説明

圧電素子搭載装置、およびこれを用いた液滴吐出装置、画像出力装置

【課題】圧電素子を備える圧電素子搭載装置を小型化する技術を提供する。
【解決手段】圧電素子搭載装置10は、フレキシブル基板1と、フレキシブル基板1に設けられている圧電素子2と、フレキシブル基板1に設けられ、圧電素子2と接続され、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタと、を備える。圧電素子2は、フレキシブル基板1上にマトリクス状に複数配置されている。圧電素子搭載装置10は、フレキシブル基板1を支持する支持部材15をさらに備え、フレキシブル基板1のうち、支持部材15により支持される箇所に挟まれた領域に、圧電素子2が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子搭載装置、およびこれを用いた液滴吐出装置、画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子(電歪素子)は、電気信号により変形・振動する素子、あるいは外力による変形・振動によって電気信号を発生する素子である。こうした圧電素子を搭載した装置の例として、特許文献1、特許文献2に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1には、圧電素子を搭載した圧電/電歪膜型アクチュエータの例が記載されている。図16(a)は、このアクチュエータの構成を示す斜視図である。この圧電/電歪膜型アクチュエータは、薄肉基板61、中間層62、圧電/電歪膜63、電極膜64、電極取り出し部65により構成されている。圧電/電歪膜63は、電極膜64と中間層62との間に設置されており、図示されていない外部機器との接続は、それぞれ電極膜64に対してはリード線を用い、中間層62に対しては薄肉基板61を経由して電極取り出し部65を用いて接続している。そして、外部機器より出力された電気信号が、それぞれ電極膜64および中間層62に印加されることにより、圧電/電歪膜63が変形・振動する。
【0004】
図16(b)は、同文献記載の圧電/電歪膜型アクチュエータをインクジェットプリントヘッドへ適用した構成を示す斜視図である。このインクジェットプリントヘッド60は、薄肉基板61、中間層62、圧電/電歪膜63、電極膜64、電極取り出し部65、凹溝66、隔壁67により構成されている。薄肉基板61より上の部分は、図16(a)と同様の構成となっている。薄肉基板61の下には凹溝66、および隔壁67が設置されている。
【0005】
特許文献2には、圧電素子を搭載した圧電・電歪アクチュエータの例が記載されている。図18は、この圧電・電歪アクチュエータの構成を示す平面図である。この圧電・電歪アクチュエータは、フレキシブルプリント配線基板71、バンプ78、電気配線79、アクチュエータ素子74により構成されている。
【0006】
図19は、図18の圧電・電歪アクチュエータにおけるX−X’部分の断面図である。この圧電・電歪アクチュエータは、コア材72、接合材73、アクチュエータ素子74、信号電極75、共通電極76、ステンレス薄板77a、77bにより構成されている。
【特許文献1】特開平11−191645号公報
【特許文献2】特開2003−69103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の圧電/電歪膜型アクチュエータおよび特許文献2に記載の圧電/電歪アクチュエータを複数配置して、それぞれの動作を制御するためには、それぞれの圧電素子について別途トランジスタを含むスイッチング回路を設ける必要がある。このため、部品点数が増大することが避けられず、装置の小型化を図ることが困難であった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電素子搭載装置の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、フレキシブル基板と、フレキシブル基板に設けられている圧電素子と、フレキシブル基板に設けられ、圧電素子と接続され、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタと、
を備える圧電素子搭載装置が提供される。
【0010】
この発明において、薄膜トランジスタは圧電素子のスイッチング素子として機能し、薄膜トランジスタがオン状態のとき圧電素子が動作可能となる。したがって、フレキシブル基板に複数の圧電素子を配置した構成においては、上記薄膜トランジスタは、動作可能な圧電素子を選択するスイッチング素子として機能する。
【0011】
本発明においては、上記のようにフレキシブル基板に圧電素子が設けられており、フレキシブル基板自体が振動板として機能する。圧電素子を駆動したとき、この圧電素子と一体化したフレキシブル基板が振動することとなる。すなわち、フレキシブル基板を振動板として機能させているため、この点で装置の小型化が図られる。
【0012】
また本発明においては、上記フレキシブル基板に、圧電素子のスイッチング素子となる薄膜トランジスタを設けている。このため、フレキシブル基板の外部にスイッチング回路を設ける通常の構成に比べ、装置を小型化することができる。
【0013】
また、本発明によれば、液体を格納する液体格納部と、液体格納部に格納されている液体に圧力を加え得るように構成されている圧電素子搭載装置と、を備え、この圧電素子搭載装置は上記の圧電素子搭載装置である液滴吐出装置が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば、液滴を飛翔させて画像出力を行う画像出力装置であって、上記の液滴吐出装置を備える画像出力装置が提供される。
【0015】
