説明

半導体集積回路及び画像形成装置

【課題】ソフトウェアの負荷を増大させることなく、データ処理回路への電源供給制御を行うことで省電力化を図る。
【解決手段】データ処理内容を規定する言語データを受信する受信インタフェースと、前記受信インタフェースによって受信された前記言語データに応じて自己の担当するデータ処理を実行する複数のデータ処理回路と、前記受信インタフェースによって受信された前記言語データを解読してデータ処理フローを決定する言語解読ロジック回路と、前記言語解読ロジック回路によって決定された前記データ処理フローに従って前記複数のデータ処理回路の各々に選択的に電源を供給する電源制御ロジック回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路及び当該半導体集積回路を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、複写機等の画像処理装置において、画像処理回路への電源供給のオン/オフを切り替えるためのスイッチを設け、マイコン等の制御手段によって上記画像処理回路が実際に動作する場合に上記スイッチを切り替えて画像処理回路に電源を供給することにより省電力化を図る技術が開示されている。また、下記特許文献2には、白黒コピーモードとカラーコピーモードとを選択的に実行可能な画像処理装置において、原稿がカラーか白黒かを判定する色判定手段を設け、当該色判定手段の判定結果に応じて画像処理回路への電源供給を切り替えることにより省電力化を図る技術が開示されている。
【特許文献1】特開昭64−50664号公報
【特許文献2】特開2004−336416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、ソフトウェアによって画像処理回路への電源供給制御を行っているので、ソフトウェアの負荷が増大するという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ソフトウェアの負荷を増大させることなく、データ処理回路への電源供給制御を行うことで省電力化を図ることが可能な半導体集積回路及び当該半導体集積回路を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、半導体集積回路に係る第1の解決手段として、データ処理内容を規定する言語データを受信する受信インタフェースと、前記受信インタフェースによって受信された前記言語データに応じて自己の担当するデータ処理を実行する複数のデータ処理回路と、前記受信インタフェースによって受信された前記言語データを解読してデータ処理フローを決定する言語解読ロジック回路と、前記言語解読ロジック回路によって決定された前記データ処理フローに従って前記複数のデータ処理回路の各々に選択的に電源を供給する電源制御ロジック回路とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、半導体集積回路に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記受信インタフェースは、前記言語データとしてページ記述言語データを受信し、前記データ処理回路は、前記ページ記述言語データに応じて自己の担当する画像処理を実行し、前記言語解読ロジック回路は、前記ページ記述言語データを解読してデータ処理フローを決定することを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明では、画像形成装置に係る解決手段として、上記第1または第2の解決手段を有する半導体集積回路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る半導体集積回路によれば、ハードウェアである言語解読ロジック回路によって言語データを解読してデータ処理フローを決定すると共に、同じくハードウェアである電源制御ロジック回路によってデータ処理フローに従って複数のデータ処理回路の各々に選択的に電源を供給するため、ソフトウェアの負荷を増大させることなくデータ処理回路への電源供給制御を行うことができ、その結果、省電力化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体集積回路を備える画像形成装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、例えば複写機及びプリンタの機能を有する複合機であり、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)20、RAM(Random Access Memory)30、操作表示部40、用紙搬送部50、原稿読取部60、画像処理ASIC(半導体集積回路)70、画像処理用メモリ80及び画像形成部90を備えている。なお、符号200は、外部から画像形成装置100へ印刷指示するためのPC(Personal Computer)等のホストコンピュータである。
【0010】
