固体撮像装置および固体撮像システム
【課題】被写体の動きを容易に検知することができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】第1の画素13a、第2の画素13b、および単位セルの出力回路17を有する。第1の画素13aは、第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード11a、および第1のフォトダイオード11a上に形成された第1のマイクロレンズ12aを有する。第2の画素13bは、第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード11b、および第2のフォトダイオード11b上に形成された、第1のマイクロレンズ12aより小さい第2のマイクロレンズ12bを有する。第2の画素13bは、第1の画素13aに対して1/n倍の感度と、n倍の光電変換期間とを有する。単位セルの出力回路17は、第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号との差分信号を出力する。
【解決手段】第1の画素13a、第2の画素13b、および単位セルの出力回路17を有する。第1の画素13aは、第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード11a、および第1のフォトダイオード11a上に形成された第1のマイクロレンズ12aを有する。第2の画素13bは、第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード11b、および第2のフォトダイオード11b上に形成された、第1のマイクロレンズ12aより小さい第2のマイクロレンズ12bを有する。第2の画素13bは、第1の画素13aに対して1/n倍の感度と、n倍の光電変換期間とを有する。単位セルの出力回路17は、第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号との差分信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体撮像装置および固体撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンや携帯端末の入力手段として、指先をディスプレイに触れさせることなく文字を入力したり描画したりすることができる、光学式のいわゆるアンタッチパネルの開発が進められている。光学式のタッチパネルによれば、指先をディスプレイに触れさせないため、ディスプレイ表面が汚れることを抑制できる。さらに光学式のアンタッチパネルによれば、指先の動きを検知して文字を入力したり描画したりするため、指先がディスプレイに触れたことを検知する透明電極が不要になる。従って、透明電極の光吸収によってディスプレイの明度が低下することを抑制することができる。
【0003】
また、ゲーム分野において、人間の意志を機械に伝達するための手段として、光学的に人の動きを認識させることにより画面上の登場人物の動きを変え、若しくは球技に対するリアクションに変えるシステムが普及している。
【0004】
これらのアンタッチパネルおよびシステムに適用されるカメラには、固体撮像装置として、CMOSセンサまたはCCDセンサが使用される。例えばCMOSセンサは、大きさが等しくかつ感度が同一である複数の画素を格子状に配列したものである。例えばこのようなCMOSセンサが適用されたカメラを使用して、指先などの被写体の動きを検知する場合、動き検知用の信号処理回路を用いて、以下のような信号処理を行う必要がある。
【0005】
すなわち、所定の時間間隔毎に動く被写体を含む所定領域を撮像し、撮像された画像同士を、動き検知用の信号処理回路を用いて比較する。画像同士を比較することによって、被写体が動いた方向および被写体が動いた距離を検出することができるため、被写体の動きを検知することができる。
【0006】
しかし、このような信号処理は画像同士の比較に基づく処理であるため、非常に処理が複雑であり、従って処理時間も要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−15219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施形態は、被写体の動きを容易に検知することができる固体撮像装置および固体撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る固体撮像装置は、第1の画素、第2の画素、および出力回路を有する。前記第1の画素は、光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する。前記第2の画素は、光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有する。さらに前記第2の画素は、前記第1の画素に対して1/n倍の感度と、前記第1の画素に対してn倍の光電変換期間と、を有する。前記出力回路は、前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力する。
【0010】
また、実施形態に係る固体撮像システムは、上述の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、画像形成部をさらに具備する。この画像形成部は、前記固体撮像装置が有する前記出力回路から出力される前記差分信号に基づいて画像を形成して出力する。前記出力回路は、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知する。
【0011】
また、実施形態に係る固体撮像装置は、第1の画素、第2の画素、出力回路、および制御部、を具備する。前記第1の画素は、光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する。前記第2の画素は、光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有するとともに、前記第1の画素に対して1/n倍の感度を有する。前記出力回路は、前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量に基づく信号を出力する。前記制御部は、前記出力回路にモード切り替え信号を出力することにより、前記出力回路の動作を制御する。この制御部は、前記出力回路に、前記モード切り替え信号として動き検知モード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間に対してn倍になるように、前記第1の画素および前記第2の画素から、前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力するように動作する。また、前記制御部は、前記出力回路に、前記モード切り替え信号として広ダイナミックレンジモード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間より長くなるように、前記第1の画素および前記第2の画素から、前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力するように動作する。
【0012】
また、実施形態に係る固体撮像システムは、上述の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、画像形成部をさらに具備する。この画像形成部は、前記固体撮像装置が有する前記出力回路から出力される前記信号に基づいて画像を形成して出力する。前記出力回路は、この回路が前記制御部から前記動き検知モード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像したときに前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像したときに前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知し、前記出力回路が前記制御部から前記広ダイナミックレンジモード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が被写体を撮像したときに、前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力し、前記画像形成部がこの和に基づく信号に基づいて画像を形成して出力する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る固体撮像装置の要部を示す上面図である。
【図2】図1の一点鎖線X−X´に沿った固体撮像装置の部分断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る固体撮像装置における単位セルおよび垂直方向における複数の単位セルに共通して配置された共通出力回路を含む固体撮像装置の等価回路図である。
【図4】第1の画素および第2の画素における、光電変換期間と、各画素に蓄積される信号電荷の電荷量と、の関係を示すための説明図である。
【図5】動き検知モードにおける、アドレストランジスタ、リセットトランジスタ、第1の読み出しゲート、および第2の読み出しゲートの動作と、垂直信号線に現れる検出信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図6】動き検知モードにおける、第1乃至第3のスイッチの動作と、差動増幅器に入力される検出信号および差動増幅器から出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【図7】動き検知モードを説明するための説明図であって、同図(a)は撮像対象の例である動いている指先を示し、同図(b)は第1の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(c)は同図(b)の反転画像を示し、同図(d)は第2の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(e)は同図(a)の点線A−A´に沿ったライン上の各セルから出力される検出信号の電位レベルを示し、同図(f)は本実施形態に係る固体撮像装置による出力画像を示す。
【図8】第2の実施形態に係る固体撮像装置の要部を示す上面図である。
【図9】第3の実施形態に係る固体撮像装置の要部を示す上面図である。
【図10】第4の実施形態に係る固体撮像システムの要部を示す上面図である。
【図11】第4の実施形態に係る固体撮像システムの要部を示す側面図である。
【図12】広ダイナミックレンジモードにおける、アドレストランジスタ、リセットトランジスタ、第1の読み出しゲート、および第2の読み出しゲートの動作と、垂直信号線に現れる検出信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図13】広ダイナミックレンジモードにおける、第1乃至第3のスイッチの動作と、差動増幅器に入力される検出信号および差動増幅器から出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【図14】広ダイナミックレンジモードを説明するための図であって、第1の実施形態に係る固体撮像装置の単位セルが受光した光量と、差動増幅器から出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【図15】広ダイナミックレンジモードを実現するための固体撮像装置の他の変形を示す上面図である。
【図16】図15に示す固体撮像装置によって広ダイナミックレンジモードを説明するための図であって、固体撮像装置の単位セルが受光した光量と、差動増幅器から出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、実施形態に係る固体撮像装置および固体撮像システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置10の要部を示す上面図である。図1に示す固体撮像装置10は、フォトダイオード11a、11bおよびマイクロレンズ12a、12bを有する複数の画素13a、13bが格子状に配列されたCMOS型の固体撮像装置10である。
【0016】
この固体撮像装置10において、縦方向において互いに隣接する画素13a、13bは、互いに感度が異なっている。本実施形態に係る固体撮像装置10は、このように感度が異なる2つの画素13a、13bを単位セル14とする、いわゆる2画素1セルタイプの固体撮像装置である。
【0017】
各単位セル14は、高感度の第1の画素13aと、低感度の第2の画素13bと、を有する。高感度の第1の画素13aは、面積が大きい四角形状の第1のフォトダイオード11aと、この第1のフォトダイオード11a上に形成された、サイズ(表面積若しくは高さ)が大きい第1のマイクロレンズ12aと、を有する。また、低感度の第2の画素13bは、第1のフォトダイオード11aより面積が小さい四角形状の第2のフォトダイオード11bと、この第2のフォトダイオード11b上に形成された、第1のマイクロレンズ12aよりサイズが小さい第2のマイクロレンズ12bと、を有する。
【0018】
なお、各画素13a、13bの飽和レベル、すなわち、各フォトダイオード11a、11bが光電変換することにより蓄えることができる最大の信号電荷量は、各フォトダイオード11a、11bの面積によって決まる。第1のフォトダイオード11aは、第2のフォトダイオード11bより面積が大きいため、第1の画素13aの飽和レベルは、第2の画素13bの飽和レベルより高い。
【0019】
ここで、第1の画素13aは第2の画素13bより高感度であり、第1のフォトダイオード11aに単位時間当たりに蓄積される信号電荷量は、第2のフォトダイオード11bより多いため、本実施形態にかかる固体撮像装置10のように、第1のフォトダイオード11aは、第2のフォトダイオード11bより大きいことが好ましい。しかし、第1の画素13aおよび第2の画素13bの光電変換期間内に、第1のフォトダイオード11aおよび第2のフォトダイオード11bが共に飽和しない程度の大きさであれば、これらのフォトダイオード11a、11bの大きさの関係は、上述の関係に限定されない。従って、例えば後述の図15に示す固体撮像装置60のように、第1のフォトダイオード11aは、第2のフォトダイオード11bより小さくてもよい。
【0020】
また、各画素13a、13bの感度は、各マイクロレンズ12a、12bのサイズによって決まる。第1のマイクロレンズ12aは、第2のマイクロレンズ12bより大きいサイズであるため、第1の画素13aの感度は、第2の画素13bの感度より高い。
【0021】
本実施形態に係る固体撮像装置10は、このような第1の画素13aおよび第2の画素13bを有する複数の単位セル14が、格子状に配列されたものである。すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置10は、同一単位セル14内の第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bとが図面縦方向(以下、垂直方向と称する)において隣接し、異なる単位セル14内のそれぞれの第1のマイクロレンズ12aが図面横方向(以下、水平方向と称する)において隣接するように、複数の単位セル14が格子状に配列されたものである。この場合、異なる単位セル14内のそれぞれの第2のマイクロレンズ12bは、水平方向において近接する。
【0022】
各単位セル14内には、第1の画素13aに蓄積された信号電荷(以下、第1の信号電荷と称する)を読み出す第1の読み出しゲート15a、第2の画素13bに蓄積された信号電荷(以下、第2の信号電荷と称する)を読み出す第2の読み出しゲート15b、第1、第2の信号電荷を検出する検出部16、検出された第1、第2の信号電荷に基づいて第1、第2の検出信号を出力する単位セルの出力回路17、検出部16を一定電位にリセットし、かつ余剰電荷を排出するリセットトランジスタ18、一定電位にリセットし、かつ余剰電荷の排出先であるドレイン19、が設けられている。
【0023】
第1の読み出しゲート15aは、第1の画素13aの第1のフォトダイオード11aの一辺に近接する位置に設けられている。第2の読み出しゲート15bは、第2の画素13bの第2のフォトダイオード11bの一辺に近接する位置に設けられている。
【0024】
検出部16は、第1の読み出しゲート15aと第2の読み出しゲート15bとの間に設けられている。検出部16は、第1の読み出しゲート15aによって第1の画素13aから読み出した第1の信号電荷、および第2の読み出しゲート15bによって第2の画素13bから読み出した第2の信号電荷を受け取る。
【0025】
単位セルの出力回路17は、第2の画素13bに近接する位置に設けられており、検出部16が受け取った第1、第2の信号電荷の電荷量に応じた第1、第2の検出信号を出力する回路である。
【0026】
なお、リセットトランジスタ18は、このトランジスタ18と単位セルの出力回路17とによって検出部16を挟む位置に設けられている。リセットトランジスタ18は、検出部16に蓄積された余剰電荷を検出部16から排出してリセットトランジスタ18の近傍に設けられたドレイン19に転送することにより、検出部16の電位を一定に保つ。
【0027】
図2は、図1の一点鎖線X−X´に沿った固体撮像装置10の部分断面図である。図2に示すように、固体撮像装置10の単位セル14において、例えばシリコンからなるP型の半導体基板20の表面には、N+型の不純物層である第1のフォトダイオード11aおよび第2のフォトダイオード11bが、互いに離間した位置に形成されている。また、半導体基板20の表面において、第1のフォトダイオード11aと第2のフォトダイオード11bとに挟まれた位置には、N+型の不純物層である検出部16が形成されている。
【0028】
半導体基板20の表面上において、第1のフォトダイオード11aと検出部16との間には、酸化膜21を介して第1の読み出しゲート15aである第1のゲート電極15aが形成されている。同様に、第2のフォトダイオード11bと検出部16との間には、酸化膜21を介して第2の読み出しゲート15bである第2のゲート電極15bが形成されている。
【0029】
