説明

圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法

【課題】小型化かつ、接続信頼性の向上を図った圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方
法を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の圧電デバイス10は、接続用電極パッド64を備えた圧電振動片6
0と、前記接続用電極パッド64と電気的に接続すると共に前記圧電振動片60を支持す
る電極パターン50を備えた半導体デバイス40とを備え、前記電極パターン50は一方
の端部を前記半導体デバイス40のパッドと接続させ、他方の端部を前記接続用電極パッ
ド64と接続させ、前記一方の端部と前記他方の端部の間に前記半導体デバイス40の一
方の主面43から離反する方向に立ち上がる屈曲部52を形成し、前記一方の主面43と
前記電極パターン50の間の屈曲部52に樹脂を形成したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に圧電振動片と半導体デバイスを備えた圧電デバイス及び圧電デバイスの
製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像手段の手振れ検出やカーナビゲーションの方向検出に利用される振動ジャイロなど
の圧電デバイスは、需要が様々な分野に拡大すると共に、小型化などの要求がなされてい
る。
【0003】
このような小型化が要求される圧電振動片を半導体デバイスに実装する際、圧電振動片
の支持部を強固に接合すると感度が低下してしまう。しかしながらデバイス全体に作用す
る落下衝撃に耐えうる構造でなくてはならない。
【0004】
また圧電振動片の支持部とパッケージ側の接合箇所は、電気的な接続端子の役割をなす
と共に、互いに固定支持する役割をなすものであるが、デバイス全体の小型化の要請とと
もに、支持部も極小化されることになる。
【0005】
図7は従来の振動ジャイロの説明図である。図7(1)に示す従来の振動ジャイロ10
0は、TAB(Tape Automated Bonding)基板102の複数のボ
ンディングリード104をオーバーハングさせ、TAB基板102に形成したデバイスホ
ール106からボンディングリード104を上方に立ち上げたリードの先端部にジャイロ
振動片108を搭載し、かつ、ジャイロ振動片108が搭載されたTAB基板102をジ
ャイロ本体となるパッケージ基板110に電気的に接合させた構造である(例えば特許文
献1)。
【0006】
また図7(2)に示すような圧電デバイス200は、圧電振動片202を支持する支持
枠204を圧電振動片202の外周を囲むように同一平面上に形成している。支持枠20
4には圧電振動片202の電極と電気的に接続させた端子電極が形成されている。そして
支持枠204をパッケージ206にAg(銀)ペースト208などの接着手段を用いて電
気的に接合した構造である。
【0007】
さらに特許文献2に示す電子部品は、水晶片に形成されたバンプ電極が、弾性を有する
コア部と、コア部の表面に設けられた導電膜とを有している。このバンプ電極をパッケー
ジ本体の接続電極に実装する際、コア部の弾性変形により導電膜と接続電極とが導電接触
する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−58258号公報
【特許文献2】特開2009−118450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら特許文献1のような振動ジャイロの場合、圧電振動片と半導体デバイスの
間にTAB基板が必要となる。このTAB基板は厚みがあるため、デバイス全体の厚みサ
イズも厚くなってしまうという問題がある。また圧電デバイスの端子からIC端子までの
接続の過程でAgペーストによる接続箇所が2箇所あり、電気的に不安定となる。またオ
ーバーハングさせているボンディングリードは配線長さが非常に長くなるという問題があ
る。さらにTAB基板と圧電振動片を接続するためにAuバンプが必要となる。また圧電
振動片の支持部の接続領域が大きいという問題がある。
図7(2)に示すような圧電デバイスの場合、振動片を支持する枠部に相当する面積が
必要となり、小型化の要請に反してデバイス全体が大きくなるという問題がある。
【0010】
また特許文献2に示す電子部品の場合、機能片(デバイス)に設けられたバンプを相手
側の接続電極に弾性変形させて接続されているため、機能片に応力が加えられる。よって