本発明によれば、液滴を吐出する圧力を加える圧電素子搭載装置として、上述の構成のものを用いている。このため、装置全体を小型化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、圧電素子および薄膜トランジスタをフレキシブル基板に設ける構成を採用しているため、装置全体を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る圧電素子搭載装置において、上記圧電素子は、フレキシブル基板にマトリクス状に複数配置されていてもよい。この構成によれば、フレキシブル基板上において、複数の圧電素子と外部回路との間の電気信号の授受を、薄膜トランジスタからなるスイッチング素子により、それぞれ個別に制御できる。
【0018】
また、この圧電素子搭載装置は、フレキシブル基板を支持する支持部材をさらに備え、フレキシブル基板のうち、支持部材により支持される箇所に挟まれた領域に、圧電素子が設けられているように構成されていてもよい。この構成においては、支持部材により支持される箇所に挟まれた可動領域と圧電素子の動作とが連動し、当該可動領域が振動板として機能する。このため、支持部材によりフレキシブル基板を安定配置しつつ、支持部材間に振動板として機能する領域が確保されるので、小さいスペースを有効活用した装置構成を実現することができる。
【0019】
さらに、この薄膜トランジスタは、フレキシブル基板のうち、支持部材により支持される箇所に設けられていてもよい。
【0020】
本発明においては、フレキシブル基板が振動板として機能するため、薄膜トランジスタをフレキシブル基板に設けるにあたっては、薄膜トランジスタの動作信頼性が損なわれないように配慮することが重要な技術的課題となる。上記構成においては、フレキシブル基板のうち支持部材により支持される動作の少ない箇所に薄膜トランジスタが設けられているため、薄膜トランジスタの破損が効果的に抑制される。
【0021】
本発明において、フレキシブル基板は薄化処理されたものであってもよい。薄化されて柔軟性が向上したフレキシブル基板は、振動板として良好に機能する。
【0022】
本発明において、薄膜トランジスタは、フレキシブル基板の内部に設けてもよい。こうすることにより、フレキシブル基板全体の厚みを低減できる上、薄膜トランジスタの動作信頼性を向上させることができる。
【0023】
本発明の圧電素子搭載装置は、圧電素子に接して設けられた、フレキシブル基板とは別の振動板をさらに備えてもよい。また、本発明の圧電素子搭載装置は、圧電素子に電気信号を送信し、圧電素子の動作を制御する回路をさらに備え、薄膜トランジスタは、圧電素子とこの回路との間において、スイッチング素子として機能するように構成してもよい。
【0024】
また、本発明の圧電素子搭載装置は、圧電素子から電気信号を受信し、圧電素子の動作を読取る回路をさらに備え、薄膜トランジスタは、圧電素子とこの回路との間において、スイッチング素子として機能するように構成してもよい。この構成によれば、回路からの信号により、それぞれの圧電素子に対応するスイッチング素子のON、OFFを制御し、それぞれの圧電素子の動作により生じる電気信号を、個別に読み取ることができる。このため、圧電素子から生じる電気信号を精度よく読み取ることができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0026】
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係る圧電素子搭載装置(フレキシブル電子デバイス10)の構成を示す斜視図である。フレキシブル電子デバイス10は、フレキシブル基板1、圧電素子2、支持台15により構成される。圧電素子2は、フレキシブル基板1のうち、支持台15に支持されている箇所に囲まれた領域の表面上に設けられている。すなわち、フレキシブル基板1のうち圧電素子2直下の領域は、支持台15に支持されていない。また、圧電素子2は、フレキシブル基板1の表面上に、マトリクス状に複数配置され、その動作がアクティブマトリクス方式により制御されるようになっている。なお、圧電素子2には、電歪素子が含まれるものとする。
【0027】
なお、図示しないが、フレキシブル基板1の内部には、後述するように、薄膜トランジスタを含む回路が形成されている。そして、この薄膜トランジスタは、フレキシブル基板1のうち支持台15に支持されている箇所に設けられている。
【0028】
図2は、図1におけるフレキシブル電子デバイス10の一部を示す拡大断面図である。支持台15の上にフレキシブル基板1が設置され、フレキシブル基板1の上面に複数の圧電素子2が設置されている。圧電素子2の両端面には、信号電極9と共通電極11とが、それぞれ電気接続点4a、4bを介して電気的に接続されている。
【0029】
図3は、図1におけるフレキシブル基板1の積層構造を示す拡大断面図である。フレキシブル基板1は、絶縁基板6と、絶縁基板6上に形成されている薄膜トランジスタ回路5とにより構成される。
【0030】
フレキシブル基板1は、図4のように、絶縁基板6と、絶縁基板6上に形成されている薄膜トランジスタ回路5と、絶縁基板6のうち薄膜トランジスタ回路5が形成されている面とは反対側の面に積層されているフィルム7とを含む構成としてもよい。
【0031】
図5は、図1における圧電素子2の構成を示す断面図である。圧電素子2は、圧電・電歪材料8と信号電極9と共通電極11とが積層されてなる。圧電・電歪材料8は、信号電極9と共通電極11とに挟まれるように積層されている。すなわち、圧電素子2は、圧電・電歪材料8が、対向する面から伸びる信号電極9と共通電極11とに互い違いに挟まれる、ジグザグ状の積層構造を備える。
【0032】
圧電・電歪材料8は、上記信号電極9と共通電極11との間で発生した電界により、自身が変形する材料で構成されている。このような材料としては、たとえばジルコン酸チタン酸鉛セラミックス(以下、適宜PZTと記載する)が望ましいが、他の材料であっても、所望の変形が可能な材料であればさしつかえない。
