説明

単一共振器二重周波数横−縦モード圧電オシレータおよびその動作方法

オシレータは、第1および第2の電極を有するとともに、第1および第2の電極が同相信号を伝える第1の周波数と、第1および第2の電極が異相信号を伝える第2の周波数とで共振するように構成される共振器を含む。駆動回路は、共振器が第1の周波数または第2の周波数でそれぞれ選択的に共振するように第1および第2の電極での同相信号または第1および第2の電極での異相信号を選択的に維持するように構成される。関連するオシレータ動作方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、その開示内容の全体を引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Single−Resonator Dual−Mode Dual−Frequency Thin−Film Piezoelectric Oscillatorと題された2007年9月19日に出願された仮出願第60/973,582号の利益を主張する。
【0002】
[連邦政府支援の研究または開発に関する供述]
この発明は、米陸軍により与えられた契約W15P7T−06−C−P635号の下で政府支援によりなされた。政府は、本発明において特定の権利を有することができる。
【0003】
[発明の分野]
この発明は、オシレータおよびその動作方法に関し、特に、マイクロ電子オシレータおよびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0004】
オシレータは、例えばマイクロ電子デバイスのためのクロック周波数を確立するために、マイクロ電子デバイスで幅広く使用される。オシレータは、一般に、水晶共振器などの共振器と、共振器を共振駆動させる駆動回路とを含む。
【発明の概要】
【0005】
本発明の様々な実施形態に係るオシレータは、第1および第2の電極を有するとともに、第1および第2の電極が同相信号を伝える第1の周波数と、第1および第2の電極が異相信号を伝える第2の周波数とで共振するように構成される共振器を含む。駆動回路は、共振器が第1の周波数または第2の周波数でそれぞれ選択的に共振するように第1および第2の電極での同相信号または第1および第2の電極での異相信号を選択的に維持するように構成される。異相信号は、位相が180°ずれていてもよい。したがって、本発明の様々な実施形態によれば、二重周波数単一共振器オシレータが提供される。
【0006】
幾つかの実施形態において、共振器は、一次幅−縦共振モードおよび高次(すなわち、一次よりも高い)幅−縦共振モードをサポートする薄膜材料を備える。他の実施形態において、第1および第2の電極は、駆動回路が同相信号または異相信号のそれぞれを維持するかどうかに応じて薄膜材料を一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードのいずれかで共振させるようにパターニングされる。第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備えていてもよく、所定数は高次共振モードに対応する。したがって、例えば、3つのインタディジタルフィンガによって三次共振が励起されてもよく、5つのインタディジタルフィンガによって五次共振が励起されるなどしてもよい。
【0007】
他の実施形態では、共振器が基板上薄膜圧電(TPoS)共振器を備える。幾つかの実施形態において、TPoS共振器は、基板と、基板から懸架される単結晶シリコンプレートと、単結晶シリコンプレート上の薄膜圧電層とを備え、第1および第2の電極が薄膜圧電層上にある。更なる他の実施形態において、第1および第2の電極は、駆動回路が同相信号または異相信号のそれぞれを維持するかどうかに応じて薄膜圧電層が単結晶シリコンプレートで一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードを励起するようにパターニングされる。更なる他の実施形態では、第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備え、所定数が高次共振モードに対応する。他の実施形態では、共振器がマイクロ電子機械システム(MEMS)共振器を備えてもよい。
【0008】
幾つかの実施形態において、駆動回路は、同相信号を維持するために第1および第2の電極間に直列に接続される第1ならびに第2の反転増幅器と、異相信号を維持するために第1または第2の反転増幅器のうちの一方をバイパスするように構成されるスイッチとを備える。また、第1および第2の反転増幅器がそれぞれ単一の能動半導体デバイス、例えばコモンエミッタ形態を成す単一のバイポーラトランジスタを備えてもよい。
【0009】
更なる他の実施形態に係るオシレータは、マイクロ電子基板と、マイクロ電子基板から懸架され、2つの異なる周波数で共振するように構成されるMEMS共振器とを含んでもよい。幾つかの実施形態において、MEMS共振器は、マイクロ電子基板から懸架され、一次幅−縦共振モードおよび高次幅−縦共振モードで共振するプレートを備える。第1および第2の電極がプレート上に設けられてもよく、該電極は、該電極が駆動されるときにプレートを一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードのいずれかで共振させるようにパターニングされる。第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備えてもよく、所定数は高次共振モードに対応する。他の実施形態では、MEMS共振器が前述したようなTPoS共振器を備える。
【0010】
本発明の更なる他の実施形態に係るオシレータは、マイクロ電子基板と、マイクロ電子基板から懸架される単結晶シリコンプレートと、単結晶シリコンプレート上の薄膜圧電層と、薄膜圧電層上の第1および第2の電極とを含む。第1および第2の電極は、薄膜圧電層が単結晶シリコンプレートを第1の周波数または第2の周波数のいずれかで共振させるように構成される。電極は前述したように構成されてもよく、また、駆動回路が前述したように設けられてもよい。
【0011】
