説明

圧縮機用電子回路装置

【課題】電子部品の発熱を確実に収納ボックスの外へ放熱するとともに、電子部品の発熱や収納ボックスの外気温の温度変化などに対して信頼性が高く、組み立て作業性の良い安価な圧縮機用電子回路装置を提供する。
【解決手段】半導体素子29の放熱を行うヒートシンク25と収納ボックス1の外郭であるアルミ板37とを絶縁シート49を介して熱接触させるとともに、収納ボックス1に設けた突出部にゴムブッシュ24を取り付け、圧縮されたゴムブッシュ24によってヒートシンク25がアルミ板37に圧接触するようにしたもので、半導体素子29の発熱を収納ボックス1の外部へ放熱することができ、信頼性を向上させ、組み立て作業性も向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の電子部品を実装したプリント基板を収納ボックスの中に収納する構成をもち、冷凍冷蔵装置等に使用される密閉型電動圧縮機を駆動させるための圧縮機用電子回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機用電子回路装置において、半導体素子等の電子部品を実装したプリント基板は、収納ボックスの開口部より電子部品を実装したプリント基板を収納ボックス内に収納し、蓋にて収納ボックスの開口部を閉口する構成となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の固定方法を説明する。
【0004】
図8は特許文献1に記載された従来の圧縮機用電子回路装置の分解斜視図である。
【0005】
図8において、ナイロンやABS樹脂等の合成樹脂により射出成形された収納ボックス100には、内部にプリント基板104が収納できるように、プリント基板104の大きさに対して若干大きい開口部108を有している。
【0006】
プリント基板104には圧縮機駆動用の半導体素子112が実装されており、半導体素子112の温度低減のために熱伝導の良い金属で作られたヒートシンク116が半導体素子112に密着して取り付けられている。
【0007】
また、プリント基板104にはコネクタ120が実装されており、収納ボックス100にはコネクタ120の相対する位置が開口し、コード引出部124を形成している。
【0008】
プリント基板104の4箇所の角部には穴部128が設けられており、基板固定用ネジ132により収納ボックス100に固定できるようになっている。また、収納ボックス100の開口部108の4箇所の角部には取付け穴136が開けられているほか、蓋140の4箇所の角部には孔142が開けられており、蓋固定用ネジ146にて蓋140を収納ボックス100に固定して、開口部108を閉口できるようになっている。
【0009】
以上のように構成された圧縮機用電子回路装置について、以下その動作を説明する。
【0010】
圧縮機用電子回路装置の組み立ては、まず、コネクタ120がコード引出部124から外部と通信接続を可能となるように、プリント基板104は収納ボックス100の開口部108から挿入される。その後、プリント基板104の4箇所の穴部128を全て基板固定用ネジ132により、板厚方向に締付けられて収納ボックス100に固定される。最後に、蓋140の4個の孔142が蓋固定用ネジ146により収納ボックス100の開口部108に固定され、プリント基板104は収納ボックス100と蓋140により覆われ、組み立てが完了する。
【特許文献1】特開平11−317570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の構成では、圧縮機用電子回路装置に通電され駆動した際に、半導体素子112においては、ヒートシンク116が取り付けられてはいるものの、ヒートシンク116は収納ボックス100の外部の空気と熱交換することができないため、圧縮機駆動用の半導体素子112の発熱が収納ボックス100の内部に溜まってしまうことにより、半導体素子112の温度が上昇し、半導体素子112の信頼性が低下してしまうという課題を有していた。
【0012】
また、温度変化に伴い、プリント基板104と収納ボックス100の線膨張係数の違いに起因して、プリント基板104を固定している4箇所の穴部128に応力が加わり、結果としてプリント基板104が破損するという課題を有していた。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、電子部品の発熱や収納ボックスの外気温の変化など、広範囲な使用環境においても、電子部品の長期信頼性を確保するとともに、組み立て作業性の良い安価な圧縮機用電子回路装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機用電子回路装置は、プリント基板を収納ボックスの底部に配置して、プリント基板を弾力性のあるゴムブッシュにて収納ボックスの反開口部側から圧縮支持すると伴に、収納ボックスの開口部を塞ぐ蓋を熱伝導の良いアルミ板にて構成し、プリント基板に実装されたヒートシンクと収納ボックスの蓋が絶縁シートを介して熱接触するように構成したものであり、半導体素子の発熱をヒートシンクとアルミ板を介して収納ボックスの外へ放熱するという作用を有するとともに、温度変化が生じ、ヒートシンクと収納ボックスの線膨張係数に違いがある場合においても、ゴムブッシュが緩衝材となり、ヒートシンクとアルミ板の間に隙間が生じず、プリント基板とヒートシンクに過度の応力も加わらないという作用を有する。
