説明

圧電デバイスおよびその製造方法

【課題】圧電振動素子の発振周波数の変動を低減することができ、時間の低減をし、生産性を向上させることができる圧電デバイス及びその製造方法の提供。
【解決手段】基板部110aと、該基板部の一方の主面に設けられる第1の枠部110bと、基板部の他方の主面に設けられる第2の枠部110cとからなる素子搭載部材110と、第1の凹部空間K1内に設けられた圧電振動素子搭載パッド111に搭載されている圧電振動素子120と、第1の凹部空間を気密封止する蓋部材130と、一方の主面に設けられているサーミスタ素子搭載パッド212と他方の主面の角に外部接続用電極端子Gが設けられている絶縁基板210と、サーミスタ素子搭載パッドに搭載されているとサーミスタ素子140と、を備え、サーミスタ素子が基板部と第2の枠部とで形成される第2の凹部空間K2内に収容される様に、素子搭載部材110と絶縁基板210とが接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイス及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の圧電デバイスは、その例として素子搭載部材、圧電振動素子、サーミスタ素子、蓋部材とから主に構成されている構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
素子搭載部材は、基板部と第1の枠部と第2の枠部で構成されている。
基板部の主面に第2の枠部が設けて、第2の凹部空間が形成され、第2の枠部に第1の枠部を設けて第1の凹部空間が形成されている。
第1の凹部空間内に露出する第2の枠部の一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッドが設けられている。
第2の凹部空間内に露出する基板部の一方の主面には、サーミスタ素子搭載パッドが設けられている。
また、基板部の他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子が設けられている。
この圧電振動素子搭載パッド上には、導電性接着剤を介して電気的に接続される一対の励振用電極を表裏主面に有した圧電振動素子が搭載されている。この圧電振動素子を囲繞する素子搭載部材の第1の枠部の頂面には金属製の蓋部材が被せられ、接合されている。これにより第1の凹部空間と第2の凹部空間が気密封止されている。
また、サーミスタ素子搭載パッド上には、半田等の導電性接合材を介して接続されるサーミスタ素子が搭載されている。
サーミスタ素子は、その温度での抵抗値が、外部接続用電極端子を介して圧電デバイスの外へ出力される。
サーミスタ素子は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、出力された抵抗値を電圧に換算することで、そのときの電圧から温度情報を得ることができる。例えば、電子機器等のメインIC内で温度情報に換算することができる。
また、外部接続用電極端子は、2個一対の水晶振動素子用電極端子と、2個一対のサーミスタ素子用電極端子により構成されている。その水晶振動素子用電極端子は、対角に配置されている。また、サーミスタ素子用電極端子も同様に、対角に配置されている。
【0003】
また、従来の圧電デバイスの製造方法は、素子搭載部材に形成された第1の凹部空間内に導電性接合材を塗布し、サーミスタ素子を搭載するサーミスタ素子搭載工程と、前記第1の凹部空間内に導電性接着剤を塗布し、圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、前記第1の凹部空間内を蓋部材により気密封止する蓋部材接合工程とを含むことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−205938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の圧電デバイスにおいては、第1の凹部空間内に設けられた第2の凹部空間内に、サーミスタ素子が導電性接合材を介してサーミスタ搭載パッドに搭載され、第1の凹部空間が気密封止されていることにより、前記導電性接合材から発生したガスがサーミスタ素子に付着することでサーミスタ素子が劣化してしまうといった課題があった。また、サーミスタ素子が劣化してしまうことで、サーミスタ素子から出力された抵抗値を電圧に換算することで得られた温度情報と、実際の圧電振動素子の周囲の温度情報との差異が大きくなってしまうといった課題があった。
【0006】
