圧電薄膜共振器およびフィルタ
【課題】共振特性を改善することが可能な圧電薄膜共振器およびそれを用いたフィルタを提供すること。
【手段】本発明は、基板10上に設けられた下部電極12と、基板10上および下部電極12上に設けられた圧電膜14と、圧電膜14を挟み下部電極12と対向する部分を有するように圧電膜14上に設けられた上部電極16と、下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下部電極12の少なくとも一部の外周の基板10上に、下部電極12に沿って設けられた付加膜22と、を具備する圧電薄膜共振器およびそれを用いたフィルタである。
【手段】本発明は、基板10上に設けられた下部電極12と、基板10上および下部電極12上に設けられた圧電膜14と、圧電膜14を挟み下部電極12と対向する部分を有するように圧電膜14上に設けられた上部電極16と、下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下部電極12の少なくとも一部の外周の基板10上に、下部電極12に沿って設けられた付加膜22と、を具備する圧電薄膜共振器およびそれを用いたフィルタである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電薄膜共振器およびフィルタに関し、より詳細には、圧電薄膜による電気信号とバルク弾性波の変換作用を利用した圧電薄膜共振器および複数の圧電薄膜共振器を用いたフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、小型で軽量な共振器およびこれを組み合わせて構成したフィルタの需要が増大している。これまでは主として誘電体フィルタと表面弾性波(SAW)フィルタとが使用されてきたが、最近では、特に高周波での特性が良好で、かつ小型化とモノリシック化が可能な素子である圧電薄膜共振器およびこれを用いて構成されたフィルタが注目されつつある。
【0003】
圧電薄膜共振器の中には、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)タイプとSMR(Solidly Mounted Resonator)タイプがある。FBARタイプの圧電薄膜共振器は、基板上に下部電極、圧電膜、および上部電極からなる積層膜構造を有している。圧電膜を挟み下部電極と上部電極とが対向する部分(共振部)の下部電極の下に空隙が形成されている。ここで、FBARにおける空隙には、基板表面に設けた犠牲層のウエットエッチングにより、下部電極と基板との間に形成される空隙(キャビティ)と、ウエットエッチングまたはドライエッチング等により基板に形成される空隙(バイアホール)とがある。SMRは空隙の代わりに音響多層膜を有している。音響多層膜は、音響インピーダンスが高い膜と低い膜を交互にλ/4(λ:弾性波の波長)の膜厚で積層されている。
【0004】
非特許文献1にバイアホールを有するFBARが開示されている。また、特許文献1にキャビティを有するFBARが開示されている。図1はバイアホールを有するFBARの断面図であり、図2はキャビティを有するFBARの断面図である。図1を参照に、表面にSiO2膜11を有するシリコンからなる基板10上に下部電極12、圧電膜14および上部電極16が順次設けられている。下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下の基板10に空隙18(バイアホール)が設けられている。図2を参照に、シリコンからなる基板10上に空隙18(キャビティ)が形成されるように支持膜として機能するSiO2膜11が設けられている。SiO2膜11上に下部電極12、圧電膜14および上部電極16が順次設けられている。下部電極12と上部電極16とは圧電膜14を挟んで対向する部分を有している。
【0005】
ここで、下部電極12および上部電極16としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等あるいはこれらを組み合わせた積層材料を用いることができる。圧電膜14としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)等を用いることができる。また、基板10としては、シリコン、ガラス、GaAs等を用いることができる。
【0006】
上部電極と下部電極との間に高周波の電気信号を印加すると、上部電極と下部電極とに挟まれた圧電膜内部に逆圧電効果によって励振される弾性波や圧電効果に起因する歪みによって生じる弾性波が発生する。そして、これらの弾性波が電気信号に変換される。このような弾性波は、上部電極と下部電極とがそれぞれ空気に接している面で全反射されるため、厚み方向に主変位をもつ縦振動波となる。下部電極、圧電膜および上部電極(上部電極上に付加される膜を含む)からなる積層膜の総膜厚Hが、弾性波の波長λの1/2(1/2波長)の整数倍(n倍)となる周波数(つまりH=nλ/2となる周波数)において共振現象が生じる。ここで、圧電膜の材料によって決まる弾性波の伝搬速度をVとすると、共振周波数Fは、F=nV/(2H)となる。このことから、積層膜の総膜厚Hにより共振周波数Fを制御することができ、所望の周波数特性を有する圧電薄膜共振器を得ることができる。
【0007】
特許文献2には、下部電極の段差部に起因した圧電膜の結晶性の低下を抑制する目的で、下部電極と同じ高さの絶縁膜を基板上に設けて、下部電極の段差を取り除く技術が開示されている。特許文献3には、下部電極の段差部に起因した圧電膜の結晶性の低下を抑制する目的で、下部電極の段差部を基板上に直接配置する技術が開示されている。特許文献4には、下部電極の段差部に起因した圧電膜に発生するクラックを抑制する目的で、下部電極の形成に用いるレジストパターンの角部を丸める技術が開示されている。
【非特許文献1】ナカムラ(K.NAKAMURA)、ササキ(H.SASAKI)、シミズ(H.SHIMIZU)、「ZnOとSiO2からなる複合ダイヤグラム構造の共振子(ZnO/SiO2-DAIAPHRAGM COMPOSITE RESONATOR ON A SILICON WAFER)」、エレクトロニクス・レター(ELECTRONICS LETTERS)、1981年7月、17巻、14号、p.507−509
【特許文献1】特開昭60−189307号公報
【特許文献2】特表2005−536908号公報
【特許文献3】特開2002−140075号公報
【特許文献4】特開2006−254295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧電膜は、音速、温度特性および共振尖鋭度(Q値)の観点からAlNが用いられることが多い。特に、c軸(下部電極表面に対して垂直方向((002)方向))配向した結晶性の高いAlN膜を形成することが共振特性を決める重要な要因の1つである。一方で、c軸配向した結晶性の高いAlN膜を成膜するには高いエネルギーを必要とする。例えば、MOCVD(Metal Organic chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜では、基板を1000℃以上に加熱する必要があり、PECVD(Plasma Enhanced chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜では、プラズマの電力に加え400℃以上の基板加熱が必要である。また、スパッタ技術を用いた成膜でも、絶縁膜のスパッタによる基板温度上昇がある。このため、AlN膜は強い膜応力を有する。
【0009】
また、下部電極は段差部を有しており、且つ、段差部の側壁はテーパー形状をしている。そして、圧電膜は下部電極の段差部を覆うように形成される。これらのため、下部電極の段差部における圧電膜の結晶性が低下し、圧電薄膜共振器の共振特性が劣化するという課題が生じる。
【0010】
特許文献2によれば、下部電極の段差部を覆うように絶縁膜を形成した後、表面研磨等により下部電極と絶縁膜との表面を平坦化させることで、下部電極の段差部を取り除いている。下部電極の膜厚は共振周波数に影響を与える。このため、表面研磨による下部電極の膜厚制御は非常に重要となるが、ウエハ面内およびウエハ間で膜厚バラツキなく表面研磨をすることは難しい。また、絶縁膜の堆積や表面研磨等、製造工程も増加する。このため、生産性の低下や生産コストの増加等の課題が生じる。
【0011】
