説明

回転センサ

【課題】測定すべき回転体の回転角度検出の分解能を向上させるとともに耐ノイズ性を向上させた検出精度の高い回転センサを提供する。
【解決手段】測定すべき回転体とともに一体に動く主回転体10と、当該主回転体の回転に対応して主回転体の回転数と異なる回転数で回転する副回転体12と、主回転体の回転を検出する第1の検出手段50と、副回転体の回転を検出する第2の検出手段62を有し、第1の検出手段の検出信号と第2の検出手段の検出信号とから測定すべき回転体の絶対回転角度を検出する回転センサであって、第1の検出手段と第2の検出手段から得られる各検出信号がそれぞれ各回転体の回転に対応して周期的に出力され、かつ第1の検出手段の検出信号の周期をTc、第2の検出手段の検出信号の周期をTmとした場合、
(Tm−Tc×i)×n=Tm(i及びnは正の整数)の関係を満たすようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体に取り付けて当該回転体の回転角度を検出するのに使用する回転センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のステアリングシャフトなどの回転するシャフトに取り付けて当該シャフトと一体になったハンドルの回転角度を検出する際にいわゆる回転センサが使用される(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載された回転センサは、2つの副回転体と連動して回転する主回転体の回転角度を測定する回転センサであって、主回転体にギアが備わるとともに、2つの副回転体にもそれぞれギアが備わっている。なお、主回転体のギアの歯数と副回転体の各ギアの歯数は互いに異なっており、主回転体のギアと一方の副回転体のギアが噛合するとともに、主回転体のギアと他方の副回転体のギアが噛合している。また、副回転体のそれぞれには磁石が備わるとともに、各磁石の磁束を検出する2つのAMRセンサが回転センサの固定部に備わっている。
【0004】
そして、2つのAMRセンサから得られた互いに位相の異なる検出出力値の位相差等を利用して主回転体の絶対回転角度を算出するようになっている。
【0005】
一方、特許文献2に記載された回転センサは、回転するシャフトに取り付けられかつ周方向に沿って幅が変化するセンシング部を有するロータと、固定部材に取り付けられかつセンシング部に対してシャフトの軸線方向に間隔を置いて対向配置される固定コアとを備えている。なお、固定コアは、交流励磁電流が流されてロータとの間に磁気回路を形成する第1の励磁コイルと、絶縁磁性材から成形されて第1の励磁コイルを保持する第1のコアとを有している。そして、この回転センサは更に、ロータの回転面を挟む一方の固定部材に、回転方向に沿って幅が変化する導体層と、ロータの一回転ごとに所定の回転角度で送られるゼネバギアを備えている。また、第2の励磁コイルとこの励磁コイルを保持する第2のコアとを有し、ゼネバギアの送り量(ロータの回転数)に応じて出力を段階的に変化させてロータの回転数を検出する検出コイルを備えている。
【特許文献1】特表2001−505667号公報(第6−10頁、図1)
【特許文献2】特開2001−337049号公報(第2−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように特許文献1に記載の回転センサは、主回転体の歯車に副回転体の歯車がそれぞれ噛合して副回転体のそれぞれの回転検出値から主回転体すなわち測定すべき回転体の絶対回転角度を算出するようになっている。そのため、一方の副回転体の歯車と主回転体との歯車間のバックラッシによる検出角度誤差及び他方の副回転体の歯車と主回転体の歯車間のバックラッシによる検出角度誤差が主回転体の回転角度の角度誤差として重畳してしまう。それゆえ、この特許文献1に記載の回転センサは、測定すべき回転体の正確な回転角度検出を行うのに適さなかった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の回転センサは、主回転体の回転角度を導電性部材からなるリング状のセンシング部とこのセンシング部を交差するように磁束を発生するコイルコアとの組み合わせから測定するようになっている。そのため、上述の特許文献1に記載した回転センサに比べて、測定すべき回転体の絶対回転角度を精度良く検出することが可能である。しかし、主回転体の回転数をゼネバ歯車、導電層、検出コイルによって回転数ごとに段階的に出力するようにしているので、主回転体の各回転数に対応した出力段の段差が小さいと、主回転体の回転数を検出しづらいことがあった。
【0008】
本発明の目的は、測定すべき回転体の絶対回転角度検出の分解能を向上させるとともに耐ノイズ性を向上させた検出精度の高い回転センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる回転センサは、
測定すべき回転体とともに一体に動く主回転体と、当該主回転体の回転に対応して当該主回転体の回転数と異なる回転数で回転する副回転体と、前記主回転体の回転を検出する第1の検出手段と、前記副回転体の回転を検出する第2の検出手段とを有し、前記第1の検出手段の検出信号と第2の検出手段の検出信号とから測定すべき回転体の絶対回転角度を検出する回転センサにおいて、
前記第1の検出手段と第2の検出手段から得られる各検出信号がそれぞれ各回転体の回転に対応して周期的に出力され、かつ前記第1の検出手段の検出信号の周期をTc、前記第2の検出手段の検出信号の周期をTmとした場合、
(Tm−Tc×i)×n=Tm(i及びnは正の整数)の関係を満たすことを特徴としている。
