単相ブラシレスモータ制御装置
【課題】単相コイルで構成されるモータにおいても、追加部品を必要とせず、駆動回路や電源回路などの耐圧破壊を防ぐ過電圧保護回路を備えた単相ブラシレスモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータコイル13を駆動するドライバ回路11と、ロータの位置を検出した信号と、ドライバ回路11の出力とに基づいて、ドライバ回路11を構成するドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14の制御信号を生成するプリドライバ10と、ドライバ回路11の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、回生経路を形成する過電圧検出回路12と、回生経路を構成する回生経路用スイッチング素子とを備える。
【解決手段】モータコイル13を駆動するドライバ回路11と、ロータの位置を検出した信号と、ドライバ回路11の出力とに基づいて、ドライバ回路11を構成するドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14の制御信号を生成するプリドライバ10と、ドライバ回路11の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、回生経路を形成する過電圧検出回路12と、回生経路を構成する回生経路用スイッチング素子とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相ブラシレスモータ駆動回路の過電圧保護に関するもので、特に通電方向切り替え時の回生電流の経路を確保することによって、回生電流が電源回路に逆流するのを回避することで過電圧保護をできるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータの駆動回路は、図7に示すような構成が一般的である。この駆動回路は、ホール素子の出力に代表されるようなロータ位置検出信号S50〜S52を基に、モータコイル53を駆動する出力ドライバ51と、その制御信号を生成するプリドライバ50とからなる。出力ドライバ51は、MOSトランジスタM51〜54からなる。
また、図7の構成の場合の各ノードの出力状態は図8のように、ロータ位置検出信号S50〜S52に基づいて、MOSトランジスタM51〜54の制御信号P51〜P53,N51〜N53が生成され、これら制御信号によってモータコイル53のU,V,W相の信号が変化することは周知の通りである。
【0003】
以下の各図では説明の便宜上、端子U,V,W相の電位を同じ符号U,V,Wを用いて表すことにする。
上述した一般的な駆動回路において、図9に示すようなPWM(Pulse-Width-Modulation)制御を行った場合を説明する。
PWM制御によるMOSトランジスタM51,M53,M55のOFF期間となる時に、それまでONしていたMOSトランジスタM52,M54,M56のいずれかがOFFした場合、コイル電流の回生経路が絶たれてしまうため、同図中に示すように、モータコイル53の端子U,V,Wの電位は急上昇して過電圧状態となる。この過電圧状態は駆動回路や電源回路などを耐圧破壊させることもある。
【0004】
図9中では時刻T5,T7,T9,T11の時に、回生経路が絶たれ、時刻T5〜T6,T7〜T8,T9〜T10,T11〜T12の間は過電圧状態となっている。
この対策としては、電源間に容量の大きなコンデンサやツェナーダイオードを追加して過電圧から保護する方式が一般的である。しかし、この対策はコストアップを伴う難点がある。また、小型のモータの場合、実装する面積が確保できない場合もある。
【0005】
上述したような過電圧保護を容量の大きいコンデンサ、ツェナーダイオードなどを用いずに実施可能な方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
回生電流の経路が絶たれるときは必ず、モータコイル53の端子U,V,Wのうち、任意の2端子の一方が電源電圧(VDD)以上、他方がグランドレベル(GND)以下の電位となっている(状態X)。
【0006】
図10、図11に示すように、容量の大きなコンデンサ、ツェナーダイオードなどを用いない従来方式の過電圧検出回路52を説明する。
この回路は、状態Xを過電圧検出回路52で検出し、電源電圧以上に上昇したローサイド側MOSトランジスタ(M52,M54,M56)や、グランドレベル以下またはグランドレベルに対し所定のレベル以下に下降したハイサイド側MOSトランジスタ(M51,M53,M55)を強制的にON制御する。
【0007】
これにより、絶たれていた回生経路を形成し、コイル端子電位の上昇を抑制する。図11に示す動作は、ローサイド側のMOSトランジスタを強制的にON制御した場合の各ノードの出力状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−47255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の容量の大きなコンデンサ、ツェナーダイオードなどを用いない方式の過電圧検出回路は、以下の問題がある。
すなわち、従来技術は、上述したような三相または複数相のモータコイルで構成されるモータの場合には適用することができるが、単相コイルで構成されるモータの場合は過電圧検出が行えず、回生電流経路が絶たれることによる過電圧状態となる場合がある。
【0010】
また、単相コイルで構成されるモータの場合、PWM制御の有無に関わらずコイル電流の通電方向切り替え時には回生電流経路が絶たれるため、過電圧保護が必要となる場合が多い。
単相コイルで構成されるモータ駆動回路にて従来技術を適用させようとした場合の構成例を図12で説明する。図13はこのときの各ノードの出力状態を示し、図14は図12中のプリドライバ120の一般的な構成例を示す。
【0011】
図14に示すプリドライバ120は、ロータ位置検出信号S10と、インバータ31で反転された信号とのデッドタイムをデッドタイム生成回路32,33で生成し、その出力信号S11〜14をバッファ34〜37を介して制御信号P11,N11,P12,N12を生成する。
図13に示すように、図12中の出力端子OUT1から出力端子OUT2方向へのコイル電流の通電状態から時刻T1において、通電方向を出力端子OUT2から出力端子OUT1方向へと通電方向を切り替える際、回生電流の経路が絶たれ、出力端子OUT2の電位は上昇する。
【0012】
このとき、過電圧検出回路122は、出力端子OUT2の電位が電源電圧以上まで上昇したことを検知し、MOSトランジスタM124を強制的にON制御し、回生経路を形成するため、出力端子OUT2の電位の上昇を抑制できる。
しかしながら、図14に示す一般的なプリドライバ120の構成の場合、通電方向切り替え開始時刻T1からデッドタイム生成回路32,33で設定された時間Tdead(図13参照)経過後となる時刻T2には、OUT2側ハイサイドMOSトランジスタM13がON制御される。
【0013】
このため、出力端子OUT2と電源はMOSトランジスタM13を介してショートされることでほぼ同電位となる。
したがって、過電圧検出回路122は、出力端子OUT2の過電圧状態を検出することが不可能となり、時刻T2〜T3の間、出力端子OUT2および電源の電位は過電圧状態となり、駆動回路や電源回路などを耐圧破壊させる可能性がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、単相コイルで構成されるモータにおいても、容量の大きなコンデンサやツェナーダイオードなどの追加部品を必要とせず、回生経路を形成することで駆動回路や電源回路などの耐圧破壊を防ぐ過電圧保護回路を具備した単相ブラシレスモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の単相ブラシレスモータ制御装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