CPU10は、ROM20に記憶されている制御プログラムを実行して、操作表示部40から出力される操作信号や、原稿読取部60によって読取った原稿の画像データに基づいて画像形成装置100の全体動作を制御する。ROM20は、CPU10で使用される制御プログラムやその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。RAM30は、CPU10が制御プログラムを実行して各種演算処理を行う際に、データの一時保存先に用いられるワーキングメモリである。
【0011】
操作表示部40は、例えば液晶ディスプレイとその上面に設けられたタッチパネルとによって構成されており、タッチパネルの操作入力情報を操作信号としてCPU10に出力すると共に、CPU10の制御の下、各種操作キーや各種情報を報知する画面を表示する。
用紙搬送部50は、用紙トレイ(図示せず)に収納されている用紙を画像形成部90に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成後の用紙を排紙トレイ(図示せず)に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。原稿読取部60は、原稿台(図示せず)にセットされた原稿に対して走査状に照明光を照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサによって受光してアナログ電圧信号に変換した後、当該アナログ電圧信号をデジタル変換することにより、読取った原稿の画像データを生成する。
【0012】
画像処理ASIC70は、ホストインタフェース群71、バスインタフェースモジュール72、メモリコントローラ73、画像処理回路群74、言語解読ロジック回路75、電源制御ロジック回路76及び高速内部バス77を備えている。
【0013】
ホストインタフェース群71は、イーサネット(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、セントロニクスの3つのデータ転送規格に対応できるように、イーサネットインタフェース71a、USBインタフェース71b、セントロニクスインタフェース71cから構成されている。ホストコンピュータ200のデータ転送規格に応じて、これらのインタフェース71a、71b、71cのいずれかがホストコンピュータ200と接続されており、ホストコンピュータ200から転送されるページ記述言語データを受信する。受信されたページ記述言語データは、高速内部バス77を介してメモリコントローラ73及び言語解読ロジック回路75に転送される。
【0014】
このページ記述言語データとは、印刷用画像データの画像処理内容を規定する言語データであり、ホストコンピュータ200上のアプリケーションによって印刷要求が発生した場合に、ホストコンピュータ200にインストールされているドライバによって生成されるものである。図2に、ページ記述言語データのフォーマットの一例を示す。図2に示すように、ページ記述言語データは、ヘッダー領域、コマンド領域、データ領域から概ね構成されている。ヘッダー領域には、一般的に機種毎またはメーカ毎にユニークな文字列が付与されており、この文字列を検出することによりエミュレーション処理の切り換え等を実施する。コマンド領域には、印刷画像の描画形状(例えば印刷画像の回転や拡大・縮小など)に関する情報が格納されている。データ領域には、印刷画像のカラー属性(白黒画像かカラー画像か)や印刷用紙における描画位置に関する情報の他、印刷画像を表すビットマップデータが格納されている。
【0015】
バスインタフェースモジュール72は、CPU10と画像処理ASIC70との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。メモリコントローラ73は、ホストインタフェース群71から高速内部バス77を介して転送されたページ記述言語データを、外部の画像処理用メモリ80に一時的に格納する一方、画像処理用メモリ80に格納されているページ記述言語データを所定のタイミングで読み出し、この読み出したページ記述言語データを高速内部バス77を介して画像処理回路群74に転送する。
【0016】
画像処理回路群74は、メモリコントローラ73から高速内部バス77を介して転送されたページ記述言語データに応じて自己の担当する画像処理を実行する複数の画像処理回路から構成されている。本実施形態では、画像処理回路として、印刷画像の色変換を実行する第1の画像処理回路74aと、印刷画像の回転(座標変換)を実行する第2の画像処理回路74bと、印刷画像の拡大または縮小を実行する第3の画像処理回路74cと、印刷画像の印刷用紙における描画位置の調整を実行する第4の画像処理回路74dとを例示する。これら第1の画像処理回路74a、第2の画像処理回路74b、第3の画像処理回路74c及び第4の画像処理回路74dは、電源制御ロジック回路76から電源供給を受けて動作すると共に、自己の動作状態を表す動作状態信号を電源制御ロジック回路76に出力(フィードバック)する。画像処理回路群74は、上記のような画像処理により印刷用紙に印刷すべき最終的な画像データを生成して画像形成部90に出力する。
【0017】
