説明

反応性キラル化合物

【課題】種々の光学的及び電気光学的応用に使用可能なコレステリックフィルムを生産するのに最適な新規の反応性キラル化合物を提供する。
【解決手段】次式IIIa:


で表わされる反応性キラル化合物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合したモノトロピック(単変性)又はエナンチオトロピック(互変性)の液晶状物質と低分子量の液晶状物質を含むアニソトロピック(異方性)ゲルの形態での液晶状物質に関する。該重合した物質a)は該低分子量液晶状物質b)中において永久配向ネットワークを形成し、この重合物質a)はキラル重合可能化合物の(共)重合によって収得可能であることを特徴とする。
【0002】
さらに本発明は、基板として光透過性の2個の対向するプレートからなり、該プレートには、互いに対向する両面上に光透過性材料の電極が設けられており、配向層及びシーリング材料を担う該電極はプレートの両端の間に設けられており、プレートと例えばリング状の形のシーリング材との間のスペース中に液晶状物質が導入されているディスプレイセルに関する。
【0003】
具体的には、重合した単変性又は互変性の液晶状物質及び低分子量の液晶状物質を含む異方性ゲルの形態をなし、該重合した物質a)が該低分子量の液晶状物質b)中において永久配向ネットワークを形成する液晶状物質であって、前記重合した物質a)がキラルな重合可能化合物の(共)重合によって得ることができることを特徴とする前記液晶状物質に関する。
【0004】
また、具体的には、前記物質a)が次式(1)−(4):
【0005】
【化1】

【0006】
[但し上記式(1)−(4)において
0はCH3、C65、F、Cl、CN又はCF3であり、
1及びQ2は各々独立にCO又は単結合であり、
nは0、1又は2であり、
mは1−10の間の整数であり、そして
oは1,2又は3である。]
から選ばれる構成要素を含む重合した液晶状物質に関する。
【0007】
また具体的には、前記物質a)が次式I:
4−(P)u−X−(MG1q−C*−(MG2t−R5
[但し上式において
4はCH2=CW−COO−、
【0008】
【化2】

【0009】
HWN−、CH2=CH−、CH2=CH−O−又はHS−CH2−(CH2m−COO−であって、WはH、Cl又は炭素原子数が1−5のアルキルを表わし、mは1−7であり、
Pは炭素原子数が12以下のアルキレンであり、1個以上の非隣接CH2基が−O−によって置き換えられることが可能でもあり、Xは−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は単結合であり、R5は置換されていない、又はハロゲンによってモノ−又はポリ−置換された炭素原子数15以下のアルキルラジカルであり、これらのラジカル中の1個以上のCH2基が、いずれの場合も互いに独立に−O−、−S−、−CO−、−OCO−、−CO−O−又は−O−CO−O−によって、各酸素原子が互いに直接に連結しないような状態で置き換えられることが可能でもあり、あるいは別にR5はR4−(P)u−X−に定義した各意味のうちの1つを有し、
MG1及びMG2は各々独立に芳香族環システム又は場合によっては橋架け基によって連結された2個以上の環システムを含むメソゲン性基であり、
*は光学的に活性な基であり、
q及びtは各々独立に0又は1であり、そして
uは0又は1である。]
で示されるキラルな重合可能化合物から得ることができる液晶状物質に関する。
【0010】
また具体的には、前記物質a)が次式Ia:
【0011】
【化3】

【0012】
[但し上式において
RはH、CH3又はClであり、
Aは−O−、−CO−O−、−O−CO−又は単結合であり、
aは0又は1であり、
*は上記の式(2)及び(4)から選ばれる光学的活性基であり、
q及びtは前掲の意味を有し、
sは1−6の間の整数であり、そして
n及びmは0−20の間の整数であり、
MG1及びMG2は次の各式:
【0013】
【化4】

【0014】
(但し上式中において、XはCN又はFであり、かつ、rは0、1又は2である。)から選ばれる。]
で示されるビスアクリレート又はビスビニルエーテルから得ることができる液晶状物質に関する。
【0015】
また具体的には、前記物質a)が式(III)−(V):
【0016】
【化5】

【0017】
[但し上記式において、R0、R4、R5、P、X、o、Q1、Q2、n、u及びmは前掲意味と同じであり、
3及びA4は各々独立に、場合によってフッ素化された1,4−フェニレンでその中の1又は2ケのCH基がNによって置き換えられていてもよく、もしくは1,4−シクロヘキシレンでその中の1又は2ケの非隣接のCH2基がOで置き換えられていてもよく、
2は−CO−O−、−O−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−CH2CH2−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−又は単結合であり、
Pは0、1又は2である。]から選ばれる少くとも1つのキラル化合物の(共)重合によって得ることができる液晶状物質に関する。
【0018】
また具体的には、前記物質a)が、R0がCH3又はC65である少くとも1つのキラルなメソーゲン性化合物の重合によって得ることができる液晶状物質に関する。
【0019】
また具体的には、基板として光透過性の2個の対向するプレートからなり、該プレートには互いに対向する両面上に光透過性材料でなる電極が設けられており、偏光層及びシーリング材料を担っている該電極はプレートの両端間に設けられており、プレートとシーリング材料の間のスペース中に液晶状物質が導入されているディスプレイセルであって、該液晶状物質が以上で示した少くとも2つの異なる液晶状物質で構成されることを特徴とする前記ディスプレイセルに関する。
【0020】
また具体的には、次式VI:
4−(P)u−MG1−(P)u−R4 VI
[但し上式において、R4、P及びuは前掲の意味と同じであり、MG1はメソーゲン性基である。]
で表わされる少くとも1つの二官能反応性アキラル化合物及び上記の式I、好ましくは上記の式III−Vから選ばれる少くとも1つのモノ反応性キラル化合物とからなる共重合可能な前駆物質に関する。
【0021】
また具体的には、式IIIの少くとも1つの二官能反応性アキラル化合物、及びR4が次式:
【0022】
【化6】

