説明

回路モジュール及び回路モジュール製造方法

【課題】シールド部材の耐久性の低下を抑制すること。
【解決手段】回路モジュール1は、電子部品実装面10aを有する基板10と、電子部品実装面10aに搭載される電子部品群11と、電子部品群11を覆う第1封止部材としての第1モールド樹脂12と、第1モールド樹脂12を覆うと共に基板10に接触するシールド部材としてのメッキ層13と、メッキ層13の部分のうち基板10に接触する基板接触部13aを基板10との間で挟み込み、メッキ層13の少なくとも一部を覆う第2封止部材としての第2モールド樹脂14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路モジュール及び回路モジュール製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に搭載された電子部品を覆う封止部材と、電子部品を覆った封止部材を被覆するシールド材とで構成される回路モジュールがある。例えば、特許文献1には、実装部品(電子部品)を封止する無機質フィラーを含有するエポキシ樹脂からなる封止体と、封止体の表面に形成した複数のメッキ層と、シールド層とを有する回路モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−109306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術は、特許文献1の図2に示すように、電子部品が設けられる側を内側とすると、最も外側にシールド層(本発明のシールド部材に相当)が配置される。シールド層は、具体的には金属のメッキ層である。特許文献1に開示されている技術では、このメッキ層に酸素が接触するので、シールド層として機能するメッキ層が酸化するおそれがある。また、特許文献1に開示されている技術は、シールド層に外部からの力が作用することも考えられる。これにより、特許文献1に開示されている技術は、シールド層の酸化や剥離が生じ耐久性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シールド部材の耐久性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る回路モジュールは、電子部品実装面を有する基板と、前記電子部品実装面に搭載される電子部品と、前記電子部品を覆う第1封止部材と、当該第1封止部材を覆うと共に前記基板に一部が接触するシールド部材と、当該シールド部材のうち前記基板に接触する部分を前記基板との間で挟み込み、かつ、前記シールド部材の少なくとも一部を覆う第2封止部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成により、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材が第2封止部材によって覆われる。これにより、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の総面積のうち、酸素に接触する部分の面積を低減できる。その結果、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化を抑制できる。また、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の外部から力が働くおそれを低減できる。以上により、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化や剥離を抑制できる。結果として、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の耐久性の低下を抑制できる。
【0008】
本発明の好ましい態様としては、前記基板は、前記電子部品実装面とは反対側の端子形成面と、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって窪む部分を有する段差部と、を備え、前記シールド部材のうち前記基板に接触する部分は、前記段差部と前記第2封止部材とに挟み込まれることが好ましい。
【0009】
シールド部材は薄い金属膜である。このため、段差部の端部が何らかの接触により変形したり、擦られたり、回路モジュール自体に反りが発生したりしたときに、シールド部材は剥離しやすくなる。しかしながら、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材が、第2封止部材と段差部との間で挟み込まれる。これにより、シールド部材は、基板から剥離しにくくなる。上記構成により、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材が基板から剥離しにくくなるため、シールド部材の耐久性の低下をより好適に低減できる。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、前記第2封止部材は、前記シールド部材の全体を覆うことが好ましい。
【0011】
上記構成により、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸素に接触する部分の面積を低減できる。また、本発明に係る回路モジュールは、例えば、水のような液体が内部へ侵入しようとする隙間を低減できる。これによって、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化をより好適に抑制できる。また、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の端部に、外部から力が働くおそれを低減できる。以上により、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化や剥離をより好適に抑制できる。その結果、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の耐久性の低下をより好適に抑制できる。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記基板は、前記電子部品実装面とは反対側の端子形成面と、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって窪む部分を有する第1段差部と、前記第1段差部と隣接する部分であって、前記第1段差部を境に前記電子部品とは反対側の部分に設けられ、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記第1段差部よりもさらに前記端子形成面側へ窪む部分を有する第2段差部と、を備え、前記シールド部材の端部は、前記第1段差部に接触すると共に当該前記第1段差部と前記第2封止部材とに挟み込まれて設けられ、前記第2封止部材は、前記第2段差部に接触することが好ましい。
