板1に与える。
【0037】
このように、第1絶縁膜41が基板1に与える応力と、第2絶縁膜42が基板1に与える応力とは、互いに反対方向である。よって、第1絶縁膜41が基板1に与える応力と、第2絶縁膜42が基板1に与える応力とを相殺させて、基板1の反り、ひいては半導体装置全体の反りを抑制することができる。
【0038】
第1絶縁膜41の膜厚と、第2絶縁膜42の膜厚は、基板1の反り、ひいては半導体装置全体の反りが最も小さくなるように、それぞれ設定されている。
【0039】
また、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低い第2絶縁膜42が、第1絶縁膜41よりも表層側に形成されているので、第2絶縁膜42によって該第2絶縁膜42自身の吸湿を抑制できるだけでなく、第2絶縁膜42によって第1絶縁膜41の吸湿も抑制できる。このため、第2絶縁膜42に起因する応力が吸湿により経時変化してしまうことを抑制できるとともに、第1絶縁膜41に起因する応力が吸湿により経時変化してしまうことも抑制できる。よって、半導体装置の反りの経時変化を抑制することができる。
【0040】
第1及び第2絶縁膜41、42は、何れもその誘電率がSiOと同じであるか、又は、それ以下である。
【0041】
第1絶縁膜41は、例えば、SiO系の膜である。より具体的には、第1絶縁膜41は、例えば、SiO、SiO、SiOF、PSG(Phospho Silicate Glass)及びBPSG(Boro−Phospho Silicate Glass)の何れかの膜である。
同様に、第2絶縁膜42は、例えば、SiO系の膜であり、より具体的には、例えば、SiO、SiO、SiOF、PSG及びBPSGの何れかの膜である。
具体的には、例えば、第1絶縁膜41及び第2絶縁膜42は、それぞれSiO膜とすることができる。
【0042】
なお、例えば、半導体装置が、2つの異なる電圧間で非接触通信を行うためには、厚い層間絶縁膜が必要となる。このため、例えば、第1絶縁膜41と第2絶縁膜42との合計の膜厚は、このような非接触通信を行うことができるような適切な膜厚に設定されている。
【0043】
吸湿防止膜43は、吸湿防止膜として良く知られているSiON膜(酸窒化膜)であることが挙げられる。より具体的には、吸湿防止膜43は、例えば、P−SiON膜(プラズマ酸窒化膜)であることが挙げられる。
吸湿防止膜43は、SiON膜に限らず、SiN膜(例えば、P−SiN膜)又はSiC膜(例えば、P−SiC膜)であっても良い。
【0044】
なお、図1に示す層構造の層間絶縁膜は、ローカルレイヤー、インターミディエイトレイヤー、セミグローバルレイヤー及びグローバルレイヤーの何れのレイヤーに形成しても良い。ただし、相対的に膜厚が厚いグローバルレイヤー(例えば、上記の第5層及び第6層の配線層)の層間絶縁膜、或いはセミグローバルレイヤーの層間絶縁膜を図1に示す層構造にすることによって、より効果的に、半導体装置の反りを抑制することができる。
ここで、グローバルレイヤーとは、素子間を接続する配線が配置されておらず、電源線、GND線、或いは、回路と電極パッドとを接続する配線などが配置されている層を意味する。
【0045】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図3乃至図5はこの製造方法の一連の工程を示す図である。図3乃至図5の各図において、(a)は半導体装置の断面図、(b)は各工程におけるウェハの反り形状を示す模式図である。
【0046】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、配線と、配線を覆う層間絶縁膜と、をそれぞれ有する複数層の配線層を含む多層配線層4を基板1上に形成する工程を有する。少なくとも何れか1つの層間絶縁膜を形成する工程が、基板1を第1方向に反らせる応力を基板1に与える第1絶縁膜41を形成する工程と、第1絶縁膜41よりも表層側に、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低く、基板1を第1方向に対する反対方向に反らせる応力を基板1に与える第2絶縁膜42を形成する工程と、を有する。以下、詳細に説明する。
【0047】
先ず、図2に示すように、半導体基板1に素子分離膜2を形成する。これにより、素子形成領域が分離される。素子分離膜2は、例えばSTI法を用いて形成されるが、LOCOS法を用いて形成されても良い。
【0048】
