説明

可溶性の会合性カルボキシメチルセルロース、その製造方法およびその用途

水溶性の会合性カルボキシメチルセルロース(CMC)は、色々な最終用途系において独特の極めて望ましいレオロジー性および性能特性を示す。この独特なCMCは新規な多段法で製造される。最終用途系を挙げると、個人ケア用、家庭ケア用、ペイント用、建材および建設用、製剤用、医療ケア用、油田用、鉱物処理用、製紙および紙コーティング用、並びに食品用がある。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、最終用途系において独特の極めて望ましいレオロジー性および性能を示す水溶性カルボキシメチルセルロース(CMC)およびその製造方法に関する。本発明のCMCは混ぜもののない溶液および充填された系の両者において会合挙動を示す。会合は剪断可逆性であって、このことは有用性を高める。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
カルボキシメチルセルロース(CMC)は、水性系の成分として最も多方面に広く使われているセルロースエーテルの1つである。それは懸濁剤、増粘剤、保護コロイド、保湿剤として、またある種他の成分の結晶化を制御するために作用することができる。CMCは生理学的に不活性であり、またアニオン性の高分子電解質である。上記の特性は、CMCをして、食品、製剤、個人ケア、紙、建材および建設、油田、その他の工業における高範囲の用途における使用に適したものにする。
【0003】
平均の重合度および置換度によって変わる利用可能な多くのタイプの市販CMCが存在する。CMCの化学的および物理的性質は、平均の重合度および置換度ばかりでなく、CMCの総合的な溶解性、そしてまたカルボメトキシ置換基のセルロース鎖に沿っての分布にも依存する。この技術分野では、スムースに置換されたCMC、およびブロック状に置換されたにCMCが両者共によく知られている。ブロック状置換CMCは、DSを低下させおよび/または製造法を変えることによって製造できる。しかし、ブロック状置換CMCを目標にする方法は、溶解性が限定されているCMCを生成させる。多くの場合、CMCの実質的な部分は水性用途では膨潤したゲルを形成する。このようなゲルは練り歯磨きのような多くの用途で望ましくなく、その場合ゲル構造は練り歯磨きに望ましくないゲル外観を与える。
【0004】
米国再発行特許第32,976号明細書は、 少なくとも50%のイソプロピルモノクロロアセテートを含むエーテル化剤を用いて製造される、スムースに置換された、酵素および塩に抵抗性のCMCを開示している。スムースに置換されたCMCは本発明の会合性を与えない。本発明のCMCはモノクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウムから製造されるものであって、イソプロピルモノクロロアセテートからのものではない。
【0005】
米国特許第4,579,943号明細書は、再生セルロースから誘導される、高度の液体吸収性を有するCMCにして、セルロースII形を有するそのようなCMCを開示している。このCMCはDSが比較的低い(0.1−0.64)もので、水には実質的に不溶性である。本発明のCMCはセルロースIから誘導されるものであって、セルロースIIまたは再生セルロースからのものではない。
【0006】
国際公開WO99/20657号公報は、特定の試験条件下で、濃度0.5%において1.0未満のタンデルタを有するCMCを開示している。本発明のCMCは0.5%濃度において1.0未満のタンデルタを有しない。
【0007】
Fraunhofer Institut fur Angewandte Polymerforschung所属のG. Mann、J. Kunze、F. LothおよびH-Pfinkによる「セルロースの構造選択性誘導体化による、置換基のブロック状分布を有するセルロースエーテル(Cellulose ethers with a Block-like Distribution of the Substituents by Structure-selective Derivatization of Cellulose)」と題される刊行物である、1998年刊行のPolymer誌、第39巻、第14号、第3155−3165頁は、ブロック状分布CMCの製造と試験を開示している。このCMCは、低いNaOH濃度(NaOH/AGUモル比<0.6)を維持しながら、アルコール−水媒体中で系統的なカルボキシメチル化が行われる段階的エーテル化反応で製造される。そのアルカリセルロースは昇温下(50−70℃)で形成される。この方法はCMCを含めてブロック状セルロースエーテル、または交互配置の親水性鎖セグメントおよび疎水性鎖セグメント、そしてまた色々なイオン性鎖セグメントを持つセルロースエーテルエステルを生成させると報告されている。これらのCMCは水中では膨潤した粒子であって、実質的に可溶性でない。本発明のCMCはより高いNaOH/AGU比(約1.1〜約1.9)および低アルカリセルロース温度(20−30℃)で製造され、そして水に実質的に可溶性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
混ぜもののない溶液および充填された系の両者において会合挙動を示す会合性のチキソトロープ性CMCの必要がなおも存在する。会合は剪断可逆性であって、それは有用性を高めるだろう。このようなレオロジーは高い増粘効率を与え、そしてエマルジョンおよび懸濁液を安定化し、しかも会合ネットワークの可逆的剪断薄め(reversible shear thinning)特性に因り、ポンプ輸送または塗布の容易さのような加工上の利点も与える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、約0.9未満の相対尿素/水比を有するCMCを含む組成物に関する。相対尿素比は次のとおり定義される:
【0010】
【数1】

