説明

同報情報通知方法、移動局及び認証機関システム

【課題】「Forwarding Attack」を防ぐ。
【解決手段】本発明に係る同報情報通知方法は、複数の移動局UEの各々が、移動局UEの位置情報を取得して、取得した位置情報に関する情報を管理する工程と、複数の移動局UEの各々に対して電子署名が付与されている同報情報を通知する工程と、複数の移動局UEの各々が、受信した同報情報に付与されている電子書名を用いて同報情報についての検証を行う工程と、複数の移動局UEの各々が、検証に成功した場合、同報情報に含まれる位置情報と管理している位置情報とを比較する工程と、複数の移動局UEの各々が、比較結果に基づいて、同報情報に対応する処理を行う工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局に対して同報情報を通知する同報情報通知方法、移動局及び認証機関システムに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPPでは、地震情報や津波情報等の緊急情報を配信するための「ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)」についての検討が進められている。
【0003】
図1に示すように、「ETWS」では、認証機関システム2が、緊急情報提供者システム1から受信した緊急情報(Primary Notification)に対して電子署名を付与した上で、CBS(Cell Broadcast Service)メッセージ等を用いて、地震等の発生エリアに該当するセルに対して通知するように構成されている。
【非特許文献1】TS 23.041 Technical realization of Cell Broadcast Service (CBS)
【非特許文献2】TR 23.828 Earthquake and Tsunami Warning System Requirements and Solutions (ETWS); Solution Placeholder
【非特許文献3】TS 25.324 Broadcast/Multicast Control (BMC)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の「ETWS」では、悪意の第三者が、地震等の発生エリアにおいて受信した緊急情報を、別のエリア(地震等が発生していないエリア)に在圏する移動局に対して転送することによって混乱を招くという「Forwarding Attack」を防ぐことが困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、「Forwarding Attack」を防ぐことができる同報情報通知方法、移動局及び認証機関システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、複数の移動局の各々に対して同報情報を通知する同報情報通知方法であって、前記複数の移動局の各々が、該移動局の位置情報を取得して、取得した該位置情報に関する情報を管理する工程Aと、前記複数の移動局の各々に対して、電子署名が付与されている同報情報を通知する工程Bと、前記複数の移動局の各々が、受信した前記同報情報に付与されている電子書名を用いて該同報情報についての検証を行う工程Cと、前記複数の移動局の各々が、前記検証に成功した場合、前記同報情報に含まれる位置情報と、管理している前記位置情報とを比較する工程Dと、前記複数の移動局の各々が、前記比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行う工程Eとを有することを要旨とする。
【0007】
本発明の第1の特徴において、前記工程Aにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記移動局の位置情報を取得した時刻を示す第1時刻情報を管理し、前記工程Dにおいて、前記複数の移動局の各々は、管理している前記第1時刻情報と、前記同報情報に含まれる第2時刻情報とを比較し、前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記位置情報及び前記時刻情報についての比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行ってもよい。
【0008】
本発明の第1の特徴において、前記同報情報に含まれる位置情報は、複数のエリア識別情報を含み、前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、管理している前記位置情報が、前記同報情報に含まれる位置情報に含まれるエリア識別情報の少なくとも1つに一致する場合に、該同報情報に対応する処理を行ってもよい。
【0009】
本発明の第1の特徴において、前記複数のエリア識別情報は、前記同報情報の内容が有効なエリアの周辺エリアを識別する情報であってもよい。
【0010】
本発明の第1の特徴において、前記工程Aにおいて、前記移動局は、ネットワークから、位置情報に対応したセキュリティ情報を受信して管理しており、前記工程Cにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記セキュリティ情報及び前記同報情報に付与されている電子書名を用いて、該同報情報についての検証を行ってもよい。
【0011】
本発明の第1の特徴において、前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、該移動局によって管理されている現在の時刻情報の所定ウィンドタイム以内にあると判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行ってもよい。