【0010】
主回転体の回転角度とこれと異なる回転数で回転する副回転体の回転角度を各検出手段の検出周期が上述のような関係を満たす条件下で検出することで、主回転体すなわち測定すべき回転体の回転角度検出の分解能を向上させるとともに耐ノイズ性を向上させる。
【0011】
また、請求項2に記載の回転センサは、請求項1に記載の回転センサにおいて、
前記主回転体の検出信号の周期Tcを90度、前記副回転体の検出信号の周期Tmを191.25度とすることを特徴としている。
【0012】
この周期の組み合わせによると、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせを主回転体の絶対回転角度に最適に対応させることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の回転センサは、請求項1に記載の回転センサにおいて、
前記主回転体の検出信号の周期Tcを120度、前記副回転体の検出信号の周期Tmを130度とすることを特徴としている。
【0014】
この周期の組み合わせによっても、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせを主回転体の絶対回転角度に最適に対応させることができる。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の回転センサは、請求項1に記載の回転センサにおいて、
前記主回転体の検出信号の周期Tcを120度、副回転体の検出信号の周期Tmを260度とすることを特徴としている。
【0016】
この周期の組み合わせによっても、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせを主回転体の絶対回転角度に最適に対応させることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の回転センサは、請求項1に記載の回転センサにおいて、
前記周期Tm及び周期Tcに互いに異なる正の整数をかけたそれぞれの倍数において、共通で最小のものをTxとすると、
Tx≧1440度の関係を満たすことを特徴としている。
【0018】
このような関係を満たすことで、±720度の測定範囲内で、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせに対応する主回転体の絶対回転角度の解が複数発生してしまうのを回避し、第1の検出手段の出力値と第2の検出手段の出力値とから確実かつ一義的にこの絶対回転角度を求めることができるようになる。
【0019】
また、請求項6に記載の回転センサは、請求項5に記載の回転センサにおいて、
前記Tx及びTcが、Tx=Tc×nの関係を満たすことを特徴としている。
【0020】
このような関係を満たすことで、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせによって規定される検量線の隣接する検量線同士の間隔が広くなる。これによって、請求項5に記載した条件を満たす場合に比べて、TmとTcの組み合わせの範囲をより狭くし、主回転体の絶対回転角度に対応する第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせにおいて検出性能が向上されない組み合わせを減らして有効な組み合わせ範囲に絞ることができるようになる。
【0021】
また、請求項7に記載の回転センサは、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の回転センサにおいて、
前記第1の検出手段が、前記主回転体と一体に回転しかつ周方向に沿って幅が変化する導電性のセンシング部と、前記センシング部と協働して電磁誘導により前記主回転体の回転角度を検出する励磁コイルとを備えるとともに、前記第2の検出手段が、前記副回転体に磁石を設け、前記副回転体の回転に応じた前記磁石の磁束変化を検出する磁束検出素子を備えたことを特徴としている。
【0022】
このような検出方式とすることで、副回転体に2つの歯車を利用した回転センサに較べて検出精度を格段に向上させる。また、主回転体の回転数をゼネバ歯車によって検出する回転センサに比べても検出精度や耐振動性を向上させることができるとともに回転センサ自体の組み付け性を向上させる。
【0023】
より具体的には、ゼネバ歯車を備えた従来の回転センサの欠点、すなわち主回転体の回転数をゼネバ歯車、導電層、検出コイルによって回転数ごとに段階的に出力することで、主回転体の各回転数に対応した出力段の段差が小さいと主回転体の回転数を検出しづらくなる欠点を解決する。
【0024】
これに加えて、従来技術にかかる回転センサの更なる欠点であるゼネバ歯車が振動などにより回転してしまうおそれがあることに起因する回転センサ自体の耐振動性低下の問題も解決する。
【0025】
更に、従来技術にかかる回転センサの更に別の欠点である組み付け性やコストの問題、すなわちゼネバ歯車に回転方向により幅が変化するロータを設け、このロータを挟む位置にコイルとコアの組を設ける場合に部品の位置決めが容易でないため回転センサ自体の組み付け性が良くない欠点と部品及び組立工数のコストが高くなる欠点も解決する。
【0026】
また、請求項8に記載の回転センサは、請求項7に記載の回転センサにおいて、
前記励磁コイルはポリフェニレンスルフィドにMn−Zn系軟磁性材フェライトを混合した混合軟磁性材でできたコア本体によって保持されていることを特徴としている。
【0027】
このようないわゆるソフトフェライトをコア本体の材質に使用することで成形が容易なので、コアの形状の設定自由度を向上させることができる。
