説明

周波数発生のための装置及び方法

広帯域周波数発生器は、フリップチップパッケージ内の同一のダイに配置された異なる周波数帯域のための2つ以上の発振器を有する。2つの発振器の誘導子間の結合は、一方の誘導子がダイに配置され、他方の誘導子がパッケージに配置され、これら誘導子がハンダバンプの直径によって離されることで、減少させられる。弱結合されたこれら誘導子では、一方の発振器の帯域を増加させるために他方の発振器のLCタンク回路の操作をしたり、その逆を行ったりできる。一方の発振器の振動の好ましくないモードを防ぐことは、他方の発振器の粗同調バンクの全容量といった大容量を他方の発振器のLCタンク回路に与えることによって達成され得る。好ましくないモードを防ぐことは、他方の発振器のLCタンクのQファクタを減少させ、タンク回路内の損失を増加させることによっても達成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載されている装置及び方法は、周波数発生器及び周波数発生のための方法に関する。より詳しくは、この装置及び方法は、複数の発振器を用いた周波数発生に関する。
【背景技術】
【0002】
同調可能な周波数発生器は、非常に種々の電子デバイスに用いられている。例えば、無線通信デバイスは、送信信号の中間及びRF周波数へのアップコンバージョンや、受信信号の中間及びベースバンド周波数へのダウンコンバージョンのために周波数発生器を用いる。動作周波数が異なるので、発生器の周波数は同調可能である必要がある。
【0003】
多重通信の規格や多重バンドのために要求される周波数範囲は、電圧制御発振器(VCO)及びデジタル制御発振器(DCO)といった、一般的に広い同調範囲の発振器を必要とする。発振器の同調範囲の程度は、1つの重要な性能パラメータである。同調範囲を向上させることが、例えば多重バンドをカバーするために、しばしば望まれる。
【0004】
同調発振器の他の性能基準は、位相ノイズ性能、消費電力及びサイズを含む。種々の性能基準は、しばしば競合する。
【0005】
従来の同調発振器は、可変容量(バラクタ又はバリキャップ)に掛かるバイアス電圧を変化させることによって、及び発振器のインダクタンス−キャパシタンス(LC)タンクの容量を切り換えることによって、同調され得る。種々の理由のため、このような容量変更技術によって得られる1つの発振器の周波数範囲には制限がある。このため、複数の同調発振器が同一のデバイスの中で用いられる必要があり得る。特に、セルラー送受話器や他のハンドヘルド通信機器といった携帯機器の場合、同一の集積回路(IC又はチップ)上に発振器が実装されることがしばしば望ましい。
【0006】
誘導子(「LC」の「L」)は、小さなICの相当な面積を占める。もちろん、ICの物理的なサイズを減少させることが望まれる。したがって、同一のICに2つ以上のLC発振器を配置することは、ある種の設計上の困難を起こす。したがって、複数の発振器の誘導子によって占められるICの面積を減少させることが望まれる。さらに、同一のICに形成された異なる発振器の誘導子の間の結合を減少させることが望まれ得る。
【0007】
しかしながら、同一のIC上に配置された誘導子の物理的な近接を考慮すると、誘導子と誘導子との結合を避けることは困難であり得る。発振器のLCタンクの共振による所望の振動モードに加えて、そのような結合は、特定の発振器の望まない振動モードを起こすことになる。特定の発振器が自身のLCタンクに基づいて周波数を発生できるように、そのような追加の振動モードを抑制することが望まれ得る。
【0008】
したがって、周波数範囲が広げられた同調発振器についての技術的な要求がある。また、複数の同調発振器を含むICパッケージのサイズの減少に関する技術的な要求がある。加えて、それら誘導子間のささいでない結合を有する発振器の望まない振動モードを抑制することに関する技術的な要求がある。
【発明の概要】
【0009】
ここに開示されている実施形態は、フリップチップ集積回路(IC)のダイに第1の発振器の誘導子が配置されること、及びこのICのパッケージに第2の発振器の誘導子が配置されることにより、1つ以上の上記の要求について取り組む。発振器の1つのLCタンクの容量の変化は、振動モードを変化させることによって、同一のパッケージ内の他の発振器の同調範囲を広げ得る。ある方法による発振器のLCタンクのQファクタ(Q)及び/又は容量の制御は、2つの発振器のLCタンクの誘導子が弱結合している他の発振器の望まない振動モードを抑制し得る。
【0010】
一実施形態において、フリップチップは、第1の発振器の電子回路、第2の発振器の電子回路、及び第1の発振器の第1の誘導子を有するダイを含む。このフリップチップは、第2の発振器の第2の誘導子を有するパッケージも含む。
【0011】
一実施形態において、集積回路は、第1の発振器の電子回路と、第1の発振器のLCタンクで用いられるように構成された第1の誘導子と、第2の発振器の電子回路と、第2の発振器のLCタンクで用いられるように構成された第2の誘導子と、第2の発振器制御モジュールとを含む。第2の誘導子は、第1の誘導子に弱結合されている。第2の発振器制御モジュールは、第2の発振器が機能していないときに、第2の容量を第2の発振器のLCタンクに切り換えるように構成されている。第2の容量の切り換えは、第1の発振器の振動モードを第1のモードから第2のモードへと変化させる。
【0012】
一実施形態において、信号の発生の方法は、第1の発振器のLCタンクで用いられるように構成された第1の誘導子を有する第1の発振器を提供することを含む。この方法は、第2の発振器のLCタンクで用いられるように構成された第2の誘導子を有する第2の発振器を提供することも含む。加えてこの方法は、第2の発振器が機能していないときに、第2の容量を第2の発振器のLCタンクに切り替えるように構成された第2の発振器制御モジュールを動作させることを含む。第2の容量を第2の発振器のLCタンクに切り換えることは、第1の発振器の振動モードを第1のモードから第2のモードに変化させる。
【0013】
一実施形態において、集積回路は、第1の発振器の電子回路と、第1の発振器のLCタンクで用いられるように構成された第1の誘導子と、第2の発振器の電子回路と、第2の発振器のLCタンクで用いられるように構成された第2の誘導子と、第2の発振器が機能していないときに第1の発振器の振動モードを第1のモードから第2のモードに変化させる手段とを含む。第2の誘導子は、第1の誘導子に弱結合されている。
【0014】
