説明

噴霧乾燥プロセスを使用して固体セラミック粒子を生成する方法

約40重量パーセントを超えるアルミナ分を含有するか焼された、か焼されていない、または部分的にか焼された原料のスラリーから実質的に丸く、球状の、焼結された固体粒子を生産する方法。スラリーは、噴霧乾燥法により処理され、平均粒子サイズが約200ミクロンを超え、かさ密度が約1.40g/ccを超え、見掛け比重が約2.60を超える実質的に丸く、球状の焼結された固体粒子にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
噴霧乾燥(spray drying)は、セラミック流動原料(ceramic fluid feedstock)を液滴噴霧(sprays of droplet)に霧化すること(atomization)を伴い、この液滴噴霧は、高温の空気に接触して乾燥させ個々の粉体粒子を形成する。主に、白色陶磁器業界と呼ばれる、セラミックタイルおよび食器業界で使用される、噴霧乾燥は、電子セラミック(electronic ceramics)[半導体、キャパシタ]および構造用セラミックス(structural ceramics)[摩耗部品、切削工具、生物医薬用部品]を含む多くの産業上の応用に見られる。
【背景技術】
【0002】
石油および天然ガスは、多孔性および浸透性地下累層(porous and permeable subterranean formation)を有する井戸から生産される。累層の多孔性により、累層は、石油およびガスを蓄積することができ、累層の浸透性により、石油またはガス流体は累層内を通過することができる。累層の浸透性は、石油およびガスを、井戸からくみ上げられる場所に流すうえで本質的である。ガスまたは石油を保持する累層の浸透性は、石油およびガスの収益回収には不十分である場合もある。他の場合には、井戸が稼働している間、累層の浸透性は低下し、さらに回収率が経済的に悪化することになる。このような場合、プロッパント材料(proppant material)または支持材を使って開放条件において累層を破壊し、破壊部分を支える必要がある。このよう破壊は、通常、水圧により行われ、プロッパント材料または支持材は、砂、ガラス・ビーズ、またはセラミックス粒子などの粒子材料であり、流体を使っては下位部分に運ばれる。
【0003】
本明細書で説明されているのは、噴霧乾燥プロセスを使用して実質的に丸い、球状の固体セラミック粒子を形成するための方法である。焼結された場合、固体セラミック粒子は、プロッパント材料として使用するのに適したものとなる。
詳細な説明
【0004】
特に、平均粒子サイズが約200ミクロンを超え、かさ密度が約1.40g/ccを超え、見掛け比重が約2.60を超える実質的に丸く、球状の焼結された固体セラミック粒子を形成する方法が説明される。いくつかの実施形態では、粒子は、約300ミクロンを超えるか、または約400ミクロンを超える平均粒子サイズを持つ。本明細書で使用されているような「平均粒子サイズ」(average particle size)という言い回しで、1回分の粒子の篩い分布から計算された粒子サイズを記述する。
【0005】
本明細書で使用されているような「固体セラミック粒子」という言い回しで、内部空隙が粒子の体積で約10%未満であるセラミック粒子を記述する。いくつかの実施形態では、固体セラミック粒子は、粒子の体積で約5%未満である内部空隙を持つ。
【0006】
次に図1を参照すると、噴霧乾燥プロセスを使用する実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を形成する方法は、スラリー調製100、霧化102、接触104、乾燥106、放出108、および焼結110を含む。
【0007】
スラリー調製100では、水とアルミナ含量が約40重量%を超えるセラミック出発原料とを含むスラリーが、調製される。スラリーは、ブレンド、混合、攪拌、または当業者に知られている類似の手段により調製される。セラミック出発原料は、未か焼セラミック材料、部分か焼セラミック材料、か焼セラミック材料、またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、セラミック出発原料は、実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を形成することができる、天然に存在する揮発性物質を含む、水分、有機物質、および化学結合水(「水和物水」とも呼ばれる)を含むことができる、材料である。いくつかの実施形態では、天然に存在する揮発性物質の量は、セラミック出発原料の約10から約40wt.%である。他の実施形態では、セラミックス出発原料は、未か焼粘土、部分的か焼粘土、か焼粘土、またはそれらの組み合わせである。さらに他の実施形態では、セラミックス出発原料は、カオリン粘土、ボーキサイト粘土、またはボーキサイトであり、そのどれもが、か焼、部分的か焼、または未か焼、およびそれらの混合とすることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、スラリーは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル,メチルセルロース、デキストリン、およびモラスなどの結合剤をさらに含む。結合剤は、典型的には、粒子強度を高めるために使用される有機材料である。いくつかの実施形態では、水は、結合剤として作用しうる。
【0009】
さらに他の実施形態では、スラリーは、さらに、コロイド、多価電解質、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸塩、クエン酸アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、およびヘキサメタリン酸ナトリウムなどの分散剤を含む。分散剤は、スラリー粘度を下げることによりスラリーの全固形分を高めるために含まれる。スラリー内で使用される分散剤の量は、もしあるとすれば、スラリーを霧化する能力と固体球状粒子を形成する能力との間で釣り合いがとられる。
【0010】
スラリー中のセラミック出発原料、水、結合剤(もしあれば)、および分散剤(もしあれば)の相対的量は、固体セラミック・プロッパントの所望の特性により異なるが、霧化プロセス102においてポンプで圧力ノズルに通すか、またはホイールを回転させるのに適したスラリーが得られるような量に限定され、これにより、焼結により実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を形成することができるグリーン粒子を生産することができる。いくつかの実施形態では、スラリーの固形分は、約50から約75重量%までの範囲内にあるが、他の実施形態では、固形分は、約50から約60重量%、または約60から約70重量%までの範囲である。
【0011】
スラリーが結合剤を含む実施形態では、結合剤の量は、乾燥セラミック出発原料の重量に関して約0.5重量%未満、または乾燥セラミック出発原料の重量に関して約1.0重量%未満とすることができる。
【0012】
スラリーが分散剤を含む実施形態では、分散剤の量は、乾燥セラミック出発原料の重量に関して約0.3重量%未満、乾燥セラミック出発原料の重量に関して約0.5重量%未満、または乾燥セラミック出発原料の重量に関して約1.0重量%未満とすることができる。
