説明

半導体集積回路装置及びその検査方法

【課題】限られた領域に多くの被測定素子を搭載でき、かつ、短時間で多数個の被測定素子の特性の良否判定及び特性異常を検出することができ、その結果、検査コストを低減できる半導体集積回路装置及びその検査方法を提供する。
【解決手段】半導体集積回路装置は、複数個の被測定素子11と、複数の選択素子12と、所望の被測定素子11を選択するアドレス制御・選択回路14と、複数個の被測定素子11の各々の良否判定の基準値を設定する規格値設定手段15と、被測定素子11の電気特性値と基準値との比較を複数の被測定素子11の全てに対して順に行う比較回路17と、比較回路17による比較結果に基づいて計数を行うカウンタ回路18と、回路動作を制御するための制御回路16とを備える。カウンタ回路18は、基準値を外れた被測定素子11の総数を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体集積回路装置及びその検査方法に関し、特に半導体集積回路装置における搭載素子の良・不良判定を行うための検査回路及びこれを用いた検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスの開発段階や半導体製品の量産段階においては、半導体基板上に形成されたさまざまな素子の電気的特性を測定、評価し、所定の特性を満足しているかを確認することにより、プロセスの課題を抽出したり、製造ラインの異常の有無がないかどうかを確認する等の作業が行われている。
【0003】
近年の半導体プロセスの微細化及び複雑化に伴い、半導体装置を構成する素子のわずかな特性異常が半導体製品の動作不良を引き起こす原因となってきている。そこで、この特性異常を早急に検出し対策を行うことが強く要求されている。そのためには、従来以上に大規模に多数個の素子の電気的特性を評価し、特性異常を調べる必要があるが、その一方で、素子を搭載できる領域及び測定に使用できるパッド数には限りがあるため、多数個の素子を効率良く搭載し、測定することが求められている。
【0004】
その解決手段として、例えば、特許文献1に開示された従来の半導体集積回路装置の検査方法が提案されている。
【0005】
図8は、従来の半導体集積回路装置の概略回路構成図を示している。
【0006】
図8に示すように、従来の半導体集積回路装置は、複数個の被測定素子101と、これらの複数個の被測定素子101の中から少なくとも1個ずつを順に選択するためのアドレス制御・選択回路104と、これら複数個の被測定素子101の各々に接続され、アドレス制御・選択回路104によって選択された被測定素子101の特性を測定するために用いられる複数個のスイッチ素子102とを有している。なお、複数個の被測定素子101と複数個のスイッチ素子102とから被測定素子アレイ103が構成されている。
【0007】
ここで、外部からアドレス制御用パッド201を介してアドレス制御信号が入力されることにより、複数個の被測定素子101のうちの任意の1個がスイッチ素子102を介して電気特性測定用パッド202に接続される。そして、基準電位印加用パッド203と電気特性測定用パッド202との間に電圧を印加し、流れる電流値をテスター301で測定する。この選択されるアドレスを順次変えていくことにより複数個の被測定素子101の電気的特性を順次測定することが可能になる。
【0008】
図9は、図8に示した従来の半導体集積回路装置を用いた検査方法のフロー図を示している。
【0009】
図9に示すように、まず、ステップS401において、複数個の被測定素子101のうちから1素子を選択する。次に、ステップS402に進んで、該選択された素子のDC測定を行う。次に、ステップS403に進んで、ステップS402においてDC測定を行った素子が複数個の被測定素子101の最後の素子か否かの判定を行う。ステップS403において、ステップS402においてDC測定を行った素子が最後の素子ではない場合には(ステップS403においてNo)、ステップS401及びステップS402を繰り返して行う。一方、ステップS403において、ステップS402においてDC測定を行った素子が最後の素子である場合には(ステップS403においてYes)、測定を終了する。以上の一連の工程により、搭載されている被測定素子の個数分の測定を行っている。
【0010】
上記従来の半導体集積回路装置の検査方法によると、限られた領域に比較的多くの被測定素子を搭載し、比較的少ないパッド数で電気的特性を測定することができる。このようにして被測定素子を大規模に測定し、所定の特性を満足しているか良否判定を行うことにより、プロセスの課題を抽出したり、製造ラインの異常の有無がないかどうかを確認する作業が実行される。
【特許文献1】特許第3900340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の従来の半導体集積回路装置及びその検査方法においては、搭載されている複数個の被測定素子全てに対して、1素子ずつ順番に選択してDC測定を実行するため、測定に多くの時間を必要とし、搭載されている被測定素子の個数が多くなるほど、その検査時間が多大になるという問題がある。
【0012】
被測定素子に対してテスターから電圧を印加し、流れる電流値を測定するといったDC測定においては、比較的高精度に電流値を測ることができるため、被測定素子の電気的特性を詳細に調べることができるが、電圧印加、電圧が安定するまでの待ち時間及び測定時間を合わせると、一回につきおよそ数100ミリ秒程度の測定時間を要する。例えば被測定素子を1000個搭載している半導体集積回路装置1チップ当たりの測定時間はおよそ数100秒となる。それを更にウエハ上に搭載されている全チップ分測定するとすれば、相当な検査時間が必要であり、かつ検査コストも多大になってしまうため、あまり現実的ではない。
【0013】
前記に鑑み、本発明の目的は、限られた領域に多くの被測定素子を搭載でき、かつ、短時間で多数個の被測定素子の特性の良否判定及び特性異常を検出することができ、その結果、検査コストを低減させることができる半導体集積回路装置及びその検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明の第1の形態に係る半導体集積回路装置は、基板上に、複数個の被測定素子と、複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、複数の選択素子のうちの、指定したアドレスをもつ所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択するアドレス制御・選択回路と、複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する規格値設定手段と、一の選択素子に接続する被測定素子の電気特性値と基準値とを比較する比較回路と、比較回路による比較結果に基づいて計数を行うカウンタ回路と、回路動作を制御するための制御回路とを備え、比較回路は、被測定素子の電気特性値と基準値との比較を複数の被測定素子に対して1つずつ順に行うものであり、カウンタ回路は、基準値を外れた被測定素子の総数を出力するものである。