一実施形態において、フリップチップは、第1の発振器の電子回路と、第2の発振器の電子回路と、第1の発振器の第1の誘導子とを有するダイを含む。フリップチップは、第2の発振器の第2の誘導子も含む。フリップチップは、ダイをパッケージングし、第1の誘導子に弱結合された第2の誘導子を保持する手段をさらに含む。
【0015】
一実施形態において、電子デバイスは、第1のLCタンクを有する第1の発振器を含む。この第1のLCタンクは、第1の誘導子を含む。この電子デバイスは、第2のLCタンクを有する第2の発振器も含む。この第2のLCタンクは、第2の誘導子を有する。この第2の誘導子は、第1の誘導子に磁気的に弱結合されている。この電子デバイスは、容量バンクの容量を第2のLCタンクに選択的に切り換えることで第2の発振器の粗同調をするための粗同調回路を更に含む。この粗同調回路は、第1の発振器が望まないモードで振動することを抑制するために、第1の発振器が動作し第2の発振器が動作していないときに、このバンクの全容量を第2のLCタンクに切り換えるように構成されている。
【0016】
一実施形態において、電子デバイスは、第1のLCタンクを有する第1の発振器を含む。この第1のLCタンクは、第1の誘導子を含む。この電子デバイスは、第2のLCタンクを有する第2の発振器も含む。第2のLCタンクは、第2の誘導子を有する。第2の誘導子は、第1の誘導子に磁気的に弱結合されている。この電子デバイスは、第1のLCタンクに結合された第1のQファクタ減少回路をさらに含む。この第1のQファクタ減少回路は、第2の発振器が望まないモードで振動することを抑制するために、第2の発振器が動作し第1の発振器が動作していないときに、第1のLCタンクのQファクタを減少させるように構成されている。
【0017】
一実施形態において、電子回路は、第1の発振器と第2の発振器とを有する。この第1の発振器は、第1の誘導子を有する第1のLCタンクを有する。この第2の発振器は、第2の誘導子を有する第2のLCタンクを有する。第2の誘導子は、第1の誘導子に磁気的に弱結合されている。この電子デバイスは、第2の発振器が望まないモードで振動することを抑制するために、第2の発振器が動作し第1の発振器が動作していないときに、第1の回路のQファクタを減少させる手段を含む。
【0018】
一実施形態において、第1の発振器と第2の発振器を有する周波数発生器を動作させるための方法が開示されている。ここで第2の発振器は、第2の発振器を粗同調するための複数の容量を有する。2つの発振器のLCタンクのそれぞれの誘導子は、弱結合されている。この方法は、第2の発振器を機能させないが第1の発振器を機能させることと、第1の発振器を機能させる際に複数の容量を第2の発振器のLCタンクに与えることとを含む。
【0019】
一実施形態において、第1の発振器と第2の発振器とを有する周波数発生器を動作させる方法は、第2の発生器を機能させないが第1の発振器を機能させることと、第1の発振器を機能させる際に、エネルギ消散要素を第2の発振器のLCタンクに与えることとを含む。
【0020】
一実施形態において、第1の発振器と第2の発振器とを有する周波数発生器を動作させる方法は、第2の発振器を機能させないが第1の発振器を機能させることと、第1の発振器が望まないモードで振動することを抑制するために、第2の発振器のタンク回路のQファクタを減少させるためのステップとを含む。
【0021】
本発明のこれら及びその他の実施形態及び態様は、以下の説明、図面及び添付の請求項を参照することでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】図1Aは、2つの発振器を実装した集積回路のフリップチップ構造の選択された要素を表す。
【図1B】図1Bは、2つの発振器を実装した集積回路のフリップチップ構造の選択された要素を表す。
【図1C】図1Cは、図1A及び1Bのフリップチップ構造の環状誘導子の例示的な並置の斜視図である。
【図1D】図1Dは、図1A及び1Bのフリップチップ構造の環状誘導子の例示的な並置の斜視図である。
【図2】図2は、2つのデジタル制御された発振器を有する周波数発生器の選択された要素を表すブロック図である。
【図3】図3は、望まない振動モードを抑制するように構成された周波数発生器の選択された要素を表す。
【図4】図4は、図3に示された周波数発生器の発振器の1つのLCタンクのインピーダンス曲線の例の選択された態様を表す。
【図5】図5は、望まない振動モードを抑制するように構成された別の周波数発生器の選択された要素を表す。
【図6】図6は、図5に示された周波数発生器の発振器の1つのLCタンクのインピーダンス曲線の例の選択された態様を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この明細書において、「実施形態」、「変形例」といった語及び同様の表現は、特定の装置、プロセス又は製品を表すために用いられており、必ずしも同じ装置、プロセス又は製品を表すものではない。したがって、一箇所又は文脈で用いられた「一実施形態」(又は同様の表現)は、特定の装置、プロセス又は製品を表し得るし、異なる箇所における同じ又は同様の表現は、異なる装置、プロセス又は製品を表し得る。「他の実施形態」という表現及び同様の言い回しは、多くの異なる可能性のある実施形態の一つを示すのに用いられ得る。異なる可能性のある実施形態の数は、必ずしも2つ又はその他の数に制限されるものではない。
【0024】
「例示的な」という語は、ここでは「例、場合又は実例として適する」ことを意味するのに用いられ得る。ここに「例示的に」として記載されたどの実施形態又は変形例も、必ずしも他の実施形態又は変形例よりも好ましい又は好都合なものとして解釈されるものではない。本明細書に記載された全ての実施形態及び変形例は、当業者が本発明を実施及び利用することができるように提供された例示的な実施形態及び変形例であり、必ずしも本発明が与えられた法的保護の範囲を制限するものではない。
【0025】
便利さと明快さの目的のためだけに、上部、下部、左、右、上へ、下へ、上、上側、下、下方、後方、後部、及び前部等といった方向を示す語が、添付の図面又はチップの実施形態について用いられ得る。これら及び同様の方向を示す語は、いかなる方法によっても発明の範囲を限定するように解釈されるべきでない。
【0026】
コイル又はループの電磁結合を表す「弱結合の」及び同様の表現は、結合係数(k)が0.25未満の(変換理論で用いられる)電磁結合を意味する。注目すべきことに、下記のいくつかの実施形態では、「弱結合の」として記載されたコイル又はループの結合係数は、0.2未満、0.15未満及び0.10未満であり得る。
【0027】