【0013】
上記構成により、本発明に係る回路モジュールは、第2封止部材がシールド部材のすべてを覆う。これにより、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の総面積のうち、酸素に接触する部分の面積を理論的には0にできる。また、本発明に係る回路モジュールは、例えば水のような液体が内部へ侵入しようとする隙間を低減できる。これによって、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化をより好適に抑制できる。また、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の総面積のうち、外部から力が働くおそれのある部分の面積を理論的には0にできる。以上により、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化や剥離をより好適に抑制できる。その結果、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の耐久性の低下をより好適に抑制できる。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記回路モジュール全体の外形を形成する面であって、前記電子部品実装面に対して角度を有する回路モジュール側面は、平面であることが好ましい。
【0015】
上記構成により、本発明に係る回路モジュールは、側面が平面になる。側面が平面になることにより、本発明に係る回路モジュールは、回路モジュールの外観を一体化できる。さらに、本発明に係る回路モジュールは、段差部が形成されないので、回路モジュールが取り扱われる際には、側面において応力が集中しやすい部分を少なくできる。これによって、本発明に係る回路モジュールは、耐久性の低下を抑制できる。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記第2封止部材の線膨張係数は、前記第1封止部材の線膨張係数よりも小さいことが好ましい。
【0017】
一般的に、第1封止部材の線膨張係数と、基板の線膨張係数とは異なる。このため、第2封止部材が設けられない回路モジュールでは、この線膨張係数の違いに起因して回路モジュールが湾曲するおそれがある。しかしながら、本発明に係る回路モジュールは、第1封止部材の線膨張係数よりも線膨張係数が小さい材料である第2封止部材がシールド部材よりも外側(シールド部材を境に電子部品とは反対側)に設けられる。そして、第2封止部材は、基板と第1封止部材との線膨張係数の差に起因する本発明に係る回路モジュールの湾曲を抑制する。その結果、本発明に係る回路モジュールは、自身が湾曲するおそれを低減できる。
【0018】
本発明の好ましい態様としては、前記第2封止部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数以下であることが好ましい。
【0019】
一般的に、回路モジュールが備える部材の中では、前記基板は、最も線膨張係数が小さい部材である。よって、上記構成により、本発明に係る回路モジュールが備える第2封止部材は、本発明に係る回路モジュールを構成する複数の部材の中で、最も線膨張係数が小さい部材になる。このような第2封止部材を備えることにより、本発明に係る回路モジュールは、基板の線膨張係数と、基板に設けられるモールド樹脂(第1封止部材及び第2封止部材)全体での線膨張係数との差をより低減できる。その結果、本発明に係る回路モジュールは、自身が湾曲するおそれをより好適に低減できる。
【0020】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る回路モジュール製造方法は、電子部品実装面と、当該電子部品実装面とは反対側の端子形成面との2つの面を有する基板の前記電子部品実装面に形成される電子部品を第1封止部材で覆う第1工程と、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって、少なくとも前記第1封止部材を切断する第2工程と、前記第1封止部材をシールド部材で覆い、かつ前記シールド部材の一部を前記基板に接触させる第3工程と、第2封止部材で前記シールド部材の少なくとも一部を覆うと共に、前記シールド部材のうち前記基板に接触する部分を前記基板との間で挟み込む第4工程と、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって、少なくとも前記第2封止部材及び前記基板を切断する第5工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る回路モジュール製造方法を用いることで製造される回路モジュールは、シールド部材が第2封止部材によって覆われる。これにより、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸素に接触する部分の面積を低減できる。その結果、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化を抑制できる。また、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の外部から力が働くおそれのある部分を低減できる。以上により、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化や剥離を抑制できる。その結果、本発明に係る回路モジュール製造方法を用いることで、本発明に係る回路モジュールが備えるシールド部材の耐久性の低下を抑制できる。
【0022】
本発明の好ましい態様としては、前記第2工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって前記第1封止部材を切断すると共に、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記基板の一部を切除し、前記第5工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって前記第2封止部材と、前記基板と、前記シールド部材とを切断することが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい態様としては、前記第3工程と前記第4工程との間に、前記シールド部材の部分のうち前記基板に接触する部分を、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって切断する第6工程を備えることが好ましい。