【0033】
図6は、図3における薄膜トランジスタ回路5の一部を拡大して示す斜視図である。この薄膜トランジスタ回路5は、制御信号線9c、データ信号線9a、9b、スイッチ回路12、共通線13、制御回路14により構成される。この薄膜トランジスタ回路5において、フレキシブル基板1上に設置されている圧電素子2の信号電極9は、電気接続点4aを介してデータ信号線9bと接続されている。共通電極11は、共通線13とそれぞれ電気接続点4bにより接続されている。制御信号線9c、データ信号線9a、共通線13はそれぞれ制御回路14に接続されている。
【0034】
制御回路14は、外部機器からの制御信号を受けて、その制御信号自身あるいは新たに生成された制御信号を、制御信号線9cへ供給するためのドライバ回路(不図示)を含む。また、制御回路14は、外部機器からのデータ信号を受けて、そのデータ信号自身あるいは新たに生成されたデータ信号を、データ信号線9aへ供給するためのドライバ回路(不図示)を含む。また、制御回路14は、共通線に任意の電圧を安定して供給するための電源回路(不図示)を含む。
【0035】
図7は、図3における薄膜トランジスタ回路5の一部を示す回路図である。この回路図のうち、スイッチ回路12には、制御信号線9cとデータ信号線9aとデータ信号線9bとがそれぞれ接続されている。そして、スイッチ回路12は、制御信号線9cを経由してスイッチ回路12へ転送された制御信号により、データ信号線9aとデータ信号線9bとを導通、あるいは非導通状態に制御する機能を有する。
【0036】
図8は、図3における薄膜トランジスタ回路5の一部を示す断面図である。スイッチ回路12には、薄膜トランジスタ16が含まれている。データ信号線9bは、圧電素子2の電気接続点4aに接続されている。共通線13は、圧電素子2の電気接続点4bに接続されている。
【0037】
電気接続点4a、4bは、薄膜トランジスタ回路5に含まれるデータ信号線9bおよび共通線13と、圧電素子2の信号電極9および共通電極11と、をそれぞれ電気的に接続するための手段であり、球状はんだにより構成される。これにより、圧電素子2へデータ信号を確実に転送し所望の動作をさせること、多数の圧電素子2に対して確実に電気接続を行うことができる。
【0038】
また、上記のスイッチ回路12は、図7あるいは図8に示した構成以外にも、入力されたデータ信号を増幅する手段を有する別の構成でも良い。この場合、フレキシブル電子デバイス10に対して外部機器から入力されるデータ信号は、より小さい振幅の信号で構わない。この構成によれば、外部機器に大出力の増幅回路を設ける必要性が低減され、低コスト化を図ることができる。また、フレキシブル基板1上の配線を通過する際の振幅が小さくなり、低消費電力化も実現できる。このため、たとえば電池で駆動する携帯機器に好適に適用される。
【0039】
また、上記のデータ信号は圧電素子2の変位を規定するものであるが、圧電素子2の変位が駆動時と非駆動時の2つの状態で構わない場合は、入力するデータ信号は2値のデジタル信号であればよい。圧電素子2の変位を経時的に変化させる必要がある場合には、アナログ信号を圧電素子2に供給してもよい。
【0040】
本実施形態に係るフレキシブル電子デバイス10の動作について以下に述べる。
【0041】
図6に示す制御回路14に外部機器からの制御信号およびデータ信号が転送されると、制御回路14内で、制御信号線9cに制御信号が供給され、データ信号線9aにデータ信号が供給される。制御信号は、制御信号線9cを経由して接続されているスイッチ回路12に転送されると、スイッチ回路12がオン状態となってデータ信号線9aとデータ信号線9bとが導通状態となる。これにより、圧電素子2内の信号電極9にデータ信号が供給される。
【0042】
図9は、図1におけるフレキシブル電子デバイス10の動作を説明するための断面図である。圧電素子2にデータ信号が供給されると、圧電素子2に含まれる圧電・電歪材料は、圧電素子2内に発生した電界により変形する。その結果、圧電素子2全体も変形するため、圧電素子2の変形に連動してフレキシブル基板1は、支持台15を支点とした上下方向の振動動作を行う。
【0043】
このとき、圧電素子2は、フレキシブル基板1のうち支持台15に支持されている箇所に挟まれた領域に設けられているため、圧電素子2の動作がフレキシブル基板1に直接伝達され、フレキシブル基板1の可動領域が振動する。また、薄膜トランジスタは、フレキシブル基板1のうち支持台15に支持されている箇所に設けられているため、上下方向の振動動作による破損が抑制される。
【0044】
本実施形態に係るフレキシブル基板の製造方法について以下に述べる。
【0045】
図10は、図3におけるフレキシブル基板1の製造プロセスを説明するための工程断面図である。この工程断面図は、ガラス基板上にポリシリコンを用いて薄膜トランジスタ回路5を製造するプロセスを表している。
【0046】
はじめに、ガラス基板100上に、酸化シリコン膜101を形成した後、アモルファスシリコン膜102を成長させる。ここに酸化シリコン膜101は、ガラス基板100と、アモルファスシリコン膜102との間に介在することにより、ガラス基板100がアモルファスシリコン膜102に与える影響を軽減するための層である。次に、エキシマレーザを用いてアニールし、アモルファスシリコンをポリシリコン化させる(図10(a))。
【0047】
次に、フォトレジストを形成し、フォトレジストを露光、現像してレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとして、エッチングプロセスにより、ポリシリコン膜102をパターニングする(図10(b))。
【0048】
さらに、フォトレジスト103を塗布後、フォトレジスト103を露光、現像してパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジスト103をマスクとして、リン(P)をドーピングすることにより、nチャネルのソースとドレイン領域(不図示)を形成する(図10(c))。