「コモンモード」共鳴は、一組の弱結合された環状誘導子の第1の環状誘導子を含む発振器のLCタンクの共振(又は振動)を表す。この一組の弱結合された環状誘導子の第2の環状誘導子内の電流は、一般に第2の環状誘導子の磁束が第1の環状誘導子の磁束を増すように流れる。「差動モード」共鳴は、2つの磁束が互いに減じ合う又は打ち消し合う振動を表す。下記の実質的な同心の環状誘導子において、2つの環状誘導子内の電流は、コモンモード振動において一般に同じ方向に流れ、差動モード振動において一般に反対方向に流れる。
【0028】
「環状」誘導子は、閉じた円を形成する必要はないが、円の一部を形成してもよい。さらに、厳密に円である必要はなく、六角形や八角形といった多角形の一部であってもよい。
【0029】
「VCO」及び「DCO」の名称は、本説明において互いに交換可能に用いられており、それぞれは同調発振器を表す。特に、発振器は、発振器のLCタンクの容量の変化を介して同調可能である。
【0030】
図1A及び1Bは、2つの発振器を実装する集積回路のフリップチップ構造の選択された要素100を表す。例えば、発振器が広帯域周波数発生器の一部である場合、2つの発振器の出力は、独立に(二者択一的に)選択可能である。図1Aは、そのパッケージ130を除く構造の斜視図であり、図1Bは、パッケージ130を含む構造の断面図である。このフリップチップ構造は、ダイ101の第1の面105上に形成された電子回路及び接着パッド110を有するダイ101を含む。ハンダバンプ115は、パッド110上に堆積又は形成されている。ダイ101上の発振器の回路の電気部品の一部又は全ての間の電気的な接続は、ハンダ付け又は他のパッケージ130のパッド135へのバンプ115の接続によって形成されている。当業者はこの明細書の精読後理解するであろうことに、ダイ101は、ここに記載された発振器の回路に加えて電子回路を含む。そのようなさらなる電子回路への電気接続は、ダイ101内の電気配線及び/又はダイ101の種々の層を接続するビアホール及び/又はその他を用いて形成され得る。したがって、図1Bの断面図から明らかであるように、パッケージの一方の側面は、ダイ101の第1の面105に対して平行に隣接し得る。パッケージ130のパッド135は、フリップチップ構造100の外部の装置にダイ101の回路を接続する接続要素(例えば、ピン又はボール)140に接続されている。
【0031】
注目すべきことに、上記の実施形態において、(減結合コンデンサといった)種々の電子部品は、パッケージ基板上に形成され得るし、ダイ101上の電子部品にハンダバンプ115を介して結合され得る。
【0032】
この構造100は、ダイ101の面105上に形成された環状の誘導子160を含む。ダイ101上に堆積させられ得る誘導子160は、接続要素165によってダイ101の他の装置に接続される。この誘導子は、構造100の第1の発振器のLCタンクの一部である。環状の第2の誘導子150は、ダイ101の面105に対向するパッケージ130の面132上に形成されている。言い換えると、面132は、パッド135が形成されている面である。誘導子150は、接続要素155、パッド135、ハンダバンプ115及びパッド110によってダイ101の他の装置に接続されている。誘導子のループ150は、誘導子のループ160と同心又は(例えば製造工程許容値内で)実質的に同心である。誘導子150及び160は、ともに円形、六角形若しくは八角形といった本質的に同じ形状を有し得る、また、それらのそれぞれの形状は異なり得る。なお、ここで誘導子150及び160は、積層されており、それらの垂直距離(すなわち、面105及び132の面に対して垂直な線に沿った誘導子の中心間の距離)は、ほぼバンプ115の直径と等しく、誘導子間の距離は、ダイ101上の何れの2つの金属化膜間の間隔よりも大きい。このようにして、2つの誘導子間の電磁結合は、例えば0.25未満、0.2未満及び/又は0.15未満といったように減少させられ得る。したがって、2つの誘導子150及び160は、弱結合となる。
【0033】
図1C及び1Dは、この構造100の誘導子のループ150及び160の例示的な並列配置の斜視図である。
【0034】
注目すべきことに、いくつかの実施形態では、この2つのループは、必ずしも実質的に同心でなく、図1各図に示されるように、必ずしも面105及び132上に配置されていない。
【0035】
2つの発振器の誘導子150及び160の弱結合は、同じチップ又は互いに近接した他のチップ上に形成された2つの発振器のそれぞれの同調範囲の向上のために有利に用いられ得る。(ここで近接は、誘導子の弱結合を起こす距離を意味する。)第1の誘導子160を用いる第1の発振器は、第2の誘導子150を用いる第2の発振器の同調範囲よりも高い同調範囲を有する場合を考える。なお、これら実施形態において周波数の関係は逆転し得る。我々は、以下の説明で、より高い周波数の発振器を「HF発振器」と表し、より低い周波数の発振器を「LF発振器」と表す。なお、ある実施形態において、2つの発振器の周波数の同調範囲は重なり合い、他の実施形態においては、互いに単に隣接するだけであり、また、他の実施形態では、範囲の間に間隔がある。
【0036】
HF発振器及びLF発振器の弱結合のため、どちらの発振器の共振も他の発振器のLCタンクの状態に影響され得る。したがって、HF発振器のLCタンクの容量の変化は、一般にLF発振器の同調範囲を変化させ、LF発振器のLCタンクの容量の変化は、一般にHF発振器の同調範囲を変化させ得る。
【0037】
弱結合された誘導子のLC発振器の一組にとって、発振器の一方は、そのLCタンクの共振周波数が他の発振器のLCタンクの共振周波数よりも低い場合、コモンモードで振動する傾向にある。第1の発振器は、そのLCタンクの共振周波数が他の発振器のLCタンクの共振周波数よりも高い場合、差動モードで振動する傾向にある。これらの状態は、事実上概要であり、コモンモードと差動モードとの間の遷移は、LCタンクの共振周波数が重なり合っているときに、突然ではなく必ずしも正確に生じるものではない。しかしながら、この一般原理は、弱結合した誘導子を有する発振器に当てはまる。
【0038】
図2は、2つのデジタル制御された発振器220及び240で形成された周波数発生器200の選択された要素を表すブロック図である。発振器220及び240は、広い周波数帯域をカバーするために選択的に動作させられ得る。低周波数発振器220は、LF粗同調モジュール237、LF微同調取得モジュール235、LFコア230、及び図1A及び1Bの誘導子150であり得る誘導子225を含む。高周波数発振器240は、HF粗同調モジュール260、HF微同調取得モジュール255、HFコア250、並びに図1A及び1Bの誘導子160であり得る誘導子245を含む。低周波数発振器220は、第1の負の相互コンダクタンス(負のGm)回路を用いて実装され得るし、高周波数発振器は、第2の負のGm回路を用いて実装され得る。第1の負のGm回路は、LFコア230の一部であり得るし、第2の負のGm回路は、HFコア250の一部であり得る。
