説明

回転装置

【課題】回転装置の機械的損失をできるだけ小さくしながらも、外部装置が接続される側に設けられた軸受を十分に冷却すること。
【解決手段】遠心ファン7の小羽根72が回転することで、ダクト5を介して、第2の軸受62が配置される側にある、ハウジング1の副吸気口13aから冷却用エアがハウジング1内に吸入される。つまり、図1に示すようにハウジング1の第2の端部1b側にエンジン160が配置されている場合であっても、ダクト5から供給される冷却用エアにより第2の軸受62を冷却することができる。また、小羽根72のサイズを大羽根71より小さし、小羽根72による風量を比較的小さくしている。これにより、例えば第2の軸受62を冷却するために、軸流ファンを設けたり、別途の遠心ファン7を設けたりする場合に比べ、ダイナモ150を大型化することを防止でき、また、ダイナモ150の機械的損失をできるだけ小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナモやモータ等の回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナモやモータを冷却する技術として、例えば特許文献1には、回転子の外周側に配置された固定子鉄心に、冷却気流を流通させる冷却用通気路が設けられた回転電機が開示されている。この回転電機の回転軸の一側には冷却ファンが取り付けられ、回転子の回転により冷却ファンが回転することで、冷却用外気が回転電機のケーシングの一端から取り込まれる。取り込まれた冷却用外気の一部は、上記固定子鉄心の冷却用通気路を通り、ケーシングの他端から排出される。これにより、固定子巻線や固定子鉄心が冷却される(例えば、特許文献1の明細書段落[0016]参照)。
【0003】
この回転電機では、回転軸の一側に取り付けられた冷却ファンは遠心ファンであり、回転軸の冷却ファンが取り付けられた側とは反対側からケーシング内に冷却用外気を取り込み、冷却ファンの遠心方向へ冷却用外気をケーシング外へ排出している。
【0004】
ところで、このような回転装置が実際に使用される場合、回転装置の回転軸には外部装置が接続される。回転装置がダイナモである場合、外部装置が動力源となり、その動力源の動力をダイナモの回転軸に伝達し、ダイナモが発電する。回転装置がモータである場合、外部装置はモータの負荷装置となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−229390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の回転電機の回転軸の2つの軸受のうち、冷却ファンから遠い位置に配置された軸受(特許文献1の図1中、左側の軸受)は、ケーシング内に取り込まれた冷却用外気により冷却され得る。しかしながら、冷却ファンは遠心ファンであるため、冷却ファンの羽根がある側とは反対側に設けられた、他方の軸受(同図1中、右側の軸受)にまで冷却用外気がほとんど供給されず、上述のように遠心方向に向かう。したがって、冷却ファンに近い側の軸受を十分に放熱できないという問題がある。
【0007】
ここで、特許文献1の回転電機(回転装置)に上記外部装置が接続される場合、一般には回転装置の回転軸の、冷却ファンが取り付けられる側の端部に接続される。これは、外部装置も熱を発生するので、外部装置が、回転軸の、冷却ファンが取り付けられる側とは反対側の端部に接続されると、冷却ファンとは反対側からケーシング内に取り込まれる冷却用気体にその外部装置の熱が伝達されてしまうためである。したがって、外部装置は、回転軸の、上記の冷却ファンに近い側の端部に接続される。しかし、このような構成の場合、外部装置からの熱によって冷却ファンに近い側の軸受の放熱がさらに困難となる。
【0008】
冷却ファンに近い側の軸受の放熱を行うために、遠心ファンに代えて軸流ファンを用いたとしても、軸流ファン及び遠心ファンが同程度の大きさである場合、軸流ファンでは遠心ファンに比べ風量が小さいので、実用的ではない。軸流ファンにより遠心ファンと同程度の風量を得るためには、軸流ファンの径や羽根の大きさを大きくする必要があり、回転装置の機械的損失が増大する。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、回転装置の機械的損失をできるだけ小さくしながらも、外部装置が接続される側に設けられた軸受を十分に冷却することが可能な回転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回転装置は、ハウジングと、第1の軸受と、第2の軸受と、ロータと、ステータと、遠心ファンと、ダクトとを具備する。
