説明

半導体装置

【課題】合計長が長くなることにより抵抗値が大きくなり、また、表皮効果により、実施的な抵抗値が大きくなった。
【解決手段】インダクタを含む半導体装置であって、前記インダクタは、(1)第1の導体と、当該第1の導体の表面に形成されている、前記第1の導体より導電性が高い第2の導体と備える渦巻状の巻線本体と、(2)第3の導体と、当該第3の導体の表面に形成されている、前記第3の導体より導電性が高い第4の導体とを備え、前記巻線本体の両端部のうち中心側の端部を起点として外側に向けて延在する配線と、(3)前記巻線本体の中心側の端部と前記配線の中心側の端部とを斜めに接続するビアと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のインダクタを有する半導体装置の構成を示す平面図及び断面図である
。従来の半導体装置SD10は、下記の特許文献1〜特許文献3に記載された、インダクタを備える半導体装置と同様に、図4(B)に示されるように、シリコン基板等の基板SB上に形成されている回路CKTの上方にパシベーション層PVを隔てて、層LY10、LY20に亘りインダクタCL10を有する。当該インダクタCL10は、図4(A)、(B)に示されるように、巻線本体W10と配線L10とを備える。巻線本体W10は、中心側の端部ED10aと外側の端部ED10bとを有し、また、配線L10は、巻線本体W10の端部ED10aに近い中心側の端部ED20aと、例えば、回路CKTへの接続個所であるパッドPDに接続されている外側の端部ED20bとを有する。
【0003】
図5は、図4中の二点鎖線で示される範囲a10、a20を詳細に示す。図5(A)に示されるように、巻線本体W10は、導体MT(W10)により構成されており、当該導体MT(W10)は、層LY20中で絶縁膜DE20上に形成されており、かつ、ソルダーレジストSRにより覆われている。また、図5(B)に示されるように、配線L10は、導体MT(L10)により構成されており、当該導体MT(L10)は、層LY10中で絶縁膜DE10上に形成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−164468号公報
【特許文献2】特開2003−347410号公報
【特許文献3】特開2002−57292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の半導体装置SD10では、図4(B)に示されるように、巻線本体W10と配線L10とを接続するためのビアV10が、当該巻線本体W10及び配線L10に対し垂直に(柱状に)設けられていることから、長さLG10、LG20、LG30の合計長が長くなり、その結果、抵抗値が大きくなるという問題があった。
【0006】
従来の半導体装置SD10では、また、高周波の電流(信号)が、表皮効果により、図5(A)、(B)に図示された導体MT(W10)、MT(L10)の表面に集中的に流れることから、実質的に抵抗値が増加し、その結果、Q値(周波数選択度)が悪化するという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべく、以下の適用例により実現される。
【0008】
[適用例1]
インダクタを含む半導体装置であって、
前記インダクタは、
(1)第1の導体と、当該第1の導体の表面に形成されている、前記第1の導体より導電性が高い第2の導体とを備える渦巻状の巻線本体と、
(2)第3の導体と、当該第3の導体の表面に形成されている、前記第3の導体より導電性が高い第4の導体とを備え、前記巻線本体の両端部のうち中心側の端部を起点として外側に向けて延在する配線と、
(3)前記巻線本体の前記中心側の端部と前記配線の中心側の端部とを斜めに接続するビアと、を有することを特徴とする半導体装置。
【0009】
適用例1の半導体装置によれば、前記ビアが前記本体と前記配線とを斜めに接続することにより、前記巻線本体及び前記配線に亘る長さ(図1(B)の長さLG1、LG2、LG3の合計長)が従来の長さ(長さLG10、LG20、LG30の合計長)より短くなることから、抵抗値を従来に比して低減させることが可能となる。
【0010】
適用例1の半導体装置によれば、また、前記巻線本体が、前記第1、第2の導体により構成されており、前記巻線本体の表面での抵抗値を従来に比して低減させることができ、同様にして、前記配線が、前記第3、第4の導体により構成されていることにより、前記配線の表面での抵抗値を従来に比して低減させることができ、その結果、Q値の悪化を回避することが可能となる。
【0011】
[適用例2]
前記巻線本体は、前記第1の導体と前記第2の導体とを接合させるための第5の導体を更に備え、
前記配線は、前記第3の導体と前記第4の導体とを接合させるための第6の導体を更に備えることを特徴とする適用例1の半導体装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施例の半導体装置について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施例の半導体装置の構成を示す平面図及び断面図である。実施例の半導体装置SD1は、図1に示されるように、基板SB上に形成されている回路CKTの上方にパシベーション層PVを隔てて、層LY1及び当該層LY1の上層であるLY2に亘り、不平衡型(シングルエンド)のインダクタCL1を有する。
