圧電振動片
【課題】本発明は、高調波による発振を防止して基本波のCI値を下げることを目的とする。
【解決手段】振動腕14は、表裏面16の両側に接続される第1及び第2の側面21,22と、を有する。表裏面16には、それぞれ、振動腕14の長手方向に延びる溝30が形成されている。溝30は、第1及び第2の側面21,22とそれぞれ背中合わせに延びる第1及び第2の内面31,32を含む。一対の振動腕14は、相互の第1及び第2の側面21,22が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部18を基部12との接続部24に有し、接続部24の次に大きく屈曲する第2の屈曲部20を溝30の長さ方向の中間部が形成されている部分に有する。第1の側面21と第1の内面31(又は第2の側面22と第2の内面32)の間隔は、第2の屈曲部20において最も大きい。
【解決手段】振動腕14は、表裏面16の両側に接続される第1及び第2の側面21,22と、を有する。表裏面16には、それぞれ、振動腕14の長手方向に延びる溝30が形成されている。溝30は、第1及び第2の側面21,22とそれぞれ背中合わせに延びる第1及び第2の内面31,32を含む。一対の振動腕14は、相互の第1及び第2の側面21,22が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部18を基部12との接続部24に有し、接続部24の次に大きく屈曲する第2の屈曲部20を溝30の長さ方向の中間部が形成されている部分に有する。第1の側面21と第1の内面31(又は第2の側面22と第2の内面32)の間隔は、第2の屈曲部20において最も大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片及び圧電振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
音叉型圧電振動片は、一対の振動腕を有し、振動腕には励振電極が形成されている。また、振動腕に長溝を形成してCI値を下げることも知られており、長溝内にも励振電極が形成される(特許文献1)。しかし、溝を長くすると基本波のCI値よりも高調波のCI値が大きく下がってしまうため、溝が振動腕の長さの60%以上になると、駆動回路によっては高調波で発振してしまうことがあった。例えば、特許文献2には、溝の形成によって3次高調波のCI値を低減することが記載されている。したがって、基本波で発振させる圧電振動片には、溝を形成してCI値を下げるには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−354649号公報
【特許文献2】特開2006−246448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高調波による発振を防止して基本波のCI値を下げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る圧電振動片は、
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい。本発明によれば、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部において、側面と内面の間隔が最も大きい。これによって、第2の屈曲部の屈曲が抑えられる。第2の屈曲部での屈曲が高調波の振動を生じさせることが明らかになっており、その屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。また、溝の形成によって基本波のCI値を下げることができる。
【0006】
(2)この圧電振動片において、
前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分であることを特徴とする。
【0007】
(3)この圧電振動片において、
それぞれの前記振動腕は、前記第2の屈曲部で前記側面に外凸部を有してもよい。
【0008】
(4)この圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で前記内面に内凸部を有してもよい。
【0009】
(5)この圧電振動片において、
前記溝は、前記振動腕の長さの80%以上の長さを有してもよい。
【0010】
(6)この圧電振動片において、
前記溝は、長さ方向の全てにわたって深さが均一であってもよい。
【0011】
(7)この圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で最も深さが浅くてもよい。
【0012】
(8)本発明に係る圧電振動子は、パッケージと、前記パッケージに導電性接着剤を介して電気的機械的に接続され、かつ、前記パッケージに収納される圧電振動片と、前記パッケージの上面を封止する蓋体と、を有する圧電振動子であって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい、
ことを特徴とする。本発明によれば、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部において、側面と内面の間隔が最も大きい。これによって、第2の屈曲部の屈曲が抑えられる。第2の屈曲部での屈曲が高調波の振動を生じさせることが明らかになっており、その屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。また、溝の形成によって基本波のCI値を下げることができる。
【0013】
(9)この圧電振動子において、
前記圧電振動片の前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記圧電振動片の前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分である、
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片(音叉型圧電振動片)を示す平面図である。
【図2】図1に示す圧電振動片のII−II線断面拡大図である。
【図3】図1に示す圧電振動片のIII−III線断面拡大図である。
【図4】一対の振動腕が駆動されたときの圧電振動片を示す図である。
【図5】一対の振動腕が駆動されたときの圧電振動片を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る圧電振動片の動作を説明する図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片の変形例を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。