【0011】
この発明は、また、CMCを製造する方法であって、a)セルロース源および化学量論レベルの約50−80重量%のアルカリを、イソプロピルアルコールの水性スラリー中で、アルカリセルロースを形成するのに十分な温度で十分な時間反応させ、b)総アルカリ濃度を化学量論レベルにするのに十分なアルカリを加え、続いて必要量のエーテル化剤を加え、c)エーテル化反応を完結させ、そして随意にd)セルロース鎖を分解することができる酸化剤を加えることによって最終分子量/粘度を調整する工程を含む上記の方法に関する。
【0012】
この発明は、また、本発明のCMCの、水性レオロジー調節剤系における、個人ケア(パーソナルケア)用、家庭ケア用、ペイント用、建材用、建設用、製剤用、油田用、食品用、製紙用または紙コーティング用組成物のビヒクル成分としての使用を包含する。
発明の詳細な説明
驚くべきことに、最終用途系において独特の高度に望ましいレオロジー性および性能特性を示すCMCが発見された。
【0013】
本発明によれば、粘度はCMCに対して普通の手段で増大するばかりでなく、分子の会合によっても有意に高められる。会合はネットワークの形成およびゲル様のレオロジー性をもたらす。会合が剪断可逆性であるという事実は有用性を高める。
【0014】
本発明のCMCは、CMCの必要とされる使用レベルを低下させ、しかも今日入手できる他のCMCと区別される独特のレオロジー特性を与えることが示された。この独特のレオロジー性は、高度の増粘効率を与えてエマルジョンおよび懸濁液を安定化する。本発明のCMCは、個人ケア用配合物(例えば、練り歯磨き、スキンケアおよびヘアケア)、医療ケア(例えば、創傷ケアおよび造瘻術)、食品用途(即ち、トルティヤ、ケーキミックス、パンミックス、パン、アイスクリーム、サワークリーム、低温殺菌加工チーズスプレッドおよびチーズ食品)、飲料(即ち、インスタント清涼飲料/ホットドリンク、直ぐ飲める飲料および果実風味ドリンク)、ペイント系、(目地材配合物のような)建築および建設材料、鉱物処理用配合物、油田用配合物(例えば、掘削流体)、製紙および紙コーティング用配合物、家庭用配合物(例えば、洗濯洗剤、布帛柔軟剤)および製剤調合物を含めて水性系において公知のCMCを越える有意に向上した性能を与える。
【0015】
本発明によれば、組成物が個人ケア用組成物であるとき、それは(a)約0.1〜約99.0重量%のビヒクル成分、および(b)少なくとも1種の活性な個人ケア用成分を含む。少なくとも1種の活性な個人ケア用成分の例は、消臭剤、皮膚冷却剤、皮膚軟化薬、制汗性活性物質、湿り付与剤、クリンジング剤、日焼け止め活性物質、ヘアトリートメント剤、口内ケア剤、ティシューペーパー製品および美容補助剤である。
【0016】
本発明によれば、組成物が家庭ケア用組成物であるとき、それは(a)約0.1〜約99.0重量%のビヒクル成分、および(b)少なくとも1種の活性な家庭ケア用成分を含む。少なくとも1種の活性な家庭ケア用成分の例は、工業等級の固形、ゲルおよび液体石鹸活性物質、万能洗浄剤、消毒成分、敷物および室内装飾材料洗浄活性物質、洗濯物柔軟剤活性物質、洗濯物洗剤成分、皿洗い洗剤、便器洗浄剤および布帛サイジング剤である。
【0017】
個人ケアおよび家庭ケアにおいて常用される成分に加えて、本発明による組成物は、また、随意に着色剤、防腐剤、酸化防止剤、栄養補助剤、活性増強剤、乳化剤、粘性付与剤(viscosifying agent)(例えば、塩、即ちNaCl、NH4ClおよびKCl、水溶性重合体、即ちヒドロキシエチルセルロース、および脂肪アルコール、即ちセチルアルコール)、1−6個の炭素原子を有するアルコール、並びに脂肪および油類のような成分を含むことができる。
【0018】
本発明のCMCは、また、限定されるものではないが、多糖類(例えば、カラゲナン、グアール、ヒアルロン酸、グルコサミノグリカン、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン性グアール、カルボマー)、生体高分子(例えば、ザンサン)、合成重合体(ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、クロロヘキシジエン)および増粘性シリカを含めて他の公知のレオロジー調節剤と組み合わせて使用してもよい。
【0019】
練り歯磨き配合物でのCMCの、練り歯磨きに望ましい高次構造を与える練り歯磨き用バインダー系としての使用は、練り歯磨き工業においては周知である。バインダー系はCMCタイプバインダーを他の多糖類、無機塩、キレート化剤およびそれらの組み合わせと共に含む。
【0020】
商業的に入手できるCMCタイプバインダーは、それらが練り歯磨きに与える構造の程度が異なる。高度にチキソトロープ性のグレードのCMCはより高次構造の練り歯磨きにする傾向がある。これらのチキソトロープ性CMCタイプバインダーは、また、より大きな後増粘に寄与する傾向もある。
【0021】
セルロースガム(CMC)だけが従来の練り歯磨き用バインダーであった。練り歯磨き中において、CMCは、粘性、立ち上がり(stand-up)または構造および離液制御を実現する。CMCを用いて製造された練り歯磨きは、また、その練り歯磨きの貯蔵寿命の終わりまで遅い粘度増大速度を有し、かくして最初の30日間またはそれ以上の日数まで安定な粘度に達しないことが知られている。これは、また、“後増粘(post-thickening)”と称される。
【0022】
練り歯磨きで一般に用いられる他のバインダーは、カラゲナン、またはカラゲナンとザンサンとの併用である。カラゲナンおよびザンサンは良好な立ち上がり、粘性および離液制御を与える;しかし、それらはCMCと比較してより高価な代替バインダーとなる傾向がある。カラゲナンおよびザンサンを用いて製造された練り歯磨きは、加工処理後かなり速やかに安定な粘度を示し、かつ後増粘をほとんど示さない傾向がある。
【0023】
本発明によれば、本発明のCMCは単独または他の多糖類、合成重合体および/または塩との組み合わせのいずれでも使用することができ、そして高い効率と向上した性能を与える。本発明の予期されない結果の証明については、後記の練り歯磨きの実施例を参照されたい。
【0024】
本発明のCMCの使用は、立ち上がり、光沢および離液制御のような決定的に重要な練り歯磨きの性質を保持しつつ約40%の使用レベルの低下を可能にした。これらCMCのこのより低い使用レベルおよび/または剪断薄め挙動は、改善された香味放出性、改善された活性物質送達性、改善されたフッ化物送達性、より高い光沢、チューブからの改善された押出適性および改善された抗菌有効性のような練り歯磨きの性質に追加の利点を提供することができる。練り歯磨きの製造プロセスに対する潜在的な改善を挙げると、限定されるものではないが、製造プロセス中に閉じこめられる空気の減少、混合操作における改善およびチューブ中への押し出しにおける改善がある。
【0025】
セルロースエーテル誘導体が常用される水系保護コーティング組成物(一般にペイントと称される)にラテックスペイントまたは分散ペイントがあり、その主要成分はスチレンブタジエン共重合体、酢酸ビニル重合体および同共重合体、並びにアクリル重合体および同共重合体のようなフィルム形成性ラテックスである。典型的には、それら組成物はまた不透明顔料、分散剤および水溶性保護コロイドも含み、ここでその割合は、全組成物に対する重量で、約10〜約50部のラテックス、約10〜約50部の不透明顔料、約0.1〜約2部の分散剤および約0.1〜約2部の水溶性保護コロイドである。
【0026】
ラテックスペイントの製造において(ラテックスを安定化し、そして塗装領域の濡れた縁部を使用状態でより長く維持するために)常用される水溶性保護コロイドを挙げると、カゼイン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール、澱粉およびポリアクリル酸ナトリウムがある。天然系セルロースエーテルの不利な点は、それらが生物劣化を受けやすく、しばしば貧弱な流れ特性および均展性を与えることがあり、同時にポリビニルアルコールのような合成物質が垂れ抵抗性を維持するのに十分な増粘効率を欠いていることが多いということである。このセルロースエーテルの増粘効率は、通常、普通はより高価になるが、それらの分子量を増加させることによって改善される。
【0027】
本発明によれば、本発明のCMCはペイント中でより少ない量で使用でき、しかも予期できない高い質の結果を与える。このことは後記において実施例で例証される。
本発明のCMCは通常のスラリープロセス法を用いて製造される。例えば、イソプロピルアルコール、水および化学量論量の約50−80%のNaOHが、セルロースと、約20℃の温度において、アルカリセルロースを生成させるのに十分な時間、約1.5時間反応せしめられる。総NaOHレベルを化学量論レベル、またはそれより僅かに高いレベルにするために十分なNaOHが加えられ、そしてその第二NaOH添加のちょっと後にモノクロロ酢酸が加えられる。反応条件は、普通、エーテル化をもたらすために、温度を約70℃まで約1〜2時間かけて上昇させることである。CMCの分子量および粘度は、エーテル化に続いて過酸化水素のような酸化剤の添加によって調整(低下)させることができる。反応物は次いで随意に冷却され、必要ならば過剰の塩基が中和され、そして生成物が洗浄される。次に、この生成物は乾燥および粉砕することができる。この発明の決定的に重要な特長は、エーテル化をもたらすために利用されるアルカリの量が化学量論量より少ないこと、および残りのアルカリはエーテル化剤にちょうど先だって加えられるということである。CMCの置換度は約0.6〜約1.2である。
【0028】
本発明によれば、CMCは、従来技術のCMCとは、本発明のCMCが水性媒体環境中で実質的に可溶性であること、および会合に有利でない環境中での本発明CMCの挙動によって区別することができる。尿素が水素結合を破断することによって会合を解体することは公知の事実である。主題CMCは、相対尿素比で測定して、尿素の存在下において粘度低下を示す。相対尿素比は次のとおり定義される:
【0029】
【数2】