電気的に接続された状態で機能片が外的要因で平面方向に揺らされた場合、接着箇所にそ
の応力が集中してしまい、破壊され易い構造である。またジャイロ振動片でいう駆動、検
出などの複数の振動機能を備えた振動片の場合、振動の節部分であっても、接続用配線パ
ターンと接着層を介して電気的に接続される部分は剛体化してしまい、振動漏れを招くこ
とになるという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点を解決するため、小型化を図りつつ、接続信頼
性の向上を図った圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法を提供することを目的として
いる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]接続用電極パッドを形成した圧電振動片と、前記接続用電極パッドと電気
的に接続すると共に、前記圧電振動片を支持する電極パターンを形成した半導体デバイス
とを備え、前記電極パターンは、一方の端部を前記半導体デバイスのパッドと接続させ、
他方の端部を前記接続用電極パッドと接続させ、前記一方の端部と前記他方の端部の間に
前記半導体デバイスの一方の主面から離反する方向に立ち上がる屈曲部を形成し、前記一
方の主面と前記電極パターンの間の屈曲部に樹脂を形成したことを特徴とする圧電デバイ
ス。
【0013】
上記構成によれば、圧電振動片を半導体デバイス上に屈曲部を備えた電極パターンによ
り中空に浮かせた形態で直接接合する構成であるため、従来のようなTAB基板を用いる
ことがない。また配線パターンは低背形状であるため、デバイス全体の小型化、低背化を
図ることができる。
【0014】
半導体デバイスの配線パターンの端部と接続用電極パッドを直に接続させているため、
配線長さを短くすることができ電気的特性を安定化させることができる。また圧電振動片
と半導体デバイスとの接合領域を小さくすることができる。
屈曲部の立ち上がり部分に樹脂を形成しているため、屈曲部の強度を補強して、圧電振
動片との電気的接続の信頼性及び支持固定の強度を保持することができる。
【0015】
[適用例2]前記電極パターンは、前記屈曲部から前記他方の端部の間に凹凸部を形成
したことを特徴とする適用例1に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、半導体デバイスの一方の主面から離反する方向に立ち上がった屈曲
部の強度を補強することができる。従ってデバイス全体の落下衝撃に耐えうることができ
る。また平面形状に比べてパターン幅を狭く形成することができる。圧電振動片と半導体
デバイスの接続領域を小さくすることができる。
【0016】
[適用例3]接続用電極パッドを形成した圧電振動片と、前記接続用電極パッドと電気
的に接続すると共に、前記圧電振動片を支持する電極パターンを形成した半導体デバイス
を備えた圧電デバイスの製造方法であって、一方の端部を前記半導体デバイスのパッドと
接続させ、他方の端部を前記接続用電極パッドと接続させ、前記一方の端部と前記他方の
端部の間に前記半導体デバイスの一方の主面から離反する方向に立ち上がる屈曲部を形成
し、前記一方の主面と前記電極パターンの間の屈曲部に樹脂を形成した前記電極パターン
の前記他方の端部に導電性接着材を塗布して、前記接続用電極パッドを前記電極パターン
上に搭載して、加熱圧着して接合させたことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【0017】
上記方法によれば、圧電振動片を半導体デバイス上に屈曲部を備えた電極パターンによ
り中空に浮かせた形態で直接接合する構成であるため、従来のようなTAB基板を用いる
ことがなく、また配線パターンは低背形状であるため、小型化、低背化を図った圧電デバ
イスが得られる。
【0018】
半導体デバイスの配線パターンの端部と接続用電極パッドを直に接続させているため、
配線長さを短くすることができ電気的特性を安定化させた圧電デバイスが得られる。
屈曲部の立ち上がり部分に樹脂を形成しているため、屈曲部の強度を補強して、圧電振
動片との電気的接続の信頼性及び支持固定の強度を保持することができる圧電デバイスが
得られる。
【0019】
[適用例4]前記電極パターンの樹脂は、樹脂コアをエッチングして前記一方の主面と
前記電極パターンの間に一部残すように形成したことを特徴とする適用例3に記載の圧電
デバイスの製造方法。
上記方法により形成された樹脂は、屈曲部の立ち上がり部分の強度を補強することがで
