説明

回路基板

【課題】ウィスカの発生を確実に抑制することができる回路基板を提供すること。
【解決手段】回路基板1は、可撓性を有する絶縁基材111と、この絶縁基材111上に形成された回路層112とを備える。絶縁基材111の端部と、この端部上に形成された回路層112と、この回路層112上に形成された金属層114とを含んで端子部1Aが構成されている。金属層114は、回路層112上に形成されたニッケルまたはニッケル合金を含んで構成される第一金属層114Aと、この第一金属層114A上に形成された錫または錫合金を含んで構成される第二金属層114Bとを備える。第一金属層114Aは、粒径が0.5μm以上5μm以下の無光沢めっき層であり、第二金属層114Bは粒径が0.1μm以下の光沢めっき層である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器のメインボード等には、回路基板、たとえば、リジッドフレックス回路基板が使用されている。具体的には、回路基板に端子部を設けるとともに、メインボードにコネクタを設ける。回路基板の端子部をメインボードに接続されたコネクタに挿入することで、回路基板とメインボードとが接続されることとなる。
ここで、回路基板の素地表面上にニッケルめっきを施した後、このニッケルの下地メッキ皮膜の上に錫−銅合金めっきを施す方法が知られている(特許文献1参照)
この方法によれば、ニッケルめっき上に錫―銅合金めっきを施すことで、ウィスカの発生を有効に防止できるとされている。
【0003】
【特許文献1】特開2002-302790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、特許文献1に記載の技術を採用し、回路基板の端子部に、ニッケルめっき、錫−銅合金めっきを施した場合であっても、コネクタに回路基板の端子部を嵌合させた際に、ウィスカが発生し、ウィスカの発生を抑制することが困難であることがわかった。
【0005】
本発明の目的は、ウィスカの発生を確実に抑制することができる回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、絶縁基材と、この絶縁基材上に形成された回路層とを備える回路基板であって、前記絶縁基材の端部と、この端部上に形成された前記回路層と、この回路層上に形成された金属層とを含んで端子部が構成され、前記金属層は、前記回路層上に形成され、ニッケルまたはニッケル合金を含む第一金属層と、この第一金属層上に形成された錫または錫合金を含む第二金属層とを備える回路基板が提供される。
【0007】
前記第二金属層は、金属粒子の平均粒径が第一金属層の金属粒子の平均粒径よりも小さい金属で構成される光沢めっき層であることが好ましい。
さらに、前記第一金属層は、金属粒子の平均粒径が0.5μm以上、5μm以下の無光沢めっき層であることが好ましい。第二金属層は、金属粒子の平均粒径が0.1μm以下の光沢めっき層であることが好ましい。
【0008】
これにより、端子部の金属層を、内部応力の低い無光沢めっき層である第一金属層と、比較的内部応力が高くなりやすい光沢めっき層である第二金属層とを備える構成となるので、端子部の金属層の内部応力を低く抑えることができ、ウィスカの発生を抑制することができる。
【0009】
また、第二金属層を、光沢めっき層に比べて、金属粒子の平均粒径が大きな無光沢めっき層とした場合には、被膜硬度が低くなるため、コネクタに接続した際にコネクタからの力によりウィスカが発生してしまう。
これに対し、本発明では、第二金属層を金属粒子の平均粒径が比較的小さい光沢めっき層としており、この第二金属層は、無光沢めっき層よりも被膜硬度が高いため、コネクタからの力が加わっても、ウィスカが発生しにくい。これにより、ウィスカの発生を抑制することができる。
ここで、本発明において、光沢めっき層とは、いわゆる半光沢めっき層をも含む概念である。
【0010】
さらに、前記第一金属層の厚みは15μm以下であり、前記第二金属層の厚みは5μm以下であることが好ましい。
第一金属層の厚みを15μm以下とすることで、第一金属層中で発生する内部応力を低減させることができる。
さらに、第二金属層の厚みを5μm以下とすることで、第二金属層中で発生する内部応力を低減させることができる。これにより、端子部でのウィスカの発生をさらに確実に抑制することができる。
【0011】
また、前記回路層表面の表面粗さは0.3μm以上であることが好ましい。
回路層表面の表面粗さを0.3μm以上とし、回路層表面を粗化されたものとすることで、ニッケルまたはニッケル合金を含む第一金属層と、回路層との密着性を高めることができる。
これに加え、回路層表面の表面粗さを0.3μm以上とし、回路層表面を粗化されたものとすることで、第一金属層に発生する内部応力を回路層に逃がすことができる。
前記回路層表面の表面粗さには上限はないが、例えば10μm以下とすることができる。
【0012】
