説明

回転角度検出装置

【課題】ステアリングシャフトの操舵角検出装置において、コスト増を招くことなく、高精度にギアの歯欠け異常を検出する。
【解決手段】ステアリングシャフトと一体のロータギアに対して増速側検出用ギアと減速側検出用ギアを連動して回転させ、両検出用ギアに付設したMRセンサ7a、7bからのサンプリングデータを増速機構側演算部60および減速機構側演算部70で演算処理してステアリングシャフトの増速角と減速角を算出する。故障診断部80では、増速角および減速角移動平均化処理部81、82で増速角と減速角のそれぞれ移動平均値を算出し、差分算出部84で各移動平均値の差分を算出して、変位量算出部86で求めたサンプリングごとの差分の変位量が基準値S0より大きいときに、異常検出部88が各ギアの連動系統のいずれかにギアの歯欠け異常がある旨の異常信号を出力するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けられたステアリングシャフトの操舵角などを検出する回転角度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転角度検出装置として、例えば車両のステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトの操舵角を検出し、他の制御装置等へ検出結果を出力する操舵角検出装置がある。
このような検出装置は、ステアリングシャフトにロータギアを嵌め込み、該ロータギアに連結された回転角検出用ギアにマグネットを取り付けるとともに、そのマグネットに対向させてMRセンサを固定側に設置して、回転角検出用ギアの回転状態を検出している。
回転角度検出装置の出力は他の装置の制御に用いられるので、検出精度の信頼性確保のため、異常検出が必要となる。
【0003】
そこで、本出願人が先に特開2002−213944号公報で提案した回転角度検出装置では、マグネットを取り付けた複数の回転角検出用ギアを用いて、それぞれにMRセンサを対向させ、これら2系統の出力に基づく回転角度は互いにほぼ同一の値となることが想定されるので、両系統で算出された回転角度を対比することにより、MRセンサの異常判断を行うものとしている。
【0004】
なお、複数の回転角検出用ギアを用いる場合にその利点を大きくするため、本出願人は特願2006−228581により複数の回転角検出用ギアの一方をステアリングシャフトの回転数に対して多く回転する増速側検出用ギアとし、他方をステアリングシャフトの回転に対して少なく回転する減速側検出用ギアとした回転角度検出装置を提案している。
この装置では、ステアリングシャフトを右方向の最大回転位置から左方向の最大回転位置まで回転させたときに増速側検出用ギアが複数回転する一方、減速側検出用ギアがたとえば1回転するようにしている。
これにより、増速側検出用ギアの回転角からは分解能の高いステアリングの詳細な絶対角度(以下、増速角)を得、減速側検出用ギアの回転角からは概略の絶対角度(以下、減速角)を得て、両者の組み合わせからステアリングシャフトの操舵角を精度良く検出する。
【特許文献1】特開2002−213944号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回転角度検出装置の故障として、回転角検出用ギアなどに歯欠けによる角度跳びが発生する場合がある。
この場合も、当然に両系統で算出された回転角度の相当な差が発生するはずであるから、その対比から異常として検出されることが期待される。
しかしながら、特願2006−228581のものと同様に増速側検出用ギアと減速側検出用ギアを用いた回転角度検出装置について、ギアに歯欠けのない正常な状態において増速角と減速角を実際に求めたところ、図6に示すように不安定なものとなった。
【0006】
図6において、破線はステアリングシャフトをフル転舵した一方のロック端から中立位置を経て他方のロック端へ転舵した後、中立位置へ戻したときの、増速角のエンコーダ角に対するずれ量を示し、実線は当該増速角に対する減速角のずれ量を示している。エンコーダ角はステアリングシャフトに付設したエンコーダの出力による真の回転角度である。
増速角はエンコーダ角で表わされる実際のステアリングシャフトの回転とほぼ一致しているが、減速角は大きなノイズとうねりを伴って10〜15°程度におよぶ大幅な振れで変動している。
【0007】
また、図7はロータギアに歯欠けのある場合の増速角と減速角の関係を示す。ここでは、歯欠けにより増速角もエンコーダ角に対してずれが発生していることがわかるが、図6の場合と同様に、減速角の振れ幅はきわめて大きい。