きる。従ってデバイス全体にかかる落下衝撃に耐えうることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の圧電デバイスの構成概略を示す図であり、(1)は平面図を示し、(2)は(1)中のA−A断面図を示している。
【図2】図2は振動ジャイロの回路部の平面図を示している。
【図3】電極パターンの部分拡大図である。
【図4】電極パターンの形成方法の説明図である。
【図5】圧電デバイスの変形例1を示す説明図である。
【図6】圧電デバイスの変形例2を示す説明図である。
【図7】従来の圧電デバイスを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法の実施形態を添付の図面を参照しな
がら以下詳細に説明する。
図1は本発明の圧電デバイスの構成概略を示す図であり、(1)は平面図を示し、(2
)は(1)中のA−A断面図を示している。図2は振動ジャイロの回路部の平面図を示し
ている。なお図1(1)、図2では、リッド及び接合材の図示を省略している。本発明の
圧電デバイス10は、一例として振動ジャイロ12に適用した場合について以下説明する

【0022】
振動ジャイロ12は、段差を有する凹部22が形成されたパッケージ20の底部に接合
された半導体デバイス40となるIC素子42と、IC素子42の上方に固定された圧電
振動片60となるジャイロ振動片62とを主な基本構成としている。パッケージ20の開
口24の上面には、リッド18が接合されてパッケージ20内部を気密に封止させている

【0023】
セラミック等で形成されたパッケージ20は、平板状の第1基板26と、開口部の大き
さが異なる矩形の第2基板28、第3基板30とが下方から順に積層され、段差を有する
凹部22が形成されている。第1基板26上の略中央にはAu(金)などの金属からなる
ダイパッド32が形成され、底面には複数の外部接続電極34が形成されている。第2基
板28の上面には、IC素子42と電気的に接続される複数の回路接続電極36が形成さ
れている。外部接続電極34と回路接続電極36は、図示しない内部配線やスルーホール
(貫通電極)などにより、回路配線を形成するように電気的に接続されている。
【0024】
パッケージ20の凹部22に形成されたダイパッド32上には、振動ジャイロ12の駆
動回路や検出回路などの集積回路が形成されたIC素子42が銀ペーストなどの導電性接
着材(不図示)などにより電気的に接着固定されている。IC素子42の上面には複数の
パッド44が形成されている。
IC素子42には、電極パターン50が形成されており、パッド44とジャイロ振動片
62の接続用電極パッド64を電気的に接続させている。
【0025】
図3は電極パターンの部分拡大図である。電極パターン50は、図示のようにIC素子
42の一方の主面43から離反する方向に立ち上がった屈曲部52を備え、一方の主面4
3から立ち上がった自由端となる他方の端部50b上でジャイロ振動片62の接続用パッ
ド64と導電性接着材90を介して電気的な接続を行うと共に、振動片を直に固定支持す
る役割をなしている。
【0026】
図4は電極パターンの形成方法の説明図である。
予めIC素子42の一方の主面43には、圧電振動片60と電気的に接続させるための
複数のパッド44が形成されている。さらにパッド44の外周に沿って表面の一部が露出
するように基板上を絶縁膜47で被膜している。
【0027】
ジャイロ振動片62を実装するIC素子42の一方の主面43上の実装箇所に樹脂コア
53を形成する。樹脂コア53は、一例としてポリイミド樹脂やアクリル樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ樹脂などの感光性絶縁樹脂、熱硬化性絶縁樹脂を用いることができる。
樹脂コア53を矩形状に塗布した後、加熱すると略蒲鉾状、すなわちIC素子42との接
触面が平面状であり、非接触面が曲線状に隆起し、断面形状が半円状、台形状、半楕円状
に形成される。
【0028】
IC素子42の一方の主面43の基板上をTiW(チタン/タングステン)材料で蒸着
又はスパッタリングするなどしてTiW膜54を形成する。そしてIC素子42の基板上
に形成されたTiW膜54の被膜上にAu(金)材料で蒸着又はスパッタリングするなど
してAu膜55を形成する。
【0029】
さらにAuの被膜上にCu(銅)で電界メッキ及びAuで電界メッキ(不図示)を行う
。なおAuメッキ処理の前処理としてNi(ニッケル)メッキ処理を施しても良い。これ
により所望の膜厚を有する金属接合膜が形成される。
【0030】