【0039】
ある発振器(220又は240のいずれか)の出力が発生器200の出力として選択されるとき、その発振器の帯域内の要求された周波数を選択するために、この発振器のコアは発振器の粗同調及び微同調モジュールを動作させる。微同調モジュール及び粗同調モジュールのそれぞれは、既知の切り換え可能な容量のバンクとして実装され得る。
【0040】
HFコア250及びHF粗同調モジュール260は、HF VCO240のLCタンクの共振周波数を、LF VCO220のLCタンクの最も高い共振周波数よりも低い状態に至らせるように構成され得る。この構成において、HF VCO240は、動作の通常の周波数帯域内にあるいくつかの性能特性を失い得る。しかしながら、動作のために現在選択されているのはLF VCO220であり、HF VCO240ではない。LF VCO220のLCタンクの共振周波数よりも低いHF VC240のLCタンクの共振周波数の「クロスオーバー」は、LF VCO220のLCタンクのモードをコモンモードから差動モードに有利に切り換える。したがって、このときLF VCO220から得られ得る最高周波数は、LF VCO220から通常達成可能なものを超えて上昇する。LF VCO220の同調範囲は、通常の動作帯域を超えて、すなわち、LF VCO220が2つの発振器の誘導子間の結合の欠如に備え得る周波数帯域を超えて広がる。
【0041】
同様に、LFコア230並びにLF同調モジュール235及び237は、LF VCO220のLCタンクの共振周波数を、HF VCO240のLCタンクの最も低い共振周波数よりも高い状態に至らせるように構成され得る。この構成において、LF VCO220は、動作の通常の周波数帯域内にあるいくつかの性能特性を失い得る。しかしながら、動作のために現在選択されているのは、LF VCO220よりもむしろHF VCO240である。HF VCO240のLCタンクの共振周波数よりも高いLF VC220のLCタンクの共振周波数の「クロスオーバー」は、HF VCO240のLCタンクのモードを差動モードからコモンモードに有利に切り換える。したがって、このときHF VCO240から得られ得る低周波数は、HF VCO240から通常達成可能なものを下回って低下する。HF VCO240の同調範囲は、通常の動作帯域を超えて、すなわち、HF VCO240が2つの発振器の誘導子間の結合の欠如に備え得る周波数帯域を超えて広がる。
【0042】
あるシミュレーションされた設計例では、同調LF VCOの最低周波数は、約2.8GHzである。弱結合された誘導子を有する同調HF VCOがそのLCタンクの共振周波数がクロスオーバー周波数よりも高くなるように構成されている場合、LF VCOがコモンモードで動作するように、LF VCOの最高周波数は、約3.94GHzである。HF VCOがそのLCタンクの共振周波数がクロスオーバー周波数よりも低く(すなわち、LF VCOの周波数よりも低く)なるように構成されている場合、LF VCO周波数帯域の最高値は、約4.13GHzまで上昇する。同じ例では、HF VCO同調範囲の最高周波数は、約5.5GHzとなる。LF VCOがLF VCOのLCタンクの共振周波数がクロスオーバー周波数よりも低くなるように構成されている場合、HF VCOの同調範囲の最低周波数は、約3.82GHzである。LF VCOがそのLCタンクの共振周波数がクロスオーバー周波数よりも高くなるように、すなわち、LF VCOのLCタンクの共振周波数がHF VCOの周波数よりも高くなるように構成されている場合、HF VCOの同調範囲の最低値は、約3.7GHzまで低下する。
【0043】
実際、HF VCOの他の要素(誘導子、並びに浮遊容量及びHF同調モジュール255及び260の切り換え可能な容量といったHF VCOのLCタンクに同時に表れ得るその他の容量)との並列の組み合わせに切り換える際、HF VCOは、HF VCOのLCタンクの共振周波数をLF VCOの通常の同調範囲の最高値又は最高値よりも若干下の値であるクロスオーバー周波数未満となるようにし得る、大容量CHextを含み得る。同様に、LF VCOは、LF VCOの誘導子(LF VCOのLCタンクに同時に表れ得る残りの浮遊容量、及び同調モジュールの1つの容量といった可能性のあるその他の容量)との並列の組み合わせに切り換える際、LF VCOは、LF VCOのLCタンクの共振周波数をLF VCOの通常の同調範囲の最低値又は最低値よりも若干高い値であるクロスオーバー周波数より高くなるようにし得る容量CLextを含み得る。注目すべきことに、LF VCOの「通常の」範囲は、一般に回路内にCLext容量を伴い、HF VCOの通常の範囲は、一般に回路内にCHext容量を伴わない。容量CHextは、分離容量であり得る。また、容量CHextは、HF粗同調モジュール260内及び場合によっては微同調モジュール255の容量の組み合わせとして実現され得る。容量CLextは、分離容量であり得る。また、容量CLextは、LF微同調モジュール235内の容量の組み合わせとして実現され得る。この明細書の精読後、当業者は、HF VCOのLCタンクの共振周波数をLF VCOの同調範囲の最高値未満となるようにする同様の方法や、LF VCOのLCタンクの共振周波数をHF VCOの同調範囲の最低値よりも高くなるようにする同様の方法を考え付けるはずである。例えば、切り換え可能な誘導子が使われ得る。
【0044】
上述のとおり、広い同調範囲をカバーするための2つ(又はそれ以上)の発振器を含む周波数発生器の発振器内の不要な振動モードを抑制する必要がある。この要求は、発振器の誘導子が比較的高い結合係数で磁気的に結合されているときに一般に最も重要である。ただし、この要求は、上記の発振器を含む他の場合に起こり得る。我々は、2つの弱結合された発振器の1つの好ましくないモードで振動する傾向を減少させるための2つの手法を説明する。1つの手法は、大容量を発生器の他の発振器のLCタンクに与えることである。第2の手法は、他の発振器のLCタンクのQファクタ(Q)を減少させることである。
【0045】
図3は、第1の手法にしたがって構成された周波数発生器300の選択された要素を表す。発生器300の要素の多くは、上述の発生器200の対応する要素と類似であり得る。なお、誘導子325及び345は、図1A及び1Bに示されたように配置されてもされなくてもよい。例えば、誘導子325及び345は、同じダイ上に共に配置され得る。