【0024】
本発明に係る回路モジュール製造方法を用いることで製造される本発明に係る回路モジュールは、第2封止部材がシールド部材のすべてが覆われる。したがって、この本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸素に接触する部分をなくすことができる。また、本発明に係る回路モジュール製造方法によって製造された回路モジュールは、例えば水のような液体が内部へ侵入しようとする隙間を低減できる。これによって、本発明に係る回路モジュールは、シールド部材の酸化をより好適に抑制できる。また、本発明に係る回路モジュール製造方法によって製造された回路モジュールは、シールド部材外部から力が働くおそれのある部分をなくすことができる。以上により、本発明に係る回路モジュール製造方法によって製造された回路モジュールは、シールド部材の酸化や剥離をより好適に抑制できる。その結果、本発明に係る回路モジュール製造方法を用いることで、回路モジュールが備えるシールド部材の耐久性の低下をより好適に抑制できる回路モジュールを製造できる。
【0025】
本発明の好ましい態様としては、前記第2工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって前記第1封止部材を切断すると共に、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記基板の一部を切除し、前記第6工程では、前記シールド部材の部分のうち前記基板に接触する部分を、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって切断すると共に、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記基板の一部も切除し、前記第5工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって、前記第2封止部材及び前記基板を切断することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、シールド部材の耐久性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施形態1の回路モジュールを基板に直交する平面で切って示す断面図である。
【図2】図2は、実施形態1の回路モジュール製造方法の工程を示すフローチャートである。
【図3】図3は、回路モジュール製造システムが有する機能を示すブロック図である。
【図4】図4は、基板に電子部品が形成された製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図5】図5は、第1モールド樹脂が設けられた製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図6】図6は、一回目の切削加工が施された製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図7】図7は、メッキ処理が施された製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図8】図8は、第2モールド樹脂が設けられた分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図9】図9は、二回目の切削加工が施された分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図10】図10は、実施形態2の回路モジュールを基板に直交する平面で切って示す断面図である。
【図11】図11は、実施形態2の回路モジュール製造方法の工程を示すフローチャートである。
【図12】図12は、二回目の切削加工が施された製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図13】図13は、第2モールド樹脂が設けられた分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【図14】図14は、三回目の切削加工が施された分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。また、下記の実施形態で開示された構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均などの範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の回路モジュールを基板に直交する平面で切って示す断面図である。次においては、回路モジュール1が備える各部材の材料や形状、回路モジュール1の製造方法、回路モジュール1の構造の順に説明する。図1に示すように、回路モジュール1は、基板10と、電子部品群11と、第1封止部材である第1モールド樹脂12と、シールド部材であるメッキ層13と、第2封止部材である第2モールド樹脂14とを備える。次においては、各部材の材料や形状の一例を説明するが、各部材は説明された材料や形状に限定されない。
【0030】
基板10は、樹脂製の板状部材である。本実施形態において、基板10の厚さは0.3mmである。また、基板10の線膨張係数は、17〜18ppm/℃である。基板10は、電子部品実装面10aと、端子形成面10bとを有する。電子部品実装面10aと、端子形成面10bとは、基板10の表面と裏面とを成す面であり、互いに平行かつ対向する面である。電子部品実装面10aと、端子形成面10bとの間の距離が基板10の厚さである。以下、電子部品実装面10a及び端子形成面10bに直交する方向、すなわち基板10の厚さ方向を第1方向という。また、第1方向に直交する方向のうち、回路モジュール1の互いに対向し合う2つの側面1sに直交する方向を第2方向という。なお、回路モジュール1の互いに対向し合う2つの側面1sは2組存在するため、実際には第2方向は2つあることになる。しかしながら、以下の説明では、二次元平面で回路モジュール1の構成を説明する。よって、以下の説明では、2つある方向のうちの1つを第2方向として説明する。
【0031】