【0013】
霧化プロセス102では、スラリーは、霧化機器に送られる。好適な霧化機器は、限定はしないが、ロータリー・ホイール・アトマイザー(rotary wheel atomizer)、圧力ノズル・アトマイザー、二流体ノズル・アトマイザーを含む。ロータリー・ホイール・アトマイザー、圧力ノズル・アトマイザー、および二流体ノズル・アトマイザーは、当業者に知られており、Niro,Inc.などさまざまなメーカーから市販されている噴霧乾燥機に組み込まれているものを含む。ノズル設計は、当業者に知られ、理解されており、例えば、K.Masters:「Spray Drying Handbook」,John Wiley and Sons,New York (1979)などに記載されている。
【0014】
ロータリー・ホイール・アトマイザーを使用するのか、圧力ノズル・アトマイザーを使用するのか、または二流体ノズル・アトマイザーを使用するのかは、所望の生産能力とともに最終的な乾燥固体セラミック粒子において望まれている、サイズ、分布、および形状などの特性により異なる。一般に、ロータリー・ホイール・アトマイザーは、細かな粒子を形成するが、圧力が加えられた状態で動作する圧力ノズルおよび二流体ノズルは、比較的大きな粒子を生成することができる。
【0015】
ロータリー・ホイール・アトマイザーが使用される場合、セラミック・スラリーが、アトマイザーの回転しているホイールの中心に送られ、遠心力によりホイールの周辺に移動する。霧化は、ホイールの縁のところで生じる。液滴のサイズおよび結果として得られる噴霧中の液滴のサイズ分布は、スラリーに与えられるエネルギーの量および新たに形成された液滴とホイールの付近の気流の乱流との間の摩擦効果に左右される。液滴噴霧は、ホイールから水平方向に噴射されるが、すぐに、空気分散剤により形成される気流パターンに追随し、高温の空気を下に向かって、乱れることのないように乾燥室内に導く。ロータリー・ホイール・アトマイザーにより噴霧乾燥機内に生成されるセラミックスの粒子サイズは、アトマイザーのホイール速度の低下とともに増大する。供給速度の効果は、与えられたアトマイザー・ホイールの最適な動作範囲内は大きくなく、稼働中の供給速度が変動しても、生成されるセラミック粉体のサイズ分布は変化しない。ロータリー・ホイール・アトマイザーとともに使用される室の直径は、一般に、アトマイザー・レベルの室壁に半分濡れた状態の堆積物が形成されるのを防げるように十分に大きくなければならない。対照的に、直径は小さくても、円柱高さは大きい室は、圧力ノズル・アトマイザーおよび二流体ノズル・アトマイザーとともに使用することができる。
【0016】
圧力ノズル・アトマイザーが使用される場合、スラリーは、圧力下でノズルに送られる。二流体ノズルの場合、スラリーおよび乾燥空気は、別々のノズルを通して送られる。空気の供給は、加圧されるが、スラリーの供給は、加圧できるか、またはサイホン/重力供給とすることができる。二流体ノズルを使用するものとして本明細書で説明されている実施形態では、スラリー供給は加圧された。
【0017】
圧力エネルギーは、運動エネルギーに変換され、スラリーは、容易にいくつもの液滴に崩れる高速膜としてノズル・オリフィスから流れる。圧力ノズル・アトマイザーまたは加圧二流体ノズルから生成される液滴サイズは、圧力に反比例し、供給速度および供給粘度に正比例する。圧力ノズルまたは加圧二流体ノズルの容量は、圧力の平方根に比例する。高供給速度および/また大容量噴霧乾燥が望まれるいくつかの実施形態では、多ノズル・システムが使用される。
【0018】
次に、接触部104を参照すると、霧化器機から出るスラリーの液滴噴霧は、高温の乾燥空気と出会い、乾燥室に入る。液滴と乾燥空気が最初に接触する仕方、また液滴/粒子が乾燥室内全体を移動する仕方は、一般的に、並流、向流、またはそれらの組み合わせのいずれかとして記述することができる。図2に例示されているようないくつかの実施形態では、並流と向流との組み合わせを送る乾燥室は、圧力ノズル・アトマイザーと併用するように例示されている。
【0019】
図2は、乾燥室204および圧力ノズル202を備える噴霧乾燥装置の簡略化された図である。噴霧乾燥機は、典型的には、噴霧乾燥機として、本明細書で詳しく述べる必要がない、追加のコンポーネントを含み、それらのコンポーネントは、当業者には知られている。図2では、スラリーは、圧力ノズル202を通して供給源200から供給される。図2には、1つの圧力ノズルのみが例示されているが、複数のノズルを使用することができる。スラリーを供給するのに適したさまざまな種類の機器は、当業者に知られており、例えば、フィルタを備える、または備えていないフィードポンプを含むことができる。圧力ノズル202は、スラリーを液滴に霧化し、それらの液滴を上に向かって、乾燥機室204内に噴霧するが、これは矢印Aで示されている。高温の空気が、入口208を通して、空気源206から乾燥室204内に送りこまれ、乾燥室204内に入ると、スラリー液滴と接触する。そのため、高温の空気は、スラリーが乾燥室内に噴霧される地点よりも上から入り、一般に下向き方向に流れて室に入る。最初に、スラリー液滴は、一般的に上向き方向に流れて、乾燥室内に入り、それにより向流を定める。しかし、ある点で、液滴は垂直方向の軌跡を使い果たし、一般的に下向き方向に流れて室内に入り始め、それにより並流を定める。図2に例示されているような乾燥室内の液滴は、垂直軌跡を延長し、これにより、乾燥のための空中浮遊時間を長くすることができる。図2は、並流と向流乾燥室の組み合わせと併用する圧力ノズル・アトマイザーを例示しているが、このような乾燥室は、さらに、ロータリー・ホイール・アトマイザーおよび二流体ノズル・アトマイザーとも使用することができる。
【0020】
図3に例示されているようないくつかの実施形態では、並流乾燥室は、圧力ノズル・アトマイザーとともに使用される。図3は、乾燥室304および圧力ノズル302を備える噴霧乾燥装置の簡略化された図である。スラリーは、圧力ノズル302を通して供給源300から供給される。圧力ノズル302は、スラリーを液滴に霧化し、それらの液滴を一般的に下向き方向に、乾燥機室304内に噴霧する(矢印「A」で示されている)。高温の空気が、空気源306から乾燥室304内に送りこまれ、一般的に下向き方向(「B」で例示されている)に乾燥室304内に流れ込む。そのため、高温の空気およびスラリー液滴は、一般的に下向き方向に流れて、室内に入り、それにより向流を定める。図3は、並流乾燥室と併用する圧力ノズル・アトマイザーを例示しているが、並流乾燥室は、さらに、ロータリー・ホイール・アトマイザーおよび二流体ノズル・アトマイザーとも使用することができる。
【0021】
液滴を乾燥させるために乾燥室内に高温の空気を送りこむのに適しているさまざまな種類の機器は、当業者に知られており、例えば、エアフィルタを備える、または備えていない加熱装置を含むことができる。乾燥106では、水分が液滴から蒸発させられると、グリーン・セラミック粒子が形成する。スラリーが乾燥室204内に噴霧され、高温乾燥空気に接触すると、液滴の表面からの蒸発が生じ、飽和した蒸気膜が、液滴の表面に形成する。分散剤および結合剤は、もし存在するとすれば、可溶性である。そのため、分散剤および/または結合剤が存在する場合、それぞれの霧化された噴霧液滴は、不溶性セラミック材料および可溶性添加物の両方を含む。噴霧乾燥の蒸発層では、可溶性結合材料は、液滴表面上の膜内に自己コーティングする。