メッキ処理を行った後、図4(1)に示すように、電極パターン50を形成する箇所に
レジスト材料をディップコーティングなどで塗布し、マスキングをして、感光し、露光・
現像することによりレジスト膜56を形成する。電極パターン50の一方の端部はパッド
44と接続し、他方の端部50bは搭載するジャイロ振動片62の接続用電極パッド64
と対向する箇所に形成するため、この領域を覆うようにレジスト膜56を形成する。この
とき樹脂コア53上のレジスト膜56の端部は略蒲鉾状の頂点位置と略重なる位置となる
ように形成している。
【0031】
そして図4(2)に示すように、Au膜のエッチング処理を行ってレジスト膜56から
露出しているAu膜55を除去する。
次に図4(3)に示すようにTiW膜54のエッチング処理を行う。これによりレジス
ト膜56で覆われた電極パターン50が形成され、円弧状の樹脂コア53の一部が露出す
る。
【0032】
ついで図4(4)に示すように一部露出した樹脂コア53に対して等方性プラズマを用
いてエッチングしていく。このとき、電極パターン50の屈曲部52と接触する樹脂コア
53の一部が残るようにエッチングする。これにより、一方の主面43と電極パターン5
0の間の屈曲部52に樹脂57が形成されて屈曲部52を補強することができる。
【0033】
最後に図4(5)に示すように電極パターン50上のレジスト膜56を剥離して電極パ
ターン50を露出させる。
このような電極パターン50はIC素子42の対向する短辺側のパッド44から中心に
向かって形成されている。電極パターン50は、IC素子42を短辺方向に二等分する中
心線に対して線対称に形成されている。これにより本実施形態の複数の電極パターン50
はそれぞれ中心点に対して点対称な対をなすとともに、所定の間隔を開けて3対形成され
ている。電極パターン50は、端部のパッド44から先端に向かう途中で屈曲させて形成
させている。各電極パターン50のそれぞれの他方の端部50bの先端部分は、ジャイロ
振動片62の複数の接続用電極パッド64のそれぞれと対応する位置に合わせて形成され
ている。
【0034】
また電極パターン50の各他方の端部50bの上面は、ジャイロ振動片62の支持部7
4に形成された対応する接続用電極パッド64と接合されて、それぞれが電気的に接続さ
れている。従って、ジャイロ振動片62は、その下面の各接続電極用パッド64以外がパ
ッケージ20内で接触しない状態で支持されている。
【0035】
なお、IC素子42上のパッド44は、一方の主面43に形成した形態で説明したが、
他方の主面に形成されたパッドと貫通電極を介して電極パターン50と電気的に接続させ
た構成であってもよい。
【0036】
パッド44とパッケージ20の第2基板28上に形成された複数の回路接続電極36と
は、ボンディングワイヤ46により接続され、回路部48が形成されている。
パッケージ20の第3基板30の上面にシームリングなどの接合材16を介してリッド
18が接合される。
【0037】
ジャイロ振動片62は、駆動モード、検出モード、スプリアスモードの3つのモードで
動作するため、駆動モードに供する第1の駆動アーム66a、66b及び、第2の駆動ア
ーム68a、68bと、検出モードに供する検出アーム70a、70bと連結アーム72
a、72bと、支持部74とを主な基本構成としている。
【0038】
一対の連結アーム72a、72bは、四角板状を有する支持部74の両面側中央箇所か
らそれぞれの軸線が一致するようにそれぞれ反対方向に直線状に延出している。連結アー
ム72aの一端は第1の駆動アーム66a、66bの延在方向中心位置に接続されている
。一方連結アーム72bの一端は、第2の駆動アーム68a、68bの延在方向中心位置
に接続されている。第1の駆動アーム66a、66bと第2の駆動アーム68a、68b
の各主面には、それぞれ細長い溝が形成されて横断面形状が略H型となっており、溝内に
駆動電極76が形成されている。また第1の駆動アーム66a、66bと第2の駆動アー
ム68a、68bの各先端にはそれぞれ幅を広く形成された重量部78が設けられている

【0039】
検出アーム70a、70bは、支持部74の中心をその軸線が通じるように、支持部7
4の両側面中央箇所から直線状に延出している。また検出アーム70a、70bの各主面
には、それぞれ細長い溝が形成されて横断面形状が略H型となっており、溝内に検出電極
80が形成されている。支持部74は連結アーム72a、72bと検出アーム70a、7
0bとの接続点を含む所定の面積を有する板状部であり、ジャイロ振動片62をIC素子
42上で支持する構造となっている。また支持部74の裏面側(IC素子42との実装面
