説明

半導体装置

【課題】外部装置を駆動する駆動回路が形成されたチップの面積の増加を抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】フラッシュメモリ22がリード動作を実行する場合は、セレクタ26は、ロジック回路30から入力された選択信号SELに応じて基準電圧VREF1を選択する。VLCD昇圧回路28は、基準電圧VREF1を昇圧した駆動電圧VLCDをLCDパネルドライバ12に出力する。また、フラッシュメモリ22は、電源電圧VDDの供給のみでリード動作を実行する。プログラム動作またはイレース動作を実行する場合は、セレクタ26は、選択信号SELに応じて基準電圧VREF2を選択する。VLCD昇圧回路28は、基準電圧VREF2を昇圧した電圧VPPをフラッシュメモリ22に出力する。フラッシュメモリ22は、電圧VPPの供給を受け、プログラム動作またはイレース動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に外部装置を駆動する駆動回路が形成された半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、外部装置を駆動する駆動回路が形成(搭載)された半導体装置が知られており、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)を駆動するための駆動回路であるLCDパネルドライバが形成されたマイコンがある。従来のLCDパネルドライバを形成したマイコンの一例の概略構成を図6に示す。
【0003】
図6に示した半導体装置100は、LCDパネルパネルドライバ112、VPP発生回路121、フラッシュメモリ122、基準電圧回路124、VLCD昇圧回路128、及びロジック回路130を備えて構成されている。
【0004】
基準電圧回路124は、入力された電源電圧VDDにより基準電圧VREFを発生させる。VLCD昇圧回路128は、入力された基準電圧VREFを駆動電圧VLCDに昇圧して、LCDパネルドライバ112に出力する。フラッシュメモリ122は、各種プログラム等を格納する機能を有するものである。
【0005】
フラッシュメモリ122には、ロジック回路130の動作命令により制御される動作モードとして、イレース動作、プログラム動作、及びリード動作の3種類の動作があり、イレース動作及びプログラム動作は、リード動作を行う場合に対し、高い電圧が供給されないとその動作を実行できない。そのため、昇圧回路によりメモリの動作に応じた電圧を発生させ、動作に応じてメモリに供給することが行われている。例えば、特許文献1には、メモリの各動作に応じた電圧を発生させるメモリ用の昇圧回路である電圧発生回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−67591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6に示した従来の半導体装置100の場合、フラッシュメモリ122がリード動作を行う場合には、電源電圧VDDの供給のみで動作が実行可能であるが、イレース動作またはプログラム動作を行う場合には、電源電圧VDDの供給とは別に、高電圧である電圧VPPを供給しないと動作が実行できない。そのため、フラッシュメモリ122がイレース動作またはプログラム動作を行う場合には、VPP発生回路121が電源電圧VDDを電圧VPPに昇圧し、フラッシュメモリ122に供給する。
【0008】
このようにフラッシュメモリ122の動作に応じた電圧を供給するための昇圧回路としてVPP発生回路121が必要であるため、回路規模によるチップサイズの増加が発生し、これにより例えば、コストアップ等の問題が生じる場合があった。
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、外部装置を駆動する駆動回路が形成されたチップの面積の増加を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の半導体装置は、外部装置を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路と、第1電圧及び前記第1電圧よりも大きい第2電圧を出力する電圧出力回路と、前記駆動回路に電源電圧を供給する場合は、前記電圧出力回路から出力された前記第1電圧を選択し、内部装置に電源電圧を供給する場合は、前記第2電圧を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された前記第1電圧が入力された場合には、前記第1電圧を昇圧した第3電圧を前記駆動回路の電源電圧として出力し、かつ前記選択手段で選択された前記第2電圧が入力された場合には、前記第2電圧を昇圧した第4電圧を前記駆動回路の電源電圧として出力する昇圧回路と、を備えた。