減速角の振れ幅が大きい理由は、機械機構的な精度に原因していると考えられ、コストの観点からこの大きな変動を容認せざるを得ないとすれば、単純に増速角と減速角を対比しようとしても、図6と図7のデータを比較して歯欠けの有無を識別するしきい値およびデータサンプリングのタイミングを設定することは困難で、歯欠けについては信頼性のある異常検出はできないことがわかった。
【0008】
したがって本発明は上記の問題点に鑑み、増速角と減速角を用いるステアリングシャフトの操舵角検出装置において、コスト増を招くことなく、高精度にギアの歯欠け異常を検出することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、測定対象回転体と一体に回転するロータギアと、それぞれロータギアに連動して回転する第1従動ギアおよび第2従動ギアと、各従動ギアに付設されてその周期的な角度位置を検出する第1角度センサおよび第2角度センサと、各角度センサからのサンプリングデータを演算処理してそれぞれ測定対象回転体の第1絶対回転角度を算出する第1角度算出手段および第2絶対回転角度を算出する第2角度算出手段とを備える回転角度検出装置において、第1絶対回転角度および第2絶対回転角度のそれぞれ移動平均値を算出する移動平均化処理手段と、第1絶対回転角度の移動平均値と第2絶対回転角度の移動平均値の差分を算出する差分算出手段と、当該差分のサンプリングごとの変位量を算出する変位量算出手段と、変位量が所定の基準値範囲を超えたときに、各ギアの連動系統のいずれかにギアの歯欠け異常がある旨の異常信号を出力する異常検出手段とを有するものとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1角度センサによる検出データに基づいて算出された第1絶対回転角度と第2角度センサによる検出データに基づいて算出された第2絶対回転角度のずれを移動平均値の差分として求めた上で、サンプリングごとの前回の差分と今回の差分の変位量を監視することにより、歯欠けに対応する角度位置において他の部分とは極端に異なる大きな振れが現れるので、明確にギアの歯欠け異常を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明をステアリングシャフトの操舵角検出に適用した実施の形態について説明する。
図1は回転角度検出装置におけるセンサ部の配置構成を示す。
固定側のケース基板10を貫通するステアリングシャフト2にロータギア3が固定され、ケース基板10に回転可能に支持された増速側検出用ギア4がロータギア3と噛み合っている。
増速側検出用ギア4は、ロータギア3の回転に連動して増速される形で回転する。
ロータギア3にはさらに減速機構5を介して減速側検出用ギア6が連結され、ケース基板10に回動可能に支持されている。減速機構5は、ロータギア3と噛み合い内部に備えた遊星歯車機構によってロータギア3の回転を減速して減速側検出用ギア6に伝達する。
【0012】
増速側検出用ギア4および減速側検出用ギア6には、それぞれ回転軸の周りにマグネット8a、8bが埋め込まれている。
増速側検出用ギア4と減速側検出用ギア6とを覆う図示省略のケースカバーには、増速側検出用ギア4のマグネット8aと対向する位置に、増速側検出用ギア4の回転状態を検出するためのMRセンサ7aが取り付けられ、また、減速側検出用ギア6のマグネット8bと対向する位置にMRセンサ7bが取り付けられている。
【0013】
車両の運転者がハンドルを回転させると、ハンドルに連結されたステアリングシャフト2が回転するとともに、ロータギア3が回転する。
MRセンサ7aは後掲の図2に示すように、第1検出部50Aと第2検出部50Bを備えて、増速側検出用ギア4に嵌め込まれたマグネット8aの回転に合わせて、位相が90°異なる2つの波形を出力する。同様に、MRセンサ7bも第1検出部51Aと第2検出部51Bを備えて、減速側検出用ギア6に嵌め込まれたマグネット8bの回転に合わせて90°位相の異なる2つの波形を出力する。
【0014】
図2は回転角度検出装置の全体構成を示すブロック図である。
MRセンサ7aが接続された増速機構側演算部60と、MRセンサ7bが接続された減速機構側演算部70と、増速機構側演算部60および減速機構側演算部70に接続された故障診断部80を有する。
増速機構側演算部60と減速機構側演算部70とは、それぞれMRセンサ7a、7bの出力をもとに演算を行い、ステアリングシャフト2の回転の絶対角度を出力する。
