説明

回路基板

【課題】 内部配線パターンを電源/グランド層によりシールドすることにより特性インピーダンスやクロストークノイズの影響を改善でき、また厚さを薄く形成できる回路基板を提供する。
【解決手段】 コア基板1の両面に内部配線パターン2が形成されており、該内部配線パターン2の上に絶縁樹脂層3を介して電源/グランド層5が各々形成されてなる回路基板4であって、表層の絶縁樹脂層3がドライエッチングにより除去されて形成された凹部6に露出する内部配線パターン2に電子部品7が表面実装可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部配線パターンと電源/グランド層が絶縁樹脂層を介して積層された回路基板であって、該内部配線パターンが電源/グランド層に挟まれた構造をなす回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、高速化高集積化したLSI等の電子部品を表面実装する従来のマザーボードなどの回路基板55を示す。この回路基板55は、内層側にコア基板51として絶縁樹脂層52の両面に銅箔等の金属層を積層したものを用い、この両面金属層をパターンニングして形成された電源/グランド層53を有する。
【0003】このコア基板51の両側にプリプレグ54を介して絶縁樹脂層に銅箔等の金属層が積層された積層基板(樹脂付き銅箔等)がラミネートされる。この積層体にドリルにより穴開けを行って図示しないスルーホールを形成し、さらにスルーホール内に無電解銅めっき更には電解銅めっきを施してスルーホールめっきを行って内層側の電源/グランド層53と表層の金属層との電気的導通を取られる。そして、表層の金属層をパターンニングして信号層56が形成されていた。回路基板55の表層の信号層56を端子部を除いてソルダレジスト(図示せず)により覆って平坦化した後で、該露出する端子部にLSI等の電子部品57がフリップチップ接続されて表面実装されるようになっている。
【0004】このようにして形成された回路基板55の信号層56の特性インピーダンスを改善したり、クロストークノイズの影響を改善したりするためには、該回路基板55の表層に形成されたソルダレジスト層に銅などの金属ペーストを印刷してシールド効果をもたせていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3に示す従来の回路基板55においては、特性インピーダンスの変動が大きくなり、しかもクロストークノイズの影響を受け易く、この対策としてソルダーレジストの上に金属ペーストを印刷するとすれば、製造コストが高くなるという課題があった。また、回路基板55の表層上に電子部品57が搭載されるので、基板全体の厚みも大きくなるという課題も有していた。
【0006】そこで、本発明の目的とするところは、内部配線パターンを電源/グランド層によりシールドすることにより特性インピーダンスやクロストークノイズの影響を改善でき、また厚さを薄く形成できる回路基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。即ち、コア基板の両面に内部配線パターンが形成されており、該内部配線パターンの上に絶縁樹脂層を介して電源/グランド層が各々形成されてなる回路基板であって、表層の絶縁樹脂層がドライエッチングにより除去されて形成された凹部に露出する内部配線パターンに電子部品が表面実装可能になっていること特徴とする。特に、回路基板は、フロンガスと酸素が混入された雰囲気中でプラズマエッチングにより表層の絶縁樹脂層を除去されて形成された凹部に内部配線パターンが露出して形成されているのが好ましい。
【0008】このように、回路基板は、コア基板の両面に内部配線パターンが形成され、該内部配線パターンの上に絶縁樹脂層を介して電源/グランド層各々が形成されているので、内部配線パターンが電源/グランド層によりシールドされ、特性インピーダンスやクロストークノイズの影響を改善することができる。また、回路基板の表層の絶縁樹脂層をドライエッチングにより除去されて形成された凹部に露出する内部配線パターンに電子部品が表面実装可能であるので、電子部品の実装容積を低減することができ、基板全体としての厚みを減少することができる。また、プラズマエッチングにより任意の位置でしかも内部配線パターンに何ら影響を与えることなく表層の絶縁樹脂層が除去されて露出させることができるので、該絶縁樹脂層を薄く形成でき基板全体の厚みを減ずるのに寄与できると共に、電子部品を回路基板上の任意の位置に搭載することができるので、設計上の自由度が広がる。
【0009】
【発明の実施の態様】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は回路基板の配線構造を示す断面説明図、図2はビルドアップ方式により形成された他の回路基板の製造工程を示す説明図である。先ず、第1の実施例に係る回路基板の構成について図1を参照して説明する。1はコア基板であり、ガラスエポキシ樹脂基板等の絶縁樹脂基板の両面に金属薄膜層、例えば厚さが18μm程度の銅箔が積層されたものが用いられる。このコア基板1の両面に形成された金属層をエッチングしてパターンニングを行い、内部配線パターン2が形成される。
【0010】このコア基板1の両面に形成された内部配線パターン2上には、絶縁樹脂層3、例えばエポキシ樹脂、BTレジン、ポリイミドなどが印刷された後、金属薄膜層、例えば厚さが18μm程度の銅箔がラミネートされる。或いは絶縁樹脂層3に金属薄膜層が積層された積層基板が接着されて積層体が形成される。或いは絶縁樹脂層付きの金属薄膜をコア基板1の両面に接着して積層体を形成しても良い。この積層体にドリルにより穴開けを行って図示しないスルーホールを形成し、さらにスルーホール内に無電解銅めっき更には電解銅めっきを施してスルーホールめっき皮膜を形成し、内層側の内部配線パターン2の所要部位と表層側の金属薄膜層との電気的導通をとる。或いは、積層体に予めレーザー加工を施してビア穴を形成して、該ビア穴壁面に無電解銅めっきや電解銅めっきを施したり、又ははビア穴内に導電ペーストを埋めたりして内層側の内部配線パターン2の所要部位と表層側の金属薄膜層との電気的導通をとるようにしても良い。