【0022】
乾燥が続くうちに、液滴の内側に向かって水分が蒸発してゆく。本明細書で説明されている方法によれば、液滴の内側からの水分は、少なくとも一部は、液滴内に詰め込まれている固体微粒子を通じて、液滴表面に向かい、次いで液滴表面上の膜を通して拡散することにより蒸発する。液滴内部から水分が蒸発するにつれ、液滴表面上の膜が液滴の内側に向かって成長する。
【0023】
液滴表面温度は、乾燥空気の入口気温が比較的高いにもかかわらず低い。蒸発は、最初は一定速度条件の下で生じるが、この速度は、液滴が最終残留水分状態に近づくにつれ低下する。液滴は未溶解固形物を含むので、乾燥プロファイルは、粒子真球度に寄与する有意な恒率期を特徴とする。乾燥中、噴霧液滴サイズ分布は、水分が蒸発し液滴がサイズを変えてゆくにつれ変化する。液滴と粒子の結合も生じることがあり、これは、乾燥室内の空気の流れの乱流パターンと温度および湿度レベルの複雑な分布によるものと考えられる。
【0024】
液滴は、一般に、乾燥室に通されるときに回転しないため、液滴の一方の側は、液滴の他方の側が曝されている空気よりも高温の入口からの空気に曝されうる(本明細書ではそれぞれ「高温側」および「低温側」と呼ぶ)。このような場合、蒸発は。高温側で速く進み、液滴の表面に形成する膜は、低温側よりも高温側でのほうがより速く厚くなる。液滴中の液体と固形物は、高温側に移動する。この時点では、低温側は内向きに引かれ、その結果、本明細書で説明されている中身の詰まっているグリーン粒子ではなく、くぼみを持つ中空のグリーン粒子が得られると予想されるであろう。しかし、本明細書で説明されている方法によれば、本明細書で説明されている重量%の固形分含量、本明細書で説明されている重量%の可溶物含量(分散剤および/または結合剤)、および本明細書で説明されているような範囲内の空気入口温度のうちの1つまたは複数の因子のため、この粒子は中空ではなく、中身が詰まっている固体である。
【0025】
固形分含量に関して、固形分含量が約50重量パーセントを超えるスラリーを使用して、本明細書で説明されているように実質的に丸い、球状粒子を生成することができる。いくつかの実施形態によれば、固形分含量が約60から約70重量%までの範囲であるスラリーは、中身が詰まった実質的に丸く、球状の粒子を生成するために使用することができる。
【0026】
可溶物含量に関して、結合剤は、スラリー粘度を高め、これは霧化できるスラリーを維持するために固形分含量を減らすことが必要になる一因となりうる。しかし、低い固形分含量は、中身の詰まっていない粒子が得られる一因になりうる。分散剤に関しては、分散剤を使用すると、固形分が粒子の表面に移動する速度が速くなるので、これもまた、中身の詰まっていない粒子ができる一因になりうる。そのため、スラリー中の可溶物含量(結合剤および分散剤などの添加物の量)とスラリーの固形分含量との釣り合いをとらなければならない。好ましくは、スラリーの粘度を調整する必要性によって決められるような最低量の結合剤および/または分散剤が使用される。
【0027】
空気入口温度に関しては、乾燥室に入る空気の温度は、本明細書で説明されている方法により制御される。そのため、いくつかの実施形態では、空気入口温度は、約100℃から約200℃まで、または約200℃から約300℃まで、または約300℃から約400℃まで、または約400℃から約500℃までの範囲内である。他の実施形態では、空気入口温度は、約150℃から約200℃まで、または約200℃から約250℃までの範囲内である。好ましくは、このような範囲の下限の温度は、粒子の乾燥速度を遅くするために使用され、これはさらに、焼結することにより実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成することができるグリーン・セラミック粒子を生成することに寄与する。
【0028】
ここでまた、図1を参照すると、放出108は、乾燥機室からグリーン・セラミック粒子を分離し放出することを含む。いくつかの実施形態では、2点放出システムが使用される。2点放出システムでは、グリーン・セラミック粒子の最も粗い留分の主要放出は、室の底部から得られ、最も細かい留分の放出は、サイクロンおよびバグハウス・システムの底部から得られる。いくつかの他の実施形態では、単一点放出システムが使用される。単一点放出システムでは、グリーン・セラミック粒子の回収は、乾燥機室から行われる。例えば、図2および3に示されている概略図では、グリーン・セラミック粒子は、乾燥室から放出210および310へ少なくとも一部は重力の影響下で放出される。
【0029】
図2および3に例示されているコンポーネントに加えて、好適な乾燥配置は、さらに、ファンおよびダクト、排気浄化装置(サイクロン、バグハウス、洗浄装置)、および制御計装機器を含むことができる。このような他のコンポーネントおよび機器、ならびに本明細書で説明されているような噴霧乾燥法における使用法は、当業者には知られている。
【0030】
放出108の後に、従来の焼結機器を使用してグリーン・セラミック粒子を焼結し(110)、実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を形成する。焼結、および焼結を実行するための機器は、当業者に知られている。例えば、Fitzgibbonの米国特許第4,427,068号を参照のこと。いくつかの実施形態では、焼結は、約1000℃から約1600℃までの範囲の温度で、約20分から約45分までの範囲のピーク温度での時間内に実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下の実施例は、上述の方法および粒子を例示している。
【実施例1】
【0032】
そこで、以下の表1を参照すると、そこには本明細書で開示されている方法により実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成した9つの試験実施結果が報告されている。表1で「n/a」と報告されている値は、決定されなかった。
【0033】
表1に報告されているスラリー特性を持つ9つのスラリーは、CARBO Ceramics,Inc.(「CARBO」)、アラバマ州ユーフォーラによって調製され、そこから入手された。一般に、スラリーは、未か焼のボーキサイト・カオリン粘土を水と分散剤とともにデンバー式摩滅洗浄装置(Denver attrition scrubber)内で攪拌することにより調製され、これにより報告された固形分を有するスラリーが得られた。粘土は、約50重量パーセントを超えるアルミナ分を有しており、またこれはアラバマ州ユーフォーラ地域で採掘された粘土のブレンドであった。使用された分散剤は、Rhone Poulenc Colloid 102として市販されているポリアクリル酸アンモニウムであった。Air Products and Chemicals IncからAirvolという商標名で販売されている分子量が100,000Mnのポリビニルアルコール(PVA)を、サンプル番号5および6についてCARBOから得たのと同様にスラリーに加えた。表1に報告されている固形分は、160℃の温度で30分間Sartorius水分バランス(moisture balance)を使用して決定された。表1で報告された粘度データ(特定のRPMについて単位センチポアズ(「cps」)で報告されている)は、マサチューセッツ州ミドルボロのBrookfield Engineering Laboratories社から市販されている、2番スピンドルを使用するブルックフィールド粘度計を使用して決定された。ブルックフィールド粘度計は、それを動作させるために用意された手順に従って作動させた。