【0049】
次に、膜厚がたとえば90nmの酸化シリコン膜104を成長させた後、たとえばマイクロクリスタルシリコン(μ−c−Si)、タングステンシリサイド(WSi)で構成された層を成長させる。そして、この層をパターニングすることによりゲート電極105を形成する(図10(d))。
【0050】
次に、フォトレジスト106を塗布した後、フォトレジスト106を露光、現像して、フォトレジスト106がnチャネル領域をマスクするようにパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジスト106をマスクとして、ボロン(B)をドーピングし、pチャネルのソース領域とドレイン領域(不図示)とを形成する(図10(e))。
【0051】
次に、酸化シリコン膜あるいは窒化シリコン膜で形成された層間膜107を積層する(図10(f))。その後、上記層間膜107中に設けられ、ポリシリコン膜102またはゲート電極105に達するコンタクトホール108を形成する(図10(g))。
【0052】
次に、アルミニウムあるいはクロムなどで形成された電極層109を、たとえばスパッタリング法で形成し、所定の形状にパターニングを行う(図10(h))。
【0053】
このようにして、nチャネルTFT、pチャネルTFT、容量素子を備えるフレキシブル基板1を作製する。本実施形態では、ポリシリコン膜の形成に、エキシマレーザを用いるが、他のレーザ、たとえば連続発振するCWレーザ等を用いてもよいし、熱処理による固層成長を用いても良い。
【0054】
このようにして、図10に示した工程により、ガラス基板100(絶縁基板6)上にポリシリコンによる薄膜トランジスタ回路5が形成される。
【0055】
上記のようにして、薄膜トランジスタ回路5が形成された絶縁基板6(ガラス基板100)を、さらに、たとえばフッ酸と塩酸の混合液に浸す。このとき、薄膜トランジスタ回路5が形成されている面を表面とした場合、裏側から上記混合液に浸すことにより絶縁基板6(ガラス基板100)をエッチングする。このときのエッチングプロセスの条件については、経済性や生産性を考慮して選ばれることが望ましい。このようにして、エッチングにより絶縁基板6(ガラス基板100)を薄化処理することにより、フレキシブル基板1全体の厚みを低減し、柔軟性を向上することができる。これにより、フレキシブル基板1は、振動板として良好に機能する。また、フレキシブル基板1の破損が抑制されるため、フレキシブル基板1に設けられている圧電素子および薄膜トランジスタの破損も抑制される。
【0056】
上記プロセスにより、図3に示すフレキシブル基板1が作製されるが、上記プロセス後に絶縁基板6の薄膜トランジスタ回路5が形成されていない面にフィルム7を張り合わせれば、図4に示すフレキシブル基板1が作製される。
【0057】
次に、フレキシブル基板1上の薄膜トランジスタ回路5上に、複数の圧電素子2を、たとえば加圧・振動等により設置・固定する。そして、圧電素子2を設置した後、図8に示す圧電素子2の信号電極9とデータ信号線9bとを球状ハンダで接続し、共通電極11と共通線13とを球状ハンダで接続して、フレキシブル電子デバイス10(圧電素子搭載装置)を得る。
【0058】
本実施形態に係るフレキシブル電子デバイス10の作用効果を以下に述べる。
【0059】
第一に、フレキシブル電子デバイス10は、小型化が可能である。すなわち、フレキシブル電子デバイス10では、フレキシブル基板1の内部に薄膜トランジスタ16を含む薄膜トランジスタ回路が設けられており、フレキシブル基板1の表面上に圧電素子2が設けられている。このように、必要な素子をフレキシブル基板1上に配置しているため、装置全体を小型化することができる。
【0060】
また、フレキシブル基板1は、薄化処理を施されているため柔軟性に優れるので、圧電素子2の振動を伝達する手段として良好に機能する。このため、フレキシブル電子デバイス10は、薄膜トランジスタ回路5をフレキシブル基板1の外部に別途設ける必要がなく、圧電素子2の振動を伝達する手段を別途設ける必要もないので、この点からも装置の小型化が図られる。
【0061】
また、本実施形態に係るフレキシブル電子デバイス10は、シリコン加工プロセスを適用した方法により作製することができ、この点からも装置の小型化が図られる。さらに、薄膜トランジスタ回路5をフレキシブル基板1中に埋設する形態で形成でき、デバイスの低背化を図ることができる。
【0062】
第二に、フレキシブル電子デバイス10によれば、装置における圧電素子の配置の高密度化および圧電素子の制御の高速化を実現できる。すなわち、フレキシブル電子デバイス10では、個々の圧電素子2に対応するスイッチング素子を、個々の圧電素子2の近傍に形成するため、圧電素子2とスイッチング素子との間を接続する配線を多数引き回さなくても済む。このため、圧電素子2同士の間隔を狭くすることができるので、大面積のフレキシブル基板1に圧電素子2を高密度に配置できる。また、圧電素子2とスイッチング素子との間の配線距離が短縮されるので、個々の圧電素子2を高速制御することができる。
【0063】
本実施形態のフレキシブル電子デバイス10では、薄化処理されたフレキシブル基板1に圧電素子2および薄膜トランジスタ回路5を設けているため、上記の優れた作用効果を得ることができる。こうした効果は、従来技術では実現困難である。たとえば、従来技術の項で述べた特許文献1、2は、圧電素子を制御する回路を別途設ける必要があるため、素子全体が大型化することが避けられなかった。この点、本実施形態では、圧電素子をフレキシブル基板に配置するとともに、かかる配置を実現するため、フレキシブル基板の材料(ガラス等)を好適に選択してシリコンプロセスの適用を可能とし、さらにフレキシブル基板を薄化している。また、薄膜トランジスタの配設位置を最適化している。基板材料としてセラミックスを用いる特許文献1やポリイミドを用いる特許文献2記載の技術では、このような効果を得ることは困難である。