【0015】
本発明の第1の形態に係る半導体集積回路装置において、制御回路、アドレス制御・選択回路及びカウンタ回路に接続するパラレル−シリアル変換回路をさらに備え、パラレル−シリアル変換回路は、カウンタ回路から出力される被測定素子の総数である複数ビットのパラレル出力データをシリアル出力データに変換し、1つのパッドから順次出力する。
【0016】
本発明の第2の形態に係る半導体集積回路装置は、基板上に、複数個の被測定素子と、複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、複数の選択素子のうちの、指定したアドレスをもつ所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択するアドレス制御・選択回路と、複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する規格値設定手段と、一の選択素子に接続する被測定素子の電気特性値と基準値とを比較する比較回路と、回路動作を制御するための制御回路とを備え、比較回路は、被測定素子の電気特性値と基準値との比較を複数の被測定素子に対して1つずつ順に行うものであり、アドレス制御・選択回路は、基準値を外れた被測定素子のアドレスを出力するものである。
【0017】
本発明の第2の形態に係る半導体集積回路装置において、制御回路及びアドレス制御・選択回路に接続するパラレル−シリアル変換回路をさらに備え、パラレル−シリアル変換回路は、アドレス制御・選択回路から出力される被測定素子のアドレスである複数ビットのパラレル出力データをシリアル出力データに変換し、1つのパッドから順次出力する。
【0018】
本発明の第1又は第2の形態に係る半導体集積回路装置において、複数の選択素子の各々を介して複数の被測定素子の各々に接続されるパッドをさらに備え、アドレス制御・選択回路から、基準値を外れた被測定素子のアドレスが出力されると、外部よりパッドに電圧を印加して、基準値から外れた被測定素子の電気特性値を測定する。
【0019】
本発明の第1又は第2の形態に係る半導体集積回路装置において、規格値設定手段は、トランジスタ及びトランジスタのゲートに接続されるパッドから構成されており、パッドに印加される電圧によりトランジスタのゲート電圧を制御して基準値を設定する。
【0020】
本発明の第1又は第2の形態に係る半導体集積回路装置において、規格値設定手段は、パッドから構成されており、パッドに印加される電流を制御して基準値を設定する。
【0021】
本発明の第1又は第2の形態に係る半導体集積回路装置において、比較回路は、カレントミラー回路によって構成されており、被測定素子に流れる電気特性値としての電流値と、規格値設定手段で設定された基準値としての電流値との大小の比較結果を出力する。
【0022】
本発明の第1又は第2の形態に係る半導体集積回路装置において、被測定素子は、抵抗素子、トランジスタ、コンタクト、ヴィア、配線、メモリセル及びヒューズ素子のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
本発明の第1の形態に係る半導体集積回路装置の検査方法は、基板上に、複数個の被測定素子と、複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、複数の選択素子のうちの、指定したアドレスをもつ所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択することにより、複数個の被測定素子の全てを1つずつ順に選択するアドレス制御・選択回路とを少なくとも備えた半導体集積回路装置の検査方法であって、複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する工程(a)と、アドレス制御・選択回路により、複数個の被測定素子のうちの一の被測定素子を選択する工程(b)と、工程(b)において選択された被測定素子の電気特性値と基準値とを比較する工程(c)と、工程(c)による比較結果に基づいて、被測定素子の電気特性値が基準値を満足する場合には、複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、工程(b)以降の工程を繰り返す一方で、被測定素子の電気特定値が基準値から外れる場合には、被測定素子を不良素子として計数した後、複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、工程(b)以降の工程を繰り返す工程(d)と、工程(d)において、複数の被測定素子の全てが選択されたと判定された場合には、不良素子として計数された総数を出力する工程(e)とを備える。
【0024】
本発明の第2の形態に係る半導体集積回路装置の検査方法は、基板上に、複数個の被測定素子と、複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、複数の選択素子のうちの、指定したアドレスをもつ所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択することにより、複数個の被測定素子の全てを1つずつ順に選択するアドレス制御・選択回路とを少なくとも備えた半導体集積回路装置の検査方法であって、複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する工程(a)と、アドレス制御・選択回路により、複数個の被測定素子のうちの一の被測定素子を選択する工程(b)と、工程(b)において選択された被測定素子の電気特性値と基準値とを比較する工程(c)と、工程(c)による比較結果に基づいて、被測定素子の電気特性値が基準値を満足する場合には、複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、工程(b)以降の工程を繰り返す一方で、被測定素子の電気特定値が基準値から外れる場合には、被測定素子を不良素子としてそのアドレスの出力を行った後、複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、工程(b)以降の工程を繰り返す工程(d)とを備える。
【0025】