次に、素子形成領域に位置する半導体基板1に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する。ゲート絶縁膜は酸化シリコン膜であってもよいし、酸化シリコン膜よりも誘電率が高い高誘電率膜(例えばハフニウムシリケート膜)であってもよい。ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜である場合、ゲート電極はポリシリコン膜により形成される。またゲート絶縁膜が高誘電率膜である場合、ゲート電極は、金属膜(例えばTiN)とポリシリコン膜の積層膜により形成される。また、ゲート電極がポリシリコンにより形成される場合、ゲート電極を形成する工程において、素子分離膜上にポリシリコン抵抗を形成しても良い。
【0049】
次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインのエクステンション領域を形成する。次にゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する。次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインとなる不純物領域を形成する。このようにして、半導体基板上にMOSトランジスタ3が形成される。
【0050】
次に、素子分離膜2上及びMOSトランジスタ3上に、多層配線層4を形成する。
【0051】
先ず、素子分離膜2上及びMOSトランジスタ3上にコンタクト層間絶縁膜11を形成し、コンタクト層間絶縁膜11にコンタクト12を埋め込み形成する。
【0052】
次に、コンタクト層間絶縁膜11上及びコンタクト12上に配線層間絶縁膜13を形成する。次に、配線層間絶縁膜13に配線溝を形成し、この配線溝内に銅などの金属を埋め込み、余剰の金属をCMP(Chemical Mechanical Polishing)などにより除去する。これにより、配線溝内に第1配線14を埋め込み形成することができる。
【0053】
次に、配線層間絶縁膜13上及び第1配線14上に層間絶縁膜15を形成する。次に、層間絶縁膜15にビアホールを形成し、ビアホール内にタングステンなどの金属を埋め込む。次に、余剰の金属をCMP又はエッチバックにより除去する。これにより、ビアホール内にビア16を埋め込み形成することができる。
【0054】
次に、層間絶縁膜15上及びビア16上に全面スパッタなどによりAlCuなどの金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィーによりマスクパターンを形成する。次に、このマスクパターンをマスクとして金属膜をエッチングすることにより、金属膜を所望のパターン形状の第2配線17に加工する。
【0055】
次に、第2配線17の側面及び上面を覆うように、層間絶縁膜15上に層間絶縁膜18を形成する。次に、層間絶縁膜18にビアホールを形成し、ビアホール内にタングステンなどの金属を埋め込み形成し、余剰の金属をCMP又はエッチバックにより除去することにより、ビアホール内にビア19を埋め込み形成する。
【0056】
その後、第2層の配線層と同様に、第3層の配線層(第3配線20、層間絶縁膜21及びビア22)及び第4層の配線層(第4配線23、層間絶縁膜24及びビア25)を順次に形成する。
【0057】
次に、第4層の配線層上に、全面スパッタなどによりAlCuなどの金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィーによりマスクパターンを形成し、このマスクパターンをマスクとして金属膜をエッチングすることにより、金属膜を所望のパターン形状の第5配線26に加工する。
【0058】
次に、第5配線26の側面及び上面を覆うように、層間絶縁膜24上に層間絶縁膜27を形成する。次に、層間絶縁膜27にビアホールを形成する。
次に、全面スパッタなどによりAlCuなどの金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィーによりマスクパターンを形成し、このマスクパターンをマスクとして金属膜をエッチングする。これにより、所望のパターン形状の第6配線29とビア28とを一括形成する。
【0059】
次に、ビア28上を覆い、且つ、第6配線26の側面及び上面を覆うように、層間絶縁膜27上に層間絶縁膜30を形成する。次に、層間絶縁膜30にビアホールを形成した後、第6配線29及びビア28を形成したのと同様の方法により、第7配線32及びビア31を形成する。
【0060】
こうして、多層配線層4を形成することができる。
【0061】
次に、多層配線層4上に、保護絶縁膜(パッシベーション膜)5を形成する。先ず、第7配線32を覆うようにSiN/SiO膜6を形成し、更に、SiN/SiO膜6を覆うようにポリイミド膜7を形成する。
