説明

印刷装置

【課題】溶液吐出ヘッドを備えた印刷装置で有機ELパネルの発光層を全面にわたって、はみ出し無く形成すること。
【解決手段】溶液吐出ヘッドから有機発光材料インクを基板上に連続吐出してストライプ状に塗布するに当たり、基板位置計測手段とノズル穴位置計測手段を用い、更にノズル穴位置計測手段を用いて基板位置計測手段の位置を校正した上で基板とノズル穴の位置合せを行ってから塗布することによって、基板の塗布対象部に対してはみ出し無く正確にストライプ状に塗布することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELディスプレイにおける発光層に代表される機能膜を、塗布技術を利用して形成する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型、低消費電力、軽量のディスプレイへの要望が高まるなか、ディスプレイの機能膜を低コストの塗布方式によって製造する技術が注目を集めている。例えば、基板上に形成された隔壁で区切られた溝部に、凸版印刷法により有機発光材料インクを転写する方法が提案されている。しかしながら、凸版印刷法は版の伸縮によってディスプレイの周辺部で印刷の位置精度が確保できないという問題がある。これに対して、溶液吐出ヘッドを高精度に位置決め可能なステージに搭載して、高精度にノズル先端を隔壁間の溝部の上方へ近接させ塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これについて図16及び図17を用いて説明する。
【0004】
図16は、上述の従来の有機発光材料インクの塗布方法を示す図であり、図17は、従来の液滴吐出装置の基板とヘッドのアライメント方法を示す図である。
【0005】
図16において140は定盤、134は定盤140の上面中央に配置されたY軸ステージ、135a、135bはY軸ステージ134の短手方向両外側に配置されたガイドレールであり、Y軸ステージ134は不図示の第1可動部によってY軸方向に往復移動可能になっており、この第1可動部にX軸ステージ133が高精度に構成されている。すなわち、Y軸ステージ134は、X軸ステージ133を副走査方向に往復移動させることが可能であると共に、該X軸ステージ133を高精度で位置決め可能でもある。なお、X軸ステージ133の下面には、上記ガイドレール135a、135bにその上方から被さり、該レール135a、135bに沿って摺動可能な略コの字形のガイド部材が設けられている。これにより、第1可動部によって副走査方向に移動させられるX軸ステージ133は、ガイドレール135a、135bによって確実にガイドされる。
【0006】
X軸ステージ133は、X軸方向(主走査方向)に往復移動可能な不図示の第2可動部を備えており、この第2可動部には、Z軸回りに回転可能なθ軸ステージ132が固定されている。また、θステージ132の上面にはチャック131が固定されている。さらに、チャック131は不図示のポンプにチューブを介して繋がれており、ポンプが空気を吸引すると、チャック131の上に基板120が該チャック131に吸着保持される。
【0007】
以上の構成によって、ガラス基板120を主走査方向、及び、副走査方向に高精度で位置決め可能であり、かつ、Z軸回りの角度補正も可能である。また、X軸ステージ133の第2可動部にはヘッドアライメントカメラ101が取り付けられている。よって、ヘッドアライメントカメラ101の撮像位置は、第2可動部自体が主走査方向に移動すると、これに伴って同方向に移動する。一方、θ軸ステージ132がZ軸回りに回転しても、これに伴って移動することはない。
【0008】
更に、定盤140上には、支柱142a、142bが主走査方向に対向して固定されている。各々の支柱142a、142bの上端には、相手方の支柱に向けて延在するブロック状のブリッジ141a、141bが固定され、両ブリッジ141a、141bの端面同士は、ヘッドステージ130を挟んで対向している。このヘッドステージ130は、Z軸回りに回転可能な不図示の第3可動部を備えており、この第3可動部にヘッド110が固定されている。更に、ブリッジ141a、141bとは、補強用のステー103によって互いに連結されており、このステー103には基板アライメントカメラ102が取り付けられている。以上の構成によって、ヘッド110のZ軸回りの角度補正が可能である。
