説明

周波数ダイバース離散時間位相ロックデバイス及び装置

【課題】周波数ダイバース離散時間位相ロックデバイスを提供する。
【解決手段】デジタル−アナログ変換器(DAC)、及び、該DACからの入力に基づいてクロック信号を与えるように動作する発振器を含む、アナログセクションと、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)とを備えており、このデジタルシグナルプロセッサは、ループコントローラ状態機械と、位相検出器309と、発振器からのクロック信号を受信すると共に、前記位相検出器にカウント値を与えるように動作するカウンタ307と、基準信号310を受信すると共に、前記位相検出器に基準パルス312出力を与えるように動作する分周器と、相検出器309からの出力に基づいて、制御目標値320を与えるように動作するループフィルタ302とを備えており、前記位相誤差値に基づいて、前記発振器の出力が、前記位相誤差を定常状態値まで低減するように変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数ダイバース離散時間位相ロックデバイス及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くのデバイスが、内部信号周波数を外部信号周波数に対して同期させることに依存している。この同期は、通信デバイス(たとえば、電話、GPSデバイス等)において周波数同調のために、又は測定デバイスのようなさまざまなデバイスにおいてクロック同期のために用いられることがある。この同期は多くの場合に、位相ロック技法によって達成される。
【0003】
1つのタイプの測定デバイスは、シグナルアナライザ/ネットワークアナライザの組み合わせ(combination signal analyzer/network analyzer)(SANA)である。SANA機器は典型的には、システム内の他の発振器が位相ロックされる単一の基準周波数発振器を含む。これらの発振器は、受信機の変換チェーンにおいて周波数を変換するために、またデータ収集システムにおいてクロックをサンプリングするために用いられる。これらの発振器の周波数精度及び安定性が測定の品質に影響を及ぼすことは理解されよう。
【0004】
多くの場合に、測定機器と被試験装置との間の相対的な周波数誤差若しくはタイミング誤差、又はその両方を排除するために、内部発振器の位相を外部信号にロックすることが有用である。さらに、原子時計から導出される基準源のような比較的高い精度の基準源を用いることによって、スペクトル測定及びネットワークSパラメータ測定の絶対周波数精度も大きく向上する。
【0005】
内部発振器(内部基準源とも呼ばれる)は、システムにおいて用いられる局部発振器及びクロックを駆動するために用いられる。機器の周波数精度を向上させるために、多くの場合に、連続時間位相ロックループ(CTPLL)を用いて、内部基準源(f)を外部基準源(fref)にロックする。CTPLLは、周波数逓倍器と見なすことができ、出力周波数fは基準周波数frefの整数倍Rである。所与の設計に対して、fはシステム設計上の考慮すべき事柄によって確定され、多くの設計において、Rは固定整数である。Rは整数であるので、そのループは、式f/Rによって定義される限られた1組の基準周波数にのみロックすることができる。
【0006】
CTPLLの逓倍を決まった整数Rに限定することは、移動用機器において、要求される回路を簡単にするのに非常に望ましい。しかしながら、周波数ダイバーシティの可能性を排除し、単一のfrefをfの整数の約数に制限するので、これは深刻な制約を引き起こす。これらの制約は、Rを可変にすることができるようにすることによって、或る程度緩和することができるが、それでも、frefはf/R(R−1)のステップに限られる。CTPLLのさらなる改良は、フィードバック内に分数分周器を追加することである。しかしながら、これは所望の周波数ダイバーシティ及びf/frefの任意の比を提供するものの、かなり複雑な回路が要求され、多くの場合に混合信号技術が必要とされるので、それに応じて、消費電力及び基板空間要件が増加する。このようにさらに複雑になることは、スペースの観点及びコストの観点の両方から望ましくないことは理解されよう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、上記の既知の位相ロック技法の少なくとも短所を克服する位相ロックが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
代表的な実施の形態によれば、離散時間位相ロックループ(DTPLL)はアナログセクションを備え、当該アナログセクションは、デジタル−アナログ変換器(DAC)、及び、当該DACからの入力に基づいてクロック信号を与えるように動作する発振器を含む。DTPLLはまた、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)も備える。DSPは、ループコントローラ状態機械(LCSM)と、位相検出器と、発振器からのクロック信号を受信すると共に、位相検出器にカウント値を与えるように動作するカウンタと、基準信号を受信すると共に、位相検出器に基準パルス出力を与えるように動作する分周器と、位相検出器からの出力に基づいて、制御目標値を与えるように動作するループフィルタとを備える。制御目標値に基づいて、発振器の出力が、位相誤差を定常状態値まで低減するように変更される。
【0009】