第7配線32の一部分は、電極パッドを構成する。保護絶縁膜5には、電極パッド上に位置する開口5aを形成する。
【0062】
ここで、多層配線層4の少なくとも一部の配線層の層間絶縁膜(例えば、第5層及び第6層の配線層の層間絶縁膜27と層間絶縁膜30)については、それぞれ、以下に説明する工程により形成する。
【0063】
先ず、図3乃至図5を参照して、第5層の配線層の製造工程について説明する。
【0064】
上述のように第5配線26を形成した後、第5配線26(配線44)の側面及び上面を覆うように、第5配線26上及び第4層の配線層上に、SiO系の第1絶縁膜41を成膜する。
【0065】
上述のように、第1絶縁膜41は、基板1を下に凸に反らせる応力を基板1に与える。このため、この段階では、ウェハは、下に凸に沿った状態となる(図示略)。
【0066】
次に、第1絶縁膜41を覆うように吸湿防止膜43を成膜する。
【0067】
次に、吸湿防止膜43を覆うように、SiO系の第2絶縁膜42の下部(下層)となる第2絶縁膜下部42aを成膜する(図3(a))。
【0068】
SiO系の膜は、その膜密度によって応力が変化し、密膜をウェハに成膜すると上に凸にウェハが反り、疎膜を成膜すると凹状(下に凸)にウェハが反る。
【0069】
図3(a)に示すように、第2絶縁膜下部42aを成膜した直後は、第2絶縁膜下部42aに起因する応力の影響が強いため、図3(b)に示すように、ウェハは、若干、上に凸に反る。
【0070】
なお、図3(a)に示すように、第1絶縁膜41、吸湿防止膜43、及び、第2絶縁膜下部42aには、第5配線26の形状を反映した隆起部45が形成されている。
【0071】
次に、図4(a)に示すように、CMPによって、第2絶縁膜下部42aの上面を平坦化する。この際に、隆起部45における吸湿防止膜43はストッパー膜として機能し、例えば、隆起部45における吸湿防止膜43が表面に露出するまで、CMPが行われる。すなわち、吸湿防止膜43をストッパー膜として第2絶縁膜の下層をCMPすることにより第2絶縁膜の下層の上面を平坦化する。
吸湿防止膜43がストッパー膜として機能することにより、オーバー研磨による第1絶縁膜41の露出を抑制できる。
このようにCMPを行うことにより、第5配線26の形成領域及びその縁部(つまり隆起部45上)では、第2絶縁膜下部42aが除去され、第5配線26及びその縁部を除く領域(つまり隆起部45以外の領域)に、第2絶縁膜下部42aが残留した状態となる。
【0072】
この段階では、図3(a)の状態と比べて第2絶縁膜下部42aの膜厚が減少しているため、図4(b)に示すように、ウェハは若干凹形状(下に凸)に反る。
【0073】
次に、図5(a)に示すように、第2絶縁膜下部42a上及び隆起部45上に、第2絶縁膜42の上部(上層)となる第2絶縁膜上部42bを成膜する。なお、第2絶縁膜上部42bを形成する目的には、スクラッチ対策(CMPにより形成された穴を埋めること)と層間絶縁膜の膜厚調整とが含まれる。
第2絶縁膜上部42bを形成することにより、第2絶縁膜下部42aと第2絶縁膜上部42bとからなる第2絶縁膜42が形成される。
【0074】
ここで、第1絶縁膜41と第2絶縁膜42との合計膜厚が層間絶縁膜の所望の膜厚となるようにする。しかも、第1絶縁膜41の応力と第2絶縁膜42の応力とが相殺し、ウェハの反りが実質的にゼロとなるように、第1絶縁膜41及び第2絶縁膜42の各々の膜厚を調整する。
【0075】
この段階では、第1絶縁膜41と第2絶縁膜42との応力が相殺されることにより、図5(b)に示すように、ウェハの反りが実質的にゼロになる。
【0076】
第6層の配線層の製造工程は、第5層の配線層の製造工程と同様である。
【0077】
以上のような第1の実施形態によれば、半導体装置の少なくとも何れか1つの層間絶縁膜は、基板1を第1方向に反らせる応力を基板1に与える第1絶縁膜41と、第1絶縁膜41よりも表層側に形成され、基板1を第1方向に対する反対方向に反らせる応力を基板1に与える第2絶縁膜42と、を有する。よって、第1絶縁膜41に起因する応力と、第2絶縁膜42に起因する応力と、を相殺させることにより、半導体装置の反りを抑制することができる。
また、第2絶縁膜42は、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低いため、第2絶縁膜42の吸湿を抑制できる。しかも、第2絶縁膜42は、第1絶縁膜41よりも表層側に形成されているので、第2絶縁膜42によって、第1絶縁膜41の吸湿も抑制できる。このため、第2絶縁膜42に起因する応力が経時変化してしまうことを抑制できるとともに、第1絶縁膜41に起因する応力が経時変化してしまうことも抑制できる。よって、半導体装置の反りの経時変化を抑制することができる。
