合成複合材料構造
第1穿孔パターンを形成する弓状部材を有する連続した金属シートと、前記連続した金属シートの少なくとも一面上のポリマー層とを備えた複合生体材料。前記弓状部材は、連続した金属シートがねじれやしわを生じることなく複数軸で曲がるよう、弾性的に伸張する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー層を有する連続した金属シートを備えた複合生体材料に関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【図1】本開示による複合生体材料の一例を示す図。
【図2】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図3】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図4】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図5】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図6】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図7】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図8】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図9】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図10】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖を有する人工弁の一例を示す図。
【図11】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図12】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図13】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図14A】弓状部材を示す図。
【図14B】直線ビーム部材を示す図。
【図15】図14Aおよび図14Bに示す実施形態にかかる、係数と変形角度との情報を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明の実施形態は、複合生体材料と、複合生体材料を含む装置およびシステムと、複合生体材料の形成・使用方法とに関する。本開示の複合生体材料は、所定の穿孔パターンを有する材料からなる連続した金属シートと、連続した金属シートの少なくとも一面上のポリマー層とを備える。
【0004】
本開示による複合生体材料の実施形態により、周知の材料では得られない向上した機械的特質が得られる。たとえば、この複合生体材料からなる連続した金属シートには、既存の複合材料で生じると知られているフレッチングの状態および/またはせん断の状態が見られない。言い換えれば、本開示による所定の穿孔パターンを有する連続した金属シートは、従来の複合材料に見られることがあるフレッチングによる破損および/または荷重による破損(フィラメント破損に対するポリマー・マトリクス)を生じることがない。本明細書において「フレッチング」とは、ある材料の独立した要素(たとえば、織材または編材のより糸および/または繊維)が互いにずれ、互いに磨耗および/または摩滅する破損状態をいう。一方、所定の穿孔パターンを有する材料からなる連続した金属シートでは、後述するように、フレッチングを生じることなく、複数軸に沿って曲率またはたわみが途切れなく変化する。
【0005】
各種実施形態において、所定の穿孔パターンにより、複合生体材料はあらゆる方向に弾性的に変形可能となる。その結果、シート状の複合生体材料は、座屈なく複数軸で曲がる
よう、弾性的に伸張可能となる。ここで「座屈」とは、滑らかな表面に線、マーク、隆起、または切れ目を形成する、シートが二重になったり曲がったりすることによって生じる短く硬いねじれ、曲げ、または巻きをいう。本書において表面の切れ目とは、空間的および/または時間的に表面の曲率が突然変化し、生体材料に座屈が形成された位置(すなわち、ある滑らかに変化する表面から、別の滑らかに変化する表面へと突然移行する位置)をいう。
【0006】
本書で説明するように、複合生体材料は、所定の穿孔パターンを有する材料からなる連続した金属シートと、ポリマー層との各々について、その所望の特性と物理的特性とを組み合わせたものである。一実施形態においては、連続した金属シートとポリマー層との組み合わせに相乗効果が見られる。さらに、本発明の複合生体材料は、複合生体材料が使用される生物学的環境内で自然に見られるものを模倣可能にする、機械的特性を示す。
【0007】
本書において、「一つの」「前記の」「一つまたは複数の」および「少なくとも一つの」はほぼ同義として用いられ、明確に規定されない限り、複数の対象を含むものとする。定義されない限り、すべての科学的・技術的用語は、関連する技術分野で通常用いられる意味と同義として理解される。本発明を説明するために、全体をとおして、特定の用語を補足的に定義するものとする。
【0008】
本書において「複合生体材料」とは、本開示による少なくとも一つの定義された穿孔パターンを有する材料からなる少なくとも1つの連続した金属シートと、連続した金属シートの少なくとも一面に設けられた本発明のポリマー層とで構成される材料をいう。複合生体材料は、その機械的特性および/または生物学的特性を向上させる所望の充填剤、賦形剤、補助剤、および/またはコーティング剤を含有してもよい。本書において「ポリマー層」とは、後述するように、合成ポリマー、非合成ポリマー、および/または合成ポリマーと非合成ポリマーとの組み合わせをいう。
【0009】
ポリマー層は、一つもしくは複数の合成ポリマーと、一つもしくは複数の非合成ポリマーとの混合物、またはいずれか一方の混合物であってよい。ここで「混合物」とは、互いに均一に分散および/または混合されながらも別々の存在物として保持される、2個以上の成分により形成される状態と定義される。あるいは、ポリマー層は、一つもしくは複数の合成ポリマー、および/または一つもしくは複数の非合成ポリマーの領域に形成されてもよい。二つ以上の領域が使用される場合、領域はその境界面で接合されているものとする。
【0010】
本書において「連続した金属シート」とは、表面がそれ自体で交差せず、表面上の一点から別の一点まで該表面に接触したまま通過できる材料をいう。これは、材料の多数のより糸が互いに織り合さった、織模様または編模様に形成された材料からなるシートと対照的である。多数のより糸で構成される材料に比べ、連続した一片の材料から連続した金属シートを形成することにより、織材または編材のより糸が互いにずれあって生じるフレッチングの問題が解消される。
【0011】
複合生体材料に、本発明の連続した金属シートを複数枚使用してもよい。たとえば、2枚以上の連続した金属シートをポリマー層で隔て、少なくとも部分的に重ね合わせて配置してもよい。さらに、2枚以上の連続した金属シートを、同一の装置内で別々のシートとして用いてもよい。
【0012】
本発明の実施形態によると、後述するように、穿孔パターンはさまざまな工程を経て連続した金属シートに形成される。本明細書において「穿孔パターン」とは、連続した金属シートに設けられた複数の開口(すなわち孔)の所定の配置をいう。また、開口は、部材
と、その部材が延びる基点となる接合点とにより定義される。
【0013】
本明細書において「弧」または「弓状」とは、中心のある曲線形状の一部分をいう。一実施形態において、弧および/または弓状は、直線または線分を含まない。曲線形状とは、円、楕円、双曲線、放射線、超越曲線などの代数曲線を含むが、これらに限られず、その他の種類の曲線も含まれる。
【0014】
直線状の支持部材を含む網目は、直交異方性材料の性質を示す。このため、複数の軸に沿って引張剛性やせん断剛性が過剰に生じる。弓状部材の使用により、直交異方性材料がもつ制約を緩和することができ、表面曲率の変化を滑らかにすることができる。たとえば、図14Bに示すような、(正方形、長方形、および菱形の形状を囲む)平行四辺形1401を形成する網模様を考えてみる。図14Bに示す直線ビームを、図14Aに示す弓状部材に置き換えてもよい。図14Aおよび図14Bに示す網目部分すなわちセグメントの変形は、平行四辺形の1辺の挙動を抜き出すことにより、図15の例Bに示すように、概算することができる。「x」軸に沿ってセグメントが変形すると、その軸の係数(Ex)が材料の係数によって定義され、非常に高い応力を生じる。例Aと同様に、直線ビームを弓状ビームに置き換えることにより、係数はかなり減少する(この場合、ステンレス鋼の直線ビームの係数は、約2×109Paであり、弓状ビームの係数は約6×106Paである。つまり、300倍以上の変化となる)。また、この置き換えにより、曲線Aに示すように、変形角度への依存が少なく、応力の挙動が向上する。図15に示す曲線は、ビームの挙動を一般化したものであり、定量的なものではない。
【0015】
さらに、本発明の複合生体材料は、体内もしくは身体上に置かれるよう、または体液もしくは細胞に接触するよう、設計・構成されることを特徴とする。本発明の複合生体材料は、生物学的安定性や生体適合性があり、血液凝固、細胞死、腫瘍形成、アレルギー反応、異物反応(拒絶)、または炎症反応などの人体の有害反応を最小限にし、意図した機能に必要な強度、弾性、浸透性、可撓性などの物理的特性を備え、かつ精製、加工、殺菌可能なものとする。「生物学的安定性」を有する材料とは、人体によって分解されないものであり、「生体適合性」を有する材料とは、人体によって拒絶されないものである。
【0016】
本発明の複合生体材料は、医療装置に用いられる。本明細書において「医療装置」とは、手術中に血液もしくはその他の体液、および/または組織に、表面が接触する装置として定義される。たとえば、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサ、血液搬送用の管類、および患者に戻される血液に接触する機器など、手術に使用される体外装置である。また、医療装置には、代用血管、ステント、電気刺激用リード線、膀胱スリング、ヘルニア修復機器、腸修復機器、および心臓血管系で使用される弁尖(たとえば、心臓弁、静脈弁)、矯正装置、カテーテル、カテーテルシャフト部材、基端および先端の保護フィルタ、ガイドワイヤ、シャント、センサ、メンブレン、バルーン、およびそれらの装置とともに使用される髄核用、人工内耳用または人工中耳用の置換装置も含まれる。
【0017】
本発明の複合生体材料は、非医療用途にも用いられる。たとえば、本明細書の複合材料の実施形態は、面外変形(たとえば、所定の不均一な変形挙動)に耐え得る薄く丈夫で可撓性と適合性のある材料が必要とされる、各種用途で使用される。これらの用途としては、航空宇宙用途、生産用途、自動車用途などがある。
【0018】
図面は番号付けの規定に従っており、最初の一つまたは複数の桁が図面番号に対応し、残りの桁で図面上の要素または成分が識別される。図面間で類似した要素または成分は、類似した桁数で識別されてもよい。たとえば、110は図1の要素「10」を示し、図2では類似した要素を210としてもよい。弁および/または系についての実施形態を追加するために、各種実施形態に示す要素を追加、交換、および/または削除してもよい。さ
らに、図面に示す要素の比率や相対的な大きさは、本発明の実施形態を説明するためのものであり(すなわち、図面上の要素は正確な縮尺ではなく)、限定的な意味に解釈されないものとする。
【0019】
図1に、本発明の複合生体材料100の一実施形態を示す。複合生体材料100は、連続した金属シート102と、ポリマー層104とを含む。図示のとおり、連続した金属シート102とポリマー層104とは、複合生体材料100の全面に広がる。別の実施形態において、複合生体材料100は、連続した金属シート102とポリマー層104との一方が存在するが他方は存在しない所定の区域を含んでもよい。言い換えれば、所定の区域とは、連続した金属シート102とポリマー層104とのいずれかが途切れる領域である。複合生体材料100は、かかる所定の区域を複数個含んでもよい。
【0020】
各種実施形態において、連続した金属シート102は、接合点108から延びる弓状部材106を有する。図示のとおり、接合点108は、連続した金属シート102において、隣接する接合点108に向かって弓状部材106が延びる基点となる位置である。一実施形態において、接合点108は、3個以上の弓状部材106が一箇所にある部分である。
【0021】
弓状部材106は、第1の表面110と第2の表面112とを有し、この第1の表面110と第2の表面112は、連続した金属シート102において、それらの間に延びる開口114を備えたセル113を画成する。弓状部材106で画成された開口114により、連続した金属シート102に穿孔パターン116が規定される。連続した金属シート102への穿孔パターン116の形成は、さまざまな技術により行われる。たとえば、レーザー切断、水ジェット切断、フォトリソグラフィー技術、砥石切断、エッチング技術などである。穿孔パターン116を有する連続した金属シート102は、周知の方法で平滑化および/または研磨されてもよい。
【0022】
図示のとおり、穿孔パターン116は、繰り返し連続する開口114を含む。一実施形態において、この繰り返し連続する開口114は、接合点108との関係で一様のパターン、規則的なパターン、対照的なパターンに構成される。このため、穿孔パターン116の繰り返し連続する開口114は、同じパターンに構成され、同じ形状(たとえば、型)で、それぞれ同じ表面積となる。言い換えれば、穿孔パターン116は同種パターンである。
【0023】
別の実施形態において、穿孔パターン116は、二つ以上の異なる形状の、繰り返し連続する開口を含んでもよい。この場合、二つ以上の形状は、同じまたは異なる表面積を有するものとする。一実施形態において、この二つ以上の異なる形状は、穿孔パターンを形成するのに用いられる二つ以上の形状をもつ繰り返しブロックを、一つまたは複数規定するよう、体系的に構成されてもよい。たとえば、二つ以上の異なる形状が、連続して繰り返されて穿孔パターンを形成する所定のブロックパターンとして構成されてもよい。あるいは、二つ以上の異なる形状が、穿孔パターンを形成するよう不規則に構成されてもよい。この場合、繰り返し連続する開口は不均一な配置になり、接合点に対して不規則な構成および/または非対称なパターンとなる。言い換えれば、穿孔パターンは異種パターンである。
【0024】
図示のとおり、各弓状部材106は、隣接する接合点108間に延びる一つの弧118を有する。各弓状部材106は、隣接する接合点108間に複数の弧を有してもよい。各種実施形態において、一つの弧118は、さまざまな形状の曲線および/または曲線ベクトル(たとえば、曲線の鋭さ)を有してもよい。たとえば、一つの弧118は楕円状に湾曲してもよい。あるいは、一つの弧118は円状に湾曲してもよい。その他の形状も可能
