説明

圧縮成形用再生メラミン樹脂材料、再生メラミン樹脂成形品、食器、及び再生メラミン樹脂成形品の製造方法

【課題】成形形状の対応性に優れ、圧縮成形によってもオーバーキュアが発生し難く、確実に固化するものであって、成形後の衝撃耐久性にも優れた圧縮成形用再生メラミン樹脂材料やこれを圧縮成形してなる再生メラミン樹脂成形品等を提供する。
【解決手段】再生メラミン樹脂成形品の粉砕粉末を主成分として含まない使用済メラミン樹脂成形品の粉砕粉末と、再生メラミン樹脂材料を含まないメラミン樹脂材料とが混合され、前記粉砕粉末の配合量が全重量比50〜65%である。再生メラミン樹脂成形品の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料は全重量比0.5%以上の黒色着色剤を含み、成形後の表面全体に艶消しシボ加工1sが施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形に用いられる圧縮成形用再生メラミン樹脂材料、これを圧縮成形してなる再生メラミン樹脂成形品、再生メラミン樹脂成形品であって食器形状に圧縮成形された食器、及び再生メラミン樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂であるメラミン樹脂成形品は熱を加えても再熔解せず、また加熱圧縮を行う程脆くなるため、使用後のものを再度圧縮成形に用いるのは困難である。このため一般には、使用済メラミン樹脂成形品は、サンドブラスト材、研磨剤、熱源として再生使用されるか、不燃物として処理されており、実用化に至っていないとされる。
【0003】
但し文献上は、メラミン樹脂層を有する化粧板を微粉砕して熱可塑性樹脂材料に混合し、射出成形によって成形する製造方法が開示される(特許文献1参照)。これは、樹脂製品である机の引き出し等に使用される平板を射出成形により製造する方法であって、熱可塑性樹脂材料であるポリプロピレン樹脂材料に、使用済みとして回収した机等の天板の化粧板を破砕片とし、この破砕片を混合した混練ペレットを用いたものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−113554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記は射出成形による製造方法を開示するものであり、圧縮成形による再生メラミン樹脂成形を行おうとすると、形状対応性に欠けたり、オーバーキュアの発生によって固化の確実性に欠けたり、或いは成形後の耐衝撃性に欠けるものとなる。
【0006】
これらは、一旦成形されたメラミン樹脂自体が再び可塑化することなく、硬化反応が起こることもないため、メラミン樹脂成形品を粉砕して成形しても固化しないことに基づく。
【0007】
そこで本発明では、成形形状の対応性に優れ、圧縮成形によってもオーバーキュアが発生し難く、確実に固化するものであって、成形後の衝撃耐久性にも優れた圧縮成形用再生メラミン樹脂材料を提供すること、並びに、これを圧縮成形してなる再生メラミン樹脂成形品、食器、及び再生メラミン樹脂成形品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく本発明では以下(1)〜(6)の手段を講じている。
(1)本発明の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10は、再生メラミン樹脂成形品の粉砕粉末を主成分として含まない使用済メラミン樹脂成形品の粉砕粉末と、再生メラミン樹脂材料を含まないメラミン樹脂材料とが混合され、前記粉砕粉末の配合量が全重量比50〜65%であることを特徴とする。
【0009】
粉砕粉末の配合量が圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10全体に対して重量比50〜65%であると、使用済みメラミン樹脂成形品の再生利用によるメリットを享受しつつ形状の対応性に優れたものとなる。本構成は後述する実施例1〜4の全てに対応する。
【0010】
なお本発明にいう「使用済メラミン樹脂成形品」とは、再生メラミン樹脂成形品の粉砕粉末(いわゆる二次再生メラミン樹脂材料)を主成分として含まない一次成形品であって、メラミン樹脂成形品として使用されたのちの中古品をいい、二次再生メラミン樹脂材料を多くとも重量比50%以上混合されていないことを条件とする。なお「主成分として含まない」とは、メラミン樹脂材料が再生メラミン樹脂成形品の粉砕粉末と他の樹脂材料とからなる場合であって、再生メラミン樹脂成形品の粉砕粉末の重量比成分の割合が、他の成分よりも大きくないことを意味する。
【0011】
例えば本発明の圧縮成形用の再生メラミン樹脂材料1からなるメラミン樹脂成形品であって、成形樹脂材料内に既に使用済メラミン樹脂成形品の粉末を50%含むものは、再生メラミン樹脂材料を「主成分として」含むものであるから、本発明の圧縮成形用の再生メラミン樹脂材料の粉砕粉末1の材料から除かれる。
【0012】
実施例では圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10に黒色着色材を含有させ、さらに金型に艶消しシボ加工1sを施し成形している。その他、白色の使用済メラミン樹脂成形品の粉砕粉末のみを使用して再生メラミン樹脂成形品を成形してもよい。
【0013】
(2)本発明の再生メラミン樹脂成形品は、前記の「圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10」から成形された、使用済メラミン樹脂成形品を含有する再生メラミン樹脂成形品であって、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10は全重量比0.5%以上の黒色着色剤を含み、成形後の表面全体に艶消しシボ加工1sが施されたものである。