【0023】
[この式において、WはH、Cl又は炭素原子数が1−5のアルキルである。]で表わされるアクリレートラジカルである式Iの少くとも1つの反応性キラル化合物とからなる上記の共重合可能な物質に関する。
【0024】
また具体的には、式IIIの少くとも1つの化合物、及びR4が式CH2=CH−O−のビニルエーテルである式Iの少くとも1つの化合物とからなる上記の共重合可能な物質に関する。
【0025】
また具体的には、次式I1:
【0026】
【化7】

【0027】
[但し上式において、W、P、X、MG1、MG2、q、u及びtは上記の式Iと同じ意味を有し、そして
*は光学的活性基であって上記の構成要素である式(2)及び式(4)から選ばれる。]
で表わされる二官能反応性キラル化合物に関する。
【0028】
また具体的には、式I2
CH2=CH−O−PX−MG1−C*−(MG2t−R5 I2
においてP、X、MG1、MG2、C*、R5及びtが上記の式Iと同じ意味を有する、式I2で表わされるキラル重合可能化合物に関する。
【0029】
また具体的には、次の工程:
a)上記の共重合可能前駆物質又は式I1又は式I2の二官能反応性キラル化合物を、UV開始剤及び場合によって添加物の存在下でモノマーの状態において処方し、
b)この処方された前駆物質をその場でUV重合させるからなるステップによって得ることのできるコレステリックフイルムに関する。
【0030】
また具体的には、式I3
4−P−X−MG1−Q1OCH*(CH3)CH2OQ25 I3
において、P、X、MG1、Q1、Q2及びR5が上記の式(2)および式Iの意味と同じであり、そしてR4がCH2=C−COO−又はCH2=CH−Oである、式I3で表わされる反応性キラル化合物に関する。
【0031】
また具体的には、式I3においてQ1及びQ2が単結合である上記の反応性キラル化合物に関する。
【0032】
また具体的には、式I3のR5が炭素原子数15以下のアルキル又はアルケニルである上記のモノ官能反応性化合物に関する。
【0033】
また具体的には、式IIIa
【0034】
【化8】

【0035】
において、R4、P、X、A3、Z2、u及びnが上記の式IIIと同じ意味を有し、pは1又は2、そしてmは2−10の間の整数である、式IIIaのモノ官能反応性化合物に関する。
【0036】
また具体的には、式IIIaのnが1であり、かつ、mが2である上記のモノ官能反応性化合物に関する。
【背景技術】
【0037】
ヨーロッパ特許出願EP451905には、重合した液晶状物質と低分子量のネマティック液晶状物質からなるアニソトロピックゲル形態の液晶状物質が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明の目的は、種々の光学的及び電気光学的応用に使用することのできるコレステリックフィルムを生産するのに最適な、新規な反応性キラル化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記課題を解決するための本発明によれば、次式IIIa:
【0040】
【化101】

【0041】
[但し上式において、
4はCH2=CW−COO−、
【0042】
【化102】

【0043】
HWN−、CH2=CH−、CH2=CH−O−又はHS−CH2−(CH2m−COO−であって、WはH、Cl又は炭素原子数が1〜5のアルキルを表わし、mは1〜7であり、
Pは炭素原子数2〜10のアルキレンであり、1個以上の非隣接CH2基が−O−によって置き換えられることが可能でもあり、
Xは−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は単結合であり、
3は場合によってフッ素化された1,4−フェニレンでその中の1つ又は2つのCH基がNによって置き換えられていてもよく、もしくは1,4−シクロヘキシレンでその中の1つ又は2つの非隣接のCH2基がOで置き換えられていてもよく、
2は−CO−O−、−O−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−CH2CH2−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−又は単結合であり、
uは1であり、
pは2であり、
nは1又は2であり、
mは2〜10の間の整数である。]
で表される反応性キラル化合物が提供される。
【0044】
また、前記Z2は−COO−、−OCO−又は単結合であり、前記A3は場合によってフッ素化された1,4−フェニレンである化合物が好ましい。
【0045】
また、前記R4はアクリレート基、メタアクリレート基、エポキシ基またはビニルエーテル基であり、前記Xは−O−、−COO−又は−OCO−である化合物が好ましい。
【0046】
また、前記R0はCH3又はC65である化合物が好ましい。
【0047】
また、次式IIIa3、IIIa4、IIIa5、IIIa7、IIIa8、IIIa10、IIIa11、IIIa14、IIIa15、IIIa18、IIIa19、IIIa20、IIIa21、IIIa22及びIIIa23:
【0048】
【化103】

【0049】
【化104】

【0050】
【化105】

【0051】
【化106】

【0052】
【化107】

【0053】
【化108】

【0054】
から選ばれる化合物が好ましい。
【0055】
また、a)上記の化合物を、UV開始剤および場合によって添加物の存在下でモノマーの状態において処方する工程と、
b)この処方された前駆物質をその場でUV重合させる工程と
を含む方法により製造されるコレステリックフィルムが提供される。
【0056】
また、上記の化合物を用いて製造される光学的コレステリックフィルムが提供される。
【0057】
また、上記の化合物を用いて製造される電気光学的コレステリックフィルムが提供される。
【0058】
また、上記の化合物を用いて製造される装飾的使用のための着色フィルムが提供される。
【0059】
また、上記の化合物を用いて製造される温度指示計が提供される。
【発明の効果】
【0060】
本発明によって得られる液晶状物質中では重合物質a)が低分子量液晶状物質b)中において永久配向ネットワークを形成しており、この低分子量液晶状物質はコレステリック相を呈することが特徴である。この物質b)が物質a)のネットワークの周囲に連続相を形成することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである:(a)物質a)がキラル(メタ−)アクリレート,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物及びチオレン化合物から選ばれる液晶状物質。
(b)物質a)が以下の式(1)−(4)から選ばれる構成要素を含む重合した液晶状物質である液晶状物質。
【0062】
【化9】