【0064】
<実施形態2>
図11は、本実施形態に係る圧電素子搭載装置の構成を示す斜視図である。本実施形態に係る圧電素子搭載装置であるフレキシブル電子デバイス10は、支持台15、フレキシブル基板1、圧電素子2、振動板3により構成されている。振動板3を備えている点が実施形態1と異なる。
【0065】
圧電素子2は、フレキシブル基板1のうち、支持台15に支持されている箇所に囲まれた領域の表面上に設けられている。すなわち、フレキシブル基板1のうち圧電素子2直下の領域は、支持台15に支持されていない。また、圧電素子2は、フレキシブル基板1の表面上にマトリクス状に複数配置され、その動作はアクティブマトリクス方式により制御されるようになっている。
【0066】
なお、図示しないが、フレキシブル基板1の内部には、後述するように、薄膜トランジスタを含む回路が形成されている。そして、この薄膜トランジスタは、フレキシブル基板1のうち支持台15に支持されている箇所に設けられている。
【0067】
図12は、図11におけるフレキシブル電子デバイス10の構成を示す断面図である。なお、図12は、図11と上下を反転させて記載している。フレキシブル電子デバイス10は、支持台15、フレキシブル基板1、圧電素子2、振動板3を含み、圧電素子2の上下の面には信号電極9と共通電極11とが設けられている。ここで、フレキシブル基板1は、図3に示すように絶縁基板6上に薄膜トランジスタ回路5が形成されているものでも良いし、図4に示すように、薄膜トランジスタ回路5が形成された絶縁基板6のうち、薄膜トランジスタ回路5とは反対側の面にフィルム7が積層されている構成でも良い。
【0068】
図13は、図11における圧電素子2の構成を示す断面図である。圧電素子2は、圧電・電歪材料8、信号電極9、共通電極11で構成されており、構成要素の材質等は実施形態1と同様である。
【0069】
図14は、図11におけるフレキシブル基板1の一部を示す拡大断面図である。
【0070】
本実施形態では、図11におけるフレキシブル基板1中に含まれる薄膜トランジスタ回路5の構成についても、実施形態1と同様である。しかし、本実施形態では、圧電素子2の構成が実施形態1と異なるため、データ信号線9bと信号電極9との接続、振動板3(共通線を兼ねる)と共通電極11との接続は、図14に示すとおりである。
【0071】
また、振動板3は、圧電素子2の変形による振動を受けて、自身も振動するプレートである。本実施形態においては、振動板3は、実施形態1における共通線13の役割を担うため、金属板などの導電性を有する部材からなる。このように導電性を有するため、振動板3は、圧電素子2の電極に電気信号を授受する機能を兼ね備えることとなる。
【0072】
本実施形態における圧電素子2の動作は、実施形態1で述べたのと同様である。すなわち、実施形態1と同様に、圧電素子2の動作(変形・振動)に連動して、フレキシブル基板1が変形・振動する。また、圧電素子2の動作(変形・振動)に対応して、フレキシブル基板1とは別に設けた振動板3も、同様に変形・振動する。
【0073】
実施形態2のフレキシブル基板1の製造方法において、圧電素子2や薄膜トランジスタ回路5を製造する点では実施形態1と同様である。実施形態2のフレキシブル電子デバイス10の製造方法では、振動板3を導入しているため、圧電素子2や薄膜トランジスタ回路5を製造した後の組み立てや電気接続の点で実施形態1と異なる。
【0074】
フレキシブル電子デバイス10を製造するには、圧電素子2の両電極を、フレキシブル基板1の薄膜トランジスタ5の接続箇所と、振動板3の表面と、それぞれ接着させる。その際、圧電素子2の共通電極11の面を、振動板3に対し、たとえば加圧などにより密着させた状態で、フレキシブル基板1の薄膜トランジスタ回路5の接続箇所と接着させる。このとき、データ信号線9bと、圧電素子2の信号電極9とが密着するように設置される。
【0075】
本実施形態に係るフレキシブル電子デバイス10は、実施形態1で説明したものにくわえ以下の作用効果をさらに有する。すなわち、本実施形態に係るフレキシブル電子デバイス10では、振動板3は導電性を有するため、圧電素子2に接続する配線としても機能する。このため、圧電素子2のうち薄膜トランジスタ回路5の反対側の面には、別途配線を設ける必要がない。したがって、フレキシブル基板1とは別に振動板3を設けても、フレキシブル電子デバイス10全体の小型化が可能である。
【0076】
<実施形態3>
本実施形態は、圧電素子を受動デバイスとして用いる例について示す。本実施形態のフレキシブル電子デバイス10は、実施形態1と同様に、図1の電子デバイス10の構成を備える。また、図2のフレキシブル電子デバイス10の断面構造を備える。
【0077】
本実施形態のフレキシブル電子デバイス10は、以下に説明するように、実施形態1の場合と動作方法が異なる。
【0078】
実施形態1では、圧電素子2は外部から与えられた電気信号によって変形・振動する機能を利用している。一方、本実施形態では、圧電素子2は、外部からの物理的な作用により、圧電素子2自身が変形することにより、電気信号を出力する機能を利用している。すなわち、本実施形態のフレキシブル電子デバイス10は、上記機能を利用して、外力を電気信号に変換するデバイスである。
【0079】
すなわち、本実施形態のフレキシブル電子デバイス10は、圧電素子2を用いた受動デバイスであって、実施形態1または実施形態2の能動デバイスと異なる点は、外部からの物理的作用による圧電素子2の変形・振動が、圧電・電歪材料8へ伝達されたときに発生する電気信号を、図示されていない外部機器へ転送する点である。
【0080】