【0009】
図16に示す液滴吐出装置のアライメント手順について、図17を参照しながら説明する。
【0010】
図17は、図16に示すヘッド110、ガラス基板120、ヘッドアライメントカメラ101、および基板アライメントカメラ102の相対関係を模式的に示す拡大図である。ここで、ヘッド110の底面(フェイス面)にはヘッドアライメントマーク111a、111bが設けられている。また、ガラス基板120の上面には基板アライメントマーク121a、121bが設けられている。
【0011】
アライメントを行う際は、まず、ヘッドアライメントカメラ101をヘッドアライメントマーク111aの下に移動させ、ヘッドアライメントマーク111aの位置を読み込む。同様に、ヘッドアライメントマーク111bの下にヘッドアライメントカメラ101を移動させ、ヘッドアライメントマーク111bの位置を読み込む。次に、ヘッドアライメントマーク111a、111bの位置からヘッド110の傾きを算出し、その角度だけヘッド110を回転させて傾きを補正する。補正後にヘッドアライメントマーク111a、111bの位置を再度読み込み、補正度のヘッド110の傾きおよび位置を記憶しておく。その後、基板アライメントカメラ102の下に基板アライメントマーク121aを移動させ、基板アライメントマーク121aの位置を読み込む。同時に、基板アライメントマーク121bを基板アライメントカメラ102の下に移動させて、基板アライメントマーク121bの位置を読み込む。
【0012】
次に、基板アライメントマーク121a、121bの位置からガラス基板120の傾きを算出し、その角度だけガラス基板120を回転させて傾きを補正する。補正後に基板アライメントマーク121a、121bの位置を再度読み込み、ガラス基板120の傾きおよび位置を記憶しておく。最後に、補正後のヘッド110およびガラス基板120の位置から、両者の相対的位置関係を把握し、描画開始位置を決定する。
【0013】
以上のように、高精度な位置決めが可能なステージを有する液滴吐出装置を備えると共に、描画開始前にアライメントを実行することによって、描画精度の向上を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−114506号公報(第2頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前述の方法で有機ELディスプレイのような大面積の基板に機能材料溶液を塗布する場合には、以下のような問題を生じることになる。
【0016】
すなわち、基板アライメントカメラ102を支持する、支柱142、ブリッジ141、ステー103の熱膨張による伸縮、およびヘッドアライメントカメラ101を取り付けてあるX軸ステージ133の第2可動部とチャック131との相対位置の熱膨張による変動によって、高精度な位置決めが可能なステージを用いているにも関わらず、基板とヘッドを正確にアライメントできなくなる。
【0017】
その結果、基板の必要な位置へ機能材料溶液を塗布出来ないと言う問題が生じる。
【0018】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、液滴吐出ヘッドを用いて機能材料溶液を塗布する場合において、大面積の基板に対しても、基材全面にわたって正確な塗布を行うことが可能な印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明の印刷装置は、基板に向けてノズル穴より機能材料溶液を吐出する溶液吐出ヘッドと、前記基板を保持するための保持手段とが対向して配置され、前記溶液吐出ヘッドと前記保持手段によって保持された前記基板とを相対移動させながら前記溶液吐出ヘッドから前記基板に向けて前記機能材料溶液を吐出する印刷装置において、前記基板の位置を計測する基板位置計測手段と、前記ノズル穴の位置を計測するノズル穴位置計測手段を備え、更に前記ノズル穴位置計測手段に、前記ノズル穴の位置計測の基準となる基準マークを備え、前記基板位置計測手段の位置を前記基準マークで校正できるように構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、より好ましくは、前記保持手段の材質が石で構成されており、前記ノズル穴位置計測手段が、前記保持手段に締結されていることが望ましい。また、より好ましくは、前記基板位置計測手段と前記ノズル穴位置計測手段に、画像認識機能を有するカメラを用い、更に前記基準マークとしてガラス板上に形成したマークを用い、前記マークを基準にノズル位置を計測し、前記マーク位置を基準に前記基板位置計測手段の位置校正を行うことが望ましい。
