説明

回転体駆動装置、及び画像形成装置

【課題】 回転体等の着脱や組み込みが容易で、負荷変動に対してねじれや遊びが発生しない高剛性に優れ、回転体の中空部への組み込みによる慣性効果と取り付けによる回転振れが少なく高回転精度を獲得する小型で省スペースの回転体駆動装置、及びその回転体駆動装置を備えて利便性や汎用性に優れ高品質の記録画像を形成する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 回転体1の一端側を回転可能に支持する一端側支持部11と、前記回転体1の他端側の中空部2に組み込まれた回転駆動手段3と、前記回転駆動手段3の回転中心軸であって前記回転体1の他端側を回転可能に固定的に位置決めして支持する支持軸4と、前記回転駆動手段3に給電する給電手段5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム形状の回転体の中空部に駆動手段を有する回転体駆動装置、及びその回転体駆動装置を備えた記録画像を作像する印刷機や電子写真方式の作像プロセスでトナーの記録画像を形成する複写機、ファクシミリ装置、プリンタあるいはこれ等の複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転体駆動装置においては、両端を固定した固定軸と、円筒体及び同円筒体の両端に取り付けた2個の端板よりなり同2個の端板の軸部で回転自在に前記固定軸で支承されているドラムと、前記ドラムの内側で前記固定軸に固定したステータ及び同固定軸上で回転する円筒軸を持つアウターロータよりなる駆動モータと、前記固定軸に固定支持された内ローラ及び同固定軸上で回転して入力軸となる太陽ローラ及びこれ等の両ローラに接して遊星回転する遊星ローラ及び同遊星ローラを回転可能に支持して出力軸となるキャリアよりなる遊星ローラ式減速機とよりなり、軸方向寸法が短く、且つドラムに振動や回転むらを発生しない、特に複写機の画像出力装置に適したドラム駆動装置が知られている(特許文献1を参照)。
また、ドラム体内を貫通し電子写真複写機の側板に支持された中空のドラム支持軸と、このドラム支持軸の一側に固定されたアウターロータモータとを具備し、複写時、アウターロータモータの回転駆動力をドラム体の一端部に伝達して所定の動作を行わせるようにした電子写真複写機のドラム支持装置において、上記ドラム支持軸の内部に上記アウターロータモータの電線類を配線するとともに上記ドラム支持軸の上記側板の外側に上記電線類の出口穴を形成し、かつ、上記アウターロータモータの出力部の一端面に上記ドラム支持軸に対して同軸的に固定された後端フランジ部と、該フランジ部とドラム体の一端部とが係合する駆動力伝達部には、軸方向に係合・離脱可能のテーパ部が形成されるとともに、上記ドラム体の他端部に配設された上記ドラム体の一端部をアウターロータ側に、上記フランジ部と上記ドラム体の一端部の各テーパ部を互いに圧接係合させる押圧手段と、上記出力部の一端面と上記フランジ部が共用する軸受とを有するようにして、ドラムの支持軸に固設する駆動装置からドラム体を容易に着脱しうるように取り付けて、その組立・調整を簡便にするとともに、画像形成を良好になすことができるようにした電子写真複写機のドラム支持装置も知られている(特許文献2を参照)。
また、透光性支持体上に透光性導電層と光導電体層を積層してなる感光体ドラムの内周側に、画像形成用の露光手段を配し、該露光手段を固定した状態で前記感光体ドラムを回転可能に構成した画像形成装置において、少なくともドラム内径よりも小に形成したステータの外周側若しくは該ステータ部端面側にロータを配したドラム駆動モータを有し、前記ステータ部の軸心を感光体ドラムの仮想軸心に一致させつつ、前記ロータ部を感光体ドラム側に、又ステータを前記露光手段に夫々固設するようにして、前記感光体ドラムの小径化を達成しつつ、該ドラムと露光手段間の位置間隔を精度よく維持して、又前記ドラムに回転力を付与した場合においても感光体ドラム側に振動が伝達される事なく現像間隔や焦点距離を高精度に維持する画像形成装置も知られている(特許文献3を参照)。
これらは、ドラム内を貫通する1本の支持軸を用いて、この両端を本体に支持するとともに、この軸にアウターロータモータを形成して、ドラムを回転させる構造である。
【0003】
しかし、例えば、A3サイズ用のプリント機のドラム長は、350mm程度にもなり、この極めて長い軸に対して、磁気回路用の巻き線等の作業を施さなければならなかったので、アウターローモータを形成するのは極めて困難な作業であった。インナーロータ型モータの形成も同様であった。
また、磁気回路用の巻き線等の作業が極めて困難で、サービス性、メンテナンス性、リユース(再利用)性等を目的とした回転体の着脱とモータ体の取り外しが自在にできない構造で、必要な回転精度を獲得することも困難であった。
