説明

可変抵抗器

【課題】抵抗パターンの幅方向に沿って装置全体を薄型化しやすい可変抵抗器を提供すること。
【解決手段】操作部材7は軸受凹所7bに支軸17を嵌挿させた状態で捩りコイルばね9に弾性付勢されており、ハウジング1に回転可能に支持されている。スライダ8はハウジング1の内部にスライド移動可能に収納されており、このスライダ8に保持された摺動子11の湾曲弾性片11a,11bが、ハウジング1のパターン形成面2fに印刷形成されている抵抗パターン5と集電パターン6に弾接している。これら両パターン5,6は、略同等の大きさの帯状パターンとして一直線状に配設されている。操作部材7の駆動凸部7fはスライダ8の係合凹部8aと摺動可能に係合しており、操作部材7が回転操作されると、スライダ8がスライド移動して抵抗パターン5に対する摺動子11の接触位置が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダをスライド移動させることによって抵抗パターンに対する摺動子の接触位置を変化させるようにした可変抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にこの種の可変抵抗器においては、基板等のパターン形成面に抵抗パターンと集電パターンとが略平行な帯状パターンとして並設されており、これら両パターンに摺接する導電性の摺動子がスライダに保持されていると共に、このスライダが抵抗パターンの長手方向に沿ってスライド移動可能となっている(例えば、特許文献1参照)。そして、スライダに直接あるいは別の操作部材を介して操作力が付与されると、このスライダがスライド移動して抵抗パターンに対する摺動子の接触位置が変化するため、抵抗パターンから導出された外部接続端子と集電パターンから導出された外部接続端子との間の抵抗値が変化することとなる。これにより、スライダのスライド位置に応じた電気信号を出力させることができる。
【特許文献1】特許第3075703号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述したようにスライダをスライド移動させる従来の可変抵抗器では、パターン形成面に抵抗パターンと集電パターンとが略平行に配設されている関係上、パターン形成面には少なくとも両パターンの間隔と各パターンの幅を合算した値以上の幅寸法が必要となる。すなわち、前述した従来技術では、パターン形成面を幅狭に設計することが困難なため、この幅方向に沿った可変抵抗器全体の薄型化が図りにくいという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、抵抗パターンの幅方向に沿って装置全体を薄型化しやすい可変抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の可変抵抗器では、絶縁性基材のパターン形成面に設けられた抵抗パターンおよび集電パターンと、これら両パターンから導出された複数の外部接続端子と、前記パターン形成面に沿ってスライド移動可能なスライダと、このスライダに保持されて前記両パターンに摺接する導電性の摺動子とを備え、前記スライダのスライド移動に伴う前記摺動子と前記抵抗パターンの相対的な位置変化に応じた電気信号が出力される可変抵抗器であって、前記抵抗パターンが前記スライダのスライド移動方向に沿って帯状に形成されていると共に、この抵抗パターンを長手方向に延長した領域に前記集電パターンが形成されているという構成にした。
【0006】
このように構成された可変抵抗器は、帯状の抵抗パターンを長手方向に延長した領域に集電パターンが形成されているため、幅狭なパターン形成面に抵抗パターンと集電パターンを設けることができ、それゆえパターン形成面の幅方向(抵抗パターンの幅方向)に沿う可変抵抗器全体の厚さ寸法を大幅に低減することができる。
【0007】
上記の構成において、集電パターンが抵抗パターンと略同等の大きさの帯状に形成されていると、スライダのスライド移動方向に沿う可変抵抗器全体の長さ寸法も抑制できるため好ましい。
【0008】
上記の構成において、スライダに保持された摺動子が、スライダに固定されてパターン形成面と所定の間隔を存して対向する平板部と、この平板部からパターン形成面へ向けて互いに離れる方向に延出する一対の湾曲弾性片とを設けた金属薄板からなり、一方の湾曲弾性片を抵抗パターンに弾接させて他方の湾曲弾性片を集電パターンに弾接させていると、摺動子が単純でバランスの良い形状となり長寿命化を期待できる。
【0009】