本発明の単相ブラシレスモータ制御装置は、回転するロータの位置を検出した信号に基づいて、モータコイルに通電する方向を制御する単相ブラシレスモータ制御装置であって、前記モータコイルを駆動するドライバ回路と、前記ロータの位置を検出した信号と、前記ドライバ回路の出力とに基づいて、前記ドライバ回路を構成するドライバ回路用スイッチング素子の制御信号を生成するプリドライバと、前記ドライバ回路の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、回生経路を形成する過電圧検出回路と、前記回生経路を構成する回生経路用スイッチング素子とを備えるものである。
【0016】
上記構成によれば、通電方向切り替え時に過電圧状態となった場合、回生経路を形成して電源への電流の逆流を抑制し、過電圧から各素子を保護できる。
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、前記回生経路用スイッチング素子とを有し、前記回生経路用スイッチング素子と、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドのドライバ回路用スイッチング素子との間で前記回生経路を形成してもよい。
【0017】
この構成によれば、実装面積が小さい小型モータに用いるときでも、通電方向切り替え時に過電圧状態となった場合、回生経路を形成すると共に、回生電流が十分に消費するまで回生経路を維持することで、電源への電流の逆流を抑制し、過電圧から各素子を保護できる。
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、その検出用スイッチング素子と前記回生経路用スイッチング素子との間に接続されて前記検出信号が流れるダイオードとを有し、前記ダイオードを流れる検出信号によって、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子をONし、そのローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子によって前記回生経路を形成してもよい。
【0018】
この構成によれば、過電圧検出回路を小型にできるため、単相ブラシレスモータ制御装置の小型化が図れる。
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力に基づいて、前記回生経路を必要時間維持してもよい。
この構成によれば、回生経路を必要時間だけ維持することで、デッドタイムを越えても回生電流を確実に消費させることができる。
【0019】
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力をモニタするヒステリシス付インバータと、その出力と前記ドライバ回路の出力に基づいて、データを所定の時間保持するラッチ回路と、そのラッチ回路の出力と前記ロータの位置を検出した信号との論理和をとるOR回路とを有するとよい。
この構成によれば、実装面積が小さい小型のモータに用いるときでも、プリドライバを小型化しつつ、所望の時間だけ回生経路を維持できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コストアップ因となる容量の大きなコンデンサやツェナーダイオードなどの追加部品を必要とせず、回生電流の経路が絶たれることによる過電圧状態を抑制でき、駆動回路や電源回路などの耐圧破壊を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態を示す単相ブラシレスモータ制御装置のブロック図である。
【図2】図1に示したドライバ回路と過電圧検出回路の回路図である。
【図3】図1に示したプリドライバの回路図である。
【図4】図4(a)は、図1に示した単相ブラシレスモータ制御装置の動作を説明するためのタイミングチャート図、図4(b)はそのA部分の拡大図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、図1に示した単相ブラシレスモータ制御装置の動作(コイル電流の経路)を説明するための概略図である。
【図6】本発明の好適な第2の実施形態を示すドライバ回路と過電圧検出回路の回路図である。
【図7】一般的なモータ駆動回路のブロック図である。
【図8】図7に示したモータ駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図9】図7に示したモータ駆動回路のPWM制御動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図10】従来方式のモータ駆動回路のブロック図である。
【図11】図10に示したモータ駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図12】一般的な単相モータ駆動回路のブロック図である。
【図13】図12に示した単相モータ駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図14】図12に示したプリドライバの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の好適な第1の実施形態を示す単相ブラシレスモータ制御装置のブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る単相ブラシレスモータ制御装置1は、回転するロータや、ステータに巻かれたモータコイル13で構成される単相ブラシレスモータを制御するために使用される。
【0023】
この単相ブラシレスモータ制御装置1により、ロータの位置を図示しないホール素子などの回転センサで検出したロータ位置検出信号S10に基づいて、モータコイル13に通電する方向を制御する。
単相ブラシレスモータ制御装置1は、モータコイル13への通電制御を行ってモータコイル13を駆動するドライバ回路(ドライバ)11と、ドライバ回路11を制御する制御信号を生成するプリドライバ10と、ドライバ回路11の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、ドライバ回路11の過電圧状態を検出して回生経路(過電圧保護回路)を形成する過電圧検出回路12とを備える。
【0024】
ドライバ回路11は、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14で構成される。スイッチング素子としては、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、FET、IGBT、サイリスタを用いるとよい。
ドライバ回路11は、モータコイル13の駆動時に同時にONする2対で合計4個のドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14を含むブリッジ回路からなる。
【0025】
ドライバ回路11の一方の出力端子OUT1と接続されるラインL1に、ハイサイドとローサイドの上下2段のドライバ回路用スイッチング素子M11,M12が接続され、ドライバ回路11の他方の出力端子OUT2と接続されるラインL2に、ハイサイドとローサイドの上下2段のドライバ回路用スイッチング素子M13,M14が接続される。