別の代表的な実施の形態によれば、機器がDTPLLを備える。機器のDTPLLは、アナログセクションを備え、当該アナログセクションは、デジタル−アナログ変換器(DAC)、及び、当該DACからの入力に基づいてクロック信号を与えるように動作する発振器を含む。DTPLLはまた、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)も備える。DSPは、ループコントローラ状態機械(LCSM)と、位相検出器と、発振器からのクロック信号を受信すると共に、位相検出器にカウント値を与えるように動作するカウンタと、基準信号を受信すると共に、位相検出器に基準パルス出力を与えるように動作する分周器と、位相検出器からの出力に基づいて、制御目標値を与えるように動作するループフィルタとを備える。制御目標値に基づいて、発振器の出力が、位相誤差を定常状態値まで低減するように変更される。
【0010】
本教示は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を読むときに、最も深く理解される。さまざまな機構は必ずしも一定の縮尺では描かれていない。差し支えない場合には、類似の参照符号は類似の機構を指している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】代表的な実施形態による機器の概念図である。
【図2】代表的な実施形態による離散時間位相ロックループ(DTPLL)の簡略化された回路図である。
【図3】代表的な実施形態によるDTPLLの簡略化された回路図である。
【図4】代表的な実施形態によるDTPLL LCSMの状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義される用語
本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としており、限定することは意図していないことを理解されたい。
【0013】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、用語「或る」及び「その」は、文脈において他に明確に指示されない限り、単数形及び複数形の両方の指示物を含む。したがって、たとえば、「或るデバイス」は、1つのデバイス及び複数のデバイスを含む。
【0014】
以下の詳細な説明では、説明の目的上、本教示を完全に理解してもらうために、具体的な細部を開示する代表的な実施形態が述べられるが、それらは制限を加えるものではない。実施例の説明を不明瞭にするのを避けるために、既知のシステム、デバイス、材料、動作方法及び製造方法の説明は省略されることがある。それにもかかわらず、代表的な実施形態に従って、当業者が理解し得る範囲内にあるシステム、デバイス、材料及び方法を用いることもできる。
【0015】
本明細書においてさらに十分に説明されるように、代表的な実施形態は、包括的にはDTPLLに関連し、その機能のかなりの部分は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)において具体的に説明される。本説明を続けていくうちにさらに明らかになるように、そのDTPLLのために必要とされるアナログハードウエアは比較的わずかであり、特に、構成を複雑にしないという利点を提供する。DTPLLは、限定はしないが、測定及び試験デバイスを含む、さまざまな用途のうちの1つ又は複数の用途において用いられることが考えられる。これらのデバイスは、携帯型デバイスとすることができるか、又は独立型の測定及び試験デバイスとすることができる。代替的に、DTPLLは、タイミング同期を必要とするシステム内に実装することができる。
【0016】
本教示は、ネットワークアナライザ及びシグナルアナライザ、スペクトルアナライザ、信号発生器及びオシロスコープのような、測定及び試験デバイスにおいて、代表的な実施形態のDTPLLを用いることを考える。そのようなデバイスは、カリフォルニア州サンタクララ所在のAgilent Technologies社、オレゴン州ビーバートン所在のTektronix社、及び、ワシントン州エベレット所在のFluke社のような企業から市販されているものとすることができる。代替的に、DTPLLは、異種の用途を有するさまざまなデバイスのうちの1つにおいて実装されてもよい。たとえば、DTPLLは、GPSタイミング信号にロックするために用いられることがあり、そのため、GPS機能を有する通信デバイス(たとえば、移動電話)において役に立つことがある。さらに他の用途も考えられる。
【0017】
図1は、代表的な実施形態による機器100の概念図である。機器100として、上記のデバイスのうちの1つが用いられることがあり、機器100は、ディスプレイ101、入力/出力インタフェース102、及び代表的な実施形態によるDTPLL103を備える。入力/出力インタフェース102は、当該機器のための制御ロジック(たとえば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI))を含むことができ、ディスプレイ101として、たとえば、データ表示装置、若しくは入力インタフェース、又はその両方を用いることができる。DTPLL103は、アナログハードウエア及びDSPにおいて実装され、いずれも図2及び図3に関連してさらに詳細に説明される。
【0018】
図2は、代表的な実施形態による離散時間位相ロックループ(DTPLL)200の簡略化された回路図である。DTPLL200は、LCSM201を備える。後にさらに詳細に説明されるように、他の機能の中でも、LCSM201は、位相誤差(eφ)を計算し、位相誤差信号214をループフィルタ202に与える。代表的な実施形態のループフィルタ202は、積分器、乗算器及び加算器を有する比例積分(PI)ループフィルタを含む。またループフィルタ202は、積分器及び加算器のための機能パラメータを含むレジスタも備える。これらのレジスタ及び他のレジスタの機能は、後にさらに十分に説明される。
【0019】
ループフィルタ202は位相誤差信号214を受信し、演算を実行した後に、デジタル−アナログ変換器(DAC)203(たとえば、16ビットDAC)に出力を与える。その出力は、発振器信号と基準(外部)信号との間に存在する位相誤差を表す。ループフィルタ202からDAC203への出力は、本明細書において制御目標値又は単に制御目標と呼ばれることがある。