【実施例】
【0030】
次の実施例は単に例示目的のために示されるが、関係工業における当業者の技能の範囲内における本発明の他の修正は、本発明の精神と範囲から逸脱しない限りなし得ることは理解されるべきである。百分率および部数は、全て、外に明記されない限り重量による。
【0031】
実施例1
イソプロピルアルコール(IPA、696.67g)および脱イオン(DI)水(76.945g)を、空気駆動攪拌機、ステンレス鋼製かき混ぜ器、圧力均等化添加漏斗、還流コンデンサー、真空、窒素入口および熱電対を備えたジャケット付き重合釜反応器に装填した。この反応器にセルロースパルプ(65.0g、6.4%水分率)を加え、その反応器を密封し、そしてかき混ぜ器を良好な混合を達成するように調整した。この反応器を不活性にし、そしてその混合物を20℃まで冷却した。
【0032】
NaOH水溶液(50%、60.92g)を、混合物スラリー温度を20℃に保って、上記反応器に添加漏斗を通してゆっくり加えた。苛性ソーダの添加を終えた後、その反応混合物を20℃で1時間保持した。
【0033】
上記反応器に、添加漏斗を通して、混合物スラリー温度を20℃に保って、NaOH水溶液(50%、16.02g)をゆっくり加えた。苛性ソーダの添加を終えた後、その反応混合物を20℃で5分間保持した。この反応器に、開放反応器口を通して、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、42.91g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1.5時間保持した。この反応スラリーを濾過し、その結果得られた湿ったケーキを565gの80%メタノール水溶液で3回、1000gの純メタノールで1回洗浄した。この結果得られた湿ったケーキを小さい粒子に砕き、そして流動床乾燥器中で35分間乾燥した。(5分間風乾、50℃で10分間熱乾燥、そして70℃でさらに20分間熱乾燥)。生成物を、1mmのスクリーンを用いているRetsch細砕機で粉砕した。置換度(DS)=0.89。
【0034】
実施例2
イソプロピルアルコール(IPA、696.67g)および脱イオン(DI)水(76.945g)を、空気駆動攪拌機、ステンレス鋼製かき混ぜ器、圧力均等化添加漏斗、還流コンデンサー、真空、窒素入口および熱電対を備えたジャケット付き重合釜反応器に装填した。この反応器にセルロースパルプ(65.0g、6.4%水分率)を加え、その反応器を密封し、そしてかき混ぜ器を良好な混合を達成するように調整した。この反応器を不活性にし、そしてその混合物を20℃まで冷却した。
【0035】
NaOH水溶液(50%、60.92g)を、混合物スラリー温度を20℃に保って、上記反応器に添加漏斗を通してゆっくり加えた。苛性ソーダの添加を終えた後、その反応混合物を20℃で1時間保持した。
【0036】
上記反応器に、添加漏斗を通して、混合物スラリー温度を20℃に保って、NaOH水溶液(50%、16.02g)をゆっくり加えた。苛性ソーダの添加を終えた後、その反応混合物を20℃で5分間保持した。この反応器に、開放反応器口を通して、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、42.91g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1.5時間保持した。その反応器に1.6mLの6%H2O2を加え、そしてそのスラリーを70℃で30分間加熱した。この反応スラリーを濾過し、その結果得られた湿ったケーキを565gの80%メタノール水溶液で3回、1000gの純メタノールで1回洗浄した。この結果得られた湿ったケーキを小さい粒子に砕き、そして流動床乾燥器中で35分間乾燥した。(5分間風乾、50℃で10分間熱乾燥、そして70℃でさらに20分間熱乾燥)。生成物を、1mmのスクリーンを用いているRetsch細砕機で粉砕した。置換度(DS)=0.87。
【0037】
実施例3
イソプロピルアルコール(IPA、123.4ガロン)、水(130.3ポンド)、メタノール(6.36ガロン)およびNaOH(フレーク、35.4ポンド)を反応器に装填した。この反応器を不活性にし、そしてその苛性ソーダ/溶媒混合物を20℃まで冷却し、この時点にセルロースパルプ(108ポンド、4%水分率)をその反応器に加えた。かき混ぜをスラリー中に良好な混合を与えるように調整し、そしてそのスラリーを約20℃まで再冷却した。この反応スラリーを20℃で1時間保持した。
【0038】
NaOH水溶液(50%、58.7ポンド)を上記反応器に加え、そしてその反応混合物を、苛性ソーダの添加を終えた後に、20℃で15分間保持した。この反応器に、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、70.5ポンド)、IPA(9.0ガロン)、ジクロロ酢酸(DCA、926.8g)および酢酸(79.9g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1時間保持した。その反応器に282gの18%H2O2を加え、そしてそのスラリーを70℃で60分間加熱した。
【0039】
上記反応スラリーを遠心分離し、そしてその湿ったケーキを300ガロンの80%メタノールで3回、300ガロンの100%メタノールで2回洗浄した。その物質をアッベ乾燥器中で、真空下、80−90℃において4−6%の水分率になるまで乾燥した。生成物を超微粉砕器で0.0278インチのスクリーンを通して粉砕した。置換度(DS)=0.79。
【0040】
実施例4
実施例3の条件を繰り返した。DS=0.78。
実施例5
イソプロピルアルコール(IPA、121.9ガロン)、水(130.0ポンド)、メタノール(6.29ガロン)およびNaOH(フレーク、45.6ポンド)を反応器に装填した。この反応器を不活性にし、そしてその苛性ソーダ/溶媒混合物を20℃まで冷却し、この時点にセルロースパルプ(108ポンド、4%水分率)をその反応器に加えた。かき混ぜをスラリー中に良好な混合を与えるように調整し、そしてそのスラリーを約20℃まで再冷却した。この反応スラリーを20℃で1時間保持した。
【0041】
NaOH水溶液(50%、58.7ポンド)を上記反応器に加え、そしてその反応混合物を、苛性ソーダの添加を終えた後に20℃で15分間保持した。この反応器に、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、81.0ポンド)、IPA(9.0ガロン)、ジクロロ酢酸(DCA、1065.9g)および酢酸(91.9g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1時間保持した。その反応器に188gの18%H2O2を加え、そしてそのスラリーを70℃で60分間加熱した。
【0042】
上記反応スラリーを遠心分離し、そしてその湿ったケーキを300ガロンの80%メタノールで3回、300ガロンの100%メタノールで2回洗浄した。その物質をアッベ乾燥器中で、真空下、80−90℃において4−6%の水分率になるまで乾燥した。生成物を超微粉砕器で0.0278インチのスクリーンを通して粉砕した。置換度(DS)=0.86。
【0043】
実施例6
実施例5の条件を繰り返した。DS=0.86。
実施例7
イソプロピルアルコール(IPA、121.1ガロン)、水(146.0ポンド)、メタノール(6.24ガロン)およびNaOH(フレーク、35.4ポンド)を反応器に装填した。この反応器を不活性にし、そしてその苛性ソーダ/溶媒混合物を20℃まで冷却し、この時点にセルロースパルプ(108ポンド、4%水分率)をその反応器に加えた。かき混ぜをスラリー中に良好な混合を与えるように調整し、そしてそのスラリーを約20℃まで再冷却した。この反応スラリーを20℃で1時間保持した。
【0044】