また、従来の圧電デバイスの製造方法においては、圧電デバイスを小型化すると、サーミスタ素子搭載工程で素子搭載部材に導電性接合材を塗布する際に、時間がかかりすぎてしまうため、生産性が低下してしまうといった課題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、
圧電振動素子の発振周波数の変動を低減することができ、時間の低減をし、生産性を向上させることができる圧電デバイス及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧電デバイスは、基板部と、この基板部の一方の主面に設けられる第1の枠部と、基板部の他方の主面に設けられる第2の枠部とからなる素子搭載部材と、基板部と第1の枠部とで形成される第1の凹部空間内に露出した基板部の主面に設けられた圧電振動素子搭載パッドに搭載されている圧電振動素子と、第1の凹部空間を気密封止する蓋部材と、一方の主面に設けられているサーミスタ素子搭載パッドと他方の主面の角に2個一対の圧電振動素子用電極端子と2個一対のサーミスタ素子用電極端子とから構成されている外部接続用電極端子が設けられている絶縁基板と、サーミスタ素子搭載パッドに搭載されているとサーミスタ素子と、を備え、サーミスタ素子が基板部と第2の枠部とで形成される第2の凹部空間内に収容されるように、素子搭載部材と絶縁基板とが接合されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の圧電デバイスの製造方法は、基板部と第1の枠部とで第1の凹部空間が形成され、基板部と第2の枠部とで第2の凹部空間が形成されている素子搭載部材の第1の凹部空間内に圧電振動素子が搭載され、第1の凹部空間を蓋体で気密封止されている圧電振動子と、サーミスタ素子が搭載された絶縁基板とが接続する圧電デバイスの製造方法であって、絶縁基板が複数個設けられている絶縁基板ウェハの各絶縁基板の主面に設けられた圧電振動子用搭載パッドとサーミスタ素子搭載パッドに導電性接合材を印刷する導電性接合材印刷工程と、各絶縁基板の主面に設けられたサーミスタ素子搭載パッドにサーミスタ素子を搭載するサーミスタ素子搭載工程と、サーミスタ素子を圧電振動子の第2の凹部空間に収容するようにして、各絶縁基板の主面に設けられた圧電振動子搭載パッドに圧電振動子を搭載する圧電振動子搭載工程と、導電性接合材を熱処理により硬化させる熱処理硬化工程と、絶縁基板ウェハを外周縁部に沿って切断することで、絶縁基板を絶縁基板ウェハより切り離し、複数個の圧電デバイスを同時に得る切断分離工程と、を具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の圧電デバイスによれば、素子搭載部材の第1の凹部空間内に圧電振動素子が導電性接着剤を介して圧電振動素子搭載パッドに搭載され、絶縁基板の主面にサーミスタ素子が導電性接合材を介してサーミスタ搭載パッドに搭載されているように別々に搭載されているため、前記導電性接合材から発生したガスが圧電振動素子に付着することがなくなる。よって、圧電振動子の発振周波数が変動してしまうことを防ぐことができる。
また、導電性接合材から発生したガスが、第2の凹部空間が気密封止されていないため、サーミスタ素子に付着することを低減し、サーミスタ素子が劣化することを低減することができる。よって、サーミスタ素子から出力された電圧を換算することで得られた温度情報と、実際の圧電振動素子の周囲の温度情報との差異を低減することができる。
【0011】
また、本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、絶縁基板ウェハの各絶縁基板の主面に設けられた圧電振動子搭載パッドとサーミスタ素子搭載パッドに導電性接合材を印刷する導電性接合材印刷工程によって、個別に導電性接合材を塗布する必要がなく、絶縁基板ウェハに一括で導電性接合材を印刷することができるので、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図2】(a)は、図1のA−A断面図であり、(b)は、図1のB−B断面図である。
【図3】(a)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の導電性接合材印刷工程を示す断面図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法のサーミスタ素子搭載工程を示す断面図であり、(c)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動子搭載工程を示す断面図であり、(d)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の切断分離工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。