更なる他の実施形態は、第1および第2の電極が接続されてなる共振器を駆動する方法を提供する。これらの方法は、第1および第2の電極での同相信号または第1および第2の電極での異相信号を選択的に維持して、共振器を第1の周波数または第2の周波数でそれぞれ選択的に共振させることを含む。本明細書中で説明される実施形態のいずれかに類似する方法が提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の様々な実施形態に係るオシレータのブロック図である。
【図2】本発明の様々な実施形態に係るMEMS共振構造の断面図である。
【図3】本発明の様々な実施形態に係る共振器を駆動させるために実行されてもよい動作のフローチャートである。
【図4A】本発明の様々な実施形態に係るオシレータの斜視図とブロック図との組み合わせである。
【図4B】本発明の様々な実施形態に係る図4AのB−B’線に沿う断面図である。
【図5】図5Aおよび図5Bは、一次モードおよび三次モードでそれぞれ共振する際にFEMLABでシミュレートされる本発明の様々な実施形態に係る長方形シリコンプレートの共振モード形状を示している。
【図6】本発明の様々な実施形態に係るシリコン上窒化アルミニウムマイクロ共振器の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図7】図7Aおよび図7Bは、図6のオシレータの空気中での一次周波数応答および三次周波数応答のそれぞれを図式的に示している。
【図8】図8Aおよび図8Bは、図6のオシレータの真空中での一次周波数応答および三次周波数応答のそれぞれを図式的に示している。
【図9】本発明の様々な実施形態に係る、−33ppm/℃および−28ppm/℃の周波数温度係数(TCF)値を使用した、図7A〜図8Bの2つの共振モードにおける正規化された周波数変化のパーセンテージを温度と共に図式的に示している。
【図10】本発明の様々な実施形態に係る駆動回路の概略回路図である。
【図11】本発明の様々な実施形態に係る空気中および真空中での35MHz振動数における測定波形および位相ノイズを図式的に示している。
【図12】本発明の様々な実施形態に係る空気中での105.7MHz振動数における測定波形および位相ノイズを図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態が示される添付図面を参照して、本発明について更に十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、また、本明細書中に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が完璧に完全であるように、また、本発明の範囲を当業者に対して十分に伝えるように与えられる。図中、層および領域のサイズおよび相対的サイズは、明確にするために誇張されている場合がある。
【0014】
言うまでもなく、要素または層が他の要素または層「上にある」、「に接続される」、または、「に結合される」(および、その変形)と称される際には、それが他の要素または層上に直接にあってもよく、直接に接続されてもよく、または、直接に結合されてもよく、あるいは、介在する要素または層が存在してもよい。一方、要素が他の要素または層「上に直接ある」、「に直接に接続される」、または、「に直接に結合される」(および、その変形)と称される際には、介在する要素または層は存在しない。同様の参照符号は、全体にわたって同様の要素を示している。本明細書中で使用される用語「および/または」は、1つ以上の関連する挙げられた項目の任意のおよび全ての組み合わせを含み、「/」として短縮される場合がある。
【0015】
言うまでもなく、第1、第2、第3などの用語は、本明細書中では、様々な要素、部品、領域、層、および/または、部分を表わすために使用される場合があるが、これらの要素、部品、領域、層、および/または、部分がこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層、または、部分を他の領域、層、または、部分から区別するためだけに使用される。したがって、本発明の教示内容から逸脱することなく、後述する第1の要素、部品、領域、層、または、部分を第2の要素、部品、領域、層、または、部分と称することができる。
【0016】
「よりも下側」、「よりも下方」、「下側」、「よりも上側」、「上側」などの空間的相対用語は、本明細書中では、説明を容易にするべく、図面に示されるような1つの要素または特徴の他の要素もしくは特徴に対する関係を表わすために使用される場合がある。言うまでもなく、空間的相対用語は、図面に描かれる方向に加えてデバイスの使用または動作時の様々な方向を包含しようとするものである。例えば、図中のデバイスが回転される場合には、他の要素または特徴「よりも下方」または「よりも下側」として説明される要素が他の要素または特徴「よりも上側」に向けられる。したがって、「よりも下方」という用語は、上方向および下方向の両方を包含し得る。デバイスが別の方法で方向付けられてもよく(90度回転され、あるいは、他の方向で回転される)、また、本明細書中で使用される空間的相対記述子がそれにしたがって解釈される。
【0017】
本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的とするものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書中で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他のことを明確に示唆していなければ複数形も同様に含もうとするものである。また、言うまでもなく、用語「備える」、「含む」、「有する」、およびその変形は、この明細書中で使用される場合、記載された特徴、ステップ、動作、要素、および/または、部品の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、部品、および/または、そのグループの存在または付加を排除しない。一方、「からなる」という用語は、この明細書中で使用される場合、記載された特徴、ステップ、動作、要素、および/または、部品を特定するとともに、更なる特徴、ステップ、動作、要素、および/または、部品を排除する。
【0018】