【0034】
スラリーは、表1に報告されている霧化条件に応じて霧化された。それぞれのスラリーは、表1に報告されている温度および供給速度で、また霧化圧力の下で、圧力ノズル・アトマイザーに供給された。使用される特定のアトマイザーは、直径2.55メートル、円柱高さ5.95メートル、全噴霧高さ9メートルの乾燥室を有する、Niro Nozzle Towerパイロット・プラントを装備した。ノズル設計は、表1で報告されているように実施する毎に調整されており、英字標識「AA」は、ノズルの室設計を表し、数字標識「#.#」は、ノズル・オリフィスの直径(ミリメートル)を表す。このような英字および数字の標識は、当業者に知られており、理解されている。表1に報告されている持続時間は、使用される特定のノズルからスラリーの液滴を作るためにスラリーが指示された速度でポンプによりくみ上げられた時間を示す。
【0035】
スラリーの霧化された液滴が圧力ノズルから出ると、表1に報告されている乾燥条件に曝された。報告された速度で高温の空気がNiro Nozzle Towerパイロット・プラントの乾燥室に送られ、熱線風速計により測定された。乾燥室の報告された入口および出口温度は、熱電対により決定された。液滴が高温の給気と接触することで液滴から水分が蒸発すると、表1に報告されているグリーン特性を持つグリーン・セラミック粒子が形成された。報告された残留揮発物の割合(%)は、30分間200℃の温度でメトラー水分計を使用して決定され、乾燥中に粒子から蒸発しなかった水分を示す。注入密度(poured density)は、知られている体積の容器を満たしたグリーン粒子のその量を表しているが、タップ密度は、知られている体積の容器を満たされるときに容器のタッピングで満たしたグリーン粒子のその量を表している。
【0036】
グリーン粒子は、実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成する静窯内で焼結された。焼結は、12℃/分の割合で1510℃のピーク温度まで加熱し、ピーク温度で30分間保持することにより行った。サイズ、粒度指数、かさ密度、見掛け比重、および粉砕力などの焼結された固体セラミック粒子の焼結特性が以下に報告されている。API Recommended Practices RP60 for testing proppantsを使用して、かさ密度、見掛け比重、および粉砕力が決定された。
【0037】
【表1】



【0038】
高い固体荷重を有するスラリー(例えば、サンプル番号3および7)では、GFNと平均粒子サイズで、より大きなサイズの粒子が生成された。サンプル番号3および7は、さらに、粘度が高く、GFNおよび平均粒子サイズで、2番目および3番目に粗い粒子サイズの材料を生成した。対照的に、全可溶分の高いスラリー(例えば、結合剤を含む、サンプル番号5および6)では、GFNが最も高く、平均粒子サイズが最も小さい材料を生成した(これは、より小さな粒子が生成されたことも示す)。サンプル番号7では、最大の粒子が生成されており、9つのサンプルのうちサンプル番号7は、さらに、最高の残留揮発分を含み、これは、乾燥室から放出される粒子の遊離水分を示すことに留意されたい。サンプル番号7の残留揮発分は、サンプル番号7が残留揮発分が低く乾燥室から放出されたサンプル(例えば、サンプル番号5および6)と比較して低い乾燥速度に曝されたことを示している。そのため、低い乾燥速度は、本明細書で説明されているような特性を有するセラミックス粒子の生成に寄与するであろう。
【実施例2】
【0039】
そこで、以下の表2を参照すると、そこには本明細書で開示されている方法により実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成した5つの試験実施結果が報告されている。表2で「n/a」と報告されている値は、決定されなかった。
【0040】
表2に報告されているスラリー特性を有する5つのスラリーは、未か焼のボーキサイト・カオリン粘土を水と分散剤とともに高剪断コールズ・ディゾルバー内で攪拌することにより調製され、これにより報告された固形分を有するスラリーが得られた。粘土は、約50重量パーセントを超えるアルミナ分を有しており、またこれはJF Blecherから入手した。分散剤は、ヘキサメタリン酸ナトリウムであり、それぞれのスラリーにそのスラリーを生成するために使用された粘土の乾燥重量の約0.15重量%だけ含まれていた。ヘキサメタリン酸ナトリウムは、Innophous Chemicals Inc.社から市販されている。さらに120グラムのヘキサメタリン酸ナトリウムをサンプル番号4および5に加えた。水酸化アンモニウムを、pHが約9.5であるスラリーが得られる十分な量だけそれぞれのスラリーに加えた。水以外の結合剤は、これらのスラリーのどれにおいても使用されなかった。
【0041】
表2に報告されているスラリー固形分は、190℃の温度で、すべての物理的水分がなくなるまでOhaus MB45水分バランスを使用して決定された。
【0042】
粘度データは、20rpmで1番のスピンドルとともにブルックフィールドRVF粘度計を使用して決定されたが、これはマサチューセッツ州ミドルボロのBrookfield Engineering Laboratoriesから市販されている。ブルックフィールド粘度計は、それを動作させるために用意された手順に従って作動させた。
【0043】
それぞれのスラリーは、表2に報告されている、周囲温度、および霧化圧力の下で、二流体ノズルに送られた。
【0044】
それぞれのサンプルについて、同じノズル設計が使用された。ノズルの種類は、Spraying Systems,Inc.から市販されているAir Atomizing Nozzle 1/2JBCであった。ノズルは、Spraying Systemsノズルの動作に関して当業者が利用可能な文書であるSpraying Systems Catalog 60B Express (2000)に従って、丸スプレー、外部混合、プレイセットアップ番号SU70、および圧力セットアップにより構成された。外部混合では、乾燥室の空気入口は、入ってくるスラリーの流れの中にない。使用される特定の二流体ノズル・アトマイザーは、直径1.524メートル、円柱高さ4.267メートル、乾燥体積8.59立方メートルの乾燥室を有する、パイロット・タワー・ユニット内で使用された。全スプレー高さは、5.587メートルであった。この実施例2で使用された乾燥室は、イリノイ州オリンピアフィールズのDrytec North America LLCから入手した。
【0045】
スラリーの霧化された液滴が圧力ノズルから出ると、表2に報告されている乾燥条件に曝された。高温空気が、報告された速度で乾燥室に供給され、サイクロン容器間の圧力降下を利用して測定された。乾燥室の報告された入口および出口温度は、K型熱電対により決定された。