【0015】
さらに、絶縁シートによりヒートシンクとアルミ板が絶縁されているため、もしヒートシンクが収納ボックスの内部で充電部に接触した場合においても、手の触れる可能性のあるアルミ板の絶縁性を保つことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の圧縮機用電子回路装置は、プリント基板に実装された半導体素子の発熱を収納ボックスの外へ放熱することができると伴に、電子部品の発熱や収納ボックスの外気温の変化が生じる場合においても、ヒートシンクとアルミ板の間の熱伝導を確実にし、温度変化による過度の応力も加わらないようにすることができるため、確実に温度上昇を抑えて信頼性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0017】
さらに、手の触れる可能性のあるアルミ板の絶縁性を保つことができ、安全性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
請求項1に記載の発明は、プリント基板と、前記プリント基板に実装された電子部品と、前記プリント基板に実装され、前記電子部品の発熱が伝導するヒートシンクと、前記プリント基板を収納し、少なくとも一方の面に開口部を備える収納ボックスと、前記収納ボックスの底部に配設され前記プリント基板を反開口部側から支持するゴムブッシュと、前記収納ボックスの開口部を閉口するように取り付けられたアルミ板と、前記ヒートシンクと前記アルミ板の間に挟まれて密着固定された絶縁シートとを備え、前記ヒートシンクの熱は前記絶縁シートを介して前記アルミ板に伝導するように形成されたものであるから、プリント基板に実装された半導体素子の発熱を収納ボックスの外へ放熱することができ、電子部品の発熱や収納ボックスの外気温の変化が生じる場合においても、ヒートシンクとアルミ板の間の熱伝導を確実にし、温度変化による過度の応力も加わらないようにすることができるため、確実に温度上昇を抑えて信頼性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0019】
また、絶縁シートによりヒートシンクとアルミ板が絶縁されているため、もしヒートシンクが収納ボックスの内部で充電部に接触した場合においても、手の触れる可能性のあるアルミ板の絶縁性を保つことができ、安全性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ゴムブッシュは空洞部を備えた筒状の形状とし、プリント基板に基板取り付け穴を設け、収納ボックスの底部に開口部に向かって突出した突出部を設け、前記ゴムブッシュの前記空洞部と前記プリント基板の前記穴部に前記収納ボックスの突出部を同時に挿入することで、前記ゴムブッシュと前記プリント基板を前記収納ボックス内の所定の位置に配置するように形成したものであるから、請求項1に記載の発明の効果に加えて、さらにゴムブッシュの収納ボックスへの取り付けを容易にし、組み立て作業の良い安価な圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、アルミ板の収納ボックス側の内側面に複数の突起部を設け、前記突起部で囲われた範囲内に絶縁シートを配設することで、前記絶縁シートを前記アルミ板内の所定の位置に配置するように形成したものであるから、絶縁シートのアルミ板への取り付けを容易にするとともに、絶縁シートの取り付け位置を正確にすることができるものであるから、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、さらに組み立て作業の良い安価で安全性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、絶縁シートとヒートシンクの間に熱伝導性の高い接着剤を塗布したものであるから、ヒートシンクの傾きや変形がある場合に発生するヒートシンクと絶縁シートの隙間を接着剤が埋めることにより、ヒートシンクとアルミ板および絶縁シートとの熱伝導を確実にすることができ、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、さらに信頼性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、絶縁シートとアルミ板の間に熱拡散コンパウンドを塗布したものであるから、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、さらにアルミ板と絶縁シートとの熱抵抗を低減し、信頼性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における圧縮機用電子回路装置の分解斜視図、図2は、同実施の形態における圧縮機用電子回路装置の斜視断面図、図3は同実施の形態におけるゴムブッシュの斜視図、図4は図3におけるA−A線での断面図、図5は同実施の形態におけるアルミ板の正面図、図6は図5におけるB−B線での断面図、図7はプリント基板の収納ボックス挿入時の組み立て図である。