【0021】
また、より好ましくは、前記マークが十字の中央に丸穴を開けた形状であることが望ましい。更により好ましくは、前記ノズル基準位置計測手段に備えた基準位置マークを用いた前記基板位置計測手段の位置校正処理を、印刷直前に実施すると良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の印刷装置によれば、有機ELディスプレイのような大面積の基板に機能材料溶液を必要な場所にのみ塗布する場合においても、確実に必要な場所のみ正確に塗布することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の印刷装置を示す図
【図2】本発明の実施の形態の印刷装置のステージ部分の拡大図
【図3】本発明の実施の形態の印刷装置の基準マーク基板を示す図
【図4】本発明の実施の形態の印刷装置の基板アライメントカメラの位置校正方法を説明する図
【図5】本発明の実施の形態の印刷装置の基板アライメントカメラの位置校正時のカメラ画像を示す図
【図6】本発明の実施の形態の印刷装置のノズルアライメントカメラの構成を示す図
【図7】本発明の実施の形態の印刷装置のノズルアライメントカメラのカメラ画像を示す図
【図8】本発明の実施の形態の印刷装置のノズルアライメント方法を示す図
【図9】本発明の実施の形態の印刷装置の基板アライメント方法を示す図
【図10】本発明の実施の形態の印刷装置の基板アライメント時のカメラ画像を示す図
【図11】本発明の実施の形態で作成した有機ELディスプレイの構造を示す図
【図12】本発明の実施の形態で作成した有機ELディスプレイの隔壁の配置を示す図
【図13】本発明の実施の形態で作成した有機ELディスプレイの発光層の形成段階を示す図
【図14】本発明の実施の形態の印刷装置の複数ノズルを有するインク吐出ヘッドを上下反対向けにして示した図
【図15】本発明の実施の形態の印刷装置の複数ノズルを有するインク吐出ヘッドを用いて有機ELディスプレイの発光層を塗布する様子を示す図
【図16】従来の液滴吐出装置の構成を示す図
【図17】従来の液滴吐出装置の基板とヘッドのアライメント方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
なお、本実施の形態では、機能材料溶液として有機発光材料を溶剤に溶解した有機発光材料インクを用いて有機ELディスプレイの発光層を形成する取組みを行った。
【0026】
まず、本実施の形態で作製した有機ELディスプレイの構造について説明する。
【0027】
図11は本発明の実施の形態で作製した有機ELディスプレイの構造を示す図である。
【0028】
図11(a)は、有機ELディスプレイの平面図であり、図11(b)は図11(a)におけるA−A断面図である。
【0029】
図11において、1は基板、2は基板の上に形成した第1電極である。本実施の形態では基板1には厚さ0.7mmのガラス板を用い、第1電極2の材料としてはITOを用いてフォトリソグラフィー法によってパターニングした。3は第1電極2の上に形成した隔壁、4は隔壁3により形作られた溝部に形成した赤色(R)有機発光層、5は緑色(G)有機発光層、6は青色(B)有機発光層で発光層の厚さは70nm程度とした。隔壁3の材料としては、パターニング後に有機発光材料インクに対して撥液性を発現し、接触角が50deg以上となるようにフッ素を含有させた感光性樹脂材料を用いてフォトリソグラフィー法によってパターニングした。7は有機発光層4、5、6の上に形成された第2電極である。第2電極の材料としてはAlを用い、マスク越しの真空蒸着法によってパターニングした。