ブリッジ回路の対角線上に位置するドライバ回路用スイッチング素子M12,M13が一方の対になるスイッチング素子であり、ドライバ回路用スイッチング素子M11,M14が他方の対になるスイッチング素子である。
【0026】
本実施の形態では、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14として、MOSトランジスタを用いた。pチャネルMOSトランジスタを上段に、nチャネルMOSトランジスタを下段にする。
プリドライバ10は、ロータ位置検出信号S10とドライバ回路11の出力端子OUT1,OUT2の出力に基づいて、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜14の制御信号を生成する。
【0027】
スイッチング素子としてMOSトランジスタを用いる場合、プリドライバ10は、GATE制御信号P11,N11,P12,N12を生成し、各MOSトランジスタのゲートを開閉してスイッチング制御を行う。ドライバ回路11は、プリドライバ10が出力するGATE制御信号P11,N11,P12,N12に基づいて、モータコイル13への通電制御を行う。
【0028】
過電圧検出回路12は、一方の入力端子がドライバ回路11の出力端子OUT1を介してラインL1に接続され、他方の入力端子がドライバ回路11の出力端子OUT2を介してラインL2に接続される。また、過電圧検出回路12は、プリドライバ10の入力端子にも接続される。
ここで、過電圧検出回路12について、ドライバ回路11の他方の出力端子OUT2に接続された側の構成をより詳細に説明する。
【0029】
図2に示すように、過電圧検出回路12は、ドライバ回路11と共用電源14に接続されて過電圧を検出する検出信号としての検出電流Icrmp2を生成する検出用スイッチング素子M22と、検出電流Icrmp2で制御される回生経路用スイッチング素子M24とを有する。
検出用スイッチング素子M22のドレインには、検出電流Icrmp2を電流/電圧変換する抵抗R22が接続される。これら検出用スイッチング素子M22と抵抗22の間に、回生経路用スイッチング素子M24のゲートが接続される。検出用スイッチング素子M22のソースと回生経路用スイッチング素子M24のドレイン間に、出力端子OUT2が接続される。
【0030】
過電圧検出回路12について、ドライバ回路11の一方の出力端子OUT1に接続された側の構成は、上述と同様である。この場合、検出信号は検出電流Icrmp1であり、抵抗R22に代えて抵抗R21を用いる。
プリドライバ10は、図3に示すように、ロータ位置検出信号S10の反転信号を生成するインバータ回路31と、ロータ位置検出信号S10とその反転信号のデッドタイムをそれぞれ生成するデッドタイム生成回路32,33と、これらデッドタイム生成回路32,33の出力d1,d3とドライバ回路11の出力端子OUT1,OUT2の信号のデッドタイムを引き延ばす延長回路34a,34bと、これら延長回路34a,34bの出力とデッドタイム生成回路32,33の出力d1〜d4にそれぞれ接続されるバッファ回路34〜37からなる。
【0031】
延長回路34aは、ドライバ回路11の出力端子OUT1の信号をモニタするヒステリシス付インバータ35aと、そのヒステリシス付インバータ35aのモニタ結果に応じて、データ更新または保持を選択するラッチ回路36aと、そのラッチ回路36aの出力とデッドタイム生成回路32の出力の論理和を演算するOR回路37aとからなる。
ラッチ回路36aには、D−ラッチ回路を用いる。D−ラッチ回路のG入力にヒステリシス付インバータ35aの出力が接続され、D入力にデッドタイム生成回路32の出力d1が接続され、Q出力にOR回路37aが接続される。延長回路34bも延長回路34aと同じ構成である。
【0032】
プリドライバ10は、ロータ位置検出信号S10、出力端子OUT1の信号、出力端子OUT2の信号に基づいて、図4(a)に示すように、ヒステリシス付インバータ35a,35bの出力IN1,IN2、デッドタイム生成回路32,33の出力d1,d3、ラッチ回路36a,36bの出力dL1,dL2の各信号を生成する。ヒステリシス付インバータ35bの出力IN2の信号は、時刻T4において、信号レベルが瞬間的に上がる。
【0033】
さらにプリドライバ10は、これらの信号とOR回路37a,37bおよびバッファ回路34〜37により、スイッチング素子M11〜M14の制御信号P11,P12(P12中の点線は、従来方式の場合を示す),N11,N12を生成し、これら制御信号P11,P12,N11,N12によってモータコイル13を通電制御する。
【0034】
次に、単相ブラシレスモータ制御装置1の動作を説明する。
図4中、時刻T1までは図5(a)に示すようなモータ正転時である。
プリドライバ10は、出力端子OUT1から出力端子OUT2に向かってコイル電流Iaを通電するべく、ドライバ回路用スイッチング素子M11,M14をON、ドライバ回路用スイッチング素子M12,M13をOFFする。
この状態から時刻T1において、コイル電流Iaの通電方向切り替え時となるモータ回生時には、プリドライバ10により、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14が全てOFF状態となる。
【0035】
したがって、モータコイル13に流れていた電流は回生経路を失い、ドライバ回路用スイッチング素子M13のボディダイオードを介して電源に逆流しようとする。このとき、電源装置の電流シンク能力がない場合、電源電圧VDDおよび出力端子OUT2の電位は上昇する。
さて、出力端子OUT2の電位が電源より予め設定された検出用スイッチング素子M22のしきい値Vthを超える
|OUT2−VDD|=|Vgs|>|Vth|
と、図5(b)に示すように、検出用スイッチング素子M22はONするため、検出電流Icrmp2が抵抗R22に向かって流れる。
【0036】
この検出電流Icrmp2の電流値と抵抗R22の抵抗値との積の値がしきい値Vthを超える
Icrmp2×R22=Vgs>Vth
と、回生経路用スイッチング素子M24がONし、このローサイド側の回生経路用スイッチング素子M24、グランド、ドライバ回路用スイッチング素子M12、モータコイル13間でループ状の回生経路C1が形成される。
【0037】
このようにプリドライバ10は、しきい値Vthを用いて、ドライバ回路4や電源回路が過電圧保護動作状態であるか否かを判断し、回生経路C1を形成することで、電源の電位の上昇を抑制できる。
また、図5(b)では、図4(a)中の時刻T1〜時刻T2および時刻T2〜時刻T4間の状態を示しているが、時刻T1〜時刻T2間であるデッドタイムTdead間、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14はOFFしており、回生経路としてはドライバ回路用スイッチング素子M12のボディダイオードとなる。
【0038】
図4(a)中、デッドタイムTdeadを経過した時刻T2において、プリアンプ10により、デッドタイム生成回路32,33の出力を、出力端子OUT2から出力端子OUT1に向かってコイル電流Icを通電するように、ドライバ回路用スイッチング素子M13,M12がON、ドライバ回路用スイッチング素子M14,M11がOFFとなるようにする。
【0039】
ここで、図4(a)に示すように、デッドタイムTdead内に回生電流を消費できない場合、つまり出力端子OUT2の電位がしきい値Vthより高い場合、図3で説明したプリドライバ10のヒステリシス付インバータ35bの出力はローレベル出力となっており、ラッチ回路36bはデータ保持の状態となる。