【図9】図8に示す圧電振動片のIX−IX線断面拡大図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。
【図11】図10に示す圧電振動片のXI−XI線断面拡大図である。
【図12】図12は、本実施の形態に係る音叉型圧電振動片が収納された音叉型圧電振動子を示す上面図である。
【図13】図13は、図12に示す音叉型圧電振動子のXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片(音叉型圧電振動片)を示す平面図である。なお、圧電振動片の底面図は平面図と対称に表れる。圧電振動片は、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料からなる。圧電振動片は、基部12と、基部12から延びる一対の振動腕14と、を含む。
【0016】
図2は、図1に示す圧電振動片のII−II線断面拡大図である。振動腕14は、相互に反対を向く表裏面16と、表裏面16を両側で接続する第1及び第2の側面21,22とを有する。圧電振動片を水晶から構成する場合、水晶ウエハは、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、Z軸を中心に時計回りに0度ないし5度の範囲で回転して切り出した水晶Z板を所定の厚みに切断研磨して得られるものを用いる。
【0017】
一方(図1で左側)の振動腕14の第1の側面21と、他方(図1で右側)の振動腕14の第2の側面22が対向するように並列している。第1の側面21は、表裏面16の間隔によって定義される振動腕14の厚みの中央方向に高くなる山型となるように形成されている(図2参照)。第1の側面21が描く山型の高さは、第1及び第2の側面21,22の間隔によって定義される振動腕14の幅の、0%超12.5%以下である。
【0018】
振動腕14は、基部12に接続される接続部24において、基部12側に向けて幅を拡げてあり、広い幅で基部12に接続するので剛性が高くなっている。振動腕14は、第1及び第2の側面21,22の間隔によって定義される幅が、基部12から先端に向けて細くなる第1のテーパ部26を含む。第1のテーパ部26を形成することにより、振動腕14は振動しやすくなっている。振動腕14は、第1のテーパ部26よりも先端に近い位置に、幅が第1のテーパ部26から先端に向けて太くなる第2のテーパ部28を含む。第2のテーパ部28は、錘の機能を果たすので、振動周波数を低くすることができる。振動腕14は、第1及び第2のテーパ部26,28が接続される幅変更点が溝30よりも先端近くに位置するように形成されている。
【0019】
振動腕14には、表裏面16に、長手方向に延びる溝30がそれぞれ形成されている。溝30によって振動腕14が動きやすくなって効率的に振動するのでCI値を下げることができる。溝30は、振動腕14の長さの80%以上の長さを有する。また、溝30は、振動腕14の幅の60〜90%の幅を有する。
【0020】
溝30は、第1の側面21と背中合わせに延びる第1の内面31と、第2の側面22と背中合わせに延びる第2の内面32と、を含む。第1の内面31は第2の内面32よりも、表裏面16に対する角度が垂直に近くなっている。第1の内面31は平坦面であってもよい。第2の内面32も平坦面であってもよいが、図2に示す例では、異なる角度の面が接続されてなる。第1及び第2の側面21,22は、第2の内面32よりも表裏面16に対する角度(表裏面16と接続する部分の角度)が垂直に近くなっている。
【0021】
図3は、図1に示す圧電振動片のIII−III線断面拡大図である。溝30は、第1及び第2の内面31,32にそれぞれ内凸部34が形成されている。内凸部34の形成によって、溝30の幅が最も狭くなっている。また、内凸部34が形成された領域では、溝30の深さも最も浅くなっている。これは、溝30の形成にウエットエッチングを適用したためである。
【0022】
図4は、一対の振動腕が基本波モードで駆動されたときの圧電振動片を示す図である。一対の振動腕14は、第1及び第2の側面21,22が相互に接近及び離隔するように屈曲振動する。振動腕14は、最も大きく屈曲(応力集中)する第1の屈曲部18を基部12との接続部24に有する。
【0023】
図5は、2次高調波モードによって一対の振動腕が振動するときの圧電振動片を示す図である。2次高調波モードにおいても、振動腕14は、最も大きく屈曲する第1の屈曲部18を基部12との接続部24に有する。また、振動腕14は、接続部24の次に大きく屈曲(応力集中)する第2の屈曲部20を、溝30の長さ方向の中間部(両端部を除く領域)が形成されている部分に有する。
【0024】
本実施の形態によれば、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部20において、第1の側面及び第1の内面21,31の間隔並びに第2の側面及び第2の内面22,32の間隔が、他の部分よりも大きくなっている。これによって、第2の屈曲部20の屈曲が抑えられる。第2の屈曲部20での屈曲が高調波の振動を生じさせることが明らかになっており、その屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。また、溝30の形成によって基本波のCI値を下げることができる。
【0025】
圧電振動片は、一対の支持腕36を含む。一対の支持腕36は、基部12から一対の振動腕14が延びる方向とは交差方向であってそれぞれ相互に反対方向に延び、一対の振動腕14の延びる方向に屈曲してさらに延びる。屈曲することで、支持腕36は小型化される。支持腕36は、パッケージに取り付けられる部分であり、支持腕36での取り付けによって、振動腕14及び基部12は浮いた状態になる。
【0026】
基部12には、振動腕14の表裏面16と同じ側の面に括れた形状が表れるように、相互に対向方向に一対の切り込み38が形成されている。一対の切り込み38は、それぞれ、一対の支持腕36が基部12から延びて屈曲する方向の側で一対の支持腕36に隣接して基部12に形成されている。切り込み38によって、振動腕14の振動の伝達が遮断されるので、振動が基部12や支持腕36を介して外部に伝わること(振動漏れ)を抑制し、CI値の上昇を防止することができる。切り込み38の長さ(深さ)は、基部12の強度を確保できる範囲で長い(深い)ほど、振動漏れ抑制効果は大きい。一対の切り込み38の間の幅(一対の切り込み38に挟まれた部分の幅)は、一対の振動腕14の対向する第1及び第2の側面21,22の間隔よりも小さくしてもよいし大きくしてもよいし、一対の振動腕14の相互に反対を向く第1及び第2の側面21,22の距離よりも小さくしてもよいし大きくしてもよい。