故障診断部80は、増速機構側演算部60と減速機構側演算部70の出力を基に、ギアの歯欠け異常の検出を行なう。
【0015】
減速機構側演算部70は、周期角演算部71、オフセット補正部72、i値算出部73およびステアリング角変換部74を備える。
周期角演算部71は、MRセンサ7bの第1検出部51A、第2検出部51Bからの出力を10msecごとにサンプリングして、90°位相の異なる波形より減速側検出用ギア6の周期角を求める。この90°異なる波形より角度を算出する方法については、既知の方法を用いることができる。
なおこの減速側検出用ギア6の周期角は、ステアリングがロックtoロックまで回転したときに1周期となる。
【0016】
オフセット補正部72は、周期角演算部71が算出した周期角を、EEPROM47に記憶された減速側検出用ギアオフセット値を用いて補正を行う。
この補正は、周期角に減速側検出用ギアオフセット値を加えることによって、車両の直進位置を基準とした角度に変換するものである。
なお減速側検出用ギアオフセット値は、後述の増速側検出用ギアオフセット値とともにあらかじめ設定された値がEEPROM47に記憶されている。
このオフセット補正部72の補正により、オフセット補正周期角が得られる。
【0017】
次にステアリング角変換部74は、オフセット補正部72が補正したオフセット補正周期角を、ステアリングシャフト2の絶対角度に変換して減速角とする。
ここで、減速側検出用ギア6の回転は、ステアリングシャフト2と一体に回転するロータギア3の回転に対して減速されているため、ステアリング角変換部74はオフセット補正周期角にその減速割合を乗じることによってステアリングシャフト2の絶対角度に変換する。
なお、ステアリング角変換部74によって変換された減速角はステアリングシャフト2の概略の絶対角度となる。
【0018】
またi値算出部73は、オフセット補正部72が補正したオフセット補正周期角に対応するi値を算出する。
このi値とは、ステアリングのロックtoロックまでの回転角を車両の直進位置を中心に左右それぞれ90°ごとに区切り、ステアリングシャフト2の回転角を90°単位で表現したものである。
i値算出部73は、算出したi値を増速機構側演算部60側へ出力する。
【0019】
次に増速機構側演算部60内の処理について説明する。
増速機構側演算部60は、周期角演算部61、オフセット補正部62、ステアリング角変換部63とを備える。
周期角演算部61は、上記周期角演算部71と同様に、MRセンサ7aの第1検出部50A、第2検出部50Bから出力された90°位相の異なる波形より増速側検出用ギア4の周期角を求める。
なおこの増速側検出用ギア4の周期角は、ステアリングが90°回転したときに1周期となる。
【0020】
オフセット補正部62は、上記オフセット補正部72と同様に、周期角演算部61が算出した周期角を、EEPROM47に記憶された増速側検出用ギアオフセット値を用いて補正を行う。
このオフセット補正部62の補正により、オフセット補正周期角が得られる。
次にステアリング角変換部63は、オフセット補正周期角を、減速機構側演算部70から出力されたi値を用いてステアリングシャフト2の絶対角度に変換して増速角とする。
【0021】
具体的には、増速側検出用ギア4の回転は、ステアリングシャフト2と一体に回転するロータギア3の回転に対して2倍に増速されているため、オフセット補正周期角を2で割り、さらに、i値に90を乗算した値を加算するものである。
したがってステアリングシャフト2の増速角αは次式によって求めることができる。
α=90×i+β/2
ここで、iをi値(−8、−7・・・・6、7)、βをオフセット補正周期角とする。
【0022】
なお、増速側検出用ギア4はロータギア3よりも2倍に増速されているため、増速側検出用ギア4の回転状態を検出することによりロータギア3の回転状態を2倍の分解能で検出することができる。
したがって、ステアリング角変換部63によって変換された増速角は、ステアリング角変換部74によって変換された減速角に比較して、詳細な絶対角度となる。
【0023】
なお、イグニッションがオンとなって最初にステアリングシャフト2の回転角度を検出するときにのみ、減速機構側演算部70から増速機構側演算部60へi値が出力され、それ以降は、ステアリング角変換部63自身がi値をオフセット補正周期角の変化に応じて増減し、該増減したi値とオフセット補正周期角を用いて増速角を演算する。
このようにして得られたステアリングシャフトの詳細な増速角が、操舵角として車両制御装置等の外部装置へ向けて出力される。