電子部品群11は、複数の電子部品が電気的に接続されたものである。以下の説明では、回路モジュール1は、複数の電子部品を有するものとして説明する。但し、回路モジュール1は、単数の電子部品を有してもよい。電子部品群11は、基板10の電子部品実装面10aに形成される。第1モールド樹脂12は、フィラー(シリカ)を含むエポキシ樹脂である。第1モールド樹脂12が含むフィラーの含有率は、60wt%である。第1モールド樹脂12の厚さは、第1モールド樹脂12の第1方向の寸法であり、本実施形態では0.8mm〜1.0mmである。また、第1モールド樹脂12の線膨張係数は29ppm/℃である。メッキ層13は、銅メッキ層及びニッケルメッキ層によって構成される。メッキ層13の厚さは、電子部品実装面10aと平行な面ではメッキ層13の第1方向の寸法であり、電子部品実装面10aに対して角度を有する面ではメッキ層13の第2方向の寸法である。なお、電子部品実装面10aや端子形成面10bに対して角度を有する面は、本実施形態では、電子部品実装面10aや端子形成面10bに対して直交する面である。すなわち、ここでいう角度とは90°のことである。但し。前記角度は、90°に限定されず、製造誤差などの公差が含まれる。本実施形態において、メッキ層13の厚さは、銅メッキ層の厚さが10μm、ニッケルメッキ層の厚さが3μmの、計13μmである。メッキ層13の線膨張係数は、銅メッキ層が16.8ppm/℃であり、ニッケルメッキ層が12.8ppm/℃である。
【0032】
第2モールド樹脂14は、フィラー(シリカ)を含むエポキシ樹脂である。第2モールド樹脂14は、第1モールド樹脂12よりも弾性率が高い。具体的には、第2モールド樹脂14の弾性率は、500Mpa以上である。第2モールド樹脂14が含むフィラーの含有率は、80wt%以上である。第2モールド樹脂14の厚さは、0.05mm〜0.1mmである。第2モールド樹脂14の厚さは、電子部品実装面10aと平行な面では第2モールド樹脂14の第1方向の寸法であり、電子部品実装面10aに対して角度を有する面では第2モールド樹脂14の第2方向の寸法である。第2モールド樹脂14の線膨張係数は、少なくとも第1モールド樹脂12の線膨張係数よりも小さく、基板10の線膨張係数以下であることが好ましい。本実施形態において、第2モールド樹脂14の線膨張係数は、5〜15ppm/℃である。次に、回路モジュール1の製造方法を説明する。
【0033】
図2は、実施形態1の回路モジュール製造方法の工程を示すフローチャートである。図3は、回路モジュール製造システムが有する機能を示すブロック図である。図4は、基板に電子回路が形成された製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。図5は、第1モールド樹脂が設けられた製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。図2に示す各工程は、図3に示す回路モジュール製造システム20によって実行される。
【0034】
回路モジュール製造システム20は、回路形成部21と、封止部22と、切削部23と、メッキ層形成部24との機能を有する。回路形成部21は、図1に示す基板10に電子部品群11を搭載する。封止部22は、第1モールド樹脂12及び第2モールド樹脂14で対象とする部分を封止する。切削部23は、対象とする部分の一部を切除したり対象とする部材を切断したりする。メッキ層形成部24は、対象とする部分にメッキ層13を形成する。なお、回路モジュール製造システム20は、それぞれ異なる機能を実現する複数の装置を含んで構成されることにより、回路形成部21及び封止部22及び切削部23及びメッキ層形成部24の機能を実現してもよい。また、回路モジュール製造システム20は、前記機能をすべて実現してもよい。
【0035】
図3に示す回路モジュール製造システム20は、まず、図1に示す回路モジュール1を複数含む分割前回路モジュール集合体1Aを製造し、分割前回路モジュール集合体1Aを切断することでそれぞれの回路モジュール1を製造する。図2に示すステップST101で、図3に示す回路形成部21は、図4に示すように基板10の電子部品実装面10aに1つ以上の電子部品を搭載して電子部品群11を設ける。なお、本実施形態では、回路形成部21が、電子部品実装面10aに複数の電子部品群11を搭載する例を説明する。次に、ステップST102(第1工程)に進み、図3に示す封止部22は、図5に示すように1つ以上の電子部品群11を覆うように第1モールド樹脂12で電子部品群11を封止する。
【0036】
図6は、一回目の切削加工が施された製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。図2に示すステップST103(第2工程)で、図3に示す切削部23は、図6に示すように、製造途中の分割前回路モジュール集合体1Aに一回目の切削加工を施す。具体的には、切削部23は、電子部品実装面10a側から端子形成面10b側に向かって第1モールド樹脂12をダイシングブレードで切断すると共に、基板10の厚さ方向の途中まで電子部品実装面10aから端子形成面10bに向かって基板10の一部をダイシングブレードで切除する。今回、一回目の切削加工で用いられるダイシングブレードの厚さは、例えば、0.4mmである。なお、切削部23は、少なくとも第1モールド樹脂12を切断すればよく、必ずしも基板10の一部を切除する必要はない。但し、第1モールド樹脂12のみを切削する場合、切削部23は、より高い加工精度が要求される。よって、切削部23に要求される加工精度を低減できるように、本実施形態では、切削部23は、ステップST103で第1モールド樹脂12と基板10との両方を切削するものとする。
【0037】
この一回目の切削加工において、切削部23は、基板10の深さD1まで基板10の一部を切削する。切削部23が切削加工を施す部分は、第2方向において隣接する2つの電子部品群11の間の部分15a、及び、第2方向の両端に配置された2つの電子部品群11aの両側のうち、隣接する電子部品群11がない側の部分15bである。これにより、切削部23は、各電子部品群11の第2方向での両脇に切削加工を施すことになる。なお、11aは、第2方向での両脇の電子部品群を他の電子部品群と区別するための符号である。電子部品群11aは、他の電子部品群11と実質的には同一である。
【0038】
