説明

半田外観検査方法

【課題】半田外観検査方法において、正確な良・不良の判定の自動化を可能にする。
【解決手段】半導体装置のリード上に半田を塗布した後の半田外観検査方法であって、
前記リード上の所定領域に照射した光の反射光の、位置に対応する輝度を検出する工程と、
検出された前記輝度について、一軸方向にプロジェクションをとり、所定位置からの距離
に対する輝度のプロファイルを形成する工程と、前記輝度が、半田が塗布されているとき
に得られる値となる距離が、所定の条件を満たす半導体装置を検出し、良品と判定する工
程を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置のリード上に半田を塗布した後の半田外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置の製造工程において、半導体素子をリードフレーム上にマウントした後、図5に示すようにリ一ド上の所定位置に半田が塗布されるが、このとき、半田が適当な位置に、適当な長さ、面積で塗布されているかどうか、リード間にブリッジが形成されていないか、という点について、外観目視検査を行い、良品と不良品の判断を行っている。
【0003】
近年、製造工程の効率化、コストダウンを図るために、画像処理による外観検査の自動化が種々検討されている(例えば特許文献1参照)。半導体素子をマウントしたリード上に塗布される半田の状態についても、同様に外観検査の自動化が検討されている。
【0004】
例えば、リード上の半田があるべき領域に光を照射すると、半田の有無により反射光の輝度が変化することから、反射光をCCD(Charge−Coupled Devices)等を用いて画像処理することにより、領域内の輝度を検出し、所定値以上或いは以下である画素数をカウントすることにより、半田が適切に塗布されているかどうかが判断される。
【特許文献1】特開2003-185595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような方法では、自動化が可能であるものの、領域内のどこまで半田がついているかを判断することはできず、本来塗布すべきところに半田が塗布されていない不良が良品と判定されてしまう。さらに、図6に示すように、フラックス等により、半田の表面状態が変化していると、半田がついている良品にもかかわらず、不良と判定されてしまう、という間題があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来の問題を取り除き、正確な良・不良の判定の自動化が可能な、半田外観検査方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体装置のリード上に半田を塗布した後の半田外観検査方法であって、前記リ一ド上の所定領域に照射した光の反射光の、位置に対応する輝度を検出する工程と、検出された前記輝度について、一軸方向にプロジェクションをとり、所定位置からの距離に対する輝度のプロファイルを形成する工程と、前記輝度が、半田が塗布されているときに得られる値となる距離が、所定の条件を満たす半導体装置を検出し、良品と判定する工程を備えることを特徴とする半田外観検査方法が提供される。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、半導体装置のリード上に半田を塗布した後の半田外観検査方法であって、前記リード上の所定領域に照射した光の反射光の、位置に対応する輝度をCCDにより画素毎に検出する工程と、画素毎に検出された前記輝度について、一軸方向のプロジェクションをとり、所定位置からの画素数又は距離に対する輝度のプロファイルを形成する工程と、前記輝度が、半田が塗布されているときに得られる値となる画素数又は距離が、所定の条件を満たす半導体装置を検出し、良品と判定する工程を備えることを特徴とする半田外観検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施態様によれば、半田外観検査方法において、正確な良・不良の判定の自動化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
【0011】
図1に、本実施形態の半田外観検査が行われる半導体製造装置を示す。図に示すように、夫々表裏面を同時に処理できる半田塗布装置1、洗浄装置2、検査装置が、直列に設置されている。検査装置は、上下1対の光源3a及びCCD3b及び画像処理手段3cから構成されている。CCD3bには、画像処理手段3cが接続されており、画像処理手段3cは、さらに半田塗布装置1、洗浄装置2を制御する制御手段4、マーキング(抜き取り)装置5と接続されている。
【0012】
