圧反射刺激システム
埋め込み型装置の種々の実施形態において、装置は、パルス発生器と、リードと、センサと、制御装置とを含む。パルス発生器は、圧反射治療の一環として圧反射刺激信号を発生させる。リードは、パルス発生器に電気接続され、かつ心臓に血管内供給するように構成される。リードは、心臓内又は心臓近傍で圧受容器領域に圧反射信号を送るために、心臓内又は心臓近傍に位置決めされる電極を含む。センサは、圧反射治療の有効性に関する生理学的パラメータを感知し、かつ有効性を示す信号を提供する。制御装置は、圧反射刺激信号を制御するために、パルス発生器に、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を受信するためにセンサに接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体として埋め込み型医療装置に、特に圧受容器刺激を使用して高血圧を減少させるためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内科的治療を施すために、心臓刺激器のような長期的に電気刺激器を埋め込むことは知られている。心臓刺激器の例には、ペースメーカのような埋め込み型心律動管理(CRM)装置、埋め込み型除細動器(ICD)、ペーシングや除細動機能を実行することが可能な埋め込み型装置を含む。
【0003】
CRM装置は、心律動の障害を治療するために、選択された心腔に電気刺激を提供する埋め込み型装置である。例えば埋め込み型ペースメーカは、調子を合わせたペーシングパルスによって心臓をぺーシングするCRM装置である。適切に機能するならば、ペースメーカは、最小心拍数を高めることによって代謝要求を満たすために、心臓自体が適切な律動でぺーシングできないことを補う。CRM装置によっては、収縮を調整するために心臓の異なる区域に送り出されるペーシングパルスを同期させる。調整された収縮は、十分な心拍出量を提供しながら、心臓が、効果的に汲み上げることを可能にする。
【0004】
心不全は、心機能が、末梢組織の代謝要求に応じるために適切なレベル未満に下がる正常以下の心拍出量を引き起こす臨床的シンドロームを指す。心不全は、付随的静脈や肺鬱血に起因する鬱血性心不全(CHF)として現れることがある。心不全は、虚血性心疾患のような種々の病因によっておきる。
【0005】
高血圧は、心疾患や他の関連した心臓共存症の原因である。血管が狭くなると、高血圧が起こる。結果として、心臓は、より高い血圧で流れを維持するために、忙しく働き、そのことが、心不全の一因となる。ペースメーカ又は除細動器を埋め込まれた多くの患者だけでなく一般的な人口の多くの者が高血圧に苦しんでいる。血圧及び高血圧を減少させられるなら、これらの者に対して、長期死亡率だけでなく生存の質を改善することができる。高血圧に苦しむ多くの患者は、生活様式の変更や、血圧降下剤に関連する治療のような、治療に対して好反応を示さない。
【0006】
圧受容領域又は分野は、血圧の変化のような圧力変化を感知することが可能である。圧受容領域は、本明細書において、圧受容器と呼ばれ、圧力変化の何らかのセンサを一般的に含む。例えば、圧受容器は求心神経を含み、さらに内部からの血圧増加の結果生じ、かつ血圧を減少させる傾向がある中央反射機構の受容器として機能し、壁の広がりに感受性がある感覚神経終末を含む。圧反射は、負のフィードバックシステムとして機能し、かつ圧受容器の刺激によって引き起こされる反射機構に関連する。圧力増加は、血管を広げ、血管は、次に血管内の圧受容器を活性化させる。圧受容器の活性化は、内圧と動脈壁の広がりを介して自然に起き、交感神経活性(SNA)の圧反射抑制と全身血圧の減少を引き起こす。圧受容器活性の増加はSNA減少を誘発し、SNA減少は末梢血管抵抗を低下させることにより、血圧を減少させる。
【0007】
圧受容器から導かれる求心神経幹を刺激する一般概念は知られている。例えば、直接電気刺激が、迷走神経と頸動脈洞に加えられる。調査により、頸動脈洞神経の電気刺激は、実験的高血圧の減少をもたらすこと、及び頸動脈洞自体の圧受容領域への直接電気刺激が、実験的高血圧の反射減少を引き起こすことが示された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生活様式の変更や血圧降下剤を伴う治療に他の方法では好ましい反応を示さない患者において、高血圧を治療するために、かつ場合により他の患者の薬物依存を減少させるために、電気システムが提案された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本要旨の種々の側面や実施態様は、圧反射治療を適用することと、圧反射治療の有効性を示す生理学的パラメータを感知することと、生理学的パラメータに基づき、圧反射治療を修正することとを含む方法を提供する。圧反射治療を適用することは、心臓の少なくとも一部に血管内供給されるリードを使用して、心臓内又は心臓の近くで圧受容領域を電気刺激することを含む。
【0010】
本要旨の種々の側面や実施態様は、交感神経活性を抑制するために、心臓の近傍の圧受容器領域に心臓の少なくとも一部を介して血管内供給されるリードを介して圧反射治療を施す手段と、圧反射治療の実施を制御するために使用する圧反射治療の有効性に関するフィードバックを提供する手段とを含む埋め込み型圧反射刺激器を提供する。種々の実施態様によれば、埋め込み型刺激器は、パルス発生器と、リードと、センサと、制御装置とを含む。パルス発生器は、圧反射治療の一環として圧反射刺激信号を発生させる。リードは、パルス発生器に電気接続され、かつ心臓に血管内供給するように構成される。リードは、心臓内又は心臓近傍で圧受容体領域に圧反射信号を送るために、心臓内又は心臓近傍に位置決めされる電極を含む。センサは、圧反射治療の有効性に関する生理学的パラメータを感知し、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を提供する。制御装置は、圧反射刺激信号を制御するためにパルス発生器に接続され、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を受信するためにセンサに接続される。
【0011】
この要約は、本出願の教示内容の幾つかの概要であり、本要旨の排他的又は包括的治療であることを、意図しない。本要旨に関する更なる詳細は、詳細な説明及び添付の請求項に見られる。他の側面は、各々が限定した意味で解釈されるべきでない、以下の詳細な説明を読み、かつ理解し、かつその一部を形成する図面を見れば、当業者には明らかになるであろう。本発明の範囲は、添付の請求項及びその等価物によって定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本要旨の以下の詳細な説明は、本要旨が実施される特定の側面や実施形態を例として示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本要旨を実施することを可能にするために、十分に詳細に記載される。他の実施形態が、利用でき、かつ構造的、論理的、電気的変更が、本要旨の範囲から逸脱することなく、なされる。本開示における「ある」、「1つの」又は「種々の」実施形態への参照は、必ずしも同じ実施形態に向けられず、かつかかる参照は、1つ以上の実施形態を意図している。従って、以下の詳細な記載は、限定的な意味で解釈されるべきでなく、かつ範囲は、添付の請求項と、かかる請求項が権利を与えられる法的等価物の全範囲によってのみ定義される。
【0013】
高血圧及び圧反射生理学
読者が本開示を理解することを支援するために、高血圧と圧受容器に関する生理学の簡潔な論考を提供する。この簡潔な論考は、高血圧、自律神経系、圧反射を紹介する。
【0014】
高血圧は、心疾患や他の関連した心臓共存症の原因である。高血圧は、一般的に、心臓血管損傷又は他の有害な結果を誘発しやすいレベルへの全身血圧の一過性又は持続的上昇のような高い血圧に関連する。高血圧は、約140mmHgを超える収縮期血圧、又は約90mmHgを超える弛緩期血圧と専断的に定義された。血管が狭くなると高血圧が起こる。結果として、心臓は、流れをより高い血圧で維持するために、忙しく働く。制御されない高血圧の結果には、網膜血管疾患と発作、左心室肥大と不全、心筋梗塞、解離性動脈瘤、腎血管疾患を含むが、それらに限定されない。
【0015】
自律神経系(ANS)は、「不随意」器官を調節し、他方で随意(骨格)筋の収縮は、体性運動神経によって制御される。不随意器官の例には、呼吸や消化器を含み、かつ血管や心臓も含む。しばしば、ANSは、腺を調節し、皮膚、眼、胃、腸、膀胱の筋肉を調節し、かつ例えば心筋や血管の周辺の筋肉を調節するために、不随意、反射的に機能する。
【0016】
ANSには、交感神経系と副交感神経系を含むが、それらに限定されない。交感神経系は、ストレスや緊急事態への「闘争又は逃走応答」に密接に関係付けられる。幾つかの効果の中でも、「闘争又は逃走応答」は、骨格筋血流を増加させるために血圧と心拍数を増加させ、かつ「闘争又は逃走」のためのエネルギーを提供するために消化を減少させる。副交感神経系は、緩和と「休息及び消化応答」に密接に関係付けられ、それは、幾つかの効果の中でも、血圧と心拍数を減少させ、かつエネルギーを保存するために消化を増加させる。ANSは、正常な内部機能を維持し、かつ体性神経系と連携する。
【0017】
本開示の要旨は、一般的に、血管拡張と血管狭窄を含む、ANSが心拍数や血圧に対して有する効果に言及する。心拍数と力は、交感神経系が刺激される時に増加し、かつ交感神経系が抑制される(副交感神経系が刺激される)時に減少する。図1A、1Bは、末梢血管制御の神経機構を示す。図1Aは、一般的に血管運動中枢への求心神経を示す。求心神経は、神経中枢に向かってインパルスを伝達する。血管運動中枢は、血管の寸法を制御するために、血管を膨張させ、かつ収縮させる神経に関係する。図1Bは、一般的に血管運動中枢からの遠心神経を示す。遠心神経は、神経中枢を避けてインパルスを伝達する。
【0018】
交感神経と副交感神経系を刺激することは、心拍数と血圧以外の効果を有する。例えば、交感神経系を刺激することは、瞳孔を拡張させ、唾液と粘液生成を減少させ、気管支筋を弛緩させ、胃の不随意収縮(蠕動)の連続波と胃の運動性を減少させ、肝臓によるグリコーゲンのブドウ糖への変換を増加させ、腎臓による尿分泌を減少させ、壁を弛緩させ、かつ膀胱の括約筋を閉鎖する。副交感神経系を刺激すること(交感神経系を抑制すること)は、瞳孔を収縮し、唾液と粘液生成を増加させ、気管支筋を収縮し、胃や大腸内の分泌と運動性を増加させ、かつ小腸内の消化を増加させ、尿分泌を増加させ、かつ壁を収縮し、かつ膀胱の括約筋を弛緩させる。交感神経と副交感神経系に関連する機能は多く、かつ互いに複雑に統合されている。従って、1つの生理学系において血管拡張のような、所望の応答を達成するために、交感神経系及び/又は副交感神経系の無差別の刺激は、他の生理学系における望ましくない応答も、もたらす。
【0019】
圧反射は、圧受容器の刺激によって引き起こされる反射である。圧受容器は、内部からの圧力増加の結果生じ、かつその圧力を減少させる傾向がある中央反射機構の受容器の役割を果たす、壁の引き延ばしに感受性がある心耳、心臓脂肪体、大静脈、大動脈弓、頸動脈洞の壁内の感覚神経終末のような、圧力変化のいかなるセンサも含む。その上、圧受容器は、感覚神経終末から通じる迷走、大動脈、頸動脈神経のような求心神経幹を含む。圧受容器を刺激することは、交感神経活性を抑制し(副交感神経系を刺激し)、かつ末梢血管耐性と心臓収縮性を減少させることによって、全身血圧を減少させる。圧受容器は、内圧によって及び動脈壁の引き延ばしによって自然に刺激される。
【0020】
本要旨の幾つかの側面は、神経系の無差別的な刺激の望ましくない効果を減少させるとともに、所望の応答(例えば、高血圧減少)を刺激する目的で求心神経幹を刺激するよりもむしろ、動脈壁内の特定の神経終末を局部的に刺激する。例えば、実施形態によっては、肺動脈内の圧受容器部位を刺激する。本要旨の実施形態によっては、圧受容器部位又は大動脈内の神経終末、心腔、心臓の脂肪体の刺激を伴い、かつ本要旨の実施形態によっては、迷走、頸動脈、大動脈神経のような求心神経幹を刺激することを伴う。実施形態によっては、カフ電極を使用して求心神経幹を刺激し、かつ実施形態によっては、求心神経幹を刺激するために、電気刺激が、血管壁を通過するように、神経近傍の血管内に位置決めされる血管内リードを使用して、求心神経幹を刺激する。
【0021】
図2A−2Cは心臓を示す。図2Aに示すように、心臓201は、上大静脈202、大動脈弓203、肺動脈204を含み、かつ図3−5の説明との文脈上の関係を与えるために有用である。以下でより詳細に論じるように、肺動脈204は圧受容器を含む。リードは、心臓ペースメーカリードと同じように、末梢静脈を通り、かつ三尖弁を通り、心臓の右心室(図中に明示せず)に血管内挿入され、かつ右心室から肺動脈弁を通り肺動脈に延びる。肺動脈の一部と大動脈は互いに近接している。種々の実施形態は、肺動脈内に位置決めされたリードを使用して大動脈内の圧受容器を刺激する。従って、本要旨の種々の側面によれば、圧反射は、肺動脈に血管内挿入された少なくとも1つの電極によって、肺動脈内又はその周辺で刺激される。あるいは、感圧能力を有する又は有さない無線刺激装置が、肺動脈にカテーテルを介して位置決めされる。刺激及び/又は刺激のためのエネルギーの制御は、超音波、電磁又はその組み合わせを介してもう1つの埋め込み型又は外部装置によって供給される。本要旨の側面は、肺動脈に圧受容器刺激器を血管内で埋め込むために、比較的非侵襲性外科技術を提供する。
【0022】
図2B−2Cは、それぞれ心臓の右側と左側を示し、かつ圧受容器部位として機能する神経終末を有する心臓脂肪体を更に示す。図2Bは、右心房267、右心室268、洞房結節269、上大静脈202、下大静脈270、大動脈271、右肺静脈272、右肺動脈273を示す。図2Bは、上大静脈と大動脈間の心臓脂肪体274も示す。心臓脂肪体274内の圧受容器神経終末は、幾つかの実施形態において、脂肪体に固定された電極を使用して、刺激され、かつ幾つかの実施形態において、例えば右肺動脈又は上大静脈のような血管内で脂肪体の近傍に位置決めされた血管内供給されるリードを使用して、刺激される。図2Cは、左心房275、左心室276、右心房267、右心室268、上大静脈202、下大静脈270、大動脈271、右肺静脈272、左肺静脈277、右肺動脈273、冠状静脈洞278を示す。図2Cは、右心臓静脈の近傍に位置する心臓脂肪体279、及び下大静脈と左心房の近傍に位置する心臓脂肪体280も示す。脂肪体279内の圧受容器神経終末は、幾つかの実施形態において、脂肪体279に固定された電極を使用して刺激され、かつ幾つかの実施形態において、例えば右肺動脈273又は右肺静脈272のような血管内で脂肪体の近傍に位置決めされた血管内供給されるリードを使用して、刺激される。280内の圧受容器は、幾つかの実施形態において、脂肪体に固定された電極を使用して刺激され、かつ幾つかの実施形態において、例えば下大静脈270又は冠状静脈洞のような血管内で脂肪体の近傍に位置決めされた血管内供給されるリード、又は左心房275内のリードを使用して、刺激される。
【0023】
図3は、頸動脈洞305、大動脈弓303、肺動脈304の区域内の圧受容器を示す。大動脈弓303と肺動脈304は、図2Aの心臓に関して以前に説明した。図3に示すように、迷走神経306は、延長し、かつ大動脈弓303内、頸動脈洞305内、総頸動脈310内で圧受容器として機能する感覚神経終末307を提供する。舌咽神経308は、頸動脈洞305内で圧受容器として機能する神経終末309を提供する。例えば神経終末307や309は、内部からの圧力増加の結果生じる壁の引き延ばしに感受性がある。これらの神経終末の活性化は圧力を減少させる。図中には示さないが、脂肪体と心臓の心房や心室も圧受容器を含む。カフは、圧反射を刺激するために、圧受容器から血管運動中枢に通じる迷走神経のような、求心神経幹の周辺に置かれる。本要旨の種々の実施形態によれば、求心神経幹は、求心神経の近傍の血管内に位置決めされたカフ又は血管内供給されるリードを使用して刺激される。
【0024】
図4は、肺動脈404内とその周辺の圧受容器を示す。上大静脈402と大動脈弓403が同様に示されている。示されるように、肺動脈404は、暗い区域によって一般的に示すように、多数の圧受容器411を含む。更に、狭い間隔で置かれた圧受容器群が、動脈管索のアタッチメント412の近くに位置する。図4は、心臓の右心室413と、右心室413を肺動脈404から分離する肺動脈弁414も示す。本要旨の種々の実施形態によれば、リードは、肺動脈内及び/又はその周辺の圧受容器を刺激するために、末梢静脈を通して挿入され、三尖弁を介して右心室に通され、かつ右心室413から肺動脈弁414を介して肺動脈404に通される。種々の実施形態において、例えばリードは、動脈管索412近くの圧受容器群を刺激するために位置決めされる。図5は、肺動脈幹504と動脈管索近くの大動脈弓503内の圧受容器分野512を示す。幾つかの実施形態は、図2B−2Cに示すように、大動脈及び/又は脂肪体内の圧受容器部位を刺激するために、肺動脈内にリードを位置決めする。
【0025】
図6は、左大動脈神経が刺激された時の呼吸615と血圧616間の公知の関係を示す。神経が617で刺激されると、血圧616は降下し、かつ呼吸615は、呼吸波形のより高い周波数と振幅によって示されるように、速くかつ深くなる。呼吸と血圧は、刺激が除去された後、約1から2分で刺激前の状態に戻るように見える。本要旨の種々の実施形態は、呼吸を血圧の代理パラメータとして使用することによって、この呼吸と血圧間の関係を使用する。
【0026】
図7は、6ヶ月の断続的頸動脈神経刺激の間の、高血圧イヌにおける頸動脈神経刺激への公知の血圧応答を示す。図は、刺激されたイヌ718の血圧が、同じく高血圧を有する対照イヌ719の血圧よりも著しく低いことを示している。従って、断続的刺激は、高血圧を減少させる圧反射を引き起こすことが可能である。
【0027】
圧反射刺激器システム
本要旨の種々の実施形態は、圧反射刺激器システムに関する。かかる圧反射刺激システムは、本明細書において、神経刺激(NS)装置又はNS部とも呼ばれる。神経刺激器の例には、高血圧を治療するために使用される抗高血圧(AHT)装置、又はAHT部を含む。本要旨の種々の実施形態は、独立型埋め込み型圧反射刺激器システムを含み、NS及び心律動管理(CRM)部を統合した埋め込み型装置を含み、かつ無線で、又は埋め込み型装置を接続するリード線を介して互いに通信することが可能な、少なくとも1つの埋め込み型NS装置と埋め込み型CRM装置を有するシステムを含む。同じ又は別個の装置内で行われるNS機能とCRM機能を統合することは、NS治療と心臓治療が、知的に協働させることにより、これらの治療の側面を改善する。
【0028】
図8は、本要旨の種々の実施形態による、埋め込み型医療装置(IMD)821と、プログラマ822とを含むシステム820を示す。IMD821の種々の実施形態は、神経刺激器機能のみを含み、かつ種々の実施形態はNS機能とCRM機能の組み合わせを含む。神経刺激器の幾つかの実施形態はAHT機能を提供する。プログラマ822とIMD821は、データと命令を無線で通信することが可能である。種々の実施形態において、例えば、プログラマ822とIMD821は、データと命令を無線で通信するために、遠隔測定コイルを使用する。従って、プログラマは、IMD821によって提供された、プログラムされた治療を調整するために使用され、かつIMDは、例えば無線遠隔測定を使用して、(電池及びリード抵抗のような)装置データと(感知及び刺激データのような)治療データをプログラマに報告する。種々の実施形態によれば、IMD821は、AHT治療のようなNS治療を提供するために、圧受容器を刺激する。IMD821の種々の実施形態は、心臓ペースメーカリードと同じような、右心室を介して供給され、かつ肺動脈に更に供給されるリードを使用して、肺動脈内で圧受容器を刺激する。種々の実施形態によれば、IMD821は、ANS活性を感知するセンサを含む。かかるセンサは、閉ループ制御システム内でフィードバックを行うために使用できる。例えば、種々の実施形態は、ANS活性を示す呼吸と血圧のような、代理パラメータを感知する。種々の実施形態によれば、IMDは、圧受容器を刺激する、及び/又はANS活性を感知する能力に加えて、ペーシング及び除細動能力のような、心臓刺激能力を更に含む。
【0029】
図9は、本要旨の種々の実施形態による、図8のシステム820に示すIMD821のような埋め込み型医療装置(IMD)921を示す。示したIMD921はNS機能を行う。示したIMD921の幾つかの実施形態は、AHT機能を行い、かつ従って埋め込み型AHT装置を説明する。示した装置921は、制御回路923とメモリ924を含む。制御回路923は、ハードウェア、ソフトウェア、及びハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装することが可能である。例えば、種々の実施形態によれば、制御回路923は、AHT治療のようなNS治療に関連した機能を行うメモリ924内に記録された命令を実行するプロセッサを含む。例えば、示した装置921は、プログラマか、他の外部又は内部装置と通信するために使用するトランシーバ925とそれに関連した回路とを更に含む。種々の実施形態は無線通信能力を有する。例えば、幾つかのトランシーバ実施形態は、プログラマか、他の外部又は内部装置と無線通信するために、遠隔測定コイルを使用する。
【0030】
示した装置921は、圧受容器刺激回路926を更に含む。装置921の種々の実施形態はセンサ回路927も含む。1つ以上のリードが、センサ回路927と圧受容器刺激回路926とに接続される。圧受容器刺激回路926は、1つ以上の刺激電極を介して、肺動脈内の圧受容器部位のような所望の圧受容器に電気刺激パルスを適用するために使用される。センサ回路927は、ANS神経活性、及び/又はANS活性を判定するための血圧、呼吸等のような、代理パラメータを検出し、処理するために使用される。
【0031】
種々の実施形態によれば、刺激回路926は、次のパルス特性:刺激パルスの振幅928、刺激パルスの周波数929、パルスのバースト周波数930又はデューティサイクル、パルスの波形態931のいずれか1つ、又は2つ以上の組み合わせを設定するモジュールを含む。波形態の例は、方形波、三角波、正弦波だけでなく自然発生的な圧反射刺激を示すような、白色雑音を模倣するための所望の調和成分を有する波を含む。
【0032】
図10A−10Cは、本要旨の種々の実施形態による統合圧力センサ(IPS)を有する圧受容器刺激リードを示す。正確な縮尺で書かれていないが、これらの示したリード1032A、1032B、1032Cは、血圧の変化、及びそれ故に圧受容器刺激の効果を観察するための圧受容器刺激電極1034を有するIPS1033を含む。これらのリードの例示は、本要旨の他の側面や実施形態を限定するとして読まれるべきでない。種々の実施形態において、例えば、マイクロ電気機構システム(MEMS)技術が、血圧を感知するために使用される。幾つかのセンサの実施形態は膜の変位に基づいて血圧を判定する。