【0014】
0.5%以上の黒色着色剤の含有と、表面全体の艶消しシボ加工1sとの相乗効果によって、色のばらつきやムラが改善された再生メラミン樹脂成形品を得ることができる。
本構成は後述する実施例1(図1,2)の外側面にて再生樹脂成形部1が露出した部分に対応する。本構成によれば、黒色着色剤の混合に基づく自然着色と、成形表面の艶消しシボ加工1sの形成との相乗効果によって、再生メラミン樹脂材料のロットによる色のばらつき、食器成形時の光沢ムラ、色ムラが改善され、体裁が良くなる。
【0015】
(3)本発明の食器は、上記の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10が食器形状に圧縮成形された食器であって、少なくとも食器内面から食器の上縁部1eに亘る領域(コーティング領域)に、再生メラミン樹脂材料を含まないグレーズ材料20からなるグレーズコーティング層2が形成されてなることを特徴とする。
【0016】
本構成は後述する実施例1〜4(図1〜図7)に対応する。成形品表面をグレーズコーティングすることで、成形品表面の強度を向上させることができる。これはグレーズコーティングの新たな技術的意義であり、単なる表面加工のためのグレーズコーティング層2とは異なり、均一な薄い皮膜層を形成することで耐衝撃性の向上を兼ねている。この構成及び技術的意義は、本発明の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10の樹脂成形においてこそ有意なものとなっている。
【0017】
またグレーズコーティング層2を形成することで、収容された食品が直接、再生メラミン樹脂材料成形部と接することがないため衛生的となっている。これにより回収・粉砕等の過程における異物混入の問題が解消され、食品衛生法にも適合するものとなる。
【0018】
上記の意義としてグレーズコーティング層2を形成する場合、顔料を含まない透明なグレーズ材料20を使用することもできる。
【0019】
なお上記食器は、(1)記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10から成形された再生樹脂成形部1を主構成材とする再生メラミン樹脂成形品である。
【0020】
(4)上記食器において、前記グレーズコーティング層2の層表面に絵付け用のホイル3を圧縮成形してなることが好ましい。
【0021】
本構成は後述する実施例1(図1、2)に対応する。本構成によれば、本発明の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10からなる再生メラミン樹脂成形品の表面には、再生メラミン樹脂材料の粉砕粉末の混合によって色ムラ、模様ムラ(まだら模様)が現れるところ、従来のように、ホイル3による絵付け処理を成形樹脂上に対して直接行った場合では、素地は暗色に限られるので絵柄は見えない、あるいは色ムラや模様ムラが裏移りしてホイル3表面の模様、文字がぼやけたり、発色の彩度がおちたり、あるいは模様自体がゆがんだりする可能性がある。これに対して、白色など有色のグレーズコーティング層2を絵付け用のホイル3の下地層として用いることで、再生メラミン樹脂成形品の表面のまだら模様や色ムラの裏写りがなくなる。但し上記記載においてグレーズコーティング層2を有色のものに限る趣旨ではなく、透明のものあるいは透明性を有するものでもよい。なお、上記食器もまた、(1)記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10から成形された再生樹脂成形部1を主構成材とする再生メラミン樹脂成形品である。
【0022】
(5)本発明の再生メラミン樹脂成形品の製造方法は、
第一成形部11と第二成形部12とが一体成形され、内側または外側の少なくとも一面からなるコーティング領域にグレーズコーティング層2が形成された再生メラミン樹脂成形品の製造方法であって、
請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を第一成形材料として下金型M1内に供給し、下金型M1に対応する上金型M2によって第一成形部11を圧縮成形する第一成形工程と、
前記成形した第一成形部11の上下を反転させて上金型M2上に配置し、この反転させた第一成形部11上に請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を第二成形材料として供給し、反転させた上金型M2に対応する金型(下金型M1’)によって、第一成形部11上に第二成形部12を圧縮成形する第二成形工程と、
第一成形工程後であって第二成形工程の前、あるいは第二成形工程後の少なくともいずれかにおいて、再生メラミン樹脂成形品の上縁部1eを含む内側または外側部分のコーティング領域に、再生メラミン樹脂材料でないグレーズ材料20によるグレーズコーティング層2の形成を行うグレーズ成形工程とを具備する。
【0023】
本製造方法は後述する実施例2、3に対応する。本製造方法によれば、再生メラミン樹脂成形品表面の所定のコーティング領域にグレーズコーティング層2が形成される。所定のコーティング領域とは例えば食器においては、少なくとも食器内面全体および食器外面の縁部に亘る部分である。圧縮成形品の上縁部1eを含む内側部分にグレーズコーティング層2の形成が行われると、食品接触面である皿や容器などの内側に再生メラミン樹脂成形部が内部上面に露出することなく、収容物を衛生的に載置または収容できる。