また、半導体基板20の表面上には、酸化膜21を介して配線層22が形成されている。この配線層22は、上述の第1のゲート電極15a、第2のゲート電極15b、および配線23を含み、これらが絶縁体24によって互いに絶縁されたものである。
【0030】
配線層22の表面上には、第1のマイクロレンズ12aおよび第2のマイクロレンズ12bが形成されている。第1のマイクロレンズ12aは、第1のフォトダイオード11a上に形成されており、第2のマイクロレンズ12bは、第2のフォトダイオード11a上に形成されている。
【0031】
この固体撮像装置10において、例えば第1のゲート電極15aに所望の電圧が印加されると、第1のゲート電極15a直下の半導体基板20の表面にチャネルが形成されるため、第1のフォトダイオード11aに蓄積された第1の信号電荷を、チャネルを介して検出部16に転送することができる。同様に、第2のゲート電極15bに所望の電圧が印加されると、第2のゲート電極15b直下の半導体基板20の表面にチャネルが形成されるため、第2のフォトダイオード11bに蓄積された第2の信号電荷を、チャネルを介して検出部16に転送することができる。
【0032】
なお、リセットトランジスタ18における電荷の転送も、同様に行われる。
【0033】
図3は、本実施形態に係る固体撮像装置10における単位セル14および垂直方向における複数の単位セル14に共通して配置された共通出力回路17´を含む固体撮像装置の等価回路図である。図3に示すように、高感度の第1の画素13aを構成する第1のフォトダイオード11aには、第1の読み出しゲート15aが接続されている。同様に、低感度の第2の画素13bを構成する第2のフォトダイオード11bには、第2の読み出しゲート15bが接続されている。
【0034】
第1の読み出しゲート15aおよび第2の読み出ゲート15bの出力は、検出部16に共通に接続されている。この検出部16は、垂直方向において、リセットトランジスタ18に接続されており、水平方向において、単位セルの出力回路17に接続されている。
【0035】
なお、単位セルの出力回路17は、検出部16で受けた第1、第2の信号電荷を電圧信号に変換するためのアンプトランジスタAMPTr、および単位セル14を選択するためのアドレストランジスタADDRESSTrからなる。上述の検出部16は、水平方向において、単位セルの出力回路17のアンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに接続されている。
【0036】
アンプトランジスタAMPTrのドレインは、アドレストランジスタADDRESSTrに接続されており、アンプトランジスタAMPTrのソースは、垂直信号線LSを介してロードトランジスタLOADTrに接続されている。
【0037】
第1乃至第3のスイッチSW1、SW2,SW3、差動増幅器Diff−AMP、ロードトランジスタLOADTrを含む共通出力回路17´は、垂直方向に配列された複数の単位セル14に共通して使用される。
【0038】
第1の読み出しゲート15aの制御ゲートは、第1のリード線LR1を介して周辺回路である垂直レジスタ25に接続されており、第2の読み出しゲート15bの制御ゲートは、第2のリード線LR2を介して垂直レジスタ25に接続されている。また、リセットトランジスタ18のゲート電極は、リセット線LRSを介して垂直レジスタ25に接続されており、アドレストランジスタADDRESSTrのゲート電極は、アドレス線LAを介して垂直レジスタ25に接続されている。
【0039】
アンプトランジスタAMPTrの出力は、ロードトランジスタLOADTrおよび第1のスイッチSW1を介して差動増幅器Diff−AMPの反転入力端子(以下、マイナス端子と称する)に接続されていると同時に、ロードトランジスタLOADTrおよび第2のスイッチSW2を介して差動増幅器Diff−AMPの非反転入力端子(以下、プラス端子と称する)に接続されている。なお、第1のスイッチSW1の出力は、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に接続されると同時に、キャパシタCを介して接地されている。
【0040】
差動増幅器Diff−AMPの出力には、第3のスイッチSW3が接続されている。そして、第3のスイッチSW3には、このスイッチSW3から出力される信号に基づいて画像を形成する画像形成部26が接続されている。この画像形成部26について詳細に説明すると、共通出力回路17’は各垂直信号線LS下部に、それぞれ設置されている。このSW3は水平レジスタ(図示せず)に連結されており、順次SW3をONさせ、1水平走査線の差分出力を順次、水平出力ライン(図示せず)にて外部に出力させる。この水平レジスタ、水平出力ラインを画像形成部26と称した。
【0041】
また、垂直レジスタ25および共通出力回路17´には、これらを制御する制御部27が接続されている。制御部27は、垂直レジスタ25および共通出力回路17´に制御信号を出力することにより、これらの動作を制御する。
【0042】
すなわち、制御部27が垂直レジスタ25に制御信号を出力することにより、垂直レジスタ25は、第1の読み出しゲート15a、第2の読み出しゲート15b、リセットトランジスタ18、およびアドレストランジスタADDRESSTrに、これらを所望のタイミングで動作させるための信号を出力する。
【0043】
また、制御部27が共通出力回路17´に含まれる第1乃至第3のスイッチSW1、SW2,SW3、およびロードトランジスタLOADTrのそれぞれに所望のタイミングで制御信号を出力することにより、これらは、所望のタイミングで動作する。
【0044】
ここで、各単位セル14毎に設けられた第1の読み出しゲート15a、第2の読み出しゲート15b、リセットトランジスタ18、および単位セル14の出力回路17と、垂直レジスタ25と、共通出力回路17´と、を含む回路を、出力回路と称すると、制御部27が出力回路に制御信号を出力することにより、出力回路は、所望のタイミングで所望の動作を行う。
【0045】
次に、本実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法について説明する。この撮像方法は、動き検知モードを実現する方法である。ここで、動き検知モードとは、静止状態にある被写体は画像として出力せず、動いている被写体の輪郭を画像として出力するモードである。この動き検知モードを実現する方法について、図4を参照して説明する。図4は、第1の画素13aおよび第2の画素13bにおける、光電変換期間と、各画素13a、13bに蓄積される第1の信号電荷若しくは第2の信号電荷の電荷量と、の関係を示すための説明図である。図中の実線の矢印は第1の画素13aに蓄積される第1の信号電荷の電荷量を示し、図中の一点鎖線の矢印は第2の画素13bに蓄積される第2の信号電荷の電荷量を示す。なお、以下の説明において、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比は2:1であるものとする。
【0046】
図4に示すように、まず、互いに異なる感度を有する第1の画素13aおよび第2の画素13bにおいて、同時に光電変換を開始させる。第1の画素13aの感度は第2の画素13bの感度の2倍であるため、光電変換によって第1の画素に蓄積される第1の信号電荷の電荷量は、第2の画素13bに蓄積される第2の信号電荷の電荷量の2倍の割合で増加していく。
【0047】
次に、所定の時間t1が経過した後、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷のみを排出する。この排出動作は、いわゆる電子シャッターであって、読み出された第1の信号電荷は、リセットトランジスタ18を介してドレイン19に排出される。なお、第2の画素13bの光電変換は、引き続き継続させる。
【0048】
第1の画素13aの電子シャッターが終了した後、再び第1の画素13aにおいて、光電変換を開始させる。
【0049】
次に、電子シャッターが終了してから所定の時間t1、すなわち第1の画素13aの光電変換期間t1が経過した後、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を読み出す。
【0050】
また、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を読み出すタイミングに対して僅かにずれたタイミング、すなわち、実質的に第2の画素13bの光電変換期間t2(=2×t1)が経過した後、第2の画素13bに蓄積された第2の信号電荷を読み出す。
【0051】
毎秒30枚の画像を撮る場合において、垂直方向に500画素有する場合、第1の画素13aから第1の信号電荷を読み出すタイミングと、第2の画素13bから第2の信号電荷を読み出すタイミングと、の差は、例えば64μ秒程度である。
【0052】
なお、本実施形態において、第2の画素13bの光電変換期間を第1の画素13aの光電変換期間の2倍に設定しているが、一般に、第1の画素13aが第2の画素13bの感度のn倍である場合、両者の光電変換期間は、第2の画素13bの光電変換期間が第1の画素13aの光電変換期間のn倍になるように両者の電子シャッターを働かせることにより、任意に設定できる。
【0053】
ここで、本実施形態に係る固体撮像装置によって静止状態にある被写体を撮像した場合、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量Qと、第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量Qとは、図4に示すように等しくなる。しかし、動いている被写体を撮像した場合、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量および第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量は、等しくはなくなり、両者の間に差が生じる。
【0054】
次に、第1の画素13aから読み出される第1信号電荷に基づいた第1の検出信号と、第2の画素13bから読み出される第2信号電荷に基づいた第2の検出信号と、を差動増幅器Diff−AMPを用いて減算処理する。
【0055】
前述したように、静止状態にある被写体を撮像した場合、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量とは等しい。従って、第1の検出信号の電圧と第2の検出信号の電圧とは等しくなる。従って、第1の検出信号と第2の検出信号とを減算処理すると、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号としてゼロが出力される。
【0056】
しかし、動く被写体を撮像した場合、被写体の動きに応じて第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との間には、差が生じる。従って、第1の検出信号の電圧と第2の検出信号の電圧との間にも差が生じる。このため、第1の検出信号と第2の検出信号とを減算処理すると、差動増幅器Diff−AMPからは、第1の検出信号の電圧と第2の検出信号の電圧との差である差分信号が出力される。この差分信号を画像化することにより、固体撮像装置は、被写体の動きに応じた画像を出力する。
【0057】
以上に説明したように、動き検知モードは、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比を2:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:2に設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理することにより実現される。
【0058】
なお、動き検知モードは、一般に、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理することにより実現される。
【0059】
以下に、上述した動き検知モードを実現する方法について、図3の等価回路図を参照しながら、図5および図6を参照してより詳細に説明する。図5は、動き検知モードにおける、アドレストランジスタADDRESSTr、リセットトランジスタ18、第1の読み出しゲート15a、および第2の読み出しゲート15bの動作と、垂直信号線LSに現れる第1、第2の検出信号との関係を示すタイミングチャートである。図6は、動き検知モードにおける、第1乃至第3のスイッチSW1、SW2、SW3の動作と、差動増幅器Diff−AMPに入力される第1、第2の検出信号および差動増幅器Diff−AMPの出力端子から出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【0060】
なお、図5および図6に示される動き検知モードの動作は、制御部27(図3)が、上述した出力回路に、制御信号であるモード切り替え信号として、動き検知モード信号を出力することにより実行される。
【0061】
図3に示すアドレストランジスタADDRESSTrがオフのときに、図5に示すように、T7のタイミングで、第1の読み出しゲート15aと第2の読み出しゲート15bとを同時に一定時間αだけオンする。これらのゲート15a、15bをオンすることにより、第1の画素13aおよび第2の画素13bに蓄積されていた第1、第2の信号電荷を検出部16に排出する。なお、後に第1の画素13aにおいて電子シャッターを実行するため、T7のタイミングにおいて、第1の読み出しゲート15aは、必ずしもオンする必要はない。
【0062】
次に、T8のタイミングで、リセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このトランジスタ18をオンすることにより、検出部16に蓄積された第1、第2の信号電荷を、余剰電荷としてドレイン19に送り、検出部16の電位を一定に保つ。なお、後にT1のタイミングでリセットトランジスタ18をオンするため、このタイミングにおいては、必ずしもリセットトランジスタ18をオンする必要はない。
【0063】
次に、第1の読み出しゲート15aがオフしてから時間t1−αが経過した後、T9のタイミングで再び第1の読み出しゲー15aを一定時間αだけオンする。すなわち、第1の画素13aにおいて、いわゆる電子シャッターを実行する。第1の読み出しゲート15aをオンすることにより、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を検出部16に再び排出する。なお、このとき、第2の読み出しゲート15bはオンせず、第2の画素13bは、光電変換を継続する。
【0064】
次に、T10のタイミングで、再びリセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このトランジスタ18をオンすることにより、検出部16に蓄積された第1の信号電荷を、余剰電荷としてドレイン19に送り、検出部16の電位を一定に保つ。なお、後にT1のタイミングでリセットトランジスタ18をオンするため、このタイミングにおいても、必ずしもリセットトランジスタ18をオンする必要はない。
【0065】
次に、アドレストランジスタADDRESSTrをオンにして、T1のタイミングでリセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このリセットトランジスタ18をオンすると、それまでに検出部16に蓄積された第1の信号電荷若しくは第2の信号電荷がドレイン19に排出され、検出部16の電位が一定に保たれる。この後、リセットトランジスタ18をオフすると、検出部16には誘導でノイズが載り、そのノイズがアンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに印加される。従って、垂直信号線LSにはノイズ成分が発生する。
【0066】
次に、第1の画素13aにおける電子シャッターが終了してから時間t1−αが経過した後、T3のタイミングで再び第1の読み出しゲート15aを一定時間αだけオンする。このゲート15aをオンすることにより、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を読み出す。第1の信号電荷は検出部16で検出され、アンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに印加されるため、垂直信号線LSに、第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号が発生する。この第1の検出信号は、ノイズ成分に重畳される。
【0067】
なお、T9のタイミングで第1の読み出しゲート15aがオフしたときからT3のタイミングで第1の読み出しゲート15aをオフするときまでの期間が、第1の画素13aの光電変換期間t1である。
【0068】
次に、T4のタイミングでリセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このリセットトランジスタ18をオンすると、検出部16の電位が一定に保たれる。この後、このリセットトランジスタ18をオフすると、T1のタイミングでリセットトランジスタ18をオフしたときに発生したノイズと同一レベルのノイズがリセットトランジスタ18から発生し、垂直信号線LSには再びノイズ成分が発生する。
【0069】
この後、T7のタイミングで第2の読み出しゲート15bがオフしてから時間t2−αが経過した後、T6のタイミングで第2の読み出しゲート15bを一定時間αだけオンする。このゲート15bをオンすることにより、第2の画素13bに蓄積された第2の信号電荷を読み出す。第2の信号電荷は検出部16で検出され、アンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに印加されるため、垂直信号LS線に、第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号が発生する。この第2の検出信号は、ノイズ成分に重畳される。
【0070】
なお、T7のタイミングで第2の読み出しゲート15bがオフしたときからT6のタイミングで第2の読み出しゲート15bがオフするときまでの時間が、第2の画素13bの光電変換期間t2である。この光電変換期間t2は、実際は、第1の画素13aの光電変換期間t1の2倍よりも僅かに長い。しかし、T3とT6とのタイミングを、実質的にt2=2×t1になるように、両者のタイミングずれを僅かにすることにより、第2の画素13bの光電変換期間t2を、第1の画素13aの光電変換期間t1の2倍とみなすことができる。