したがって、ドライバ回路用スイッチング素子M13のゲートに入力される制御信号P12は、時刻T1以前の値であるハイレベル出力のままとなり、ドライバ回路用スイッチング素子M13がOFF状態を維持することで、必要時間だけ回生経路C1を維持できる。
【0040】
このように、回生経路C1を必要時間だけ維持することで、デッドタイムTdeadを越えても回生電流を確実に消費させることができる。
図5(b)においては、図4中の時刻T2〜T4の状態も示しているが、時刻T2〜T4間、ドライバ回路用スイッチング素子M12はONしており、その回生経路としてはドライバ回路用スイッチング素子自身のチャネルとなる。
【0041】
図4(a)中、時刻T4は回生電流を十分に消費して過電圧状態が終了した時刻である。
回生電流を消費して出力端子OUT2の電位がしきい値以下に低くなると、図3で説明したプリアンプ10により、ヒステリシス付インバータ35bの出力はハイレベル出力となり、ラッチ回路36bはデータ更新の状態となる。したがって、ラッチ回路36bの出力はデッドタイム生成回路32bの出力と同じロー出力となる。
【0042】
よって、ドライバ回路用スイッチング素子M13はON状態となり、図5(c)に示すように、出力端子OUT2側から出力端子OUT1側に向かってモータコイル13に電流が流れる。これにより、通電方向切り替えが完了し、モータ逆転時になる。
このように、単相ブラシレスモータ制御装置1によれば、図4(a)および図4(b)に示すように、時刻T1〜時刻T4までの間、出力端子OUT2の電位を電源電圧VDDより少しだけ高い状態のまま、所定の時間だけ保つことができる。
さらに、単相ブラシレスモータ制御装置1では、時刻T4において、出力端子OUT2の電位を瞬間的に下げるため、従来のような出力端子OUT2の電位の急激な上昇も防止できる。
【0043】
以上のように、単相ブラシレスモータ制御装置1は、実装面積が小さい小型モータに用いるときでも、通電方向切り替え時に過電圧状態となった場合、回生経路C1を形成すると共に、回生電流が流れなくなるまで回生経路C1を維持することで、電源への電流の逆流を抑制し、過電圧から各素子を保護できる。
上述の説明では、出力端子OUT1側から出力端子OUT2方向の通電状態から出力端子OUT2側から出力端子OUT1方向への通電切り替え時を用いて説明したが、同様の動作により、出力端子OUT2側から出力端子OUT1方向への通電状態からの通電切り替えも行う。
【0044】
(第2の実施形態)
図6に示すように、第2の実施形態に係る単相ブラシレスモータ制御装置60は、図1で説明した過電圧検出回路12の回生経路用スイッチング素子M23,M24を省略し、さらに抵抗R21,R22をドライバ回路11のドライバ回路用スイッチング素子M12,M14のゲートにそれぞれ直列接続すると共に、検出用スイッチング素子21,22の各ドレインと、ドライバ回路用スイッチング素子M12,M14と抵抗R21,R22間に、それぞれ検出電流Icrmp2が流れるダイオードD61,D62を接続したものである。
【0045】
すなわち、単相ブラシレスモータ制御装置60は、図1の単相ブラシレスモータ制御装置1のようにドライバ回路11を構成するスイッチング素子と、回生経路を構成するスイッチング素子を別々に設けるのではなく、上述のようにドライバ回路61と過電圧検出回路62を構成することで、ドライバ回路61を構成するローサイドのドライバ回路用スイッチング素子M12,M14を駆動・回生経路用として使用するものである。
【0046】
単相ブラシレスモータ制御装置60では、出力端子OUT2の電位が電源より予め設定された検出用スイッチング素子M22のしきい値Vthを超えると、検出用スイッチング素子M22はONするため、検出電流Icrmp2がD62を介して抵抗R22に向かって流れる。
この検出電流Icrmp2の電流値と抵抗R22の抵抗値との積の値がしきい値Vthを超えると、ドライバ回路用スイッチング素子M14がONし、このローサイド側のドライバ回路用スイッチング素子M14、グランド、ローサイド側のドライバ回路用スイッチング素子M12、モータコイル13間でループ状の回生経路C6が形成される。
【0047】
単相ブラシレスモータ制御装置60のそのほかの動作は、単相ブラシレスモータ制御装置1と同様である。
この単相ブラシレスモータ制御装置60では、単相ブラシレスモータ制御装置1と同様の作用、効果が得られるほかに、過電圧検出回路をより小型にできるため、単相ブラシレスモータ制御装置60の小型化が図れる。
【0048】
上記実施の形態で説明した単相ブラシレスモータ制御装置は、例えば、比較的小型の音響機器、映像機器、携帯機器、情報機器などが備える単相ブラシレスモータの制御に用いると、特に有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 単相ブラシレスモータ制御装置
10 プリドライバ
11 ドライバ回路
12 過電圧検出回路
13 モータコイル
M11〜M14 ドライバ回路用スイッチング素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相ブラシレスモータ駆動回路の過電圧保護に関するもので、特に通電方向切り替え時の回生電流の経路を確保することによって、回生電流が電源回路に逆流するのを回避することで過電圧保護をできるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータの駆動回路は、図7に示すような構成が一般的である。この駆動回路は、ホール素子の出力に代表されるようなロータ位置検出信号S50〜S52を基に、モータコイル53を駆動する出力ドライバ51と、その制御信号を生成するプリドライバ50とからなる。出力ドライバ51は、MOSトランジスタM51〜54からなる。
また、図7の構成の場合の各ノードの出力状態は図8のように、ロータ位置検出信号S50〜S52に基づいて、MOSトランジスタM51〜54の制御信号P51〜P53,N51〜N53が生成され、これら制御信号によってモータコイル53のU,V,W相の信号が変化することは周知の通りである。
【0003】
以下の各図では説明の便宜上、端子U,V,W相の電位を同じ符号U,V,Wを用いて表すことにする。
上述した一般的な駆動回路において、図9に示すようなPWM(Pulse-Width-Modulation)制御を行った場合を説明する。
PWM制御によるMOSトランジスタM51,M53,M55のOFF期間となる時に、それまでONしていたMOSトランジスタM52,M54,M56のいずれかがOFFした場合、コイル電流の回生経路が絶たれてしまうため、同図中に示すように、モータコイル53の端子U,V,Wの電位は急上昇して過電圧状態となる。この過電圧状態は駆動回路や電源回路などを耐圧破壊させることもある。
【0004】
図9中では時刻T5,T7,T9,T11の時に、回生経路が絶たれ、時刻T5〜T6,T7〜T8,T9〜T10,T11〜T12の間は過電圧状態となっている。
この対策としては、電源間に容量の大きなコンデンサやツェナーダイオードを追加して過電圧から保護する方式が一般的である。しかし、この対策はコストアップを伴う難点がある。また、小型のモータの場合、実装する面積が確保できない場合もある。
【0005】
上述したような過電圧保護を容量の大きいコンデンサ、ツェナーダイオードなどを用いずに実施可能な方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
回生電流の経路が絶たれるときは必ず、モータコイル53の端子U,V,Wのうち、任意の2端子の一方が電源電圧(VDD)以上、他方がグランドレベル(GND)以下の電位となっている(状態X)。