【0024】
またグレーズコーティング層2によって再生メラミン樹脂成形材料を含まない材料からなる薄い皮膜層を外皮形成することで、耐衝撃強度を向上させる効果が生じる。なおグレーズコーティング層2のグレーズ材料20は有色あるいは無色のいずれでもよい。例えば圧縮成形品の上縁部1eを含む外側部分に、白色など有色のグレーズコーティング層2の形成が行われると、容器などの外側面に再生メラミン樹脂成形部の色ムラや模様ムラが露出しないため、外観上の体裁の良いものとなる。
【0025】
(6)前記再生メラミン樹脂成形品の製造方法において、
第一成形工程又は第二成形工程の少なくともいずれかは、請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を中央寄りの位置へ供給すると共に、金型のパート部P寄りの縁部に沿う位置へ、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を含まない有色の未成形の化粧メラミン樹脂材料40を供給するものであり、この未成形の化粧メラミン樹脂材料40が、圧縮成形によって、パート部Pを含む縁部を構成する化粧メラミン樹脂成形部4となることが好ましい。
【0026】
本製造方法は後述する実施例2、3に対応し、各製造方法としてそれぞれ図3、図4に説明される。本製造方法によれば、パート部Pを含む縁部が化粧メラミン樹脂成形部4から構成されるため、パート部Pの仕上げ後にも、再生メラミン樹脂成形品部が表側に露出することがない。黒色着色剤を含む暗色の再生樹脂成形部1の代わりに化粧メラミン樹脂成形部4が露出することとなる。化粧メラミン樹脂材料40は再生樹脂成形材料と共に圧縮成形され、再生メラミン樹脂成形品のパート部Pを含む縁部を、再生樹脂材料と一体的に構成する。
【0027】
なお化粧メラミン樹脂成形部4の化粧メラミン樹脂材料40は有色あるいは無色のいずれでもよい。例えばグレーズコーティング層2と同色の化粧メラミン樹脂材料40を使用すれば、グレーズコーティング層2とメラミン樹脂成形部4との境界が目立たず、体裁の良いものとなる。
【発明の効果】
【0028】
上記手段を講じることで、成形形状の対応性に優れ、圧縮成形によってもオーバーキュアが発生し難く、確実に固化するものであって、成形後の衝撃耐久性にも優れた圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を提供すること、及びこの再生メラミン樹脂材料による、食器を含む再生メラミン樹脂成形品やその製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1の再生メラミン樹脂成形品の正面視断面説明図。
【図2】実施例1の上縁部1e付近(図1のα部)の拡大断面説明図。
【図3】本発明の実施例2の再生メラミン樹脂成形品の製造方法のうち、内子成形部11の成形までの第一成形工程を示す製造工程説明図。
【図4】実施例2の再生メラミン樹脂成形品の製造方法のうち、内子成形部11の成形より後の第二成形工程を示す製造工程説明図。
【図5】実施例2の再生メラミン樹脂成形品における上縁部1e付近の正面視拡大断面説明図。
【図6】本発明の実施例3の再生メラミン樹脂成形品における上縁部1e付近の正面視拡大断面説明図。
【図7】本発明の実施例4の再生メラミン樹脂成形品における上縁部1e付近の正面視拡大断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の最良の実施形態について、各実施例として示す各図とともに説明する。図1,2は実施例1、図3〜5は実施例2、図6は実施例3、そして図7は実施例4の再生メラミン樹脂成形品を示す。このうち図3,4は実施例2の製造方法における各工程である。
【0031】
(圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10)
本発明の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10は、樹脂製品の形状対応性、成形後の耐衝撃性に優れた、圧縮成形用の樹脂材料である。そのため、高温高圧での圧縮成形であっても確実に固化することができる。基本的には圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10は、再生メラミン樹脂材料を主成分として含まない使用済メラミン樹脂成形品の粉砕粉末と、再生メラミン樹脂材料を含まないメラミン樹脂材料とが混練されたものであって、前記粉砕粉末の配合量が全重量比50〜65%であり、黒色着色剤を全重量比0.5%以上含有したものである。
【0032】
ここで本発明でいう「メラミン樹脂材料」とは、メラミンとホルムアルデヒドの縮合反応によってできるメラミン・ホルムアルデヒド樹脂材料のことである。例えば重量比60〜70%分のメラミン樹脂材料(メラミン・ホルムアルデヒド樹脂材料)を、重量比30〜40%分のパルプに含浸させ、さらに重量比0.05〜0.10%分の触媒、重量比0.10〜0.50%分の滑剤、重量比0.1〜0.5%分の着色剤を加えたものが、メラミン樹脂材料として使用される。
【0033】
(粉砕粉末)
また粉砕粉末とは、一粒当たりの粒子径200μm以下の粉砕物に限る趣旨である。なお実際には、粒子径は小さければ小さいほど良い。使用済メラミン樹脂成形品の粉砕粉末は再生メラミン樹脂材料を主成分として含まなければよく、主成分にならない限りで含んでいても良い。この場合には硬化が早く進み、表面が曇り様となるため、表面体裁の選択によって採用する場合も考えられる。一方再生メラミン樹脂材料を全く含まない場合には、混合量等の調整によって耐衝撃性、形状対応性を向上させることができる。