【0071】
このように、第2の画素13bの光電変換期間t2を、第1の画素13aの光電変換期間t1の2倍とみなす一方で、第2の画素13bの感度は、第1の感度13aの1/2倍である。従って、静止状態にある被写体を撮像した場合、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量と第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量とは、ほぼ同一になる。しかし、動く被写体を撮像した場合、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との間には、差が生ずる。
【0072】
図5に示すように、T3のタイミングで第1の信号電荷を読み出すと、この後、図6に示すように、T31のタイミングで第1のスイッチSW1を一定時間だけオンする。すると、第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号は、ノイズ成分とともに、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に入力される。これとともに、キャパシタCには、第1の検出信号およびノイズ成分が入力される。従って、キャパシタCには、第1の検出信号およびノイズ成分が有する電位が充電される。従って、一定期間、キャパシタCは、第1の検出信号およびノイズ成分が有する電位を保持する。よって、第1のスイッチSW1をオフしても、差動増幅器Diff−APMのマイナス端子には、一定時間だけ、キャパシタCに充電された電位が印加され続ける。
【0073】
また、図5に示すように、T6のタイミングで第2の画素13bから第2の信号電荷を読み出すと、この後、図6に示すように、T62のタイミングで第2、第3のスイッチSW2、SW3を一定時間だけオンする。すると、第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号は、ノイズ成分とともに、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に入力される。
【0074】
差動増幅器Diff−APMのプラス端子に、第2の検出信号およびノイズ成分が有する電位が印加されているとき、マイナス端子には、第1の検出信号およびノイズ成分が有する電位が印加されている。
【0075】
ここで、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量と、第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量と、が同一である場合、第1の検出信号の電位と第2の検出信号の電位と、は等しい。さらに、それぞれの検出信号に重畳されているノイズ成分の電位も等しい。従って、T62のタイミングで第3のスイッチSW3を一定時間だけオンすると、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号としてゼロが出力される。何も出力されない。なお、ノイズ成分もキャンセルして出力されない。
【0076】
このように、静止した状態にある被写体を撮像し、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量と、第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量と、が同一である場合、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号としてゼロが出力される。従って、静止状態にある被写体を撮像しても、固体撮像装置からは、出力画像は出力されない。
【0077】
しかし、被写体が動いている場合、その動きに応じて、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との間に差が生じるようになり、差動増幅器Diff−AMPからは、第1の検出信号と第2の検出信号との差に基づく差分信号が出力される。従って、被写体が動いているとき、固体撮像装置からは、差分信号に基づく画像が出力される。このようにして、動き検知モードが実現される。
【0078】
以下に、図7を参照して、本実施形態に係る固体撮像装置10による動き検知モードをさらに説明する。図7は、本実施形態に係る固体撮像装置10による動き検知モードをより具体的に説明するための説明図であって、同図(a)は被写体の例である動いている指先を示し、同図(b)は第1の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(c)は同図(b)の反転画像を示し、同図(d)は第2の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(e)は同図(a)の点線A−A´に沿ったライン上の各セルから出力される出力信号の電位レベルを示し、同図(f)は本実施形態に係る固体撮像装置による出力画像を示す。なお、以下の説明においても、第1の画素と第2の画素との感度比は2:1であるものとする。
【0079】
図7(a)に示すように、時間Δ1の間に、L1、L2、L3の順に連続して動く指先を、本実施形態に係る固体撮像装置10による動き検知モードで撮像した場合を考える。
【0080】
ここで、光電変換期間がt1である第1の画素13aは、指先がL2の位置に存在するタイミングで撮像を開始し、L3の位置に存在するタイミングで撮像を終了したものとする。また、光電変換期間がt2である第2の画素13bは、指先がL1の位置に存在するタイミングで撮像を開始し、L3の位置に存在するタイミングで撮像を終了したものとする。
【0081】
このとき、図7(b)に示すように、動く指先を第1の画素13aのみによって撮像した場合、その出力画像は、光電変換期間t1に対応する太さの指先の画像が出力される。なお、図7(c)は、図7(b)の反転出力画像を示す。
【0082】
また、図7(d)に示すように、動く指先を第2の画素13bのみによって撮像した場合、その出力画像は、光電変換期間t2に対応する太さの指先の画像が出力される。
【0083】
ここで、第1の画素13aによる撮像によって得られる第1の検出信号は差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に入力され、第2の画素13bによる撮像によって得られる第1の検出信号は差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に入力されることによって、両者の差分信号が出力信号として出力される。すなわち、差動増幅器Diff−AMPからは、図7(b)の反転画像である図7(c)に示す画像と図7(d)に示す画像との和に相当する画像が出力される。
【0084】
すなわち、図7(a)に示すように動く指先を撮像すると、図7(e)に示すように、位置L1における各セルから出力される差分信号の電位レベルは、指先が動く方向に沿ってマイナスに下降する。位置L2における各セルから出力される差分信号の電位レベルは、指先が動く方向に沿って上昇し、点P(位置L1〜L3の中点)においてゼロとなり、指先が動く方向に沿ってさらに上昇する。位置L3における各セルから出力される出力信号の電位レベルは、指先が動く方向に沿って下降する。
【0085】
これを画像化した場合、図7(f)に示すように、動きがないように見える位置L2付近の各セルからは画像が出力されず、動きがあるように見える位置L1、L3付近の各セルからは画像が出力され、動きがある指先の輪郭のみが出力される。このようにして、動き検知モードが実現される。
【0086】
以上に説明した第1の実施形態に係る固体撮像装置によれば、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理することにより、被写体の動きを検知することができる。従って、画像同士を比較する複雑な信号処理を行うことなく、容易に被写体の動きを検知することができる。
【0087】
(動き検知モードの変形例)
上述の動き検知モードは、図5に示すように、T2、T5のタイミングにおいてノイズ成分のみを検出してもよい。すなわち、まず、上記タイミングでノイズを検出し、差動増幅器Diff−AMPによって第1、第2の検出信号に重畳されるそれぞれのノイズを除去する。次に、ノイズが除去された第1の検出信号と第2の検出信号との差をとる。これにより、動き検知モードを実現してもよい。
【0088】
なお、ノイズが除去された第1の検出信号および第2の検出信号をそれぞれ別個に取り出せば、第1の画素13aと第2の画素13bとは、それぞれ独立して撮像対象を撮像することになる。この場合、高解像度モードが実現される。
【0089】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る固体撮像装置30の要部を示す上面図である。第2の固体撮像装置30は、第1の固体撮像装置10と比較して、単位セル14の配置が異なる。
【0090】
図8に示すように、第2の実施形態に係る固体撮像装置30は、複数の第1のマイクロレンズ12a、および複数の第2のマイクロレンズ12bが市松状に配列されるように、複数の単位セル14が配列されたものである。
【0091】
すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置30は、複数の第1のマイクロレンズ12aが市松状に配列されるとともに、各第2のマイクロレンズ12bを第1のマイクロレンズ12aの隙間に配置することによって複数の第2のマイクロレンズ12bが市松状に配列されるように、複数の単位セル14が配列されたものである。
【0092】
この固体撮像装置30であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法と同様に動作させることにより、動き検知モードを実現することができる。
【0093】
以上に説明した第2の実施形態に係る固体撮像装置30であっても、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理する。従って、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と同様の理由により、容易に被写体の動きを検知することができる。
【0094】
さらに、第2の実施形態に係る固体撮像装置30によれば、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と比較して、第1、第2のマイクロレンズ12a、12bの隙間が減少しているため、より多くの光を受光することができる。従って、より感度が向上した固体撮像装置30を提供することができる。
【0095】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る固体撮像装置40の要部を示す上面図である。第3の固体撮像装置40は、斜め方向において互いに隣接する画素41a、41bの感度が互いに異なっている。本実施形態に係る固体撮像装置40は、感度が異なる2つの画素41a、41bを単位セル42とする、いわゆる2画素1セルタイプの固体撮像装置である。
【0096】
さらに、この固体撮像装置40は、単位セル毎に赤、緑、青のいずれかの光を透過させる色フィルタR1、R2、Gr1、Gr2、Gb1、Gb2、B1、B2を、配線層22(図2)と第1、第2のマイクロレンズ43a、43bとの間に有するものである。赤色の光を透過させる赤色フィルタR1、R2、緑色の光を透過させる緑色フィルタGr1、Gr2、Gb1、Gb2、および青色の光を透過させる青色フィルタB1、B2は、単位セル42の配列に応じてベイヤー配列されている。
【0097】
各単位セル42は、高感度の第1の画素41aと、低感度の第2の画素41bと、を有する。高感度の第1の画素41aは、面積が大きい六角形状の第1のフォトダイオード44aと、この第1のフォトダイオード44a上に形成された、サイズが大きい第1のマイクロレンズ43aと、を有する。また、低感度の第2の画素41bは、第1のフォトダイオード44aより面積が小さい六角形状の第2のフォトダイオード44bと、この第2のフォトダイオード44b上に形成された、第1のマイクロレンズ43aよりサイズが小さい第2のマイクロレンズ43bと、を有する。
【0098】
本実施形態に係る固体撮像装置40は、複数の単位セル42を有し、これらがそれぞれ図面斜め方向に向くように配置されるとともに、複数の第1のマイクロレンズ43a、および複数の第2のマイクロレンズ43bが市松状に配列されるように、複数の単位セル42が配列されたものである。
【0099】
すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置40は、複数の第1のマイクロレンズ43aが市松状に配列されるとともに、各第2のマイクロレンズ43bを第1のマイクロレンズ43aの隙間に配置することによって複数の第2のマイクロレンズ43bが市松状に配列されるように、複数の単位セル42が配列されたものである。
【0100】
各単位セル42内には、第1、第2の読み出しゲート45a、45b、検出部46、単位セルの出力回路47、リセットトランジスタ48、ドレイン49、が設けられている。
【0101】
第1の読み出しゲート45aは、第1の画素41aの第1のフォトダイオード44aの一辺に近接する位置に設けられている。第2の読み出しゲート45bは、第2の画素41bの第2のフォトダイオード44bの一辺に近接する位置であって、第1の読み出しゲート45aに対して垂直に設けられている。
【0102】
検出部46および単位セルの出力回路47は、単位セル42内における第1の画素41aと第2の画素41bとの間に設けられている。検出部46は、第1の読み出しゲート45aと第2の読み出しゲート45bとの間に設けられており、単位セルの出力回路47は、検出部46に対向する位置に設けられている。
【0103】
リセットトランジスタ48は、検出部46に近接する位置に設けられており、ドレイン49は、この領域49と検出部46とによって、リセットトランジスタ48を挟む位置に設けられている。
【0104】
このような単位セル42が配列された固体撮像装置40において、複数の垂直信号線LSGr、LSB、LSGb、LSRのそれぞれは、垂直方向において同一色の色フィルタを有する複数の単位セル42のそれぞれの単位セルの出力回路47に共通に接続されている。垂直信号線LSGr、LSB、LSGb、LSRに対して交差する複数の水平信号線LH1は、水平方向において隣接する複数の単位セル42のそれぞれの第1の読み出しゲート45aに共通に接続されている。複数の水平信号線LH1の間に、水平信号線LH1に対して平行に配置される複数の水平信号線LH2は、水平方向において隣接する複数の単位セル42のそれぞれの第2の読み出しゲート45bに共通に接続されている。
【0105】
この固体撮像装置40であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法と同様に動作させることにより、動き検知モードを実現することができる。
【0106】
以上に説明した第3の実施形態に係る固体撮像装置40であっても、第1の画素41aと第2の画素41bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素41aと第2の画素41bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素41a、41bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理する。従って、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と同様の理由により、容易に被写体の動きを検知することができる。
【0107】
さらに、第3の実施形態に係る固体撮像装置40によれば、各単位セル42内における第1の画素41aと第2の画素41bとは、それぞれ同一色の色フィルタを備えている。さらに、各単位セル42内の同一色の2つのフィルタを1つの色フィルタとみなすと、1つであるとみなされる赤色フィルタR、緑色フィルタGr、Gb、青色フィルタBは、ベイヤー配列されている。従って、差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号から色を有する画像を形成するための画像処理回路(図示せず)は、通常に用いられている画像処理回路をそのまま適用することができる。
【0108】
(第4の実施形態)
図10は、上述の第1乃至第3のいずれかの固体撮像装置10、30、40を用いた固体撮像システム50であるアンタッチパネル50を模式的に示す上面図である。また、図11は、このアンタッチパネル50を示す模式的な側面図である。
【0109】
図10および図11に示すように、表示装置として、例えばディスプレイ51の周辺部分には、枠体52が設けられている。この枠体52には、例えば上述の第1の実施形態に係る固体撮像装置10が適用された複数のカメラ53が設けられている。これらのカメラ53は、図10に示すように、例えば枠体52の右上の角部および左上の角部に設けられている。
【0110】
なお、カメラ53は、上述の第2または第3の実施形態に係る固体撮像装置30、40を適用したものであってもよい。
【0111】
このようなアンタッチパネル50において、各カメラ53を動き検知モードで動作させて、被写体として、例えば図10に示す指先を撮像する。このとき、各カメラ53が有するそれぞれの固体撮像装置10は、静止した指先を撮像した場合に、出力回路から差分信号を出力せず、動く指先を撮像した場合に、出力回路から差分信号を出力する。さらに、差分信号が出力された場合、画像形成部26(図3)は、この差分信号に基づく画像を形成して出力する。すなわち、アンタッチパネル50は、各カメラ53が有するそれぞれの固体撮像装置10から出力される画像に基づいて、被写体である例えば指先の動きを検知する。
【0112】