本明細書で、本発明の理想的な実施形態(および、中間構造)の概略図である断面図および斜視図を参照して本発明の実施形態を説明する。このように、例えば製造技術の結果としての図の形状からの変形および/または許容誤差が予期されるべきである。したがって、本発明の実施形態は、本明細書で図示の領域の特定の形状に限定されるものと解釈されるべきではなく、例えば製造によって生じる形状のずれを含むものである。例えば、鋭角は、製造技術および/または許容誤差に起因して幾分丸みを帯びていてもよい。
【0019】
他に規定されていなければ、本明細書中で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって共通に理解される意味と同じ意味を有する。また、言うまでもなく、一般に使用される辞書で規定されるような用語は、関連技術の文脈での意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書中でそのように明確に規定されていなければ理想的な意味または過度に公式な意味で解釈されない。
【0020】
図1は、本発明の様々な実施形態に係るオシレータのブロック図である。図1に示されるように、これらのオシレータ100は、第1および第2の電極112、114をそれぞれ有する共振器110を含む。共振器110は、第1および第2の電極112、114が同相信号を伝える第1の周波数と、第1および第2の電極112、114が異相信号を伝える第2の周波数とで共振するように構成される。駆動回路120は、第1および第2の電極112、114での同相信号または第1および第2の電極112、114での異相信号を選択的に維持するように構成され、それにより、共振器110は、第1の周波数または第2の周波数でそれぞれ選択的に共振する。幾つかの実施形態において、共振器110は、一次幅−縦(extensional)共振モードおよび高次(すなわち、一次よりも高い)幅−縦共振モードをサポートする薄膜材料を備える。幾つかの実施形態において、第1および第2の電極は、後述するように、一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードで薄膜材料を共振させるようにパターニングされる。以下で詳しく説明するように、共振器が基板上薄膜圧電(TPoS)共振器を備えてもよい。
【0021】
図2は、本発明の他の実施形態に係る共振構造の断面図である。これらの実施形態において、これらの共振構造200は、マイクロ電子基板220と、例えば繋留体212を使用してマイクロ電子基板220から懸架され、2つの異なる周波数で共振するように構成されるマイクロ電子機械システム(MEMS)共振器210とを含む。MEMS共振器210は、マイクロ電子基板220から懸架され、一次幅−縦共振モードおよび高次幅−縦共振モードで共振するプレートを備えてもよい。マイクロ電子基板220は、単結晶シリコンを備える単一元素基板、例えばガリウムヒ素を備える化合物基板、および例えばシリコンオンインシュレータ(SOI)基板、ナノ結晶ダイヤモンドオンシリコン等を含む多層基板など、マイクロ電子デバイスを製造するために従来から使用される任意の基板であってもよい。また、本明細書中で使用される「MEMS」とは、センサ、アクチュエータ、共振器などの微小移動機械を形成するためにマイクロエレクトロニクス産業において開発されたツールおよび技術を使用するマイクロマシニング技術のことである。幾つかの実施形態では、MEMS共振器210が基板上薄膜圧電(TPoS)共振器を備える。しかしながら、純然たる圧電共振器、酸化物上圧電共振器、および/または、その第1および第2の電極が同相信号を伝える第1の周波数と第1および第2の電極が異相信号を伝える第2の周波数とで共振するように構成されおよび/または一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードで動作できる任意の他の共振器など、他のMEMS共振器が使用されてもよい。
【0022】
図3は、電極112、114などの第1および第2の電極が接続されてなる図1の共振器110などの共振器を駆動させるために行なわれてもよい動作のフローチャートである。図3に示されるように、共振器をブロック310で示すように第1の周波数で駆動させることが望ましい場合には、ブロック312において、第1および第2の電極で同相信号が維持される。あるいは、共振器を第2の周波数で駆動させることが望ましい場合320には、ブロック322において、第1および第2の電極で同相信号が維持される。したがって、図3は、第1および第2の電極に対して同相信号または第1および第2の電極に対して異相信号を選択的に印加することにより共振器を駆動させて、共振器を第1の周波数または第2の周波数でそれぞれ選択的に共振させる方法を示している。
【0023】
図4Aは、本発明の様々な実施形態に係るオシレータの斜視図およびブロック図の組み合わせであり、図4Bは、本発明の様々な実施形態に係るB−B’線に沿う断面図である。ここで、図4Aおよび図4Bを参照すると、これらのオシレータ400は、図1の共振器110および/または図2のMEMS共振器210の一実施形態と見なされてよいTPoS共振器410と、図1の駆動回路120の一実施形態と見なされてもよい同相/異相駆動回路420とを含む。図4Aおよび図4Bに示されるように、TPoS共振器410は、単結晶シリコンを備える単一元素基板、例えばガリウムヒ素を備える化合物基板、または、例えば半導体オンインシュレータ(SOI)、ナノ結晶ダイヤモンドオンシリコン等を含む多層基板であってもよいマイクロ電子基板448を備える。マイクロ電子基板448からは、例えばそのキャビティ内で、繋留体112、114および/または他の従来の要素を使用して単結晶シリコンプレート434が懸架される。単結晶シリコンプレート434上には薄膜圧電層436がある。薄膜圧電層436上には、図1の第1および第2の電極112、114に対応してもよい第1の電極442および第2の電極444が設けられる。
【0024】
幾つかの実施形態において、単結晶シリコンプレート434は、それ自体がシリコン基板などの基板上にある酸化物層などの絶縁層上の単結晶シリコン層446から製造され、それにより、単結晶シリコンプレート434を製造する単結晶シリコン層446とマイクロ電子基板448との組み合わせがシリコンオンインシュレータ(SOI)基板を形成する。薄膜圧電層436と単結晶シリコンプレート434との間に接地電極452が設けられてもよい。また、単結晶シリコンプレート434と薄膜圧電層436との組み合わせは、電極442、444、および452などの1つ以上の電極と共に、シリコン上薄膜圧電(TPoS)共振器を形成することができる。言うまでもなく、本発明の様々な実施形態によれば、単結晶シリコンプレート434、薄膜圧電層436、および電極442、444、および452がそれぞれ互いに対して様々な空間的配置を有してもよい。