図7は、製造途中でメッキ処理が施された分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。上述したステップST103が終了したらステップST104(第3工程)に進み、図3に示すメッキ層形成部24は、図7に示すように製造途中の分割前回路モジュール集合体1Aにメッキ層13を形成する。メッキ層13は、第1モールド樹脂12を覆う。また、メッキ層13は、基板10に一部が接触する。具体的には、メッキ層13は、第1モールド樹脂12の上面12aと、第1モールド樹脂12の側面12bと、基板10の一回目切削底面10c及び一回目切削側面10dとに形成される。第1モールド樹脂12の上面12aは、第1モールド樹脂12が有する複数の面のうち電子部品実装面10aと平行な面である。第1モールド樹脂12の側面12bは、第1モールド樹脂12が有する複数の面のうち電子部品実装面10aに対して角度を有する面である。基板10の一回目切削底面10c及び一回目切削側面10dは、基板10が有する複数の面のうち、ステップST103での一回目の切削加工で新たに露出した面である。一回目切削底面10cは、電子部品実装面10aと平行な面である。一回目切削側面10dは、電子部品実装面10aに対して角度を有する面である。メッキ層13のうち、一回目切削底面10c及び一回目切削側面10dに接触している部分を基板接触部13aという。
【0039】
図8は、第2モールド樹脂によって被覆された分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。図9は、二回目の切削加工が施された分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。上述したステップST104が終了したら、ステップST105(第4工程)に進み、図3に示す封止部22は、図8に示すように、メッキ層13を覆うように第2モールド樹脂14を設ける。これにより、分割前回路モジュール集合体1Aが完成する。次に、ステップST106(第5工程)へ進み、図3に示す切削部23は、図9に示すように分割前回路モジュール集合体1Aに二回目の切削加工を施す。
【0040】
二回目の切削加工で、切削部23は、端子形成面10bに対して電子部品実装面10a側から端子形成面10b側に向かって、端子形成面10bに至るまで第2モールド樹脂14及び基板10を切断する。また、本実施形態では、切削部23は、電子部品実装面10a側から端子形成面10b側に向かって、メッキ層13も切断する。第2モールド樹脂14の面のうち、二回目の切削加工で露出した面をモールド樹脂切削側面14aとする。また、基板10の面のうち、二回目の切削加工で露出した面を二回目切削側面10eとする。
【0041】
切削部23が二回目の切削加工を施す部位は、図8に示す部位16a及び部位16bである。部位16aは、メッキ層13が谷状となる部分である。より詳しくは、部位16aは、第2方向で隣接し合う電子部品群11の間であって、メッキ層13のうち電子部品実装面10aに対して角度を有する2つの面の間である。部位16bは、分割前回路モジュール集合体1Aの第2方向の両端部側の部分である。より詳しくは、部位16bは、この部分に形成されるメッキ層13のうち、電子部品実装面10aに対して角度を有する面に対して、第2方向のうち電子部品群11から離れる方向で隣接する部分である。本実施形態では、切削部23は、基板10の一回目切削底面10cの第2方向での中央に切削加工を施す。二回目の切削加工で用いられる切削工具であるダイシングブレードの厚さは、ステップST103の一回目の切削加工で用いられたダイシングブレードの厚さよりも小さい。これにより、切削部23が二回目の切削加工を施す第2方向での範囲は、ステップST103で一回目の切削加工を施した第2方向での範囲よりも狭くなる。したがって、一回目切削側面10dと二回目切削側面10eとは、第2方向において離れた位置に形成される。
【0042】
上述した工程により、回路モジュール製造システム20は、図1に示す回路モジュール1を製造する。本実施形態の製造方法で製造された回路モジュール1は、図1に示すように、メッキ層13が第2モールド樹脂14によって覆われている。このため、回路モジュール1は、メッキ層13の総面積のうち、露出される面積が低減されるので、メッキ層13の総面積のうち酸素に触れる部分の面積が低減される。その結果、回路モジュール1は、メッキ層13の酸化を抑制できる。また、回路モジュール1は、メッキ層13の総面積のうち、外部から力が働くおそれがある面積を低減できる。これにより、回路モジュール1は、メッキ層13の酸化や剥離を抑制し、結果としてメッキ層13の耐久性の低下を低減できる。
【0043】
特に、本実施形態のメッキ層13は、電子部品実装面10aから端子形成面10bに向かって窪む段差部と第2モールド樹脂14との間で、基板接触部13aが第1方向で挟み込まれている。前記段差部は、一回目切削側面10dと一回目切削底面10cとで形成される部分である。これにより、回路モジュール1は、メッキ層13が露出する場合よりも、第2モールド樹脂14と一回目切削底面10cとの間でメッキ層13が挟み込まれる方が、メッキ層13が基板10からより剥離しにくくなる。その結果、回路モジュール1は、メッキ層13の耐久性の低下をより好適に低減できる。
【0044】
また、図8に示すように、回路モジュール1は、二回目の切削加工が施される部分である部位16a及び部位16bに第2モールド樹脂14が設けられる。そして、図9に示すように、回路モジュール1は、基板10と共に部位16a及び部位16bに設けられる第2モールド樹脂14もダイシングブレードで切断される。これにより、回路モジュール1は、図1に示すように、二回目切削側面10eの第2方向の位置と、モールド樹脂切削側面14aの第2方向の位置とが同一になる。その結果、回路モジュール1は、モールド樹脂切削側面14aと二回目切削側面10eとが同一面となるので、回路モジュール1は、モールド樹脂切削側面14aと二回目切削側面10eとの境界に段差部が形成されない。
【0045】
これに対して、例えば、回路モジュールの側面に段差部が形成される場合、この段差に起因して回路モジュールの外観の美観が低下する。回路モジュールを取り扱う際に、回路モジュールに形成される段差部に外部からの力が電子部品モジュールの内部に集中する場合も考えられる。これにより、このような回路モジュールは、耐久性が低下するおそれも考えられる。
【0046】