さらに、前記絶縁基材は、可撓性を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ウィスカの発生を確実に抑制することができる回路基板が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の回路基板1が示されている。
まず、はじめに、回路基板1の概要について説明する。
回路基板1は、絶縁基材111と、この絶縁基材111上に形成された回路層112とを備える。
絶縁基材111の端部と、この端部上に形成された回路層112と、この回路層112上に形成された金属層114とを含んで端子部1Aが構成されている。
金属層114は、回路層112上に形成されたニッケルまたはニッケル合金を含んで構成される第一金属層114Aと、この第一金属層114A上に形成された錫または錫合金を含んで構成される第二金属層114Bとを備える。
第一金属層114Aは、金属粒子の平均粒径が0.5μm以上、5μm以下の無光沢めっき層であり、第二金属層114Bは粒径が0.1μm以下の光沢めっき層である。
【0015】
次に、回路基板1の構造について詳細に説明する。
回路基板1は、絶縁基材111と、この絶縁基材111上に設けられた回路層112と、表面被覆層113と、金属層114とを備える。
絶縁基材111は、樹脂フィルム基材から構成されている。ここで、樹脂フィルム基材としては、可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリイミド樹脂フィルム、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム等のポリイミド樹脂系樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等のポリアミド樹脂系フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等のポリエステル樹脂系フィルムが挙げられる。このうち、弾性率と耐熱性を向上させる観点から、特にポリイミド樹脂系フィルムが好ましく用いられる。
絶縁基材111の厚さは、特に限定されないが、5〜50μmが好ましく、特に12.5〜25μmが好ましい。厚さがこの範囲内であると、特に屈曲性に優れる。
【0016】
回路層112は、銅等の導体から構成されており、絶縁基材111の表面側にのみ設けられている。この回路層112のうち、絶縁基材111の端部に形成された部分は、前述した端子部1Aを構成する。
回路層112の表面の表面粗さ(算術平均表面粗さ)は、0.3μm以上である。そして、この端子部1Aを構成する回路層112上には、金属層114が設けられている。
なお、回路層112の表面の表面粗さは、0.3μm以上であることがより好ましい。また、回路層112の表面の表面粗さは、10μm以下であることが好ましい。
【0017】
表面被覆層113は、回路層112の回路パターンの隙間部分を埋めるように設けられており、表面被覆層113の開口部からは、回路層112のうち、絶縁基材111の端部上に形成された部分を含む回路層112の一部が露出している。
この表面被覆層113は、いわゆるカバーレイフィルムであり、接着層113Aと、接着層113A上に設けられた樹脂フィルム113Bとを備えている。
接着層113Aとしては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物で構成されていることが好ましい。これらの中でもエポキシ系樹脂が好ましい。これにより、密着性を向上することができる。さらに、耐熱性を向上することもできる。
樹脂フィルム113Bとしては、たとえば、ポリイミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム等のポリイミド樹脂系樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等のポリエステル樹脂系フィルム等があげられる。
【0018】
金属層114は、回路層112上に直接設けられ、ニッケルまたはニッケル合金を含んで構成される第一金属層114Aと、この第一金属層114A上に形成された錫または錫合金を含んで構成される第二金属層114Bとを備える。
【0019】
第一金属層114Aは、Pbフリーめっきであり、具体的には、ニッケルまたはニッケル合金を含んで構成される。ニッケル合金としては、たとえば、Ni−P、Ni−Co、Ni−B等が例示できる。
この第一金属層114Aは、金属粒子の平均粒径が0.5μm以上、5μm以下のいわゆる無光沢めっき層である。ここでいう無光沢めっき層とは、金属粒子の平均粒径が0.5μm以上、5μm以下のものをいう。
なかでも第一金属層114Aの金属粒子の平均粒径は1μm以上であることが好ましい。このようにすることで、第一金属層114Aで発生する内部応力を低減させることができる。また、金属粒子の平均粒径は5μm以下とすることが好ましい。このようにすることで、第一金属層114Aの硬度の低下を防止することができる。
第一金属層114Aの厚みは、1μm以上、15μm以下であることが好ましい。なかでも、3μm以上であることが好ましい。3μm以上とすることで金属層114の厚みを確保することができる。