であり、本明細書で説明する形状のうち、正弦曲線、三次スプライン曲線であってもよいが、これらに限らない。
【0025】
さらに、各種実施形態において、各開口114は対称中心120(すなわち、重心)を含んでもよく、この対称中心120の周囲で、弓状部材106は交互方向に連続して延びる。たとえば、対称中心120の周囲に連続して延びる弓状部材106は、湾曲方向(122)が交互になり、各開口114を定義する。
【0026】
各種実施形態において、接合点108をもつ弓状部材106により、連続した金属シート102は、圧力および/または張力(いずれも正味の力)に応じて弓状部材106が歪曲する(すなわち、弾性的に曲がるか、または伸張する)と、弾性的に伸張可能となる。各種実施形態において、連続した金属シート102は、弓状部材106が移動する方向に、弾性的に伸張可能となる。弓状部材106がこのような特徴を備えているため、連続した金属シート102のせん断応力はあらゆる方向に変形可能となる。さらに、弓状部材106により、連続した金属シート102は、接合点108が整列される方向に伸張可能となる。
【0027】
各種実施形態において、連続した金属シートにより、その弓状部材とポリマー層とのねじり結合が可能になる。ここでポリマー層とは、布強化材および/または繊維強化材を含む複合材料には設けられないものである。連続した金属シートの弓状部材は、ポリマー層とのねじり結合を維持し、これにより、ポリマー層と連続した金属シートとの間で生じるせん断応力が低減される。しかし、布強化材および/または繊維強化材を含む複合材料の場合は異なる。繊維複合材料においては、繊維複合材料が埋め込まれたポリマー・マトリクスに機械的結合が生じる。このため、引張荷重が繊維によって伝わる一方、ねじり負荷がポリマー・マトリクスによって伝わる。ねじり負荷を受けて線繊維材料とポリマー・マトリクスとの界面に荷重が生じ、ここで破損が生じることがある。このような問題は、本発明の複合生体材料にはない。
【0028】
連続した金属シート102の印加される力への応答は、非弓状部材(たとえば、直線状部材)からなる他の支持シートとは対照的である。直線状部材(たとえば、菱形の繰り返しパターンなど)で形成される支持シートでは、弾性的に伸張またはせん断しない軸が複数存在する。これらの軸には、直線状部材とその接合点が整列されて本質的に支柱状のものを形成する軸が含まれ得る。このような構造を有する支持シートは、荷重のかかるすべての方向では弾性的に伸張も圧縮もされない(すなわち、すべての方向にはせん断応力が変形しない)。直線状部材はわずかしか伸張しない場合があるが、本発明の連続した金属シートは、非弓状部材からなる支持シートに比べ、かなりの程度弾性的に伸張する。
【0029】
さらに、直線状部材を備えた支持シートは、座屈なく複数の直交軸で曲がることはできない。本明細書において「座屈」とは、滑らかな表面において線、マーク、または隆起を形成する、シートが二重になったり曲がったりすることによって生じる短く硬いねじれ、曲げ、または巻きをいう。座屈は、シートを複数軸で動かすことにより圧縮力を受けて直線状部材が曲がるとき、この直線状部材を備えた支持シートに生じることがある。直線状部材が曲がると、支持シートの湾曲した表面にしわ(すなわち、隆起または折り目)が形成される。材料が血流に接触するような用途において、このような湾曲表面の乱れはあまり望ましくない。用途として、乱れ(たとえば、しわ)がなく滑らかに連続した表面が、血行力学的な理由により好まれる血管用途が挙げられるが、これに限らない。
【0030】
一方、本発明の複合生体材料100は、座屈なく二つ以上の直交軸を中心に変形可能である。各種実施形態において、複合生体材料100は、複数軸で連続して湾曲する一方、表面に乱れ(たとえば、しわ、座屈、または折り目)を形成することなく、複数次元で曲
率を変化させることができる。これは、連続した金属シート102が座屈なく複数の直交軸(たとえば、三次元)で曲がるよう、弓状部材106が弾性的に伸張可能なためである。座屈がないだけでなく、ポリマー層の表面にわたり滑らかに連続した湾曲を生じさせるよう、連続した金属シート102は二つ以上の直交軸を中心に変形可能であってもよい。言い換えれば、力を受けた状態で、表面が線状に突き出てしわおよび/または途切れを生じることなく、生体材料100の曲げまたはたわみが可能となる。
【0031】
連続した金属シート102には、応力を受けた生体材料100の特徴および/または挙動を調整するために、変更可能なパラメータがいくつかある。たとえば、曲線および/または曲線ベクトルの形状(たとえば、曲線の鋭さ)の変化、並びに部材106および/または接合点108の大きさ(たとえば、幅および/または厚さの変化)を用いて、生体材料100の剛性、整合性、および/または可撓性の動的応答を変更および/または調整してもよい。
【0032】
別の実施形態において、連続した金属シート102は、弓状部材に加え、直線状部材であってもよい。一実施形態において、弓状部材に加え、直線状部材は、平面的な構成および/または一軸の曲げが必要となる用途で有用である。
【0033】
各種実施形態において、弓状部材106は、0.127ミリメートル未満の幅124および/または厚さ126を有してもよい。別の実施形態において、弓状部材106は、0.0762ミリメートル未満の幅124および/または厚さ126を有してもよい。あるいは、幅124および/または厚さ126は、0.254ミリメートルから0.127ミリメートルであってもよい。幅124および/または厚さ126は、0.127ミリメートルから0.0127ミリメートルであってもよい。具体的な実施形態において、幅124と厚さ126は、いずれも0.0254ミリメートル以下である。幅および/または厚さはその他の値であってもよく、本発明の複合生体材料の用途および/または所望の機能によって決定されてもよい。
【0034】
別の実施形態において、部材106および/または接合点108の断面形状および/または大きさを用いて、応力を受けた生体材料100の特徴および/または挙動を変更することができる。たとえば、部材106および/または接合点108は、長さ方向における断面形状が、類似していても、および/または異なっていてもよい。断面形状の類似点および/または相違点は、部材106、接合点108、および/または連続した金属シート102の一部の各部分から導き出せる、一つまたは複数の所望の機能に基づいてもよい。断面形状は、たとえば、長方形、非平面的な構造、円形状(たとえば、円形、長円形、および/または楕円形)、多角形、円弧であるが、その他の断面形状であってもよい。
【0035】
一実施形態において、ここに記載した変更を、連続した金属シート102の全体に行ってもよい。あるいは、ここに記載する変更を、連続した金属シート102における、一つまたは複数の個々の領域に行ってもよい。たとえば、第1の領域は、第1の厚さ、第1の幅、および/または第1の断面形状を有する部材106および/または接合点108を備え、第1の領域と異なる第2の領域は、第2の厚さ、第2の幅、および/または第2の形状を有する部材106および接合点108を備えてもよい。このような変更は、個々の開口114を定義する部材106および接合点108に行ってもよい。言い換えれば、このような変更を一つまたは複数の開口114に行ってもよい。
【0036】
さらに、連続した金属シート102を形成するのに用いる材料を選択することにより、生体材料100の特徴および/または挙動を決定してもよい。たとえば、連続した金属シート102は、耐疲労の機械的特性を十分備えた金属または金属合金から形成されてもよい。このような金属および/または金属合金として、たとえばタンタル、ステンレス鋼合
金である白金を濃縮したステンレス鋼(PRESS、304、316、17−7PH、17−4PH)、タングステン、モリブデン、コバルト合金(たとえば、MP35N、エルジロイ、L605)、Nb−1Zr、白金、金、ロジウム、酸化インジウム、ニチノール、インコネル、およびチタニウムが挙げられる。
【0037】
適切な金属および金属合金としては、さらに、粒状構造をもたないもの、または約5ミクロン未満の微小な粒状構造をもつものがある。このような金属として、たとえば、「メットグラス(Metglas)」(サウスカロライナ州コーンウェイのメットグラス(登録商標)社)が販売するものや、その他の金属および金属合金であってもよい。
【0038】
ポリマー層104は、応力を受けた生体材料100の特徴および/または挙動を調整するのに用いられてもよい。たとえば、ポリマー層104は、生体材料100の機械的特性を変更するのに用いられる異方性の引張特性を備えてもよい。これらの異方性の引張特性は、ポリマー層104の鎖状構造、配向、架橋結合、および分子量によって決定されてもよい。
【0039】
各種実施形態において、配向ポリマーは、一軸、二軸、または複数軸などに配向したものがある。少なくとも一つの主軸に分子構造(たとえば、ポリマー鎖)を整列するよう、配向ポリマーは加工(たとえば、伸張および/または圧縮)される。一軸配向ポリマーは一軸に配向され、二軸配向ポリマーは直交する二軸に配向される(たとえば、二軸における平面配向構造)。特に、配向ポリマーは、配向しない軸に比べ、配向する軸においてたわみにくい。
【0040】
二軸配向ポリマーとしては、もともと等方性があり、その後直交する二方向に同時に伸張されてあらゆる面内方向に変形するポリマーがある。具体的には、わずかにせん断が生じた配向で、気体によって拡張してあらゆる方向に同時に伸張される、膨張したポリマーフィルムがある。伸張された結果、配向の分布および係数の分布が円形状および/またはわずかに楕円形状の材料となる。あるいは、二軸配向ポリマーは、まず一方向に伸張されて最初の配向が変化しており、その後別の方向に伸張されて二方向に配向する材料となるものでもよい。
【0041】
別の実施形態において、ポリマー層104は、それぞれ異なる配向をもつ層を組み合わせた積層ポリマー材料であってもよい。これらのポリマー材料は、クロスプライ積層とよばれることもある。
【0042】
一実施形態において、ポリマー層104の配向方向が、連続した金属シート102の穿孔パターン116に対して、所定の方向に整列されてもよい。たとえば、ポリマー層104の配向は、穿孔パターン116の接合点108の横列、縦列、および/または対角線に対して整列されるか、または平行にされてもよい。あるいは、ポリマー層104の配向は、穿孔パターン116の接合点108の横列、縦列、および/または対角線に対してずらしてもよい(すなわち、整列されなくてよい)。ポリマー層104と穿孔パターン116の配向の相対位置が異なると、応力を受けた生体材料100の特性および/または挙動も変化する。
【0043】
ポリマー層104は、複数の異なる合成ポリマーと非合成ポリマーとから形成されてもよい。一実施形態において、ポリマー層104は、自家移植材料、同種異系材料、または異種移植材料から得てもよい。異種移植材料は、豚、馬、羊などの哺乳類から得られるが、これらに限られない。ポリマー層104が形成されるその他の生物由来物質としては、移植した血管、心膜、大腿筋膜、採取された心臓弁、膀胱、血管壁、各型のコラーゲン、エラスチン、腸粘膜下組織、および、小腸粘膜下組織(SIS)、羊膜組織、臍静脈など
、細胞化しない基底膜の材料がある。
【0044】
あるいは、ポリマー層104は、合成材料から形成されてもよい。合成材料は、材料の生体適合性を向上させるように材料の有孔率を増加させるよう形成してもよい。このような技術として、たとえば、エクスパンジョン、エレクトロスピニング(電気紡糸)、編組(braiding)、ニッティング(knitting)、または織り合わせなどで材料を処理してもよい。一実施形態において、合成材料は細胞活動に好ましい表面を備え、管内の流体すなわち血液が最小量となるよう、バランスのとれた有孔率を有する。
【0045】
このような合成材料としては、たとえば、伸張ポリテトラフルオロエチレン、(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの蛍光ポリマー、ポリスチレン―ポリイソブチレン―ポリスチレン(SIBS)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、 シリコーン、 ポリウレタン、セグメント化ポリカーボネートウレタン、ポリウレタンエーテル、ポリウレタンエステル、ポリウレタン尿素などのエラストマー、およびそれらの混合物や共重合体があるが、これらに限られない。また、生物分解可能なポリマーや、(生物分解可能または生物分解不可能な)電気紡糸したポリマーを用いることもできる。
【0046】
複合生体材料100のポリマー層104には、任意で賦形剤を加えてもよい。一実施形態において、賦形剤は、有孔からの流体の流れを防ぐ力を向上させるために、有孔ポリマーの有孔を一時的に埋める物質であってもよい。このような充填剤としては、たとえば、生体内での耐性が十分あり、分子量によって低速または高速で溶解するポリエチレングリコールのバリエーションがある。賦形剤は、材料の機能を向上させる生理活性の役割も担っている。たとえば、タンパク質および/またはペプチドを含む塗布剤を用いて、内皮細胞が表面に伸びやすい好ましい状態にし、治癒力を高めてもよい。同様に、ヘパリンまたはその他の血栓板活性物質を塗布して、弁尖表面への線繊維沈着を抑えることができる。
【0047】
適切な合成材料としては、たとえば、2002年7月23日に出願された米国特許出願10/200,997の「適合性積層のステント装置(Conformal alaminate stent device)」や、2001年10月30日に出願された米国特許出願10/012,919の「緑蛍光ポリマー管、およびそれを用いた血管プロテアーゼ(Green fluoropolymer tube and endovascular prosthesis formed using same)」に記載されたものがある。いずれの文献も、本明細書において参照として引用している。
【0048】
各種実施形態において、ポリマー層104は、連続した金属シート102の第1表面110および/または第2表面112の少なくとも一つに設けられる。一実施形態において、ポリマー層104は、連続した金属シート102の第1表面110と第2表面112との両方に設けられてもよい。また、ポリマー層104は、連続した金属シート102の第1表面110と第2表面112とのうち、一方に設けられてもよい。
【0049】
各種実施形態において、ポリマー層104は、多くの技術を用いて連続した金属シート102に接合され得る。たとえば、ヒートシーリング、溶剤結合、接着、または塗布剤を使用するなどの技術があるが、これらに限られない。たとえば、十分な圧力と熱により(たとえば溶融により)、連続した金属シート102の開口114を介して、接触点で層を密着させてもよい。あるいは、一つまたは複数のポリマー層104の表面を軟化または溶解し、層が混ざり合って密着するように、接着剤系および/または溶媒系を用いてポリマー層104を連続した金属シート102に付着させてもよい。層を互いに付着させるその他の手段として、本書に引用される、2002年7月23日に出願された米国特許出願10/200,997の「適合性積層のステント装置(Conformal alamin