【0030】
次に、本実施の形態に係る有機ELディスプレイの有機発光層の形成方法を、図12及び図13を用いて説明する。
【0031】
図12は、本実施の形態で作製した有機ELディスプレイの隔壁の配置を示す図であり、図13は、本実施の形態で作製した発光層の形成段階を示す図である。
【0032】
なお、本実施の形態では、図12に示すように、基材1の上に隔壁3を形成した。隔壁の幅は40μm、隔壁間の溝幅を60μm、隔壁の高さは1μmとした。11は隔壁3と同時に形成した基板アライメントマークで、基板の四隅に配置されている。
【0033】
まず、隔壁間の溝へ赤色(R)有機発光材料インクを塗布して乾燥させて図13(a)の赤色(R)有機発光層4を形成し、その後、緑色(G)有機発光材料インクを塗布して乾燥させて、図13(b)の緑色(G)有機発光層5を形成する。次に、青色(B)有機発光材料インクを塗布して乾燥させて、図13(c)の青色(B)有機発光層6を形成した。
【0034】
次いで、上記の有機発光材料インクの塗布方法を、図1〜図5、図7、図14、図15を参照して説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態の印刷装置を示す図であり、図2は本発明の実施の形態の印刷装置のステージ部分の拡大図である。また、図3は、本実施の形態の印刷装置の基準マーク基板を示す図であり、図4は、本実施の形態の印刷装置の基板アライメントカメラの位置校正方法を説明する図である。
【0036】
また、図5は、本実施の形態の印刷装置の基板アライメントの位置校正時のカメラ画像を示す図であり、図7は、本実施の形態の印刷装置のノズルアライメントカメラのカメラ画像を示す図である。更に、図14は、本実施の形態の印刷装置の複数ノズルを有するインク吐出ヘッドを上下反対向けにして示した図であり、図15は、本実施の形態の印刷装置で有機ELディスプレイの発光層を複数ノズルを有するインク吐出ヘッドを用いて塗布する様子を示す図である。
【0037】
図1、図2、図3、図14において、10は定盤、22は定盤10の上に取り付けられたY軸ガイド(1)、23は定盤10の上に取り付けられたY軸ガイド(2)、21はY軸ガイド(1)とY軸ガイド(2)に沿って摺動可能なY軸ステージであり、28のY軸リニアモータ(1)、29のY軸リニアモータ(2)、及び、不図示のY軸位置計測手段とY軸制御手段によって位置決め可能に構成されている。
【0038】
20はY軸ステージ21上に構成されたX軸ガイド、24はX軸ガイド20に沿って摺動可能なX軸ステージであり、25のX軸リニアモータおよび不図示のX軸位置計測手段とX軸制御手段によって位置決め可能に構成されている。26はX軸ステージ上に取り付けられZ軸回りに回転可能なθステージで不図示の回転位置計測手段とθ軸制御手段によって位置決めできるように構成されている。
【0039】
27はθステージ26の上に取り付けられた基板チャックで1は基板チャック27で吸着保持された基板、40はノズルアライメント部であり、ノズルアライメント部40は基板チャック27に固定されたノズルアライメント支持部プレート47の上に取り付けられており、41のノズルアライメントカメラ、44の基準マークホルダーに支持された基準マーク基板43、46のミラーホルダーに支持されたミラー45により構成されており、基準マーク基板43は、平行平面ガラス基板の上面に、中央に丸窓の開いた十字形状のクロムパターンをフォトリソグラフィー法で形成して作製した。
【0040】
ノズルアライメントカメラ41には不図示の同軸照明が取り付けられており、ミラー45によって光軸を90度上向きに折り曲げられて基準マーク基板43を通して基準マーク基板43上に形成された基準マーク42を観察することができるように構成されている。また、ノズルアライメントカメラ41には不図示の画像認識手段が接続されている。また基板チャック27は熱膨張率が小さくて熱容量の大きい石を用いて製作した。こうすることで基板に塗布した有機発光材料インクの蒸発熱による基板および基板チャックの温度変化を抑えることが出来るため、基板自体の熱膨張を抑え、更に基板チャックの熱膨張を抑えられるためにノズルアライメントカメラの位置ズレを抑えることが出来る。こうすることで大面積の基板に対して塗布する場合においても位置ズレを抑えることが出来る。