側)にはIC素子42の電極パターン50の他方の端部50bと対応する複数の接続用電
極パッド64が設けられている。接続用電極パッド64は、駆動電極76及び検出電極8
0と電気的に接続させている。検出アーム70a、70bの各先端にはそれぞれ幅を広く
形成された重量部82が設けられている。
【0040】
上記構成による圧電デバイスの製造方法について以下説明する。
パッケージ20の凹部22の上面に形成されたダイパッド32にAgペーストなどの導
電性接着材を塗布した後、IC素子42を接着固定する。そしてワイヤボンディングによ
り、IC素子42の上面に形成された複数のパッド44と対応するパッケージ20の回路
接続電極36とをボンディングワイヤ46により電気的に接続して回路部48を形成する
。このときIC素子42の一方の主面43上には予め電極パターン50が図4の形成方法
に従って形成されている。
【0041】
次に電極パターン50の他方の端部50b上に導電性接着材90を塗布して、ジャイロ
振動片62の接続用電極パッド64と、対応する電極パターン50の他方の端部50bを
位置合わせする。なお導電性接着材90にはAgペーストなどを用いることができる。電
極パターン50の他方の端部50b上に塗布された導電性接着材90は屈曲部52から立
ち上がった円弧状の面に沿って下方へと濡れ広がり易く、振動片に対する濡れ面積を小さ
くして接合させることができる。
そして所定温度の熱圧着ツールを所定の圧力で圧しつけることで両者を接合する。
【0042】
ついでパッケージ20の上面開口24を塞ぐようにシームリングなどの接合材16を介
してリッド18を位置決めして仮固定し、シーム溶接することなどによりリッド18を固
定して、パッケージ20内部を気密に封止する。このようにして圧電デバイス10が形成
される。
【0043】
このような本発明の圧電デバイスによれば、圧電振動片を半導体デバイス上に屈曲部を
備えた電極パターンにより中空に浮かせた形態で直接接合する構成であるため、従来のよ
うなTAB基板を用いることがない。また配線パターンは低背形状であるため、デバイス
全体の小型化、低背化を図ることができる。
【0044】
半導体デバイスの配線パターンの端部と接続用電極パッドを接続させているため、配線
長さを短くすることができ電気的特性を安定化させることができる。また圧電振動片と半
導体デバイスとの接合領域を小さくすることができる。
屈曲部の立ち上がり部分に樹脂を形成しているため、屈曲部の強度を補強して、圧電振
動片との電気的接続の信頼性及び支持固定の強度を保持することができる。
【0045】
半導体デバイスと圧電振動片との電気的接続の過程で、導電性接着材による接続は1工
程であり電気的特性を安定化させることができる。また従来のように圧電振動片と半導体
デバイスとの接続にバンプを設ける必要がないため、製造工程を簡略化することができる

【0046】
本発明の配線パターンによる接続では、振動片が外的要因で平面方向に揺さぶられた場
合に、屈曲部で立ち上がった中空状の電極パターンでその変位を吸収することができ、導
電性接着材に応力が集中することがない。またジャイロ振動片の駆動電極と検出電極の間
の支持部に電極パターン及び導電性接着材を介した接続部があるため、駆動アーム側で発
生した意図しない機械的振動を吸収することができ、検出アームに伝わるおそれがない。
【0047】
図5は圧電デバイスの変形例1の説明図である。
変形例1の圧電デバイスは、電極パターン500に段差状の凹凸部58を形成している
。この凹凸部58は屈曲部52から他方の端部500bの間に形成している。
【0048】
電極パターン500の凹凸部58は、電極パターン500の形成箇所に塗布する樹脂コ
ア53の一部に溝59などの凹凸を設けることにより形成することができる。図5(1)
に示すような溝59の形成は、樹脂コア53の塗布量又は塗布面積を制御することにより
形成することができる。また塗布した後、樹脂コア53を溝状に切削することにより形成
することもできる。
【0049】
次に図5(2)に示すように溝上に金属膜を形成する。具体的には図4の形成方法と同
様に、樹脂コア53の溝59を覆うようにTiW膜とAu膜の被膜、及び形成した金属被
膜上にCuメッキとAuメッキを施した金属膜502を被膜形成する。
【0050】
以後、図4に示すレジスト膜以降の処理を同様に行うことにより図5(3)に示すよう
な凹凸部58と樹脂57を備えた電極パターン500を形成することができる。
なお凹凸部は、凹上に形成した構成のほかにも凸状、線状、円又は錐などの点状に形成
するようにしてもよい。
【0051】