ate stent device)」に記載されたものがある。
【0050】
ポリマー層104は、いくつかの表面処理または材料処理により、処理および/またはコーティングされてもよい。たとえば、血栓形成を調整するもの、細胞の内方成長、貫通成長、内皮細胞増殖を促進するもの、感染への耐性があるもの、および硬化を抑えるものなどの生物活性物質を用いた処理があるが、これらに限られない。
【0051】
本発明の実施形態は、別の穿孔パターンを形成するのに用いられるさまざまな開口構造も含む。たとえば、図2に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート202の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート202は、接合点208から延びて、穿孔パターン216において開口214を有するセル213を定義する、弓状部材206を含む。
【0052】
図1に示した穿孔パターンと同様に、穿孔パターン216は、一つの弧218を有する弓状部材206を含む。一方、図1とは対照的に、各開口214は、図1に示す部材より多くの弓状部材206で定義される。図示のとおり、6個の弓状部材206により一つの開口214が定義されるが、図1では4個の弓状部材で一つの開口が定義される。穿孔パターンの開口を定義するのに用いられる弓状部材の数は、3個、5個、7個、および/または8個など、その他の数であってもよい。
【0053】
図3に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート302の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート302は、接合点308から延びて、穿孔パターン316において開口314を有するセル313を定義する、弓状部材306を含む。
【0054】
本実施形態の弓状部材306の各々は、二つの弧318を定義する。言い換えれば、接合点308から延びる各弓状部材306により、それぞれ別の方向に湾曲して次の接合点308で切れる二つの弧318が定義される。たとえば、弓状部材306の二つの弧は、一組の隣接する接合点308をつなぐ直線332に対し、逆の方向に延びる。一実施形態において、弓状部材306の二つの弧318は、一組の隣接する接合点308をつなぐ直線332を二分する。
【0055】
湾曲の方向が異なるだけでなく、弓状部材306の弧は、長さ、曲線および/または曲線ベクトルの形状が異なってもよい。たとえば、各弓状部材306の二つの弧318の長さは、等しくてもよい。あるいは、各弓状部材306の二つの弧318の長さは、異なってもよい。さらに、弓状部材306の二つの弧は、さまざまな曲線形状を有してもよい。あるいは、弓状部材306の二つの弧の形状として、本書に記載のものから異なる形状を選んでもよい。
【0056】
図4に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート402の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート402は、接合点408から延びて、穿孔パターン416において開口414を有するセル413を定義する、弓状部材406を含む。
【0057】
図3に示した穿孔パターンと同様に、穿孔パターン416は、二つの弧418を有する弓状部材406を含む。一方、図3とは対照的に、各開口414は、図3に示す部材より多くの弓状部材406で定義される。図示のとおり、6個の弓状部材406で一つの開口414が定義されるが、図3では4個の弓状部材で一つの開口が定義される。穿孔パターンの開口を定義するのに用いられる弓状部材の数はこれに限られない。さらに、弓状部材406の弧は、長さ、形状、および/または曲線ベクトルが異なってよい。
【0058】
図5に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート502の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート502は、接合点508から延びて、穿孔パターン516において開口514を有するセル513を定義する、弓状部材506を含む。穿孔パターン516は、それぞれ二つの弧518を定義する弓状部材506を含む。図4とは対照的に、弧518の長さと曲線ベクトル(たとえば、曲線の半径)は、図4に示す弧の長さと曲線ベクトルよりも大きい。
【0059】
図6に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート602の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート602は弓状部材606を有し、この部材606は角度625をなす。これは、本明細書で説明するその他の弓状部材の滑らかな曲線とは対照的である。
【0060】
さらに、図6に示す連続した金属シートの一実施形態においては、穿孔パターン616の開口614を有するセル613が、二つの異なる形状・大きさを有する。たとえば、穿孔パターン616は、第1セル626と第2セル627とからなり、この第1セル626は、第2セル627とは異なる形状・大きさ(たとえば、面積)を有する。
【0061】
図7に、本発明の複合生体材料に用いられる、別の連続した金属シート702を示す。図示のとおり、連続した金属シート702は、第1セット部材732を含む。この第1セット部材732は、各部材732の角部736から、放射パターン734に沿って延びる。
【0062】
各種実施形態において、各第1セット部材732の角部736は、中心軸738上に整列されてもよい。一実施形態において、中心軸上に整列された部材732の放射パターン734は、部材732に対しV字パターンをなす。連続した金属シート702は、第2セット部材740も含む。この第2セット部材740は、接合点708で第1セット部材732に交差するよう延びる。図示のとおり、第1セット部材732と第2セット部材740は、直線形状を有する。
【0063】
図示のとおり、連続した金属部材702は、少なくとも二つの形状の部材732,740で定義される開口714を含む。本実施形態において、第1セット部材732と第2セット部材740とにより、角部736を含む中心セル742が定義される。第1セット部材732と第2セット部材740とにより、中心セル742とは異なる構造のユニットセル744も定義される。一実施形態において、中心軸738は、第1セット部材732および第2セット部材740の対称軸となる。
【0064】
図示のとおり、連続した金属シート702の各中心セル742は、二つの第1セット部材732と二つの第2セット部材740とで定義される6辺を有する。本実施形態において、中心セル742は、くぼみ付きの六角形に構成される。一方、ユニットセル744は、二つの第1セット部材732と二つの第2セット部材740とで定義される4辺を有する。各種実施形態において、ユニットセル744は、偏菱形の形状および/または菱形の形状を有してもよい。
【0065】
図8に、本発明の複合生体材料に用いられる、別の連続した金属シート802を示す。図示のとおり、連続した金属シート802は、第1セット部材832を有する。この第1セット部材832は、各部材832の角部836から放射パターン834に沿って延びる。
【0066】
各種実施形態において、各第1セット部材832の角部836は、中心軸838上に整
列されてもよい。一実施形態において、中心軸上に整列された部材832の放射パターン834は、部材832に対しV字パターンをなす。連続した金属シート802は、第2セット部材840も含む。この第2セット部材840は、接合点808で第1セット部材832に交差するよう延びる。一実施形態において、中心軸838は、第1セット部材832および第2セット部材840の対称軸となる。
【0067】
図示のとおり、第1セット部材832は、繰り返し連続する単一弧818を含む。この単一弧818は、各接合点808で湾曲の方向が変化する。各種実施形態において、第2セット部材840は直線形状を有する。別の実施形態において、部材の弧は、各接合点で同じ方向に湾曲する。この場合、中心軸の両側で湾曲が逆の方向になる。連続した金属シートに対し、直線状部材と弓状部材とをさまざまに組み合わせて用いることにより、図7および図8に示すような放射パターンが形成される。これらのパターンと、部材の弧の方向とを変化させることにより、複合生体材料の機械的特質を変化させてもよい。
【0068】
図示のとおり、連続した金属シート802は、少なくとも二つの形状の部材832,840で定義される開口814を含む。図8において、部材832,840により、互いに鏡像をなす形状の第1セル850と第2セル852とが定義される。さらに、第1セル850と第2セル852とはキラルである(すなわち、重なり合わない)。直線状部材と弓状部材とを他の組み合わせで用いることにより、第1セルと第2セルを、互いに鏡像をなしてキラリティを有する別のパターンに形成してもよい。
【0069】
各種実施形態において、各セルの総面積は、0.00015平方センチメートルから0.40平方センチメートルまでの所定の値であってよい。たとえば、図3に示す各セルの総面積は、0.0031平方センチメートルであってもよい。その他の例として、図4に示す各セルの総面積は、0.0043平方センチメートルであってもよく、図5に示す各セルの総面積は、0.017平方センチメートルであってもよい。
【0070】
各種実施形態において、連続した金属シートの部材の各部分は、異なる相対寸法で表される。たとえば、部材の幅と厚さは、0.508センチメートル(0.002インチ)未満であり、長さは幅または厚さの少なくとも10倍であり、幅は厚さ以下であってもよい。別の実施形態において、部材の幅と厚さは、0.004センチメートル(0.0015インチ)未満であり、長さは幅と厚さの少なくとも20倍であり、幅は厚さ以下であってもよい。このような弓状部材の厚さと幅の相対比は、部材と連続した金属シートの可撓性に大きく影響する。
【0071】
さらに、図示される連続した金属シートのセルは、連続した金属シートの表面積の大部分を占める開口領域(すなわち、開口)を有する。たとえば、図1から図8に示す実施形態において、開口領域は、弓状部材と接合点とで定義されるセルの総面積の78パーセントから91パーセントであってもよい。別の実施形態において、セルの開口領域は、弓状部材と接合点とで定義されるセルの総面積の70パーセントから98パーセントであってもよい。さらに別の実施形態において、セルの開口領域は、弓状部材と接合点とで定義されるセルの総面積の85パーセントから95パーセントであってもよい。
【0072】
さらに、本発明の複合生体材料は、本書で説明する各種用途に有用な機械的特性をさらに備えてもよい。たとえば、複合生体材料の連続した金属シートのポアゾン比は、負の値(縦(横)方向に引っ張ると横(縦)方向に肥大する値)であってもよい。言い換えれば、本発明の複合生体材料は、一方向に伸張されると垂直方向に広がる。
【0073】
たとえば、図1および図2に示す実施形態において、ポアゾン比は負の値であってもよい。別の実施形態として、図3および図4に示す実施形態においては、複合生体材料の大
きさと、複合生体材料にかかる荷重の方向とによっては、ほぼ0のポアゾン比であってもよい。
【0074】
各種実施形態において、上記穿孔パターンのアスペクト比を用いて、複合生体材料のポアゾン比を調整してもよい。別の実施形態において、複合生体材料の連続した金属シートでは、0.5以上のポアゾン比であってもよい。
【0075】
本発明の複合生体材料は、さまざまな用途で用いられる。たとえば、複合生体材料は、人工弁(たとえば、心臓弁および/または静脈弁)に用いられる、弁尖すなわち小葉を形成するのに使用されてもよい。天然の弁尖は、構造物の表面上で複雑な異方性をもつ。たとえば、天然の弁尖は、弁尖の位置によってさまざまな度合いの剛性と弾性を示す。天然の弁尖においては、コラーゲン繊維により弁組織が強化され、構造条件として完全なものとなる。天然の心臓弁組織は、コラーゲン繊維の繊維束からなる複合材料である。これらの繊維束は、特別な構造および配向をなし、弁尖にかかる応力に応じて、所望の機械的挙動を示すものである。これは、コラーゲンの繊維束の配向が応力と一致するためである。
【0076】
本発明の複合生体材料は、天然の弁尖の機械的挙動を模倣するのに用いられてもよい。記載のとおり、少なくとも一つの穿孔パターンとポリマー層とを有する連続した金属シートを選択し、組み合わせて用いることにより、弁尖にわたり応力が均一に分散するよう、弁尖を調整してもよい。さらに、高い動的引張強度および曲げ応力を操作し、かつ、弁の開閉時に弁尖に生じる歪みやしわが最小となるよう、本発明の複合生体材料を調整してもよい。
【0077】
図9に、本発明の複合生体材料900で形成された弁尖すなわち小葉960を示す。一実施形態において、弁尖960は、継ぎ目領域962、弁尖本体領域964、張力緩和領域966、および接合領域968からなる。一実施形態において、これらの領域962,964,966,968は、天然の弁尖の複雑な特性を模倣するよう、弁尖960の機械的特性を調整して構成した穿孔パターンを、一つまたは複数含んでもよい。
【0078】
一実施形態において、複合生体材料のさまざまな領域が特定の望ましい挙動を示すよう、一つもしくは複数の領域962,964,966,968のいずれか、またはすべてに対し、さまざまな穿孔パターンを用いてもよい。たとえば、複合生体材料900の連続した金属シート902は、一つまたは複数の領域(たとえば、継ぎ目領域962)に対し第1の整合性をもつ第1穿孔パターン968と、弁尖960の一つまたは複数の領域(たとえば、接合領域968)に対し、第1穿孔パターンの整合性とは異なる整合性をもつ第2穿孔パターン970もしくは同様のパターンで大きさ(支持部材の幅、厚み、もしくはパターンのセルの大きさ)の異なるものとを含んでもよい。弁尖960の複合生体材料900には、二つ以上の穿孔パターンを用いてもよい。
【0079】
弁尖960は、境界縁972も有してよい。一実施形態において、境界縁972は、複合生体材料900の周囲部974の少なくとも一部を定義してもよい。一実施形態において、境界縁972と穿孔パターンは、連続した金属シート902で形成される。境界縁972は、複合生体材料900のたわみを可能にするか、またはたわみ力を増大させる一連のたわみ部材で、連続した金属シート902の穿孔部分に接続されてもよい。
【0080】
境界縁972の構成は、複合生体材料900の一つまたは複数の穿孔パターンとは異なってもよい。たとえば、図9に示すように、境界縁972は、弁尖960を心臓弁の縁に固定するための留め具が嵌め込まれる孔973を備えた、連続した金属シート902の細い一片である。弁尖960を弁の縁に固定するための金具としては、リベットおよび/または縫合糸などがある。その他の留め具または結合機構(たとえば、ステープル、接着剤
、および/または溶接)を使用してよい。
【0081】