【0014】
本発明の実施形態に係る圧電デバイス200は、図1及び図2に示すように、素子搭載部材110と圧電振動素子120と蓋部材130とで構成されている水晶振動子100と、絶縁基板210と、サーミスタ素子140で主に構成されている。
この圧電デバイス200は、前記素子搭載部材110に形成されている第1の凹部空間K1内に圧電振動素子120が搭載され、絶縁基板210に搭載されているサーミスタ素子140を前記素子搭載部材110に形成されている第2の凹部空間K2内に収容するようにして、前記素子搭載部材110と絶縁基板210とが接合されている。その第1の凹部空間K1が蓋部材130により気密封止された構造となっている。
【0015】
圧電振動子100は、素子搭載部材110と、圧電振動素子120と、蓋部材130とによって構成されている。
【0016】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
励振用電極122は、前記水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。
このような圧電振動素子120は、その両主面に被着されている励振用電極122から延出する引き出し電極123と第1の凹部空間K1内底面に形成されている圧電振動素子搭載パッド111とを、導電性接着剤DSを介して電気的且つ機械的に接続することによって第1の凹部空間K1に搭載される。このときの引き出し電極123が設けられた一辺とは反対側の自由端となる端辺を圧電振動素子120の先端部とする。
【0017】
図1〜図2に示すように、素子搭載部材110は、基板部110aと、第1の枠部110b、第2の枠部110cとで主に構成されている。
この素子搭載部材110は、前記基板部110aの一方の主面に第1の枠部110bが設けられて、第1の凹部空間K1が形成されている。また、素子搭載部材110の他方の主面に第2の枠部110cが設けられて、第2の凹部空間K2が形成されている。
尚、この素子搭載部材110を構成する基板部110a及び第2の枠部110cは、例えばアルミナセラミックス、ガラス−セラミックス等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。
第1の枠部110bは、42アロイやコバール等の金属から成り、中心が打ち抜かれた枠状になっている。
また、第1の枠部110bは、基板部110aの一方の主面の外周を囲繞するように設けられた封止用導体膜HB上にロウ付けなどにより接続される。
第1の凹部空間K1内で露出した基板部110aの一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド111が設けられている。
また、図1〜図3に示すように素子搭載部材110は、基板部110aの他方の主面と第2の枠部110cによって第2の凹部空間K2が形成されている。
【0018】
前記素子搭載部材110の第2の枠部110cの圧電振動素子搭載パッド111が設けられている面とは反対側の主面の4隅には、絶縁基板接続端子Tが設けられている。
【0019】
蓋部材130は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)などからなる。このような蓋部材130は、第1の凹部空間K1を、窒素ガスや真空などで気密的に封止される。具体的には、蓋部材130は、所定雰囲気で、素子搭載部材110の第1の枠部110b上に載置され、第1の枠部110bの表面の金属と蓋部材130の金属の一部とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、第1の枠部110bに接合される。
【0020】
図1〜図2に示す絶縁基板210は、例えばシリコン、ガラスエポキシ樹脂、ガラス等により形成され、絶縁基板210の一方の主面の中心付近には、サーミスタ素子搭載パッド212が設けられており、4角には圧電振動子搭載パッド211が設けられている。
また、絶縁基板210の他方の主面には、外部接続用電極端子Gが設けられている。
外部接続用電極端子Gは、2個一対の圧電振動素子用電極端子と2個一対のサーミスタ素子用電極端子により構成されている。
2個一対の圧電振動素子用電極端子は、前記絶縁基板210の他方の主面の対角に設けられている。
また、2個一対のサーミスタ素子用電極端子は、絶縁基板210の前記圧電振動素子用電極端子が設けられている位置と異なる2つの隅部に設けられている。つまり、前記サーミスタ素子用電極端子は、前記圧電振動素子用電極端子が設けられている対角とは異なる絶縁基板210の他方の主面の対角に設けられている。