【0034】
(粉砕粉末の混合量)
粉砕粉末の配合量は、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10全体に対して重量比50〜65%となっている。強度不足を補うため、未使用のメラミン樹脂材料を組み合わせている。前記配合率であると、強度と再生率のバランスが高次に保たれる。また使用済みメラミン成形品の粉砕粉末と、未使用のメラミン樹脂材料との混合重量比は(50〜65):(50〜35)であることが好ましい。
【0035】
この重量比50〜65%とは、実験結果に基づくもので、特に68%以上だと圧縮成形によって固化しきれない場合があり、50%未満だと使用済みメラミンを混合する実用上のメリット(不燃物処理が必要な産業廃棄物の発生の防止と、新品利用と同等以上のコスト面の改善)に乏しいものとなる。
【0036】
なお後述するように、50%以上であればエコマーク認定の対象となる。
【0037】
(再生メラミン樹脂成形品)
再生メラミン樹脂成形品は、上記圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10から成形された、使用済メラミン樹脂成形品を含有する。
【0038】
(成形性と外観評価、耐衝撃性試験)
使用済メラミン成形品を粉砕した粉末の50%・55%・60%・65%・68%の配合率別に、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10のみからなる成形サンプルB〜F(グレーズコーティング層2やホイル3や化粧メラミン樹脂成形部4を有さず、表面が平滑なもの)を作製し、成形性及びJIS S 2029に基づく成形品の外観を、粉砕粉末を全く含まないメラミン樹脂材料からなる成形サンプルAと比較評価した。
【0039】
<成形条件>
1)成形品:11.5cm丸小皿
2)金型温度…凹型:171℃ 凸型:166℃
3)ガス抜き…有り:昇圧後1回
4)成形圧力…150kg/cm2
5)硬化時間…55秒
6)使用材料:パナソニック電工四日市株式会社製MM993X21K(黒色の原料)
Lot:8X−6109
A( 0%):(再生原料 0%)
B(50%): (再生原料50%)
C(55%):(再生原料55%)
D(60%):(再生原料60%)
E(65%):(再生原料65%)
F(68%):(再生原料68%)
成形性の評価結果を下表1に示す。
【0040】
【表1】

上記×ではかすれ(充填不足)が発生し、成形性に欠ける結果になった。それ以外は製品として問題なく成形された。このことから0〜65%で成形性良好であり、68%を臨界として成形性に劣ることが分かった。
【0041】
またJIS S2029に基づく下記の外観評価項目(抜粋)による評価を行った。その結果を下表2に示す。
(JIS S 2029に基づく外観評価項目(抜粋))
a)かけ、き裂、ひび及び充てん不足があってはならない。
b)異物、泡、型きず、ひけマーク、ウェルドマーク、フロートライン、ばり、膨れ及びその他の傷が目立ってはならない。
c)ぬれた布でふいても落ちないような汚れが目立ってはならない。
d)変色、退色、色むら(装飾を目的としたものは除く。)、くもりなどが目立ってはならない。
【0042】
【表2】

サンプルA〜Dでは評価項目a〜dのいずれも良好または製品としての限度内であったが、サンプルEでは評価項目dで明確な外観不良、サンプルFではすべてで外観不良であり、そのままでは製品化できないという評価になった。
【0043】
(黒色着色剤の混入と艶消しシボ加工1s)
黒色着色剤を混入することによって外観が明らかに改善され、さらに成形金型の金型面の加工によって製品表面に艶消しシボ加工1sを施すことで、外観が改善する。このうちのいずれかを採用してもよく、両方を採用しても良い。
【0044】
例えば両方を採用した態様として、再生メラミン樹脂成形品の成形原料である圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10は、カーボン原料をはじめとする黒色着色剤を少なくとも全重量比0.5%以上含み、成形表面全体に艶消しシボ加工1sが施されたものであることが好ましい。
【0045】
(黒色着色剤について)
黒色着色剤の顔料を少なくとも全重量比0.5%以上含有することで、確実な暗色化を達成し、色度、色ムラが外観に影響しない程度となる。中でも含有量1.0%以上であると、再生メラミン樹脂成形品にしたときのムラを目立たなくするだけの確実な着色ができる。また黒色着色剤は例えば実施例のようにカーボンブラックを用いることができ、これ以外にも、マピコブラックBL−100・BL500(製品名)、トダカラーKN320(製品名)等を用いることができ、黒色の顔料である限り限定されない。
【0046】
(外観の改善性について)
前記表2は黒色着色剤を含まず、成形表面を平滑なものとした場合である。これに対して、黒色着色剤として圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10にカーボンを全重量比0.5%含有させ、さらに成形金型の表面加工によって、外側の成形面全体に艶消しシボ加工1sを施して粗表面に仕上げた。
【0047】
サンプルA〜Fそれぞれにおいて、圧縮成形時に表面に黒色着色剤を重量比1.0%だけ混入し、かつ艶消しシボ加工1sを施したサンプルA´〜F´を作成し、JIS S2029に基づく外観の改善性を評価した。評価結果を下表3に示す。
【0048】
【表3】

(グレーズコーティング層2)