【0025】
更に図4Aおよび図4Bを参照すると、幾つかの実施形態では、図5Aに示されるように薄膜圧電層436がシリコンプレート434で一次幅−縦共振モードを励起し或いは図5Bに示されるように薄膜圧電層436がシリコンプレート434で三次幅−縦共振モードを励起するように第1および第2の電極442、444がそれぞれパターニングされる。また、幾つかの実施形態において、第1の電極442は、図4Aおよび図4Bに示されるように、一対の離間したフィンガを薄膜圧電層436上に備え、また、第2の電極444は、同様に図4Aおよび図4Bに示されるように、一対の離間したフィンガ間で延びる1つのフィンガを薄膜圧電層436上に備える。幾つかの実施形態では、薄膜圧電層436が窒化アルミニウム薄膜層を備える。しかしながら、ZnO、PZT、および/または、BaTiOなどの他の薄膜圧電材料が使用されてもよい。
【0026】
より一般的には、図4Aおよび図4Bに示されるように、第1および第2の電極442、444は、薄膜圧電層436によって単結晶シリコンプレート434で一次幅−縦共振モードまたは三次、五次等の高次幅−縦共振モードが励起されるようにパターニングされてもよい。また、第1および第2の電極442、444は、所定数のインタディジタルフィンガを備えてもよい。この場合、所定数は高次共振モードに対応する。したがって、図4Aおよび図4Bに示されるように、3つのインタディジタルフィンガを使用して、単結晶シリコンプレート434を一次幅−縦共振モードまたは三次幅−縦共振モードで共振させてもよく、5つのインタディジタルフィンガを使用して、単結晶シリコンプレート434を一次幅−縦共振モードまたは五次幅−縦共振モードで共振させるなどしてもよい。このように、所定数のインタディジタルフィンガは、共振にとって望ましい高次モードに対応し得る。
【0027】
再び図4Aを参照すると、幾つかの実施形態に係る駆動回路420は、同相信号を維持するために第1および第2の電極442、444のそれぞれの間に直列に接続される第1および第2の反転増幅器462、464のそれぞれと、異相信号を維持するために第1の反転増幅器442または第2の反転増幅器444のうちの一方をバイパスするように構成されるスイッチ466、468などのスイッチとを含む。したがって、第1および第2の反転増幅器462、464は、一次周波数または高次周波数での振動を維持する共振器410と共にループを形成する。オシレータのための出力周波数は、図4Aに示されるように、「出力部」によって得られてもよく、および/または、回路の他の場所で得られてもよい。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態において、反転増幅器462、464は、オペアンプ、インバータ、論理ゲート、および/または、他の増幅回路によって具現化されてもよい。しかしながら、以下で詳しく説明するように、他の実施形態では、第1および第2の反転増幅器464、466がそれぞれ、共通のエミッタ形態を成す単一のバイポーラトランジスタなどの単一の能動素子を備える。更に、本発明の様々な実施形態にしたがって1つ以上のバイパススイッチ466、468が多くの異なる形態および場所で設けられてもよい。図4Aに示されるように、第1および第2の増幅器462、464は180°異相信号をサポートする。しかしながら、他の異相信号関係が与えられてもよい。
【0029】
ここで、本発明の様々な実施形態の更なる説明を行なう。
【0030】
特に、幾つかの実施形態は、AlN−on−Siマイクロ共振器の2つのhigh−Q音響モードを利用するサブミリワット二重周波数オシレータを提供することができる。大気圧で動作する間、幾つかの実施形態は、35.5MHzで7100のQunloadedを示すことができるとともに、105.7MHzで4000のQunloadedを示すことができ、これらは一次および三次幅−縦共振モードに対応する。測定されたQunloadedは、一次共振モードにおいて真空で10100まで増大する場合がある。キャリアから1kHzオフセットでこの共振器を使用する2トランジスタオシレータ回路の位相ノイズは、低周波モードおよび高周波モードにおいてそれぞれ−94dBc/Hzおよび−88dBc/Hzであり、−143dBc/Hzのキャリアから遠いノイズを伴う。
【0031】
電子マイクロシステムの発展においては、High−Q共振器を電子機器と一体化させることが望ましい場合がある。この一体化は、大幅なサイズおよび/またはコスト不利益を被る必要なく将来の製品に対して新たな特徴を付加する機会をシステム設計者に与えることができる。容量性マイクロ機械共振器の製造における最近の進展は、多くの用途で水晶振動子に取って代わることができる中−高周波小型共振器に期待を抱かせてきた。例えば、Sundaresan et al.,「A Low Phase Noise 100MHz Silicon BAW Reference Oscillator」,Proc.IEEE Custom Integrated Circuits Conference,Sept.2006,pp.841−844;Ho et al.,「Temperature Compensated IBAR Reference Oscillators」,Proc.19th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical System,(MEMS’06),Istanbul,Turkey,Jan.2006,pp.910−913;および、Lin et al.,「Series−Resonant VHF Micromechanical Resonator Reference Oscillators」,IEEE Journal of Solid−State Circuits,Vol.39,No.12,Dec.2004,pp.2477−2491に注目されたい。しかしながら、容量性共振器の動インピーダンスは、周波数と共に急速に増大する傾向がある。また、容量性共振器は、比較的大きいDC分極電圧、サブミクロン深さの空隙、および動作における高価な真空包装を必要とする場合がある。更に、容量性共振器の絶対周波数精度および温度安定性は、高い周波数で低下し得る。この場合、周波数決定デバイス特徴は小さく、従来の同調機構が非効率的になる。