言語解読ロジック回路75は、ホストインタフェース群71から高速内部バス77を介して転送されたページ記述言語データを解読して画像処理フローを決定するロジック回路であり、この決定した画像処理フローを表す処理フローデータを電源制御ロジック回路76に出力する。ここで画像処理フローとは、上記の第1の画像処理回路74a、第2の画像処理回路74b、第3の画像処理回路74c及び第4の画像処理回路74dに対する電源投入順序を示すものである。電源制御ロジック回路76は、言語解読ロジック回路75から入力される処理フローデータに従って、上記の第1の画像処理回路74a、第2の画像処理回路74b、第3の画像処理回路74c及び第4の画像処理回路74dの各々に選択的に電源を供給する。
【0018】
画像処理用メモリ80は、メモリコントローラ73の要求に応じてページ記述言語データを一時的に格納すると共に、格納しているページ記述言語データを高速内部バス77を介して画像処理回路群74に転送する。画像形成部90は、画像処理回路群74によって生成された画像データ、または原稿読取部60によって生成された画像データに基づいて、用紙搬送部50から搬送される用紙にトナー像を転写し、当該トナー像の定着処理(画像形成)を行う。
【0019】
次に、上記のように構成された画像形成装置100の印刷動作について、図3を参照して説明する。なお、図3では、説明の便宜上フローチャートを用いているが、以下説明すする印刷動作はハードウェアによって実行されるものである。
【0020】
まず、ホストコンピュータ200から画像形成装置100への印刷要求としてページ記述言語データが送信されると(ステップS1)、このページ記述言語データは画像形成装置100における画像処理ASIC70のホストインタフェース群71(ホストインタフェース群71のイーサネットインタフェース71a、USBインタフェース71b、セントロニクスインタフェース71cのいずれか)にて受信される(ステップS2)。ホストインタフェース群71で受信されたページ記述言語データは、高速内部バス77を介してメモリコントローラ73に転送され、画像処理用メモリ80に一時的に格納される(ステップS3)。一方、ホストインタフェース群71で受信されたページ記述言語データは、高速内部バス77を介して言語解読ロジック回路75にも転送される(ステップS4)。
【0021】
言語解読ロジック回路75は、ページ記述言語データを解読して画像処理フローを決定し、当該決定した画像処理フローを表す処理フローデータを電源制御ロジック回路76に出力する(ステップS5)。ここで、ページ記述言語データのコマンド領域には、印刷画像の回転に関する情報が格納されており、データ領域には、印刷画像のカラー属性、印刷用紙における描画位置に関する情報、印刷画像を表すビットマップデータが格納されているものと仮定する。この時、言語解読ロジック回路75は、印刷画像の色変換→回転→描画位置の調整という画像処理フロー、つまり第1の画像処理回路74a→第2の画像処理回路74b→第4の画像処理回路74dという電源投入順序を決定する。
【0022】
そして、電源制御ロジック回路76は、言語解読ロジック回路75から入力される処理フローデータに従って、まず、第1の画像処理回路74aに電源を供給する(ステップS6)。これにより第1の画像処理回路74aは起動し、メモリコントローラ73に対してページ記述言語データの転送要求信号を出力する。メモリコントローラ73は、上記の転送要求信号に応じて画像処理用メモリ80に格納されているページ記述言語データを読み出して第1の画像処理回路74aに転送する(ステップS7)。
【0023】
第1の画像処理回路74aは、ページ記述言語データのデータ領域に格納されている印刷画像のカラー属性に関する情報に基づいて印刷画像の色変換に関する画像処理を実行し、画像処理終了後に画像処理終了を表す動作状態信号を電源制御ロジック回路76に出力する(ステップS8)。電源制御ロジック回路76は、上記の画像処理終了を表す動作状態信号が入力されたか否かを監視し(ステップS9)、画像処理終了を表す動作状態信号が入力された場合(「Yes」)、次の第2の画像処理回路74bに電源を供給する(ステップS10)。これにより第2の画像処理回路74bは起動し、第1の画像処理回路74aに対して色変換処理終了後のページ記述言語データの転送要求信号を出力する。
【0024】
第1の画像処理回路74aは、上記の転送要求信号に応じて色変換処理終了後のページ記述言語データを第1の画像処理回路74aに転送すると共に、データ転送終了を表す動作状態信号を電源制御ロジック回路76に出力する(ステップS11)。電源制御ロジック回路76は、上記のデータ転送終了を表す動作状態信号が入力されたか否かを監視し(ステップS12)、データ転送終了を表す動作状態信号が入力された場合(「Yes」)、第1の画像処理回路74aへの電源供給を停止する(ステップS13)。
【0025】
そして、第2の画像処理回路74bは、ページ記述言語データのコマンド領域に格納されている印刷画像の回転に関する情報に基づいて印刷画像の回転に関する画像処理を実行し、画像処理終了後に画像処理終了を表す動作状態信号を電源制御ロジック回路76に出力する(ステップS14)。電源制御ロジック回路76は、上記の画像処理終了を表す動作状態信号が入力されたか否かを監視し(ステップS15)、画像処理終了を表す動作状態信号が入力された場合(「Yes」)、次の第4の画像処理回路74dに電源を供給する(ステップS16)。これにより第4の画像処理回路74dは起動し、第2の画像処理回路74bに対して回転処理終了後のページ記述言語データの転送要求信号を出力する。