【0027】
振動腕14には、励振電極膜が形成されている。励振電極膜は、100Å以上300Å以下の厚みを有する下地のCr膜と、Cr膜上に形成された200Å以上500Å以下の厚みを有するAu膜と、を含む多層構造であってもよい。Cr膜は水晶との密着性が高く、Au膜は電気抵抗が低く酸化し難い。励振電極膜は、第1及び第2の側面21,22にそれぞれ形成された第1及び第2の側面電極膜42,44と、第1及び第2の内面31,32にそれぞれ形成された第1及び第2の内面電極膜46,48と、を含む。励振電極膜によって、第1及び第2の励振電極50,52が構成される。
【0028】
第1の励振電極50は、溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48を含む。1つの溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48は、相互に連続的に形成されて電気的に接続されている。表裏面16の一方(例えば表面)の溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48と、表裏面16の他方(例えば裏面)の溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48と、は電気的に接続されている。すなわち、表裏面16それぞれに形成された一対の第1の励振電極50は電気的に接続されている。また、一方の振動腕14に形成された一対の第1の励振電極50は、基部12上の表裏面16それぞれに形成された引き出し電極54に接続され、これらの引き出し電極54が、他方の振動腕14の第1又は第2の側面電極膜42,44に接続されることで電気的に接続される。
【0029】
第2の励振電極52は、第1及び第2の側面電極膜42,44を含む。また、第1及び第2の側面電極膜42,44は電気的に接続されている。その電気的接続は、振動腕14の溝30が形成されていない部分(例えば先端部)において、表裏面16の少なくとも一方(あるいは両方)上に形成された接続電極56によってなされている。
【0030】
一方の振動腕14に形成された第1の励振電極50と、他方の振動腕14に形成された第2の励振電極52と、は基部12上の引き出し電極54で電気的に接続されている。引き出し電極54は、第2の励振電極52が形成される振動腕14の隣に並ぶ支持腕36上に至るまで形成されている。引き出し電極54は、支持腕36の表裏面16(あるいはさらに側面)に形成されている。支持腕36上で、引き出し電極54を外部との電気的接続部にすることができる。
【0031】
本実施の形態では、第1の側面電極膜42と第1の内面電極膜46との間に電圧を印加し、第2の側面電極膜44と第2の内面電極膜48との間に電圧を印加することで、振動腕14の一方の側端を伸ばし、他方の側端を縮ませて振動腕14を屈曲させて振動させる。言い換えると、1つの振動腕14において、第1及び第2の励振電極50,52間に電圧を印加して、振動腕14の第1及び第2の側面21,22を伸縮させることで振動腕14を振動させる。
【0032】
図6は、本実施の形態に係る圧電振動片の動作を説明する図である。図6に示すように、一方の振動腕14の第1及び第2の励振電極50,52に電圧が印加され、他方の振動腕14の第1及び第2の励振電極50,52に電圧が印加される。ここで、一方(左側)の振動腕14の第1の励振電極50と他方(右側)の振動腕14の第2の励振電極52が同じ電位(図6の例では+電位)となり、一方(左側)の振動腕14の第2の励振電極52と他方(右側)の振動腕14の第1の励振電極50が同じ電位(図6の例では−電位)となるように、第1の励振電極50及び第2の励振電極52は、クロス配線によって交流電源に接続され、駆動電圧としての交番電圧が印加されるようになっている。印加電圧によって、図6に矢印で示すように電界が発生し、これにより、振動腕14は、互いに逆相振動となるように(振動腕14の先端側が互いに接近・離間するように)励振されて屈曲振動する。また、基本モードで振動するように交番電圧が調整されている。
【0033】
なお、本実施の形態に係る圧電振動片の製造方法は、上述した構成の説明から自明な事項を含む。
【0034】
(変形例)
図7(A)及び図7(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片の変形例を示す平面図である。詳しくは、図7(A)は図2の変形例であり、図7(B)は図3の変形例である。この変形例では、溝130の第1及び第2の内面131,132が表裏面116に対して垂直になっている。この形状は、溝130の形成にドライエッチングを適用することで可能となる。また、内凸部134の形成によって、溝130の幅が狭くなっているが、溝130の深さは長さ方向の全てにわたって均一になっている。これも、ドライエッチングを適用したことに起因する。
【0035】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。図9は、図8に示す圧電振動片のIX−IX線断面拡大図である。本実施の形態では、振動腕214は、第2の屈曲部220で、第1及び第2の側面221,222に外凸部260を有している。本実施の形態でも、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部220において、第1の側面及び第1の内面221,231の間隔並びに第2の側面及び第2の内面222,232の間隔が、他の部分よりも大きくなっているので、第2の屈曲部220の屈曲が抑えられる。これにより、高調波の発生を防止することができる。その他の構成及び製造方法は、第1の実施の形態で説明した内容が該当する。
【0036】
(第3の実施の形態)
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。図11は、図10に示す圧電振動片のXI−XI線断面拡大図である。本実施の形態では、振動腕314は、第2の屈曲部320で、第1及び第2の内面331,332に内凸部334を有し、かつ、第1及び第2の側面321,322に外凸部360を有している。本実施の形態でも、第2の屈曲部320の屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。その他の構成及び製造方法は、第1の実施の形態で説明した内容が該当する。