【0028】
また、請求項9に記載の回転センサは、請求項7に記載の回転センサにおいて、
前記励磁コイルは、エポキシ樹脂にFe−Si−Al系センダストを混合した混合軟磁性材でできたコア本体によって保持されていることを特徴としている。
【0029】
このようなセンダストをコア本体に使用することで透磁率を高めて検出特性を向上させることができる。また、透磁率の温度特性を高めることができ、周囲温度の影響を受けずに幅広い温度範囲の使用環境で回転センサを使用できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、測定すべき回転体の絶対回転角度検出の分解能を向上させるとともに耐ノイズ性や耐振動性、組み付け性を向上させた検出精度の高い高分解能の回転センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態にかかる回転センサを図面に基いて説明する。なお、本実施形態では、自動車のステアリング装置に関してこの回転センサをステアリングシャフトに取り付け、ハンドルの回転角度を検出するために回転センサを用いた場合について説明する。
【0032】
本発明の一実施形態にかかる回転センサ1は、図1及び図2に示すように、測定すべき回転体であるステアリングシャフトS(以下、単に「シャフトS」とする)に嵌め込まれかつ外周部に第1歯車11を備えたロータ10と、当該ロータ10の第1歯車11と噛合する第2歯車12と、ロータ10及び第2歯車12を回転可能に支持する下ケース21と、下ケース21と嵌合して箱状のケース20をなす上ケース22を備えている。
【0033】
ロータ10は、強度と成型性に優れた合成樹脂でできており、ロータ10の周囲所定位置からステー15aが延在し、例えば板厚0.5mm程度の板状のセンシング部15がこのステー15aを介してロータ10の周囲にリング状に備わっている。なお、センシング部15は、真鍮、銀、アルミニウム、銅などの導電性部材でできており、本実施形態では周方向に90度ずつその幅が例えば2mmから5mmまで規則的に変化するようになっている。このように周方向に90度ずつセンシング部15の幅を変化させることで、ロータ10の実際の回転角度に対するコイルコア50からの検出信号の変化を大きくとるようにしている。
【0034】
また、上ケース22と下ケース21は、強度に優れかつ交流磁界の遮蔽性を有する金属又は絶縁磁性材からなる遮蔽材でできており、上ケース22と下ケース21とが協働して箱体をなしてロータ10やセンシング部15、第2歯車12を収容するようになっている。また、下ケース21には、回転センサ1に電力を供給したり、回転センサ1の検出信号を外部に伝達したりするためのコネクタ25が備わっている。
【0035】
また、上ケース22及び下ケース21には、図1及び図3に示すように、2組のコイルコア50がロータ10のセンシング部15のセンシング面に対して所定間隔隔てて対向配置するように取り付けられている。なお、センシング部15とコイルコア50が協働して第1の検出手段を構成している。
【0036】
この2組のコイルコア50は、図1に示すように、後述する各位相シフト量の出力値が22.5度ずれるようにセンシング部15の周方向に関して所定の角度で取り付けられており、図3に示すように、各外周縁が図1に示す平面視でいわゆる陸上競技のトラック形状をなしている。なお、本実施の形態においては、後述するようにセンシング部15の一周期が90度なので、この1/4周期すなわち22.5度ずれるように2組のコイルコア50を配置している。
【0037】
コイルコア50は、プラスチックマグネット(例えばPPS(ポリフェニレンスルフィド)にMn−Zn系軟磁性フェライトを混入した混合軟磁性材等)などの絶縁性の軟磁性材でできたコア本体51と、コア本体51の外周部に沿って形成されたトラック状の内周溝に巻回されてコア本体51内に収容された励磁コイル52を備えている。この場合、コア本体51は射出成型によって形成され、磁性粉充填率は50重量%程度となっている。ソフトフェライトを含んだ軟磁性材をこのような充填率で射出成型してコア本体51を形成することで、成形が容易となり、コアの形状の設定自由度を向上させることができる。
【0038】
なお、このようないわゆるソフトフェライトを用いたコア本体51で励磁コイルを保持する代わりに、エポキシ樹脂にFe−Si−Al系センダストを混合した混合軟磁性材でできたコア本体によってコア本体が保持されていても良い。この場合、コア本体は圧粉成型によって形成され、磁性粉充填率は90重量%以上となっている。センダストを含んだ軟磁性材をこのような充填率で圧粉成型してコア本体を形成することで、透磁率を高めて検出特性を向上させることができる。また、透磁率の温度特性を向上させ、幅広い温度範囲の環境で回転センサを使用することができる。
【0039】
また、対向する励磁コイル52同士は、それぞれ直列に接続され、ケース20内でここでは図示しない回転角度検出部のプリント基板と電気的に接続されている。そして、対向する励磁コイル52に交流励磁電流が流されることで周囲に交流磁界を形成し、それぞれ対となっているコア本体51間でセンシング部15のセンシング面に対して交流磁界を交差させている。
【0040】
そして、コイルコア50から発生した交流磁界によって導電性部材のセンシング部15には渦電流が発生するが、ロータ10の回転に応じたセンシング部15の幅の変化に対応してこの発生した渦電流が変化し、これに基づくインピーダンス変動を検出して各コイルコア50がロータ10の回転角度を90度周期で検出するようになっている。
【0041】