このように、半導体装置の反りを抑制し、且つ、その反りの経時変化を抑制することができる。
【0078】
半導体装置の反りを抑制できることから、例えば、半導体装置を装置内で搬送するときに、その反りのために搬送が阻害されてしまうといった問題の発生を低減することができる。
【0079】
ところで、ウェハの反りを抑制するための方法としては、ウェハ表面に膜を成膜した後で、裏面にも同質の膜を成膜することにより、表裏に成膜した同質の膜に互いの応力を相殺させて、ウェハを平坦に維持する方法が考えられる。しかし、この方法では、最終的に、裏面の膜を除去する必要があるため、ウェハの出来上がりの段階では反りを呈する。
これに対して、本実施形態では、ウェハの反りを抑制するための成膜はウェハ表面に対して行うため、応力を相殺するための裏面への成膜を必要としないので、最終的に裏面の膜を除去する必要が無く、ウェハの出来上がりも反りを呈さないようにすることができる。
【0080】
第2絶縁膜42を、第1絶縁膜41よりも高密度の膜とすることにより、第2絶縁膜42の吸湿性を第1絶縁膜41のそれよりも低くすることができる。
【0081】
また、第1絶縁膜41と第2絶縁膜42との間に吸湿防止膜43が形成されていることにより、つまり、第1絶縁膜41を吸湿防止膜43により覆うことにより、第1絶縁膜41と外気との接触を抑制し、第1絶縁膜41が吸湿してしまうことを抑制することができる。これにより、第1絶縁膜41に起因する応力の経時変化を一層抑制できるので、半導体装置の反りの経時変化も一層抑制することができる。
このように、吸湿防止膜43により第1絶縁膜41を覆うことによって、第1絶縁膜41として吸湿性の高い膜を使用しても、第1絶縁膜41による吸湿を抑制できるため、第1絶縁膜41の材料の選択肢を拡げることができる。
【0082】
或いは、半導体装置は、基板1を第1方向に反らせる応力を与える第1絶縁膜41と、吸湿防止膜43よりも表層側に形成され(つまり第1絶縁膜41よりも表層側に形成され)、基板1を第1方向に対する反対方向に反らせる応力を基板1に与える第2絶縁膜42と、を有する。よって、第1絶縁膜41に起因する応力と、第2絶縁膜42に起因する応力と、を相殺させることにより、半導体装置の反りを抑制することができる。
【0083】
〔第2の実施形態〕
図6は第2の実施形態に係る半導体装置の断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、以下に説明する点でのみ、第1の実施形態に係る半導体装置と相違し、その他の点では、第1の実施形態に係る半導体装置と同様に構成されている。また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下に説明する点でのみ、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と相違し、その他の点では、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0084】
図6に示すように、本実施形態の場合、第1絶縁膜41の成膜前に、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低い密の薄膜である第3絶縁膜46を成膜し、配線44と第1絶縁膜41とが接触しない構造となっている。第3絶縁膜46は、配線44と、配線44の下地(例えば、配線44の下に位置する配線層)と、を覆うように形成されている。第3絶縁膜46の材質は、例えば、第2絶縁膜42の材質と同様である。
【0085】
すなわち、本実施形態の場合、少なくとも何れか1つの層間絶縁膜(例えば、層間絶縁膜27、30)は、更に、第1絶縁膜41よりも吸湿性が低く、配線44(例えば、第5配線26、第6配線29)を覆う第3絶縁膜46を含み、第3絶縁膜46よりも表層側に第1絶縁膜41が形成されている。
【0086】
この構造により、何らかの要因で第1絶縁膜41が吸湿しても、第1絶縁膜41内の水分子が配線44に接触してしまうことを抑制できるため、配線44の腐食を抑制することができる。
よって、第1の実施形態の構造と比べて、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 半導体基板(基板)
2 素子分離膜
3 MOSトランジスタ
4 多層配線層
5 保護絶縁膜
5a 開口
6 SiN/SiO膜
7 ポリイミド膜
11 コンタクト層間絶縁膜