【0020】
DAC203は、アナログアンチエイリアスフィルタ204に出力を与え、アナログアンチエイリアスフィルタ204は発振器205に出力を与える。代表的な実施形態では、発振器205は、電圧制御温度補償水晶発振器(VCTXO)であり、DAC203からの入力は、VCTXOを駆動するアナログ電圧である。本説明を続けていくうちにさらに明らかになるように、VCTXOへの駆動信号は、位相ロックに対する、いわゆる同期外れ(wander-off)条件が生じるまで、徐々に発振周波数を上げるか、又は発振周波数を下げるであろう。
【0021】
発振器周波数fの発振器出力206が、測定システム(図示せず)に、そしてNモジュラスカウンタ207に与えられる。例示として、カウンタは既知の28ビットNモジュラスカウンタである。カウンタ207は、発振器205からのパルスをカウントし、カウント208を位相検出器(位相検出器)209に与えるロールオーバカウンタである。例示として、位相検出器209は28ビットラッチタイムタグ位相検出器である。
【0022】
外部基準入力信号210が分周器211に与えられ、分周器は入力周波数を整数Mだけ分周すると共に、基準入力信号frefをMだけ分周した周波数に等しい速度で出力パルス212を与えるように動作する。例示として、分周器211は、分周機能を実行するように構成される28ビットモジュラスカウンタである。
【0023】
出力パルス212によって、タイムタグ位相検出器209は、カウンタ207からカウント値208を取り込むことができるようになる。後に説明されるように、位相検出器209からのサンプリングレートの出力213は、LCSM201に与えられ、LCSM201は、位相検出器209のレジスタ(図2には示されない)において設定される基準位相値に対する位相誤差を計算する。
【0024】
代表的な実施形態によれば、サンプリングレートは、最大で、基準周波数frefと発振器周波数fとの最大公約数まで選択され、ループ帯域幅(LBW)を確立するために用いられる。LBWを狭くするほど、基準信号ジッタの影響を受けにくくなるが、ロック時間が比較的長くなり得ることは当業者には理解されたい。対照的に、LBWを広くするほど、ロック時間は短くなるが、それに比例して、発振器に伝達される基準信号ジッタが多くなる。本教示の実施形態は、パラメータの選択を通じて、比較的広いLBW又は比較的狭いLBWのいずれかを提供することができる。測定の用途では、多くの場合に比較的狭いLBWが望ましいことに留意されたい。
【0025】
例示として、LBWは、サンプリングレートの実質的に10分の1程度である。代表的な実施形態では、複数のパラメータが順次に設定され、最初にLBWが選択される。これによって、サンプリングレートを容易に決定することができるようになる。サンプリングレートがわかると、約数Mが分周器211のレジスタ(図2には示されない)において設定される。ただし、Mはfrefをサンプリングレートで除算した値に等しい。例示のために、所望のLBWを1Hzとすると、サンプリングレートは10Hzに設定され得る。基準信号が10MHzの周波数(fref)を有する場合には、Mは10に設定される。
【0026】
代表的な実施形態では、カウンタ207は、発振器信号206(f)のNサイクル毎に、そのカウントシーケンスを周期的に繰り返し、位相検出器209にカウント値出力208を与える。本明細書においてさらに十分に説明されるように、カウンタ207は最初に、中域値(N/2)に設定される。本明細書においてさらに十分に説明されるように、LCSM201は、N/2プリロード信号215をカウンタ207に与え、中域値を設定する。カウンタ207はNサイクル後にロールオーバし、初期選択によって、DTPLL200が、制御されることなく補正に入るのを防ぐ。分周器211は、基準信号のMサイクル(すなわちfref/M)毎にパルス212を出力する。Refパルス212の最初の出力において、位相検出器209においてラッチされたカウント値出力208が、LCSM201によってレジスタ内に保存される。この初期出力は位相基準値を与え、後続のラッチされたカウント値208が、その位相基準値と比較され、位相誤差(eφ)が求められる。
【0027】
後続のラッチされたカウント値208が、基準位相値と同じである場合には、Refパルス212は、カウンタ207を駆動するクロックに対して実質的に一定の位相関係を有する。幾分異なる言い方をすると、カウンタ207がロールオーバし、且つ各Refパルス212と同じ数までカウントする場合、Refパルス212に対して、カウンタ207を駆動するクロックの位相は変化しない。カウンタ207を駆動するクロックは、当然、発振器出力206であり、それゆえ、発振器出力206は、Refパルス212に対して実質的に一定の位相関係を有する。Refパルス212は、frefと同期しており、それゆえ、frefの位相はfにロックしている。
【0028】
定量的には、DTPLLがしきい値内にロックするとき、条件:
(f/N)=(fref/M)
が満たされる。この関係から、カウンタ207のカウントサイクルレートがサンプリングレートに等しいこと、それゆえ、発振器及び基準信号が実質的に同じ位相を有することが明らかである。
【0029】
DTPLL200のロックは、上記の条件が満たされるまで、何サイクルにもわたって発振器周波数を徐々に変更することを含む。上記のように、Refパルス212毎に、カウンタ207からカウント値208がラッチされる。カウンタ207は、N−1の同じカウント値においてロールオーバし、0からカウントシーケンスを繰り返すことに留意されたい。したがって、Refパルス212は、カウントシーケンス毎に一度だけ値をラッチしている。後続のラッチ値から、カウンタ207がロールオーバし、より高い数(すなわち、より高いカウント値208)までカウントしていたことがわかった場合には、カウンタを駆動するクロックは、Refパルス212よりも進んでおり、位相誤差(eφ)が指定されたしきい値内に戻されるまで、周波数を下げるように駆動されなければならない。代替的に、後続のタッチ値から、カウンタ207がロールオーバし、より低い数(すなわち、より低いカウント値208)までカウントしていたことがわかった場合には、カウンタを駆動するクロックは、Refパルスよりも遅れており、位相誤差が指定されたしきい値内に戻されるまで、周波数を上げるように駆動されなければならない。