上記の構成において、絶縁性基材がハウジングの一部であって、このハウジングの内部にスライダがスライド移動可能に収納されていると共に、このハウジングに回転可能に支持された操作部材を備え、この操作部材をスライダと摺動可能に係合させることによって、操作部材の回転動作がスライダのスライド移動に変換されるようにしてあると、スライダのスライド移動量が少ない場合でも操作部材を比較的大きく回転移動させることができるため、小型であっても高精度な操作が行えるようになる。これに加えて、ハウジングの内部に、操作部材を弾性付勢して初期位置へ自動復帰させる捩りコイルばねが組み込まれていると、セルフリターン機能によって操作性の向上が図れる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の可変抵抗器は、帯状の抵抗パターンを長手方向に延長した領域に集電パターンが形成されているため、幅狭なパターン形成面に抵抗パターンと集電パターンを設けることができ、それゆえパターン形成面の幅方向(抵抗パターンの幅方向)に沿う可変抵抗器全体の厚みを低減するという薄型化が容易に図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る複合操作型電気部品の非操作時の状態を示すカバーを除いた平面図、図2は該電気部品の断面図、図3は該電気部品のプッシュ操作時の状態を示す図1に対応する平面図、図4は該電気部品の回転操作時の状態を示す図1に対応する平面図、図5は該電気部品の操作部材を示す底面図、図6は該電気部品のハウジングをカバーを除いて示す平面図、図7は該ハウジングの前壁部を示す説明図、図8は該ハウジングの印刷パターン形成面を示す説明図である。
【0012】
これらの図に示す複合操作型電気部品は、回転操作時には可変抵抗器として動作し、プッシュ操作時にはスイッチとして動作するというものである。この複合操作型電気部品は、有底箱形のケース2の開口端2aをカバー3で蓋閉した筐体であるハウジング1と、ケース2に内設された接点パターン4と抵抗パターン5および集電パターン6と、つまみ部7aを有してハウジング1に回転可能かつ前後進可能に支持された操作部材7と、ハウジング1の内部にスライド移動可能に収納されて操作部材7と摺動可能に係合しているスライダ8と、操作部材7を弾性付勢して初期位置へ復帰させる捩りコイルばね9とによって主に構成されており、操作部材7とスライダ8にはそれぞれ導電性の摺動子10,11が取着されている。
【0013】
ハウジング1について説明すると、ケース2は導電性金属板12〜16が埋設されたインサート成形品であり、カバー3は板金製である。ケース2の内底面2bには支軸17が突設されていると共に、内底面2bを横切るように突出したガイドレール18が直線状に形成されている。また、ケース2の内底面2bには支軸17の近傍に接点パターン4が配設されている。この接点パターン4は、導電性金属板12の一端部に形成されたコモン接点4aと、導電性金属板13の一端部に形成された一対の固定接点4bとからなる。図6では非操作時における後述する弾性片10a,10bの位置を示している。なお、コモン接点4aにはクリック感を生起させるための段差が形成されている。また、導電性金属板12,13の他端部は、それぞれ外部接続端子19,20としてケース2の外表面に露出している。このケース2は前壁部と一対の側壁部と奥壁部とが内底面2bに対して起立しており、前壁部には、プッシュ操作時に操作部材7の係合凸部7dが摺動可能に挿入されるガイド凹所2cが設けられていると共に、回転操作時に該係合凸部7dを位置規制する一対の傾斜壁2dが設けられている。また、ケース2の側壁部には、捩りコイルばね9の両端部を弾接させて掛止可能な一対のばね受け部2eが設けられている。ケース2の奥壁部には導電性金属板14〜16が埋設されていると共に、該奥壁部の内壁面である印刷パターン形成面2fに抵抗パターン5と集電パターン6が配設されている。両パターン5,6は導電性金属板14〜16をインサートして成形された平板状成形品の平坦面に印刷形成されており、ケース2の奥壁部以外の部分を成形する際に該平板状成形品を金型内にインサートしておくことによって、奥壁部と残余の部分とが一体化されたケース2が得られる。
【0014】
図8に示すように、抵抗パターン5と集電パターン6は、所定の間隔を存して一直線状に配置された略同等の大きさの帯状パターンとしてケース2の印刷パターン形成面2fに印刷形成されている。抵抗パターン5の両端部は導電性金属板14,15に接続されており、これら導電性金属板14,15の一部が外部接続端子21,22としてケース2の外表面に露出している。集電パターン6は導電性金属板16に接続されており、この導電性金属板16の一部が外部接続端子23としてケース2の外表面に露出している。なお、本実施形態例に係る複合操作型電気部品は図示せぬ配線基板上に面実装して使用されるが、その際、ケース2の外表面に露出している各外部接続端子19〜23が該配線基板のランドに半田付けされる。
【0015】
