説明

印刷装置システム、印刷方法及び印刷方法を実行するプログラム

【課題】従来の印刷システムでは、後段画像形成装置でジャムが発生した際、ページ順序を維持しつつ用紙の損失を抑えられなかった。
【解決手段】入力された画像データを構成する第1の画像データを有色記録剤を用いて印刷する第1の画像形成装置の排紙部と前記画像データを構成する第2の画像データを透明記録剤を用いて印刷する第2の画像形成装置の給紙部が接続された印刷システムで、前記第2の画像形成装置の画像形成に用いられた記録材によりジャムが発生したことを検知すると、前記給紙部とは異なる給紙手段から前記第2の画像形成装置に記録材を供給し、該装置内に滞留する記録材に前記第1の画像形成装置で前記有色記録剤を用いて前記画像形成された前記第1の画像データと、該第1の画像データと対応し前記入力された画像データを構成する前記第2の画像データを前記第2の画像形成装置にて有色記録剤と透明記録剤を用いて画像形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置システム、印刷方法及び印刷方法を実行するプログラムに関し、特に複数の画像形成装置を備える印刷システム、印刷方法及び印刷方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の印刷装置の排紙部と給紙部を接続して1つの印刷ジョブを完成させるプリントシステムは、スポットカラー印刷、両面印刷の実現にあたって使用された。このようなプリントシステムは、近年では、特殊トナー印刷においても使用される。例えば、1つの印刷装置でCMYKトナーと特殊トナーの1種であるクリアトナーを一度に転写、定着して印刷するシステムでは、トナーの載り量に関する問題が発生する。具体的に述べると、画像処理装置では印刷対象紙の単位面積当たりに対して、一度の定着により定着可能なトナー量に限り(載り量制限)がある。よって、CMYKトナーが多く使われる領域では、載り量制限内にトナー量を抑えるためにクリアトナーが十分に使えないという問題がある。
【0003】
そこで、有色トナーを用いて印刷を行う画像処理装置とクリアトナーを用いて印刷を行う画像処理装置を接続しクリアトナーを用いた出力物の作成を行う画像処理システムの構築が提案されている(例えば特許文献1参照)。すなわち、2つのプリンタのうち第1の印刷装置で用紙にCMYKトナーを転写定着し、CMYKトナーを印刷された用紙に第2の印刷装置でクリアトナーを転写定着する。つまり、第1の印刷装置で排出された用紙が第2の印刷装置の給紙口に給紙され、2つのプリンタを使用して十分な量のトナーを使用し、高品質な印刷が可能となる。
【0004】
また、1台の印刷装置を用いて両面印刷を行う場合、表面を印刷した後用紙を反転する必要があり、高速化が難しいので2台の印刷装置を連結したプリントシステムを使用することができる。すなわち、このプリントシステムの第1の印刷装置で用紙の表面に表面側画像を印刷し、印刷完了後、第2の印刷装置で用紙の裏面に裏面側画像を印刷する。つまり、第1の印刷装置で排出された用紙を、第2の印刷装置の給紙口に裏表が逆になるように給紙することで、印刷の流れを止めることなく高速の両面印刷が可能となる。このように2つの印刷装置を接続する仕組みを作ることで、ユーザの要望に応じたシステムの構築をしている。
【0005】
このようなプリントシステムでは、第2の印刷装置で紙詰まりなどのジャムが発生し、印刷を最初からやり直す場合、第2の印刷装置内に残っている第1の印刷装置での印刷が終了した印刷用紙を廃棄しなければならない。例えば、通常第1および第2の印刷装置の間に常に多数枚分(例えば20枚分)の用紙が滞留している。ここで例えば、第2の印刷装置で15枚目に相当する画像を印刷するとき、第1の印刷装置ではすでに35枚目に相当する画像が印刷されていることになる。このとき、第2の印刷装置でジャムが発生すると、第2の印刷装置でジャムが発生したとき既に第1の印刷装置は20枚印刷しているにもかかわらず、15枚目から再度印刷をしなくてはならない。そのため、第1の印刷装置で印刷済みの15枚目から20枚目の用紙が破棄される。このようなジャム時に発生する用紙の無駄遣いを極力抑えるプリントシステムとして、第1の印刷装置の印刷完了ページを鑑み第2の印刷装置の印刷再開ページを特定することが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−145595号公報
【特許文献2】特開2003−39750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の複数の印刷装置の排紙部と給紙部を接続して1つの印刷ジョブを完成させるプリントシステムでは、ジャムのための再印刷は補助印刷ジョブとして設定されるため、再印刷されるページは最後に追加される形で印刷される。したがって、用紙の無駄遣いを抑えることはできるが印刷完了した用紙のページ順序は元の順序と異なってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、第2の印刷装置でジャムが発生した場合でもページ順序を維持しつつ、用紙の無駄遣いを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明における画像形成システムは、入力された画像データを構成する第1の画像データを有色記録剤を用いて印刷する第1の画像形成装置の排紙部と、前記入力された画像データを構成する第2の画像データを透明記録剤を用いて印刷する第2の画像形成装置の給紙部が接続された印刷システムであり、前記第1の画像形成装置と前記第2の画像形成装置の各々でジャムが発生したことを検知するジャム検知手段と、前記ジャム検知手段が、前記第2の画像形成装置の画像形成に用いられた記録材によりジャムが発生したことを検知した場合、前記給紙部とは異なる給紙手段から前記第2の画像形成装置に記録材を供給して、前記第2の画像形成装置内に滞留していた記録材に前記第1の画像形成装置で前記有色記録剤を用いて前記画像形成された前記第1の画像データと、該第1の画像データと対応し前記入力された画像データを構成する前記第2の画像データを前記第2の画像形成装置にて有色記録剤と透明記録剤を用いて画像形成する画像形成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
印刷装置を物理的に接続し、印刷を完了するプリントシステムでは、後側の印刷装置でジャムが発生したジャムのリカバリ後、ジャムにより正確に印刷できなかったデータの再印刷をすると、印刷順序を維持することができなかった。
【0011】
それに対して本発明では、ジャムリカバリ時に印刷順序を変えることなく、前段に滞留する印刷済みの用紙を廃棄することなく再印刷時の用紙を用い、用紙の無駄使いを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】本実施例のシステム構成1を示す図である。
【図3】通常印刷時の処理フローの一例を示す図である。