なお、コイルコア50が各組ごとにセンシング部15を挟んで対向配置される理由は、振動等によりロータ10の位置がシャフトSの軸方向に変動すると、これに伴い各々のコイルコア50からの出力も変動するが、一方のコイルコア50からの出力が増加した分、他方のコイルコア50からの出力は減少するので、対向する2つのコイルコア50からの出力を検出すれば各々のコイルコア50の出力変動を相殺できるからである。
【0042】
このロータ10の回転角度検出のための信号処理方法は以下の通りである。なお、各回路構成については図示を省略する。まず、発振回路が分周回路を介して特定周波数の発振信号を抵抗、励磁コイル52及びコンデンサからなる位相シフト部に出力する。このとき、センシング部15における渦電流発生の大きさに応じて各励磁コイル52のインピーダンスが変化し、このインピーダンス変化によって各コンデンサ両端における電圧信号の位相も変化する。そして、コンデンサの両端の電圧信号は、位相シフト量検出部へ出力され、この検出部で各コンデンサ両端の電圧信号の位相シフト量を検出する。そして、コンバータが、検出された位相シフト量を対応する電圧値に変換する。
【0043】
なお、本実施形態では、各コイルコア50とセンシング部15とが協働することで得られる位相シフト量出力信号の位相が22.5度ずれるようにコイルコア50をセンシング部15の周方向に対応させてケース20に配置しているので、上述のような信号処理によって、図5(a)に示すように、一方のコイルコア50の位相シフト量出力値SAと他方のコイルコア50の位相シフト量出力値SBのように互いに22.5度位相のずれた90度周期の位相シフト量の出力値が得られる。
【0044】
このようにして得られた位相シフト量の出力値からロータ10の回転角度を90度周期で検出する方法は以下の通りである。
【0045】
図5(a)に示すように、各コイルコア50から得られるロータ10の回転角度の出力値(SA,SB)とこれらをそれぞれ反転させた出力値(RSA,RSB)とを重畳させる。そして、各位相シフト量検出値の大小関係からロータ10の回転角度が0度〜22.5度、22.5度〜45度、45度〜67.5度、67.5度〜90度、のいずれの範囲にあるかを判断する。そして、これら4つの位相シフト量検出値の直線部分を用いるとともに、この直線部分同士をジョイント(結合)処理する。次いで、上述した4つの角度範囲の何れの角度範囲にあるかの判断結果に基づき、図5(b)に示す90度ごとの周期で変化する鋸歯状波形の出力信号からロータ10の回転角度を90度周期で求めるようになっている。
【0046】
一方、下ケース21には、図1及び図2に示すように、第2歯車12の中心部分に第2歯車12と一体に回転する磁石61を備えるとともに、磁石61に対向する下ケース21の部分にこの磁石61の磁束を検出するMR素子(磁束検出素子)62を備えている。そして、この磁石61とMR素子62とが協働して第2の検出手段を構成している。
【0047】
MR素子62は、その検出出力がsin曲線状の検出出力とcos曲線状の検出出力として得られ、これらの検出出力をtan関数の検出出力に換算して、図7に示すような191.25度ごとの周期で変化する鋸歯状波形の出力信号として出力するようになっている。なお、この信号処理方法は、例えば特開2004−53444号公報において記載されているように公知である。MR素子62の検出出力の周期がこのように191.25度となっている理由は、本実施形態の場合、ロータ10に備わった第1歯車11の歯数が80、第2歯車12の歯数が85であるため、これらの歯数の関係から、第2歯車12の回転に応じて検出されるMR素子62の検出信号の周期が180度×85/80=191.25度となっているためである。
【0048】
このように、本実施形態にかかる回転センサ1では、コイルコア50とセンシング部15が協働して構成する第1の検出手段から得られる第1の検出信号がロータ10の回転に対応して90度の周期で出力され、かつ磁石61とMR素子62が協働して構成する第2の検出手段から得られる第2の検出信号が第2歯車12の回転に対応して191.25度の周期で出力されるようになるが、本発明にかかる回転センサ1においては、これらの検出信号の周期間で以下の各関係を満たすことが必要とされている。
【0049】
まず、各検出信号の周期が満たすべき第1の関係として、コイルコア(第1の検出手段)50の検出信号の周期をTc、MR素子(第2の検出手段)62の検出信号の周期をTmとした場合、
(Tm−Tc×i)×n=Tm(i及びnは正の整数)の関係を満たすようになっている。このような関係を満たすことで、ロータ10すなわち測定すべきシャフトSの絶対回転角度検出の分解能を向上させるとともに耐ノイズ性を向上させるようになっている。なお、本実施形態にかかる回転センサ1の場合、Tc=90度、Tm=191.25度として、i=2、n=17とすると、
(191.25−90×2)×17=191.25となり、上述の関係式を満たしている。
【0050】
また、この周期Tm及び周期Tcに互いに異なる正の整数をかけたそれぞれの倍数において、共通で最小のものをTxとすると、Tx≧1440度の関係を満たすようになっている。このような関係を満たすことで、測定範囲の±720度の範囲内で、第1の検出手段をなすコイルコア50と第2の検出手段をなすMR素子62によって得られる2つの出力値の組み合わせに対応するロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度の解が複数発生してしまうのを回避し、コイルコア50の出力値とMR素子62の出力値とから確実かつ一義的にロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度を求めることができるようになる。