【0063】
上記式中、R0はCH3、C65、F、Cl、CN又はCF3であり、
1及びQ2は各々独立にCO又は単結合であり、
nは0、1又は2であり、
mは1−10の間の整数であり、そして
oは1、2又は3である。
(c)物質b)が式(I)の少くとも1つの化合物を含む液晶状物質。
【0064】
1−(A1−Z1o−R2 (I)
上式中、R1及びR2は各々独立に炭素原子数が16以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル又はアルケニルであって、1又は2個の非隣接CH2基が−O−、−CO−O−、−O−CO−又は−O−CO−O−によって置き換えられていてよく、R1及びR2のうちの1個はF、Cl、CF3、OCF3、OCF2H又はCNであってもよく、R1は好ましくは炭素原子数1−7を有するアルキル又はアルコキシであり、そしてR2は好ましくはCNである。
1及びA2は各々独立に、場合によってフッ素化された1,4−フエニレンでその中の1又は2ケのCH基がNによって置き換えられていてもよく、もしくは1,4−シクロヘキシレンでその中の1又は2ケの非隣接のCH2基がOで置き換えられていてもよい。そして好ましくは場合によっては1〜2ケのF原子によって置換された1,4−フエニレン又は1,4−シクロヘキシレンである。
1及びZ2は各々独立に−CO−O−、−O−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−CH2CH2−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−又は単結合であり、好ましくは−CO−O−又は単結合である。
oは1、2又は3である。
(d)物質a)が下記式Iのキラルであって重合可能な化合物から得ることができることを特徴とする前記式(1)−(4)に記載の液晶状物質であり、
4−(P)u−X−(MG1q−C*−(MG2t−R5
[上式中、
4はCH2=CW−COO−、
【0065】
【化10】

【0066】
HWN−、CH2=CH−、HWC−C−、CH2=CH−O−又はHS−CH2−(CH2m−COO−であって、これらの式中WはH、Cl又は炭素原子数1−5のアルキルであり、そしてmは1−7である。
Pは炭素原子数12以下のアルキレンであり、それは又、1個以上の非隣接CH2基が−O−によって置き換えられることもできる。
Xは−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は単結合であり、R5は未置換、ハロゲンによってモノー又はポリー置換されている炭素原子数15以下のアルキルラジカルであり、それは又これらのラジカル中の1個以上のCH2基がいずれも互いに独立に−O−、−S−、−CO−、−OCO−、−CO−O−又は−O−CO−O−によって、各酸素原子が互いに直接に連結しないような状態で置き換えられることもでき、あるいは別にR5はR4−(P)u−X−に定義した各意味のうちの1つを有する。
MG1及びMG2は各々独立に芳香族環システム又は場合によっては橋架けとなる基によって連結された2個以上の環システムを含むメソーゲン性基である。C*は光学的活性基であり、好ましくは前記構成要素(1)−(4)から選ばれる。
q及びtは各々独立に0又は1であり、そしてuは0又は1である。]
好ましくは物質a)が下記式Iaのビスアクリレート又はビスビニルエーテルから得ることができる液晶状物質。
【0067】
【化11】

【0068】
上記式中、
RはH、CH3又はClであり、
Aは−O−、−CO−O−、−O−CO−又は単結合であり、
*は前記構成要素(2)及び(4)から選ばれる光学的活性基であり、q及びtは前に掲げた意味を有し、
aは0又は1であり、
sは1−6の間の整数であり、そして
n及びmは0−20の間の整数であり、
MG1及びMG2は下記式:
【0069】
【化12】

【0070】
から選ばれるものであり、式中XはCN又はFであり、そしてrは0、1又は2である。
(e)物質a)が下記式III−Vから選ばれる少くとも1つのキラル化合物の(共)重合によって得ることができる液晶状物質であり、
【0071】
【化13】

【0072】
[上記各式中、
0、R4、R5、P、X、o、Q1、Q2、n、u及びmは前掲の意味を有し、
3はR1に対して掲げた意味を有し、
3及びA4はA1に対して掲げた意味を有し、
2はZ1に対して掲げた意味を有し、そして
pは0、1又は2である。]
特に好ましくは、物質a)が、R0がCH3又はC65である少くとも1つのキラルメソーゲン化合物の重合によって得ることができる液晶状物質。
(f)物質a)が前記ゲル中において1−50%重量%の量、特に2−10%の量で存在する液晶状物質。
【0073】
本発明はさらに、基板として光透過性の2個の対向するプレートを含み、該プレートには互いに対向する両面上に光透過性材料の電極が設けられ、配向層及びシーリング材料を担う該電極はプレートの両端の間に設けられており、プレートとシーリング材料の間の隙間中に液晶状物質が導入されているディスプレイセルに関し、その際この液晶状物質は(a)〜(f)に示したような少くとも2つの異なる液晶状物質で構成される。
【0074】
本発明の別の観点は、下記式VIの少くとも1つの二官能反応性アキラル化合物、
4−(P)u−MG1−X−(P)u−R4 VI
[但し上式中、R4、X、P及びuは前掲の意味を有し、そしてMG1はメソーゲン性基である。]
及び式I、好ましくは式III−Vから選ばれる少くとも1つのモノ反応性キラル化合物を含む共重合可能な前駆物質であり、好ましくは、式VIの少くとも1つの二官能反応性アキラル化合物と、R4が次式:
【0075】
【化14】