【0046】
発生器300がHF VCO340を有効にするとき、それは、例えばモジュール337の完全な粗同調バンクといった、大容量をLF VCO320の使われていないLCタンクに与える。LF VCO320の使われていないLCタンクに与えることとして、全粗同調容量よりも少ないものも用いられ得る。使われていないLCタンクに与えることに、さらなる容量も用いられ得る。周波数発生器300は、粗同調バンク337の全部又は一部をLF VCO320のLCタンクに選択的に与えるように構成されたマルチプレクサー370も含む。発生器は、MUX370が、HF VCO選択信号であり得るその入力372の受信された信号に応じてLF VCO320のLCタンクに与えるように構成されている。発生器300がLF VCOを選択するとき、MUX370は、LF VCO320の要求された粗同調に対応するコードをLF粗同調モジュール337に送信する。
【0047】
図4は、HF VCO340のLCタンクのインピーダンス曲線の例の選択された態様を表す。第1の曲線410は、LF VCOのLCタンクに全粗同調バンクが与えられていない場合の典型的なインピーダンス曲線である。なお、比較的顕著な第2のインピーダンスピークが4000MHz付近に認められる。第2の曲線420は、LF VCOのLCタンクに全粗同調バンクが与えられている同じHF VCO340のインピーダンス曲線である。なお、第2のピークは、周波数スペクトルにおいて低い方にシフトしており、あまり顕著でなくなっている。第1のピークからの周波数シフト、及び第2のピークの強度の抑制は、望まないモード振動を低下させそうである。
【0048】
もう一方の手法は、使用されていないLCタンクのQを減少させることである。この手法は、低周波数及び高周波数発振器の両方に用いられ得る。図5は、発生器500の選択された要素を表す。この手法は、LF VCO520により実現される。発生器500の要素の多くは、上述の発生器300の対応する要素と同様であり得る。ただし、MUX370に代わってQ負荷回路570を有する。HF VCO540が選択されている(HF VCO選択が有効)とき、Q負荷回路570は基本的に「不良」スイッチを閉じ、LF VCO520のLCタンクを横断する消散要素を挿入する。LF VCO520が動作しているとき、このスイッチは開になり、LF VCOは普通に動作する。
【0049】
図6は、HF VCO540のLCタンクのインピーダンス曲線の例の選択された態様を表す。第1の曲線610は、曲線410と同様であり、4000MHz付近に比較的顕著な第2のピークを有する。第2の曲線620は、回路570によってLF VCOのLCタンクのQが減少させられている同じHF VCO540のインピーダンス曲線である。ここで同様に、第2のピークは、周波数スペクトルにおいて低い方にシフトしており、幾分あまりはっきりしなくなっており、望まないモードの振動が減少させられる。
【0050】
注目すべきことに、上述の実施形態の発振器は、そのLCタンク内の一つより多いコイルを含み得る。例えば、発振器は、2つ、3つ又はそれより多いコイルを含み得る。
【0051】
本明細書に記載された本装置及び方法は、例えば、ネットワークの多数の接続端末間、又は接続端末と接続ネットワークの外側のさらなるネットワークに接続された装置との間で、音声及び/又はデータパケットを輸送するセル無線ネットワーク内で動作する接続端末を含む、種々の電子デバイスに用いられ得る。特に、本装置及び方法は、接続端末の局部発振器の周波数発振器に用いられ得る。
【0052】
種々の方法のステップ及び決定が本開示中に連続的に記載され得るが、これらのステップ及び決定のいくつかは、接近して又は並列に、非同期的に又は同期的に、パイプライン方式又は他の方式で、分離した要素で実施され得る。明確に記載された、あるいは文脈から明らかになる、又は本質的に必要なものを除いて、ステップ及び決定がこの明細書がリストアップするのと同じ順に実行されるという特定の要求はない。しかしながら注目すべきことに、選択された変形例において、ステップ及び決定は、記載された及び/又は添付の図面に示された特定の順序で実行される。さらに、全ての表されたステップ及び決定は、全ての実施形態又は変形例において要求されるものではない。一方、明確に表されていないいくつかのステップ及び決定は、いくつかの実施形態/変形例において望まれ得る。
【0053】
ここに記載された幾つかの実施形態は、パッケージのようなフリップチップを必要とするが、他の実施形態においては、フリップチップパッケージの使用は任意であることを、当業者は理解するであろう。したがって、LC共振周波数を通じた望まない振動の抑制(又は発生確率の低減)する実施形態、及び/又はQファクタの操作は、必須ではないがフリップチップパッケージに実装されてもよい。
【0054】
第1の発振器の第1のLC連結の誘導子は、パッケージ上又はパッケージ内に配置され得るし、一方で、第2の発振器の第2のLC連結の誘導子は、パッケージと対向するダイの面、ダイの他の面、又は多層のダイの2つの面の間のダイの中間層に配置され得ることを、当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態において、各誘導子は、何れかの面に又は多層のダイの中間層に選択的に配置され得る。
【0055】
情報及び信号は異なるテクノロジーや技術の何れかを用いて表され得ることを、当業者は理解するであろう。例えば、上述の説明を通じて表され得るデータ、指令、命令、情報、信号、ビット、符号及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁界又は磁粒子、光学場又は光子、又はそれらの何れかの組み合わせによって表され得る。
【0056】
さらにここで説明された実施形態と結びついて記載された種々の実例となる論理ブロック、モジュール、回路及びアルゴリズムステップは、電子機器、コンピュータソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして実装され得ることを、当業者は正しく理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、種々の実例となる要素、ブロック、モジュール、回路及びステップが、それらの機能性の観点から該して上述されているであろう。そのような機能性がハードウェア、ソフトウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実装されるかどうかは、特定の応用やシステム全体に負わされた設計制約に依存する。当業者は、各特定の応用に種々の方法で記載された機能性を実装し得る。ただし、そのような実装解決は、本発明の範囲から逸脱するように解釈されるべきでない。