【図4】本実施例の第1のMFPでジャムが発生したときの動作を示す図である。
【図5】警告画面の一例を示す図である。
【図6】警告画面+継続印刷問合せの一例を示す図である。
【図7】本実施例のシステム構成2を示す図である。
【図8】ジャムリカバリ動作時の処理フロー1の一例を示す図である。
【図9】第2のMFPでジャムが発生したときの動作の一例を示す図である。
【図10】ジャムリカバリ動作時の処理フロー2の一例を示す図である。
【図11】リカバリ方法要求画面1の一例を示す図である。
【図12】リカバリ方法要求画面2の一例を示す図である。
【図13】本実施例自動リカバリ方法判定における処理フローを示す図である。
【図14】お試し印刷画面の一例を示す図である。
【図15】お試し印刷画面のプレビューを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、本発明にかかる実施の形態としてCMYKトナーを用いた印刷を行うカラーレーザプリンタと有色記録剤であるCMYKトナーと透明記録剤であるクリアトナーを用いた印刷を行うカラーレーザプリンタの2台構成による場合を説明する。しかし、これは本発明の趣旨はこれに限られるものでないことはいうもでもない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で、以下に示す構成を有するプリンタを連結し、印刷指示された1つのジョブを完全に実行することができる、任意の画像形成装置における構成に適用することが可能である。
【0014】
[実施例1]
(全体構成概要の説明)
図1は本実施例における、画像形成システムである。プリントシステム10の全体構成概要を示す。プリントシステム10は、最初に用紙21を取り込む第1の印刷装置20と、第1の印刷装置から送り込まれる用紙21を受け入れる第2の印刷装置50とを備える。第1および第2の印刷装置の間には中間バッファ装置40が配置される。中間バッファ装置40は、第1および第2の印刷装置の間で一時的に用紙を貯える。第1および第2の印刷装置は、各々複数種類のトナーを使用したが印刷を行うが、両社の印刷速度が異なる場合、この中間バッファ装置40により印刷速度の差異を解消する。また、本実施例では複数枚の記録材を用いて入力された画像データを画像形成しているとき、この記録材がジャムを発生させた場合を想定する。
【0015】
ここで、第1の印刷装置20よって印刷した、記録材である用紙が、印刷終了後、順に中間バッファ装置40上に積載される。第2の印刷装置50は、印刷順序を変えないために中間バッファ装置40上に積載された用紙から給紙を行う際に、積載された用紙の一番下に排紙された用紙を抜き取らなくてはならない。このため、給紙が上手くいかず、ジャムが発生したり、印刷順の整合が取れなくなったりする恐れがある。よって、中間バッファ装置40では以下のように、排紙と給紙のタイミングを制御するが、これに限られず本技術分野で知られたいずれの方法を用いることもできる。
【0016】
第1の印刷装置20による印刷が終了し、有色トナーによって印刷された1枚の用紙を排紙部に排紙し、そのまま中間バッファ装置40に積載する。次に、第1の印刷装置20による印刷が終了し、新たに印刷された用紙が排紙部に排紙される前に、第2の印刷装置50は中間バッファ上に置かれた用紙を給紙する。これにより、接続部41上には用紙が複数積載することがない。こうしたプリントシステム10によれば、2台の印刷装置を相次いで通過する用紙21に、1台目で複数色のうちCMYKトナーを用いた印刷をする。次に、1代目の印刷装置から排紙された印刷用紙を2台目が給紙してこの印刷用紙上にクリアトナーを一部または全面に用いた印刷を施すことができる。このように、一旦有色トナーを印刷し定着した後、クリアトナーを用いて印刷するため、十分なトナーを載せることができ、高品質の印刷が可能になる。
【0017】
なお、第2の印刷装置50は、第1の印刷装置20による印刷排紙以外に、第2の印刷装置50のみで独立した印刷を行うための給紙できる給紙機構52を有する。これに加え、第2の印刷装置50は、クリアトナーを用いた印刷以外に第1の印刷装置20と同様にCMYKトナーも用いた印刷も行える。
【0018】
(印刷装置の説明)
次に、図1を用いて、電子写真方式の印刷装置における印刷動作について簡単な説明をする。図1は、一例として挙げた電子写真方式の印刷装置を、中間バッファを用いて2台繋げた状態の断面図である。第1の印刷装置20は、出力される露光時間に応じて露光用のレーザを駆動し静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。そして、この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録媒体21へ転写したのちにその記録媒体上の多色トナー像を定着させる。ここで、静電潜像形成CMYKトナーによる現像までの各モジュールは基本的に各色ごとにあるため、符号の末尾にトナーの色を表すC、M、Y、Kなどを付してその差異を表す。以下、各色とも同様の内容については、いずれかの色用の構成を例に説明する。
【0019】
帯電ユニットとしては、感光体24Kを帯電させるための注入帯電器25Kを備える。注入帯電器25Kにはスリーブ25KSが設けられている。感光体24Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転可能である。駆動モータは感光体24Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させることが可能である。
【0020】
露光ユニットとして、感光体24Kへスキャナ部26Kより露光光を照射し、感光体の表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成される。現像ユニットとして、静電潜像に対し単色トナーの現像を行う現像器28Kを備える。現像器28Kにはスリーブ28KSが設けられている。なお、現像器28Kは脱着が可能である。転写ユニットとして、感光体24Kから中間転写体30へ単色トナー像を転写するために、中間転写体30を時計周り方向に回転させる。感光体24Kとその対向する位置にある一次転写ローラ29Kの回転に伴って、単色トナー像を転写する。
【0021】
一次転写ローラ29Kに適当なバイアス電圧を印加すると共に感光体24Kの回転速度と中間転写体30の回転速度に差をつけることにより、効率良く単色トナー像を中間転写体30上に転写する(これを一次転写という)。一次転写のための各ユニットは第1の印刷装置20では、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に対して用意されているが、これらの色に限定される必要はない。第2の印刷装置50では、さらに特殊トナーであるクリアトナー(CL)も、印刷できるように各ユニットが構成されている。
【0022】