【0041】
34は定盤10の上に固定された基板アライメントカメラ支持フレーム、30は34の基板アライメントカメラ支持フレームに取り付けられた基板アライメントカメラ(1)、31は30と同様に取り付けられた基板アライメントカメラ(2)、32は30と同様に取り付けられた基板アライメントカメラ(3)、33は30と同様に取り付けられた基板アライメントカメラ(4)で、4つのアライメントカメラは4つの基板アライメントマーク11の上方に配置されている。
【0042】
基板アライメントカメラ(1)、(2)、(3)、(4)のそれぞれには、不図示の画像認識装置が接続されている。56は定盤10上に固定されたZ軸支持フレーム、51はZ軸支持フレームに取り付けられたZ軸ベース、52はZ軸ベース51の上に取り付けられたZ軸ガイド、55はZ軸ガイド52によって摺動可能に支持されたZ軸ステージで、Z軸駆動モータ54および不図示の制御手段によって位置決め可能に構成されている。
【0043】
85は複数ノズルを有するインク吐出ヘッドであり、図14に示すようにマニホールド81の下に複数のノズル穴80を有するノズルプレート82を取り付け、反対側の上部にはインク供給配管83を接続して、インク供給配管83から有機発光材料インクを不図示のインク供給ポンプで供給することでノズル穴80から有機発光材料インクを吐出できるようになっている。複数のノズル穴は穴の直径を30μm、穴間のピッチを300μmとした。更に、X軸ステージ、Y軸ステージ、θ軸ステージ、Z軸ステージ、ノズルアライメントカメラ用の不図示の画像認識手段、基板アライメントカメラ用の不図示の画像認識手段およびインク供給ポンプの動きを制御するメイン制御手段により構成されている。
【0044】
次に、上記のように構成された本実施の形態の印刷装置の動作について説明する。
【0045】
まず、ストライプ状の隔壁3および基板アライメントマーク11を形成した基板1を、基板チャック27の上に吸着固定する。次に、基板アライメントカメラの位置校正動作を行う。基板アライメントカメラの位置校正動作は、図4(a)に示すように、まず、θ軸ステージを原点に位置決めした状態で、X軸ステージ24、Y軸ステージ21を移動させて基準マーク42を基板アライメントカメラ(1)30の下へ移動させる。その状態で基板アライメントカメラ(1)に接続された不図示の画像認識手段で画面内の基準マークの中心位置を測定する。
【0046】
その際の基板アライメントカメラ(1)30の画像を図5(a)に示す。図5(a)の61の一点鎖線のX方向座標がX方向の基準位置、60の一点鎖線のY方向座標がY方向の基準位置、一点鎖線60と61の交点62が基板アライメント目標位置である。
【0047】
次に、X軸ステージ24を基板アライメントマーク11のX方向ピッチXpだけプラス方向に移動させて、基準マーク42を基板アライメントカメラ(2)31の下へ移動させる。その状態で基板アライメントカメラ(2)に接続された不図示の画像認識手段で画面内の基準マークの中心位置を測定する。その際の基板アライメントカメラ(2)31の画像を図5(b)に示す。図5(b)も図5(a)と同様に、61の一点鎖線のX方向座標をX方向の基準位置、60の一点鎖線のY方向座標をY方向の基準位置、一点鎖線60と61の交点62が基板アライメント目標位置である。
【0048】
更に、X軸ステージ24を基板アライメントマーク11のX方向ピッチXpだけマイナス方向に移動させ、Y軸ステージ21を基板アライメントマーク11のY方向ピッチYpだけマイナス方向に移動させて基準マーク42を基板アライメントカメラ(3)32の下へ移動させる。その状態で基板アライメントカメラ(3)に接続された不図示の画像認識手段で画面内の基準マークの中心位置を測定する。その際の基板アライメントカメラ(3)32の画像を図5(c)に示す。図5(c)も図5(a)と同様に61の一点鎖線のX方向座標をX方向の基準位置、60の一点鎖線のY方向座標をY方向の基準位置、一点鎖線60と61の交点62が基板アライメント目標位置である。更にX軸ステージ24を基板アライメントマーク11のX方向ピッチXpだけプラス方向に移動させて基準マーク42を基板アライメントカメラ(4)33の下へ移動させる。