図2を用いて、本実施形態の動作について説明する。振動板3に何らかの外力がかかったとき、対面する圧電素子2は、振動板(不図示)が静止している状態と比べて、上記外力に対応する変位で変形する。このとき、圧電素子2から電気接続点4a、4bを経由して、フレキシブル基板1上の薄膜トランジスタ回路5へ電気信号が出力される。本実施形態のフレキシブル電子デバイス10の製造方法については、実施形態1のフレキシブル電子デバイス10の製造方法と同様である。
【0081】
本実施形態に係るフレキシブル電子デバイス10の作用効果は、実施形態1の場合と基本的に同様である。能動デバイスと受動デバイスとの違いはあっても、同様の装置構成を備えるので、同様に装置全体の小型化が可能であるためである。
【0082】
<実施形態4>
本実施形態のフレキシブル電子デバイス10は、実施形態2と同様に、図11の電子デバイス10の構成を備える。また、図12のフレキシブル電子デバイス10の断面構造を備える。
【0083】
本実施形態のフレキシブル電子デバイス10は、以下に説明するように、実施形態11の場合と動作方法が異なる。
【0084】
実施形態2のフレキシブル電子デバイス10の動作は、圧電素子2が外部から与えられた電気信号によって変形・振動する機能を利用したものである。一方、本実施形態の圧電素子2は、外部からの物理的な作用により、圧電素子2自身が変形することにより、電気信号を出力する機能を行う。すなわち、本実施形態のフレキシブル電子デバイス10は、上記機能を利用して、外力を電気信号に変換するデバイスである。
【0085】
図11を用いて、本実施形態のフレキシブル電子デバイス10の動作について説明する。振動板3に何らかの外力がかかったとき、対面する圧電素子2は、振動板3が静止している状態と比べて、上記外力に対応する変位で変形する。このとき、圧電素子2から電気接続点を経由して、フレキシブル基板1上の薄膜トランジスタ回路5へ電気信号が出力される。
【0086】
本実施形態のフレキシブル電子デバイス10の製造方法については、実施形態2のフレキシブル電子デバイス10の製造方法と同様である。
【0087】
本実施形態に係るフレキシブル電子デバイス10の作用効果は、実施形態2の場合と基本的に同様である。能動デバイスと受動デバイスとの違いはあっても、同様の装置構成を備えるので、同様に装置全体の小型化が可能であるためである。
【0088】
<実施形態5>
本実施形態は、上記動作を行うフレキシブル電子デバイス10をインクジェットプリントヘッドに応用したものである。
【0089】
図15は、本実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの構成を示す断面図である。本実施形態のインクジェットプリントヘッド30は、フレキシブル電子デバイス10、インク室/流路31、圧力室32、ノズル33により構成される。
【0090】
フレキシブル電子デバイス10は、実施形態1の場合は、図2におけるフレキシブル基板1側が、圧力室32に接するように設置される。また、実施形態2の場合は、図12における振動板3側が、圧力室32に接するように設置される。実施形態1のフレキシブル基板1または実施形態2の振動板3は、それぞれ圧電素子2の動作により、変形・振動するが、その運動を圧力室32へ伝達するのに適している。
【0091】
インク室/流路31は、吐出するインクを圧力室32へ安定して供給するように構成されている。圧力室32は、フレキシブル電子デバイス10内の圧電素子2による変形・振動を、インクへ伝達して、ノズル33へインクを流すように構成されている。圧力室32の内壁部分は、効率良く圧力をインクへ伝達するために剛性が高い材料を用いる。
【0092】
ノズル33は、圧力室32から流れてきたインクを、インクジェットプリントヘッド30から、印刷対象物へ吐出させるように構成されている。ノズル33は、フレキシブル電子デバイス10内の圧電素子2に対応して設置される。また、各ノズル33の形状は、吐出能力のばらつきに影響するため、定められた規格範囲内に収まっている。
【0093】
本実施形態のフレキシブル電子デバイス10の製造方法については、実施形態1のフレキシブル電子デバイス10の製造方法と同様である。
【0094】
本実施形態のインクジェットプリントヘッドの動作について以下に説明する。本実施形態におけるフレキシブル電子デバイス10の動作は、実施形態1または実施形態2で説明したものと同様である。すなわち、フレキシブル電子デバイス10内の圧電素子2が外部回路からの電気信号を受信して変形・振動を行うことにより、フレキシブル電子デバイス10全体も変形・振動を行う。
【0095】
圧電素子2の変形・振動により、圧力室32内のインクの圧力が上昇する。上昇した圧力により、ノズル33より、インクが吐出する。次に圧力室32内のインクの圧力が低下すると、インクの吐出動作は終了する。このため、インクの流出が途切れるため、インクは液滴となって飛翔する。このインク滴が印刷対象物に着弾することにより所望の印刷が可能となる。
【0096】
上記インクジェットプリントヘッド30は、図17(a)に示すように、インクが吐出する方向を、印刷対象34へ対向させて設置されている。図中の駆動システム68は、インクジェットプリントヘッド30を、図中のA、あるいはB方向へ移動するためのシステムであり、主要な構成要素としてモーターやガイドレールなどによって構成されている。
【0097】
図17(a)は、本実施形態に係るインクジェットプリンヘッドの構成を示す斜視図である。インクジェットプリントヘッド30の大きさは、一般的に印刷対象34よりも小さいために、インクジェットプリントヘッド30をA−B方向に走査することにより、印刷対象34の全面へインク滴を着弾させることにより印刷動作を行っている。そして、インクジェットプリントヘッド30から吐出されたインク滴は、それぞれ対面している印刷対象34に着弾する。
【0098】