【0021】
図1〜図2に示すサーミスタ素子140は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、出力された抵抗値を電圧に換算することで、換算して得られた電圧から温度情報を得ることができる。
サーミスタ素子140は、その温度での抵抗値が、外部接続用電極端子Gを介して圧電デバイス100の外へ出力されることにより、例えば、電子機器等のメインIC(図示せず)で出力された抵抗値を電圧に換算することで温度情報を得ることができる。
サーミスタ素子140は、図2に示すように、絶縁基板210に設けられたサーミスタ素子搭載パッド212に半田等の導電性接合材HDを介して搭載されている。
【0022】
圧電振動素子搭載パッド111といずれかの絶縁基板接続端子Tは、前記素子搭載部材110の第2の凹部空間K2内の基板部110aに形成された部分を有する圧電振動素子用配線パターン113と、基板部110aに設けられた第1のビア導体114と、基板部110a及び第2の枠部110cの内部に形成された第2のビア導体115により接続されている。
また、図2に示すように、絶縁基板210の主面に設けられている圧電振動子搭載パッド211と外部接続用電極端子Gは、第4のビア導体213を介して接続されている。
また、図2に示すように、絶縁基板接続端子Tと圧電振動子搭載パッド211が導電性接合材HDを介して接合されている。
つまり、圧電振動素子搭載パッド111は、絶縁基板接続端子Tと圧電振動子搭載パッド211を介していずれか2つの外部接続用電極端子Gと電気的に接続されている。
【0023】
また、図2に示すように、サーミスタ素子搭載パッド212といずれか2つの外部接続用電極端子Gは、前記絶縁基板210の第5のビア導体214とサーミスタ素子用内部配線パターン215と第6のビア導体216とを介して接続されている。
【0024】
蓋部材130は、図2に示すように、第3のビア導体116を介して、絶縁基板接続端子Tのうちの1つと電気的に接続されている。
また、図2に示すように、絶縁基板210の主面に設けられている圧電振動子搭載パッド211と外部接続用電極端子Gは、第4のビア導体213を介して接続されている。
また、図2に示すように、絶縁基板接続端子Tと圧電振動子搭載パッド211が導電性接合材HDを介して接合されている。
つまり、蓋部材130は、第3のビア導体116と、絶縁基板接続端子Tと、サーミスタ素子搭載パッド212と、第4のビア導体213とを介して、いずれか1つの外部接続用電極端子Gと電気的に接続され、グランドと接続されることになる。
【0025】
前記導電性接着剤DSは、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0026】
尚、前記素子搭載部材110は、アルミナセラミックスから成る場合、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面に圧電振動素子搭載パッド111、サーミスタ素子搭載パッド112、封止用導体膜HB、外部接続用電極端子G等となる導体ペーストを、また、セラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に第1のビア導体114、第2のビア導体115、第3のビア導体117等となる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することにより製作される。
【0027】
本発明の圧電デバイス100によれば、素子搭載部材110の第1の凹部空間K1内に圧電振動素子120が導電性接着剤DSを介して圧電振動素子搭載パッド111に搭載され、絶縁基板210の主面にサーミスタ素子140が導電性接合材HDを介してサーミスタ搭載パッド112に搭載されているように別々に搭載されているため、前記導電性接合材HDから発生したガスが圧電振動素子120に付着することがなくなる。よって、圧電デバイス100の発振周波数が変動してしまうことを防ぐことができる。
また、導電性接合材HDから発生したガスが、第2の凹部空間が気密封止されていないため、サーミスタ素子140に付着することを低減し、サーミスタ素子140が劣化することを低減することができる。よって、サーミスタ素子140から出力された抵抗値を換算することで得られた電圧から温度情報を得ることができる。このようにして得られた温度情報と、実際の圧電振動素子120の周囲の温度情報との差異を低減することが可能となる。
【0028】
次に本発明の圧電デバイスの製造方法について図3を用いて説明する。