より具体的に説明すると、例えば右上のカメラ53によって、指先を撮像し、図10中のx方向およびz方向の指先の動きを検知させ、左上のカメラ53によって、指先を撮像し、図10中のy方向およびz方向の指先の動きを検知させる。これにより、アンタッチパネル50は、指先の3次元的な動きを検知することができる。従って、ディスプレイ51を指先で直接触れることなく、アンタッチパネル50を操作することができる。なお、指先が動くことにより形成される画像は、アンタッチパネル50が、指先の動きに従って例えば描画するような場合には、ディスプレイ51に表示してもよい。また、形成される画像は、アンタッチパネル50が、指先の動きに応じて例えばディスプレイ51上に表示されたゲームの登場人物等を動かす場合には、ディスプレイ51に表示しなくてもよい。
【0113】
以上に示す固体撮像システム50によれば、容易に被写体の動きを検知することができる固体撮像装置10、30、40を用いたカメラ53によって、被写体の動きを検知しているため、容易に被写体の動きを検知することができる固体撮像システム50を提供することができる。
【0114】
また、本実施形態に係る固体撮像システム50によれば、ディスプレイ51を指先で直接触れることなく、アンタッチパネル50を操作することができるため、ディスプレイ51表面が汚れることを抑制することができる。
【0115】
また、本実施形態に係る固体撮像システム50によれば、複数のカメラ53によって指先の3次元的な動きを検知するため、指先がディスプレイ51に触れたことを検知するための透明電極を、ディスプレイ51に設ける必要がない。従って、上述の固体撮像システム50は、従来のタッチパネルと比較して、ディスプレイ51の明度が上昇する。
【0116】
(変形例)
上述の各実施形態に係る固体撮像装置10、30、40は、容易に動き検知モードを実現することができるものであった。しかし、例えば第1の実施形態に係る固体撮像装置10の基本構成をそのままに、広ダイナミックレンジモードを実現することができる。以下に、広ダイナミックレンジモードを実現する方法を説明する。なお、以下の方法の説明において、動き検知モードを実現する方法と異なる部分についてのみ説明する。
【0117】
図12は、広ダイナミックレンジモードにおける、アドレストランジスタADDRESSTr、リセットトランジスタ18、第1の読み出しゲート15a、および第2の読み出しゲート15bの動作と、垂直信号線LSに現れる第1、第2の検出信号との関係を示すタイミングチャートである。図13は、広ダイナミックレンジモードにおける、第1乃至第3のスイッチSW1、SW2、SW3の動作と、差動増幅器Diff−AMPに入力される第1、第2の検出信号および差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【0118】
なお、図12に示される広ダイナミックレンジモードの動作は、制御部27(図3)が、第1の実施形態において説明した出力回路に、制御信号であるモード切り替え信号として、広ダイナミックレンジモード信号を出力することにより実行される。
【0119】
図12および図13に示すように、広ダイナミックレンジモードの場合、まず、T2のタイミングでノイズ成分のみをサンプリングする。すなわち、T2のタイミングで第1のスイッチSW1を一定時間だけオンする。すると、垂直信号線LSには、ノイズ成分が現れる。このノイズ成分は、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に入力されるとともに、キャパシタCに入力される。従って、キャパシタCには、ノイズ成分に基づく電位が充電される。従って、一定期間、キャパシタCは、ノイズ成分に基づく電位を保持する。よって、第1のスイッチSW1をオフしても、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子には、一定時間だけ、キャパシタCに充電された電位が印加され続ける。
【0120】
次に、第1の画素13aに蓄積される第1の信号電荷の読み出しと、第2の画素13bに蓄積される第2の信号電荷の読み出しとを、T3のタイミングで同時に行なう。すると、垂直信号線LSには、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との和に相当する電荷量に基づく電位を有する検出信号が現れる。この検出信号は、ノイズ成分に重畳される。
【0121】
この後、図13に示すように、T31のタイミングで第2、第3のスイッチSW2、SW3を一定時間だけオンする。すると、検出信号は、ノイズ成分とともに、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に入力される。
【0122】
このように、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に、検出信号およびノイズ成分に基づく電位が印加されているとき、マイナス端子には、ノイズ成分に基づく電位が印加されている。
【0123】
ここで、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子およびマイナス端子に印加されているノイズ成分の電位は等しい。従って、T31のタイミングで第3のスイッチSW3を一定時間だけオンすると、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号として、ノイズ成分がキャンセルされた検出信号のみが出力される。
【0124】
次に、図14を参照して、第1の信号電荷の読み出しと、第2の信号電荷の読み出しとを同時に行い、両者の信号電荷を加算することにより、広ダイナミックレンジモードを実現することができる理由について説明する。
【0125】
図14は、広ダイナミックレンジモードを説明するための図であって、第1の実施形態に係る固体撮像装置10の単位セル14が受光した光量と、差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【0126】
図14に示すように、例えば第1の画素13aのみによって被写体を撮像した場合、第1の画素13aは高感度であるため、被写体から受光する光が低光量であっても、第1のフォトダイオード11a内において第1の信号電荷の電荷量は急激に増加する。従って、第1の画素13aのみによって被写体を撮像した場合、高感度モードが実現される。
【0127】
しかし、第1の画素13aの第1のフォトダイオード11a内において、第1の信号電荷の電荷量は急激に増加するため、被写体から受光する光が高光量であった場合、第1のフォトダイオード11aは飽和してしまう。従って、第1の画素13aのみによって被写体を撮像した場合、ダイナミックレンジが狭い。
【0128】
反対に、例えば第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合、第2の画素13bは低感度であるため、第2の画素13bの第2のフォトダイオード11b内において、第2の信号電荷の電荷量は緩やかに増加する。従って、被写体から受光する光が高光量であっても、第2のフォトダイオード11bは飽和し難い。すなわち、第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合、ダイナミックレンジが広い。
【0129】
しかし、第2の画素13bの第2のフォトダイオード11b内において、第2の信号電荷の電荷量は緩やかに増加するため、被写体から受光する光が低光量であった場合、第2のフォトダイオード11b内において第2の信号電荷の電荷量はほとんど増加しない。従って、第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合、感度が低下する。
【0130】
これらに対し、第1の信号電荷と第2の信号電荷と加算すると、被写体から受光する光が低光量であっても、第1のフォトダイオード11a内において第1の信号電荷の電荷量が急激に増加するため、感度よく被写体を撮像することができる。
【0131】
さらに、被写体から受光する光が高光量であっても、第2のフォトダイオード11b内において第2の信号電荷の電荷量が増加するため、第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合と同じダイナミックレンジを実現することができる。
【0132】
従って、第1の信号電荷の読み出しと、第2の信号電荷の読み出しとを同時に行い、両者の信号電荷を加算することにより、広ダイナミックレンジモードを実現することができる。
【0133】
なお、このように、動き検知モードに加えて、さらに広ダイナミックレンジモードを実現することができる固体撮像装置10、30、40のいずれかを、上述の第4の実施形態のように、固体撮像システム50であるアンタッチパネル50に適用してもよい。動き検知モードに加えて、さらに広ダイナミックレンジモードを実現することができる固体撮像装置10、30、40のいずれかを、例えば静止画を撮像するカメラ機能を有するアンタッチパネル50に適用することは、有効である。
【0134】
(広ダイナミックレンジモードの変形例)
図15は、広ダイナミックレンジモードを実現するための第1の実施形態に係る固体撮像装置の変形例を示す上面図である。図15に示す変形例に係る固体撮像装置60は、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と比較して、大きい第1のマイクロレンズ64aを有する高感度の第1の画素61a、および第1のマイクロレンズ64aより小さい第2のマイクロレンズ64bを有する低感度の第2の画素61bによって単位セル62が構成されている点は同じである。しかし、第1の画素61aの第1のフォトダイオード63aは、第2の画素61bの第2のフォトダイオード63bよりも小さい点が異なる。
【0135】
なお、単位セル62に含まれる第1、第1の読み出しゲート15a、15b、検出部16、単位セルの出力回路17、リセットトランジスタ18、およびドレイン19は、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と同様に構成される。
【0136】
この固体撮像装置40であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法と同様に動作させることにより、動き検知モードを実現することができる。
【0137】
この固体撮像装置60であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による広ダイナミックレンジモードの撮像方法と同様に動作させることにより、広ダイナミックレンジモードを実現することができる。しかし、変形例に係る固体撮像装置60の場合、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による広ダイナミックレンジモードよりさらに広いダイナミックレンジを実現することができる。以下に、この理由を説明する。
【0138】
図16は、固体撮像装置60の単位セル62が受光した光量と、差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【0139】
図15に示すように、第1の画素61aの第1のフォトダイオード63aを小さく形成し、第2の画素61bの第2のフォトダイオード63bを大きく形成すると、図16に示すように、第1の画素61aの飽和レベルが低下するため、第1の画素61aのダイナミックレンジは小さくなるが、第2の画素61bの飽和レベルが上昇するため、第2の画素61bのダイナミックレンジはより広くなる。
【0140】
広ダイナミックレンジモードの場合におけるダイナミックレンジは、第2の画素61bのダイナミックレンジと同じであるため、変形例に係る固体撮像装置60によれば、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による広ダイナミックレンジモードよりさらに広いダイナミックレンジを実現することができる。
【0141】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0142】
10、30、40、60・・・固体撮像装置
11a、44a、63a・・・第1のフォトダイオード
11b、44b、63b・・・第2のフォトダイオード
12a、43a、64a・・・第1のマイクロレンズ
12b、43b、64b・・・第2のマイクロレンズ
13a、41a、61a・・・第1の画素
13b、41b、61b・・・第2の画素
14、42、62・・・単位セル
15a、45a・・・第1の読み出しゲート(第1のゲート電極)
15b、45b・・・第2の読み出しゲート(第2のゲート電極)
16、46・・・検出部
17、47・・・単位セルの出力回路
17´・・・共通出力回路
18、48・・・リセットトランジスタ
19、49・・・ドレイン
20・・・半導体基板
21・・・酸化膜
22・・・配線層
23・・・配線
24・・・絶縁体
25・・・垂直レジスタ
26・・・画像形成部
27・・・制御部
50・・・固体撮像システム(アンタッチパネル)
51・・・ディスプレイ
52・・・枠体
53・・・カメラ
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体撮像装置および固体撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンや携帯端末の入力手段として、指先をディスプレイに触れさせることなく文字を入力したり描画したりすることができる、光学式のいわゆるアンタッチパネルの開発が進められている。光学式のタッチパネルによれば、指先をディスプレイに触れさせないため、ディスプレイ表面が汚れることを抑制できる。さらに光学式のアンタッチパネルによれば、指先の動きを検知して文字を入力したり描画したりするため、指先がディスプレイに触れたことを検知する透明電極が不要になる。従って、透明電極の光吸収によってディスプレイの明度が低下することを抑制することができる。
【0003】
また、ゲーム分野において、人間の意志を機械に伝達するための手段として、光学的に人の動きを認識させることにより画面上の登場人物の動きを変え、若しくは球技に対するリアクションに変えるシステムが普及している。
【0004】
これらのアンタッチパネルおよびシステムに適用されるカメラには、固体撮像装置として、CMOSセンサまたはCCDセンサが使用される。例えばCMOSセンサは、大きさが等しくかつ感度が同一である複数の画素を格子状に配列したものである。例えばこのようなCMOSセンサが適用されたカメラを使用して、指先などの被写体の動きを検知する場合、動き検知用の信号処理回路を用いて、以下のような信号処理を行う必要がある。
【0005】
すなわち、所定の時間間隔毎に動く被写体を含む所定領域を撮像し、撮像された画像同士を、動き検知用の信号処理回路を用いて比較する。画像同士を比較することによって、被写体が動いた方向および被写体が動いた距離を検出することができるため、被写体の動きを検知することができる。
【0006】
しかし、このような信号処理は画像同士の比較に基づく処理であるため、非常に処理が複雑であり、従って処理時間も要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−15219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施形態は、被写体の動きを容易に検知することができる固体撮像装置および固体撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る固体撮像装置は、第1の画素、第2の画素、および出力回路を有する。前記第1の画素は、光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する。前記第2の画素は、光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有する。さらに前記第2の画素は、前記第1の画素に対して1/n倍の感度と、前記第1の画素に対してn倍の光電変換期間と、を有する。前記出力回路は、前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力する。
【0010】
また、実施形態に係る固体撮像システムは、上述の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、画像形成部をさらに具備する。この画像形成部は、前記固体撮像装置が有する前記出力回路から出力される前記差分信号に基づいて画像を形成して出力する。前記出力回路は、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知する。
【0011】
また、実施形態に係る固体撮像装置は、第1の画素、第2の画素、出力回路、および制御部、を具備する。前記第1の画素は、光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する。前記第2の画素は、光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有するとともに、前記第1の画素に対して1/n倍の感度を有する。前記出力回路は、前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量に基づく信号を出力する。前記制御部は、前記出力回路にモード切り替え信号を出力することにより、前記出力回路の動作を制御する。この制御部は、前記出力回路に、前記モード切り替え信号として動き検知モード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間に対してn倍になるように、前記第1の画素および前記第2の画素から、前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力するように動作する。また、前記制御部は、前記出力回路に、前記モード切り替え信号として広ダイナミックレンジモード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間より長くなるように、前記第1の画素および前記第2の画素から、前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力するように動作する。
【0012】