【0030】
本明細書においてさらに十分に説明されるように、分周器211の出力Refパルス212毎に、位相誤差(eφ)が計算される。後続のサイクル(すなわち、サンプリング周期)において、ラッチされたカウント値208が基準位相値と異なる場合には、位相誤差は非定常状態である。対照的に、現在のラッチされたカウント値が、先行するサンプリング周期において取り込まれたラッチされたカウント値と同じである場合には、位相誤差(eφ)は定常状態値に達している。DTPLL200が、位相誤差が定常状態値に達している動作点を達成しているとき、DTPLL200は、定常状態位相ロック条件において動作している。
【0031】
フィードバック経路内に整数分周器を有するCTPLLの場合と同様に、DTPLL位相検出器基準周波数は、ループがロックすることができる外部基準の周波数分解能を決定する。DTPLLでは、位相検出器基準周波数は、システムのサンプリングレートも設定し、サンプリングレートはループ帯域幅(LBW)を制限する。要求されるLBWは、VCOの位相雑音特性、及びループがロックされる基準の周波数安定性によって決定される。たとえば、GPS1パルス毎秒(PPS)タイミング信号は、相対的に乏しい短期安定性を有する。そのジッタは、100nsec程度の乏しさであり得るが、長期にわたる1PPS信号の平均周期は比較的安定している。このタイプの信号の場合、要求されるLBWはサブヘルツ範囲内にあるので、PLLは実効的には、短期ジッタを抑圧するのに適しているカットオフ周波数を有するローパスフィルタとして動作することができる。一方、基準信号がラボグレードの10MHz標準であった場合には、所望のLBWは、1Hz〜100Hzの範囲内に入ることになり、その値は、発振器205の位相雑音特性及びシステムの位相雑音要件によって決まる。
【0032】
代表的な実施形態のDTPLL200は、DAC203、フィルタ204及び発振器205を含むアナログセクションを含むことに留意されたい。例示として、このアナログセクションはハードウエアで実装される。DTPLL200の他の全ての構成要素はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)において提供される。例示的な実施形態では、DSPは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、当業者が理解し得る範囲内にある他の形態のプログラマブルロジックを実装してもよい。本説明を続けていくうちにさらに明らかになるように、プログラム可能に必要とされるレベルは、比較的小さくすることができ、大抵の場合に、レジスタ内の特定のパラメータで設定することができるようになる。当然、複雑なプログラミングオプションで、付加機能が提供されることもある。それにもかかわらず、本教示のDTPLLは、アナログハードウエアへの依存度が比較的小さく、それは、基板空間要件を緩和し、回路を複雑にしないようするのを助長するという利点がある。
【0033】
図3は、代表的な実施形態による、離散時間位相ロックループ(DTPLL)300の簡略化された回路図である。DTPLL300は、図2との関連で説明されたDTPLL200の数多くの機構を含む。ここで説明される実施形態を不明瞭にするのを避けるために、そのような共通の機構の細部は多くの場合に繰り返さない。
【0034】
DTPLL300はLCSM301を備え、LCSM301はループコントローラ状態機械201と実質的に同一である。DTPLL300はループフィルタ302も備え、ループフィルタ302は例示として、比例積分微分(PID)フィルタであり、DTPLL300に、より高速の応答時間を提供する。フィルタ302の出力は、アナログハードウエアグループに与えられ、アナログハードウエアグループは、DAC303、アンチエイリアシングフィルタ304及び発振器305を含む。このハードウエアグループは別として、DTPLL300の他の全ての機能は、FPGAのようなDSPにおいて具体的に説明される。上記で検討されたように、デジタルロジックを用いると共に、アナログハードウエアへの依存度を比較的小さくする結果として、DTPLL300によって、或る特定の利点が実現される。
【0035】
発振器305は、カウンタ307に発振器出力306を与え、カウンタ307はカウンタ206と実質的に同一である。このカウンタは、位相検出器309にカウント値308を与える。分周器211と実質的に同一である分周器311が、基準周波数frefの外部基準入力310を受信し、その基準周波数をMだけ分周する。分周器311は、選択されたサンプリングレートの基準パルス(Refパルス)312を位相検出器309及びLCSM301に出力する。本明細書においてさらに十分に説明されるように、LCSM301は、Refパルス312を状態遷移信号として用いる。すなわち、Refパルス312がアサートするまで、状態図内の次の状態への遷移は生じないであろう。説明を続けていくうちにさらに明らかになるように、その状態においてLCSM201が実行する動作は、有効な情報(たとえば、ループフィルタ内のさまざまなデータ値)が存在することによって決まるので、このような状態遷移は、いくつかの状態の場合に有用である。
【0036】