【0032】
一方、圧電共振器は、高い周波数で容量性デバイスを超える利点を与え得る。圧電共振器の動インピーダンスは、大気圧で動作する間はかなり低い。圧電共振器は一般にDC分極電圧を必要とせず、また、高次横モード設計は、Ho et al.,「High Order Composite Bulk Acoustic Resonators」,Proc.20th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems(MEMS’07),Kobe,Japan,Jan.2007,pp.791−794において言及されているように、プロセス誘発臨界サイズ変動の影響をあまり受けない。また、Abdolvand et al.,「A Low Voltage Temperature−Stable Micromechanical Piezoelectric Oscillator」,Digest of the 14th International Conference on Solid State Sensors.Actuators and Microsystems(Transducers’07),Lyon,France,June 2007,pp.53−56;および、Abdolvand et al.,「A Temperature−Compensated ZnO−on−Diamond Resonant Mass Sensor」,Proc.5th IEEE Conference on Sensors,2006,pp.1297−1300において言及されているように、基板上薄膜圧電(TPoS)共振器の共振構造中に酸化物層を含めることが、これらのデバイスの温度安定性を高めるのに有効であることも分かってきた。TPoS共振器における単結晶シリコンなどの低音響損失基板の使用は、空気中で高いQ値をもたらすことができるとともに、共振器の電力処理を促進させることができ、それにより、オシレータのキャリアに近いおよびキャリアから遠い位相ノイズを改善することができる。
【0033】
本発明の様々な実施形態は、マルチスタンダード無線トランシーバ、精密センサ、および高安定クロックジェネレータなどの多くの用途において魅力的となり得る高次TPoS共振器の新たな特徴を与えることができる。水晶共振器のデュアルモード励起は、Vig,「Dual−mode Oscillators for Clocks and Sensors」,Procs.IEEE Ultrasonics Symposium,Vol.2,No.,1999,pp.859−868に記載されるように、環境干渉を的確に補償するために一般に使用される。デュアルハーモニック水晶オシレータは、市場で入手できる最も正確な温度補償オシレータのうちの1つである。動作の原理は、Schodowski,「Resonator Self−Temperature−Sensing Using A Dual−Harmonic−Mode Crystal Oscillator」,Proc.Of the 43rd Annual Symposium on Frequency Control,Jun.1989,pp.2−7に記載されるように、単結晶プレートの2つの異なる共振モード、例えば第1高調波および第3高調波を使用することに基づいている。各モードにおける周波数温度係数(TCF)は異なるため、オシレータ自体を非常に正確な温度センサとして使用できる。しかしながら、結晶を2つの周波数で励起するために、各振動ループにおいては、他のループで増幅される信号を減衰させるためにモード抑制回路が一般に必要とされる。明確な対照において、本発明の様々な実施形態に係る高次共振器は、電力消費量が少ない或いは最小の非常に簡単な方式を使用して2つの高調波モードで励起させることができる。本発明の幾つかの実施形態は、センサおよびクロックジェネレータとして使用されつつ、TPoSオシレータに関して、より高いレベルの精度を得るための新たな機会を広げることができる。
【0034】
幾つかの実施形態に係るTPoS共振器は、図4Aおよび図4Bに示されたように比較的厚い単結晶シリコンプレート434上に積層される電極452、442/444間に挟まれる薄膜圧電層436から構成される。しかしながら、TPoS共振器の他の形態が使用されてもよい。
【0035】
単結晶シリコンプレートまたは層434は共振構造の主要な本体を形成し、また、金属電極442、444は、目標の共振モード形状で歪み場と適合するようにパターニングされる。注意深い電極構造を用いると、結合係数が向上され或いは最適化され、また、共振器の動インピーダンスが減少され或いは最小限に抑えられる。幾つかの実施形態において、上側電極は、3フィンガインタディジタルトランスデューサと似ている2つの電気的に絶縁された電極442/444へと分割される。このパターンは、図5Bに示されるその三次幅−縦共振モードで励起されるブロック構造の周期的な歪み場パターンと適合するように形成される。
【0036】
共振器がこのモード形状で励起されると、2つの電極442/444上に反対の電荷が蓄積される。これは、歪み極性が1つのフィンガから他のフィンガへと変化しているからである。したがって、信号位相が共振で逆にされる。同じ電極パターンが一次共振モードを励起させることもできる。その場合、歪み場はデバイス全体にわたって均一である(図5A)。しかしながら、このモード形状では、電極信号が共振で同相である。これは、全てのモードで同じゼロ信号位相シフトを示すそれらの奇数高調波で励起される水晶振動子等の他の厚さ−モード共振器とは対照的である。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態は、高次TPoS共振器の前述した特性を有効に利用して単一の共振器を有する二重周波数オシレータを実現できるという認識から生じ得る。幅−縦共振モードの次数に応じてこの同相/異相信号特性を示す他の共振器が他の実施形態で使用されてもよい。図4Aに示されるように、各増幅ステージ462、464は180°の位相シフトをもたらす。したがって、オシレータループ内に1つの増幅ステージ464だけが含まれる場合、維持された振動周波数は、180°の位相シフトが共振器によってもたらされる三次共振モード(図5B)に対応する。一方、両方の増幅ステージ464、466がループ内に含まれる場合、入力信号および出力信号が共振で同位相である低周波一次モード(図5A)が維持される。幾つかの実施形態では、第3高調波における更なる位相シフトの結果としてモード抑制のための予防措置をとる必要はない。更に、前述したように、多数のインタディジタル電極を使用して高次高調波がサポートされてもよい。