【0037】
(圧電振動子の構造)
図12は、本実施の形態に係る音叉型圧電振動片が収納された音叉型圧電振動子を示す上面図であり、図13は、図12に示す音叉型圧電振動子のXIII−XIII線断面図である。
【0038】
パッケージ400は、第1の基板402、第2の基板404、パッケージフレーム406の3層のセラミックスグリーンシートを積層し、焼成し、接合することで構成されている。
【0039】
第2の基板404の上面にはパッケージ400の焼成前にマウント電極408が形成されている。マウント電極408は、導電性接着剤410が塗布され、導電性接着剤410を介して、音叉型振動片412の励振電極414が電気的機械的に接続されている。また、第2の基板404には、第2の孔416が形成されている。
【0040】
マウント電極408は、第2の基板404の側面および第1の基板402の側面に形成された金属層(図示せず)を介して第1の基板402の下面に露出する端子418に接続され、図示しない発振回路に接続される。或いは、マウント電極408は、第2の基板404の側面および第1の基板402の側面に代えて、スルーホール(図示せず)を介して第1の基板402の下面の端子418に接続しても良い。
【0041】
第1の基板402には、第2の孔416より大きな径を有する第1の孔420が、第2の孔416と重なる位置に設けられている。さらに、後述する封止材422との気密性を高めるため、第1の孔420の側壁に金属膜424が形成されている。
【0042】
さらに、パケージフレーム406は、上面開口を塞ぐように、蓋体426によって封止される。蓋体426は、周波数調整用のレーザービームLBが透過できれば良く、例えば、ガラスや光透過性セラミックスから構成してもよいし、金属枠にガラスがはめ込んだ構成などが採用される。また、蓋体426の構成に合わせて、ロウ材による封止や、シーム封止などが適宜採用される。
【0043】
蓋体426によってパッケージフレーム406が封止された後、音叉型圧電振動子412の上下を逆さにして、第1の孔420の径より径が小さく、第2の孔416より径が大きい封止材422(Au−Ge合金、Au−Sn合金等の合金からなる金属ボール)を第1の孔420に入れて真空で加熱することで第1の孔420が封止され、音叉型圧電振動片412は真空収納される。ここで、第2の孔416は封止材422がパッケージ400の内部に入らないようにするストッパーとして働く。
【0044】
なお、本実施の形態によると、第1および第2の孔420、416を使わずに蓋封止工程を真空で行った場合に比べると、CI値が低い振動子を提供することが分かっている。これは、蓋封止工程においてガスが発生し、第1および第2の孔420、416を使わない場合には、パッケージ400内部の真空度が低下するからであると考えられている。変形例として、第1及び第2の基板402,404の代わりに、パッケージフレーム406とその一部が重なる位置に封止孔を有する基板を用いて、その封止孔に金属ボールを入れて真空で加熱する手法を採用することもできる(図示せず)。このようにすれば、基板が1層で足りるので、パッケージを薄型化することができる。
【0045】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0046】
12…基部、 14…振動腕、 16…表裏面、 18…第1の屈曲部、 20…第2の屈曲部、 21…第1の側面、 22…第2の側面、 24…接続部、 26…第1のテーパ部、 28…第2のテーパ部、 30…溝、 31…第1の内面、 32…第2の内面、 34…内凸部、 36…支持腕、 38…切り込み、 42…第1の側面電極膜、 44…第2の側面電極膜、 46…第1の内面電極膜、 48…第2の内面電極膜、 50…第1の励振電極、 52…第2の励振電極、 54…引き出し電極、 56…接続電極、 116…表裏面、 130…溝、 131…第1の内面、 132…第2の内面、 134…内凸部、 214…振動腕、 220…第2の屈曲部、 221…第1の側面、 222…第2の側面、 231…第1の内面、 232…第2の内面、 260…外凸部、 314…振動腕、 320…第2の屈曲部、 321…第1の側面、 322…第2の側面、 331…第1の内面、 332…第2の内面、 334…内凸部、
360…外凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片及び圧電振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
音叉型圧電振動片は、一対の振動腕を有し、振動腕には励振電極が形成されている。また、振動腕に長溝を形成してCI値を下げることも知られており、長溝内にも励振電極が形成される(特許文献1)。しかし、溝を長くすると基本波のCI値よりも高調波のCI値が大きく下がってしまうため、溝が振動腕の長さの60%以上になると、駆動回路によっては高調波で発振してしまうことがあった。例えば、特許文献2には、溝の形成によって3次高調波のCI値を低減することが記載されている。したがって、基本波で発振させる圧電振動片には、溝を形成してCI値を下げるには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−354649号公報
【特許文献2】特開2006−246448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高調波による発振を防止して基本波のCI値を下げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る圧電振動片は、
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい。本発明によれば、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部において、側面と内面の間隔が最も大きい。これによって、第2の屈曲部の屈曲が抑えられる。第2の屈曲部での屈曲が高調波の振動を生じさせることが明らかになっており、その屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。また、溝の形成によって基本波のCI値を下げることができる。