各色毎に単色トナー像を中間転写体30上に重ね合わせ、重ね合わせた多色トナー像を中間転写体30の回転に伴い、二次転写ローラ31、32まで搬送する。更に記録媒体21を給紙トレイ22、23から二次転写ローラ31、32へ狭持搬送し、記録媒体21に中間転写体30上の多色トナー像を転写する。この二次転写ローラ31、32に適当なバイアス電圧を印加して、静電的にトナー像を転写する(これを二次転写という)。二次転写ローラ31、32は、記録媒体21上に多色トナー像を転写している間、転写ローラ31が存在する位置で記録媒体21に当接し、処理後は位置32に離間する。定着ユニットとして、記録媒体21に転写された多色トナー像を記録媒体21に溶融定着させるために、記録媒体21を加熱する定着ローラ35と記録媒体21を定着ローラ35に圧接させるための加圧ローラ36を備えている。定着ローラ35と加圧ローラ36は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ37、38が内蔵されている。定着装置34は、多色トナー像を保持した記録媒体21を定着ローラ35と加圧ローラ36により搬送するとともに、熱および圧力を加え、トナーを記録媒体21に定着させる。
【0023】
トナー定着後の記録媒体21は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニングユニット33は、中間転写体30上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体30上に形成された4色の多色トナー像を記録媒体21に転写した後に残った廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
【0024】
(システム構成の説明)
次に、図2は本実施例におけるシステム構成を示す。CMYKトナーを用いた印刷を行う第1のMFP201とクリアトナーを用いた印刷を行う第2のMFP231はネットワーク260を介して接続されている。第1のMFP201が用いることができるトナーはCMYKトナーに限定されず、モノクロトナー等であってもよい。同様に第2のMFP231が用いることができるトナーはクリアトナーに限定されず、淡色トナーや、金、銀等の特色トナー等であってもよい。また、このシステムを構成する装置は、MFPに限らず、以下の構成を有する画像形成装置であればよい。さらに、図2の第1のMFP201におけるプリンタ212は、図1の第1の印刷装置20に対応する。同様に、図2の第2のMFP231におけるプリンタ235は、図1の第2の印刷装置50に対応する。また、図2の中間バッファ装置250は、図1の中間バッファ装置40、接続部41に対応する。
【0025】
第1のMFP201の排紙部215と第2のMFP231の給紙部236とは、接続部251と中間バッファ装置250を介して接続されており、第1のMFP201の排紙部から排紙された紙が自動的に第2のMFP231の給紙部で給紙可能である。ここでMFPとは、コピー、プリンタ、FAXなどの複数の機能を1台で実現する装置を示す。またPC262はネットワーク261を介して第1のMFP201と接続されている。PC262内のドライバ263は第1のMFP201および第2のMFP231を、CMYKトナーおよびクリアトナーを使う1つのシステムとして認識して印刷データを送信する。
【0026】
図2に示すシステムではCMYKトナーとクリアトナーを一度の指示で印字することができる。クリアトナーは用紙全面に印字することが可能であり、また一方ではプリント処理またはコピー処理時に特定の色データやオブジェクト上にのみ印字することもできる。CMYKトナーを用いる第1のMFP201について詳細に説明する。ネットワークI/F220では印刷データ等の送受信や後述するラスター画像、制御データ等の送信を行う。コントローラ202はCPU203やレンダラ209、画像処理部211で構成される。CPU203のインタプリタ204は受信した印刷データのPDL部分を解釈し、中間言語データ(カラー)205を生成する。中間言語データ(カラー)205は、最終的にはCMYKトナー用に色分解され、各色の画像が生成され、各色用現像が行われる。レンダラ209は生成した中間言語データ(カラー)205からラスター画像210を生成する。
【0027】
画像処理部211は、ラスター画像210やスキャナ217で読み込んだ画像に対して画像処理を行う。コントローラ202と接続されたプリンタ212は、CMYKトナーを用いて紙上に出力データを形成するプリンタである。プリンタ212は紙の給紙を行う給紙部1_213、給紙部2_214と出力データの画像を形成した紙を排紙する排紙部215を有する。通常、MFPでは、手差しトレイにセットされた紙の給紙を行う給紙部1_213と、カセットトレイにセットされた紙を給紙する給紙部2_214を有する。また、プリンタ212は、図示しない両面印刷用の反転パス機構を通常は有する。表示装置216はユーザへの指示や第1のMFP201の状態を示すUIを表示する。
【0028】
スキャナ217は、オートドキュメントフィーダーを含むスキャナである。スキャナ217は束状のあるいは一枚の原稿画像を図示しない光源で照射し、原稿反射像をレンズでCCDセンサ等の固体撮像素子上に結像し、固体撮像素子からラスター状の画像読み取り信号を画像データとして得る。入力装置218は、ユーザからの入力を受け付けるためのインタフェースである。記憶装置219は、コントローラ202で印刷データや処理されたデータ等を保存する。
【0029】
インタプリタ204は印刷データ中にクリア指示が含まれた場合、CMYKトナーを用いて印刷される画像を形成する中間言語データ(カラー)205の他にクリアトナーを用いて印刷される画像を形成する中間言語データ(クリア)206を生成する。以下、CMYKトナーを用いて印刷される画像をCMYK画像、クリアトナーを用いて印刷される画像をクリア画像とする。
【0030】
クリアトナーを用いた印刷を行う領域を指示(クリア指示)する方法の例として、名前付きプロファイルを使用した処理について説明する。アプリケーション側で入力色の指定時に特定の文字列を用いた場合、その文字列に対応した名前付きプロファイルが選択される。「名前付きプロファイル」のデータ形式を用いた処理について説明する。アプリケーションを用いて、ある入力色に対して特定の文字列を対応させると、その文字列に対応した名前付きプロファイルが選択される。よって、PCのドライバにて、特定の文字列をクリアトナーと対応させると、対応した名前付きプロファイルが選択され、クリアトナーを用いた印刷を望む部分に対して、クリアトナーの選択指示が可能となる。すなわち、その文字列に対してPC262のドライバ263にてクリアトナーを用いると指定することでクリア指示が可能となる。
【0031】