前記ハウジングは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、前記第1の端部寄りの位置に設けられた第1の吸気口と、前記第2の端部に設けられた第2の吸気口と、前記第2の端部寄りの位置に設けられた排気口とを有する。
前記第1の軸受は、前記ハウジングの前記第1の端部に設けられている。
前記第2の軸受は、前記ハウジングの前記第2の端部に設けられている。
前記ロータは、前記第1の軸受及び前記第2の軸受に支持されるロータ軸を有し、前記ハウジングの前記第2の端部側で前記ハウジング外に配置される外部装置に前記ロータ軸が接続可能である。
前記ステータは、前記ハウジング内に収容され、前記ロータ軸方向における前記第1の吸気口及び前記排気口の間で、前記ロータの周囲に配置されている。
前記遠心ファンは、前記ハウジング外から供給される冷却用気体を、前記ハウジングの前記第1の吸気口を介して前記ハウジング内へ吸入するための第1の羽根と、前記第2の吸気口を介して前記ハウジング内へ前記冷却用気体を吸入するための、前記第1の羽根より小さい第2の羽根とを有する。また、前記遠心ファンは、前記第1及び前記第2の吸気口を介して吸入された前記冷却用気体を、前記排気口を介して前記ハウジング外へ排出する。
前記ダクトは、前記ハウジング外から供給される前記冷却用気体を前記第2の吸気口へ導く。
【0011】
本発明では、ロータが回転することで遠心ファンの第1の羽根が回転し、これにより、ハウジングの第1の吸気口から吸入された冷却用気体がハウジング内を通り、第1の端部とは反対側の第2の端部に近い排気口から排出される。ハウジング内を通る冷却用気体により、ロータ軸方向における第1の吸気口及び排気口の間に配置されたステータや、そのステータの内側に配置されたロータ(主にロータ軸の一部とロータのコア部)が冷却される。また、第1の吸気口から吸入された冷却用気体により、ハウジングの第1の端部に設けられた第1の軸受が冷却される。
【0012】
一方、ロータが回転することで遠心ファンの第2の羽根が回転し、これにより、ダクトを介して、ハウジングの第2の端部に設けられた第2の吸気口から冷却用気体がハウジング内に吸入される。つまり、ハウジングの第2の端部側に外部装置が配置されたとしても、ダクトから供給される冷却用気体により、その第2の端部に設けられた第2の軸受を冷却することができる。またこの際、ダクト内を冷却用気体が流れてハウジング内に取り込まれるので、外部装置による冷却用気体への熱の影響を抑えることができる。
【0013】
さらに、本発明では、第2の羽根の大きさが第1の羽根より小さく形成されている。第1の羽根の回転により流通する冷却用気体の冷却対象は、主にロータ及びステータであり、第2の羽根の回転により流通する冷却用気体の冷却対象は、第2の軸受である。ロータ及びステータの両方と、第2の軸受と比べると、第2の軸受の方が熱容量が小さい。したがって、第2の羽根の大きさを第1の羽根より小さくし、第2の羽根による風量を比較的小さくすることができる。これにより、例えば第2の軸受を冷却するために、軸流ファンを設けたり、別途の遠心ファンを設けたりする場合に比べ、回転装置を大型化することを防止でき、また、回転装置の機械的損失をできるだけ小さくすることができる。
【0014】
前記ダクトは、前記第1の端部側に向けて開口された、前記冷却用気体の流入口と、前記流入口から流入した前記冷却用気体を、前記第2の吸気口へ導く内部流路とを有してもよい。
【0015】