【0057】
ここに開示された実施形態に関連して記載された種々の実例となる論理ブロック、モジュール及び回路は、ここに記載された機能を実行するために設計された、汎用プロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、特定用途向けIC(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又は他のプログラム可能な論理デバイス、個別論理又はトランジスタ論理、個々のハードウェア要素、又はそれらの何れかの組み合わせを用いて実装又は実行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るし、あるいは、プロセッサは、従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ又は状態機械であり得る。プロセッサは、例えばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連結した1つ以上のマイクロプロセッサ、又は他のそのような構成といったコンピュータデバイスの組み合わせとしても実装され得る。
【0058】
ここに開示された実施形態と関連して記載され得る方法又はアルゴリズムのステップは、ハードウェア内、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール内、又はそれら2つの組み合わせ内で、直接的に具体化され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーマブルディスク、CD−ROM又は他の技術的に知られているストレージ媒体の形態の内に存在し得る。例示的なストレージ媒体は、プロセッサがそこから情報を読み出し、そこに情報を書き込むことができるようにプロセッサと結合されているストレージ媒体である。あるいは、ストレージ媒体は、プロセッサと一体化し得る。このプロセッサ及びストレージ媒体は、ASIC内に存在し得る。ASICは、接続端末内に存在し得る。あるいは、プロセッサ及びストレージ媒体は、接続端末内の個別部品として存在し得る。
【0059】
開示された実施形態の上述の説明は、当業者に本発明を構成又は利用できるように提供している。これらの実施形態の種々の変形例は、当業者には見てすぐわかるであろうし、ここに定義された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施形態にも適用され得る。したがって、本発明は、ここに示した実施形態に限定されることなく、ここに開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲に一致させられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発振器の電子回路、第2の発振器の電子回路、及び前記第1の発振器の第1の誘導子を具備するダイと、
前記第2の発振器の第2の誘導子を具備するパッケージと、
を具備するフリップチップ。
【請求項2】
前記ダイは、少なくとも1つの中間層を具備し、
前記第1の誘導子は、前記少なくとも1つの中間層に配置されており、
前記パッケージは、前記ダイと対向し複数のハンダバンプによって前記ダイから離れている第1の面を具備し、
前記第2の誘導子は、前記パッケージの前記第1の面に配置されている
請求項1のフリップチップ。
【請求項3】
前記パッケージは、前記ダイと対向し複数のハンダバンプによって前記ダイから離れている第1の面を具備し、
前記第2の誘導子は、前記パッケージの前記第1の面に配置されている
請求項1のフリップチップ。
【請求項4】
前記第1の誘導子及び前記第2の誘導子は、実質的に同心である請求項3のフリップチップ。
【請求項5】
前記第1の誘導子及び前記第2の誘導子は、磁気的に弱結合されている請求項3のフリップチップ。
【請求項6】
前記第1の誘導子及び前記第2の誘導子の電磁結合係数は、0.2未満である請求項5のフリップチップ。
【請求項7】
前記第1の誘導子及び前記第2の誘導子の電磁結合係数は、0.15未満である請求項5のフリップチップ。
【請求項8】
前記第1の誘導子及び前記第2の誘導子の電磁結合係数は、0.10未満である請求項5のフリップチップ。
【請求項9】
第1の発振器の電子回路と、
前記第1の発振器のLCタンクで用いるように構成されている第1の誘導子と、
第2の発振器の電子回路と、
前記第2の発振器のLCタンクで用いるように構成されている第2の誘導子であって、前記第2の誘導子は前記第1の誘導子に弱結合されている、第2の誘導子と、
前記第2の発振器のための発振器制御モジュールであって、前記第2の発振器が機能していないときに前記第2の発振器のための前記発振器制御モジュールは第2の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えるように構成されており、前記第2の容量を切換えることは、前記第1の発振器の振動モードを第1のモードから第2のモードに変化させる、発振器制御モジュールと、
を具備する集積回路。
【請求項10】
前記第1のモードはコモンモードであり、前記第2のモードは差動モードである請求項9の集積回路。
【請求項11】
前記第2の発振器のための粗同調モジュールを更に具備し、
前記第2の発振器のための前記粗同調モジュールは、前記第2の発振器を同調させるために、前記第2の発振器の前記LCタンクへの選択的な切り換えのための容量のバンクを具備し、
前記第2の発振器のための前記発振器制御モジュールは、前記第1の発振器の振動モードを前記第1のモードから前記第2のモードに変化させるために、前記第2の発振器の前記粗同調回路に、前記バンクの全ての容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えさせるように構成されている
請求項10の集積回路。
【請求項12】
前記第2の発振器のための粗同調モジュールを更に具備し、
前記第2の発振器のための前記粗同調モジュールは、前記第2の発振器を同調させるために、前記第2の発振器の前記LCタンクへの選択的な切り換えのための容量のバンクを具備し、
前記第2の発振器のための前記発振器制御モジュールは、前記第1の発振器の前記振動モードを前記第1のモードから前記第2のモードに変化させるために、前記第2の発振器の前記粗同調回路に、前記バンクの複数の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えさせるように構成されている