NaOH水溶液(50%、58.7ポンド)を上記反応器に加え、そしてその反応混合物を、苛性ソーダの添加を終えた後に、20℃で15分間保持した。この反応器に、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、70.5ポンド)、IPA(9.0ガロン)、ジクロロ酢酸(DCA、926.8g)および酢酸(79.9g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1時間保持した。その反応器に282gの18%H2O2を加え、そしてそのスラリーを70℃で60分間加熱した。
【0045】
上記反応スラリーを遠心分離し、そしてその湿ったケーキを300ガロンの80%メタノールで3回、300ガロンの100%メタノールで2回洗浄した。その物質をアッベ乾燥器中で、真空下、80−90℃において4−6%の水分率になるまで乾燥した。生成物を超微粉砕器で0.0278インチのスクリーンを通して粉砕した。置換度(DS)=0.79。
【0046】
実施例8
イソプロピルアルコール(IPA、14kg)、水(2184g)、メタノール(728.8g)を反応器に装填した。この反応器を不活性にし、そしてその溶媒混合物を約20℃まで冷却し、この時点にセルロースパルプ(1800g、3.6%水分率)をその反応器に加えた。かき混ぜをスラリー中に良好な混合を与えるように調整し、そのスラリーを約20℃まで再冷却し、そしてNaOH(フレーク、691.4g)をその反応器に加えた。この反応スラリーを20℃で1時間保持した。
【0047】
NaOH水溶液(50%、353.6g)を上記反応器に加え、そしてその反応混合物を苛性ソーダの添加を終えた後に20℃で15分間保持した。この反応器に、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、939.8g)、IPA(977g)、ジクロロ酢酸(DCA、27.3g)および酢酸(2.4g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1時間保持した。
【0048】
上記反応スラリーを濾過し、その結果得られた湿ったケーキを12ガロンの80%メタノール水溶液で3回、12ガロンの95%メタノールで1回洗浄した。その物質を、真空トレー乾燥器中で70℃において4−6%の最終水分率になるまで乾燥した。その乾燥生成物を超微粉砕器で0.0278インチのスクリーンを通して粉砕した。置換度=0.73。
【0049】
実施例9
イソプロピルアルコール(IPA、696.67g)および脱イオン(DI)水(76.95g)を、空気駆動攪拌機、ステンレス鋼製かき混ぜ器、圧力均等化添加漏斗、還流コンデンサー、真空、窒素入口および熱電対を備えたジャケット付き重合釜反応器に装填した。この反応器にセルロースパルプ(65.0g、6.8%水分率)を加え、その反応器を密封し、そしてかき混ぜ器を良好な混合を達成するように調整した。この反応器を不活性にし、そしてその混合物を20℃まで冷却した。
【0050】
NaOH水溶液(50%、60.92g)を、混合物スラリー温度を20℃に保って、上記反応器に添加漏斗を通してゆっくり加えた。苛性ソーダの添加を終えた後、その反応混合物を20℃で1時間保持した。
【0051】
NaOH水溶液(50%、36.37g)を、混合物スラリー温度を20℃に保って、上記反応器に添加漏斗を通してゆっくり加えた。苛性ソーダの添加を終えた後、その反応混合物を20℃で5分間保持した。その反応器に、開放反応器口を通して、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、42.91g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1.5時間保持した。その反応器に1.6mLの6%H2O2を加え、そしてそのスラリーを70℃で30分間加熱した。この反応スラリーを濾過し、その結果得られた湿ったケーキを565gの80%メタノール水溶液で3回、1000gの純メタノールで1回洗浄した。この結果得られた湿ったケーキを小さい粒子に砕き、そして流動床乾燥器中で35分間乾燥した。(5分間風乾、50℃で10分間熱乾燥、そして70℃でさらに20分間熱乾燥)。生成物を、1mmのスクリーンを用いているRetsch細砕機で粉砕した。置換度(DS)=0.62。1%水溶液粘度=2200cp。
【0052】
実施例10
イソプロピルアルコール(IPA、713.86g)および脱イオン(DI)水(73.79g)を、空気駆動攪拌機、ステンレス鋼製かき混ぜ器、圧力均等化添加漏斗、還流コンデンサー、真空、窒素入口および熱電対を備えたジャケット付き重合釜反応器に装填した。この反応器にセルロースパルプ(65.0g、3.7%水分率)を加え、その反応器を密封し、そしてかき混ぜ器を良好な混合を達成するように調整した。この反応器を不活性にし、そしてその混合物を20℃まで冷却した。
【0053】
NaOH水溶液(50%、39.98g)を、混合物スラリー温度を20℃に保って、上記反応器に添加漏斗を通してゆっくり加えた。苛性ソーダの添加を終えた後、その反応混合物を20℃で1時間保持した。
【0054】
上記反応器に、添加漏斗を通して、混合物スラリー温度を20℃に保って、NaOH水溶液(50%、35.77g)をゆっくり加えた。その反応混合物を、苛性ソーダの添加を終えた後に20℃で5分間保持した。その反応器に、開放反応器口を通して、20℃の反応器スラリー温度を保って、モノクロロ酢酸(MCA、42.25g)を加えた。MCAの添加を終えた後、その反応スラリーを70℃まで加熱し、そして1.5時間保持した。その反応スラリーを濾過し、その結果得られた湿ったケーキを565gの80%メタノール水溶液で3回、1000gの純メタノールで1回洗浄した。この結果得られた湿ったケーキを小さい粒子に砕き、そして流動床乾燥器中で35分間乾燥した。(5分間風乾、50℃で10分間熱乾燥、そして70℃でさらに20分間熱乾燥)。生成物を、1mmのスクリーンを用いているRetsch細砕機で粉砕した。置換度(DS)=0.84。1%水溶液粘度=3760cp。
【0055】
実施例11
この実施例は、6.0M尿素溶液中における本発明の1.0%CMC試料調製の挙動を例証するものである。
【0056】
上記1%CMC溶液は次の装置中で調製した:
Caframo RZR1塔頂攪拌機、8オンスガラス広口瓶、2本の3枚羽根プロペラを備えるステンレス鋼製攪拌シャフト(直径1.5インチ)、Parafilm(登録商標)、脱イオン(DI)水、Germaben II。
【0057】
0.50%Germaben溶液を、DI水にGermaben IIを加えることによって調製した。次に、この溶液を8オンスガラス広口瓶に秤取した。その溶液を次いで塔頂攪拌機で攪拌し、同時にCMCをその溶液に速やかに加えた。CMCレベルは最終試料重量の1.0%であった。CMC重量は水分率について補正する。粘度が増大し始めるにつれて、攪拌機の速度を試料からの跳ねかけを引き起こさない最大速度まで上げた。上記広口瓶に、水の蒸発と跳ねかけによる損失を防ぐために混合しながらParafilmでふたをする。この試料を1時間攪拌する。最高速度での攪拌1時間後に攪拌速度をさらに1時間かけて4の設定まで落とした。その試料をおよそ5分間遠心分離して閉じこめられた空気を除去した。
【0058】
上記試料の挙動を次の装置で調べた:
Caframo RZR1塔頂攪拌機、8オンスガラス広口瓶、2本の3枚羽根プロペラを備えるステンレス鋼製攪拌シャフト(直径1インチ)、Parafilm(登録商標)、6.0M尿素(500mLまで希釈された180.18gの尿素)。
【0059】
手順
6.0M尿素溶液を8オンスガラス広口瓶に秤取した。この溶液を、それにCMCを速やかに加えながら、塔頂Caframo RZR1攪拌機で攪拌した。CMCレベルは最終試料重量の1.0%であった。CMC重量は水分率について補正した。粘度が増大し始めるにつれて、攪拌機の速度を試料からの跳ねかけを引き起こさない最大速度まで上げた。この広口瓶に、水の蒸発と跳ねかけによる損失を防ぐために混合しながらParafilmでふたをした。この試料を1時間攪拌した。最高速度での攪拌1時間後に攪拌速度をさらに1時間かけて4の設定まで落とした。その試料をおよそ5分間遠心分離して閉じこめられた空気を除去した。
【0060】
【表1】