【0038】
幾つかの実施形態にしたがって使用されるTPoS共振器が図6のSEM写真に示されている。共振器は、10μm厚シリコンオンインシュレータ(SOI)基板上に製造される。薄膜圧電層436は1μm厚スパッタAlN層であり、また、共振器は、例えばその開示内容の全体を引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Abdolvand et al.,「A Low Voltage Temperature−Stable Micromechanical Piezoelectric Oscillator」,Digest of the 14th International Conference on Solid State Sensors.Actuators and Microsystems(Transducers’07),Lyon,France,June 2007,pp.53−56に記載されるプロセスを使用して製造され得る。他のMEMS製造技術が使用されてもよい。
【0039】
図6の実施形態において、このデバイスにおける中心間フィンガピッチは40μmであり、また、電極に対する接続は、150μmピッチサイズのグランド−シグナル−グランド(GSG)形態を成す。本明細書での全ての周波数応答プロットは、加熱チャックを有するレイクショア真空プローブステーションにおいてE5071C Agilentネットワーク分析器により測定された。空気中でデバイスから測定される周波数応答プロットが図7Aおよび図7Bに示されている。図7Aは一次周波数応答を図式的に示し、また、図7Bは三次周波数応答を図式的に示している。
【0040】
測定が真空中で繰り返され、また、一次周波数応答および三次周波数応答のそれぞれに関して結果が図8Aおよび図8Bに示されている。予期されるように、測定される線質係数が改善されるとともに、動インピーダンスがQと反比例して減少される。しかしながら、低周波モードにおける改善比率(10100/7200)は、高周波モードにおいて観察されるもの(4500/4000)よりも大きく、このことは、高周波での主要な損失機構が空気制動でないことを示している。
【0041】
2つのモードにおける共振器の周波数シフトが温度と共に測定されて、正規化された周波数変化のパーセンテージとして図9にプロットされた。図示のように、TCFは2つのモードに関して僅かに異なっている。この温度特性は、Schodowski,「Resonator Self−Temperature−Sensing Using A Dual−Harmonic−Mode Crystal Oscillator」,Proc.Of the 43rd Annual Symposium on Frequency Control,Jun.1989,pp.2−7に記載されるように、共振器温度の正確な測定のために開発される技術において有用となり得る。
【0042】
様々な実施形態に係る2段増幅器の概略図が図10に示され、これは図4Aの駆動回路420に対応してもよい。増幅器はマイクロ電子基板448上に組み込まれてもよい。第1のステージ462は、コモン−エミッタ形態を成す単一のNPNトランジスタ(fmax〜70GHz)1062からなるトランスインピーダンス増幅器(TIA)である。エミッタ変性レジスタ(10Σ)は、キャリアから遠い位相ノイズの改善のために十分な電圧ヘッドルームを維持しつつ線形性を高めるために使用される。フィードバックレジスタ(10kΩ)は、別個のバイアスネットワークの必要性を排除できるとともに、オシレータの位相ノイズ性能全体を向上させることができる。また、第2のステージ464は、コモンエミッタ形態を成す単一のNPNトランジスタ1064からなる簡単な電圧増幅器である。各ステージは〜180°の位相シフトを引き起こし、また、レジスタの値は、電力消費量を減らす或いは最小にするように選択されてもよい。第2のステージにとって所望の電圧利得が大きい必要はない。これは、低周波共振モードの動インピーダンスが高周波共振モードの動インピーダンスよりもそれほど大きくないからである。
【0043】
基本共振周波数でのオシレータの測定された波形および位相ノイズが図11に示されている。測定は、Agilent EE5500位相ノイズ分析器を用いて行なわれた。オシレータを測定ユニットと接合するために外部50Ωバッファが使用される。
【0044】
空気中での35.5MHzの振動が、2つのステージの組み合わせに関して、0.86V供給電圧1010および330μAの電流を用いて始まる。したがって、該振動(35.5MHz)での回路の電力消費量は<300μWである。オシレータの測定された位相ノイズ密度プロットおよび波形が図11に示されている。位相ノイズ測定は真空中で繰り返され、また、結果が図11のプロット上に重ね合わされている。振動が真空中において低い供給電圧(0.82V)1010で始まり、電力消費量が200μWまで減少される。真空中での共振器の線質係数の向上によって影響されて、キャリアに近い位相ノイズも、外部バッファによって制限され得るキャリアから遠い位相ノイズとは異なり、キャリアからの1kHzオフセットで〜4dBc/Hzだけ向上される。
【0045】
回路が単一ステージ動作モードに切り換えられると、0.98V供給電圧1010および350μA電流(Pmin〜340μW)を用いて105.7MHzの振動が始まる。振動ループから第2の増幅ステージを排除した後は、電力消費量の増大が直観で分かるものではないように思われる。これは、大きなバイアス電流を必要とし得る高い所要帯域幅によって説明される。105.7MHzでのオシレータの測定された位相ノイズおよび波形が図12に与えられている。
【0046】