本発明の第3の形態に係る半導体集積回路装置の検査方法は、基板上に、複数個の被測定素子と、複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、複数の選択素子のうちの、指定したアドレスをもつ所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択することにより、複数個の被測定素子の全てを1つずつ順に選択するアドレス制御・選択回路とを少なくとも備えた半導体集積回路装置の検査方法であって、複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する工程(a)と、アドレス制御・選択回路により、複数個の被測定素子のうちの一の被測定素子を選択する工程(b)と、工程(b)において選択された被測定素子の電気特性値と基準値とを比較する工程(c)と、工程(c)による比較結果に基づいて、被測定素子の電気特性値が基準値を満足する場合には、複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、工程(b)以降の工程を繰り返す一方で、被測定素子の電気特定値が基準値から外れる場合には、被測定素子を不良素子としてそのアドレスの出力を行うと共に、不良素子の電気特性を測定した後、複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、工程(b)以降の工程を繰り返す工程(d)とを備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る半導体集積回路装置及びその検査方法によると、限られた領域に多くの被測定素子を搭載でき、かつ、短時間で多数個の被測定素子の特性の良否判定及び特性異常を検出することができ、その結果、検査コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面において、各構成は本発明が理解できる程度にその形状及び配置関係等を概略的に示しているものである。また、説明に用いる各図面において、互いに対応する同様の構成部分については同一の番号で示し、その重複する説明を省略する場合もある。
【0028】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の回路構成を概略的に示す図面である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置は、図示しない基板上に、複数個の被測定素子11と、複数個の被測定素子11の各々に接続された選択素子としてのスイッチ素子12とからなる被測定素子アレイ13と、被測定素子アレイ13の中から、測定する被測定素子11のアドレスを指定すると共に、複数のスイッチ素子の中から、指定したアドレスをもつ被測定素子11に接続された一のスイッチ素子を選択するアドレス制御・選択回路14と、測定の良否判定の基準値(規格値)を設定する規格値設定手段15と、選択された被測定素子11の電気特性と設定された基準値とを比較する、カレントミラー回路で構成された比較回路17と、比較回路17による比較結果を計数するカウンタ回路18と、動作を制御するための制御回路16とを備えている。また、この半導体集積回路は、基準電位印加用パッド23、データ出力用パッド24、動作制御用パッド25、及び規格値設定用パッド26を介して外部のテスター31と接続されている。
【0031】
以上のように構成された本実施形態に係る半導体集積回路装置の回路動作について、以下に説明する。
【0032】
本実施形態に係る半導体集積回路装置では、測定動作を開始すると、まず、規格値設定手段15によって、良否判定のための基準値が設定される。本実施形態では、規格値設定手段15としてトランジスタを適用している。すなわち、規格値設定用パッド26にテスター31から所定の電圧を印加し、トランジスタのゲート電圧を制御することにより、トランジスタに流れる電流値を調整して基準値とする。
【0033】
次に、アドレス制御・選択回路14が被測定素子アレイ13の中の1個の被測定素子11を選択するためのアドレスを指定し、該当する被測定素子11に接続されているスイッチ素子12をオン状態にする。これにより、被測定素子11のうちの1個と比較回路17が電気的に接続される。
【0034】
次に、比較回路17により、規格値設定手段15のトランジスタに流れる電流と選択された被測定素子11に流れる電流を比較する。そして、規格値設定手段15のトランジスタに流れる電流よりも選択された被測定素子11に流れる電流の方が少ない場合に、この被測定素子11は不良と判定される。
【0035】
なお、ここでは選択された被測定素子11に流れる電流の方が基準値よりも少ない場合、すなわち被測定素子11の抵抗が高い場合を不良としたが、逆に被測定素子11に流れる電流の方が多い場合、すなわち被測定素子11の抵抗が低い場合を不良と判定することもできる。
【0036】
比較回路17は被測定素子11が規格を外れている、すなわち不良と判定した場合、パルス信号を出力する。比較回路17からパルス信号が出力されると、カウンタ回路18に1が加算される。このようにして不良素子数を計数する。上述したアドレスの指定から不良素子数の計数までを搭載されている被測定素子の個数分繰り返した後、最後にカウンタ回路18に保持されているデータ、すなわち不良の総数をデータ出力用パッド24に出力して、動作が完了する。上記一連の回路動作は制御回路16によって制御される。
【0037】
なお、図1に示す本実施形態に係る半導体集積回路装置では、カウンタ回路18とデータ出力用パッド24との間に接続され、制御回路16によって動作制御されるパラレル−シリアル変換回路19を搭載した回路構成となっている。ここで、本実施形態に係る半導体集積回路において、パラレル−シリアル変換回路19は搭載していない場合であっても、回路動作そのものには問題は無い。しかしながら、出力される不良個数データは複数ビット分のデータとなるため、パラレル−シリアル変換回路19を搭載していない場合にはデータ出力用パッド24がそのビット数分だけ必要になり、パッド個数が増加するため、その分チップ面積が増大する。一方、パラレル−シリアル変換回路19を搭載することにより、データ出力用パッド24の個数は、1個のみで済むため、必要なパッド個数を減らすことができ、チップ面積の点からもより望ましい。
【0038】
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法について、図面を参照しながら説明する。
【0039】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法を概略的に示すフローチャートである。
【0040】
図2に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置の検査方法では、測定を開始すると、まず、ステップS41(規格値設定工程)において、良否判定を行うための基準となる基準値を設定する。次に、ステップS42(素子選択工程)に進んで、複数個の被測定素子11の中から測定する素子を選択する。次に、ステップS43(比較工程)に進んで、ステップS41にて設定された基準値とステップS42にて選択された被測定素子11の電流値とを比較して、良否判定を行う。
【0041】