【0006】
(2)この圧電振動片において、
前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分であることを特徴とする。
【0007】
(3)この圧電振動片において、
それぞれの前記振動腕は、前記第2の屈曲部で前記側面に外凸部を有してもよい。
【0008】
(4)この圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で前記内面に内凸部を有してもよい。
【0009】
(5)この圧電振動片において、
前記溝は、前記振動腕の長さの80%以上の長さを有してもよい。
【0010】
(6)この圧電振動片において、
前記溝は、長さ方向の全てにわたって深さが均一であってもよい。
【0011】
(7)この圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で最も深さが浅くてもよい。
【0012】
(8)本発明に係る圧電振動子は、パッケージと、前記パッケージに導電性接着剤を介して電気的機械的に接続され、かつ、前記パッケージに収納される圧電振動片と、前記パッケージの上面を封止する蓋体と、を有する圧電振動子であって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい、
ことを特徴とする。本発明によれば、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部において、側面と内面の間隔が最も大きい。これによって、第2の屈曲部の屈曲が抑えられる。第2の屈曲部での屈曲が高調波の振動を生じさせることが明らかになっており、その屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。また、溝の形成によって基本波のCI値を下げることができる。
【0013】
(9)この圧電振動子において、
前記圧電振動片の前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記圧電振動片の前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分である、
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片(音叉型圧電振動片)を示す平面図である。
【図2】図1に示す圧電振動片のII−II線断面拡大図である。
【図3】図1に示す圧電振動片のIII−III線断面拡大図である。
【図4】一対の振動腕が駆動されたときの圧電振動片を示す図である。
【図5】一対の振動腕が駆動されたときの圧電振動片を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る圧電振動片の動作を説明する図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片の変形例を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。
【図9】図8に示す圧電振動片のIX−IX線断面拡大図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。
【図11】図10に示す圧電振動片のXI−XI線断面拡大図である。
【図12】図12は、本実施の形態に係る音叉型圧電振動片が収納された音叉型圧電振動子を示す上面図である。
【図13】図13は、図12に示す音叉型圧電振動子のXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片(音叉型圧電振動片)を示す平面図である。なお、圧電振動片の底面図は平面図と対称に表れる。圧電振動片は、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料からなる。圧電振動片は、基部12と、基部12から延びる一対の振動腕14と、を含む。
【0016】
図2は、図1に示す圧電振動片のII−II線断面拡大図である。振動腕14は、相互に反対を向く表裏面16と、表裏面16を両側で接続する第1及び第2の側面21,22とを有する。圧電振動片を水晶から構成する場合、水晶ウエハは、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、Z軸を中心に時計回りに0度ないし5度の範囲で回転して切り出した水晶Z板を所定の厚みに切断研磨して得られるものを用いる。
【0017】
一方(図1で左側)の振動腕14の第1の側面21と、他方(図1で右側)の振動腕14の第2の側面22が対向するように並列している。第1の側面21は、表裏面16の間隔によって定義される振動腕14の厚みの中央方向に高くなる山型となるように形成されている(図2参照)。第1の側面21が描く山型の高さは、第1及び第2の側面21,22の間隔によって定義される振動腕14の幅の、0%超12.5%以下である。
【0018】
振動腕14は、基部12に接続される接続部24において、基部12側に向けて幅を拡げてあり、広い幅で基部12に接続するので剛性が高くなっている。振動腕14は、第1及び第2の側面21,22の間隔によって定義される幅が、基部12から先端に向けて細くなる第1のテーパ部26を含む。第1のテーパ部26を形成することにより、振動腕14は振動しやすくなっている。振動腕14は、第1のテーパ部26よりも先端に近い位置に、幅が第1のテーパ部26から先端に向けて太くなる第2のテーパ部28を含む。第2のテーパ部28は、錘の機能を果たすので、振動周波数を低くすることができる。振動腕14は、第1及び第2のテーパ部26,28が接続される幅変更点が溝30よりも先端近くに位置するように形成されている。
【0019】
振動腕14には、表裏面16に、長手方向に延びる溝30がそれぞれ形成されている。溝30によって振動腕14が動きやすくなって効率的に振動するのでCI値を下げることができる。溝30は、振動腕14の長さの80%以上の長さを有する。また、溝30は、振動腕14の幅の60〜90%の幅を有する。
【0020】
溝30は、第1の側面21と背中合わせに延びる第1の内面31と、第2の側面22と背中合わせに延びる第2の内面32と、を含む。第1の内面31は第2の内面32よりも、表裏面16に対する角度が垂直に近くなっている。第1の内面31は平坦面であってもよい。第2の内面32も平坦面であってもよいが、図2に示す例では、異なる角度の面が接続されてなる。第1及び第2の側面21,22は、第2の内面32よりも表裏面16に対する角度(表裏面16と接続する部分の角度)が垂直に近くなっている。