【0006】
図10、図11に示すように、容量の大きなコンデンサ、ツェナーダイオードなどを用いない従来方式の過電圧検出回路52を説明する。
この回路は、状態Xを過電圧検出回路52で検出し、電源電圧以上に上昇したローサイド側MOSトランジスタ(M52,M54,M56)や、グランドレベル以下またはグランドレベルに対し所定のレベル以下に下降したハイサイド側MOSトランジスタ(M51,M53,M55)を強制的にON制御する。
【0007】
これにより、絶たれていた回生経路を形成し、コイル端子電位の上昇を抑制する。図11に示す動作は、ローサイド側のMOSトランジスタを強制的にON制御した場合の各ノードの出力状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−47255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の容量の大きなコンデンサ、ツェナーダイオードなどを用いない方式の過電圧検出回路は、以下の問題がある。
すなわち、従来技術は、上述したような三相または複数相のモータコイルで構成されるモータの場合には適用することができるが、単相コイルで構成されるモータの場合は過電圧検出が行えず、回生電流経路が絶たれることによる過電圧状態となる場合がある。
【0010】
また、単相コイルで構成されるモータの場合、PWM制御の有無に関わらずコイル電流の通電方向切り替え時には回生電流経路が絶たれるため、過電圧保護が必要となる場合が多い。
単相コイルで構成されるモータ駆動回路にて従来技術を適用させようとした場合の構成例を図12で説明する。図13はこのときの各ノードの出力状態を示し、図14は図12中のプリドライバ120の一般的な構成例を示す。
【0011】
図14に示すプリドライバ120は、ロータ位置検出信号S10と、インバータ31で反転された信号とのデッドタイムをデッドタイム生成回路32,33で生成し、その出力信号S11〜14をバッファ34〜37を介して制御信号P11,N11,P12,N12を生成する。
図13に示すように、図12中の出力端子OUT1から出力端子OUT2方向へのコイル電流の通電状態から時刻T1において、通電方向を出力端子OUT2から出力端子OUT1方向へと通電方向を切り替える際、回生電流の経路が絶たれ、出力端子OUT2の電位は上昇する。
【0012】
このとき、過電圧検出回路122は、出力端子OUT2の電位が電源電圧以上まで上昇したことを検知し、MOSトランジスタM124を強制的にON制御し、回生経路を形成するため、出力端子OUT2の電位の上昇を抑制できる。
しかしながら、図14に示す一般的なプリドライバ120の構成の場合、通電方向切り替え開始時刻T1からデッドタイム生成回路32,33で設定された時間Tdead(図13参照)経過後となる時刻T2には、OUT2側ハイサイドMOSトランジスタM13がON制御される。
【0013】
このため、出力端子OUT2と電源はMOSトランジスタM13を介してショートされることでほぼ同電位となる。
したがって、過電圧検出回路122は、出力端子OUT2の過電圧状態を検出することが不可能となり、時刻T2〜T3の間、出力端子OUT2および電源の電位は過電圧状態となり、駆動回路や電源回路などを耐圧破壊させる可能性がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、単相コイルで構成されるモータにおいても、容量の大きなコンデンサやツェナーダイオードなどの追加部品を必要とせず、回生経路を形成することで駆動回路や電源回路などの耐圧破壊を防ぐ過電圧保護回路を具備した単相ブラシレスモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の単相ブラシレスモータ制御装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
本発明の単相ブラシレスモータ制御装置は、回転するロータの位置を検出した信号に基づいて、モータコイルに通電する方向を制御する単相ブラシレスモータ制御装置であって、前記モータコイルを駆動するドライバ回路と、前記ロータの位置を検出した信号と、前記ドライバ回路の出力とに基づいて、前記ドライバ回路を構成するドライバ回路用スイッチング素子の制御信号を生成するプリドライバと、前記ドライバ回路の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、回生経路を形成する過電圧検出回路と、前記回生経路を構成する回生経路用スイッチング素子とを備えるものである。
【0016】
上記構成によれば、通電方向切り替え時に過電圧状態となった場合、回生経路を形成して電源への電流の逆流を抑制し、過電圧から各素子を保護できる。
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、前記回生経路用スイッチング素子とを有し、前記回生経路用スイッチング素子と、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドのドライバ回路用スイッチング素子との間で前記回生経路を形成してもよい。
【0017】
この構成によれば、実装面積が小さい小型モータに用いるときでも、通電方向切り替え時に過電圧状態となった場合、回生経路を形成すると共に、回生電流が十分に消費するまで回生経路を維持することで、電源への電流の逆流を抑制し、過電圧から各素子を保護できる。
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、その検出用スイッチング素子と前記回生経路用スイッチング素子との間に接続されて前記検出信号が流れるダイオードとを有し、前記ダイオードを流れる検出信号によって、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子をONし、そのローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子によって前記回生経路を形成してもよい。
【0018】
この構成によれば、過電圧検出回路を小型にできるため、単相ブラシレスモータ制御装置の小型化が図れる。
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力に基づいて、前記回生経路を必要時間維持してもよい。
この構成によれば、回生経路を必要時間だけ維持することで、デッドタイムを越えても回生電流を確実に消費させることができる。
【0019】
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力をモニタするヒステリシス付インバータと、その出力と前記ドライバ回路の出力に基づいて、データを所定の時間保持するラッチ回路と、そのラッチ回路の出力と前記ロータの位置を検出した信号との論理和をとるOR回路とを有するとよい。
この構成によれば、実装面積が小さい小型のモータに用いるときでも、プリドライバを小型化しつつ、所望の時間だけ回生経路を維持できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コストアップ因となる容量の大きなコンデンサやツェナーダイオードなどの追加部品を必要とせず、回生電流の経路が絶たれることによる過電圧状態を抑制でき、駆動回路や電源回路などの耐圧破壊を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態を示す単相ブラシレスモータ制御装置のブロック図である。
【図2】図1に示したドライバ回路と過電圧検出回路の回路図である。
