説明

収容カセット

【課題】 環状フレームの撓み及び粘着テープの撓みを抑制可能な収容カセットを提供することである。
【解決手段】 ウエーハを収容する開口部を有する環状フレームと、該環状フレームの開口部を覆うように外周部が該環状フレームに貼着された粘着テープと、該粘着テープの中央に貼着されたウエーハとから構成されるウエーハユニットを収容する収容カセットであって、該収容カセットは、上壁と、底壁と、該上壁と底壁とを連結する一対の側壁と、ウエーハユニットが出し入れされる開口部とを有し、該一対の側壁の内側には該環状フレームを支える複数対のガイドレールが該上壁から該底壁に渡り所定の間隔を持って形成されており、該各ガイドレールは、該環状フレームのうち該粘着テープが貼着されていない外側を支える外側支持部と、該粘着テープが貼着された内側を支える内側支持部とを備え、該内側支持部は該外側支持部に対して該粘着テープの厚さに相当する段差分低く形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着テープを介して環状フレームで支持されたウエーハを収容する収容カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画された領域に形成された半導体ウエーハは、粘着テープを介して環状フレームに配設され、切削ブレードを備えたダイシング装置、レーザビームを照射するレーザ加工装置等の加工装置によって個々のデバイスへと分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
粘着テープを介して環状フレームで支持された半導体ウエーハは、収容カセット内に複数枚収容されて加工装置にセッティングされ、収容カセットから環状フレームで支持された半導体ウエーハが搬出されて個々のデバイスに分割された後、収容カセット内に再び戻される(例えば、特開平8−80989号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−80989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年のウエーハの大口径化(300mm、450mm)に伴って、収容カセット内に収容された環状フレームの中央部分は下に撓むとともに粘着テープも下に撓むため、収容カセットの側壁の内側に上下方向に多数対形成されたガイドレールの間隔を広げなければならず、収容カセットに収容されるウエーハの枚数が減少し、生産性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環状フレームの撓み及び粘着テープの撓みを抑制可能な収容カセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、ウエーハを収容する開口部を有する環状フレームと、該環状フレームの開口部を覆うように外周部が該環状フレームに貼着された粘着テープと、該粘着テープの中央に貼着されたウエーハとから構成されるウエーハユニットを収容する収容カセットであって、該収容カセットは、上壁と、底壁と、該上壁と底壁とを連結する一対の側壁と、ウエーハユニットが出し入れされる開口部とを有し、該一対の側壁の内側には該環状フレームを支える複数対のガイドレールが該上壁から該底壁に渡り所定の間隔を持って形成されており、該各ガイドレールは、該環状フレームのうち該粘着テープが貼着されていない外側を支える外側支持部と、該粘着テープが貼着された内側を支える内側支持部とを備え、該内側支持部は該外側支持部に対して該粘着テープの厚さに相当する段差分低く形成されていることを特徴とする収容カセットが提供される。
【0008】
好ましくは、内側支持部は環状フレームの内側に貼着された粘着テープを支える領域まで延在して形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ウエーハユニットを支持する領域が増大して中央部の撓みを抑制できるとともに、粘着テープが貼着された内側を支える内側支持部と粘着テープが貼着されていない外側を支える外側支持部との間に粘着テープの厚さに相当する段差が形成されているので、ウエーハユニットを収容カセットから搬出・搬入する際に粘着テープに余り負荷がかからず、環状フレームから粘着テープが剥離することを回避できる。
【0010】
また、内側支持部は環状フレームの内側に貼着された粘着テープを支える領域まで延在して形成されることにより、粘着テープの撓みを更に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の収容カセットを適用可能な切削装置の概略斜視図である。
【図2】ウエーハユニットの斜視図である。
【図3】収容カセット及び搬出入手段近辺の背面側斜視図である。
【図4】収容カセットと収容カセット内に収容されるウエーハユニットを示す斜視図である。
【図5】収容カセット内に収容されたウエーハユニットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は半導体ウエーハをダイシングして個々のチップ(デバイス)に分割することのできる本発明実施形態に係る収容カセットを適用可能な切削装置2の外観を示している。
【0013】
切削装置2の前面側には、オペレータが加工条件等の装置に対する指示を入力するための操作手段4が設けられている。装置上部には、オペレータに対する案内画面や後述する撮像手段によって撮像された画像が表示されるCRT等の表示手段6が設けられている。
【0014】
図2に示すように、ダイシング対象のウエーハWの表面においては、第1のストリートS1と第2ストリートS2とが直交して形成されており、第1のストリートS1と第2のストリートS2とによって区画されて多数のデバイスDがウエーハW上に形成されている。
【0015】
ウエーハWは粘着テープであるダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTの外周縁部は環状フレームFに貼着されてウエーハユニット11が構成される。これにより、ウエーハWはダイシングテープTを介してフレームFに支持された状態となり、図1に示した収容カセット8中にウエーハユニット11が複数枚(例えば25枚)収容される。収容カセット8は上下動可能なカセットエレベータ9上に載置される。
【0016】