【0051】
なお、本実施形態にかかる回転センサ1の場合、Tc=90度、Tm=191.25度として、Tx=90×17=191.25×8=1530度、となり、上述の関係式を満たしている。
【0052】
また、Tx=Tc×nの関係を満たしている。その結果、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせによって規定される検量線の隣接する検量線同士の間隔が広くなる。これによって、TmとTcの組み合わせの範囲をより狭くし、絶対角度に対応する第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせにおいて検出性能が向上されない組み合わせを減らして有効な組み合わせ範囲に絞ることができるようにしている。
【0053】
なお、本実施形態にかかる回転センサ1の場合、Tc=90度、Tx=1530度、であるので、1530=90×17、よってn=17となり、上述の関係式を満たしている。
【0054】
なお、主回転体であるロータ10すなわちシャフトSは360度で1周するため、必然的にTcは360度以下となり、Tc=360度/k(kは、正の整数)の関係を満たすようになる。
【0055】
本実施形態の場合、上述のような関係式を満たす周期のうちで、既に説明したように主回転体であるロータ10の検出信号の周期Tcを90度、副回転体である第2歯車の検出信号の周期Tmを191.25度としている。この周期の組み合わせによると、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせを主回転体であるロータ10の絶対回転角度に最適に対応させている。
【0056】
しかしながら、第1の検出手段であるコイルコア50から得られたロータ10の回転検出信号の周期と第2の検出手段であるMR素子62から得られた第2歯車12の回転検出信号の周期との関係は、本実施形態のように90度と191.25度に限定されず、各周期が上述した関係式を満たすようであれば、他の周期であってもかまわない。
【0057】
これらの関係を満たすことにより、後述するように、コイルコア50とセンシング部15から得られる第1の検出信号と磁石61とMR素子62から得られる第2の検出信号との組み合わせからロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度を求めるための検量線が、図8に示すように広範囲の絶対回転角度にわたって均等に分散するようになる。すなわち、検量線の分布する領域をできるだけ広くし、かつ検量線がこの広くなった領域において等間隔で分布するようになる。これによって、コイルコア50からの回転検出信号とMR素子62からの回転検出信号の組み合わせに対応するロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度の対応関係を明確化できるようになる。
【0058】
なお、例えば他の一例として、コイルコア50からの回転検出信号の周期が120度、MR素子62からの回転検出信号の周期が130度となっていても、第1の検出信号と第2の検出信号との周期が上述した関係式を満たすことができ、ロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度を精度良く検出することができる。すなわち、この場合であっても、測定すべきロータ10すなわちシャフトSの幅広い絶対回転角度の範囲内で図6に示す各検量線が全体的に分散して規定されるようになる。
【0059】
続いて、上述した回転センサ1を用いたシャフトSの絶対回転角度の測定方法について説明する。本実施形態にかかる回転センサ1は、上述したようにコイルコア50の検出信号の周期と第2歯車12の検出信号の周期が特別の関係を満たすので、ロータ10の回転に対応するコイルコア50の出力信号の周期と第2歯車12に備わったMR素子62の出力信号の周期との対応関係は図6の検量線に限定された関係になる。これに伴って、図7に示すようにコイルコア50とセンシング部15によるロータ10の回転信号検出値が−750度から+750度にわたって90度ごとに鋸歯状の波形で交互に連続的に出力されるとともに、MR素子62と磁石61による第2歯車12の回転角度検出出力の周期が191.25度ごとに鋸歯状の波形で交互に連続的に出力される。
【0060】
従って、コイルコア50とセンシング部15から検出された周期とMR素子62と磁石61から検出された周期を比較することによって、以下に示すようにロータ10と一体となって回転するシャフトSの絶対回転角度を精度良く求めることができる。
【0061】
図8は、ロータ10の回転角度を90度の範囲ごとに検出した小舵角の検出出力値と、第2歯車12の回転角度を191.25度の範囲ごとに検出した大舵角の検出出力値と、これらの検出出力値に基づき求められた測定すべき回転体であるロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度との対応関係の一例を示した一覧表である。ここで、本実施形態にかかる回転センサ1は、これらに対応する絶対回転角の関係を全て一対一対応でメモリに記憶させておいても良いが、本実施形態においては、小舵角の検出出力値と大舵角の検出出力値とからマイコンの計算によりこの絶対回転角度を一義的に求めるようにしている。
【0062】
以下に、小舵角の検出出力値と、大舵角の検出出力値とから絶対回転角度を決定する方法をより詳細に説明する。なお、本実施形態においては、大舵角を検出するMR素子62によって検出される角度は−95.625度〜+95.625度(合計191.25度)となっている。また、小舵角を検出するコイルコア50によって決定される角度は0度〜+90度となっている。また、原点ではMR素子62、コイルコア50ともに0度になるものとしている。