【0076】
[式中,Wは(d)に掲げた意味を有する。]
のアクリレートラジカルである式Iの少くとも1つの反応性キラル化合物とからなる物質であり、又は式VIの少くとも1つの化合物及びR4が式CH2=CH−O−のビニルエーテルラジカルである式Iの少くとも1つの化合物を含む物質である。
【0077】
好ましい実施態様は、式Iの少くとも1つの反応性キラル化合物が式Iの構成要素を表わし、特にnが1、R0がCH3であり、かつmが2である共重合可能物質である。
【0078】
本発明はさらに、式(I1):
【0079】
【化15】

【0080】
[上式中、W、P、X、MG1、MG2、a、q、u及びtは前掲の意味を有し、C*は光学的活性基であって構成要素(2)及び(4)から選ばれる。]の二官能反応性キラル化合物に関し、さらに下記式(I2):
CH2=CH−O−PX−MG1−C*−(MG2t−R5 (I2)
[この式中、P、X、MG1、MG2、C*及びtは前掲の意味を有する。]のキラル重合可能化合物にも関する。
【0081】
本発明のさらに他の観点は、次のa),b)からなるステップによって得ることのできるコレステリックフィルムである。
【0082】
a)前記式VIで表わされる少くとも1つの二官能反応性アキラル化合物及び式I、好ましくは式III−Vから選ばれる少くとも1つのモノ反応性キラル化合物とからなる共重合可能な前駆物質;
式IIIの少くとも1つの二官能反応性アキラル化合物及びR4が前記[化14]で表わされるアクリレートラジカルである式Iの少くとも1つの反応性キラル化合物とからなる共重合可能な物質;
式IIIの少くとも1つの化合物およびR4が式CH2=CH−O−のビニルエーテルである式Iの少くとも1つの化合物とからなる共重合可能な物質;
または式I1又はI2の二官能反応性キラル化合物を、UV開始剤及び場合によって添加物の存在下でモノマーの状態において処方し、
b)次いでこの処方された前駆物質をその場でUV重合させる。
【0083】
本発明はさらに、下記式I3の反応性キラル化合物にも関する。
【0084】
4−P−X−MG1−Q1CH*(CH3)CH2OQ25 I3
上記中、P、X、MG1、Q1、Q2及びR5は前掲の意味を有し、R4は次式
【0085】
【化16】

【0086】
又はCH2=CH−Oであり、好ましくはQ1及びQ2は単結合であり、特に、R5が炭素原子数15以下のアルキル又はアルケニルであり、R3及びmが前掲の意味を有するものが好ましい。
【0087】
さらに、本発明は次式IIIa:
【0088】
【化17】

【0089】
で表わされる反応性キラル化合物に関し上式中、R4、P、X、A3、Z2、u及びnは式IIIに対して掲げた意味を有し、pは1又は2であり、そしてmは2−10の間の整数であり、特にmが2であってnが1であるものが好ましい。
【0090】
式IIIaの好ましい化合物は、以下の式IIIa1−IIIa23:
【0091】
【化18】

【0092】
【化19】

【0093】
【化20】

【0094】
で表わされる各化合物であり、上式中、Wは前掲の意味を有し、kは2−10の間の整数であり、そしてフエニレン環は場合によってフッ素により置換される。
【0095】
式(1)ないし(4)から選ばれる構成要素からなる同様な低分子量メソーゲン性化合物は公知であるか、又は公知の方法、例えば、
1)GB1556994,GB1592161及びGB1603076
2)GB1603076
3)EP0168043
4)WO94/00532の各方法に類似して製造できる。
【0096】
式Iは、下記式Ia−Ijの2個の環を有するキラル反応性液晶状化合物を包含し、
4−P−X−Phe′−Z−Phe−C*−R5 Ia
4−P−X−Phe′−Z−Pyd−C*−R5 Ib
4−P−X−Phe′−Z−Pyr−C*−R5 Ic
4−P−X−Phe′−C*−Phe′−R5 Id
4−P−X−Phe′−C*−Pyd−R5 Ie
4−P−X−Phe′−C*−Pyr−R5 If
4−P−X−Nap′−Z−Phe′−C*−R5 Ig
4−P−X−Nap−Z−Pyd−C*−R5 Ih
4−P−X−Nap−Z−Pyd−C*−R5 Ii
R−P−X−Nap−C*−Phe−R5 Ij
さらに下記式Ik−Iyの3個の環を有する化合物を包含する。
【0097】
4−P−X−Phe′−Z−Phe″−Phe″−C*−R5 Ik
4−P−X−Phe′−Z−Pyd−Phe″−C*−R5 Il
4−P−X−Phe′−Z−Pyr−Phe″−C*−R5 Im
4−P−X−Phe′−Z−Phe″−Pyd−C*−R5 In
4−P−X−Phe′−Z−Phe″−Pyr−C*−R5 Io
4−P−X−Phe−C*−Phe″−Phe″−R5 Ip
4−P−X−Phe′−C*−Pyd−Phe″−R5 Iq
4−P−X−Phe′−C*−Pyr−Z−Phe″−R5 Ir
4−P−X−Phe′−C*−Phe″−Pyd−R5 Is
4−P−X−Phe′−C*−Phe′−Z−Pyr−R5 It
4−P−X−Nap′−Z−Phe″−Phe″−C*−R5 Iu
4−P−X−Nap′−C*−Pyr−Phe″−R5 Iv
4−P−X−Nap′−C*−Pyr−Phe′−R5 Iw
4−P−X−Nap′−C*−Phe″−Pyd′−R5 Ix
4−P−X−Nap′−Z−Phe′−Pyr−C*−R5 Iy
但し、上記式中、R4、R5、P、X及びC*は前掲の意味を有し、Pydはピリミジン−2,5ジイルを表わし、そしてPyrはピリジン−2,5−ジイルを表わし、Zは−CO−O−、−O−CO−、−CH2O−、−OCH2−、CH2CH2−、−C=C−又は単結合を表わす。
【0098】
式Ia−Iyの化合物において、Phe′は下記式:
【0099】
【化21】