また、特許文献3によれば、膜応力が大きい圧電膜にも対応することができ、機械的強度やQ値を向上させることができる。しかしながら、電気機械結合係数(k2)が低下するという課題が生じる。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、共振特性を改善することが可能な圧電薄膜共振器およびそれを用いたフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基板上に設けられた下部電極と、前記基板上および前記下部電極上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向する部分を有するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の前記下部電極の少なくとも一部の外周の前記基板上に、前記下部電極に沿って設けられた付加膜と、を具備することを特徴とする圧電薄膜共振器である。本発明によれば、下部電極の段差部における圧電膜の結晶性の低下により発生するクラックを抑制でき、共振特性を改善することが可能となる。
【0014】
上記構成において、前記圧電膜は前記付加膜を覆うように設けられている構成とすることができる。この構成によれば、共振特性を改善することができる。
【0015】
上記構成において、前記付加膜は前記下部電極と同じ材料の膜である構成とすることができる。この構成によれば、付加膜と下部電極とは同時に形成することができるため、生産性を向上させることができる。
【0016】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板と前記下部電極との間に、ドーム形状の膨らみを有する空隙が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、生産性の向上、基板の機械的強度の劣化防止および集積化を図ることができる。また、圧電膜の良好な配向性を得ることもできる。
【0017】
上記構成において、前記下部電極には前記空隙に通じる孔部が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、ドーム形状の膨らみを有する空隙を形成することができる。
【0018】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板に、空隙が設けられている構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は前記空隙を前記基板に投影した領域に含まれる構成とすることができる。この構成によれば、共振特性を向上させることができる。
【0020】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の応力は圧縮応力である構成とすることができる。この構成によれば、ドーム形状の膨らみを有する空隙が潰れることを抑制することができる。
【0021】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は楕円形である構成とすることができる。また、上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は非平行からなる多角形である構成とすることができる。これらの構成によれば、圧電膜の外周で反射された弾性波が共振部内で横方向の定在波として存在することを抑制することができる。これにより、共振特性にリップルが発生することをより抑制することができる。
【0022】
上記構成において、前記圧電膜は(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛である構成とすることができる。
【0023】
本発明は、上記圧電薄膜共振器を具備するフィルタである構成とすることができる。この構成によれば、通過帯域でのリップルの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、下部電極の段差部における圧電膜の結晶性の低下により発生するクラックを抑制でき、共振特性が改善した圧電薄膜共振器およびそれを用いたフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照に本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0026】
図3(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図3(b)は図3(a)のA−A間の断面図であり、図3(c)は図3(a)のB−B間の断面図である。図4(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図4(b)は図4(a)のA−A間の断面図であり、図4(c)は図4(a)のB−B間の断面図である。
【0027】
図3(a)から図3(c)を参照に、実施例1に係る圧電薄膜共振器は、(100)カットのシリコン基板からなる基板10上にRuからなる厚さ260nmの下部電極12が設けられている。基板10上および下部電極12上に(002)方向を主軸とするAlN膜からなる厚さ1220nmの圧電膜14が設けられている。圧電膜14を挟み下部電極12と対向する部分を有するように圧電膜14上にRuからなる厚さ260nmの上部電極16が設けられている。これにより、下部電極12、圧電膜14および上部電極16からなる積層膜が形成されている。下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)の下部電極12の少なくとも一部の外周に沿って、下部電極12と同じ材料(Ru)からなる付加膜22が基板10上に設けられている。下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下部電極12と付加膜22との距離dは2.0μmであり、付加膜22の厚さは260nmであり、幅は4μmである。また、共振部21は楕円形であり、長軸の長さは250μm、短軸の長さは180μmである。
【0028】
共振部21の下の基板10と下部電極12との間には、ドーム形状の膨らみを有する空隙18が設けられている。ドーム形状の膨らみとは、空隙18周辺の空隙18の高さより空隙18の内部ほど高さが高くなるような形状の膨らみである。共振部21は空隙18を基板10に投影した領域に含まれる。下部電極12には、後述する犠牲層をエッチングするための導入路24が設けられている。導入路24の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路24の先端に孔部26を有している。圧電膜14には下部電極12に電気的に接続するための開口部28が設けられている。
【0029】
図4(a)から図4(c)を参照に、比較例1に係る圧電薄膜共振器は、基板10上に付加膜22が設けられていない。その他の構成については、実施例1と同じであり、図3(a)から図3(c)に示しているので説明を省略する。
【0030】
次に、図5(a)から図5(h)を用いて、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を説明する。図5(a)から図5(d)は図3(a)のA−A間に相当する断面図であり、図5(e)から図5(h)は図3(a)のB−B間に相当する断面図である。図5(a)および図5(e)を参照に、基板10上に、MgO(酸化マグネシウム)からなる厚さ約20nmの犠牲層30を例えばスパッタリング法または蒸着法を用い形成する。その後、露光技術とエッチング技術を用い、犠牲層30を所定の形状にする。
【0031】
図5(b)および図5(f)を参照に、0.6〜1.2Paの圧力下のArガス雰囲気中でRuをスパッタすることで下部電極12を形成する。その後、露光技術とエッチング技術を用い、下部電極12を所定の形状とする。この時、付加膜22を同時に形成する。
【0032】
図5(c)および図5(g)を参照に、下部電極12および基板10上に、約0.3Paの圧力下のAr/N2混合ガス雰囲気中でAlをスパッタすることで圧電膜14を形成する。圧電膜14上に、0.6〜1.2Paの圧力下のArガス雰囲気中でRuをスパッタすることで上部電極16を形成する。その後、露光技術とエッチング技術を用い、圧電膜14および上部電極16を所定の形状とする。さらに、露光技術とエッチング技術を用い、導入路24の先端の孔部26を形成する。なお、孔部26は下部電極12の形成と同時に行なうこともできる。
【0033】
図5(d)および図5(h)を参照に、犠牲層30をエッチングするためのエッチング液を孔部26、導入路24を経て導入し、犠牲層30を除去する。ここで、下部電極12、圧電膜14および上部電極16からなる積層膜の応力は、スパッタリング条件の調整により圧縮応力となるように設定されている。このため、犠牲層30のエッチングが完了した時点で、積層膜は膨れ上がり、下部電極12と基板10との間にドーム形状の膨らみを有する空隙18が形成される。なお、実施例1のスパッタ条件では複合膜の圧縮応力は−300MPaである。これにより、実施例1に係る圧電薄膜共振器が完成する。