なお、回転体の外側にモータを保持する方法では、画像形成装置における感光体ドラムの回転軸延長の位置で、a)装置本体側板にジョイント機構が数箇所、回転伝達・減速機構、モータが配設される形態、b)モータをドラム軸に直接結合させた、ダイレクト駆動形態もある。
a)の方式では、定速で安定な回転確保のために、個々の部品精度を高く作る必要があること(構成部品数の積み上げで精度が決定する)と、前記各部品のレイアウトにより5cm〜10cmにもわたる空間が必要になり、装置の大型化が免れない。この形態は、極めて多数あり、ギヤ伝達、ベルト伝達等多くの方式が存在する。
【0004】
図10は、従来の感光体ドラム201を回転駆動する回転体駆動装置の要部構成図である。同図では、回転駆動系は、駆動源であるモータ202、減速機構203となるギヤ、感光体ドラム201とを繋ぐジョイント機構204、給電線205等より構成されている。感光体ドラム201を支持する支持軸211の両端側は、両側板212の各軸受213によって回転可能に支持されており、図示するように、感光体ドラム201の端部とモータ202の端部とは、突き出し長さ(L)に相当する回転駆動系の突き出しスペースが存在して装置を大型化していた。
b)の方式は、精度面からは高いものが得られるが、モータの長手寸法が外側にはみ出すことに変わりなく装置の大型化は解消しない。
一方、画像形成装置における感光体ドラムの内部に駆動モータを組み込んだ形態もある(特許文献4、特許文献5を参照)。
これらは、安定回転の工夫がされているが、サービスマンが容易に感光体ドラムだけを交換する場合における、精度の再現性が悪かった。更に、構成が複雑で、より高い精度確保と着脱も困難である。
更に、画像形成装置における感光体ドラム駆動装置に磁気回路構成によらない波動駆動構成の超音波モータを使用することによって、回転部材に支持される感光体ドラムが、回転部材を通して弾性部材上に発生する進行波により回転駆動されるので、駆動装置と感光体ドラムとの間に駆動伝達手段が介在しなくなり、これにより生ずる回転変動を防止することも知られている(特許文献3、特許文献6を参照)。
【特許文献1】特開平5−180290号公報
【特許文献2】実公平7−27478号公報
【特許文献3】特許第2868320号
【特許文献4】特開平11−168894号公報
【特許文献5】特開平11−174905号公報
【特許文献6】特開平2−235071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の回転体駆動装置、及びその回転体駆動装置を備えた画像形成装置においては、磁気回路用の巻き線等の作業が極めて困難で、サービス性、メンテナンス性、リユース性等を目的とした回転体の着脱とモータ体の取り外しが自在にできない構造で、必要な回転精度を獲得することも困難で、大型化すると言う問題が発生していた。
そこで本発明の課題は、このような問題点を解決するものである。即ち、回転体等の着脱や組み込みが容易で、負荷変動に対してねじれや遊びが発生しない高剛性に優れ、回転体の中空部への組み込みによる慣性効果と取り付けによる回転振れが少なく高回転精度を獲得する小型で省スペースの回転体駆動装置、及びその回転体駆動装置を備えた小型で省スペースの画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、ドラム形状の回転体の中空部に駆動手段を有する回転体駆動装置において、回転体の一端側を回転可能に支持する一端側支持部と、前記回転体の他端側の中空部に組み込まれた回転駆動手段と、前記回転駆動手段の回転中心軸であって前記回転体の他端側を回転可能に固定的に位置決めして支持する支持軸と、前記回転駆動手段に給電する給電手段を備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の回転体駆動装置において、前記回転体は、感光体ドラムである回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の回転体駆動装置において、前記回転体は、現像ローラである回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の回転体駆動装置において、前記回転体は、搬送ベルト回転駆動ローラである回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、前記回転体に着脱を可能にする着脱手段を備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の回転体駆動装置において、前記着脱手段は、前記回転駆動手段3を位置決め部に位置決めして固定するフロントプレートとエンドプレートを備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