インタプリタ204は、クリア指定された部分のみを抽出してレイヤーを作成することで、中間言語データ(クリア)206を作成する。そしてソフトレンダラ207は、中間言語データ(クリア)206をラスター画像208に変換する。以上のようにして生成したラスター画像208を、第1のMFP201はネットワーク260を介して第2のMFP231へ送信する。クリア指示の方法として名前付きプロファイルを挙げたが、クリアのラスター画像208が生成できればどのようなものであってもよい。また、第1のMFP201はネットワーク260を介して制御データ221を第2のMFP231へ送信する。ここで制御データ221とはユーザからドライバ263を介して設定された枚数や用紙サイズ、メディア種類、ページ設定、フィニッシャ設定などの情報である。
【0032】
次に、クリアトナーを用いる第2のMFP231について詳細に説明する。ネットワークI/F246はネットワーク260を介してネットワークI/F220と接続されており、ネットワークI/F246を介して第1のMFP201と第2のMFP231間とでデータの送受信を行う。コントローラ232は、第1のMFP201と同等の構成を有し、通常の印刷処理では、CPU233、画像処理部234を利用する。コントローラ232と接続されたプリンタ235は、クリアトナーを用いて紙上に出力データを形成するプリンタである。
【0033】
プリンタ235は、紙の給紙を行う給紙部1_236、給紙部2_237と出力データを形成した紙を排紙する排紙部238を有する。給紙部1_236は、接続部251と中間バッファ装置250とを介して排紙部215と接続されており、第1のMFP201から排紙された紙を自動的に給紙する。第1のMFP201と第2のMFP231で印刷速度にズレがある場合は、中間バッファ装置250で速度のズレを吸収する。
【0034】
給紙部2_237は、第2のMFPにセットされている用紙を給紙する。フィニッシャ239はソートやステイプル等の機能を有する。プリンタ235の排紙部238とフィニッシャ239の給紙部240は接続されており、ソートやステイプル等のユーザから指定された処理を行った後に排紙部241を用いて出力する。表示装置242、スキャナ243、入力装置244、記憶装置245については第1のMFP201内のものと同様なので説明を省略する。
【0035】
第2のMFP231は、第1のMFP201からラスター画像208と制御データ221を受け取り、ラスター画像208については画像処理部234を用いて処理を行い、制御データ221を用いてプリンタ235やフィニッシャ239の制御を行う。
【0036】
(プリント処理フロー)
次に、本実施例のシステムにおいてPC262からドライバ263を用いてプリント処理を実行する際の流れについて図3を用いて説明する。ステップS301からステップS313までの処理に係るプログラムは第1のMFP201の記憶装置219に格納されており、RAMによって呼び出されCPU203によって実行される。また、ステップS314からステップS318までの処理に係るプログラムは第2のMFP231の記憶装置245に格納されており、RAMによって呼び出されCPU233によって実行される。
【0037】
まず、ステップS301でコントローラ202はPC262から送られた印刷データを取得する。前述の通り、PC262は印刷データを送る際に名前付きプロファイルに関連付けることで特定の色やオブジェクトに対してクリア指示が可能である。
【0038】
次に、CPU203は印刷データ中の名前付きプロファイル等を参照してステップS302にてクリアジョブであるか否か判定する。クリアジョブではない場合は、ステップS303にてインタプリタ204が中間言語データ(カラー)205を作成する。さらにステップS304にてレンダラ209がレンダリングを行い、ラスター画像210を作成する。
【0039】
ステップS305にて画像処理部211が画像処理を実行し、ステップS306にてプリンタ212がCMYKトナーを用いて画像データを用紙上に出力する。次に、ステップS307にてCPU203はネットワークI/F220を介して、第2のMFP231のコントローラ232へ制御データ221を送信する。第2のMFP231では、ステップS314にて制御データ221を参照して給紙及び排紙処理を行う。ここではクリアトナーは使用しない。最後にステップS217にて制御データ221に基づいてフィニッシャ239は給紙及び出力を行う。ここで制御データ221にソート等の処理が指定されていた場合はその指示に従ってフィニッシャ239が処理を行う。
【0040】
ステップS302にてクリアジョブと判定された場合は、ステップS308にてインタプリタ204は中間言語データ(カラー)205と中間言語データ(クリア)206を生成する。そしてステップS309にてレンダラ209は中間言語データ(カラー)205をレンダリングしてラスター画像210を生成する。次に、ステップS310にて画像処理部211が画像処理を行い、ステップS311にてプリンタ212がCMYKトナーを用いて画像データを紙上に出力する。次にステップS312にてCPU203は、ネットワークI/F220を介して第2のMFP231のコントローラ232へ制御データ221を送信する。
【0041】
一方、ステップS313にてソフトレンダラ207は、中間言語データ(クリア)206をレンダリングしてラスター画像208を生成し、第2のMFP231へ送信する。ステップS315にて第2のMFP231は、制御データ221を参照して給紙を行う。一方、ステップS318にて画像処理部234は、ラスター画像208に対して画像処理を行う。そしてステップS316にてプリンタ235は、給紙された用紙上にクリアトナーを用いて画像データを出力する。最後にステップS317にて制御データ221に基づいてフィニッシャ239にて給紙及び出力を行う。以上のように第1のMFP201と第2のMFP231を用いることで、ドライバ263から1回の指示でCMYKトナーとクリアトナーを用紙上に出力することが可能となる。
【0042】
(第1のMFP201でジャムが発生した時の動作フロー)
続いて図4ないし6を用いて本実施例のシステムにおけるジャム処理復帰について説明する。ステップS401からS404の処理に係るプログラムは第1のMFP201の記憶装置219に格納されており、RAMにインストールされてCPU203によって実行される。また、ステップS405の処理に係るプログラムはPC262の図示しない記憶装置に格納されており、RAMにインストールされ、図示しないCPUに展開されたドライバ263によって実行される。
【0043】
まず、図4では、第1のMFP201でジャムが発生した時の動作フローを示している。ステップS401では、図示しないジャム検知センサからの通知を受信する。ジャム検知を受けた第1のMFP201はジャム情報420をドライバ263に通知する。ステップS402では、ジャム検知を受けて給紙と印刷処理を停止し、第2のMFPにMFP情報の問合せ421を行って、MFP情報422の返信を受け取る。
【0044】
これによりオペレータやユーザが第1のMFPでジャムふが発生した用紙の除去などジャムリカバリ対応をしている間に、第2のMFPで代替印刷が可能か判定するための情報問合せを行うことができる。具体的には、各種印刷設定(モノクロ印刷、カラー印刷、クリア印刷、両面印刷、Nin1、用紙サイズなど)を受付可能状態にあるか否かを示す情報問合せである。