しかしながら、回路モジュール1は、その側面1sが平面になる。側面1sは、回路モジュール1全体の外形を形成する面のうち、電子部品実装面10aに対して角度を有する面である。回路モジュール1は、4つの側面1sを有する。なお、図1には、4つの側面1sのうちの2つを示す。側面1sが平面になることにより、回路モジュール1は、回路モジュール1の外観の美観が損なわれないまた、回路モジュール1は、側面1sに段差部が形成されないため、側面1sに応力が集中しやすい部分が少ない。これにより、回路モジュール1は、回路モジュール1が取り扱われる際において、外部からの力が電子部品モジュールの内部に集中するおそれが低減されるので、耐久性の低下が抑制される。
【0047】
また、回路モジュール1は、回路モジュール1の湾曲を低減できる。次にその理由を説明する。上述したように、第1モールド樹脂12の線膨張係数と、基板10の線膨張係数とは異なる。したがって、第2モールド樹脂14が設けられない回路モジュールでは、この線膨張係数の違いに起因して回路モジュールが湾曲するおそれがある。しかしながら、回路モジュール1は、第1モールド樹脂12の線膨張係数よりも線膨張係数が小さい材料である第2モールド樹脂14が、メッキ層13よりも外側(電子部品群11とは反対側)に設けられる。第2モールド樹脂14は、第1モールド樹脂12よりも湾曲しにくいため、基板10と第1モールド樹脂12との線膨張係数の差に起因する回路モジュール1の湾曲を抑制する。その結果、回路モジュール1は、自身(回路モジュール1)が湾曲するおそれを低減できる。
【0048】
さらに、第2モールド樹脂14の線膨張係数の値は、基板10の線膨張係数以下である。すなわち、第2モールド樹脂14は、回路モジュール1が備える複数の部材の中で最も線膨張係数が小さい部材である。このような第2モールド樹脂14を備えることにより、回路モジュール1は、基板10の線膨張係数と、基板10に設けられるモールド樹脂(第1モールド樹脂12及び第2モールド樹脂14)全体での線膨張係数との差をより好適に低減できる。これによって、回路モジュール1は、自身が湾曲するおそれをより好適に低減できる。
【0049】
なお、回路モジュールの湾曲を低減するための方法、または、回路モジュールの側面に段差部を形成しないための方法として、第2モールド樹脂14を設けずに、メッキ層を従来よりも厚くするという方法も考えられる。しかしながら、近年の回路モジュールは軽量化が求められているのに対して、この場合の回路モジュールは金属の量が増加するため軽量化が図れない。これに対し、回路モジュール1は、金属よりも質量が小さい第2モールド樹脂14を備えるので、回路モジュール1は、自身を軽量化できる。
【0050】
さらに、本実施形態の回路モジュール1は、メッキ層13の酸化が第2モールド樹脂14によって抑制される分、メッキ層13を構成するニッケル層を低減、または省略することもできる。これによって、回路モジュール1は、自身をより軽量化できる。また、第2モールド樹脂14は、金属であるメッキ層13よりも切削加工をしやすい材料である。このため、本実施形態に係る回路モジュール製造方法を用いて回路モジュール1を製造すれば、より切削加工しやすくなる。また、第2モールド樹脂14は、第1モールド樹脂12よりもフィラー(シリカ)の含有率が高い。ここで、フィラーの含有率が80wt%以上のエポキシ樹脂は、難燃性の材料である。したがって、第2モールド樹脂14が最も外側に配置されることにより、回路モジュール1は、より難燃性が向上する。
【0051】
本実施形態に係る回路モジュール製造方法は、分割前回路モジュール集合体1Aを切断するよりも前に、第2モールド樹脂14を設ける点にも特徴がある。例えば、分割前回路モジュール集合体1Aを切断した後に、個々の製造途中の回路モジュールを第2モールド樹脂14で覆う場合、回路モジュール1は、図1に示す端子形成面10bも第2モールド樹脂14で覆われることがある。しかしながら、本実施形態に係る回路モジュール製造方法を用いれば、製造途中の個々の回路モジュールをそれぞれ第2モールド樹脂14で覆う場合よりも、第2モールド樹脂14を設ける際に第2モールド樹脂14が端子形成面10bに回り込むおそれが少ない。これによって、本実施形態に係る回路モジュール製造方法は、端子形成面10bが第2モールド樹脂14で覆われるおそれを低減できる。
【0052】
(実施形態2)
図10は、実施形態2の回路モジュールを基板に直交する平面で切って示す断面図である。図11は、実施形態2の回路モジュール製造方法の工程を示すフローチャートである。図12は、二回目の切削加工が施された製造途中の分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。図10に示す回路モジュール2は、図3に示す回路モジュール製造システム20が図11に示す一連の工程を実行することで製造される。図10に示す回路モジュール2が備える各部材の材料は、図1に示す回路モジュール1が備える各部材の材料と同様である。
【0053】
本実施形態に係る回路モジュール製造方法のステップST201〜ステップST204工程は、実施形態1に係る回路モジュール製造方法のST101〜ステップST104の各工程と同様なので、説明を省略する。本実施形態に係る回路モジュール製造方法によって回路モジュールの製造を開始して、ステップST204まで終了したら、ステップST205(第6工程)へ進む。
【0054】
ステップST205で、図3に示す切削部23は、図12に示すように分割前回路モジュール集合体2Aに二回目の切削加工を施す。二回目の切削加工で、切削部23は、電子部品実装面10a側から端子形成面10b側へ向かって、メッキ層13を切断すると共に、基板10の深さD2まで基板10の一部を切除する。深さD2は、図6に示す深さD1よりも大きい。なお、切削部23は、少なくともメッキ層13を切断すればよく、必ずしも基板10の一部を切除する必要はない。ただし、メッキ層13のみを切削する場合、切削部23は、求められる加工精度が向上する。よって、本実施形態では、切削部23は、ステップST205でメッキ層13と基板10との両方を切削するものとする。
【0055】
切削部23が二回目の切削加工を施す部位は、部位16a及び部位16bである。次においては、基板10の面のうち、二回目の切削加工で露出した面を二回目切削底面10f及び二回目切削側面10gとする。本実施形態では、切削部23は、基板10の一回目切削底面10cの第2方向での中央に切削加工を施す。二回目の切削加工で用いられる切削工具であるダイシングブレードの厚さは、ステップST203の一回目の切削加工で用いられたダイシングブレードの厚さよりも小さい。これにより、切削部23が二回目の切削加工を施す第2方向での範囲は、ステップST203で一回目の切削加工を施した第2方向での範囲よりも狭くなる。したがって、一回目切削側面10dと二回目切削側面10gとは、第2方向で離れた位置に形成される。
【0056】