【0049】
その状態で基板アライメントカメラ(4)に接続された不図示の画像認識手段で画面内の基準マークの中心位置を測定する。その際の基板アライメントカメラ(4)33の画像を図5(d)に示す。図5(d)も図5(a)と同様に61の一点鎖線のX方向座標をX方向の基準位置、60の一点鎖線のY方向座標をY方向の基準位置、一点鎖線60と61の交点62が基板アライメント目標位置である。
【0050】
次に、ノズルアライメント動作について図6、図8を参照しながら説明する。
【0051】
図6は、本実施の形態の印刷装置のノズルアライメントカメラの構成を示す図であり、図8は、本発明の実施の形態の印刷装置のノズルアライメント方法を示す図である。
【0052】
図8(a)に示すように、θ軸ステージ26を原点に位置決めした状態で、X軸ステージ24およびY軸ステージ21を移動させて基準マーク基板43上に形成された基準マーク42を、複数ノズルを有するインク吐出ヘッド85の下面に取り付けられたノズルプレート82に設けられたノズル穴80の中の一番端のノズル穴の下へ位置決めし、Z軸ステージを下降させてノズルプレートの下面と基準マーク基板の上面を微少間隙を開けて対向させる。その際のノズルアライメントカメラの画像を図7(a)に示す。
【0053】
図7(a)に示すように画面内に、基準マーク42と基準マークの中央の丸窓を通してノズル穴80が観察される。観察された画像を不図示の画像認識手段で処理を行い基準マーク42の丸穴の中央と、ノズル穴80の中央との位置ズレを検出し、X軸ステージ24とY軸ステージ21を微少量移動させることで図7(b)に示すように丸窓の中央とノズル穴の中央が一致するように調節し、その時のX軸ステージの座標とY軸ステージの座標をノズルアライメント時ステージ座標(1)として記憶する。同様に図8(b)に示すようにノズル穴80の中の反対側の端のノズル穴の下へ位置決めして同様に丸窓の中央とノズル穴の中央が一致する時のX軸ステージの座標とY軸ステージの座標をノズルアライメント時ステージ座標(2)として記憶する。
【0054】
次に、基板アライメント動作について、図9、図10を参照しながら説明する。
【0055】
図9は本実施の形態の印刷装置の基板アライメント方法を示す図であり、図10は本実施の形態の印刷装置の基板アライメント時のカメラ画像を示す図である。
【0056】
図9に示すようにX軸ステージ24とY軸ステージ21を移動させて、基板1上の4隅に形成された基板アライメントマーク11を基板アライメントカメラ(1)30、基板アライメントカメラ(2)31、基板アライメントカメラ(3)32、基板アライメントカメラ(4)33の下へ位置決めする。その状態での各アライメントカメラの画像を図10(a)に示す。この状態で基板アライメントカメラに接続された不図示の画像認識装置で各カメラ画像内の基板アライメントマークの位置を計測し、各カメラ画像内の基板アライメント目標位置62とのズレを算出し、その後X軸ステージ24、Y軸ステージ21、θ軸ステージ26を微少に移動させて図10(b)に示すように基板アライメントマーク11の中央と、基板アライメント目標位置62とのズレが最小になるように調整する。
【0057】
以上のようにして基準マークを用いて、基板アライメントカメラの位置校正を行い、更に同じ基準マークを用いてノズルアライメントを行った後に基板をアライメントを行い、ノズルアライメント時に記憶したノズルアライメント時ステージ座標(1)およびノズルアライメント時ステージ座標(2)、ノズルプレートのノズル穴80の配置データ、基板1上の基板アライメントマーク11の配置データおよび隔壁3の配置データを元に、メイン制御手段によって、ノズル中央と隔壁の溝中央の位置が一致するように塗布位置を算出し、図15に示すように複数ノズルを有するインク吐出ヘッドから不図示のインク供給ポンプを動作させながら基板を走査することにより有機発光材料インクを隔壁に乗り上がることなく精度良く塗布することが出来た。
【0058】