【0046】
液滴が高温の給気と接触することで液滴から水分が蒸発すると、表2に報告されているグリーン特性を持つグリーン・セラミック粒子が形成された。報告された残留揮発物の割合(%)は、乾燥後の完全水分損失に基づいてCSC水分計を使用して決定されており、乾燥中に粒子から蒸発しなかった水分を示す。注入密度は、知られている体積の容器を満たしたグリーン粒子のその量を表しているが、タップ密度は、知られている体積の容器を満たされるときに容器のタッピングで満たしたグリーン粒子のその量を表している。
【0047】
米国メッシュ40/270の篩いサイズを有するグリーン粒子は、CM Rapid Temperature実験用静窯内で焼結され、実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子が生成された。焼結は、17℃/分の割合で1500℃のピーク温度まで加熱し、ピーク温度で30分間保持することにより行った。サイズ、粒度指数、かさ密度、見掛け比重、および粉砕力などの焼結された固体セラミック粒子の焼結特性が以下に報告されている。
【0048】
ANSI B74−4−1992手順に従って、かさ密度が決定され、API Recommended Practices RP60 for Testing Proppantsを使用して、見掛け比重および粉砕力が決定された。
【0049】
【表2】


【0050】
サンプル番号2とサンプル番号3とを比較すると、乾燥室の出口空気温度(したがって、入口空気温度も)が上昇したときに(サンプル番号2の118℃からサンプル番号3の135℃まで)、平均グリーン粒子サイズは、435から426ミクロンに減少したことがわかる。サンプル番号4とサンプル番号5とを比較すると、乾燥室の出口空気温度(したがって、入口空気温度も)が上昇したときに(サンプル番号4の118℃からサンプル番号5の129℃まで)、平均グリーン・ペレット・サイズは、411から374ミクロンに減少したことがわかる。当業者であれば、本明細書で説明されているような乾燥室の出口空気温度が高いほど、入口空気温度が高いことを示すことを理解するであろう。サンプル番号2と3との間、サンプル番号4と5との間の入口空気温度の低下から、大きな粒子ほど、低い入口空気温度で生成されうることがわかる。
【0051】
サンプル番号2と4を比較すると、追加の分散剤が存在する場合(サンプル番号4はサンプル番号2よりも120g多い分散剤を含み、したがって、さらに、サンプル番号2よりも低い粘度を有していた)、平均グリーン・ペレット・サイズは、435から411ミクロンまで減少したことがわかる。結合剤が追加され、サンプル番号2と比較してサンプル番号4の粘度が低いと、より大きな粒子ほど、少ない結合剤と高い粘度で生成されうることがわかる(つまり、サンプル番号2)。
【0052】
それに加えて、表2に報告されているかさ密度およびASGは、焼結された粒子の少なくとも一部が固体粒子であったことを示している。
【0053】
さらに、表2に報告されている値は、支持材として使用するのに好適なサイズ、かさ密度、見掛け比重、および7500psi破砕力を持つ粒子は、本明細書で説明されているようにスラリーから生成され、噴霧乾燥機技術により処理されることができることを示している。
【実施例3】
【0054】
そこで、以下の表3を参照すると、そこには本明細書で開示されている方法により実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成した7つの試験実施結果が報告されている。表3で「n/a」と報告されている値は、決定されなかった。
【0055】
表3に報告されているスラリー特性を有する7つのスラリーは、未か焼のボーキサイト・カオリン粘土を水と分散剤とともに高剪断コールズ・ディゾルバー内で攪拌することにより調製され、これにより報告された固形分を有するスラリーが得られた。粘土は、約50重量パーセント・アルミナのアルミナ含量を有しており、またこれはJF Blecherから入手した。使用した分散剤は、Kemira ChemicalsからC−211という商標名で市販されているポリアクリル酸ナトリウムであり、スラリーを作るために使用される乾燥粘土の重量パーセントである、表3に報告されている量だけ使用された。分子量が25,000Mnであるポリビニルアルコール(PVA)をサンプル番号4および5に、スラリーを作るために使用される乾燥粘土の約0.30重量パーセント分だけ加えた。PVAは、DuPontからElvanolという商標名のものを入手することができる。
【0056】
表3に報告されているスラリー固形分は、190℃の温度で、すべての物理的水分がなくなるまでOhaus MB45水分バランスを使用して決定された。粘度データは、20rpmで1番のスピンドルとともにブルックフィールドRVF粘度計を使用して決定されたが、これはマサチューセッツ州ミドルボロのBrookfield Engineering Laboratoriesから市販されている。ブルックフィールド粘度計は、それを動作させるために用意された手順に従って作動させた。
【0057】
スラリーは、表3に報告されている霧化条件に応じて霧化された。それぞれのスラリーは、表3に報告されている、周囲温度、供給速度、および霧化圧力の下で、二流体ノズル・アトマイザーに送られた。表3に報告されている持続時間は、スラリーの液滴を作るためにスラリーが指示された速度でポンプによりくみ上げられた時間を示す。
【0058】
表3で報告されているそれぞれのサンプルについて、同じノズル設計が使用された。ノズルの種類は、Spraying Systems,Inc.から市販されているAir Atomizing Nozzle 1/4Jであった。ノズルは、Spraying Systemsノズルの動作に関して当業者が利用可能な文書であるSpraying Systems Catalog 60B Express (2000)に従って、平たいスプレー、外部混合、プレイセットアップ番号SUE45、および圧力セットアップにより構成された。ノズルは、直径1.000メートル、円柱高さ2.000メートル、全噴霧高さ2.866メートルの乾燥室を有する、Drytec Nozzle Towerパイロット・ユニットで構成された。
【0059】
スラリーの霧化された液滴が圧力ノズルから出ると、表3に報告されている乾燥条件に曝された。高温空気が、報告された速度で乾燥室に供給され、サイクロン容器間の圧力降下を利用して測定された。乾燥室の報告された入口および出口温度は、K型熱電対により決定された。
【0060】
液滴が高温の給気と接触することで液滴から水分が蒸発すると、表3に報告されているグリーン特性を持つグリーン・セラミック粒子が形成された。報告された残留揮発物の割合(%)は、乾燥後の完全水分損失に基づいてCSC水分計を使用して決定されており、乾燥中に粒子から蒸発しなかった水分を示す。注入密度は、知られている体積の容器を満たしたグリーン粒子のその量を表しているが、タップ密度は、知られている体積の容器を満たされるときに容器のタッピングで満たしたグリーン粒子のその量を表している。
【0061】