そして本発明では、少なくとも食器内面又は外面のいずれかから上縁部1eに亘る領域をコーティング領域としており、このコーティング領域に、再生メラミン樹脂材料を含まない有色のグレーズ材料20からなるグレーズコーティング層2が形成される。特に有色のグレーズ材料20を使用した場合には、食品の接する部分がグレーズコーティングによって何色にも自在に着色されると共に保護された形態となる。食器上に載置または収容された食品は、着色されたグレーズコーティング表面に映えて食器としての使用に適した状態となる。
【0049】
グレーズコーティング層2は、少なくとも片面に層形成されるものであれば、食器内面を含む片面のみの層形成、食器内面に限らず食器内面、外面のいずれかのみへの層形成、両面への層形成、のいずれの層形成形態でもよい。
【0050】
グレーズコーティング層2の構成材であるグレーズ材料20は無色、有色のいずれでもよい。実施例では着色剤を含んだ有色のグレーズ材料20、特に白色のグレーズ材料20を使用して発色の鮮やかさを出しているが、他に透明のグレーズ材料20を用いてもよい。このグレーズコーティング層2による外観の改善評価結果を以下に掲載する。
【0051】
(グレーズコーティング層2による耐衝撃性試験結果)
サンプルA〜Fそれぞれにおいて、さらなる圧縮成形によって表面にグレーズコーティング層を成形したサンプルA’ ’〜F ’ ’を作成し、JIS S 2029に基づく外観の改善性を評価した。評価結果を下表4に示す。
【0052】
【表4】

さらに製品表面のグレーズコーティング層2(重量比1%配合)の有無による耐衝撃性を評価した。結果を下表5,6に示す。なお耐衝撃性は、JIS S 2029に基づく耐衝撃性試験(表5)とシャルピー衝撃試験による評価(表6)とした。
【0053】
【表5】

JIS S 2029に基づく耐衝撃性試験によれば、耐衝撃性は、再生原料配合率が高い程、低下する傾向にあることが判明した。またグレーズ有無での耐衝撃性の相違については、グレーズ無よりグレーズ有の耐衝撃性が向上することが判明した。
【0054】
【表6】

デュポン式耐衝撃性結果によれば、表5と同様に、再生原料の配合率が高いほど耐衝撃性が劣るものであったが、サンプルB〜Dでは、グレーズコーティング層2を形成することでグレーズコーティング層2がない再生メラミン樹脂を含まない場合と同程度の耐衝撃性を確保できることが判明した。
【0055】
上記評価より、配合率65%までが成形可能な範囲であるが、外観を加味すると、表面平滑であって艶消しシボ加工1sを行わなければ60%が限界である。耐衝撃性は、全ての配合率で問題なく、実用性を十分有することが確認できた。特にグレーズコーティング層2によって更に製品強度が高まることが判明した。
【実施例1】
【0056】
実施例1(図1,2)の再生メラミン樹脂成形品は、前記圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10から成形された、使用済メラミン樹脂成形品を含有する再生メラミン樹脂成形品であって、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10は全重量比0.5%以上の黒色着色剤を含み、圧縮成形用再生樹脂材料によって一体成形されてなる。また本実施例では、再生メラミン樹脂材料を含まない使用済メラミン樹脂成形品の粉砕粉末と、再生メラミン樹脂材料を含まない未使用のメラミン樹脂材料とが混練された圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10が、食器形状に圧縮成形される。
【0057】
外側面の成形面は、艶消しシボ加工1sを施した金型によって圧縮成形されることで、粗表面に仕上げられる。また内側面の成形面には、再生メラミン樹脂材料を含まない白色有色のグレーズ材料20からなるグレーズコーティング層2が形成され、その層表面に絵付け用のホイル3が圧縮形成される(図1、図2)。これにより再生樹脂成形部1の素地の色が強くても、ホイル3による自由な絵付けが可能となる。
【0058】
(グレーズコーティング層2)
実施例1のグレーズコーティング層2は、容器の上縁から内側面、内側底面に亘るコーティング領域に、再生メラミン樹脂材料でない白色のグレーズ材料20によってグレーズコーティング成形されることで得られる。グレーズ材料20は再生メラミン樹脂材料を含まない化粧用の未使用材料からなる。
【0059】
(ホイル3)
実施例1の食器のグレーズコーティング層2には、層表面に絵付け用のホイル3を圧縮成形してなる。絵付け用のホイル3は、再生メラミン樹脂成形品に絵付けをするための材料であって、のびが少なく強度があり透明性を有した紙材又は布材に、食品衛生法に適合する耐熱インクで絵柄、模様、文字を印刷した上、メラミン樹脂材料を含浸させ、乾燥させて得られたものである。印刷および樹脂液の含浸を終えた含浸紙又は含浸布を所定の形状に裁断して、製品形状に馴染むよう貼り合わせる。例えば小鉢等の側面に絵付けする場合は、側面形状に沿った扇形に抜き取って貼り合わせる。本発明では特に、再生メラミン樹脂成形品であっても基準以上の美感や体裁を確保するために、有色のグレーズコーティング層2の上にホイル3を貼り付けるものとしている。特に明色である白色のグレーズコーティング層2を下地材として使用することで、ホイル3の表面に付した模様等の発色性が向上するものとなる。
【0060】
(製造方法例)
実施例1の再生メラミン樹脂成形品は、少なくとも下記工程を順に具備して製造される。
・前記圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を内子成形材料として下金型M1上に供給し、下金型M1に対応する上金型M2によって凹状のメラミン樹脂成形品1を圧縮成形する成形工程