【0021】
図3は、図1に示す圧電振動片のIII−III線断面拡大図である。溝30は、第1及び第2の内面31,32にそれぞれ内凸部34が形成されている。内凸部34の形成によって、溝30の幅が最も狭くなっている。また、内凸部34が形成された領域では、溝30の深さも最も浅くなっている。これは、溝30の形成にウエットエッチングを適用したためである。
【0022】
図4は、一対の振動腕が基本波モードで駆動されたときの圧電振動片を示す図である。一対の振動腕14は、第1及び第2の側面21,22が相互に接近及び離隔するように屈曲振動する。振動腕14は、最も大きく屈曲(応力集中)する第1の屈曲部18を基部12との接続部24に有する。
【0023】
図5は、2次高調波モードによって一対の振動腕が振動するときの圧電振動片を示す図である。2次高調波モードにおいても、振動腕14は、最も大きく屈曲する第1の屈曲部18を基部12との接続部24に有する。また、振動腕14は、接続部24の次に大きく屈曲(応力集中)する第2の屈曲部20を、溝30の長さ方向の中間部(両端部を除く領域)が形成されている部分に有する。
【0024】
本実施の形態によれば、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部20において、第1の側面及び第1の内面21,31の間隔並びに第2の側面及び第2の内面22,32の間隔が、他の部分よりも大きくなっている。これによって、第2の屈曲部20の屈曲が抑えられる。第2の屈曲部20での屈曲が高調波の振動を生じさせることが明らかになっており、その屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。また、溝30の形成によって基本波のCI値を下げることができる。
【0025】
圧電振動片は、一対の支持腕36を含む。一対の支持腕36は、基部12から一対の振動腕14が延びる方向とは交差方向であってそれぞれ相互に反対方向に延び、一対の振動腕14の延びる方向に屈曲してさらに延びる。屈曲することで、支持腕36は小型化される。支持腕36は、パッケージに取り付けられる部分であり、支持腕36での取り付けによって、振動腕14及び基部12は浮いた状態になる。
【0026】
基部12には、振動腕14の表裏面16と同じ側の面に括れた形状が表れるように、相互に対向方向に一対の切り込み38が形成されている。一対の切り込み38は、それぞれ、一対の支持腕36が基部12から延びて屈曲する方向の側で一対の支持腕36に隣接して基部12に形成されている。切り込み38によって、振動腕14の振動の伝達が遮断されるので、振動が基部12や支持腕36を介して外部に伝わること(振動漏れ)を抑制し、CI値の上昇を防止することができる。切り込み38の長さ(深さ)は、基部12の強度を確保できる範囲で長い(深い)ほど、振動漏れ抑制効果は大きい。一対の切り込み38の間の幅(一対の切り込み38に挟まれた部分の幅)は、一対の振動腕14の対向する第1及び第2の側面21,22の間隔よりも小さくしてもよいし大きくしてもよいし、一対の振動腕14の相互に反対を向く第1及び第2の側面21,22の距離よりも小さくしてもよいし大きくしてもよい。
【0027】
振動腕14には、励振電極膜が形成されている。励振電極膜は、100Å以上300Å以下の厚みを有する下地のCr膜と、Cr膜上に形成された200Å以上500Å以下の厚みを有するAu膜と、を含む多層構造であってもよい。Cr膜は水晶との密着性が高く、Au膜は電気抵抗が低く酸化し難い。励振電極膜は、第1及び第2の側面21,22にそれぞれ形成された第1及び第2の側面電極膜42,44と、第1及び第2の内面31,32にそれぞれ形成された第1及び第2の内面電極膜46,48と、を含む。励振電極膜によって、第1及び第2の励振電極50,52が構成される。
【0028】
第1の励振電極50は、溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48を含む。1つの溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48は、相互に連続的に形成されて電気的に接続されている。表裏面16の一方(例えば表面)の溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48と、表裏面16の他方(例えば裏面)の溝30に形成された第1及び第2の内面電極膜46,48と、は電気的に接続されている。すなわち、表裏面16それぞれに形成された一対の第1の励振電極50は電気的に接続されている。また、一方の振動腕14に形成された一対の第1の励振電極50は、基部12上の表裏面16それぞれに形成された引き出し電極54に接続され、これらの引き出し電極54が、他方の振動腕14の第1又は第2の側面電極膜42,44に接続されることで電気的に接続される。
【0029】
第2の励振電極52は、第1及び第2の側面電極膜42,44を含む。また、第1及び第2の側面電極膜42,44は電気的に接続されている。その電気的接続は、振動腕14の溝30が形成されていない部分(例えば先端部)において、表裏面16の少なくとも一方(あるいは両方)上に形成された接続電極56によってなされている。
【0030】
一方の振動腕14に形成された第1の励振電極50と、他方の振動腕14に形成された第2の励振電極52と、は基部12上の引き出し電極54で電気的に接続されている。引き出し電極54は、第2の励振電極52が形成される振動腕14の隣に並ぶ支持腕36上に至るまで形成されている。引き出し電極54は、支持腕36の表裏面16(あるいはさらに側面)に形成されている。支持腕36上で、引き出し電極54を外部との電気的接続部にすることができる。
【0031】
本実施の形態では、第1の側面電極膜42と第1の内面電極膜46との間に電圧を印加し、第2の側面電極膜44と第2の内面電極膜48との間に電圧を印加することで、振動腕14の一方の側端を伸ばし、他方の側端を縮ませて振動腕14を屈曲させて振動させる。言い換えると、1つの振動腕14において、第1及び第2の励振電極50,52間に電圧を印加して、振動腕14の第1及び第2の側面21,22を伸縮させることで振動腕14を振動させる。
【0032】