【0100】
で示される1,4−フエニレン基を表わし、式中、X3−X6は各々独立にH、ハロゲン又はメチルを表わす。
【0101】
式Ia−Iyの化合物において、Phe″は置換されていないか、CN又はハロゲンによってモノー又はポリー置換された1,4−フエニレン基であり、そして式Ig−Ij及びIu−Iyにおいて、Nap′は下記式
【0102】
【化22】

【0103】
で示されるナフタリン−2,6−ジイル基であり、このものは置換されていないものか、又はX7−X12のうちの4個以下は各々独立にハロゲンであって他のXはHを示すものを表わす。
【0104】
式Ia−Itの化合物が好ましく、特に好ましいものは式Ia−If、Ik−Itの化合物であり、さらに好ましいものは式Ia、Id、Ik、Ip及びIqの化合物である。
【0105】
式Ia−Iyの化合物において、R4はCH2=CW−COO−、CH2=CH−O−、下記式:
【0106】
【化23】

【0107】
HWM−、HS−CH2−(CH2m−COO−であり、式中WはH、Cl又は炭素原子数1−5のアルキルであり、mは1−7である。
【0108】
好ましくは、R4はビニルエーテル基、アクリレート基、アミノ基又はメルカプト基であり、特に好ましいR4は以下の意味を有するものである。
【0109】
【化24】

【0110】
上記式中、(alkyl)はC1−C3のアルキルを示し、mは1−5である。
【0111】
式Ia−Iyの化合物において、スペーサー型基Pは炭素原子数24以下のアルキレンであり、1個以上の非隣接CH2基がOによって置き換えられることもできる。
【0112】
Pがアルキレンの場合は、Pは直鎖状又は分岐鎖状であってよい。特に好ましいPは、エチレン、プロピレン、ブチレン、1−メチル−プロピレン、2−メチル−プロピレン、ペンチレン、1−メチル−ブチレン、2−メチル−ブチレン、ヘキシレン、2−エチル−ブチレン、1,3−ジメチル−ブチレン、ヘプチレン、1−メチルヘキシレン、2−メチルヘキシレン、3−メチルヘキシレン、4−メチルヘキシレン、5−メチルヘキシレン、6−メチルヘキシレン、オクチレン、3−エチル−ヘキシレン、ノニレン、1−メチル−オクチレン、2−メチルオクチレン、7−メチルオクチレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、2−メチルウンデシレン、2,7,5−トリメチル−ノニレン又は3−プロピル−ノニレンである。
【0113】
Pがモノー又はポリオキサアルキレンの場合、Pは直鎖状又は分岐鎖状であってよい。特にPは、1−オキサ−エチレン、1−オキサ−プロピレン、2−オキサプロピレン、1−オキサ−ブチレン、2−オキサブチレン、1,3−ジオキサブチレン、1−オキサ−ペンチレン、2−オキサ−ペンチレン、3−オキサ−ペンチレン、2−オキサ−3−メチル−ブチレン、1−オキサヘキシレン、2−オキサ−ヘキシレン、3−オキサ−ヘキシレン、1,3−ジオキサ−ヘキシレン、1,4−ジオキサ−ヘキシレン、1,5−ジオキサ−ヘキシレン、1−オキサ−ヘプチレン、2−オキサ−ヘプチレン、1,3−ジオキサ−ヘプチレン、1,4−ジオキサ−ヘプチレン、1,5−ジオキサ−ヘプチレン、1,6−ジオキサ−ヘプチレン、1,3,5−トリオキサ−ヘプチレン、1−オキサ−オクチレン、2−オキサ−オクチレン、3−オキサ−オクチレン、4−オキサ−オクチレン、1,3−ジオキサ−オクチレン、1,4−ジオキサ−ノニレン、1,4−ジオキサ−デシレン、1,4−ジオキサ−ウンデシレン及び1,3,5−トリオキサ−ドデシレンである。
【0114】
Xは−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は単結合であり、特に−O−、−COO−、−OCO−又は単結合である。Xが−O−、−S−、又は−OCO−である場合、Qの隣接CH2−基は−O−によって置き換えられない。Zは好ましくは−COO−、−OCO−、−CH2CH2−又は単結合であり、特に−CO−O−又は単結合である。
【0115】
5は未置換、ハロゲンによってモノー又はポリ置換された炭素原子数15以下のアルキルラジカルであり得、それは又、これらのラジカル中の1つ以上のCH2 基が、各々の場合互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−O−COO−によって、置き換えられることもできる。このとき、酸素原子は直接互いに連結しないような状態で置換される。
【0116】
1、R2、R3及び/又はR5が各独立にアルキルラジカル又はアルコキシラジカルであるときは、直鎖状又は分岐鎖状であり得る。好ましくは、それは炭素原子数2、3、4、5、6、7又は8を有する直鎖状であり、したがって、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ又はオクトキシ、そしてさらに、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシ又はテトラデコキシが好ましい。
【0117】
1、R2、R3及びR5が互いに独立にオキサアルキルであるときは、直鎖状の2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−オキサブチル(=エトキシメチル)又は3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−又は4−オキサペンチル、2−、3−、4−又は5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−又は6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−オキサデシルが好ましい。
【0118】
好ましいキラルラジカル−C*−R5は、互いに独立に、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、2−オクチル、特に、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタニルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレリルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキシペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシである。
【0119】
5は、前述のR4−P−Xに対して掲げた意味のうちの1つをもつこともできる。R5が場合によって置換されたアルキルラジカルであるときは、R4は好ましくはビニル又はアクリレート基であり、一方、R5がR4−P−Xであるときは、R4に対して前掲したすべての意味を有するR4が好ましい。
【0120】
式Iの化合物は一部新規であり、一部は例えばEP0399279又はUSP5,252,251から公知である。しかし、これらの特許は強誘電性液晶状ポリマーに関するものであり、重合した物質がネットワークを形成する物質とか二官能反応性キラル化合物について、さらにはキラルビニルエーテル誘導体についての示唆は何ら含まれていないのである。
【0121】
G.Galliらは、MaKromol.Chem.187,289−296(1986)に、サーモクロミックな挙動を示さない、3−メチルヘキシル−1,6−ジオールに基くキラルビスアクリレートについて記載している。
【0122】
*が次式:
【0123】
【化25】