請求項10の集積回路。
【請求項13】
前記第2の発振器のための粗同調モジュールを更に具備し、
前記第2の発振器のための前記粗同調モジュールは、前記第2の発振器の前記LCタンクへの選択的な切り換えによって、前記第2の発振器を同調させるための容量のバンクを具備し、
前記第2の容量は、前記バンクの外部にある
請求項10の集積回路。
【請求項14】
前記第2の発振器の同調周波数帯域は、第1の発振器の同調周波数帯域よりも高い請求項10の集積回路。
【請求項15】
前記第1のモードは差動モードであり、前記第2のモードはコモンモードである請求項9の集積回路。
【請求項16】
第2の発振器のための微同調モジュールを更に具備し、
前記第2の発振器のための前記微同調モジュールは、前記第2の発振器を同調させるために、前記第2の発振器の前記LCタンクへの選択的な切り換えのための容量のバンクを具備し、
前記第2の発振器のための前記発振器制御モジュールは、前記第1の発振器の前記振動モードを前記第1のモードから前記第2のモードに変化させるために、前記第2の発振器のための前記微同調モジュールに、前記バンクの1つ以上の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り替えさせるように構成されている
請求項15の集積回路。
【請求項17】
前記第2の発振器の動作中に、前記第2の容量は前記第2の発振器を同調させるために用いられない請求項15の集積回路。
【請求項18】
前記第1の発振器のための発振器制御モジュールを更に具備し、
前記第1の発振器のための前記発振器制御モジュールは、前記第1の発振器が機能していないときに第1の容量を前記第1の発振器の前記LCタンクに切り換えるように構成されており、
前記第1の容量の前記第1の発振器の前記LCタンクへの切り換えは、前記第2の発振器の振動モードを前記第2のモードから前記第1のモードに変化させる
請求項9の集積回路。
【請求項19】
前記第1の発振器の前記電子回路は、ダイに製造されており、
前記第2の発振器の前記電子回路は、前記ダイに製造されており、
前記ダイは、第1の面と、第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間に配置された少なくとも1つの中間層とを具備し、
前記第1の誘導子は、前記第1の面、前記第2の面又は前記少なくとも1つの中間層に配置されており、
前記第2の誘導子は、前記第1の面、前記第2の面又は前記少なくとも1つの中間層に配置されている
請求項9の集積回路。
【請求項20】
パッケージを更に具備し、
前記第1の発振器の前記電子回路はダイに製造されており、
前記第2の発振器の前記電子回路は前記ダイに製造されており、
前記ダイは、第1の面と、第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間に配置された少なくとも1つの中間層とを具備し、
前記パッケージは、前記ダイと対向するパッケージ面を具備し、
前記第1の誘導子は、前記第1の面、前記第2の面、前記少なくとも1つの中間層、又は前記パッケージ面に配置されており、
前記第2の誘導子は、前記第1の面、前記第2の面、前記少なくとも1つの中間層、又は前記パッケージ面に配置されている
請求項9の集積回路。
【請求項21】
前記第1の発振器の前記電子回路はダイに製造されており、
前記第2の発振器の前記電子回路は前記ダイに製造されており、
前記ダイは、第1の面と、第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間に配置された第1の中間層と、前記第1の面と前記第2の面との間に配置された第2の中間層とを具備し、
前記第1の誘導子は、前記第1の面、前記第2の面、前記第1の中間層又は前記第2の中間層に配置されており、
前記第2の誘導子は、前記第1の面、前記第2の面、前記第1の中間層又は前記第2の中間層に配置されている
請求項9の集積回路。
【請求項22】
第1の発振器のLCタンクで用いるように構成されている第1の誘導子を具備する前記第1の発振器を提供するステップと、
第2の発振器のLCタンクで用いるように構成されている第2の誘導子を具備する前記第2の発振器を提供するステップと、
前記第2の発振器のための発振器制御モジュールを動作させるステップであって、前記第2の発振器が機能していないときに前記第2の発振器のための前記発振器制御モジュールは第2の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えるように構成されており、前記第2の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えることは前記第1の発振器の振動モードを第1のモードから第2のモードに変化させる、ステップと、
を具備する信号発生方法。
【請求項23】
前記第1のモードはコモンモードであり、前記第2のモードは差動モードである請求項22の方法。
【請求項24】
前記動作させるステップは、前記第2の発振器のための粗同調回路に粗同調バンクの全容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えさせることを具備する請求項23の方法。
【請求項25】
前記動作させるステップは、前記第2の発振器のための粗同調回路に粗同調バンクの複数の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えさせることを具備する請求項23の方法。
【請求項26】
前記動作させるステップは、前記第2の発振器の粗同調回路の外部の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えさせることを具備する請求項20の方法。
【請求項27】
前記第2の発振器の同調周波数帯域は、前記第1の発振器の同調周波数帯域よりも高い請求項23の方法。
【請求項28】
前記第1のモードは差動モードであり、前記第2のモードはコモンモードである請求項22の方法。
【請求項29】
前記動作させるステップは、前記第1の発振器の振動モードを前記第1のモードから前記第2のモードに変化させるために、前記第2の発振器のための微同調回路に微同調バンクの1つ以上の容量を前記第2の発振器の前記LCタンクに切り換えさせることを具備する請求項28の方法。
【請求項30】
前記第2の容量は、前記第2の発振器が動作している間は前記第2の発振器を同調させるために用いられない請求項28の方法。