印刷結果は、着弾したインク滴の単位面積あたりの着弾数が高いほど、すなわち密度が高いほど高精細印刷が可能となる。また、着弾するインク滴の単位面積あたりの数を変えることにより階調表現が行えることから、密度が高いことにより多階調印刷も可能となる。よって、インクジェットプリントヘッド30上に設けられる圧電素子2の高密度化により、高精細・多階調な印刷が可能になる。
【0099】
なお、インクジェットプリントヘッド30に伝達する電気信号のビット数を向上させても、同様に印刷の多階調化を実現することができる。この場合、圧電素子2へ転送する電気信号が多大となるため単位時間当たりの処理する電気信号量が大きくなる。さらに一般的に印刷機器には印刷速度の向上という達成すべき技術課題があり、上記電気信号の処理速度の向上が求められる。ここで、インクジェットプリントヘッド30内に備わる圧電素子搭載装置では、上述のように、スイッチング素子がフレキシブル基板の内部に形成されており、個々の圧電素子への電気信号の伝達のON、OFF制御が高速で行えるため、処理速度の向上の要請を満たしている。
【0100】
次いで、本実施形態に係るインクジェットプリントヘッド30の作用効果について、特許文献1または特許文献2に記載の圧電素子を備えるアクチュエータを用いたものと対比して、以下説明する。
【0101】
特許文献1においては、図16(a)に示すように、導電性を有する薄肉基板61と、圧電/電歪膜63と、中間層62と、電極膜64と、を備える圧電素子が開示されている。特許文献1記載の圧電素子をインクジェットプリンタヘッドに適用すると、図16(b)のような構成になるものと考えられる。図16(b)において、図示されていない外部機器からの電気信号により、圧電/電歪膜63、および薄肉基板61が変形する。このとき、隔壁67は支点となるため、凹溝66の上部に位置する薄肉基板61のみ変形する。これにより凹溝66内の圧力が変化する。この圧力の変化によってインク液を吐出する動作が行えることが示唆されている。同文献に記載の構成では、図16(b)に示すように、導電性を有する薄肉基板61が、圧電/電歪膜63に対する一方の電極および配線の役目を果たす。しかし、他方の電極膜64に対しては、それぞれ配線を接続し、それらの配線を別途外部に設ける制御回路に接続する必要性が高いため、大面積・高密度・高速のインクジェットプリンタヘッドに適用することは困難である。
【0102】
一方、特許文献2には、図18および図19に示すように、コア材72および接合材73が設けられているフレキシブル配線基板71と、アクチュエータ素子74と、を備える圧電素子が示唆されている。かかる構成では、フレキシブル配線基板71にコア材72および接合材73が設けられているため、フレキシブル配線基板71の製造コストが上昇する。さらに、フレキシブルプリント配線基板71には、バンプ78と電気配線79に加えて、各アクチュエータ素子74に電気信号を供給するためのスイッチICが個々のアクチュエータ素子74の近傍には設けられていない。そのため、アクチュエータ素子74の数が増えると、アクチュエータ素子74とスイッチICとの間を接続する電気配線規模が増大する。そのため、フレキシブルプリント配線基板71に、配線を引き回す領域を確保する必要があるので、アクチュエータ素子74を高密度に配置することが困難になる。
【0103】
これに対して、本実施形態に係るインクジェットプリントヘッド30は、図15に示すように、フレキシブル電子デバイス10を用いている。そして、フレキシブル電子デバイス10は、フレキシブル基板1に圧電素子2および薄膜トランジスタ回路5が設けられているため、薄膜トランジスタ回路5をフレキシブル基板1の外部に別途設ける必要がないので、小型化が可能となる効果を奏する。
【0104】
また、本実施形態においては、実施形態1または実施形態2で説明したフレキシブル電子デバイス10を用いたインクジェットプリントヘッド30を用いるため、スイッチング素子がフレキシブル基板1の内部に形成されており、個々の圧電素子への電気信号の伝達のON、OFF制御が高速で行うことができ、インクジェットプリントヘッド30を高速駆動できる。
【0105】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0106】
たとえば、上記実施形態で説明したインクジェットプリンタは、インクを何らかのエネルギーにより吐出して印刷対称物に滴下させる動作を応用した印刷機であるが、最近ではインクに限らず、たとえば導電性の高い液体を吐出して、基板等に滴下させてそれを電気配線にするような回路基板作製プロセスにも応用されている。よって、上記実施形態の説明では、一例としてインクを噴射する構成を挙げているが、印刷目的に応じた他の液体を代用しても構わない。
【0107】
また、上記実施形態で説明したインクジェットプリンヘッドは、図17(b)に示すような構成であってもよい。このように、インクジェットプリントヘッド30が印刷対象34に対して十分な大きさをもっていれば、図17(a)に示すA−B方向の走査の必要性が低減するため、駆動システム68の必要性も低減する。これにより、印刷の高速化が図られるだけでなく、A−B方向の走査に必要な駆動機構が不要となる点から、低コスト化、小型化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】実施形態1に係る圧電素子搭載装置の構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る圧電素子搭載装置の構成を示す断面図である。
【図3】実施形態1に係るフレキシブル基板の構成を示す断面図である。
【図4】実施形態1に係るフレキシブル基板の構成の変形例を示す断面図である。
【図5】実施形態1に係る圧電素子の構成を示す断面図である。
【図6】実施形態1に係る薄膜トランジスタ回路の一部を拡大した斜視図である。
【図7】実施形態1に係る薄膜トランジスタ回路の一部を示す回路図である。
【図8】実施形態1に係る薄膜トランジスタ回路の一部を示す断面図である。