外部装置が発する熱を考慮すると、ハウジングの第1の端部側は、第2の端部側に比べ、ハウジング周囲の温度が低くなる。ダクトの流入口がその第1の端部側に向けて開口されているので、ハウジングの第1の端部側の冷却用気体がダクトの内部流路に流入しやすくなる。つまり、回転装置の周囲において、比較的低い温度の冷却用気体をダクトを介してハウジング内へ吸入することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明によれば、回転装置の機械的損失をできるだけ小さくしながらも、外部装置が接続される側に設けられた軸受を十分に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る回転装置としてのダイナモを備えた発電ユニットを示す概略断面図である。
【図2】図2は、ダイナモの正面図である。
【図3】図3は、ダイナモの側面図である。
【図4】図4は、図2におけるA−A線断面図である。
【図5】図5は、遠心ファンの一部を示す、X軸方向で見た拡大図である。
【図6】図6は、大羽根が配置される側から見た遠心ファンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
[発電ユニットの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る回転装置としてのダイナモ150を備えた発電ユニット100を示す概略断面図である。
【0020】
発電ユニット100は、例えば外部装置としてのガスタービン等のエンジン160と、このエンジン160に接続されたダイナモ150と、これらを収容する防音ケーシング101とを備える。防音ケーシング101の、ダイナモ150が配置される側には給気口101aが設けられ、その反対側であるエンジン160が配置される側には排出口101bが設けられている。この給気口101aを介して、防音ケーシング101外の気体である冷却用エアが防音ケーシング101内に取り込まれ、防音ケーシング101内の熱を吸収したエアが排出口101bを介して防音ケーシング101外に排出される。なお、給気口101aや排出口101bには、図示しない給気ダクトや排気ダクトがそれぞれ接続される場合もある。
【0021】
エンジン160の、上記排出口101b側にはエンジン160を冷却するためのラジエータ162及びラジエータファン161が配置されている。ラジエータ162及びラジエータファン161はエンジン160と一体型であってもよい。
【0022】
図2は、ダイナモ150を示す正面図であり、ダイナモ150のロータ軸方向(Y軸方向)で見た図である。図3は、ダイナモ150の側面図であり、図4は、図2におけるA−A線断面図である。
【0023】
ダイナモ150は、ハウジング1を備えている。ハウジング1は、円筒状の本体11と、本体11の両端部に装着されたカバー12、13とを有している。図4に示すように、ハウジング1内には、ロータ軸41とロータコア42とを有するロータ4が収容されている。また、ハウジング1内には、このロータ4(のロータコア42)の周囲に配置された、ステータコア31とコイル32とを有するステータ3が収容されている。ステータ3は、ハウジング1の内壁面に固定されるように設けられている。
【0024】
エンジン160は、ダイナモ150のハウジング1の、図3及び4中左側端部である第2の端部1b側から延びるロータ軸41に接続されている。具体的には、エンジン160の出力軸164が、ダイナモ150のロータ軸41にカップリング163を介して連結されている。
【0025】
図4に示すように、ロータ軸41は、ハウジング1の第2の端部1bとは反対側である第1の端部1aに配置されたカバー12に設けられた第1の軸受61と、第2の端部1bに配置されたカバー13に設けられた第2の軸受62により回転可能に支持されている。
【0026】
ハウジング1内には、そのハウジング1の第2の端部1b寄りに配置され、ロータ4のロータ軸41に取り付けられた遠心ファン7が収容されている。遠心ファン7はロータ軸41の回転によりロータ軸41と一体的に回転する。ハウジング1の第1の端部1a寄りには、上述のように防音ケーシング101の給気口101aから取り込まれた冷却用エアを、遠心ファン7の回転によりハウジング1内へ取り込むための主吸気口11a(第1の吸気口)が設けられている。また、ハウジング1の第2の端部1b寄りであって、遠心ファン7の外周部に対応する位置には、排気口11bが設けられている。遠心ファン7の回転によって主吸気口11aから吸入された冷却用エアが、この排気口11bを介してハウジング1外へ排出される。図3に示すように、主吸気口11a及び排気口11bは、ハウジング1の外周側面に沿ってロータ軸41の周囲方向でそれぞれ複数設けられている。