上述した操舵角検出の詳細は特願2006−228581の記載を引用する。
【0024】
故障診断部80は、増速機構側演算部60のステアリング角変換部63から出力された増速角と減速機構側演算部70のステアリング角変換部74より出力された減速角のそれぞれ移動平均値を算出する増速角移動平均化処理部81および減速角移動平均化処理部82と、これら両移動平均化処理部で算出された移動平均値の差分を算出する差分算出部84と、当該差分の時間変位量を算出する変位量算出部86と、差分の変位量に基づいて異常の有無を判断して故障診断結果を出力する異常検出部88を備える。
【0025】
図3は、故障診断部80における異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
まず増速機構側演算部60と減速機構側演算部70から増速角と減速角が出力されると、これらを受けて、ステップ100では、増速角移動平均化処理部81において、10msec間隔のサンプリング(n=1、2、3、・・・)ごとに、連続する過去複数(m)個の増速角を用いて、次式により移動平均値Θai(n)を求める。
Θai(n)={Θi(n)+Θi(n−1)+Θi(n−2)+Θi(n−3)+・・・+Θi(n−(m−1))}/m
ただし、Θi(n)は増速角である。
また、減速角移動平均化処理部82においても同様に、次式により移動平均値Θad(n)を求める。
Θad(n)={Θd(n)+Θd(n−1)+Θd(n−2)+Θd(n−3)+・・・+Θd(n−(m−1))}/m
ただし、Θd(n)は減速角である。
【0026】
次のステップ101で、差分算出部84が、次式により移動平均値の差分Θsub(n)を求める。
Θsub(n)=Θai(n)−Θad(n)
これにより、ロータギアに歯欠けのある場合の増速角のエンコーダ角に対するずれ量と、増速角に対する減速角のずれ量は図4に示すようなものとなる。実線は増速角に対する減速角のずれ量、破線は増速角のエンコーダ角に対するずれ量である。
先の図7に比較して細かなノイズは低減していることがわかる。
【0027】
そして、ステップ102において、変位量算出部86が、差分Θsub(n)の逐次の変位量、すなわち、サンプリング間隔での変位量Δ(n)を次式により算出する。
Δ(n)=Θsub(n)−Θsub(n−1)
歯欠けがある場合の、上記の処理結果を示すのが図5である。
増速角に対する減速角のずれを移動平均値の差分として求めた上で、サンプリングごとに前回の差分と今回の差分の変位量を求めると、図5に示すように、実線で示す増速角に対する減速角のずれ量(差分Δ(n))の変位量は、大部分が所定幅内に収まって、一定間隔の位置にのみ他の部分から突出した変化が現れている。
【0028】
増速角のエンコーダ角に対するずれの変位量も同様にして求めると、図5に破線で示すように変位量はほぼ0を維持するとともに歯欠けに相当する角度位置に変化が見られる。減速角の増速角に対する差分Δ(n)の変位量の突出変化部分はこの位置に対応する。
図5において、減速角の増速角に対するずれ量の変位量は大部分+−1.0°の範囲内に収まっている。
【0029】
ステップ103において、異常検出部88が、上記差分の変位量を所定の基準値S0と比較する。図5の例においては、基準値S0=|2.0°|(絶対値)に設定すれば、歯欠けによる異常のみが検出できることになる。
差分の変位量が基準値S0以下であれば、歯欠けによる異常はないものとして、今回のフローを終了し、ステップ100へ戻る。
差分の変位量が基準値S0より大きいときは、ステップ104において、故障診断結果として異常信号を出力する。これを受けた外部装置では予め設定された所定の異常対応処理を実行することになる。このあとフローを終了する。
【0030】
本実施の形態では、ステアリングシャフト2が発明における測定対象回転体に該当し、増速側検出用ギア4が第1従動ギアに、減速側検出用ギア6が第2従動ギアにそれぞれ該当する。
増速側検出用ギア4に固定したマグネット8aとこれに対向させたMRセンサ7aが第1角度センサを構成し、減速側検出用ギア6に固定したマグネット8bとこれに対向させたMRセンサ7bが第2角度センサを構成している。
増速機構側演算部60が第1角度算出手段に該当し、減速機構側演算部70が第2角度算出手段に該当する。
図3のフローチャートにおけるステップ100が移動平均化処理手段を構成し、ステップ101が差分算出手段を、ステップ102が変位量算出手段を、そしてステップ103が異常検出手段を構成している。