【0011】
請求項2に記載の半導体装置は、請求項1に記載の半導体装置において、前記内部装置はメモリであり、メモリにデータの書込みまたは消去を行う場合には、前記昇圧回路は前記選択手段が選択した前記第2電圧を前記第4電圧に昇圧し、前記メモリは前記昇圧回路により出力された前記第4電圧によりデータの書込みまたは消去を行う。
【0012】
請求項3に記載の半導体装置は、請求項1または請求項2に記載の半導体装置において、前記電圧出力回路は、外部から供給された第5電圧により前記第1電圧及び前記第2電圧を発生して出力し、前記内部装置は前記第5電圧が供給されるメモリであり、前記メモリからデータの読み出しを行う場合には、前記第5電圧によりデータの読み出しを行う。
【0013】
請求項4に記載の半導体装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記駆動回路と前記昇圧回路とを接続する第1配線と、前記内部装置と前記昇圧回路とを接続する第2配線と、前記駆動回路、前記電圧出力回路、前記選択手段、前記昇圧回路、前記内部装置、前記第1配線、及び前記第2配線が形成された基板と、を備え、前記第2配線は、前記第1配線よりも前記基板の内側に形成されている。
【0014】
請求項5に記載の半導体装置は、請求項4に記載の半導体装置において、前記駆動回路と前記外部装置とを接続する接続端子を複数備え、前記接続端子の少なくとも一部が前記基板の外周に沿った形成領域に形成されており、前記第1配線は、前記形成領域に沿って形成されている。
【0015】
請求項6に記載の半導体装置は、請求項4または請求項5に記載の半導体装置において、前記第2配線の少なくとも一部は、前記第1配線に沿って形成されている。
【0016】
請求項7に記載の半導体装置は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記昇圧回路に隣接して形成され、かつ、外部に備えられた昇圧用コンデンサ及び安定化容量の少なくとも一方と前記昇圧回路とを接続する外部接続端子を備えた
【0017】
請求項8に記載の半導体装置は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記内部装置の動作に応じて前記内部装置に電圧を供給する場合には、前記第2電圧を選択するように前記選択手段を制御する制御回路を備え、前記制御回路と前記昇圧回路との間に前記電圧出力回路及び前記選択手段の少なくとも一方が形成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部装置を駆動する駆動回路が形成されたチップの面積の増加を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係る半導体装置の概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る半導体装置に形成されているフラッシュメモリがリード動作を行う場合の一例を説明するためのタイムチャートである。
【図3】本実施の形態に係る半導体装置に形成されているフラッシュメモリがプログラム動作を行う場合の一例を説明するためのタイムチャートである。
【図4】本実施の形態に係る半導体装置に形成されているフラッシュメモリがイレース動作を行う場合の一例を説明するためのタイムチャートである。
【図5】本実施の形態に係る半導体装置の構成の具体的一例を示す構成図である。
【図6】従来の半導体装置の概略構成の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。図1に、本実施の形態の半導体装置の概略構成の一例の概略構成図を示す。なお、本実施の形態の半導体装置10は、具体的一例として、外部装置であるLCDパネル(図示省略)を駆動するための駆動回路であるLCDドライバ10と、内部装置であるフラッシュメモリ22と、が形成されており、LCDパネルドライバ12がロジック回路30の制御により、フラッシュメモリ22から読み出されたデータに基づいた表示が行われるようにLCDパネルを駆動するマイコンである半導体装置(LSI)である。
【0022】
本実施の形態の半導体装置10は、LCDパネルドライバ12、フラッシュメモリ22、基準電圧回路24、セレクタ26、VLCD昇圧回路28、及びロジック回路30を備えて構成されている。LCDパネルドライバ12、フラッシュメモリ22、基準電圧回路24、VLCD昇圧回路28、及びロジック回路30は半導体装置10の外部から供給された電源電圧VDDにより各々駆動する。