【0063】
ここで、センシングのレンジとしては、コイルコア50の検出周期Tcが90度、MR素子62の検出周期Tmが191.25度なので、最小公倍数を考えると、
90×17=191.25×8=1530度、となる。
【0064】
すなわち、ロータ10をどちらか一方向に1530度回転させると、コイルコア50から得られる小舵角の検出出力とMR素子62から得られる大舵角の検出出力が完全に同じ関係になるので、本実施形態の場合、センシングのレンジ仕様を1530度(−765度〜+765度)の範囲に設定してロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度を測定することになる。
【0065】
なお、例えば、MR素子62の周期が192度の場合を考えると、コイルコアの周期Tc=90度、MR素子の周期Tm=192度となるので、
90×32=192×15=2880度、
となり、−1440度〜+1440度がセンシング範囲となる。
【0066】
続いて、特定の小舵角に対して大舵角がどのように対応するかについて説明する。本実施形態の場合、191.25−(90×2)=11.25度刻みで小舵角に対して大舵角の角度が変化していく。但し、MR素子62の周期が2倍あるので、小舵角からみて大舵角は2系列(44度と−46度が基点)になっている。
【0067】
図8の表では、小舵角が44度の時の大舵角と絶対角を示している。この場合、絶対回転角度が−766度と764度において小舵角と大舵角が同じ関係になっている。また、他の場合であっても絶対角度で1530度の隔たりがあるところでは同じ関係になっている。
【0068】
また、Tx=Tc×nの関係を満たしている。これによって、第1の検出手段と第2の検出手段の2つの出力値の組み合わせによって規定される検量線の隣接する検量線同士の間隔が広くなる。これによって、TmとTcの組み合わせの範囲をより狭くし、絶対角度に対応する第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせにおいて検出性能が向上されない組み合わせを減らして有効な組み合わせ範囲に絞っている。
【0069】
なお、主回転体であるロータ10すなわちシャフトSは360度で1周するため、必然的にTcは360度以下となり、c=360度/k(kは、正の整数)の関係を満たしている。
【0070】
続いて、検出された大舵角と小舵角から測定すべきロータ10すなわちシャフトSの絶対回転角度を決定する方法について説明する。この場合、絶対回転角度の範囲が−750度〜+750度としている。小舵角をコイルコア50の検出値から44.00度と検出したとする。この場合、大舵角をMR素子62の検出値から決定する。MR素子62の検出値が図8に示すように約−12.25度であったとする。この場合、大舵角の符号(マイナス)が小舵角の符号(プラス)と+/−が反転しているので、
44−90=−46度、を基点に−12.2度に向かって11.25度ずつ加算する。この場合、
−46/−34.75/−23.5/−12.25
と3回、11.25度を加算するとMR素子62が検出された大舵角に近い値になるので、小舵角の検出出力値と大舵角の検出出力値に対応するメモリテーブルを有さなくても、マイコンの計算により小舵角と大舵角の検出出力値から、
−46−180×3=−586度、として図8の一覧表に示す絶対回転角度(−586度)を求めることができる。
【0071】
図9は、この求められた小舵角の検出出力値と大舵角の検出出力値とから絶対回転角度を一義的に求める方法の他の一例について説明した図である。この場合、小舵角44度、大舵角−46度の場合、絶対回転角度は−46度として規定されている。図9に示すように例えばコイルコア50の出力から小舵角が44度でMR素子62の出力から大舵角が−68.5度と検出されたときに絶対回転角度を算出する場合について説明する。この場合、大舵角の−46度から11.25度を減算して−68.5度に対する減算回数を算出する。11.25度を小舵角の−46度から2回減算すると大舵角の−68.5度に達するので、絶対回転角度は−46度+(180×(減算回数=2))=314度として一義的に求めることができる。
【0072】
以上説明したように、本発明にかかる回転センサ1は、小舵角としてコイルコア50及びセンシング部15を介してロータ10の回転角度を90度ごとの周期を検出するとともに、大舵角として磁石61及びMR素子62を介して第2歯車12の回転を191.25度ごとの周期で検出している。すなわち、上述した主回転体であるロータ10すなわちシャフトSから得られた第1の検出信号の周期と副回転体である第2歯車12から得られた第2の検出信号の周期とが上述した周期の関係式を満たすような回転センサとしている。これによって、例えば周期が上述のように規定された場合、図8に示すような小舵角の検出出力と大舵角の検出出力とを得るだけで絶対回転角度を精度良く一義的に算出できるようになり、精度が高くかつ耐ノイズ性に優れた絶対回転角度検出を行うことが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態では、第1、第2の検出用としてコイルコアとセンシング部、磁石とMR素子を協働させて設けたが、これに限定されることはなく、これらを入れ替えて用いても良く、また、MR素子の代わりに、AMR素子やホール素子、GMR素子などの他の磁束検出手段を用いても良いことは言うまでもない。また、コイルコアは平面視トラック状なしていたが、これに限定されず平面視円形状をなしていても構わない。