図10に、弁尖1060を供えた弁1076の一実施形態を示す。この弁尖1060の表面には、弁1076から一方向に流れる液体を表裏で密閉する孔が定義される。本実施形態において、弁1076は、二つの弁尖1060からなる二小葉の構成をなすが、単小葉、三小葉、および/または多小葉の構成も可能である。
【0082】
弁1076は、弁尖1060が取り付けられた縁1078を有してもよい。弁尖1076は開口状態と閉口状態を繰り返し、弁1076の管腔から一方向に液体を流す。弁1076と弁縁1078の実施形態は、本書に引用される、2005年6月10日に出願された同時係属出願の米国特許出願11/150,331(DKT#04−0081US)、「静脈弁、システム、および方法(Venous Valve,System, and
Method)」に記載されている。
【0083】
一実施形態において、弁尖1060の継ぎ目領域1062には、弁1076の管腔1080から一方向に流体を流す、表裏で密閉可能な孔がある。上記同時係属出願の特許出願に記載されるように、弁1072は、各種材料でさまざまな構成に形成されてもよい。
【0084】
一実施形態において、縁1076は、縁が開口した単一の構造であってもよい。縁が開口した構成として、たとえば、縁1076にわたり開口1084を定義する縁部材1082がある。本発明の複合生体材料1000で形成される弁尖1060は、この縁1076にわたり放射状に崩れて拡張し、弁1076から一方向に液体を流す。
【0085】
図示のとおり、縁1076は、弁尖接続領域1086を有する。この弁尖接続領域1086において、弁尖1060の境界縁1072は縁1076に取り付けられる。一実施形態において、弁尖1060は、リベット1088によって弁尖接続領域1086に取り付けられる。一実施形態において、リベット1088は、縁1076の材料で作成される。あるいは、リベットは、境界縁1072の孔1073と縁部材1082の孔とを介して固定される、別々の要素である。
【0086】
一実施形態において、リベットは、弁1076の移植時に弁1076の位置、配置、および配向(たとえば、軸方向位置、方向位置、および/または時計位置)が目視される放射線不透過物質(たとえば、金、タンタル、白金)で形成されるか、またはコーティングされてよい。
【0087】
連続した金属シートの穿孔パターンは、二つ以上の形状を有する、繰り返し連続する開口を含んでよい。この場合、二つ以上の形状は、表面積が同じであっても、異なってもよい。言い換えれば、穿孔パターンは、連続した金属シートの表面にわたり途切れなく変化するものであってもよい(すなわち、対称軸上に同じ穿孔は二つとない)。
【0088】
一実施形態において、このように穿孔パターンが途切れなく変化するため、前述のように、複合生体材料に切れ目が生じるのを防ぐことができる。各種実施形態において、穿孔パターンを途切れなく変化させることにより、たとえば弁の小葉として用いた場合に、複合生体材料の表面にわたり応力を分散することもできる。複合生体材料の表面にわたりより均一に応力を分散することにより、複合生体材料の曲率変化を滑らかにすることができる(すなわち、切れ目を生じない)。
【0089】
図11から図13に、このような異種穿孔パターン1116,1216,1316を示す。図示のとおり、穿孔パターン1116,1216,1316は、通常、弁尖本体領域1164,1264,1364の中心領域1192,1292,1392に沿って、初期
穿孔パターン1190,1290,1390を有する。連続した金属シート1102,1202,1302が、境界縁1172,1272,1372、接合領域1168,1268,1368、および継ぎ目領域1162,1262,1362に向かって広がるにつれ、初期穿孔パターン1190,1290,1390の形状は変化する。
【0090】
一実施形態において、初期穿孔パターン1190,1290,1390の形状変化は、中心領域1192,1292,1392を中心に対称をなす。あるいは、一実施形態において、初期穿孔パターン1190,1290,1390の形状変化は、中心領域1192,1292,1392を中心に非対称をなしてもよい。
【0091】
図11および図12に示す実施形態は、接合領域1168,1268における連続した金属シート1102,1202の異なるパターンを示す。図示のように、接合領域1168,1268の穿孔パターン1116,1216は、曲線パターン1194,1294を有する連続した金属シート1102,1202の端部を備えてもよい。各種実施形態において、連続した金属シート1102,1202の曲線パターン1194,1294は、曲線パターンを含まない接合領域よりも高い可撓性を、接合領域1168,1268にもたすものであってもよい。さらに、曲線パターン1194,1294は、ポリマー層1104,1204が固定されるさらに別の表面を有してもよい。
【0092】
各種実施形態において、連続した金属シート1102,1202の端部における曲線パターン1194,1294の振幅と周波数は、連続した金属シート1102,1202の残りの穿孔パターンによって決定される。たとえば、穿孔パターンが比較的可撓性のある連続した金属シートを規定するとき、曲線パターンの振幅は比較的高くなければならない。同様に、穿孔パターンが比較的剛性のある連続した金属シートを規定する場合、曲線パターンの振幅は比較的小さくなければならない。
【0093】
連続した金属シート1102,1202,1302により、張力緩和領域1166,1266,1366の実施形態も示す。図示のとおり、張力緩和領域1166,1266,1366は、境界縁1172,1272,1372と、残りの連続した金属シート1102,1202,1302との間の移行領域である。一実施形態において、張力緩和領域1166,1266,1366は、第1の厚さおよび/または第1の幅(1196,1296,1396)から、第1の厚さよりも薄い第2の厚さおよび/または第2の幅(119
8,1298,1398)へ移行する支持部材部分を有する。たとえば、張力緩和領域1166,1266,1366の連続した金属シート1102,1202,1302の支持部材は、連続した金属シート1102,1202,1302が境界縁1172,1272,1372と結合すると、大きさおよび/または形状が変化する。
【0094】
本発明の弁尖は、さまざまな方法により形成される。たとえば、一実施形態において、一つまたは複数の所望の穿孔パターンが、連続した金属シートに形成されてもよい。そして、一つまたは複数のポリマー層をこの連続した金属シートに設けて、複合生体材料を形成してもよい。さらに、材料の所望の用途に基づいて、この複合生体材料を何らかの形状にしてもよい。
【0095】
別の実施形態において、複合生体材料の特徴、および/または複合生体材料で形成される物体の特徴を用いて、物体を形成してもよい。たとえば、上記の図7および図8に示すとおり、本発明の複合生体材料の実施形態には、対称軸を説明したものがある。また、対称軸を有する複合生体材料から形成可能な物体が説明されている。一例として、継ぎ目領域をほぼ二等分にするある点から弁尖の底部の一点に向かって対称軸が伸張して弁尖を横方向に二等分する、弁尖がある。本発明の複合生体材料で弁尖を形成する場合、対象軸として、図7および図8に示す連続した金属シートの対称軸を用いてもよい。
【0096】
別の実施形態において、物体(たとえば弁)を形成する前に、複合生体材料に歪場を形成するか、または歪場をもたせてもよい。一実施形態において、複合生体材料にこの歪場を設けて、連続した金属シートに穿孔パターン形成してもよい。一実施形態において、歪場を設けて形成した所定の穿孔パターンは、歪みのない連続した金属シートの初期穿孔パターンとは異なる。
【0097】
本発明の実施形態において、生体複合材料は、中心軸上に整列される各角部から放射パターンに沿って延びる第1セット部材と、第1セット部材に交差する第2セット部材とを有する連続した金属シートと、連続した金属シートの少なくとも一面に設けられたポリマー層とからなる。各種実施形態において、角部から放射パターンに沿って延びる第1セット部材は、V字パターン状に延びる。各種実施形態において、第1セット部材と第2セット部材は直線形状を有する。各種実施形態において、第1セット部材は弓状形状を有する。各種実施形態において、第2セット部材は弓状形状を有する。各種実施形態において、第1セット部材の弓状形状は、連続した金属シートが座屈なく複数軸で曲がるよう、弾性的に伸張する。各種実施形態において、第1セット部材と第2セット部材とにより、角部を含む中心セルが定義される。各種実施形態において、連続した金属シートの各中心セルは、二つの第1セット部材と二つの第2セット部材とで定義される6辺を有する。各種実施形態において、中心セルはくぼみ付きの六角形である。各種実施形態において、第1セット部材と第2セット部材とにより、中心セルと構造の異なるユニットセルが定義される。各種実施形態において、ユニットセルは偏菱形である。各種実施形態において、中心軸は、第1セット部材および第2セット部材の対称軸である。
【0098】
本発明を、上記のとおり詳細に図示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに変更・修正が可能なことは、当業者に明らかである。たとえば、一つまたは複数の穿孔パターンを有する連続した金属シートは、生体材料の用途および/または非生体材料の用途において、ポリマー層を含まず単体で用いられてもよい。このように、上記の説明と図示は説明のためのものであり、これらに制限されない。本発明の実際の範囲は下記の請求項により定義されるものとし、請求項によって権利化されるすべての同等物も含まれるものとする。さらに、当業者においては、本発明を読み理解することにより、記載される各種変更例も本発明の範囲に含まれるものと理解されたい。
【0099】
上記の詳細な説明においては、開示を合理的にするために、さまざまな特徴の根拠を複数の実施形態にまとめている。このような開示方法は、各請求項で明示されるより多くの特徴を本開示の実施形態が必要とすることを意図していると解釈すべきではない。むしろ、下記の請求項で明らかなように、発明の主題は各実施形態に開示されたすべての特徴よりも少ない。このため、下記の請求項を上記の詳細な説明に含み、各請求項はそれぞれ別の実施形態としてそれ自体成立するものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー層を有する連続した金属シートを備えた複合生体材料に関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【図1】本開示による複合生体材料の一例を示す図。
【図2】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図3】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図4】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図5】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図6】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図7】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図8】本開示による複合生体材料の連続した金属シートの一例を示す図。
【図9】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図10】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖を有する人工弁の一例を示す図。
【図11】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図12】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図13】本開示による複合生体材料の一実施形態により形成された、弁尖の一例を示す図。
【図14A】弓状部材を示す図。
【図14B】直線ビーム部材を示す図。
【図15】図14Aおよび図14Bに示す実施形態にかかる、係数と変形角度との情報を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明の実施形態は、複合生体材料と、複合生体材料を含む装置およびシステムと、複合生体材料の形成・使用方法とに関する。本開示の複合生体材料は、所定の穿孔パターンを有する材料からなる連続した金属シートと、連続した金属シートの少なくとも一面上のポリマー層とを備える。
【0004】
本開示による複合生体材料の実施形態により、周知の材料では得られない向上した機械的特質が得られる。たとえば、この複合生体材料からなる連続した金属シートには、既存の複合材料で生じると知られているフレッチングの状態および/またはせん断の状態が見られない。言い換えれば、本開示による所定の穿孔パターンを有する連続した金属シートは、従来の複合材料に見られることがあるフレッチングによる破損および/または荷重による破損(フィラメント破損に対するポリマー・マトリクス)を生じることがない。本明細書において「フレッチング」とは、ある材料の独立した要素(たとえば、織材または編材のより糸および/または繊維)が互いにずれ、互いに磨耗および/または摩滅する破損状態をいう。一方、所定の穿孔パターンを有する材料からなる連続した金属シートでは、後述するように、フレッチングを生じることなく、複数軸に沿って曲率またはたわみが途切れなく変化する。
【0005】
各種実施形態において、所定の穿孔パターンにより、複合生体材料はあらゆる方向に弾性的に変形可能となる。その結果、シート状の複合生体材料は、座屈なく複数軸で曲がる
よう、弾性的に伸張可能となる。ここで「座屈」とは、滑らかな表面に線、マーク、隆起、または切れ目を形成する、シートが二重になったり曲がったりすることによって生じる短く硬いねじれ、曲げ、または巻きをいう。本書において表面の切れ目とは、空間的および/または時間的に表面の曲率が突然変化し、生体材料に座屈が形成された位置(すなわち、ある滑らかに変化する表面から、別の滑らかに変化する表面へと突然移行する位置)をいう。
【0006】
本書で説明するように、複合生体材料は、所定の穿孔パターンを有する材料からなる連続した金属シートと、ポリマー層との各々について、その所望の特性と物理的特性とを組み合わせたものである。一実施形態においては、連続した金属シートとポリマー層との組み合わせに相乗効果が見られる。さらに、本発明の複合生体材料は、複合生体材料が使用される生物学的環境内で自然に見られるものを模倣可能にする、機械的特性を示す。
【0007】
本書において、「一つの」「前記の」「一つまたは複数の」および「少なくとも一つの」はほぼ同義として用いられ、明確に規定されない限り、複数の対象を含むものとする。定義されない限り、すべての科学的・技術的用語は、関連する技術分野で通常用いられる意味と同義として理解される。本発明を説明するために、全体をとおして、特定の用語を補足的に定義するものとする。
【0008】