【0026】
図1から図7において、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂により射出成形された収納ボックス1には、内部にプリント基板5が収納できるように、プリント基板5の大きさに対して若干大きい開口部9を有している。
【0027】
プリント基板5は、ガラス布・ガラス不織布エポキシ樹脂からなり、コネクタ13が実装されている。
【0028】
収納ボックス1にはコネクタ13に対向する位置が開口し、コード引出部17を形成している。
【0029】
プリント基板5の4箇所の角部には基板取付けのための複数の基板取り付け穴が設けられており、その内の一つである基板取付け穴5aが基板固定用ネジ21により収納ボックス1に固定されている。
【0030】
また、収納ボックス1には基板固定用ネジ21により固定される角部の隣角となる角5bに対応する位置に、プリント基板5の板厚より若干大きめの幅を持つ挟み込み部23を有している。
【0031】
収納ボックス1の底部2箇所には開口部に向かって突出した突出部1aが一体成型されて設けられており、この突出部1aには空洞部を備えた筒状のゴムブッシュ24が突出部1aをゴムブッシュ24の空洞部に嵌め込むようにそれぞれ取り付けられている。
【0032】
突出部1aの高さはゴムブッシュ24の高さよりも高く、先端がゴムブッシュ24より突出するようになっており、この突出した部分がプリント基板5の基板取り付け穴5cに嵌るようになっている。また、このゴムブッシュ24は収納ボックス1とプリント基板5によって挟み込まれ圧縮されている。
【0033】
また、基板取り付け穴5cの穴径は突出部1aが挿入された時に適度なクリアランスがあるように設計されている(たとえば突出部1aの径が3.5mmであれば基板取付け穴5cの穴径は4mm)。
【0034】
プリント基板5には、アルミ合金をプレスにより成形した略U字型のヒートシンク25がネジやカシメ(図示せず)により固定されていると伴に、第2のプリント基板26がはんだ付けにより実装されている。
【0035】
第2のプリント基板26には電子部品である圧縮機駆動用の半導体素子29が実装されており、半導体素子29はヒートシンク25の内壁側にネジ27により密着して固定されて、ヒートシンク25と熱交換できるように配置されている。
【0036】
収納ボックス1の開口部9の4箇所の角部には取付け穴33が開けられているほか、プレス加工されたアルミ合金製のアルミ板37の4箇所の角部には孔41が開けられており、アルミ板固定用ネジ45にてアルミ板37を収納ボックス1に固定して、開口部9を閉口できるようになっている。
【0037】
アルミ板37の内側面に密着して絶縁シート49が(たとえば2枚重ねられて)固定ネジ51にて取り付けられているが、この絶縁シート49は安全規格を満足する電気絶縁性能(たとえば1750V、1分間の絶縁耐力試験に耐える)を持っている。
【0038】
また、アルミ板37の内側面には複数の突起部37aがプレス加工等によって形成されており、絶縁シート49はこの突起部37aで囲まれた内側に、突起部37aにて位置規制され取り付けられている。
【0039】
また、絶縁シート49には予め熱拡散コンパウンド55が塗布されており、絶縁シート49とアルミ板37の密着を良くし、絶縁シート49とアルミ板37の熱伝導を良くしている。
【0040】
また、ヒートシンク25の絶縁シート49と対面する面には熱伝導性の高い接着剤60が塗布されている。
【0041】
以上のように構成された圧縮機用電子回路装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0042】
圧縮機用電子回路装置の組み立ては、まず収納ボックス1の突出部1aにゴムブッシュ24を挿入する。次に、内壁部に第2のプリント基板26を固定したヒートシンク25を実装したプリント基板5を、コネクタ13が収納ボックス1のコード引出部17に対向させて、外部と電気接続が可能となるように、コネクタ13は収納ボックス1の開口部9から挿入される。
【0043】
この時、コネクタ13側から収納ボックス1の開口部9に挿入してコネクタ13を斜めに挿入することで、挟み込み部23の角5bは挟み込み部23に遊嵌され、その後、コネクタ13が収納ボックス1と平行になるように所定の位置に置かれるが、同時に収納ボックス1の2箇所の突出部1aがプリント基板5にある基板取り付け穴5cに挿入されるようにする。そして、プリント基板5の基板取付け穴5aが基板固定用ネジ21により収納ボックス1に固定される。