【0007】
又は、請求項7に記載の本発明は、請求項6に記載の回転体駆動装置において、前記着脱手段は、前記回転体に前記フロントプレートを固定する螺子部を備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項8に記載の本発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、前記支持軸と同一軸芯に配置した減速機構を備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項9に記載の本発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記支持軸は、1ウエイクラッチ軸受を備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項10に記載の本発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、インナーロータを前記支持軸と一体で固定する回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項11に記載の本発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、ステータおよびハウジング部分のアウターロータを前記回転体とともに回転駆動する回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項12に記載の本発明は、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記給電手段は、前記回転体の他端側と側板の間に回転型接触給電機構を備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項13に記載の本発明は、請求項12に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、中空部を有する固定側給電手段又は回転側給電手段を前記支持軸に挿入して一方を回転可能に係合する回転体駆動装置であることを特徴とする。
【0008】
又は、請求項14に記載の本発明は、請求項13に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、前記固定側給電手段と前記回転側給電手段の間に導電性ボールを備える回転体駆動装置。
又は、請求項15に記載の本発明は、請求項13又は14に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、前記固定側給電手段と前記回転側給電手段の間に導電性グリースを塗布する回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項16に記載の本発明は、請求項13、14又は15に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、前記固定側給電手段と前記回転側給電手段の間に予圧を付与する予圧付与部材を備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項17に記載の本発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、波動モータを備える回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項18に記載の本発明は、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、前記回転体の一部に回転時間検出機構を備えて、前記回転時間検出機構の出力結果により等速制御又は等位置制御を行う回転体駆動装置であることを特徴とする。
又は、請求項19に記載の本発明は、中空部を有するドラム形状の回転体を回転駆動して記録画像を形成する画像形成装置において、記録画像を形成する画像形成部と、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の前記回転体駆動装置を備える画像形成装置であることを特徴とする。
又は、請求項20に記載の本発明は、請求項19に記載の画像形成装置において、前記画像形成部は、電子写真方式の作像プロセスでトナーの記録画像を形成する画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転体等の着脱や組み込みが容易で、負荷変動に対してねじれや遊びが発生しない高剛性に優れ、回転体の中空部への組み込みによる慣性効果と取り付けによる回転振れが少なく高回転精度を獲得する小型で省スペースの回転体駆動装置、及びその回転体駆動装置を備えて小型で省スペースの画像形成装置を提供することができる。