【0033】
図10A−10Cは、リード上のIPSを示す。幾つかの実施形態は、IMD又はNS装置内にIPSを埋め込む。刺激器とセンサ機能が、別個のリード又は位置に置かれていても、刺激器とセンサ機能は統合できる。
【0034】
図10Aに示すリード1032Aは、遠位に位置付けられた圧受容器刺激電極1034とIPS1033を含む。このリードは、例えば、心房と心室腔内の、及び/又は心臓脂肪体内の肺動脈、大動脈弓、動脈管索、冠状動脈洞内の圧受容器部位のような、圧受容器部位を刺激するために、血管内導入することが可能である。
【0035】
図10Bに示すリード1032Bは、チップ電極1035、第1リング電極1036、第2リング電極1034、IPS1033を含む。このリードは、心腔内又は近傍に血管内挿入でき、かつ電極1035、1036、1034の少なくとも幾つかが、心臓をぺーシングするか、あるいは他の方法で刺激するために使用でき、かつ電極の少なくとも幾つかが、少なくとも1つの圧受容器部位を刺激できるように、圧受容器部位の近傍に更に位置付けられる。IPS1033は、血圧を感知するために使用される。種々の実施形態において、IPSは、刺激のために選択された圧受容器部位の近傍の血管内の血圧を感知するために使用される。
【0036】
図10Cに示すリード1032Cは、遠位に位置付けられた圧受容器刺激電極1034、IPS1033、リング電極1036を含む。このリード1032Cは、例えば、右心房と心室に、かつ次に肺動脈弁を通り、肺動脈に血管内挿入される。装置内のプログラミング次第で、電極1036は、右心室内で起こり得るような、心臓活性を調整及び/又は感知するために使用でき、かつ電極1034とIPS1033は、圧反射活性を、代理パラメータを介して直接又は間接的に刺激し、感知するために、肺動脈内又はその近くの圧受容器の近くに位置する。
【0037】
従って、本要旨の種々の実施形態は、IPSを使用して圧受容器刺激を自動的に調節する埋め込み型NS装置を提供する。圧力センサをリードに統合することは、刺激に関して局在化フィードバックを提供する。この局在化感知は、フィードバック制御を改善する。例えば、統合センサは、標的が、連続して外されないように、圧反射の慣性を補償するために使用できる。種々の実施形態によれば、装置は、平均動脈圧、収縮期圧、弛緩期圧等のような圧力パラメータを観察する。平均動脈圧が、増加するか、又はプログラム可能な標的圧力より大きいままでいる時に、例えば、装置は、血圧を減少させ、かつ高血圧を制御するために、増加した速度で圧受容器を刺激する。平均動脈圧が、標的圧力に向けて減少する時に、装置は、圧受容器刺激を減少させることによって応答する。種々の実施形態において、アルゴリズムは、現在の代謝状態(心臓要求)を考慮し、かつそれに応じて神経刺激を調整する。IPSを有するNS装置は、埋め込み型NS装置が患者の高血圧レベルを判定すること、及び治療の適切なレベルを送ることによって応答する圧受容器刺激を自動的に調節することが可能である。しかしながら、NS又は神経刺激装置内に存在しないセンサを含む他のセンサが、閉ループフィードバック制御を提供するために、使用できることに注意されたい。
【0038】
図11は、本要旨の種々の実施形態による、抗高血圧(AHT)部1137と、心律動管理(CRM)部1138とを有する図8で821に示すような、埋め込み型医療装置(IMD)1121を示す。示した装置1121は制御装置1123とメモリ1124とを含む。種々の実施形態によれば、制御装置1123は、圧受容器刺激とCRM機能を行うために、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。例えば、本開示において論じられるプログラムされた治療応用は、メモリ内に具体化され、かつプロセッサによって実行されるコンピュータ読み取り可能な命令として記憶されることが可能である。種々の実施形態によれば、制御装置1123は、圧受容器刺激とCRM機能を行うために、メモリ内に記録された命令を実行するプロセッサを含む。示した装置1121は、プログラマか、他の外部又は内部装置と通信するために使用するためのトランシーバ1125とそれに関連した回路とを更に含む。種々の実施形態は遠隔測定コイルを含む。
【0039】
CRM治療部1138は、1つ以上の電極を使用して、心臓を刺激し、及び/又は心臓信号を感知するための部材、すなわち制御装置の管理に基づいた部材を含む。CRM治療部は、心臓を刺激するために電極を介して電気信号を提供するために使用されるパルス発生器1139を含み、かつ感知された心臓信号を検出し、処理するための感知回路1140を更に含む。インタフェース1141は、一般的に制御装置1123がパルス発生器1139と感知回路1140との間で通信するために使用される。3つの電極は、CRM治療を提供するための使用の例として示される。しかしながら本要旨は、特定の数の電極部位に限定されない。各電極は、その固有のパルス発生器と感知回路とを含むことができる。しかしながら、本要旨は、そのように限定されない。パルス発生と感知機能は、複数の電極により機能するために多重化できる。
【0040】
NS治療部1137は、圧受容器を刺激し、及び/又は神経活性に関連したANSパラメータ又は血圧や呼吸のようなANSパラメータの代理を感知するために、制御装置の管理に基づいた部材を含む。ANS治療を提供するために使用する3つのインタフェース1142が示されている。しかしながら、本要旨は、特定の数のインタフェース、又は何らかの特定の刺激や感知機能に限定されない。パルス発生器1143は、圧受容器部位を刺激するために使用する電極に電気パルスを供給するために使用される。種々の実施形態によれば、パルス発生器は、方形波、三角波、正弦波、白色雑音又は他の信号を模倣するための所望の調和成分を有する波のような、刺激パルスの振幅、刺激パルスの周波数、パルスのバースト周波数、パルスの形態を設定し、かつ実施形態によっては変更する回路を含む。感知回路1144は、神経活性、血圧、呼吸等のセンサのような、センサからの信号を検出し、処理するために使用される。制御装置1123がパルス発生器1143と感知回路1144の間の通信のために使用される一般的なインタフェース1142が示されている。各インタフェースは、例えば別個のリードを制御するために使用できる。NS治療部の種々の実施形態は、圧受容器を刺激するためのパルス発生器のみを含む。例えば、NS治療部はAHT治療を実施する。
【0041】
本要旨の側面は、圧受容器反射を活性化し、かつ血管運動中枢からの交感神経放出を抑制するために、血圧を観察し、かつ圧受容器を刺激することによって高血圧を治療するために特別に設計された、長期的に埋め込まれた刺激システムに関する。圧受容器は、頚動脈洞や大動脈弓のような種々の解剖学的位置にある。他の圧受容器の位置には、動脈管索を含む肺動脈と、心房や心室腔内の部位とを含む。種々の実施形態において、システムは、ペースメーカ/除細動器、又は他の電気刺激システムに統合される。システムの部材には、高周波パルス発生器と、血圧又は他の適切な生理学的パラメータを観察するセンサと、電気刺激を圧受容器に適用するリードと、刺激を投与する適切な時間を判定するアルゴリズムと、表示と患者管理のためのデータを操作するアルゴリズムとを含む。
【0042】
種々の実施形態は患者にAHT治療のような電気媒介NS治療を施すシステムに関する。種々の実施形態は、「独立型」パルス発生器を、肺動脈のような心臓近傍の圧受容器を直接刺激する、侵襲が最小の単極リードと組み合わせる。本実施形態は、専門家の技能に欠ける一般的な医者が埋め込むことができるようになっている。種々の実施形態は、血圧を示すパラメータを感知できる簡易な埋め込みシステムを組み込んでいる。このシステムは、所望の生活の質を維持するように、治療的出力(波形振幅、周波数等)を調整できる。種々の実施形態において、埋め込みシステムはパルス発生装置とリードシステムとを含み、その刺激電極は、経静脈インプラント技術を使用して、心内膜圧受容器組織の近くに位置決めされる。もう1つの実施形態は、NS治療を、伝統的な徐脈型不整脈、頻脈型不整脈、及び/又は鬱血性心不全(CHF)治療と組み合わせるシステムを含む。幾つかの実施形態は、装置のヘッダから出て、修正された伝統的なパルス発生システムからペーシングされる追加の「圧受容器リード」を使用する。1つの実施形態において、伝統的CRMリードが、圧受容器部位の近くに自然に位置決めされる近位電極を組み込むように修正される。これらのリードによって、遠位電極はCRM治療を提供し、かつ近位電極は圧受容器を刺激する。
【0043】
これらの実施形態によるシステムは、一部成功した治療戦略を増加させるために使用できる。例として、望ましくない副作用によって幾つかの薬剤の使用が制限される。これらの実施形態によるシステムを減少させた薬物容量と組み合わせることは、得に有益である。
【0044】
種々の実施形態において、リードとリード上の電極は、電極が適切にパルスを伝達でき、かつ心臓からの信号を感知できるように心臓に対して、かつ圧反射を刺激するために圧受容器に対して物理的に配置される。多数のリードがあり、リード当り多数の電極があるので、形状は、特殊な1つ以上の電極を使用するためにプログラムされる。種々の実施形態によれば、圧反射は、求心神経幹を刺激することによって刺激される。
【0045】
図12は、本要旨の種々の実施形態によるプログラマ1222と、埋め込み型神経刺激(NS)装置1237と、埋め込み型心律動管理(CRM)装置1238とを含むシステム1220を示す。種々の側面は、AHT装置のようなNS装置1237とCRM装置1238の間又はそれと他の心臓刺激器の間で通信する方法を含む。種々の実施形態において、この通信は、装置1237又は1238の一方が、他方の装置から受信したデータに基づき、より適切な治療(すなわち、より適切なNS治療又はCRM治療)を行うことを可能にする。幾つかの実施形態はオンデマンド通信を提供する。種々の実施形態において、この通信は、装置1237、1238の各々が、他方の装置から受信したデータに基づき、より適切な治療(すなわち、より適切なNS治療又はCRM治療)を施すことを可能にする。示したNS装置1237とCRM装置1238は、互いに無線通信することが可能であり、かつプログラマは、NS装置とCRM装置1237、1238の少なくとも一方と無線通信することが可能である。例えば、種々の実施形態は、互いにデータと命令を無線通信するために、遠隔測定コイルを使用する。他の実施形態において、データ及び/又はエネルギーの通信は超音波手段による。
【0046】
幾つかの実施形態において、NS装置1237は、NS治療を行うために、圧反射を刺激し、かつANS活性を示す呼吸や血圧のような代理パラメータを使用して、又は直接的にANS活性を感知する。CRM装置1238は、ペーシングや除細動能力のような心臓刺激能力を含む。NS装置とCRM装置1237、1238の間に無線通信を提供するよりも、種々の実施形態は、NS装置1237とCRM装置1238の間で通信するために使用する静脈内に供給される通信ケーブル又はワイヤを提供する。
【0047】
図13は、本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムにおいて1237で示したような、埋め込み型神経刺激(NS)装置1337を示す。図14は、本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムにおいて1238で示したような埋め込み型心律動管理(CRM)装置1438を示す。NS装置1337の部材の機能は、図9、11(NS部1137)に関して以前論じられ、かつCRM装置1238の部材の機能は、図11(CRM部1138)に関して以前論じられた。簡略にするため、NSやCRMに関するこれらの論議はここで繰り返さない。NS装置やCRM装置の種々の実施形態は、互いに無線通信するために、それぞれ無線トランシーバ1325、1425を含む。NS装置やCRM装置の種々の実施形態は、互いに無線通信するために、遠隔測定コイル又は超音波振動子を含む。
【0048】
種々の実施形態によれば、例えば、NS装置は、それとCRM装置との間でデータを交換することを可能にし、NS装置が、心拍数、毎分換気量、心房活性化、心室活性化、心臓事象のような電気生理学的パラメータに基づき治療を修正することを可能にする遠隔測定コイルを備える。その上、CRM装置は、平均動脈圧、収縮期圧、弛緩期圧、圧受容器刺激速度のようなNS装置から受信したデータに基づいて治療を修正する。
【0049】
幾つかのNS装置の実施形態は、既存のCRM装置によって獲得される生理学的データを受信することによってNS装置の機能を高めることができるように、既存のCRMと共に患者に埋め込むことが可能であ。2つ以上の埋め込まれた装置の機能性は、埋め込まれた装置間の、又はそれらの中での通信能力を提供することによって高められる。種々の実施形態において、装置を互いに無線通信するように設計することによって、機能性をより高くすることができる。
【0050】
図15は、本要旨の種々の実施形態による、図8、12のシステムにおいて示されるプログラマ822、1222のような、プログラマ1522、又は埋め込み型医療装置1237及び/又は1238と通信するための他の外部装置を示す。もう1つの外部装置の例には、個人情報端末(PDA)、又は高度患者管理(APM)システムにおける個人ラップトップやデスクトップのコンピュータを含む。示した装置1522は、制御回路1545とメモリ1546とを含む。制御回路1545は、ハードウェア、ソフトウェア、さらにはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装することができる。例えば、種々の実施形態によれば、制御回路1545は、埋め込み型装置への通信データ及び/又はプログラミング命令を含む多数の機能を実行するために、メモリ1546に記録された命令を実行するために、プロセッサを含む。示した装置1522は、トランシーバ1547や、埋め込み型装置と通信するために使用する関連した回路を更に含む。種々の実施形態は、無線通信能力を有する。例えば、トランシーバ1547と関連した回路の種々の実施形態は、埋め込み型装置と無線通信するために使用する遠隔測定コイルを含む。示した装置1522は、ディスプレイ1548やキーボード又はマウス/ポインタのような入力/出力装置1549を含み、通信ネットワーク上のような他の装置との通信に使用する通信インタフェース1550を更に含む。
【0051】
プログラムされた治療の適用
システムのNS機能及び/又はCRM機能は、それらが2つの別個にかつ分離された埋め込み型装置として実装されても、1つの埋め込み型装置の部材として統合されようと、NS治療及び/又はCRM治療、又は治療の一部を実行するためにプロセッサを含む。幾つかの実施形態において、NS治療はAHT治療を提供する。これらのプロセスは、例えばメモリに記録されたコンピュータ読み取り可能な命令を実行するプロセッサによって行うことができる。これらの治療は、種々のプロセスと機能を有し、幾つかが下記で識別され、かつ論じられる多数の用途を含む。本要旨の幾つかの実施形態が、2つ以上の下記のプロセスと機能の組み合わせを含むので、これらの治療のプロセス及び機能は、必ずしも相互に排他的でない。
【0052】
正確に信号を感知するための神経刺激の説明
図16A−16Dは、本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激と心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するためのシステム及び方法を示す。神経刺激は、信号を感知する能力を改善し、かつそれ故に心臓事象の検出に関連する偽陽性を減少又は除去する。NS装置は、幾つかの実施形態においてAHT装置を含む。例えば、幾つかの実施形態によれば、NS装置は、CRM装置が圧反射刺激に意図しない反応をしないように、圧反射刺激と通信し、かつ回避又はその他の方法で補償する。幾つかの実施形態は、圧反射刺激を、心臓内の適切な屈折と自動的に同期化する。例えば、幾つかのシステムは、肺動脈内又は周辺の圧受容器の刺激を心房活性化と自動的に同期させる。従って、CRM装置の機能は、圧反射刺激が、心臓電気活性を検出するCRMセンサや心臓の近くで発生した時でさえも、圧反射刺激によって発生した遠方界ノイズを検出することによって悪影響を及ぼされない。
【0053】
図16Aは、(NS装置又は統合されたNS装置/CRM装置内のNS部によって実行されるような)NS機能1651と、(CRM装置又は統合されたNS装置/CRM装置内のCRM部によって実行されるような)CRM機能1652と、NS機能とCRM機能の間で通信する能力1653とを含むシステム1654を一般的に示す。示した通信は、二方向無線通信である。しかしながら、本要旨は、一方向通信を検討し、かつ有線通信も更に検討する。その上、本要旨は、NS機能とCRM機能1651、1652が、単一の埋め込み型装置に統合され、装置内で、又は別個の埋め込み型装置内で通信信号を送信し、受信する。神経刺激の一環としての圧反射刺激が特に論じられたが、本要旨のこの側面は、センサによって検出可能であり、かつ他の電気刺激器から発生する意図しない干渉を回避し、又は説明し、又は他の方法で補償するために、適用可能である。
【0054】
図16Bは、種々の実施形態による、CRM機能が意図しない圧反射刺激に反応しないプロセスを示す。図16Bは、圧受容器が電気刺激される時に、NS装置又はNS部1651が警告を送信するか、又はその他の方法でCRM装置又はCRM部に知らせるプロセスを示す。示した実施形態において、NS装置/NS部は、圧反射刺激のような電気刺激が加えられるべきか否かを1655で判定する。電気刺激が加えられるべき時、NS装置又はNS部1651は、1656で警告1657を送信するか、又はその他の方法で電気刺激のCRM装置又はCRM部1652に知らせる。1658で、電気刺激はNS装置/NS部によって加えられる。1659で、感知を含むCRM治療が行われる。1660で、CRM装置/CRM部は、警告1657がNS装置/NS部から受信されたか否かを判定する。警告が受信されたならば、事象検出アルゴリズムは、検出閾値を高め、ブラックアウト又はブランキングウインドウを提供し、又はさもなければ、NS装置又はNS部内の電気刺激が、CRM装置/CRM部による事象として誤解されることを防ぐために1661で修正される。
【0055】
図16Cは、種々の実施形態による、CRM機能が意図せずに圧反射刺激と反応しないプロセスを含む。CRM装置/CRM部1652は、1662で心臓の不応期を判定する。1663で、不応期が起きているか、又は予測できる時間内に起きることが見込まれるならば不応期に対応するイネーブル1664が、NS装置/NS部1651に提供される。AHT装置/AHT部1651は、電気刺激が1655で望ましいか判定する。望ましい時、AHT装置/AHT部は、イネーブル信号1664によって制御されるように、1666で不応期中に電気刺激を適用する。図16Dは、心臓内の1667での不応期と、圧反射刺激1668とを示し、かつ圧反射刺激が不応期中に適用されることを更に示す。
【0056】
不応期は、絶対的不応期と相対的不応期の両方を含む。心臓組織は、絶対的不応期中に刺激されることが不可能である。絶対的不応期中の必要な刺激閾値は基本的に無限である。相対的不応期は絶対的不応期の後に起きる。相対的不応期中に心臓組織が再分極し始めると、刺激閾値は当初非常に高く、かつ相対的不応期終了時までに通常の刺激閾値に降下する。従って、種々の実施形態によれば、神経刺激器は、神経刺激が心臓組織を捕捉することを妨げるために十分に高い刺激閾値に対応する絶対不応期中か、又は相対的不応期の一部中に神経刺激を適用する。
【0057】
本要旨の種々の実施形態は、心房活性化を感知し、かつ肺動脈刺激を心房不応期に限定し、近隣の心房組織の無意図的な刺激を回避する方法に関する。埋め込み型圧受容器刺激装置は、心房感知リードによって心房活性化を観察する。肺動脈内のリードは、血管壁内で圧受容器を刺激する。しかしながら、これらの圧受容器を連続的に刺激する代わりに、肺動脈内の圧受容器の刺激が、固有の心房速度と活性化を維持し、近隣の心房心筋を捕捉することを避けるために、心房不応期中に起きる。本要旨の種々の実施形態は、肺動脈壁内の圧受容器を刺激する埋め込み型装置を心房感知能力と組み合わせる。種々の実施形態は、心臓脂肪体内、心腔、及び/又は求心神経内の圧受容器を刺激する。
【0058】
図17は、本要旨の種々の実施形態による、圧反射刺激を調節するシステムを示す。示したシステムは、肺動脈内や周辺で圧受容器を刺激する刺激器のような圧反射刺激器1751を含む。圧反射刺激器は、独立型NS装置内に、又は例えば統合NS装置/CRM装置内のNS部として含まれる。示した刺激器1751は、適用される圧反射刺激を選択的に増加又は減少させるモジュレータ1769を含む。種々の実施形態によれば、モジュレータ1769は、次のモジュールのいずれか1つを含む。刺激パルスの振幅を変更するモジュール1770。刺激パルスの周波数を変更するモジュール1771。刺激パルスのバースト周波数を変更するモジュール1772。バースト周波数はデューティサイクルとも呼ばれる。種々の実施形態によれば、モジュレータ1769は、2つ以上のモジュール1770、1771、1772の種々の組み合わせのための機能を含む。その上、刺激器は、制御信号に応答して様々な波形を提供することが可能な波形発生器を含むことができる。
【0059】
システムの種々の実施形態は、所望のレベルの圧反射刺激を適切に適用するために刺激器1759のモジュレータ1769を制御することが可能な、心臓活性モニタ1773、有害事象検出器1774、呼吸モニタ1775、サーカディアンリズムテンプレート1776のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。これら1773、1774、1775、1776の各々は、圧反射信号を調節する方法に関連する。種々の実施形態によれば、システムは、次のパラメータ又はパラメータの組み合わせに基づき、圧反射信号を調節する手段を含む。心臓活性(1773)。有害事象(1774)。呼吸(1775)。サーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)と有害事象(1774)。心臓活性(1773)と呼吸(1775)。心臓活性(1773)とサーカディアンリズム(1776)。有害事象(1774)と呼吸(1775)。有害事象(1774)とサーカディアンリズム(1776)。呼吸(1775)とサーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)、有害事象(1774)、呼吸(1775)。心臓活性(1773)、有害事象(1774)、サーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)、呼吸(1775)、サーカディアンリズム(1776)。有害事象(1774)、呼吸(1775)、サーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)、有害事象(1774)、呼吸(1775)、サーカディアンリズム(1776)。