【0023】
本実施の形態では、フラッシュメモリ22は、各種プログラムやデータ等を記憶する機能を有する記憶装置である。フラッシュメモリ22には、書込みデータのイニシャライズ(消去)を行うイレース動作、データの書込みを行うプログラム動作、及び書き込まれたデータの読み出しを行うリード動作の3種類の動作があり、リード動作は、イレース動作及びプログラム動作に比べて低い電源電圧の供給により実行可能である。本実施の形態では、リード動作は、電源電圧VDDの供給のみで実行され、イレース動作及びプログラム動作は、電源電圧VDDとは別に高電圧である電圧VPPの供給により実行される。なお、本実施の形態では電圧値の大きさは、電源電圧VDD<駆動電圧VLCD<電圧VPPの関係にある。本実施の形態の半導体装置10では、電源電圧VDDの具体的一例として2.85V〜3.6V(最低VDD電圧=2.85V以上)、駆動電圧VLCDの具体的一例として4.0V〜6.0V、電圧VPPの具体的一例として8Vが挙げられる。
【0024】
ロジック回路30は、LCDパネルドライバ12にLCDパネルを駆動するための動作命令(信号)を出力したり、フラッシュメモリ22に上述のいずれの動作を行うか(または、いずれの動作も行わないか)を指示する動作命令を出力したり、セレクタ26にLCDパネルドライバ12及びフラッシュメモリ22の動作に応じて基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2のいずれかを選択させるための選択信号SELを出力したりする機能を有するものである。
【0025】
基準電圧回路24は、駆動電圧VLCDを発生させるための基準電圧VREF1及び電圧VPPを発生させるための基準電圧VREF2を発生する機能を有するものである。セレクタ26は、ロジック回路30から入力された選択信号SELに応じて、基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2のいずれかを選択する機能を有するものであり、例えばスイッチ回路である。本実施の形態では、通常時のLCDパネルドライバ12がLCDパネルを駆動している状態及びフラッシュメモリ22がリード動作状態では、セレクタ26は基準電圧VREF1を選択し、フラッシュメモリ22がイレース動作状態またはプログラム動作状態では、セレクタ26は基準電圧VREF2を選択する。
【0026】
VLCD昇圧回路28は、基準電圧VREF1が入力された場合には、駆動電圧VLCDに昇圧してVLCD昇圧回路28に出力し、かつ、基準電圧VREF2が入力された場合には、電圧VPPに昇圧してフラッシュメモリ22に出力する機能を有するものである。なお、本実施の形態のVLCD昇圧回路28は、基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2のいずれも同一の倍率で昇圧する。具体的一例として、倍率が4倍に設定された昇圧回路28では、基準電圧VREF1=1.5Vの場合、駆動電圧VLCD=6Vを出力し、基準電圧VREF2=2.0Vの場合、電圧VPP=8Vを出力する。
【0027】
LCDパネルドライバ12は、ロジック回路30からの命令により、半導体装置10の外部に備えられたLCDパネルを駆動するための駆動回路である。
【0028】
次に、本実施の形態の半導体装置10のフラッシュメモリ22の各動作に応じた動作について説明する。
【0029】
フラッシュメモリ22がリード動作を実行する場合のタイムチャートを図2に示す。ロジック回路30は、ローレベル(0)の選択信号SELをセレクタ26に出力する。セレクタ26は、ローレベルの選択信号SELに基づいて基準電圧回路24からの出力である基準電圧VREF1を選択して、VLCD昇圧回路28に出力する。VLCD昇圧回路28は、基準電圧VREF1を駆動電圧VLCDに昇圧して、LCDパネルドライバ12に出力する。この場合、VLCD昇圧回路28は電圧VPPを発生しないため、電圧VPP=0Vである。
【0030】
一方、ロジック回路30は、フラッシュメモリ22にリード命令(リード動作を行わせるための動作命令)を出力する。フラッシュメモリ22は、電源電圧VDDの供給のみで、当該リード命令に応じて、リード動作を実行する。
【0031】
また、フラッシュメモリ22がプログラム動作を実行する場合のタイムチャートを図3に示す。
【0032】
ロジック回路30は、ハイレベル(1)の選択信号SELをセレクタ26に出力する。セレクタ26は、信号のレベルの変化(ハイレベルへの変化、より厳密には、プラス命令)に応じて、基準電圧回路24からの出力である基準電圧VREF2を選択して、VLCD昇圧回路28に出力する。VLCD昇圧回路28は、基準電圧VREF2を電圧VPPに昇圧して、フラッシュメモリ22に出力する。なおこの場合、駆動電圧VLCDは高電圧となっているため、LCDパネルドライバ12は停止状態(LCDパネルを駆動していない状態)になっている。