【図3】図1に示したプリドライバの回路図である。
【図4】図4(a)は、図1に示した単相ブラシレスモータ制御装置の動作を説明するためのタイミングチャート図、図4(b)はそのA部分の拡大図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、図1に示した単相ブラシレスモータ制御装置の動作(コイル電流の経路)を説明するための概略図である。
【図6】本発明の好適な第2の実施形態を示すドライバ回路と過電圧検出回路の回路図である。
【図7】一般的なモータ駆動回路のブロック図である。
【図8】図7に示したモータ駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図9】図7に示したモータ駆動回路のPWM制御動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図10】従来方式のモータ駆動回路のブロック図である。
【図11】図10に示したモータ駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図12】一般的な単相モータ駆動回路のブロック図である。
【図13】図12に示した単相モータ駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャート図である。
【図14】図12に示したプリドライバの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の好適な第1の実施形態を示す単相ブラシレスモータ制御装置のブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る単相ブラシレスモータ制御装置1は、回転するロータや、ステータに巻かれたモータコイル13で構成される単相ブラシレスモータを制御するために使用される。
【0023】
この単相ブラシレスモータ制御装置1により、ロータの位置を図示しないホール素子などの回転センサで検出したロータ位置検出信号S10に基づいて、モータコイル13に通電する方向を制御する。
単相ブラシレスモータ制御装置1は、モータコイル13への通電制御を行ってモータコイル13を駆動するドライバ回路(ドライバ)11と、ドライバ回路11を制御する制御信号を生成するプリドライバ10と、ドライバ回路11の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、ドライバ回路11の過電圧状態を検出して回生経路(過電圧保護回路)を形成する過電圧検出回路12とを備える。
【0024】
ドライバ回路11は、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14で構成される。スイッチング素子としては、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、FET、IGBT、サイリスタを用いるとよい。
ドライバ回路11は、モータコイル13の駆動時に同時にONする2対で合計4個のドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14を含むブリッジ回路からなる。
【0025】
ドライバ回路11の一方の出力端子OUT1と接続されるラインL1に、ハイサイドとローサイドの上下2段のドライバ回路用スイッチング素子M11,M12が接続され、ドライバ回路11の他方の出力端子OUT2と接続されるラインL2に、ハイサイドとローサイドの上下2段のドライバ回路用スイッチング素子M13,M14が接続される。
ブリッジ回路の対角線上に位置するドライバ回路用スイッチング素子M12,M13が一方の対になるスイッチング素子であり、ドライバ回路用スイッチング素子M11,M14が他方の対になるスイッチング素子である。
【0026】
本実施の形態では、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14として、MOSトランジスタを用いた。pチャネルMOSトランジスタを上段に、nチャネルMOSトランジスタを下段にする。
プリドライバ10は、ロータ位置検出信号S10とドライバ回路11の出力端子OUT1,OUT2の出力に基づいて、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜14の制御信号を生成する。
【0027】
スイッチング素子としてMOSトランジスタを用いる場合、プリドライバ10は、GATE制御信号P11,N11,P12,N12を生成し、各MOSトランジスタのゲートを開閉してスイッチング制御を行う。ドライバ回路11は、プリドライバ10が出力するGATE制御信号P11,N11,P12,N12に基づいて、モータコイル13への通電制御を行う。
【0028】
過電圧検出回路12は、一方の入力端子がドライバ回路11の出力端子OUT1を介してラインL1に接続され、他方の入力端子がドライバ回路11の出力端子OUT2を介してラインL2に接続される。また、過電圧検出回路12は、プリドライバ10の入力端子にも接続される。
ここで、過電圧検出回路12について、ドライバ回路11の他方の出力端子OUT2に接続された側の構成をより詳細に説明する。
【0029】
図2に示すように、過電圧検出回路12は、ドライバ回路11と共用電源14に接続されて過電圧を検出する検出信号としての検出電流Icrmp2を生成する検出用スイッチング素子M22と、検出電流Icrmp2で制御される回生経路用スイッチング素子M24とを有する。
検出用スイッチング素子M22のドレインには、検出電流Icrmp2を電流/電圧変換する抵抗R22が接続される。これら検出用スイッチング素子M22と抵抗22の間に、回生経路用スイッチング素子M24のゲートが接続される。検出用スイッチング素子M22のソースと回生経路用スイッチング素子M24のドレイン間に、出力端子OUT2が接続される。
【0030】
過電圧検出回路12について、ドライバ回路11の一方の出力端子OUT1に接続された側の構成は、上述と同様である。この場合、検出信号は検出電流Icrmp1であり、抵抗R22に代えて抵抗R21を用いる。
プリドライバ10は、図3に示すように、ロータ位置検出信号S10の反転信号を生成するインバータ回路31と、ロータ位置検出信号S10とその反転信号のデッドタイムをそれぞれ生成するデッドタイム生成回路32,33と、これらデッドタイム生成回路32,33の出力d1,d3とドライバ回路11の出力端子OUT1,OUT2の信号のデッドタイムを引き延ばす延長回路34a,34bと、これら延長回路34a,34bの出力とデッドタイム生成回路32,33の出力d1〜d4にそれぞれ接続されるバッファ回路34〜37からなる。
【0031】
延長回路34aは、ドライバ回路11の出力端子OUT1の信号をモニタするヒステリシス付インバータ35aと、そのヒステリシス付インバータ35aのモニタ結果に応じて、データ更新または保持を選択するラッチ回路36aと、そのラッチ回路36aの出力とデッドタイム生成回路32の出力の論理和を演算するOR回路37aとからなる。
ラッチ回路36aには、D−ラッチ回路を用いる。D−ラッチ回路のG入力にヒステリシス付インバータ35aの出力が接続され、D入力にデッドタイム生成回路32の出力d1が接続され、Q出力にOR回路37aが接続される。延長回路34bも延長回路34aと同じ構成である。
【0032】
プリドライバ10は、ロータ位置検出信号S10、出力端子OUT1の信号、出力端子OUT2の信号に基づいて、図4(a)に示すように、ヒステリシス付インバータ35a,35bの出力IN1,IN2、デッドタイム生成回路32,33の出力d1,d3、ラッチ回路36a,36bの出力dL1,dL2の各信号を生成する。ヒステリシス付インバータ35bの出力IN2の信号は、時刻T4において、信号レベルが瞬間的に上がる。