【0124】
の基である式Iの化合物は、次のスキーム1又は2に従ってつくられる:
スキーム1
【0125】
【化26】

【0126】
スキーム2
【0127】
【化27】

【0128】
*が次式:
【0129】
【化28】

【0130】
の基である式Iの化合物は次のスキーム3及び4に従ってつくられる
スキーム3
【0131】
【化29】

【0132】
スキーム4
【0133】
【化30】

【0134】
本発明の二官能反応性キラル化合物は、対応するジオールを適当なアクリレート又はビニルエーテルによりエーテル化又はエステル化することによってつくられる:
【0135】
【化31】

【0136】
上記対応するジオールは次のスキーム5−8に従ってつくられる:
スキーム5
【0137】
【化32】

【0138】
スキーム6
【0139】
【化33】

【0140】
スキーム7
【0141】
【化34】

【0142】
スキーム8
【0143】
【化35】

【0144】
好ましい化合物の製造を次のスキーム9−13に示す。式中xおよびyはそれぞれ独立に2−10、好ましくは6である。
スキーム9
【0145】
【化36】

【0146】
スキーム10
【0147】
【化37】

【0148】
スキーム11
【0149】
【化38】

【0150】
スキーム12
【0151】
【化39】

【0152】
スキーム13
【0153】
【化40】

【0154】
本発明のディスプレイは、光透過性の2個の対向するプレート、(以後基板と称する)、を備え、そして、対向する両面上に電極をもち、該電極は例えばIn23SnO2からつくられている。この電極上には、例えば、ラビングされたポリイミド又はポリアミドの配向層が設けられており、この手段によって本発明の液晶状物質が両電極間に均一に配向し得る。セルは、このようにして形成され、かつ、すき間を例えばリング形状の部材によって密閉する電極を備えた基板をアレンジし、そしてこの基板とリングの間のスペースを本発明による液晶状物質で満たすことによってつくられる。実際には、上記リングの代りにエポキシ化合物の接着層を使用することができる。
【0155】
前記液晶状物質は、各電極層を設けた2個の基板間に毛管現象的に満たすことができ、次いで引続き、例えばUV光による照射によって硬化される。このとき、光開始剤、例えばIrgacure(商標)の存在下で行われるのが好ましい。これとは別の、可能ではあるが魅力の少ない技術は、ある基板上にLC物質をコーティングし、続いて硬化させることからなる。このフィルムは剥すことができ、電極層が設けられた2個の基板間に配置される。また、前記LC物質を表面に使用した基板を電極層とすることもでき、したがって第2の電極層、場合によっては第2の基板、をコーティング後硬化させたフィルム上に設けることによって電気光学的システムを得ることができる。
【0156】
本発明の電気光学的システムは光反射的又は光透過的に操作可能であり、したがって少くとも1つの電極及び、もし存在するなら、附随する基板は透明である。両システムとも慣習的に偏光子(Polarizer)を含んでおらず、その結果非常に高い光伝達が得られ、したがって、例えばTNまたはSTNセルのような従来の液晶システムと比較して、これらシステムの生産に際して顕著な技術簡素化となる。
【0157】
一般に、正の誘電異方性を有するネマチック液晶が望ましい。その訳は、これらの混合物は、そのような混合物の薄いフィルムをホメオトロピック配向[オン(on)状態の場(field)]に、したがって澄んだ透明状態に見えるように、電気的に切替えることが必要な装置に使用されるからである。一方、オフ(off)状態はセル内の配向によって決定され、通常均一(ホモジニアス)であり、これはフォーカルコニック(稍散乱)かグランジャン(着色)のいずれかの状態を与える。電圧の印加とその除去の方法によって、オフ状態の場で、着色したグランジャン状態か又は僅かに散乱するフォーカルコニック状態に切替えることができる。さらに、少量の液晶を加えることによって各々の状態を安定化することができ、一方の状態が着色(グランジャン組織)しているか又は本質的に透明かあるいは僅か光散乱(フォーカルコニック)している双安定装置を得ることができる。黒い背景に対して置かれた時は、着色と黒との間のコントラストがはっきりと見られる。
【0158】
色は、次式に従ってコレステリックらせん構造のピッチ長さによって変る:
max=n0Psinθ
式中、n0はLCの平均屈折率、Pはピッチの長さ、θは視角を表わす。
【0159】
キラルなドーピング剤をネマチックホストに加えた時得られるピッチ長さは、LC分子の偏光能に依存する。LC分子の偏光性が大きければ大きい程得られるピッチ長さは狭く(より高いねじれ力)、したがって非極性ホストを使用することは、所与の色をつくりだすのに必要なキラルドーピング剤の量を著しく変え得る。このキラル成分の“混合物”(ブレンド)の他の応用は、それらを反応性液晶(例えば式IIIの液晶)と混合し、薄いフィルムにコーティングでき、かつ、着色した薄いポリマーフィルムを得るためにUV光によって重合できるキラル着色反応性LC混合物をつくることである。それは、前述のように、非反応性キラルLCを20−30%含有しており、それ故ポリマー含量は70−80%である。
【0160】
セルの厚さが増加するにつれて立上がり時間(rise time)が増加するが、減衰時間(decay time)は一定に留まる。この減衰時間はネットワーク分子の量が増加するにつれて急速に減少する。それ故、考慮されるのはセルの厚さではなく、ネットワーク分子間の平均距離である。このことが、通常のネマチックセルにおける減衰時間(数百ミリセコンド)と比較しての短い減衰時間を説明している。さらに特別に、数ミリセコンドの減衰時間を得ることができる。
【0161】
前記新規なキラル反応性液晶状化合物及び組成物は、種々の異なる光学的及び電気光学的応用に使用できるコレステリックフィルムをつくるのに非常に適している。
【0162】
さらに、それらは装飾的使用のための着色フィルムとして有用である。それらのうちのあるものはサーモクロミズム(熱変色性)を示すので、温度指示計として使用でき、特に重合の程度によって可逆又は不可逆温度計として使うことができる。
【実施例】
【0163】
本発明に従う液晶状物質の製造についての以下の例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0164】
メソーゲン相を次のように略号をつける:
K 結晶状
N ネマチック
S スメチック
BP ブルーフェーズ(青色相)
* キラルネマチック(コレステリック)
HTP らせんねじり力
[例1]
式(1):
【0165】
【化41】