【0045】
ステップS403では、第2のMFPから受け取ったMFP情報422と現在印刷停止中のジョブ情報から、印刷の継続可能判定を行う。そして、継続性判定結果423をドライバ263に通知する。ジャム情報420と継続性判定結果423を受けたドライバ263は、ステップS405で図示しない表示装置に警告画面(例えば図5)の表示を行う。継続性判定結果423が、継続可能と判定なっていた場合は、別途、警告だけでなく印刷継続の問合せ(例えば図6)画面をオペレータに対し表示して、オペレータの判断を入力、すなわち指示入力できるようにする。
【0046】
同じくジャム検知と継続性判定結果を受けた第1のMFP201は、ステップS404で表示装置216に警告表示と復帰方法(ジャム用紙がある位置とその除去方法)の表示を行う。継続性判定結果が継続可能であれば、印刷継続の問合せも合わせて表示する。すなわち、図6に示すように「継続する」というボタンを表示して、オペレータがこのボタンを押下したら継続の判断の入力であると認識して処理を進める。
【0047】
ドライバ263、または第1のMFP201のどちらかの入力装置がオペレータによる「継続する」の指示を受け付けた場合、ドライバ263と第1のMFP201間で継続指示の通知を行い、継続問合せの表示を取り下げる。
【0048】
なお、本実施例では印刷継続可能判断に関するMFP情報の問合せや判定をジャム発生時に行うとしているがその限りではない。この処理を実行するのは印刷ジョブの開始時でも良い。また、デバイス構成(CMYKトナーを備えているか、反転パス機構を有しているかなど)に関する情報だけで判定するのであれば、電源立上げ時、指定単位時間、または、装置同士が接続されたことが検知された時などに行っておいてもよい。
【0049】
また、本実施例では第2のMFP231で印刷継続してよいかをオペレータにその都度問い合わせているが、予めジャム時の動作を設定しておくことで問合せなしにすることも可能である。
【0050】
(第2のMFP231で継続印刷する時の動作フロー)
続いて、図7、図8を用いて第2のMFP231で継続印刷する時の構成と動作について通常印刷時との差分を説明する。継続印刷しない場合は、従来通りのジャムリカバリとなるので、ここでは説明を省略するものとする。通常の印刷時の構成である図2からの差分について、図7を用いて説明する。
【0051】
コントローラ232は、CPU233、画像処理部234も含め、もともと第1のMFP201と同等の構成を有している。ジャム発生時の特別な動作では、インタプリタ810、レンダラ803も利用する。インタプリタ801は、中間言語データ(カラー/クリア)802を生成する。レンダラ803は中間言語データ(カラー/クリア)802をラスター画像804に変換する。
【0052】
通常印刷は、まず、第1のMFP201にて、カラートナーであるCMYKトナーを転写、定着した印刷用紙を排紙する。そして、この排紙された印刷用紙を、中間バッファを介して第2のプリンタ235が給紙し、この印刷用紙にクリアトナーを転写し再度転写することで印刷を完了させる。これに対して、本例の処理では、CMYKトナーを用いた印刷とクリアトナーを用いた印刷との両方を第2のプリンタ235だけで実行できるように画像処理部234で画像処理する。通常動作時とのその他の差分は、通常動作時は第1のMFP201から排紙された用紙を給紙部1_236で給紙するが、本処理では給紙部2_237から給紙を行う点である。
【0053】
次に、通常の印刷時の処理フローである図3からの差分について、図8を用いて説明する。ステップS901の処理に係るプログラムは第1のMFP201の記憶装置219に格納されており、RAMにインストールされCPU203によって実行される。また、ステップS902からステップS907までの処理に係るプログラムは第2のMFP231の記憶装置245に格納されており、RAMにインストールされCPU233によって実行される。
【0054】
ステップS901では、コントローラ202は、PC262から送られてきた印刷データのうち、入力されたジョブ内において出力できていないジャムページ以降の印刷データを転送する。つまり、CPU203は第1のMFP201がジャム状態にあり、第2のMFP231による継続印刷指示を受信した場合、ネットワークI/F220を介して第2のMFP231のコントローラ232へジャムページ以降の印刷データを転送する。
【0055】
次に、ステップS902にてコントローラ232は、第1のMFP201から送られた印刷データを取得する。ステップS903にてインタプリタ801は、中間言語データ802を作成する。さらに、ステップS904にてレンダラ803は、レンダリングを行い、ラスター画像804を作成する。ステップS905にて画像処理部211は画像処理を実行し、ステップS906にてプリンタ235は給紙部2_237から給紙を行い、CMYKトナーおよびクリアトナーを用いて画像データを用紙上に出力する。
【0056】
以上により、第1のMFP201でジャムが発生しリカバリ対応中であっても、第2のMFP231のCMYKトナー印刷機能を有効活用することで印刷継続ができ、利便性の向上を図ることができる。
【0057】
また、上記では第1のMFPにてジャムが生じてから、同一ジョブ内で出力できていないジャムページ以降のみ第2のMFPのコントローラ232へ送信されたが、ジョブ内の全てのページを予め第2のMFPのコントローラ232へ送信しておいてもよい。
この場合、ジャム発生時に即座に対応ができる。
【0058】
(第2のMFP231でジャムが発生した時の動作フロー)
続いて、図9を用いて、第2のMFP231でジャムが発生した時の動作フローを説明する。ステップS1001ないしステップS1003の処理に係るプログラムは第2のMFP231の記憶装置245に格納されており、RAMにインストールされCPU233によって実行される。また、ステップS1004からステップS1005までの処理に係るプログラムは第1のMFP201の記憶装置219に格納されており、RAMにインストールされCPU203によって実行される。また、ステップS1006の処理に係るプログラムはPC262の図示しない記憶装置に格納されており、RAMにインストールされ図示しないCPUに展開されたドライバ263によって実行される。
【0059】
ステップS1001は、図示しないジャム検知センサからの通知で第2のMFP231にてジャムが検出される。ジャム検知を受けて第2のMFP231は、ジャム情報420を第1のMFP201に通知する。ジャム情報420を受けた第1のMFP201は、さらにドライバ263に通知する。
【0060】