【0012】
本発明の第1の特徴において、前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、前記第1時刻情報よりも新しい時刻を示すと判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行ってもよい。
【0013】
本発明の第2の特徴は、同報情報に対応する処理を行うように構成されている移動局であって、前記移動局の位置情報を取得して、取得した位置情報に関する情報を管理するように構成されている管理部と、受信した同報情報に付与されている電子書名を用いて該同報情報についての検証を行うように構成されている検証部と、前記検証に成功した場合、前記同報情報に含まれる位置情報と、管理している前記位置情報とを比較するように構成されている比較部と、前記比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されている処理部とを具備することを要旨とする。
【0014】
本発明の第2の特徴において、前記管理部は、前記移動局の位置情報を取得した時刻を示す第1時刻情報を管理するように構成されており、前記比較部は、管理している前記第1時刻情報と、前記同報情報に含まれる第2時刻情報とを比較するように構成されており、前記処理部は、前記位置情報及び前記時刻情報についての比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されていてもよい。
【0015】
本発明の第2の特徴において、前記同報情報に含まれる位置情報は、複数のエリア識別情報を含み、前記処理部は、管理している前記位置情報が、前記同報情報に含まれる位置情報に含まれるエリア識別情報の少なくとも1つに一致する場合に、該同報情報に対応する処理を行うように構成されていてもよい。
【0016】
本発明の第2の特徴において、前記複数のエリア識別情報は、前記同報情報の内容が有効なエリアの周辺エリアを識別する情報であってもよい。
【0017】
本発明の第2の特徴において、前記管理部は、ネットワークから、位置情報に対応したセキュリティ情報を受信して管理しており、前記検証部は、前記セキュリティ情報及び前記同報情報に付与されている電子書名を用いて、該同報情報についての検証を行うように構成されていてもよい。
【0018】
本発明の第2の特徴において、前記処理部は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、該移動局によって管理されている現在の時刻情報の所定ウィンドタイム以内にあると判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されていてもよい。
【0019】
本発明の第2の特徴において、前記処理部は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、前記第1時刻情報よりも新しい時刻を示すと判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されていてもよい。
【0020】
本発明の第3の特徴は、移動通信システム内の移動局に対して同報情報を通知するように構成されている認証機関システムであって、同報情報提供者システムから受信した同報情報に含まれる位置情報を前記移動通信システムにおけるエリア識別情報に変換し、該エリア識別情報によって識別されるエリアの周辺エリアを識別するエリア識別情報を該同報情報内の位置情報として追加した後に、該同報情報に対応する電子署名を該同報情報に付与して前記移動局に対して通知するように構成されている緊急情報送信部を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、「Forwarding Attack」を防ぐことができる同報情報通知方法、移動局及び認証機関システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0023】
本実施形態に係る移動通信システムでは、「ETWS」が適用されており、認証機関(Signing Authority)システム2が、緊急情報提供者(Notification Provider)システム1から受信した緊急情報(Primary Notification)に対して電子署名を付与した上で、CBS(Cell Broadcast Service)メッセージ等を用いて、コアネットワーク装置CNや無線制御局RNCや無線基地局BTS等を介して、地震等の発生エリアに該当するセル(例えば、セル#1乃至#4)に対して通知するように構成されている。
【0024】
具体的には、図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、緊急情報提供者システム1と、認証機関システム2と、コアネットワーク装置CNと無線制御局RNCと、無線基地局BTSとを具備している。
【0025】
図2に示すように、本実施形態に係る移動局UEは、取得部11と、記憶部12と、緊急情報受信部13と、検証部14と、比較部15と、処理部16とを具備している。
【0026】
取得部11は、所定タイミングで、移動局UEの位置情報を取得するように構成されている。
【0027】
例えば、取得部11は、移動局UEの位置情報として、移動局UEが在圏するセルのセルIDや、移動局UEの位置登録エリアIDや、GPS情報(緯度・経度情報)を取得するように構成されていてもよい。
【0028】