【0166】
で表わされるキラル反応性液晶状化合物を、スキーム1に示した一連の反応ステップを経由して製造した。スキーム1のステップ6において、ステップ5で得られた1モルのフエノール及び1.1モルの塩化ベンゾイルを1リットルのジクロルメタン中に溶解させる。1.1モルのトリエチルアミンを加え、この混合物を室温で3時間攪拌する、K50.8(SA−9)1。
【0167】
類似的に以下の化合物が得られる:
【0168】
【化42】

【0169】
* n 相転移
[℃]
−OC*H(CH3)−CH2−OCH3 4 K341
−OC*H(CH3)−CH2−OCH3 2 K731
−OC*H(CH3)−C613 6 K55(SA−4)1
−OC*H(CH3)−C613 4 K301
−OC*H(CH3)−C613 2 K651
−OC*H(CH3)−C25 6 K67(SA−8)1
−OC*H(CH3)−C25 4 K43.51
−OC*H(CH3)−C25 2 K641
−CH2*H(CH3)−C25 6 K35(SA−8)1
−CH2*H(CH3)−C25 5 K38(SA+1.5)1
−CH2*H(CH3)−C25 4 K441
−CH2*H(CH3)−C25 3 K481
−CH2*H(CH3)−C25 2 K511
【0170】
【化43】

【0171】
* n 相転移
[℃]
−OC*H(CH3)−CH2−OCH3
−CH2*H(CH3)−C25 6 K52(SA31.8N*37.6)1
−CH2*H(CH3)−C25
−CH2*H(CH3)−C25
【0172】
【化44】

【0173】
* n 相転移
[℃]
−CH2*H(CH3)−C25 6 K81(S65)N*131BP131.31
−CH2*H(CH3)−C25 5 K74(S59.3)N*138.8BP139.2
−CH2*H(CH3)−C25 4 K89.5(S56.5)N*135.3BP135.91
−CH2*H(CH3)−C25 3 K87(S60)N*142.8BP143.2
−CH2*H(CH3)−C25 2 K86(S55.7)N*125.2BP125.71
−OC*H(CH3)−CH2OCH3
【0174】
【化45】

【0175】
(スキーム8によって製造)
n 相転移
[℃]


6 K83SA108.8N*139.5BP139.81
【0176】
【化46】

【0177】
(スキーム9−12により製造)
【0178】
【化47】

【0179】
【化48】

【0180】
(スキーム13により製造)
K67.4SA92N*1351
[例2]
式(2):
【0181】
【化49】

【0182】
で表わされるキラル反応性液晶状化合物を、スキーム7で示した一連の反応ステップを経由して製造した。このものは次のような相シーケンスK311.を示した。
【0183】
DCMはジクロロメタンである。
【0184】
スキーム7のステップ2において、2リットルのジクロロメタン中、1モルの(S)−(−)−1,2プロパンジオールと2.1モルのアクリロイルオキシヘキシルオキシベンゾイルクロリドを含む溶液に、2.2モルのトリエチルアミンを滴下しながら加えた。これを室温で4時間攪拌した。水性処理とクロマトグラフィにより化合物(2)が得られた。
【0185】
【化50】

【0186】
[例3]
次式(3):
【0187】
【化51】

【0188】
で表わされる反応性液晶状化合物(3)をスキーム5及び6に示した一連の反応ステップ経由で製造した。
【0189】
スキーム6のステップ2において、スキーム6のステップ1で得られたエステルと2リットルのジクロロメタン中の2.1モルのアクリロイルクロリドからなる溶液中に、2.2モルのトリエチルアミンを滴下して加えた。この反応混合物を室温で4時間攪拌した。水性処理とクロマトグラフィにより化合物(3)が得られた。
【0190】
次式(3.1):
【0191】
【化52】

【0192】
で表わされる化合物が類似的につくられる。
【0193】
[例4]
次式:
【0194】
【化53】

【0195】
からなる混合物を調整した。
【0196】
この混合物はK40Ch59Iを示し、580nmの最高反射波長で選択的に反射する。このものに0.467重量%の光開始剤(略号KB1)を添加し、得られた混合物を0.5重量%の16μmスペーサーとともにラビングされたPVAの上に直接配向させ、充分な重合を達成するよう光重合させた。これにより580nmの選択的最高反射をするキラル重合性ネットワークが得られた。
【0197】
[例5]
次式:
【0198】
【化54】