図2の実施形態との関連で上述されたのと実質的に同じようにして、出力Refパルス312毎に、位相検出器309はカウント値308をラッチする。位相検出器309において、減算器313によって位相誤差(eφ)328が計算され、減算器313は、レジスタ314に格納される位相基準値とカウント値308との間の差を計算する。DTPLL200との関連で説明されたのと同じようにして、分周器311の出力Refパルス312毎に、位相誤差(eφ)が計算される。後続のサイクル(すなわち、サンプリング周期)において、ラッチされたカウント値308が、基準位相値と異なる場合には、位相誤差は非定常状態である。DTPLL300が、位相誤差が非定常状態値である動作点を達成しているとき、DTPLL300は、定常状態位相ロック条件において動作していない。
【0037】
PIDフィルタ302を含むDTPLL300の実施形態では、位相誤差の定常状態は単に、位相誤差の一次導関数が0であるか、又はしきい値(理想的には0)内にあるときに生じる。対照的に、位相誤差の一次導関数が0又はしきい値よりも大きいとき、位相誤差は非定常状態である。基準位相値は、或る決まった時点において、或る程度任意の位相値を確立する。後続のカウント値が位相検出器309内のこの基準カウントから減算され、それによって、位相オフセットが与えられる。比例(P)ループフィルタによれば、このループは、サーボ機構によって定常状態(一次導関数=0)になるように制御することになるが、基準位相値から或るオフセットを有することに留意されたい。図2の実施形態に組み込まれるようなPIループフィルタによれば、積分器項が、そのオフセットを強制的に0にする。それにもかかわらず、DTPLL200、300が位相ロックされているか否かを特徴付けるために、定常状態条件を検出することは有用である。PIフィルタを含む代表的な実施形態では、位相検出器が先行する値からの偏差(導関数)を調べなければならない比例(P)だけのフィルタとは対照的に、その位相検出器は、0からの偏差を検出しているであろう。
【0038】
現在ラッチされるカウント値が、先行するサンプリング周期(すなわち、先行するサイクル)において取り込まれるラッチされたカウント値と同じである場合には、位相誤差(eφ)328は、定常状態値に達している。DTPLL300が、位相誤差が定常状態値に達している動作点を達成しているとき、DTPLL300は、定常状態位相ロック条件において動作している。
【0039】
位相誤差328は、ループフィルタ302及び位相ロック検出器316に与えられる。位相ロック検出器316はしきい値比較器を含み、しきい値比較器は、位相誤差をしきい値317と比較し、しきい値317より高い場合、DTPLL300はロック外れ(out of lock)と見なされる。また、位相ロック検出器316は積分器318も含み、積分器は、多数のサンプルにわたって、位相誤差328の絶対値を積分する。図に示されるように、ロック状態インジケータ値319がLCSM301に与えられる。ループフィルタ302は、制御目標値320を計算し、制御目標値を加算器321に与える。制御目標値320は、レジスタ322内に格納される較正値に加えられ、その和がDAC303に与えられる。DAC303への入力に基づいて、発振器周波数fが上げられるか、若しくは下げられるか、又はそのままにされる。
【0040】
発振器周波数fの変更は、ロックが達成されるまで徐々に行なわれる。本実施形態では、PIフィルタ設計又はPIDフィルタ設計が例示されるが、PIフィルタ又はPIDフィルタの代わりに、制御システム技術者に知られている数多くの他のループフィルタ(たとえば、カルマンフィルタ)を用いても、うまく設計することができる。PIフィルタを含む実施形態では、制御目標、そして最終的にはDAC値は、位相誤差のスケーリングされたバージョン(すなわち、スケーリングファクタ、kpによる)に、位相誤差のスケーリングされたバージョン(すなわち、スケーリングファクタ、kiによる)の積分を加えた値によって求められる。負帰還と共に、積分項が存在することによって、位相誤差が「自動的に」0に追い込まれるであろう。対照的に、比例フィルタ(すなわち、スケーリングファクタkpのみを有するフィルタ)は、位相誤差を0に追い込むのではなく、或る定数又は定常状態値に追い込むであろう。
【0041】
DTPLL300は多数のレジスタを含み、これらのレジスタはDSP又はFPGA内に設けられることがある。DTPLL300のさまざまな構成要素のレジスタへのデータ投入は、ハードウエアインタフェースを経由して、ホスト制御ソフトウエアを介して達成される。或る特定のロック条件を達成するために、レジスタには初期値又は基準値を投入することができる。これらの値及びそれらの機能がここで説明される。図2との関連では図示又は説明されないが、図3との関連で説明されるレジスタ及びパラメータの多くは、図2との関連で説明された実施形態にも適用することができることに留意されたい。
【0042】
分周値レジスタ322は値(M)を含み、これは上述されたように、所望のサンプリングレート及び外部基準周波数frefに基づいて求められる。レジスタ323はカウンタ307のための最終カウント値(N)を含み、これは上述されたように、所望のサンプリングレート及び発振器305周波数fに基づいて求められる。ロックが達成されると、カウント値308を比較的安定させておくことによって、誤った挙動を回避するために、初期カウント値は実質的に、カウンタ307の最大範囲の中域(N/2)に設定される。本明細書においてさらに十分に説明されるように、LCSM301は、カウンタ307にN/2プリロード信号315を与え、中域値を設定する。
【0043】