【0026】
第2の画像処理回路74bは、上記の転送要求信号に応じて回転処理終了後のページ記述言語データを第4の画像処理回路74dに転送すると共に、データ転送終了を表す動作状態信号を電源制御ロジック回路76に出力する(ステップS17)。電源制御ロジック回路76は、上記のデータ転送終了を表す動作状態信号が入力されたか否かを監視し(ステップS18)、データ転送終了を表す動作状態信号が入力された場合(「Yes」)、第2の画像処理回路74bへの電源供給を停止する(ステップS19)。
【0027】
そして、第4の画像処理回路74dは、ページ記述言語データのデータ領域に格納されている印刷画像の描画位置に関する情報に基づいて印刷画像の描画位置に関する画像処理を実行し、上記のような各種の画像処理により印刷用紙に印刷すべき最終的な画像データを生成して画像形成部90に出力すると共に、画像データの転送終了を表す動作状態信号を電源制御ロジック回路76に出力する(ステップS20)。電源制御ロジック回路76は、上記の画像データの転送終了を表す動作状態信号が入力されたか否かを監視し(ステップS21)、画像データの転送終了を表す動作状態信号が入力された場合(「Yes」)、第4の画像処理回路74dへの電源供給を停止する(ステップS22)。
このように画像処理ASIC70によって生成された画像データは画像形成部90に出力され、画像形成部90により画像データに応じた画像が印刷用紙に形成される。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る画像処理ASIC70(半導体集積回路)によれば、ハードウェアである言語解読ロジック回路75によってページ記述言語データを解読して画像処理フロー(電源投入順序)を決定すると共に、同じくハードウェアである電源制御ロジック回路76によって画像処理フローに従って複数の画像処理回路の各々に選択的に電源を供給するため、ソフトウェアの負荷を増大させることなく画像処理回路への電源供給制御を行うことができ、その結果、省電力化が可能となる。
【0029】
なお、上記実施形態では、本発明に係る半導体集積回路として、画像処理用の画像処理回路を複数備える画像処理ASIC70を例示して説明したが、画像処理以外の複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、画像処理ASIC70を備える画像形成装置100として複合機を例示して説明したが、外部のホストコンピュータから送信されるページ記述言語データに応じた画像を形成するものであれば、他の画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100で使用されるページ記述言語データの詳細説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
100…画像形成装置、10…CPU(Central Processing Unit)、20…ROM(Read Only Memory)、30…RAM(Random Access Memory)、40…操作表示部、50…用紙搬送部、60…原稿読取部、70…画像処理ASIC、71…ホストインタフェース群、72…バスインタフェースモジュール、73…メモリコントローラ、74…画像処理回路群、75…言語解読ロジック回路、76…電源制御ロジック回路、77…高速内部バス、80…画像処理用メモリ、90…画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理内容を規定する言語データを受信する受信インタフェースと、
前記受信インタフェースによって受信された前記言語データに応じて自己の担当するデータ処理を実行する複数のデータ処理回路と、
前記受信インタフェースによって受信された前記言語データを解読してデータ処理フローを決定する言語解読ロジック回路と、
前記言語解読ロジック回路によって決定された前記データ処理フローに従って前記複数のデータ処理回路の各々に選択的に電源を供給する電源制御ロジック回路と、
を備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記受信インタフェースは、前記言語データとしてページ記述言語データを受信し、
前記データ処理回路は、前記ページ記述言語データに応じて自己の担当する画像処理を実行し、
前記言語解読ロジック回路は、前記ページ記述言語データを解読してデータ処理フローを決定することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体集積回路を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−181412(P2009−181412A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20816(P2008−20816)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】