【0060】
刺激は、カフ電極又は神経幹の近傍に位置決めされる血管内供給されるリードを使用して、迷走神経のような求心神経幹に加える。刺激は、例えば、血管内供給されるリードを使用して、肺動脈、大動脈弓、頚動脈洞に位置するような圧受容器部位に加える。刺激は、血管内供給されるリードを使用することによって、又は脂肪体に電極をはめ込むことによって、心臓脂肪体内に位置する圧受容器部位に加える。例えば、心臓活性検出器1774の実施形態は、心拍数モニタ1777、毎分換気量モニタ1778、加速モニタ1779のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。呼吸モニタ1775は血圧を観察する代理として機能する。呼吸モニタ1775の実施形態は、一回呼吸量モニタ1780と毎分換気量モジュール1781のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。サーカディアンリズムテンプレート1776の実施形態は、カスタム発生テンプレート1782や事前プログラムされたテンプレート1783のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。これらの実施形態は、図18A−18C、19A−19B、20A−20B、21A−21E、22、23A−23Cに関して以下でより詳細に論じる。
【0061】
種々の実施形態が、AHT治療を提供するために、サーカディアンリズムテンプレートを使用する。種々の実施形態が、無呼吸治療を提供するために、サーカディアンリズムテンプレートを使用する。
【0062】
収縮期間隔に基づく圧反射刺激の調節
交感又は副交感神経系は、ある種の収縮期間隔、主に前駆出期(PEP)、心室内の感知された電気活性(例えば「R」波の感知)、血液の心室排出開始の間の時間間隔を変更することが知られている。PEPは、肺動脈圧センサを使用して、感知された電気事象から肺動脈内の圧力増加開始に測定されるか、又は右心室に位置付けられるか又は左心室に広がる電極を使用して、排出中に心室容量の減少を伴う、心臓内インピーダンスの増加開始に測定される。休息時、例えば加速度計によって測定される心拍数又は身体活性によって判定されるように、神経刺激は事前にプログラムされた範囲内でPEPを維持するように調節される。突然のPEP減少は、運動又は情動ストレスに関連する交感神経系の緊張の増加を示す。この条件は、心拍数増加と代謝要求を満たすために必要な収縮性を可能にする神経刺激を減少させるために使用できる。同様に、以下に続く、PEPを劇的に長くすることは、増加した代謝要求の終了を表す。この時点で、神経刺激による血圧制御を、再開し得る。
【0063】
心臓活性に基づく圧反射刺激の調節
本要旨は、心拍数、毎分換気量、加速、それらの組み合わせによって判定できるような、心臓活性に基づいて圧受容器刺激を自動的に調節する方法を記載する。圧受容器を電気刺激する装置の機能性は、代謝要求が比較的低いときに、休息中に少なくとも比較的高い圧ペーシング(baropacing)速度を、かつ代謝要求が増加する時の身体運動中に漸次低い圧ペーシングを適用することによって高められる。心臓活性の指数は、圧受容器の電気刺激を自動的に調節するために使用され、埋め込み型抗高血圧装置が、代謝要求の変化に応答することを可能にする。種々の実施形態により、ペースメーカ、AICD装置又はCRT装置のようなCRM装置は、圧受容器刺激リードを同様に有する。装置は、例えば混合センサを使用する既存の方法を介して心臓活性を観察する。混合センサは、加速や毎分換気量のようなパラメータを測定する2つのセンサを含む。混合センサの出力は複合パラメータになる。種々のNS治療とAHT治療が、本開示において論じたような2つ以上の感知されたパラメータから導かれる複合パラメータを使用する。休息時(低い心臓活性)に装置は、圧受容器を高い速度で刺激し、血圧を減少させ、かつ高血圧を制御する。心臓活性が増加すると、装置は、圧受容器刺激を一時的に減少させることによって応答する。このことは、血圧や心臓出力の一時的増加をもたらし、身体が、増加した代謝要求に応答することを可能にする。例えば、幾つかの実施形態は、休息中に圧反射刺激を提供し、かつ運動中に、運動への正常な血圧応答に一致させるために、圧反射刺激を取り消す。圧変換器が活性を判定するために使用できる。更に、活性は、心拍感応型ペーシングを駆動するために使用される又は使用されたセンサを使用して感知できる。かかるセンサの例には、身体の動き、心拍数、QT感覚、呼吸数、経胸部インピーダンス、一回呼吸量、毎分換気量、体位、脳波図(EEG)、心電図(ECG)、眼電図(EOG)、筋電図(EMG)、筋緊張、体温、パルス酸素濃度計、時刻、心臓内インピーダンスからの前駆出期間隔を検出するセンサを含む。
【0064】
心臓活性モニタの種々の実施形態には、平均動脈パラメータ、収縮期と弛緩期圧力の差によって判定される脈圧、収縮終期圧力(収縮期終了時の圧力)、弛緩終期圧力(弛緩期終了時の圧力)のような少なくとも1つの圧力パラメータを検出するセンサを含む。心臓活性モニタの種々の実施形態は拍出量モニタを含む。心拍数と圧力は、拍出量を導くために使用できる。心臓活性モニタの種々の実施形態は、心臓活性を判定するために、少なくとも1つの電気記録図測定を使用する。かかる電気記録図測定の例には、R−R間隔、P−R間隔、QT間隔を含む。心臓活性モニタの種々の実施形態は、心臓活性を判定するために、少なくとも1つの心電図(ECG)測定を使用する。
【0065】
図18A−18Cは、本要旨の種々の実施形態による、心臓活性パラメータに基づき圧受容器刺激を調節する方法を示す。心臓活性は、CRM装置、NS装置、又はNS/CRM能力を有する埋め込み型装置によって判定できる。心臓活性に基づき、圧受容器刺激を調節する第1プロセス1884Aを図18Aに示す。1885Aで、活性レベルが判定される。種々の実施形態によれば、活性レベルの判定は、心拍数、毎分換気量、加速、又は心拍数、毎分換気量、加速のいずれかの組み合わせに基づく。示したプロセスにおいて、活性レベルは2つの定義される2進レベル(例えばHI及びLO)を有する。幾つかの実施形態において、LOレベルは無刺激を含む。活性レベルがHI又はLOであることが判定される。1886Aで、圧受容器刺激レベルは判定された活性レベルに基づき設定される。LO刺激レベルは、活性レベルがHIであると判定されたならば設定され、かつHI刺激レベルは、活性レベルがLOであると判定されたならば設定される。
【0066】
心臓活性に基づき、圧受容器刺激を調節する第2プロセス1884Bを図18Bに示す。1885Bで活性レベルは決定される。種々の実施形態によれば、活性レベルの判定は、心拍数、毎分換気量、加速、又は心拍数、毎分換気量、加速のいずれかの組み合わせに基づく。示したプロセスにおいて、活性レベルは、2つ以上の定義されるレベル又はn個の定義されるレベルを有する。活性レベルが、レベル1、レベル2・・・又はレベルnであることが判定される。活性レベル標識は増加する活性に対応する。1886Bで、圧受容器刺激レベルが判定された活性レベルに基づき設定される。利用可能な刺激レベルには、レベルn・・・レベル2とレベル1を含み、ここで刺激レベル標識は、増加する刺激に対応する。種々の実施形態によれば、選択された圧受容器刺激レベルは判定された活性レベルに反比例する。例えば、心臓活性レベルが、最高レベルnにあると判定されたならば、その場合刺激レベルは最低レベルnに設定される。刺激レベルが、最低レベルから1番目又は2番目、それぞれレベル1又はレベル2にあると判定されたならば、刺激レベルは、最高レベルから1番目又は2番目、それぞれレベル1又はレベル2に設定される。
【0067】
心臓活性に基づき、圧受容器刺激を調節するもう1つのプロセス1884Cを図18Cに示す。1887で、獲得された心臓活性パラメータが標的活性パラメータと比較される。獲得された心臓活性が標的活性パラメータより低いならば、圧受容器刺激は1888で増加する。獲得された心臓活性が標的活性パラメータより高いならば、圧受容器刺激は1889で減少する。
【0068】
本要旨のある側面は、一回呼吸量又は毎分換気量によって判定されるような呼吸に基づいて圧受容器刺激の強度を自動的に調節する方法に関する。連続的な圧受容器刺激を適用する代わりに、NS装置は、呼吸を血圧の代理として使用して高血圧レベルを観察し、かつ適切な治療レベルを送り出し、装置が治療レベルを調節することができるようにする。本要旨は、判定された一回呼吸量又は毎分換気量に、かつ圧受容器刺激を自動的に調節するために、インピーダンスのような呼吸指数を使用する。従って、埋め込み型NS装置は、患者における高血圧レベルを判定することが可能であり、かつ適切なレベルの治療を施すことによって応答する。種々の実施形態において、埋め込み型NS装置は、一回呼吸量又は毎分換気量を測定するセンサを含む。例えば、種々の実施形態は、呼吸数を得るために経胸部インピーダンスを測定する。装置は、幾つかの実施形態において、CRM装置からこのデータを受信する。NS装置は、これらの呼吸パラメータを定期的に観察する。呼吸が減少、又はプログラムされた標的未満に留まると、装置は圧受容器を高速で刺激し、血圧を減少させ、かつ高血圧を制御する。平均動脈圧が、標的に向かって増加すると、装置は、圧受容器刺激を減少させることによって応答する。このようにして、AHT装置は、適切なレベルの治療を連続的に行う。
【0069】
図19A−19Bは、本要旨の種々の実施形態による方法、すなわち呼吸パラメータに基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。呼吸パラメータは、CRM装置、NS装置、又はNS/CRM能力を有する埋め込み型装置によって判定できる。呼吸パラメータに基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を図19Aの1910Aに示す。呼吸レベルは1911で判定され、かつ圧受容器刺激レベルは判定された呼吸レベルに基づいて1912で設定される。種々の実施形態によれば、所望の圧ペーシングレベルは1913で調節される。例えば、1つの実施形態は、1914で獲得されたパラメータを標的パラメータと比較する。圧ペーシングは、獲得されたパラメータの標的パラメータへの比較に基づいて、1915で増加できるか又は1916で減少できる。
【0070】
呼吸パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法の1つの実施形態を、図19Bの1910Bに示す。1916で、圧反射事象トリガが起き、そのことは、圧反射刺激プロセスのアルゴリズムをもたらす。1917で、呼吸が標的パラメータと比較される。圧反射刺激は、呼吸が標的未満であるなら1918で増加し、かつ呼吸が標的を超えるならば1919で減少する。種々の実施形態によれば、呼吸がブランキングウインドウ内に入るならば、刺激は変化しない。種々の実施形態は、適用される刺激と圧反射応答を安定させるためにヒステリシス効果を提供するためにメモリを使用する。その上、種々の実施形態において、呼吸標的は、時刻又は活性レベルのような種々の因子に基づいて治療中に修正される。1920で、例えば感知されたパラメータ又は事象中断の受信に基づいて、圧反射治療アルゴリズムを継続するかが判定される。圧反射アルゴリズムを継続すべきならば、プロセスは、呼吸が標的パラメータに再度比較される1917に戻る、さもなければ、圧反射アルゴリズムは1921で中止される。
【0071】
有害事象に基づく圧反射刺激の調節
本要旨の側面は、血管拡張応答を増加させ、かつ心筋虚血損傷を潜在的に予防又は減少させるために、有害心臓事象を検出して圧受容器刺激を自動的に増加させる方法を含む。種々の実施形態は、圧受容器を電気刺激する刺激リードを同様に有する、(ペースメーカ、AICD又はCRT装置のような)心律動管理装置内のフィードバック機構を含む。装置は、既存の方法により心臓電気活性を観察する。心室細動(VF)と心房細動(AF)、所定の速度を超える心室性頻脈(VT)と心房性頻脈(AT)、毎分換気量センサによって検出される呼吸困難、狭心症、代償不全、虚血のような有害心臓事象の場合、装置は、圧受容器刺激を最大許容レベルに増加させることによって応答する。結果として、血圧は一時的に低下され、虚血による心筋損傷を潜在的に予防又は回避する。高血圧を治療する装置の機能性は、それが、圧受容器刺激の範囲を一時的に調節することによって有害心臓事象に応答できるならば、拡張できる。事象検出アルゴリズムは、圧受容器刺激を自動的に調節し、埋め込み型AHT装置が、圧受容器刺激を増加させることによって有害事象に応答することを可能にし、心筋虚血損傷を潜在的に予防又は減少させる。
【0072】
図20A−20Bは、本要旨の種々の実施形態による、有害事象の検出に基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。有害事象は、CRM装置、NS装置、又はNS/CRM能力を有する埋め込み型装置によって判定できる。図20Aは、有害事象の検出に基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。2090Aで、有害事象が検出されたか否かが判定される。有害事象が検出されなかったならば、正常な圧ペーシング(正常な手順による圧ペーシング)が2091Aで実行される。有害事象が検出されたならば、高められた圧ペーシングが2092で実行される。種々の実施形態において、最大許容圧ペーシングは、有害事象が検出された時に実行される。他の圧ペーシング手続きが実施できる。例えば、種々の実施形態は、有害事象が検出される時、圧ペーシング刺激を加えて圧ペーシング治療を控え、かつ種々の実施形態は、有害事象が検出される時、圧ペーシング治療を控えて圧ペーシング刺激を加える。図20Bは、有害事象の検出に基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。2090Bで、有害事象が検出されたか否か判定される。有害事象が検出されなかったならば、正常な圧ペーシング(正常な手順による圧ペーシング)が2091Bで実行される。有害事象が検出されたならば、事象は、2093で識別され、かつ識別された有害事象に適切な圧ペーシングが2094で加えられる。例えば、適切な血圧治療は、心室細動に関して、虚血と異なる。種々の実施形態によれば、所望の圧ペーシングは、2095で識別された事象に関して調節される。例えば、1つの実施形態は、2096で、獲得されたパラメータを標的パラメータと比較する。圧ペーシングは、獲得されたパラメータの標的パラメータへの比較に基づいて、2097で増加できるか、又は2098で減少できる。
【0073】
種々の実施形態によれば、有害事象には、治療が、心不整脈を予防するために適用できるように、検出可能な前駆物質を含む。幾つかの実施形態において、有害事象は、心臓事象や卒中のような非心臓事象の両方を含む。更に、幾つかの実施形態は、不整脈と非不整脈事象の両方を有害事象として検出する。
【0074】
サーカディアンリズムに基づく圧反射刺激の調節
本要旨のある側面は、24時間の期間にわたって起きる血圧の自然変動を模倣するように、高血圧患者に圧反射を刺激する方法に関する。高血圧の反射減少は、固有の動脈圧変動を変化させずに、長期の圧受容器刺激中に行われる。種々の実施形態によれば、埋め込み型装置は、例えば(約20−150Hzの範囲内の周波数を有する方形波)短い高周波バーストを使用して、頚動脈洞、肺動脈又は大動脈弓内の圧受容器を刺激するように設計される。幾つかの種々の実施形態は、カフ電極によって頚動脈洞枝、大動脈神経又は迷走神経を直接刺激する。しかしながら、バーストは、一定の速度で起こらない。むしろ刺激周波数、振幅、及び/又はバースト周波数は、日中、上下し、自然のサーカディアンリズムを模倣する。
【0075】
従って、NS装置の種々の実施形態は、正常かつ高血圧の両方の個人に起きる自然の動脈圧変動を明らかにする。平均動脈圧の活性関連変化の他に、被検者は24時間サイクルで一貫した圧力変動を同様に示す。定期圧受容器刺激を提供する装置は、固有のサーカディアンリズムを模倣し、このリズムを乱すことなく、全身神経系の反射抑制と全身血圧減少を可能にする。本要旨は、固有のサーカディアンリズムを乱すことなく、平均動脈圧を減少させるために、圧受容器刺激周波数/振幅を変化させるペーシング手順を提供する。
【0076】
図21A−21Eはサーカディアンリズムを示す。図21Aは、正午から正午の24時間の平均動脈圧に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Bは、正午から正午の24時間の心拍数に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Cは、正午から正午の24時間の心拍出量の変化率(SV%)に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Dは、正午から正午の24時間の心臓出力(CO)の変化率に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Eは、正午から正午の24時間の、血管拡張の指数である、全抹消血管抵抗の変化率(TPR%)に関連するサーカディアンリズムを示す。種々の実施形態は絶対値をグラフにし、かつ種々の実施形態はパーセント値をグラフにする。これらの図において、影付きの部分は、約午後10時から午前7時までの夜の時間に相当し、かつそれ故に休息又は睡眠時間に相当する。例えば図21A、21Bを参照すると、平均動脈圧と心拍数の両方が、休息期間中に低下することが明らかである。高い血圧と心拍数は休息に悪影響を与え得る。その上、日中の低い血圧及び心拍数は個人のエネルギーレベルに悪影響を与える。
【0077】
本要旨の種々の実施形態は、サーカディアンリズムを多数の被検者に適合させることが意図される事前プログラムされたテンプレートを使用して、圧反射刺激を調節する。本要旨の種々の実施形態は、被検者に適合させるために、カスタマイズされたテンプレートを発生させる。
【0078】
図22は、カスタマイズされたサーカディアンリズムテンプレートを使用する、本要旨の種々の実施形態によって、サーカディアンリズムに基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。示した方法2222は、2223で高血圧に関連したパラメータを感知し記録する。かかるパラメータの例には、心拍数と平均動脈圧を含む。2224で、サーカディアンリズムテンプレートはこれらの記録されたパラメータに基づいて発生する。2225で、圧反射刺激は、2224で発生したサーカディアンリズムテンプレートを使用して調節される。
【0079】
所望の心臓出力を提供するための圧反射刺激の調節
本要旨のある側面は、圧反射を刺激することにより全身血圧を低下させるために、NS治療を提供し、かつ速度制御のための心臓ペーシングリードを使用する心臓ペーシング治療を更に提供する埋め込み型医療装置に関する。圧反射刺激と心臓ペーシングは、相前後して起き、血圧が、心臓出力を犠牲にすることなく低下することを可能にする。
【0080】
種々の実施形態によれば、圧反射刺激器は、別個の埋め込み型CRM装置と通信し、かつ既存のペーシングリードを使用する。種々の実施形態において、圧反射刺激は、血管壁内又は周辺に置かれた電極により、肺動脈、頚動脈洞、又は大動脈弓内の圧受容器を介して起きる。種々の実施形態において、大動脈神経、頚動脈洞枝、又は迷走神経のような求心神経は、カフ電極によって直接的に刺激される。
【0081】
圧反射刺激は、迅速に血管拡張をもたらし、かつ全身血圧を減少させる。心臓出力の同時の減少を補償するために、ペーシング速度は圧反射刺激中に増加する。本要旨は、血圧が、圧反射刺激を介して徐々に低下することを可能にし、他方で圧反射刺激を心臓ペーシングと組み合わせることによって、さもなければかかる刺激を伴う心臓出力の降下を回避し、埋め込み型装置が血圧制御中に心臓出力を維持することを可能にする。
【0082】
図23A−Bは、本要旨の種々の実施形態によって、心臓出力パラメータに基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。図23Aは、心臓出力パラメータに基づいて圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。示したプロセス2326Aにおいて、圧反射刺激が、2327で加えるか否か判定される。圧反射刺激が加えられないならば、本要旨は、2328で、適切なペーシング速度によって、適切なペーシング治療を、もしあれば実施する。圧反射刺激が加えられないなら、本要旨は、心臓出力を維持するために、高いペーシング速度で、2329でペーシング治療を改良する。
【0083】
図23Bは、心臓出力パラメータに基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。示したプロセス2326Bにおいて、圧反射刺激は2330で加えられ、かつ2331で心臓出力が適切であるか否かが判定される。心臓出力が適切でないと判定されると、ペーシング速度は、適切な心臓出力を維持するために、2332で増加する。
【0084】
種々の実施形態によれば、既存のペーシング速度は、心臓出力を維持するために、圧反射刺激中に所定の因子によって増加する。種々の実施形態において、ペーシング速度は、心臓出力を維持するために、圧反射刺激中に始められる。所望の心臓出力を提供するために圧反射刺激を調節することは、心房速度制御と心室速度制御、AV遅延制御、再同期、多部位刺激によって実施できる。あるいは、心拍出量は、右心室腔内の電極を使用して右心室インピーダンスによって、又は左心室腔内又はそれに及ぶ電極を使用して左心室インピーダンスによって観察でき、かつペーシング速度は、固定心臓出力を維持するために、神経刺激の適用を使用して、増加できる。
【0085】
硬化プロセスを再構築するための圧反射刺激の調節
本要旨の側面は、不応性高血圧を有する患者において全身血圧を低下させるために埋め込み型NS装置によって使用される圧反射刺激方法を伴う。圧反射刺激アルゴリズムは、プログラム可能な標的に向けて血圧をゆっくり調整するために、圧反射刺激を徐々に増加する。このアルゴリズムは、中枢神経系が、通常圧力低下効果を緩和する一定の増加したレベルの圧反射刺激に適合することを妨げる。その上、血圧変化の漸進的な性質は、全身血圧と心臓出力の突然の変化なしに、患者が治療により良く耐えることを可能にする。
【0086】
本要旨は、中枢神経系が、増加した圧反射刺激に適合することを回避し、患者において存在する以前の高血圧状態によって引き起こされた動脈硬化プロセスの反転を可能にするために経時的に血圧レベルをゆっくり減少させ、かつ圧受容器刺激中に、心臓出力の減少を回避するように設計された、特定のアルゴリズム又はプロセスを提供する。動脈系の反転は、以前に存在した高血圧によって開始された硬化プロセスを再構築することが経時的に予期される。平均/中央血圧のゆっくりした、漸進的な低下は、逆再構築を介して、この硬化プロセスのゆっくりした反転を可能にする。血圧は、プロセスにおいて心臓出力を危うくすることなく、減少し、このようにして望ましくない患者の症状を回避する。