カウント値を実質的に中域点に設定することによって、いくつかの利点が提供される。ロック条件を達成するときに、カウント値がカウンタ最終カウント(N)に近いと、発振器305の位相が基準カウンタに対して変化するときに、ラッチされたカウント値308が、カウンタ最終カウント値のどちらの側にも存在することがある(すなわち、Nよりわずかに小さいことがあるか、又は小さな正の値であることがある)。位相検出器309内の基準値と比較されるとき、発振器305及び基準信号310の相対的な位相を求めるのは難しいことがある。たとえば、カウンタの範囲が100であったと仮定する。基準カウント値が1に設定されており、且つ後続のサイクルにおけるカウント値が98であるとすると、発振器305の位相は、基準信号310よりも97カウントに対応する位相だけ進んでいるものと解釈され得るか、又は3カウントに対応する位相だけ基準信号よりも遅れていると解釈され得る。カウンタ307を中域値にプリロードし、同時に、この中域値において基準位相を確立することによって、最終カウント領域が避けられ、それによって、発振器305及び基準信号310の相対的な位相を求める際の曖昧さが取り除かれる。
【0044】
代表的な実施形態では、しきい値レジスタ324がしきい値を格納する。このしきい値は、例示として、DTPLL300が位相ロックされる時点を決定するためのトリップレベル設定値である。本教示の代表的な実施形態では、位相ロックの条件は、発振器信号の位相が基準信号の位相に対して実質的に一定の関係を有する時点と定義される。この関係は、一定の位相だけでなく、0°(同相)の場合もある。本実施形態では、位相ロック検出器309は、4点移動平均フィルタを用いると共に、相対的な位相の平均値が0±しきい値であることを要求する。位相誤差の絶対値をしきい値と比較することによって、実効的には、位相窓比較器が実現される。DTPLLの最終的な用途によるが、アンロック条件をいかに迅速に検出する必要があるかによって、より長い平均フィルタ、又はより短い平均フィルタを用いることができる。
【0045】
代替的に、位相ロック条件は、サンプル間の位相関係(誤差)の変化と定義することができ、その変化がしきい値と比較される。これは、しきい値との比較前に、位相誤差値に適切なフィルタを適用することによって果たされる。しきい値を決定することは、位相ロック条件を考慮するために、発振器と基準信号との間の位相関係の変化を所望のように制限することに繋がる。理想的には、位相関係の変化が0である場合以外の任意の値が、アンロック条件と見なされるであろう。しかしながら、システム内の雑音、アナログ又はデジタルのいずれかの量子化に起因して、位相ロック条件のための実際の限度は1以下の変化である。
【0046】
代表的な実施形態では、整数位相誤差値は、或る特定の物理的指標を表す。1つのそのような物理的指標は、位相誤差値の時間分解能であり、これは、カウンタのクロックレート又は1/fによって設定される。別の物理的指標は、基準信号の完全な1サイクル、すなわち360°であり、これは1/fref秒である。その際、位相検出器の時間分解能をfrefの完全な1サイクルに関連付けると、(1/f)/(1/fref)又はfref/fがもたらされる。こうして、度単位では、位相検出器の1カウントは、fref/f×360を表す。一例として、f=100MHz及びfref=10MHzである場合には、位相検出器分解能は36°である。このシナリオでは、しきい値が2に設定される場合には、−36°、0°、又は+36°の位相変化は位相ロック条件と見なされることになるが、−72°以下及び+72°以上は、アンロック条件と見なされるであろう。
【0047】
ループフィルタ302は、積分レジスタ325と、比例レジスタ326と、微分レジスタ327とを含む。これらのレジスタのそれぞれのループフィルタ値は、解析によって、又は実験によって求めることができる。既知のように、PIDコントローラが用いられるプロセス制御では、ほとんどの場合に、実験的な調整方法が用いられる。1つのそのような方法は、入力において、1ステップに対する閉ループ応答のオーバーシュート、リンギング及び整定時間を観測する。DTPLL300において、1周波数ステップが基準周波数fref310に適用され、fの所望の応答に対して、ループフィルタパラメータが調整される。所与の動作条件に対してループが「調整」されると、PID値は、調整された値に固定される。
【0048】
別の実施形態によれば、ループフィルタパラメータを調整する第2の方法は、いわゆる、開ループ利得応答測定を巧みに処理する制御システムを含む。この方法では、妨害信号がループに注入され、注入時点前後の応答信号の測定値から開ループ利得が計算される。所望の性能に対して、ループフィルタパラメータ(たとえば、レジスタ値)を調整しながら、利得のボード線図を用いて、LBW及び対応する位相マージンを見ることができる。この方法は、最も一般的には、アナログ法によるアナログ制御ループにおいて実行されるが、そのDTPLLでは、アナログ又はデジタルいずれの実施態様も実現可能である。アナログ実施態様の場合、理想的な妨害信号注入点は、DAC303の出力とアンチエイリアスフィルタ304の入力との間である。この例示的な方法のさらなる詳細は、Kevin Johnson(HP Lake Steven's Instrument Division)著「Measure PLL Open-Loop Response With The Loop Closed」(Electronic Design Magazine, Nov 22, 1990, pg 79-86)において見いだすことができる。この論文の開示は、参照によって明確に本明細書に援用される。
【0049】
代替的に、デジタル実施態様を含む別の実施形態では、注入部位は、例示として、ループフィルタ出力320に位置する。そのようなデジタル実施態様のさらなる詳細は、Tim Wescott著「Applied Control Theory for Embedded Systems」(ISBN-13: 978-0-7506-7839-1,「In Loop Measurement」と題する第9章セクション3)において見いだすことができる。第9章のこのセクションの開示は参照によって明確に本明細書に援用される。デジタル実施態様は、ハードウエア又は試験装置の追加が実質的に回避されるので好都合である。
【0050】