記憶部12は、取得部11によって取得された移動局UEの位置情報を管理するように構成されている。ここで、記憶部12は、取得部11によって取得された移動局UEの現在の位置情報のみならず、所定時間前に取得部11によって取得された移動局UEの位置情報を管理するように構成されていてもよい。
【0029】
また、記憶部12は、取得部11によって移動局UEの位置情報を取得した時刻を示す第1時刻情報を管理するように構成されている。また、記憶部12は、移動局UEの現在の位置情報を取得した時刻を示す第1時刻情報のみならず、所定時間前に取得された移動局UEの位置情報を取得した時刻を示す情報を管理するように構成されていてもよい。
【0030】
また、記憶部12は、ネットワークから、位置情報に対応したセキュリティ情報(例えば、Shared Secretや認証機関システム2の公開鍵)を受信して管理するように構成されていてもよい。ここで、Shared Secretは、位置情報ごとに、別の値が用いられてもよい。
【0031】
緊急情報受信部13は、認証機関システム2によって通知された緊急情報(同報情報)を受信するように構成されている。
【0032】
例えば、緊急情報受信部13は、CBSメッセージやPagingメッセージ等に含まれる緊急情報(Primary Notification)を受信するように構成されている。
【0033】
ここで、図3に示すように、かかる緊急情報には、「プロトコルバージョン(Protocol Version)」や「災害種別(Disaster Type)」や、後述する「第2時刻情報(Timestamp)」や、「認証機関システム(認証機関)の識別子(Signing Authority)」や、「位置情報(Location)」が含まれており、また、図3に示すように、かかる緊急情報には、当該緊急情報に対応する電子署名が付与されている。かかる電子署名は、認証機関システム2によって、当該認証機関システム2のプライベート鍵を用いて生成される。
【0034】
なお、本実施形態では、同報情報として、ETWSにおいて通知される緊急情報が想定されているが、他の同報情報が用いられていてもよい。
【0035】
検証部14は、緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に付与されている電子書名(Signature)を用いて当該緊急情報についての検証を行うように構成されている。
【0036】
ここで、検証部14は、記憶部12によって管理されているセキュリティ情報を用いて、上述の緊急情報についての検証を行うように構成されていてもよい。
【0037】
また、例えば、検証部14は、図4に示す方法によって、上述の緊急情報についての検証を行うように構成されていてもよい。
【0038】
第1に、検証部14は、記憶部12によって管理されているセキュリティ情報(認証機関システム2の公開鍵)及び取得部11によって取得された当該緊急情報(Primary Notification)に付与されている電子署名を認証関数に入れて、出力1を得る。
【0039】
第2に、検証部14は、取得部11によって取得された当該緊急情報(Primary Notification)をハッシュ関数に入れて、出力2を得る。
【0040】
第3に、検証部14は、出力1と出力2とが一致するか否かについて判定し、一致した場合に、当該緊急情報についての検証が成功したと判断する。
【0041】
さらに、検証部14は、記憶部12によって管理されているセキュリティ情報(Shared Secret)と、当該緊急情報(Primary Notification)に含まれているShared Secretとが一致した場合に、当該緊急情報についての検証が成功したと判断してもよい。
【0042】
比較部15は、検証部14による検証に成功した場合、緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に含まれる位置情報(Location)と、記憶部12によって管理されている移動局UEの位置情報とを比較するように構成されている。
【0043】
例えば、比較部15は、記憶部12によって管理されている移動局UEの位置情報が、緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に含まれる位置情報に含まれるエリア識別情報の少なくとも1つに一致するか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0044】
ここで、緊急情報に含まれる位置情報に含まれるエリア識別情報は、当該緊急情報の内容が有効なエリアの周辺エリアを識別する情報であってもよい。
【0045】
また、比較部15は、記憶部12によって管理されている第1時刻情報と、緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に含まれる第2時刻情報(Time)とを比較するように構成されている。
【0046】
例えば、比較部15は、記憶部12によって管理されている第1時刻情報によって特定される時刻或いは緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に含まれる位置情報に含まれる第2時刻情報によって特定される時刻のどちらが古い時刻(又は、新しい時刻)を示すかについて判定するように構成されていてもよい。
【0047】
処理部16は、比較部15による位置情報及び時刻情報についての比較結果に基づいて、緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に対応する処理を行うように構成されている。
【0048】