ステップS1002にて、ジャム検知を受けて給紙と印刷処理を停止する。ステップS1003では、MFPが有するUIにて警告表示と復帰方法(ジャム用紙がある位置とその除去方法)表示を行う。ステップS1004では、ジャム情報420の通知を受けて第1のMFP201は、給紙と印刷処理の停止を行う。第1のMFP201ではジャムが発生していないので、印刷処理の停止の際は用紙を廃棄しなくて済む位置まで進めてから停止を行うものとする。なお、中間バッファ装置250のストック量を通常時一定の制限をしている場合でも、中間バッファ装置250で一時的にストックできる量を増やして第1のMFP201から出力しても良いものとする。
(第2のMFP231で単独リカバリする時の動作フロー)
続いて、第2のMFPでジャムを引き起こしていた用紙が、オペレータによって除去された後のリカバリ動作フローについて図10を用いて説明する。ステップS1101ないしステップS1104の処理に係るプログラムは第2のMFP231の記憶装置245に格納されており、RAMにインストールされCPU233によって実行される。また、ステップS1105の処理に係るプログラムは第1のMFP201の記憶装置219に格納されており、RAMにインストールされCPU203によって実行される。また、ステップS1106の処理に係るプログラムはPC262の図示しない記憶装置に格納されており、RAMにインストールされ図示しないCPUに展開されたドライバ263によって実行される。
【0061】
ステップS1101は、例えば図示しないジャム検知センサからの通知で第2のMFP231にてジャム用紙の除去がされたことを検知する。ステップS1102では、表示装置242で第2のMFPのリカバリ方法の選択(例えば図11)をオペレータに要求する。ステップS1103では、入力装置244がリカバリ方法に対してオペレータから用紙優先(コスト優先)の指示を受けるものとする。
【0062】
ここで、本技術分野で知られているように、本実施例の特徴である第2のMFPによるリカバリを実行すると、CMYKトナーとクリアトナーとを1台のプリンタで印刷することになるため、本印刷システムにおける高画質印刷を損なうこととなる。つまり、CMYKトナーとクリアトナーとを1台のプリンタで印刷すると、載り量制限のため、十分な量のトナーを使用できないため、良好な画質が得られない場合もありうる。
【0063】
従って、第1のMFPで印刷した用紙を再印刷する場合の用紙の無駄をなくすことにより、印刷の品質が劣化してしまう恐れがある。例えば、本実施例のようにクリアトナーを第2のMFPで印刷するようなシステムにおいては、特にCMYK画像で使用するトナー量が多い場合、2台のMFPを用いて印刷するときに比べ1台MFPを用いて印刷すると画質の劣化がより目立つこととなる。逆に言うと、たまたまジャムのために再印刷が必要になった画像が余りトナーを使用しないものであった場合、画質の劣化が目立たないため、むしろ用紙の無駄をなくす選択をするのが好ましい場合もあることになる。そこで、本実施例では、第2のMFPのみ単独で用いてジャムのリカバリに対応する場合を「用紙優先(コスト優先)」と呼ぶ。リカバリとは、ジャムが発生した際にジャムが発生した装置内に滞留していたページやジャムを発生させたページの再印刷をすることを指す。一方、通常のリカバリ(ジャムのために再印刷が必要となったページのみ、後から第1のMFPと第2のMFPtoを用いて印刷し直す)対応をする場合を「通常(安定品質)」と呼ぶ。
【0064】
次に、入力装置244がリカバリ方法に対してオペレータから用紙優先(コスト優先)の指示を受けると、リカバリ開始通知1110を第1のMFP201に通知する。リカバリ開始通知1110を受け取った第1のMFP201は、ドライバ263に同様の通知を行う。ステップS1105とステップS1106では、リカバリ開始通知1110を受けて、警告表示は、復帰による待機中の状態を示す表示に変更される。
【0065】
次に、ステップS1104では、入力装置244がオペレータからの用紙優先(コスト優先)の指示を受けて、単独リカバリ動作に入る。第1のMFPで第1の画像データが印刷された用紙が給紙され、第2のMFP231内に滞留していた用紙を除去した際、この除去した用紙に印刷されていた画像データを、図7、図8で説明した動作で処理してリカバリする。つまり、給紙部2_237から給紙した用紙に第1のMFP201で印刷するはずだったCMYKトナー部分も含めて第2のMFP231で印刷することで、第1のMFP201に影響を与えずに単独リカバリを実現する。その後、リカバリ完了通知1111を第1のMFP201に通知し、それを受けた第1のMFP201はドライバ263に同様の通知を行う。
【0066】
なお、リカバリ完了通知1111は、中間バッファ装置250に滞留している用紙を第2のMFP231が出力し終えてからでも良いものとする。つまり、第1のMFP201が通常状態に復帰するのは、中間バッファ装置250に滞留している用紙を減らしてからでも良いものとする。また、本実施例では用紙優先が指示されたものとして説明してきたが、オペレータが通常(安定品質)を指示した場合について簡単に説明しておく。
【0067】
入力装置244がオペレータから通常(安定品質)の指示を受けると、従来のリカバリと同じ動作でリカバリを行う。ジャムのリカバリ時に廃棄した用紙に印刷されていた画像データと,第1のMFP201や中間バッファ装置250で滞留していた用紙に印刷されていた画像データとも含めて、第1のMFP201から再印刷する。そのため、第1のMFP201や中間バッファ装置250に滞留している用紙の除去が要求される。その後は、除去を要求したページから通常の印刷を再開させることとなる。つまり、全てのページが通常印刷と同じになるので安定した品質の出力物を得られる。しかし、ジョブ終了後にリカバリ印刷を行うので、印刷順序が変更される。
【0068】
以上より、第2のMFP231による単独リカバリの実現によって、第1のMFP201から滞留している用紙を除去しなくてもよくなり、再印刷の手間と従来では廃棄していた用紙の無駄を削減することができる。また、この単独リカバリ方法によると印刷順序が変更されないので、ユーザにとって利便性の高いリカバリが実現できる。
【0069】
なお、ジャム時の動作として、第2のMFP231が有する給紙部2_237から給紙を行いリカバリ動作していたが、本実施例ではこれに限るものではない。すなわち、滞留用紙に対して割り込んで新しい用紙を第2のMFP231に供給できれば、中間バッファ装置250や第1のMFP201からの用紙を供給してもよい。
【0070】
[実施例2]
実施例1では、第2のMFP231で単独リカバリする時のリカバリ方法として、図11に示すようにオペレータに「通常(安定品質)」と「用紙優先(コスト優先)」とのいずれを選択するか要求し、その選択結果に基づいてリカバリを行う。しかし、実際にジャムが起き、廃棄すべきページをリカバリする際、オペレータはそのページを品質優先にすべきか、コスト優先にすべきか容易には判断できない場合が多い。そこで、本実施例では、「通常(安定品質)」と「用紙優先(コスト優先)」の判断の手助けとなる2つのモードを設ける。すなわち、図12に示す「自動」モードと「お試し印刷」モードである。「自動」モードは、実施例1の「通常(安定品質)」と「用紙優先(コスト優先)」との選択を印刷データや環境情報から自動的に判定してくれる設定である。それに対して、「お試し印刷」モードは、複数枚のジャムが発生した場合、1、2枚試しに用紙優先(コスト優先)で動作させて、その出力結果を見てオペレータの判断の手助けをするための設定である。