【0087】
種々の実施形態において、装置は、血管壁内又は隣接して置かれる電極によって、肺動脈、頚動脈洞、又は大動脈弓内の圧受容器を刺激する。種々の実施形態において、大動脈神経、頚動脈洞枝、又は迷走神経のような求心神経は、カフ電極によって直接刺激される。刺激された圧反射は、迅速に血管を拡張させ全身血圧を減少させる。しかしながら、一定の高いレベルで圧反射を刺激するよりも、本要旨の装置は、最初に僅かに増加したレベルで刺激し、かつ次に例えば数週間又は数ヶ月の期間にわたって刺激を徐々に増加させる。変化の速度は、現在の及び標的動脈圧に基づいて、装置によって判定される。種々の実施形態において、システムは、圧力減少が、減少した心臓出力を犠牲にして起きないことを確実にするために、心臓出力の直接又は間接的測定に基づいて、変化速度を判定する。種々の実施形態において、圧反射刺激の速度は、一定でないが、神経連絡分布をより緊密に模倣するために、白色雑音タイプの分布を有する。神経連絡分布を模倣することによって、圧反射が、刺激により応答的であることが予期され、このようにして圧反射を刺激する閾値を低下させる。
【0088】
図24は、本要旨の種々の実施形態による再構築硬化を逆にするために、圧受容器刺激を調節する方法を示す。圧反射事象トリガが2433で起きる。このトリガはAHT装置の起動を含む、圧反射刺激を開始するいかなる事象も含む。2434で、アルゴリズムは、硬化プロセスを逆再構築するために、血圧を標的圧力に徐々に低下するための所定の変化速度によって、圧反射刺激を増加するように実施される。2435で、圧反射刺激アルゴリズムを継続するか否かが判定される。アルゴリズムは、例えば事象中断、感知されたパラメータ、及び/又は標的血圧に達したことに基づいて、2436で中止される。2437で、心臓出力が許容可能か判定される。心臓出力が許容可能でないならば、2438で圧反射刺激の変化速度が、心臓出力に基づいて修正される。
【0089】
心筋梗塞を治療するための圧反射刺激
心筋梗塞に続き、梗塞を起こした領域の筋細胞が死亡し、機能的心筋とは異なる機械的及び弾性特性を有する瘢痕組織によって置き換えられる。時間がたつと、この梗塞を起こした区域が薄くなり、かつ拡張することがあり、心臓全体にわたる心筋応力の再分布を引き起こす。最終的に、このプロセスは、高応力領域の機械的機能障害や心不全に至る。高応力領域は、重度に「ロードされた(loaded)」と呼ばれ、かつ応力減少は、「アンロードする(unlaoding)」と称される。心筋損傷を予防又は減少させるように、急性心筋梗塞を治療する装置が望ましい。
【0090】
本要旨のある側面は、心臓電気活性を観察する埋め込み型装置に関する。心筋梗塞の検出後、装置は、血管壁内の又は隣接した圧受容器を刺激することによって、及び/又は感圧神経を直接刺激することによって圧反射を電気的に刺激する。圧反射刺激の増加は、圧反射感受性の減少を補償し、かつ心筋梗塞に続く患者における臨床転帰を改善する。埋め込み型装置(例えばCRM装置)は心臓電気活性を観察する。心筋梗塞の検出後、装置が圧反射を刺激する。装置の幾つかの実施形態は、血管壁内に又は隣接して置かれた電極により肺動脈、頚動脈洞、又は大動脈弓内の圧受容器を刺激する。種々の実施形態において、大動脈神経のような求心神経は、求心神経の近くで静脈内に置かれたリード、又はカフ電極によって直接刺激される。頚動脈洞枝又は迷走神経のような求心神経は、求心神経の近くで静脈内に置かれたリード、又はカフ電極によって直接刺激される。種々の実施形態において、心臓脂肪体は、脂肪体に固定された電極、又は脂肪体に近接する腔又は血管に静脈内供給されたリードを使用して刺激される。
【0091】
圧反射刺激は、迅速に血管を拡張させ、かつ全身血圧を減少させる。このことは、圧反射感受性減少を補償し、かつ心筋梗塞を減少させる。種々の実施形態によれば、全身血圧又は代理パラメータは、適切なレベルの刺激が送り出されることを確実にするために、圧反射刺激中に観察される。本要旨の幾つかの側面及び実施形態は、心筋梗塞に続く虚血損傷を予防するために圧反射刺激を提供する。
【0092】
図25A−25Bは、本要旨の種々の実施形態による、心筋梗塞を検出し、かつ検出された心筋梗塞に応答して圧ペーシングを実行するシステム及び方法を示す。図25Aは、心筋梗塞検出器2539と、圧反射又は圧受容器刺激器2540とを含むシステムを示す。心筋梗塞は例えば心電図を使用して検出できる。例えば、テンプレートが、心筋梗塞を判定するために心電図と比較される。もう1つの例は、心筋梗塞を検出するためにST部分の上昇の変化を検出する。種々の実施形態において、検出器2539と刺激器2540が、例えばAHT装置又はCRM装置におけるような、単一の埋め込み型装置に統合される。種々の実施形態において、検出器2539と刺激器2540は、互いに通信することに適した別個の埋め込み型装置として実装される。
【0093】
図25Bは、本要旨の種々の実施形態による、心筋梗塞を検出し、かつ検出された心筋梗塞に応答して圧ペーシングを実行する方法を示す。2541で、心筋梗塞が起きたか判定される。心筋梗塞が起きたことを判定した後、圧反射が2542で刺激される。例えば、種々の実施形態において、肺動脈内とその周辺の圧受容器は、右心房と肺動脈弁を介して肺動脈に供給されるリードを使用して刺激される。他の実施形態は、他の圧受容器部位と感圧神経を刺激する。幾つかの実施形態は、2543で全身血圧又は代理パラメータを観察し、かつ2544で刺激を、この観察に基づいて調整すべきか判定する。刺激を調整すべきであれば、圧反射刺激、2545で調節される。調節の例には、刺激の振幅、周波数、バースト周波数及び/又は波形を変化することを含む。
【0094】
圧反射刺激のような神経刺激が心筋梗塞後にアンロードするために使用できる。種々の実施形態は、NS装置のフィードバック制御システム内で、虚血センサのような急性心筋梗塞検出センサを使用する。しかしながら、心筋梗塞検出センサは必要でない。例えば、刺激リードを心筋梗塞後に埋め込むことができる。種々の実施形態において、刺激リードは、肺動脈内やその周辺で圧受容器を刺激するために、右心房を介して肺動脈に埋め込まれる。種々の実施形態は、求心神経を刺激するために刺激カフ又はリードを、心臓脂肪体を刺激するために電極固定器又はリードを、さらに本開示の他の部分で提供された他の圧受容器を刺激するためにリードを埋め込む。
【0095】
重度にロードされた領域の電気的事前興奮はこの領域のロードを減少させる。この事前興奮は、交感神経を活性化させ、全体的応力を増加させ、最終的に心臓の有害な再構築に至らせる心臓出力を著しく減少させる。このプロセスは、この反射の衝撃を減少させるために、神経刺激増加によって回避できる。従って、事前興奮中の副交感神経系の活性化は、電気的事前興奮によるアンロードの望ましくない副作用を予防する。
【0096】
当業者は、本明細書に示され、かつ記載されたモジュールや他の回路が、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせを使用して実装できることを理解するであろう。このようにして、用語モジュールは、ソフトウェアの実装、ハードウェアの実装、並びにソフトウェアとハードウェアの実装を包含することが意図される。
【0097】
本開示に示した方法は、本要旨の範囲内の他の方法を除くことが意図されない。当業者は、本開示を読み、かつ理解すると、本要旨の範囲内の他の方法を理解するであろう。上記実施形態、及び示した実施形態の部分は、必ずしも相互に排他的でない。これらの実施形態とその部分は組み合わせることができる。例えば、種々の実施形態が、2つ以上の示したプロセスを組み合わせる。2つ以上の感知されたパラメータは、所望の神経刺激(NS)又は抗項血圧(AHT)治療を行うために使用される複合パラメータに組み合わせられる。種々の実施形態において、以上で提供された方法は、プロセッサによって行われる時に、プロセッサにそれぞれの方法を実行させる、命令シーケンスを示す搬送波又は伝播信号において具体化されるコンピュータデータ信号として実装される。種々の実施形態において、以上に提供された方法は、プロセッサがそれぞれの方法を実行することを命令できるコンピュータアクセス可能な媒体に含まれる1組の命令として実装される。種々の実施形態において、媒体は、磁気媒体、電子媒体又は光学媒体である。
【0098】
特定の種々の実施形態が、本明細書に示され、かつ記載されたが、同じ目的を達成するために計算されるいかなる配置も、示した特定の実施形態の代わりに用い得ることが、当業者によって認められるであろう。本出願は、本要旨の適応例や変形例をカバーすることが意図される。上記の記述は、例示的であり、かつ限定的でないことが理解されるべきである。上記実施形態の組み合わせや、他の実施形態における上記実施形態の一部の組み合わせは、上記記述を精査すれば、当業者にとって明らかであろう。本要旨の範囲は、添付の請求項を、かかる請求項が権利を与えられる等価物の全範囲と共に参照して、判定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】末梢血管制御の神経機構を示す。
【図2A】心臓を示す。
【図2B】心臓を示す。
【図2C】心臓を示す。
【図3】頸動脈洞及び大動脈弓の領域における圧受容器及び求心神経を示す。
【図4】肺動脈内及び周辺の圧受容器を示す。
【図5】大動脈弓、動脈管索及び肺動脈幹内の圧受容器分野を示す。
【図6】圧反射が刺激される時の呼吸及び血圧間の公知の関係を示す。
【図7】6ヶ月の断続的頸動脈神経刺激の間の、高血圧イヌにおける頸動脈神経刺激に応答した血圧を示す。
【図8】本要旨の種々の実施形態による、埋め込み型医療装置(IMD)と、プログラマとを含むシステムを示す。
【図9】本要旨の種々の実施形態による、図8のシステムに示すような、埋め込み型医療装置(IMD)を示す。
【図10】本要旨の種々の実施形態による、統合圧力センサ(IPS)を有する圧受容器刺激リードを示す。
【図11】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)部と、心律動管理(CRM)部とを有する図8に示すような埋め込み型医療装置(IMD)を示す。
【図12】本要旨の種々の実施形態による、プログラマと、埋め込み型神経刺激(NS)装置と、埋め込み型心律動管理(CRM)装置とを含むシステムを示す。
【図13】本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムに示すような、埋め込み型神経刺激(NS)装置を示す。
【図14】本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムに示すような、埋め込み型心律動管理(CRM)装置を示す。
【図15】本要旨の種々の実施形態による、図8及び12のシステムに示すような、プログラマ、又は埋め込み型医療装置と通信する他の外部装置を示す。
【図16A】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図16B】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図16C】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図16D】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図17】本要旨の種々の実施形態による、圧反射刺激を調節するシステムを示す。
【図18A】本要旨の種々の実施形態による、心臓活動パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図18B】本要旨の種々の実施形態による、心臓活動パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図18C】本要旨の種々の実施形態による、心臓活動パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図19A】本要旨の種々の実施形態による、呼吸パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図19B】本要旨の種々の実施形態による、呼吸パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図20】本要旨の種々の実施形態による、有害事象の検出に基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図21A】サーカディアンリズムを示す。
【図21B】サーカディアンリズムを示す。
【図21C】サーカディアンリズムを示す。
【図21D】サーカディアンリズムを示す。
【図21E】サーカディアンリズムを示す。
【図22】本要旨の種々の実施形態による、サーカディアンリズムに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図23】本要旨の種々の実施形態による、心拍出量パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図24】本要旨の種々の実施形態による、再構築硬化を逆にする圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図25】本要旨の種々の実施形態による、心筋梗塞を検出し、かつ検出された心筋梗塞に応答して圧ペーシングを行うシステム及び方法を示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体として埋め込み型医療装置に、特に圧受容器刺激を使用して高血圧を減少させるためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内科的治療を施すために、心臓刺激器のような長期的に電気刺激器を埋め込むことは知られている。心臓刺激器の例には、ペースメーカのような埋め込み型心律動管理(CRM)装置、埋め込み型除細動器(ICD)、ペーシングや除細動機能を実行することが可能な埋め込み型装置を含む。
【0003】
CRM装置は、心律動の障害を治療するために、選択された心腔に電気刺激を提供する埋め込み型装置である。例えば埋め込み型ペースメーカは、調子を合わせたペーシングパルスによって心臓をぺーシングするCRM装置である。適切に機能するならば、ペースメーカは、最小心拍数を高めることによって代謝要求を満たすために、心臓自体が適切な律動でぺーシングできないことを補う。CRM装置によっては、収縮を調整するために心臓の異なる区域に送り出されるペーシングパルスを同期させる。調整された収縮は、十分な心拍出量を提供しながら、心臓が、効果的に汲み上げることを可能にする。
【0004】
心不全は、心機能が、末梢組織の代謝要求に応じるために適切なレベル未満に下がる正常以下の心拍出量を引き起こす臨床的シンドロームを指す。心不全は、付随的静脈や肺鬱血に起因する鬱血性心不全(CHF)として現れることがある。心不全は、虚血性心疾患のような種々の病因によっておきる。
【0005】
高血圧は、心疾患や他の関連した心臓共存症の原因である。血管が狭くなると、高血圧が起こる。結果として、心臓は、より高い血圧で流れを維持するために、忙しく働き、そのことが、心不全の一因となる。ペースメーカ又は除細動器を埋め込まれた多くの患者だけでなく一般的な人口の多くの者が高血圧に苦しんでいる。血圧及び高血圧を減少させられるなら、これらの者に対して、長期死亡率だけでなく生存の質を改善することができる。高血圧に苦しむ多くの患者は、生活様式の変更や、血圧降下剤に関連する治療のような、治療に対して好反応を示さない。
【0006】
圧受容領域又は分野は、血圧の変化のような圧力変化を感知することが可能である。圧受容領域は、本明細書において、圧受容器と呼ばれ、圧力変化の何らかのセンサを一般的に含む。例えば、圧受容器は求心神経を含み、さらに内部からの血圧増加の結果生じ、かつ血圧を減少させる傾向がある中央反射機構の受容器として機能し、壁の広がりに感受性がある感覚神経終末を含む。圧反射は、負のフィードバックシステムとして機能し、かつ圧受容器の刺激によって引き起こされる反射機構に関連する。圧力増加は、血管を広げ、血管は、次に血管内の圧受容器を活性化させる。圧受容器の活性化は、内圧と動脈壁の広がりを介して自然に起き、交感神経活性(SNA)の圧反射抑制と全身血圧の減少を引き起こす。圧受容器活性の増加はSNA減少を誘発し、SNA減少は末梢血管抵抗を低下させることにより、血圧を減少させる。
【0007】
圧受容器から導かれる求心神経幹を刺激する一般概念は知られている。例えば、直接電気刺激が、迷走神経と頸動脈洞に加えられる。調査により、頸動脈洞神経の電気刺激は、実験的高血圧の減少をもたらすこと、及び頸動脈洞自体の圧受容領域への直接電気刺激が、実験的高血圧の反射減少を引き起こすことが示された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生活様式の変更や血圧降下剤を伴う治療に他の方法では好ましい反応を示さない患者において、高血圧を治療するために、かつ場合により他の患者の薬物依存を減少させるために、電気システムが提案された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本要旨の種々の側面や実施態様は、圧反射治療を適用することと、圧反射治療の有効性を示す生理学的パラメータを感知することと、生理学的パラメータに基づき、圧反射治療を修正することとを含む方法を提供する。圧反射治療を適用することは、心臓の少なくとも一部に血管内供給されるリードを使用して、心臓内又は心臓の近くで圧受容領域を電気刺激することを含む。
【0010】
本要旨の種々の側面や実施態様は、交感神経活性を抑制するために、心臓の近傍の圧受容器領域に心臓の少なくとも一部を介して血管内供給されるリードを介して圧反射治療を施す手段と、圧反射治療の実施を制御するために使用する圧反射治療の有効性に関するフィードバックを提供する手段とを含む埋め込み型圧反射刺激器を提供する。種々の実施態様によれば、埋め込み型刺激器は、パルス発生器と、リードと、センサと、制御装置とを含む。パルス発生器は、圧反射治療の一環として圧反射刺激信号を発生させる。リードは、パルス発生器に電気接続され、かつ心臓に血管内供給するように構成される。リードは、心臓内又は心臓近傍で圧受容体領域に圧反射信号を送るために、心臓内又は心臓近傍に位置決めされる電極を含む。センサは、圧反射治療の有効性に関する生理学的パラメータを感知し、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を提供する。制御装置は、圧反射刺激信号を制御するためにパルス発生器に接続され、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を受信するためにセンサに接続される。
【0011】
この要約は、本出願の教示内容の幾つかの概要であり、本要旨の排他的又は包括的治療であることを、意図しない。本要旨に関する更なる詳細は、詳細な説明及び添付の請求項に見られる。他の側面は、各々が限定した意味で解釈されるべきでない、以下の詳細な説明を読み、かつ理解し、かつその一部を形成する図面を見れば、当業者には明らかになるであろう。本発明の範囲は、添付の請求項及びその等価物によって定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本要旨の以下の詳細な説明は、本要旨が実施される特定の側面や実施形態を例として示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本要旨を実施することを可能にするために、十分に詳細に記載される。他の実施形態が、利用でき、かつ構造的、論理的、電気的変更が、本要旨の範囲から逸脱することなく、なされる。本開示における「ある」、「1つの」又は「種々の」実施形態への参照は、必ずしも同じ実施形態に向けられず、かつかかる参照は、1つ以上の実施形態を意図している。従って、以下の詳細な記載は、限定的な意味で解釈されるべきでなく、かつ範囲は、添付の請求項と、かかる請求項が権利を与えられる法的等価物の全範囲によってのみ定義される。
【0013】
高血圧及び圧反射生理学
読者が本開示を理解することを支援するために、高血圧と圧受容器に関する生理学の簡潔な論考を提供する。この簡潔な論考は、高血圧、自律神経系、圧反射を紹介する。
【0014】
高血圧は、心疾患や他の関連した心臓共存症の原因である。高血圧は、一般的に、心臓血管損傷又は他の有害な結果を誘発しやすいレベルへの全身血圧の一過性又は持続的上昇のような高い血圧に関連する。高血圧は、約140mmHgを超える収縮期血圧、又は約90mmHgを超える弛緩期血圧と専断的に定義された。血管が狭くなると高血圧が起こる。結果として、心臓は、流れをより高い血圧で維持するために、忙しく働く。制御されない高血圧の結果には、網膜血管疾患と発作、左心室肥大と不全、心筋梗塞、解離性動脈瘤、腎血管疾患を含むが、それらに限定されない。
【0015】
自律神経系(ANS)は、「不随意」器官を調節し、他方で随意(骨格)筋の収縮は、体性運動神経によって制御される。不随意器官の例には、呼吸や消化器を含み、かつ血管や心臓も含む。しばしば、ANSは、腺を調節し、皮膚、眼、胃、腸、膀胱の筋肉を調節し、かつ例えば心筋や血管の周辺の筋肉を調節するために、不随意、反射的に機能する。
【0016】
ANSには、交感神経系と副交感神経系を含むが、それらに限定されない。交感神経系は、ストレスや緊急事態への「闘争又は逃走応答」に密接に関係付けられる。幾つかの効果の中でも、「闘争又は逃走応答」は、骨格筋血流を増加させるために血圧と心拍数を増加させ、かつ「闘争又は逃走」のためのエネルギーを提供するために消化を減少させる。副交感神経系は、緩和と「休息及び消化応答」に密接に関係付けられ、それは、幾つかの効果の中でも、血圧と心拍数を減少させ、かつエネルギーを保存するために消化を増加させる。ANSは、正常な内部機能を維持し、かつ体性神経系と連携する。
【0017】
本開示の要旨は、一般的に、血管拡張と血管狭窄を含む、ANSが心拍数や血圧に対して有する効果に言及する。心拍数と力は、交感神経系が刺激される時に増加し、かつ交感神経系が抑制される(副交感神経系が刺激される)時に減少する。図1A、1Bは、末梢血管制御の神経機構を示す。図1Aは、一般的に血管運動中枢への求心神経を示す。求心神経は、神経中枢に向かってインパルスを伝達する。血管運動中枢は、血管の寸法を制御するために、血管を膨張させ、かつ収縮させる神経に関係する。図1Bは、一般的に血管運動中枢からの遠心神経を示す。遠心神経は、神経中枢を避けてインパルスを伝達する。
【0018】