具体的には、処理部16は、記憶部12によって管理されている移動局UEの現在の位置情報が、緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に含まれる位置情報に含まれる複数のエリア識別情報(セルIDや位置登録エリアIDや緯度・経度情報等)の少なくとも1つに一致すると判定された場合に、当該緊急情報に対応する処理(ブザー出力やアラーム出力やディスプレイ表示等)を行うように構成されている。
【0049】
また、処理部16は、記憶部12によって管理されている第1時刻情報によって特定される時刻の方が、緊急情報受信部13によって受信された緊急情報に含まれる位置情報に含まれる第2時刻情報によって特定される時刻よりも早い場合に、当該緊急情報に対応する処理(ブザー出力やアラーム出力やディスプレイ表示等)を行うように構成されている。
【0050】
すなわち、処理部16は、時刻情報について比較した結果、第2時刻情報が、第1時刻情報よりも新しい時刻を示すと判断した場合に、当該緊急情報に対応する処理を行うように構成されていてもよい。
【0051】
また、処理部16は、時刻情報について比較した結果、第2時刻情報が、移動局UEによって管理されている現在の時刻情報の所定ウィンドタイム以内にあると判断した場合に、当該緊急情報に対応する処理を行うように構成されていてもよい。
【0052】
図3に示すように、本実施形態に係る認証機関システム2は、Primary Notification受信部21と、位置情報管理部22と、緊急情報送信部23と、電子書名作成部24とを具備している。
【0053】
Primary Notification受信部21は、緊急情報提供者システム1から緊急情報(Primary Notification)を受信するように構成されている。
【0054】
位置情報管理部22は、移動通信システムにおけるエリア識別情報によって識別される各エリアの周辺エリアを識別するエリア識別情報を管理するように構成されている。
【0055】
電子署名作成部24は、緊急情報(Primary Notification)と、位置情報管理部22によって管理されている各エリアのエリア識別情報と、電子署名を作成するタイムスタンプとに基づき、電子署名を作成するように構成されている。
【0056】
緊急情報送信部23は、Primary Notification受信部21によって受信された緊急情報(Primary Notification)に含まれる位置情報を移動通信システムにおけるエリア識別情報(例えば、セルIDや位置登録エリアIDや緯度・経度情報)に変換するように構成されている。
【0057】
また、緊急情報送信部23は、変換した当該エリア識別情報によって識別されるエリアの周辺エリアを識別するエリア識別情報(例えば、セルIDや位置登録エリアIDや緯度・経度情報)を緊急情報に追加するように構成されている。
【0058】
その後、緊急情報送信部23は、かかる緊急情報に対応する電子署名を当該緊急情報に付与して移動局UEに対して通知するように構成されている。
【0059】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
図4及び図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0060】
図4に示すように、ステップS1001において、ネットワーク装置(無線基地局BTSや無線制御局RNCやコアネットワーク装置CNやGPSシステム等)3が、移動局UEに対して、当該移動局UEの位置情報を送信する。
【0061】
ステップS1002において、移動局UEは、当該移動局UEの位置情報を取得して、当該位置情報に関する情報を管理する。
【0062】
ステップS1010において、緊急情報提供者システム(同報情報提供者システム)1が、認証機関システム2に対して、緊急情報(Primary Notification)を通知する。
【0063】
ステップS1011において、緊急情報提供者システム1は、受信された緊急情報(Primary Notification)に含まれる位置情報を移動通信システムにおけるエリア識別情報(例えば、セルIDや位置登録エリアIDや緯度・経度情報)に変換する。
【0064】
そして、緊急情報提供者システム1は、変換した当該エリア識別情報によって識別されるエリアの周辺エリアを識別するエリア識別情報(例えば、セルIDや位置登録エリアIDや緯度・経度情報)を緊急情報に追加する。
【0065】
その後、ステップS1012及びS1013において、緊急情報提供者システム1は、かかる緊急情報に対して電子署名を付与して、ネットワーク装置3を介して、移動局UEに対して通知する。
【0066】
ステップS1014において、かかる緊急情報を受信した移動局UEは、図5に示す動作を行う。
【0067】
図5に示すように、ステップS101において、移動局UEは、受信した緊急情報に付与されている電子書名(Signature)を用いて当該緊急情報についての検証を行う。
【0068】
かかる検証に失敗した場合には、移動局UEは、かかる緊急情報に対応する処理を行わない。
【0069】
一方、かかる検証に成功した場合、ステップS102において、移動局UEは、受信した緊急情報に含まれる位置情報(Location)と、管理している移動局UEの位置情報とを比較する。
【0070】
例えば、移動局UEは、管理している移動局UEの位置情報が、受信した緊急情報に含まれる位置情報に含まれるエリア識別情報の少なくとも1つに一致するか否かについて判定する。
【0071】
両者が一致しない場合には、移動局UEは、かかる緊急情報に対応する処理を行わない。
【0072】
一方、両者が一致する場合には、ステップS103において、移動局UEは、管理している第1時刻情報と、受信した緊急情報に含まれる第2時刻情報(Time)とを比較する。
【0073】