本書において「複合生体材料」とは、本開示による少なくとも一つの定義された穿孔パターンを有する材料からなる少なくとも1つの連続した金属シートと、連続した金属シートの少なくとも一面に設けられた本発明のポリマー層とで構成される材料をいう。複合生体材料は、その機械的特性および/または生物学的特性を向上させる所望の充填剤、賦形剤、補助剤、および/またはコーティング剤を含有してもよい。本書において「ポリマー層」とは、後述するように、合成ポリマー、非合成ポリマー、および/または合成ポリマーと非合成ポリマーとの組み合わせをいう。
【0009】
ポリマー層は、一つもしくは複数の合成ポリマーと、一つもしくは複数の非合成ポリマーとの混合物、またはいずれか一方の混合物であってよい。ここで「混合物」とは、互いに均一に分散および/または混合されながらも別々の存在物として保持される、2個以上の成分により形成される状態と定義される。あるいは、ポリマー層は、一つもしくは複数の合成ポリマー、および/または一つもしくは複数の非合成ポリマーの領域に形成されてもよい。二つ以上の領域が使用される場合、領域はその境界面で接合されているものとする。
【0010】
本書において「連続した金属シート」とは、表面がそれ自体で交差せず、表面上の一点から別の一点まで該表面に接触したまま通過できる材料をいう。これは、材料の多数のより糸が互いに織り合さった、織模様または編模様に形成された材料からなるシートと対照的である。多数のより糸で構成される材料に比べ、連続した一片の材料から連続した金属シートを形成することにより、織材または編材のより糸が互いにずれあって生じるフレッチングの問題が解消される。
【0011】
複合生体材料に、本発明の連続した金属シートを複数枚使用してもよい。たとえば、2枚以上の連続した金属シートをポリマー層で隔て、少なくとも部分的に重ね合わせて配置してもよい。さらに、2枚以上の連続した金属シートを、同一の装置内で別々のシートとして用いてもよい。
【0012】
本発明の実施形態によると、後述するように、穿孔パターンはさまざまな工程を経て連続した金属シートに形成される。本明細書において「穿孔パターン」とは、連続した金属シートに設けられた複数の開口(すなわち孔)の所定の配置をいう。また、開口は、部材
と、その部材が延びる基点となる接合点とにより定義される。
【0013】
本明細書において「弧」または「弓状」とは、中心のある曲線形状の一部分をいう。一実施形態において、弧および/または弓状は、直線または線分を含まない。曲線形状とは、円、楕円、双曲線、放射線、超越曲線などの代数曲線を含むが、これらに限られず、その他の種類の曲線も含まれる。
【0014】
直線状の支持部材を含む網目は、直交異方性材料の性質を示す。このため、複数の軸に沿って引張剛性やせん断剛性が過剰に生じる。弓状部材の使用により、直交異方性材料がもつ制約を緩和することができ、表面曲率の変化を滑らかにすることができる。たとえば、図14Bに示すような、(正方形、長方形、および菱形の形状を囲む)平行四辺形1401を形成する網模様を考えてみる。図14Bに示す直線ビームを、図14Aに示す弓状部材に置き換えてもよい。図14Aおよび図14Bに示す網目部分すなわちセグメントの変形は、平行四辺形の1辺の挙動を抜き出すことにより、図15の例Bに示すように、概算することができる。「x」軸に沿ってセグメントが変形すると、その軸の係数(Ex)が材料の係数によって定義され、非常に高い応力を生じる。例Aと同様に、直線ビームを弓状ビームに置き換えることにより、係数はかなり減少する(この場合、ステンレス鋼の直線ビームの係数は、約2×109Paであり、弓状ビームの係数は約6×106Paである。つまり、300倍以上の変化となる)。また、この置き換えにより、曲線Aに示すように、変形角度への依存が少なく、応力の挙動が向上する。図15に示す曲線は、ビームの挙動を一般化したものであり、定量的なものではない。
【0015】
さらに、本発明の複合生体材料は、体内もしくは身体上に置かれるよう、または体液もしくは細胞に接触するよう、設計・構成されることを特徴とする。本発明の複合生体材料は、生物学的安定性や生体適合性があり、血液凝固、細胞死、腫瘍形成、アレルギー反応、異物反応(拒絶)、または炎症反応などの人体の有害反応を最小限にし、意図した機能に必要な強度、弾性、浸透性、可撓性などの物理的特性を備え、かつ精製、加工、殺菌可能なものとする。「生物学的安定性」を有する材料とは、人体によって分解されないものであり、「生体適合性」を有する材料とは、人体によって拒絶されないものである。
【0016】
本発明の複合生体材料は、医療装置に用いられる。本明細書において「医療装置」とは、手術中に血液もしくはその他の体液、および/または組織に、表面が接触する装置として定義される。たとえば、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサ、血液搬送用の管類、および患者に戻される血液に接触する機器など、手術に使用される体外装置である。また、医療装置には、代用血管、ステント、電気刺激用リード線、膀胱スリング、ヘルニア修復機器、腸修復機器、および心臓血管系で使用される弁尖(たとえば、心臓弁、静脈弁)、矯正装置、カテーテル、カテーテルシャフト部材、基端および先端の保護フィルタ、ガイドワイヤ、シャント、センサ、メンブレン、バルーン、およびそれらの装置とともに使用される髄核用、人工内耳用または人工中耳用の置換装置も含まれる。
【0017】
本発明の複合生体材料は、非医療用途にも用いられる。たとえば、本明細書の複合材料の実施形態は、面外変形(たとえば、所定の不均一な変形挙動)に耐え得る薄く丈夫で可撓性と適合性のある材料が必要とされる、各種用途で使用される。これらの用途としては、航空宇宙用途、生産用途、自動車用途などがある。
【0018】
図面は番号付けの規定に従っており、最初の一つまたは複数の桁が図面番号に対応し、残りの桁で図面上の要素または成分が識別される。図面間で類似した要素または成分は、類似した桁数で識別されてもよい。たとえば、110は図1の要素「10」を示し、図2では類似した要素を210としてもよい。弁および/または系についての実施形態を追加するために、各種実施形態に示す要素を追加、交換、および/または削除してもよい。さ
らに、図面に示す要素の比率や相対的な大きさは、本発明の実施形態を説明するためのものであり(すなわち、図面上の要素は正確な縮尺ではなく)、限定的な意味に解釈されないものとする。
【0019】
図1に、本発明の複合生体材料100の一実施形態を示す。複合生体材料100は、連続した金属シート102と、ポリマー層104とを含む。図示のとおり、連続した金属シート102とポリマー層104とは、複合生体材料100の全面に広がる。別の実施形態において、複合生体材料100は、連続した金属シート102とポリマー層104との一方が存在するが他方は存在しない所定の区域を含んでもよい。言い換えれば、所定の区域とは、連続した金属シート102とポリマー層104とのいずれかが途切れる領域である。複合生体材料100は、かかる所定の区域を複数個含んでもよい。
【0020】
各種実施形態において、連続した金属シート102は、接合点108から延びる弓状部材106を有する。図示のとおり、接合点108は、連続した金属シート102において、隣接する接合点108に向かって弓状部材106が延びる基点となる位置である。一実施形態において、接合点108は、3個以上の弓状部材106が一箇所にある部分である。
【0021】
弓状部材106は、第1の表面110と第2の表面112とを有し、この第1の表面110と第2の表面112は、連続した金属シート102において、それらの間に延びる開口114を備えたセル113を画成する。弓状部材106で画成された開口114により、連続した金属シート102に穿孔パターン116が規定される。連続した金属シート102への穿孔パターン116の形成は、さまざまな技術により行われる。たとえば、レーザー切断、水ジェット切断、フォトリソグラフィー技術、砥石切断、エッチング技術などである。穿孔パターン116を有する連続した金属シート102は、周知の方法で平滑化および/または研磨されてもよい。
【0022】
図示のとおり、穿孔パターン116は、繰り返し連続する開口114を含む。一実施形態において、この繰り返し連続する開口114は、接合点108との関係で一様のパターン、規則的なパターン、対照的なパターンに構成される。このため、穿孔パターン116の繰り返し連続する開口114は、同じパターンに構成され、同じ形状(たとえば、型)で、それぞれ同じ表面積となる。言い換えれば、穿孔パターン116は同種パターンである。
【0023】
別の実施形態において、穿孔パターン116は、二つ以上の異なる形状の、繰り返し連続する開口を含んでもよい。この場合、二つ以上の形状は、同じまたは異なる表面積を有するものとする。一実施形態において、この二つ以上の異なる形状は、穿孔パターンを形成するのに用いられる二つ以上の形状をもつ繰り返しブロックを、一つまたは複数規定するよう、体系的に構成されてもよい。たとえば、二つ以上の異なる形状が、連続して繰り返されて穿孔パターンを形成する所定のブロックパターンとして構成されてもよい。あるいは、二つ以上の異なる形状が、穿孔パターンを形成するよう不規則に構成されてもよい。この場合、繰り返し連続する開口は不均一な配置になり、接合点に対して不規則な構成および/または非対称なパターンとなる。言い換えれば、穿孔パターンは異種パターンである。
【0024】
図示のとおり、各弓状部材106は、隣接する接合点108間に延びる一つの弧118を有する。各弓状部材106は、隣接する接合点108間に複数の弧を有してもよい。各種実施形態において、一つの弧118は、さまざまな形状の曲線および/または曲線ベクトル(たとえば、曲線の鋭さ)を有してもよい。たとえば、一つの弧118は楕円状に湾曲してもよい。あるいは、一つの弧118は円状に湾曲してもよい。その他の形状も可能
であり、本明細書で説明する形状のうち、正弦曲線、三次スプライン曲線であってもよいが、これらに限らない。
【0025】
さらに、各種実施形態において、各開口114は対称中心120(すなわち、重心)を含んでもよく、この対称中心120の周囲で、弓状部材106は交互方向に連続して延びる。たとえば、対称中心120の周囲に連続して延びる弓状部材106は、湾曲方向(122)が交互になり、各開口114を定義する。
【0026】
各種実施形態において、接合点108をもつ弓状部材106により、連続した金属シート102は、圧力および/または張力(いずれも正味の力)に応じて弓状部材106が歪曲する(すなわち、弾性的に曲がるか、または伸張する)と、弾性的に伸張可能となる。各種実施形態において、連続した金属シート102は、弓状部材106が移動する方向に、弾性的に伸張可能となる。弓状部材106がこのような特徴を備えているため、連続した金属シート102のせん断応力はあらゆる方向に変形可能となる。さらに、弓状部材106により、連続した金属シート102は、接合点108が整列される方向に伸張可能となる。
【0027】
各種実施形態において、連続した金属シートにより、その弓状部材とポリマー層とのねじり結合が可能になる。ここでポリマー層とは、布強化材および/または繊維強化材を含む複合材料には設けられないものである。連続した金属シートの弓状部材は、ポリマー層とのねじり結合を維持し、これにより、ポリマー層と連続した金属シートとの間で生じるせん断応力が低減される。しかし、布強化材および/または繊維強化材を含む複合材料の場合は異なる。繊維複合材料においては、繊維複合材料が埋め込まれたポリマー・マトリクスに機械的結合が生じる。このため、引張荷重が繊維によって伝わる一方、ねじり負荷がポリマー・マトリクスによって伝わる。ねじり負荷を受けて線繊維材料とポリマー・マトリクスとの界面に荷重が生じ、ここで破損が生じることがある。このような問題は、本発明の複合生体材料にはない。
【0028】
連続した金属シート102の印加される力への応答は、非弓状部材(たとえば、直線状部材)からなる他の支持シートとは対照的である。直線状部材(たとえば、菱形の繰り返しパターンなど)で形成される支持シートでは、弾性的に伸張またはせん断しない軸が複数存在する。これらの軸には、直線状部材とその接合点が整列されて本質的に支柱状のものを形成する軸が含まれ得る。このような構造を有する支持シートは、荷重のかかるすべての方向では弾性的に伸張も圧縮もされない(すなわち、すべての方向にはせん断応力が変形しない)。直線状部材はわずかしか伸張しない場合があるが、本発明の連続した金属シートは、非弓状部材からなる支持シートに比べ、かなりの程度弾性的に伸張する。
【0029】
さらに、直線状部材を備えた支持シートは、座屈なく複数の直交軸で曲がることはできない。本明細書において「座屈」とは、滑らかな表面において線、マーク、または隆起を形成する、シートが二重になったり曲がったりすることによって生じる短く硬いねじれ、曲げ、または巻きをいう。座屈は、シートを複数軸で動かすことにより圧縮力を受けて直線状部材が曲がるとき、この直線状部材を備えた支持シートに生じることがある。直線状部材が曲がると、支持シートの湾曲した表面にしわ(すなわち、隆起または折り目)が形成される。材料が血流に接触するような用途において、このような湾曲表面の乱れはあまり望ましくない。用途として、乱れ(たとえば、しわ)がなく滑らかに連続した表面が、血行力学的な理由により好まれる血管用途が挙げられるが、これに限らない。
【0030】
一方、本発明の複合生体材料100は、座屈なく二つ以上の直交軸を中心に変形可能である。各種実施形態において、複合生体材料100は、複数軸で連続して湾曲する一方、表面に乱れ(たとえば、しわ、座屈、または折り目)を形成することなく、複数次元で曲
率を変化させることができる。これは、連続した金属シート102が座屈なく複数の直交軸(たとえば、三次元)で曲がるよう、弓状部材106が弾性的に伸張可能なためである。座屈がないだけでなく、ポリマー層の表面にわたり滑らかに連続した湾曲を生じさせるよう、連続した金属シート102は二つ以上の直交軸を中心に変形可能であってもよい。言い換えれば、力を受けた状態で、表面が線状に突き出てしわおよび/または途切れを生じることなく、生体材料100の曲げまたはたわみが可能となる。
【0031】
連続した金属シート102には、応力を受けた生体材料100の特徴および/または挙動を調整するために、変更可能なパラメータがいくつかある。たとえば、曲線および/または曲線ベクトルの形状(たとえば、曲線の鋭さ)の変化、並びに部材106および/または接合点108の大きさ(たとえば、幅および/または厚さの変化)を用いて、生体材料100の剛性、整合性、および/または可撓性の動的応答を変更および/または調整してもよい。
【0032】
別の実施形態において、連続した金属シート102は、弓状部材に加え、直線状部材であってもよい。一実施形態において、弓状部材に加え、直線状部材は、平面的な構成および/または一軸の曲げが必要となる用途で有用である。
【0033】