本実施の形態では、基材として大きさが370mm×470mm、板厚が0.7mmのガラス板を用い、隔壁として撥液性の隔壁材料を用い、隔壁の幅は40μm、隔壁間の溝幅を60μm、隔壁の高さは1μmとした。ノズルプレートについては、溶液吐出ノズルについては穴の直径を30μm、ピッチを300μm、穴数を1300穴とした。有機発光材料インクについては粘度100mPa・sのものを用いた。
【0059】
なお、本実施例では、溶液吐出ノズルを平面に穴を開けただけのものを示したが、この形状に限定するものではなく、突き出し形状のノズルであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の有機ELディスプレイの製造装置は、画素ピッチが微細な有機ELディスプレイの発光層を形成できるだけでなく、隔壁の溝内に中間層等を形成する場合においても適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 基板
10 定盤
11 基板アライメントマーク
14 有機発光材料インク
20 X軸ガイド
21 Y軸ステージ
22 Y軸ガイド(1)
23 Y軸ガイド(2)
24 X軸ステージ
25 X軸リニアモータ
26 θ軸ステージ
27 基板チャック
28 Y軸リニアモータ(1)
29 Y軸リニアモータ(2)
30 基板アライメントカメラ(1)
31 基板アライメントカメラ(2)
32 基板アライメントカメラ(3)
33 基板アライメントカメラ(4)
34 基板アライメントカメラ支持フレーム
40 ノズルアライメント部
41 ノズルアライメントカメラ
42 基準マーク
43 基準マーク基板
44 基準マーク基板ホルダー
45 ミラー
46 ミラーホルダー
47 ノズルアライメント支持部プレート
51 Z軸ベース
52 Z軸ガイド
53 ボールネジ
54 Z軸駆動モータ
55 Z軸ステージ
56 Z軸支持フレーム
80 ノズル穴
81 マニホールド
82 ノズルプレート
83 インク供給配管
85 複数ノズルを有するインク吐出ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル穴を有しかつノズル穴から機能材料溶液を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドと対向して配置され基板を保持する保持手段と、を備える印刷装置において、
前記吐出ヘッドと前記保持手段とは相対的に移動可能とする移動手段と、前記基板の位置を計測する基板位置計測手段と、前記ノズル穴の位置を計測するノズル穴位置計測手段とを更に備え、
前記ノズル穴位置計測手段に、前記ノズル穴の位置計測の基準となる基準マークを有し、前記基板位置計測手段の位置を前記基準マークで校正すること
を特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記保持手段の材質は石で構成されており、
前記ノズル穴位置計測手段は、前記保持手段に締結されている、請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記基板位置計測手段と前記ノズル穴位置計測手段とに、画像認識機能を有するカメラを備え、基板上に形成したマークを基準マークとして、
前記マークを基準にノズル位置を計測し、前記マーク位置を基準に前記基板位置計測手段の位置校正を行う、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記基準マークは、十字の中央に丸穴を開けた形状である、請求項1〜3の何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記基準位置マークを用いた前記基板位置計測手段の位置校正処理を、印刷直前に実施する、請求項1〜4の何れか一項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−249195(P2011−249195A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122545(P2010−122545)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】