【0033】
さらにプリドライバ10は、これらの信号とOR回路37a,37bおよびバッファ回路34〜37により、スイッチング素子M11〜M14の制御信号P11,P12(P12中の点線は、従来方式の場合を示す),N11,N12を生成し、これら制御信号P11,P12,N11,N12によってモータコイル13を通電制御する。
【0034】
次に、単相ブラシレスモータ制御装置1の動作を説明する。
図4中、時刻T1までは図5(a)に示すようなモータ正転時である。
プリドライバ10は、出力端子OUT1から出力端子OUT2に向かってコイル電流Iaを通電するべく、ドライバ回路用スイッチング素子M11,M14をON、ドライバ回路用スイッチング素子M12,M13をOFFする。
この状態から時刻T1において、コイル電流Iaの通電方向切り替え時となるモータ回生時には、プリドライバ10により、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14が全てOFF状態となる。
【0035】
したがって、モータコイル13に流れていた電流は回生経路を失い、ドライバ回路用スイッチング素子M13のボディダイオードを介して電源に逆流しようとする。このとき、電源装置の電流シンク能力がない場合、電源電圧VDDおよび出力端子OUT2の電位は上昇する。
さて、出力端子OUT2の電位が電源より予め設定された検出用スイッチング素子M22のしきい値Vthを超える
|OUT2−VDD|=|Vgs|>|Vth|
と、図5(b)に示すように、検出用スイッチング素子M22はONするため、検出電流Icrmp2が抵抗R22に向かって流れる。
【0036】
この検出電流Icrmp2の電流値と抵抗R22の抵抗値との積の値がしきい値Vthを超える
Icrmp2×R22=Vgs>Vth
と、回生経路用スイッチング素子M24がONし、このローサイド側の回生経路用スイッチング素子M24、グランド、ドライバ回路用スイッチング素子M12、モータコイル13間でループ状の回生経路C1が形成される。
【0037】
このようにプリドライバ10は、しきい値Vthを用いて、ドライバ回路4や電源回路が過電圧保護動作状態であるか否かを判断し、回生経路C1を形成することで、電源の電位の上昇を抑制できる。
また、図5(b)では、図4(a)中の時刻T1〜時刻T2および時刻T2〜時刻T4間の状態を示しているが、時刻T1〜時刻T2間であるデッドタイムTdead間、ドライバ回路用スイッチング素子M11〜M14はOFFしており、回生経路としてはドライバ回路用スイッチング素子M12のボディダイオードとなる。
【0038】
図4(a)中、デッドタイムTdeadを経過した時刻T2において、プリアンプ10により、デッドタイム生成回路32,33の出力を、出力端子OUT2から出力端子OUT1に向かってコイル電流Icを通電するように、ドライバ回路用スイッチング素子M13,M12がON、ドライバ回路用スイッチング素子M14,M11がOFFとなるようにする。
【0039】
ここで、図4(a)に示すように、デッドタイムTdead内に回生電流を消費できない場合、つまり出力端子OUT2の電位がしきい値Vthより高い場合、図3で説明したプリドライバ10のヒステリシス付インバータ35bの出力はローレベル出力となっており、ラッチ回路36bはデータ保持の状態となる。
したがって、ドライバ回路用スイッチング素子M13のゲートに入力される制御信号P12は、時刻T1以前の値であるハイレベル出力のままとなり、ドライバ回路用スイッチング素子M13がOFF状態を維持することで、必要時間だけ回生経路C1を維持できる。
【0040】
このように、回生経路C1を必要時間だけ維持することで、デッドタイムTdeadを越えても回生電流を確実に消費させることができる。
図5(b)においては、図4中の時刻T2〜T4の状態も示しているが、時刻T2〜T4間、ドライバ回路用スイッチング素子M12はONしており、その回生経路としてはドライバ回路用スイッチング素子自身のチャネルとなる。
【0041】
図4(a)中、時刻T4は回生電流を十分に消費して過電圧状態が終了した時刻である。
回生電流を消費して出力端子OUT2の電位がしきい値以下に低くなると、図3で説明したプリアンプ10により、ヒステリシス付インバータ35bの出力はハイレベル出力となり、ラッチ回路36bはデータ更新の状態となる。したがって、ラッチ回路36bの出力はデッドタイム生成回路32bの出力と同じロー出力となる。
【0042】
よって、ドライバ回路用スイッチング素子M13はON状態となり、図5(c)に示すように、出力端子OUT2側から出力端子OUT1側に向かってモータコイル13に電流が流れる。これにより、通電方向切り替えが完了し、モータ逆転時になる。
このように、単相ブラシレスモータ制御装置1によれば、図4(a)および図4(b)に示すように、時刻T1〜時刻T4までの間、出力端子OUT2の電位を電源電圧VDDより少しだけ高い状態のまま、所定の時間だけ保つことができる。
さらに、単相ブラシレスモータ制御装置1では、時刻T4において、出力端子OUT2の電位を瞬間的に下げるため、従来のような出力端子OUT2の電位の急激な上昇も防止できる。
【0043】
以上のように、単相ブラシレスモータ制御装置1は、実装面積が小さい小型モータに用いるときでも、通電方向切り替え時に過電圧状態となった場合、回生経路C1を形成すると共に、回生電流が流れなくなるまで回生経路C1を維持することで、電源への電流の逆流を抑制し、過電圧から各素子を保護できる。
上述の説明では、出力端子OUT1側から出力端子OUT2方向の通電状態から出力端子OUT2側から出力端子OUT1方向への通電切り替え時を用いて説明したが、同様の動作により、出力端子OUT2側から出力端子OUT1方向への通電状態からの通電切り替えも行う。
【0044】
(第2の実施形態)
図6に示すように、第2の実施形態に係る単相ブラシレスモータ制御装置60は、図1で説明した過電圧検出回路12の回生経路用スイッチング素子M23,M24を省略し、さらに抵抗R21,R22をドライバ回路11のドライバ回路用スイッチング素子M12,M14のゲートにそれぞれ直列接続すると共に、検出用スイッチング素子21,22の各ドレインと、ドライバ回路用スイッチング素子M12,M14と抵抗R21,R22間に、それぞれ検出電流Icrmp2が流れるダイオードD61,D62を接続したものである。
【0045】
すなわち、単相ブラシレスモータ制御装置60は、図1の単相ブラシレスモータ制御装置1のようにドライバ回路11を構成するスイッチング素子と、回生経路を構成するスイッチング素子を別々に設けるのではなく、上述のようにドライバ回路61と過電圧検出回路62を構成することで、ドライバ回路61を構成するローサイドのドライバ回路用スイッチング素子M12,M14を駆動・回生経路用として使用するものである。
【0046】
単相ブラシレスモータ制御装置60では、出力端子OUT2の電位が電源より予め設定された検出用スイッチング素子M22のしきい値Vthを超えると、検出用スイッチング素子M22はONするため、検出電流Icrmp2がD62を介して抵抗R22に向かって流れる。
この検出電流Icrmp2の電流値と抵抗R22の抵抗値との積の値がしきい値Vthを超えると、ドライバ回路用スイッチング素子M14がONし、このローサイド側のドライバ回路用スイッチング素子M14、グランド、ローサイド側のドライバ回路用スイッチング素子M12、モータコイル13間でループ状の回生経路C6が形成される。