操作部材7は合成樹脂製であり、ハウジング1の外方へ突出するつまみ部7aの突出量を増減させる前後進動作と、つまみ部7aを揺動させる回転動作とが行えるように、ハウジング1に支持されている。この操作部材7には、ハウジング1の内部においてケース2の内底面2bと対向する側に軸受凹所7bが設けられ、カバー3と対向する側にばね取付部7cが設けられている。また、操作部材7のつまみ部7aと軸受凹所7bとの間には前記係合凸部7dが設けられている。軸受凹所7bはU字状の周壁を有し、この軸受凹所7b内にケース2の支軸17が摺動可能に嵌挿されている。ばね取付部7cは円柱状に形成されており、このばね取付部7cに捩りコイルばね9の巻回部9aが外嵌されている。この捩りコイルばね9は両端部をケース2のばね受け部2eに弾接させた状態で組み込まれるため、その反力で巻回部9aが操作部材7のばね取付部7cを弾性付勢するようになっている。そのため、非操作時には図1に示すように、捩りコイルばね9の弾性力によってケース2の支軸17が軸受凹所7bの周壁に圧接して、操作部材7は支軸17に係止された安定した姿勢で保持されている。この操作部材7は支軸17を回転中心として回転操作可能であり、その回動平面はケース2の内底面2bに対して平行で印刷パターン形成面2fに対して直交する平面となる。また、操作部材7は捩りコイルばね9の付勢力に抗してハウジング1内へ押し込むというプッシュ操作が可能であり、図1と図3に示すように、このプッシュ操作時に支軸17を退避させるための逃げスペースS1が軸受凹所7b内に形成されている。また、操作部材7には側方へせり出し、捩りコイルばね9の一対の腕部9bとそれぞれ係合する一対のばね係合部7eが設けられている。そして、図4に示すように、回転操作時には、一方のばね係合部7eが捩りコイルばね9の一方の腕部9bとの係合状態を保ち、他方のばね係合部7eは他方の腕部9bから離れるようになっている。また、操作部材7のつまみ部7a側とは逆側の端部には、先端部が平面視円弧状に形成された駆動凸部7fが突設されている。この駆動凸部7fはスライダ8の係合凹部8aに摺動可能に挿入されており、操作部材7の回転動作に伴ってスライダ8がスライド移動するように連結されているため、これら駆動凸部7fと係合凹部8aとによって回転運動を直線運動に変換する簡素な構造のリンク機構が実現されている。
【0016】
捩りコイルばね9は、操作部材7のばね取付部7cに取り付けられた巻回部9aの両端から腕部9bを延出させており、両腕部9bを閉じる向きに弾性変形することによって操作部材7を初期位置へ復帰させる弾性力を生起する。この捩りコイルばね9は、操作部材7が回転動作していないときには、その両腕部9bがケース2のばね受け部2eに弾接状態で掛止されている。また、操作部材7が回転動作しているときには、一方の腕部9bがケース2のばね受け部2eから離脱して操作部材7のばね係合部7eと係合するようになっている。
【0017】
摺動子10はプッシュ操作を検出するためのもので、導電性の金属薄板からなる。図5に示すように、この摺動子10は操作部材7の軸受凹所7b側の面にかしめ固定されており、コモン接点4aに常時弾接する弾性片10aと、プッシュ操作時に固定接点4bに接離する弾性片10bとを有する。
【0018】
スライダ8は合成樹脂製であり、ハウジング1の内部空間の印刷パターン形成面2f寄りの奥部に、ガイドレール18に案内されつつスライド移動できるように収納されている。このスライダ8には、操作部材7の駆動凸部7fが摺動可能に挿入される係合凹部8aと、ガイドレール18が摺動可能に挿入されるガイド溝8bとが設けられており、ガイドレール18の長手方向(抵抗パターン5の長手方向)がスライダ8のスライド移動方向となる。また、図1と図3に示すように、係合凹部8a内にはプッシュ操作時に駆動凸部7fを退避させるための逃げスペースS2が形成されている。このスライダ8には印刷パターン形成面2fとの対向面に摺動子11が取着されており、スライダ8のスライド移動に伴って摺動子11の湾曲弾性片11a,11bがそれぞれ抵抗パターン5と集電パターン6に対して摺動するようになっている。
【0019】
この摺動子11は導電性の金属薄板からなり、図1〜図4に示すように平板部11cと一対の湾曲弾性片11a,11bとを有する。平板部11cはスライダ8にかしめ固定されて印刷パターン形成面2fと所定の間隔を存して対向しており、この平板部11cから印刷パターン形成面2fへ向けて略対称に一対の湾曲弾性片11a,11bが互いに離れる方向に延設されている。そして、一方の湾曲弾性片11aが抵抗パターン5に弾接し、他方の湾曲弾性片11bが集電パターン6に弾接しているため、スライダ8がスライド移動すると、抵抗パターン5に対する湾曲弾性片11aの接触位置が変化して、外部接続端子21,23間の抵抗値や外部接続端子22,23間の抵抗値が変化するようになっている。
【0020】