各種実施形態において、弓状部材106は、0.127ミリメートル未満の幅124および/または厚さ126を有してもよい。別の実施形態において、弓状部材106は、0.0762ミリメートル未満の幅124および/または厚さ126を有してもよい。あるいは、幅124および/または厚さ126は、0.254ミリメートルから0.127ミリメートルであってもよい。幅124および/または厚さ126は、0.127ミリメートルから0.0127ミリメートルであってもよい。具体的な実施形態において、幅124と厚さ126は、いずれも0.0254ミリメートル以下である。幅および/または厚さはその他の値であってもよく、本発明の複合生体材料の用途および/または所望の機能によって決定されてもよい。
【0034】
別の実施形態において、部材106および/または接合点108の断面形状および/または大きさを用いて、応力を受けた生体材料100の特徴および/または挙動を変更することができる。たとえば、部材106および/または接合点108は、長さ方向における断面形状が、類似していても、および/または異なっていてもよい。断面形状の類似点および/または相違点は、部材106、接合点108、および/または連続した金属シート102の一部の各部分から導き出せる、一つまたは複数の所望の機能に基づいてもよい。断面形状は、たとえば、長方形、非平面的な構造、円形状(たとえば、円形、長円形、および/または楕円形)、多角形、円弧であるが、その他の断面形状であってもよい。
【0035】
一実施形態において、ここに記載した変更を、連続した金属シート102の全体に行ってもよい。あるいは、ここに記載する変更を、連続した金属シート102における、一つまたは複数の個々の領域に行ってもよい。たとえば、第1の領域は、第1の厚さ、第1の幅、および/または第1の断面形状を有する部材106および/または接合点108を備え、第1の領域と異なる第2の領域は、第2の厚さ、第2の幅、および/または第2の形状を有する部材106および接合点108を備えてもよい。このような変更は、個々の開口114を定義する部材106および接合点108に行ってもよい。言い換えれば、このような変更を一つまたは複数の開口114に行ってもよい。
【0036】
さらに、連続した金属シート102を形成するのに用いる材料を選択することにより、生体材料100の特徴および/または挙動を決定してもよい。たとえば、連続した金属シート102は、耐疲労の機械的特性を十分備えた金属または金属合金から形成されてもよい。このような金属および/または金属合金として、たとえばタンタル、ステンレス鋼合
金である白金を濃縮したステンレス鋼(PRESS、304、316、17−7PH、17−4PH)、タングステン、モリブデン、コバルト合金(たとえば、MP35N、エルジロイ、L605)、Nb−1Zr、白金、金、ロジウム、酸化インジウム、ニチノール、インコネル、およびチタニウムが挙げられる。
【0037】
適切な金属および金属合金としては、さらに、粒状構造をもたないもの、または約5ミクロン未満の微小な粒状構造をもつものがある。このような金属として、たとえば、「メットグラス(Metglas)」(サウスカロライナ州コーンウェイのメットグラス(登録商標)社)が販売するものや、その他の金属および金属合金であってもよい。
【0038】
ポリマー層104は、応力を受けた生体材料100の特徴および/または挙動を調整するのに用いられてもよい。たとえば、ポリマー層104は、生体材料100の機械的特性を変更するのに用いられる異方性の引張特性を備えてもよい。これらの異方性の引張特性は、ポリマー層104の鎖状構造、配向、架橋結合、および分子量によって決定されてもよい。
【0039】
各種実施形態において、配向ポリマーは、一軸、二軸、または複数軸などに配向したものがある。少なくとも一つの主軸に分子構造(たとえば、ポリマー鎖)を整列するよう、配向ポリマーは加工(たとえば、伸張および/または圧縮)される。一軸配向ポリマーは一軸に配向され、二軸配向ポリマーは直交する二軸に配向される(たとえば、二軸における平面配向構造)。特に、配向ポリマーは、配向しない軸に比べ、配向する軸においてたわみにくい。
【0040】
二軸配向ポリマーとしては、もともと等方性があり、その後直交する二方向に同時に伸張されてあらゆる面内方向に変形するポリマーがある。具体的には、わずかにせん断が生じた配向で、気体によって拡張してあらゆる方向に同時に伸張される、膨張したポリマーフィルムがある。伸張された結果、配向の分布および係数の分布が円形状および/またはわずかに楕円形状の材料となる。あるいは、二軸配向ポリマーは、まず一方向に伸張されて最初の配向が変化しており、その後別の方向に伸張されて二方向に配向する材料となるものでもよい。
【0041】
別の実施形態において、ポリマー層104は、それぞれ異なる配向をもつ層を組み合わせた積層ポリマー材料であってもよい。これらのポリマー材料は、クロスプライ積層とよばれることもある。
【0042】
一実施形態において、ポリマー層104の配向方向が、連続した金属シート102の穿孔パターン116に対して、所定の方向に整列されてもよい。たとえば、ポリマー層104の配向は、穿孔パターン116の接合点108の横列、縦列、および/または対角線に対して整列されるか、または平行にされてもよい。あるいは、ポリマー層104の配向は、穿孔パターン116の接合点108の横列、縦列、および/または対角線に対してずらしてもよい(すなわち、整列されなくてよい)。ポリマー層104と穿孔パターン116の配向の相対位置が異なると、応力を受けた生体材料100の特性および/または挙動も変化する。
【0043】
ポリマー層104は、複数の異なる合成ポリマーと非合成ポリマーとから形成されてもよい。一実施形態において、ポリマー層104は、自家移植材料、同種異系材料、または異種移植材料から得てもよい。異種移植材料は、豚、馬、羊などの哺乳類から得られるが、これらに限られない。ポリマー層104が形成されるその他の生物由来物質としては、移植した血管、心膜、大腿筋膜、採取された心臓弁、膀胱、血管壁、各型のコラーゲン、エラスチン、腸粘膜下組織、および、小腸粘膜下組織(SIS)、羊膜組織、臍静脈など
、細胞化しない基底膜の材料がある。
【0044】
あるいは、ポリマー層104は、合成材料から形成されてもよい。合成材料は、材料の生体適合性を向上させるように材料の有孔率を増加させるよう形成してもよい。このような技術として、たとえば、エクスパンジョン、エレクトロスピニング(電気紡糸)、編組(braiding)、ニッティング(knitting)、または織り合わせなどで材料を処理してもよい。一実施形態において、合成材料は細胞活動に好ましい表面を備え、管内の流体すなわち血液が最小量となるよう、バランスのとれた有孔率を有する。
【0045】
このような合成材料としては、たとえば、伸張ポリテトラフルオロエチレン、(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの蛍光ポリマー、ポリスチレン―ポリイソブチレン―ポリスチレン(SIBS)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、 シリコーン、 ポリウレタン、セグメント化ポリカーボネートウレタン、ポリウレタンエーテル、ポリウレタンエステル、ポリウレタン尿素などのエラストマー、およびそれらの混合物や共重合体があるが、これらに限られない。また、生物分解可能なポリマーや、(生物分解可能または生物分解不可能な)電気紡糸したポリマーを用いることもできる。
【0046】
複合生体材料100のポリマー層104には、任意で賦形剤を加えてもよい。一実施形態において、賦形剤は、有孔からの流体の流れを防ぐ力を向上させるために、有孔ポリマーの有孔を一時的に埋める物質であってもよい。このような充填剤としては、たとえば、生体内での耐性が十分あり、分子量によって低速または高速で溶解するポリエチレングリコールのバリエーションがある。賦形剤は、材料の機能を向上させる生理活性の役割も担っている。たとえば、タンパク質および/またはペプチドを含む塗布剤を用いて、内皮細胞が表面に伸びやすい好ましい状態にし、治癒力を高めてもよい。同様に、ヘパリンまたはその他の血栓板活性物質を塗布して、弁尖表面への線繊維沈着を抑えることができる。
【0047】
適切な合成材料としては、たとえば、2002年7月23日に出願された米国特許出願10/200,997の「適合性積層のステント装置(Conformal alaminate stent device)」や、2001年10月30日に出願された米国特許出願10/012,919の「緑蛍光ポリマー管、およびそれを用いた血管プロテアーゼ(Green fluoropolymer tube and endovascular prosthesis formed using same)」に記載されたものがある。いずれの文献も、本明細書において参照として引用している。
【0048】
各種実施形態において、ポリマー層104は、連続した金属シート102の第1表面110および/または第2表面112の少なくとも一つに設けられる。一実施形態において、ポリマー層104は、連続した金属シート102の第1表面110と第2表面112との両方に設けられてもよい。また、ポリマー層104は、連続した金属シート102の第1表面110と第2表面112とのうち、一方に設けられてもよい。
【0049】
各種実施形態において、ポリマー層104は、多くの技術を用いて連続した金属シート102に接合され得る。たとえば、ヒートシーリング、溶剤結合、接着、または塗布剤を使用するなどの技術があるが、これらに限られない。たとえば、十分な圧力と熱により(たとえば溶融により)、連続した金属シート102の開口114を介して、接触点で層を密着させてもよい。あるいは、一つまたは複数のポリマー層104の表面を軟化または溶解し、層が混ざり合って密着するように、接着剤系および/または溶媒系を用いてポリマー層104を連続した金属シート102に付着させてもよい。層を互いに付着させるその他の手段として、本書に引用される、2002年7月23日に出願された米国特許出願10/200,997の「適合性積層のステント装置(Conformal alamin
ate stent device)」に記載されたものがある。
【0050】
ポリマー層104は、いくつかの表面処理または材料処理により、処理および/またはコーティングされてもよい。たとえば、血栓形成を調整するもの、細胞の内方成長、貫通成長、内皮細胞増殖を促進するもの、感染への耐性があるもの、および硬化を抑えるものなどの生物活性物質を用いた処理があるが、これらに限られない。
【0051】
本発明の実施形態は、別の穿孔パターンを形成するのに用いられるさまざまな開口構造も含む。たとえば、図2に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート202の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート202は、接合点208から延びて、穿孔パターン216において開口214を有するセル213を定義する、弓状部材206を含む。
【0052】
図1に示した穿孔パターンと同様に、穿孔パターン216は、一つの弧218を有する弓状部材206を含む。一方、図1とは対照的に、各開口214は、図1に示す部材より多くの弓状部材206で定義される。図示のとおり、6個の弓状部材206により一つの開口214が定義されるが、図1では4個の弓状部材で一つの開口が定義される。穿孔パターンの開口を定義するのに用いられる弓状部材の数は、3個、5個、7個、および/または8個など、その他の数であってもよい。
【0053】
図3に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート302の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート302は、接合点308から延びて、穿孔パターン316において開口314を有するセル313を定義する、弓状部材306を含む。
【0054】
本実施形態の弓状部材306の各々は、二つの弧318を定義する。言い換えれば、接合点308から延びる各弓状部材306により、それぞれ別の方向に湾曲して次の接合点308で切れる二つの弧318が定義される。たとえば、弓状部材306の二つの弧は、一組の隣接する接合点308をつなぐ直線332に対し、逆の方向に延びる。一実施形態において、弓状部材306の二つの弧318は、一組の隣接する接合点308をつなぐ直線332を二分する。
【0055】
湾曲の方向が異なるだけでなく、弓状部材306の弧は、長さ、曲線および/または曲線ベクトルの形状が異なってもよい。たとえば、各弓状部材306の二つの弧318の長さは、等しくてもよい。あるいは、各弓状部材306の二つの弧318の長さは、異なってもよい。さらに、弓状部材306の二つの弧は、さまざまな曲線形状を有してもよい。あるいは、弓状部材306の二つの弧の形状として、本書に記載のものから異なる形状を選んでもよい。
【0056】
図4に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート402の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート402は、接合点408から延びて、穿孔パターン416において開口414を有するセル413を定義する、弓状部材406を含む。
【0057】
図3に示した穿孔パターンと同様に、穿孔パターン416は、二つの弧418を有する弓状部材406を含む。一方、図3とは対照的に、各開口414は、図3に示す部材より多くの弓状部材406で定義される。図示のとおり、6個の弓状部材406で一つの開口414が定義されるが、図3では4個の弓状部材で一つの開口が定義される。穿孔パターンの開口を定義するのに用いられる弓状部材の数はこれに限られない。さらに、弓状部材406の弧は、長さ、形状、および/または曲線ベクトルが異なってよい。
【0058】
図5に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート502の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート502は、接合点508から延びて、穿孔パターン516において開口514を有するセル513を定義する、弓状部材506を含む。穿孔パターン516は、それぞれ二つの弧518を定義する弓状部材506を含む。図4とは対照的に、弧518の長さと曲線ベクトル(たとえば、曲線の半径)は、図4に示す弧の長さと曲線ベクトルよりも大きい。
【0059】
図6に、本発明の複合生体材料に用いられる連続した金属シート602の別の実施形態を示す。図示のとおり、連続した金属シート602は弓状部材606を有し、この部材606は角度625をなす。これは、本明細書で説明するその他の弓状部材の滑らかな曲線とは対照的である。
【0060】
さらに、図6に示す連続した金属シートの一実施形態においては、穿孔パターン616の開口614を有するセル613が、二つの異なる形状・大きさを有する。たとえば、穿孔パターン616は、第1セル626と第2セル627とからなり、この第1セル626は、第2セル627とは異なる形状・大きさ(たとえば、面積)を有する。
【0061】