交感神経と副交感神経系を刺激することは、心拍数と血圧以外の効果を有する。例えば、交感神経系を刺激することは、瞳孔を拡張させ、唾液と粘液生成を減少させ、気管支筋を弛緩させ、胃の不随意収縮(蠕動)の連続波と胃の運動性を減少させ、肝臓によるグリコーゲンのブドウ糖への変換を増加させ、腎臓による尿分泌を減少させ、壁を弛緩させ、かつ膀胱の括約筋を閉鎖する。副交感神経系を刺激すること(交感神経系を抑制すること)は、瞳孔を収縮し、唾液と粘液生成を増加させ、気管支筋を収縮し、胃や大腸内の分泌と運動性を増加させ、かつ小腸内の消化を増加させ、尿分泌を増加させ、かつ壁を収縮し、かつ膀胱の括約筋を弛緩させる。交感神経と副交感神経系に関連する機能は多く、かつ互いに複雑に統合されている。従って、1つの生理学系において血管拡張のような、所望の応答を達成するために、交感神経系及び/又は副交感神経系の無差別の刺激は、他の生理学系における望ましくない応答も、もたらす。
【0019】
圧反射は、圧受容器の刺激によって引き起こされる反射である。圧受容器は、内部からの圧力増加の結果生じ、かつその圧力を減少させる傾向がある中央反射機構の受容器の役割を果たす、壁の引き延ばしに感受性がある心耳、心臓脂肪体、大静脈、大動脈弓、頸動脈洞の壁内の感覚神経終末のような、圧力変化のいかなるセンサも含む。その上、圧受容器は、感覚神経終末から通じる迷走、大動脈、頸動脈神経のような求心神経幹を含む。圧受容器を刺激することは、交感神経活性を抑制し(副交感神経系を刺激し)、かつ末梢血管耐性と心臓収縮性を減少させることによって、全身血圧を減少させる。圧受容器は、内圧によって及び動脈壁の引き延ばしによって自然に刺激される。
【0020】
本要旨の幾つかの側面は、神経系の無差別的な刺激の望ましくない効果を減少させるとともに、所望の応答(例えば、高血圧減少)を刺激する目的で求心神経幹を刺激するよりもむしろ、動脈壁内の特定の神経終末を局部的に刺激する。例えば、実施形態によっては、肺動脈内の圧受容器部位を刺激する。本要旨の実施形態によっては、圧受容器部位又は大動脈内の神経終末、心腔、心臓の脂肪体の刺激を伴い、かつ本要旨の実施形態によっては、迷走、頸動脈、大動脈神経のような求心神経幹を刺激することを伴う。実施形態によっては、カフ電極を使用して求心神経幹を刺激し、かつ実施形態によっては、求心神経幹を刺激するために、電気刺激が、血管壁を通過するように、神経近傍の血管内に位置決めされる血管内リードを使用して、求心神経幹を刺激する。
【0021】
図2A−2Cは心臓を示す。図2Aに示すように、心臓201は、上大静脈202、大動脈弓203、肺動脈204を含み、かつ図3−5の説明との文脈上の関係を与えるために有用である。以下でより詳細に論じるように、肺動脈204は圧受容器を含む。リードは、心臓ペースメーカリードと同じように、末梢静脈を通り、かつ三尖弁を通り、心臓の右心室(図中に明示せず)に血管内挿入され、かつ右心室から肺動脈弁を通り肺動脈に延びる。肺動脈の一部と大動脈は互いに近接している。種々の実施形態は、肺動脈内に位置決めされたリードを使用して大動脈内の圧受容器を刺激する。従って、本要旨の種々の側面によれば、圧反射は、肺動脈に血管内挿入された少なくとも1つの電極によって、肺動脈内又はその周辺で刺激される。あるいは、感圧能力を有する又は有さない無線刺激装置が、肺動脈にカテーテルを介して位置決めされる。刺激及び/又は刺激のためのエネルギーの制御は、超音波、電磁又はその組み合わせを介してもう1つの埋め込み型又は外部装置によって供給される。本要旨の側面は、肺動脈に圧受容器刺激器を血管内で埋め込むために、比較的非侵襲性外科技術を提供する。
【0022】
図2B−2Cは、それぞれ心臓の右側と左側を示し、かつ圧受容器部位として機能する神経終末を有する心臓脂肪体を更に示す。図2Bは、右心房267、右心室268、洞房結節269、上大静脈202、下大静脈270、大動脈271、右肺静脈272、右肺動脈273を示す。図2Bは、上大静脈と大動脈間の心臓脂肪体274も示す。心臓脂肪体274内の圧受容器神経終末は、幾つかの実施形態において、脂肪体に固定された電極を使用して、刺激され、かつ幾つかの実施形態において、例えば右肺動脈又は上大静脈のような血管内で脂肪体の近傍に位置決めされた血管内供給されるリードを使用して、刺激される。図2Cは、左心房275、左心室276、右心房267、右心室268、上大静脈202、下大静脈270、大動脈271、右肺静脈272、左肺静脈277、右肺動脈273、冠状静脈洞278を示す。図2Cは、右心臓静脈の近傍に位置する心臓脂肪体279、及び下大静脈と左心房の近傍に位置する心臓脂肪体280も示す。脂肪体279内の圧受容器神経終末は、幾つかの実施形態において、脂肪体279に固定された電極を使用して刺激され、かつ幾つかの実施形態において、例えば右肺動脈273又は右肺静脈272のような血管内で脂肪体の近傍に位置決めされた血管内供給されるリードを使用して、刺激される。280内の圧受容器は、幾つかの実施形態において、脂肪体に固定された電極を使用して刺激され、かつ幾つかの実施形態において、例えば下大静脈270又は冠状静脈洞のような血管内で脂肪体の近傍に位置決めされた血管内供給されるリード、又は左心房275内のリードを使用して、刺激される。
【0023】
図3は、頸動脈洞305、大動脈弓303、肺動脈304の区域内の圧受容器を示す。大動脈弓303と肺動脈304は、図2Aの心臓に関して以前に説明した。図3に示すように、迷走神経306は、延長し、かつ大動脈弓303内、頸動脈洞305内、総頸動脈310内で圧受容器として機能する感覚神経終末307を提供する。舌咽神経308は、頸動脈洞305内で圧受容器として機能する神経終末309を提供する。例えば神経終末307や309は、内部からの圧力増加の結果生じる壁の引き延ばしに感受性がある。これらの神経終末の活性化は圧力を減少させる。図中には示さないが、脂肪体と心臓の心房や心室も圧受容器を含む。カフは、圧反射を刺激するために、圧受容器から血管運動中枢に通じる迷走神経のような、求心神経幹の周辺に置かれる。本要旨の種々の実施形態によれば、求心神経幹は、求心神経の近傍の血管内に位置決めされたカフ又は血管内供給されるリードを使用して刺激される。
【0024】
図4は、肺動脈404内とその周辺の圧受容器を示す。上大静脈402と大動脈弓403が同様に示されている。示されるように、肺動脈404は、暗い区域によって一般的に示すように、多数の圧受容器411を含む。更に、狭い間隔で置かれた圧受容器群が、動脈管索のアタッチメント412の近くに位置する。図4は、心臓の右心室413と、右心室413を肺動脈404から分離する肺動脈弁414も示す。本要旨の種々の実施形態によれば、リードは、肺動脈内及び/又はその周辺の圧受容器を刺激するために、末梢静脈を通して挿入され、三尖弁を介して右心室に通され、かつ右心室413から肺動脈弁414を介して肺動脈404に通される。種々の実施形態において、例えばリードは、動脈管索412近くの圧受容器群を刺激するために位置決めされる。図5は、肺動脈幹504と動脈管索近くの大動脈弓503内の圧受容器分野512を示す。幾つかの実施形態は、図2B−2Cに示すように、大動脈及び/又は脂肪体内の圧受容器部位を刺激するために、肺動脈内にリードを位置決めする。
【0025】
図6は、左大動脈神経が刺激された時の呼吸615と血圧616間の公知の関係を示す。神経が617で刺激されると、血圧616は降下し、かつ呼吸615は、呼吸波形のより高い周波数と振幅によって示されるように、速くかつ深くなる。呼吸と血圧は、刺激が除去された後、約1から2分で刺激前の状態に戻るように見える。本要旨の種々の実施形態は、呼吸を血圧の代理パラメータとして使用することによって、この呼吸と血圧間の関係を使用する。
【0026】
図7は、6ヶ月の断続的頸動脈神経刺激の間の、高血圧イヌにおける頸動脈神経刺激への公知の血圧応答を示す。図は、刺激されたイヌ718の血圧が、同じく高血圧を有する対照イヌ719の血圧よりも著しく低いことを示している。従って、断続的刺激は、高血圧を減少させる圧反射を引き起こすことが可能である。
【0027】
圧反射刺激器システム
本要旨の種々の実施形態は、圧反射刺激器システムに関する。かかる圧反射刺激システムは、本明細書において、神経刺激(NS)装置又はNS部とも呼ばれる。神経刺激器の例には、高血圧を治療するために使用される抗高血圧(AHT)装置、又はAHT部を含む。本要旨の種々の実施形態は、独立型埋め込み型圧反射刺激器システムを含み、NS及び心律動管理(CRM)部を統合した埋め込み型装置を含み、かつ無線で、又は埋め込み型装置を接続するリード線を介して互いに通信することが可能な、少なくとも1つの埋め込み型NS装置と埋め込み型CRM装置を有するシステムを含む。同じ又は別個の装置内で行われるNS機能とCRM機能を統合することは、NS治療と心臓治療が、知的に協働させることにより、これらの治療の側面を改善する。
【0028】
図8は、本要旨の種々の実施形態による、埋め込み型医療装置(IMD)821と、プログラマ822とを含むシステム820を示す。IMD821の種々の実施形態は、神経刺激器機能のみを含み、かつ種々の実施形態はNS機能とCRM機能の組み合わせを含む。神経刺激器の幾つかの実施形態はAHT機能を提供する。プログラマ822とIMD821は、データと命令を無線で通信することが可能である。種々の実施形態において、例えば、プログラマ822とIMD821は、データと命令を無線で通信するために、遠隔測定コイルを使用する。従って、プログラマは、IMD821によって提供された、プログラムされた治療を調整するために使用され、かつIMDは、例えば無線遠隔測定を使用して、(電池及びリード抵抗のような)装置データと(感知及び刺激データのような)治療データをプログラマに報告する。種々の実施形態によれば、IMD821は、AHT治療のようなNS治療を提供するために、圧受容器を刺激する。IMD821の種々の実施形態は、心臓ペースメーカリードと同じような、右心室を介して供給され、かつ肺動脈に更に供給されるリードを使用して、肺動脈内で圧受容器を刺激する。種々の実施形態によれば、IMD821は、ANS活性を感知するセンサを含む。かかるセンサは、閉ループ制御システム内でフィードバックを行うために使用できる。例えば、種々の実施形態は、ANS活性を示す呼吸と血圧のような、代理パラメータを感知する。種々の実施形態によれば、IMDは、圧受容器を刺激する、及び/又はANS活性を感知する能力に加えて、ペーシング及び除細動能力のような、心臓刺激能力を更に含む。
【0029】
図9は、本要旨の種々の実施形態による、図8のシステム820に示すIMD821のような埋め込み型医療装置(IMD)921を示す。示したIMD921はNS機能を行う。示したIMD921の幾つかの実施形態は、AHT機能を行い、かつ従って埋め込み型AHT装置を説明する。示した装置921は、制御回路923とメモリ924を含む。制御回路923は、ハードウェア、ソフトウェア、及びハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装することが可能である。例えば、種々の実施形態によれば、制御回路923は、AHT治療のようなNS治療に関連した機能を行うメモリ924内に記録された命令を実行するプロセッサを含む。例えば、示した装置921は、プログラマか、他の外部又は内部装置と通信するために使用するトランシーバ925とそれに関連した回路とを更に含む。種々の実施形態は無線通信能力を有する。例えば、幾つかのトランシーバ実施形態は、プログラマか、他の外部又は内部装置と無線通信するために、遠隔測定コイルを使用する。
【0030】
示した装置921は、圧受容器刺激回路926を更に含む。装置921の種々の実施形態はセンサ回路927も含む。1つ以上のリードが、センサ回路927と圧受容器刺激回路926とに接続される。圧受容器刺激回路926は、1つ以上の刺激電極を介して、肺動脈内の圧受容器部位のような所望の圧受容器に電気刺激パルスを適用するために使用される。センサ回路927は、ANS神経活性、及び/又はANS活性を判定するための血圧、呼吸等のような、代理パラメータを検出し、処理するために使用される。
【0031】
種々の実施形態によれば、刺激回路926は、次のパルス特性:刺激パルスの振幅928、刺激パルスの周波数929、パルスのバースト周波数930又はデューティサイクル、パルスの波形態931のいずれか1つ、又は2つ以上の組み合わせを設定するモジュールを含む。波形態の例は、方形波、三角波、正弦波だけでなく自然発生的な圧反射刺激を示すような、白色雑音を模倣するための所望の調和成分を有する波を含む。
【0032】
図10A−10Cは、本要旨の種々の実施形態による統合圧力センサ(IPS)を有する圧受容器刺激リードを示す。正確な縮尺で書かれていないが、これらの示したリード1032A、1032B、1032Cは、血圧の変化、及びそれ故に圧受容器刺激の効果を観察するための圧受容器刺激電極1034を有するIPS1033を含む。これらのリードの例示は、本要旨の他の側面や実施形態を限定するとして読まれるべきでない。種々の実施形態において、例えば、マイクロ電気機構システム(MEMS)技術が、血圧を感知するために使用される。幾つかのセンサの実施形態は膜の変位に基づいて血圧を判定する。
【0033】
図10A−10Cは、リード上のIPSを示す。幾つかの実施形態は、IMD又はNS装置内にIPSを埋め込む。刺激器とセンサ機能が、別個のリード又は位置に置かれていても、刺激器とセンサ機能は統合できる。
【0034】
図10Aに示すリード1032Aは、遠位に位置付けられた圧受容器刺激電極1034とIPS1033を含む。このリードは、例えば、心房と心室腔内の、及び/又は心臓脂肪体内の肺動脈、大動脈弓、動脈管索、冠状動脈洞内の圧受容器部位のような、圧受容器部位を刺激するために、血管内導入することが可能である。
【0035】
図10Bに示すリード1032Bは、チップ電極1035、第1リング電極1036、第2リング電極1034、IPS1033を含む。このリードは、心腔内又は近傍に血管内挿入でき、かつ電極1035、1036、1034の少なくとも幾つかが、心臓をぺーシングするか、あるいは他の方法で刺激するために使用でき、かつ電極の少なくとも幾つかが、少なくとも1つの圧受容器部位を刺激できるように、圧受容器部位の近傍に更に位置付けられる。IPS1033は、血圧を感知するために使用される。種々の実施形態において、IPSは、刺激のために選択された圧受容器部位の近傍の血管内の血圧を感知するために使用される。
【0036】
図10Cに示すリード1032Cは、遠位に位置付けられた圧受容器刺激電極1034、IPS1033、リング電極1036を含む。このリード1032Cは、例えば、右心房と心室に、かつ次に肺動脈弁を通り、肺動脈に血管内挿入される。装置内のプログラミング次第で、電極1036は、右心室内で起こり得るような、心臓活性を調整及び/又は感知するために使用でき、かつ電極1034とIPS1033は、圧反射活性を、代理パラメータを介して直接又は間接的に刺激し、感知するために、肺動脈内又はその近くの圧受容器の近くに位置する。
【0037】
従って、本要旨の種々の実施形態は、IPSを使用して圧受容器刺激を自動的に調節する埋め込み型NS装置を提供する。圧力センサをリードに統合することは、刺激に関して局在化フィードバックを提供する。この局在化感知は、フィードバック制御を改善する。例えば、統合センサは、標的が、連続して外されないように、圧反射の慣性を補償するために使用できる。種々の実施形態によれば、装置は、平均動脈圧、収縮期圧、弛緩期圧等のような圧力パラメータを観察する。平均動脈圧が、増加するか、又はプログラム可能な標的圧力より大きいままでいる時に、例えば、装置は、血圧を減少させ、かつ高血圧を制御するために、増加した速度で圧受容器を刺激する。平均動脈圧が、標的圧力に向けて減少する時に、装置は、圧受容器刺激を減少させることによって応答する。種々の実施形態において、アルゴリズムは、現在の代謝状態(心臓要求)を考慮し、かつそれに応じて神経刺激を調整する。IPSを有するNS装置は、埋め込み型NS装置が患者の高血圧レベルを判定すること、及び治療の適切なレベルを送ることによって応答する圧受容器刺激を自動的に調節することが可能である。しかしながら、NS又は神経刺激装置内に存在しないセンサを含む他のセンサが、閉ループフィードバック制御を提供するために、使用できることに注意されたい。
【0038】
図11は、本要旨の種々の実施形態による、抗高血圧(AHT)部1137と、心律動管理(CRM)部1138とを有する図8で821に示すような、埋め込み型医療装置(IMD)1121を示す。示した装置1121は制御装置1123とメモリ1124とを含む。種々の実施形態によれば、制御装置1123は、圧受容器刺激とCRM機能を行うために、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。例えば、本開示において論じられるプログラムされた治療応用は、メモリ内に具体化され、かつプロセッサによって実行されるコンピュータ読み取り可能な命令として記憶されることが可能である。種々の実施形態によれば、制御装置1123は、圧受容器刺激とCRM機能を行うために、メモリ内に記録された命令を実行するプロセッサを含む。示した装置1121は、プログラマか、他の外部又は内部装置と通信するために使用するためのトランシーバ1125とそれに関連した回路とを更に含む。種々の実施形態は遠隔測定コイルを含む。
【0039】
CRM治療部1138は、1つ以上の電極を使用して、心臓を刺激し、及び/又は心臓信号を感知するための部材、すなわち制御装置の管理に基づいた部材を含む。CRM治療部は、心臓を刺激するために電極を介して電気信号を提供するために使用されるパルス発生器1139を含み、かつ感知された心臓信号を検出し、処理するための感知回路1140を更に含む。インタフェース1141は、一般的に制御装置1123がパルス発生器1139と感知回路1140との間で通信するために使用される。3つの電極は、CRM治療を提供するための使用の例として示される。しかしながら本要旨は、特定の数の電極部位に限定されない。各電極は、その固有のパルス発生器と感知回路とを含むことができる。しかしながら、本要旨は、そのように限定されない。パルス発生と感知機能は、複数の電極により機能するために多重化できる。
【0040】
NS治療部1137は、圧受容器を刺激し、及び/又は神経活性に関連したANSパラメータ又は血圧や呼吸のようなANSパラメータの代理を感知するために、制御装置の管理に基づいた部材を含む。ANS治療を提供するために使用する3つのインタフェース1142が示されている。しかしながら、本要旨は、特定の数のインタフェース、又は何らかの特定の刺激や感知機能に限定されない。パルス発生器1143は、圧受容器部位を刺激するために使用する電極に電気パルスを供給するために使用される。種々の実施形態によれば、パルス発生器は、方形波、三角波、正弦波、白色雑音又は他の信号を模倣するための所望の調和成分を有する波のような、刺激パルスの振幅、刺激パルスの周波数、パルスのバースト周波数、パルスの形態を設定し、かつ実施形態によっては変更する回路を含む。感知回路1144は、神経活性、血圧、呼吸等のセンサのような、センサからの信号を検出し、処理するために使用される。制御装置1123がパルス発生器1143と感知回路1144の間の通信のために使用される一般的なインタフェース1142が示されている。各インタフェースは、例えば別個のリードを制御するために使用できる。NS治療部の種々の実施形態は、圧受容器を刺激するためのパルス発生器のみを含む。例えば、NS治療部はAHT治療を実施する。
【0041】
本要旨の側面は、圧受容器反射を活性化し、かつ血管運動中枢からの交感神経放出を抑制するために、血圧を観察し、かつ圧受容器を刺激することによって高血圧を治療するために特別に設計された、長期的に埋め込まれた刺激システムに関する。圧受容器は、頚動脈洞や大動脈弓のような種々の解剖学的位置にある。他の圧受容器の位置には、動脈管索を含む肺動脈と、心房や心室腔内の部位とを含む。種々の実施形態において、システムは、ペースメーカ/除細動器、又は他の電気刺激システムに統合される。システムの部材には、高周波パルス発生器と、血圧又は他の適切な生理学的パラメータを観察するセンサと、電気刺激を圧受容器に適用するリードと、刺激を投与する適切な時間を判定するアルゴリズムと、表示と患者管理のためのデータを操作するアルゴリズムとを含む。
【0042】
種々の実施形態は患者にAHT治療のような電気媒介NS治療を施すシステムに関する。種々の実施形態は、「独立型」パルス発生器を、肺動脈のような心臓近傍の圧受容器を直接刺激する、侵襲が最小の単極リードと組み合わせる。本実施形態は、専門家の技能に欠ける一般的な医者が埋め込むことができるようになっている。種々の実施形態は、血圧を示すパラメータを感知できる簡易な埋め込みシステムを組み込んでいる。このシステムは、所望の生活の質を維持するように、治療的出力(波形振幅、周波数等)を調整できる。種々の実施形態において、埋め込みシステムはパルス発生装置とリードシステムとを含み、その刺激電極は、経静脈インプラント技術を使用して、心内膜圧受容器組織の近くに位置決めされる。もう1つの実施形態は、NS治療を、伝統的な徐脈型不整脈、頻脈型不整脈、及び/又は鬱血性心不全(CHF)治療と組み合わせるシステムを含む。幾つかの実施形態は、装置のヘッダから出て、修正された伝統的なパルス発生システムからペーシングされる追加の「圧受容器リード」を使用する。1つの実施形態において、伝統的CRMリードが、圧受容器部位の近くに自然に位置決めされる近位電極を組み込むように修正される。これらのリードによって、遠位電極はCRM治療を提供し、かつ近位電極は圧受容器を刺激する。
【0043】
これらの実施形態によるシステムは、一部成功した治療戦略を増加させるために使用できる。例として、望ましくない副作用によって幾つかの薬剤の使用が制限される。これらの実施形態によるシステムを減少させた薬物容量と組み合わせることは、得に有益である。
【0044】
種々の実施形態において、リードとリード上の電極は、電極が適切にパルスを伝達でき、かつ心臓からの信号を感知できるように心臓に対して、かつ圧反射を刺激するために圧受容器に対して物理的に配置される。多数のリードがあり、リード当り多数の電極があるので、形状は、特殊な1つ以上の電極を使用するためにプログラムされる。種々の実施形態によれば、圧反射は、求心神経幹を刺激することによって刺激される。
【0045】
図12は、本要旨の種々の実施形態によるプログラマ1222と、埋め込み型神経刺激(NS)装置1237と、埋め込み型心律動管理(CRM)装置1238とを含むシステム1220を示す。種々の側面は、AHT装置のようなNS装置1237とCRM装置1238の間又はそれと他の心臓刺激器の間で通信する方法を含む。種々の実施形態において、この通信は、装置1237又は1238の一方が、他方の装置から受信したデータに基づき、より適切な治療(すなわち、より適切なNS治療又はCRM治療)を行うことを可能にする。幾つかの実施形態はオンデマンド通信を提供する。種々の実施形態において、この通信は、装置1237、1238の各々が、他方の装置から受信したデータに基づき、より適切な治療(すなわち、より適切なNS治療又はCRM治療)を施すことを可能にする。示したNS装置1237とCRM装置1238は、互いに無線通信することが可能であり、かつプログラマは、NS装置とCRM装置1237、1238の少なくとも一方と無線通信することが可能である。例えば、種々の実施形態は、互いにデータと命令を無線通信するために、遠隔測定コイルを使用する。他の実施形態において、データ及び/又はエネルギーの通信は超音波手段による。