次に、上記の如く構成された複合操作型電気部品のプッシュ操作時の動作と回転操作時の動作について説明する。非操作時には図1に示すように、操作部材7は捩りコイルばね9によって同図上向きに弾性付勢されていると共に、ケース2の支軸17に係止されている。この状態で、ユーザがつまみ部7aを介して操作部材7をハウジング1内へ押し込むというプッシュ操作を行うと、操作部材7は捩りコイルばね9の付勢力に抗してハウジング1内へ後退するため、図3に示すように、捩りコイルばね9の両腕部9bが閉じる向きに弾性変形すると共に、操作部材7の係合凸部7dがケース2のガイド凹所2c内へ摺動可能に挿入される。こうしてガイド凹所2c内へ挿入された係合凸部7dは該ガイド凹所2cの壁面によって位置規制されるため、操作部材7をハウジング1に対して円滑に前後進させることができ、かつ、プッシュ操作時に誤って操作部材7を回転させてしまう虞もない。また、プッシュ操作時には支軸17が相対的に軸受凹所7b内の逃げスペースS1に退避し、駆動凸部7fが係合凹部8a内の逃げスペースS2に退避する。そして、プッシュ操作時に操作部材7がハウジング1内へ後退するのに伴い、摺動子10の弾性片10bが固定接点4bに接触するため、摺動子10を介してコモン接点4aと固定接点4bとが導通されてスイッチオン信号が出力されるようになっている。なお、こうしてスイッチオン状態となる直前に摺動子10の弾性片10aがコモン接点4aの前記段差を乗り越えるため、クリック感が生起される。また、かかるプッシュ操作後に操作力が除去されると、押し撓められていた捩りコイルばね9が自身の弾性で図1に示す位置まで戻るため、操作部材7は初期位置へ自動復帰する。
【0021】
非操作状態でユーザがつまみ部7aを介して操作部材7を回転操作した場合には、図4に示すように、支軸17を回転中心として回転する操作部材7のばね係合部7eが一方の腕部9bを付勢するため、この腕部9bがケース2のばね受け部2eから離脱すると共に、両腕部9bが閉じる向きに弾性変形する。また、操作部材7の係合凸部7dはガイド凹所2cに隣接する傾斜壁2dと重なり合うため、この傾斜壁2dに位置規制されて操作部材7をハウジング1に対して円滑に回転させることができ、かつ、回転操作時に誤って操作部材7を前後進させてしまう虞もない。そして、操作部材7が回転するのに伴い駆動凸部7fがスライダ8を駆動してスライド移動させるため、抵抗パターン5に対する湾曲弾性片11aの接触位置が変化して、操作部材7の回転操作量や回転操作方向に応じた電気信号が出力されるようになっている。また、かかる回転操作後に操作力が除去されると、押し撓められていた捩りコイルばね9が自身の弾性で図1に示す位置まで戻るため、操作部材7は初期位置へ自動復帰する。
【0022】
以上説明したように本実施形態例に係る複合操作型電気部品は、操作部材7を回転操作するとスライダ8がスライド移動して摺動子11が抵抗パターン5に対し摺動するため、スライダ8のスライド移動量が少ない場合でも操作部材7を比較的大きく回転移動させることができ、それゆえ小型であっても高精度な操作が行える可変抵抗器として動作させることができる。また、かかる回転操作時には捩りコイルばね9の一方の腕部9bが操作部材7と共に回転してハウジング1から離脱し、両腕部9bが閉じる向きに弾性変形するため、回転操作力が除去されると、捩りコイルばね9の両腕部9bの弾性力によって操作部材7は初期位置へ自動復帰する。しかも、ハウジング1のケース2には回転操作された操作部材7の係合凸部7dを位置規制する傾斜壁2dが設けられているため、回転操作時に操作部材7が誤って前後進する虞はない。なお、回転運動を直線運動に変換するリンク機構を構成している操作部材7の駆動凸部7fとスライダ8の係合凹部8aは、互いの凹凸関係が逆であってもよい。
【0023】
また、この複合操作型電気部品では、ケース2の印刷パターン形成面2fに帯状の抵抗パターン5と帯状の集電パターン6が一直線状に配設されており、これら両パターン5,6の長手方向をスライダ8のスライド移動方向と合致させてある。そのため、幅狭な印刷パターン形成面2fに抵抗パターン5と集電パターン6を設けることができ、両パターン5,6の幅方向に沿う電気部品全体の厚さ寸法を抑制した薄型化が図りやすくなっている。しかも、これら両パターン5,6は略同等の大きさの帯状パターンとして形成されているため、スライダ8のスライド移動方向に沿う電気部品全体の長さ寸法も抑制できて小型化に好適である。
【0024】
また、この複合操作型電気部品では、スライダ8に保持されて抵抗パターン5と集電パターン6に弾接する摺動子11が、平板部11cから一対の湾曲弾性片11a,11bを印刷パターン形成面2fへ向けて略対称に互いに離れる方向に延出させているが、このように単純でバランスの良い形状の摺動子11は長寿命化が期待できる。
【0025】