例えば、移動局UEは、管理している第1時刻情報によって特定される時刻の方或いは受信した緊急情報に含まれる位置情報に含まれる第2時刻情報によって特定される時刻のどちらが古い時刻(又は、新しい時刻)を示すかについて判定する。
【0074】
第1時刻情報の方が新しい時刻を示すと判定された場合、移動局UEは、かかる緊急情報に対応する処理を行わない。
【0075】
一方、第1時刻情報の方が古い時刻を示すと判定された場合、ステップS104において、移動局UEは、かかる緊急情報に対応する処理を行う。
【0076】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局UEによって管理されている移動局UEの位置情報と、検証に成功した緊急情報に含まれる位置情報とが一致する場合にのみ、移動局UEが、かかる緊急情報に対応する処理を行う、すなわち、地震等が発生していないエリアに在圏する移動局UEが、悪意の第三者によって転送された別のエリアにおける緊急情報に対応する処理を行わないため、「Forwarding Attack」を防ぐことができる。
【0077】
また、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局UEによって管理されている第1時刻情報が、検証に成功した緊急情報に含まれる第2時刻情報よりも古い時刻を示す場合にのみ、移動局UEが、かかる緊急情報に対応する処理を行う、すなわち、悪意の第三者が、地震等が発生した後に、地震等が発生していないエリアに在圏する移動局UEに対して、偽の移動局UEの現在の位置情報を送信した場合であっても、当該移動局UEが、悪意の第三者によって転送された別のエリアにおける緊急情報に対応する処理を行わないため、より強固に「Forwarding Attack」を防ぐことができる。
【0078】
(変更例)
上述の実施形態では、W-CDMA方式の移動通信システムを例に挙げて説明されているが、本発明は、かかる移動通信システムに限定されるものではなく、例えば、LTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムにも適用可能である。
【0079】
かかる場合、上述の無線基地局NodeBの機能及び無線制御局RNCの機能は、無線基地局eNB又は交換局MMEに搭載されることになる。
【0080】
なお、上述の移動局UEや無線基地局NodeB(eNB)や交換機MMEや無線制御局RNCの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0081】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0082】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UEや無線基地局NodeB(eNB)や交換機MMEや無線制御局RNC内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UEや無線基地局NodeB(eNB)や交換機MMEや無線制御局RNC内に設けられていてもよい。
【0083】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムで送信される緊急情報の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局における検証部の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る認証機関システムの機能ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動局の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
UE…移動局
11…取得部
12…記憶部
13…緊急情報受信部
14…検証部
15…比較部
16…処理部
2…認証機関システム
21…Primary Notification受信部
22…位置情報管理部
23…緊急情報送信部
24…電子署名作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動局の各々に対して同報情報を通知する同報情報通知方法であって、
前記複数の移動局の各々が、該移動局の位置情報を取得して、取得した該位置情報に関する情報を管理する工程Aと、
前記複数の移動局の各々に対して、電子署名が付与されている同報情報を通知する工程Bと、
前記複数の移動局の各々が、受信した前記同報情報に付与されている電子書名を用いて該同報情報についての検証を行う工程Cと、
前記複数の移動局の各々が、前記検証に成功した場合、前記同報情報に含まれる位置情報と、管理している前記位置情報とを比較する工程Dと、
前記複数の移動局の各々が、前記比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行う工程Eとを有することを特徴とする同報情報通知方法。
【請求項2】
前記工程Aにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記移動局の位置情報を取得した時刻を示す第1時刻情報を管理し、
前記工程Dにおいて、前記複数の移動局の各々は、管理している前記第1時刻情報と、前記同報情報に含まれる第2時刻情報とを比較し、
前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記位置情報及び前記時刻情報についての比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の同報情報通知方法。
【請求項3】