【0046】
幾つかの実施形態において、NS装置1237は、NS治療を行うために、圧反射を刺激し、かつANS活性を示す呼吸や血圧のような代理パラメータを使用して、又は直接的にANS活性を感知する。CRM装置1238は、ペーシングや除細動能力のような心臓刺激能力を含む。NS装置とCRM装置1237、1238の間に無線通信を提供するよりも、種々の実施形態は、NS装置1237とCRM装置1238の間で通信するために使用する静脈内に供給される通信ケーブル又はワイヤを提供する。
【0047】
図13は、本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムにおいて1237で示したような、埋め込み型神経刺激(NS)装置1337を示す。図14は、本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムにおいて1238で示したような埋め込み型心律動管理(CRM)装置1438を示す。NS装置1337の部材の機能は、図9、11(NS部1137)に関して以前論じられ、かつCRM装置1238の部材の機能は、図11(CRM部1138)に関して以前論じられた。簡略にするため、NSやCRMに関するこれらの論議はここで繰り返さない。NS装置やCRM装置の種々の実施形態は、互いに無線通信するために、それぞれ無線トランシーバ1325、1425を含む。NS装置やCRM装置の種々の実施形態は、互いに無線通信するために、遠隔測定コイル又は超音波振動子を含む。
【0048】
種々の実施形態によれば、例えば、NS装置は、それとCRM装置との間でデータを交換することを可能にし、NS装置が、心拍数、毎分換気量、心房活性化、心室活性化、心臓事象のような電気生理学的パラメータに基づき治療を修正することを可能にする遠隔測定コイルを備える。その上、CRM装置は、平均動脈圧、収縮期圧、弛緩期圧、圧受容器刺激速度のようなNS装置から受信したデータに基づいて治療を修正する。
【0049】
幾つかのNS装置の実施形態は、既存のCRM装置によって獲得される生理学的データを受信することによってNS装置の機能を高めることができるように、既存のCRMと共に患者に埋め込むことが可能であ。2つ以上の埋め込まれた装置の機能性は、埋め込まれた装置間の、又はそれらの中での通信能力を提供することによって高められる。種々の実施形態において、装置を互いに無線通信するように設計することによって、機能性をより高くすることができる。
【0050】
図15は、本要旨の種々の実施形態による、図8、12のシステムにおいて示されるプログラマ822、1222のような、プログラマ1522、又は埋め込み型医療装置1237及び/又は1238と通信するための他の外部装置を示す。もう1つの外部装置の例には、個人情報端末(PDA)、又は高度患者管理(APM)システムにおける個人ラップトップやデスクトップのコンピュータを含む。示した装置1522は、制御回路1545とメモリ1546とを含む。制御回路1545は、ハードウェア、ソフトウェア、さらにはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装することができる。例えば、種々の実施形態によれば、制御回路1545は、埋め込み型装置への通信データ及び/又はプログラミング命令を含む多数の機能を実行するために、メモリ1546に記録された命令を実行するために、プロセッサを含む。示した装置1522は、トランシーバ1547や、埋め込み型装置と通信するために使用する関連した回路を更に含む。種々の実施形態は、無線通信能力を有する。例えば、トランシーバ1547と関連した回路の種々の実施形態は、埋め込み型装置と無線通信するために使用する遠隔測定コイルを含む。示した装置1522は、ディスプレイ1548やキーボード又はマウス/ポインタのような入力/出力装置1549を含み、通信ネットワーク上のような他の装置との通信に使用する通信インタフェース1550を更に含む。
【0051】
プログラムされた治療の適用
システムのNS機能及び/又はCRM機能は、それらが2つの別個にかつ分離された埋め込み型装置として実装されても、1つの埋め込み型装置の部材として統合されようと、NS治療及び/又はCRM治療、又は治療の一部を実行するためにプロセッサを含む。幾つかの実施形態において、NS治療はAHT治療を提供する。これらのプロセスは、例えばメモリに記録されたコンピュータ読み取り可能な命令を実行するプロセッサによって行うことができる。これらの治療は、種々のプロセスと機能を有し、幾つかが下記で識別され、かつ論じられる多数の用途を含む。本要旨の幾つかの実施形態が、2つ以上の下記のプロセスと機能の組み合わせを含むので、これらの治療のプロセス及び機能は、必ずしも相互に排他的でない。
【0052】
正確に信号を感知するための神経刺激の説明
図16A−16Dは、本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激と心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するためのシステム及び方法を示す。神経刺激は、信号を感知する能力を改善し、かつそれ故に心臓事象の検出に関連する偽陽性を減少又は除去する。NS装置は、幾つかの実施形態においてAHT装置を含む。例えば、幾つかの実施形態によれば、NS装置は、CRM装置が圧反射刺激に意図しない反応をしないように、圧反射刺激と通信し、かつ回避又はその他の方法で補償する。幾つかの実施形態は、圧反射刺激を、心臓内の適切な屈折と自動的に同期化する。例えば、幾つかのシステムは、肺動脈内又は周辺の圧受容器の刺激を心房活性化と自動的に同期させる。従って、CRM装置の機能は、圧反射刺激が、心臓電気活性を検出するCRMセンサや心臓の近くで発生した時でさえも、圧反射刺激によって発生した遠方界ノイズを検出することによって悪影響を及ぼされない。
【0053】
図16Aは、(NS装置又は統合されたNS装置/CRM装置内のNS部によって実行されるような)NS機能1651と、(CRM装置又は統合されたNS装置/CRM装置内のCRM部によって実行されるような)CRM機能1652と、NS機能とCRM機能の間で通信する能力1653とを含むシステム1654を一般的に示す。示した通信は、二方向無線通信である。しかしながら、本要旨は、一方向通信を検討し、かつ有線通信も更に検討する。その上、本要旨は、NS機能とCRM機能1651、1652が、単一の埋め込み型装置に統合され、装置内で、又は別個の埋め込み型装置内で通信信号を送信し、受信する。神経刺激の一環としての圧反射刺激が特に論じられたが、本要旨のこの側面は、センサによって検出可能であり、かつ他の電気刺激器から発生する意図しない干渉を回避し、又は説明し、又は他の方法で補償するために、適用可能である。
【0054】
図16Bは、種々の実施形態による、CRM機能が意図しない圧反射刺激に反応しないプロセスを示す。図16Bは、圧受容器が電気刺激される時に、NS装置又はNS部1651が警告を送信するか、又はその他の方法でCRM装置又はCRM部に知らせるプロセスを示す。示した実施形態において、NS装置/NS部は、圧反射刺激のような電気刺激が加えられるべきか否かを1655で判定する。電気刺激が加えられるべき時、NS装置又はNS部1651は、1656で警告1657を送信するか、又はその他の方法で電気刺激のCRM装置又はCRM部1652に知らせる。1658で、電気刺激はNS装置/NS部によって加えられる。1659で、感知を含むCRM治療が行われる。1660で、CRM装置/CRM部は、警告1657がNS装置/NS部から受信されたか否かを判定する。警告が受信されたならば、事象検出アルゴリズムは、検出閾値を高め、ブラックアウト又はブランキングウインドウを提供し、又はさもなければ、NS装置又はNS部内の電気刺激が、CRM装置/CRM部による事象として誤解されることを防ぐために1661で修正される。
【0055】
図16Cは、種々の実施形態による、CRM機能が意図せずに圧反射刺激と反応しないプロセスを含む。CRM装置/CRM部1652は、1662で心臓の不応期を判定する。1663で、不応期が起きているか、又は予測できる時間内に起きることが見込まれるならば不応期に対応するイネーブル1664が、NS装置/NS部1651に提供される。AHT装置/AHT部1651は、電気刺激が1655で望ましいか判定する。望ましい時、AHT装置/AHT部は、イネーブル信号1664によって制御されるように、1666で不応期中に電気刺激を適用する。図16Dは、心臓内の1667での不応期と、圧反射刺激1668とを示し、かつ圧反射刺激が不応期中に適用されることを更に示す。
【0056】
不応期は、絶対的不応期と相対的不応期の両方を含む。心臓組織は、絶対的不応期中に刺激されることが不可能である。絶対的不応期中の必要な刺激閾値は基本的に無限である。相対的不応期は絶対的不応期の後に起きる。相対的不応期中に心臓組織が再分極し始めると、刺激閾値は当初非常に高く、かつ相対的不応期終了時までに通常の刺激閾値に降下する。従って、種々の実施形態によれば、神経刺激器は、神経刺激が心臓組織を捕捉することを妨げるために十分に高い刺激閾値に対応する絶対不応期中か、又は相対的不応期の一部中に神経刺激を適用する。
【0057】
本要旨の種々の実施形態は、心房活性化を感知し、かつ肺動脈刺激を心房不応期に限定し、近隣の心房組織の無意図的な刺激を回避する方法に関する。埋め込み型圧受容器刺激装置は、心房感知リードによって心房活性化を観察する。肺動脈内のリードは、血管壁内で圧受容器を刺激する。しかしながら、これらの圧受容器を連続的に刺激する代わりに、肺動脈内の圧受容器の刺激が、固有の心房速度と活性化を維持し、近隣の心房心筋を捕捉することを避けるために、心房不応期中に起きる。本要旨の種々の実施形態は、肺動脈壁内の圧受容器を刺激する埋め込み型装置を心房感知能力と組み合わせる。種々の実施形態は、心臓脂肪体内、心腔、及び/又は求心神経内の圧受容器を刺激する。
【0058】
図17は、本要旨の種々の実施形態による、圧反射刺激を調節するシステムを示す。示したシステムは、肺動脈内や周辺で圧受容器を刺激する刺激器のような圧反射刺激器1751を含む。圧反射刺激器は、独立型NS装置内に、又は例えば統合NS装置/CRM装置内のNS部として含まれる。示した刺激器1751は、適用される圧反射刺激を選択的に増加又は減少させるモジュレータ1769を含む。種々の実施形態によれば、モジュレータ1769は、次のモジュールのいずれか1つを含む。刺激パルスの振幅を変更するモジュール1770。刺激パルスの周波数を変更するモジュール1771。刺激パルスのバースト周波数を変更するモジュール1772。バースト周波数はデューティサイクルとも呼ばれる。種々の実施形態によれば、モジュレータ1769は、2つ以上のモジュール1770、1771、1772の種々の組み合わせのための機能を含む。その上、刺激器は、制御信号に応答して様々な波形を提供することが可能な波形発生器を含むことができる。
【0059】
システムの種々の実施形態は、所望のレベルの圧反射刺激を適切に適用するために刺激器1759のモジュレータ1769を制御することが可能な、心臓活性モニタ1773、有害事象検出器1774、呼吸モニタ1775、サーカディアンリズムテンプレート1776のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。これら1773、1774、1775、1776の各々は、圧反射信号を調節する方法に関連する。種々の実施形態によれば、システムは、次のパラメータ又はパラメータの組み合わせに基づき、圧反射信号を調節する手段を含む。心臓活性(1773)。有害事象(1774)。呼吸(1775)。サーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)と有害事象(1774)。心臓活性(1773)と呼吸(1775)。心臓活性(1773)とサーカディアンリズム(1776)。有害事象(1774)と呼吸(1775)。有害事象(1774)とサーカディアンリズム(1776)。呼吸(1775)とサーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)、有害事象(1774)、呼吸(1775)。心臓活性(1773)、有害事象(1774)、サーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)、呼吸(1775)、サーカディアンリズム(1776)。有害事象(1774)、呼吸(1775)、サーカディアンリズム(1776)。心臓活性(1773)、有害事象(1774)、呼吸(1775)、サーカディアンリズム(1776)。
【0060】
刺激は、カフ電極又は神経幹の近傍に位置決めされる血管内供給されるリードを使用して、迷走神経のような求心神経幹に加える。刺激は、例えば、血管内供給されるリードを使用して、肺動脈、大動脈弓、頚動脈洞に位置するような圧受容器部位に加える。刺激は、血管内供給されるリードを使用することによって、又は脂肪体に電極をはめ込むことによって、心臓脂肪体内に位置する圧受容器部位に加える。例えば、心臓活性検出器1774の実施形態は、心拍数モニタ1777、毎分換気量モニタ1778、加速モニタ1779のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。呼吸モニタ1775は血圧を観察する代理として機能する。呼吸モニタ1775の実施形態は、一回呼吸量モニタ1780と毎分換気量モジュール1781のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。サーカディアンリズムテンプレート1776の実施形態は、カスタム発生テンプレート1782や事前プログラムされたテンプレート1783のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含む。これらの実施形態は、図18A−18C、19A−19B、20A−20B、21A−21E、22、23A−23Cに関して以下でより詳細に論じる。
【0061】
種々の実施形態が、AHT治療を提供するために、サーカディアンリズムテンプレートを使用する。種々の実施形態が、無呼吸治療を提供するために、サーカディアンリズムテンプレートを使用する。
【0062】
収縮期間隔に基づく圧反射刺激の調節
交感又は副交感神経系は、ある種の収縮期間隔、主に前駆出期(PEP)、心室内の感知された電気活性(例えば「R」波の感知)、血液の心室排出開始の間の時間間隔を変更することが知られている。PEPは、肺動脈圧センサを使用して、感知された電気事象から肺動脈内の圧力増加開始に測定されるか、又は右心室に位置付けられるか又は左心室に広がる電極を使用して、排出中に心室容量の減少を伴う、心臓内インピーダンスの増加開始に測定される。休息時、例えば加速度計によって測定される心拍数又は身体活性によって判定されるように、神経刺激は事前にプログラムされた範囲内でPEPを維持するように調節される。突然のPEP減少は、運動又は情動ストレスに関連する交感神経系の緊張の増加を示す。この条件は、心拍数増加と代謝要求を満たすために必要な収縮性を可能にする神経刺激を減少させるために使用できる。同様に、以下に続く、PEPを劇的に長くすることは、増加した代謝要求の終了を表す。この時点で、神経刺激による血圧制御を、再開し得る。
【0063】
心臓活性に基づく圧反射刺激の調節
本要旨は、心拍数、毎分換気量、加速、それらの組み合わせによって判定できるような、心臓活性に基づいて圧受容器刺激を自動的に調節する方法を記載する。圧受容器を電気刺激する装置の機能性は、代謝要求が比較的低いときに、休息中に少なくとも比較的高い圧ペーシング(baropacing)速度を、かつ代謝要求が増加する時の身体運動中に漸次低い圧ペーシングを適用することによって高められる。心臓活性の指数は、圧受容器の電気刺激を自動的に調節するために使用され、埋め込み型抗高血圧装置が、代謝要求の変化に応答することを可能にする。種々の実施形態により、ペースメーカ、AICD装置又はCRT装置のようなCRM装置は、圧受容器刺激リードを同様に有する。装置は、例えば混合センサを使用する既存の方法を介して心臓活性を観察する。混合センサは、加速や毎分換気量のようなパラメータを測定する2つのセンサを含む。混合センサの出力は複合パラメータになる。種々のNS治療とAHT治療が、本開示において論じたような2つ以上の感知されたパラメータから導かれる複合パラメータを使用する。休息時(低い心臓活性)に装置は、圧受容器を高い速度で刺激し、血圧を減少させ、かつ高血圧を制御する。心臓活性が増加すると、装置は、圧受容器刺激を一時的に減少させることによって応答する。このことは、血圧や心臓出力の一時的増加をもたらし、身体が、増加した代謝要求に応答することを可能にする。例えば、幾つかの実施形態は、休息中に圧反射刺激を提供し、かつ運動中に、運動への正常な血圧応答に一致させるために、圧反射刺激を取り消す。圧変換器が活性を判定するために使用できる。更に、活性は、心拍感応型ペーシングを駆動するために使用される又は使用されたセンサを使用して感知できる。かかるセンサの例には、身体の動き、心拍数、QT感覚、呼吸数、経胸部インピーダンス、一回呼吸量、毎分換気量、体位、脳波図(EEG)、心電図(ECG)、眼電図(EOG)、筋電図(EMG)、筋緊張、体温、パルス酸素濃度計、時刻、心臓内インピーダンスからの前駆出期間隔を検出するセンサを含む。
【0064】
心臓活性モニタの種々の実施形態には、平均動脈パラメータ、収縮期と弛緩期圧力の差によって判定される脈圧、収縮終期圧力(収縮期終了時の圧力)、弛緩終期圧力(弛緩期終了時の圧力)のような少なくとも1つの圧力パラメータを検出するセンサを含む。心臓活性モニタの種々の実施形態は拍出量モニタを含む。心拍数と圧力は、拍出量を導くために使用できる。心臓活性モニタの種々の実施形態は、心臓活性を判定するために、少なくとも1つの電気記録図測定を使用する。かかる電気記録図測定の例には、R−R間隔、P−R間隔、QT間隔を含む。心臓活性モニタの種々の実施形態は、心臓活性を判定するために、少なくとも1つの心電図(ECG)測定を使用する。
【0065】
図18A−18Cは、本要旨の種々の実施形態による、心臓活性パラメータに基づき圧受容器刺激を調節する方法を示す。心臓活性は、CRM装置、NS装置、又はNS/CRM能力を有する埋め込み型装置によって判定できる。心臓活性に基づき、圧受容器刺激を調節する第1プロセス1884Aを図18Aに示す。1885Aで、活性レベルが判定される。種々の実施形態によれば、活性レベルの判定は、心拍数、毎分換気量、加速、又は心拍数、毎分換気量、加速のいずれかの組み合わせに基づく。示したプロセスにおいて、活性レベルは2つの定義される2進レベル(例えばHI及びLO)を有する。幾つかの実施形態において、LOレベルは無刺激を含む。活性レベルがHI又はLOであることが判定される。1886Aで、圧受容器刺激レベルは判定された活性レベルに基づき設定される。LO刺激レベルは、活性レベルがHIであると判定されたならば設定され、かつHI刺激レベルは、活性レベルがLOであると判定されたならば設定される。
【0066】
心臓活性に基づき、圧受容器刺激を調節する第2プロセス1884Bを図18Bに示す。1885Bで活性レベルは決定される。種々の実施形態によれば、活性レベルの判定は、心拍数、毎分換気量、加速、又は心拍数、毎分換気量、加速のいずれかの組み合わせに基づく。示したプロセスにおいて、活性レベルは、2つ以上の定義されるレベル又はn個の定義されるレベルを有する。活性レベルが、レベル1、レベル2・・・又はレベルnであることが判定される。活性レベル標識は増加する活性に対応する。1886Bで、圧受容器刺激レベルが判定された活性レベルに基づき設定される。利用可能な刺激レベルには、レベルn・・・レベル2とレベル1を含み、ここで刺激レベル標識は、増加する刺激に対応する。種々の実施形態によれば、選択された圧受容器刺激レベルは判定された活性レベルに反比例する。例えば、心臓活性レベルが、最高レベルnにあると判定されたならば、その場合刺激レベルは最低レベルnに設定される。刺激レベルが、最低レベルから1番目又は2番目、それぞれレベル1又はレベル2にあると判定されたならば、刺激レベルは、最高レベルから1番目又は2番目、それぞれレベル1又はレベル2に設定される。
【0067】
心臓活性に基づき、圧受容器刺激を調節するもう1つのプロセス1884Cを図18Cに示す。1887で、獲得された心臓活性パラメータが標的活性パラメータと比較される。獲得された心臓活性が標的活性パラメータより低いならば、圧受容器刺激は1888で増加する。獲得された心臓活性が標的活性パラメータより高いならば、圧受容器刺激は1889で減少する。
【0068】
本要旨のある側面は、一回呼吸量又は毎分換気量によって判定されるような呼吸に基づいて圧受容器刺激の強度を自動的に調節する方法に関する。連続的な圧受容器刺激を適用する代わりに、NS装置は、呼吸を血圧の代理として使用して高血圧レベルを観察し、かつ適切な治療レベルを送り出し、装置が治療レベルを調節することができるようにする。本要旨は、判定された一回呼吸量又は毎分換気量に、かつ圧受容器刺激を自動的に調節するために、インピーダンスのような呼吸指数を使用する。従って、埋め込み型NS装置は、患者における高血圧レベルを判定することが可能であり、かつ適切なレベルの治療を施すことによって応答する。種々の実施形態において、埋め込み型NS装置は、一回呼吸量又は毎分換気量を測定するセンサを含む。例えば、種々の実施形態は、呼吸数を得るために経胸部インピーダンスを測定する。装置は、幾つかの実施形態において、CRM装置からこのデータを受信する。NS装置は、これらの呼吸パラメータを定期的に観察する。呼吸が減少、又はプログラムされた標的未満に留まると、装置は圧受容器を高速で刺激し、血圧を減少させ、かつ高血圧を制御する。平均動脈圧が、標的に向かって増加すると、装置は、圧受容器刺激を減少させることによって応答する。このようにして、AHT装置は、適切なレベルの治療を連続的に行う。
【0069】
図19A−19Bは、本要旨の種々の実施形態による方法、すなわち呼吸パラメータに基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。呼吸パラメータは、CRM装置、NS装置、又はNS/CRM能力を有する埋め込み型装置によって判定できる。呼吸パラメータに基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を図19Aの1910Aに示す。呼吸レベルは1911で判定され、かつ圧受容器刺激レベルは判定された呼吸レベルに基づいて1912で設定される。種々の実施形態によれば、所望の圧ペーシングレベルは1913で調節される。例えば、1つの実施形態は、1914で獲得されたパラメータを標的パラメータと比較する。圧ペーシングは、獲得されたパラメータの標的パラメータへの比較に基づいて、1915で増加できるか又は1916で減少できる。