次に、ステップS43における良否判定の結果、選択された被測定素子11が良品と判定された場合には(ステップS43にてPass)、ステップS45に進んで、測定された被測定素子11が複数の被測定素子11の最後の素子か否かを判定する。次に、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子ではないと判定された場合には(ステップS45にてNo)、ステップS42に戻り、次に測定する被測定素子S42を選択し、ステップS43における良否判定以降の工程を更に行う。
【0042】
一方、ステップS43における良否判定の結果、選択された被測定素子11が不良と判定された場合には(ステップS43にてFail)、ステップS44(計数工程)に進んで、不良個数として1を加算する。次に、ステップS45に進んで、測定された被測定素子11が複数の被測定素子11の最後の素子か否かを判定する。次に、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子ではないと判定された場合には(ステップS45にてNo)、ステップS42に戻り、次に測定する被測定素子11を選択し、ステップS43における良否判定以降の工程を更に行う。
【0043】
そして、以上の工程を被測定素子11の最後の素子まで繰り返し、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子と判定された場合には(ステップS45にてYes)、ステップS46(不良総数出力工程)に進んで、ステップS45にて計数された総不良個数を出力して測定終了となる。
【0044】
以上で説明した本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置及びその検査方法によると、搭載されている被測定素子11の全てに対して測定に長時間を要するテスター31からのDC測定を行うことなく、チップ内部で良否判定を行うことができるため、短時間で被測定素子の特性を判定し、異常素子を検出し、更に、その不良個数を知ることができる。
【0045】
ここで、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の良否判定動作に要する時間を算出してみると、1素子当たり数100ナノ秒程度であるため、例えば被測定素子11を1000個搭載している半導体集積回路装置1チップ当たりの動作時間は数100マイクロ秒程度である。このため、テスターの設定、データの読み出し時間等を含めて1チップ当たりの総測定時間は数秒以下である。
【0046】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照しながら説明する。
【0047】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の回路構成を概略的に示す図面である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置は、図示しない基板上に、複数個の被測定素子11と、複数個の被測定素子11の各々に接続された選択素子としてのスイッチ素子12とからなる被測定素子アレイ13と、被測定素子アレイ13の中から、測定する被測定素子11のアドレスを指定すると共に、複数のスイッチ素子の中から、指定したアドレスをもつ被測定素子11に接続された一のスイッチ素子を選択するアドレス制御・選択回路14と、測定の良否判定の基準値(規格値)を設定する規格値設定手段15と、選択された被測定素子11の電気特性と設定された基準値とを比較する、カレントミラー回路で構成された比較回路17と、動作を制御するための制御回路16とを備えている。また、この半導体集積回路は、基準電位印加用パッド23、データ出力用パッド24、動作制御用パッド25、及び規格値設定用パッド26を介して外部のテスター31と接続されている。なお、本実施形態の半導体集積回路装置は、図1に示した第1の実施形態の半導体集積回路装置と比較すると、比較回路17による比較結果を計数するカウンタ回路18を備えていない点で異なり、その他の構成は同様である。
【0049】
以上のように構成された本実施形態に係る半導体集積回路装置の回路動作について、以下に説明する。
【0050】
本実施形態に係る半導体集積回路装置では、測定動作を開始すると、まず、規格値設定手段15によって、良否判定のための基準値が設定される。本実施形態では、規格値設定手段15としてトランジスタを適用している。すなわち、規格値設定用パッド26にテスター31から所定の電圧を印加し、トランジスタのゲート電圧を制御することにより、トランジスタに流れる電流値を調整して基準値とする。
【0051】
次に、アドレス制御・選択回路14が被測定素子アレイ13の中の1個の被測定素子11を選択するためのアドレスを指定し、該当する被測定素子11に接続されているスイッチ素子12をオン状態にする。これにより、被測定素子11のうちの1個と比較回路17が電気的に接続される。
【0052】
次に、比較回路17により、規格値設定手段15のトランジスタに流れる電流と選択された被測定素子11に流れる電流を比較する。そして、規格値設定手段15のトランジスタに流れる電流よりも選択された被測定素子11に流れる電流の方が少ない場合に、この被測定素子11は不良と判定される。
【0053】
なお、ここでは選択された被測定素子11に流れる電流の方が基準値よりも少ない場合、すなわち被測定素子11の抵抗が高い場合を不良としたが、逆に被測定素子11に流れる電流の方が多い場合、すなわち被測定素子11の抵抗が低い場合を不良と判定することもできる。
【0054】
比較回路17は被測定素子11が規格を外れている、すなわち不良と判定した場合、パルス信号を出力する。比較回路17から制御回路16に対してパルス信号が出力されると、制御回路16の制御により、選択されている被測定素子11のアドレスがアドレス制御・選択回路14から出力される。上述したアドレスの指定からアドレスの出力までを、搭載されている被測定素子11の個数分繰り返して、動作が完了する。上記一連の回路動作は制御回路16によって制御される。
【0055】
なお、図3に示す本実施形態に係る半導体集積回路装置では、データ出力用パッド24に接続され、制御回路16によって動作制御されるパラレル−シリアル変換回路19を搭載した回路構成となっている。ここで、本実施形態に係る半導体集積回路において、パラレル−シリアル変換回路19は搭載していない場合であっても、回路動作そのものには問題は無い。しかしながら、出力される不良素子のアドレスデータは複数ビット分のデータとなるため、パラレル−シリアル変換回路19を搭載していない場合にはデータ出力用パッド24がそのビット数分だけ必要になり、パッド個数が増加するため、その分チップ面積が増大する。一方、パラレル−シリアル変換回路19を搭載することにより、データ出力用パッド24の個数は、1個のみで済むため、必要なパッド個数を減らすことができ、チップ面積の点からもより望ましい。
【0056】
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法について、図面を参照しながら説明する。