そして、このような半導体製造装置に、図2に示すような半導体素子6を載置した短尺又はHOOP状リードフレーム7をセットし、先ず半田塗布装置1において、リード7a表裏面の所定領域に、フラックス、半田を順次塗布し、連続して洗浄装置2において洗浄する。そして、連続して、リード7aの上下に設けられた光源3aより、リ一ド7aの表面の所定領域に光が照射され、夫々の反射光の輝度をCCD3bで受光し、このときの画毎の輝度データが画像処理手段3cに入力される。この輝度データを画像処理手段3cにおいて画像処理することにより、不良と判断されたものは、マーキング(抜き取り)装置5においてマーキングされ、最終的に抜き取り除去される。また、画像処理により得られた不良発生等のデータは、制御手段4に入力され、そのデータに基づき、半田塗布装置1、洗浄装置2が制御される。
【0013】
図3に、半田外観検査のフローチャートを示す。この半田外観検査において、CCDにより所定領域内の輝度を測定し(ステップ100)、測定されたデータを面内処理して判定する半田ブリッジ検査(ステップ101)と、測定されたデータの所定方向のプロジェクションをとって判定するプロジェクション検査(ステップ102)、さらにプロジェクションにより得られた輝度のプロファイルの微分値により判定する微分値検査が行われる。プロジェクション検査においては、半田長さ検査103、半田量(半田のついている面積)検査104が行われる。
【0014】
先ず、半田ブリッジ検査(ステップ101)を行う。半田がついてはならないリード間に領域を設定して、その領域の各画素における輝度を検出し、その平均値を算出する(ステップ101-1)。次いで、予め求めておいたリード間に半田がついている状態の輝度範囲(所定値以上或いは以下)と、算出された輝度の平均値を比較し(ステップ101-2)、良品、不良品を判定する。そして、不良品と判定されたものは、マーキングされ、抜き取り除去される(ステップ101-3)。
【0015】
次に、半田ブリッジ検査において良品と判定されたものについて、プロジェクション検査(ステップ102)を行う。入力された画素毎の輝度データにおいて、リ一ド上に領域を設定し、リードの長さ方向のプロジェクションをとり、所定位置からの画素数又は距離に対する輝度のプロファイルを形成する(ステップ102-1)。
【0016】
そして、先ず、半田長さ検査を行う(ステップ103)。先に形成された輝度のプロファイルにおいて、予め求めたリ一ド上に半田がついている状態の輝度範囲となる画素(位置)を検出し(ステップ103-1)、連続する画素数又は距離を、半田長さのスペックと比較し(ステップ103-2)、良品、不良品を判定する。
【0017】
次いで、半導体量検査を行う(ステップ104)。先に形成された輝度のプロファイルにおいて、予め求めたリード上に半田がついている状態の輝度範囲となる画素をカウントし(ステップ104-1)、半田量のスペックと比較し(ステップ104-2)、良品、不良品を判定する。
【0018】
これらプロジェクション検査で、半田が短い、或いは半田量が少ないと判定され、マーキングされた不良品においては、実際に半田が短い、或いは半田量が少ない不良品と、半田が十分についている良品にもかかわらず、フラックス等による白濁で半田がついていないと判定されるものが混在している。そこで、プロジェクション検査において不良と判定されたものについて、さらに微分値検査を行う(ステップl05)。
【0019】
先ず、先に形成された輝度のプロファイルにおいて、輝度を画素数(又は距離)で微分した微分値の絶対値を算出する(ステップ105-1)。発明者により、半田がフラックス等により白濁を生じると、輝度の変動が大きくなるため、微分値の絶対値が大きくなる、という知見が得られており、その知見に基づき、所定領域内の微分値の絶対値の総和(積分値)、或いはその平均値が、予め求めた半田が塗布されているがフラックス等により白濁を生じるときに得られる値の範囲のとき、良品であると判定することができる。
【0020】
従って、所定範囲の画素毎に微分値の絶対値を算出し、その総和(或いはこれを画素数で割った平均値)を算出し(ステップ105-2)、この値を予め求めた良品の範囲と比較し(ステップ105-3)、良品、不良品を判定する。そして、不良品と判定されたものは、マーキングされ、抜き取り除去される(ステップ105-4)。
【0021】
ここで、図4‐1〜図4‐4に、半田の塗布状態の異なる半導体装置のサンプル1〜4の、夫々(a)に上面図を、(b)にリード7a上の指定領域8の輝度のプロファイルを示す。また、表1に、これらの半田外観検査の結果を示す。尚、輝度は白色から黒色を255段階に分けたときの相対値で表され、ここでは、リ一ド上に半田がついている状態の輝度範囲を、相対輝度を例えば180以上とする。
【表1】

図4‐1に示すように、半田が塗布されていない場合、輝度は180より低く、プロファイルもフラットであるため、微分値の絶対値の和は小さくなり不良品と判定される。また、図4‐2に示すように、半田は塗布されているがフラックス等により白濁を生じている場合、輝度は180より低いが、輝度の変動が大きく、微分値の絶対値の総和が大きくなり、良品と判定することができる。また、図4‐3に示すように、半田長さが短くなっている場合、プロファイルにおいて、輝度が180以上となる画素数(距離)が、良品の範囲より小さくなっているとともに、微分値の絶対値の和も小さくなる。一方、半田の塗布状態が良好の場合は、適当な位置で180を越える輝度となっており、その長さ、面積も良品の範囲となる。