また、実施形態に係る固体撮像システムは、上述の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、画像形成部をさらに具備する。この画像形成部は、前記固体撮像装置が有する前記出力回路から出力される前記信号に基づいて画像を形成して出力する。前記出力回路は、この回路が前記制御部から前記動き検知モード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像したときに前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像したときに前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知し、前記出力回路が前記制御部から前記広ダイナミックレンジモード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が被写体を撮像したときに、前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力し、前記画像形成部がこの和に基づく信号に基づいて画像を形成して出力する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る固体撮像装置の要部を示す上面図である。
【図2】図1の一点鎖線X−X´に沿った固体撮像装置の部分断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る固体撮像装置における単位セルおよび垂直方向における複数の単位セルに共通して配置された共通出力回路を含む固体撮像装置の等価回路図である。
【図4】第1の画素および第2の画素における、光電変換期間と、各画素に蓄積される信号電荷の電荷量と、の関係を示すための説明図である。
【図5】動き検知モードにおける、アドレストランジスタ、リセットトランジスタ、第1の読み出しゲート、および第2の読み出しゲートの動作と、垂直信号線に現れる検出信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図6】動き検知モードにおける、第1乃至第3のスイッチの動作と、差動増幅器に入力される検出信号および差動増幅器から出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【図7】動き検知モードを説明するための説明図であって、同図(a)は撮像対象の例である動いている指先を示し、同図(b)は第1の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(c)は同図(b)の反転画像を示し、同図(d)は第2の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(e)は同図(a)の点線A−A´に沿ったライン上の各セルから出力される検出信号の電位レベルを示し、同図(f)は本実施形態に係る固体撮像装置による出力画像を示す。
【図8】第2の実施形態に係る固体撮像装置の要部を示す上面図である。
【図9】第3の実施形態に係る固体撮像装置の要部を示す上面図である。
【図10】第4の実施形態に係る固体撮像システムの要部を示す上面図である。
【図11】第4の実施形態に係る固体撮像システムの要部を示す側面図である。
【図12】広ダイナミックレンジモードにおける、アドレストランジスタ、リセットトランジスタ、第1の読み出しゲート、および第2の読み出しゲートの動作と、垂直信号線に現れる検出信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図13】広ダイナミックレンジモードにおける、第1乃至第3のスイッチの動作と、差動増幅器に入力される検出信号および差動増幅器から出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【図14】広ダイナミックレンジモードを説明するための図であって、第1の実施形態に係る固体撮像装置の単位セルが受光した光量と、差動増幅器から出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【図15】広ダイナミックレンジモードを実現するための固体撮像装置の他の変形を示す上面図である。
【図16】図15に示す固体撮像装置によって広ダイナミックレンジモードを説明するための図であって、固体撮像装置の単位セルが受光した光量と、差動増幅器から出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、実施形態に係る固体撮像装置および固体撮像システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置10の要部を示す上面図である。図1に示す固体撮像装置10は、フォトダイオード11a、11bおよびマイクロレンズ12a、12bを有する複数の画素13a、13bが格子状に配列されたCMOS型の固体撮像装置10である。
【0016】
この固体撮像装置10において、縦方向において互いに隣接する画素13a、13bは、互いに感度が異なっている。本実施形態に係る固体撮像装置10は、このように感度が異なる2つの画素13a、13bを単位セル14とする、いわゆる2画素1セルタイプの固体撮像装置である。
【0017】
各単位セル14は、高感度の第1の画素13aと、低感度の第2の画素13bと、を有する。高感度の第1の画素13aは、面積が大きい四角形状の第1のフォトダイオード11aと、この第1のフォトダイオード11a上に形成された、サイズ(表面積若しくは高さ)が大きい第1のマイクロレンズ12aと、を有する。また、低感度の第2の画素13bは、第1のフォトダイオード11aより面積が小さい四角形状の第2のフォトダイオード11bと、この第2のフォトダイオード11b上に形成された、第1のマイクロレンズ12aよりサイズが小さい第2のマイクロレンズ12bと、を有する。
【0018】
なお、各画素13a、13bの飽和レベル、すなわち、各フォトダイオード11a、11bが光電変換することにより蓄えることができる最大の信号電荷量は、各フォトダイオード11a、11bの面積によって決まる。第1のフォトダイオード11aは、第2のフォトダイオード11bより面積が大きいため、第1の画素13aの飽和レベルは、第2の画素13bの飽和レベルより高い。
【0019】
ここで、第1の画素13aは第2の画素13bより高感度であり、第1のフォトダイオード11aに単位時間当たりに蓄積される信号電荷量は、第2のフォトダイオード11bより多いため、本実施形態にかかる固体撮像装置10のように、第1のフォトダイオード11aは、第2のフォトダイオード11bより大きいことが好ましい。しかし、第1の画素13aおよび第2の画素13bの光電変換期間内に、第1のフォトダイオード11aおよび第2のフォトダイオード11bが共に飽和しない程度の大きさであれば、これらのフォトダイオード11a、11bの大きさの関係は、上述の関係に限定されない。従って、例えば後述の図15に示す固体撮像装置60のように、第1のフォトダイオード11aは、第2のフォトダイオード11bより小さくてもよい。
【0020】
また、各画素13a、13bの感度は、各マイクロレンズ12a、12bのサイズによって決まる。第1のマイクロレンズ12aは、第2のマイクロレンズ12bより大きいサイズであるため、第1の画素13aの感度は、第2の画素13bの感度より高い。
【0021】
本実施形態に係る固体撮像装置10は、このような第1の画素13aおよび第2の画素13bを有する複数の単位セル14が、格子状に配列されたものである。すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置10は、同一単位セル14内の第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bとが図面縦方向(以下、垂直方向と称する)において隣接し、異なる単位セル14内のそれぞれの第1のマイクロレンズ12aが図面横方向(以下、水平方向と称する)において隣接するように、複数の単位セル14が格子状に配列されたものである。この場合、異なる単位セル14内のそれぞれの第2のマイクロレンズ12bは、水平方向において近接する。
【0022】
各単位セル14内には、第1の画素13aに蓄積された信号電荷(以下、第1の信号電荷と称する)を読み出す第1の読み出しゲート15a、第2の画素13bに蓄積された信号電荷(以下、第2の信号電荷と称する)を読み出す第2の読み出しゲート15b、第1、第2の信号電荷を検出する検出部16、検出された第1、第2の信号電荷に基づいて第1、第2の検出信号を出力する単位セルの出力回路17、検出部16を一定電位にリセットし、かつ余剰電荷を排出するリセットトランジスタ18、一定電位にリセットし、かつ余剰電荷の排出先であるドレイン19、が設けられている。
【0023】
第1の読み出しゲート15aは、第1の画素13aの第1のフォトダイオード11aの一辺に近接する位置に設けられている。第2の読み出しゲート15bは、第2の画素13bの第2のフォトダイオード11bの一辺に近接する位置に設けられている。
【0024】
検出部16は、第1の読み出しゲート15aと第2の読み出しゲート15bとの間に設けられている。検出部16は、第1の読み出しゲート15aによって第1の画素13aから読み出した第1の信号電荷、および第2の読み出しゲート15bによって第2の画素13bから読み出した第2の信号電荷を受け取る。
【0025】
単位セルの出力回路17は、第2の画素13bに近接する位置に設けられており、検出部16が受け取った第1、第2の信号電荷の電荷量に応じた第1、第2の検出信号を出力する回路である。
【0026】
なお、リセットトランジスタ18は、このトランジスタ18と単位セルの出力回路17とによって検出部16を挟む位置に設けられている。リセットトランジスタ18は、検出部16に蓄積された余剰電荷を検出部16から排出してリセットトランジスタ18の近傍に設けられたドレイン19に転送することにより、検出部16の電位を一定に保つ。
【0027】
図2は、図1の一点鎖線X−X´に沿った固体撮像装置10の部分断面図である。図2に示すように、固体撮像装置10の単位セル14において、例えばシリコンからなるP型の半導体基板20の表面には、N+型の不純物層である第1のフォトダイオード11aおよび第2のフォトダイオード11bが、互いに離間した位置に形成されている。また、半導体基板20の表面において、第1のフォトダイオード11aと第2のフォトダイオード11bとに挟まれた位置には、N+型の不純物層である検出部16が形成されている。
【0028】
半導体基板20の表面上において、第1のフォトダイオード11aと検出部16との間には、酸化膜21を介して第1の読み出しゲート15aである第1のゲート電極15aが形成されている。同様に、第2のフォトダイオード11bと検出部16との間には、酸化膜21を介して第2の読み出しゲート15bである第2のゲート電極15bが形成されている。
【0029】
また、半導体基板20の表面上には、酸化膜21を介して配線層22が形成されている。この配線層22は、上述の第1のゲート電極15a、第2のゲート電極15b、および配線23を含み、これらが絶縁体24によって互いに絶縁されたものである。
【0030】
配線層22の表面上には、第1のマイクロレンズ12aおよび第2のマイクロレンズ12bが形成されている。第1のマイクロレンズ12aは、第1のフォトダイオード11a上に形成されており、第2のマイクロレンズ12bは、第2のフォトダイオード11a上に形成されている。
【0031】
この固体撮像装置10において、例えば第1のゲート電極15aに所望の電圧が印加されると、第1のゲート電極15a直下の半導体基板20の表面にチャネルが形成されるため、第1のフォトダイオード11aに蓄積された第1の信号電荷を、チャネルを介して検出部16に転送することができる。同様に、第2のゲート電極15bに所望の電圧が印加されると、第2のゲート電極15b直下の半導体基板20の表面にチャネルが形成されるため、第2のフォトダイオード11bに蓄積された第2の信号電荷を、チャネルを介して検出部16に転送することができる。
【0032】
なお、リセットトランジスタ18における電荷の転送も、同様に行われる。
【0033】
図3は、本実施形態に係る固体撮像装置10における単位セル14および垂直方向における複数の単位セル14に共通して配置された共通出力回路17´を含む固体撮像装置の等価回路図である。図3に示すように、高感度の第1の画素13aを構成する第1のフォトダイオード11aには、第1の読み出しゲート15aが接続されている。同様に、低感度の第2の画素13bを構成する第2のフォトダイオード11bには、第2の読み出しゲート15bが接続されている。
【0034】
第1の読み出しゲート15aおよび第2の読み出ゲート15bの出力は、検出部16に共通に接続されている。この検出部16は、垂直方向において、リセットトランジスタ18に接続されており、水平方向において、単位セルの出力回路17に接続されている。
【0035】
なお、単位セルの出力回路17は、検出部16で受けた第1、第2の信号電荷を電圧信号に変換するためのアンプトランジスタAMPTr、および単位セル14を選択するためのアドレストランジスタADDRESSTrからなる。上述の検出部16は、水平方向において、単位セルの出力回路17のアンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに接続されている。
【0036】
アンプトランジスタAMPTrのドレインは、アドレストランジスタADDRESSTrに接続されており、アンプトランジスタAMPTrのソースは、垂直信号線LSを介してロードトランジスタLOADTrに接続されている。
【0037】
第1乃至第3のスイッチSW1、SW2,SW3、差動増幅器Diff−AMP、ロードトランジスタLOADTrを含む共通出力回路17´は、垂直方向に配列された複数の単位セル14に共通して使用される。
【0038】
第1の読み出しゲート15aの制御ゲートは、第1のリード線LR1を介して周辺回路である垂直レジスタ25に接続されており、第2の読み出しゲート15bの制御ゲートは、第2のリード線LR2を介して垂直レジスタ25に接続されている。また、リセットトランジスタ18のゲート電極は、リセット線LRSを介して垂直レジスタ25に接続されており、アドレストランジスタADDRESSTrのゲート電極は、アドレス線LAを介して垂直レジスタ25に接続されている。
【0039】
アンプトランジスタAMPTrの出力は、ロードトランジスタLOADTrおよび第1のスイッチSW1を介して差動増幅器Diff−AMPの反転入力端子(以下、マイナス端子と称する)に接続されていると同時に、ロードトランジスタLOADTrおよび第2のスイッチSW2を介して差動増幅器Diff−AMPの非反転入力端子(以下、プラス端子と称する)に接続されている。なお、第1のスイッチSW1の出力は、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に接続されると同時に、キャパシタCを介して接地されている。
【0040】
差動増幅器Diff−AMPの出力には、第3のスイッチSW3が接続されている。そして、第3のスイッチSW3には、このスイッチSW3から出力される信号に基づいて画像を形成する画像形成部26が接続されている。この画像形成部26について詳細に説明すると、共通出力回路17’は各垂直信号線LS下部に、それぞれ設置されている。このSW3は水平レジスタ(図示せず)に連結されており、順次SW3をONさせ、1水平走査線の差分出力を順次、水平出力ライン(図示せず)にて外部に出力させる。この水平レジスタ、水平出力ラインを画像形成部26と称した。
【0041】
また、垂直レジスタ25および共通出力回路17´には、これらを制御する制御部27が接続されている。制御部27は、垂直レジスタ25および共通出力回路17´に制御信号を出力することにより、これらの動作を制御する。
【0042】
すなわち、制御部27が垂直レジスタ25に制御信号を出力することにより、垂直レジスタ25は、第1の読み出しゲート15a、第2の読み出しゲート15b、リセットトランジスタ18、およびアドレストランジスタADDRESSTrに、これらを所望のタイミングで動作させるための信号を出力する。
【0043】
また、制御部27が共通出力回路17´に含まれる第1乃至第3のスイッチSW1、SW2,SW3、およびロードトランジスタLOADTrのそれぞれに所望のタイミングで制御信号を出力することにより、これらは、所望のタイミングで動作する。
【0044】
ここで、各単位セル14毎に設けられた第1の読み出しゲート15a、第2の読み出しゲート15b、リセットトランジスタ18、および単位セル14の出力回路17と、垂直レジスタ25と、共通出力回路17´と、を含む回路を、出力回路と称すると、制御部27が出力回路に制御信号を出力することにより、出力回路は、所望のタイミングで所望の動作を行う。
【0045】
次に、本実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法について説明する。この撮像方法は、動き検知モードを実現する方法である。ここで、動き検知モードとは、静止状態にある被写体は画像として出力せず、動いている被写体の輪郭を画像として出力するモードである。この動き検知モードを実現する方法について、図4を参照して説明する。図4は、第1の画素13aおよび第2の画素13bにおける、光電変換期間と、各画素13a、13bに蓄積される第1の信号電荷若しくは第2の信号電荷の電荷量と、の関係を示すための説明図である。図中の実線の矢印は第1の画素13aに蓄積される第1の信号電荷の電荷量を示し、図中の一点鎖線の矢印は第2の画素13bに蓄積される第2の信号電荷の電荷量を示す。なお、以下の説明において、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比は2:1であるものとする。
【0046】
図4に示すように、まず、互いに異なる感度を有する第1の画素13aおよび第2の画素13bにおいて、同時に光電変換を開始させる。第1の画素13aの感度は第2の画素13bの感度の2倍であるため、光電変換によって第1の画素に蓄積される第1の信号電荷の電荷量は、第2の画素13bに蓄積される第2の信号電荷の電荷量の2倍の割合で増加していく。
【0047】
次に、所定の時間t1が経過した後、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷のみを排出する。この排出動作は、いわゆる電子シャッターであって、読み出された第1の信号電荷は、リセットトランジスタ18を介してドレイン19に排出される。なお、第2の画素13bの光電変換は、引き続き継続させる。