グリーン粒子は、実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成するBlue M Lindberg実験用静窯内で焼結された。焼結は、12℃/分の割合で1510℃のピーク温度まで加熱し、ピーク温度で30分間保持することにより行った。サイズ、粒度指数、かさ密度、見掛け比重、および粉砕力などの焼結された固体セラミック粒子の焼結特性が以下に報告されている。
【0062】
API Recommended Practices RP60 for testing proppantsを使用して、かさ密度、見掛け比重、および粉砕力が決定された。
【0063】
【表3】


【0064】
表3で説明されている例示的なスラリーは、固形分が約50重量パーセント、約60重量パーセント、および約65重量パーセントを超えるスラリーは、噴霧乾燥機の霧化機器を通じて供給するのに好適な粘度に維持することができることを示している。スラリーの固形分は、本明細書で説明されているように実質的に丸く、球状の粒子の形成に寄与した。
【0065】
表3に報告されているかさ密度およびASGは、焼結された粒子の少なくとも一部が固体粒子であったことを示している。この実施例3のスラリーを処理するために使用された低い入口空気温度(低い出口空気温度により決定される)は、固体粒子の生成に寄与した。さらに、結合剤は、表3で説明されている実質的に丸く、球状の粒子を作るためには使用されなかった。
【0066】
それに加えて、最大の平均粒子サイズの材料は、最高の残留揮発分のサンプル(サンプル番号6)から生成された。サンプル番号6の残留揮発分は、サンプル番号6が残留揮発分が低く乾燥室から放出されたサンプルと比較して低い乾燥速度に曝されたことを示している。そのため、低い乾燥速度は、本明細書で説明されているような特性を有するセラミックス粒子の生成に寄与するであろう。
【0067】
さらに、表3に報告されている値は、支持材として使用するのに好適なサイズ、かさ密度、見掛け比重、および7500psi破砕力を持つ粒子は、本明細書で説明されているように調製されたスラリーを使用して生成され、噴霧乾燥機技術により処理されることができることを示している。
【実施例4】
【0068】
そこで、以下の表4を参照すると、そこには本明細書で開示されている方法により実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成した7つの試験実施結果が報告されている。表4で「n/a」と報告されている値は、決定されなかった。
【0069】
粒子は、スラリー1回分約5ガロンから生成され、これは、か焼されたボーキサイト・カオリン粘土を水と分散剤とともに高剪断コールズ・ディソルバー内で攪拌し、約59.5重量パーセントの固形分、周囲温度、60RPMで約130センチポアズの粘度、約9.5のpH(水酸化アンモニウムを加えることによる)を有するスラリーを得ることにより調製され、乾燥粘土出発物質の重量に基づいて、分散剤の約0.03wt.パーセントを含んでいた。
【0070】
分散剤は、Kemira Chemicalsが商標名C−211で生産しているポリアクリル酸ナトリウムであった。粘土は、約47重量パーセントのか焼ベースのアルミナ分を含んでおり、ジョージア州アンダーソンビルのCE Mineralsからか焼材料(約2重量パーセントにか焼イグニション損失)として入手した。
【0071】
スラリーは、噴霧乾燥機を通してすぐには処理されず、したがって、粘度をスラリーが噴霧できるような値に戻すために、粘度を追加の分散剤で修正されなければならなかった。初回分のスラリーが処理されると、7.1グラムのC−211ブランドの分散剤をさらに加えた。初回の後、さらに7.2グラムのC−211ブランドの分散剤が加えられ、バッチ毎にスラリーに加えられた合計量は、14.3グラムであった。第2回分以降に、さらに分散剤が加えられることはなく、したがって、追加の分散剤の総量は、表4に報告されているように、14.3グラムのままであった。
【0072】
噴霧して粒子を形成するときに、スラリーは、表4に報告されているような固形分と粘度を有していた。表4に報告されているスラリー固形分は、190℃の温度で、すべての物理的水分がなくなるまでOhaus MB45水分バランスを使用して決定された。粘度データは、20rpmで1番のスピンドルとともにブルックフィールドRVF粘度計を使用して決定されたが、これはマサチューセッツ州ミドルボロのBrookfield Engineering Laboratoriesから市販されている。ブルックフィールド粘度計は、それを動作させるために用意された手順に従って作動させた。
【0073】
スラリーは、表4に報告されている霧化条件に応じて霧化された。それぞれのスラリーは、表4に報告されているような、周囲温度、供給速度、および霧化圧力の下で、二流体ノズル・アトマイザーに送られた。表4に報告されている持続時間は、スラリーの液滴を作るためにスラリーが指示された速度でポンプによりくみ上げられた時間を示す。
【0074】
表4で報告されているそれぞれのサンプルについて、同じノズル設計が使用された。ノズルの種類は、Spraying Systems,Inc.から市販されているAir Atomizing Nozzle 1/4Jであった。ノズルは、Spraying Systemsノズルの動作に関して当業者が利用可能な文書であるSpraying Systems Catalog 60B Express(2000)に従って、平たいスプレー、外部混合、プレイセットアップ番号SUE45、および圧力セットアップにより構成された。ノズルは、直径1.000メートル、円柱高さ2.000メートル、全噴霧高さ2.866メートルの乾燥室を有する、Drytec Nozzle Towerパイロット・ユニットで構成された。
【0075】
スラリーの霧化された液滴が圧力ノズルから出ると、表4に報告されている乾燥条件に曝された。高温空気が、報告された速度で乾燥室に供給され、サイクロン容器間の圧力降下を利用して測定された。乾燥室の報告された入口および出口温度は、K型熱電対により決定された。
【0076】
液滴が高温の給気と接触することで液滴から水分が蒸発すると、表4に報告されているグリーン特性を持つグリーン・セラミック粒子が形成された。報告された残留揮発物の割合(%)は、乾燥後の完全水分損失に基づいてCSC水分計を使用して決定されており、乾燥中に粒子から蒸発しなかった水分を示す。注入密度は、知られている体積の容器を満たしたグリーン粒子のその量を表しているが、タップ密度は、知られている体積の容器を満たされるときに容器のタッピングで満たしたグリーン粒子のその量を表している。
【0077】
グリーン粒子は、実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を生成するBlue M Lindberg実験用静窯内で焼結された。焼結は、12℃/分の割合で1510℃のピーク温度まで加熱し、ピーク温度で30分間保持することにより行った。サイズ、粒度指数、かさ密度、見掛け比重、および粉砕力などの焼結された固体セラミック粒子の焼結特性が以下に報告されている。
【0078】
API Recommended Practices RP60 for testing proppantsを使用して、かさ密度、見掛け比重、および粉砕力が決定された。