【0027】
図2及び図3に示すように、ハウジング1の外周側面の下部には、ハウジング1の長手方向(Y軸方向)に延設された冷却用エアが通る、例えば2つのダクト5が取り付けられている。第1の端部1a側の、ダクト5の一端部には、冷却用エアの流入口51が設けられ、この流入口51は、第1の端部1a側に向けて開口されている。流入口51が設けられたダクト5の一端部は、ハウジング1の本体11の一端部とY軸方向で一致するように設けられている。しかし、これらの配置は一致しなくてもよい。例えば、ダクト5の一端部は、ハウジング1の本体11の中央付近、あるいは中央よりカバー13側に位置していてもよい。
【0028】
第2の端部1b側の、ダクト5の他端部53は、その第2の端部1bに配置されるカバー13の表面に沿うように設置されている。そして、このダクト5の他端部53は、そのダクト5の内部流路52がカバー13の下部に設けられた副吸気口13a(第2の吸気口)に連通するように設けられている。例えば、1つのダクト5につき2つの副吸気口13aが設けられている。
【0029】
なお、図3に示すように、主吸気口11a及び排気口11bには、安全のため及びハウジング1内を保護するための金網63が設置されている。副排気口11bにも金網が設けられていてもよい。
【0030】
図5は、遠心ファン7の一部を示す、X軸方向で見た拡大図である。遠心ファン7は、円形のベース板73と、ロータ軸41の方向でこのベース板73の一側に設けられた大羽根71(第1の羽根)と、ベース板73の、大羽根71が設けられる側とは反対側に設けられた小羽根72(第2の羽根)とを有する。図6は、大羽根71が配置される側から見た遠心ファン7の図である。小羽根72のサイズは、大羽根71のそれより小さく形成されている。ここでいう羽根のサイズとは、ロータ軸41方向での羽根のサイズ(長さ)、あるいは羽根の表面積であり、サイズの大きい方が風量が多くなる。要するに、羽根のサイズとは、羽根における気流の流入付近と流出付近との気圧差を発生させるための羽根の主面の面積である。
【0031】
図6に示すように、大羽根71の放射角度は、例えばラジアル方向に対して30〜60°とされているが、この範囲に限られない。図6では、小羽根72を図示していないが、大羽根71が配置される側から見て、小羽根72も大羽根71と同じ向きの放射角度で設置されている。また、小羽根72の数やそれらの長手方向の長さ等も大羽根71と実質的同じである。
【0032】
図5に示すように、Y軸方向において、大羽根71の長さa及び小羽根72の長さbの比は、(3〜6):1である。しかし、この比率に限られない。
【0033】
なお、羽根の各放射角度は、大羽根71と小羽根72とで異なっていてもよいし、それらの長手方向の長さも大羽根71と小羽根72とで異なっていてもよい。図6において、ロータ軸方向で見た大羽根71の形状は、直線状とされているが、これに限られず、曲線状であってもよい。
【0034】
[発電ユニット100の動作]
以上のように構成された発電ユニット100の動作を説明する。
【0035】
エンジン160及びラジエータファン161が作動する。エンジン160の作動により、その動力が出力軸164を介してダイナモ150に伝達され、ダイナモ150のロータ4及び遠心ファン7が回転する。これにより発電が行われる。
【0036】
ラジエータファン161及び遠心ファン7が回転すると、防音ケーシング101の給気口101aを介して冷却用エアが防音ケーシング101内に供給される。遠心ファン7の回転により、防音ケーシング101内に供給された冷却用エアは、ダイナモ150のハウジング1の主吸気口11aを介して、かつ、ダクト5及びハウジング1の副吸気口13aを介してハウジング1内へ吸入される。そして冷却用エアは、ハウジング1の排気口11bを介してハウジング1外へ排出される。
【0037】