【0034】
図6(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示しており、図6(b)は反射特性のスミスチャートである。図7(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示しており、図7(b)は反射特性のスミスチャートである。図6(a)から図7(b)において、ウエハ内の3箇所の圧電薄膜共振器についての共振特性および反射特性を示している。また、図6(a)および図7(a)において、横軸は周波数[MHz]、縦軸は減衰量[dB]である。
【0035】
図6(a)を参照に、比較例1に係る圧電薄膜共振器は、共振周波数より若干低い周波数(1880MHz付近)でリップルが発生し、共振特性が劣化している。また、図6(b)のスミスチャートからも反射特性が劣化(図6(b)矢印参照)していることが分かる。一方、図7(a)より、実施例1に係る圧電薄膜共振器は、共振周波数より若干低い周波数(1880MHz付近)でのリップルが抑制され、共振特性が改善されている。また、図7(b)からも反射特性が改善(図7(b)矢印参照)されていることが分かる。
【0036】
図8は比較例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性が劣化する原因を説明するための断面図である。なお、図8は、犠牲層30をエッチングする前(空隙18が形成される前)の状態の断面図であり、下部電極12の段差部分を拡大して図示している。また、圧電膜14中の細線は圧電膜14(AlN膜)の柱状結晶構造を示している。図8を参照に、下部電極12の段差部はテーパー形状をしている。圧電膜14の柱状結晶構造は基板10上および下部電極12上面上では垂直であり、下部電極12のテーパー形状の段差部ではテーパーに対して垂直である。このため、領域Yでの圧電膜14の結晶性が低下する。よって、図5(d)および図5(h)に示すような、ドーム形状の空隙18を形成する際に加わる応力により、領域Yにクラックが発生する。これにより、共振特性が劣化する。
【0037】
図9は実施例1に係る圧電薄膜共振器の下部電極12の段差部分を拡大した断面図(犠牲層30をエッチングする前)である。図9を参照に、下部電極12から2.0μmの距離dを離して付加膜22を設けることで、領域Yでのクラックの発生を抑制することができる。このため、共振特性を改善することが可能となる。なお、距離dは2.0μmに限られるわけでないが、距離dが長くなりすぎると、下部電極12の段差部における圧電膜14の結晶性が比較例1の状態に近づくため好ましくない。このため、距離dは2.0μmもしくはこれ以下である場合が好ましい。
【0038】
実施例1によれば、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下部電極12の少なくとも一部の外周に、下部電極12に沿って付加膜22が基板10上に設けられており、圧電膜14は付加膜22を覆うように基板10上および下部電極12上に設けられている。このため、図9を用い説明したように、下部電極12の段差部での圧電膜14の結晶性の低下から生じるクラックを抑制することができる。これにより、実施例1に係る圧電薄膜共振器は、比較例1に比べてリップルの発生が抑制され、共振特性を改善することが可能となる。また、実施例1において、電気機械結合係数(k2)や共振尖鋭度(Q値)については、比較例1と同等な値が得られる。
【0039】
また、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と付加膜22とは同じ材料(Ru)の膜である場合が好ましい。この場合は、図5(b)および図5(f)に示すように、下部電極12と付加膜22とを同時に形成でき、生産性を向上させることができる。
【0040】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下の基板10と下部電極12との間にドーム形状の膨らみを有する空隙18が設けられている。よって、基板10をエッチングする必要がなく、生産性の向上および基板10の機械的強度の劣化防止を図ることができる。また、空隙18を形成する領域が小さくて済むため集積化を図ることができる。さらに、空隙18を形成するための犠牲層30の厚さを薄くすることができるため、良好な圧電膜14の配向性を確保することができる。
【0041】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12、圧電膜14および上部電極16の積層膜の応力、つまり下部電極12と上部電極16とが対向する部分の応力を圧縮応力とすることにより、ドーム形状の膨らみを有する空隙18が潰れることなく形成することができる。また、下部電極12に空隙18に通じる孔部26が設けられている。よって、図5(d)および図5(h)に示すように、孔部26からエッチング液を導入して、犠牲層30をエッチングすることにより、ドーム形状の膨らみを有する空隙18を形成することができる。
【0042】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分は、ドーム形状の膨らみを有する空隙18を基板10に投影した領域に含まれる。これにより、下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)を振動させることができる。また、空隙18はドーム形状をしていない場合でもよく、少なくとも、下部電極12と上部電極16とが対向する部分が空隙18を基板10に投影した領域に含まれていれば、共振部21を振動させることができる。
【0043】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分を楕円形とすることにより、平行な辺が存在しないため、圧電膜14の外周で反射された弾性波が共振部21内で横方向の定在波として存在することを抑制することができる。これにより、共振特性にリップルが発生することをより抑制することができる。
【0044】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、圧電膜14として、(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウム用いることで、良好な共振特性を有する圧電薄膜共振器を得ることができる。また、(002)方向を主軸とする配向性を示す酸化亜鉛を用いても、良好な共振特性を得ることができる。
【0045】
さらに、実施例1において、基板10はシリコン基板である場合を示したが、石英基板、ガラス基板およびGaAs基板等を用いることもできる。下部電極12および上部電極16はRuである場合を示したが、背景技術で説明した材料を用いることもできる。犠牲層30はMgOである場合を示したが、ZnO、Ge、TiおよびSiO2等エッチング液により容易に溶解できる材料を用いることができる。
【実施例2】
【0046】
図10は実施例2に係る圧電薄膜共振器の上視図である。図10を参照に、下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)は非平行からなる多角形をしている。その他の構成は実施例1と同じであり、図3(a)から図3(c)に示しているので説明を省略する。
【0047】
実施例2によれば、下部電極12と上部電極16とが対向する部分は非平行からなる多角形をしている。よって、平行な辺が存在しないため、圧電膜14の外周で反射された弾性波が共振部内で横方向の定在波として存在することを抑制することができる。これにより、共振特性にリップルが発生することをより抑制することができる。
【実施例3】
【0048】
実施例3は基板10に空隙18が設けられた場合の例である。図11(a)は実施例3に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図11(b)は図11(a)のA−A間の断面図である。図12(a)は実施例3の変形例に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図12(b)は図12(a)のA−A間の断面図である。図11(a)から図12(b)を参照に、実施例1および実施例2のように、基板10と下部電極12との間に空隙18が設けられていなくとも、実施例3のように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)の下の基板10に空隙18が設けられている場合でもよい。また、空隙18はDeep−RIE(反応性イオンエッチング)を用いて基板10をエッチングすることで、ほぼ垂直に形成することができる。