【0048】
第1の画素13aの電子シャッターが終了した後、再び第1の画素13aにおいて、光電変換を開始させる。
【0049】
次に、電子シャッターが終了してから所定の時間t1、すなわち第1の画素13aの光電変換期間t1が経過した後、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を読み出す。
【0050】
また、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を読み出すタイミングに対して僅かにずれたタイミング、すなわち、実質的に第2の画素13bの光電変換期間t2(=2×t1)が経過した後、第2の画素13bに蓄積された第2の信号電荷を読み出す。
【0051】
毎秒30枚の画像を撮る場合において、垂直方向に500画素有する場合、第1の画素13aから第1の信号電荷を読み出すタイミングと、第2の画素13bから第2の信号電荷を読み出すタイミングと、の差は、例えば64μ秒程度である。
【0052】
なお、本実施形態において、第2の画素13bの光電変換期間を第1の画素13aの光電変換期間の2倍に設定しているが、一般に、第1の画素13aが第2の画素13bの感度のn倍である場合、両者の光電変換期間は、第2の画素13bの光電変換期間が第1の画素13aの光電変換期間のn倍になるように両者の電子シャッターを働かせることにより、任意に設定できる。
【0053】
ここで、本実施形態に係る固体撮像装置によって静止状態にある被写体を撮像した場合、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量Qと、第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量Qとは、図4に示すように等しくなる。しかし、動いている被写体を撮像した場合、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量および第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量は、等しくはなくなり、両者の間に差が生じる。
【0054】
次に、第1の画素13aから読み出される第1信号電荷に基づいた第1の検出信号と、第2の画素13bから読み出される第2信号電荷に基づいた第2の検出信号と、を差動増幅器Diff−AMPを用いて減算処理する。
【0055】
前述したように、静止状態にある被写体を撮像した場合、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量とは等しい。従って、第1の検出信号の電圧と第2の検出信号の電圧とは等しくなる。従って、第1の検出信号と第2の検出信号とを減算処理すると、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号としてゼロが出力される。
【0056】
しかし、動く被写体を撮像した場合、被写体の動きに応じて第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との間には、差が生じる。従って、第1の検出信号の電圧と第2の検出信号の電圧との間にも差が生じる。このため、第1の検出信号と第2の検出信号とを減算処理すると、差動増幅器Diff−AMPからは、第1の検出信号の電圧と第2の検出信号の電圧との差である差分信号が出力される。この差分信号を画像化することにより、固体撮像装置は、被写体の動きに応じた画像を出力する。
【0057】
以上に説明したように、動き検知モードは、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比を2:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:2に設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理することにより実現される。
【0058】
なお、動き検知モードは、一般に、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理することにより実現される。
【0059】
以下に、上述した動き検知モードを実現する方法について、図3の等価回路図を参照しながら、図5および図6を参照してより詳細に説明する。図5は、動き検知モードにおける、アドレストランジスタADDRESSTr、リセットトランジスタ18、第1の読み出しゲート15a、および第2の読み出しゲート15bの動作と、垂直信号線LSに現れる第1、第2の検出信号との関係を示すタイミングチャートである。図6は、動き検知モードにおける、第1乃至第3のスイッチSW1、SW2、SW3の動作と、差動増幅器Diff−AMPに入力される第1、第2の検出信号および差動増幅器Diff−AMPの出力端子から出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【0060】
なお、図5および図6に示される動き検知モードの動作は、制御部27(図3)が、上述した出力回路に、制御信号であるモード切り替え信号として、動き検知モード信号を出力することにより実行される。
【0061】
図3に示すアドレストランジスタADDRESSTrがオフのときに、図5に示すように、T7のタイミングで、第1の読み出しゲート15aと第2の読み出しゲート15bとを同時に一定時間αだけオンする。これらのゲート15a、15bをオンすることにより、第1の画素13aおよび第2の画素13bに蓄積されていた第1、第2の信号電荷を検出部16に排出する。なお、後に第1の画素13aにおいて電子シャッターを実行するため、T7のタイミングにおいて、第1の読み出しゲート15aは、必ずしもオンする必要はない。
【0062】
次に、T8のタイミングで、リセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このトランジスタ18をオンすることにより、検出部16に蓄積された第1、第2の信号電荷を、余剰電荷としてドレイン19に送り、検出部16の電位を一定に保つ。なお、後にT1のタイミングでリセットトランジスタ18をオンするため、このタイミングにおいては、必ずしもリセットトランジスタ18をオンする必要はない。
【0063】
次に、第1の読み出しゲート15aがオフしてから時間t1−αが経過した後、T9のタイミングで再び第1の読み出しゲー15aを一定時間αだけオンする。すなわち、第1の画素13aにおいて、いわゆる電子シャッターを実行する。第1の読み出しゲート15aをオンすることにより、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を検出部16に再び排出する。なお、このとき、第2の読み出しゲート15bはオンせず、第2の画素13bは、光電変換を継続する。
【0064】
次に、T10のタイミングで、再びリセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このトランジスタ18をオンすることにより、検出部16に蓄積された第1の信号電荷を、余剰電荷としてドレイン19に送り、検出部16の電位を一定に保つ。なお、後にT1のタイミングでリセットトランジスタ18をオンするため、このタイミングにおいても、必ずしもリセットトランジスタ18をオンする必要はない。
【0065】
次に、アドレストランジスタADDRESSTrをオンにして、T1のタイミングでリセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このリセットトランジスタ18をオンすると、それまでに検出部16に蓄積された第1の信号電荷若しくは第2の信号電荷がドレイン19に排出され、検出部16の電位が一定に保たれる。この後、リセットトランジスタ18をオフすると、検出部16には誘導でノイズが載り、そのノイズがアンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに印加される。従って、垂直信号線LSにはノイズ成分が発生する。
【0066】
次に、第1の画素13aにおける電子シャッターが終了してから時間t1−αが経過した後、T3のタイミングで再び第1の読み出しゲート15aを一定時間αだけオンする。このゲート15aをオンすることにより、第1の画素13aに蓄積された第1の信号電荷を読み出す。第1の信号電荷は検出部16で検出され、アンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに印加されるため、垂直信号線LSに、第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号が発生する。この第1の検出信号は、ノイズ成分に重畳される。
【0067】
なお、T9のタイミングで第1の読み出しゲート15aがオフしたときからT3のタイミングで第1の読み出しゲート15aをオフするときまでの期間が、第1の画素13aの光電変換期間t1である。
【0068】
次に、T4のタイミングでリセットトランジスタ18を一定時間βだけオンする。このリセットトランジスタ18をオンすると、検出部16の電位が一定に保たれる。この後、このリセットトランジスタ18をオフすると、T1のタイミングでリセットトランジスタ18をオフしたときに発生したノイズと同一レベルのノイズがリセットトランジスタ18から発生し、垂直信号線LSには再びノイズ成分が発生する。
【0069】
この後、T7のタイミングで第2の読み出しゲート15bがオフしてから時間t2−αが経過した後、T6のタイミングで第2の読み出しゲート15bを一定時間αだけオンする。このゲート15bをオンすることにより、第2の画素13bに蓄積された第2の信号電荷を読み出す。第2の信号電荷は検出部16で検出され、アンプトランジスタAMPTrの制御ゲートに印加されるため、垂直信号LS線に、第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号が発生する。この第2の検出信号は、ノイズ成分に重畳される。
【0070】
なお、T7のタイミングで第2の読み出しゲート15bがオフしたときからT6のタイミングで第2の読み出しゲート15bがオフするときまでの時間が、第2の画素13bの光電変換期間t2である。この光電変換期間t2は、実際は、第1の画素13aの光電変換期間t1の2倍よりも僅かに長い。しかし、T3とT6とのタイミングを、実質的にt2=2×t1になるように、両者のタイミングずれを僅かにすることにより、第2の画素13bの光電変換期間t2を、第1の画素13aの光電変換期間t1の2倍とみなすことができる。
【0071】
このように、第2の画素13bの光電変換期間t2を、第1の画素13aの光電変換期間t1の2倍とみなす一方で、第2の画素13bの感度は、第1の感度13aの1/2倍である。従って、静止状態にある被写体を撮像した場合、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量と第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量とは、ほぼ同一になる。しかし、動く被写体を撮像した場合、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との間には、差が生ずる。
【0072】
図5に示すように、T3のタイミングで第1の信号電荷を読み出すと、この後、図6に示すように、T31のタイミングで第1のスイッチSW1を一定時間だけオンする。すると、第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号は、ノイズ成分とともに、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に入力される。これとともに、キャパシタCには、第1の検出信号およびノイズ成分が入力される。従って、キャパシタCには、第1の検出信号およびノイズ成分が有する電位が充電される。従って、一定期間、キャパシタCは、第1の検出信号およびノイズ成分が有する電位を保持する。よって、第1のスイッチSW1をオフしても、差動増幅器Diff−APMのマイナス端子には、一定時間だけ、キャパシタCに充電された電位が印加され続ける。
【0073】
また、図5に示すように、T6のタイミングで第2の画素13bから第2の信号電荷を読み出すと、この後、図6に示すように、T62のタイミングで第2、第3のスイッチSW2、SW3を一定時間だけオンする。すると、第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号は、ノイズ成分とともに、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に入力される。
【0074】
差動増幅器Diff−APMのプラス端子に、第2の検出信号およびノイズ成分が有する電位が印加されているとき、マイナス端子には、第1の検出信号およびノイズ成分が有する電位が印加されている。
【0075】
ここで、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量と、第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量と、が同一である場合、第1の検出信号の電位と第2の検出信号の電位と、は等しい。さらに、それぞれの検出信号に重畳されているノイズ成分の電位も等しい。従って、T62のタイミングで第3のスイッチSW3を一定時間だけオンすると、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号としてゼロが出力される。何も出力されない。なお、ノイズ成分もキャンセルして出力されない。
【0076】
このように、静止した状態にある被写体を撮像し、第1の画素13aから読み出される第1の信号電荷の電荷量と、第2の画素13bから読み出される第2の信号電荷の電荷量と、が同一である場合、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号としてゼロが出力される。従って、静止状態にある被写体を撮像しても、固体撮像装置からは、出力画像は出力されない。
【0077】
しかし、被写体が動いている場合、その動きに応じて、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との間に差が生じるようになり、差動増幅器Diff−AMPからは、第1の検出信号と第2の検出信号との差に基づく差分信号が出力される。従って、被写体が動いているとき、固体撮像装置からは、差分信号に基づく画像が出力される。このようにして、動き検知モードが実現される。
【0078】
以下に、図7を参照して、本実施形態に係る固体撮像装置10による動き検知モードをさらに説明する。図7は、本実施形態に係る固体撮像装置10による動き検知モードをより具体的に説明するための説明図であって、同図(a)は被写体の例である動いている指先を示し、同図(b)は第1の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(c)は同図(b)の反転画像を示し、同図(d)は第2の画素のみによって指先を撮像した場合における出力画像を示し、同図(e)は同図(a)の点線A−A´に沿ったライン上の各セルから出力される出力信号の電位レベルを示し、同図(f)は本実施形態に係る固体撮像装置による出力画像を示す。なお、以下の説明においても、第1の画素と第2の画素との感度比は2:1であるものとする。
【0079】
図7(a)に示すように、時間Δ1の間に、L1、L2、L3の順に連続して動く指先を、本実施形態に係る固体撮像装置10による動き検知モードで撮像した場合を考える。
【0080】
ここで、光電変換期間がt1である第1の画素13aは、指先がL2の位置に存在するタイミングで撮像を開始し、L3の位置に存在するタイミングで撮像を終了したものとする。また、光電変換期間がt2である第2の画素13bは、指先がL1の位置に存在するタイミングで撮像を開始し、L3の位置に存在するタイミングで撮像を終了したものとする。
【0081】
このとき、図7(b)に示すように、動く指先を第1の画素13aのみによって撮像した場合、その出力画像は、光電変換期間t1に対応する太さの指先の画像が出力される。なお、図7(c)は、図7(b)の反転出力画像を示す。
【0082】
また、図7(d)に示すように、動く指先を第2の画素13bのみによって撮像した場合、その出力画像は、光電変換期間t2に対応する太さの指先の画像が出力される。
【0083】
ここで、第1の画素13aによる撮像によって得られる第1の検出信号は差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に入力され、第2の画素13bによる撮像によって得られる第1の検出信号は差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に入力されることによって、両者の差分信号が出力信号として出力される。すなわち、差動増幅器Diff−AMPからは、図7(b)の反転画像である図7(c)に示す画像と図7(d)に示す画像との和に相当する画像が出力される。
【0084】
すなわち、図7(a)に示すように動く指先を撮像すると、図7(e)に示すように、位置L1における各セルから出力される差分信号の電位レベルは、指先が動く方向に沿ってマイナスに下降する。位置L2における各セルから出力される差分信号の電位レベルは、指先が動く方向に沿って上昇し、点P(位置L1〜L3の中点)においてゼロとなり、指先が動く方向に沿ってさらに上昇する。位置L3における各セルから出力される出力信号の電位レベルは、指先が動く方向に沿って下降する。
【0085】
これを画像化した場合、図7(f)に示すように、動きがないように見える位置L2付近の各セルからは画像が出力されず、動きがあるように見える位置L1、L3付近の各セルからは画像が出力され、動きがある指先の輪郭のみが出力される。このようにして、動き検知モードが実現される。
【0086】
以上に説明した第1の実施形態に係る固体撮像装置によれば、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理することにより、被写体の動きを検知することができる。従って、画像同士を比較する複雑な信号処理を行うことなく、容易に被写体の動きを検知することができる。