【0061】
同じ方法で香味料を混合した。全ての配合成分を一緒にした後、その混合物を真空下において15分間高速で混合した。そのバッチを次に2オンスの広口瓶および6オンスの練り歯磨きチューブに詰めた。
【0062】
練り歯磨き試料を室温で30日間貯蔵した。試料を行われるどんな試験の前にも25℃の水浴中で4時間平衡にした。
粘度はTバー型スピンドルを備えたブルックフィールドDV−1を用いて測定した。剪断の影響を防ぐために、ヘリパススタンド(helipath stand)を用いて試料を通してスピンドルを下方へ掃引した。粘度を30秒毎に2分にわたって取り、そして値を平均した。
【0063】
練り歯磨きのコンシステンシーをラック試験法(rack test)を用いて測定した。ラックは距離が左から右に離れて増加するクロスバーを持つ設計にした。測定されるべき試料を含んでいる練り歯磨きチューブにステンレス製オリフィスを取り付ける;このオリフィスは、生じることがあるオリフィスサイズの違いを取り除くように寸法が合わされている。上記チューブをラックを横切って一様な様式で絞り、そのペーストをラックの上にリボンとして押し出す。15秒後に、開口の所でリボンがその開口を通して落ち、そして砕けたことを記録する。左から右までの開口数は“Cuban”値として記録される値である。
【0064】
練り歯磨きのデータは表2にまとめて示される。
【0065】
【表2】