【実施例4】
【0049】
実施例4は実施例1に係る圧電薄膜共振器を用いた4段構成のラダー型フィルタの例である。図13は実施例4に係るラダー型フィルタの回路図である。なお、4段構成をしたラダー型フィルタは、本来、入力端子Tinと出力端子Toutとの間の直列共振器Sと並列共振器Pは、S−P−P−S−S−P−P−Sの構成をとるが、実施例4では、真ん中の2つの直列共振器Sを一まとめにしてS2とし、両端の2つの並列共振器Pをそれぞれ一まとめにしてP1およびP2とする。図13を参照に、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列共振器S1、S2およびS3が直列に接続されている。直列共振器S1とS2との間のノードとグランドとの間に並列共振器P1が接続され、直列共振器S2とS3との間のノードとグランドとの間に並列共振器P2が接続されている。
【0050】
ラダー型フィルタにおいては、バンドパスフィルタ特性を得るために、並列共振器の共振周波数を直列共振器の共振周波数より小さくする必要がある。このため、直列共振器には、実施例1に係る圧電薄膜共振器をそのまま用い、並列共振器には、実施例1に係る圧電薄膜共振器の上部電極16上にTiからなる厚さ130nmの質量負荷膜を設けた圧電薄膜共振器を用いている。
【0051】
図14は実施例4に係るラダー型フィルタの通過特性を示している。なお、比較のため、比較例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器および並列共振器(上部電極上に質量負荷膜を具備)に用いたラダー型フィルタ(比較例2)の通過特性も示している。また、比較例2に係るラダー型フィルタの回路図は実施例4と同じである。図14を参照に、横軸は周波数[MHz]であり、縦軸は減衰量[dB]である。図14によれば、比較例2に係るラダー型フィルタの通過特性(破線)は、1960MHz付近の通過帯域でリップルが発生している。一方、実施例4に係るラダー型フィルタの通過特性(実線)では、リップルの発生は抑制されている。このように、実施例1に係る圧電薄膜共振器をラダー型フィルタに用いることで、通過特性を改善することができる。
【0052】
実施例4においては、実施例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器および並列共振器の両方に設けた場合を例に示したがこれに限られない。例えば、実施例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器に用い、比較例1に係る圧電薄膜共振器を並列共振器に用いた場合でも通過帯域におけるリップルを抑制することができる。特に、実施例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器および並列共振器の両方に用いた場合は、通過帯域におけるリップルの抑制だけでなく、通過帯域より低周波数側の減衰特性を改善することもできる。
【0053】
また、実施例4においては、実施例1に係る圧電薄膜共振器をラダー型フィルタに用いた場合を示したが、実施例2および実施例3に係る圧電薄膜共振器をラダー型フィルタに用いた場合でもよい。さらに、実施例1から実施例3に係る圧電薄膜共振器を多重モード型フィルタやラティス型フィルタ等、ラダー型フィルタ以外のフィルタに用いた場合でもよい。
【0054】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1はバイアホールタイプの空隙を有する圧電薄膜共振器の断面図である。
【図2】図2はキャビティタイプの空隙を有する圧電薄膜共振器の断面図である。
【図3】図3(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図3(b)は図3(a)のA−A間の断面図であり、図3(c)は図3(a)のB−B間の断面図である。
【図4】図4(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図4(b)は図4(a)A−A間の断面図であり、図4(c)は図4(a)のB−B間の断面図である。
【図5】図5(a)から図5(h)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。
【図6】図6(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示す図であり、図6(b)は反射特性を示すスミスチャートである。
【図7】図7(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示す図であり、図7(b)は反射特性を示すスミスチャートである。
【図8】図8は比較例1について共振特性が劣化する理由を説明するための断面図である。
【図9】図9は実施例1について共振特性が改善する理由を説明するための断面図である。
【図10】図10は実施例2に係る圧電薄膜共振器の上視図である。
【図11】図11(a)は実施例3に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図11(b)は図11(a)のA−A間の断面図である。
【図12】図12(a)は実施例3の変形例に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図12(b)は図12(a)のA−A間の断面図である。
【図13】図13は実施例4に係るラダー型フィルタの等価回路図である。
【図14】図14は実施例4に係るラダー型フィルタの通過特性を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 基板
11 SiO2膜
12 下部電極
14 圧電膜
16 上部電極
18 空隙
21 共振部
22 付加膜
24 導入路
26 孔部
28 開口部
30 犠牲層
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電薄膜共振器およびフィルタに関し、より詳細には、圧電薄膜による電気信号とバルク弾性波の変換作用を利用した圧電薄膜共振器および複数の圧電薄膜共振器を用いたフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、小型で軽量な共振器およびこれを組み合わせて構成したフィルタの需要が増大している。これまでは主として誘電体フィルタと表面弾性波(SAW)フィルタとが使用されてきたが、最近では、特に高周波での特性が良好で、かつ小型化とモノリシック化が可能な素子である圧電薄膜共振器およびこれを用いて構成されたフィルタが注目されつつある。
【0003】
圧電薄膜共振器の中には、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)タイプとSMR(Solidly Mounted Resonator)タイプがある。FBARタイプの圧電薄膜共振器は、基板上に下部電極、圧電膜、および上部電極からなる積層膜構造を有している。圧電膜を挟み下部電極と上部電極とが対向する部分(共振部)の下部電極の下に空隙が形成されている。ここで、FBARにおける空隙には、基板表面に設けた犠牲層のウエットエッチングにより、下部電極と基板との間に形成される空隙(キャビティ)と、ウエットエッチングまたはドライエッチング等により基板に形成される空隙(バイアホール)とがある。SMRは空隙の代わりに音響多層膜を有している。音響多層膜は、音響インピーダンスが高い膜と低い膜を交互にλ/4(λ:弾性波の波長)の膜厚で積層されている。
【0004】
非特許文献1にバイアホールを有するFBARが開示されている。また、特許文献1にキャビティを有するFBARが開示されている。図1はバイアホールを有するFBARの断面図であり、図2はキャビティを有するFBARの断面図である。図1を参照に、表面にSiO2膜11を有するシリコンからなる基板10上に下部電極12、圧電膜14および上部電極16が順次設けられている。下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下の基板10に空隙18(バイアホール)が設けられている。図2を参照に、シリコンからなる基板10上に空隙18(キャビティ)が形成されるように支持膜として機能するSiO2膜11が設けられている。SiO2膜11上に下部電極12、圧電膜14および上部電極16が順次設けられている。下部電極12と上部電極16とは圧電膜14を挟んで対向する部分を有している。
【0005】