【0074】
なお、上述した実施形態の変形例として以下のようなものも考えられる。この変形例は、図10及び図11に示すように、一方の組のコイルコア150(コイルA1であるコイル151とコイルB1であるコイル152)をセンシング部115の適所に配置するとともに、他方の組のコイルコア160(コイルA2であるコイル161とコイルB2であるコイル162)をこのコイルコア150とは異なるセンシング部115の適所に配置している。ここで、図10は、ロータ110、センシング部115、及びコイルコア150,160のみを示しており、このセンシング部115は図10においてはセンシング幅が周方向に一定に描かれているが、実際には例えばセンシング幅の変化の周期が一周期120度としてセンシング部周方向に3分割されていても良いし、一周期90度としてセンシング部周方向に4分割されていても良いし、あるいは一周期72度としてセンシング部周方向に5分割されていても良いし、一周期が任意の度数でセンシング部周方向に均等に分割されていればどの様な形態でも良い。
【0075】
なお、この場合のコイルコアに使用するコア本体も上述した実施形態と同様にポリフェニレンスルフィドにMn−Zn系軟磁性材フェライトを混合した混合軟磁性材でできている。この場合、コア本体は射出成型によって形成され、磁性粉充填率は50重量%程度となっている。ソフトフェライトを含んだ軟磁性材をこのような充填率で射出成型してコア本体を形成することで、成形が容易となり、コアの形状の設定自由度を向上させることができる。
【0076】
又は、コア本体がエポキシ樹脂にFe−Si−Al系センダストを混合した混合軟磁性材でできていても良い。この場合、コア本体は圧粉成型によって形成され、磁性粉充填率は90重量%以上となっている。センダストを含んだ軟磁性材をこのような充填率で圧粉成型してコア本体を形成することで、透磁率を高めて検出特性を向上させることができる。また、透磁率の温度特性を向上させ、幅広い温度範囲の環境で回転センサを使用することができる。
【0077】
そして、一方の組のコイルコア150(コイルA1とコイルB1)は、センシング部115の周方向に以下のように互いにずらして配置する。具体的には、センシング部115の幅の変化がセンシング部115の周方向360度当たり繰り返される回数を分割数とし、S=360度/分割数とすると、配置される一方の組のコイルコアの周方向になす角度θは、
θ=n×S+S/4(但し、nは整数)で規定されている。同じく、他方の組のコイルコア160もこの角度θをなすようにセンシング部115の周方向に互いにずれて配置されている。
【0078】
また、図11には本変形例における信号処理回路を示しており、信号発生部250,260はコイルコア150,160で検出された信号をそれぞれ増幅して信号処理部350,360に出力する役目を果たしている。また、信号処理部350,360は、入力された信号を各CPUで処理してECU400にそのデータを出力する役目を果たしている。また、ECU400は、入力されたデータより、回転体の回転角度を検出する役目を果たしている。
【0079】
このような変形例の構成によって、一方の組のコイルコアからの信号による出力データと、他方の組のコイルコアからの信号による出力データとを確認することにより、主回転体の回転角度を検出する際の冗長性を確保することができるようになる。
【0080】
以上説明したように、従来技術にかかる回転センサは、回転方向に幅が変化するロータとコイルコアを使用して主回転体の回転角度を検出するとともに、主回転体の360度以上の回転角度の測定を可能とするために、主回転体と連結して回転するゼネバギアを備え、更にこのゼネバギアの回転を回転方向に幅が変化するロータとコイルコアを使用して検出するようになっていた。
【0081】
しかしながら、本発明にかかる回転センサはこのようなゼネバ歯車を用いていない。すなわち、主回転体と歯車を介して連結している副回転体を設け、ゼネバ歯車の代わりにその副回転体に磁石を備えるとともに固定部材にMR素子などの磁束変化を検知するセンサ素子を設けて磁石とセンサ素子との組み合わせで副回転体の回転角度を検出するようになっている。このように電磁誘導方式で主回転体の回転を検出するとともに磁石とセンサとの組み合わせで磁束変化を検出する方式で副回転体の回転を検出して、この2種類の信号から主回転体の360度以上の範囲の回転角度を算出している。
【0082】
そして、本発明がこのような構成を有することで、ゼネバ歯車を備えた従来の回転センサの欠点、すなわち主回転体の回転数をゼネバ歯車、導電層、検出コイルによって回転数ごとに段階的に出力することで主回転体の各回転数に対応した出力段の段差が小さいと主回転体の回転数を検出しづらくなる欠点を解決できた。
【0083】
また、検出角度が広い場合、ゼネバ方式では、多くの階段状信号が必要になり、機構部が大きくなり、小型化に不利であるが、本発明の方式によると小型化が可能となる。
【0084】
これに加えて、本発明にかかる回転センサは、従来技術にかかる回転センサの更なる欠点であるゼネバ歯車が振動などにより回転してしまうおそれがあることに起因する回転センサ自体の耐振動性低下の問題も解決できた。
【0085】