【図9】実施形態1に係る圧電素子搭載装置の動作を説明するための断面図である。
【図10】実施形態1に係るフレキシブル基板の製造プロセスを説明するための工程断面図である。
【図11】実施形態2係る圧電素子搭載装置の構成を示す斜視図である。
【図12】実施形態2係る圧電素子搭載装置の構成を示す断面図である。
【図13】実施形態2に係る圧電素子の構成を示す断面図である。
【図14】実施形態2に係る薄膜トランジスタ回路の一部を示す断面図である。
【図15】本実施形態5に係るインクジェットプリントヘッドの構成を示す断面図である。
【図16】図16(a)は、公知の圧電素子の構成を示す斜視図である。図16(b)は、公知の圧電素子をインクジェットプリントヘッドへ適用した場合の構成を示す斜視図である。
【図17】図17(a)は、実施形態5に係るインクジェットプリンヘッドの構成を示す斜視図である。図17(b)は、実施形態5に係るインクジェットプリンヘッドの変形例の構成を示す斜視図である。
【図18】公知の圧電・電歪アクチュエータの構成を示す平面図である。
【図19】公知の圧電・電歪アクチュエータの一部を拡大して示す断面図である
【符号の説明】
【0109】
1 フレキシブル基板
2 圧電素子
3 振動板
4、4a、4b 電気接続点
5 薄膜トランジスタ回路
6 絶縁基板
7 フィルム
8 圧電・電歪材料
9 信号電極
9a、9b データ信号線
10 フレキシブル電子デバイス
11 共通電極
12 スイッチ回路
13 共通線
14 制御回路
15 支持台
30,60 インクジェットプリントヘッド
31 インク室/流路
32 圧力室
33 ノズル
34 印刷対象
61 薄肉基板
62 中間層
63 圧電/電歪膜
64 電極膜
65 電極取り出し部
66 凹溝
67 隔壁
68 駆動システム
71 フレキシブルプリント配線基板
72 コア材
73 接合材
74 アクチュエータ素子
75 信号電極
76 共通電極
77a、b ステンレス薄板
78 バンプ
79 電気配線
100 ガラス基板
101,104 酸化シリコン膜
102 シリコン膜
103,106 フォトレジスト
105 ゲート電極
107 層間膜
108 コンタクトホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられている圧電素子と、
前記フレキシブル基板に設けられ、前記圧電素子と接続され、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタと、
を備えることを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電素子搭載装置において、
前記圧電素子は、前記フレキシブル基板にマトリクス状に複数配置されていることを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧電素子搭載装置において、
前記フレキシブル基板を支持する支持部材をさらに備え、
前記フレキシブル基板のうち、前記支持部材により支持される箇所に挟まれた領域に、前記圧電素子が設けられていることを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項4】
請求項3に記載の圧電素子搭載装置において、
前記薄膜トランジスタは、前記フレキシブル基板のうち前記支持部材により支持される箇所に設けられていることを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の圧電素子搭載装置において、
前記フレキシブル基板は、薄化処理されたものであることを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかに記載の圧電素子搭載装置において、
前記圧電素子は、前記フレキシブル基板の表面上に設けられており、前記薄膜トランジスタは、前記フレキシブル基板の内部に設けられていることを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の圧電素子搭載装置において、
前記圧電素子に接して設けられた、前記フレキシブル基板とは別の振動板をさらに備えることを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載の圧電素子搭載装置において、
前記圧電素子に電気信号を送信し、前記圧電素子の動作を制御する回路をさらに備え、
前記薄膜トランジスタは、前記圧電素子と前記回路との間において、スイッチング素子として機能することを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかに記載の圧電素子搭載装置において、
前記圧電素子から電気信号を受信し、前記圧電素子の動作を読取る回路をさらに備え、
前記薄膜トランジスタは、前記圧電素子と前記回路との間において、スイッチング素子として機能することを特徴とする圧電素子搭載装置。
【請求項10】
液体を格納する液体格納部と、
前記液体格納部に格納されている前記液体に圧力を加え得るように構成されている圧電素子搭載装置と、
を備え、
前記圧電素子搭載装置は、請求項1乃至9いずれかに記載の圧電素子搭載装置である
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項11】
液滴を飛翔させて画像出力を行う画像出力装置であって、
請求項10に記載の液滴吐出装置を備えることを特徴とする画像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−41049(P2006−41049A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216325(P2004−216325)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】