【0199】
からなる混合物を調整した。この混合物はK16Ch62Iを示し、580nmで選択的に反射する。このものを光重合前に、例4に示したように配向させた。
【0200】
[例6]
次式:
【0201】
【化55】

【0202】
及び光開始剤0.5%からなる混合物を調整した。このものはK52−68Ch90−5Iを示し、緑色を呈する。
【0203】
[例7]
次式:
【0204】
【化56】

【0205】
からなる混合物を調整した。緑色が現われる。
【0206】
[例8]
次式:
【0207】
【化57】

【0208】
からなる混合物を調整した。
【0209】
K45N*61I λmax=530nm
室温まで過冷却し、3日間にわたってゆっくりと結晶化させた。
【0210】
[例9]
次式:
【0211】
【化58】

【0212】
からなる混合物を調整した。
【0213】
K38−68(N*60)I λmax=540nm
室温に過冷却し、3日間にわたってゆっくりと結晶化させた。
【0214】
[例10]
次式:
【0215】
【化59】

【0216】
からなる混合物を調整した。
【0217】
K41N*89I λmax=580nm
0℃に過冷却し、一夜にかけて結晶化させた。
【0218】
[例11]
次式(3):
【0219】
【化60】

【0220】
で表わされるキラル反応性液晶状化合物をスキーム10における一連の反応ステップ経由で製造した。スキーム10のステップ4Cにおいて、ステップ3Cで得られた1モルの4−(2−メチルブチル)フエニル4−オクタ−7エチルベンゾエートと1.1モルの3−クロロ過安息香酸とを1リットルのジクロロメタン中に溶解し、室温で3時間攪拌した。得られた製品はK29(N*26.3)Iを示し、HTP=4.56であった。
【0221】
類似的に以下の化合物:
【0222】
【化61】

【0223】
が得られる。
【0224】
[例12]
次式:
【0225】
【化62】

【0226】
からなる混合物を調整した。
【0227】
K50−55(N*44.7)I λmax=530nm
室温に過冷却し、3日間にわたってゆっくりと結晶化させた。
【0228】
[例13]
次式:
【0229】
【化63】

【0230】
からなる混合物を調整した。
【0231】
K42−75N*85−89I λmax=530−540nm
室温に過冷却し、一夜かけて結晶化させた。
【0232】
[例14]
次式:
【0233】
【化64】

【0234】
からなる混合物を調整した。
【0235】
K49N*135.4I λmax=620nm
室温に過冷却し、一夜にわたって結晶化させた。
【0236】
[例15]
次式:
【0237】
【化65】

【0238】
からなる混合物を調整した。
【0239】
K21N*53I λmax=515nm
室温に過冷却したが結晶化しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0240】
本発明の新規なキラル反応性液晶状化合物及び組成物は、コレステリックフィルムをつくるのに非常に適しており、種々の異なる光学的及び電気光学的応用に使用することができる。又、前記液晶状化合物及び組成物は装飾的に使用するための着色フィルムとして有用であり、そのうちのあるものはサーモクロミズムを示すので温度指示計として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式IIIa:
【化1】

[但し上式において、
4はCH2=CW−COO−、
【化2】

HWN−、CH2=CH−、CH2=CH−O−又はHS−CH2−(CH2m−COO−であって、WはH、Cl又は炭素原子数が1〜5のアルキルを表わし、mは1〜7であり、
Pは炭素原子数2〜10のアルキレンであり、1個以上の非隣接CH2基が−O−によって置き換えられることが可能でもあり、
Xは−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は単結合であり、
3は場合によってフッ素化された1,4−フェニレンでその中の1つ又は2つのCH基がNによって置き換えられていてもよく、もしくは1,4−シクロヘキシレンでその中の1つ又は2つの非隣接のCH2基がOで置き換えられていてもよく、
2は−CO−O−、−O−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−CH2CH2−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−又は単結合であり、
uは1であり、
pは2であり、
nは1又は2であり、
mは2〜10の間の整数である。]
で表される反応性キラル化合物。
【請求項2】
前記Z2は−COO−、−OCO−又は単結合であり、前記A3は場合によってフッ素化された1,4−フェニレンである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記R4はアクリレート基、メタアクリレート基、エポキシ基またはビニルエーテル基であり、前記Xは−O−、−COO−又は−OCO−である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
前記R0はCH3又はC65である請求項1乃至3何れか記載の化合物。
【請求項5】
次式IIIa3、IIIa4、IIIa5、IIIa7、IIIa8、IIIa10、IIIa11、IIIa14、IIIa15、IIIa18、IIIa19、IIIa20、IIIa21、IIIa22及びIIIa23:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

から選ばれる請求項1乃至4何れか記載の化合物。
【請求項6】
a)請求項1乃至5何れか記載の化合物を、UV開始剤および場合によって添加物の存在下でモノマーの状態において処方する工程と、
b)この処方された前駆物質をその場でUV重合させる工程と
を含む方法により製造されるコレステリックフィルム。
【請求項7】
請求項1乃至5何れか記載の化合物を用いて製造される光学的コレステリックフィルム。
【請求項8】
請求項1乃至5何れか記載の化合物を用いて製造される電気光学的コレステリックフィルム。
【請求項9】
請求項1乃至5何れか記載の化合物を用いて製造される装飾的使用のための着色フィルム。
【請求項10】
請求項1乃至5何れか記載の化合物を用いて製造される温度指示計。

【公開番号】特開2007−112809(P2007−112809A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343879(P2006−343879)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【分割の表示】特願平7−35170の分割
【原出願日】平成7年2月23日(1995.2.23)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】