【0031】
実施の形態は以上のように構成され、ステアリングシャフト2と一体に回転するロータギア3に対して増速側検出用ギア4および減速側検出用ギア6を連動して回転させ、増速側検出用ギア4および減速側検出用ギア6に固定したマグネット8a、8bにMRセンサ7a、7bを対向させ、増速機構側演算部60および減速機構側演算部70で各MRセンサからのサンプリングデータを演算処理してそれぞれステアリングシャフト2の絶対回転角度である増速角と減速角を算出して、一方の増速角を測定出力としての操舵角とするとともに、増速角移動平均化処理部81および減速角移動平均化処理部82で増速角と減速角のそれぞれ移動平均値を算出し、差分算出部84で各移動平均値の差分を算出し、変位量算出部86でサンプリングごとの差分の変位量を算出して、変位量が所定の基準値S0より大きいときに、異常検出部88が各ギアの連動系統のいずれかにギアの歯欠け異常がある旨の異常信号を出力するものとした。
増速角と減速角のずれを移動平均値の差分として求めた上で、サンプリングごとに前回の差分と今回の差分の変位量を求めると、図5に示すように、歯欠けに対応する角度位置においてのみ他の部分とは極端に異なる大きな振れが現れるので、明確に異常を検出することができる。
【0032】
なお、実施の形態に示した各数値はあくまでも例示であって、本発明はこれに限定されない。
また、減速機構側演算部70のi値算出部73において減速側検出用ギア6にかかるオフセット補正周期角に対応するi値を算出し、増速機構側演算部60ではこのi値を用いて増速角を求めるものとしたが、増速機構側演算部60のステアリング角変換部63では減速機構側演算部70で求めた減速角を参照して増速角を求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】センサ部の配置構成を示す図である。
【図2】操舵角検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】移動平均値を用いた算出角度のずれ量を示す図である。
【図5】移動平均値を用いた算出角度のずれ量の変位量を示す図である。
【図6】異常がない場合の算出角度のずれ量の比較例を示す図である。
【図7】ギアの歯欠けがある場合の算出角度のずれ量の比較例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
2 ステアリングシャフト
3 ロータギア
4 増速側検出用ギア
5 減速機構
6 減速側検出用ギア
8a、8b マグネット
7a、7b MRセンサ
10 ケース基板
47 EEPROM
50A、51A 第1検出部
50B、51B 第2検出部
60 増速機構側演算部
61、71 周期角演算部
62、72 オフセット補正部
63、74 ステアリング角変換部
70 減速機構側演算部
73 i値算出部
80 故障診断部
81 増速角移動平均化処理部
82 減速角移動平均化処理部
84 差分算出部
86 変位量算出部
88 異常検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象回転体と一体に回転するロータギアと、ロータギアに連動して回転する第1従動ギアおよび第2従動ギアと、各従動ギアに付設されてその周期的な角度位置を検出する第1角度センサおよび第2角度センサと、各角度センサからのサンプリングデータを演算処理してそれぞれ測定対象回転体の第1絶対回転角度を算出する第1角度算出手段および第2絶対回転角度を算出する第2角度算出手段とを備える回転角度検出装置において、
前記第1絶対回転角度および第2絶対回転角度のそれぞれ移動平均値を算出する移動平均化処理手段と、
前記第1絶対回転角度の移動平均値と第2絶対回転角度の移動平均値の差分を算出する差分算出手段と、
前記差分のサンプリングごとの変位量を算出する変位量算出手段と、
前記変位量が所定の基準値範囲を超えたときに、前記各ギアの連動系統のいずれかにギアの歯欠け異常がある旨の異常信号を出力する異常検出手段とを有することを特徴とする回転角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−98094(P2009−98094A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272330(P2007−272330)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】