また、第一金属層114Aの厚みは、10μm以下であることがより好ましい。10μm以下とすることで第一金属層114Aの内部応力を確実に低減できるという効果がある。
【0020】
第二金属層114Bは、Pbフリーめっきであり、具体的には、錫または錫合金を含んで構成される。錫合金としては、Sn−Cu、Sn−Bi、Sn−Ag等が例示できる。なかでも、ウィスカの発生しにくいSn−Cuを使用することが好ましい。
第二金属層114Bは、金属粒子の平均粒径が0.1μm以下である、いわゆる光沢めっき層である。光沢めっき層とは、金属粒子の平均粒径が0.1μm以下であればよい。第二金属層114Bを構成するめっき液中には光沢剤が添加されている。
【0021】
第二金属層114Bの厚みは、0.5μm以上、5μm以下であることが好ましい。なかでも、1μm以上であることが好ましい。第二金属層114Bの厚みを1μm以上とすることで金属層114の厚みを確保することができる。
また、第二金属層114Bの厚みは、3μm以下であることがより好ましい。3μm以下とすることで第二金属層表面が酸化された場合でも内部応力の発生が小さく粒子が押し出されることがないという効果がある。
第一金属層114Aと第二金属層114Bとの膜厚の比率(第一金属層114A:第二金属層114B)は1:1以上、30:1以下であることが好ましい。
なお、第一金属層114A、第二金属層114Bの金属粒子の径は、金属層114の断面をSEM観察することによって計測することができ、また、第一金属層114A、第二金属層114Bの膜厚も、端子部1Aの断面をSEM観察することによって計測することができる。
さらに、回路層112の表面粗さもSEM観察により計測することができる。
【0022】
ここで、端子部1Aは、図1に示すように、絶縁基材111の端部と、回路層112のうち、この絶縁基材111の端部上に形成された部分と、金属層114のうち、絶縁基材111の端部上に形成された回路層112上に設けられた部分とを含んで構成されている。
また、端子部1Aは、絶縁基材111の裏面に設けられた補強部115を有する。
補強部115は、絶縁基材111の裏面上に設けられた粘着剤115Aと、この粘着剤115Aにより絶縁基材111裏面に貼り付けられる補強フィルム115Bと備える。
補強フィルム115Bとしては、たとえば、ポリイミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム等のポリイミド樹脂系樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等のポリエステル樹脂系フィルム等があげられる。
このような端子部1Aは、図2(A)、(B)に示すように、メインボードMのコネクタCに接続される。コネクタCに端子部1Aを接続すると、コネクタC内の接触ピンが端子部1Aの金属層114に接触し、メインボードMと回路基板1とが電気的に接続されることとなる。
【0023】
次に、図3を参照して、回路基板1の製造方法について説明する。
まず、はじめに、図3(A)に示すように、絶縁基材111と、この絶縁基材111の表面に金属箔(たとえば、銅箔)212が設けられた積層板21を用意する。
次に、図3(B)に示すように、金属箔212の一部をエッチング等により、選択的に除去し、回路層112を形成する。
その後、回路層112の表面を粗化する。具体的には、回路層112を硫酸過水等のエッチング溶液に浸し、回路層112の表面をエッチングし、回路層112の表面粗さを3μm以上とする。
その後、図3(C)に示すように、回路層112上に開口部が形成された表面被覆層113を貼り付ける。ここで、表面被覆層113の開口部は、あらかじめカバーレイフィルムをパンチングすることで形成される。表面被覆層113を回路層112に積層する条件は、特に限定されないが、温度80〜220℃、圧力0.2〜10MPaで熱圧成形装置により圧着することが好ましい。
【0024】
次に、図3(D)に示すように、絶縁基材111の端部上に配置された回路層112上に金属層114を形成する。
次に、回路層112上に金属層114を形成する。
具体的には、表面被覆層113の開口部から露出した回路層112にNi電解めっき、Ni合金の電解めっきを施し、回路層112を覆う第一金属層114Aを形成する。第一金属層114Aを形成するためのめっき液中には、光沢剤が添加されていないことが好ましい。
その後、第一金属層114A上に第一金属層114Aを覆う第二金属層114Bを形成する。具体的には、第一金属層114Aに対し、Sn電解めっき、あるいはSn合金の電解めっきを施して、第二金属層114Bを形成する。第二金属層114Bを形成するためのめっき液中には光沢剤が添加されている。
【0025】
その後、絶縁基材111の端部裏面に補強部115を貼り付ける。以上のような工程により、回路基板1を得ることができる。
【0026】
次に、本実施形態の効果について説明する。
第二金属層を金属粒子の平均粒径が0.1μm以下の光沢めっき層とし、さらに、ニッケルまたはニッケル合金を含む第一金属層をも、金属粒子の平均粒径が0.1μm以下の光沢めっき層とした場合には、端子部の金属層の内部応力が高くなり、ウィスカが発生してしまう。