【0087】
(動き検知モードの変形例)
上述の動き検知モードは、図5に示すように、T2、T5のタイミングにおいてノイズ成分のみを検出してもよい。すなわち、まず、上記タイミングでノイズを検出し、差動増幅器Diff−AMPによって第1、第2の検出信号に重畳されるそれぞれのノイズを除去する。次に、ノイズが除去された第1の検出信号と第2の検出信号との差をとる。これにより、動き検知モードを実現してもよい。
【0088】
なお、ノイズが除去された第1の検出信号および第2の検出信号をそれぞれ別個に取り出せば、第1の画素13aと第2の画素13bとは、それぞれ独立して撮像対象を撮像することになる。この場合、高解像度モードが実現される。
【0089】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る固体撮像装置30の要部を示す上面図である。第2の固体撮像装置30は、第1の固体撮像装置10と比較して、単位セル14の配置が異なる。
【0090】
図8に示すように、第2の実施形態に係る固体撮像装置30は、複数の第1のマイクロレンズ12a、および複数の第2のマイクロレンズ12bが市松状に配列されるように、複数の単位セル14が配列されたものである。
【0091】
すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置30は、複数の第1のマイクロレンズ12aが市松状に配列されるとともに、各第2のマイクロレンズ12bを第1のマイクロレンズ12aの隙間に配置することによって複数の第2のマイクロレンズ12bが市松状に配列されるように、複数の単位セル14が配列されたものである。
【0092】
この固体撮像装置30であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法と同様に動作させることにより、動き検知モードを実現することができる。
【0093】
以上に説明した第2の実施形態に係る固体撮像装置30であっても、第1の画素13aと第2の画素13bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素13aと第2の画素13bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素13a、13bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理する。従って、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と同様の理由により、容易に被写体の動きを検知することができる。
【0094】
さらに、第2の実施形態に係る固体撮像装置30によれば、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と比較して、第1、第2のマイクロレンズ12a、12bの隙間が減少しているため、より多くの光を受光することができる。従って、より感度が向上した固体撮像装置30を提供することができる。
【0095】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る固体撮像装置40の要部を示す上面図である。第3の固体撮像装置40は、斜め方向において互いに隣接する画素41a、41bの感度が互いに異なっている。本実施形態に係る固体撮像装置40は、感度が異なる2つの画素41a、41bを単位セル42とする、いわゆる2画素1セルタイプの固体撮像装置である。
【0096】
さらに、この固体撮像装置40は、単位セル毎に赤、緑、青のいずれかの光を透過させる色フィルタR1、R2、Gr1、Gr2、Gb1、Gb2、B1、B2を、配線層22(図2)と第1、第2のマイクロレンズ43a、43bとの間に有するものである。赤色の光を透過させる赤色フィルタR1、R2、緑色の光を透過させる緑色フィルタGr1、Gr2、Gb1、Gb2、および青色の光を透過させる青色フィルタB1、B2は、単位セル42の配列に応じてベイヤー配列されている。
【0097】
各単位セル42は、高感度の第1の画素41aと、低感度の第2の画素41bと、を有する。高感度の第1の画素41aは、面積が大きい六角形状の第1のフォトダイオード44aと、この第1のフォトダイオード44a上に形成された、サイズが大きい第1のマイクロレンズ43aと、を有する。また、低感度の第2の画素41bは、第1のフォトダイオード44aより面積が小さい六角形状の第2のフォトダイオード44bと、この第2のフォトダイオード44b上に形成された、第1のマイクロレンズ43aよりサイズが小さい第2のマイクロレンズ43bと、を有する。
【0098】
本実施形態に係る固体撮像装置40は、複数の単位セル42を有し、これらがそれぞれ図面斜め方向に向くように配置されるとともに、複数の第1のマイクロレンズ43a、および複数の第2のマイクロレンズ43bが市松状に配列されるように、複数の単位セル42が配列されたものである。
【0099】
すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置40は、複数の第1のマイクロレンズ43aが市松状に配列されるとともに、各第2のマイクロレンズ43bを第1のマイクロレンズ43aの隙間に配置することによって複数の第2のマイクロレンズ43bが市松状に配列されるように、複数の単位セル42が配列されたものである。
【0100】
各単位セル42内には、第1、第2の読み出しゲート45a、45b、検出部46、単位セルの出力回路47、リセットトランジスタ48、ドレイン49、が設けられている。
【0101】
第1の読み出しゲート45aは、第1の画素41aの第1のフォトダイオード44aの一辺に近接する位置に設けられている。第2の読み出しゲート45bは、第2の画素41bの第2のフォトダイオード44bの一辺に近接する位置であって、第1の読み出しゲート45aに対して垂直に設けられている。
【0102】
検出部46および単位セルの出力回路47は、単位セル42内における第1の画素41aと第2の画素41bとの間に設けられている。検出部46は、第1の読み出しゲート45aと第2の読み出しゲート45bとの間に設けられており、単位セルの出力回路47は、検出部46に対向する位置に設けられている。
【0103】
リセットトランジスタ48は、検出部46に近接する位置に設けられており、ドレイン49は、この領域49と検出部46とによって、リセットトランジスタ48を挟む位置に設けられている。
【0104】
このような単位セル42が配列された固体撮像装置40において、複数の垂直信号線LSGr、LSB、LSGb、LSRのそれぞれは、垂直方向において同一色の色フィルタを有する複数の単位セル42のそれぞれの単位セルの出力回路47に共通に接続されている。垂直信号線LSGr、LSB、LSGb、LSRに対して交差する複数の水平信号線LH1は、水平方向において隣接する複数の単位セル42のそれぞれの第1の読み出しゲート45aに共通に接続されている。複数の水平信号線LH1の間に、水平信号線LH1に対して平行に配置される複数の水平信号線LH2は、水平方向において隣接する複数の単位セル42のそれぞれの第2の読み出しゲート45bに共通に接続されている。
【0105】
この固体撮像装置40であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法と同様に動作させることにより、動き検知モードを実現することができる。
【0106】
以上に説明した第3の実施形態に係る固体撮像装置40であっても、第1の画素41aと第2の画素41bとの感度比をn:1にするとともに、第1の画素41aと第2の画素41bとの光電変換期間比を1:nに設定し、このような第1、第2の画素41a、41bを用いて被写体を撮像することにより得られる第1、第2の検出信号を減算処理する。従って、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と同様の理由により、容易に被写体の動きを検知することができる。
【0107】
さらに、第3の実施形態に係る固体撮像装置40によれば、各単位セル42内における第1の画素41aと第2の画素41bとは、それぞれ同一色の色フィルタを備えている。さらに、各単位セル42内の同一色の2つのフィルタを1つの色フィルタとみなすと、1つであるとみなされる赤色フィルタR、緑色フィルタGr、Gb、青色フィルタBは、ベイヤー配列されている。従って、差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号から色を有する画像を形成するための画像処理回路(図示せず)は、通常に用いられている画像処理回路をそのまま適用することができる。
【0108】
(第4の実施形態)
図10は、上述の第1乃至第3のいずれかの固体撮像装置10、30、40を用いた固体撮像システム50であるアンタッチパネル50を模式的に示す上面図である。また、図11は、このアンタッチパネル50を示す模式的な側面図である。
【0109】
図10および図11に示すように、表示装置として、例えばディスプレイ51の周辺部分には、枠体52が設けられている。この枠体52には、例えば上述の第1の実施形態に係る固体撮像装置10が適用された複数のカメラ53が設けられている。これらのカメラ53は、図10に示すように、例えば枠体52の右上の角部および左上の角部に設けられている。
【0110】
なお、カメラ53は、上述の第2または第3の実施形態に係る固体撮像装置30、40を適用したものであってもよい。
【0111】
このようなアンタッチパネル50において、各カメラ53を動き検知モードで動作させて、被写体として、例えば図10に示す指先を撮像する。このとき、各カメラ53が有するそれぞれの固体撮像装置10は、静止した指先を撮像した場合に、出力回路から差分信号を出力せず、動く指先を撮像した場合に、出力回路から差分信号を出力する。さらに、差分信号が出力された場合、画像形成部26(図3)は、この差分信号に基づく画像を形成して出力する。すなわち、アンタッチパネル50は、各カメラ53が有するそれぞれの固体撮像装置10から出力される画像に基づいて、被写体である例えば指先の動きを検知する。
【0112】
より具体的に説明すると、例えば右上のカメラ53によって、指先を撮像し、図10中のx方向およびz方向の指先の動きを検知させ、左上のカメラ53によって、指先を撮像し、図10中のy方向およびz方向の指先の動きを検知させる。これにより、アンタッチパネル50は、指先の3次元的な動きを検知することができる。従って、ディスプレイ51を指先で直接触れることなく、アンタッチパネル50を操作することができる。なお、指先が動くことにより形成される画像は、アンタッチパネル50が、指先の動きに従って例えば描画するような場合には、ディスプレイ51に表示してもよい。また、形成される画像は、アンタッチパネル50が、指先の動きに応じて例えばディスプレイ51上に表示されたゲームの登場人物等を動かす場合には、ディスプレイ51に表示しなくてもよい。
【0113】
以上に示す固体撮像システム50によれば、容易に被写体の動きを検知することができる固体撮像装置10、30、40を用いたカメラ53によって、被写体の動きを検知しているため、容易に被写体の動きを検知することができる固体撮像システム50を提供することができる。
【0114】
また、本実施形態に係る固体撮像システム50によれば、ディスプレイ51を指先で直接触れることなく、アンタッチパネル50を操作することができるため、ディスプレイ51表面が汚れることを抑制することができる。
【0115】
また、本実施形態に係る固体撮像システム50によれば、複数のカメラ53によって指先の3次元的な動きを検知するため、指先がディスプレイ51に触れたことを検知するための透明電極を、ディスプレイ51に設ける必要がない。従って、上述の固体撮像システム50は、従来のタッチパネルと比較して、ディスプレイ51の明度が上昇する。
【0116】
(変形例)
上述の各実施形態に係る固体撮像装置10、30、40は、容易に動き検知モードを実現することができるものであった。しかし、例えば第1の実施形態に係る固体撮像装置10の基本構成をそのままに、広ダイナミックレンジモードを実現することができる。以下に、広ダイナミックレンジモードを実現する方法を説明する。なお、以下の方法の説明において、動き検知モードを実現する方法と異なる部分についてのみ説明する。
【0117】
図12は、広ダイナミックレンジモードにおける、アドレストランジスタADDRESSTr、リセットトランジスタ18、第1の読み出しゲート15a、および第2の読み出しゲート15bの動作と、垂直信号線LSに現れる第1、第2の検出信号との関係を示すタイミングチャートである。図13は、広ダイナミックレンジモードにおける、第1乃至第3のスイッチSW1、SW2、SW3の動作と、差動増幅器Diff−AMPに入力される第1、第2の検出信号および差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【0118】
なお、図12に示される広ダイナミックレンジモードの動作は、制御部27(図3)が、第1の実施形態において説明した出力回路に、制御信号であるモード切り替え信号として、広ダイナミックレンジモード信号を出力することにより実行される。
【0119】
図12および図13に示すように、広ダイナミックレンジモードの場合、まず、T2のタイミングでノイズ成分のみをサンプリングする。すなわち、T2のタイミングで第1のスイッチSW1を一定時間だけオンする。すると、垂直信号線LSには、ノイズ成分が現れる。このノイズ成分は、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子に入力されるとともに、キャパシタCに入力される。従って、キャパシタCには、ノイズ成分に基づく電位が充電される。従って、一定期間、キャパシタCは、ノイズ成分に基づく電位を保持する。よって、第1のスイッチSW1をオフしても、差動増幅器Diff−AMPのマイナス端子には、一定時間だけ、キャパシタCに充電された電位が印加され続ける。
【0120】
次に、第1の画素13aに蓄積される第1の信号電荷の読み出しと、第2の画素13bに蓄積される第2の信号電荷の読み出しとを、T3のタイミングで同時に行なう。すると、垂直信号線LSには、第1の信号電荷の電荷量と第2の信号電荷の電荷量との和に相当する電荷量に基づく電位を有する検出信号が現れる。この検出信号は、ノイズ成分に重畳される。
【0121】
この後、図13に示すように、T31のタイミングで第2、第3のスイッチSW2、SW3を一定時間だけオンする。すると、検出信号は、ノイズ成分とともに、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に入力される。
【0122】
このように、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子に、検出信号およびノイズ成分に基づく電位が印加されているとき、マイナス端子には、ノイズ成分に基づく電位が印加されている。
【0123】
ここで、差動増幅器Diff−AMPのプラス端子およびマイナス端子に印加されているノイズ成分の電位は等しい。従って、T31のタイミングで第3のスイッチSW3を一定時間だけオンすると、差動増幅器Diff−AMPからは、差分信号として、ノイズ成分がキャンセルされた検出信号のみが出力される。
【0124】
次に、図14を参照して、第1の信号電荷の読み出しと、第2の信号電荷の読み出しとを同時に行い、両者の信号電荷を加算することにより、広ダイナミックレンジモードを実現することができる理由について説明する。
【0125】
図14は、広ダイナミックレンジモードを説明するための図であって、第1の実施形態に係る固体撮像装置10の単位セル14が受光した光量と、差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【0126】
図14に示すように、例えば第1の画素13aのみによって被写体を撮像した場合、第1の画素13aは高感度であるため、被写体から受光する光が低光量であっても、第1のフォトダイオード11a内において第1の信号電荷の電荷量は急激に増加する。従って、第1の画素13aのみによって被写体を撮像した場合、高感度モードが実現される。
【0127】
しかし、第1の画素13aの第1のフォトダイオード11a内において、第1の信号電荷の電荷量は急激に増加するため、被写体から受光する光が高光量であった場合、第1のフォトダイオード11aは飽和してしまう。従って、第1の画素13aのみによって被写体を撮像した場合、ダイナミックレンジが狭い。
【0128】
反対に、例えば第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合、第2の画素13bは低感度であるため、第2の画素13bの第2のフォトダイオード11b内において、第2の信号電荷の電荷量は緩やかに増加する。従って、被写体から受光する光が高光量であっても、第2のフォトダイオード11bは飽和し難い。すなわち、第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合、ダイナミックレンジが広い。
【0129】
しかし、第2の画素13bの第2のフォトダイオード11b内において、第2の信号電荷の電荷量は緩やかに増加するため、被写体から受光する光が低光量であった場合、第2のフォトダイオード11b内において第2の信号電荷の電荷量はほとんど増加しない。従って、第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合、感度が低下する。
【0130】
これらに対し、第1の信号電荷と第2の信号電荷と加算すると、被写体から受光する光が低光量であっても、第1のフォトダイオード11a内において第1の信号電荷の電荷量が急激に増加するため、感度よく被写体を撮像することができる。
【0131】
さらに、被写体から受光する光が高光量であっても、第2のフォトダイオード11b内において第2の信号電荷の電荷量が増加するため、第2の画素13bのみによって被写体を撮像した場合と同じダイナミックレンジを実現することができる。
【0132】
従って、第1の信号電荷の読み出しと、第2の信号電荷の読み出しとを同時に行い、両者の信号電荷を加算することにより、広ダイナミックレンジモードを実現することができる。