図13は、第2モールド樹脂が設けられた分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。図14は、三回目の切削加工が施された分割前回路モジュール集合体を示す断面図である。ステップST206が終了したら、図11に示すステップST206(第4工程)へ進む。ステップST206で、図3に示す封止部22は、図13に示すようにステップST205で複数に分割されたメッキ層13全体を覆うように第2モールド樹脂14を設ける。これにより、分割前回路モジュール集合体2Aが完成する。次に、図2に示すステップST207(第5工程)に進み、図3に示す切削部23は、図14に示すように分割前回路モジュール集合体2Aに三回目の切削加工を施す。
【0057】
三回目の切削加工で、切削部23は、電子部品実装面10a側から端子形成面10b側に向かって、端子形成面10bに至るまで第2モールド樹脂14及び基板10を切断する。本実施形態では、切削部23は、メッキ層13は切断しない。三回目の切削加工で切削部23が切削加工を施す部位は、図13に示す部位17a及び部位17bである。部位17aは、図13に示すように、第2方向で隣接し合う電子部品群11の間に形成される2つの二回目切削側面10gの間である。部位17bは、電子部品群11aの両脇のうち隣接する電子部品群11がない方の脇に形成される2つの二回目切削側面10gの間である。
【0058】
第2モールド樹脂14の面のうち、三回目の切削加工で露出した面をモールド樹脂切削側面14bとする。また、基板10の面のうち、三回目の切削加工で露出した面を三回目切削側面10hとする。本実施形態では、切削部23は、基板10の二回目切削底面10fの第2方向での中央に切削加工を施す。三回目の切削加工で用いられる切削工具としてのダイシングブレードの厚さは、ステップST205の二回目の切削加工で用いられたダイシングブレードの厚さよりも小さい。これにより、切削部23が三回目の切削加工を施す第2方向での範囲は、ステップST205で二回目の切削加工を施した第2方向での範囲よりも狭くなる。よって、二回目切削側面10gと三回目切削側面10hとは、第2方向で離れた位置に形成される。
【0059】
上述した工程により、回路モジュール製造システム20は、図10に示す回路モジュール2を製造する。本実施形態の製造方法で製造された回路モジュール2は、図13に示すように、第2方向で対向し合うメッキ層13の間に第2モールド樹脂14が充填され、また、第2方向の両端に配置される電子部品群11aの両脇に第2モールド樹脂14が設けられる。そして、回路モジュール2は、図14に示すように基板10と共に第2モールド樹脂14も同時にダイシングブレードで切断される。これにより、回路モジュール2は、図10に示すように、三回目切削側面10hの第2方向の位置と、モールド樹脂切削側面14bの第2方向の位置とが同一になる。その結果、回路モジュール2は、モールド樹脂切削側面14bと三回目切削側面10hとが同一平面に存在することになるので、モールド樹脂切削側面14bと三回目切削側面10hとの境界には段差部が形成されない。
【0060】
これにより、回路モジュール2は、回路モジュール2の外観の美観低下を抑制できる。また、また、回路モジュール2は、側面1sに段差部が形成されないため、側面1sに応力が集中しやすい部分が少ない。これにより、回路モジュール2は、回路モジュール2が取り扱われる際において、外部からの力が電子部品モジュールの内部に集中するおそれが低減されるので、耐久性の低下が抑制される。
【0061】
また、本実施形態に係る回路モジュール製造方法で製造された回路モジュール2は、上述した回路モジュール1と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る回路モジュール製造方法は、実施形態1に係る回路モジュール製造方法と同様の効果を奏する。また、これらの効果を奏する理由も、実施形態1で説明した理由と同様である。以下、回路モジュール2が奏する効果のうち、回路モジュール1が奏する効果とは異なる効果を説明する。
【0062】
回路モジュール2は、図1に示す実施形態1の回路モジュール1よりも、メッキ層13の耐久性の低下をより好適に抑制できる。以下にその理由を説明する。図1に示す回路モジュール1は、回路モジュール1の側面1sにメッキ層13の端部13bが一部露出する。このメッキ層13の端部13bは、第2モールド樹脂14のモールド樹脂切削側面14a及び基板10の二回目切削側面10eと第2方向で同一の位置にある。すなわち、このメッキ層13の端部13bは、第2モールド樹脂14のモールド樹脂切削側面14a及び基板10の二回目切削側面10eから突出しない。よって、回路モジュール1でも、メッキ層13の耐久性は十分に確保できる。
【0063】
一方、図10に示す回路モジュール2は、メッキ層13が第2モールド樹脂14によって完全に覆われている。具体的には、本実施形態の基板10は、第1段差部と第2段差部とを有する。第1段差部は、電子部品実装面10aから端子形成面10bに向かって窪む段差部であって、一回目切削底面10cと一回目切削側面10dとで形成される部分である。第2段差部は、電子部品群11から離れる第2方向で第1段差部と隣接して設けられ、電子部品実装面10aから端子形成面10bに向かって第1段差部よりもさらに窪む部分を有する段差部である。第2段差部は、二回目切削側面10gと二回目切削底面10fとで形成される。メッキ層13の基板接触部13aであってメッキ層13の端部13bは、この第1段差部と第2モールド樹脂14とで挟み込まれる。そして、第2モールド樹脂14は、第2段差部に設けられる。
【0064】
これにより、回路モジュール2は、メッキ層13の端部13bが、第2段差部に設けられる第2モールド樹脂14によって覆われる。すなわち、回路モジュール2は、メッキ層13の端部13bが露出しない。これにより、回路モジュール2は、メッキ層13の総面積のうち酸素に接触する部分の面積を理論上0にできる。また、回路モジュール2は、例えば水のような液体が内部へ侵入しようとする隙間を低減できる。また、回路モジュール2は、メッキ層13に直接働く外部の力を理論上0にできる。よって、回路モジュール2は、メッキ層13の端部13bが露出する場合よりも、メッキ層13の剥離や酸化をより好適に抑制できる。結果として、回路モジュール2は、メッキ層13の耐久性の低下をより好適に低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明に係る回路モジュール及び回路モジュール製造方法は、電子部品を封止する技術に有用であり、特に、シールド部材の耐久性の低下を抑制することに適している。