オシレータ用途においてTPoS共振器を使用する1つの想定し得る利点は、TPoS共振器がそれらの小さいサイズにもかかわらず優れた電力処理を成すことができるという点である。したがって、前述した容量性マイクロ機械デバイスとは対照的に、線形領域における共振器の励起を保証するために自動レベル制御(ALC)回路が必要とされなくてもよい。そのため、大きい信号レベルを本発明の様々な実施形態に対して適用することができ、また、簡単な解決策で電力消費量が少ない或いは最小の簡単なオシレータ回路を使用しつつキャリアから遠いノイズの良好な密度を結果として生じることができる。
【0047】
したがって、幾つかの実施形態は、AlN−on−Siまたは他のマイクロ共振器のhigh−Q一次および三次幅−縦共振モードを利用するサブミリワット二重周波数オシレータを提供することができる。このオシレータにおける高次モードでの信号位相反転の結果として、典型的なデュアルモード水晶オシレータとは異なり、モード抑制回路が必要とされなくてもよい。これらの簡単で低電力のオシレータは、温度および圧力などの環境干渉が正確に補償される共振センサとして使用することができる。オシレータ回路における電力消費量は、両方の動作周波数では350μW未満、真空中での第1のモードにおいては200μW程度の低い電力消費量が測定される。
【0048】
他の実施形態は、単一の音響成分を使用しつつ2つの異なる周波数で動作するMEMSベースのオシレータを提供できる。利用される共振器は、2つの異なるモード(例えば、一次および三次横縦共振モード)で励起され得るシリコン上薄膜圧電(TPoS)デバイスであってもよい。これらのモードまたは他のモードで励起され得る他の共振器が使用されてもよい。TPoS共振器は、比較的厚い単結晶シリコン層上に積層される2つの金属電極間に挟まれる薄膜圧電層を備えていてもよい。単結晶シリコン層は共振構造の主要な本体を形成する。金属電極は、目標の共振モード形状で歪み場と適合するようにパターニングされる。注意深い電極構造を用いると、結合係数が向上され或いは最適化され、また、利用される共振モードにおいて共振器の動インピーダンスが減少される。上側電極は、2つの電気的に絶縁された電極へと分割されてもよい。上側電極は、3つ或いはそれ以上のフィンガインタディジタル縦共振モードに似ていてもよい。この共振モードでは、2つの電極上に反対の電荷が蓄積される。これは、歪み極性が1つのフィンガから他のフィンガへと変化し、したがって、信号極性が共振で逆にされるからである。同じ電極パターンが一次共振モードを励起させることもできる。その場合、歪み場はデバイス全体にわたって均一であり、結果として、入力信号および出力信号が共振で同相である。2つのモードにおける180°の位相差は、望ましくないモードを減少させることができ、あるいは、維持回路が望ましくないモードへロックするのを防止することができ、そのため、安定した振動を各モードで与えることができる。2つのモードは、位相差基準が保たれる限り、前述したモードと異なってもよい。高次モードがサポートされてもよい。
【0049】
したがって、本発明の様々な実施形態は、高次横−縦薄膜圧電共振器の独特の構造に基づくことができる。基本モードおよび高次モードは、2つの異なる(例えば、180°異なる)位相シフトを信号にもたらす。したがって、2つの特定のモードのうちの一方で振動を維持するために、通常はマルチモード水晶オシレータで使用されるモード抑制回路を必要としなくてもよい。
【0050】
本明細書においては、先の説明および図面に関連して多くの異なる実施形態を開示してきた。言うまでもなく、これらの実施形態の全てのコンビネーションおよびサブコンビネーションをそのまま説明して図示すると、過度にくどくなって曖昧になる。したがって、図面を含む本明細書は、本明細書中で説明した実施形態の全てのコンビネーションおよびサブコンビネーションやそれらを形成して使用する方法およびプロセスの完全な書面による明細を構成するように解釈されるべきであり、また、そのような任意のコンビネーションおよびサブコンビネーションの特許請求の範囲を裏付けるべきである。
【0051】
図面および明細書では、本発明の実施形態が開示され、また、特定の用語が使用されているが、それらの用語は、包括的で記述的な意味でのみ使用され、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定する目的のものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の電極を含むとともに、前記第1および第2の電極が同相信号を伝える第1の周波数と、前記第1および第2の電極が異相信号を伝える第2の周波数とで共振するように構成される共振器と、
前記共振器が前記第1の周波数または前記第2の周波数でそれぞれ選択的に共振するように前記第1および第2の電極での前記同相信号または前記第1および第2の電極での前記異相信号を選択的に維持するように構成される駆動回路と
を備えるオシレータ。
【請求項2】
前記共振器は、一次幅−縦共振モードおよび高次幅−縦共振モードをサポートする薄膜材料を備える、請求項1に記載のオシレータ。
【請求項3】
前記第1および第2の電極は、前記駆動回路が前記同相信号または前記異相信号のそれぞれを維持するかどうかに応じて前記薄膜材料を前記一次幅−縦共振モードまたは前記高次幅−縦共振モードのいずれかで共振させるようにパターニングされる、請求項2に記載のオシレータ。
【請求項4】
前記第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備え、前記所定数が前記高次共振モードに対応する、請求項3に記載のオシレータ。
【請求項5】
前記共振器が基板上薄膜圧電(TPoS)共振器を備える、請求項1に記載のオシレータ。
【請求項6】
TPoS共振器は、
基板と、
前記基板から懸架される単結晶シリコンプレートと、
前記単結晶シリコンプレート上の薄膜圧電層と
を備えており、
前記第1および第2の電極が前記薄膜圧電層上にある、請求項5に記載のオシレータ。
【請求項7】
前記第1および第2の電極は、前記駆動回路が前記同相信号または前記異相信号のそれぞれを維持するかどうかに応じて、前記薄膜圧電層が単結晶シリコンプレートで一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードを励起するようにパターニングされる、請求項6に記載のオシレータ。