前記同報情報に含まれる位置情報は、複数のエリア識別情報を含み、
前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、管理している前記位置情報が、前記同報情報に含まれる位置情報に含まれるエリア識別情報の少なくとも1つに一致する場合に、該同報情報に対応する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の同報情報通知方法。
【請求項4】
前記複数のエリア識別情報は、前記同報情報の内容が有効なエリアの周辺エリアを識別する情報であることを特徴とする請求項3に記載の同報情報通知方法。
【請求項5】
前記工程Aにおいて、前記移動局は、ネットワークから、位置情報に対応したセキュリティ情報を受信して管理しており、
前記工程Cにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記セキュリティ情報及び前記同報情報に付与されている電子書名を用いて、該同報情報についての検証を行うことを特徴とする請求項1に記載の同報情報通知方法。
【請求項6】
前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、該移動局によって管理されている現在の時刻情報の所定ウィンドタイム以内にあると判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の同報情報通知方法。
【請求項7】
前記工程Eにおいて、前記複数の移動局の各々は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、前記第1時刻情報よりも新しい時刻を示すと判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の同報情報通知方法。
【請求項8】
同報情報に対応する処理を行うように構成されている移動局であって、
前記移動局の位置情報を取得して、取得した位置情報に関する情報を管理するように構成されている管理部と、
受信した同報情報に付与されている電子書名を用いて該同報情報についての検証を行うように構成されている検証部と、
前記検証に成功した場合、前記同報情報に含まれる位置情報と、管理している前記位置情報とを比較するように構成されている比較部と、
前記比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されている処理部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項9】
前記管理部は、前記移動局の位置情報を取得した時刻を示す第1時刻情報を管理するように構成されており、
前記比較部は、管理している前記第1時刻情報と、前記同報情報に含まれる第2時刻情報とを比較するように構成されており、
前記処理部は、前記位置情報及び前記時刻情報についての比較結果に基づいて、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の移動局。
【請求項10】
前記同報情報に含まれる位置情報は、複数のエリア識別情報を含み、
前記処理部は、管理している前記位置情報が、前記同報情報に含まれる位置情報に含まれるエリア識別情報の少なくとも1つに一致する場合に、該同報情報に対応する処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の移動局。
【請求項11】
前記複数のエリア識別情報は、前記同報情報の内容が有効なエリアの周辺エリアを識別する情報であることを特徴とする請求項10に記載の移動局。
【請求項12】
前記管理部は、ネットワークから、位置情報に対応したセキュリティ情報を受信して管理しており、
前記検証部は、前記セキュリティ情報及び前記同報情報に付与されている電子書名を用いて、該同報情報についての検証を行うように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の移動局。
【請求項13】
前記処理部は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、該移動局によって管理されている現在の時刻情報の所定ウィンドタイム以内にあると判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の移動局。
【請求項14】
前記処理部は、前記時刻情報について比較した結果、前記第2時刻情報が、前記第1時刻情報よりも新しい時刻を示すと判断した場合に、前記同報情報に対応する処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の移動局。
【請求項15】
移動通信システム内の移動局に対して同報情報を通知するように構成されている認証機関システムであって、
同報情報提供者システムから受信した同報情報に含まれる位置情報を前記移動通信システムにおけるエリア識別情報に変換し、該エリア識別情報によって識別されるエリアの周辺エリアを識別するエリア識別情報を該同報情報内の位置情報として追加した後に、該同報情報に対応する電子署名を該同報情報に付与して前記移動局に対して通知するように構成されている緊急情報送信部を具備することを特徴とする認証機関システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−253868(P2009−253868A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101989(P2008−101989)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】