ここで、下部電極12および上部電極16としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等あるいはこれらを組み合わせた積層材料を用いることができる。圧電膜14としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)等を用いることができる。また、基板10としては、シリコン、ガラス、GaAs等を用いることができる。
【0006】
上部電極と下部電極との間に高周波の電気信号を印加すると、上部電極と下部電極とに挟まれた圧電膜内部に逆圧電効果によって励振される弾性波や圧電効果に起因する歪みによって生じる弾性波が発生する。そして、これらの弾性波が電気信号に変換される。このような弾性波は、上部電極と下部電極とがそれぞれ空気に接している面で全反射されるため、厚み方向に主変位をもつ縦振動波となる。下部電極、圧電膜および上部電極(上部電極上に付加される膜を含む)からなる積層膜の総膜厚Hが、弾性波の波長λの1/2(1/2波長)の整数倍(n倍)となる周波数(つまりH=nλ/2となる周波数)において共振現象が生じる。ここで、圧電膜の材料によって決まる弾性波の伝搬速度をVとすると、共振周波数Fは、F=nV/(2H)となる。このことから、積層膜の総膜厚Hにより共振周波数Fを制御することができ、所望の周波数特性を有する圧電薄膜共振器を得ることができる。
【0007】
特許文献2には、下部電極の段差部に起因した圧電膜の結晶性の低下を抑制する目的で、下部電極と同じ高さの絶縁膜を基板上に設けて、下部電極の段差を取り除く技術が開示されている。特許文献3には、下部電極の段差部に起因した圧電膜の結晶性の低下を抑制する目的で、下部電極の段差部を基板上に直接配置する技術が開示されている。特許文献4には、下部電極の段差部に起因した圧電膜に発生するクラックを抑制する目的で、下部電極の形成に用いるレジストパターンの角部を丸める技術が開示されている。
【非特許文献1】ナカムラ(K.NAKAMURA)、ササキ(H.SASAKI)、シミズ(H.SHIMIZU)、「ZnOとSiO2からなる複合ダイヤグラム構造の共振子(ZnO/SiO2-DAIAPHRAGM COMPOSITE RESONATOR ON A SILICON WAFER)」、エレクトロニクス・レター(ELECTRONICS LETTERS)、1981年7月、17巻、14号、p.507−509
【特許文献1】特開昭60−189307号公報
【特許文献2】特表2005−536908号公報
【特許文献3】特開2002−140075号公報
【特許文献4】特開2006−254295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧電膜は、音速、温度特性および共振尖鋭度(Q値)の観点からAlNが用いられることが多い。特に、c軸(下部電極表面に対して垂直方向((002)方向))配向した結晶性の高いAlN膜を形成することが共振特性を決める重要な要因の1つである。一方で、c軸配向した結晶性の高いAlN膜を成膜するには高いエネルギーを必要とする。例えば、MOCVD(Metal Organic chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜では、基板を1000℃以上に加熱する必要があり、PECVD(Plasma Enhanced chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜では、プラズマの電力に加え400℃以上の基板加熱が必要である。また、スパッタ技術を用いた成膜でも、絶縁膜のスパッタによる基板温度上昇がある。このため、AlN膜は強い膜応力を有する。
【0009】
また、下部電極は段差部を有しており、且つ、段差部の側壁はテーパー形状をしている。そして、圧電膜は下部電極の段差部を覆うように形成される。これらのため、下部電極の段差部における圧電膜の結晶性が低下し、圧電薄膜共振器の共振特性が劣化するという課題が生じる。
【0010】
特許文献2によれば、下部電極の段差部を覆うように絶縁膜を形成した後、表面研磨等により下部電極と絶縁膜との表面を平坦化させることで、下部電極の段差部を取り除いている。下部電極の膜厚は共振周波数に影響を与える。このため、表面研磨による下部電極の膜厚制御は非常に重要となるが、ウエハ面内およびウエハ間で膜厚バラツキなく表面研磨をすることは難しい。また、絶縁膜の堆積や表面研磨等、製造工程も増加する。このため、生産性の低下や生産コストの増加等の課題が生じる。
【0011】
また、特許文献3によれば、膜応力が大きい圧電膜にも対応することができ、機械的強度やQ値を向上させることができる。しかしながら、電気機械結合係数(k2)が低下するという課題が生じる。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、共振特性を改善することが可能な圧電薄膜共振器およびそれを用いたフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基板上に設けられた下部電極と、前記基板上および前記下部電極上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向する部分を有するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の前記下部電極の少なくとも一部の外周の前記基板上に、前記下部電極に沿って設けられた付加膜と、を具備することを特徴とする圧電薄膜共振器である。本発明によれば、下部電極の段差部における圧電膜の結晶性の低下により発生するクラックを抑制でき、共振特性を改善することが可能となる。
【0014】
上記構成において、前記圧電膜は前記付加膜を覆うように設けられている構成とすることができる。この構成によれば、共振特性を改善することができる。
【0015】
上記構成において、前記付加膜は前記下部電極と同じ材料の膜である構成とすることができる。この構成によれば、付加膜と下部電極とは同時に形成することができるため、生産性を向上させることができる。
【0016】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板と前記下部電極との間に、ドーム形状の膨らみを有する空隙が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、生産性の向上、基板の機械的強度の劣化防止および集積化を図ることができる。また、圧電膜の良好な配向性を得ることもできる。
【0017】
上記構成において、前記下部電極には前記空隙に通じる孔部が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、ドーム形状の膨らみを有する空隙を形成することができる。
【0018】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板に、空隙が設けられている構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は前記空隙を前記基板に投影した領域に含まれる構成とすることができる。この構成によれば、共振特性を向上させることができる。
【0020】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の応力は圧縮応力である構成とすることができる。この構成によれば、ドーム形状の膨らみを有する空隙が潰れることを抑制することができる。
【0021】
上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は楕円形である構成とすることができる。また、上記構成において、前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は非平行からなる多角形である構成とすることができる。これらの構成によれば、圧電膜の外周で反射された弾性波が共振部内で横方向の定在波として存在することを抑制することができる。これにより、共振特性にリップルが発生することをより抑制することができる。
【0022】
上記構成において、前記圧電膜は(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛である構成とすることができる。
【0023】
本発明は、上記圧電薄膜共振器を具備するフィルタである構成とすることができる。この構成によれば、通過帯域でのリップルの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、下部電極の段差部における圧電膜の結晶性の低下により発生するクラックを抑制でき、共振特性が改善した圧電薄膜共振器およびそれを用いたフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照に本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0026】