【0070】
呼吸パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法の1つの実施形態を、図19Bの1910Bに示す。1916で、圧反射事象トリガが起き、そのことは、圧反射刺激プロセスのアルゴリズムをもたらす。1917で、呼吸が標的パラメータと比較される。圧反射刺激は、呼吸が標的未満であるなら1918で増加し、かつ呼吸が標的を超えるならば1919で減少する。種々の実施形態によれば、呼吸がブランキングウインドウ内に入るならば、刺激は変化しない。種々の実施形態は、適用される刺激と圧反射応答を安定させるためにヒステリシス効果を提供するためにメモリを使用する。その上、種々の実施形態において、呼吸標的は、時刻又は活性レベルのような種々の因子に基づいて治療中に修正される。1920で、例えば感知されたパラメータ又は事象中断の受信に基づいて、圧反射治療アルゴリズムを継続するかが判定される。圧反射アルゴリズムを継続すべきならば、プロセスは、呼吸が標的パラメータに再度比較される1917に戻る、さもなければ、圧反射アルゴリズムは1921で中止される。
【0071】
有害事象に基づく圧反射刺激の調節
本要旨の側面は、血管拡張応答を増加させ、かつ心筋虚血損傷を潜在的に予防又は減少させるために、有害心臓事象を検出して圧受容器刺激を自動的に増加させる方法を含む。種々の実施形態は、圧受容器を電気刺激する刺激リードを同様に有する、(ペースメーカ、AICD又はCRT装置のような)心律動管理装置内のフィードバック機構を含む。装置は、既存の方法により心臓電気活性を観察する。心室細動(VF)と心房細動(AF)、所定の速度を超える心室性頻脈(VT)と心房性頻脈(AT)、毎分換気量センサによって検出される呼吸困難、狭心症、代償不全、虚血のような有害心臓事象の場合、装置は、圧受容器刺激を最大許容レベルに増加させることによって応答する。結果として、血圧は一時的に低下され、虚血による心筋損傷を潜在的に予防又は回避する。高血圧を治療する装置の機能性は、それが、圧受容器刺激の範囲を一時的に調節することによって有害心臓事象に応答できるならば、拡張できる。事象検出アルゴリズムは、圧受容器刺激を自動的に調節し、埋め込み型AHT装置が、圧受容器刺激を増加させることによって有害事象に応答することを可能にし、心筋虚血損傷を潜在的に予防又は減少させる。
【0072】
図20A−20Bは、本要旨の種々の実施形態による、有害事象の検出に基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。有害事象は、CRM装置、NS装置、又はNS/CRM能力を有する埋め込み型装置によって判定できる。図20Aは、有害事象の検出に基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。2090Aで、有害事象が検出されたか否かが判定される。有害事象が検出されなかったならば、正常な圧ペーシング(正常な手順による圧ペーシング)が2091Aで実行される。有害事象が検出されたならば、高められた圧ペーシングが2092で実行される。種々の実施形態において、最大許容圧ペーシングは、有害事象が検出された時に実行される。他の圧ペーシング手続きが実施できる。例えば、種々の実施形態は、有害事象が検出される時、圧ペーシング刺激を加えて圧ペーシング治療を控え、かつ種々の実施形態は、有害事象が検出される時、圧ペーシング治療を控えて圧ペーシング刺激を加える。図20Bは、有害事象の検出に基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。2090Bで、有害事象が検出されたか否か判定される。有害事象が検出されなかったならば、正常な圧ペーシング(正常な手順による圧ペーシング)が2091Bで実行される。有害事象が検出されたならば、事象は、2093で識別され、かつ識別された有害事象に適切な圧ペーシングが2094で加えられる。例えば、適切な血圧治療は、心室細動に関して、虚血と異なる。種々の実施形態によれば、所望の圧ペーシングは、2095で識別された事象に関して調節される。例えば、1つの実施形態は、2096で、獲得されたパラメータを標的パラメータと比較する。圧ペーシングは、獲得されたパラメータの標的パラメータへの比較に基づいて、2097で増加できるか、又は2098で減少できる。
【0073】
種々の実施形態によれば、有害事象には、治療が、心不整脈を予防するために適用できるように、検出可能な前駆物質を含む。幾つかの実施形態において、有害事象は、心臓事象や卒中のような非心臓事象の両方を含む。更に、幾つかの実施形態は、不整脈と非不整脈事象の両方を有害事象として検出する。
【0074】
サーカディアンリズムに基づく圧反射刺激の調節
本要旨のある側面は、24時間の期間にわたって起きる血圧の自然変動を模倣するように、高血圧患者に圧反射を刺激する方法に関する。高血圧の反射減少は、固有の動脈圧変動を変化させずに、長期の圧受容器刺激中に行われる。種々の実施形態によれば、埋め込み型装置は、例えば(約20−150Hzの範囲内の周波数を有する方形波)短い高周波バーストを使用して、頚動脈洞、肺動脈又は大動脈弓内の圧受容器を刺激するように設計される。幾つかの種々の実施形態は、カフ電極によって頚動脈洞枝、大動脈神経又は迷走神経を直接刺激する。しかしながら、バーストは、一定の速度で起こらない。むしろ刺激周波数、振幅、及び/又はバースト周波数は、日中、上下し、自然のサーカディアンリズムを模倣する。
【0075】
従って、NS装置の種々の実施形態は、正常かつ高血圧の両方の個人に起きる自然の動脈圧変動を明らかにする。平均動脈圧の活性関連変化の他に、被検者は24時間サイクルで一貫した圧力変動を同様に示す。定期圧受容器刺激を提供する装置は、固有のサーカディアンリズムを模倣し、このリズムを乱すことなく、全身神経系の反射抑制と全身血圧減少を可能にする。本要旨は、固有のサーカディアンリズムを乱すことなく、平均動脈圧を減少させるために、圧受容器刺激周波数/振幅を変化させるペーシング手順を提供する。
【0076】
図21A−21Eはサーカディアンリズムを示す。図21Aは、正午から正午の24時間の平均動脈圧に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Bは、正午から正午の24時間の心拍数に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Cは、正午から正午の24時間の心拍出量の変化率(SV%)に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Dは、正午から正午の24時間の心臓出力(CO)の変化率に関連するサーカディアンリズムを示す。図21Eは、正午から正午の24時間の、血管拡張の指数である、全抹消血管抵抗の変化率(TPR%)に関連するサーカディアンリズムを示す。種々の実施形態は絶対値をグラフにし、かつ種々の実施形態はパーセント値をグラフにする。これらの図において、影付きの部分は、約午後10時から午前7時までの夜の時間に相当し、かつそれ故に休息又は睡眠時間に相当する。例えば図21A、21Bを参照すると、平均動脈圧と心拍数の両方が、休息期間中に低下することが明らかである。高い血圧と心拍数は休息に悪影響を与え得る。その上、日中の低い血圧及び心拍数は個人のエネルギーレベルに悪影響を与える。
【0077】
本要旨の種々の実施形態は、サーカディアンリズムを多数の被検者に適合させることが意図される事前プログラムされたテンプレートを使用して、圧反射刺激を調節する。本要旨の種々の実施形態は、被検者に適合させるために、カスタマイズされたテンプレートを発生させる。
【0078】
図22は、カスタマイズされたサーカディアンリズムテンプレートを使用する、本要旨の種々の実施形態によって、サーカディアンリズムに基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。示した方法2222は、2223で高血圧に関連したパラメータを感知し記録する。かかるパラメータの例には、心拍数と平均動脈圧を含む。2224で、サーカディアンリズムテンプレートはこれらの記録されたパラメータに基づいて発生する。2225で、圧反射刺激は、2224で発生したサーカディアンリズムテンプレートを使用して調節される。
【0079】
所望の心臓出力を提供するための圧反射刺激の調節
本要旨のある側面は、圧反射を刺激することにより全身血圧を低下させるために、NS治療を提供し、かつ速度制御のための心臓ペーシングリードを使用する心臓ペーシング治療を更に提供する埋め込み型医療装置に関する。圧反射刺激と心臓ペーシングは、相前後して起き、血圧が、心臓出力を犠牲にすることなく低下することを可能にする。
【0080】
種々の実施形態によれば、圧反射刺激器は、別個の埋め込み型CRM装置と通信し、かつ既存のペーシングリードを使用する。種々の実施形態において、圧反射刺激は、血管壁内又は周辺に置かれた電極により、肺動脈、頚動脈洞、又は大動脈弓内の圧受容器を介して起きる。種々の実施形態において、大動脈神経、頚動脈洞枝、又は迷走神経のような求心神経は、カフ電極によって直接的に刺激される。
【0081】
圧反射刺激は、迅速に血管拡張をもたらし、かつ全身血圧を減少させる。心臓出力の同時の減少を補償するために、ペーシング速度は圧反射刺激中に増加する。本要旨は、血圧が、圧反射刺激を介して徐々に低下することを可能にし、他方で圧反射刺激を心臓ペーシングと組み合わせることによって、さもなければかかる刺激を伴う心臓出力の降下を回避し、埋め込み型装置が血圧制御中に心臓出力を維持することを可能にする。
【0082】
図23A−Bは、本要旨の種々の実施形態によって、心臓出力パラメータに基づいて圧受容器刺激を調節する方法を示す。図23Aは、心臓出力パラメータに基づいて圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。示したプロセス2326Aにおいて、圧反射刺激が、2327で加えるか否か判定される。圧反射刺激が加えられないならば、本要旨は、2328で、適切なペーシング速度によって、適切なペーシング治療を、もしあれば実施する。圧反射刺激が加えられないなら、本要旨は、心臓出力を維持するために、高いペーシング速度で、2329でペーシング治療を改良する。
【0083】
図23Bは、心臓出力パラメータに基づいて、圧受容器刺激を調節する1つの実施形態を示す。示したプロセス2326Bにおいて、圧反射刺激は2330で加えられ、かつ2331で心臓出力が適切であるか否かが判定される。心臓出力が適切でないと判定されると、ペーシング速度は、適切な心臓出力を維持するために、2332で増加する。
【0084】
種々の実施形態によれば、既存のペーシング速度は、心臓出力を維持するために、圧反射刺激中に所定の因子によって増加する。種々の実施形態において、ペーシング速度は、心臓出力を維持するために、圧反射刺激中に始められる。所望の心臓出力を提供するために圧反射刺激を調節することは、心房速度制御と心室速度制御、AV遅延制御、再同期、多部位刺激によって実施できる。あるいは、心拍出量は、右心室腔内の電極を使用して右心室インピーダンスによって、又は左心室腔内又はそれに及ぶ電極を使用して左心室インピーダンスによって観察でき、かつペーシング速度は、固定心臓出力を維持するために、神経刺激の適用を使用して、増加できる。
【0085】
硬化プロセスを再構築するための圧反射刺激の調節
本要旨の側面は、不応性高血圧を有する患者において全身血圧を低下させるために埋め込み型NS装置によって使用される圧反射刺激方法を伴う。圧反射刺激アルゴリズムは、プログラム可能な標的に向けて血圧をゆっくり調整するために、圧反射刺激を徐々に増加する。このアルゴリズムは、中枢神経系が、通常圧力低下効果を緩和する一定の増加したレベルの圧反射刺激に適合することを妨げる。その上、血圧変化の漸進的な性質は、全身血圧と心臓出力の突然の変化なしに、患者が治療により良く耐えることを可能にする。
【0086】
本要旨は、中枢神経系が、増加した圧反射刺激に適合することを回避し、患者において存在する以前の高血圧状態によって引き起こされた動脈硬化プロセスの反転を可能にするために経時的に血圧レベルをゆっくり減少させ、かつ圧受容器刺激中に、心臓出力の減少を回避するように設計された、特定のアルゴリズム又はプロセスを提供する。動脈系の反転は、以前に存在した高血圧によって開始された硬化プロセスを再構築することが経時的に予期される。平均/中央血圧のゆっくりした、漸進的な低下は、逆再構築を介して、この硬化プロセスのゆっくりした反転を可能にする。血圧は、プロセスにおいて心臓出力を危うくすることなく、減少し、このようにして望ましくない患者の症状を回避する。
【0087】
種々の実施形態において、装置は、血管壁内又は隣接して置かれる電極によって、肺動脈、頚動脈洞、又は大動脈弓内の圧受容器を刺激する。種々の実施形態において、大動脈神経、頚動脈洞枝、又は迷走神経のような求心神経は、カフ電極によって直接刺激される。刺激された圧反射は、迅速に血管を拡張させ全身血圧を減少させる。しかしながら、一定の高いレベルで圧反射を刺激するよりも、本要旨の装置は、最初に僅かに増加したレベルで刺激し、かつ次に例えば数週間又は数ヶ月の期間にわたって刺激を徐々に増加させる。変化の速度は、現在の及び標的動脈圧に基づいて、装置によって判定される。種々の実施形態において、システムは、圧力減少が、減少した心臓出力を犠牲にして起きないことを確実にするために、心臓出力の直接又は間接的測定に基づいて、変化速度を判定する。種々の実施形態において、圧反射刺激の速度は、一定でないが、神経連絡分布をより緊密に模倣するために、白色雑音タイプの分布を有する。神経連絡分布を模倣することによって、圧反射が、刺激により応答的であることが予期され、このようにして圧反射を刺激する閾値を低下させる。
【0088】
図24は、本要旨の種々の実施形態による再構築硬化を逆にするために、圧受容器刺激を調節する方法を示す。圧反射事象トリガが2433で起きる。このトリガはAHT装置の起動を含む、圧反射刺激を開始するいかなる事象も含む。2434で、アルゴリズムは、硬化プロセスを逆再構築するために、血圧を標的圧力に徐々に低下するための所定の変化速度によって、圧反射刺激を増加するように実施される。2435で、圧反射刺激アルゴリズムを継続するか否かが判定される。アルゴリズムは、例えば事象中断、感知されたパラメータ、及び/又は標的血圧に達したことに基づいて、2436で中止される。2437で、心臓出力が許容可能か判定される。心臓出力が許容可能でないならば、2438で圧反射刺激の変化速度が、心臓出力に基づいて修正される。
【0089】
心筋梗塞を治療するための圧反射刺激
心筋梗塞に続き、梗塞を起こした領域の筋細胞が死亡し、機能的心筋とは異なる機械的及び弾性特性を有する瘢痕組織によって置き換えられる。時間がたつと、この梗塞を起こした区域が薄くなり、かつ拡張することがあり、心臓全体にわたる心筋応力の再分布を引き起こす。最終的に、このプロセスは、高応力領域の機械的機能障害や心不全に至る。高応力領域は、重度に「ロードされた(loaded)」と呼ばれ、かつ応力減少は、「アンロードする(unlaoding)」と称される。心筋損傷を予防又は減少させるように、急性心筋梗塞を治療する装置が望ましい。
【0090】
本要旨のある側面は、心臓電気活性を観察する埋め込み型装置に関する。心筋梗塞の検出後、装置は、血管壁内の又は隣接した圧受容器を刺激することによって、及び/又は感圧神経を直接刺激することによって圧反射を電気的に刺激する。圧反射刺激の増加は、圧反射感受性の減少を補償し、かつ心筋梗塞に続く患者における臨床転帰を改善する。埋め込み型装置(例えばCRM装置)は心臓電気活性を観察する。心筋梗塞の検出後、装置が圧反射を刺激する。装置の幾つかの実施形態は、血管壁内に又は隣接して置かれた電極により肺動脈、頚動脈洞、又は大動脈弓内の圧受容器を刺激する。種々の実施形態において、大動脈神経のような求心神経は、求心神経の近くで静脈内に置かれたリード、又はカフ電極によって直接刺激される。頚動脈洞枝又は迷走神経のような求心神経は、求心神経の近くで静脈内に置かれたリード、又はカフ電極によって直接刺激される。種々の実施形態において、心臓脂肪体は、脂肪体に固定された電極、又は脂肪体に近接する腔又は血管に静脈内供給されたリードを使用して刺激される。
【0091】
圧反射刺激は、迅速に血管を拡張させ、かつ全身血圧を減少させる。このことは、圧反射感受性減少を補償し、かつ心筋梗塞を減少させる。種々の実施形態によれば、全身血圧又は代理パラメータは、適切なレベルの刺激が送り出されることを確実にするために、圧反射刺激中に観察される。本要旨の幾つかの側面及び実施形態は、心筋梗塞に続く虚血損傷を予防するために圧反射刺激を提供する。
【0092】
図25A−25Bは、本要旨の種々の実施形態による、心筋梗塞を検出し、かつ検出された心筋梗塞に応答して圧ペーシングを実行するシステム及び方法を示す。図25Aは、心筋梗塞検出器2539と、圧反射又は圧受容器刺激器2540とを含むシステムを示す。心筋梗塞は例えば心電図を使用して検出できる。例えば、テンプレートが、心筋梗塞を判定するために心電図と比較される。もう1つの例は、心筋梗塞を検出するためにST部分の上昇の変化を検出する。種々の実施形態において、検出器2539と刺激器2540が、例えばAHT装置又はCRM装置におけるような、単一の埋め込み型装置に統合される。種々の実施形態において、検出器2539と刺激器2540は、互いに通信することに適した別個の埋め込み型装置として実装される。
【0093】
図25Bは、本要旨の種々の実施形態による、心筋梗塞を検出し、かつ検出された心筋梗塞に応答して圧ペーシングを実行する方法を示す。2541で、心筋梗塞が起きたか判定される。心筋梗塞が起きたことを判定した後、圧反射が2542で刺激される。例えば、種々の実施形態において、肺動脈内とその周辺の圧受容器は、右心房と肺動脈弁を介して肺動脈に供給されるリードを使用して刺激される。他の実施形態は、他の圧受容器部位と感圧神経を刺激する。幾つかの実施形態は、2543で全身血圧又は代理パラメータを観察し、かつ2544で刺激を、この観察に基づいて調整すべきか判定する。刺激を調整すべきであれば、圧反射刺激、2545で調節される。調節の例には、刺激の振幅、周波数、バースト周波数及び/又は波形を変化することを含む。
【0094】
圧反射刺激のような神経刺激が心筋梗塞後にアンロードするために使用できる。種々の実施形態は、NS装置のフィードバック制御システム内で、虚血センサのような急性心筋梗塞検出センサを使用する。しかしながら、心筋梗塞検出センサは必要でない。例えば、刺激リードを心筋梗塞後に埋め込むことができる。種々の実施形態において、刺激リードは、肺動脈内やその周辺で圧受容器を刺激するために、右心房を介して肺動脈に埋め込まれる。種々の実施形態は、求心神経を刺激するために刺激カフ又はリードを、心臓脂肪体を刺激するために電極固定器又はリードを、さらに本開示の他の部分で提供された他の圧受容器を刺激するためにリードを埋め込む。
【0095】
重度にロードされた領域の電気的事前興奮はこの領域のロードを減少させる。この事前興奮は、交感神経を活性化させ、全体的応力を増加させ、最終的に心臓の有害な再構築に至らせる心臓出力を著しく減少させる。このプロセスは、この反射の衝撃を減少させるために、神経刺激増加によって回避できる。従って、事前興奮中の副交感神経系の活性化は、電気的事前興奮によるアンロードの望ましくない副作用を予防する。
【0096】
当業者は、本明細書に示され、かつ記載されたモジュールや他の回路が、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせを使用して実装できることを理解するであろう。このようにして、用語モジュールは、ソフトウェアの実装、ハードウェアの実装、並びにソフトウェアとハードウェアの実装を包含することが意図される。
【0097】
本開示に示した方法は、本要旨の範囲内の他の方法を除くことが意図されない。当業者は、本開示を読み、かつ理解すると、本要旨の範囲内の他の方法を理解するであろう。上記実施形態、及び示した実施形態の部分は、必ずしも相互に排他的でない。これらの実施形態とその部分は組み合わせることができる。例えば、種々の実施形態が、2つ以上の示したプロセスを組み合わせる。2つ以上の感知されたパラメータは、所望の神経刺激(NS)又は抗項血圧(AHT)治療を行うために使用される複合パラメータに組み合わせられる。種々の実施形態において、以上で提供された方法は、プロセッサによって行われる時に、プロセッサにそれぞれの方法を実行させる、命令シーケンスを示す搬送波又は伝播信号において具体化されるコンピュータデータ信号として実装される。種々の実施形態において、以上に提供された方法は、プロセッサがそれぞれの方法を実行することを命令できるコンピュータアクセス可能な媒体に含まれる1組の命令として実装される。種々の実施形態において、媒体は、磁気媒体、電子媒体又は光学媒体である。
【0098】
特定の種々の実施形態が、本明細書に示され、かつ記載されたが、同じ目的を達成するために計算されるいかなる配置も、示した特定の実施形態の代わりに用い得ることが、当業者によって認められるであろう。本出願は、本要旨の適応例や変形例をカバーすることが意図される。上記の記述は、例示的であり、かつ限定的でないことが理解されるべきである。上記実施形態の組み合わせや、他の実施形態における上記実施形態の一部の組み合わせは、上記記述を精査すれば、当業者にとって明らかであろう。本要旨の範囲は、添付の請求項を、かかる請求項が権利を与えられる等価物の全範囲と共に参照して、判定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】末梢血管制御の神経機構を示す。
【図2A】心臓を示す。
【図2B】心臓を示す。
【図2C】心臓を示す。
【図3】頸動脈洞及び大動脈弓の領域における圧受容器及び求心神経を示す。
【図4】肺動脈内及び周辺の圧受容器を示す。
【図5】大動脈弓、動脈管索及び肺動脈幹内の圧受容器分野を示す。
【図6】圧反射が刺激される時の呼吸及び血圧間の公知の関係を示す。
【図7】6ヶ月の断続的頸動脈神経刺激の間の、高血圧イヌにおける頸動脈神経刺激に応答した血圧を示す。
【図8】本要旨の種々の実施形態による、埋め込み型医療装置(IMD)と、プログラマとを含むシステムを示す。
【図9】本要旨の種々の実施形態による、図8のシステムに示すような、埋め込み型医療装置(IMD)を示す。
【図10】本要旨の種々の実施形態による、統合圧力センサ(IPS)を有する圧受容器刺激リードを示す。
【図11】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)部と、心律動管理(CRM)部とを有する図8に示すような埋め込み型医療装置(IMD)を示す。
【図12】本要旨の種々の実施形態による、プログラマと、埋め込み型神経刺激(NS)装置と、埋め込み型心律動管理(CRM)装置とを含むシステムを示す。