これに対し、本実施形態では、端子部1Aの金属層114を、内部応力の低い無光沢めっき層である第一金属層114Aと、比較的内部応力が高くなりやすい光沢めっき層である第二金属層114Bとを備える構成としているので、端子部1Aの金属層114の内部応力を低く抑えることができ、ウィスカの発生を抑制することができる。
【0027】
また、第二金属層を、無光沢めっき層とした場合には、被膜硬度が低くなるため、コネクタに接続した際にコネクタからの力によりウィスカが発生してしまう。
これに対し、本実施形態では、第二金属層114Bを0.1μm以下の光沢めっき層としており、この第二金属層114Bは、無光沢めっき層よりも被膜硬度が高いため、コネクタからの力が加わっても、ウィスカが発生しにくい。これにより、ウィスカの発生を抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態では、第一金属層114Aの厚みを15μm以下としているため、第一金属層114A中で発生する内部応力を低減させることができる。
さらに、第一金属層114Aの厚みを1μm以上としているので、金属層114の厚みを確保し、コネクタCに嵌合しやすいものとすることができる。
また、第二金属層114Bの厚みを5μm以下とすることで、第二金属層114B中で発生する内部応力を低減させることができる。これにより、端子部1Aでのウィスカの発生をさらに確実に抑制することができる。
さらに、第二金属層114Bの厚みを0.5μm以上とすることで、金属層114の硬度を確保することができる。
【0029】
また、本実施形態では、端子部1Aを構成する回路層112の表面を粗化し、回路層112の表面粗さを0.3μm以上としているので、ニッケルまたはニッケル合金を含む第一金属層114Aと、回路層112との密着性を高めることができる。
これに加え、回路層112表面の表面粗さを0.3μm以上とし、回路層112表面を粗化されたものとすることで、第一金属層114Aに発生する内部応力を回路層112に逃がすことができる。回路層112表面の表面粗さに上限はないが、例えば10μm以下とする。
【0030】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、前記各実施形態では、絶縁基材111の表面側にのみ回路層112が形成されていたが、これに限らず、絶縁基材の裏面側にも回路層が形成されていてもよい。
さらに、本発明にかかる回路基板は、リジッド回路基板であってもよく、また、リジッドフレックス回路基板等としてもよい。
また、回路基板を複数の絶縁基板を有する多層構成としてもよい。
さらに、前記各実施形態では、絶縁基材111を可撓性を有するものとしたが、これに限らず、絶縁基材111を硬質板から構成してもよい。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ25μmのポリイミド基材(絶縁基材)の片面に厚さ18μmの銅箔を有する両面銅張板(積層板)を用意した。
次に、前記銅箔の一部を選択的に除去し、最小回路幅75μm、最小回路間75μmの回路層を作製した。
さらに、予め開口部を設けた表面被覆層(ポリイミド樹脂基材絶縁被覆フィルム)を最高温度160℃、圧力4MPaの熱圧成形装置にて圧着した。その後、回路層上に端子部を構成する金属層を形成し、端子部を有する回路基板を製造した。
ここで金属層の形成方法は以下の通りである。
【0032】
第一金属層
第一金属層を電解めっき法により形成した。
使用しためっき液の組成を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
また、電流密度は、1.5〜2.0A/dmとした。なお、第一金属層用のめっき液中には光沢剤は添加されていない。
【0035】
第二金属層
第二金属層を電解めっき法により形成した。
使用しためっき液の組成を表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
また、電流密度は、3.0A/dmとした。なお、第二金属層用のめっき液中には光沢剤としてNF−111A(日本マクダーミッド(株)社製)、が30ml/L添加されている。
【0038】
次に、得られた回路基板の金属層の第一金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚、第二金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚を計測した。
金属粒子の平均粒径、膜厚は、金属層の断面をSEM観察することで測定した。
結果を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】
(比較例1)
端子部の金属層の第一金属層を光沢めっき層とした。他の点は実施例1と同じである。
【0041】
第一金属層
第一金属層を電解めっき法により形成した。
使用しためっき液の組成を表4に示す。
【表4】