図3(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図3(b)は図3(a)のA−A間の断面図であり、図3(c)は図3(a)のB−B間の断面図である。図4(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図4(b)は図4(a)のA−A間の断面図であり、図4(c)は図4(a)のB−B間の断面図である。
【0027】
図3(a)から図3(c)を参照に、実施例1に係る圧電薄膜共振器は、(100)カットのシリコン基板からなる基板10上にRuからなる厚さ260nmの下部電極12が設けられている。基板10上および下部電極12上に(002)方向を主軸とするAlN膜からなる厚さ1220nmの圧電膜14が設けられている。圧電膜14を挟み下部電極12と対向する部分を有するように圧電膜14上にRuからなる厚さ260nmの上部電極16が設けられている。これにより、下部電極12、圧電膜14および上部電極16からなる積層膜が形成されている。下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)の下部電極12の少なくとも一部の外周に沿って、下部電極12と同じ材料(Ru)からなる付加膜22が基板10上に設けられている。下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下部電極12と付加膜22との距離dは2.0μmであり、付加膜22の厚さは260nmであり、幅は4μmである。また、共振部21は楕円形であり、長軸の長さは250μm、短軸の長さは180μmである。
【0028】
共振部21の下の基板10と下部電極12との間には、ドーム形状の膨らみを有する空隙18が設けられている。ドーム形状の膨らみとは、空隙18周辺の空隙18の高さより空隙18の内部ほど高さが高くなるような形状の膨らみである。共振部21は空隙18を基板10に投影した領域に含まれる。下部電極12には、後述する犠牲層をエッチングするための導入路24が設けられている。導入路24の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路24の先端に孔部26を有している。圧電膜14には下部電極12に電気的に接続するための開口部28が設けられている。
【0029】
図4(a)から図4(c)を参照に、比較例1に係る圧電薄膜共振器は、基板10上に付加膜22が設けられていない。その他の構成については、実施例1と同じであり、図3(a)から図3(c)に示しているので説明を省略する。
【0030】
次に、図5(a)から図5(h)を用いて、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を説明する。図5(a)から図5(d)は図3(a)のA−A間に相当する断面図であり、図5(e)から図5(h)は図3(a)のB−B間に相当する断面図である。図5(a)および図5(e)を参照に、基板10上に、MgO(酸化マグネシウム)からなる厚さ約20nmの犠牲層30を例えばスパッタリング法または蒸着法を用い形成する。その後、露光技術とエッチング技術を用い、犠牲層30を所定の形状にする。
【0031】
図5(b)および図5(f)を参照に、0.6〜1.2Paの圧力下のArガス雰囲気中でRuをスパッタすることで下部電極12を形成する。その後、露光技術とエッチング技術を用い、下部電極12を所定の形状とする。この時、付加膜22を同時に形成する。
【0032】
図5(c)および図5(g)を参照に、下部電極12および基板10上に、約0.3Paの圧力下のAr/N2混合ガス雰囲気中でAlをスパッタすることで圧電膜14を形成する。圧電膜14上に、0.6〜1.2Paの圧力下のArガス雰囲気中でRuをスパッタすることで上部電極16を形成する。その後、露光技術とエッチング技術を用い、圧電膜14および上部電極16を所定の形状とする。さらに、露光技術とエッチング技術を用い、導入路24の先端の孔部26を形成する。なお、孔部26は下部電極12の形成と同時に行なうこともできる。
【0033】
図5(d)および図5(h)を参照に、犠牲層30をエッチングするためのエッチング液を孔部26、導入路24を経て導入し、犠牲層30を除去する。ここで、下部電極12、圧電膜14および上部電極16からなる積層膜の応力は、スパッタリング条件の調整により圧縮応力となるように設定されている。このため、犠牲層30のエッチングが完了した時点で、積層膜は膨れ上がり、下部電極12と基板10との間にドーム形状の膨らみを有する空隙18が形成される。なお、実施例1のスパッタ条件では複合膜の圧縮応力は−300MPaである。これにより、実施例1に係る圧電薄膜共振器が完成する。
【0034】
図6(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示しており、図6(b)は反射特性のスミスチャートである。図7(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示しており、図7(b)は反射特性のスミスチャートである。図6(a)から図7(b)において、ウエハ内の3箇所の圧電薄膜共振器についての共振特性および反射特性を示している。また、図6(a)および図7(a)において、横軸は周波数[MHz]、縦軸は減衰量[dB]である。
【0035】
図6(a)を参照に、比較例1に係る圧電薄膜共振器は、共振周波数より若干低い周波数(1880MHz付近)でリップルが発生し、共振特性が劣化している。また、図6(b)のスミスチャートからも反射特性が劣化(図6(b)矢印参照)していることが分かる。一方、図7(a)より、実施例1に係る圧電薄膜共振器は、共振周波数より若干低い周波数(1880MHz付近)でのリップルが抑制され、共振特性が改善されている。また、図7(b)からも反射特性が改善(図7(b)矢印参照)されていることが分かる。
【0036】
図8は比較例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性が劣化する原因を説明するための断面図である。なお、図8は、犠牲層30をエッチングする前(空隙18が形成される前)の状態の断面図であり、下部電極12の段差部分を拡大して図示している。また、圧電膜14中の細線は圧電膜14(AlN膜)の柱状結晶構造を示している。図8を参照に、下部電極12の段差部はテーパー形状をしている。圧電膜14の柱状結晶構造は基板10上および下部電極12上面上では垂直であり、下部電極12のテーパー形状の段差部ではテーパーに対して垂直である。このため、領域Yでの圧電膜14の結晶性が低下する。よって、図5(d)および図5(h)に示すような、ドーム形状の空隙18を形成する際に加わる応力により、領域Yにクラックが発生する。これにより、共振特性が劣化する。
【0037】
図9は実施例1に係る圧電薄膜共振器の下部電極12の段差部分を拡大した断面図(犠牲層30をエッチングする前)である。図9を参照に、下部電極12から2.0μmの距離dを離して付加膜22を設けることで、領域Yでのクラックの発生を抑制することができる。このため、共振特性を改善することが可能となる。なお、距離dは2.0μmに限られるわけでないが、距離dが長くなりすぎると、下部電極12の段差部における圧電膜14の結晶性が比較例1の状態に近づくため好ましくない。このため、距離dは2.0μmもしくはこれ以下である場合が好ましい。
【0038】
実施例1によれば、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下部電極12の少なくとも一部の外周に、下部電極12に沿って付加膜22が基板10上に設けられており、圧電膜14は付加膜22を覆うように基板10上および下部電極12上に設けられている。このため、図9を用い説明したように、下部電極12の段差部での圧電膜14の結晶性の低下から生じるクラックを抑制することができる。これにより、実施例1に係る圧電薄膜共振器は、比較例1に比べてリップルの発生が抑制され、共振特性を改善することが可能となる。また、実施例1において、電気機械結合係数(k2)や共振尖鋭度(Q値)については、比較例1と同等な値が得られる。
【0039】
また、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と付加膜22とは同じ材料(Ru)の膜である場合が好ましい。この場合は、図5(b)および図5(f)に示すように、下部電極12と付加膜22とを同時に形成でき、生産性を向上させることができる。