収容カセット8の後方には、収容カセット8から切削前のウエーハWを搬出するとともに、切削後のウエーハを収容カセット8に搬入する搬出入手段10が配設されている。収容カセット8と搬出入手段10との間には、搬出入対象のウエーハが一時的に載置される領域である仮置き領域12が設けられており、仮置き領域12には、ウエーハWを一定の位置に位置合わせする位置合わせ手段14が配設されている。
【0017】
仮置き領域12の近傍には、ウエーハユニット11のフレームFを吸着して搬送する旋回アームを有する搬送手段16が配設されており、仮置き領域12に搬出されたウエーハWは、搬送手段16により吸着されてチャックテーブル18上に搬送され、このチャックテーブル18に吸引されるとともに、複数の固定手段19によりフレームFが固定されることでチャックテーブル18上に保持される。
【0018】
チャックテーブル18は、回転可能且つX軸方向に往復動可能に構成されており、チャックテーブル18のX軸方向の移動経路の上方には、ウエーハWの切削すべきストリートを検出するアライメント手段20が配設されている。
【0019】
アライメント手段20は、ウエーハWの表面を撮像する撮像手段22を備えており、撮像により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の処理によって切削すべきストリートを検出することができる。撮像手段22によって取得された画像は、表示手段6に表示される。
【0020】
アライメント手段20の左側には、チャックテーブル18に保持されたウエーハWに対して切削加工を施す切削手段24が配設されている。切削手段24はアライメント手段20と一体的に構成されており、両者が連動してY軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0021】
切削手段24は、回転可能なスピンドル26の先端に切削ブレード28が装着されて構成され、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。切削ブレード28は撮像手段22のX軸方向の延長線上に位置している。
【0022】
図3を参照すると、収容カセット8及び搬出入手段10の周辺を背面側から見た斜視図が示されている。図4の拡大斜視図に示すように、収容カセット8は、底壁8aと、上壁8bと、底壁8a及び上壁8bを連結する一対の側壁8cとを有している。収容カセット8の前面側には開口13が形成されている。
【0023】
収容カセット8の側壁8cの内側には環状フレームFを支える複数対のガイドレール30が上壁8bから底壁8aに渡り所定の間隔をもって形成されている。図5に最もよく示されるように、各ガイドレール30は、環状フレームFのうちダイシングテープTが貼着されていない外側を支える外側支持部30aと、ダイシングテープTが貼着された内側を支える内側支持部30bとを有している。
【0024】
外側支持部30aと内側支持部30bとの間にはダイシングテープTの厚さに相当する段差32が形成されており、内側支持部30bはこの段差分外側支持部30aより低く形成されている。また、内側支持部30bの先端部にはR形状の面取り34が形成されている。
【0025】
図5を参照すると明らかなように、ガイドレール30の内側支持部30bは環状フレームFの内側に貼着されたダイシングテープTを支える領域まで延在して形成されている。
【0026】
ウエーハユニット11を収容カセット8に対して搬入又は搬出する際には、搬出入手段10でウエーハユニット11の環状フレームFを把持して、収容カセット8の開口13を介して環状フレームFが対向する一対のガイドレール30の外側支持部30aで支持されるように、ウエーハユニット11を収容カセット8に対して搬入又は搬出する。
【0027】
本実施形態のウエーハカセット8では、ガイドレール30の外側支持部30aで環状フレームFを支持し、内側支持部30bで環状フレームFに貼着されたダイシングテープTの外周部分を支持するので、ウエーハユニット11を支持する領域が増大して中央部の撓みを抑制できる。
【0028】
更に、ガイドレール30の外側支持部30aと内側支持部30bとの間にはダイシングテープTの厚さに相当する段差32が形成されており、内側支持部30bは外側支持部30aに対して段差分低く形成されているので、ウエーハカセット11を収容カセット8から搬出・搬入する際にダイシングテープTに余り負荷がかからず環状フレームFからダイシングテープTが剥離することを防止できる。
【0029】
また、内側支持部30bは環状フレームFの内側に貼着されたダイシングテープTを支える領域まで延在して形成されているので、ダイシングテープTの撓みを更に抑制することができる。
【符号の説明】
【0030】
W 半導体ウエーハ
F 環状フレーム
T ダイシングテープ(粘着テープ)
2 切削装置
8 収容カセット
11 ウエーハユニット
24 切削手段
28 切削ブレード
30 ガイドレール
30a 外側支持部
30b 内側支持部
32 段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハを収容する開口部を有する環状フレームと、該環状フレームの開口部を覆うように外周部が該環状フレームに貼着された粘着テープと、該粘着テープの中央に貼着されたウエーハとから構成されるウエーハユニットを収容する収容カセットであって、
該収容カセットは、上壁と、底壁と、該上壁と底壁とを連結する一対の側壁と、ウエーハユニットが出し入れされる開口部とを有し、
該一対の側壁の内側には該環状フレームを支える複数対のガイドレールが該上壁から該底壁に渡り所定の間隔を持って形成されており、
該各ガイドレールは、該環状フレームのうち該粘着テープが貼着されていない外側を支える外側支持部と、該粘着テープが貼着された内側を支える内側支持部とを備え、
該内側支持部は該外側支持部に対して該粘着テープの厚さに相当する段差分低く形成されていることを特徴とする収容カセット。
【請求項2】
該内側支持部は該環状フレームの内側に貼着された該粘着テープを支える領域まで延在して形成されている請求項1記載の収容カセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−192863(P2011−192863A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58668(P2010−58668)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】