【0044】
その後、ヒートシンク25の絶縁シート49と対面する面である上面25aに接着剤60を塗布する。
【0045】
一方アルミ板37に絶縁シート49を取り付ける作業においては、アルミ板37の内側面において突起部37aで囲まれた範囲に絶縁シート49をアルミ板固定用ネジ45にて取り付けるが、固定ネジ51を締付ける際に絶縁シート49は固定ネジ51を中心として固定ネジ51の回転方向と同じ方向に回転しようとするも、突起部37aによって回転が防止されるため、絶縁シート49は正しい位置でアルミ板37に取り付けられる。尚、絶縁シート49のアルミ板37と接する面には予め熱拡散コンパウンド55を塗布しておく。
【0046】
ヒートシンク25に塗布された接着剤60が固まる前に内側面に絶縁シート49が取り付けられたアルミ板37を収納ボックス1の開口部9にアルミ板固定用ネジ45にて取り付けるが、このときヒートシンク25の上面は収納ボックス1の開口部9よりも少し(たとえば2mm程)垂直方向に飛び出た寸法となっているため、ヒートシンク25はアルミ板37にて押されるためプリント基板5の下のゴムブッシュ24は垂直方向に圧縮されることになる。
【0047】
また、このときヒートシンク25の上面25aに塗布された接着剤60は絶縁シート49が取り付けられたアルミ板37とヒートシンク25により圧縮される。もし、このときヒートシンク25のプリント基板5に対する垂直度が悪ければ、絶縁シート49が取り付けられたアルミ板37とヒートシンク25は点接触もしくは線接触となり両者の間に隙間ができることとなるが、接着剤60が圧縮され、この隙間を熱伝導性の高い接着剤60が埋めることとなる。
【0048】
以上のようにして組み立てられた圧縮機用電子回路装置においては、通電され駆動した際に半導体素子29が発熱するが、この発熱はヒートシンク25を介してアルミ板37へ熱伝達し、収納ボックス1の外部へと放熱されるために半導体素子29の温度が過度に上昇することはなく、半導体素子29の温度を低減し、圧縮機用電子回路装置の信頼性を向上することができる。
【0049】
また、アルミ板37とヒートシンク25の間には絶縁シート49が取り付けられているため、もしアルミ板37とプリント基板5の充電部とが短絡した場合においてもアルミ板37の絶縁を確保することができ、アルミ板37に手が触るような環境に圧縮機用電子回路装置を設置された場合においても、より安全な圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0050】
また、プリント基板5は収納ボックス1への取付けにおいては基板取付け穴5aの部分を基板固定用ネジ21にて一箇所のみ強固定されている仕様であり、プリント基板5と収納ボックス1の線膨張係数が異なる場合においても、基板取付け穴5aの部分に熱膨張による応力が加わることがないため、プリント基板5が破損することがなく、プリント基板5に実装された電子部品の発熱や、収納ボックス1の外部の温度上昇によって圧縮機用電子回路装置自体の温度が上昇する場合においても、圧縮機用電子回路装置の信頼性を確保することができる。
【0051】
また、圧縮機用電子回路装置の温度が上昇した場合において、ゴムブッシュ24が収納ボックス1とヒートシンク25の線膨張係数の違いによる熱膨張寸法の違いを吸収してくれるため、ヒートシンク25と絶縁シート49が取付けられたアルミ板37との密着を確実にし、半導体素子29の発熱を確実にアルミ板37に熱伝達させ、半導体素子29の過度の温度上昇を防止し、圧縮機用電子回路装置の信頼性を向上することができる。
【0052】
たとえば、圧縮機用電子回路装置の温度が通電や周りの温度上昇によって上昇した場合、収納ボックス1とヒートシンク25は垂直方向に熱膨張するが、樹脂製の収納ボックス1の線膨張係数は約7×−5/℃であるのに対しアルミ製のヒートシンク25の線膨張係数は約2×−5/℃であるので、ヒートシンク25の垂直方向の寸法がたとえば40mmである場合において、圧縮機用電子回路装置の温度が50K上昇した場合、収納ボックス1の垂直方向寸法はヒートシンク25の垂直方向寸法に対して0.1mm長くなるが、ゴムブッシュ24は予め垂直方向に2mm圧縮され、プリント基板5を垂直上方向に押し上げているため、圧縮寸法が1.9mmになり、ヒートシンク25と絶縁シート49が取付けられたアルミ板37との間に隙間が発生することはない。
【0053】
また、ゴムブッシュ24の取り付けにおいては、ゴムブッシュ24を収納ボックス1の突出部1aに差し込むだけであるため、容易に組み立てが可能で、圧縮機用電子回路装置の組み立て作業の作業性を向上することができる。
【0054】
また、突出部1aによってプリント基板5の取り付けにおける位置決めをすると同時に、プリント基板5が水平方向に動くのを防止するという作用を持ち、圧縮機用電子回路装置の組み立て作業性を向上することができる。
【0055】