【0047】
単相ブラシレスモータ制御装置60のそのほかの動作は、単相ブラシレスモータ制御装置1と同様である。
この単相ブラシレスモータ制御装置60では、単相ブラシレスモータ制御装置1と同様の作用、効果が得られるほかに、過電圧検出回路をより小型にできるため、単相ブラシレスモータ制御装置60の小型化が図れる。
【0048】
上記実施の形態で説明した単相ブラシレスモータ制御装置は、例えば、比較的小型の音響機器、映像機器、携帯機器、情報機器などが備える単相ブラシレスモータの制御に用いると、特に有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 単相ブラシレスモータ制御装置
10 プリドライバ
11 ドライバ回路
12 過電圧検出回路
13 モータコイル
M11〜M14 ドライバ回路用スイッチング素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するロータの位置を検出した信号に基づいて、モータコイルに通電する方向を制御する単相ブラシレスモータ制御装置であって、
前記モータコイルを駆動するドライバ回路と、
前記ロータの位置を検出した信号と、前記ドライバ回路の出力とに基づいて、前記ドライバ回路を構成するドライバ回路用スイッチング素子の制御信号を生成するプリドライバと、
前記ドライバ回路の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、回生経路を形成する過電圧検出回路と、
前記回生経路を構成する回生経路用スイッチング素子と
を備えることを特徴とする単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項2】
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、
前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、前記回生経路用スイッチング素子とを有し、
前記回生経路用スイッチング素子と、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドのドライバ回路用スイッチング素子との間で前記回生経路を形成する請求項1記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項3】
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、
前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、その検出用スイッチング素子と前記回生経路用スイッチング素子との間に接続されて前記検出信号が流れるダイオードとを有し、
前記ダイオードを流れる検出信号によって、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子をONし、そのローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子によって前記回生経路を形成する請求項1記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項4】
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力に基づいて、前記回生経路を必要時間維持する請求項1〜3いずれかに記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項5】
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力をモニタするヒステリシス付インバータと、その出力と前記ドライバ回路の出力に基づいて、データを所定の時間保持するラッチ回路と、そのラッチ回路の出力と前記ロータの位置を検出した信号との論理和をとるOR回路とを有する請求項4記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項1】
回転するロータの位置を検出した信号に基づいて、モータコイルに通電する方向を制御する単相ブラシレスモータ制御装置であって、
前記モータコイルを駆動するドライバ回路と、
前記ロータの位置を検出した信号と、前記ドライバ回路の出力とに基づいて、前記ドライバ回路を構成するドライバ回路用スイッチング素子の制御信号を生成するプリドライバと、
前記ドライバ回路の出力の電位が電源電圧から予め設定されたしきい値以上の電位に上昇したとき、回生経路を形成する過電圧検出回路と、
前記回生経路を構成する回生経路用スイッチング素子と
を備えることを特徴とする単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項2】
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、
前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、前記回生経路用スイッチング素子とを有し、
前記回生経路用スイッチング素子と、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドのドライバ回路用スイッチング素子との間で前記回生経路を形成する請求項1記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項3】
前記ドライバ回路は、前記モータコイルの駆動時に同時にONになる第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、
前記過電圧検出回路は、過電圧を検出するための検出信号を生成する検出用スイッチング素子と、その検出用スイッチング素子と前記回生経路用スイッチング素子との間に接続されて前記検出信号が流れるダイオードとを有し、
前記ダイオードを流れる検出信号によって、前記第1、第2のドライバ回路用スイッチング素子のうち、ローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子をONし、そのローサイドの前記ドライバ回路用スイッチング素子によって前記回生経路を形成する請求項1記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項4】
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力に基づいて、前記回生経路を必要時間維持する請求項1〜3いずれかに記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【請求項5】
前記プリドライバは、前記ドライバ回路の出力をモニタするヒステリシス付インバータと、その出力と前記ドライバ回路の出力に基づいて、データを所定の時間保持するラッチ回路と、そのラッチ回路の出力と前記ロータの位置を検出した信号との論理和をとるOR回路とを有する請求項4記載の単相ブラシレスモータ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−99206(P2013−99206A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242612(P2011−242612)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
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