【0033】
一方、ロジック回路30は、セレクタ26にハイレベルの選択信号SELを出力した後、VLCD昇圧回路28が選択信号SELの変化に応じて昇圧を開始してから昇圧が完了するまでの予め定められた時間(本実施の形態では電圧VPP=8Vに達するまでの時間)経過した後、フラッシュメモリ22にプログラム命令(プログラム動作を行わせるための動作命令)を出力する。電圧VPPが供給されているフラッシュメモリ22は、当該プログラム命令に応じて、プログラム動作を実行する。
【0034】
また、フラッシュメモリ22がイレース動作を実行する場合のタイムチャートを図4に示す。図4に示したように、イレース動作を実行する場合のタイムチャートは、図3に示したプログラム動作を実行する場合のタイムチャートと略同様である。従って、半導体装置10は、イレース動作を実行する場合は、上述のプログラム動作と略同様の動作を行うため詳細な説明を省略する。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態の半導体装置10では、基準電圧回路24が基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2を発生する。フラッシュメモリ22にリード動作を実行させる場合には、ロジック回路30が基準電圧VREF1を選択させるための選択信号SELをセレクタ26に出力し、セレクタ26は、入力されたSEL信号に応じて、基準電圧VREF1を選択して、VLCD昇圧回路28に出力する。VLCD昇圧回路28は、入力された基準電圧VREF1を昇圧して駆動電圧VLCDを発生させ、LCDパネルドライバ12に出力する。また、フラッシュメモリ22は、ロジック回路30の動作命令に応じて、電源電圧VDDの供給のみで、リード動作を実行する。一方、フラッシュメモリ22にプログラム動作またはイレース動作を実行させる場合には、ロジック回路30が基準電圧VREF2を選択させるための選択信号SELをセレクタ26に出力し、セレクタ26は、入力されたSEL信号に応じて、基準電圧VREF2を選択して、VLCD昇圧回路28に出力する。VLCD昇圧回路28は、入力された基準電圧VREF2を昇圧して高電圧である電圧VPPを発生させ、フラッシュメモリ22に出力する、フラッシュメモリ22は、電圧VPPの供給を受け、ロジック回路30の動作命令に応じて、プログラム動作またはイレース動作を実行する。
【0036】
このように、本実施の形態の半導体装置10では、基準電圧VREF1を昇圧してLCDパネルドライバ12に供給する駆動電圧VLCDを発生させるためのVLCD昇圧回路28を、フラッシュメモリ22の動作に応じた電圧(プログラム動作及びイレース動作を実行させるための電源電圧VDDよりも高電圧の電圧VPP)を発生させるための昇圧回路として流用するため、別途、フラッシュメモリ22用の昇圧回路を設ける必要がない。
【0037】
従って、フラッシュメモリ22用の昇圧回路を別途に設ける場合に比べて、半導体装置10の面積、より具体的には、LCDパネルドライバ12、フラッシュメモリ22、基準電圧回路24、セレクタ26、VLCD昇圧回路28、及びロジック回路30が形成される基板(チップ)の面積の増加を抑制することができる。
【0038】
次に、本実施の形態の半導体装置の具体例について詳細に説明する。図5は、本実施の形態の半導体装置10の具体的な一例を示した構成図である。半導体装置10は、基板20の上に、複数個のLCDパネルドライバ12、フラッシュメモリ22、基準電圧回路24、セレクタ26、VLCD昇圧回路28、ロジック回路30、入力パッド40、出力パッド42、出力パッド44、及び出力パッド46が形成されている。
【0039】
入力パッド40は、外部電源から電源電圧VDDが入力される入力端子である。なお、図5では、煩雑になるため、電源電圧VDDを供給するための配線の図示を省略している。また、出力パッド46は、ロジック回路30に接続されているが同様に煩雑になるため、その接続配線の図示を省略している。
【0040】
図5に示すように本実施の形態の半導体装置10は、複数のLCDパネルドライバ12を備えている。なお、図5中では一部のLCDパネルドライバ12の符号を省略している。また、各LCDパネルドライバ12はロジック回路30から動作命令が入力されるようにロジック回路30と接続されているがその接続配線の図示を省略している。
【0041】