【0071】
まず「自動」モードについて、図13の動作フローを用いて説明する。ステップS1401ないしステップS1403の処理に係るプログラムは、第2のMFP231の記憶装置245に格納されており、RAMにインストールされCPU233によって実行される。オペレータから「自動」設定の指示を受け付けた入力装置244は、ステップS1401でリカバリ印刷対象である印刷データを取得する。ステップS1402では、印刷データの有する情報から、用紙優先でリカバリを行った場合、通常印刷と比べてどの程度画質が変化するかを予測する。ここで、印刷データの有する情報とは、例えば白黒印刷/カラー印刷/クリア印刷モード、用紙タイプなど、デバイス情報(温度/湿度などの環境情報、各トナーの残量、各ドラムの利用頻度など)であるが、これに限られない。例えば、印刷データがクリアデータの場合、用紙優先を選択すると1台でCMYKとクリアの両方を印刷すると使えるトナー量が制限されるため、通常印刷と比較して大幅に画質が変化してしまう可能性がある。
【0072】
特に、ページ内で使用されるカラーデータ量が多いと、第1のMFP201での印刷後に第2のMFP231で印刷をする通常印刷と、第2のMFP231のみでCMYKトナーとクリアトナーを用いた印刷をする単独印刷では画質が大きく変化する懸念がある。よって、第1のMFPおよび第2のMFPを用いた印刷を行う通常印刷で印刷を行った際の画質を数値化したものと、第2のMFPのみを用いて印刷を行う用紙優先で印刷を行った際の画質を数値化したものとの差分を画質変化予測値とする。この値が予め設定されていた値(閾値)よりも大きい場合、用紙優先印刷を行わないように制御する。つまり、ステップS1403では、ステップS1402で出した画質変化予測を受けてリカバリ動作方法をどれにするか判定する。画質変化が閾値より大きいと判定される場合は、「通常」のリカバリ動作が実行され、画質変化が閾値より小さいと判定される場合は「用紙優先」でリカバリ動作を行う。
【0073】
次に、「お試し印刷」について説明する。「お試し印刷」の指示を入力装置244が受けると、図14に示すような画面を表示装置242に表示する。図14内のサムネイル画像は、ジャムのリカバリのため廃棄するページのうち「用紙優先」でリカバリ印刷すると画質変化の可能性があるページを表示する。全ての廃棄ページをサムネイル表示しなくても良い。先頭からNページまで(Nは1を含む)、もしくは、変動量が大きいと予想されるページ(データ量の多いページ、カラー量/クリア量の多いページ等)だけであっても良い。また、図示していないが、サムネイル情報からオペレータが印刷不要と判断できるページがわかる場合は、オペレータによって削除実行することも可能である。
【0074】
オペレータによって、1または複数のサムネイル画像が指定された状態で、お試し印刷実行を入力装置244が受け付けたとき、対象ページを「用紙優先」で印刷する。お試し印刷で印刷された場合は、印刷データは削除されずに保持される。そして、印刷動作後、表示装置242の画面は図12の状態に戻る。なお、図14の画面の実際のプレビュー表示の例を図15に示す。
【0075】
お試し印刷後に、あらためて「用紙優先」がオペレータによって指示された場合、指示を受けた入力装置244は、お試し印刷されたページがジャムによる廃棄ページの先頭から連番であったかどうか、両面印刷などの印刷設定はどうなっているかを参照する。出力済のお試し印刷物が再印刷しなくても良いかを判定する。再印刷の必要なしと判定されたページについては印刷データを破棄して、その続きページから印刷を再開する。印刷順序が変わっている場合や、本来両面なのに片面のみの印刷で終わっている場合は、再印刷する。
【0076】
以上により、オペレータはジャムにより廃棄したページを「通常(安定品質)」と「用紙優先(コスト優先)」のどちらでリカバリ実行すれば良いか、装置がサポートしてくれる機能に支援されて判断することができる。
【0077】
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、本発明は、複数のプロセッサが連携して処理を行うことによっても実現できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データを構成する第1の画像データを有色記録剤を用いて画像形成する第1の画像形成装置の排紙部と、前記入力された画像データを構成する第2の画像データを透明記録剤を用いて画像形成する第2の画像形成装置の第1の給紙部とが接続され、前記第1の画像形成装置で画像形成された記録材を前記第2の画像形成装置に供給するよう構成された画像形成システムにおいて、
前記第2の画像形成装置でジャムが発生したことを検知するジャム検知手段と、
前記ジャム検知手段が前記第2の画像形成装置でジャムが発生したことを検知した場合、前記第1の給紙部とは異なる第2の給紙部から前記第2の画像形成装置に記録材を供給させて、前記第2の画像形成装置内で前記ジャムを検知された記録材に対し前記第1の画像形成装置で前記有色記録剤を用いて前記画像形成された前記第1の画像データと、該第1の画像データとともに前記入力された画像データを構成する第2の画像データとを、前記第2の画像形成装置に有色記録剤と透明記録剤を用いて画像形成させる画像形成手段と
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記ジャム検知手段により、前記第2の画像形成装置においてジャムが発生したことを検知した場合、前記第1の画像形成装置で形成された前記第1の画像データを前記第2の画像形成装置で画像形成するか否かの判断をユーザに入力させる入力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1の画像形成装置で画像形成された前記第1の画像データを、前記第2の画像形成装置で画像形成したときの画質の変化を予測し、該予測した変化が、予め決められた値より大きいときは、前記ジャムが検知されても前記第1の画像形成装置で画像形成された前記第1の画像データを、前記第2の画像形成装置で画像形成しないことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記画質の変化の予測は、前記入力された画像データが、白黒印刷もしくはカラー印刷、またはクリア印刷のいずれであるかに基づいて行われることを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画質の変化の予測は、前記第2の画像形成装置がCMYKトナー及びクリアトナーを用いた画像形成が可能な構成であるか否か、および各トナーの残量に基づいて行われることを