【0066】
実施例12
動的粘度は、40mmの平行ツールジオメトリーを2mmのギャップ設定と共に用いるレオメトリックス(Rheometrics)により、RFS III歪み制御レオメーターを用いて25℃において測定した。試料を、荷重をかけて荷重履歴を消すと同時に100秒−1で60秒間予備剪断処理した。予備剪断処理に続いて0.01〜100秒−1での定常剪断実験を行った。各点データは、各々20秒の継続時間を持つ時計回り回転と反時計回り回転との平均である。全ての試料が低剪断ニュートンプラトーを示し、その平均がデータ解析とさらなる比較において用いられた。水溶液および6M1%CMC溶液の動的粘度が表1にまとめて示されている。相対尿素/水比も表1にまとめて示されている。
【0067】
実施例13
本発明のCMCは練り歯磨き配合物において向上した増粘能力および離液制御を示す。炭酸カルシウム系練り歯磨きの処方は次のとおりである:
【0068】
【表3】

【0069】
標準的な実験室練り歯磨きの調製を行った。まず、塩を水の一部に溶解し、そして完全な溶解のために加温した。プロペラ付属物を持つ塔頂ミキサーを用いてCMCをソルビトール中に分散させた。CMCを十分に分散させた後、水の残量をCMCが溶解したように見えるまで継続混合しながら加えた。このCMC溶液の中に上記温塩溶液を入れて混合した。これを次いで1クォートのRoss二重遊星形ミキサーに移した。次に、このミキサー中で炭酸カルシウムを攪拌し、それを十分に分散させた後に真空を適用した。真空下で20分間混合した後、ラウリル硫酸ナトリウムを真空なしで混合した。
【0070】
実施例14
本発明のCMCは、他の重合体との組み合わせで、練り歯磨き配合物において減少した後増粘と構造組織(structure build)、および向上した初期構造を示す。
【0071】
粘度は練り歯磨きにおける後増粘の1つの尺度である。練り歯磨き試料をバイアルに詰め、そして粘度をTバー型スピンドルを備えるブルックフィールドDV−1を用いて測定した。剪断の影響を防ぐために、ヘリパススタンドを用いて試料を通してスピンドルを下方へ掃引した。粘度を30秒毎に2分間にわたって取り、そして値を平均した。
【0072】
グラフ(図1)のデータから、ほとんどの試料は加工後第1日目から30日まで粘度変化を示したことが分かる。データを100%としての初期粘度に対して規格化すると、時間経過に対する変化はさらに明白である(図2)。実施例7のCMCと他の多糖類または無機塩との組み合わせを用いて調製した練り歯磨きは、実施例7単独を用いて調製した練り歯磨きと比較して低い後増粘を示した。
【0073】
練り歯磨き構造も重要な一面である。この性質は、MN州、ミネアポリスのMTS Systems CorporationからのMTS Servo油圧試験装置系を用いて圧縮するのに要する力によって測定することができる。その装置には半インチのアクリル樹脂シリンダープローブが取り付けられ、練り歯磨き試料は加工後バイアルに充填され、そして攪乱なしで直接測定に付された。
【0074】
実施例7のCMC単独または他の多糖類または無機塩との組み合わせは、カラゲナンおよびザンサンを用いて調製された練り歯磨きと比較して同様のまたはそれらより大きい初期構造を持つ、そして市販CMCである9M31Fを用いて調製された練り歯磨きよりもはるかに大きい初期構造を持つ練り歯磨きをもたらしたことは以下において表3に見ることができる。
【0075】
ピークの圧縮力を30日間にわたってモニターした。大部分の試料は値が変化したことが見いだされた(図3)。図4に示されるように、データが100%としての初期構造値に対して規格化されるならば、比較はさらに容易に行うことができる。図4の規格化されたデータから、実施例7のCMCと他の多糖類または無機塩との組み合わせを用いて調製した練り歯磨き試料は、時間の経過に対してより低い構造組織を有することが分かる。
【0076】
ここに概説される研究から、高次構造および低い後増粘を持つ練り歯磨きは本発明のCMCを他の多糖類若しくは無機塩またはそれらの組み合わせと併用して製造できると結論することができる。
【0077】
この実施例で用いられた練り歯磨きの処方は次のとおりであった:
【0078】
【表4】