また、サービスマンが容易に感光体ドラム等の回転体だけを交換することができ、資源の有効活用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態例にかかる回転体駆動装置の基本構成を示す断面図である。この回転体駆動装置は、ドラム形状の回転体1の中空部2に回転駆動手段3を有している。回転体駆動装置は、回転体1の一端側を回転可能に支持する一端側支持部11と、回転体1の他端側の一部又は全体に形成した中空部2と、中空部2の開口部近傍に組み込まれた回転駆動手段3と、回転駆動手段3に給電する給電線57を備えている。また、回転駆動手段3の動力軸4は、止め螺子15により回転止め14に固定されており、回転体1は回転駆動手段3とともに回転する。この回転体駆動装置の回転体1を画像形成装置で使用される電子写真プロセスにおける感光体ドラム、現像ローラ、又は搬送ベルト回転駆動ローラ等に応用することも容易にできる。
すなわち、本発明の回転体駆動装置では、回転駆動手段3であるモータを回転体1の内部に形成した中空部2に入れ込んで位置決めする。
この例で使用する回転駆動手段3のモータはインナーロータモータであるが、アウターロータモータであってもよい。図示する回転体駆動装置の場合は、回転駆動手段3のモータのインナーロータ32の動力軸4が装置本体側に固定され、ステータ及びハウジング相当部分が回転体1とともに一体的に回転駆動されることになる。
回転体1の一端側の一端側支持部11は、図示する左側の側板12に、回転体1の他端側の動力軸4は図示する右側の側板12に、軸受13により保持される。
動力軸4は、側板12に固定された回転止め14に止め螺子15で本体と固定的に位置決めして支持するようになっていて、回転体1や回転駆動手段3の着脱や組み込みが容易にできる。
更に、図示するように、回転駆動手段3のモータの動力軸4である回転中心軸を直接的に本体の側板12に支持しているので、回転軸としては最もシンプルな構成となり、異なる一端側支持部11によって両軸芯が支持され、高い回転振れ精度を獲得することができる。
このような回転駆動手段3のモータは、後述する回転型接触給電機構50によって給電されて回転駆動する。
従って、回転体1や回転駆動手段3のモータ等の着脱や組み込みが容易で、ジョイントを介在しないので負荷変動に対してねじれや遊びが発生しない剛性に優れ、回転体1の中空部2への組み込みによる慣性効果と取り付けによる回転振れが少なく高回転精度を獲得する小型で省スペースの回転体駆動装置を提供することができる。
【0011】
図2は、本発明の回転体駆動装置にかかる回転駆動手段3の着脱を説明する拡大断面図である。同図において、回転駆動手段3のモータは、位置決め部60に位置決めしたフロントプレート61とエンドプレート62により回転体1の中空部2に固定されている。そして、フロントプレート61は、回転体1に螺子部63で固定されている。回転体駆動装置における回転駆動手段3のモータの動力軸4と回転体1の芯出しは、フロントプレート61とエンドプレート62を使用して高精度に行われる。
フロントプレート61とエンドプレート62の内径部と回転駆動手段3のモータの位置決め部60とは、同軸となるように位置決めして固定螺子64で固定され、その後内周と外周とが同軸加工された回転体1の内周に嵌合させて、調芯される。フロントプレート61と回転体1の嵌合部には螺子63が切られていて、最後に螺子止めして固定する。
例えば、回転体1が感光体ドラムの場合では、感光層の劣化時のサービスマンによる交換や回収品の再生加工時において、組み込まれた回転駆動手段3のモータの取り外しと、再組み込みが繰り返し行われるので精度の再現性が必要であるが、本回転体駆動装置においては容易に行うことができる。
また、モータが回転体1から取り外し可能な構成であるとともに、調芯構造となって組み込まれているので、モータの取り外しは、パーツのリユースを可能にする。この時、前記の芯出し構造を有することにより、容易に回転偏心のない再現性のある回転体駆動装置の製作も可能である。
【0012】
図3は、本発明の他の実施形態にかかる回転体駆動装置の要部構成を示す断面図である。同図において、回転駆動手段3(モータ)は、動力軸4と同一軸芯に配置した減速機構30を備えて回転体1に組み込まれている。モータの回転中心軸と同一の延長軸芯上から出力軸を引き出せる減速機構30としては、遊星歯車方式、トラクションローラ、又はウェッジローラ方式等がよく、これを連結させた後に回転体1に組み込む。回転体1と動力軸4とは、図1と図2で説明したのと同じ調芯方法と固定方法により組み込むことができる。