具体的には、遠心ファン7の大羽根71の回転により、主吸気口11aを介してハウジング1内へ吸入された冷却用エアによって、カバー12、第1の軸受61、ロータ軸41、ロータコア42、ステータコア31及びコイル32等の各部材が冷却される。なお、ロータコア42やステータコア31には例えばラジアル方向に延設された図示しない冷却用エアの複数の流路が設けられ、冷却用エアがこの流路を通過することで、ロータコア42やステータコア31が冷却される。
【0038】
また、遠心ファン7の小羽根72の回転により、ダクト5及び副吸気口13aを介してハウジング1内に吸入された冷却用エアによって、第2の軸受62やカバー13等の各部材が冷却される。
【0039】
ダイナモ150のハウジング1外へ排出された冷却用エアは、ラジエータファン161の回転により、エンジン160の周囲を流れることでエンジン160を冷却する。そして冷却用エアは、ラジエータ162を通過して、防音ケーシング101の排出口101bを介して防音ケーシング101外へ排出される。また、防音ケーシング101の給気口101aから供給された冷却用エアの一部は、ダイナモ150内を通らず、ラジエータファン161の回転により直接エンジン160の周囲へ向かい、エンジン160を冷却する。
【0040】
以上のように、本実施形態では、遠心ファン7の小羽根72が回転することで、ダクト5を介して、第2の軸受62が配置される側にある、ハウジング1の副吸気口13aから冷却用エアがハウジング1内に吸入される。つまり、図1に示すようにハウジング1の第2の端部1b側にエンジン160が配置されている場合であっても、ダクト5から供給される冷却用エアにより、そのハウジング1の第2の端部1bに設けられた第2の軸受62を冷却することができる。またこの際、ダクト5内を冷却用エアが流れてハウジング1内に取り込まれるので、エンジン160による冷却用エアへの熱の影響を抑えることができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、小羽根72のサイズが大羽根71のサイズより小さく形成されている。大羽根71の回転により流通する冷却用エアの冷却対象は、主に、ロータ軸方向において主吸気口11a及び排気口11bの間に配置されたロータ4及びステータ3である。一方、小羽根72の回転により流通する冷却用エアの冷却対象は、主に第2の軸受62である。ロータ4及びステータ3の両方と、第2の軸受62と比べると、第2の軸受62の方が熱容量が小さい。したがって、小羽根72のサイズを大羽根71より小さくし、小羽根72による風量を比較的小さくすることができる。これにより、例えば第2の軸受62を冷却するために、軸流ファンを設けたり、別途の遠心ファン7を設けたりする場合に比べ、ダイナモ150を大型化することを防止でき、また、ダイナモ150の機械的損失をできるだけ小さくすることができる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るダイナモでは、ダイナモ150の機械的損失をできるだけ小さくしながらも、第2の軸受62を十分に冷却することができる。
【0043】
また、エンジン160が発する熱を考慮すると、ハウジング1の第1の端部1a側は、第2の端部1b側に比べ、ハウジング1周囲の温度が低くなる。本実施形態では、ダクト5の一端部である流入口51がその第1の端部1a側に向けて開口されているので、第1の端部1a側の冷却用エアがダクト5内に流入しやすくなる。つまり、ダイナモ150の周囲において、比較的低い温度の冷却用エアをダクト5を介してハウジング1内へ吸入することができる。
【0044】
また、本実施形態に係るダクト5は、ダイナモ150のハウジング1の下部側に配置されているため、その上部側にダクト5が配置される場合に比べ冷却用エアの温度を低く維持することができる。
【0045】
本実施形態では、小羽根72の回転により、遠心ファン7とカバー13との間に冷却エアがラジアル方向に流れるので、カバー13も十分に冷却される。これにより、エンジン160が発する熱が、カバー13を介してハウジング1内へ伝達されることを抑制することができる。
【0046】
[その他の実施形態]
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が実現される。
【0047】