(導電性接合材印刷工程)
図3(a)及に示すように、導電性接合材印刷工程は、前記絶縁基板210が複数個設けられている絶縁基板ウェハWの各絶縁基板210の主面に設けられた圧電振動子用搭載パッド211とサーミスタ素子搭載パッド212に導電性接合材HDを印刷する工程である。
【0029】
図3(a)に示すように、絶縁基板ウェハWは、絶縁基板210が複数個マトリクス状に配置することによって構成されている。
このような絶縁基板ウェハWは、例えば、シリコンやガラス、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料で形成された一枚板である絶縁基板を従来周知の打ち抜き加工法やフォトエッチング加工法等により形成される。絶縁基板210の一方の主面には、圧電振動子搭載パッド211とサーミスタ素子搭載パッド212とが設けられ、他方の主面の4角には、外部接続用電極端子Gが設けられている。
圧電振動子搭載パッド211とサーミスタ素子搭載パッド212と外部接続用電極端子Gとは、Niメッキ、Auメッキを施すことにより形成されている。
【0030】
また、絶縁基板ウェハWの各絶縁基板210の圧電振動子搭載パッド211とサーミスタ素子搭載パッド212に、半田等の導電性接合材HDをスクリーン印刷等により、印刷する。これは、絶縁基板210の圧電振動子搭載パッド211とサーミスタ素子搭載パッド212に対応する箇所に孔が形成されているマスク治具(図示せず)を置き、印刷手段により複数の圧電振動子搭載パッド211とサーミスタ素子搭載パッド212に一括で形成することができる。
【0031】
(サーミスタ素子搭載工程)
図3(b)に示すように、サーミスタ素子搭載工程は、前記各絶縁基板210の主面に設けられたサーミスタ素子搭載パッド212にサーミスタ素子140を搭載する工程である。
このようにすることで、サーミスタ素子140をサーミスタ素子搭載パッド212に搭載されることになる。
【0032】
(圧電振動子搭載工程)
図3(c)に示すように、サーミスタ素子140を前記圧電振動子100の第2の凹部空間K2に収容するようにして、前記各絶縁基板210の主面に設けられた圧電振動子搭載パッド211に圧電振動子100を搭載する工程である。
【0033】
圧電振動子100は、図2に示すように、基板部110aと第1の枠部110bとで第1の凹部空間K1が形成された素子搭載部材110の前記第1の凹部空間K1内に露出する前記基板部110aの一方の主面に設けられた圧電振動素子搭載パッド111に圧電振動素子120が搭載され、第1の凹部空間K1は、蓋体130で気密封止されている。
また、前記素子搭載部材の基板部110aと第2の枠部110cとで第2の凹部空間K2が形成されている。
前記第2の枠部110cの他方の主面の4隅に設けられている絶縁基板接続端子と絶縁基板210の一方の主面に設けられた圧電振動子搭載パッド211に導電性接合材HDを介して搭載する。この際に、圧電振動子100は、絶縁基板210に搭載されているサーミスタ素子140を第2の凹部空間K2内に入るようにして搭載する。
【0034】
(熱処理硬化工程)
熱処理硬化工程は、導電性接合材HDを熱処理することにより硬化させる工程である。
前記導電性接合材HDに約280〜300℃の熱を印加することにより、導電性接合材HDが溶融することで硬化させる。
導電性接合材HDを硬化することにより、サーミスタ素子140は、サーミスタ素子搭載パッドに接合され、圧電振動子100は、圧電振動子搭載パッド211に接合されることになる。これによりサーミスタ素子140は、サーミスタ素子搭載パッド212と導通固着され、圧電振動子100は、圧電振動子搭載パッド211と導通固着されることになる。
【0035】
(切断分離工程)
図3(d)に示すように、切断分離工程は、前記絶縁基板ウェハWを外周縁部に沿って切断することで、絶縁基板210を前記絶縁基板ウェハWより切り離し、複数個の圧電デバイス200を同時に得る工程である。
【0036】
前記絶縁基板ウェハWの切断は、ダイサーを用いたダイシングやレーザによる切断によって行なわれ、前記絶縁基板ウェハWが個々の絶縁基板210に分割される。これにより、複数個の圧電デバイス200が同時に得られる。
ダイサーとしては、例えば、ダイヤモンド砥粒等を電鋳により固定した円盤状の電鋳ブレードやダイヤモンド砥粒等を、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を結合材として使用したレジンブレードがある。
レーザとしては、YAGレーザの3倍波で、波長が例えば、300〜400nmのものを用いる。
【0037】