【0079】
上記処方においてこの実施例で使用された異なる重合体は次のとおりであった:
【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
この実施例の成分の識別表示および供給会社は次のとおりである:
【0083】
【表7】

【0084】
実施例15
本発明のCMCは飲料配合物において向上した増粘能力を示す。
【0085】
【表8】

【0086】
【表9】

【0087】
セルロースガムまたは重合体を水に混入し、20分間混合する。酸、防腐剤および糖を予備混合し、それを加え、そして5分間混合する。ジュースコンセントレートを加える;3分間混合する。
【0088】
【表10】

【0089】
実施例16
本発明のCMCは食品調合物において向上した増粘能力を示す。
ケーキミックスおよびケーキの例
【0090】
【表11】

【0091】
【表12】

【0092】
乾燥成分を一様に混合されるまでパドル付属物を持つミキサーでブレンドした。水および卵をミックスに加え、そして中速度で3分間混合した。油を塗ったケーキ焼き皿にバターを注ぎ入れ、そして中温オーブン(350°F/177℃)中で30分間焼いた。
【0093】
【表13】

【0094】
実施例17
本発明のCMCは減少した量の使用で有効性を発揮するが、しかもなお従来技術材料との共同成果を達成する。食品配合物中ではフィルム形成性および粘性が高められる。
マーサおよびトウモロコシトルティヤの例
【0095】
【表14】

【0096】
乾燥成分を一様に混合されるまでパドル付属物を持つミキサーでブレンドした。水をミックスに加え、そして中速度で2分間混合した。ドウを50gのボールに分割し、そしてトルティヤプレスで圧搾した。油を塗ってないフライパンでそれらトルティヤを各面1分ずつ焼いた。トルティヤをワイヤーラックで冷却し、ホイルシートで包み、そして1日後に柔軟性および再加熱についてチェックした。
【0097】
【表15】

【0098】
実施例18
本発明のCMCは薬物放出の動力学を果たすことなしで向上した錠剤圧潰強さを示す。
次の配合物を調製した。
【0099】
【表16】

【0100】
実験手順
全成分を20メッシュのスクリーンを通して篩い分けした。次に、マグネシウムを除く全成分を4クォートの低剪断Hobartミキサー中で2分間乾式ブレンドした。その後で水を100g/分の速度で加え、同時に低速攪拌を用いた。Klucelを含んでいる配合物には粉末1500g当たり合計500mLが加えられた。これはNatrosol含有配合物では700gに増量された。湿った塊をトレー乾燥して水分率を2%未満まで落とした。乾燥工程に続いて、それら粒体を、Fitzpatrick Comminutor Fitzmillを用い、刃を前向きにして2300rpmにおいて微粉砕した。小さくなった粒体を次にで0.5%のステアリン酸マグネシウムを添加して潤滑した。この最終混合物をV−ブレンダー中で3分間ブレンドした。
【0101】
圧縮適性
両モデル配合物について図5に示されるように、錠剤マトリックス中にCMC 12M8 pHに代えて実施例7のCMCを含めることは、錠剤の圧潰強さに有意の増加をもたらす。
薬物放出の動力学
圧縮適性は改善されるが、実施例7のCMCを含めても、12M8 pHと比較したとき、その放出の動力学には有意さが出ない。このことは、高度に可溶性の薬物(フェニルプロパノールアミン)および難溶性薬物(テオフィリン)の両者について図6および7に示される。さらに、実施例7のCMC含有配合物とCMC 12M8含有配合物との間には、pH1.5または6.8において相違が明白でなかった。
【0102】
実施例19
本発明のCMCは、ペイント配合物において向上した増粘効率、向上した高剪断粘度(ICI)、改善された飛散抵抗性および改善された耐水性を示す。
【0103】
【表17】

【0104】
【表18】

【0105】
手順:
約200グラムのペイントをローラーで取り上げる。ペイントを垂直の場所に置かれた100x50cmの寸法を持つ木材チップ壁紙に塗布する。ペイントはローラーで上下に10ストローク塗布する。1枚の黒いコーチ紙(carch paper)を壁紙の下線の下50cmの所に水平に置く。その黒い紙の上に捕らえられる飛散の量を、1から10までの等級で評価する一連の参照チャートと比較する。1の等級は飛散がひどいことを意味し、そして10の等級は飛散が完全にないことを表す。
保水率(GRIMSHAWによる)
実験のこの部分で使用される装置は次のとおりである:
【0106】
【表19】