図6は、本実施の形態に係る圧電振動片の動作を説明する図である。図6に示すように、一方の振動腕14の第1及び第2の励振電極50,52に電圧が印加され、他方の振動腕14の第1及び第2の励振電極50,52に電圧が印加される。ここで、一方(左側)の振動腕14の第1の励振電極50と他方(右側)の振動腕14の第2の励振電極52が同じ電位(図6の例では+電位)となり、一方(左側)の振動腕14の第2の励振電極52と他方(右側)の振動腕14の第1の励振電極50が同じ電位(図6の例では−電位)となるように、第1の励振電極50及び第2の励振電極52は、クロス配線によって交流電源に接続され、駆動電圧としての交番電圧が印加されるようになっている。印加電圧によって、図6に矢印で示すように電界が発生し、これにより、振動腕14は、互いに逆相振動となるように(振動腕14の先端側が互いに接近・離間するように)励振されて屈曲振動する。また、基本モードで振動するように交番電圧が調整されている。
【0033】
なお、本実施の形態に係る圧電振動片の製造方法は、上述した構成の説明から自明な事項を含む。
【0034】
(変形例)
図7(A)及び図7(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電振動片の変形例を示す平面図である。詳しくは、図7(A)は図2の変形例であり、図7(B)は図3の変形例である。この変形例では、溝130の第1及び第2の内面131,132が表裏面116に対して垂直になっている。この形状は、溝130の形成にドライエッチングを適用することで可能となる。また、内凸部134の形成によって、溝130の幅が狭くなっているが、溝130の深さは長さ方向の全てにわたって均一になっている。これも、ドライエッチングを適用したことに起因する。
【0035】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。図9は、図8に示す圧電振動片のIX−IX線断面拡大図である。本実施の形態では、振動腕214は、第2の屈曲部220で、第1及び第2の側面221,222に外凸部260を有している。本実施の形態でも、二番目に最も大きく屈曲する第2の屈曲部220において、第1の側面及び第1の内面221,231の間隔並びに第2の側面及び第2の内面222,232の間隔が、他の部分よりも大きくなっているので、第2の屈曲部220の屈曲が抑えられる。これにより、高調波の発生を防止することができる。その他の構成及び製造方法は、第1の実施の形態で説明した内容が該当する。
【0036】
(第3の実施の形態)
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る圧電振動片を示す平面図である。図11は、図10に示す圧電振動片のXI−XI線断面拡大図である。本実施の形態では、振動腕314は、第2の屈曲部320で、第1及び第2の内面331,332に内凸部334を有し、かつ、第1及び第2の側面321,322に外凸部360を有している。本実施の形態でも、第2の屈曲部320の屈曲が抑えられるので、高調波の発生を防止することができる。その他の構成及び製造方法は、第1の実施の形態で説明した内容が該当する。
【0037】
(圧電振動子の構造)
図12は、本実施の形態に係る音叉型圧電振動片が収納された音叉型圧電振動子を示す上面図であり、図13は、図12に示す音叉型圧電振動子のXIII−XIII線断面図である。
【0038】
パッケージ400は、第1の基板402、第2の基板404、パッケージフレーム406の3層のセラミックスグリーンシートを積層し、焼成し、接合することで構成されている。
【0039】
第2の基板404の上面にはパッケージ400の焼成前にマウント電極408が形成されている。マウント電極408は、導電性接着剤410が塗布され、導電性接着剤410を介して、音叉型振動片412の励振電極414が電気的機械的に接続されている。また、第2の基板404には、第2の孔416が形成されている。
【0040】
マウント電極408は、第2の基板404の側面および第1の基板402の側面に形成された金属層(図示せず)を介して第1の基板402の下面に露出する端子418に接続され、図示しない発振回路に接続される。或いは、マウント電極408は、第2の基板404の側面および第1の基板402の側面に代えて、スルーホール(図示せず)を介して第1の基板402の下面の端子418に接続しても良い。
【0041】
第1の基板402には、第2の孔416より大きな径を有する第1の孔420が、第2の孔416と重なる位置に設けられている。さらに、後述する封止材422との気密性を高めるため、第1の孔420の側壁に金属膜424が形成されている。
【0042】
さらに、パケージフレーム406は、上面開口を塞ぐように、蓋体426によって封止される。蓋体426は、周波数調整用のレーザービームLBが透過できれば良く、例えば、ガラスや光透過性セラミックスから構成してもよいし、金属枠にガラスがはめ込んだ構成などが採用される。また、蓋体426の構成に合わせて、ロウ材による封止や、シーム封止などが適宜採用される。
【0043】
蓋体426によってパッケージフレーム406が封止された後、音叉型圧電振動子412の上下を逆さにして、第1の孔420の径より径が小さく、第2の孔416より径が大きい封止材422(Au−Ge合金、Au−Sn合金等の合金からなる金属ボール)を第1の孔420に入れて真空で加熱することで第1の孔420が封止され、音叉型圧電振動片412は真空収納される。ここで、第2の孔416は封止材422がパッケージ400の内部に入らないようにするストッパーとして働く。
【0044】
なお、本実施の形態によると、第1および第2の孔420、416を使わずに蓋封止工程を真空で行った場合に比べると、CI値が低い振動子を提供することが分かっている。これは、蓋封止工程においてガスが発生し、第1および第2の孔420、416を使わない場合には、パッケージ400内部の真空度が低下するからであると考えられている。変形例として、第1及び第2の基板402,404の代わりに、パッケージフレーム406とその一部が重なる位置に封止孔を有する基板を用いて、その封止孔に金属ボールを入れて真空で加熱する手法を採用することもできる(図示せず)。このようにすれば、基板が1層で足りるので、パッケージを薄型化することができる。
【0045】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0046】