【0057】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法を概略的に示すフローチャートである。
【0058】
図4に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置の検査方法では、測定を開始すると、まず、ステップS41(規格値設定工程)において、良否判定を行うための基準となる基準値を設定する。次に、ステップS42(素子選択工程)に進んで、複数個の被測定素子11の中から測定する素子を選択する。次に、ステップS43(比較工程)に進んで、ステップS41にて設定された基準値とステップS42にて選択された被測定素子11の電流値とを比較して、良否判定を行う。
【0059】
次に、ステップS43における良否判定の結果、選択された被測定素子11が良品と判定された場合には(ステップS43にてPass)、ステップS45に進んで、測定された被測定素子11が複数の被測定素子11の最後の素子か否かを判定する。次に、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子ではないと判定された場合には(ステップS45にてNo)、ステップS42に戻り、次に測定する被測定素子S42を選択し、ステップS43における良否判定以降の工程を更に行う。
【0060】
一方、ステップS43における良否判定の結果、選択された被測定素子11が不良と判定された場合には(ステップS43にてFail)、ステップS47(不良アドレス出力工程)に進んで、不良素子のアドレスを出力する。ここで、この出力されたアドレスは、検査に用いられるテスター31から読み取られる。次に、ステップS45に進んで、測定された被測定素子11が複数の被測定素子11の最後の素子か否かを判定する。次に、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子ではないと判定された場合には(ステップS45にてNo)、ステップS42に戻り、次に測定する被測定素子11を選択し、ステップS43における良否判定以降の工程を更に行う。
【0061】
そして、以上の工程を被測定素子11の最後の素子まで繰り返し、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子と判定された場合には(ステップS45にてYes)、測定終了となる。
【0062】
以上で説明した本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置及びその検査方法によると、搭載されている被測定素子11の全てに対して測定に長時間を要するテスター31からのDC測定を行うことなく、チップ内部で良否判定を行うことができるため、短時間で被測定素子の特性を判定し、異常素子を検出できる。更に、その不良アドレスを知り、不良箇所を特定することができる。このため、検査後に不良箇所の物理解析等を行うことが可能となる。
【0063】
ここで、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の良否判定動作に要する時間を算出してみると、1素子当たり数100ナノ秒程度である。総測定時間は、読み出すアドレスの個数、すなわち不良個数によって変動し、不良個数が多いほど長くなるが、例えば不良と判定された素子数が数個程度であった場合、テスターの設定、データの読み出し時間等を含めて1チップ当たりの総測定時間は数秒以下である。
【0064】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照しながら説明する。
【0065】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の回路構成を概略的に示す図面である。
【0066】
図5に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置は、図示しない基板上に、複数個の被測定素子11と、複数個の被測定素子11の各々に接続された選択素子としてのスイッチ素子12とからなる被測定素子アレイ13と、被測定素子アレイ13の中から、測定する被測定素子11のアドレスを指定すると共に、複数のスイッチ素子の中から、指定したアドレスをもつ被測定素子11に接続された一のスイッチ素子を選択するアドレス制御・選択回路14と、測定の良否判定の基準値(規格値)を設定する規格値設定手段15と、選択された被測定素子11の電気特性と設定された基準値とを比較する、カレントミラー回路で構成された比較回路17と、動作を制御するための制御回路16と、電気特性測定用パッド27とを備えている。なお、本実施形態の半導体集積回路装置は、図3に示した第2の実施形態の半導体集積回路装置と比較すると、電気特性測定用パッド27を備えている点で異なり、その他の構成は同様である。
【0067】
以上のように構成された本実施形態に係る半導体集積回路装置の回路動作について、以下に説明する。
【0068】
本実施形態に係る半導体集積回路装置では、測定動作を開始すると、まず、規格値設定手段15によって、良否判定のための基準値が設定される。本実施形態では、規格値設定手段15としてトランジスタを適用している。すなわち、規格値設定用パッド26にテスター31から所定の電圧を印加し、トランジスタのゲート電圧を制御することにより、トランジスタに流れる電流値を調整して基準値とする。
【0069】
次に、アドレス制御・選択回路14が被測定素子アレイ13の中の1個の被測定素子11を選択するためのアドレスを指定し、該当する被測定素子11に接続されているスイッチ素子12をオン状態にする。これにより、被測定素子11のうちの1個と比較回路17が電気的に接続される。
【0070】
次に、比較回路17により、規格値設定手段15のトランジスタに流れる電流と選択された被測定素子11に流れる電流を比較する。そして、規格値設定手段15のトランジスタに流れる電流よりも選択された被測定素子11に流れる電流の方が少ない場合に、この被測定素子11は不良と判定される。
【0071】
なお、ここでは選択された被測定素子11に流れる電流の方が基準値よりも少ない場合、すなわち被測定素子11の抵抗が高い場合を不良としたが、逆に被測定素子11に流れる電流の方が多い場合、すなわち被測定素子11の抵抗が低い場合を不良と判定することもできる。
【0072】
比較回路17は被測定素子11が規格を外れている、すなわち不良と判定した場合、パルス信号を出力する。比較回路107から制御回路16に対してパルス信号が出力されると、制御回路16の制御により、選択されている被測定素子11のアドレスがアドレス制御・選択回路14から出力される。ここで更に、不良と判定された被測定素子11が選択されている状態で、電気特性測定用パッド27に電圧を印加してその電流値を測定することにより、不良素子の電気的特性をDC評価する。上述したアドレスの指定からDC評価までを、搭載されている被測定素子11の個数分繰り返して、動作が完了する。上記一連の回路動作は制御回路16によって制御される。