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記ジャム検知手段が複数のジャムを検知したときは、ジャムを検知されたすべての記録材に、前記第1の画像データを前記第2の画像形成装置で画像形成する前に、前記ジャムを検知された記録材のうち一部のみ前記第1の画像データを前記第2の画像形成装置により画像形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1の画像形成装置で画像形成された第1の画像データを前記第2の画像形成装置で画像形成する前に、前記ジャムを検知された記録材のうち一部のみ前記第1の画像データを前記第2の画像形成装置により画像形成した後、前記ジャムを検知されたすべての記録材に、前記第1の画像データを前記第2の画像形成装置により画像形成するか否かの判断をユーザに入力させるお試し入力手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記ジャム検知手段が前記第2の画像形成装置にて、ジャムが発生したことを検出した場合、ジャムが発生した際に、該第2の画像形成装置に滞留していた記録材に画像形成された第1の画像データと、該第1の画像データとともに前記入力された画像データを構成する第2の画像データとをプレビュー表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記プレビュー表示は、前記画像データのうち、第2の画像形成装置で印刷すると画質の変化の影響が大きい画像を抽出して表示することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置システム。
【請求項10】
前記プレビュー表示された画像から、前記第1の画像形成装置で画像形成された前記第1の画像データを前記第2の画像形成装置で画像形成させない指示をユーザが入力する指示入力手段をさらに備え、
前記画像形成されない指示が入力されたときは、当該画像データについては前記第1の画像形成装置で画像形成された第1の画像データを前記第2の画像形成装置で画像形成しないことを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項11】
入力された画像データを構成する第1の画像データを有色記録剤を用いて印刷する第1の画像形成装置の排紙部と、前記入力された画像データを構成する第2の画像データを透明記録剤を用いて印刷する第2の画像形成装置の給紙部とが接続され、前記第1の画像形成装置で画像形成された記録材を前記第2の画像形成装置に供給するよう構成された画像形成システムにおいて、
前記第2の画像形成装置でジャムが発生したことを検知して通知する検知手段を備え、
前記第1の画像形成装置は、前記第2の画像形成装置でジャムが発生した場合、
前記第2の画像形成装置でのジャムの発生を受信する通知受信手段と、
前記通知受信手段にてジャムの発生を受信すると、前記第1の画像形成装置で画像形成された記録材を前記第2の画像形成装置へ供給することを停止する停止手段と、
を有し、
前記第2の画像形成装置は、前記第2の画像形成装置でジャムが発生した場合、
前記ジャムが検知された記録材が取り除かれ、前記ジャムが検知された記録材に前記第1の画像形成装置により画像形成された以降の画像データを再度画像形成する指示を受けると、前記第1の画像形成装置から前記第2の画像形成装置に、前記ジャムが検知された記録材に画像形成された第1の画像データを受信する受信手段と、
前記受信手段にて受信した第1の画像データと、該第1の画像データとともに前記画像データを構成する前記第2の画像データを前記有色記録剤と前記透明記録剤とを用いて画像形成する画像形成手段と
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
入力された画像データを構成する第1の画像データを有色記録剤を用いて画像形成する第1の画像形成装置の排紙部と、前記入力された画像データを構成する第2の画像データを透明記録剤を用いて画像形成する第2の画像形成装置の第1の給紙部とが接続され、前記第1の画像形成装置で画像形成された記録材を前記第2の画像形成装置に供給するよう構成された画像形成システムの制御方法において、
前記第2の画像形成装置でジャムが発生したことを検知するジャム検知ステップと、
前記ジャム検知ステップが前記第2の画像形成装置でジャムが発生したことを検知した場合、前記第1の給紙部とは異なる第2の給紙部から前記第2の画像形成装置に記録材を供給させて、前記第2の画像形成装置内で前記ジャムを検知された記録材に対し前記第1の画像形成装置で前記有色記録剤を用いて前記画像形成された前記第1の画像データと、該第1の画像データとともに前記入力された画像データを構成する第2の画像データとを、前記第2の画像形成装置にて有色記録剤と透明記録剤を用いて画像形成させ画像形成ステップと
を有することを特徴とする画像形成システムの制御方法。
【請求項13】
入力された画像データを構成する第1の画像データを有色記録剤を用いて印刷する第1の画像形成装置の排紙部と、前記入力された画像データを構成する第2の画像データを透明記録剤を用いて印刷する第2の画像形成装置の給紙部とが接続され、前記第1の画像形成装置で画像形成された記録材を前記第2の画像形成装置に供給するよう構成された画像形成システムの制御方法において、
前記第2の画像形成装置でジャムが発生したことを検知して通知するステップと、
前記第1の画像形成装置において、
前記第2の画像形成装置でジャムが発生した場合、前記第2の画像形成装置でのジャムの発生を受信する通知受信ステップと、
前記通知受信ステップにてジャムの発生を受信すると、前記第1の画像形成装置で画像形成された記録材を前記第2の画像形成装置へ供給することを停止する停止ステップと、
前記第2の画像形成装置において、前記第2の画像形成装置でジャムが発生した場合、
前記ジャムが検知された記録材が取り除かれ、前記ジャムが検知された記録材に前記第1の画像形成装置により画像形成された以降の画像データを再度画像形成する指示を受けると、前記第1の画像形成装置から前記第2の画像形成装置に、前記ジャムが検知された記録材に画像形成された第1の画像データを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにて受信した第1の画像データと該第1の画像データとともに前記画像データを構成する前記第2の画像データを前記有色記録剤と前記透明記録剤とを用いて画像形成する画像形成ステップと
を有することを特徴とする画像形成システムの制御方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−201085(P2012−201085A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70246(P2011−70246)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】