本実施の形態では、各LCDパネルドライバ12から外部のLCDパネル(図示省略)に駆動信号を出力するために、各LCDパネルドライバ12とLCDパネルとを接続するための出力パッド42が形成されている。図5では、基板20の上側、右側、及び下側の外周に沿った領域に各LCDパネルドライバ12及び各LCDパネルドライバ12に対応する出力パッド42が形成されている。また、本実施の形態では、各LCDパネルドライバ12と、VLCD昇圧回路28とを接続し、VLCD昇圧回路28により昇圧された駆動電圧VLCDの供給に使用される電源線50が、図5に示すように基板20の外周に沿った領域に形成(配線)されている。
【0042】
また、フラッシュメモリ22と、VLCD昇圧回路28とを接続し、VLCD昇圧回路28により昇圧された電圧VPPの供給に使用される電源線52(具体的一例として約10μmの配線)が、図5に示すように電源線50よりも基板20の内側の領域に、電源線50に沿って配線されている。本実施の形態では、具体的一例として、電源線50に沿って電源線52が配線されている部分(図5中、基板20の左側外周に沿った領域)では、電源線50と電源線52との配線間距離は、約20umとなっている。
【0043】
すなわち本実施形態の半導体装置10では、電源線52が電源線50よりも基板20の内側の領域に形成されており、かつ、電源線52の少なくとも一部が電源線50に沿った領域に形成されている。電源線50と、電源線52とが交差する場合、交差部分に配線間容量が発生し、電源線50に電位(ノイズ)が発生することによりLCDパネルドライバ12に電位が誤って供給されてしまい、LCDパネルドライバ12が誤動作する場合がある。LCDパネルドライバ12が誤動作すると、例えば、LCDパネルが誤って点灯してしまう。しかしながら本実施の形態では、このように電源線50と電源線52とが交差することがないため、配線間容量の発生を抑えることができ、LCDパネルドライバ12の誤動作を抑制することができる。
【0044】
また、本実施の形態のVLCD昇圧回路28は、半導体装置10の外部に備えられた昇圧用コンデンサ及び安定化容量の少なくとも一方(VLCD昇圧回路28の仕様等に準じる)を利用して、基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2の昇圧を行うものであり、出力パッド44を介して外部に備えられた昇圧用コンデンサ及び安定化容量の少なくとも一方に接続されるようになっている。本実施の形態では、図5に示すように、出力パッド44は基板20の左側下部の外周に沿った領域に形成されており、VLCD昇圧回路28は、出力パッド44よりも基板の内側に、出力パッド44に隣接して形成されている。VLCD昇圧回路28は昇圧回路であるため、昇圧回路の特性として、昇圧効率(入力電圧に対する出力電圧の割合、例えば、入力電圧が1V、倍率が4倍、出力電圧が2Vの場合は、昇圧効率=50%)が重要となる。当該昇圧効率は、出力に対する負荷電流、回路内部の容量成分、及び抵抗成分等により決定される。本実施の形態では、出力パッド44に隣接する位置にVLCD昇圧回路28が形成されているため、当該昇圧効率を決定する容量成分及び抵抗成分が減少するため、昇圧効率の低下を抑制することができる。
【0045】
また、本実施の形態のフラッシュメモリ22とロジック回路30とは、動作命令の入力に使用される信号線56により接続されている。また、VLCD昇圧回路28とロジック回路30との間に、基準電圧回路24及びセレクタ26が形成されており、ロジック回路30とセレクタ26とは、選択信号SELが出力される信号線54により接続されている。このようにVLCD昇圧回路28とロジック回路30との間に基準電圧回路24及びセレクタ26の少なくとも一方を形成することにより、各回路間の接続配線(信号線54等)を短くすることができるため、配線領域の削減に寄与することができる。従って、基板20の面積を縮小する効果が得られる。
【0046】
なお、図5に示した半導体装置10の構成は具体的一例であり、これに限定されるものではない。例えば、LCDパネルドライバ12や出力パッド42の個数はその他の個数でもよいし、LCDパネルドライバ12毎に出力パッド42が設けられていなくてもよい。また、電源線50及び電源線52の配線位置も電源線50及び電源線52が交差しないように配線されていればこれに限定されるものではなく、例えば、電源線52が基板20の中央付近で右側に引き回され、フラッシュメモリ22とロジック回路30との間付近でフラッシュメモリ22に接続される等その他の位置に配線してもよいが、基板20の面積縮小の観点や、配線容量等のノイズの発生等を考慮すると、本実施の形態のように、基板20に沿って電源線50を形成し、その内側に少なくとも一部が電源線50に沿うように電源線52を形成することが好ましい。
【0047】