従って、減速機構30を介在させる事で、低速回転ではトルク発生の小さなモータや、低速回転では等速性が失われるモータでも、高速回転を減速して安定な回転体1の回転速度とすると同時に、回転中心軸をそのまま動力軸4としているので、装置取り付けによる回転振れを最少に抑えることができる。更に、小型モータと減速機構付モータの組み込みにより、必要な回転数とトルクの確保が可能であり、小径な回転体1に対しても応用が可能である。
【0013】
図4は、本発明の他の実施形態にかかる回転体駆動装置の要部構成を示す断面図である。同図において、動力軸4は、1ウエイクラッチ軸受40により支持されている。回転体1の回転体駆動装置に対する交換作業が頻繁に行われる都合上、回転体1の回転体駆動装置に対する正確な設定と位置固定が必要である。更に着脱時は、螺子を外す様な煩わしさを有しない方法が望まれる。そこで、図示するように、回転軸芯となる動力軸4は、1ウエイクラッチ軸受40で支持されている。
回転体1の回転方向に応じて図示の矢印(A)方向の回転可の方向、又は図示の矢印(B)方向の回転不可の方向でロックする方向を決定して、本体の側板12に設定する。着脱時は、図示の左側の側板12を移動して、動力軸4を図示の矢印(C)方向の軸方向にスライドするだけでよく、回転動作方向に対しては、1ウェイのロック作用で自動的に動力軸4が固定されて、以後、回転駆動手段3の回転力により回転体1が所定の回転を行う。
従って、回転駆動手段3の回転とともに自動的に動力軸4がロックし、回転体1の回転が可能となる。螺子による締め付け固定では、ガタ分による偏芯が発生するが、この問題が解決される。更に、回転体1の着脱が、図示する左側面の回転体駆動装置の前面から図示の長手方向移動だけで可能となる等、着脱時の操作性向上のメリットが大きい。
【0014】
図5は、本発明の実施の形態例にかかる回転体駆動装置における回転型接触給電機構50を説明する図であり、図6は、回転型接触給電機構50の拡大断面図である。
図5および図6において、回転体1は、パルス駆動モータ、又はDCモータ等により駆動される。この場合、回転側に給電線57を用いてそのままで給電することは不可能であるので、回転型接触給電機構50を回転駆動手段3のモータと本体装置の側板12の間に配設する。
回転型接触給電機構50は、中空部51を有した固定側給電手段52と、回転側給電手段53とを動力軸4に挿入して一方を回転可能に係合する。電気的に(IN)に相当する給電線57(IN)の固定側給電手段52と、電気的に(OUT)に相当する給電線57(OUT)の回転側給電手段53とを対向させ、両者間を接触導通できるように導電性の導電性ボール54、又は図示しない導電性接点により電気的に接触させる。
固定側給電手段52と回転側給電手段53の両者間は、付勢部材(予圧付与部材)56のバネにより一定の力(予圧)を付加して確実にコンタクトさせるようになっている。接点部は接触抵抗を下げ、且つ安定性を得るための材料選択が行われ、寿命向上と安定性を得る事を目的に導電性グリース55を塗布して用いる。回転型接触給電機構50の全体は、回転駆動手段3から伸びた動力軸4に差し込まれ、これと同芯で回転可能に構成されている。
電気的に(OUT)に相当する給電線57(OUT)の回転側給電手段53は、回転体1とともに回転し、電気的に(IN)に相当する給電線57(IN)の固定側給電手段52は側板12に対する回転止めのため、止め螺子58で固定されている。これにより回転体1の着脱に際しては、支持軸4の長手方向への移動で回転型接触給電機構50と一体となって取り外すことが可能である。
従って、回転体1の内に組み込まれた回転駆動手段3のモータに対して、回転しながら電源や制御信号を供給して回転駆動することができる。更に、回転型接触給電機構50は、回転体1の着脱に際しても回転体1と一体で容易に着脱することが可能である。
【0015】
図7は、本発明の他の実施形態にかかる回転体駆動装置の要部構成を示す拡大断面図である。同図において、回転駆動手段3は、波動モータ31の超音波モータを備えている。波動モータ31は、巻き線を必要とせずに構成されるので回転体1の長手方向が極めて短く構成できる。本構成ではロータ34の部分を、回転体1の内径部に同軸度を確保しながら位置決め固定した後、軸受16と加圧板17でロータ34に対向するように回転進行波を発生する弾性体であるステータ部35を加圧させている。
両者のロータ34とステータ部35のスライダ部41の摩擦力により回転が行われる。この時ステータ部35にはジョイント部36が構成されており、本体の側板12に設けられて固定されているカップリング37と凹凸の関係で係合して固定されている。更に、回転中心を規制する動力軸4と中心だし部39が設けられていて、これにより回転体1の全体が支持されて偏芯のない、高精度な回転体1の回転が行われる。