図7に、本発明の複合生体材料に用いられる、別の連続した金属シート702を示す。図示のとおり、連続した金属シート702は、第1セット部材732を含む。この第1セット部材732は、各部材732の角部736から、放射パターン734に沿って延びる。
【0062】
各種実施形態において、各第1セット部材732の角部736は、中心軸738上に整列されてもよい。一実施形態において、中心軸上に整列された部材732の放射パターン734は、部材732に対しV字パターンをなす。連続した金属シート702は、第2セット部材740も含む。この第2セット部材740は、接合点708で第1セット部材732に交差するよう延びる。図示のとおり、第1セット部材732と第2セット部材740は、直線形状を有する。
【0063】
図示のとおり、連続した金属部材702は、少なくとも二つの形状の部材732,740で定義される開口714を含む。本実施形態において、第1セット部材732と第2セット部材740とにより、角部736を含む中心セル742が定義される。第1セット部材732と第2セット部材740とにより、中心セル742とは異なる構造のユニットセル744も定義される。一実施形態において、中心軸738は、第1セット部材732および第2セット部材740の対称軸となる。
【0064】
図示のとおり、連続した金属シート702の各中心セル742は、二つの第1セット部材732と二つの第2セット部材740とで定義される6辺を有する。本実施形態において、中心セル742は、くぼみ付きの六角形に構成される。一方、ユニットセル744は、二つの第1セット部材732と二つの第2セット部材740とで定義される4辺を有する。各種実施形態において、ユニットセル744は、偏菱形の形状および/または菱形の形状を有してもよい。
【0065】
図8に、本発明の複合生体材料に用いられる、別の連続した金属シート802を示す。図示のとおり、連続した金属シート802は、第1セット部材832を有する。この第1セット部材832は、各部材832の角部836から放射パターン834に沿って延びる。
【0066】
各種実施形態において、各第1セット部材832の角部836は、中心軸838上に整
列されてもよい。一実施形態において、中心軸上に整列された部材832の放射パターン834は、部材832に対しV字パターンをなす。連続した金属シート802は、第2セット部材840も含む。この第2セット部材840は、接合点808で第1セット部材832に交差するよう延びる。一実施形態において、中心軸838は、第1セット部材832および第2セット部材840の対称軸となる。
【0067】
図示のとおり、第1セット部材832は、繰り返し連続する単一弧818を含む。この単一弧818は、各接合点808で湾曲の方向が変化する。各種実施形態において、第2セット部材840は直線形状を有する。別の実施形態において、部材の弧は、各接合点で同じ方向に湾曲する。この場合、中心軸の両側で湾曲が逆の方向になる。連続した金属シートに対し、直線状部材と弓状部材とをさまざまに組み合わせて用いることにより、図7および図8に示すような放射パターンが形成される。これらのパターンと、部材の弧の方向とを変化させることにより、複合生体材料の機械的特質を変化させてもよい。
【0068】
図示のとおり、連続した金属シート802は、少なくとも二つの形状の部材832,840で定義される開口814を含む。図8において、部材832,840により、互いに鏡像をなす形状の第1セル850と第2セル852とが定義される。さらに、第1セル850と第2セル852とはキラルである(すなわち、重なり合わない)。直線状部材と弓状部材とを他の組み合わせで用いることにより、第1セルと第2セルを、互いに鏡像をなしてキラリティを有する別のパターンに形成してもよい。
【0069】
各種実施形態において、各セルの総面積は、0.00015平方センチメートルから0.40平方センチメートルまでの所定の値であってよい。たとえば、図3に示す各セルの総面積は、0.0031平方センチメートルであってもよい。その他の例として、図4に示す各セルの総面積は、0.0043平方センチメートルであってもよく、図5に示す各セルの総面積は、0.017平方センチメートルであってもよい。
【0070】
各種実施形態において、連続した金属シートの部材の各部分は、異なる相対寸法で表される。たとえば、部材の幅と厚さは、0.508センチメートル(0.002インチ)未満であり、長さは幅または厚さの少なくとも10倍であり、幅は厚さ以下であってもよい。別の実施形態において、部材の幅と厚さは、0.004センチメートル(0.0015インチ)未満であり、長さは幅と厚さの少なくとも20倍であり、幅は厚さ以下であってもよい。このような弓状部材の厚さと幅の相対比は、部材と連続した金属シートの可撓性に大きく影響する。
【0071】
さらに、図示される連続した金属シートのセルは、連続した金属シートの表面積の大部分を占める開口領域(すなわち、開口)を有する。たとえば、図1から図8に示す実施形態において、開口領域は、弓状部材と接合点とで定義されるセルの総面積の78パーセントから91パーセントであってもよい。別の実施形態において、セルの開口領域は、弓状部材と接合点とで定義されるセルの総面積の70パーセントから98パーセントであってもよい。さらに別の実施形態において、セルの開口領域は、弓状部材と接合点とで定義されるセルの総面積の85パーセントから95パーセントであってもよい。
【0072】
さらに、本発明の複合生体材料は、本書で説明する各種用途に有用な機械的特性をさらに備えてもよい。たとえば、複合生体材料の連続した金属シートのポアゾン比は、負の値(縦(横)方向に引っ張ると横(縦)方向に肥大する値)であってもよい。言い換えれば、本発明の複合生体材料は、一方向に伸張されると垂直方向に広がる。
【0073】
たとえば、図1および図2に示す実施形態において、ポアゾン比は負の値であってもよい。別の実施形態として、図3および図4に示す実施形態においては、複合生体材料の大
きさと、複合生体材料にかかる荷重の方向とによっては、ほぼ0のポアゾン比であってもよい。
【0074】
各種実施形態において、上記穿孔パターンのアスペクト比を用いて、複合生体材料のポアゾン比を調整してもよい。別の実施形態において、複合生体材料の連続した金属シートでは、0.5以上のポアゾン比であってもよい。
【0075】
本発明の複合生体材料は、さまざまな用途で用いられる。たとえば、複合生体材料は、人工弁(たとえば、心臓弁および/または静脈弁)に用いられる、弁尖すなわち小葉を形成するのに使用されてもよい。天然の弁尖は、構造物の表面上で複雑な異方性をもつ。たとえば、天然の弁尖は、弁尖の位置によってさまざまな度合いの剛性と弾性を示す。天然の弁尖においては、コラーゲン繊維により弁組織が強化され、構造条件として完全なものとなる。天然の心臓弁組織は、コラーゲン繊維の繊維束からなる複合材料である。これらの繊維束は、特別な構造および配向をなし、弁尖にかかる応力に応じて、所望の機械的挙動を示すものである。これは、コラーゲンの繊維束の配向が応力と一致するためである。
【0076】
本発明の複合生体材料は、天然の弁尖の機械的挙動を模倣するのに用いられてもよい。記載のとおり、少なくとも一つの穿孔パターンとポリマー層とを有する連続した金属シートを選択し、組み合わせて用いることにより、弁尖にわたり応力が均一に分散するよう、弁尖を調整してもよい。さらに、高い動的引張強度および曲げ応力を操作し、かつ、弁の開閉時に弁尖に生じる歪みやしわが最小となるよう、本発明の複合生体材料を調整してもよい。
【0077】
図9に、本発明の複合生体材料900で形成された弁尖すなわち小葉960を示す。一実施形態において、弁尖960は、継ぎ目領域962、弁尖本体領域964、張力緩和領域966、および接合領域968からなる。一実施形態において、これらの領域962,964,966,968は、天然の弁尖の複雑な特性を模倣するよう、弁尖960の機械的特性を調整して構成した穿孔パターンを、一つまたは複数含んでもよい。
【0078】
一実施形態において、複合生体材料のさまざまな領域が特定の望ましい挙動を示すよう、一つもしくは複数の領域962,964,966,968のいずれか、またはすべてに対し、さまざまな穿孔パターンを用いてもよい。たとえば、複合生体材料900の連続した金属シート902は、一つまたは複数の領域(たとえば、継ぎ目領域962)に対し第1の整合性をもつ第1穿孔パターン968と、弁尖960の一つまたは複数の領域(たとえば、接合領域968)に対し、第1穿孔パターンの整合性とは異なる整合性をもつ第2穿孔パターン970もしくは同様のパターンで大きさ(支持部材の幅、厚み、もしくはパターンのセルの大きさ)の異なるものとを含んでもよい。弁尖960の複合生体材料900には、二つ以上の穿孔パターンを用いてもよい。
【0079】
弁尖960は、境界縁972も有してよい。一実施形態において、境界縁972は、複合生体材料900の周囲部974の少なくとも一部を定義してもよい。一実施形態において、境界縁972と穿孔パターンは、連続した金属シート902で形成される。境界縁972は、複合生体材料900のたわみを可能にするか、またはたわみ力を増大させる一連のたわみ部材で、連続した金属シート902の穿孔部分に接続されてもよい。
【0080】
境界縁972の構成は、複合生体材料900の一つまたは複数の穿孔パターンとは異なってもよい。たとえば、図9に示すように、境界縁972は、弁尖960を心臓弁の縁に固定するための留め具が嵌め込まれる孔973を備えた、連続した金属シート902の細い一片である。弁尖960を弁の縁に固定するための金具としては、リベットおよび/または縫合糸などがある。その他の留め具または結合機構(たとえば、ステープル、接着剤
、および/または溶接)を使用してよい。
【0081】
図10に、弁尖1060を供えた弁1076の一実施形態を示す。この弁尖1060の表面には、弁1076から一方向に流れる液体を表裏で密閉する孔が定義される。本実施形態において、弁1076は、二つの弁尖1060からなる二小葉の構成をなすが、単小葉、三小葉、および/または多小葉の構成も可能である。
【0082】
弁1076は、弁尖1060が取り付けられた縁1078を有してもよい。弁尖1076は開口状態と閉口状態を繰り返し、弁1076の管腔から一方向に液体を流す。弁1076と弁縁1078の実施形態は、本書に引用される、2005年6月10日に出願された同時係属出願の米国特許出願11/150,331(DKT#04−0081US)、「静脈弁、システム、および方法(Venous Valve,System, and
Method)」に記載されている。
【0083】
一実施形態において、弁尖1060の継ぎ目領域1062には、弁1076の管腔1080から一方向に流体を流す、表裏で密閉可能な孔がある。上記同時係属出願の特許出願に記載されるように、弁1072は、各種材料でさまざまな構成に形成されてもよい。
【0084】
一実施形態において、縁1076は、縁が開口した単一の構造であってもよい。縁が開口した構成として、たとえば、縁1076にわたり開口1084を定義する縁部材1082がある。本発明の複合生体材料1000で形成される弁尖1060は、この縁1076にわたり放射状に崩れて拡張し、弁1076から一方向に液体を流す。
【0085】
図示のとおり、縁1076は、弁尖接続領域1086を有する。この弁尖接続領域1086において、弁尖1060の境界縁1072は縁1076に取り付けられる。一実施形態において、弁尖1060は、リベット1088によって弁尖接続領域1086に取り付けられる。一実施形態において、リベット1088は、縁1076の材料で作成される。あるいは、リベットは、境界縁1072の孔1073と縁部材1082の孔とを介して固定される、別々の要素である。
【0086】
一実施形態において、リベットは、弁1076の移植時に弁1076の位置、配置、および配向(たとえば、軸方向位置、方向位置、および/または時計位置)が目視される放射線不透過物質(たとえば、金、タンタル、白金)で形成されるか、またはコーティングされてよい。
【0087】
連続した金属シートの穿孔パターンは、二つ以上の形状を有する、繰り返し連続する開口を含んでよい。この場合、二つ以上の形状は、表面積が同じであっても、異なってもよい。言い換えれば、穿孔パターンは、連続した金属シートの表面にわたり途切れなく変化するものであってもよい(すなわち、対称軸上に同じ穿孔は二つとない)。
【0088】
一実施形態において、このように穿孔パターンが途切れなく変化するため、前述のように、複合生体材料に切れ目が生じるのを防ぐことができる。各種実施形態において、穿孔パターンを途切れなく変化させることにより、たとえば弁の小葉として用いた場合に、複合生体材料の表面にわたり応力を分散することもできる。複合生体材料の表面にわたりより均一に応力を分散することにより、複合生体材料の曲率変化を滑らかにすることができる(すなわち、切れ目を生じない)。
【0089】
図11から図13に、このような異種穿孔パターン1116,1216,1316を示す。図示のとおり、穿孔パターン1116,1216,1316は、通常、弁尖本体領域1164,1264,1364の中心領域1192,1292,1392に沿って、初期
穿孔パターン1190,1290,1390を有する。連続した金属シート1102,1202,1302が、境界縁1172,1272,1372、接合領域1168,1268,1368、および継ぎ目領域1162,1262,1362に向かって広がるにつれ、初期穿孔パターン1190,1290,1390の形状は変化する。
【0090】
一実施形態において、初期穿孔パターン1190,1290,1390の形状変化は、中心領域1192,1292,1392を中心に対称をなす。あるいは、一実施形態において、初期穿孔パターン1190,1290,1390の形状変化は、中心領域1192,1292,1392を中心に非対称をなしてもよい。
【0091】
図11および図12に示す実施形態は、接合領域1168,1268における連続した金属シート1102,1202の異なるパターンを示す。図示のように、接合領域1168,1268の穿孔パターン1116,1216は、曲線パターン1194,1294を有する連続した金属シート1102,1202の端部を備えてもよい。各種実施形態において、連続した金属シート1102,1202の曲線パターン1194,1294は、曲線パターンを含まない接合領域よりも高い可撓性を、接合領域1168,1268にもたすものであってもよい。さらに、曲線パターン1194,1294は、ポリマー層1104,1204が固定されるさらに別の表面を有してもよい。
【0092】
各種実施形態において、連続した金属シート1102,1202の端部における曲線パターン1194,1294の振幅と周波数は、連続した金属シート1102,1202の残りの穿孔パターンによって決定される。たとえば、穿孔パターンが比較的可撓性のある連続した金属シートを規定するとき、曲線パターンの振幅は比較的高くなければならない。同様に、穿孔パターンが比較的剛性のある連続した金属シートを規定する場合、曲線パターンの振幅は比較的小さくなければならない。
【0093】