12 コンタクト
13 配線層間絶縁膜
14 第1配線
15 層間絶縁膜
16 ビア
17 第2配線
18 層間絶縁膜
19 ビア
20 第3配線
21 層間絶縁膜
22 ビア
23 第4配線
24 層間絶縁膜
25 ビア
26 第5配線
27 層間絶縁膜
28 ビア
29 第6配線
30 層間絶縁膜
31 ビア
32 第7配線
41 第1絶縁膜
42 第2絶縁膜
42a 第2絶縁膜下部
42b 第2絶縁膜上部
43 吸湿防止膜
44 配線
45 隆起部
46 第3絶縁膜
51 IC部
52 トランス部
53 1次コイル
54 2次コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された多層配線層と、
を有し、
前記多層配線層は、配線と、前記配線を覆う層間絶縁膜と、をそれぞれ有する複数層の配線層を有し、
少なくとも何れか1つの前記層間絶縁膜は、
前記基板を第1方向に反らせる応力を前記基板に与える第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜よりも表層側に形成され、前記第1絶縁膜よりも吸湿性が低く、前記基板を前記第1方向に対する反対方向に反らせる応力を前記基板に与える第2絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜よりも高密度の膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1及び第2絶縁膜は、何れもその誘電率がSiOと同じであるか、又は、それ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1及び第2絶縁膜の各々は、SiO、SiO、SiOF、PSG及びBPSGのうちの何れかの膜であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との間に吸湿防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記吸湿防止膜は、SiON、SiN及びSiCのうちの何れかの膜であることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記SiONは、P−SiONであり、前記SiNは、P−SiNであり、前記SiCは、P−SiCであることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記少なくとも何れか1つの前記層間絶縁膜は、更に、
前記第1絶縁膜よりも吸湿性が低く、前記配線を覆う第3絶縁膜を含み、
前記第3絶縁膜よりも表層側に前記第1絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記少なくとも何れか1つの前記層間絶縁膜は、グローバルレイヤーに位置することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
配線と、前記配線を覆う層間絶縁膜と、をそれぞれ有する複数層の配線層を含む多層配線層を基板上に形成する工程を有し、
少なくとも何れか1つの前記層間絶縁膜を形成する工程が、
前記基板を第1方向に反らせる応力を前記基板に与える第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜よりも表層側に、前記第1絶縁膜よりも吸湿性が低く、前記基板を前記第1方向に対する反対方向に反らせる応力を前記基板に与える第2絶縁膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との間に吸湿防止膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2絶縁膜を形成する工程は、前記第2絶縁膜の下層を成膜する工程と、当該第2絶縁膜の下層の上面を平坦化する工程と、当該第2絶縁膜の下層の上に前記第2絶縁膜の上層を成膜する工程と、を有し、当該第2絶縁膜の下層の上面を平坦化する工程では、前記吸湿防止膜をストッパー膜として前記第2絶縁膜の下層をCMPすることにより前記第2絶縁膜の下層の上面を平坦化することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74017(P2013−74017A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210548(P2011−210548)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】