図4は、代表的な実施形態によるDTPLL LCSMの状態遷移図(ダイアグラム)400である。その遷移図は、上述されたLCSM201、301のためのものとすることができる。その状態遷移図は、代表的な実施形態のDTPLLにおいて用いられる場合の、ループコントローラ201、301の特定の機能を記述するのに有用である。記述される機能は例示に過ぎず、それよりも多い機能、又は少ない機能も考えられることを強調しておく。
【0051】
LCSM201、301は、負帰還制御システムが定常状態位相ロック条件を達成することができるようにするのに必要とされるイベントの順序付けを編成する。さらに、LCSM201、301は、ユーザ入力データを受信し、DACレンジ限界を検出及び回復し、基準信号の損失を検出及び回復し、ロック状態インジケータを設定する。ダイアグラム400は7つの状態を含み、それらの状態は、イベントシーケンスを制御するために用いられる。しかしながら、上記で言及されたように、さらに多くの状態、又は場合によっては少ない状態を有する他のシーケンス(それゆえ、機能)も可能であろう。この設計のために用いられる7つの状態は、Power On401(状態0)、Loop Open402(状態1)、Initialize Loop403(状態2)、Pre-Load N-Counter404(状態3)、Loop Closed405(状態4)、Loop Lock406(状態5)及びLost Lock407(状態6)である。
【0052】
有限状態機械設計の場合にも当てはまるように、状態間の遷移は、システムクロックと同期している場合にのみ生じる。システムクロックエッジが生じる時点におけるさまざまな入力の状態が、その機械が進むことになる次の状態を決定するであろう。各状態において、さまざまなDTPLL構成要素の適切な制御を与えるさまざまな出力が生成される。
【0053】
電力が印加されるとき、又は外部リセット信号がアサートされるとき、LCSM201、301は常にPower On状態401に移行し、リセット信号が解除されるまで、この状態に留まる。上記で言及されたように、リセット信号を解除する前に、DTPLLの動作結果を決定する全ての静的レジスタが、外部システムソフトウエアによってデータ投入されなければならない。その後、リセット信号の解除によって、LCSMは、Loop Open状態402に進む。
【0054】
Loop Open状態402は実効的には、DTPLL200、300の動作をディセーブルする。代表的な実施形態では、Loop Open状態402は、1)開ループ又はアンロック状態において、最小の周波数誤差を有する公称発振器周波数fが実現されるように、DACに較正値を書き込み、2)アンロック又はループオープン条件を示す状態ビットをクリアするように機能する。外部信号「Disable PLL」が、LCSMが戻るか、この状態に留まるかを制御する。Disable PLL信号をクリアすると(Enable PLL)、LCSM201、301は、Initialize Loop状態403に進む。代表的な実施形態では、ユーザによって開始されたDisable PLL信号がアサートされる場合には、状態401〜407はLoop Open状態402に戻ることを強調しておく。
【0055】
代表的な実施形態では、Initialize Loop状態403は、1)その出力がアンロック状態を表す値で始まるように、最大限取り得る値をロック検出器フィルタにプリロードし、2)位相基準レジスタが、Nカウンタから位相値を取り込み始めることができるようにし、3)Lost Lock状態からこの状態に入った場合には、直前に保持されたロック値をループフィルタ出力に投入する役割を果たす。そうでない場合には、ループフィルタ出力に0を投入する。図400において示されるように、Pre-Load N-Counter状態への移行は、Ref Sig Present及びRef Pulse312のアサート時に生じる。外部デバイスによって検出されるような外部基準信号がもはや存在しない場合には(Ref Sig Lost)、LCSM201、301は、いつまでも現在の状態に留まるのではなく、Lost Lock状態に進む。
【0056】
代表的な実施形態では、Pre-Load N-Counter状態404は、Nカウンタ207、307に中域(N/2)値をプリロードする。図400に示されるように、Refpulse312のアサート時に、LCSMはLoop Closed405に進む。
【0057】
代表的な実施形態では、Loop Closed状態405は、1)位相基準値を保持し、2)ループフィルタ202、302を関与させて、3)各Refパルス312においてDACへの書込みを可能にする役割を果たす。この時点において、対応するパラメータを用いるループフィルタ設計に基づく自動制御システムが、DAC203、303に適切な値を書き込むのを容易にし、それによって強制的に定常状態位相ロック条件にするであろう。この状態において、位相誤差の変化がしきい値以下に(理想的には0まで)減少する場合には、ロック検出器316がロック条件をシグナリングし、その時点で、LCSM201、301がLoop Lock状態406に進む。基準信号の不慮の除去、又は基準周波数信号が現在のDTPLLパラメータに適していない等の、ロック条件を妨げることになるエラー条件が起こる可能性がある。いずれの場合でも、LCSMはLost Lock状態に進む。
【0058】
代表的な実施形態では、ループロック状態406は、1)ロック状態インジケータ値319を設定し、2)各Refパルス312においてループフィルタの出力値のコピーを保存するように機能する。ループフィルタ出力を保存することは、DTPLL201、301の基本動作にとって不可欠ではない。しかしながら、直前(最後)のロックしたループフィルタ出力は、保存された値を制御目標値320に予め投入することによって、後続のロックシーケンスのロック時間を短縮する際に有益であり得る。Ref Sig Lost又はロック検出器からのアンロック信号がアサートされると、LCSMはLost Lock状態407に進む。