また、本実施の形態では、外部のLCDパネルを駆動するLCDパネルドライバ12、内部装置としてのフラッシュメモリ22、及び基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2を昇圧してLCDパネルドライバ12及びフラッシュメモリ22に供給するVLCD昇圧回路28が同一基板20上に形成されている半導体装置10について説明したが半導体装置はこれに限らず、外部装置を駆動するための駆動回路に基準電圧を昇圧して駆動電圧を供給するとともに、内部装置に基準電圧を昇圧した前記駆動電圧と電圧値の異なる電圧を供給する昇圧回路を備えたものであればよい。例えば、外部に備えられたその他の装置を駆動する駆動回路が形成されたものでもよいし、形成されている内部装置もフラッシュメモリ22に限定されない。
【符号の説明】
【0048】
10 半導体装置
12 LCDパネルドライバ
20 基板
22 フラッシュメモリ
24 基準電圧回路
26 セレクタ
28 VLCD昇圧回路
42、44、46 出力パッド
50 電源線
52 電源線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路と、
第1電圧及び前記第1電圧よりも大きい第2電圧を出力する電圧出力回路と、
前記駆動回路に電源電圧を供給する場合は、前記電圧出力回路から出力された前記第1電圧を選択し、内部装置に電源電圧を供給する場合は、前記第2電圧を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された前記第1電圧が入力された場合には、前記第1電圧を昇圧した第3電圧を前記駆動回路の電源電圧として出力し、かつ前記選択手段で選択された前記第2電圧が入力された場合には、前記第2電圧を昇圧した第4電圧を前記駆動回路の電源電圧として出力する昇圧回路と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記内部装置はメモリであり、メモリにデータの書込みまたは消去を行う場合には、前記昇圧回路は前記選択手段が選択した前記第2電圧を前記第4電圧に昇圧し、前記メモリは前記昇圧回路により出力された前記第4電圧によりデータの書込みまたは消去を行う請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電圧出力回路は、外部から供給された第5電圧により前記第1電圧及び前記第2電圧を発生して出力し、
前記内部装置は前記第5電圧が供給されるメモリであり、前記メモリからデータの読み出しを行う場合には、前記第5電圧によりデータの読み出しを行う請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記駆動回路と前記昇圧回路とを接続する第1配線と、
前記内部装置と前記昇圧回路とを接続する第2配線と、
前記駆動回路、前記電圧出力回路、前記選択手段、前記昇圧回路、前記内部装置、前記第1配線、及び前記第2配線が形成された基板と、
を備え、
前記第2配線は、前記第1配線よりも前記基板の内側に形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記駆動回路と前記外部装置とを接続する接続端子を複数備え、
前記接続端子の少なくとも一部が前記基板の外周に沿った形成領域に形成されており、前記第1配線は、前記形成領域に沿って形成されている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2配線の少なくとも一部は、前記第1配線に沿って形成されている請求項4または請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記昇圧回路に隣接して形成され、かつ、外部に備えられた昇圧用コンデンサ及び安定化容量の少なくとも一方と前記昇圧回路とを接続する外部接続端子を備えた請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記内部装置の動作に応じて前記内部装置に電圧を供給する場合には、前記第2電圧を選択するように前記選択手段を制御する制御回路を備え、
前記制御回路と前記昇圧回路との間に前記電圧出力回路及び前記選択手段の少なくとも一方が形成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−233048(P2011−233048A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104505(P2010−104505)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】