・成形工程によって得られた再生メラミン樹脂成形品の内側または外側部分のコーティング領域に、再生メラミン樹脂材料でないグレーズ材料20によるグレーズコーティング成形を行うグレーズ成形工程
・グレーズ成形工程ののち、グレーズコーティング層2の層表面に、絵付け処理のホイル3を圧縮成形するホイル成形工程
(艶消しシボ加工1s)
上記のうち特に成形工程において、下金型M2には食器の外周側面に対応した金型面に、艶消しシボ加工のための表面加工が施されている。これにより、実施例1の上縁部1eを境界とした下方外側(外側面から裏面までの全面)には、成形工程を得ると同時に艶消しシボ加工1sが施される(図1)。
【実施例2】
【0061】
実施例2の再生メラミン樹脂成形品(図3〜5)は、パート部Pを含む上縁部1eに化粧メラミン成形部4を形成し、両面にホイル3を圧縮形成し、その上から両面にグレーズコーティング層2を形成したものである。具体的には図5に示すように、一体化成形される内子成形部11と外子成形部12の表面に、それぞれホイル31,32が固着され、ホイル31,32それぞれの表面を含む領域に、最外層としてグレーズコーティング層2が形成されている。また、縁部先端の高さ方向中央位置がパート部Pとなる。縁部先端には、パート部Pの上側から下側に亘る化粧メラミン樹脂成形部4が設けられ、再生樹脂成形部1が外部に露出しないようになっている。
【0062】
(化粧メラミン樹脂成形部4)
化粧メラミン樹脂成形部4は、メラミン樹脂材料粉40が圧縮成形されてできた成形部分である(図5)。外子成形部12の成形時に、金型のパート部P寄りの縁部に沿う位置へ供給され、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10と共に圧縮成形されることで、このパート部Pを含む縁部を構成する化粧メラミン樹脂成形部4が得られる。
【0063】
(製造方法例)
実施例2の再生メラミン樹脂成形品は、図3に示される内子成形部11を成形するまでの第一工程と、図4に示される内子成形部11を成形した後の第二工程とに大別される。具体的には少なくとも下記工程を順に具備して製造される。
【0064】
(第一工程(図3))
・圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を内子成形材料として下金型M1上に供給し、下金型M1に対応する上金型M2によって凹状の内子成形部11を圧縮成形する内子成形工程
・内子成形工程によって得られた内子成形部11の内側面に、内面絵付け処理用のホイル31を圧縮成形する内面ホイル成形工程
・ホイル成形工程後に、内子成形部11の内側部分のホイル3成形部よりも大きいコーティング領域に、再生メラミン樹脂材料でないグレーズ材料20によるグレーズコーティング成形を行うグレーズ成形工程
・グレーズ成形工程後の内子成形部11の上縁部11e0に発生したバリを研磨して、上縁部11eが整えられた内子成形品に仕上げる仕上げ工程(ここまで図3)
(第二工程(図4))
・前記第一工程で得られた内子成形品を、上金型M2を反転させた第二工程用の下金型M2上に配置し、その上の中央部付近に外子成形材料としての圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を、パート部P付近に化粧メラミン樹脂材料粉40をそれぞれ供給し、下金型M2に対応する上金型M1´(実施例では第一工程の下金型M1を反転させたものと同様の金型であって、艶消しシボ加工1s用の表面加工が施されたもの)によって、外子成形部12を圧縮成形し、内子成形品と一体化した一体成形品を得る外子成形工程
・外子成形工程によって得られた一体成形品の外側面に、外面絵付け処理用のホイル31を圧縮成形する内面ホイル成形工程
・ホイル成形工程後に、内子成形品11の内側部分のホイル3成形部よりも大きいコーティング領域に、再生メラミン樹脂材料でないグレーズ材料20によるグレーズコーティング成形を行うグレーズ成形工程
・グレーズ成形工程後の一体成形品の上縁部12e0に発生したバリを研磨して、上縁部12eが整えられた再生メラミン樹脂成形品に仕上げる仕上げ工程(ここまで図4)
(化粧メラミン樹脂成形部4の成形工程)
上記第二工程においては特に、外子成形工程において、縁部先端に化粧メラミン樹脂成形部4を形成すべく、内子成形工程において縁部を予め寸足らずに成形しておき、外子成形工程においてのみ、上記化粧メラミン樹脂材料粉40を供給することを特徴とする。これにより内子成形部11での化粧メラミン樹脂成形部4の作成の手間を省き、外子成形部12にそれぞれ、化粧メラミン樹脂材料粉40に基づく化粧メラミン樹脂成形部4が内部に一体的に形成される。つまり実施例2の化粧メラミン樹脂成形部4は、内子成形部11の縁部から外子成形部12の縁部に亘ってこれら両成形部11,12と固着して形成される。
【0065】
具体的には、金型のパート部Pを含む上縁部1eが化粧成形部となる方式として、実施例1記載の製造方法のうち、内子成形工程又は外子成形工程の少なくともいずれかにおいて、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を中央寄りの位置へ供給すると共に、金型のパート部P寄りの縁部に沿う位置へ、再生メラミン樹脂材料を含まない有色又は無色のメラミン樹脂材料粉40を供給してから圧縮成形される。圧縮成形によりメラミン樹脂材料粉40が化粧メラミン樹脂成形部4となる。
【0066】