また、絶縁シート49のアルミ板37への取り付けにおいては、突起部37aにより絶縁シート49の取り付け位置を固定ネジ51だけで確実に所定の場所に取り付けられるため、絶縁シート49の取り付け作業性を向上させることができるとともに、正確な位置に絶縁シート49を取り付けすることが可能となり、感電に対してより安全な圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0056】
また、本来ヒートシンク25はプリント基板5に垂直に取り付けられていなければ、ヒートシンク25の上面25aとアルミ板37および絶縁シート49は面接触とならないが、組み立てバラツキによりヒートシンク25がプリント基板5に傾いて取り付けられ、ヒートシンク25の上面25aとアルミ板37および絶縁シート49の接触が線接触または点接触となった場合においても、ヒートシンク25と絶縁シート49の間に発生する隙間を熱伝導性の高い接着剤60が埋めることとなり、半導体素子29の発熱をヒートシンク25からアルミ板37へ確実に熱伝導させることができ、半導体素子29の過度の温度上昇を防止し、信頼性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【0057】
また、絶縁シート49とアルミ板37の接触面には熱拡散コンパウンド55が塗布されているためアルミ板37が変形した場合においても絶縁シート49とアルミ板37の間に発生する隙間を熱拡散コンパウンド55が埋めることとなり、半導体素子29の発熱をヒートシンク25からアルミ板37へ確実に熱伝導させることができ、半導体素子29の過度の温度上昇を防止し、信頼性の高い圧縮機用電子回路装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかる圧縮機用電子回路装置は、放熱性を向上させて信頼性を向上し、かつ感電に対する安全性を向上するとともに、組み立て作業性も向上することができるので、圧縮機用電子回路装置だけではなく、半導体素子を用いた他の電子回路装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1における圧縮機用電子回路装置の分解斜視図
【図2】同実施の形態における圧縮機用電子回路装置の斜視断面図
【図3】同実施の形態におけるゴムブッシュの斜視図
【図4】図3におけるA−A線での断面図
【図5】同実施の形態におけるアルミ板の正面図
【図6】図5におけるB−B線での断面図
【図7】プリント基板の収納ボックス挿入時の組み立て図
【図8】従来の圧縮機用電子回路装置の分解斜視図
【符号の説明】
【0060】
1 収納ボックス
1a 突出部
5 プリント基板
5c 基板取り付け穴
24 ゴムブッシュ
25 ヒートシンク
29 半導体素子(電子部品)
37 アルミ板
37a 突起部
49 絶縁シート
55 熱拡散コンパウンド
60 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、前記プリント基板に実装された電子部品と、前記プリント基板に実装され、前記電子部品の発熱が伝導するヒートシンクと、前記プリント基板を収納し、少なくとも一方の面に開口部を備える収納ボックスと、前記収納ボックスの底部に配設され前記プリント基板を反開口部側から支持するゴムブッシュと、前記収納ボックスの開口部を閉口するように取り付けられたアルミ板と、前記ヒートシンクと前記アルミ板の間に挟まれて密着固定された絶縁シートとを備え、前記ヒートシンクの熱は前記絶縁シートを介して前記アルミ板に伝導するように形成された圧縮機用電子回路装置。
【請求項2】
ゴムブッシュは空洞部を備えた筒状の形状とし、プリント基板に基板取付け穴を設け、収納ボックスの底部に開口部に向かって突出した突出部を設け、前記ゴムブッシュの前記空洞部と前記プリント基板の前記基板取り付け穴に前記収納ボックスの突出部を同時に挿入することで、前記ゴムブッシュと前記プリント基板を前記収納ボックス内の所定の位置に配置するように形成した請求項1に記載の圧縮機用電子回路装置。
【請求項3】
アルミ板の収納ボックス側の内側面に複数の突起部を設け、前記突起部で囲われた範囲内に絶縁シートを配設することで、前記絶縁シートを前記アルミ板内の所定の位置に配置するように形成した請求項1または2に記載の圧縮機用電子回路装置。
【請求項4】
絶縁シートとヒートシンクの間に熱伝導性の高い接着剤を塗布した請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機用電子回路装置。
【請求項5】
絶縁シートとアルミ板の間に熱拡散コンパウンドを塗布した請求項1から4の圧縮機用電子回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−186846(P2010−186846A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29441(P2009−29441)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】