【0107】
手順
1.ペイント/着色剤のブレンドをアルミニウム製カップの中で完全に混合する。粘度に依存して次の比を選ぶことができる:
【0108】
【表20】

【0109】
2.2つの締付環の間に濾紙を置き、これらをペーパークリップで固定する。
3.締め付けられた濾紙を秤量し、そして毛細管ピペットで0.5または1.0グラム(着色ペイントの小塊の流動性に依存する)をその濾紙の中央に適用する。
【0110】
4.室温で一晩乾燥させる。
5.6個の異なるスポット上のペイント中心を回って陰影の付いたしみを平定規により測る。
【0111】
6.mmで表される平均値は保水性の1つの尺度である。低い値が良好な保水性を意味する。
7.使用された試験条件、比およびペイントの量、そしてまたmmでのしみの増加を報告する。
【0112】
この発明を特定の態様に関して説明したが、これらの態様は限定しようとするものではないこと、および多くの変更と改変がこの発明の範囲と精神を逸脱することなく可能であることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】練り歯磨き粘度の時間経過に対するグラフを示す。
【図2】規格化された練り歯磨き粘度の時間経過に対するグラフを示す。
【図3】練り歯磨き構造の時間経過に対するグラフを示す。
【図4】規格化された練り歯磨き構造の時間経過に対するグラフを示す。
【図5】重合体ブレンドの圧潰強さのグラフを示す。
【図6】溶解パーセント薬物の時間経過に対するグラフを示す。
【図7】溶解パーセント薬物の時間経過に対するグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.9未満の相対尿素/水比を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む組成物。
【請求項2】
CMCが0.8未満の相対尿素/水比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
CMCが会合性およびチキソトロープ性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
CMCを製造する方法であって、
a)スラリープロセスで、セルロース源と化学量論量の約40〜80重量%のNaOHとを、アルカリセルロースを形成するのに十分な温度で十分な時間反応させ、
b)上記アルカリセルロースにNaOHの総量をほぼ化学量論レベルにする量のNaOHを加え、そして
c)工程bの直後に工程bにモノクロロ酢酸を十分な量で加え、そしてそのスラリーを、CMC生成物を形成するためにエーテル化をもたらすのに十分な温度で十分な時間反応させる
工程を含む上記の方法。
【請求項5】
エーテル化をもたらす十分な時間および温度が約70℃で約1〜2時間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
CMC生成物が次いで冷却され、過剰の塩基が全て中和され、洗浄され、乾燥され、そして粉砕される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法で製造されたCMC生成物。
【請求項8】
生成物が約0.6〜約1.2の置換度を有する、請求項7に記載のCMC生成物。
【請求項9】
請求項1または7に記載の組成物を含む水性レオロジー調節剤系。
【請求項10】
請求項9の水性レオロジー調節剤系をビヒクル成分として含む組成物であって、組成物が個人ケア用、家庭ケア用、ペイント用、建材および建設用、製剤用、医療ケア用、油田用、鉱物処理用、製紙および紙コーティング用、並びに食品用の組成物より成る群から選ばれる上記の組成物。
【請求項11】
組成物が、(a)約0.1〜約99.0重量%のビヒクル成分および(b)少なくとも1種の活性な個人ケア用成分を含む個人ケア用組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の活性な個人ケア用成分が、消臭剤、皮膚冷却剤、皮膚軟化薬、制汗性活性物質、湿り付与剤、クリンジング剤、日焼け止め活性物質、ヘアトリートメント剤、口内ケア剤、ティシューペーパー製品および美容補助剤より成る群から選ばれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が、(a)約0.1〜約99.0重量%のビヒクル成分および(b)少なくとも1種の活性な家庭ケア用成分を含む家庭ケア用組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の活性な家庭ケア用成分が、工業等級の固形、ゲルおよび液体石鹸活性物質、万能洗浄剤、消毒成分、敷物および室内装飾材料洗浄活性物質、洗濯物柔軟剤活性物質、洗濯物洗剤成分、皿洗い洗剤、便器洗浄剤および布帛サイジング剤より成る群から選ばれる、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
組成物がラテックスを含むペイント組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
ペイント組成物が顔料も含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が目地材、モルタル、コンクリート、コーキング材およびセメントより成る群から選ばれる建材組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が活性薬物を含む製剤組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
製剤組成物が持続放出系である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
組成物が掘削流体および仕上げ流体より成る群から選ばれる油田用組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項21】
組成物がトルティヤ、ケーキミックス、パンミックス、パン、アイスクリーム、サワークリーム、加工チーズスプレッド、チーズ食品および飲料より成る群から選ばれる食品組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項22】
個人ケア用組成物が口内ケア用組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項23】
口内ケア用組成物が練り歯磨きおよび義歯接着剤である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物および乾燥製剤活性成分を含む、固体剤形の形をした製剤組成物。
【請求項25】
請求項1の組成物がバインダーまたはコーティングとして機能する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の組成物および他の水溶性または水膨潤性の重合体を含むブレンド組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の組成物を含む口内ケア用組成物。
【請求項28】
重合体が多糖類、生体高分子、合成重合体および増粘性シリカより成る群から選ばれる、請求項26に記載のブレンド組成物。
【請求項29】
多糖類がヒドロキシエチルセルロース(HEC)、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、メチルセルロース(MC)、カラゲナン、グアール、ヒアルロン酸およびグルコサミノグリカンより成る群から選ばれるノニオン性、アニオン性またはカチオン性重合体である、請求項28に記載のブレンド組成物。
【請求項30】
生体高分子がザンサンガムである、請求項28に記載のブレンド組成物。
【請求項31】
合成重合体がポリエチレングリコール、PEO-PPO、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレートおよびそれらの共重合体、カーボマー、並びに合成クアトより成る群から選ばれるノニオン性、アニオン性またはカチオン性重合体である、請求項28に記載のブレンド組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−514935(P2006−514935A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555816(P2004−555816)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/038100
【国際公開番号】WO2004/048418
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】