【0079】
【表4】


【0080】
表4で説明されている例示的なスラリーは、固形分が約50重量パーセントを超えるスラリーは、噴霧乾燥機の霧化機器を通じて供給するのに好適な粘度にすることができることを示している。スラリーの固形分は、本明細書で説明されているように実質的に丸く、球状の粒子の形成に寄与した。
【0081】
表4に報告されているかさ密度およびASGは、焼結された粒子の少なくとも一部が固体粒子であったことを示している。この実施例4のスラリーを処理するために使用された低い入口空気温度(低い出口空気温度により決定される)は、固体粒子の生成に寄与した。さらに、結合剤は、表4で説明されている実質的に丸く、球状の粒子を作るためには使用されなかった。
【0082】
それに加えて、最大の平均粒子サイズの材料は、最高の残留揮発分のサンプル(サンプル番号7)から生成された。サンプル番号7の残留揮発分は、サンプル番号7が残留揮発分が低く乾燥室から放出されたサンプルと比較して低い乾燥速度に曝されたことを示している。そのため、低い乾燥速度は、本明細書で説明されているような特性を有するセラミックス粒子の生成に寄与するであろう。
【実施例5】
【0083】
実施例1〜4で発展させた方法から、実施例1〜4で実際に生成されたものよりもさらに大きな粒子を生成することが可能な、噴霧乾燥機器、特に乾燥室の寸法を推定することが可能である。
【0084】
そこで、図4を参照すると、望ましい装置寸法の推定値が示されている。実施例2および3の乾燥室の高さ、およびその中で生成されるグリーン粒子の体積は、図4において、それぞれ点1および2でプロットされている。図4の点3は、American Custom Dryingにより製造され、試験のため利用可能な生産用噴霧乾燥室の高さ(約9.8m)に対応している。線形関係が点1および2により確立されていると仮定すると、高さ9.8mの乾燥室は、約0.110mmのグリーン・ペレット体積を生み出すことであろう。線形関係の仮定を続けると、図4にプロットされた点4および5は、それぞれ、約0.212mmおよび0.234の所望のグリーン・ペレット体積に対応する。このような所望のグリーン・ペレット体積が与えられた場合、そのような体積を生み出す乾燥室の推定高さ乾燥室の推定高さが推定され、点4および5のプロットを完了している。
【0085】
図4に例示されているように、30/50プロッパント・サイズ・ペレット(756ミクロンの約平均グリーン・ペレット・サイズ)を作るための乾燥室の推定高さは、19.8メートルである。Rotex Inc Model 522などの産業用篩い分け機を使用することで、乾燥ペレットを篩いにかけて、20/40、20/30、または18/40生成物が得られるようなサイズのプロッパント・ペレットを供給することができる。
【0086】
本明細書で説明されているような高さ19.8メートルの乾燥室は、直径約7.4250メートル、体積約857.33mとすることが可能である。当業者であれば、この実施例5で説明されている乾燥室の寸法は、異なることがあり、他の寸法および比率を設計することができることを理解するであろう。
【0087】
本明細書ですでに説明されている方法と組み合わせて、乾燥室の寸法を選択する、つまり、スラリーの固形分を最大にし、可溶物分(例えば、分散剤および/または結合剤)の量を最小にしつつ、噴霧可能粘度を維持し、乾燥室に送られる入口および出口空気温度を低くすることにより、焼結した場合に、プロッパント材料として使用するのに好適な平均粒子サイズ、かさ密度、見掛け比重、および破砕力を有する、実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子が生成されるであろう。
【0088】
本方法によれば、固体球状セラミック粒子は、(1)固形分(スラリー中の固形分は高いのが好ましい)、(2)可溶物分(スラリー中の分散剤および/または結合剤は最小であるか、またはまったくないのが好ましい)、および(3)空気入口温度(低温にして粒子の乾燥速度を遅くするのが好ましい)のうちの1つまたは複数を調整することにより生成される。それに加えて、乾燥室を通る空気乾燥流量を制御すること(好ましくは低流量)は、本明細書で説明されているように、固体球状セラミック粒子の生産に寄与しうる。さらに、噴霧乾燥機の乾燥室の高さなどの機器寸法の選択により、本明細書で説明されている方法により生成される粒子の平均サイズを大きくすることができる。
【0089】
本明細書で説明されている方法により生成される実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子は、限定はしないが、石油またはガス井戸中のプロッパントとしての用途、および鋳物媒体(foundry media)を含む、さまざまな用途に好適である。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示されている発明のこの仕様または実施方法を考察することで当業者には明白であろう。しかし、前記の仕様は、請求項で示されている、本発明の真の範囲および精神により本発明の単なる例であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本明細書で説明されているような噴霧乾燥プロセスを使用する実質的に丸く、球状の焼結された固体セラミック粒子を形成する方法を示す図である。
【図2】本明細書で説明されているような噴霧乾燥方法で使用するための並流および向流の組み合わせをもたらす乾燥室を示す図である。
【図3】本明細書で説明されているような噴霧乾燥方法で使用するための並流をもたらす乾燥室を示す図である。
【図4】本明細書で説明されているような噴霧乾燥プロセスを使用する実質的に丸く、球状の固体セラミック粒子を形成する乾燥室の寸法を拡大した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に丸く、球状である焼結された固体セラミック粒子を生成する方法であって、
固形分が約50重量パーセントを超え、水とアルミナ分が約40重量パーセントを超えるセラミック出発物質とを含む、スラリーを調製することと、
前記スラリーを乾燥機に動作可能なように接続されたアトマイザーに供給することと、
前記スラリーを霧化して液滴にするように前記アトマイザーを動作させることと、
前記乾燥機を動作させて、空気入口温度を約100℃から約500℃の範囲内となるようにすることと、
前記液滴を前記乾燥機に通し、前記乾燥機の放出口から出るようにすることにより実質的に丸く、球状の固体粒子を形成することと、
前記乾燥機から放出された前記粒子の少なくとも一部を約1000℃から約1600℃までの範囲の温度で約20から約45分間のピーク温度での時間の間、焼結することとを含み、平均粒子サイズが約200ミクロンを超え、平均かさ密度が約1.40g/ccを超え、平均見掛け比重が約2.60を超える、焼結された、実質的に丸く、球状の固体粒子が形成される方法。
【請求項2】