【0022】
このように、プロジェクション検査、微分値検査を含む半田外観検査を行うことにより、所定領域内の輝度を面内で判定するだけでは判断が難しい半田長さの不良や、良品であってもフラックスによる白濁を生じているものを正確に判定することが可能となる。
【0023】
本実施形態において、半導体装置をマウントしたリードフレームにおいて、リード上に塗布される半田の外観を検査しているが、これに限定されるものではなく、所定の位置に半田を塗布するものについて、適用することが可能である。また、リードフレーム上に載置される半導体素子は、ICの他、フォトカプラ、LED等の光半導体等、特に限定されるものではない。また、リードフレームや半田の材料も特に規定されるものではなく、Pbフリー半田にも対応することができる。
【0024】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。その他要旨を逸脱しない
範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一態様における半導体製造装置を示す図。
【図2】本発明の一態様における半導体製造工程を示す図。
【図3】本発明の一態様における半田外観検査のフローチャートを示す図。
【図4−1】本発明の一態様における半導体装置の上面図及びリード上の領域の輝度のプロファイルを示す図。
【図4−2】本発明の一態様における半導体装置の上面図及びリード上の領域の輝度のプロファイルを示す図。
【図4−3】本発明の一態様における半導体装置の上面図及びリード上の領域の輝度のプロファイルを示す図。
【図4−4】本発明の一態様における半導体装置の上面図及びリード上の領域の輝度のプロファイルを示す図。
【図5】リード上に半田が塗布された半導体装置の上面図を示す図。
【図6】リード上に半田が塗布された半導体装置の上面図を示す図。
【符号の説明】
【0026】
1 塗布装置
2 洗浄装置
3 検査装置
4 制御手段
5 マーキング装置
6、16 半導体素子
7 17 リードフレーム
7a、17a リード
8 指定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置のリード上に半田を塗布した後の半田外観検査方法であって、
前記リード上の所定領域に照射した光の反射光の、位置に対応する輝度を検出する工程と、
検出された前記輝度について、一軸方向にプロジェクションをとり、所定位置からの距離に対する輝度のプロファイルを形成する工程と、
前記輝度が、半田が塗布されているときに得られる値となる距離が、所定の条件を満たす半導体装置を検出し、良品と判定する工程を備えることを特徴とする半田外観検査方法。
【請求項2】
前記良品と判定されなかったものにおいて、前記輝度を距離で微分し、所定領域において微分値の絶対値を積分した積分値、又は平均値が、所定値以上のものを検出し、良品と判定する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の半田外観検査方法。
【請求項3】
半導体装置のリード上に半田を塗布した後の半田外観検査方法であって、
前記リード上の所定領域に照射した光の反射光の、位置に対応する輝度をCCDにより画素毎に検出する工程と、
画素毎に検出された前記輝度について、一軸方向のプロジェクションをとり、所定位置からの画素数又は距離に対する輝度のプロファイルを形成する工程と、
前記輝度が、半田が塗布されているときに得られる値となる画素数又は距離が、所定の条件を満たす半導体装置を検出し、良品と判定する工程を備えることを特徴とする半田外観検査方法。
【請求項4】
前記良品と判定されなかったものにおいて、前記輝度を微分し、所定領域における画素毎の微分値の絶対値の総和、或いはその平均値が、所定値以上のものを検出し、良品と判定する工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の半田外観検査方法。
【請求項5】
前記リード間の所定領域に照射した光の反射光の、位置に対応する輝度を検出する工程と、
前記輝度の平均値を算出し、所定の条件を満たす半導体装置を検出し、良品と判定する工程を備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の半田外観検査方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−78282(P2006−78282A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261434(P2004−261434)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】