【0040】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下の基板10と下部電極12との間にドーム形状の膨らみを有する空隙18が設けられている。よって、基板10をエッチングする必要がなく、生産性の向上および基板10の機械的強度の劣化防止を図ることができる。また、空隙18を形成する領域が小さくて済むため集積化を図ることができる。さらに、空隙18を形成するための犠牲層30の厚さを薄くすることができるため、良好な圧電膜14の配向性を確保することができる。
【0041】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12、圧電膜14および上部電極16の積層膜の応力、つまり下部電極12と上部電極16とが対向する部分の応力を圧縮応力とすることにより、ドーム形状の膨らみを有する空隙18が潰れることなく形成することができる。また、下部電極12に空隙18に通じる孔部26が設けられている。よって、図5(d)および図5(h)に示すように、孔部26からエッチング液を導入して、犠牲層30をエッチングすることにより、ドーム形状の膨らみを有する空隙18を形成することができる。
【0042】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分は、ドーム形状の膨らみを有する空隙18を基板10に投影した領域に含まれる。これにより、下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)を振動させることができる。また、空隙18はドーム形状をしていない場合でもよく、少なくとも、下部電極12と上部電極16とが対向する部分が空隙18を基板10に投影した領域に含まれていれば、共振部21を振動させることができる。
【0043】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分を楕円形とすることにより、平行な辺が存在しないため、圧電膜14の外周で反射された弾性波が共振部21内で横方向の定在波として存在することを抑制することができる。これにより、共振特性にリップルが発生することをより抑制することができる。
【0044】
さらに、図3(a)から図3(c)に示すように、圧電膜14として、(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウム用いることで、良好な共振特性を有する圧電薄膜共振器を得ることができる。また、(002)方向を主軸とする配向性を示す酸化亜鉛を用いても、良好な共振特性を得ることができる。
【0045】
さらに、実施例1において、基板10はシリコン基板である場合を示したが、石英基板、ガラス基板およびGaAs基板等を用いることもできる。下部電極12および上部電極16はRuである場合を示したが、背景技術で説明した材料を用いることもできる。犠牲層30はMgOである場合を示したが、ZnO、Ge、TiおよびSiO2等エッチング液により容易に溶解できる材料を用いることができる。
【実施例2】
【0046】
図10は実施例2に係る圧電薄膜共振器の上視図である。図10を参照に、下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)は非平行からなる多角形をしている。その他の構成は実施例1と同じであり、図3(a)から図3(c)に示しているので説明を省略する。
【0047】
実施例2によれば、下部電極12と上部電極16とが対向する部分は非平行からなる多角形をしている。よって、平行な辺が存在しないため、圧電膜14の外周で反射された弾性波が共振部内で横方向の定在波として存在することを抑制することができる。これにより、共振特性にリップルが発生することをより抑制することができる。
【実施例3】
【0048】
実施例3は基板10に空隙18が設けられた場合の例である。図11(a)は実施例3に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図11(b)は図11(a)のA−A間の断面図である。図12(a)は実施例3の変形例に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図12(b)は図12(a)のA−A間の断面図である。図11(a)から図12(b)を参照に、実施例1および実施例2のように、基板10と下部電極12との間に空隙18が設けられていなくとも、実施例3のように、下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部21)の下の基板10に空隙18が設けられている場合でもよい。また、空隙18はDeep−RIE(反応性イオンエッチング)を用いて基板10をエッチングすることで、ほぼ垂直に形成することができる。
【実施例4】
【0049】
実施例4は実施例1に係る圧電薄膜共振器を用いた4段構成のラダー型フィルタの例である。図13は実施例4に係るラダー型フィルタの回路図である。なお、4段構成をしたラダー型フィルタは、本来、入力端子Tinと出力端子Toutとの間の直列共振器Sと並列共振器Pは、S−P−P−S−S−P−P−Sの構成をとるが、実施例4では、真ん中の2つの直列共振器Sを一まとめにしてS2とし、両端の2つの並列共振器Pをそれぞれ一まとめにしてP1およびP2とする。図13を参照に、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列共振器S1、S2およびS3が直列に接続されている。直列共振器S1とS2との間のノードとグランドとの間に並列共振器P1が接続され、直列共振器S2とS3との間のノードとグランドとの間に並列共振器P2が接続されている。
【0050】
ラダー型フィルタにおいては、バンドパスフィルタ特性を得るために、並列共振器の共振周波数を直列共振器の共振周波数より小さくする必要がある。このため、直列共振器には、実施例1に係る圧電薄膜共振器をそのまま用い、並列共振器には、実施例1に係る圧電薄膜共振器の上部電極16上にTiからなる厚さ130nmの質量負荷膜を設けた圧電薄膜共振器を用いている。
【0051】
図14は実施例4に係るラダー型フィルタの通過特性を示している。なお、比較のため、比較例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器および並列共振器(上部電極上に質量負荷膜を具備)に用いたラダー型フィルタ(比較例2)の通過特性も示している。また、比較例2に係るラダー型フィルタの回路図は実施例4と同じである。図14を参照に、横軸は周波数[MHz]であり、縦軸は減衰量[dB]である。図14によれば、比較例2に係るラダー型フィルタの通過特性(破線)は、1960MHz付近の通過帯域でリップルが発生している。一方、実施例4に係るラダー型フィルタの通過特性(実線)では、リップルの発生は抑制されている。このように、実施例1に係る圧電薄膜共振器をラダー型フィルタに用いることで、通過特性を改善することができる。
【0052】
実施例4においては、実施例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器および並列共振器の両方に設けた場合を例に示したがこれに限られない。例えば、実施例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器に用い、比較例1に係る圧電薄膜共振器を並列共振器に用いた場合でも通過帯域におけるリップルを抑制することができる。特に、実施例1に係る圧電薄膜共振器を直列共振器および並列共振器の両方に用いた場合は、通過帯域におけるリップルの抑制だけでなく、通過帯域より低周波数側の減衰特性を改善することもできる。
【0053】
また、実施例4においては、実施例1に係る圧電薄膜共振器をラダー型フィルタに用いた場合を示したが、実施例2および実施例3に係る圧電薄膜共振器をラダー型フィルタに用いた場合でもよい。さらに、実施例1から実施例3に係る圧電薄膜共振器を多重モード型フィルタやラティス型フィルタ等、ラダー型フィルタ以外のフィルタに用いた場合でもよい。
【0054】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1はバイアホールタイプの空隙を有する圧電薄膜共振器の断面図である。
【図2】図2はキャビティタイプの空隙を有する圧電薄膜共振器の断面図である。
【図3】図3(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図3(b)は図3(a)のA−A間の断面図であり、図3(c)は図3(a)のB−B間の断面図である。
【図4】図4(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図4(b)は図4(a)A−A間の断面図であり、図4(c)は図4(a)のB−B間の断面図である。