前記空気入口温度は、約100℃から約200℃までの範囲、約200℃から約300℃までの範囲、約300℃から約400℃までの範囲、および約400℃から約500℃までの範囲からなる群から選択された範囲内にある請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気入口温度は、約150℃から約200℃までの範囲および約200℃から約250℃までの範囲からなる群から選択された範囲内にある請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、
前記スラリーを前記アトマイザーに供給する前に結合剤を前記スラリーに加えることを含み、前記結合剤は、前記セラミック出発材料の重量による約0.5重量パーセント未満の量だけ前記スラリーに加えられる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、
前記スラリーを前記アトマイザーに供給する前に結合剤を前記スラリーに加えることを含み、前記結合剤は、前記セラミック出発材料の重量による約1.0重量パーセント未満の量だけ前記スラリーに加えられる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、
前記スラリーを前記アトマイザーに供給する前に分散剤を前記スラリーに加えることを含み、前記分散剤は、約0.3重量パーセント未満の量だけ前記スラリーに加えられる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、
前記スラリーを前記アトマイザーに供給する前に分散剤を前記スラリーに加えることを含み、前記分散剤は、約0.5重量パーセント未満の量だけ前記スラリーに加えられる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
前記スラリーを前記アトマイザーに供給する前に分散剤を前記スラリーに加えることを含み、前記分散剤は、約1.0重量パーセント未満の量だけ前記スラリーに加えられる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記セラミック出発物質は、か焼された材料、か焼されていない材料、部分的にか焼された材料、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記セラミック出発物質は、カオリン粘土、ボーキサイト・カオリン、およびボーキサイトからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アトマイザーは、ロータリー・ホイール・アトマイザー、圧力ノズル・アトマイザー、および二流体ノズル・アトマイザーからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実質的に丸く、球状である焼結された固体セラミック粒子を生成する方法であって、
固形分が約50重量パーセントを超え、水とアルミナ分が約40重量パーセントを超えるセラミック出発物質とを含む、スラリーを調製することと、
前記スラリーを乾燥機に動作可能なように接続されたアトマイザーに供給することと、
乾燥空気を前記乾燥機に供給することと、
前記スラリーを霧化して液滴にするように前記アトマイザーを動作させることと、
前記液滴を前記乾燥機に通すことにより実質的に丸く、球状の固体粒子を形成することと、
前記スラリーの前記固形分、前記乾燥機に入る前記乾燥空気の前記温度、および前記乾燥機に入る前記乾燥空気の供給速度のうちの少なくとも1つを制御し、約1000℃から約1600℃までの範囲の温度で約20から約45分間のピーク温度での時間の間、焼結したときに、平均粒子サイズが約200ミクロンを超え、平均かさ密度が約1.40g/ccを超え、平均見掛け比重が約2.60を超える実質的に丸く、球状の固体粒子を生成することとを含む方法。
【請求項13】
さらに、
分散剤と結合剤からなる群から選択された少なくとも1つの添加剤を前記スラリーに加えることと、
前記選択された添加剤の量を制御し、平均粒子サイズが約200ミクロンを超え、平均かさ密度が約1.40g/ccを超え、平均見掛け比重が約2.60を超える前記焼結された実質的に丸く、球状の固体粒子を生成することとを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記選択された添加剤は、コロイド、多価電解質、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸塩、クエン酸アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、およびヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群から選択された分散剤である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記選択された添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、デキストリン、およびモラスからなる群から選択された結合剤である請求項13に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
前記乾燥機の寸法を調整し、前記中身が詰まった実質的に丸く、球状の固体粒子の前記平均粒子サイズ、かさ密度、および見掛け比重のうちの少なくとも1つを調整することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記乾燥機の高さは、前記実質的に丸く、球状の固体粒子の前記平均粒子サイズを大きくするために高くされる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粒子であって、
中身が詰まっており、
実質的に丸く、球状であり、
平均サイズが約200ミクロンを超え、
平均かさ密度が約1.40g/ccを超え、
平均見掛け比重が約2.60を超え、
固形分が約50重量パーセントを超え、水とアルミナ分が約40重量パーセントを超えるセラミック出発物質とを含む、スラリーを調製することと、
前記スラリーを乾燥機に動作可能なように接続されたアトマイザーに供給することと、
前記スラリーを霧化して液滴にするように前記アトマイザーを動作させることと、
前記乾燥機を動作させて、空気流を約100℃から約500℃の範囲内の空気入口温度で前記乾燥機内に供給することと、
前記液滴を前記乾燥機に通し、前記乾燥機の放出口から出るようにすることにより実質的に丸く、球状の固体粒子を形成することと、
約1000℃から約1600℃までの範囲の温度で、約20分から約45分までの範囲のピーク温度での時間内に前記乾燥機から放出される前記粒子の少なくとも一部を焼結することとにより形成される粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−505835(P2008−505835A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520553(P2007−520553)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024339
【国際公開番号】WO2006/010036
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506332199)カーボ、サラミクス、インク (7)
【Fターム(参考)】