本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、絶縁基板ウェハWの各絶縁基板210の主面に設けられた圧電振動子搭載パッド211とサーミスタ素子搭載パッド212に導電性接合材HDを印刷する導電性接合材印刷工程によって、個別に導電性接合材HDを塗布する必要がなく、絶縁基板ウェハWに一括で導電性接合材HDを印刷することができるので、生産性を向上することができる。
【0038】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、前記した本実施形態では、圧電振動素子120を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【0039】
また、前記した実施形態では、素子搭載部材110を構成する第1の枠部110bは、42アロイやコバール等の金属から成り、中心が打ち抜かれた枠状になっている場合を説明したが、第1の枠部110bがセラミック材料からなり、中心が打ち抜かれた枠状になっていても構わない。また、その際には、第1の枠部110bの主面には、封止用導体パターンが設けられ、蓋部材130に設けられた封止部材131と接合されることで、第1の凹部空間K1内が気密封止される。
【符号の説明】
【0040】
110・・・素子搭載部材
110a・・・基板部
110b・・・第1の枠部
110c・・・第2の枠部
111・・・圧電振動素子搭載パッド
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・引き出し電極
130・・・蓋部材
140・・・サーミスタ素子
210・・・絶縁基板
211・・・圧電振動子搭載パッド
212・・・サーミスタ素子搭載パッド
100・・・圧電デバイス
K1・・・第1の凹部空間
K2・・・第2の凹部空間
DS・・・導電性接着剤
HD・・・導電性接合材
HB・・・封止用導体膜
T・・・絶縁基板接続用端子
G・・・外部接続用電極端子
W・・・絶縁基板ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、この基板部の一方の主面に設けられる第1の枠部と、前記基板部の他方の主面に設けられる第2の枠部とからなる素子搭載部材と、
前記基板部と前記第1の枠部とで形成される第1の凹部空間内に露出した前記基板部の主面に設けられた圧電振動素子搭載パッドに搭載されている圧電振動素子と、
前記第1の凹部空間を気密封止する蓋部材と、
一方の主面に設けられているサーミスタ素子搭載パッドと他方の主面の角に2個一対の圧電振動素子用電極端子と2個一対のサーミスタ素子用電極端子とから構成されている外部接続用電極端子が設けられている絶縁基板と、
前記サーミスタ素子搭載パッドに搭載されているとサーミスタ素子と、を備え、
前記サーミスタ素子が前記基板部と前記第2の枠部とで形成される第2の凹部空間内に収容されるように、前記素子搭載部材と前記絶縁基板とが接合されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
基板部と第1の枠部とで第1の凹部空間が形成され、基板部と第2の枠部とで第2の凹部空間が形成されている素子搭載部材の前記第1の凹部空間内に圧電振動素子が搭載され、前記第1の凹部空間を蓋体で気密封止されている圧電振動子と、サーミスタ素子が搭載された絶縁基板とが接続する圧電デバイスの製造方法であって、
前記絶縁基板が複数個設けられている絶縁基板ウェハの各絶縁基板の主面に設けられた圧電振動子用搭載パッドとサーミスタ素子搭載パッドに導電性接合材を印刷する導電性接合材印刷工程と、
前記各絶縁基板の主面に設けられたサーミスタ素子搭載パッドにサーミスタ素子を搭載するサーミスタ素子搭載工程と、
前記サーミスタ素子を前記圧電振動子の第2の凹部空間に収容するようにして、前記各絶縁基板の主面に設けられた圧電振動子搭載パッドに圧電振動子を搭載する圧電振動子搭載工程と、
前記導電性接合材を熱処理により硬化させる熱処理硬化工程と、
前記絶縁基板ウェハを外周縁部に沿って切断することで、絶縁基板を前記絶縁基板ウェハより切り離し、複数個の圧電デバイスを同時に得る切断分離工程と、を具備することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−142688(P2012−142688A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292443(P2010−292443)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】