連続した金属シート1102,1202,1302により、張力緩和領域1166,1266,1366の実施形態も示す。図示のとおり、張力緩和領域1166,1266,1366は、境界縁1172,1272,1372と、残りの連続した金属シート1102,1202,1302との間の移行領域である。一実施形態において、張力緩和領域1166,1266,1366は、第1の厚さおよび/または第1の幅(1196,1296,1396)から、第1の厚さよりも薄い第2の厚さおよび/または第2の幅(119
8,1298,1398)へ移行する支持部材部分を有する。たとえば、張力緩和領域1166,1266,1366の連続した金属シート1102,1202,1302の支持部材は、連続した金属シート1102,1202,1302が境界縁1172,1272,1372と結合すると、大きさおよび/または形状が変化する。
【0094】
本発明の弁尖は、さまざまな方法により形成される。たとえば、一実施形態において、一つまたは複数の所望の穿孔パターンが、連続した金属シートに形成されてもよい。そして、一つまたは複数のポリマー層をこの連続した金属シートに設けて、複合生体材料を形成してもよい。さらに、材料の所望の用途に基づいて、この複合生体材料を何らかの形状にしてもよい。
【0095】
別の実施形態において、複合生体材料の特徴、および/または複合生体材料で形成される物体の特徴を用いて、物体を形成してもよい。たとえば、上記の図7および図8に示すとおり、本発明の複合生体材料の実施形態には、対称軸を説明したものがある。また、対称軸を有する複合生体材料から形成可能な物体が説明されている。一例として、継ぎ目領域をほぼ二等分にするある点から弁尖の底部の一点に向かって対称軸が伸張して弁尖を横方向に二等分する、弁尖がある。本発明の複合生体材料で弁尖を形成する場合、対象軸として、図7および図8に示す連続した金属シートの対称軸を用いてもよい。
【0096】
別の実施形態において、物体(たとえば弁)を形成する前に、複合生体材料に歪場を形成するか、または歪場をもたせてもよい。一実施形態において、複合生体材料にこの歪場を設けて、連続した金属シートに穿孔パターン形成してもよい。一実施形態において、歪場を設けて形成した所定の穿孔パターンは、歪みのない連続した金属シートの初期穿孔パターンとは異なる。
【0097】
本発明の実施形態において、生体複合材料は、中心軸上に整列される各角部から放射パターンに沿って延びる第1セット部材と、第1セット部材に交差する第2セット部材とを有する連続した金属シートと、連続した金属シートの少なくとも一面に設けられたポリマー層とからなる。各種実施形態において、角部から放射パターンに沿って延びる第1セット部材は、V字パターン状に延びる。各種実施形態において、第1セット部材と第2セット部材は直線形状を有する。各種実施形態において、第1セット部材は弓状形状を有する。各種実施形態において、第2セット部材は弓状形状を有する。各種実施形態において、第1セット部材の弓状形状は、連続した金属シートが座屈なく複数軸で曲がるよう、弾性的に伸張する。各種実施形態において、第1セット部材と第2セット部材とにより、角部を含む中心セルが定義される。各種実施形態において、連続した金属シートの各中心セルは、二つの第1セット部材と二つの第2セット部材とで定義される6辺を有する。各種実施形態において、中心セルはくぼみ付きの六角形である。各種実施形態において、第1セット部材と第2セット部材とにより、中心セルと構造の異なるユニットセルが定義される。各種実施形態において、ユニットセルは偏菱形である。各種実施形態において、中心軸は、第1セット部材および第2セット部材の対称軸である。
【0098】
本発明を、上記のとおり詳細に図示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに変更・修正が可能なことは、当業者に明らかである。たとえば、一つまたは複数の穿孔パターンを有する連続した金属シートは、生体材料の用途および/または非生体材料の用途において、ポリマー層を含まず単体で用いられてもよい。このように、上記の説明と図示は説明のためのものであり、これらに制限されない。本発明の実際の範囲は下記の請求項により定義されるものとし、請求項によって権利化されるすべての同等物も含まれるものとする。さらに、当業者においては、本発明を読み理解することにより、記載される各種変更例も本発明の範囲に含まれるものと理解されたい。
【0099】
上記の詳細な説明においては、開示を合理的にするために、さまざまな特徴の根拠を複数の実施形態にまとめている。このような開示方法は、各請求項で明示されるより多くの特徴を本開示の実施形態が必要とすることを意図していると解釈すべきではない。むしろ、下記の請求項で明らかなように、発明の主題は各実施形態に開示されたすべての特徴よりも少ない。このため、下記の請求項を上記の詳細な説明に含み、各請求項はそれぞれ別の実施形態としてそれ自体成立するものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1穿孔パターンを定義する弓状部材を有する連続した金属シートと、
前記連続した金属シートの少なくとも一面上のポリマー層と
を備えた複合生体材料。
【請求項2】
前記弓状部材は、前記連続した金属シートが座屈なく複数方向で曲がるよう、弾性的に伸張することを特徴とする、請求項1に記載の生体材料。
【請求項3】
前記弓状部材は、前記第1穿孔パターンの開口を有するセルを形成するよう、接合点から延びることを特徴とする、請求項1および2に記載の生体材料。
【請求項4】
各開口は対称中心を含み、その対称中心の周囲で、前記弓状部材が交互方向に連続して延びることを特徴とする、請求項3に記載の生体材料。
【請求項5】
前記弓状部材と開口の接合点とにより、各セルの総面積の70パーセントから98パーセントの開口領域が形成されることを特徴とする、請求項3に記載の生体材料。
【請求項6】
各弓状部材は、一つの弧を有することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項7】
各弓状部材は、二つの弧を有することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項8】
弓状部材の二つの弧は、一対の隣接する接合点をつなぐ直線に対し、それぞれ逆の方向に延びることを特徴とする、請求項7に記載の生体材料。
【請求項9】
弓状部材の二つの弧は、一対の隣接する接合点をつなぐ前記直線を二等分することを特徴とする、請求項8に記載の生体材料。
【請求項10】
前記二つの弧は、長さが等しいことを特徴とする、請求項7乃至9に記載の生体材料。
【請求項11】
前記二つの弧は、長さが異なることを特徴とする、請求項7乃至9に記載の生体材料。
【請求項12】
前記弓状部材は、楕円状に湾曲することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項13】
前記弓状部材は、円状に湾曲することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項14】
前記連続した金属シートは、弓状部材が移動する方向に沿って、弾性的に伸張することを特徴とする、請求項1乃至13に記載の生体材料。
【請求項15】
前記連続した金属シートの弓状部材は、前記第1穿孔パターンの整合性とは異なる整合性を有する、第2穿孔パターンを形成することを特徴とする、請求項1乃至14に記載の生体材料。
【請求項16】
前記連続した金属シートのせん断応力は、あらゆる方向に変形することを特徴とする、請求項1乃至15に記載の生体材料。
【請求項17】
前記連続した金属シートが、直交する二軸を中心にして変形すると、ポリマー層の一面にわたり、連続して湾曲が生じることを特徴とする、請求項1乃至16に記載の生体材料。
【請求項18】
前記連続した金属シートの弓状部材は接合点間に延び、前記連続した金属シートが接合点の整列方向に伸張するよう、弓状部材は弾性的に伸張することを特徴とする、請求項1乃至17に記載の生体材料。
【請求項19】
前記連続した金属シートは、厚さが0.0762ミリメートル未満であることを特徴とする、請求項1乃至18に記載の生体材料。
【請求項20】
前記連続した金属シートの弓状部材は、幅が0.0762ミリメートルであることを特徴とする、請求項1乃至19に記載の生体材料。
【請求項21】
前記連続した金属シートは、ポアゾン比が負の値であることを特徴とする、請求項1乃至20に記載の生体材料。
【請求項22】
前記ポリマー層は、第1穿孔パターンに対して所定の方向に整列される、分子配向構造を有することを特徴とする、請求項1乃至21に記載の生体材料。
【請求項23】
前期分子配向構造は、二軸平面配向構造であることを特徴とする、請求項19に記載の生体材料。
【請求項24】
前記連続した金属シートは、第1穿孔パターンとは構造の異なる境界縁を有することを特徴とする、請求項1乃至23に記載の生体材料。
【請求項25】
前記境界縁は、複合生体材料の周囲の少なくとも一部を形成することを特徴とする、請求項24に記載の生体材料。
【請求項26】
前記境界縁の表面は、留め具が嵌め込まれる孔を形成することを特徴とする請求項24および25に記載の生体材料。
【請求項27】
中心軸に沿って整列される各角部から放射パターンに延びる第1セット部材と、第1セット部材に交差するよう延びる第2セット部材とを有する、連続した金属シートと、
前記連続した金属シートの少なくとも一面上のポリマー層と
を備えた、複合生体材料。
【請求項28】
前記角部から放射パターンに沿って延びる前記第1セット部材は、V字状に延びることを特徴とする、請求項27に記載の生体材料。
【請求項1】
第1穿孔パターンを定義する弓状部材を有する連続した金属シートと、
前記連続した金属シートの少なくとも一面上のポリマー層と
を備えた複合生体材料。
【請求項2】
前記弓状部材は、前記連続した金属シートが座屈なく複数方向で曲がるよう、弾性的に伸張することを特徴とする、請求項1に記載の生体材料。
【請求項3】
前記弓状部材は、前記第1穿孔パターンの開口を有するセルを形成するよう、接合点から延びることを特徴とする、請求項1および2に記載の生体材料。
【請求項4】
各開口は対称中心を含み、その対称中心の周囲で、前記弓状部材が交互方向に連続して延びることを特徴とする、請求項3に記載の生体材料。
【請求項5】
前記弓状部材と開口の接合点とにより、各セルの総面積の70パーセントから98パーセントの開口領域が形成されることを特徴とする、請求項3に記載の生体材料。
【請求項6】
各弓状部材は、一つの弧を有することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項7】
各弓状部材は、二つの弧を有することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項8】
弓状部材の二つの弧は、一対の隣接する接合点をつなぐ直線に対し、それぞれ逆の方向に延びることを特徴とする、請求項7に記載の生体材料。
【請求項9】
弓状部材の二つの弧は、一対の隣接する接合点をつなぐ前記直線を二等分することを特徴とする、請求項8に記載の生体材料。
【請求項10】
前記二つの弧は、長さが等しいことを特徴とする、請求項7乃至9に記載の生体材料。
【請求項11】
前記二つの弧は、長さが異なることを特徴とする、請求項7乃至9に記載の生体材料。
【請求項12】
前記弓状部材は、楕円状に湾曲することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項13】
前記弓状部材は、円状に湾曲することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の生体材料。
【請求項14】
前記連続した金属シートは、弓状部材が移動する方向に沿って、弾性的に伸張することを特徴とする、請求項1乃至13に記載の生体材料。
【請求項15】
前記連続した金属シートの弓状部材は、前記第1穿孔パターンの整合性とは異なる整合性を有する、第2穿孔パターンを形成することを特徴とする、請求項1乃至14に記載の生体材料。
【請求項16】
前記連続した金属シートのせん断応力は、あらゆる方向に変形することを特徴とする、請求項1乃至15に記載の生体材料。
【請求項17】
前記連続した金属シートが、直交する二軸を中心にして変形すると、ポリマー層の一面にわたり、連続して湾曲が生じることを特徴とする、請求項1乃至16に記載の生体材料。
【請求項18】
前記連続した金属シートの弓状部材は接合点間に延び、前記連続した金属シートが接合点の整列方向に伸張するよう、弓状部材は弾性的に伸張することを特徴とする、請求項1乃至17に記載の生体材料。
【請求項19】
前記連続した金属シートは、厚さが0.0762ミリメートル未満であることを特徴とする、請求項1乃至18に記載の生体材料。
【請求項20】
前記連続した金属シートの弓状部材は、幅が0.0762ミリメートルであることを特徴とする、請求項1乃至19に記載の生体材料。
【請求項21】
前記連続した金属シートは、ポアゾン比が負の値であることを特徴とする、請求項1乃至20に記載の生体材料。
【請求項22】
前記ポリマー層は、第1穿孔パターンに対して所定の方向に整列される、分子配向構造を有することを特徴とする、請求項1乃至21に記載の生体材料。
【請求項23】
前期分子配向構造は、二軸平面配向構造であることを特徴とする、請求項19に記載の生体材料。
【請求項24】
前記連続した金属シートは、第1穿孔パターンとは構造の異なる境界縁を有することを特徴とする、請求項1乃至23に記載の生体材料。
【請求項25】
前記境界縁は、複合生体材料の周囲の少なくとも一部を形成することを特徴とする、請求項24に記載の生体材料。
【請求項26】
前記境界縁の表面は、留め具が嵌め込まれる孔を形成することを特徴とする請求項24および25に記載の生体材料。
【請求項27】
中心軸に沿って整列される各角部から放射パターンに延びる第1セット部材と、第1セット部材に交差するよう延びる第2セット部材とを有する、連続した金属シートと、
前記連続した金属シートの少なくとも一面上のポリマー層と
を備えた、複合生体材料。
【請求項28】
前記角部から放射パターンに沿って延びる前記第1セット部材は、V字状に延びることを特徴とする、請求項27に記載の生体材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【公表番号】特表2010−517625(P2010−517625A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548343(P2009−548343)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/001593
【国際公開番号】WO2008/097592
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/001593
【国際公開番号】WO2008/097592
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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