【符号の説明】
【0066】
1、2 回路モジュール
1A、2A 分割前回路モジュール集合体
1s 側面
10 基板
10a 電子部品実装面
10b 端子形成面
10c 一回目切削底面
10d 一回目切削側面
10e 二回目切削側面
10f 二回目切削底面
10g 二回目切削側面
10h 三回目切削側面
11、11a 電子部品群
12 第1モールド樹脂
12a 上面
12b 側面
13 メッキ層
13a 基板接触部
13b 端部
14 第2モールド樹脂
14a モールド樹脂切削側面
14b モールド樹脂切削側面
15a〜17b 部位
20 回路モジュール製造システム
21 回路形成部
22 封止部
23 切削部
24 メッキ層形成部
D1、D2 深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品実装面を有する基板と、
前記電子部品実装面に搭載される電子部品と、
前記電子部品を覆う第1封止部材と、
当該第1封止部材を覆うと共に前記基板に一部が接触するシールド部材と、
当該シールド部材のうち前記基板に接触する部分を前記基板との間で挟み込み、かつ、前記シールド部材の少なくとも一部を覆う第2封止部材と、
を備えることを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
前記基板は、
前記電子部品実装面とは反対側の端子形成面と、
前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって窪む部分を有する段差部と、を備え、
前記シールド部材のうち前記基板に接触する部分は、前記段差部と前記第2封止部材とに挟み込まれる請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
前記第2封止部材は、前記シールド部材の全体を覆う請求項1または請求項2に記載の回路モジュール。
【請求項4】
前記基板は、
前記電子部品実装面とは反対側の端子形成面と、
前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって窪む部分を有する第1段差部と、
前記第1段差部と隣接する部分であって、前記第1段差部を境に前記電子部品とは反対側の部分に設けられ、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記第1段差部よりもさらに前記端子形成面側へ窪む部分を有する第2段差部と、を備え、
前記シールド部材の端部は、前記第1段差部に接触すると共に当該前記第1段差部と前記第2封止部材とに挟み込まれて設けられ、
前記第2封止部材は、前記第2段差部に接触する請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項5】
前記回路モジュール全体の外形を形成する面であって、前記電子部品実装面に対して角度を有する回路モジュール側面は、平面である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項6】
前記第2封止部材の線膨張係数は、前記第1封止部材の線膨張係数よりも小さい請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項7】
前記第2封止部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項8】
電子部品実装面と、当該電子部品実装面とは反対側の端子形成面との2つの面を有する基板の前記電子部品実装面に形成される電子部品を第1封止部材で覆う第1工程と、
前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって、少なくとも前記第1封止部材を切断する第2工程と、
前記第1封止部材をシールド部材で覆い、かつ前記シールド部材の一部を前記基板に接触させる第3工程と、
第2封止部材で前記シールド部材の少なくとも一部を覆うと共に、前記シールド部材のうち前記基板に接触する部分を前記基板との間で挟み込む第4工程と、
前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって、少なくとも前記第2封止部材及び前記基板を切断する第5工程と、
を備えることを特徴とする回路モジュール製造方法。
【請求項9】
前記第2工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって前記第1封止部材を切断すると共に、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記基板の一部を切除し、
前記第5工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって前記第2封止部材と、前記基板と、前記シールド部材とを切断する請求項8に記載の回路モジュール製造方法。
【請求項10】
前記第3工程と前記第4工程との間に、前記シールド部材の部分のうち前記基板に接触する部分を、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって切断する第6工程を備える請求項8に記載の回路モジュール製造方法。
【請求項11】
前記第2工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって前記第1封止部材を切断すると共に、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記基板の一部を切除し、
前記第6工程では、前記シールド部材の部分のうち前記基板に接触する部分を、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって切断すると共に、前記電子部品実装面から前記端子形成面に向かって前記基板の一部も切除し、
前記第5工程では、前記電子部品実装面側から前記端子形成面側へ向かって、前記第2封止部材及び前記基板を切断する請求項10に記載の回路モジュール製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−138963(P2011−138963A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298606(P2009−298606)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】