更に、本発明にかかる回転センサは、従来技術にかかる回転センサの更に別の欠点である組み付け性やコストの問題、すなわちゼネバ歯車に回転方向により幅が変化するロータを設け、このロータを挟む位置にコイルとコアの組を設ける場合に部品の位置決めが容易でないため回転センサ自体の組み付け性が良くない欠点と部品及び組立工数のコストが高くなる欠点も解決することができた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明にかかる回転センサは、自動車のステアリング装置の回転角度検出に適している。しかしながら、本発明にかかる回転センサは、例えば、ロボットアームのように互いに回転する回転軸間の相対回転角度や回転トルクを求めるものであれば、どのようなものにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態にかかる回転センサを、上ケースを透過した状態で示した平面図である。
【図2】図1に対応する回転センサの内部構成を一部透過した状態で示す側面図である。
【図3】図1に示した回転センサのコイルコアとセンシング部との関係を拡大して示した斜視図である。
【図4】図3に示したコイルコアの一方のコイルコアのみを拡大して示した斜視図である。
【図5】図3に示したコイルコアとセンシング部との組み合わせからロータの回転角度を検出する方法を図5(a)から図5(b)の順番に示した説明図である。
【図6】コイルコア検出出力の周期に対する割合とMR素子検出出力の周期に対する割合との絶対回転角度に対応する組み合わせを示した検量線である。
【図7】測定すべき回転体の絶対回転角度とコイルコア検出出力の周期に対する割合及びMR素子検出出力の周期に対する割合を示した図である。
【図8】小舵角、大舵角、絶対回転角度の関係を小舵角44度から46度の範囲で絶対回転角度順に示した一覧表である。
【図9】小舵角と大舵角の検出出力からメモリテーブルを用いずに計算により絶対回転角度を算出する方法を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態の変形例にかかる回転センサを、上ケースを部分的に透過した状態で示した平面図である。
【図11】図10に示した変形例の信号処理回路である。
【符号の説明】
【0088】
1 回転センサ
10 ロータ
11 第1歯車
12 第2歯車
15 センシング部
15a ステー
20 ケース
21 下ケース
22 上ケース
25 コネクタ
50 コイルコア
51 コア本体
52 励磁コイル
61 磁石
62 MR素子(磁束検出素子)
110 ロータ
115 センシング部
150 コイルコア
151,152 コイル
160 コイルコア
161,162 コイル
250,260 信号発生部
350,360 信号処理部
400 ECU
S シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定すべき回転体とともに一体に動く主回転体と、当該主回転体の回転に対応して当該主回転体の回転数と異なる回転数で回転する副回転体と、前記主回転体の回転を検出する第1の検出手段と、前記副回転体の回転を検出する第2の検出手段とを有し、前記第1の検出手段の検出信号と第2の検出手段の検出信号とから測定すべき回転体の絶対回転角度を検出する回転センサにおいて、
前記第1の検出手段と第2の検出手段から得られる各検出信号がそれぞれ各回転体の回転に対応して周期的に出力され、かつ前記第1の検出手段の検出信号の周期をTc、前記第2の検出手段の検出信号の周期をTmとした場合、
(Tm−Tc×i)×n=Tm(i及びnは正の整数)の関係を満たすことを特徴とする回転センサ。
【請求項2】
前記主回転体の検出信号の周期Tcを90度、前記副回転体の検出信号の周期Tmを191.25度とすることを特徴とする、請求項1に記載の回転センサ。
【請求項3】
前記主回転体の検出信号の周期Tcを120度、前記副回転体の検出信号の周期Tmを130度とすることを特徴とする、請求項1に記載の回転センサ。
【請求項4】
前記主回転体の検出信号の周期Tcを120度、副回転体の検出信号の周期Tmを260度とすることを特徴とする、請求項1に記載の回転センサ。
【請求項5】
前記周期Tm及び周期Tcに互いに異なる正の整数をかけたそれぞれの倍数において共通で最小のものをTxとすると、
Tx≧1440度の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の回転センサ。
【請求項6】
前記Tx及びTcが、Tx=Tc×n(nは正の整数)の関係を満たすことを特徴とする、請求項5に記載の回転センサ。
【請求項7】
前記第1の検出手段が、前記主回転体と一体に回転しかつ周方向に沿って幅が変化する導電性のセンシング部と、前記センシング部と協働して電磁誘導により前記主回転体の回転角度を検出する励磁コイルとを備えるとともに、前記第2の検出手段が、前記副回転体に磁石を設け、前記副回転体の回転に応じた前記磁石の磁束変化を検出する磁束検出素子を備えたことを特徴とする、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の回転センサ。
【請求項8】
前記励磁コイルはポリフェニレンスルフィドにMn−Zn系軟磁性材フェライトを混合した混合軟磁性材でできたコア本体によって保持されていることを特徴とする、請求項7に記載の回転センサ。
【請求項9】
前記励磁コイルは、エポキシ樹脂にFe−Si−Al系センダストを混合した混合軟磁性材でできたコア本体によって保持されていることを特徴とする、請求項7に記載の回転センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−24863(P2007−24863A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15657(P2006−15657)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】