また、本実施形態例に係る複合操作型電気部品は、操作部材7をプッシュ操作すると摺動子10が固定接点4bに接触するため、スイッチとしても動作させることができる。そして、かかるプッシュ操作時には、捩りコイルばね9の巻回部9aが操作部材7と共に後退し、ばね受け部2eに掛止されている両腕部9bが閉じる向きに弾性変形するため、プッシュ操作力が除去されると、捩りコイルばね9の両腕部9bの弾性力によって操作部材7は初期位置へ自動復帰する。しかも、ハウジング1のケース2には、プッシュ操作された操作部材7の係合凸部7dを位置規制するガイド凹所2cが設けられているため、プッシュ操作時に操作部材7が誤って回転する虞はない。
【0026】
なお、上記実施形態例では、可変抵抗器としてだけでなくスイッチとしても動作する複合操作型電気部品について説明したが、少なくともスライダのスライド移動に伴って抵抗値が変化するように設計された電気部品であれば本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態例に係る複合操作型電気部品の非操作時の状態を示すカバーを除いた平面図である。
【図2】該電気部品の断面図である。
【図3】該電気部品のプッシュ操作時の状態を示す図1に対応する平面図である。
【図4】該電気部品の回転操作時の状態を示す図1に対応する平面図である。
【図5】該電気部品の操作部材を示す底面図である。
【図6】該電気部品のハウジングをカバーを除いて示す平面図である。
【図7】該ハウジングの前壁部を示す説明図である。
【図8】該ハウジングの印刷パターン形成面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ハウジング
2 ケース
2e ばね受け部
2f 印刷パターン形成面
3 カバー
4 接点パターン
5 抵抗パターン
6 集電パターン
7 操作部材
7a つまみ部
7b 軸受凹所
7c ばね取付部
7d 係合凸部
7e ばね係合部
7f 駆動凸部
8 スライダ
8a 係合凹部
9 捩りコイルばね
9a 巻回部
9b 腕部
11 摺動子
11c 平板部
11a,11b 湾曲弾性片
17 支軸
18 ガイドレール
21〜23 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材のパターン形成面に設けられた抵抗パターンおよび集電パターンと、これら両パターンから導出された複数の外部接続端子と、前記パターン形成面に沿ってスライド移動可能なスライダと、このスライダに保持されて前記両パターンに摺接する導電性の摺動子とを備え、前記スライダのスライド移動に伴う前記摺動子と前記抵抗パターンの相対的な位置変化に応じた電気信号が出力される可変抵抗器であって、
前記抵抗パターンが前記スライダのスライド移動方向に沿って帯状に形成されていると共に、この抵抗パターンを長手方向に延長した領域に前記集電パターンが形成されていることを特徴とする可変抵抗器。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記集電パターンが前記抵抗パターンと略同等の大きさの帯状に形成されていることを特徴とする可変抵抗器。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記摺動子が、前記スライダに固定されて前記パターン形成面と所定の間隔を存して対向する平板部と、この平板部から前記パターン形成面へ向けて互いに離れる方向に延出する一対の湾曲弾性片とを設けた金属薄板からなり、一方の湾曲弾性片を前記抵抗パターンに弾接させて他方の湾曲弾性片を前記集電パターンに弾接させていることを特徴とする可変抵抗器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記絶縁性基材がハウジングの一部であって、このハウジングの内部に前記スライダがスライド移動可能に収納されていると共に、前記ハウジングに回転可能に支持された操作部材を備え、この操作部材を前記スライダと摺動可能に係合させることによって、前記操作部材の回転動作が前記スライダのスライド移動に変換されるようにしたことを特徴とする可変抵抗器。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記ハウジングの内部に前記操作部材を弾性付勢して初期位置へ復帰させる捩りコイルばねが組み込まれていることを特徴とする可変抵抗器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−211035(P2008−211035A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47270(P2007−47270)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】