【0073】
なお、図5に示す本実施形態に係る半導体集積回路装置では、データ出力用パッド24に接続され、制御回路16によって動作制御されるパラレル−シリアル変換回路19を搭載した回路構成となっている。ここで、本実施形態に係る半導体集積回路において、パラレル−シリアル変換回路19は搭載していない場合であっても、回路動作そのものには問題は無い。しかしながら、出力される不良素子のアドレスデータは複数ビット分のデータとなるため、パラレル−シリアル変換回路19を搭載していない場合にはデータ出力用パッド24がそのビット数分だけ必要になり、パッド個数が増加するため、その分チップ面積が増大する。一方、パラレル−シリアル変換回路19を搭載することにより、データ出力用パッド24の個数は、1個のみで済むため、必要なパッド個数を減らすことができ、チップ面積の点からもより望ましい。
【0074】
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法について、図面を参照しながら説明する。
【0075】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法を概略的に示すフローチャートである。
【0076】
図6に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置の検査方法では、測定を開始すると、まず、ステップS41(規格値設定工程)において、良否判定を行うための基準となる基準値を設定する。次に、ステップS42(素子選択工程)に進んで、複数個の被測定素子11の中から測定する素子を選択する。次に、ステップS43(比較工程)に進んで、ステップS41にて設定された基準値とステップS42にて選択された被測定素子11の電流値とを比較して、良否判定を行う。
【0077】
次に、ステップS43における良否判定の結果、選択された被測定素子11が良品と判定された場合には(ステップS43にてPass)、ステップS45に進んで、測定された被測定素子11が複数の被測定素子11の最後の素子か否かを判定する。次に、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子ではないと判定された場合には(ステップS45にてNo)、ステップS42に戻り、次に測定する被測定素子S42を選択し、ステップS43における良否判定以降の工程を更に行う。
【0078】
一方、ステップS43における良否判定の結果、選択された被測定素子11が不良と判定された場合には(ステップS43にてFail)、ステップS47(不良アドレス出力工程)に進んで、不良素子のアドレスを出力する。ここで、この出力されたアドレスは、検査に用いられるテスター31から読み取られる。次に、ステップS48(不良素子のDC測定工程)に進んで、不良と判定された被測定素子11に対して、テスター31からDC測定を行い、不良素子の電気的特性データを取得する。次に、ステップS45に進んで、測定された被測定素子11が複数の被測定素子11の最後の素子か否かを判定する。次に、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子ではないと判定された場合には(ステップS45にてNo)、ステップS42に戻り、次に測定する被測定素子11を選択し、ステップS43における良否判定以降の工程を更に行う。
【0079】
そして、以上の工程を被測定素子11の最後の素子まで繰り返し、ステップS45にて、被測定素子11が最後の素子と判定された場合には(ステップS45にてYes)、測定終了となる。
【0080】
以上で説明した本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置及びその検査方法によると、搭載されている被測定素子11の全てに対して測定に長時間を要するテスター31からのDC測定を行うことなく、チップ内部で良否判定を行うことができ、短時間で被測定素子11の特性を判定し、異常素子を検出できる。更に、その不良アドレスを知り、不良箇所を特定できると共に、その不良素子の電気的特性データを取得することができる。このため、不良素子の特性を知った上で、検査後に物理解析等を行うことが可能となる。
【0081】
ここで、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の良否判定動作に要する時間を算出すると、1素子当たり数100ナノ秒程度である。総測定時間は、読み出すアドレスの個数及びDC測定の回数、すなわち不良個数によって変動し、不良個数が多いほど長くなるが、例えば不良と判定された素子数が数個程度であった場合、テスターの設定、データの読み出し時間、DC測定時間等を含めて1チップ当たりの総測定時間は数秒程度である。
【0082】
なお、以上に説明した第1〜第3の実施形態では、不良素子の個数を計数する機能、不良アドレスを出力する機能、及び不良素子のDC測定を行う機能をそれぞれ別の実施形態として説明したが、これらの機能を適宜組み合わせて搭載し、動作モードを切り替えられるようにした半導体集積回路装置としてもよい。
【0083】
また、以上に説明した第1〜第3の実施形態では、規格値設定手段15をトランジスタとし、トランジスタのゲート電圧を制御することにより電流値を制御して基準値を設定しているが、印加するゲート電圧値は、前もってトランジスタの電圧電流特性を評価しておくことにより決定すればよい。
【0084】
また、以上に説明した第1〜第3の実施形態では、規格値設定手段15をトランジスタとし、トランジスタのゲート電圧を制御することにより電流値を制御して基準値を設定しているが、例えば図7に示すように、トランジスタを用いることなく、規格値設定用パッド26を比較回路17に直接接続し、テスター31から規格とする電流を直接印加してもよい。
【0085】
また、以上に説明した第1〜第3の実施形態では、規格とする電流値に対して、被測定素子の電流が少ない場合、または、多い場合を不良と判定する場合について説明したが、上限及び下限の両方に基準値を設定したい場合、すなわち規格範囲を設定したい場合には、基準上限値及び基準下限値に対して、それぞれ電流が多い場合と少ない場合を不良と判定する測定をそれぞれ行えばよい。このように設定すれば、基準上限値及び基準下限値に対して不良と判定される素子が無ければ、被測定素子11の全てが基準範囲内に収まっていると判断できる。
【0086】
本発明の半導体集積回路装置における被測定素子としては、半導体集積回路装置を構成するのに必要なさまざまな種類の素子が考えられ、抵抗素子、トランジスタ、コンタクト、ヴィア、配線、メモリセル及びヒューズ素子のうちの少なくとも1つを含むものである。
【0087】