ダイナモ150の主吸気口11a、副吸気口13a及び排気口11bの形状は、適宜変更可能である。また、ダクト5の副吸気口13aの配置や数も適宜変更可能である。上記実施形態では、ダクト5及び副吸気口13aは、ハウジング1の下部側に配置されていたが、高さ方向で中央または上部側に配置されていてもよい。副吸気口は例えば図2で示したロータ軸41を囲うように円周状に複数設けられ、それらの複数の副吸気口を互いに連通させるような環状のダクトがカバー13に取り付けられていてもよい。
【0048】
副吸気口13aは、必ずしもダイナモ150のハウジング1の第1の端部1a側に向けて開口されていなくてもよく、上方または下方(あるいは斜め方向も含む)に向けて開口されていてもよい。
【0049】
上記実施形態に係る遠心ファン7として、1枚のベース板73に大羽根71及び小羽根72が設けられる構成を例に挙げた。しかし、大羽根と小羽根とがそれぞれ別々のベース板に設けられる構成であってもよい。すなわち、大羽根を有する遠心ファンと小羽根を有する遠心ファンとが別体で構成され、それぞれがロータ軸41に接続されていてもよい。
この場合、大羽根を有する遠心ファンは、例えば図4を参照して、ハウジングの第1の端部1a寄りに配置されていてもよい。
【0050】
上記実施形態では、外部装置としてエンジン160を備え、回転装置としてダイナモを備えた発電ユニット100を例に挙げた。しかし、回転装置がモータ(動力源)として用いられ、そのモータに接続される外部装置がモータの負荷装置となるシステムにも本発明を適用可能である。
【0051】
冷却用気体として、エア以外にも不活性ガスやその他のガスであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…ハウジング
1a…第1の端部
1b…第2の端部
3…ステータ
4…ロータ
5…ダクト
7…遠心ファン
11a…主吸気口(第1の吸気口に相当)
11b…排気口
11b…副排気口(第2の吸気口に相当)
41…ロータ軸
51…流入口
52…内部流路
61…第1の軸受
62…第2の軸受
71…大羽根(第1の羽根に相当)
72…小羽根(第2の羽根に相当)
150…ダイナモ
160…エンジン(外部装置に相当)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、前記第1の端部寄りの位置に設けられた第1の吸気口と、前記第2の端部に設けられた第2の吸気口と、前記第2の端部寄りの位置に設けられた排気口とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記第1の端部に設けられた第1の軸受と、
前記ハウジングの前記第2の端部に設けられた第2の軸受と、
前記第1の軸受及び前記第2の軸受に支持されるロータ軸を有し、前記ハウジングの前記第2の端部側で前記ハウジング外に配置される外部装置に前記ロータ軸が接続可能であるロータと、
前記ハウジング内に収容され、前記ロータ軸方向における前記第1の吸気口及び前記排気口の間で、前記ロータの周囲に配置されたステータと、
前記ハウジング外から供給される冷却用気体を、前記ハウジングの前記第1の吸気口を介して前記ハウジング内へ吸入するための第1の羽根と、前記第2の吸気口を介して前記ハウジング内へ前記冷却用気体を吸入するための、前記第1の羽根より小さい第2の羽根とを有し、前記第1及び前記第2の吸気口を介して吸入された前記冷却用気体を、前記排気口を介して前記ハウジング外へ排出する遠心ファンと、
前記ハウジング外から供給される前記冷却用気体を前記第2の吸気口へ導くダクトと
を具備する回転装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転装置であって、
前記ダクトは、
前記第1の端部側に向けて開口された、前記冷却用気体の流入口と、
前記流入口から流入した前記冷却用気体を、前記第2の吸気口へ導く内部流路と
を有する回転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−223804(P2011−223804A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92372(P2010−92372)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】