この場合の給電は、本体固定のステータ部35側の圧電セラミックス42に直接、給電線57で行えば良いので、前述の回転型接触給電機構50を設ける必要はない。この回転体駆動装置は、電子写真プロセスを使用した画像形成装置の現像ローラ等に応用することができる。例えば、現像ローラでは、磁気の影響を受け易く、トナーに含まれるキャリアの移動分布が乱れ、その結果、現像に必要な適正な穂立ち現象を乱してしまう。これによってトナー画像を乱してしまうことになるので、磁気影響を持たない波動モータ31によりこれを解決することができる。
【0016】
図8は、本発明の実施形態にかかる回転体駆動装置における回転駆動制御部の要部構成を示すブロック図である。同図において、回転駆動手段3は、回転時間検出機構7を備えて、等速回転制御や等位置制御等を行うようになっている。回転時間検出機構7は、回転体1とともに回転して、回転位置情報を検出するエンコーダプレート70を備えている。そして、本体側には磁気あるいは光読み取りのセンサ71のディテクターを有し、エンコーダプレート70から回転位置情報を読み取って、速度変動検出部72で速度変動を検出して、演算部73で回転駆動の制御目標値の演算を行う。
その後、演算結果に基づきコントローラ74、駆動部75、給電線57(IN)を介して回転体1に組み込まれた回転駆動手段3のモータを回転制御する。伝達系を介在することなく回転体1自身の回転を検出して制御するので、高精度な回転制御が可能となる。
【0017】
図9は、本発明の実施の形態例にかかる回転体駆動装置を備えた画像形成装置の要部構成図である。同図において、中空部を有するドラム形状の回転体を回転駆動して記録画像を形成する画像形成装置100は、記録画像を形成する画像形成部101と、回転体駆動装置を備えている。
画像形成部101は、電子写真方式の作像プロセスで利便性や汎用性に優れ高速で高品質のトナーの記録画像を被記録媒体(P)の記録用紙等に形成するようになっている。
画像形成装置100は、被記録媒体(P)にトナーの記録多色画像を形成する画像形成部101と、画像形成部101を下方で支持して被記録媒体(P)を図示の矢印(D)方向に給送する被記録媒体給送部120と、画像形成部101の側面に形成した被記録媒体(P)を排出して収納する排紙トレイ130からなるフルカラーの記録多色画像を形成するフルカラープリンタである。
画像形成装置100は、画像形成部101に、イエロー作像ユニット101(Y)、マゼンタ作像ユニット101(M)、シアン作像ユニット101(C)、ブラック作像ユニット101(Bk)の4つのユニットが着脱可能に搭載されて、電子写真方法の作像プロセスで被記録媒体(P)にトナーの記録画像を形成することができるようになっている。
画像形成部101におけるベルト形状をした中間転写体としての搬送ベルト107は、所定の走行経路に沿ってエンドレスに搬送ベルト回転駆動ローラ108と搬送ベルト従動ローラ109等に張架されており、回転体1が搬送ベルト回転駆動ローラ108の回転体駆動装置によって図示の矢印(E)方向へ回転駆動される。
搬送ベルト107の上側の走行面に沿って、4つの各作像部に、前述の4つの作像ユニットが着脱可能に搭載されて配置されており、それぞれの4つ各作像部の回転体1である感光体ドラム102は、回転体駆動装置によって図示の矢印(F)方向へ回転駆動される。
【0018】
それぞれの4つの作像ユニット101の各作像部では、感光体ドラム102の周囲に、感光体ドラム102の表面に帯電処理を行う帯電手段103、画像情報で感光体ドラム102の表面にレーザ光のビーム105で照射する潜像形成手段104、感光体ドラム102の表面に露光されて形成された静電潜像を現像する現像ローラ106、及び感光体ドラム102の表面に残留するトナーを除去回収する感光体クリーニングユニット112が配置されている。
そして、最初にイエロー作像ユニット101(Y)の配置された作像部で、回転体駆動装置によって回転駆動される回転体1である現像ローラ106によってイエロー(Y)色のトナーの画像を現像し、一次転写ローラ110によって搬送ベルト107に転写する。次に、マゼンタ作像ユニット101(M)、シアン作像ユニット101(C)、ブラック作像ユニット101(Bk)の順に各色のトナーの画像を現像し、一次転写ローラ110によって搬送ベルト107に転写する。
4つの作像ユニット101の作像部が、近接する搬送ベルト107の上側走行面とは異なった搬送ベルト107の下側の走行面上には、搬送ベルト107上に複数の画像を重ね転写された4色のトナーの記録画像を被記録媒体(P)に二次転写する二次転写ローラ対111、二次転写後の搬送ベルト107の表面に残留するトナーを除去回収する搬送ベルトクリーニングユニット113がそれぞれ配置されている。
【0019】
また、二次転写ローラ対111にて、複数の画像を重ね合わせたトナーの記録画像の二次転写を受けた被記録媒体(P)が搬送される搬送経路の図示の矢印(G)方向の下流側に、トナーの記録画像を加熱定着の処理をする定着手段115の加熱ローラ116と加圧ローラ117が配置されている。