この点、プロセス開発段階においては、プロセス課題検出のための半導体集積回路装置として作製し、例えば、コンタクトやヴィアや配線を多数個搭載して良否判定評価することにより、コンタクトやヴィアのオープン状態、配線が断線することによる高抵抗等を検出し、プロセス課題を抽出することができる。また、トランジスタを被測定素子とした場合には、トランジスタのゲートに電圧を印加しオン状態にした時やオフ状態にしたときの電流値を判定し、異常トランジスタを検出することができる。同様にして、メモリセルを被測定素子として、メモリセルの特性異常を検出することも可能である。
【0088】
また、製品の量産段階においては、例えば、スクライブラインに搭載できるチップサイズで作製し、製造ラインの管理に用いることができる。また、製品チップ内部に本発明の半導体集積回路装置を搭載することにより、製品チップの動作に必要とされる素子が基準内に収まっているかを検査することができる。例えば、ヒューズ素子が切断前に切れてしまっていないか事前に検査したり、抵抗素子が基準の抵抗精度を満足しているかどうかを短時間で判定することができる。被測定素子が製品チップで使用される素子の場合、本発明の半導体集積回路装置のうち被測定素子以外の回路は製品チップの外、例えば、スクライブライン内に作製するという構成も考えられる。この構成にすることにより、検査回路を作製しても製品チップの面積を増大させることはない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明の半導体集積回路装置及びその検査方法は、限られた領域に多くの被測定素子を搭載でき、かつ、短時間で多数個の被測定素子の特性の良否判定及び特性異常を検出することができ、その結果、検査コストを低減させることができるものであり、特に、半導体集積回路装置における搭載素子の良・不良判定を行うための検査回路及びこれを用いた検査方法にとって有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の回路構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の回路構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の回路構成を示す概略図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の検査方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1〜第3の実施形態に係る半導体集積回路装置における規格値設定手段の変形例を示す概略図である。
【図8】従来の半導体集積回路装置の回路構成を示す概略図である。
【図9】従来の半導体集積回路装置の検査方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
11 被測定素子
12 スイッチ素子(選択素子)
13 被測定素子アレイ
14 アドレス制御・選択回路
15 規格値設定手段
16 制御回路
17 比較回路
18 カウンタ回路
19 パラレル−シリアル変換回路
23 基準電位印加用パッド
24 データ出力用パッド
25 動作制御用パッド
26 規格値設定用パッド
27 電気特性測定用パッド
31 テスター
S41 規格値設定工程
S42 素子選択工程
S43 比較工程
S44 計数工程
S45 最後の素子か否かの判定工程
S46 不良総数出力工程
S47 不良アドレス出力工程
S48 不良素子のDC測定工程
101 被測定素子
102 スイッチ素子(選択素子)
103 被測定素子アレイ
104 アドレス制御・選択回路
201 アドレス制御用パッド
202 電気特性測定用パッド
203 基準電位印加用パッド
S401 素子選択工程
S402 DC測定工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
複数個の被測定素子と、前記複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、
前記複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、前記複数の選択素子のうちの、前記指定したアドレスをもつ前記所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択するアドレス制御・選択回路と、
前記複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する規格値設定手段と、
前記一の選択素子に接続する前記被測定素子の電気特性値と前記基準値とを比較する比較回路と、
前記比較回路による比較結果に基づいて計数を行うカウンタ回路と、
回路動作を制御するための制御回路とを備え、
前記比較回路は、前記被測定素子の電気特性値と前記基準値との比較を前記複数の被測定素子に対して1つずつ順に行うものであり、
前記カウンタ回路は、前記基準値を外れた前記被測定素子の総数を出力するものである、半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体集積回路装置において、
前記制御回路、前記アドレス制御・選択回路及び前記カウンタ回路に接続するパラレル−シリアル変換回路をさらに備え、
前記パラレル−シリアル変換回路は、前記カウンタ回路から出力される前記被測定素子の総数である複数ビットのパラレル出力データをシリアル出力データに変換し、1つのパッドから順次出力する、半導体集積回路装置。
【請求項3】
基板上に、
複数個の被測定素子と、前記複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、
前記複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、前記複数の選択素子のうちの、前記指定したアドレスをもつ前記所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択するアドレス制御・選択回路と、
前記複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する規格値設定手段と、
前記一の選択素子に接続する前記被測定素子の電気特性値と前記基準値とを比較する比較回路と、
回路動作を制御するための制御回路とを備え、
前記比較回路は、前記被測定素子の電気特性値と前記基準値との比較を前記複数の被測定素子に対して1つずつ順に行うものであり、
前記アドレス制御・選択回路は、前記基準値を外れた前記被測定素子のアドレスを出力するものである、半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体集積回路装置において、
前記制御回路及び前記アドレス制御・選択回路に接続するパラレル−シリアル変換回路をさらに備え、
前記パラレル−シリアル変換回路は、前記アドレス制御・選択回路から出力される前記被測定素子のアドレスである複数ビットのパラレル出力データをシリアル出力データに変換し、1つのパッドから順次出力する、半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の半導体集積回路装置において、