上記構成による電極パターン500を用いた場合、パターンの強度を補強すると共に、
圧電振動片との接続領域を小さくすることができる。また圧電振動片と半導体デバイスと
の電気的接続の配線距離が短くなり電気的に安定化する。従ってデバイス全体を小型化す
ることができる。
また電極パターン500の他方の端部50bに導電性接着材を塗布した場合、凹凸部5
8に接着材が収まるため、接着材の位置決めが容易に行なえる。
【0052】
図6は圧電デバイスの変形例2の説明図である。
図3に示す電極パターン50は、圧電振動片60を実装する電極として説明したが、配
線パターンは、このほかにも実装基板上に実装する際の実装端子92としても適用するこ
とができる。具体的に変形例2の圧電デバイスは、図示のように半導体デバイス40の実
装面に形成した配線パターンを実装端子92としている。
【符号の説明】
【0053】
10………圧電デバイス、12………振動ジャイロ、16………接合材、18………リッ
ド、20………パッケージ、22………凹部、24………開口、26………第1基板、2
8………第2基板、30………第3基板、32………ダイパッド、34………外部接続電
極、36………回路接続電極、40………半導体デバイス、42………IC素子、43…
……一方の主面、44………パッド、46………ボンディングワイヤ、47………絶縁膜
、48………回路部、50,500………電極パターン、52………屈曲部、53………
樹脂コア、54………TiW膜、55………Au膜、56………レジスト膜、57………
樹脂、60………圧電振動片、62………ジャイロ振動片、64………接続用電極パッド
、66a,66b………第1の駆動アーム、68a,68b………第2の駆動アーム、7
0a,70b………検出アーム、72a,72b………連結アーム、74………支持部、
76………駆動電極、78………重量部、80………検出電極、82………重量部、90
………導電性接着材、92………実装端子、100………振動ジャイロ、102………T
AB基板、104………ボンディングリード、106………デバイスホール、108……
…ジャイロ振動片、110………パッケージ基板、200………圧電デバイス、202…
……圧電振動片、204………支持枠、206………パッケージ、208………Agペー
スト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続用電極パッドを形成した圧電振動片と、
前記接続用電極パッドと電気的に接続すると共に、前記圧電振動片を支持する電極パタ
ーンを形成した半導体デバイスとを備え、
前記電極パターンは、一方の端部を前記半導体デバイスのパッドと接続させ、他方の端
部を前記接続用電極パッドと接続させ、前記一方の端部と前記他方の端部の間に前記半導
体デバイスの一方の主面から離反する方向に立ち上がる屈曲部を形成し、
前記一方の主面と前記電極パターンの間の屈曲部に樹脂を形成したことを特徴とする圧
電デバイス。
【請求項2】
前記電極パターンは、前記屈曲部から前記他方の端部の間に凹凸部を形成したことを特
徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
接続用電極パッドを形成した圧電振動片と、前記接続用電極パッドと電気的に接続する
と共に、前記圧電振動片を支持する電極パターンを形成した半導体デバイスを備えた圧電
デバイスの製造方法であって、
一方の端部を前記半導体デバイスのパッドと接続させ、他方の端部を前記接続用電極パ
ッドと接続させ、前記一方の端部と前記他方の端部の間に前記半導体デバイスの一方の主
面から離反する方向に立ち上がる屈曲部を形成し、前記一方の主面と前記電極パターンの
間の屈曲部に樹脂を形成した前記電極パターンの前記他方の端部に導電性接着材を塗布し
て、
前記接続用電極パッドを前記電極パターン上に搭載して、
加熱圧着して接合させたことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記電極パターンの樹脂は、樹脂コアをエッチングして前記一方の主面と前記電極パタ
ーンの間に一部残すように形成したことを特徴とする請求項3に記載の圧電デバイスの製
造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−164003(P2011−164003A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28613(P2010−28613)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】