そして、定着手段115を通過した被記録媒体(P)は排紙ローラ対118により排紙トレイ130に排紙して収納される。
被記録媒体給送部120においては、給紙カセットに未使用の被記録媒体(P)が収容されており、最上の被記録媒体(P)から送り出されてレジストローラ対114に搬送される。
レジストローラ対114は、被記録媒体(P)の搬送を、一時止めて、搬送ベルト107上の複数の画像を重ね合わせたトナーの記録画像と被記録媒体(P)の先端との位置関係が所定の位置に一致するようにして、タイミングをとって回転駆動が開始するよう、制御されるようになっている。
従って、回転体1である感光体ドラム102等の着脱や組み込みが容易で、負荷変動に対してねじれや遊びが発生しない高剛性に優れ、回転体1である感光体ドラム102等の中空部2への組み込みによる慣性効果と取り付けによる回転振れが少なく高回転精度を獲得する小型で省スペースの画像形成装置100を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態例にかかる回転体駆動装置の基本構成を示す断面図である。
【図2】本発明の回転体駆動装置にかかる回転駆動手段3の着脱を説明する拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態にかかる回転体駆動装置の要部構成を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態にかかる回転体駆動装置の要部構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態例にかかる回転体駆動装置における回転型接触給電機構を説明する図である。
【図6】図5に示した回転型接触給電機構の拡大断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる回転体駆動装置の要部構成を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかる回転体駆動装置における回転駆動制御部の要部構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態例にかかる回転体駆動装置を備えた画像形成装置の説明図である。
【図10】従来の回転体である感光体ドラムを回転駆動する回転体駆動装置の要部構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 回転体、2 中空部、3 回転駆動手段、4 支持軸、5 給電手段、6 着脱手段、7 回転時間検出機構、10 回転体駆動装置、11 一端側支持部、12 側板、13 軸受、14 回転止め、15、58 止め螺子、16 軸受、17 加圧板、30 減速機構、31 波動モータ、32 インナーロータ、33 アウターロータ、34 ロータ、35 ステータ部、36 ジョイント部、37 カップリング、38 中心だし部、40 1ウエイクラッチ軸受、41 スライダ部、42 圧電セラミックス、50 回転型接触給電機構、51 中空部、52 固定側給電手段、53 回転側給電手段、54 導電性ボール、55 導電性グリース、56 付勢部材、57 給電線、60 位置決め部、61 フロントプレート、62 エンドプレート、63 螺子部、64 固定螺子、70 エンコーダプレート、71 センサ、72 速度変動検出部、73 演算部、74 コントローラ、75 駆動部、100 画像形成装置、101 画像形成部、101(Y) イエロー作像ユニット、101(M) マゼンタ作像ユニット、101(C) シアン作像ユニット、101(Bk) ブラック作像ユニット、102 感光体ドラム、103 帯電手段、104 潜像形成手段、105 ビーム、106 現像ローラ、107 搬送ベルト、108 搬送ベルト回転駆動ローラ、109 搬送ベルト従動ローラ、115 定着手段、116 加熱ローラ、117 加圧ローラ、118 排紙ローラ対、120 被記録媒体給送部、130 排紙トレイ、201 感光体ドラム、202 モータ、203 減速機構、204 ジョイント機構、205 給電線、210 回転体駆動装置、211 支持軸、212 側板、213 軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム形状の回転体の中空部に駆動手段を配置した回転体駆動装置において、前記回転体の一端側を回転可能に支持する一端側支持部と、前記回転体の他端側の中空部内に組み込まれた回転駆動手段と、前記回転駆動手段の回転中心軸であって前記回転体の他端側を回転可能に固定的に位置決めして支持する支持軸と、前記回転駆動手段に給電する給電手段と、を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、前記回転体は、感光体ドラムであることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、前記回転体は、現像ローラであることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、前記回転体は、搬送ベルト回転駆動ローラであることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、前記回転体に着脱を可能にする着脱手段を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の回転体駆動装置において、前記着脱手段は、前記回転駆動手段を位置決め部に位置決めして固定するフロントプレートとエンドプレートを備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回転体駆動装置において、前記着脱手段は、前記回転体に前記フロントプレートを固定する螺子部を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、前記支持軸と同一軸芯に配置した減速機構を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記支持軸は、1ウエイクラッチ軸受を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、インナーロータを前記支持軸と一体で固定することを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、ステータおよびハウジング部分のアウターロータを前記回転体とともに回転駆動することを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記給電手段は、前記回転体の他端側と側板の間に回転型接触給電機構を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項13】
請求項12に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、中空部を有する固定側給電手段又は回転側給電手段を前記支持軸に挿入して一方を回転可能に係合することを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項14】
請求項13に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、前記固定側給電手段と前記回転側給電手段の間に導電性ボールを備えた構成を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、前記固定側給電手段と前記回転側給電手段の間に導電性グリースを塗布した構成を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項16】
請求項13、14又は15に記載の回転体駆動装置において、前記回転型接触給電機構は、前記固定側給電手段と前記回転側給電手段の間に予圧を付与する予圧付与部材を備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項17】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、波動モータを備えることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の回転体駆動装置において、前記回転駆動手段は、前記回転体の一部に回転時間検出機構を備えて、前記回転時間検出機構の出力結果により等速制御又は等位置制御を行うことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項19】
中空部を有するドラム形状の回転体を回転駆動して記録画像を形成する画像形成装置において、記録画像を形成する画像形成部と、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の前記回転体駆動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
請求項19に記載の画像形成装置において、前記画像形成部は、電子写真方式の作像プロセスでトナーの記録画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−47613(P2007−47613A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233796(P2005−233796)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】