【請求項8】
前記第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備え、前記所定数が前記高次共振モードに対応する、請求項7に記載のオシレータ。
【請求項9】
前記共振器がマイクロ電子機械システム(MEMS)共振器を備える、請求項1に記載のオシレータ。
【請求項10】
前記駆動回路は、前記同相信号を維持するために前記第1および第2の電極間に直列に接続される第1および第2の反転増幅器と、前記異相信号を維持するために前記第1または第2の反転増幅器のうちの一方をバイパスするように構成されるスイッチとを備える、請求項1に記載のオシレータ。
【請求項11】
前記第1および第2の反転増幅器がそれぞれ単一の能動半導体デバイスを備える、請求項10に記載のオシレータ。
【請求項12】
前記異相信号は、位相が180°ずれている、請求項1に記載のオシレータ。
【請求項13】
マイクロ電子基板と、
前記マイクロ電子基板から懸架され、2つの異なる周波数で共振するように構成されるマイクロ電子機械システム(MEMS)共振器と
を備えるオシレータ。
【請求項14】
前記MEMS共振器は、前記マイクロ電子基板から懸架され、一次幅−縦共振モードおよび高次幅−縦共振モードで共振するプレートを備える、請求項13に記載のオシレータ。
【請求項15】
第1および第2の電極を前記プレート上に更に備え、前記電極は、該電極が駆動されるときに前記プレートを前記一次幅−縦共振モードまたは前記高次幅−縦共振モードのいずれかで共振させるようにパターニングされる、請求項14に記載のオシレータ。
【請求項16】
前記第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備え、前記所定数が前記高次共振モードに対応する、請求項15に記載のオシレータ。
【請求項17】
MEMS共振器が、基板上薄膜圧電(TPoS)共振器を備える、請求項13に記載のオシレータ。
【請求項18】
前記TPoS共振器は、
前記マイクロ電子基板から懸架される単結晶シリコンプレートと、
前記単結晶シリコンプレート上の薄膜圧電層と、
前記薄膜圧電層上の第1および第2の電極と
を備える、請求項17に記載のオシレータ。
【請求項19】
前記第1および第2の電極は、前記電極が駆動されるときに前記薄膜圧電層が前記単結晶シリコンプレートで一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードを励起するようにパターニングされる、請求項18に記載のオシレータ。
【請求項20】
前記第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備え、前記所定数が前記高次共振モードに対応する、請求項19に記載のオシレータ。
【請求項21】
マイクロ電子基板と、
前記マイクロ電子基板から懸架される単結晶シリコンプレートと、
前記単結晶シリコンプレート上の薄膜圧電層と、
前記薄膜圧電層上の第1および第2の電極と
を備えており、
前記第1および第2の電極は、前記電極が駆動されるときに前記薄膜圧電層が前記単結晶シリコンプレートを第1の周波数または第2の周波数のいずれかで共振させるように構成される、オシレータ。
【請求項22】
前記第1および第2の電極は、前記薄膜圧電層が前記単結晶シリコンプレートを前記第1および第2の電極が同相信号を伝える第1の周波数と前記第1および第2の電極が異相信号を伝える第2の周波数とで共振させるように構成される、請求項21に記載のオシレータ。
【請求項23】
前記単結晶シリコンプレートが前記第1の周波数または前記第2の周波数でそれぞれ選択的に共振するように前記第1および第2の電極での前記同相信号または前記第1および第2の電極での前記異相信号を選択的に維持するように構成される駆動回路を更に備える、請求項22に記載のオシレータ。
【請求項24】
前記第1および第2の電極は、前記電極が駆動されるときに前記薄膜圧電層が前記単結晶シリコンプレートで一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードを励起するようにパターニングされる、請求項21に記載のオシレータ。
【請求項25】
前記第1および第2の電極が所定数のインタディジタルフィンガを備え、前記所定数が前記高次共振モードに対応する、請求項24に記載のオシレータ。
【請求項26】
駆動回路は、前記同相信号を維持するために前記第1および第2の電極間に直列に接続される第1および第2の反転増幅器と、前記異相信号を維持するために前記第1または第2の反転増幅器のうちの一方をバイパスするように構成されるスイッチとを備える、請求項23に記載のオシレータ。
【請求項27】
前記第1および第2の反転増幅器がそれぞれ単一の能動半導体デバイスを備える、請求項26に記載のオシレータ。
【請求項28】
前記異相信号は、位相が180°ずれている、請求項22に記載のオシレータ。
【請求項29】
第1および第2の電極が接続されてなる共振器を駆動する方法であって、
前記第1および第2の電極での同相信号または前記第1および第2の電極での異相信号を選択的に維持して、前記共振器を第1の周波数または第2の周波数でそれぞれ選択的に共振させることを含む、方法。
【請求項30】
選択的に維持することは、前記第1および第2の電極での同相信号または前記第1および第2の電極での前記異相信号を選択的に維持して、前記共振器を一次幅−縦共振モードまたは高次幅−縦共振モードで選択的に共振させることを含む、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−539852(P2010−539852A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525821(P2010−525821)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/010844
【国際公開番号】WO2009/038736
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510079053)ジョージア・テック・リサーチ・コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】