【図5】図5(a)から図5(h)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。
【図6】図6(a)は比較例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示す図であり、図6(b)は反射特性を示すスミスチャートである。
【図7】図7(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振特性を示す図であり、図7(b)は反射特性を示すスミスチャートである。
【図8】図8は比較例1について共振特性が劣化する理由を説明するための断面図である。
【図9】図9は実施例1について共振特性が改善する理由を説明するための断面図である。
【図10】図10は実施例2に係る圧電薄膜共振器の上視図である。
【図11】図11(a)は実施例3に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図11(b)は図11(a)のA−A間の断面図である。
【図12】図12(a)は実施例3の変形例に係る圧電薄膜共振器の上視図であり、図12(b)は図12(a)のA−A間の断面図である。
【図13】図13は実施例4に係るラダー型フィルタの等価回路図である。
【図14】図14は実施例4に係るラダー型フィルタの通過特性を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 基板
11 SiO2膜
12 下部電極
14 圧電膜
16 上部電極
18 空隙
21 共振部
22 付加膜
24 導入路
26 孔部
28 開口部
30 犠牲層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた下部電極と、
前記基板上および前記下部電極上に設けられた圧電膜と、
前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向する部分を有するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の前記下部電極の少なくとも一部の外周の前記基板上に、前記下部電極に沿って設けられた付加膜と、を具備することを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項2】
前記圧電膜は前記付加膜を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電薄膜共振器。
【請求項3】
前記付加膜は前記下部電極と同じ材料の膜であることを特徴とする請求項1または2記載の圧電薄膜共振器。
【請求項4】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板と前記下部電極との間に、ドーム形状の膨らみを有する空隙が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項5】
前記下部電極には前記空隙に通じる孔部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の圧電薄膜共振器。
【請求項6】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板に、空隙が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項7】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は前記空隙を前記基板に投影した領域に含まれることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項8】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の応力は圧縮応力であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項9】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は楕円形であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項10】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は非平行からなる多角形であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項11】
前記圧電膜は(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器を具備することを特徴とするフィルタ。
【請求項1】
基板上に設けられた下部電極と、
前記基板上および前記下部電極上に設けられた圧電膜と、
前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向する部分を有するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の前記下部電極の少なくとも一部の外周の前記基板上に、前記下部電極に沿って設けられた付加膜と、を具備することを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項2】
前記圧電膜は前記付加膜を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電薄膜共振器。
【請求項3】
前記付加膜は前記下部電極と同じ材料の膜であることを特徴とする請求項1または2記載の圧電薄膜共振器。
【請求項4】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板と前記下部電極との間に、ドーム形状の膨らみを有する空隙が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項5】
前記下部電極には前記空隙に通じる孔部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の圧電薄膜共振器。
【請求項6】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の下の前記基板に、空隙が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項7】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は前記空隙を前記基板に投影した領域に含まれることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項8】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分の応力は圧縮応力であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項9】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は楕円形であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項10】
前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は非平行からなる多角形であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項11】
前記圧電膜は(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器を具備することを特徴とするフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−288819(P2008−288819A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131094(P2007−131094)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(398067270)富士通メディアデバイス株式会社 (198)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(398067270)富士通メディアデバイス株式会社 (198)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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