なお仕上げ後の美感や体裁の面で、化粧メラミン樹脂材料粉40は、グレーズ材料20と同じ色の顔料を含んだ有色の材料であることが好ましい。特に化粧メラミン樹脂材料粉40とグレーズ材料20とが同配合であると、化粧メラミン樹脂成形部4とグレーズコーティング層2とがなじみやすく、層境界が目立たないため好ましい。また、縁部を研磨によって仕上げた場合でも、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料からなる外子整形部12を完全に包み込むことができ、安全衛生面での問題が解消される。その他、外周面の艶消しシボ加工1s、食器状の外形をはじめ、他の特記しない構成は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0067】
本発明の実施例3の再生メラミン樹脂成形品は図6に示すように、化粧メラミン樹脂成形部4が、内子成形部11の一部である第一化粧メラミン樹脂成形部41と、外子成形部12の一部である第二化粧メラミン樹脂成形部42とからなる。これは上記実施例2の製造方法の各工程のうち、内子成形工程、外子成形工程の両工程において、上記メラミン樹脂材料粉40を供給することによって得られたものであり。内子成形部11、外子成形部12にそれぞれ、化粧メラミン樹脂材料粉40に基づく化粧メラミン樹脂成形部4が上縁部1e及びその内側の縁部に一体的に形成される。
【0068】
具体的には内子成形工程では、下金型M1内に、請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を供給すると共に、金型のパート部P寄りの縁部に沿って、再生メラミン樹脂材料を含まない第一の化粧メラミン樹脂材料粉40を供給する。この第一の化粧メラミン樹脂材料粉40は、圧縮成形によって第一化粧メラミン樹脂成形部41となる。第一化粧メラミン樹脂成形部41は、内子成形部11の一部として再生樹脂材料と共に一体成形され、パート部Pを含む縁部先端を構成する。
【0069】
そして外子成形工程では、反転させて凸状に配置した第一成形部11上に請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料10を供給すると共に、上縁部1eに対応する金型のパート部P寄りの縁部(すなわち、上縁部1eの部分を含む食器の上部付近)に沿って、再生メラミン樹脂材料を含まない第二の化粧メラミン樹脂材料粉40を供給する。この第二の化粧メラミン樹脂材料粉40は、圧縮成形によって第二化粧メラミン樹脂成形部42となる。第二化粧メラミン樹脂成形部42は、外子成形部12の一部として再生樹脂材料と共に一体成形され、パート部Pを含む縁部を構成する。
【0070】
なお仕上げ後の美感や体裁の面で、第一化粧メラミン樹脂成形部41は、第二化粧メラミン樹脂成形部42と同色であり、かつグレーズ材料20と同じ色の顔料を含んだ有色の材料であることが好ましい。他の特記しない構成は実施例2と同様である。
【実施例4】
【0071】
本発明の実施例4の再生メラミン樹脂成形品は図7に示すように、内側面にホイル3を圧縮形成しておらず、内側面にはグレーズコーティング層2が露出する。また内外面とも、表面平滑であって艶消しシボ加工1sを施していない。実施例4の製造工程では実施例1の製造方法においてホイル成形工程が除かれる。また成形工程において、外側面の金型に艶消しシボ加工1sのための表面加工は施されていない。他の特記しない構成は実施例1と同様である。
【0072】
(配合量50%以上の基準について)
(財)日本環境協会はエコマークを認定しているが、資源保全のエコマーク認定を受けるには、市場から回収した製品を50%以上混合する必要がある。つまりは50%以上なら環境保全に役立つという認識である。使用済メラミン樹脂成形品を60%含む材料ならグレーズコーティング層2や化粧メラミン成形部4などにリサイクルでない材料を用いても、容易に50%以上の基準を達成できる。他の特記しない構成は実施例2と同様である。本発明では、グレーズコーティングした成形品でも、使用済みメラミン樹脂成形品の割合を以下に示すようにすることで、50%以上の基準を満たすこととなる。
(イ)まず実施例1、4のような片面グレーズ領域の形態の場合、一般的な製品重量は100〜500g程度であり、このときのグレーズ材料20は2〜3g程度である。製品が大きくなってもグレーズ材料20はさほど増やす必要がないため、製品が小さいときのほうがグレーズ材料20の配合率が高い。そこで最小の製品全重量100g、このときのグレーズ材料202gとして試算すると、再生メラミン樹脂材料は98gとなる。よって使用済みメラミン樹脂成形品の粉砕粉末の配合量50%以上を満たすなら、50g÷98g×100=51.02%となる。この小数点以下を繰上げして、全体比配合量50%以上を確保するためには使用済みメラミン樹脂成形品の粉砕粉末の配合量52%以上が必要となる。
【0073】
(ロ)次に両面グレーズ領域の形態の場合、一般的な最小の製品全重量は100g程度であり、このときのグレーズ材料20は5g程度である。再生メラミン樹脂材料は95gとなるため、使用済みメラミン樹脂成形品の粉砕粉末の配合量50%以上を満たすなら、50g÷95g×100=52.63%となる。この小数点以下を繰上げして、全体比配合量50%以上を確保するためには使用済みメラミン樹脂成形品の粉砕粉末の配合量53%以上が必要となる。
【0074】
(ハ)そして実施例2、3のように、化粧メラミン樹脂成形部4を形成し、かつ両面をグレーズ領域とする場合には、一般的な最小の製品全重量は100g程度であり、化粧メラミン樹脂成形部4とグレーズ材料20は合計で16g程度である。再生メラミン樹脂材料はその差84gとなるため、使用済みメラミン樹脂成形品の粉砕粉末の配合量50%以上を満たすなら、50g÷84g×100=59.52%となる。この小数点以下を繰上げして、全体比配合量50%以上を確保するためには使用済みメラミン樹脂成形品の粉砕粉末の配合量60%以上が必要となる。