【図13】本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムに示すような、埋め込み型神経刺激(NS)装置を示す。
【図14】本要旨の種々の実施形態による、図12のシステムに示すような、埋め込み型心律動管理(CRM)装置を示す。
【図15】本要旨の種々の実施形態による、図8及び12のシステムに示すような、プログラマ、又は埋め込み型医療装置と通信する他の外部装置を示す。
【図16A】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図16B】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図16C】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図16D】本要旨の種々の実施形態による、神経刺激(NS)装置からの電気刺激及び心律動管理(CRM)装置による感知の間の干渉を回避するシステム及び方法を示す。
【図17】本要旨の種々の実施形態による、圧反射刺激を調節するシステムを示す。
【図18A】本要旨の種々の実施形態による、心臓活動パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図18B】本要旨の種々の実施形態による、心臓活動パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図18C】本要旨の種々の実施形態による、心臓活動パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図19A】本要旨の種々の実施形態による、呼吸パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図19B】本要旨の種々の実施形態による、呼吸パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図20】本要旨の種々の実施形態による、有害事象の検出に基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図21A】サーカディアンリズムを示す。
【図21B】サーカディアンリズムを示す。
【図21C】サーカディアンリズムを示す。
【図21D】サーカディアンリズムを示す。
【図21E】サーカディアンリズムを示す。
【図22】本要旨の種々の実施形態による、サーカディアンリズムに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図23】本要旨の種々の実施形態による、心拍出量パラメータに基づく圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図24】本要旨の種々の実施形態による、再構築硬化を逆にする圧受容器刺激を調節する方法を示す。
【図25】本要旨の種々の実施形態による、心筋梗塞を検出し、かつ検出された心筋梗塞に応答して圧ペーシングを行うシステム及び方法を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧反射治療の一環として圧反射刺激信号を発生させるパルス発生器と、
パルス発生器に電気接続され、心臓に血管内供給され、かつ心臓内の又は近接した圧受容器領域に圧反射信号を送るために、心臓内に又は近接して位置決めされる電極を含むリードと、
圧反射治療の有効性に関する生理学的パラメータを感知し、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を提供するセンサと、
圧反射刺激信号を制御するためにパルス発生器に、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を受信するためにセンサに接続された制御装置とを含む埋め込み型医療装置。
【請求項2】
リードは、心臓内の心内膜圧受容器部位の近くに電極を位置決めするように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
電極は心房腔に位置決めされる請求項2に記載の装置。
【請求項4】
電極は心室腔に位置決めされる請求項2に記載の装置。
【請求項5】
リードは電極を肺動脈内に位置決めするために、右心室及び肺動脈弁を介して肺動脈に供給されるように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
電極は動脈管索に近接して位置決めされる請求項5に記載の装置。
【請求項7】
不応性を示す固有信号を感知する感知回路を更に含み、感知回路が制御装置に接続される請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
パルス発生器は、心臓ペーシング信号を発生させるように更に構成され、リードは、心臓へ心臓ペーシング信号を送るように位置決めされる第2電極を更に含む請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
心臓ペーシング信号を発生させ、制御装置に接続される第2パルス発生器と、
第2パルス発生器に接続され、心臓へ心臓ペーシング信号を送るように位置決めされる少なくとも1つの電極を含む第2リードとを更に含む請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
心臓事象を示す電気信号を感知する感知手段と、
心臓事象を示す電気信号を検出するために、適用された神経刺激治療を行う手段とを更に含む請求項1から6及び8から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
感知手段は、感知された電気信号に基づいて、心臓事象発生を識別するための事象検出ルーチンを含み、かつ
適用された神経刺激治療を行う手段は、神経刺激治療がいつ適用されるか識別する手段と、電気治療を行う事象検出ルーチンを調整する手段とを含む請求項10に記載の装置。
【請求項12】
電気治療を行う事象検出ルーチンを調整する手段は、事象検出ルーチンの閾値を増加させる手段を含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
電気治療を行うための事象検出ルーチンを調整する手段は、電気治療が適用されている間、事象発生の識別を妨げるブランキングウインドウを提供する手段を含む請求項11に記載の装置。
【請求項14】
感知手段は、不応期を識別する手段を含み、かつ、
適用された神経刺激治療を行う手段は、不応期中に神経刺激治療を適用する刺激手段を引き起こす手段を含む請求項10に記載の装置。
【請求項15】
制御装置は、心臓事象検出器が、事象を示す電気信号を、適用された圧反射治療と区別される、適用された圧反射刺激治療を行うために、心臓事象検出器と通信するように構成される請求項10に記載の装置。
【請求項16】
制御装置は、圧反射刺激の発生を示す心臓事象検出器に信号を提供するように構成され、心臓事象検出器が、圧反射刺激を発生させる事象検出ルーチンを修正することを可能にする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
制御装置は、不応期に対応する心臓事象検出器からの信号を受信するように構成され、かつ不応期中に圧反射刺激治療を加えるように更に構成される請求項15に記載の装置。
【請求項18】
心臓事象検出器は埋め込み型医療装置に組み込まれる請求項10に記載の装置。
【請求項19】
心臓事象検出器は他の装置に組み込まれる請求項10に記載の装置。
【請求項20】
リードは、センサ回路に血圧を示す信号を提供する圧力センサを含み、かつ
制御装置は、血圧に基づいて、圧反射刺激パルスを調整するように構成される請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
制御装置は、全体的心臓機能の減少を伴う、交感神経系の緊張の関連する増加を加減し、かつ再構築制御のためのアンロード治療の適用中、所望のパラメータを所望の範囲で維持するために、圧反射刺激パルスを調整する、心筋梗塞後領域アンロード治療の適用中に圧反射刺激を提供するように構成される請求項20に記載の装置。
【請求項22】
所望のパラメータは心臓出力パラメータを含む請求項21に記載の装置。
【請求項23】
所望のパラメータは交感神経系の緊張のパラメータを含む請求項21に記載の装置。
【請求項24】
心臓活性を感知し、かつ心臓活性を示す信号を提供する心臓活性モニタと、
心臓活性を示す信号を受信し、かつ第1圧反射治療から第2圧反射治療に圧反射治療を変化させるために心臓活性を示す信号に基づいて、圧反射刺激信号を調節するモジュレータとを更に含む請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
心臓活性モニタは心拍数センサを含み、かつ心臓活性を示す信号は心拍数信号を含む請求項24に記載の装置。
【請求項26】
心臓活性モニタは呼吸モニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は呼吸信号を含む請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
心臓活性モニタは加速センサを含み、かつ心臓活性を示す信号は加速信号を含む請求項24から26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
心臓活性モニタは少なくとも1つの圧力パラメータを感知するセンサを含み、かつ心臓活性を示す信号は、少なくとも1つの圧力パラメータを示す信号を含む請求項24から27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
心臓活性モニタは拍出量モニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は拍出量を示す信号を含む請求項24から28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
心臓活性モニタは少なくとも1つの電気記録図測定を測定するモニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は少なくとも1つの電気記録図測定を示す信号を含む請求項24から29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
心臓活性モニタは少なくとも1つの心電図(ECG)測定を測定するモニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は少なくとも1つのECG測定を示す信号を含む請求項24から30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
有害事象を感知し、かつ有害事象を示す信号を提供する有害事象検出器と、
有害事象を示す信号を受け取り、かつ第1圧反射治療から第2圧反射治療に圧反射治療を変化させるために、有害事象を示す信号に基づいて、圧反射刺激信号を調節するモジュレータとを更に含む請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
有害事象は有害心臓事象を含む請求項32に記載の装置。
【請求項34】
有害心臓事象は不整脈を含む請求項33に記載の装置。
【請求項35】
非心臓事象は卒中を含む請求項33に記載の装置。
【請求項36】
制御装置は、血圧に基づいて、圧反射刺激信号の振幅を調節するように構成される請求項1、20、24、32のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
圧反射刺激信号の周波数が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
圧反射刺激信号のパルス周波数が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
圧反射刺激信号の周波数の形態が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
圧反射信号の振幅、周波数、パルス周波数からなる特性の群から選択される2つ以上の特性が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【請求項1】
圧反射治療の一環として圧反射刺激信号を発生させるパルス発生器と、
パルス発生器に電気接続され、心臓に血管内供給され、かつ心臓内の又は近接した圧受容器領域に圧反射信号を送るために、心臓内に又は近接して位置決めされる電極を含むリードと、
圧反射治療の有効性に関する生理学的パラメータを感知し、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を提供するセンサと、
圧反射刺激信号を制御するためにパルス発生器に、かつ圧反射治療の有効性を示す信号を受信するためにセンサに接続された制御装置とを含む埋め込み型医療装置。
【請求項2】
リードは、心臓内の心内膜圧受容器部位の近くに電極を位置決めするように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
電極は心房腔に位置決めされる請求項2に記載の装置。
【請求項4】
電極は心室腔に位置決めされる請求項2に記載の装置。
【請求項5】
リードは電極を肺動脈内に位置決めするために、右心室及び肺動脈弁を介して肺動脈に供給されるように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
電極は動脈管索に近接して位置決めされる請求項5に記載の装置。
【請求項7】
不応性を示す固有信号を感知する感知回路を更に含み、感知回路が制御装置に接続される請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
パルス発生器は、心臓ペーシング信号を発生させるように更に構成され、リードは、心臓へ心臓ペーシング信号を送るように位置決めされる第2電極を更に含む請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
心臓ペーシング信号を発生させ、制御装置に接続される第2パルス発生器と、
第2パルス発生器に接続され、心臓へ心臓ペーシング信号を送るように位置決めされる少なくとも1つの電極を含む第2リードとを更に含む請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
心臓事象を示す電気信号を感知する感知手段と、
心臓事象を示す電気信号を検出するために、適用された神経刺激治療を行う手段とを更に含む請求項1から6及び8から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
感知手段は、感知された電気信号に基づいて、心臓事象発生を識別するための事象検出ルーチンを含み、かつ
適用された神経刺激治療を行う手段は、神経刺激治療がいつ適用されるか識別する手段と、電気治療を行う事象検出ルーチンを調整する手段とを含む請求項10に記載の装置。
【請求項12】
電気治療を行う事象検出ルーチンを調整する手段は、事象検出ルーチンの閾値を増加させる手段を含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
電気治療を行うための事象検出ルーチンを調整する手段は、電気治療が適用されている間、事象発生の識別を妨げるブランキングウインドウを提供する手段を含む請求項11に記載の装置。
【請求項14】
感知手段は、不応期を識別する手段を含み、かつ、
適用された神経刺激治療を行う手段は、不応期中に神経刺激治療を適用する刺激手段を引き起こす手段を含む請求項10に記載の装置。
【請求項15】
制御装置は、心臓事象検出器が、事象を示す電気信号を、適用された圧反射治療と区別される、適用された圧反射刺激治療を行うために、心臓事象検出器と通信するように構成される請求項10に記載の装置。
【請求項16】
制御装置は、圧反射刺激の発生を示す心臓事象検出器に信号を提供するように構成され、心臓事象検出器が、圧反射刺激を発生させる事象検出ルーチンを修正することを可能にする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
制御装置は、不応期に対応する心臓事象検出器からの信号を受信するように構成され、かつ不応期中に圧反射刺激治療を加えるように更に構成される請求項15に記載の装置。
【請求項18】
心臓事象検出器は埋め込み型医療装置に組み込まれる請求項10に記載の装置。
【請求項19】
心臓事象検出器は他の装置に組み込まれる請求項10に記載の装置。
【請求項20】
リードは、センサ回路に血圧を示す信号を提供する圧力センサを含み、かつ
制御装置は、血圧に基づいて、圧反射刺激パルスを調整するように構成される請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
制御装置は、全体的心臓機能の減少を伴う、交感神経系の緊張の関連する増加を加減し、かつ再構築制御のためのアンロード治療の適用中、所望のパラメータを所望の範囲で維持するために、圧反射刺激パルスを調整する、心筋梗塞後領域アンロード治療の適用中に圧反射刺激を提供するように構成される請求項20に記載の装置。
【請求項22】
所望のパラメータは心臓出力パラメータを含む請求項21に記載の装置。
【請求項23】
所望のパラメータは交感神経系の緊張のパラメータを含む請求項21に記載の装置。
【請求項24】
心臓活性を感知し、かつ心臓活性を示す信号を提供する心臓活性モニタと、
心臓活性を示す信号を受信し、かつ第1圧反射治療から第2圧反射治療に圧反射治療を変化させるために心臓活性を示す信号に基づいて、圧反射刺激信号を調節するモジュレータとを更に含む請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
心臓活性モニタは心拍数センサを含み、かつ心臓活性を示す信号は心拍数信号を含む請求項24に記載の装置。
【請求項26】
心臓活性モニタは呼吸モニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は呼吸信号を含む請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
心臓活性モニタは加速センサを含み、かつ心臓活性を示す信号は加速信号を含む請求項24から26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
心臓活性モニタは少なくとも1つの圧力パラメータを感知するセンサを含み、かつ心臓活性を示す信号は、少なくとも1つの圧力パラメータを示す信号を含む請求項24から27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
心臓活性モニタは拍出量モニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は拍出量を示す信号を含む請求項24から28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
心臓活性モニタは少なくとも1つの電気記録図測定を測定するモニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は少なくとも1つの電気記録図測定を示す信号を含む請求項24から29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
心臓活性モニタは少なくとも1つの心電図(ECG)測定を測定するモニタを含み、かつ心臓活性を示す信号は少なくとも1つのECG測定を示す信号を含む請求項24から30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
有害事象を感知し、かつ有害事象を示す信号を提供する有害事象検出器と、
有害事象を示す信号を受け取り、かつ第1圧反射治療から第2圧反射治療に圧反射治療を変化させるために、有害事象を示す信号に基づいて、圧反射刺激信号を調節するモジュレータとを更に含む請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
有害事象は有害心臓事象を含む請求項32に記載の装置。
【請求項34】
有害心臓事象は不整脈を含む請求項33に記載の装置。
【請求項35】
非心臓事象は卒中を含む請求項33に記載の装置。
【請求項36】
制御装置は、血圧に基づいて、圧反射刺激信号の振幅を調節するように構成される請求項1、20、24、32のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
圧反射刺激信号の周波数が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
圧反射刺激信号のパルス周波数が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
圧反射刺激信号の周波数の形態が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
圧反射信号の振幅、周波数、パルス周波数からなる特性の群から選択される2つ以上の特性が調整される請求項1、20、24,32、36のいずれかに記載の装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図21E】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図21E】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2007−519441(P2007−519441A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547356(P2006−547356)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/043255
【国際公開番号】WO2005/063332
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(505003528)カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド (466)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/043255
【国際公開番号】WO2005/063332
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(505003528)カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド (466)
【Fターム(参考)】
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