前記複数の選択素子の各々を介して前記複数の被測定素子の各々に接続されるパッドをさらに備え、
前記アドレス制御・選択回路から、前記基準値を外れた前記被測定素子のアドレスが出力されると、外部より前記パッドに電圧を印加して、前記基準値から外れた前記被測定素子の電気特性値を測定する、半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記規格値設定手段は、
トランジスタ及び前記トランジスタのゲートに接続されるパッドから構成されており、
前記パッドに印加される電圧により前記トランジスタのゲート電圧を制御して前記基準値を設定する、半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記規格値設定手段は、
パッドから構成されており、
前記パッドに印加される電流を制御して前記基準値を設定する、半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記比較回路は、
カレントミラー回路によって構成されており、
前記被測定素子に流れる前記電気特性値としての電流値と、前記規格値設定手段で設定された前記基準値としての電流値との大小の比較結果を出力する、半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路装置において、
前記被測定素子は、抵抗素子、トランジスタ、コンタクト、ヴィア、配線、メモリセル及びヒューズ素子のうちの少なくとも1つを含む、半導体集積回路装置。
【請求項10】
基板上に、複数個の被測定素子と、前記複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、前記複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、前記複数の選択素子のうちの、前記指定したアドレスをもつ前記所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択することにより、前記複数個の被測定素子の全てを1つずつ順に選択するアドレス制御・選択回路とを少なくとも備えた半導体集積回路装置の検査方法であって、
前記複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する工程(a)と、
前記アドレス制御・選択回路により、前記複数個の被測定素子のうちの一の被測定素子を選択する工程(b)と、
前記工程(b)において選択された前記被測定素子の電気特性値と前記基準値とを比較する工程(c)と、
前記工程(c)による比較結果に基づいて、前記被測定素子の電気特性値が前記基準値を満足する場合には、前記複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、前記工程(b)以降の工程を繰り返す一方で、前記被測定素子の電気特定値が前記基準値から外れる場合には、前記被測定素子を不良素子として計数した後、前記複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、前記工程(b)以降の工程を繰り返す工程(d)と、
前記工程(d)において、前記複数の被測定素子の全てが選択されたと判定された場合には、前記不良素子として計数された総数を出力する工程(e)とを備える、半導体集積回路装置の検査方法。
【請求項11】
基板上に、複数個の被測定素子と、前記複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、前記複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、前記複数の選択素子のうちの、前記指定したアドレスをもつ前記所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択することにより、前記複数個の被測定素子の全てを1つずつ順に選択するアドレス制御・選択回路とを少なくとも備えた半導体集積回路装置の検査方法であって、
前記複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する工程(a)と、
前記アドレス制御・選択回路により、前記複数個の被測定素子のうちの一の被測定素子を選択する工程(b)と、
前記工程(b)において選択された前記被測定素子の電気特性値と前記基準値とを比較する工程(c)と、
前記工程(c)による比較結果に基づいて、前記被測定素子の電気特性値が前記基準値を満足する場合には、前記複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、前記工程(b)以降の工程を繰り返す一方で、前記被測定素子の電気特定値が前記基準値から外れる場合には、前記被測定素子を不良素子としてそのアドレスの出力を行った後、前記複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、前記工程(b)以降の工程を繰り返す工程(d)とを備える、半導体集積回路装置の検査方法。
【請求項12】
基板上に、複数個の被測定素子と、前記複数個の被測定素子の各々に接続された複数の選択素子とからなる被測定素子アレイと、前記複数個の被測定素子のうちの、所望の被測定素子のアドレスを指定すると共に、前記複数の選択素子のうちの、前記指定したアドレスをもつ前記所望の被測定素子に接続された一の選択素子を選択することにより、前記複数個の被測定素子の全てを1つずつ順に選択するアドレス制御・選択回路とを少なくとも備えた半導体集積回路装置の検査方法であって、
前記複数個の被測定素子の各々の良否判定の基準値を設定する工程(a)と、
前記アドレス制御・選択回路により、前記複数個の被測定素子のうちの一の被測定素子を選択する工程(b)と、
前記工程(b)において選択された前記被測定素子の電気特性値と前記基準値とを比較する工程(c)と、
前記工程(c)による比較結果に基づいて、前記被測定素子の電気特性値が前記基準値を満足する場合には、前記複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、前記工程(b)以降の工程を繰り返す一方で、前記被測定素子の電気特定値が前記基準値から外れる場合には、前記被測定素子を不良素子としてそのアドレスの出力を行うと共に、前記不良素子の電気特性を測定した後、前記複数個の被測定素子の全てが選択されるまで、前記工程(b)以降の工程を繰り返す工程(d)とを備える、半導体集積回路装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−222505(P2009−222505A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66239(P2008−66239)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】