【0059】
代表的な実施形態では、Lost Lock状態407は、1)ロック状態インジケータ値319をクリアし、2)DAC203、303への書き込みをディセーブルして、ロック状態下の以前の値が保持されるようにするように機能する。この動作は、この状態にある間に、発振器と外部基準との間の周波数誤差を最小限に抑える。Ref Sig Lostがアサートされる場合には、LCSMはこの状態に留まる。そうでない場合、RefSampValid信号がアサートされると、LCSMはInitialize Loopに進み、それによって、ロックシーケンス試行が繰り返される。
【0060】
理解されるように、ダイアグラム400との関連で説明されるLCSM201、301のさまざまな機能は、図1〜図3との関連で説明される実施形態において実施することができる。さらに、上記で強調したように、さまざまな状態401〜407の機能は、単に例示するように意図され、本教示を限定することは決して意図していない。
【0061】
本開示を鑑みて、本教示を維持しながら、本明細書において説明されるDTPLLへの変形を実現することができることに留意されたい。さらに、さまざまなトポロジ、デバイス、構成要素、材料、構造及びパラメータは例示として含まれており、一例に過ぎず、いかなる限定の意味もない。本開示を鑑みて、添付の特許請求の範囲内に留まりながら、その用途、及び必要とされる構成要素、材料、構造及び装置を決定して、これらの用途を実現する際に、当業者は本教示を実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離散時間位相ロックループ(103)(DTPLL)であって、該離散時間位相ロックループは、
デジタル−アナログ変換器(203)(DAC)、及び、該DAC(203)からの入力に基づいてクロック信号を与えるように動作する発振器(205)を含む、アナログセクションと、
デジタルシグナルプロセッサ(DSP)と、
を備え、該デジタルシグナルプロセッサは、
ループコントローラ状態機械(201)と、
位相検出器(309)と、
前記発振器からのクロック信号を受信すると共に、前記位相検出器にカウント値を与えるように動作するカウンタ(307)と、
基準信号(310)を受信すると共に、前記位相検出器に基準パルス(312)出力を与えるように動作する分周器(211)と、
前記位相検出器(309)からの出力に基づいて、制御目標値(320)を与えるように動作するループフィルタ(302)と、
を備え、前記位相誤差値に基づいて、前記発振器の出力が、前記位相誤差を定常状態値まで低減するように変更される、離散時間位相ロックループ(DTPLL)。
【請求項2】
前記DSPはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、請求項1に記載のDTPLL。
【請求項3】
前記カウンタ(307)、前記分周器(211)及び前記ループフィルタ(302)は、動作パラメータを有するそれぞれのレジスタを含む、請求項2に記載のDTPLL。
【請求項4】
前記DSPは、前記位相誤差をしきい値と比較すると共に、前記ループコントローラ状態機械(201)に、前記DTPLLのロック状態を指示する出力を与えるように動作する、位相ロック検出器(316)をさらに備える、請求項1に記載のDTPLL。
【請求項5】
前記ループフィルタ(302)は比例積分(PI)フィルタを含む、請求項1に記載のDTPLL。
【請求項6】
前記ループフィルタ(302)は比例積分積分(PID)フィルタを含む、請求項1に記載のDTPLL。
【請求項7】
前記PIDフィルタは前記DAC(203)に信号を与え、該DAC(203)は、前記制御目標値(320)に基づいて前記発振器を駆動する、請求項6に記載のDTPLL。
【請求項8】
前記カウンタ(307)は最大値Nを有し、前記分周器は基準値Mだけ分周し、位相ロック条件は実質的に(f/N)=(fref/M)であり、ただし、fは発振器周波数であり、frefは基準クロック周波数である、請求項1に記載のDTPLL。
【請求項9】
前記カウンタ(307)は最大値Nを有し、前記分周器は基準値Mだけ分周し、位相ロック条件は実質的に(f/N)=(fref/M)であり、ただし、fは発振器周波数であり、frefは基準クロック周波数である、請求項2に記載のDTPLL。
【請求項10】
機器(100)であって、該機器は、
離散時間位相ロックループ(103)(DTPLL)を備え、該離散時間位相ロックループは、
デジタル−アナログ変換器(203)(DAC)、及び、該DAC(203)からの入力に基づいてクロック信号を与えるように動作する発振器(205)を含む、アナログセクションと、
デジタルシグナルプロセッサ(DSP)と、
を備え、該デジタルシグナルプロセッサは、
ループコントローラ状態機械(201)と、
位相検出器(309)と、
前記発振器からのクロック信号を受信すると共に、前記位相検出器にカウント値を与えるように動作するカウンタ(307)と、
基準信号(310)を受信すると共に、前記位相検出器に基準パルス(312)出力を与えるように動作する分周器(211)と、
前記位相検出器(309)からの出力に基づいて、制御目標値(320)を与えるように動作するループフィルタ(302)と、
を備え、前記位相誤差値に基づいて、前記発振器の出力が、前記位相誤差を定常状態値まで低減するように変更される、機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−246969(P2009−246969A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−79594(P2009−79594)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】