【請求項31】
前記第1の発振器のための発振器制御モジュールを動作させることを更に具備し、
前記第1の発振器のための前記発振器制御モジュールは、前記第1の発振器が機能していないときに第1の容量を前記第1の発振器の前記LCタンクに切り換えるように構成されており、
前記第1の容量を前記第1の発振器の前記LCタンクに切り換えることは、前記第2の発振器の振動モードを前記第2のモードから前記第1のモードに変化させる
請求項22の方法。
【請求項32】
第1の発振器の電子回路と、
前記第1の発振器のLCタンクで用いるように構成された第1の誘導子と、
第2の発振器の電子回路と、
前記第2の発振器のLCタンクで用いるように構成された第2の誘導子であって、前記第2の誘導子は前記第1の誘導子に弱結合されている、第2の誘導子と、
前記第2の発振器が機能していないときに前記第1の発振器の振動モードを第1のモードから第2のモードに変化させる手段と、
を具備する集積回路。
【請求項33】
前記第1のモードはコモンモードであり、前記第2のモードは差動モードである請求項32の集積回路。
【請求項34】
前記第1のモードは差動モードであり、前記第2のモードはコモンモードである請求項32の集積回路。
【請求項35】
第1の発振器の電子回路、第2の発振器の電子回路、及び前記第1の発振器の第1の誘導子を具備するダイと、
前記第2の発振器の第2の誘導子と、
前記ダイをパッケージングし前記第1の誘導子に弱結合されている前記第2の誘導子を保持する手段と、
を具備するフリップチップ。
【請求項36】
第1のLCタンクを具備する第1の発振器であって、前記第1のLCタンクは第1の誘導子を具備する、第1の発振器と、
第2のLCタンクを具備する第2の発振器であって、前記第2のLCタンクは第2の誘導子を具備し、前記第2の誘導子は前記第1の誘導子に磁気的に弱結合されている、第2の発振器と、
容量を容量バンクから前記第2のLCタンクに選択的に切り換えることによって前記第2の発振器を粗同調させるための粗同調回路であって、前記粗同調回路は、前記第1の発振器が好ましくないモードで振動することを抑制するために、前記第1の発振器が動作しており前記第2の発振器が動作していないときに前記バンクの全容量を前記第2のLCタンクに切り換えるように構成されている、粗同調回路と、
を具備する電子デバイス。
【請求項37】
第1のLCタンクを具備する第1の発振器であって、前記第1のLCタンクは第1の誘導子を具備する第1の発振器と、
第2のLCタンクを具備する第2の発振器であって、前記第2のLCタンクは第2の誘導子を具備し、前記第2の誘導子は前記第1の誘導子に磁気的に弱結合されている、第2の発振器と、
前記第1のLCタンクに結合されている第1のQファクタ減少回路であって、前記第1のQファクタ減少回路は、前記第2の発振器が好ましくないモードで振動することを抑制するために、前記第2の発振器が動作しており前記第1の発振器が動作していないときに、前記第1のLCタンクのQファクタを減少させるように構成されている、第1のQファクタ減少回路と、
を具備する電子デバイス。
【請求項38】
前記第1のQファクタ減少回路は、前記第2の発振器が動作しているときに前記第1のLCタンクのエネルギを消散し、前記第1の発振器が動作しているときに前記第1のLCタンクのエネルギを消散しないように選択的に構成されたスイッチを具備する請求項37の電子デバイス。
【請求項39】
前記第2のLCタンクに結合されている第2のQファクタ減少回路であって、前記第2のQファクタ減少回路は、前記第1の発振器が好ましくないモードで振動することを抑制するために、前記第1の発振器が動作しており前記第2の発振器が動作していないときに、前記第2のLCタンクのQファクタを減少させるように構成されている、第2のQファクタ減少回路をさらに具備する請求項37の電子デバイス。
【請求項40】
第1のLCタンクを具備する第1の発振器であって、前記第1のLCタンクは第1の誘導子を具備する、第1の発振器と、
第2のLCタンクを具備する第2の発振器であって、前記第2のLCタンクは第2の誘導子を具備し、前記第2の誘導子は前記第1の誘導子に磁気的に弱結合されている、第2の発振器と、
前記第2の発振器が好ましくないモードで振動することを抑制するために、前記第2の発振器が動作しており前記第1の発振器が動作していないときに、前記第1のLCタンクのQファクタを減少させる手段と、
を具備する電子デバイス。
【請求項41】
第1の発振器及び第2の発振器を具備する周波数発生器であって、前記第2の発振器は前記第2の発振器を粗同調させるための複数の容量を具備する、周波数発生器を動作させる方法であって、
前記第2の発振器は機能させないが前記第1の発振器を機能させることと、
前記第1の発振器を機能させているときに前記複数の容量を前記第2の発振器のLCタンクに与えることと、
を具備し、
前記第1の発振器の第1のLCタンクの第1の誘導子は、前記第2の発振器の第2のLCタンクの第2の誘導子に弱結合されている
方法。
【請求項42】
第1の発振器及び第2の発振器を具備する周波数発生器を動作させる方法であって、
前記第2の発振器は機能させないが前記第1の発振器を機能させることと、
前記第1の発振器を機能させているとき、エネルギ消散要素を前記第2の発振器のLCタンクに与えることと、
を具備し、
前記第1の発振器の第1のLCタンクの第1の誘導子は、前記第2の発振器の第2のLCタンクの第2の誘導子に弱結合されている
方法。
【請求項43】
第1の発振器及び第2の発振器を具備する周波数発生器を動作させる方法であって、
前記第2の発振器は機能させないが前記第1の発振器を機能させることと、
前記第1の発振器が好ましくないモードで振動することを抑制するために、前記第2の発振器のタンク回路のQファクタを減少させるステップと、
を具備し、
前記第1の発振器の第1のLCタンクの第1の誘導子は、前記第2の発振器の第2のLCタンクの第2の誘導子に弱結合されている
方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−529245(P2012−529245A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514151(P2012−514151)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/037326
【国際公開番号】WO2010/141778
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】