【0014】
インダクタCL1は、巻線本体W1と配線L1とを備える。巻線本体W1は、層LY2中に形成されており、渦巻状であり、中心側の端部ED1aと外側の端部ED1bとを有する。
【0015】
配線L1は、層LY1中に形成されており、巻線本体W1の端部ED1aの近傍から巻線本体W1の外側に向けて、より正確には、巻線本体W1の端部ED1bに向けて直線状に延在している。配線L1は、中心側の端部ED2aと、外側の端部ED2bとを有する。
【0016】
巻線本体W1と配線L1とは、図1(A)、(B)に示されるように、巻線本体W1の端部ED1aと配線L1の端部ED2aとがビアV1により接続されている。ビアV1は、より正確には、図1(B)に示されるように、端部ED1aと端部ED2aとを、斜めに、即ち、XY平面に垂直でない姿勢で(Z軸方向に平行でない姿勢で)、換言すれば、巻線本体W1と垂直でなくかつ配線L1とも垂直でない姿勢で接続している。
【0017】
図2(A)、(B)及び図3(A)、(B)は、それぞれ、図1中で二点鎖線で図示されている範囲a1、a2を詳細に示す。巻線本体W1は、図2(A)に示されるように、絶縁膜DE2上に形成されている導体MT(W1)aと、当該導体MT(W1)aの表面に形成されている、前記導体MT(W1)aより導電性が高い導体MT(W1)bとから構成されており、さらに、ソルダーレジストSRにより覆われている。
【0018】
同様にして、配線L1は、図2(B)に示されるように、絶縁膜DE1上に形成されている導体MT(L1)aと、当該導体MT(L1)bの表面に形成されている、前記導体MT(L1)aより導電性が高い導体MT(L1)bとから構成されている。
【0019】
導体MT(W1)a、MT(L1)aは、例えば、銅であり、導体MT(W1)b、MT(L1)bは、例えば、金である。ここで、導体MT(W1)a、MT(L1)aが銅であり、導体MT(W1)b、MT(L1)bが金であるときには、導体MT(W1)aと導体MT(W1)bとの接合を確保すべく、図3(A)に示されるように、例えば、ニッケル、チタン、チタンタングステン等の導体MT(W1)cを介在させることが望ましく、同様に、導体MT(L1)aと導体MT(L1)bとの接合を確保すべく、図3(B)に示されるように、例えば、ニッケル、チタン、チタンタングステン等の導体MT(L1)cを介在させることが望ましい。
【0020】
上記したように、実施例の半導体装置SD1では、ビアV1が、巻線本体W1と配線L1とを斜めに接続することにより、インダクタCL1の長さ、より正確には、図1(B)に図示された長さLG1、LG2、LG3の合計の長さが、図4(B)に図示された長さLG10、LG20、LG30の合計の長さより短くなることから、従来に比して抵抗値を低減させることが可能となる。
【0021】
実施例の半導体装置SD1では、さらに、巻線本体W1が、図2(A)に示されるように、導体MT(W1)aと、当該導体MT(W1)aの表面に形成されている、前記導体MT(W1)aより導電性が高いMT(W1)bとにより構成されており、同様に、配線L1が、図2(B)に示されるように、導体MT(L1)aと、当該導体MT(L1)aの表面に形成されている、前記導体MT(L1)aより導電性が高いMT(L1)bにより構成されていることから、高周波の電流が、巻線本体W1の表面及び配線L1の表面に流れ易くなり、結果的に、Q値が悪化することを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例の半導体装置の構成を示す図。
【図2】実施例の巻線本体及び配線の構成を示す図(その1)。
【図3】実施例の巻線本体及び配線の構成を示す図(その2)。
【図4】従来の半導体装置の構成を示す図。
【図5】従来の巻線本体及び配線の構成を示す図。
【符号の説明】
【0023】
SD1…半導体装置、L1…インダクタ、W1…巻線本体、V1…ビア、MT(W1)a,MT(W1)b,MT(L1)a,MT(L1)b…導体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタを含む半導体装置であって、
前記インダクタは、
(1)第1の導体と、当該第1の導体の表面に形成されている、前記第1の導体より導電性が高い第2の導体とを備える渦巻状の巻線本体と、
(2)第3の導体と、当該第3の導体の表面に形成されている、前記第3の導体より導電性が高い第4の導体とを備え、前記巻線本体の両端部のうち中心側の端部を起点として外側に向けて延在する配線と、
(3)前記巻線本体の前記中心側の端部と前記配線の中心側の端部とを斜めに接続するビアと、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記巻線本体は、前記第1の導体と前記第2の導体とを接合させるための第5の導体を更に備え、
前記配線は、前記第3の導体と前記第4の導体とを接合させるための第6の導体を更に備えることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−218537(P2009−218537A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63743(P2008−63743)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】