【0075】
(本実施例の作用効果)
本実施例の再生メラミン樹脂成形品或いは再生メラミン樹脂材料は上記のような構成、製造方法によることで以下の作用効果を有する。
・グレーズを形成した。製品強度を補強することができた。色調を自由に変えることができた。食品の接触面で安全衛生上の異物混入の問題がなくなった。
・絵付け用のホイル3を白色グレーズコーティング層2の層表面に圧縮形成することで色映えする絵柄を形成することができた。
・廃棄物を減らすことで、環境保全に役立つメラミン樹脂成形品が得られた。
・再生メラミン樹脂材料を使うことにより、製造コストを抑えることができた。
・ 既存の圧縮成形設備を使用して成形することができた。
【0076】
その他本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜構成の組み合わせ、抽出、削除、工程の抽出が可能である。例えば各実施例において絵付け処理であるホイル3の固着の有無、最表面への透明のグレーズコーティング層23(外層)の形成の有無は必要に応じて選択して行われ,各層の層形成順序の変更や層の組合せの変更も適宜行われる。また各実施例において成形品の形状やグレーズ領域、グレーズコーティング層2の層形成の有無、ないしホイル3の圧縮形成の有無は適宜設定される。
【符号の説明】
【0077】
1 再生樹脂成形部
10 圧縮成形用再生メラミン樹脂材料
11 第一成形部
12 第二成形部
1e 上縁部
1s 艶消しシボ加工
2 グレーズコーティング層
20 グレーズ材料
3 ホイル
31 内側絵付け用のホイル
32 外側絵付け用のホイル
40 化粧メラミン樹脂材料粉
4 化粧メラミン樹脂成形部
41 第一化粧メラミン樹脂成形部
42 第二化粧メラミン樹脂成形部
P パート部
M1 第一金型
M2 第二金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生メラミン樹脂成形品の粉砕粉末を主成分として含まない使用済メラミン樹脂成形品の粉砕粉末と、再生メラミン樹脂材料を含まないメラミン樹脂材料とが混合され、前記粉砕粉末の配合量が全重量比50〜65%であることを特徴とする圧縮成形用再生メラミン樹脂材料。
【請求項2】
請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料から成形された、使用済メラミン樹脂成形品を含有する再生メラミン樹脂成形品であって、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料は全重量比0.5%以上の黒色着色剤を含み、成形後の表面全体に艶消しシボ加工が施された再生メラミン樹脂成形品。
【請求項3】
請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料が、上縁部を有する食器形状に圧縮成形された食器であって、少なくとも食器内面から上縁部に亘る領域に、再生メラミン樹脂材料を含まないグレーズ材料からなるグレーズコーティング層が形成されてなる食器。
【請求項4】
請求項3記載のグレーズコーティング層2の層表面に絵付け用のホイルを圧縮成形してなる食器。
【請求項5】
第一成形部と第二成形部とが一体成形され、内側または外側の少なくとも一面からなるコーティング領域にグレーズコーティング層が形成された再生メラミン樹脂成形品の製造方法であって、
請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料を第一成形材料として下金型内に供給し、下金型に対応する上金型によって第一成形部を圧縮成形する第一成形工程と、
前記成形した第一成形部の上下を反転させて上金型上に配置し、この反転させた第一成形部上に請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料を第二成形材料として供給し、下金型によって、第一成形部上に第二成形部を圧縮成形する第二成形工程と、
第一成形工程後であって第二成形工程の前、あるいは第二成形工程後の少なくともいずれかにおいて、再生メラミン樹脂成形品の上縁部を含む内側または外側部分のコーティング領域に、再生メラミン樹脂材料でないグレーズ材料によるグレーズコーティング成形を行うグレーズ成形工程とを具備する再生メラミン樹脂成形品の製造方法。
【請求項6】
第一成形工程又は第二成形工程の少なくともいずれかは、請求項1記載の圧縮成形用再生メラミン樹脂材料を中央寄りの位置へ供給すると共に、金型のパート部P寄りの縁部に沿う位置へ、圧縮成形用再生メラミン樹脂材料を含まない未成形の化粧メラミン樹脂材料を供給するものであり、この未成形の化粧メラミン樹脂材料が、圧縮成形によって、パート部Pを含む縁部を構成する化粧メラミン樹脂成形部となる請求項5記載の再生メラミン樹脂成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−195871(P2010−195871A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40024(P2009−40024)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(394008329)国際化工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】