【0133】
なお、このように、動き検知モードに加えて、さらに広ダイナミックレンジモードを実現することができる固体撮像装置10、30、40のいずれかを、上述の第4の実施形態のように、固体撮像システム50であるアンタッチパネル50に適用してもよい。動き検知モードに加えて、さらに広ダイナミックレンジモードを実現することができる固体撮像装置10、30、40のいずれかを、例えば静止画を撮像するカメラ機能を有するアンタッチパネル50に適用することは、有効である。
【0134】
(広ダイナミックレンジモードの変形例)
図15は、広ダイナミックレンジモードを実現するための第1の実施形態に係る固体撮像装置の変形例を示す上面図である。図15に示す変形例に係る固体撮像装置60は、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と比較して、大きい第1のマイクロレンズ64aを有する高感度の第1の画素61a、および第1のマイクロレンズ64aより小さい第2のマイクロレンズ64bを有する低感度の第2の画素61bによって単位セル62が構成されている点は同じである。しかし、第1の画素61aの第1のフォトダイオード63aは、第2の画素61bの第2のフォトダイオード63bよりも小さい点が異なる。
【0135】
なお、単位セル62に含まれる第1、第1の読み出しゲート15a、15b、検出部16、単位セルの出力回路17、リセットトランジスタ18、およびドレイン19は、第1の実施形態に係る固体撮像装置10と同様に構成される。
【0136】
この固体撮像装置40であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による撮像方法と同様に動作させることにより、動き検知モードを実現することができる。
【0137】
この固体撮像装置60であっても、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による広ダイナミックレンジモードの撮像方法と同様に動作させることにより、広ダイナミックレンジモードを実現することができる。しかし、変形例に係る固体撮像装置60の場合、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による広ダイナミックレンジモードよりさらに広いダイナミックレンジを実現することができる。以下に、この理由を説明する。
【0138】
図16は、固体撮像装置60の単位セル62が受光した光量と、差動増幅器Diff−AMPから出力される差分信号の電位との関係を示すグラフである。
【0139】
図15に示すように、第1の画素61aの第1のフォトダイオード63aを小さく形成し、第2の画素61bの第2のフォトダイオード63bを大きく形成すると、図16に示すように、第1の画素61aの飽和レベルが低下するため、第1の画素61aのダイナミックレンジは小さくなるが、第2の画素61bの飽和レベルが上昇するため、第2の画素61bのダイナミックレンジはより広くなる。
【0140】
広ダイナミックレンジモードの場合におけるダイナミックレンジは、第2の画素61bのダイナミックレンジと同じであるため、変形例に係る固体撮像装置60によれば、第1の実施形態に係る固体撮像装置10による広ダイナミックレンジモードよりさらに広いダイナミックレンジを実現することができる。
【0141】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0142】
10、30、40、60・・・固体撮像装置
11a、44a、63a・・・第1のフォトダイオード
11b、44b、63b・・・第2のフォトダイオード
12a、43a、64a・・・第1のマイクロレンズ
12b、43b、64b・・・第2のマイクロレンズ
13a、41a、61a・・・第1の画素
13b、41b、61b・・・第2の画素
14、42、62・・・単位セル
15a、45a・・・第1の読み出しゲート(第1のゲート電極)
15b、45b・・・第2の読み出しゲート(第2のゲート電極)
16、46・・・検出部
17、47・・・単位セルの出力回路
17´・・・共通出力回路
18、48・・・リセットトランジスタ
19、49・・・ドレイン
20・・・半導体基板
21・・・酸化膜
22・・・配線層
23・・・配線
24・・・絶縁体
25・・・垂直レジスタ
26・・・画像形成部
27・・・制御部
50・・・固体撮像システム(アンタッチパネル)
51・・・ディスプレイ
52・・・枠体
53・・・カメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する第1の画素と、
光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有するとともに、前記第1の画素に対して1/n倍の感度と、前記第1の画素に対してn倍の光電変換期間と、を有する第2の画素と、
前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力する出力回路と、
を具備することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、格子状に配列されたことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、複数の第1のマイクロレンズおよび複数の第2のマイクロレンズがそれぞれ市松状に配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1のフォトダイオードと前記第1のマイクロレンズとの間に、赤色、青色、緑色のいずれか一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第1の画素、前記第2のフォトダイオードと前記第2のマイクロレンズとの間に、前記第1の画素が有するカラーフィルタと同一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、前記カラーフィルタがベイヤー配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項1または3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、
前記固体撮像装置は、前記出力回路から出力される前記差分信号に基づいて画像を形成して出力する画像形成部をさらに具備し、
前記出力回路は、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知することを特徴とする固体撮像システム。
【請求項6】
光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する第1の画素と、
光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有するとともに、前記第1の画素に対して1/n倍の感度を有する第2の画素と、
前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量に基づく信号を出力する出力回路と、
この出力回路にモード切り替え信号を出力することにより、前記出力回路の動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部が、前記モード切り替え信号として動き検知モード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間に対してn倍になるように、前記第1の画素および前記第2の画素から前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力するように動作し、
前記制御部が、前記モード切り替え信号として広ダイナミックレンジモード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間より長くなるように、前記第1の画素および前記第2の画素から前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力するように動作することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
前記第1のフォトダイオードは、前記第2のフォトダイオードより大きいことを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第1のフォトダイオードは、前記第2のフォトダイオードより小さいことを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、格子状に配列されたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、複数の第1のマイクロレンズおよび複数の第2のマイクロレンズがそれぞれ市松状に配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記第1のフォトダイオードと前記第1のマイクロレンズとの間に、赤色、青色、緑色のいずれか一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第1の画素、前記第2のフォトダイオードと前記第2のマイクロレンズとの間に、前記第1の画素が有するカラーフィルタと同一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、前記カラーフィルタがベイヤー配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項6、7、8または10のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記請求項6乃至11のいずれかに記載の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、
前記固体撮像装置は、前記出力回路から出力される前記信号に基づいて画像を形成して出力する画像形成部をさらに具備し、
前記出力回路は、この回路が前記制御部から前記動き検知モード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像したときに前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知し、
前記出力回路は、この回路が前記制御部から前記広ダイナミックレンジモード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が被写体を撮像したときに、前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力し、前記画像形成部がこの和に基づく信号に基づいて画像を形成して出力することを特徴とする固体撮像システム。
【請求項1】
光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する第1の画素と、
光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有するとともに、前記第1の画素に対して1/n倍の感度と、前記第1の画素に対してn倍の光電変換期間と、を有する第2の画素と、
前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力する出力回路と、
を具備することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、格子状に配列されたことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、複数の第1のマイクロレンズおよび複数の第2のマイクロレンズがそれぞれ市松状に配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1のフォトダイオードと前記第1のマイクロレンズとの間に、赤色、青色、緑色のいずれか一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第1の画素、前記第2のフォトダイオードと前記第2のマイクロレンズとの間に、前記第1の画素が有するカラーフィルタと同一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、前記カラーフィルタがベイヤー配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項1または3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、
前記固体撮像装置は、前記出力回路から出力される前記差分信号に基づいて画像を形成して出力する画像形成部をさらに具備し、
前記出力回路は、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知することを特徴とする固体撮像システム。
【請求項6】
光を受光して光電変換することにより第1の信号電荷を発生させる第1のフォトダイオード、およびこの第1のフォトダイオード上に形成された第1のマイクロレンズを有する第1の画素と、
光を受光して光電変換することにより第2の信号電荷を発生させる第2のフォトダイオード、およびこの第2のフォトダイオード上に形成された、前記第1のマイクロレンズより小さい第2のマイクロレンズを有するとともに、前記第1の画素に対して1/n倍の感度を有する第2の画素と、
前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量に基づく信号を出力する出力回路と、
この出力回路にモード切り替え信号を出力することにより、前記出力回路の動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部が、前記モード切り替え信号として動き検知モード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間に対してn倍になるように、前記第1の画素および前記第2の画素から前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量に基づく第1の検出信号と、前記第2の信号電荷の電荷量に基づく第2の検出信号と、の差分信号を出力するように動作し、
前記制御部が、前記モード切り替え信号として広ダイナミックレンジモード信号を出力した場合に、前記出力回路は、前記第2の画素の光電変換期間が前記第1の画素の光電変換期間より長くなるように、前記第1の画素および前記第2の画素から前記第1の信号電荷および前記第2の信号電荷を読み出して、読み出された前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力するように動作することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
前記第1のフォトダイオードは、前記第2のフォトダイオードより大きいことを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第1のフォトダイオードは、前記第2のフォトダイオードより小さいことを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、格子状に配列されたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記第1の画素、前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、複数の第1のマイクロレンズおよび複数の第2のマイクロレンズがそれぞれ市松状に配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記第1のフォトダイオードと前記第1のマイクロレンズとの間に、赤色、青色、緑色のいずれか一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第1の画素、前記第2のフォトダイオードと前記第2のマイクロレンズとの間に、前記第1の画素が有するカラーフィルタと同一色の光を透過させるカラーフィルタを有する前記第2の画素、および前記出力回路を含む単位セルを複数有し、
これらの単位セルは、前記カラーフィルタがベイヤー配列されるように、配列されたことを特徴とする請求項6、7、8または10のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記請求項6乃至11のいずれかに記載の固体撮像装置を有する固体撮像システムであって、
前記固体撮像装置は、前記出力回路から出力される前記信号に基づいて画像を形成して出力する画像形成部をさらに具備し、
前記出力回路は、この回路が前記制御部から前記動き検知モード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が静止した被写体を撮像したときに前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが等しくなることによって、ゼロを前記差分信号として出力し、一方前記固体撮像装置が動く被写体を撮像した場合に前記第1の画素の出力と前記第2の画素の出力とが異なることによって、両者の差分値を前記差分信号として出力し、前記画像形成部がこの差分信号に基づく画像を形成して出力することにより、前記被写体の動きを検知し、
前記出力回路は、この回路が前記制御部から前記広ダイナミックレンジモード信号を受け取った場合、前記固体撮像装置が被写体を撮像したときに、前記第1の信号電荷の電荷量および前記第2の信号電荷の電荷量の和に基づく信号を出力し、前記画像形成部がこの和に基づく信号に基づいて画像を形成して出力することを特徴とする固体撮像システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−70245(P2013−70245A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207448(P2011−207448)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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