【0042】
また、電流密度は、1.5〜2.0A/dmとした。なお、第一金属層用のめっき液中には光沢剤としてNF−111A(日本マクダーミッド(株)社製)、が30ml/L添加されている。
【0043】
次に、得られた回路基板の金属層の第一金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚、第二金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚を計測した。
金属粒子の平均粒径、膜厚は、金属層の断面をSEM観察することで測定した。
結果を表5に示す。
【0044】
【表5】

【0045】
(比較例2)
端子部の金属層の第二金属層を無光沢めっき層とした。他の点は実施例1と同じである。
【0046】
第二金属層
第二金属層を電解めっき法により形成した。
使用しためっき液の組成を表6に示す。
【0047】
【表6】

【0048】
また、電流密度は、2.0A/dmとした。なお、第二金属層用のめっき液中には光沢剤は添加されていない。
【0049】
次に、得られた回路基板の金属層の第一金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚、第二金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚を計測した。
金属粒子の平均粒径、膜厚は、金属層の断面をSEM観察することで測定した。
結果を表7に示す。
【0050】
【表7】

【0051】
(比較例3)
第一金属層を光沢めっき層、第二金属層を無光沢めっき層とした。他の点は実施例1と同じである。
【0052】
第一金属層
第一金属層を電解めっき法により形成した。
使用しためっき液の組成を表8に示す。
【0053】
【表8】

【0054】
また、電流密度は、3.0A/dmとした。なお、第二金属層用のめっき液中には光沢剤としてNF−111A(日本マクダーミッド(株)社製)、が30ml/L添加されている。
【0055】
第二金属層
第二金属層を電解めっき法により形成した。
使用しためっき液の組成を表9に示す。
【0056】
【表9】

【0057】
また、電流密度は、2.0A/dmとした。なお、第二金属層用のめっき液中には光沢剤は添加されていない。
【0058】
次に、得られた回路基板の金属層の第一金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚、第二金属層の金属粒子の平均粒径、膜厚を計測した。
金属粒子の平均粒径、膜厚は、金属層の断面をSEM観察することで測定した。
結果を表10に示す。
【0059】
【表10】

【0060】
実施例および比較例について、ウィスカの発生に関して比較を行った。
ウィスカの発生試験の条件は以下の通りである。また、結果を表11に示す。
【0061】
回路基板の、金属層が形成された端子部の周辺を試験片として切り出す。切り出した試験片を、厚さ3mmのアクリル板を用いて挟み込み、1kg/cmの圧力をかけた状態で、室温下1000時間放置後ウィスカの発生状況を目視にて観察した。
【0062】
【表11】

【0063】
比較例に比べ、実施例ではウィスカの発生を抑制することができることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態にかかる回路基板を示す断面図である。
【図2】回路基板とコネクタとを示す図である。
【図3】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 回路基板
1A 端子部
21 積層板
111 絶縁基材
112 回路層
113 表面被覆層
113A 接着層
113B 樹脂フィルム
114 金属層
114A 第一金属層
114B 第二金属層
115 補強部
115A 粘着剤
115B 補強フィルム
212 金属箔
C コネクタ
M メインボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と、この絶縁基材上に形成された回路層とを備える回路基板であって、
前記絶縁基材の端部と、この端部上に形成された前記回路層と、この回路層上に形成された金属層とを含んで端子部が構成され、
前記金属層は、前記回路層上に形成され、ニッケルまたはニッケル合金を含む第一金属層と、この第一金属層上に形成された錫または錫合金を含む第二金属層とを備える回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板において、
前記第二金属層は、金属粒子の平均粒径が第一金属層の金属粒子の平均粒径よりも小さい金属で構成される光沢めっき層である回路基板。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の回路基板において、
前記第二金属層は、金属粒子の平均粒径が0.1μm以下の光沢めっき層である回路基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の回路基板において、
前記第一金属層は、金属粒子の平均粒径が0.5μm以上、5μm以下の無光沢めっき層である回路基板。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の回路基板において、
第一金属層の厚みは15μm以下であり、前記第二金属層の厚みは5μm以下である回路基板。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の回路基板において、
前記回路層表面の表面粗さは0.3μm以上10μm以下である回路基板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の回路基板において、
前記絶縁基材は、可撓性を有する回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−85010(P2008−85010A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261919(P2006−261919)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】