12…基部、 14…振動腕、 16…表裏面、 18…第1の屈曲部、 20…第2の屈曲部、 21…第1の側面、 22…第2の側面、 24…接続部、 26…第1のテーパ部、 28…第2のテーパ部、 30…溝、 31…第1の内面、 32…第2の内面、 34…内凸部、 36…支持腕、 38…切り込み、 42…第1の側面電極膜、 44…第2の側面電極膜、 46…第1の内面電極膜、 48…第2の内面電極膜、 50…第1の励振電極、 52…第2の励振電極、 54…引き出し電極、 56…接続電極、 116…表裏面、 130…溝、 131…第1の内面、 132…第2の内面、 134…内凸部、 214…振動腕、 220…第2の屈曲部、 221…第1の側面、 222…第2の側面、 231…第1の内面、 232…第2の内面、 260…外凸部、 314…振動腕、 320…第2の屈曲部、 321…第1の側面、 322…第2の側面、 331…第1の内面、 332…第2の内面、 334…内凸部、
360…外凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい圧電振動片。
【請求項2】
請求項1に記載された圧電振動片において、
前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分であることを特徴とする圧電振動片。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された圧電振動片において、
それぞれの前記振動腕は、前記第2の屈曲部で前記側面に外凸部を有する圧電振動片。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で前記内面に内凸部を有する圧電振動片。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、前記振動腕の長さの80%以上の長さを有する圧電振動片。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、長さ方向の全てにわたって深さが均一である圧電振動片。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で最も深さが浅い圧電振動片。
【請求項8】
パッケージと、前記パッケージに導電性接着剤を介して電気的機械的に接続され、かつ、前記パッケージに収納される圧電振動片と、前記パッケージの上面を封止する蓋体と、を有する圧電振動子であって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい、
ことを特徴とする圧電振動子。
【請求項9】
請求項8に記載された圧電振動子において、
前記圧電振動片の前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記圧電振動片の前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分である、
ことを特徴とする圧電振動子。
【請求項1】
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい圧電振動片。
【請求項2】
請求項1に記載された圧電振動片において、
前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分であることを特徴とする圧電振動片。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された圧電振動片において、
それぞれの前記振動腕は、前記第2の屈曲部で前記側面に外凸部を有する圧電振動片。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で前記内面に内凸部を有する圧電振動片。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、前記振動腕の長さの80%以上の長さを有する圧電振動片。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、長さ方向の全てにわたって深さが均一である圧電振動片。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載された圧電振動片において、
前記溝は、前記第2の屈曲部で最も深さが浅い圧電振動片。
【請求項8】
パッケージと、前記パッケージに導電性接着剤を介して電気的機械的に接続され、かつ、前記パッケージに収納される圧電振動片と、前記パッケージの上面を封止する蓋体と、を有する圧電振動子であって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部からそれぞれ延びる一対の振動腕と、
それぞれの前記振動腕に形成されている励振電極膜と、
を含み、
それぞれの前記振動腕は、相互に反対を向く表裏面と、前記表裏面の両側に接続される側面と、を有し、
前記表裏面には、それぞれ、前記振動腕の長手方向に延びる溝が形成され、
前記溝は、前記側面と背中合わせに延びる内面を含み、
前記一対の振動腕は、前記側面が相互に接近及び離隔するように屈曲振動し、最も大きく屈曲する第1の屈曲部を前記基部との接続部に有し、前記接続部の次に大きく屈曲する第2の屈曲部を前記溝の長さ方向の中間部が形成されている部分に有し、
前記側面と前記内面の間隔は、前記第2の屈曲部において最も大きい、
ことを特徴とする圧電振動子。
【請求項9】
請求項8に記載された圧電振動子において、
前記圧電振動片の前記第1の屈曲部は、基本波モードおよび2次高調波モードにおいて最も大きく屈曲する部分であり、
前記圧電振動片の前記第2の屈曲部は、2次高調波モードにおいて、前記接続部の次に大きく屈曲する部分である、
ことを特徴とする圧電振動子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−259090(P2010−259090A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144864(P2010−144864)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【分割の表示】特願2007−151772(P2007−151772)の分割
【原出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【分割の表示】特願2007−151772(P2007−151772)の分割
【原出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
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