【0011】次に積層体の表層の金属薄膜層のパターンニングを行い、電源/グランド層5を各々形成する。その後、電子部品7を搭載する部位の電源/グランド層5の部位も除去して絶縁樹脂層3を露出させておく。そして、他の部位をマスクで覆って表層に露出した絶縁樹脂層3をドライエッチングにより除去して凹部6を形成し、内部配線パターン2の一部を露出させる。具体的には、積層体をフロンガスと酸素が混入された雰囲気中にさらしてプラズマエッチングすることにより表層の絶縁樹脂層3を除去する。このようにして、回路基板4が形成される。そして、凹部6に露出する内層側のコア基板1に形成された内部配線パターン2にLSI等の電子部品7がフリップチップ接続により表面実装される。
【0012】上記構成によれば、回路基板4は、コア基板1の両面に内部配線パターン2が形成され、該内部配線パターン2の上に絶縁樹脂層3を介して電源/グランド層5各々が形成されているので、内部配線パターン2が電源/グランド層5によりシールドされ、特性インピーダンスやクロストークノイズの影響を改善することができる。また、回路基板4の表層の絶縁樹脂層3をドライエッチングにより除去されて形成された凹部6に露出する内部配線パターン2に電子部品7が表面実装可能であるので、電子部品7の実装容積を低減することができ、基板全体としての厚みを減少することができる。また、プラズマエッチングにより任意の位置でしかも内部配線パターン2に何ら影響を与えることなく表層の絶縁樹脂層3が除去されて露出させることができるので、該絶縁樹脂層3を薄く形成でき基板全体の厚みを減ずるのに寄与できると共に、電子部品7を回路基板4上の任意の位置に搭載することができるので、設計上の自由度が広がる。
【0013】次に、第2の実施例に係る回路基板の構成について図2を参照して説明する。図2(a)〜(d)はビルドアップ方式により形成される回路基板8の製造工程を示すものである。尚、第1の実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
【0014】先ず、図2(a)において、コア基板1の両面に形成された内部配線パターン2上には、感光性樹脂が各々塗布或いは印刷されている。この感光性樹脂層(絶縁性樹脂層)9上には銅箔などの金属薄膜層10が各々ラミネートされて積層体11が形成される。
【0015】次に、図2(b)において、この積層体11にレーザー加工を施してビア穴12を形成し、該ビア穴12に内部配線パターン2の一部を露出させる。次いで図2(c)において、このビア穴壁面に無電解銅めっきや電解銅めっきを施したり、或いはビア穴12内に導電ペーストを埋めたりして内層側の内部配線パターン2の所要部位と表層側の金属薄膜層10との電気的導通をとる。そして、積層体11の表層の金属薄膜層10のパターンニングを行い、電源/グランド層5を各々形成する。その後、電子部品を搭載する部位の電源/グランド層5の部位も除去して感光性樹脂層9を露出させておく。
【0016】次に、図2(d)において、他の部位をマスクで覆って表層に露出した感光性樹脂層9をドライエッチングにより除去して凹部6を形成し、内部配線パターン2の一部を露出させる。具体的には、積層体11をフロンガスと酸素が混入された雰囲気中にさらしてプラズマエッチングすることにより表層の感光性樹脂層9を除去する。このようにして、ビルドアップ方式により回路基板8を形成することも可能である。そして、凹部6に露出する内層側のコア基板1に形成された内部配線パターン2にLSI等の電子部品がフリップチップ接続により表面実装される。尚、本実施例では回路基板8を4層構造に形成したが、更に多層に形成しても良いことはいうまでもない。
【0017】以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内でさらに多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、回路基板は、コア基板の両面に内部配線パターンが形成され、該内部配線パターンの上に絶縁樹脂層を介して電源/グランド層各々が形成されているので、内部配線パターンが電源/グランド層によりシールドされ、特性インピーダンスやクロストークノイズの影響を改善することができる。また、回路基板の表層の絶縁樹脂層をドライエッチングにより除去されて形成された凹部に露出する内部配線パターンに電子部品が表面実装可能であるので、電子部品の実装容積を低減することができ、基板全体としての厚みを減少することができる。また、プラズマエッチングにより任意の位置でしかも内部配線パターンに何ら影響を与えることなく表層の絶縁樹脂層が除去されて露出させることができるので、該絶縁樹脂層を薄く形成でき基板全体の厚みを減ずるのに寄与できると共に、電子部品を回路基板上の任意の位置に搭載することができるので、設計上の自由度が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る回路基板の配線構造を示す断面説明図である。
【図2】ビルドアップ方式により形成された第2の実施例に係る回路基板の製造工程を示す説明図である。
【図3】従来の回路基板の配線構造を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 コア基板
2 内部配線パターン
3 有機系絶縁樹脂層
4,8 回路基板
5 電源/グランド層
6 凹部
7 電子部品
9 感光性樹脂層
10 金属薄膜層
11 積層体
12 ビア穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コア基板の両面に内部配線パターンが形成されており、該内部配線パターンの上に絶縁樹脂層を介して電源/グランド層が各々形成されてなる回路基板であって、前記表層の絶縁樹脂層がドライエッチングにより除去されて形成された凹部に露出する前記内部配線パターンに電子部品が表面実装可能になっていること特徴とする回路基板。
【請求項2】 前記回路基板は、フロンガスと酸素が混入された雰囲気中でプラズマエッチングにより前記表層の絶縁樹脂層を除去されて形成された前記凹部に前記内部配線パターンが露出して形成されていることを特徴とする請求項1記載の回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−58987(P2000−58987A)
【公開日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−223380
【出願日】平成10年8月6日(1998.8.6)
【出願人】(592214450)株式会社イースタン (17)
【Fターム(参考)】